(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】医療用観察装置及び医療用観察システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20221226BHJP
G02B 21/24 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
A61B1/00 655
G02B21/24
(21)【出願番号】P 2019041593
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 憲志
【審査官】鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-64951(JP,A)
【文献】国際公開第2018/049448(WO,A2)
【文献】特開2017-176307(JP,A)
【文献】特開2005-118457(JP,A)
【文献】特開2001-145634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
G02B 21/24
A61B 17/94
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象からの被写体像を撮像する撮像部と、
互いに異なる複数の軸回りに前記撮像部を回転可能に支持する支持部と、
前記撮像部の位置を検出する撮像位置検出部と、
前記撮像位置検出部にて検出された前記撮像部の位置を記憶する記憶部と、
前記複数の軸のうち少なくとも一つの軸回りでの前記撮像部の回転を許容する許容状態、または、当該回転を規制する規制状態の一方の状態に切り替わる状態切替部と、
前記状態切替部を前記許容状態に切り替えた後、操作者から前記支持部に加えられた外力に応じて前記支持部が動作し、前記記憶部に記憶された前記撮像部の位置に前記撮像部が位置した場合に、前記状態切替部を前記許容状態から前記規制状態に切り替える再現処理を実行する制御部とを備える医療用観察装置。
【請求項2】
前記複数の軸は、
操作者から前記支持部に加えられた外力に応じて受動的に前記撮像部を当該軸回りに回転可能とする受動軸によってそれぞれ構成されている請求項1に記載の医療用観察装置。
【請求項3】
前記複数の軸は、
操作者から前記支持部に加えられた外力に応じて受動的に前記撮像部を当該軸回りに回転可能とする受動軸と、
アクチュエータの動力によって能動的に前記撮像部を当該軸回りに回転可能とする能動軸とを備え、
前記状態切替部は、
前記受動軸回りでの前記撮像部の回転を許容する前記許容状態、または当該回転を規制する前記規制状態の一方の状態に切り替わる受動軸側状態切替部と、
前記能動軸回りでの前記撮像部の回転を許容する前記許容状態、または当該回転を規制する前記規制状態の一方の状態に切り替わる能動軸側状態切替部とを備え、
前記制御部は、
前記能動軸側状態切替部を前記許容状態に切り替えた後、前記アクチュエータを動作させ、前記記憶部に記憶された前記撮像部の位置に前記撮像部が位置した場合に、前記能動軸側状態切替部を前記許容状態から前記規制状態に切り替える第1の処理と、
前記受動軸側状態切替部を前記許容状態に切り替えた後、操作者から前記支持部に加えられた外力に応じて前記支持部が動作し、前記記憶部に記憶された前記撮像部の位置に前記撮像部が位置した場合に、前記受動軸側状態切替部を前記許容状態から前記規制状態に切り替える第2の処理とを含む前記再現処理を実行する請求項1に記載の医療用観察装置。
【請求項4】
前記能動軸は、
当該能動軸回りでの前記撮像部の回転によって、前記観察対象に対する前記撮像部の光軸の向きを変更するように前記撮像部を移動させるための軸である請求項3に記載の医療用観察装置。
【請求項5】
前記能動軸は、
当該能動軸回りでの前記撮像部の回転によって、前記撮像部を平行移動させるための軸である請求項3に記載の医療用観察装置。
【請求項6】
前記撮像部は、
前記被写体像を撮像する撮像素子と、
光軸に沿って移動することで焦点を調整するフォーカスレンズを有し、前記被写体像を前記撮像素子に結像するレンズユニットと、
前記フォーカスレンズを光軸に沿って移動させるフォーカス駆動部と、
前記フォーカスレンズの位置を検出するフォーカス位置検出部とを備え、
前記記憶部は、
前記フォーカス位置検出部にて検出された前記フォーカスレンズの位置を記憶し、
前記制御部は、
前記再現処理を実行する際、前記フォーカス駆動部の動作を制御し、前記記憶部に記憶された前記フォーカスレンズの位置に前記フォーカスレンズを移動させる請求項1~5のいずれか一つに記載の医療用観察装置。
【請求項7】
前記撮像部は、
前記被写体像を撮像する撮像素子と、
光軸に沿って移動することで画角を調整するズームレンズを有し、前記被写体像を前記撮像素子に結像するレンズユニットと、
前記ズームレンズを光軸に沿って移動させるズーム駆動部と、
前記ズームレンズの位置を検出するズーム位置検出部とを備え、
前記記憶部は、
前記ズーム位置検出部にて検出された前記ズームレンズの位置を記憶し、
前記制御部は、
前記再現処理を実行する際、前記ズーム駆動部の動作を制御し、前記記憶部に記憶された前記ズームレンズの位置に前記ズームレンズを移動させる請求項1~6のいずれか一つに記載の医療用観察装置。
【請求項8】
前記観察対象に照射するための照明光を前記制御部によって指定された光量で出射する光源部をさらに備え、
前記記憶部は、
前記光源部からの前記照明光の光量を記憶し、
前記制御部は、
前記再現処理を実行する際、前記記憶部に記憶された前記照明光の光量と同一の光量で前記光源部から前記照明光を出射させる請求項1~7のいずれか一つに記載の医療用観察装置。
【請求項9】
前記撮像部は、
前記制御部によって指定された撮像条件で前記被写体像を撮像する撮像素子を備え、
前記記憶部は、
前記制御部によって指定された前記撮像条件を記憶し、
前記制御部は、
前記再現処理を実行する際、前記記憶部に記憶された前記撮像条件と同一の撮像条件で前記撮像素子に前記被写体像を撮像させる請求項1~8のいずれか一つに記載の医療用観察装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記再現処理を実行する際、前記記憶部に記憶された前記撮像部の位置と現時点で前記撮像位置検出部にて検出された前記撮像部の位置とに基づいて、前記撮像部の移動方向を示す移動情報を報知部に報知させる請求項1~9のいずれか一つに記載の医療用観察装置。
【請求項11】
前記記憶部は、
前記撮像部の撮像により得られた撮像画像を記憶し、
前記制御部は、
前記再現処理を実行する際、前記記憶部に記憶された前記撮像画像と現時点で前記撮像部の撮像により得られた撮像画像とに基づいて、前記記憶部に記憶された前記撮像部の位置を補正する請求項1~10のいずれか一つに記載の医療用観察装置。
【請求項12】
前記撮像位置検出部は、
前記複数の軸のうち少なくとも二つの軸にそれぞれ設けられ、前記少なくとも二つの軸回りでの前記撮像部の各回転角度をそれぞれ検出し、
前記記憶部は、
前記撮像部の位置として、前記撮像位置検出部にてそれぞれ検出された前記少なくとも二つの軸回りでの前記撮像部の各回転角度をそれぞれ記憶し、
前記状態切替部は、
前記少なくとも二つの軸にそれぞれ設けられ、
前記制御部は、
前記状態切替部を前記許容状態に切り替えた後、操作者から前記支持部に加えられた外力に応じて前記支持部が動作し、現時点での前記回転角度が前記記憶部に記憶された前記回転角度に合致した前記軸毎に、前記状態切替部を前記許容状態から前記規制状態に切り替える前記再現処理を実行する請求項1~11のいずれか一つに記載の医療用観察装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一つに記載の医療用観察装置と、
前記撮像部の撮像により得られた撮像画像を表示する表示装置とを備える医療用観察システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用観察装置及び医療用観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者の術部の微小部位を拡大して撮像する撮像部と、互いに異なる複数の軸回りに当該撮像部を回転可能に支持する支持部とを備えた医療用観察装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の支持部では、全ての軸は、アクチュエータ等の動力によらず、術者等の操作者から当該支持部に加えられた外力に応じて受動的に撮像部を当該軸回りに回転可能とする受動軸によってそれぞれ構成されている。すなわち、特許文献1に記載の支持部では、全ての軸について、アクチュエータが設けられていない。また、特許文献1に記載の支持部では、全ての軸について、当該軸回りの回転角度を検出する角度センサも設けられていない。
【0003】
また、特許文献1に記載の支持部とは異なる構造の支持部(モータ駆動式の架台)として、全ての軸がアクチュエータの動力によって能動的に撮像部(治療及び診断器具)を当該軸回りに回転可能とする能動軸によってそれぞれ構成された構造も知られている(例えば、特許文献2参照)。すなわち、特許文献2に記載の支持部では、全ての軸について、アクチュエータが設けられている。また、特許文献2に記載の支持部では、全ての軸について、当該軸回りの回転角度を検出する角度センサが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-81315号公報
【文献】特開平5-253245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、処置(手術)後の術部の状態を把握することを目的として、処置前に術部を撮像した撮像画像と、処置後に当該術部を撮像した撮像画像とを画像解析により比較することで、当該術部の血流の変化等を解析する技術(以下、解析法と記載)が開発されている。当該解析法では、処置の前後において、同一の条件で術部を撮像する必要がある。すなわち、特許文献1に記載の医療用観察装置を用いて、当該解析法を行う場合には、処置の前後において、撮像を行う撮像部の位置を同一にする必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載の医療用観察装置を用いて、上述した解析法を行う場合には、以下の問題がある。
すなわち、操作者は、処置後に、撮像部の位置を処置前に撮像を行った位置(以下、処置前位置と記載)に再現する際、現時点で撮像され表示装置に表示されている撮像画像を確認しながら、当該撮像画像の見え方が処置前に撮像された撮像画像と同一となるように、手動で支持部を動作させる必要がある。このため、撮像部の位置を処置前位置に再現する時間が長くなるとともに、撮像部の位置を処置前位置に正確に再現することが難しい。
【0006】
一方、特許文献2に記載の支持部では、全ての軸について、アクチュエータ及び角度センサが設けられている。このため、特許文献1に記載の医療用観察装置に特許文献2に記載の支持部を搭載し、当該医療用観察装置を用いて、上述した解析法を行う場合には、処置前位置を記憶部等に記憶しておけば、処置後に、アクチュエータの動作を利用して自動的に撮像部の位置を当該処置前位置に再現することが可能となり、利便性を向上させることができる。
しかしながら、特許文献2に記載の支持部では、全ての軸について、アクチュエータが設けられているため、高コスト化してしまう、という問題がある。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、低コスト化を図りつつ、利便性を向上させることができる医療用観察装置及び医療用観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る医療用観察装置は、観察対象からの被写体像を撮像する撮像部と、互いに異なる複数の軸回りに前記撮像部を回転可能に支持する支持部と、前記撮像部の位置を検出する撮像位置検出部と、前記撮像位置検出部にて検出された前記撮像部の位置を記憶する記憶部と、前記複数の軸のうち少なくとも一つの軸回りでの前記撮像部の回転を許容する許容状態、または、当該回転を規制する規制状態の一方の状態に切り替わる状態切替部と、前記状態切替部を前記許容状態に切り替えた後、操作者から前記支持部に加えられた外力に応じて前記支持部が動作し、前記記憶部に記憶された前記撮像部の位置に前記撮像部が位置した場合に、前記状態切替部を前記許容状態から前記規制状態に切り替える再現処理を実行する制御部とを備える。
【0009】
本開示に係る医療用観察装置では、上記開示において、前記複数の軸は、操作者から前記支持部に加えられた外力に応じて受動的に前記撮像部を当該軸回りに回転可能とする受動軸によってそれぞれ構成されている。
【0010】
本開示に係る医療用観察装置では、上記開示において、前記複数の軸は、操作者から前記支持部に加えられた外力に応じて受動的に前記撮像部を当該軸回りに回転可能とする受動軸と、アクチュエータの動力によって能動的に前記撮像部を当該軸回りに回転可能とする能動軸とを備え、前記状態切替部は、前記受動軸回りでの前記撮像部の回転を許容する前記許容状態、または当該回転を規制する前記規制状態の一方の状態に切り替わる受動軸側状態切替部と、前記能動軸回りでの前記撮像部の回転を許容する前記許容状態、または当該回転を規制する前記規制状態の一方の状態に切り替わる能動軸側状態切替部とを備え、前記制御部は、前記能動軸側状態切替部を前記許容状態に切り替えた後、前記アクチュエータを動作させ、前記記憶部に記憶された前記撮像部の位置に前記撮像部が位置した場合に、前記能動軸側状態切替部を前記許容状態から前記規制状態に切り替える第1の処理と、前記受動軸側状態切替部を前記許容状態に切り替えた後、操作者から前記支持部に加えられた外力に応じて前記支持部が動作し、前記記憶部に記憶された前記撮像部の位置に前記撮像部が位置した場合に、前記受動軸側状態切替部を前記許容状態から前記規制状態に切り替える第2の処理とを含む前記再現処理を実行する。
【0011】
本開示に係る医療用観察装置では、上記開示において、前記能動軸は、当該能動軸回りでの前記撮像部の回転によって、前記観察対象に対する前記撮像部の光軸の向きを変更するように前記撮像部を移動させるための軸である。
【0012】
本開示に係る医療用観察装置では、上記開示において、前記能動軸は、当該能動軸回りでの前記撮像部の回転によって、前記撮像部を平行移動させるための軸である。
【0013】
本開示に係る医療用観察装置では、上記開示において、前記撮像部は、前記被写体像を撮像する撮像素子と、光軸に沿って移動することで焦点を調整するフォーカスレンズを有し、前記被写体像を前記撮像素子に結像するレンズユニットと、前記フォーカスレンズを光軸に沿って移動させるフォーカス駆動部と、前記フォーカスレンズの位置を検出するフォーカス位置検出部とを備え、前記記憶部は、前記フォーカス位置検出部にて検出された前記フォーカスレンズの位置を記憶し、前記制御部は、前記再現処理を実行する際、前記フォーカス駆動部の動作を制御し、前記記憶部に記憶された前記フォーカスレンズの位置に前記フォーカスレンズを移動させる。
【0014】
本開示に係る医療用観察装置では、上記開示において、前記撮像部は、前記被写体像を撮像する撮像素子と、光軸に沿って移動することで画角を調整するズームレンズを有し、前記被写体像を前記撮像素子に結像するレンズユニットと、前記ズームレンズを光軸に沿って移動させるズーム駆動部と、前記ズームレンズの位置を検出するズーム位置検出部とを備え、前記記憶部は、前記ズーム位置検出部にて検出された前記ズームレンズの位置を記憶し、前記制御部は、前記再現処理を実行する際、前記ズーム駆動部の動作を制御し、前記記憶部に記憶された前記ズームレンズの位置に前記ズームレンズを移動させる。
【0015】
本開示に係る医療用観察装置では、上記開示において、前記観察対象に照射するための照明光を前記制御部によって指定された光量で出射する光源部をさらに備え、前記記憶部は、前記光源部からの前記照明光の光量を記憶し、前記制御部は、前記再現処理を実行する際、前記記憶部に記憶された前記照明光の光量と同一の光量で前記光源部から前記照明光を出射させる。
【0016】
本開示に係る医療用観察装置では、上記開示において、前記撮像部は、前記制御部によって指定された撮像条件で前記被写体像を撮像する撮像素子を備え、前記記憶部は、前記制御部によって指定された前記撮像条件を記憶し、前記制御部は、前記再現処理を実行する際、前記記憶部に記憶された前記撮像条件と同一の撮像条件で前記撮像素子に前記被写体像を撮像させる。
【0017】
本開示に係る医療用観察装置では、上記開示において、前記制御部は、前記再現処理を実行する際、前記記憶部に記憶された前記撮像部の位置と現時点で前記撮像位置検出部にて検出された前記撮像部の位置とに基づいて、前記撮像部の移動方向を示す移動情報を報知部に報知させる。
【0018】
本開示に係る医療用観察装置では、上記開示において、前記記憶部は、前記撮像部の撮像により得られた撮像画像を記憶し、前記制御部は、前記再現処理を実行する際、前記記憶部に記憶された前記撮像画像と現時点で前記撮像部の撮像により得られた撮像画像とに基づいて、前記記憶部に記憶された前記撮像部の位置を補正する。
【0019】
本開示に係る医療用観察装置では、上記開示において、前記撮像位置検出部は、前記複数の軸のうち少なくとも二つの軸にそれぞれ設けられ、前記少なくとも二つの軸回りでの前記撮像部の各回転角度をそれぞれ検出し、前記記憶部は、前記撮像部の位置として、前記撮像位置検出部にてそれぞれ検出された前記少なくとも二つの軸回りでの前記撮像部の各回転角度をそれぞれ記憶し、前記状態切替部は、前記少なくとも二つの軸にそれぞれ設けられ、前記制御部は、前記状態切替部を前記許容状態に切り替えた後、操作者から前記支持部に加えられた外力に応じて前記支持部が動作し、現時点での前記回転角度が前記記憶部に記憶された前記回転角度に合致した前記軸毎に、前記状態切替部を前記許容状態から前記規制状態に切り替える前記再現処理を実行する。
【0020】
本開示に係る医療用観察システムは、上述した医療用観察装置と、前記撮像部の撮像により得られた撮像画像を表示する表示装置とを備える。
【発明の効果】
【0021】
本開示に係る医療用観察装置及び医療用観察システムによれば、低コスト化を図りつつ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る医療用観察システムを示す図である。
【
図2】
図2は、制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、登録処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、登録処理及び再現処理を説明する図である。
【
図5】
図5は、登録処理及び再現処理を説明する図である。
【
図6】
図6は、再現処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る医療用観察システムを示す図である。
【
図8】
図8は、第2の関節部の構成を示す断面図である。
【
図9】
図9は、再現処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態3に係る医療用観察システムを示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態4に係る登録処理を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施の形態4に係る再現処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施の形態5に係る再現処理を説明する図である。
【
図15】
図15は、実施の形態6に係る再現処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して、本開示を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0024】
(実施の形態1)
〔医療用観察システムの概略構成〕
図1は、実施の形態1に係る医療用観察システム1を示す図である。
図2は、制御装置26の構成を示すブロック図である。
医療用観察システム1は、例えば、脳神経外科手術等の微細手術(マイクロサージャリ)をサポートするためや内視鏡手術を行うために、観察対象からの被写体像を撮像し、当該撮像により得られた撮像画像を表示するシステムである。この医療用観察システム1は、
図1に示すように、観察対象からの被写体像を撮像する医療用観察装置2と、医療用観察装置2の撮像により得られた撮像画像を表示する表示装置3とを備える。
【0025】
医療用観察装置2は、
図1または
図2に示すように、撮像部21と、ベース部22(
図1)と、支持部23と、光源部24と、ライトガイド25(
図1)と、制御装置26(
図2)とを備える。
撮像部21は、レンズユニット(図示略)と、撮像素子211(
図2)とを備える。
レンズユニットは、フォーカス光学系及びズーム光学系を含み、観察対象からの被写体像を取り込んで、撮像素子211の撮像面に結像する。
撮像素子211は、レンズユニットが結像した被写体像を受光して電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)センサ等で構成されている。そして、撮像素子211は、制御装置26にて指定された撮像条件(シャッター速度、感度、ゲイン等)で観察対象からの被写体像を撮像する。
【0026】
また、撮像部21は、当該撮像部21に設けられたフォーカススイッチ212(
図1,
図2)への術者等の操作者による操作に応じて、制御装置26による制御の下、焦点(観察対象までの焦点距離)を調整する。さらに、撮像部21は、当該撮像部21に設けられたズームスイッチ213(
図1,
図2)への操作者による操作に応じて、撮像部21は、制御装置26による制御の下、画角(観察対象の拡大率)を調整する。なお、撮像素子211を2つ設けることにより、撮像部21を所謂、ステレオカメラとして構成しても構わない。
ベース部22は、医療用観察装置2の基台であり、キャスター221(
図1)を介して床面上を移動可能に構成されている。
【0027】
支持部23は、ベース部22から延在し、先端(ベース部22から離間した端部)にて撮像部21を保持する。そして、支持部23は、操作者から加えられた外力に応じて、撮像部21を3次元的に移動可能とする。
なお、実施の形態1では、支持部23は、撮像部21の移動に対して6自由度を有するように構成されているが、これに限らず、その他の異なる数の自由度を有するように構成しても構わない。
【0028】
この支持部23は、
図1に示すように、第1~第7のアーム部231a~231gと、第1~第6の関節部232a~232fとを備える。
第1の関節部232aは、支持部23の先端に位置する。この第1の関節部232aは、第1のアーム部231aにて固定的に支持されつつ、第1の軸O1(
図1)を中心として回転可能に撮像部21を保持する。
ここで、第1の軸O1は、撮像部21の観察光軸に一致する。すなわち、第1の軸O1回りに撮像部21を回転させると、撮像部21による撮像視野の向きが変更される。
【0029】
第1のアーム部231aは、第1の軸O1と直交する方向に延在する略棒状の部材であり、先端にて第1の関節部232aを固定的に支持する。
第2の関節部232bは、第2のアーム部231bにて固定的に支持されつつ、第2の軸O2(
図1)を中心として回転可能に第1のアーム部231aを保持する。このため、第2の関節部232bは、第2の軸O2回りに撮像部21を回転可能とする。
ここで、第2の軸O2は、第1の軸O1に直交し、第1のアーム部231aの延在方向に平行となる。すなわち、第2の軸O2回りに撮像部21を回転させると、観察対象に対する撮像部21の光軸の向きが変更される。言い換えれば、撮像部21による撮像視野が水平面内で第1,第2の軸O1,O2に直交するX軸(
図1)に沿って移動する。このため、第2の関節部232bは、撮像部21による撮像視野をX軸に沿って移動させるための関節部である。
【0030】
第2のアーム部231bは、第1,第2の軸O1,O2に直交する方向に延在したクランク形状を有し、先端にて第2の関節部232bを固定的に支持する。
第3の関節部232cは、第3のアーム部231cにて固定的に支持されつつ、第3の軸O3(
図1)を中心として回転可能に第2のアーム部231bを保持する。このため、第3の関節部232cは、第3の軸O3回りに撮像部21を回転可能とする。
ここで、第3の軸O3は、第1,第2の軸O1,O2に直交する。すなわち、第3の軸O3回りに撮像部21を回転させると、観察対象に対する撮像部21の光軸の向きが変更される。言い換えれば、撮像部21による撮像視野が水平面内でX軸に直交するY軸(
図1)に沿って移動する。このため、第3の関節部232cは、撮像部21による撮像視野をY軸に沿って移動させるための関節部である。
【0031】
第3のアーム部231cは、第3の軸O3と略平行な方向に延在する略棒状の部材であり、先端にて第3の関節部232cを固定的に支持する。
第4の関節部232dは、第4のアーム部231dにて固定的に支持されつつ、第4の軸O4(
図1)を中心として回転可能に第3のアーム部231cを保持する。このため、第4の関節部232dは、第4の軸O4回りに撮像部21を回転可能とする。
ここで、第4の軸O4は、第3の軸O3に直交する。すなわち、第4の軸O4回りに撮像部21を回転させると、当該撮像部21の高さが調整される。このため、第4の関節部232dは、撮像部21を平行移動させるための関節部である。
【0032】
第4のアーム部231dは、第4の軸O4に直交し、ベース部22に向けて直線的に延在した略棒状の部材であり、一端側にて第4の関節部232dを固定的に支持する。
第5のアーム部231eは、第4のアーム部231dと同一形状を有する。そして、第5のアーム部231eは、一端側が第4の軸O4と平行な軸を中心として回転可能に第3のアーム部231cに対して接続される。
第6のアーム部231fは、第3のアーム部231cと略同一形状を有する。そして、第6のアーム部231fは、第3~第5のアーム部231c~231eとの間で平行四辺形を形成する姿勢で、第4の軸O4と平行な軸を中心として回転可能に第4,第5のアーム部231d,231eの各他端側に対して接続される。また、第6のアーム部231fの端部には、カウンターウェイト233(
図1)が設けられている。
【0033】
カウンターウェイト233は、当該カウンターウェイト233よりも支持部23の先端側(撮像部21が設けられる側)に設けられる各構成要素の質量によって、第4の軸O4回りに発生する回転モーメント及び第5の軸O5(
図1)回りに発生する回転モーメントを相殺可能に、質量及び配置位置が調整される。すなわち、支持部23は、バランスアーム(カウンターウェイト233が設けられた構成)である。なお、支持部23としては、カウンターウェイト233が設けられていない構成としても構わない。
【0034】
第5の関節部232eは、第7のアーム部231gにて固定的に支持されつつ、第5の軸O5を中心として回転可能に第4のアーム部231dを保持する。このため、第5の関節部232eは、第5の軸O5回りに撮像部21を回転可能とする。
ここで、第5の軸O5は、第4の軸O4に平行となる。すなわち、第5の軸O5回りに撮像部21を回転させると、当該撮像部21の高さが調整される。このため、第5の関節部232eは、撮像部21を平行移動させるための関節部である。
【0035】
第7のアーム部231gは、鉛直方向に延在する第1の部位と、当該第1の部位に対して略直角に屈曲して延在する第2の部位とで構成された略L字形状を有し、当該第1の部位にて第5の関節部232eを固定的に支持する。
第6の関節部232fは、ベース部22にて固定的に支持されつつ、第6の軸O6(
図1)を中心として回転可能に第7のアーム部231gの第2の部位を保持する。このため、第6の関節部232fは、第6の軸O6回りに撮像部21を回転可能とする。
ここで、第6の軸O6は、鉛直方向に沿う軸である。すなわち、第6の関節部232fは、撮像部21を平行移動させるための関節部である。
【0036】
以上説明した第1~第6の軸O1~O6は、本開示に係る軸にそれぞれ相当する。また、第1の軸O1は、アクチュエータ等の動力によらず、操作者から加えられた外力に応じて受動的に撮像部21を当該第1の軸O1回りに回転可能とする受動軸によって構成されている。なお、第2~第6の軸O2~O6も同様に、受動軸によってそれぞれ構成されている。また、第1~第6の関節部232a~232fには、
図2に示すように、電磁ブレーキ等でそれぞれ構成された第1~第6の状態切替部234a~234fと、ロータリエンコーダや角速度センサ等でそれぞれ構成された第1~第6の撮像位置検出部235a~235fとがそれぞれ設けられている。ここで、第1~第6の状態切替部234a~234fは、本開示に係る状態切替部にそれぞれ相当する。また、第1~第6の撮像位置検出部235a~235fは、本開示に係る撮像位置検出部にそれぞれ相当する。
【0037】
第1の状態切替部234aは、制御装置26による制御の下、第1の軸O1回りでの撮像部21の回転を許容する許容状態、または、当該回転を規制する規制状態の一方の状態に切り替わる。
第2の状態切替部234bは、制御装置26による制御の下、第2の軸O2回りでの撮像部21の回転を許容する許容状態、または、当該回転を規制する規制状態の一方の状態に切り替わる。
第3の状態切替部234cは、制御装置26による制御の下、第3の軸O3回りでの撮像部21の回転を許容する許容状態、または、当該回転を規制する規制状態の一方の状態に切り替わる。
【0038】
第4の状態切替部234dは、制御装置26による制御の下、第4の軸O4回りでの撮像部21の回転を許容する許容状態、または、当該回転を規制する規制状態の一方の状態に切り替わる。
第5の状態切替部234eは、制御装置26による制御の下、第5の軸O5回りでの撮像部21の回転を許容する許容状態、または、当該回転を規制する規制状態の一方の状態に切り替わる。
第6の状態切替部234fは、制御装置26による制御の下、第6の軸O6回りでの撮像部21の回転を許容する許容状態、または、当該回転を規制する規制状態の一方の状態に切り替わる。
【0039】
第1の撮像位置検出部235aは、制御装置26による制御の下、第1の軸O1回りでの撮像部21の回転角度(撮像部21の位置)を検出する。そして、第1の撮像位置検出部235aは、検出した回転角度に応じた信号を制御装置26に出力する。
第2の撮像位置検出部235bは、制御装置26による制御の下、第2の軸O2回りでの撮像部21の回転角度(撮像部21の位置)を検出する。そして、第2の撮像位置検出部235bは、検出した回転角度に応じた信号を制御装置26に出力する。
第3の撮像位置検出部235cは、制御装置26による制御の下、第3の軸O3回りでの撮像部21の回転角度(撮像部21の位置)を検出する。そして、第3の撮像位置検出部235cは、検出した回転角度に応じた信号を制御装置26に出力する。
【0040】
第4の撮像位置検出部235dは、制御装置26による制御の下、第4の軸O4回りでの撮像部21の回転角度(撮像部21の位置)を検出する。そして、第4の撮像位置検出部235dは、検出した回転角度に応じた信号を制御装置26に出力する。
第5の撮像位置検出部235eは、制御装置26による制御の下、第5の軸O5回りでの撮像部21の回転角度(撮像部21の位置)を検出する。そして、第5の撮像位置検出部235eは、検出した回転角度に応じた信号を制御装置26に出力する。
第6の撮像位置検出部235fは、制御装置26による制御の下、第6の軸O6回りでの撮像部21の回転角度(撮像部21の位置)を検出する。そして、第6の撮像位置検出部235fは、検出した回転角度に応じた信号を制御装置26に出力する。
【0041】
光源部24は、ライトガイド25の一端が接続され、制御装置26にて指定された光量の照明光を当該ライトガイド25の一端に供給する。
ライトガイド25は、一端が光源部24に接続され、他端が撮像部21に接続される。そして、ライトガイド25は、光源部24から供給された光を一端から他端に伝達し、撮像部21に供給する。撮像部21に供給された光は、当該撮像部21から観察対象に照射される。観察対象に照射され、当該観察対象にて反射された光(被写体像)は、撮像部21内のレンズユニットにより集光された後、撮像素子211にて撮像される。
【0042】
制御装置26は、ベース部22の内部に設けられ、医療用観察システム1の動作を統括的に制御する。この制御装置26は、
図2に示すように、制御部261と、記憶部262とを備える。
制御部261は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等で構成され、記憶部262に記憶された制御プログラムにしたがって、医療用観察システム1の動作を統括的に制御する。
具体的に、制御部261は、撮像部21に設けられたブレーキ解除スイッチ214(
図1,
図2)への操作者による操作に応じて支持部23の動作モードを切り替える。
実施の形態1では、支持部23の動作モードとして、フリーモード及び固定モードが設けられている。
【0043】
フリーモードは、第1~第6の状態切替部234a~234fがそれぞれ許容状態となったモードである。すなわち、当該フリーモードでは、操作者は、支持部23に外力を加えることによって、第1~第6の軸O1~O6回りに撮像部21を回転させることができる。当該フリーモードは、操作者によるブレーキ解除スイッチ214の押下中の期間に設定される。
固定モードは、第1~第6の状態切替部234a~234fがそれぞれ規制状態となったモードである。すなわち、当該固定モードでは、操作者は、支持部23に外力を加えたとしても、第1~第6の軸O1~O6回りに撮像部21を回転させることができない。当該固定モードは、操作者がブレーキ解除スイッチ214を押下していない期間に設定される。
【0044】
また、制御部261は、撮像部21の位置を登録する登録処理、及び撮像部21の位置を登録した位置に再現する再現処理を実行する。なお、当該登録処理及び再現処理の詳細については後述する。
さらに、制御部261は、撮像部21の撮像により得られた撮像画像に対して各種の画像処理を実行し、表示用の映像信号を生成する。そして、制御部261は、当該映像信号を表示装置3に出力する。
記憶部262は、制御部261が実行する制御プログラムの他、制御部261の処理に必要な情報等を記憶する。
【0045】
表示装置3は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等を用いた表示ディスプレイで構成され、制御部261からの映像信号に基づく撮像画像(撮像部21の撮像により得られた撮像画像)等を表示する。
【0046】
〔登録処理〕
次に、上述した制御部261が実行する登録処理について説明する。
図3は、登録処理を示すフローチャートである。
図4及び
図5は、登録処理及び再現処理を説明する図である。
先ず、操作者は、撮像部21を把持しながらブレーキ解除スイッチ214を押下する。これにより、制御部261は、支持部23をフリーモードに設定する。そして、操作者は、ブレーキ解除スイッチ214を押下した状態を維持しつつ、撮像部21を介して支持部23に外力を加えることによって、当該支持部23を動作させ、手術台の上に横臥している患者PAの観察対象(例えば頭部)の上に撮像部21を位置付ける(
図4)。以下では、
図4に示した撮像部21の位置を記憶位置と記載する。この後、操作者は、ブレーキ解除スイッチ214から手を離す。これにより、制御部261は、支持部23を固定モードに設定する。
【0047】
また、撮像部21の撮像により得られた撮像画像P1は、移動可能なスタンド(図示略)によって支持された表示装置3に表示される(
図4)。
そして、操作者は、撮像部21に設けられたメモリスイッチ215(
図1,
図2,
図4)を押下する。これにより(ステップS1:Yes)、制御部261は、記憶位置で撮像部21の撮像により得られた撮像画像P1(上述した解析法で用いる撮像画像)と、当該記憶位置で第1~第6の撮像位置検出部235a~235fにて検出された各回転角度とを記憶部262に記憶させる(ステップS2)。
【0048】
ステップS2の後、操作者は、表示装置3に表示された撮像画像を確認しながら、処置(手術)を進める。この際、操作者は、撮像部21を把持しながらブレーキ解除スイッチ214を押下することによって支持部23をフリーモードに設定し、撮像部21を介して支持部23に外力を加えることによって、処置を行いたい箇所が表示装置3の画面中心付近に表示されるように適宜、支持部23の姿勢を変更する(
図5)。そして、操作者は、支持部23の姿勢を適切な姿勢としたところで、ブレーキ解除スイッチ214から手を離すことによって、支持部23を固定モードに設定する。
すなわち、処置を行った後の撮像部21の位置(支持部23の姿勢(
図5)、以下、処置位置と記載)と、処置を行う前の撮像部21の記憶位置(支持部23の姿勢(
図4))とは、大きく異なるものとなる。
【0049】
〔再現処理〕
次に、上述した制御部261が実行する再現処理について説明する。
図6は、再現処理を示すフローチャートである。
先ず、操作者は、撮像部21の位置を処置位置(
図5)から記憶位置(
図4)に戻す場合には、メモリスイッチ215を押下する。これにより(ステップS3:Yes)、制御部261は、ステップS2で記憶部262に記憶させた各回転角度を読み出す(ステップS4)。
また、操作者は、撮像部21を把持しながらブレーキ解除スイッチ214を押下する。これにより(ステップS5:Yes)、制御部261は、支持部23をフリーモードに設定する(ステップS6)。そして、操作者は、ブレーキ解除スイッチ214を押下した状態を維持しつつ、撮像部21を介して支持部23に外力を加えることによって、処置位置から記憶位置に向けて撮像部21の移動を開始する。
【0050】
ステップS6の後、制御部261は、現時点で第1~第6の撮像位置検出部235a~235fにて検出されている各回転角度を常時、監視しながら、当該各回転角度が記憶位置での各回転角度(ステップS4で読み出した各回転角度)にそれぞれ再現されたか否かを判断する(ステップS7)。
例えば、記憶位置で第2の撮像位置検出部235bにて検出された回転角度(記憶部262に記憶された回転角度)が角度α(
図4)であり、現時点で第2の撮像位置検出部235bにて検出されている回転角度が角度β(
図5)である場合を想定する。この場合において、操作者によって処置位置から記憶位置に向けて撮像部21が移動された結果、角度βが角度αと同一となった場合には、第2の関節部232bについて回転角度が記憶位置での回転角度に再現された状態となる。
そして、回転角度が記憶位置での回転角度に再現されたと判断した場合(ステップS7:Yes)には、制御部261は、第1~第6の関節部232a~232fのうち、当該再現された関節部について、当該関節部に設けられた状態切替部を規制状態に切り替える(ステップS8)。
【0051】
ステップS8の後、制御部261は、第1~第6の関節部232a~232fの全てについて、回転角度が記憶位置での回転角度に再現されたと判断し(ステップS7:Yes)、ステップS8を実行することで第1~第6の状態切替部234a~234fの全てを規制状態に切り替えたか否かを判断する(ステップS9)。
第1~第6の状態切替部234a~234fの全てを規制状態に切り替えていないと判断した場合(ステップS9:No)には、制御部261は、第1~第6の状態切替部234a~234fの全てを規制状態に切り替えるまでステップS7,S8を繰り返し実行する。一方、第1~第6の状態切替部234a~234fの全てを規制状態に切り替えたと判断した場合(ステップS9:Yes)には、制御部261は、記憶位置を再現した現時点において、撮像部21の撮像により得られた撮像画像(上述した解析法で用いる撮像画像)を記憶部262に記憶させる(ステップS10)。
この後、制御部261は、再現処理を終了する。
【0052】
以上説明した実施の形態1によれば、以下の効果を奏する。
実施の形態1に係る医療用観察装置2では、制御部261は、上述した再現処理を実行する。このため、操作者によって処置位置から記憶位置に向けて撮像部21が移動されると、第1~第6の関節部232a~232fのうち、回転角度が記憶位置での回転角度に再現された関節部から順次、回転が規制されていき、支持部23の自由度が徐々に減っていく。そして、第1~第6の関節部232a~232fの全ての各回転角度が記憶位置での各回転角度に再現されると、第1~第6の状態切替部234a~234fの全てが規制状態に切り替わり、撮像部21の位置が記憶位置に再現される。
したがって、操作者は、撮像部21の位置を記憶位置に再現する際、当該記憶位置に微調整しながら合わせる必要がなく、当該記憶位置付近を移動することで徐々に支持部23の自由度が減っていくため、撮像部21の位置を容易に記憶位置に再現することができる。また、支持部23がバランスアームであるため、軽い力量で操作を行うことができる。さらに、第1~第6の関節部232a~232fの全てにアクチュエータが設けられていないため、医療用観察装置2を低コスト化することができる。
以上のように、実施の形態1に係る医療用観察装置2によれば、低コスト化を図りつつ、利便性を向上させることができる。
【0053】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図7は、実施の形態2に係る医療用観察システム1Aを示す図である。
上述した実施の形態1では、第1~第6の軸O1~O6は、受動軸によってそれぞれ構成されていた。
これに対して、実施の形態2では、第1,第4~第6の軸O1,O4~O6が受動軸によってそれぞれ構成されている一方、第2の軸O2は、アクチュエータの動力に応じて能動的に撮像部21を当該第2の軸O2回りに回転可能とする能動軸によって構成されている。なお、第3の軸O3も同様に、能動軸によって構成されている。すなわち、実施の形態2に係る医療用観察システム1Aでは、
図7に示すように、上述した実施の形態1で説明した医療用観察システム1に対して、第2,第3の関節部232b,232cの代わりに、当該第2,第3の関節部232b,232cとは異なる第2,第3の関節部232b´,232c´が採用されている。
ここで、第1,第4~第6の状態切替部234a,234d~234fは、本開示に係る受動軸側状態切替部にそれぞれ相当する。また、第2,第3の状態切替部234b,234cは、本開示に係る能動軸側状態切替部にそれぞれ相当する。
【0054】
図8は、第2の関節部232b´の構成を示す断面図である。
なお、第2,第3の関節部232b´,232c´は、同様の構成を有する。このため、以下では、第2の関節部232b´の構成について説明し、第3の関節部232c´の構成については説明を省略する。
第2の関節部232b´は、
図8に示すように、第2のアーム部231bにて固定的に支持される固定部236と、第1のアーム部231aを保持しつつ、固定部236に対して第2の軸O2を中心として回転可能に取り付けられる可動部237とを備える。
固定部236は、ハウジング部236aと、閉塞部236bとを備える。
ハウジング部236aは、中心軸が第2の軸O2に一致する有底円筒形状を有し、第2のアーム部231bにて固定的に支持される。
閉塞部236bは、貫通孔236cを有する環形状を有し、ハウジング部236aの開口部分を閉塞するように、当該ハウジング部236aに固定される。
【0055】
そして、固定部236の内部には、
図8に示すように、アクチュエータ41と、減速機構42と、ドライブシャフト43と、クラッチ44と、第2の状態切替部234bと、第2の撮像位置検出部235bとが設けられている。なお、
図8では、説明の便宜上、第2の撮像位置検出部235bの図示については省略している。
アクチュエータ41は、制御部261にて制御される一般的な電気モータで構成され、第2の関節部232b´に動力を与える動力源である。そして、アクチュエータ41は、当該アクチュエータ41の出力軸が第2の軸O2に平行となるようにハウジング部236aの内部に取り付けられる。
【0056】
減速機構42は、
図8に示すように、アクチュエータ41の出力軸に設けられ、当該出力軸の回転を所定の減速比で減速する。この減速機構42は、互いに噛合する複数の歯車を備える。実施の形態1では、当該複数の歯車は、アクチュエータ41の出力軸に固定された第1の平歯車421と、第1の平歯車421に噛合する第2の平歯車422とで構成されている。
なお、減速機構42を構成する歯車の数は、上述した2つに限らず、3つ以上で構成しても構わない。また、減速機構42を構成する歯車は、平歯車に限らず、その他の歯車で構成しても構わない。
第1,第2の平歯車421,422のうち、第2の平歯車422は、中心軸が第2の軸O2に一致するようにハウジング部236aの内部に配置される。また、第2の平歯車422には、中心軸に沿って貫通する貫通孔422aが形成されている。
【0057】
ドライブシャフト43は、
図8に示すように、円柱形状を有し、当該円柱の中心軸が第2の軸O2に一致するように設置される。具体的に、ドライブシャフト43の一端側は、貫通孔422aに挿通され、第1のベアリング45aを介して第2の平歯車422に対して回転可能に軸支される。また、ドライブシャフト43の他端側は、貫通孔236cに挿通され、他端が固定部236の外部に突出した状態で、第2のベアリング45bを介して閉塞部236bに対して回転可能に軸支される。すなわち、ドライブシャフト43は、固定部236に対して中心軸を中心として回転可能とする。また、ドライブシャフト43の他端は、可動部237に固定されている。
【0058】
クラッチ44は、
図8に示すように、ロータ441と、アーマチュア442と、ステータ443とを備える。
ロータ441は、貫通孔441aを有し、当該貫通孔441aにドライブシャフト43が挿通された状態で、当該ドライブシャフト43に固定される。
アーマチュア442は、円板形状を有し、当該円板の中心軸に沿って貫通する貫通孔442aを有する。そして、アーマチュア442は、貫通孔442aにドライブシャフト43が挿通された状態で、第2の平歯車422とロータ441との間に配置される。また、アーマチュア442は、板バネ442bを介して第2の平歯車422に取り付けられ、板バネ442bの弾性変形に応じて、第2の軸O2に沿って移動可能とする。
【0059】
ステータ443は、ハウジング部236aに固定され、制御部261による制御の下、アーマチュア442を第2の軸O2に沿って進退移動させる。そして、アーマチュア442がロータ441から離間した状態では、減速機構42とドライブシャフト43とは、クラッチ44を介して接続されない遮断状態(クラッチOFF)である。すなわち、ドライブシャフト43は、アクチュエータ41の回転に伴って回転しない。一方、アーマチュア442がロータ441に当接した状態では、減速機構42とドライブシャフト43とは、クラッチ44を介して接続された接続状態(クラッチON)である。すなわち、ドライブシャフト43は、アクチュエータ41の回転に伴って回転し、当該アクチュエータ41の回転を可動部237に伝達し、第2の軸O2回りに可動部237(撮像部21)を回転させる。
【0060】
第2の状態切替部234bは、
図8に示すように、アーマチュア2341と、ステータ2342とを備える。
アーマチュア2341は、円板形状を有し、当該円板の中心軸に沿って貫通してドライブシャフト43が挿通される貫通孔2343を有する。そして、アーマチュア2341は、板バネ2344を介してドライブシャフト43の外周面に設けられたフランジ431に取り付けられ、板バネ2344の弾性変形に応じて、第2の軸O2に沿って移動可能とする。
ステータ2342は、閉塞部236bに固定され、制御部261による制御の下、アーマチュア2341を第2の軸O2に沿って進退移動させる。そして、アーマチュア2341がステータ2342から離間した状態では、ステータ2342は、アーマチュア2341を開放し、ドライブシャフト43の回転を許容する。すなわち、第2の状態切替部234bは、許容状態となる。一方、アーマチュア2341がステータ2342に当接した状態で、ステータ2342は、アーマチュア2341(ドライブシャフト43)の回転を規制する。すなわち、第2の状態切替部234bは、規制状態となる。
【0061】
そして、実施の形態2では、支持部23の動作モードとして、上述した実施の形態1で説明したフリーモード及び固定モードの他、XY移動動作モードが設けられている。
XY移動動作モードは、フットスイッチ5(
図7)への操作者による操作に応じて、撮像部21による撮像視野をX軸方向及びY軸方向に移動させる動作モードである。
より具体的に、操作者によるフットスイッチ5のレバー51(
図7)のX方向への操作中の期間には、制御部261は、第2の状態切替部234bを許容状態に切り替え、クラッチ44を接続状態(クラッチON)に切り替え、アクチュエータ41を動作させる。これにより、撮像部21は、第2の軸O2回りに回転する。また、操作者がレバー51のX方向への操作を止めると、制御部261は、アクチュエータ41の動作を停止させ、クラッチ44を遮断状態(クラッチOFF)に切り替え、第2の状態切替部234bを規制状態に切り替える。
【0062】
一方、操作者によるフットスイッチ5のレバー51のY方向への操作中の期間には、制御部261は、第3の状態切替部234cを許容状態に切り替え、第3の関節部232c´に設けられたクラッチ(図示略)を接続状態(クラッチON)に切り替え、第3の関節部232c´に設けられたアクチュエータを動作させる。これにより、撮像部21は、第3の軸O3回りに回転する。また、操作者がレバー51のY方向への操作を止めると、制御部261は、当該アクチュエータの動作を停止させ、当該クラッチを遮断状態(クラッチOFF)に切り替え、第3の状態切替部234cを規制状態に切り替える。
【0063】
次に、実施の形態2に係る再現処理について説明する。なお、実施の形態2に係る登録処理は、上述した実施の形態1で説明した登録処理と同様である。
図9は、再現処理を示すフローチャートである。
実施の形態2に係る再現処理では、
図9に示すように、上述した実施の形態1で説明した再現処理に対して、ステップS11が追加されているとともに、ステップS6~S9の代わりにステップS6A~S9Aが採用されている。このため、以下では、ステップS11,S6A~S9Aについて説明する。
【0064】
なお、実施の形態2では、支持部23の動作モードとして、上述した実施の形態1で説明したフリーモード及び固定モードの他、XY移動動作モードが設けられている。このため、操作者は、フリーモード及びXY移動動作モードの少なくとも一方を利用して、撮像部21を記憶位置や処置位置に位置付けることができる。
【0065】
ステップS11は、ステップS4の後に実行される。
具体的に、制御部261は、ステップS11において、以下に示すように、第1の処理を実行する。
制御部261は、第2の状態切替部234bを許容状態に切り替えるとともに、クラッチ44を接続状態(クラッチON)に切り替える。そして、制御部261は、現時点で第2の撮像位置検出部235bにて検出されている回転角度が記憶位置において第2の撮像位置検出部235bにて検出された回転角度(ステップS4で読み出した回転角度)と同一となるまでアクチュエータ41を動作させる。この後、制御部261は、アクチュエータ41の動作を停止させ、クラッチ44を遮断状態(クラッチOFF)に切り替え、第2の状態切替部234bを規制状態に切り替える。
【0066】
また、制御部261は、第3の状態切替部234cを許容状態に切り替えるとともに、第3の関節部232c´に設けられたクラッチを接続状態(クラッチON)に切り替える。そして、制御部261は、現時点で第3の撮像位置検出部235cにて検出されている回転角度が記憶位置において第3の撮像位置検出部235cにて検出された回転角度(ステップS4で読み出した回転角度)と同一となるまで、第3の関節部232c´に設けられたアクチュエータを動作させる。この後、制御部261は、当該アクチュエータの動作を停止させ、当該クラッチを遮断状態(クラッチOFF)に切り替え、第3の状態切替部234cを規制状態に切り替える。
【0067】
すなわち、第1の処理(ステップS11)によって、第2の関節部232b´について回転角度が記憶位置での回転角度に自動的に再現されるとともに、第3の関節部232c´について回転角度が記憶位置での回転角度に自動的に再現される。
【0068】
ステップS11の後、操作者は、撮像部21を把持しながらブレーキ解除スイッチ214を押下する。これにより(ステップS5:Yes)、制御部261は、第1~第6の状態切替部234a~234fのうち、第1,第4~第6の状態切替部234a,234d~234fを許容状態に切り替える(ステップS6A)。そして、操作者は、ブレーキ解除スイッチ214を押下した状態を維持しつつ、撮像部21を介して支持部23に外力を加えることによって、記憶位置に向けて撮像部21の移動を開始する。
【0069】
ステップS6Aの後、制御部261は、現時点で第1,第4~第6の撮像位置検出部235a,235d~235fにて検出されている各回転角度を常時、監視しながら、当該各回転角度が記憶位置での各回転角度(ステップS4で読み出した各回転角度)にそれぞれ再現されたか否かを判断する(ステップS7A)。
そして、回転角度が記憶位置での回転角度に再現されたと判断した場合(ステップS7A:Yes)には、制御部261は、第1,第4~第6の関節部232a,232d~232fのうち、当該再現された関節部について、当該関節部に設けられた状態切替部を規制状態に切り替える(ステップS8A)。
【0070】
ステップS8Aの後、制御部261は、第1,第4~第6の関節部232a,232d~232fの全てについて、回転角度が記憶位置での回転角度に再現されたと判断し(ステップS7A:Yes)、ステップS8Aを実行することで第1,第4~第6の状態切替部234a,234d~234fの全てを規制状態に切り替えたか否かを判断する(ステップS9A)。
第1,第4~第6の状態切替部234a,234d~234fの全てを規制状態に切り替えていないと判断した場合(ステップS9A:No)には、制御部261は、第1,第4~第6の状態切替部234a,234d~234fの全てを規制状態に切り替えるまでステップS7A,S8Aを繰り返し実行する。一方、第1,第4~第6の状態切替部234a,234d~234fの全てを規制状態に切り替えたと判断した場合(ステップS9A:Yes)には、制御部261は、ステップS10に移行する。
以上説明したステップS6A~S9Aは、本開示に係る第2の処理に相当する。
【0071】
以上説明した実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
実施の形態2では、制御部261は、上述した第1,第2の処理を実行する。すなわち、第1の処理によって、第2の関節部232b´について回転角度が記憶位置での回転角度に自動的に再現されるとともに、第3の関節部232c´について回転角度が記憶位置での回転角度に自動的に再現される。このため、操作者は、撮像部21の位置を記憶位置に再現する際、第1,第4~第6の関節部232a,232d~232fについてのみ回転角度を記憶位置での回転角度に再現すればよい。したがって、操作者が操作すべき自由度が減り、利便性をさらに向上させることができる。
【0072】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図10は、実施の形態3に係る医療用観察システム1Bを示す図である。
上述した実施の形態1では、第1~第6の軸O1~O6は、受動軸によってそれぞれ構成されていた。
これに対して、実施の形態3では、第1~第3の軸O1~O3が受動軸によってそれぞれ構成されている一方、第4~第6の軸O4~O6は、能動軸によってそれぞれ構成されている。すなわち、実施の形態3に係る医療用観察システム1Bでは、
図10に示すように、上述した実施の形態1で説明した医療用観察システム1に対して、第4~第6の関節部232d~232fの代わりに、当該第4~第6の関節部232d~232fとは異なる第4~第6の関節部232d´,232e´,232f´が採用されている。
ここで、第4~第6の状態切替部234d~234fは、本開示に係る能動軸側状態切替部にそれぞれ相当する。また、第1~第3の状態切替部234a~234cは、本開示に係る受動軸側状態切替部にそれぞれ相当する。
【0073】
なお、第4~第6の関節部232d´,232e´,232f´は、上述した実施の形態2で説明した第2の関節部232b´と同様の構成を有する。
また、実施の形態3に係る再現処理では、上述した実施の形態2で説明した再現処理において、第1の処理(ステップS11)で第4~第6の関節部232d´,232e´,232f´について回転角度を記憶位置での回転角度に自動的に再現するとともに、第2の処理(ステップS6A~S9A)で操作者による操作を利用して第1~第3の関節部232a~232cについて回転角度を記憶位置での回転角度に再現するものである。
【0074】
以上説明した実施の形態3によれば、上述した実施の形態2と同様の効果を奏する。
【0075】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図11は、実施の形態4に係る登録処理を示すフローチャートである。
図12は、実施の形態4に係る再現処理を示すフローチャートである。
実施の形態4では、
図11及び
図12に示すように、上述した実施の形態1に対して、制御部261が実行する登録処理及び再現処理が異なる。
なお、当該登録処理及び再現処理について説明する前に、実施の形態4に係る撮像部21Cについて説明する。
【0076】
図13は、実施の形態4に係る撮像部21Cを示す図である。なお、
図13では、説明の便宜上、撮像部21Cの外面に露出して設けられた各スイッチ212~215の図示を省略している。また、
図13では、撮像部21を所謂、ステレオカメラとして構成した場合を例示している。
実施の形態4では、撮像部21の代わりに撮像部21C(
図13)が採用されている。
撮像部21Cは、
図13に示すように、撮像素子211と、レンズユニット216と、駆動部217と、レンズ位置検出部218とを備える。
レンズユニット216は、フォーカス光学系216a及びズーム光学系216bを含み、観察対象からの被写体像を取り込んで、撮像素子211の撮像面に結像する。
フォーカス光学系216aは、1または複数のレンズを用いて構成され、光軸に沿って移動することにより、焦点を調整する。すなわち、フォーカス光学系216aは、本開示に係るフォーカスレンズに相当する。
ズーム光学系216bは、1または複数のレンズを用いて構成され、光軸に沿って移動することにより、画角を調整する。すなわち、ズーム光学系216bは、本開示に係るズームレンズに相当する。
【0077】
また、レンズユニット216には、フォーカス光学系216aを光軸に沿って移動させるフォーカス機構(図示略)やズーム光学系216bを光軸に沿って移動させる光学ズーム機構(図示略)が設けられている。
駆動部217は、制御部261による制御の下、上述したフォーカス機構や光学ズーム機構を動作させ、レンズユニット216の焦点や画角を調整する。すなわち、駆動部217は、本開示に係るフォーカス駆動部及びズーム駆動部に相当する。
レンズ位置検出部218は、フォトインタラプタ等の位置センサで構成され、フォーカス光学系216aのレンズ位置(以下、フォーカス位置と記載)やズーム光学系216bのレンズ位置(以下、ズーム位置と記載)を検出する。すなわち、レンズ位置検出部218は、本開示に係るフォーカス位置検出部及びズーム位置検出部に相当する。そして、レンズ位置検出部218は、検出したフォーカス位置及びズーム位置に応じた信号を制御装置26に出力する。
【0078】
次に、実施の形態4に係る登録処理について
図11を参照しつつ説明する。
実施の形態4に係る登録処理は、
図11に示すように、上述した実施の形態1で説明した登録処理に対して、ステップS2の代わりにステップS2Cが採用されている。このため、以下では、ステップS2Cについて説明する。
制御部261は、ステップS2Cにおいて、記憶位置で撮像部21の撮像により得られた撮像画像P1と、当該記憶位置での撮像の際、撮像部21に指定した撮像条件(シャッター速度、感度、ゲイン等)と、当該記憶位置でレンズ位置検出部218にて検出されたフォーカス位置及びズーム位置と、当該記憶位置での撮像の際、光源部24に指定した光量と、当該記憶位置で第1~第6の撮像位置検出部235a~235fにて検出された各回転角度とを記憶部262に記憶させる。
【0079】
次に、実施の形態4に係る再現処理について
図12を参照しつつ説明する。
実施の形態4に係る再現処理は、
図12に示すように、上述した実施の形態1で説明した再現処理に対して、ステップS4,S10の代わりにステップS4C,S10Cが採用されているとともに、ステップS12が追加されている。このため、以下では、ステップS4C,S10C,S12について説明する。
制御部261は、ステップS4Cにおいて、ステップS2Cで記憶部262に記憶させた撮像条件、フォーカス位置、ズーム位置、及び各回転角度を読み出す。
【0080】
ステップS12は、第1~第6の状態切替部234a~234fの全てを規制状態に切り替えたと判断した場合(ステップS9:Yes)に実行される。
具体的に、制御部261は、ステップS12において、以下の処理を実行する。
制御部261は、現時点でレンズ位置検出部218にて検出されているフォーカス位置及びズーム位置を常時、監視しながら、駆動部217を動作させ、当該フォーカス位置及びズーム位置をステップS4Cで読み出したフォーカス位置及びズーム位置に位置付ける。また、制御部261は、光源部24に指定する光量をステップS4Cで読み出した光量に設定する。
【0081】
制御部261は、ステップS10Cにおいて、ステップS4Cで読み出した撮像条件で撮像部21に撮像させ、当該撮像により得られた撮像画像を記憶部262に記憶させる。
【0082】
以上説明した実施の形態4によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
実施の形態4では、制御部261は、上述したステップS2C,S4C,S12,S10Cを実行する。このため、撮像条件、フォーカス位置、ズーム位置、及び光量についても記憶位置での撮像条件、フォーカス位置、ズーム位置、及び光量に再現することができる。したがって、上述した解析法において、処置後の術部の状態を高精度に把握することができる。
【0083】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図14は、実施の形態5に係る再現処理を説明する図である。
実施の形態5では、制御部261は、上述した実施の形態1で説明した再現処理の実行時において、ステップS4以降に撮像部21を記憶位置に向けて移動させる際、当該移動方向を示す移動情報AR(
図14)を撮像画像P(
図14)上に重畳させて表示装置3に表示させる。
具体的に、制御部261は、ステップS4で読み出した記憶位置での各回転角度と現時点で第1~第6の撮像位置検出部235a~235fにて検出されている各回転角度とに基づいて、撮像部21を記憶位置に向けて移動させるための移動方向を算出する。そして、制御部261は、当該移動方向を示す移動情報ARを撮像画像P上に重畳させて表示装置3に表示させる。
【0084】
以上説明した実施の形態5によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
実施の形態5では、制御部261は、上述した移動情報ARを表示装置3に表示させる。このため、操作者は、当該移動情報ARから撮像部21の移動方向を認識することができるため、撮像部21の位置を記憶位置に容易に再現することができる。
【0085】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図15は、実施の形態6に係る再現処理を示すフローチャートである。
実施の形態6では、
図15に示すように、上述した実施の形態1に対して、制御部261が実行する再現処理が異なる。
具体的に、実施の形態6に係る再現処理は、
図15に示すように、上述した実施の形態1で説明した再現処理に対して、ステップS13が追加されているとともに、ステップS4,S7の代わりにステップS4D,S7Dが採用されている。このため、以下では、ステップS13,S4D,S7Dについて説明する。
【0086】
制御部261は、ステップS4Dにおいて、ステップS2で記憶部262に記憶させた撮像画像P1及び各回転角度を読み出す。
【0087】
ステップS4Dの後、制御部261は、以下の処理を実行する(ステップS13)。
制御部261は、ステップS4Dで読み出した撮像画像P1と処置位置で撮像部21の撮像により得られた撮像画像(例えば、
図5に示した撮像画像P2)とに基づいて、観察対象の移動分を考慮して、ステップS4Dで読み出した各回転角度を補正する。
【0088】
制御部261は、ステップS7Dにおいて、現時点で第1~第6の撮像位置検出部235a~235fにて検出されている各回転角度を常時、監視しながら、当該各回転角度がステップS13で補正された各回転角度にそれぞれ再現されたか(同一となったか)否かを判断する。
そして、回転角度がステップS13で補正された回転角度に再現された(同一となった)と判断した場合(ステップS7D:Yes)には、制御部261は、ステップS8に移行する。
【0089】
以上説明した実施の形態6によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
実施の形態6では、制御部261は、上述したステップS4D,S13,S7Dを実行する。このため、記憶位置での撮像時点から処置終了までの間に観察対象が移動してしまった場合であっても、ステップS10において、上述した解析法を行うにあたって適切な撮像画像を得ることができる。
【0090】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1~6によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1~6では、第1~第6の関節部232a~232f(232b´,232c´,232d´,232e´,232f´)に第1~第6の状態切替部234a~234fがそれぞれ設けられていたが、これに限らない。第1~第6の状態切替部234a~234fの一部(例えば、第1の状態切替部234a)を省略しても構わない。
上述した実施の形態4では、撮像条件、フォーカス位置、ズーム位置、及び光量を記憶位置での撮像条件、フォーカス位置、ズーム位置、及び光量に再現していたが、これに限らない。撮像条件、フォーカス位置、ズーム位置、及び光量の少なくともいずれかのみを再現するように構成しても構わない。
上述した実施の形態5では、撮像部21を記憶位置に向けて移動させるための移動方向を示す移動情報を表示装置3に表示させていたが、これに限らず、当該移動情報を音声によって出力する構成を採用しても構わない。
上述した実施の形態1~6において、表示装置3として、ヘッドマウントディスプレイを採用しても構わない。
【符号の説明】
【0091】
1,1A,1B 医療用観察システム
2 医療用観察装置
3 表示装置
5 フットスイッチ
21,21C 撮像部
22 ベース部
23 支持部
24 光源部
25 ライトガイド
26 制御装置
41 アクチュエータ
42 減速機構
43 ドライブシャフト
44 クラッチ
45a 第1のベアリング
45b 第2のベアリング
51 レバー
211 撮像素子
212 フォーカススイッチ
213 ズームスイッチ
214 ブレーキ解除スイッチ
215 メモリスイッチ
216 レンズユニット
216a フォーカス光学系
216b ズーム光学系
217 駆動部
218 レンズ位置検出部
221 キャスター
231a 第1のアーム部
231b 第2のアーム部
231c 第3のアーム部
231d 第4のアーム部
231e 第5のアーム部
231f 第6のアーム部
231g 第7のアーム部
232a 第1の関節部
232b,232b´ 第2の関節部
232c,232c´ 第3の関節部
232d,232d´ 第4の関節部
232e,232e´ 第5の関節部
232f,232f´ 第6の関節部
233 カウンターウェイト
234a 第1の状態切替部
234b 第2の状態切替部
234c 第3の状態切替部
234d 第4の状態切替部
234e 第5の状態切替部
234f 第6の状態切替部
235a 第1の撮像位置検出部
235b 第2の撮像位置検出部
235c 第3の撮像位置検出部
235d 第4の撮像位置検出部
235e 第5の撮像位置検出部
235f 第6の撮像位置検出部
236 固定部
236a ハウジング部
236b 閉塞部
236c 貫通孔
237 可動部
261 制御部
262 記憶部
421 第1の平歯車
422 第2の平歯車
422a 貫通孔
431 フランジ
441 ロータ
441a 貫通孔
442 アーマチュア
442a 貫通孔
442b 板バネ
443 ステータ
2341 アーマチュア
2342 ステータ
2343 貫通孔
2344 板バネ
AR 移動情報
O1 第1の軸
O2 第2の軸
O3 第3の軸
O4 第4の軸
O5 第5の軸
O6 第6の軸
P,P1,P2 撮像画像
PA 患者
α,β 角度