(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
H04M1/02 G
(21)【出願番号】P 2019061183
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢朗
(72)【発明者】
【氏名】林 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】水谷 行孝
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-008468(JP,A)
【文献】特開2000-101698(JP,A)
【文献】特開2004-343439(JP,A)
【文献】特開2008-252576(JP,A)
【文献】特開2013-247662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H13/00-13/88
H04M1/02-1/23
9/00-9/10
H05K5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース内に音声を報音するスピーカが設置されているとともに、前記本体ケースの上端部と下端部との少なくとも何れか一方に、押し込み操作可能なボタンが設けられたインターホン機器であって、
前記ボタンの上下方向で前記本体ケース外側となる端部が前記インターホン機器の表面に露出し、前記端部と前記本体ケースの前面との間に隙間が形成されている一方、
前記本体ケースの前面で、前記ボタンにより覆われる位置にスピーカ孔が開設され、前記スピーカ孔の後側に前記スピーカが設置されており、
前記隙間が、前記スピーカから出力される音声を外部に報音するための報音孔となることを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
本体ケース内に音声を報音するスピーカが設置されているとともに、前記本体ケースの左端部と右端部との少なくとも何れか一方に、押し込み操作可能なボタンが設けられたインターホン機器であって、
前記ボタンの左右方向で前記本体ケース外側となる端部が前記インターホン機器の表面に露出し、前記端部と前記本体ケースの前面との間に隙間が形成されている一方、
前記本体ケースの前面で、前記ボタンにより覆われる位置にスピーカ孔が開設され、前記スピーカ孔の後側に前記スピーカが設置されており、
前記隙間が、前記スピーカから出力される音声を外部に報音するための報音孔となることを特徴とするインターホン機器。
【請求項3】
前記ボタンの前記端部に、前記本体ケース側に折り曲げられた折り曲げ部が設けられているとともに、前記折り曲げ部に、前記折り曲げ部の後端縁を前方へ凹ませた凹部が設けられており、前記凹部内の空間が前記報音孔となることを特徴とする請求項1又は2に記載のインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばインターホン親機等のスピーカが内蔵されたインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インターホン親機等の一般的なインターホン機器には、音声を報音するためのスピーカが設けられている。また、該スピーカからの報音構造としては、たとえば特許文献1に記載されているように、インターホン機器の前面に格子状の報音孔を設けるとともに、報音孔の後側にスピーカを前方へ向けて設置して、音声を前側に報音させるようにしたものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、インターホン機器におけるデザインの多様化等の理由から、一目見てそれと分かるような報音孔をインターホン機器の前面に設けたくないという要望がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、報音孔の目立ちにくい外観をしたインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケース内に音声を報音するスピーカが設置されているとともに、本体ケースの上端部と下端部との少なくとも何れか一方に、押し込み操作可能なボタンが設けられたインターホン機器であって、ボタンの上下方向で本体ケース外側となる端部がインターホン機器の表面に露出し、端部と本体ケースの前面との間に隙間が形成されている一方、本体ケースの前面で、ボタンにより覆われる位置にスピーカ孔が開設され、スピーカ孔の後側にスピーカが設置されており、隙間が、スピーカから出力される音声を外部に報音するための報音孔となることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、ボタンの上下方向で本体ケース外側となる端部をインターホン機器の表面に露出させ、端部と本体ケースの前面との間に隙間を形成する一方、本体ケースの前面で、ボタンにより覆われる位置にスピーカ孔を開設し、スピーカ孔の後側にスピーカを設置した。そして、ボタンの端部と本体ケースの前面との間の隙間を、スピーカから出力される音声を外部に報音するための報音孔としている。したがって、従来と比べると、特に前側から見た際に、報音孔の目立ちにくいインターホン機器とすることができる。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項2に記載の発明は、本体ケース内に音声を報音するスピーカが設置されているとともに、本体ケースの左端部と右端部との少なくとも何れか一方に、押し込み操作可能なボタンが設けられたインターホン機器であって、ボタンの左右方向で本体ケース外側となる端部がインターホン機器の表面に露出し、端部と本体ケースの前面との間に隙間が形成されている一方、本体ケースの前面で、ボタンにより覆われる位置にスピーカ孔が開設され、スピーカ孔の後側にスピーカが設置されており、隙間が、スピーカから出力される音声を外部に報音するための報音孔となることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、ボタンの左右方向で本体ケース外側となる端部をインターホン機器の表面に露出させ、端部と本体ケースの前面との間に隙間を形成する一方、本体ケースの前面で、ボタンにより覆われる位置にスピーカ孔を開設し、スピーカ孔の後側にスピーカを設置した。そして、ボタンの端部と本体ケースの前面との間の隙間を、スピーカから出力される音声を外部に報音するための報音孔としている。したがって、請求項1に記載の発明と同様、従来と比べると、特に前側から見た際に、報音孔の目立ちにくいインターホン機器とすることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、ボタンの端部に、本体ケース側に折り曲げられた折り曲げ部が設けられているとともに、折り曲げ部に、折り曲げ部の後端縁を前方へ凹ませた凹部が設けられており、凹部内の空間が報音孔となることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、ボタンの端部に、本体ケース側に折り曲げられた折り曲げ部を設けているため、ボタンの端部と本体ケースの周面とが一連であるかのような印象を与えることができ、一層報音孔の目立ちにくいインターホン機器とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ボタンの上下方向(請求項2では左右方向)で本体ケース外側となる端部をインターホン機器の表面に露出させ、端部と本体ケースの前面との間に隙間を形成する一方、本体ケースの前面で、ボタンにより覆われる位置にスピーカ孔を開設し、スピーカ孔の後側にスピーカを設置した。そして、ボタンの端部と本体ケースの前面との間の隙間を、スピーカから出力される音声を外部に報音するための報音孔としている。したがって、従来と比べると、特に前側から見た際に、報音孔の目立ちにくいインターホン機器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】インターホン親機の前面側を示した斜視説明図である。
【
図2】インターホン親機を下側から示した説明図である。
【
図3】分解状態にあるインターホン親機を前側から示した斜視説明図である。
【
図4】分解状態にあるインターホン親機を後側から示した斜視説明図である。
【
図5】インターホン親機のスピーカ部における前後方向での鉛直断面を示した斜視説明図である。
【
図6】インターホン親機のスピーカ部における水平断面を下側から示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン親機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0012】
図1は、インターホン親機1の前面側を示した斜視説明図である。
図2は、インターホン親機1を下側から示した説明図である。
図3は、分解状態にあるインターホン親機1を前側から示した斜視説明図である。
図4は、分解状態にあるインターホン親機1を後側から示した斜視説明図である。
図5は、インターホン親機1のスピーカ部7における前後方向での鉛直断面を示した斜視説明図である。
図6は、インターホン親機1のスピーカ部7における水平断面を下側から示した斜視説明図である。
【0013】
インターホン親機1は、前側に配置される前ケース2と、後側に配置される後ケース3とを組み付けてなる本体ケースを有している。また、本体ケースの前面略中央には、インターホン子機(図示せず)で撮像された映像等を表示するための表示部4が設けられており、該表示部4の右上側には、居住者が来訪者と通話等するためのマイク部5が設けられている。また、表示部4の下側には、表示部4にて映像を再生させたり、表示部4に表示中の映像を録画したりするための各種機能ボタン8、8・・が設けられている。さらに、本体ケースの前面外周部には、表示部4やマイク部5、機能ボタン8、8・・等の外側を囲むような矩形枠状に成形された合成樹脂製のフレーム部材11が設置されている。該フレーム部材11は、本体ケース外周部の化粧パネルとして機能するとともに、下辺部が、後述するような構造により、音声を報音するためのスピーカ部7及び押し込み操作可能なボタン部(具体的には、インターホン子機からの呼び出しに応答する際等に、居住者が操作する応答ボタン)11aとして機能するようになっている。加えて、本体ケースには、インターホン子機との間での通話動作や映像の送受信動作を制御するための制御基板9が内蔵されている。そして、このようなインターホン親機1は、居室内の壁面等に設置されており、インターホン子機からの呼び出しに応じてボタン部11aを操作すると、表示部4に映像が表示されるとともに、インターホン子機との間で通話可能な状態となる。なお、10は、本体ケースの前面におけるフレーム部材11の内側となる箇所(表示部4やマイク部5等)を覆うパネル部材である。
【0014】
ここで、本発明の要部となるスピーカ部7及びボタン部11aについて説明する。
まずボタン部11aについて説明すると、前ケース2の前面の左下部と右下部とには、それぞれ上下方向へ延びる支持壁12が前方へ突設されている。また、左下部の支持壁12と右下部の支持壁12とは対向しており、左右方向で両支持壁12、12間の略中央にボタン孔13が開設されており、該ボタン孔13内には、制御基板9の前面に搭載されているスイッチ14が露出している。
【0015】
一方、フレーム部材11の後面で、本体ケースへの組み付け時にボタン孔13の前方となる箇所には、ボタン孔13を貫通可能な操作突起15が後方へ突設されている。また、フレーム部材11の後面の四隅には、自身を本体ケースにネジ止めするためのボス16が夫々突設されている。
【0016】
そして、ボタン部11aにあっては、フレーム部材11の本体ケースへの組み付けに伴い、支持壁12、12の先端にフレーム部材11の後面が当接し、且つ、操作突起15がボタン孔13を貫通して本体ケース内へ突出した状態となる。そこで、フレーム部材11の下辺中央を押し込み操作すると、当該下辺部が支持壁12、12を支点として後側へ撓み、操作突起15の先端がスイッチ14に接触して、スイッチ14がON/OFF操作させることになる。
【0017】
次にスピーカ部7について説明すると、前ケース2の前面における左右方向で両支持壁12、12の間となる位置であって、ボタン孔13の右側となる位置には、スピーカ孔21が開設されている。そして、スピーカ孔21の後側に、スピーカ22が設置されている。該スピーカ22は、前ケース2と後ケース3との組み付けに伴い、後ケース3の後面から前方へ突設された支持突起23の前面上に位置し、自身の外周縁をスピーカ孔22の周縁に押し付けられた状態で設置される。また、前ケース2の前面におけるスピーカ孔22の上側には、左右方向へ延びるリブ24が前方へ突設されている。該リブ24は、フレーム部材11の組み付けに伴い、フレーム部材11の開口内においてボタン部11aの上縁に沿うように位置することになり、前方への突出高さは、リブ24の先端とフレーム部材11とが上下で重なる高さとなっている。
【0018】
一方、フレーム部材11の下縁には、後側(本体ケース側)へ折り曲げられた折り曲げ部25が設けられている。該折り曲げ部25は、フレーム部材11の本体ケースへの組み付けに伴って、インターホン親機1の表面に露出し、インターホン親機1の下面の一部を構成する(本実施形態では、前ケース2が後ケース3内に嵌め込まれるため、折り曲げ部25と後ケース3の下面とが略面一となる)ようになっている。また、折り曲げ部25には、後端縁を前方へ凹ませてなる切り欠き状の凹部26が設けられている。
【0019】
そして、スピーカ部7にあっては、フレーム部材11の本体ケースへの組み付けに伴って、ボタン部11aによりスピーカ孔21の前方が覆われ、スピーカ22の前方に、リブ24、フレーム部材11の後面、及び折り曲げ部25により囲まれる報音空間が形成される。また、凹部26によって、折り曲げ部25の後端縁と本体ケースの前面との間に、比較的前後幅の広い隙間が形成されている。そして、該隙間が、報音空間をインターホン親機1の外部に連通させることになり、スピーカ22から出力される音声を外部へ報音するための報音孔として機能する。尚、スピーカ孔21と凹部26との左右方向での位置関係は、凹部26の鉛直上方となる範囲内にスピーカ孔21が位置する関係となっている。
【0020】
以上のような構成を有するインターホン親機1によれば、本体ケースの外周部を覆うように組み付けられるフレーム部材11の下辺部をボタン部11aとし、ボタン部11aの下端をインターホン親機1の下面に露出させ、ボタン部11aの下端と本体ケースの前面との間に隙間を形成している。また、前ケース2の前面でボタン部11aにより覆われる箇所にスピーカ孔21を開設し、スピーカ孔21の後側にスピーカ22を設置している。そして、ボタン部11aの下端と本体ケースの前面との間の隙間を、報音孔として機能させるように構成している。したがって、従来のように本体ケースの前面に報音孔を開設しているものと比べると、特に前側から見た際に、報音孔が目立ちにくく、デザイン性の高いインターホン親機1とすることができる。
【0021】
さらに、フレーム部材11の下縁に、後側へ折り曲げられた折り曲げ部25を設け、フレーム部材11の本体ケースへの組み付けに伴って、折り曲げ部25と後ケース3の下面とが略面一となり、折り曲げ部25がインターホン親機1の下面の一部を構成するようにしている。また、折り曲げ部25に、折り曲げ部25の後端縁を前方へ凹ませた凹部26を設け、凹部26内の空間を報音孔としている。したがって、折り曲げ部25と本体ケースの下面とが一連であるかのような印象を与えることができ、一層報音孔の目立ちにくいインターホン親機1とすることができる。
【0022】
加えて、前ケース2の前面におけるスピーカ孔22の上側に、左右方向へ延びるリブ24を前方へ突設し、フレーム部材11の組み付けに伴い、リブ24が、フレーム部材11の開口内においてボタン部11aの上縁に沿うように位置するようにしている。また、リブ24の前方への突出高さを、リブ24の先端とフレーム部材11とが上下で重なる高さとしている。したがって、スピーカ22から出力された音声がボタン部11aの上方から回り込み、報音孔を介して報音される音声を打ち消してしまうような事態を効果的に防止することができ、インターホン親機1の外部へ明瞭な音声を報音させることができる。
【0023】
なお、本発明に係るインターホン機器は、インターホン機器の全体的な構成は勿論、スピーカ部に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
【0024】
たとえば、上記実施形態ではボタンを本体ケースの下端部に設けているが、ボタンを本体ケースの上端部に設けるとともに、本体ケースの上部にスピーカを設置するように構成することも可能である。そして、そのようなものにおいて音の回り込みを防止するためのリブを設けるのであれば、ボタンの下縁(上下方向で本体ケース内側の端縁)に沿うように設ければよい。
一方、本体ケースの左端部や右端部にボタンを設けることも当然可能である。そして、そのようなものにおいて音の回り込みを防止するためのリブを設けるのであれば、ボタンの右端縁や左端縁(どちらも左右方向で本体ケース内側の端縁)に沿うように設ければよい。
【0025】
また、ボタンの正面視の形状についは、上記実施形態のような矩形枠状に何ら限定されることはなく、正面視矩形や円形の一般的なボタンとしてもよいし、ボタンの形状によっては、端部に折り曲げ部を設けないとしても何ら問題はなく、折り曲げ部を有さないボタン等にあっては、凹部を設けずとも端部と本体ケースの前面との間に隙間を形成することができる。
加えて、上記実施形態ではインターホン親機について説明しているが、本発明は、スピーカ部さえ備えていれば、インターホン子機や集合玄関機等の他のインターホン機器についても好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1・・インターホン親機(インターホン機器)、2・・前ケース(本体ケース)、3・・後ケース(本体ケース)、7・・スピーカ部、11・・フレーム部材、11a・・ボタン部(ボタン)、12・・支持壁、21・・スピーカ孔、22・・スピーカ、24・・リブ、25・・折り曲げ部、26・・凹部。