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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】コネクタおよび給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221226BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20221226BHJP
   B60G 17/015 20060101ALI20221226BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20221226BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20221226BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H01R13/46 Z
B60G17/015 C
H02J7/00 P
B60L53/16
B60L53/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019074480
(22)【出願日】2019-04-10
(65)【公開番号】P2020174450
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 隆久
(72)【発明者】
【氏名】近藤 卓宏
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-241084(JP,A)
【文献】特開2008-092624(JP,A)
【文献】特開2009-298170(JP,A)
【文献】国際公開第2017/217929(WO,A1)
【文献】特開平10-112349(JP,A)
【文献】特開2013-99024(JP,A)
【文献】特開平5-276677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01R 13/46
B60G 17/015
B60L 53/16
B60L 53/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気が供給される空気圧機器が設けられる電動車両に接続され、電源部から供給される電力を前記電動車両に供給するコネクタであって、
前記電動車両に電力を供給する充電用接続部と、
前記空気圧機器に対して圧縮空気を供給する給気用接続部と、
を備え
前記給気用接続部を介して前記空気圧機器に圧縮空気を供給するコンプレッサが組み込まれているコネクタ。
【請求項2】
圧縮空気が供給される空気圧機器が設けられる電動車両に接続され、電源部から供給される電力を前記電動車両に供給するコネクタであって、
前記電動車両に電力を供給する充電用接続部と、
前記空気圧機器に対して圧縮空気を供給する給気用接続部と、
前記電源部から電力が供給されるコネクタ本体部と、
前記コネクタ本体部および前記電動車両に接続され、前記充電用接続部および前記給気用接続部を有するアダプタと、
を備え、
前記アダプタは、コンプレッサに接続され、前記コンプレッサから供給される圧縮空気を、前記給気用接続部を介して前記空気圧機器に供給することを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
前記充電用接続部および前記給気用接続部が前記電動車両に同時に接続されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記アダプタは、前記コネクタ本体部を介して前記電源部から供給される電力を、前記コンプレッサに供給することを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタと、
前記電源部と、
を備え、
前記電源部から前記コネクタを介して前記電動車両に電力を供給することを特徴とする給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタおよび給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両にエアサスペンション装置を搭載した構成が知られている。例えば、特許文献1のエアサスペンション装置は、車体と車軸の間に介装されて車体を弾性支持する一対のエアバネを備えている。このエアバネは、ピストンおよびダイヤフラムなどによって構成されるエア室が形成されている。そして、エア室内に圧縮エアを供給することによってエア室の圧力を上昇させると、車体を上昇させることができ、逆に、エア室内なエアを排気することによってエア室の圧力を減少させると、車体を下降させることができる。このように、エア室内の圧力をコントロールすることによって、車高を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-298170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のエアサスペンション装置では、エア室内への圧縮空気の供給のために、車両に搭載されたコンプレッサを用いていた。このようにコンプレッサが搭載されることで、車両の重量が増加してしまう問題があった。このような問題に対して、車両にコンプレッサを搭載させず、所定のタイミングで(例えば、バッテリの充電時など)、車両の外部からコンプレッサを用いて圧縮空気を供給する構成も考えられる。しかしながら、このような構成では、バッテリの充電作業とともに、コンプレッサを車両に接続する作業が必要となり、手間が掛かるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、電動車両に対して電力の供給を行いつつ、空気圧機器へ圧縮空気の供給を行い得るコネクタおよび給電装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明のコネクタは、圧縮空気が供給される空気圧機器が設けられる電動車両に接続され、電源部から供給される電力を電動車両に供給する。コネクタは、充電用接続部、および給気用接続部を備えている。充電用接続部は、電動車両に電力を供給する。給気用接続部は、空気圧機器に対して圧縮空気を供給する。
【0007】
このコネクタは、電動車両に電力を供給する充電用接続部を備えており、電動車両に接続することで、電源部から供給される電力を電動車両に供給することができる。その上で、コネクタは、電動車両に設けられて圧縮空気が供給される空気圧機器に対して、圧縮空気の供給を行う給気用接続部を備えている。このため、コネクタは、電動車両に接続することで、空気圧機器へ圧縮空気を供給することができる。以上のように、コネクタは、電動車両に接続することで、電動車両に対して電力の供給を行うとともに、空気圧機器へ圧縮空気の供給が可能となる。
【0008】
したがって、第1発明のコネクタは、電動車両に対して電力の供給を行いつつ、空気圧機器へ圧縮空気の供給を行うことができる。
第1発明のコネクタは、給気用接続部を介して空気圧機器に圧縮空気を供給するコンプレッサが組み込まれる。コネクタにコンプレッサが組み込まれていることで、コネクタの使用時に別途コンプレッサを用意する必要がなく、作業性を向上させることができる。
【0009】
本発明のコネクタは、充電用接続部および給気用接続部が電動車両に同時に接続され得る。この場合、コネクタを電動車両に接続するというワンアクションの動作だけで、充電用接続部および給気用接続部を同時に電動車両に接続することができるため、操作性に優れている。
【0011】
第2発明のコネクタは、圧縮空気が供給される空気圧機器が設けられる電動車両に接続され、電源部から供給される電力を電動車両に供給する。コネクタは、充電用接続部、および給気用接続部を備えている。充電用接続部は、電動車両に電力を供給する。給気用接続部は、空気圧機器に対して圧縮空気を供給する。
第2発明のコネクタは、電動車両に電力を供給する充電用接続部を備えており、電動車両に接続することで、電源部から供給される電力を電動車両に供給することができる。その上で、コネクタは、電動車両に設けられて圧縮空気が供給される空気圧機器に対して、圧縮空気の供給を行う給気用接続部を備えている。このため、コネクタは、電動車両に接続することで、空気圧機器へ圧縮空気を供給することができる。以上のように、コネクタは、電動車両に接続することで、電動車両に対して電力の供給を行うとともに、空気圧機器へ圧縮空気の供給が可能となる。
したがって、第2発明のコネクタは、電動車両に対して電力の供給を行いつつ、空気圧機器へ圧縮空気の供給を行うことができる。
第2発明のコネクタは、電源部から電力が供給されるコネクタ本体部と、コネクタ本体部および電動車両に接続され、充電用接続部および給気用接続部を有するアダプタと、を備え。アダプタは、コンプレッサに接続され、コンプレッサから供給される圧縮空気を、給気用接続部を介して空気圧機器に供給する。この場合、アダプタは、充電用接続部を有するため、コネクタ本体部に接続することで、コネクタ本体部を介して電源部から供給される電力を電動車両に供給することができる。また、アダプタは、給気用接続部を有し、コンプレッサに接続されるため、コンプレッサから供給される圧縮空気を給気用接続部を介して空気圧機器に供給することができる。これにより、充電用接続部の配置等が規格化されたコネクタ本体部であっても、アダプタを備えたコネクタとして電動車両に接続することで、電動車両に対して電力の供給を行いつつ、空気圧機器へ圧縮空気を供給することができる。
【0012】
第2発明のコネクタは、アダプタが、コネクタ本体部を介して電源部から供給される電力を、コンプレッサに供給し得る。この場合、電源部からコネクタ本体部への電力の供給経路(電力供給経路)を利用して、コンプレッサに電力を供給することができる。そのため、コンプレッサに電力を供給する空気供給経路を別途設ける必要がなくなり、構成の簡略化を図ることができる。
【0013】
本発明の給電装置は、上記コネクタと、電源部と、を備え、電源部からコネクタを介して電動車両に電力を供給する。
【0014】
この給電装置は、上記コネクタと同様の効果を奏する。
【0015】
本発明の給電装置は、上記コネクタと、電源部と、給気用接続部を介して空気圧機器に圧縮空気を供給するコンプレッサと、を備え、電源部からコネクタを介して電動車両に電力を供給し得る。
【0016】
この給電装置は、給電装置がコンプレッサを備えることで、電力の供給と圧縮空気の供給とを同一の給電装置を用いて行うことができ、構成の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る給電装置のコネクタが車両に接続されている状態を模式的に示す図である。
図2】実施形態1に係るエアサスペンション装置および開閉制御弁を示す概略図である。
図3】実施形態1に係るコネクタの接続面を示す概略図である。
図4】(A)実施形態2に係るコネクタが車両に接続される状態における電力供給経路および空気供給経路を説明する説明図である。(B)実施形態2に係るコネクタの接続面を示す概略図である。
図5】(A)実施形態3に係るコネクタを説明する説明図である。(B)実施形態3に係るコネクタの接続面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のコネクタおよび給電装置を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本発明に係る給電装置40は、コネクタ50を用いて車両1に電力および圧縮空気を供給する。車両1は、電動の車両であり、例えば、日常の通勤や買い物等、最大でも往復数10キロ程度の近距離移動を主な用途とする所謂コミュニティビークルである。
【0019】
<実施形態1>
まず、実施形態1の給電装置40の給電対象である車両1について説明する。
車両1は、図1に示すように、車両ボディBと、複数の車輪Wと、を備えている。車両1は、バッテリーユニット(図示せず)から電力供給されることによって、モータを有する駆動ユニット(図示せず)により複数の車輪Wの少なくともいずれかを駆動して走行する。
【0020】
車両1は、図1及び図2に示すように、エアサスペンション装置10(本発明に係る空気圧機器として例示する)と、端子20と、制御部31と、充電部32と、バッテリ33と、開閉制御弁34と、を備えている。
【0021】
エアサスペンション装置10は、車両ボディBと車輪Wとの間に配されている。エアサスペンション装置10は、複数の車輪W毎に設けられている。各エアサスペンション装置10は、図2に示すように、ダンパ11と、空気ばね12と、を有している。ダンパ11は、例えば、ロッド11Aと、シリンダ11Bと、を具備する油圧式のダンパである。ダンパ11は、伸縮自在に設けられており、その両端が車両ボディBと車輪Wの間に取り付けられている。ダンパ11は、車両ボディBと車輪Wとの相対移動に応じて伸縮することで、相対移動を抑制する減衰力を発生する。
【0022】
空気ばね12は、車両ボディBの重量を支持する懸架ばねとして機能する。空気ばね12は、図2に示すように、ダンパ11のロッド11Aに接続された有底筒状のチャンバ12Aと、チャンバ12Aの開口とシリンダ11Bとに接続された筒状のダイヤフラム12Bと、を有している。空気ばね12は、これらチャンバ12A及びダイヤフラム12Bにより、圧縮空気が封入される空気室Aを形成している。空気ばね12は、空気室A内部の圧縮空気が路面から入力される衝撃や振動に応じて圧縮・膨張して伸縮する。空気ばね12の伸縮方向は、ダンパ11の伸縮方向と同方向である。空気ばね12は、圧縮空気の弾性反発力をダンパ11の伸長方向に作用させている。また、空気ばね12は、空気室A内の圧縮空気の封入量に応じて所望の長さに伸縮自在に設けられている。すなわち、エアサスペンション装置10は、空気ばね12を伸縮させて車両ボディBと車輪Wとの間の距離を所定範囲内で自在に調整することによって、所望の車両高さに調整可能な車高調整機能を有している。
【0023】
端子20は、バッテリ33に供給する電力を車両1の外部から供給するとともに、エアサスペンション装置10に供給する圧縮空気を車両1の外部から供給する。すなわち、端子20は、電力および圧縮空気の供給ポートである。端子20は、コネクタ50を接続することにより、電源部41から充電部32への電力供給路61を連通し、コンプレッサ43からエアサスペンション装置10への空気供給路62を連通する。端子20は、例えば、後述するコネクタ50の充電用接続部51(一対の電極51A,51B)に対応する一対の電極(図示略)を備えている。また、端子20は、後述するケーブル44の通路部分に対応する開口部(図示略)が形成されている。すなわち、端子20は、図3に示す充電用接続部51および給気用接続部52と同様の配置で、一対の電極および開口部が配置される接続面を有している。
【0024】
空気供給路62において、端子20に逆止弁21が接続されている。逆止弁21は、エアサスペンション装置10側からの圧縮空気の流れを阻止する。また、逆止弁21は、端子20にコネクタ50が接続されるとコネクタ50側の圧力によって開放され、エアサスペンション装置10側への圧縮空気の流れを許容する。
【0025】
制御部31は、充電部32及び開閉制御弁34などの動作を制御するように機能する。制御部31は、例えばマイクロコンピュータとして構成され、CPU等の演算装置、ROM又はRAM等のメモリ等を有する。充電部32は、公知の定電圧回路などによって構成されている。充電部32は、制御部31の制御に応じてバッテリ33に充電電流を供給する充電動作を行う。バッテリ33は、例えば、鉛バッテリなどの公知の蓄電手段によって構成されている。バッテリ33は、充電部32から供給される電力に基づいて充電される。
【0026】
開閉制御弁34は、図2に示すように、エアサスペンション装置10と端子20との間に設けられている。開閉制御弁34は、複数のエアサスペンション装置10毎に設けられている。各開閉制御弁34は、3つのポートP1,P2,P3と、2つのソレノイドS1,S2を有する3ポート3位置の電磁弁である。開閉制御弁34は、制御部31によって制御されて開閉する。開閉制御弁34は、第1ポートP1に空気ばね12が接続され、第2ポートP2に端子20が接続され、第3ポートP3が大気開放されている。開閉制御弁34は、2つのソレノイドS1,S2の一方であるソレノイドS1に通電した第1通電状態では、第1ポートP1と第2ポートP2とを連通し、端子20から空気ばね12に圧縮空気を供給可能な状態となる。また、開閉制御弁34は、2つのソレノイドS1,S2の他方であるソレノイドS2に通電した第2通電状態では、第1ポートP1と第3ポートP3とを連通し、空気ばね12内の圧縮空気を外部に排出可能な状態となる。更に、開閉制御弁34は、非通電時には、第1ポートP1と第2ポートP2及び第3ポートP3との連通を遮断する。
【0027】
次に、給電装置40について説明する。
給電装置40は、公知の電動車両用の充電スタンドとして構成されている。給電装置40は、図1に示すように、電源部41と、制御部42と、コンプレッサ43と、ケーブル44と、コネクタ50と、を有している。電源部41は、例えば、制御部42の制御によって、商用電力源から供給される電力を、後述するケーブル44およびコネクタ50を介して車両1に供給するように機能する。
【0028】
制御部42は、電源部41及びコンプレッサ43などの動作を制御するように機能する。制御部42は、例えばマイクロコンピュータとして構成され、CPU等の演算装置、ROM又はRAM等のメモリ等を有する。コンプレッサ43は、圧縮空気を生成する機器であり、例えば、給電装置40の外郭を構成する筐体内に収容されている。
【0029】
ケーブル44は、給電装置40からの電力および圧縮空気を伝達するように機能する。ケーブル44は、導電線を絶縁物で皮膜した部分と、コンプレッサ43に連通する通路部分と、によって構成されている。
【0030】
コネクタ50は、図1に示すように、ケーブル44の先端に接続されており、車両1の端子20に着脱可能に係止する。コネクタ50は、図3に示すように、充電用接続部51と、給気用接続部52と、を備えている。充電用接続部51は、車両1に電力を供給する部分であり、例えば、電源部41に電気的に接続された一対の電極51A,51Bによって構成されている。給気用接続部52は、エアサスペンション装置10に対して圧縮空気を供給する開口部分であり、ケーブル44の通路部分と連通している。充電用接続部51と給気用接続部52は、コネクタ50の接続面50A(コネクタ50が車両1の端子20に接続されたときに、車両1側を向く面)において、接続方向(端子20とコネクタ50が向かい合う方向)における略同一位置に形成されている。
【0031】
次に、実施形態1のコネクタ50および給電装置40の作用について説明する。
給電装置40は、コネクタ50を用いて、車両1に対し、バッテリ33を充電する作用と、車高を上げる作用を生じさせる。なお、車両1を使用する際、例えば、運転時の乗り心地の向上や、乗員の乗降のし易さの向上のために、エアサスペンション装置10を用いて車高を調整する。
【0032】
車両1は、図1に示すように、端子20にコネクタ50が接続される。これにより、給電装置40と車両1(より具体的には、電源部41と充電部32)が電気的に接続され、電源部41と充電部32とをつなぐ電力供給路61が構成される。また、コンプレッサ43とエアサスペンション装置10との連通が確保され、コンプレッサ43とエアサスペンション装置10をつなぐ空気供給路62が構成される。このような構成によって、車両1において、エアサスペンション装置10に対する圧縮空気の供給は、バッテリ33の充電と同時に行うことができる。
【0033】
なお、エアサスペンション装置10に対する圧縮空気の供給と、バッテリ33の充電と、を同時に行うために、給電装置40を、高速道路のサービスエリアやガソリンスタンド、公共駐車場、自宅ガレージ等の車両の保管場所等に設置された充電設備に併設しておくことが有効である。例えば、高速道路のサービスエリアやガソリンスタンド等に設置される給電装置40による急速充電は、15分~30分と比較的短時間で行われる。このような給電装置40では、急速充電に合わせた単位時間当たりの供給量が比較的多いコンプレッサ43が必要である。一方、自宅ガレージ等に設置される給電装置40による普通充電は、5時間以上の長時間充電が行われるのが通常である。このような給電装置40では、単位時間当たりの供給量が比較的少ないコンプレッサ43でも十分である。
【0034】
ここで、上述したように、充電用接続部51と給気用接続部52は、コネクタ50の接続面50Aにおいて、接続方向における略同一位置に形成されているため、車両1に同時に接続される。そのため、コネクタ50を車両1に接続するというワンアクションの動作だけで、充電用接続部51及び給気用接続部52を車両1に接続することができる。
【0035】
端子20にコネクタ50が接続されると、給電装置40は、所定の操作(例えばコネクタ50に設けられた操作レバーの操作)に応じて、充電を開始する。具体的には、電源部41は、制御部42の制御によって、商用電力源から供給される電力を、ケーブル44およびコネクタ50を介して充電部32に供給する。充電部32は、制御部31の制御に応じてバッテリ33に充電電流を供給する充電動作を行う。
【0036】
また、制御部31は、例えば車両1の車高を上げるような指令信号が入力されている場合、端子20にコネクタ50が接続されると、空気ばね12にコネクタ50を介してコンプレッサ43から圧縮空気を供給するように制御する。具体的には、制御部31は、開閉制御弁34のソレノイドS1に通電し、第1ポートP1と第2ポートP2とを連通する。これにより、コンプレッサ43から空気ばね12に圧縮空気が供給される。すると、空気室Aが拡大して空気ばね12及びダンパ11が伸長し、車両ボディBと車輪Wとの間隔が大きくなる。このようにして、車両1の車高を、圧縮空気供給前の状態よりも上がった状態とすることができる。
【0037】
空気室Aへの圧縮空気の供給が完了したのちには、端子20とコネクタ50との接続を解除する。この時、端子20は逆止弁21を有していることから、空気室A内の圧縮空気が外部へ噴出することが防止される。
【0038】
なお、車両1の車高を下げる場合(例えば、車両1の車高を下げるような指令信号が入力されている場合)には、開閉制御弁34のソレノイドS2に通電し、第1ポートP1と第3ポートP3とを連通する。これにより、空気ばね12から外部に圧縮空気が排出される。すると、空気室Aが縮小して空気ばね12及びダンパ11が収縮し、車両ボディBと車輪Wとの間隔が小さくなる。このようにして、車両1の車高を、圧縮空気排出前の状態よりも下がった状態とすることができる。
【0039】
以上説明したように、実施形態1のコネクタ50は、車両1に電力を供給する充電用接続部51を備えており、車両1に接続することで、電源部41から供給される電力を車両1に供給することができる。その上で、コネクタ50は、車両1に設けられて圧縮空気が供給されるエアサスペンション装置10に対して、圧縮空気の供給を行う給気用接続部52を備えている。このため、コネクタ50は、車両1に接続することで、エアサスペンション装置10へ圧縮空気を供給することができる。以上のように、コネクタ50は、車両1に接続することで、車両1に対して電力の供給を行うとともに、エアサスペンション装置10へ圧縮空気の供給が可能となる。
【0040】
したがって、実施形態1のコネクタ50は、車両1に対して電力の供給を行いつつ、エアサスペンション装置10へ圧縮空気の供給を行うことができる。
【0041】
また、実施形態1のコネクタ50は、充電用接続部51および給気用接続部52が車両1に同時に接続される。これにより、コネクタ50を車両1に接続するというワンアクションの動作だけで、充電用接続部51および給気用接続部52を同時に車両1に接続することができるため、操作性に優れている。
【0042】
また、実施形態1の給電装置40は、コネクタ50と、電源部41と、給気用接続部52を介してエアサスペンション装置10に圧縮空気を供給するコンプレッサ43と、を備えている。給電装置40は、電源部41からコネクタ50を介して車両1に電力を供給する。これにより、給電装置40がコンプレッサ43を備えることで、電力の供給と圧縮空気の供給とを同一の給電装置40を用いて行うことができ、構成の簡略化を図ることができる。
【0043】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係るコネクタについて説明する。なお、実施形態2に係るコネクタ250において、上記実施形態1のコネクタと略同じ構成部位には同符号を付けて、構造、作用及び効果の説明は省略する。実施形態2では、コネクタの構成が、実施形態1と相違している。
【0044】
実施形態2のコネクタ250は、図4に示すように、コネクタ本体部250Aと、アダプタ250Bと、を備えている。コネクタ本体部250Aは、アダプタ250Bに嵌合する構成である。コネクタ本体部250Aは、実施形態1のコネクタ50と同様に、ケーブル44の先端に接続されており、車両1の端子20に着脱可能に係止する。また、コネクタ本体部250Aは、実施形態1の充電用接続部51と同様の構成の充電用接続部(図示略)を有している。
【0045】
アダプタ250Bは、図4(A)に示すように、コネクタ本体部250Aおよび車両1に接続される構成である。アダプタ250Bは、図4(B)に示すように、充電用接続部253と、給気用接続部254と、を有している。充電用接続部253は、実施形態1の充電用接続部51と同様の構成であり、コネクタ本体部250Aの充電用接続部を構成する一対の電極(図示略)に電気的に接続される一対の電極253A,253Bによって構成されている。給気用接続部254は、エアサスペンション装置10に対して圧縮空気を供給する開口部分であり、コンプレッサ43につながっている。アダプタ250Bは、コンプレッサ43に接続され、コンプレッサ43から供給される圧縮空気を、給気用接続部254を介してエアサスペンション装置10に供給する構成である。また、アダプタ250Bは、コネクタ本体部250Aを介して電源部41から供給される電力を、コンプレッサ43に供給するようになっている。
【0046】
充電用接続部253と給気用接続部254は、コネクタ250の接続面250C(コネクタ50が車両1の端子20に接続されたときに、車両1側を向く面)において、接続方向(端子20とコネクタ250が向かい合う方向)における略同一位置に形成されている。
【0047】
このような構成によって、コネクタ250(アダプタ250Bにコネクタ本体部250Aが嵌合された状態のユニット)が車両1の端子20に接続されると、電源部41(図1参照)が、コネクタ本体部250Aの充電用接続部(図示略)と、アダプタ250Bの充電用接続部253と、を介して充電部32に電気的に接続され、電源部41と充電部32とをつなぐ電力供給路261が構成される。また、給気用接続部254を介して。コンプレッサ43とエアサスペンション装置10との連通が確保され、コンプレッサ43とエアサスペンション装置10をつなぐ空気供給路262が構成される。
【0048】
以上説明したように、実施形態2のコネクタ250は、電源部41から電力が供給されるコネクタ本体部250Aと、コネクタ本体部250Aおよび車両1に接続され、充電用接続部253および給気用接続部254を有するアダプタ250Bと、を備えている。アダプタ250Bは、コンプレッサ43に接続され、コンプレッサ43から供給される圧縮空気を、給気用接続部254を介してエアサスペンション装置10に供給する。これにより、アダプタ250Bは、充電用接続部253を有するため、コネクタ本体部250Aに接続することで、コネクタ本体部250Aを介して電源部41から供給される電力を車両1に供給することができる。また、アダプタ250Bは、給気用接続部254を有し、コンプレッサ43に接続されるため、コンプレッサ43から供給される圧縮空気を給気用接続部254を介してエアサスペンション装置10に供給することができる。これにより、充電用接続部の配置等が規格化されたコネクタ本体部250Aであっても、アダプタ250Bを備えたコネクタ250として車両1に接続することで、車両1に対して電力の供給を行いつつ、エアサスペンション装置10へ圧縮空気を供給することができる。
【0049】
<実施形態3>
次に、実施形態3に係るコネクタについて説明する。なお、実施形態3に係るコネクタ350において、上記実施形態1のコネクタと略同じ構成部位には同符号を付けて、構造、作用及び効果の説明は省略する。実施形態3では、コネクタの構成が、実施形態1と相違している。
【0050】
実施形態3のコネクタ350は、図5に示すように、実施形態1の充電用接続部51および給気用接続部52と同様の充電用接続部51および給気用接続部52を有している。また、コネクタ350は、コンプレッサ343が内部に組み込まれている。コネクタ350は、車両1の端子20に接続され、電源部41が充電用接続部51を介して充電部32につながれることで電力供給路361が構成される。電力供給路361は、コンプレッサ343にも電力を供給するように分岐している。給気用接続部52がエアサスペンション装置10に連通することで、コンプレッサ343とエアサスペンション装置10をつなぐ空気供給路362が構成される。
【0051】
以上説明したように、実施形態3のコネクタ350は、給気用接続部52を介してエアサスペンション装置10に圧縮空気を供給するコンプレッサ343が組み込まれている。これにより、コネクタ350にコンプレッサ343が組み込まれていることで、コネクタ350の使用時に別途コンプレッサを用意する必要がなく、作業性を向上させることができる。
【0052】
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態1~3に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1~3では、空気圧機器としてエアサスペンション装置を例示したが、本発明に係る空気圧機器はこれに限定されず、他の空気圧機器であってもよい。また、本発明に係る空気圧機器は、例えば、タイヤのように単に圧縮空気が充填されるもの等、圧縮空気を利用するものを広く含むことを意図している。
(2)実施形態1~3では、車両が空気圧機器としてのエアサスペンション装置を備え、このエアサスペンション装置が車高調整機能を有する形態を例示したが、エアサスペンション装置を備えた場合でも、車高調整機能を有することは必須ではない。
(3)実施形態1~3では、充電用接続部と給気用接続部が、コネクタ50の接続面50Aにおいて、接続方向における略同一位置に形成されていたが、ずれた位置に形成されていてもよい。
(4)実施形態1では、給電装置40が、コンプレッサ43を備える構成であったが、コンプレッサ43が給電装置40とは別個に設けられる構成であってもよい。
(5)実施形態1~3では、車両としてバッテリーユニットを有する電動車両を例示したが、本発明に係る車両はこれに限定されない。例えば、燃料電池車等の他の形態の電動車両であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…車両、10…エアサスペンション装置、40…給電装置、41…電源部、43,343…コンプレッサ、50,250,350…コネクタ、51,253…充電用接続部、52,254…給気用接続部、250A…コネクタ本体部、250B…アダプタ
図1
図2
図3
図4
図5