(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】試験片表面に圧子を侵入移動する間、測定信号を決定する測定デバイス、測定構成及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/46 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
G01N3/46
(21)【出願番号】P 2019548524
(86)(22)【出願日】2017-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2017078275
(87)【国際公開番号】W WO2018099688
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-07-29
(31)【優先権主張番号】102016123010.3
(32)【優先日】2016-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】309007036
【氏名又は名称】ヘルムート・フィッシャー・ゲーエムベーハー・インスティテュート・フューア・エレクトロニク・ウント・メステクニク
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ヘルムート
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-071929(JP,A)
【文献】特開2009-020048(JP,A)
【文献】実開昭58-079249(JP,U)
【文献】特開昭55-048635(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0031077(US,A1)
【文献】特開昭61-193047(JP,A)
【文献】特開2011-133317(JP,A)
【文献】特開平01-187434(JP,A)
【文献】特開2000-227321(JP,A)
【文献】特開平09-178636(JP,A)
【文献】特表2005-522690(JP,A)
【文献】実開昭50-025581(JP,U)
【文献】特開2005-043239(JP,A)
【文献】特開2014-074598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00- 3/62
G01N 17/00-19/10
G01B 5/00- 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片(14)の表面に圧子(41)を侵入移動する間、測定信号を検出するか、硬度を測定するか、前記試験片(14)の前記表面への耐引掻性を決定するか、又は前記試験片(14)の前記表面上で前記圧子(41)を走査移動する間、測定信号を検出する、測定デバイスであって、前記測定デバイスは、力生成手段(44)を備える筐体(47)、及び少なくとも1つの第1の測定手段(78)を有し、前記力生成手段(44)は、前記圧子(41)と動作可能に接続し、前記圧子(41)の進行軸(48)に沿った前記圧子(41)の変位移動を生成し、前記試験片(14)の試験表面への前記圧子(41)の侵入移動を駆動するか、又は前記圧子(41)を前記試験片(14)の表面上に配置、走査し、前記少なくとも1つの第1の測定手段(78)は、前記試験片(14)の前記表面への侵入深さを測定するか、又は前記試験片(14)の前記表面上で前記圧子(41)を走査移動する間、前記圧子(41)の前記進行軸(48)に沿った前記圧子(41)の変位移動を測定し、前記力生成手段(44)は、駆動デバイス(45)及び磁気伝達デバイス(66)を備え、前記磁気伝達デバイス(66)は、第1の磁極(67)及び第2の磁極(68)を備え、前記第1の磁極(67)及び前記第2の磁極(68)は、互いに対してある距離で配置し、同じ極を互いに対して向ける、測定デバイスにおいて、
-前記第1の磁極(67)は、前記駆動デバイス(45)と接続し、前記駆動デバイス(45)は、進行軸(46)に沿った前記第1の磁極(67)の変位移動を駆動し、前記進行軸(46)は、前記圧子(41)の前記進行軸(48)内に位置するか、又は前記圧子(41)の前記進行軸(48)に平行であるか、又は前記圧子(41)の前記進行軸(48)に直交して位置すること、
-前記磁気伝達デバイス(66)の前記第2の磁極(68)は、伝達要素(42)上に設け、前記伝達要素(42)は、前記伝達要素(42)の反対端部上で前記圧子(41)を受け取り、前記伝達要素(42)は、前記筐体(47)の内側で前記進行軸(48)に沿って変位可能に案内し、前記進行軸(48)は、好ましくは、前記筐体(47)の基板(51)に対して直交するか、又は前記圧子(41)の前記進行軸(48)内に位置すること、並びに
-前記駆動デバイス(45)によって駆動する進行移動は、前記磁気伝達デバイス(66)の磁力により前記圧子(41)上に伝達することを特徴とする、測定デバイス。
【請求項2】
前記第1の磁極(67)を前記第2の磁極(68)に向かう方向で変位移動させることによって、前記試験片(14)への侵入力、又は前記試験片(14)の前記表面を走査する前記試験片(14)上での接触力のための、前記試験片に向かう方向での前記圧子(41)の前記変位移動は、調節可能であることを特徴とする、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項3】
前記伝達要素(42)は、保持デバイス(58)上に配置した案内部(57)により前記筐体(47)内に変位可能に収容し、前記案内部(57)は、互いに離間する少なくとも2つの弾性要素を備え、前記弾性要素は、前記駆動デバイス(45)の前記進行軸(46)内で前記伝達要素(42)を変位可能に案内し、前記案内部(57)は、前記保持デバイス(58)内で解放可能に保持すること、又は前記案内部(57)は、前記保持デバイス(58)と一体に接続し、前記保持デバイス(58)及び板ばね要素(61、62)は、前記案内部(57)上に一体に配置することを特徴とする、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項4】
前記筐体(47)は、凹部(55)を有する基板(51)を備え、前記圧子(41)の前記変位移動は、前記凹部(55)の長手方向軸と位置合わせし、前記伝達要素(42)の下側端部に設けた前記圧子(41)は、前記凹部(55)の内側又は前記凹部(55)内に配置した取り付けリング(75)の内側の最初の位置から、前記基板(51)の外側に対して突出する駆動位置における前記基板(51)の外側まで配置可能であること、前記案内部(57)は、最初の位置において、前記圧子(41)を配置した前記伝達要素(42)を保持し、前記圧子(41)は、前記試験片(14)の方に向けた前記筐体(47)の下側に対して内側に後退して配置することを特徴とする、請求項3に記載の測定デバイス。
【請求項5】
前記第1の測定手段(78)は、前記圧子(41)に隣接する前記筐体(47)の前記基板(51)上に設け、前記第1の測定手段(78)は、前記圧子(41)の内側端部に割り当てた測定探針(47)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項6】
前記駆動デバイス(45)は、前記筐体(47)のカバー要素(52)上に設け、前記筐体(47)は、前記進行軸(46)に沿って変位可能な少なくとも1つの駆動要素(96)を備え、前記進行軸(46)は、前記圧子(41)の前記進行軸(48)内に位置するか、又は前記圧子(41)の前記進行軸(48)に平行であり、前記駆動要素(96)は、前記伝達要素(42)の方を向いた一端で前記第1の磁極(67)を受け取ることを特徴とする、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項7】
前記駆動要素(96)は、前記筐体(47)上に設けた案内部(106)を有する駆動心棒として、回転に反して固着するように案内すること、又は前記駆動要素(96)は、伸縮自在心棒として構成すること、及び前記駆動要素(96)は、駆動モータ(97)によって駆動する回転駆動器(98)と接続することを特徴とする、請求項6に記載の測定デバイス。
【請求項8】
前記駆動要素(96)の前記進行軸(46)は、前記圧子(41)の前記進行軸(48)に直交して向けられ、前記駆動要素(96)は、前記第1の磁極(67)を形成する2つ以上の永久磁石に対し同時変位移動を駆動し、前記第1の磁極(67)は、前記第2の磁極(68)を形成する、対応する数の永久磁石との部分重複位置又は一致位置に移送可能であり、前記伝達要素(42)は、受け取りデバイス(71)を備え、前記受け取りデバイス(71)は、前記伝達要素(42)の前記進行軸(48)に同じ距離で、前記第2の磁極(68)を形成する少なくとも2つの永久磁石を受け取ることを特徴とする、請求項6に記載の測定デバイス。
【請求項9】
前記駆動要素(96)は、一対の歯付きラック(161、162)によって形成し、前記一対の歯付きラック(161、162)は、前記圧子(41)の前記進行軸(48)に直交する回転駆動器(98)と共に作動可能であり、案内レール(166)に沿って変位可能であり、前記第1の磁極(67)を形成するそれぞれの1つの永久磁石は、対向する前記歯付きラック(161、162)に面するように設けることを特徴とする、請求項6に記載の測定デバイス。
【請求項10】
前記駆動要素(96)の駆動移動は、第3の測定手段(105)によって監視し、第4の測定手段(110)は、前記駆動要素(96)と前記駆動要素(96)上に配置した前記第1の磁極(67)との間に設けることを特徴とする、請求項6に記載の測定デバイス。
【請求項11】
振動減衰デバイス(120)は、前記伝達要素(42)上に配置した前記第2の磁極(68)に割り当て、前記振動減衰デバイス(120)は、強磁性材料製の囲い(121)として形成し、前記囲い(121)は、前記第2の磁極(68)を囲み、前記圧子(41)の最初の位置において、前記第2の磁極(68)は、前記囲い(121)内に少なくとも部分的に陥入していることを特徴とする、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項12】
補償要素(89)は、互いに平行に離間した2つの前記板ばね要素(61、62)の間に設け、前記板ばね要素(61、62)は、前記保持デバイス(58)上に枢動可能に組み付け、前記補償要素(89)は、前記補償要素(89)の一端で前記伝達要素(42)内に突出し、前記伝達要素(42)上に、板ばね要素(94)を設け、前記板ばね要素(94)は、前記伝達要素(42)の一端に向かう方向で延在し、前記伝達要素(42)は、前記磁極を受け取り、前記磁極に固定することを特徴とする、請求項3に記載の測定デバイス。
【請求項13】
前記補償要素(89)は、締め付け手段(85)により前記保持デバイス(58)上に組み付けることを特徴とする、請求項12に記載の測定デバイス。
【請求項14】
試験片(14)の表面内への侵入深さを検出するか、試験片(14)の表面の耐引掻性を検出するか、又は試験片(14)の表面の表面粗さを検出する測定構成であって、前記測定構成は、
-前記試験片(14)を受け取る測定台(25)、
-最初の位置から測定位置内に測定デバイス(12)を移送する搬送手段(17)、
-少なくとも前記測定台(25)及び前記搬送手段(17)を上に設ける基体(16)、
-前記試験片(14)上で前記測定デバイス(12)を駆動し、前記測定デバイス(12)による測定を実施する制御器(33)
を備え、前記制御器(33)は、少なくとも、前記搬送手段(17)により前記試験片(14)上で前記測定デバイス(12)の圧子(41)の配置移動を駆動する、測定構成において、前記試験片(14)の前記表面内への前記圧子(41)の前記侵入移動、又は前記試験片(14)の前記表面上での前記圧子(41)の前記走査移動は、請求項1に記載の測定デバイス(12)により与えることを特徴とする、測定構成。
【請求項15】
光検出手段(29)は、前記基体(16)上で前記測定デバイス(12)に隣接して配置し、前記測定台(25)は、前記測定デバイス(12)と前記光検出手段(29)との間を変位可能であるか、又は前記測定デバイス(12)及び前記光検出手段(29)は、前記測定台(25)に対して変位可能であり、前記試験片(14)の前記表面の平面に位置する軸に沿った前記測定台(25)の変位移動は、前記制御器(33)によって駆動することを特徴とする、請求項14に記載の測定構成。
【請求項16】
測定デバイス(12)の圧子(41)を試験片(14)の表面内に侵入移動する間、又は圧子(41)を試験片(14)の表面上で走査移動する間、測定信号を検出する方法であって、最初の位置において、前記試験片(14)は、測定台(25)上に配置し、前記測定デバイス(12)は、前記試験片(14)上に置き、前記圧子(41)の前記侵入移動又は前記走査移動は、力生成手段(44)により駆動し、前記力生成手段(44)は、駆動デバイス(45)及び磁気伝達デバイス(66)を備え、前記磁気伝達デバイス(66)は、第1の磁極(67)及び第2の磁極(68)を備え、前記第1の磁極(67)及び前記第2の磁極(68)は、互いに対してある距離で配置し、互いに同じ極で向けられ、磁力を使用す
る駆動要素(96)の送り移動は、前記圧子(41)が前記試験片(14)内に前記侵入移動するために駆動するか、又は磁力を使用する前記駆動要素(96)の送り移動は、前記圧子(41)の前記試験片(14)上で前記走査移動を生じさせるために駆動する、方法。
【請求項17】
前記試験片(14)の表面硬度を測定するため、第1の方法ステップにおいて、前記測定デバイス(12)を前記試験片(14)の方に移動すること、前記測定デバイス(12)を前記試験片(14)上に置いた際、送り移動を固定すること、前記圧子(41)の変位移動は、前記圧子が前記試験片(14)の前記表面上に載置されるまで駆動し、この載置される位置は、後続の硬度測定のためにゼロ位置として制御器(33)に転送すること、又は前記試験片(14)の前記表面の耐引掻性測定のため、第1の方法ステップにおいて、前記測定デバイス(12)を前記試験片(14)の前記表面上に置く前に、前記圧子(41)に変位移動を加え、前記圧子(41)が、筐体(47)下側に対して自由に突出するようにすること、前記測定デバイス(12)は、前記試験片(14)の方に移動し、前記圧子(41)が前記試験片(14)上に置かれると固定され、この固定される位置は、後続の耐引掻性測定のためのゼロ位置として前記制御器(33)に転送すること、前記耐引掻性測定のため前記磁力によって駆動する、前記試験片(14)内への前記圧子(41)の前記侵入移動の間、前記測定台(25)は、前記圧子(41)の前記侵入移動に直交する方向で変位し、引掻を前記試験片(14)の前記表面に導入し、侵入深さのための第1の測定手段(78)の前記測定信号、及び前記圧子(41)に割り当てた少なくとも1つの更なる第2の測定手段(91)の前記測定信号を介して、前記試験片(14)の前記変位方向に沿った前記圧子(41)の偏向を、第3の測定手段(105)によって駆動要素(96)の送り移動を検出するとともに、検出、評価することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記力生成手段(44)に試験力を加えること、及び前記試験片(14)の前記表面内への前記圧子(41)の侵入移動は、少なくとも第1の測定手段(78)により検出することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第3の測定手段(105)によって検出
された前記圧子(41)に作用する前記送り移動から
の力は
、第4の測定手段(110)によって計算又は検出
されること、前記試験片(14)内への前記圧子(41)の侵入深さは、前記第1の測定手段(78)によって検出
されること、並びに前記試験片(14)の表面硬度は、前記第3の測定手段(105)又は前記第4の測定手段(110)によって計算又は検出
された侵入力、及
び前記第1の測定手段(78)を通じて検出
された侵入深さから
、前記圧子(41)の形状に応じて決定
されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記試験片(14)への前記引掻の前記導入前、前記測定デバイス(12)を前記試験片(14)の前記表面上に置き、前記試験片(14)の配置移動に直交する方向で変位させ、前記第1の測定手段(78)によって検出した測定信号は、事前引掻外形データとして検出、保存する、及び/又は前記試験片(14)への前記引掻導入後、前記測定デバイス(12)を前記引掻内に置き、前記測定デバイス(12)を有する圧子(41)を前記試験片(14)の前記配置移動に直交する方向で変位させ、前記測定デバイス(12)によって検出した前記信号は、前記引掻内の前記圧子(41)の前記変位移動に沿って検出し、事後引掻外形データとして保存することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験片表面に圧子を侵入移動する間、測定信号を検出し、試験片表面の耐引掻性を決定し、試験片の表面粗さを決定する測定デバイス並びに測定構成及び方法に関する。
【0002】
DE69917780T2から、試験片表面の耐引掻性を測定する測定手段及び方法が公知であり、この測定手段は、試験片を受け取る測定台、及び最初の位置から測定位置に測定デバイスを移送する搬送手段を備える。更に、制御器が設けられ、この制御器を通じ、測定デバイスは、試験表面上に試験片を置いた後、ある軸に沿った測定台の変位移動及び圧子の侵入移動の両方を作動し、測定台を変位移動する間、圧子が試験片表面に侵入するようにする。
【0003】
試験片表面上に置いた後の圧子の侵入移動の作動に関し、測定デバイスは、第1の保持板に作用する圧電作動器を備え、第1の保持板は、2つの板ばね対により上下に可動である。前記保持板は、別の板を受け取り、この板は、2つの板ばね対により上下可動に組み付けられ、前記板の中に、圧子を配置する。測定デバイスは、保持板と、圧子を受け取る板との間に設けられ、前記測定デバイスは、侵入経路を測定する。更に、測定デバイスは、圧子に隣接して配置し、垂直力を決定する。
【0004】
この測定デバイスには、それぞれに選択した組み付け具のケースにおいて、圧電作動器と侵入先端との間に、保持板、圧子を受け取る板、及び板ばね対によって、重量があり精巧な構造が設けられるという欠点を伴う。これにより、大きな構造空間が必要であるだけでなく、侵入移動を作動させる力をもたらすため、それに応じて圧電駆動器を大型に設計すべきである。更に、この測定デバイスは、精巧な構造構成のため、動きが鈍い。更に、測定デバイスは、高精度作動器による圧子の作動のため、高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎をなす目的は、特に表面の耐引掻性を決定するため、試験片表面に圧子を侵入移動する間、測定信号を検出するか、又は特に試験片の表面粗さを決定するため、試験片表面上で圧子を走査移動する間、測定信号を検出する測定デバイスを生成すること、並びに特に試験片表面の耐引掻性を決定するため、圧子を試験片表面に侵入移動する間、測定信号を決定するか、又は圧子を走査移動する間、測定信号を検出する測定デバイス及び方法を提供することであり、それにより、測定精度の向上及び費用の低減を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基礎をなす目的は、圧子、及び圧子と動作可能に結合する力生成手段を有する測定デバイスによって達成され、圧子は、試験片の測定表面に侵入するか、又は試験片の測定表面を走査する。侵入深さ及び表面粗さを測定するため、少なくとも1つの測定手段を設ける。圧子の侵入移動又は圧子の走査移動は、磁力を使用する力生成手段により駆動することができる。圧子の侵入移動又は走査移動が磁力により駆動される、駆動手段及び磁気伝達手段を含むそのような力生成手段の使用は、駆動手段と圧子との物理的な分離が与えられるという有利を有する。このことは、駆動器から圧子上への摩擦のない力の伝達を可能にする。更に、磁力の変化は、試験片表面への圧子の侵入移動又は圧子の走査移動のための接触力に直接変換される。したがって、磁力の増大は、圧子に対する力の直接的な増大を意味し、その逆も同様である。したがって、磁力を伴う力生成手段の構成を通じて、圧子の侵入移動に対しヒステリシスのない駆動を可能にする。更に、力生成手段による温度の影響を除外することができる。更に、磁力は圧縮されることがないため、更なる不利な影響も除外される。ヒステリシスを伴わずに起動可能な力伝達を通じて、圧子の侵入力又は走査移動用接触力に正確な設定及び/又は高い反復性が設定可能であり得る。更に、質量の減少した力生成手段の構成を達成することができる。そのような力生成手段は、一度設定した磁力を一定に保つことができるという利点も伴う。
【0008】
測定デバイスの磁気伝達手段は、好ましくは、互いに離間し、対向して配置した第1の磁極及び第2の磁極を備え、これらの磁極は、互いに対して同じ極で向けられる。好ましくは、永久磁石が設けられる。第1の磁極及び第2の磁極は、一緒に向けるか又は互いに離間する1つ又は複数の永久磁石によって構成することができる。例えば、互いに離間する2つの磁石、又は例えば、円上に配置した3つの永久磁石は、第1の磁極及び/又は第2の磁極を形成することができる。このように、第1の磁極と第2の磁極との間に反発力を生成することができる。磁極のそれぞれの磁界が圧縮されることがないため、距離が次第に縮小するにつれて、規定した力の増大を生成し、達成することができ、この力の増大は、圧子の変位移動にもたらされる。
【0009】
好ましくは、第2の磁極は、反対端部で圧子を受け取る伝達要素上に設けることが規定され、伝達要素は、進行軸に沿って筐体の内側で変位可能に案内される。進行軸は、好ましくは、筐体の基板に直交して向けられるか、又は進行軸は、好ましくは、圧子の侵入移動軸内に位置する。ここで、駆動要素の長さ方向に作用する磁力を、伝達要素の長手方向軸に沿った変位移動に変換することができる。このことは、損失の一切ない構成及び力の伝達を可能にする。
【0010】
磁力伝達手段の第1の磁極は、好ましくは、駆動手段と接続され、駆動手段を通じ、第1の磁極の進行軸に沿った変位移動が駆動される。この進行軸は、圧子の押し込み移動軸内に位置するか又は押し込み移動軸に平行に位置することができる。これにより、第2の磁極に直接向かう第1の磁極の変位移動が駆動され、特に、進行軸が一致していると特に適しており、特に第1の磁極から第2の磁極上への傾きのない磁力の伝達がもたらされる。代替的に、第1の磁極の進行軸は、圧子の押し込み移動軸に直交して向けることができる。圧子の進行軸は、通常、測定する物体表面に直交して向けられ、したがって、好ましくは、垂直に位置する。代替実施形態では、第1の磁極の進行軸は、水平にある。そのような構成は、薄型測定デバイスを生成できるという利点を有する。
【0011】
好ましくは、第1の磁極を第2の磁極に向かう方向で変位移動させることによって、試験片に向かう方向での圧子の変位移動、及び試験片への侵入力、又は試験片表面を走査する接触力を調節できることを規定する。これにより、単純な関係が与えられ、単なる第1の磁極の送り運動によって、第2の磁極を介した圧子の駆動が可能になる。
【0012】
好ましくは、伝達要素がピン型又は管状設計であることを規定する。これにより、伝達要素の剛性構成及び軽量実施形態を達成することができる。
【0013】
好ましくは、伝達要素は、案内部によって変位可能に受け取られ、前記案内部は、筐体内の保持デバイスに固定される。この案内部は、好ましくは、互いに離間する少なくとも2つの弾性要素、特に、互いに平行に離間する2つの板ばね要素、又は互いに平行に離間する圧力隔壁要素を備え、これらの弾性要素は、駆動デバイスの進行軸内で変位可能に案内されるか、又は進行軸に沿って偏向可能である。板ばね要素又は圧力隔壁要素は、一方で、伝達要素上に係合し、その反対端部で、筐体の保持デバイス上に保持される。
【0014】
案内部は、好ましくは非磁化可能材料から作製される。
【0015】
第1の実施形態によれば、保持デバイスの板ばね要素又は圧力隔壁要素は、緊密に締め付けられるように保持されることが規定される。このことは、板ばね要素又は圧力隔壁要素を、これらを交換することによって、それぞれの仕事及び/又は測定デバイスのサイズに単純な様式で適合可能にすることを可能にする。更に、モジュール構成をもたらすことができる。
【0016】
代替的に、保持デバイス及び板ばねデバイスを1つの部品として形成し、好ましくは、板ばね要素は、腐食又は超微細加工によって生成することが規定される。そのような構成は、小型設計を可能にし、板ばね要素の変位移動が、板ばね要素の間に延在する保持デバイスの中間体によって同時に制限される。
【0017】
板ばね要素は、好ましくは、保持デバイスに割り当てた締め付け領域、その反対側の、伝達ピンに作用する受け取り領域、及び締め付け領域と受け取り領域との間に位置する間隔部分を備え、締め付け領域及び間隔領域、並びに受け取り領域及び間隔領域はそれぞれ、互いに撓み支承部により接続される。この構成は、締め付け領域及び受け取り領域が、板ばね要素が偏向した後、依然として実質的に平行な向きであり得るという利点を伴う。有利には、撓み支承部を、1つの空間方向に弾性で、その他の2つの空間方向には剛性である関節として構成することが規定される。撓み支承部は、締め付け領域、受け取り領域及び間隔部分に対して厚さを減少させることができる。撓み支承部の厚さのために、加える力を板ばね要素の偏向に向けることができる。
【0018】
板ばね要素内の撓み支承部の1つの有利な構成は、撓み支承部が板ばね要素の全幅にわたり延材し、好ましくは、少なくとも1つの細穴凹部を備えることである。そのような細穴凹部によって、偏向移動力は、単純に適合可能であり、低減することができる。
【0019】
測定デバイスの筐体は、好ましくは、凹部を有する基板を備え、基板の長手方向軸に沿って、圧子の変位移動が向けられ、圧子は、開口を通じて案内され、基板に対して外側に突出する位置に配置することができる。このように、圧子の変位移動を駆動する駆動デバイスの駆動シャフト、及び圧子を受け取る伝達要素の長手方向軸を共通軸上に配置することができる。このことは、圧子の変位移動を即時に直接的に駆動することを可能にする。
【0020】
好ましくは、案内部は、最初の位置において、伝達要素及び伝達要素上に配置した圧子を保持し、圧子は、試験片の方に向けた筐体の下側に対し内側に後退して配置されることが規定される。このことは、圧子の損傷に対する保護をもたらすという利点を伴う。好ましくは、この最初の位置において、伝達要素は、受け取り要素及びその反対側の圧子内で、伝達要素上に設けた磁極と平衡を保つ。圧子は、好ましくは、筐体基板の開口の内側に配置される。更に、取り付けリングは、前記開口内に配置することができ、このリングは貫通孔を備える。最初の位置において、取り付けリングは、筐体の下側に対して突出することができるが、圧子は、好ましくは、取り付けリングの取り付け表面に対して内側に向かって後退する。
【0021】
好ましくは、第1の測定手段、特に距離センサを筐体基板内の凹部に隣接して設け、この測定デバイスは、圧子の内側端部に割り当てた測定探針を備える。これにより、試験片内で圧子が変位移動するか又は侵入移動する間、実際の変位移動は、試験片の硬度若しくは引掻に対する評価を介して検出するか、又は表面粗さを決定するため検出し、制御デバイスに転送することができる。
【0022】
力生成手段の駆動手段は、有利には、基板の反対側に設けた筐体のカバー要素上に設けられ、このカバー要素は、好ましくは圧子の変位移動進行軸内に位置する少なくとも1つの長さ調節可能駆動要素を備える。このことは、変位移動を生成する力の誘導自体が圧子を進行軸内に入れるため、損失を最小化できるという利点を伴う。
【0023】
駆動要素は、伝達ピンの方を向いた一端で第1の磁極を受け取る。このことは、カバー要素に割り当てた、駆動要素の規定の変位移動によって、それぞれ反対側の第2の磁極に対する標的とする距離の変化を設定することができる、即ち、距離が次第に減少するにつれて、磁力が増大するという利点を伴う。
【0024】
駆動要素は、例えば、駆動心棒として構成され、好ましくは、案内部によってねじれを防止するように案内され、前記案内部は、特に、カバー要素上に設けられる。代替的に、駆動要素は、伸縮自在心棒として構成することができる。駆動要素の変位移動は、回転駆動器及び駆動モータにより駆動される。好ましくは、電気駆動モータが設けられ、このモータは、回転駆動器を駆動し、駆動要素の規定の送り運動を達成し、好ましくは、送り運動をデコードし、進行経路を正確に確立できるようにする。
【0025】
電気駆動器への代替として、空気圧駆動器、液圧駆動器又は電磁駆動器を設けることもできる。
【0026】
有利には、回転駆動器は、歯付き駆動ベルトとして構成され、案内部によりねじれを防止した駆動要素を駆動する。これにより、単純構造構成が実現される。駆動心棒上のねじ山のピッチ又は伸縮自在心棒からのねじ山のピッチのため、変位移動の規定の増大は、回転に応じて設定することができる。
【0027】
測定デバイスの更なる代替構成は、駆動要素の進行軸が、圧子の進行軸に直交して向けられ、駆動要素が、少なくとも1つの第1の磁極が第2の磁極に部分的に重複する位置又は一致する位置に移送されるまで、圧子の進行軸に直交する進行軸に沿った前記第1の磁極の変位移動を駆動することを規定する。代替的に、第1の磁極は、2つ以上の永久磁石によって形成され、これらの永久磁石は、第2の磁極を形成する、対応する数の永久磁石に対して部分的に重複する位置又は一致する位置に同時に移送可能であることを規定することができる。例えば、2つの永久磁石が第1の磁極を形成する限り、第2の磁極も同様に2つの永久磁石によって形成される。第2の磁極を形成する永久磁石の磁界の外側領域から、部分的に重複する位置又は一致する構成に第1の磁極を形成する永久磁石を同時に変位移動することによって、第2の磁極の2つの永久磁石に対する力場の均一な影響が達成される。これにより、圧子の進行軸に沿って、伝達要素の変位移動の傾きのない駆動を達成することができる。
【0028】
測定デバイスの上記の代替構成の駆動要素は、好ましくは、互いに割り当てた一対の駆動要素、特に、歯付きラックを含み、駆動要素は、圧子の進行軸に直交する回転駆動器と共に作動可能であり、好ましくは、案内レールに沿って変位可能である。前記案内レールは、圧子の変位移動に直交して、特に、伝達要素の進行軸に直交して向けられる。各駆動要素上、特に、各歯付きラック上に、一緒に第1の磁極を形成する永久磁石が設けられる。そのような構成によって、駆動要素の両方、特に歯付きラックは、駆動車により駆動することができ、これにより、第1の磁極の永久磁石の同期的な変位移動は、第2の磁極の永久磁石に部分的に重複するか又は一致する構成で駆動される。有利には、2つの駆動要素の駆動車の駆動シャフトは、駆動要素の進行方向に対し90°の角度のわずかに外側に向けることができる。これにより、遊びのない調節を達成することができる。
【0029】
更に、代替実施形態では、好ましくは、受け取りデバイスは、伝達要素上に設けられ、受け取りデバイスは、進行軸内に配置した少なくとも1つの永久磁石を受け取るか、又は伝達要素の進行軸に対し同じ距離で、第2の磁極を形成する2つ以上の永久磁石を受け取ることが規定される。これにより、例えば、第2の磁極の永久磁石が互いに反対側に、また互いに向かって変位可能であるように第2の磁極の2つの永久磁石を移動し、一致する構成で2つの永久磁石を配置し、力を最大に伝達するのに十分な空間がもたらされる。
【0030】
有利には、駆動要素の駆動移動は、第3の測定手段、特にロータリ・エンコーダにより監視する。磁極の磁束を知ることによって、磁極間の距離が次第に減少することに伴う、力の増大を決定することができる。このロータリ・エンコーダを通じ、力の増大を正確に検出し、磁極の距離、したがって、圧子上に加えられる力を変更することができ、制御手段により、駆動要素の進行経路のため、試験片表面上に作用する力を評価パラメータとして使用できるようにする。
【0031】
測定デバイスの別の好ましい構成は、第4の測定デバイス、特に力センサが、駆動要素と駆動要素上に配置した磁極との間に設けられることを規定する。伝達ピン上の反対側の磁極に作用する力の更なる監視は、駆動要素の磁極によって検出及び/又は監視することができる。
【0032】
別の好ましい構成は、振動減衰デバイスが、伝達要素上に配置した磁極に割り当てられることを規定する。これにより、この測定デバイスにより測定する間、圧子の不要な持ち上がり移動を低減又は防止することができる。このことは、圧子表面の耐引掻性を決定する際、特に有利である。
【0033】
第1の実施形態によれば、振動減衰デバイスは、好ましくは、囲い、特に、強磁性材料から作製した管によって構成され、この囲いは、伝達要素上に配置した第2の磁極を囲み、磁極は、圧子の最初の位置において、振動減衰デバイスに少なくとも部分的に陥入する。試験片に向かう圧子の変位移動が増大するにつれて、第2の磁極は、振動減衰デバイスに対してわずかに移動する、即ち、試験片からの圧子の可能な垂直上昇移動において、振動減衰デバイスへの磁極の陥入が生じ、この移動により、磁力の増大、したがって、陥入移動の相殺が生じる。
【0034】
測定デバイスの更なる好ましい実施形態によれば、補償要素は、互いに平行に離間した2つの板ばね要素の間に設け、板ばね要素は、保持デバイス上に組み付け、補償要素は、その一端が伝達要素内に突出し、伝達要素上に、別の板ばね要素が設けられ、別の板ばね要素は、磁極を受け取る伝達要素の一端に向かう方向で延在し、伝達要素に締結することを規定する。この板ばね要素を通じ、耐引掻性を決定する際、圧子に対する試験片の変位移動における伝達要素の偏向移動を相殺することができる。更に、この構成を通じ、基本位置又は最初の位置における測定デバイスの筐体内での伝達要素の向きも達成することができる。
【0035】
補償要素の1つの好ましい実施形態は、補償要素を、締め付けストラップ組み付け具により保持デバイス上に組み付けることを規定する。これにより、基本位置又は最初の位置における伝達ピンの水平化を達成することができる。
【0036】
測定デバイスの別の好ましい構成は、基板に対しある距離で配置した板ばね要素又は圧力隔壁要素が、保持デバイス内に緊密に締め付けられ、基板の付近に配置した板ばね要素又は圧力隔壁要素が、長手方向細穴によって形成した一部分に対して、伝達要素の進行軸に直交する方向で変位可能に組み付けられることを規定する。好ましくは、第2の測定手段は、下側板ばね要素又は圧力隔壁要素の一部分の変位移動を検出するために設けられる。前記第2の測定手段は、センサ要素を含み、センサ要素は、伝達要素の長手方向軸又は駆動要素の進行軸に沿った変位移動の間、下側板ばね要素又は圧力隔壁要素の一部分の変位移動を検出する。同様に、伝達要素の偏向は、耐引掻性試験を実施する間、試験片表面への圧子の侵入時に確立することができる。
【0037】
本発明の基礎をなす目的は、変位移動、特に、試験片表面内又は試験片表面上への圧子の侵入移動又は走査移動の間、測定信号を検出する測定構成によって更に達成され、測定台、及び搬送手段、特に、搬送手段を介して試験片表面上の圧子の配置位置に移送される測定デバイスを受け取るスタンドは、試験片を受け取る基体又は基板上に設けられ、試験片表面へ圧子を侵入する変位移動、又は圧子による表面を走査する変位移動は、実施形態の上記の所望の特徴の1つ又は複数による測定デバイスによって駆動、実施される。
【0038】
更に、測定構成は、好ましくは、測定デバイスに隣接する光検出手段を受け取り、光検出手段は、侵入点、表面粗さ、又は耐引掻性試験を実施した時、導入された引掻を光学的に捕捉、評価する。ここで、測定台は、好ましくは、測定デバイスと光検出手段との間を変位可能である。代替的に、測定デバイス及び光検出手段は、測定台に向かって変位可能であってもよい。
【0039】
更に、測定台、特に試験片表面の平面内の進行方向に沿って位置する軸の変位移動は、制御器によって駆動される。したがって、この制御器のため、圧子を試験片表面上に置いた際、表面外形又は表面粗さを検出することができ、前記試験片は、開始位置、次に、制御された変位移動をなす。このことは、耐引掻性を確立する事前走査で実施することもできる。同様に、測定台を圧子に向かって変位移動する間、圧子の侵入移動は、開始位置から出発して駆動し、引掻を形成することができる。耐引掻性試験のための事後走査も、開始位置から出発して駆動することができる。
【0040】
本発明の基礎をなす目的は、測定デバイスにより試験片表面に圧子を侵入移動する間、又は試験片表面に圧子を走査移動する間、測定信号を検出する方法によって更に達成される。試験片は、測定台上に配置され、測定デバイスは、試験片上に置かれ、圧子の侵入移動は、力生成手段により駆動され、磁力により、圧子の侵入移動を試験片内に駆動するか、又は走査移動のため試験片上で駆動される。このことは、力生成手段の高い費用対効果の構成を可能にする。更に、圧子の厳密な駆動を達成することができる。というのは、力生成手段は、温度変動とは無関係であり、小さな質量を有するためである。
【0041】
この場合、板ばね要素の復元力は無視できるか、又は圧子の進行軸に沿った圧子の進行経路に応じて決定し、考慮することができる。送り運動の間、試験片上に配置されるまで、力生成手段が圧子に作用する最初の力は、例えば、一方で、ばね要素の復元力の間の力の平衡によって形成し、もう一方で、磁力によって生成される、圧子に向かう方向での変位移動によって形成することができる。
【0042】
好ましくは、試験片表面上で硬度を測定するため、第1の方法ステップをもたらし、測定デバイスを試験片に向かって移動し、測定デバイスを配置した後、送り運動を固定し、次に、圧子の変位移動を駆動し、圧子は、最初の位置において、この圧子が試験片上に載置されるまで測定デバイスの外側に対して内側に後退し、この位置は、後続の硬度測定のためのゼロ位置として制御デバイスに転送される。これにより、規定の最初の測定状況を達成することができる。更に、圧子は、保護された最初の位置から測定位置に移送される。前記圧子が試験片表面上に載置される圧子のゼロ位置の検出は、有利には、第1の測定手段によって検出され、第1の測定手段は、経路の変化が指定されないことを特定し、これにより、信号を制御器に転送し、試験片上での測定デバイスの送り運動を固定するようにする。
【0043】
更に、好ましくは、耐引掻性測定のため、第1の方法ステップをもたらし、圧子を試験片表面上に置く前に、前記圧子にある送り力を加え、圧子が、筐体の下側に対して外側に自由に突出するようにする。その後、測定デバイスは、試験片に向かって移動し、圧子を試験片上に置いた後、測定デバイスの変位移動を固定する。好ましくは、この位置は、後続の耐引掻性測定のためのゼロ位置として制御器に転送される。
【0044】
別の好ましい実施形態は、力生成手段が、圧子のゼロ位置から出発して、ある試験力で作用し、試験片表面への圧子の侵入移動が、第1の測定手段により検出されることを規定する。侵入移動の間の経路変化を通じて、及び加えた試験力を知ることによって、試験片の硬度を決定することができる。同時に、耐引掻性を測定する際、これらの測定結果を考慮することもできる。
【0045】
更に、好ましくは、圧子の侵入移動は、駆動手段の駆動要素の送り運動によって駆動され、力の伝達は、磁気伝達手段によって、駆動要素から、磁気伝達要素又は圧子のそれぞれに対し生じることを規定する。
【0046】
更に、好ましくは、圧子に作用する力は、第4の測定手段によって駆動要素の送り運動から計算又は検出し、駆動要素の送り運動は、第3の測定手段によって検出し、試験片への圧子の侵入深さは、第1の測定手段によって検出し、第4の測定手段によって計算又は検出された侵入力、及び圧子の形状に応じた第1の測定手段によって検出された侵入深さから、少なくとも試験片表面の硬度を特定することを規定する。第4の測定手段は、好ましくは、駆動デバイスの駆動要素と駆動要素によって設けた磁極との間に設けられる。
【0047】
試験片表面の耐引掻性を決定するため、試験片を上に置く測定台は、好ましくは、圧子の侵入移動の間、圧子の侵入移動に直交する方向で変位し、引掻を試験片表面に導入する。侵入深さに関する測定信号は、第1の測定手段を通じ、時間及び進行経路に応じて検出される。更に、測定デバイスの第2の測定手段によって、測定台の進行方向とは逆の圧子の偏向を検出する。更に、圧子に作用する測定力は、測定信号として制御デバイスに転送される。前記測定力は、駆動要素の送り運動、及び磁気伝達手段から生じた表面への圧子の送り力から決定することができる。代替として、この測定力の決定に関し、測定信号を第4の測定手段によって検出し、前記第4の測定手段は、磁気伝達デバイスの磁極と、前記磁極を収容する駆動要素との間に配置されることを規定することができる。これら検出した信号から、試験片表面の耐引掻性を特定することができる。
【0048】
更に、追加として、測定台の変位移動に直角で向けられた圧子の偏向は、好ましくは試験片表面に引掻を導入する間、別の測定デバイスによって検出される。このことにより、試験片表面に関する評価を更に行うことができ、特に、材料の均質性についての言明を達成することができる。
【0049】
更に、測定デバイスは、好ましくは、引掻を試験片に導入する前に表面上に置かれ、試験片の配置移動に直交する方向で変位させ、表面を走査する。ここで、信号を第1の測定デバイスによって検出し、事前引掻外形として保存する。いわゆる事前走査を通じ、試験片表面の進路を確立することができ、この更なるパラメータを後続の耐引掻性の決定において考慮することができるようにする。
【0050】
更に、耐引掻性を決定するため、いわゆる事後走査を実施する。この目的で、測定デバイスは、好ましくは、引掻を試験片に導入した後、引掻上に置かれ、圧子を測定デバイスと共に試験片の侵入移動に直交する方向で変位させる、即ち、圧子を引掻に沿って案内し、検出した測定信号を保存する。
【0051】
本発明の別の好ましい構成は、圧子の走査移動の間、力生成手段における試験圧力を一定に保つことを規定する。ここで、圧子は、変化しない条件の下、試験片表面に沿って案内することができ、この場合、磁気伝達デバイスは、いわば剛性作動器として形成し、圧子に作用する変位移動を、表面粗さのために、前記圧子の長手方向軸に沿って直接伝達でき、少なくとも1つの第1の測定デバイスにより検出できるようにする。
【0052】
本発明、並びに本発明の他の有利な実施形態及び更なる展開は、図示の例により、以下でより詳細に記載、説明する。説明及び図から解釈し得る特徴は、本発明により、個々に又はあらゆる組合せで複数で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明による、測定デバイスを有する測定構成の概略図である。
【
図3】
図2による測定デバイスの更なる斜視図である。
【
図5】第1の測定手段を有する、
図2による測定デバイスの下側部分の概略拡大図である。
【
図6】第3の測定手段を有する、
図2による測定デバイスの上側部分の概略拡大図である。
【
図7】
図6による測定デバイスの上側部分の更なる概略側面図である。
【
図8】第2の測定手段を有する、測定デバイスの概略拡大図である。
【
図9】
図5による測定デバイスの下側部分の代替実施形態の概略断面図である。
【
図11】
図2による測定デバイスの保持デバイスを有する、板ばね要素の代替実施形態に対する斜視図である。
【
図12】
図2による測定デバイスの代替実施形態の概略側面図である。
【
図13】
図2による測定デバイスの更なる代替実施形態の概略側面図である。
【
図14】
図13による測定デバイスのための保持デバイスの圧力隔壁要素に対する下方からの概略図である。
【
図15】
図2による測定デバイスの更なる代替実施形態の斜視図である。
【
図16】
図15による代替測定デバイスに対する更なる概略図である。
【
図17】
図15による代替測定デバイスの磁気伝達デバイスの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、測定構成11を概略的に示す。そのような測定構成11は、例えば、物体上の膜、層及び/又はコーティング等の試験片14の表面の機械的及び/又は物理的特性の試験をもたらすことができる。測定構成11は、例えば、硬度測定手段として用いることができ、硬度測定は、測定デバイス12の圧子41による侵入によって実施される。更に、測定デバイス12を有するこの測定構成11を提供し、物体上の膜、層又はコーティングの耐引掻性を決定することができる。ここでは、CVDコーティング又はPVDコーティングは、例えばこれらの耐引掻性に対して試験することができる。同様に、更なる微細な引掻を検出することができるか、又は表面からの他の変形情報を検出、分析することができる。同様に、特に測定デバイス12を有するこの測定構成11は、試験片14の表面粗さを測定することも可能にし、このために試験片14の表面の損傷を伴うことはない。この場合、圧子41は、試験片14の表面上に置かれ、表面に沿って変位させ、試験片14の表面粗さを走査する。
【0055】
測定構成11は、共通基体16を含む。前記基体は、好ましくは花崗岩から形成することができる。スタンド17は、基体上に設けられ、このスタンドは、片持ばり18上で測定デバイス12を受け取る。前記スタンド12は、駆動モータ19を含み、駆動モータ19により、測定デバイス12は、
図1に示す最初の位置から、圧子41が試験片14上に載置される試験位置22に変位可能である。駆動モータ19は、例えば、片持ばり18に動力供給し、スタンド12の案内円柱23に沿って上下に移動させることができる。
【0056】
測定台25は、基体16上に更に設けられる。前記測定台25は、測定台受け26を備え、測定台受け26は、矢印27による少なくともX方向で変位可能に駆動される。試験片14は、測定台受け26上に置かれ、測定台受け26に固定される。
【0057】
測定デバイス11は、光検出手段29を更に含むことができ、光検出手段29は、同様に、スタンド17上、又は有利にはスタンド17とは個別の別のスタンド31上に配置することができる。この光検出手段29は、測定デバイス12に隣接して配置することができる。ここで、測定台25又は測定台受け26は、変位可能であるように構成され、侵入位置又は引掻を試験片14の表面に導入した後、試験片14が、光検出手段29に向かって変位可能であるようにし、侵入位置又は導入した引掻が、試験片14の表面内で光学的に検出できるようにする。代替的に、測定台25に対し、測定デバイス12及び光検出手段29の変位移動をもたらすこともできる。
【0058】
測定デバイス11は、概略的に図示される制御器33を更に含み、制御器33は、データ処理手段(本明細書では詳細に図示しない)、表示デバイス35及び入力デバイス36を含む。制御器33は、少なくとも、信号線によって、スタンド17、測定デバイス12及び測定台25と接続される。好ましくは、光検出手段29、及び必要な場合、光検出手段29を受け取るスタンド31も同様にスタンド17、測定デバイス12及び測定台25に接続される。
【0059】
測定デバイス12を駆動するため、測定構成11は、制御器33に接続した少なくとも1つの制御線を更に備える。
【0060】
図2は、本発明による測定デバイス12の第1の斜視図である。
図3は、
図2による測定デバイス12に対する下からの別の斜視図を示す。
図4は、
図2による測定デバイス12の概略側面図を示し、これらの図を同様に参照し、測定デバイス12の構造を示す。
【0061】
測定デバイス12は、基板51を有する筐体47を含む。前記基板の反対側に、カバー要素52が設けられる。間隔要素53は、基板51とカバー要素52との間に設けられる。筐体47を閉鎖する、基板51とカバー要素52との間の側壁は、明確にするため図示しない。
【0062】
基板51は、凹部55を備え、凹部55を通って圧子41が延在し、
図3に示すように下方に出ることができる。圧子41は、伝達要素42によって受け取る。前記要素は、筐体47の内側空間に突出する。伝達要素42は、好ましくは、筐体47内の案内部57によって収容される。前記案内部57により、伝達要素43は、伝達要素42の長手方向軸43に沿って上下に移動することができる。伝達要素42の長手方向軸43は、圧子41の長手方向軸48に対応する。
【0063】
伝達要素42を収容する案内部57は、基板51に締結した保持デバイス58上に配置される。案内部57は、例えば、伝達要素42の長手方向軸43に直交して向けられた第1の板ばね要素61及び第2の板ばね要素62を含む。伝達要素42の長手方向軸43は、好ましくは、駆動デバイス45の駆動要素96の進行軸46内に位置するか、進行軸46に平行に向けられる。板ばね要素61、62は、好ましくは、筐体内でX方向に向けられ、これにより、伝達要素42をZ方向に向けたままにする。これら板ばね要素61、62を通じて、筐体47のZ軸に沿った上下移動又は進行移動を可能にする。第1の実施形態によれば、板ばね要素61、62は、薄い平坦条片、特にばね鋼から形成することが規定される。上側板ばね要素61を補強するため、例えば、補強要素63を板ばね要素61、62の上側及び下側に締結する。これらの補強要素63も同様に条片形状で形成することができる。好ましくは、補強要素63は、ねじ又は挟み留め接続により、板ばね要素61上に固定して配置される。代替的に、補強要素なしで済むように、上側板ばね要素61をより厚く、即ち、より補強して構成することもできる。
【0064】
測定デバイス12は、力生成手段44を更に備え、力生成手段44は、例えばカバー要素52に締結される駆動デバイス45から構成される。
【0065】
更に、力生成手段44は、少なくとも1つの第1の磁極67及び第2の磁極68を備える磁気伝達手段66を含む。第1の磁極67は、駆動手段45に割り当てられる。少なくとも1つの第2の磁極68は、圧子41の反対側の伝達要素42の端部上に配置される。第1の磁極67及び第2の磁極68は、共通長手方向軸、特に駆動要素96の進行軸46に位置し、駆動要素96は、好ましくは、筐体のZ軸に位置する。第1の磁極67及び第2の磁極68は、互いに同じ極で向き合うように向けられる。これにより、反発効果が磁極67、68の間にもたらされる。反発効果又は磁力は、2つの磁極67、68の互いに対する距離が減少するにつれて増大する。磁極67、68は、好ましくは、永久磁石として構成される。磁気伝達手段66は、駆動デバイス45の駆動要素96から圧子41上に、接触せずに力を伝達することを可能にする。この磁気伝達手段66を磁気ばねと呼ぶこともできる。同じ極性で互いに向き合う磁極67、68を通じ、駆動要素96の送り移動において伝達要素42上に変位移動が生成される。しかし、強固な結合はもたらされず、このため、圧子41の変位移動を生成する構成要素内で過度の負荷が防止される。
【0066】
圧子41を受け取る伝達要素42、並びに保持デバイス58の構造及び案内部47の構成を更に説明する目的で
図5を参照する。
【0067】
伝達要素42は、好ましくは管として形成される。受け取り手段71は、伝達要素42の上側端部上に設けられ、第2の磁極68を受け取る。この場合、受け取り手段71は、好ましくは合成材料製の鉢形状要素とすることができる。磁極68は、例えば、受け取り手段71内に接着剤で留めるか又は押し込むことができ、側方に案内される。好ましくは、磁極68は円筒形設計である。磁極68の長手方向軸は、好ましくは、伝達要素42の長手方向軸43に向けられる。同様のことは、第1の磁極67にも適用される。圧子41は、伝達要素42の反対端部上に設けられる。前記圧子は、締結手段72によって交換可能に収容される。硬度測定デバイスとしての測定デバイス12の構成において、締結手段72は、単にラッチ掛け又はクリップ留め接続によって設けることができ、締結手段72における圧子41の軸方向の固着具がもたらされるようにする。測定デバイス12を耐引掻性の決定に使用する際、締結手段72は、軸方向の固着具に加えて、径方向締め付け具も備える。前記締め付け具は、ねじ等によって実現することができる。締結手段72は、特に、コレット・チャック・システムとして構成することができる。
【0068】
伝達要素42の下側端部は、接触せずに基板51の凹部55に陥入する。取り付けリング74は、この凹部55内に配置され、このリング74を通じ、圧子41が自由に、摩擦を伴わずに案内され、圧子41の先端が自由に下側に出ることができるようにする。圧子41の先端は、実施する測定に応じて選択される。前記先端は、角錐又は切頭円錐形状とすることができる。耐引掻性測定を実施する場合、圧子41は、締結手段72内で明確に向けられる。
【0069】
第1の測定手段78の測定探針77は、圧子41の内側端部に設けられる。前記探針は、伝達要素42内の開口を通じて突出し、伝達要素42に入る。この第1の測定手段78は、好ましくは、距離センサとして構成され、基板51に締結される。圧子51の内側端部に対する測定探針77の距離の調節は、調節組立体79により可能である。この第1の測定手段78により、最初の位置から開始し、侵入位置に至る、測定探針47への圧子41の距離が検出され、制御器33に転送される。
【0070】
案内部57、又は互いに平行に離間する2つの板ばね要素61、62によって、Z軸又は進行軸46に沿った伝達要素42、したがって、圧子41の上下移動の案内を達成することができる。上側板ばね要素61は、保持デバイス58上で締め付けるように保持される。締結板81は、解放可能接続、特に、例えばねじ接続によって、組み付けブロック82に締結される。窪み83は、組み付けブロック82内で板ばね要素61を規定の位置に合わせるために設けることができ、この窪み83により、板ばね要素61は、筐体47のX軸に沿って位置合わせされる。
【0071】
下側板ばね要素62は、締め付け手段85により組み付けブロック82内に組み付けられる。この締め付け手段85は、
図8において以下で詳細に説明する。
【0072】
図5は、保持デバイス58上に配置した2つの棒材による移送固着手段87を更に示す。上側棒材は、受け入れ手段71に対し非常にわずかな距離で配置される。下側棒材87は、伝達要素42の前で最小の距離で終端する。このように、移送の間のわずかな偏向は既に阻止されている。
【0073】
更に、2つのU字形板88が組み付けブロック82内に反対方向に向けられて設けられ、これらの板は、移送中、いくぶん水平の向き又はX方向の向きで補償要素89を固着することができる。
【0074】
この補償要素89を更に設けることができる。単純な硬度測定装置としての測定デバイス12の構成において、この補償要素89は必要ではない。これにより、耐引掻性の決定に更なる補強がもたらすことができ、圧子41の偏向移動を相殺する。補償要素89は、組み付けブロック82内に回転可能に組み付けられる。好ましくは、ストラップ組み付け具を設け、これにより、筐体47内で補償要素89のY軸回りに枢動可能な構成を可能にする。伝達要素42の方に向けられた端部93は、好ましくは、開口を通って突出し、伝達要素42に入る。別の板ばね要素94は、この端部93上で作用し、この板ばね要素の反対端部は、伝達要素42の上側端部に固定される。この板ばね要素94は、補強設計とすることができる。好ましくは、補償要素89は管状設計である。
【0075】
図6は、第1の側面図で駆動デバイス45を概略的に拡大して示し、
図7は、駆動デバイス45を
図7の第1の側面図と比較して90°回転させた第2の側面図で示す。駆動デバイス45は、特に駆動心棒として構成した第1の駆動要素96を備える。第1の磁極を受け取る受け取り手段71は、駆動要素95の下側自由端に設ける。好ましくは、第1の磁極67及び第2の磁極68の受け取り手段71は同一である。第1の磁極67及び第2の磁極68の構成は、反転することもできる。
【0076】
各場合において、1つの磁極67、68は、受け取り手段71に受け取られ、受け取り手段71は、一方で、伝達要素42上に設けられ、もう一方で、駆動要素96上に設けられる。更に、受け取り手段71は、多数の個々の磁極を中に配置できるように構成することができる。同様に、磁極は、接着接続ではなく、ラッチ掛け又はクリップ留め接続、例えば受け取り手段71上に係合する更なる係止要素により保持することもできる。
【0077】
磁極67、68は、有利には円筒形設計である。他の形状も可能である。更に、磁極67、68は、内部貫通孔を有するリングとして構成することもできる。
【0078】
駆動モータ97は、筐体47の進行軸又はZ軸に沿った駆動要素96の変位移動を駆動するために設けられる。電気モータ、特にサーボモータが有利に設けられる。この駆動モータ97は、回転駆動器98に動力供給し、回転駆動器98は、駆動モータ97と駆動要素96とを接続する。回転駆動器98は、例えば、駆動モータ97の駆動シャフト上の小歯車を駆動する歯付きベルト99を含み、回転可能に組み付けた心棒ナット101の反対側にある。心棒ナット101は、支承体102により回転可能に収容される。心棒ナット101は、心棒ナット101上に回転可能に固着されるように設けられたスリーブ103を有し、スリーブ103は、上側端部で第3の測定手段105の構成要素104を収容する。第3の測定手段105は、固定して筐体47に接続される。第3の測定手段105は、好ましくは、ロータリ・エンコーダ又はインクリメンタル・エンコーダとして構成され、ロータリ・エンコーダ又はインクリメンタル・エンコーダを通じ、心棒ナット101の実施するの回転を決定する。
【0079】
円柱案内部106は、駆動要素96を回転可能に固着し、上下移動させるために設けられる。この円柱案内部は、カバー要素52上に締結され、U字形案内円柱107を含む。
【0080】
好ましくは、第4の測定手段110は、磁極67と受け取り手段71の間、又は受け取りデバイス72と駆動要素96との間に設けられ、第4の測定手段110は、好ましくは、力センサとして構成される。この第2の測定手段91は、2つの磁極67、68の間に作用する力を検出する。このことは、測定結果を確立するために監視すべき別の測定パラメータを提供することを可能にする。特に、侵入力の監視及び場合によっては修正を決定することができる。圧子41上に伝達される力は、駆動要素96の送り移動によって計算することができ、送り移動の進行経路は、2つの磁極67、68の既知の磁力のため、第3の測定手段105によって検出される。第4の測定手段110により実際に作用する力を比較することが可能である。
【0081】
図8は、締め付け手段85を概略拡大図で示す。下側板ばね要素62は、2つの締め付け要素112により伝達要素42の反対端部上に締め付けて保持される。これら2つの締め付け要素112は、別の板ばね要素113により組み付けブロック82上に保持され、板ばね要素113は、Z方向に向けられる。このことは、下側板ばね要素62のX方向及びその反対方向への偏向移動の検出を可能にする。更に、締め付け要素112は、第2の測定デバイス91に陥入する測定羽根114を有する。この測定デバイス91は、距離センサとして構成される。板ばね要素62上に作用する力又は変位移動は、第2の測定デバイス91によって、羽根114のずれにより測定することができる。この力又は進行移動は、圧子41及び伝達要素42を介して板ばね要素62に伝達される。特に、耐引掻性を測定する際、この第2の測定手段91は、圧子41の偏向に関する別のパラメータを検出することができる。
【0082】
図9は、
図5に代替する一実施形態による測定デバイス12の下側部分の概略断面である。
図9によるこの実施形態は、主に、例えば、振動減衰手段120が第2の磁極68に割り当てられるという点で
図5の実施形態とは異なる。この振動減衰手段120を磁極68に割り当てるのではなく、振動減衰手段130を、伝達要素42の反対側の補償要素89の端部に設けることもできる。2つの組合せも可能である。振動減衰手段120、130は、圧子41が試験片14の表面上に置かれた直後、圧子の1つ又は複数の垂直上昇移動を相殺する任務を実行する。好ましくは、いわゆる渦電流ブレーキを使用する。
【0083】
振動減衰手段120は、例えば好ましくは管部分として形成される容器121として構成される。この容器は、磁極68を囲む。磁極68は、好ましくは、最初の位置では、少なくとも部分的に容器121の内側に配置される。磁極68は、Z軸又は長手方向軸43の方向で垂直上昇移動が生じると、磁極68は、容器121に陥入し、これにより、相殺磁力が増大する。容器121は、好ましくは、強磁性材料、特に銅から形成される。好ましくは、容器121は、磁極68に対して高さが調節可能である。容器121は、好ましくは、間隔要素53に沿って高さを変位させることができる。
【0084】
振動減衰手段130は、部分的にのみ示す。補償要素89は、補償要素89の上に設けた、強磁性材料から形成した羽根131を有する。この羽根は、2つの相互に離間する永久磁石の間に配置され、次に、磁気渦電流ブレーキとして作用するようにする。
【0085】
図10は、板ばね要素61、62の代替実施形態の拡大概略図である。前記板ばね要素61、62は、補強要素63を必要としない。むしろ、構造上の設計は、そのような要素をなしで済ますことができるように選択される。板ばね要素61は、締め付け領域135及び接続領域136、並びに締め付け領域135と接続領域136との間に位置する間隔部分137を備える。撓み支承部138は、締め付け領域135と間隔領域137との間、及び間隔領域137と接続領域136との間に形成される。前記撓み支承部138は、締め付け領域135、接続領域136及び間隔領域137に対して厚さが減少している。これにより、関節が形成される。撓み支承部の剛性の調節は、一方で、厚さの減少により達成され、半径139の設計により達成される。更に、1つ又は複数の細穴凹部141を設け、より柔軟な撓み支承部138を形成することができる。間隔部分137は、平面設計ではなく、枠又は支持構造として構成することもできる。穴142は、保持デバイス上に板ばね要素61を位置合わせするために設けられ、締め付け領域135と組み付けブロック82とをピンによって固着するようにする。反対側には、接続領域136上に受け取り穴143が設けられ、伝達要素42を中に配置することができる。接続領域136及び伝達要素42は、好ましくは、接着接続によって互いに接続される。
【0086】
図11は、案内部57及び保持デバイス58の代替実施形態を示す。本実施形態では、案内部57及び保持デバイス58は一体であることが規定される。1つの加工体からの案内部57の機械加工、例えば、腐食又は超微細加工により、締め付け領域135を保持デバイス58、特に組み付けブロック82と一体に接続する一方で、板ばね要素61、62を撓み支承部138、間隔部分137及び接続領域136と共に構成することが可能である。支持体146は、板ばね要素61、62の間に延在する。前記支持体は、伝達要素42が長手方向軸43、48又はZ方向に沿って偏向移動するのを制限する。接続領域136の他の2つの面側端部は、伝達要素43と固定して接続され、上下移動の両方、即ち、Z方向移動及びZ方向に反する移動を制限する。
【0087】
図12は、上記した測定手段に代替する測定デバイス12の一実施形態の概略側面図を示す。この測定デバイス12は、特に
図6及び
図7で説明した構造と比較して、駆動デバイス45の点で異なって構成される。駆動デバイス45の駆動モータ97は、測定デバイス12の基体16の外側に設けられないが、内側に設けられる。即ち、駆動モータ97は、内側、即ち、カバー要素52の下側に配置される。また、駆動モータ96は、内側に、カバー要素52の下側に締結される。本実施形態では、駆動要素96は、いわゆる伸縮自在心棒として構成される。この伸縮自在心棒は、歯付きベルト99を介して駆動モータ97によって回転駆動器98により駆動される中心駆動心棒を備える。このことは、伸縮自在心棒の伸縮自在な拡張移動を達成し、伸縮自在心棒の下側自由端部に配置した、第1の磁極67を有する受け取りデバイス71が、反対側の磁極68に向かって移動するようにする。
【0088】
測定手段12のこの実施形態は、下側構造の高さという利点が付随する。筐体の外側に位置する回転駆動器98は、カバー(本明細書では詳細に説明しない)により保護することができる。
図13は、測定手段12の
図2に代替する実施形態を示す。この測定手段12は、上記した例示的実施形態とは異なる伝達要素42のための案内部57を備える。本実施形態では、保持デバイス58は、好ましくは、円筒形設計であり、1つの圧力隔壁要素151、152のそれぞれを上側端部及び下側端部上で受け取る。圧力隔壁要素151、152の平行に離間した配置のため、進行軸48
(この進行軸48と上記長手方向軸48とは同軸であって、圧子41が変位移動する方向とかさなる長手方向軸48を特に進行軸48と称する。)に沿った変位移動は、受け取り手段71により伝達要素42上に配置した第2の磁極68上の磁気伝達デバイス66又は第2の磁極67を介した磁力の影響下で実施される。圧子41は、取り付けリング74に対して下方又は外側に同軸に移動する。物体の測定表面への圧子41の侵入移動が測定される。圧力隔壁要素151、152は、断面が波状設計のものとすることができる。上面図で見ると、このことは、同心円がもたらされることを意味する。進行軸48に沿った偏向移動又は偏向力の自由度は、波の数及び高さにより規定することができる。圧力隔壁要素151、152は、好ましくは、非磁性材料から作製される。前記要素は、薄い円板形状の弾性材料から構成される。
【0089】
第1の測定手段78は、伝達手段上に設けられ、測定手段78のセンサ要素は、伝達要素上に固定して配置され、測定手段78の相補センサ要素は、保持デバイス58上に固定して配置される。進行軸48に沿った変位移動によって、2つのセンサ要素の間の距離は変化し、これにより、進行経路の正確な決定を可能にする。この第1の測定手段78は、上述の第1の測定デバイス78と同様に動作する。
【0090】
好ましくは、第2の測定手段91は、伝達要素42上に配置される。第2の測定手段91は、同様に、伝達要素42上に直接配置したセンサ要素を備え、伝達要素42に隣接して、保持デバイス58上に配置した第2のセンサ要素を備える。X方向又はX方向の反対に進行移動する間、圧子41の偏向の偏差は、この第2の測定手段91によって検出することができる。第2の測定手段91の構成は、
図9で説明した測定手段91に対応する。
【0091】
図14は、圧子41に近接して向けられた、下側又は第2の圧力隔壁要素152に対する下方からの概略図である。保持デバイス58は、圧力隔壁要素152を締め付けて受け取る。圧力隔壁要素151にも設けた圧力隔壁要素152の同心波を破線で示す。更に、この下側圧力隔壁要素152は、上側圧力隔壁要素151とは対照的に、互いに平行に離間する2つの長手方向細穴153を備える。長手方向細穴153はそれぞれ、X方向に向けられるか、又はX軸に平行に延在する。圧力隔壁要素152がY軸に沿って柔軟又は弾性的であり、X軸に沿って剛性であるように構成されるのは、このためである。したがって、X方向での圧子41の偏向は、耐引掻性の測定の間に検出することができる。
【0092】
図13による実施形態では、第2の測定手段91と同様に、90°ずらして配置した伝達ピン42上に別の測定手段を設けることができる。このように、圧子41の偏向移動は、Y方向で検出することができる。
【0093】
以下、上記の実施形態及び代替形態を参照されたい。
【0094】
図15は、測定デバイス12の
図2の実施形態に代替する実施形態の第1の斜視図である。
図16は、
図15による測定デバイス12の代替実施形態の別の斜視図を示す。
【0095】
この測定デバイス12は、力生成手段44の駆動デバイス45が異なって構成されるという点で
図2による第1の実施形態とは異なる。より良好な説明の目的で、
図17は、駆動デバイス45のこの代替実施形態の概略断面図を示す。
【0096】
この代替実施形態の駆動デバイス45は、筐体47、特にカバー要素52上に配置される。駆動モータ97は、互いに平行に向けられた2つの歯付きラック161、162によって形成した駆動要素96に動力供給する。この対の歯付きラック161、162は、駆動車163によって動力供給され、駆動車163は、駆動モータ97により回転可能に接続される。前記駆動車163は、好ましくは、駆動モータ97の駆動シャフト上に直接設けられる。代替的に、減速又は伝達用歯車機構を駆動車163と駆動モータ97との間に設けることができる。この駆動車163は、歯付きラック161、162の両方に同時に動力供給する。このことにより、歯付きラック161、162の反対側への変位移動が引き起こされる。
【0097】
駆動モータ97の駆動シャフト又は駆動車163の回転移動は、単純に検出又はデコードすることができ、その結果、駆動車163と歯付きラック161、162との固定形状関係のために、第1の磁極67の永久磁石の進行経路の正確な検出及び駆動を行うことが可能である。
【0098】
歯付きラック161、162の変位移動は、進行軸46に沿って生じ、進行軸46は、伝達要素42又は圧子41の進行軸48に直交して向けられる。したがって、例示的な実施形態では、それぞれ、進行軸48は、Z方向、即ち、垂直方向に向けられ、進行軸46は、X/Y平面、即ち、水平に向けられる。
【0099】
駆動要素96は、案内部165により変位可能に収容される。案内部165は、好ましくは、互いに平行に向けた2つの案内レール166から構成され、1つ又は複数の変位可能往復台167を案内する。各場合において、1つの歯付きラック161、162は、往復台(複数可)167上に配置される。
【0100】
この代替実施形態では、第1の磁極67を2つの個別の永久磁石から形成することを規定する。代替的に、多数の個別の永久磁石を設けることもできる。第2の磁極68は、個別の永久磁石の数の点で、第1の永久磁石67に適合する。伝達要素42上の受け取り手段71は、2つの個別の窪みを備え、窪みは、進行軸48に同じ距離で、第2の磁極68を形成する永久磁石を受け取る。
【0101】
第1の磁極67を受け取る受け取りデバイス71は、互いに別個に配置した2つの受け取り要素71によって形成される。永久磁石のための各受け取り要素71は、歯付きラック161、162上に配置され、各場合において、受け取り手段71は、平行に延在する2つの歯付きラック161と162との間に配置されるようにする。
【0102】
測定デバイス12の最初の位置では、第1の磁極67の2つの永久磁石は、互いに離間し、前記磁石が、反対側に配置した第2の磁極68の永久磁石上に磁力を与えない又はほぼ与えないようにする。圧子41の侵入移動を駆動するため、駆動モータ97により駆動車73に回転移動が引き起こされ、駆動車73を通じて、2つの歯付きラック161、162は、同期的に互いに反対に変位する。第1の磁極67の2つの永久磁石は、互いに向かって同時に移動する。第2の磁極68の永久磁石に対する第1の磁極67の永久磁石の位置において、
図17に示すように、わずかな重複度のために、わずかな磁力のみが伝達される。力の最大伝達は、第1の磁極67の永久磁石が、第2の磁極68の永久磁石と一致するように配置されるまで互いに向かって移動した場合に存在する。重複度は、測定デバイス12の制御によって、特に、圧子41の侵入移動又は進行経路に応じて駆動される。
【0103】
圧子41の侵入移動を駆動する第1の磁極67の永久磁石の上記変位移動とは代替的に、第1の磁極67の永久磁石は、最初の位置において互いに隣接して位置し、第2の磁極68の永久磁石は、大きな距離で、直接隣接するように配置した第1の磁極67の2つの永久磁石の外側に位置することを規定することもできる。この場合、第1の磁極67の永久磁石の変位移動は、互いから離すように駆動される。
【0104】
図15から
図17に示す実施形態では、進行軸46は、例えば、
図2に示す座標系に従って向けられる。代替的に、この進行軸46は、XY平面内での別の方向、特にX軸で向けることもできる。
【0105】
図15による測定デバイス12の(詳細に図示しない)別の実施形態によれば、第1の磁極67、第2の磁極68は、1つの永久磁石のみから構成することを規定することもできる。したがって、伝達要素の進行軸48直交する進行軸46に沿って第1の磁極67を変位させるには、前記磁極を固定した1つの駆動要素を駆動させるだけで十分である。
【0106】
更に、代替的に、磁極67、68ごとに3つ以上の永久磁石を設けることを規定することができる。この場合、前記磁石は、円周上に配置することができる。このように、第1の磁極67の複数の永久磁石を、枢動移動により、第2の磁極68のそれぞれの永久磁石に対して部分的又は完全に重複させることができる。
【0107】
付随的に、上記の実施形態及び代替形態は、直接的又は類似的に、
図15から
図17による上記の測定デバイス12に適用される。
【0108】
上記の測定デバイス12は、図示する直立位置での測定、及び架空での測定の両方を可能にする。
【0109】
測定構成11において測定デバイス12により試験片14の表面の硬度測定を実施することは、以下のように実施される。
【0110】
測定台26上に試験片14を置いた後、測定デバイス12をスタンド17により試験片14上に配置する。測定デバイス12のこの最初の位置において、圧子41は、最初の位置にある、即ち、圧子41は、筐体の基板51の下側に対して後退しているか、又は筐体47に固定した取り付けリング74上の設置表面76に対して後退している。次に、スタンド17の少なくとも1つのモータ19により測定デバイス12を試験片14の表面に向かって移動させる。試験片14上に測定デバイス12の取り付けリング74の設置表面76を置くと、送り移動が固定される。次に、力生成手段44を起動する。駆動手段45は、駆動要素96を作動し、駆動要素96が、進行軸46に沿って、圧子41に向かう方向で変位移動を実施するようにする。磁気伝達デバイス66により、磁極67は、磁極68に向かって移動する。2つの磁極67、68の反発する磁力のため、進行軸46に沿った送り移動は、磁極67から磁極68上に接触せずに伝達される。この案内部57により、圧子41は、進行軸46に沿って移動し、進行軸46は、好ましくは、下方の、試験片14の表面に向かう伝達要素42の長手方向軸43と一致する。圧子41が試験片14の表面上に載置されると、第1の測定手段78は、距離の変化を決定せず、駆動手段45の送り移動が制御器33を介して固定される。この最初の位置は、ゼロ位置として制御器33に転送される。次に、駆動要素96の別の送り移動を制御器33により駆動し、これにより、試験片14への圧子41の侵入移動を駆動する。第1の測定手段78は、侵入経路を決定する。試験力は、駆動要素96の送り移動から決定することができ、送り移動は、第3の測定手段105によって検出する。代替的に及び/又は比較のため、圧子41に作用する試験力は、第4の測定手段110により決定することもできる。これらの測定値及び圧子41の形状から、試験片14の表面硬度を決定することができる。圧子41は、球体又は角錐の形態することができる。この圧子は、好ましくは、ダイヤモンド、黄玉、鋼玉又は石英から構成される。
【0111】
次に、測定デバイス12を試験片14から持ち上げる、及び/又は駆動要素96を駆動して圧子41の反対への変位移動を実施する。このことは、同時に実施するか、又は1つ1つ実施することができる。測定デバイス12は、最初の位置に戻される。案内部47を使用すると、圧子41も同様に伝達ピン42と共に最初の位置に後退する。
【0112】
次に、試験片14内に侵入位置を導入した後、光検出デバイスにより侵入位置のマッピングを確立することができ、光学評価も同様に実施することができる。
【0113】
試験片14の表面の耐引掻性を決定するため、試験片14を測定台25上又は測定台25の測定台受け26上に配置する。試験片14の上に測定デバイス12を配置し、圧子が、試験片14の表面に直交する送り移動により、前記試験片に向かって移動できるようにする。駆動デバイス45を作動し、駆動要素96が、進行軸46に沿って、圧子41に向かう方向で送り移動を実施するようにする。この送り移動は、磁気伝達デバイス66により圧子41の変位移動に変換され、圧子が最初の位置から動作位置に移送されるようにする。この動作位置では、圧子41は、筐体47の基板51の下側、又は筐体47の基板51の凹部55内に配置した取り付けリング47に対して突出する。
【0114】
次に、測定デバイス12を試験片14に向かって移動させる。このことは、例えば、モータ19により実施される。圧子41が試験片14の表面上に置かれると、送り移動が固定される。この接触は、第1の測定手段78によって検出される。測定手段12は、試験片14への開始位置内に配置される。この開始位置は、ゼロ位置として制御器33に保存される。この開始位置は、耐引掻性を決定する、いわゆる事前走査を目的とすることができる。前記開始位置は、試験片の表面粗さの測定を目的とすることもできる。
【0115】
この開始位置に基づき、第1の事前走査を実施することができる、即ち、試験片14の表面を試験片14の表面の所定の変位経路に沿って走査する。変位経路は、試験片14に対し接線方向に又は長方形に、例えばX軸に沿って向けられる。好ましくは、測定デバイス12は固定され、測定台25は、モータ28により
図1による矢印27の方向で変位し、これにより、表面位置及び表面外形を走査し、事前引掻外形データとして測定信号を保存する。このことを事前走査とも呼ぶ。その後、測定デバイス12を試験片14から持ち上げる。測定デバイス12及び測定台25は、開始位置に戻して配置される。その後、再度、制御器33により、モータ28を使用して事前走査の場合と同じ、矢印27による変位移動を駆動する。同時に、この変位移動により駆動手段45を駆動し、圧子に試験力が加えられるようにし、これにより、圧子41が、測定台25の変位移動の間、試験片41の表面に次第に侵入する。この侵入移動は、第1の測定手段
78によって検出する。同時に、第3の測定デバイス105を使用して、加えられた試験力を計算する。更に、実際に加えられた試験力は、第4の測定手段110により検出することができる。これに加えて、矢印27による進行方向での圧子41の偏向は、第2の測定手段91により検出する。予め規定した試験力を加えた後に予め規定した移動が終了すると、測定デバイスを試験片14から持ち上げる。引掻を導入する間に検出した測定信号を制御器33によって保存、評価し、耐引掻性を決定する。
【0116】
再度、測定デバイス12及び測定台25は、開始位置に戻すことができる。その後、いわゆる事後走査を行うことができる。圧子41を引掻内に配置する。再度、矢印27による測定台25の変位移動を実施し、これにより、圧子41を引掻に沿って案内し、引掻に入れる。再度、矢印27による測定台25の進行移動が生じ、これにより、引掻に沿って、引掻内で圧子41を案内する。圧子41が引掻内を変位移動する間、第1の測定手段78、及び少なくとも第2の測定手段91によって測定信号を再度検出する。これに加えて、事前走査、引掻導入及び/又は事後走査の間、別の測定手段の別のセンサにより、Y方向、即ち、試験片14の表面の平面内のX方向に直交する方向での圧子の偏向を検出することができる。
【0117】
引掻の導入後及び/又は事後走査後、光検出手段29は、引掻を検出し、更に、光学的評価を可能にする。
【0118】
試験片14の表面粗さを測定するため、再度、耐引掻性の測定の場合と同様に開始位置を取る。この開始位置から開始すると、圧子41は、試験片14の表面上で所定の変位経路に沿って移動する。変位経路は、試験片14に対し接線方向に又は長方形に、X軸に沿って向けられる。この場合、測定デバイス12を固定することができ、測定台は、モータ28により矢印27の方向で変位する。代替的に、測定台を固定することができ、測定デバイス12を変位する。同様に、測定台と測定デバイス12との間に相対移動を実施することもできる。長手方向軸48に沿った、試験片14の表面粗さによって生じる圧子41の変位移動は、第1の測定手段78によって検出し、制御器33によって評価する。試験片14の表面に沿って所定の変位経路を走査した後、測定デバイス12を試験片14から持ち上げる。