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特許7200143バッテリー電極の表面上に薄膜の液相堆積を行うための方法、システム、及び組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】バッテリー電極の表面上に薄膜の液相堆積を行うための方法、システム、及び組成物
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20221226BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20221226BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20221226BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20221226BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/02 Z
H01M4/04 Z
H01M4/13
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019571472
(86)(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 US2018038612
(87)【国際公開番号】W WO2018237083
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】62/522,470
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519453766
【氏名又は名称】コアシェル テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CORESHELL TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ソーラブ ロジャー バス
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン タン
【審査官】増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-079246(JP,A)
【文献】特表2012-516941(JP,A)
【文献】特表2016-521906(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0090652(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー電極の表面に薄膜をコーティングする方法において、
(a) 搬送装置にバッテリー電極を準備するステップと、
(b) 前記搬送装置によって、第1試薬を含む少なくとも第1溶液を有する第1反応チャンバに前記バッテリー電極を移送するステップと、
(c) 前記搬送装置によって、前記バッテリー電極を前記第1溶液に曝露させて、前記バッテリー電極の前記表面上に吸着第1試薬を含む最初の層を有する第1コーティングされたバッテリー電極を生成するステップと、
(d) 前記搬送装置によって、前記第1コーティングされたバッテリー電極を、少なくとも第2試薬を含む第2溶液を有する第2反応チャンバに移送するステップと、並びに
(e) 前記搬送装置によって、前記第1コーティングされたバッテリー電極を前記第2溶液に曝露させるステップであって、前記少なくとも第2試薬は、前記第1コーティングされたバッテリー電極における前記吸着第1試薬と反応して、第2コーティングされたバッテリー電極の前記表面上にコーティングされた完全な単層の薄膜を有する前記第2コーティングされたバッテリー電極を生成し、前記単層の薄膜は、前記第2試薬及び前記吸着第1試薬の反応から形成された化合物を有するものであるステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記単層の薄膜は約0.5nm~100μmの厚さを有する、方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法において、(a)における前記バッテリー電極は、100nm~1,000μmの厚さを有する、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記バッテリー電極は、1つ以上の活性材料を含む、多孔質の、予形成したリチウムイオン電池電極である、方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、前記第1試薬は1つ以上の活性材料に化学的に結合し、
前記薄膜の単層は、少なくとも前記第2試薬が少なくとも1つ以上の活性材料に化学的に結合される前記第1試薬と反応するときに生成される、人工的な固体-電解質-相間界面(SEI)を含む、方法。
【請求項6】
請求項4記載の方法において、前記1つ以上の活性材料は、グラファイト、Si、Sn、ケイ素-グラファイト複合物、Sn-グラファイト複合物、リチウム金属、LiNixMnyCozO2、LiNixCoyAlzO2、LiMnxNiyOz、LiMnO2、LiFePO4、LiMnPO4、LiNiPO4、LiCoPO4、LiV2O5、硫黄又はLiCoO2から成り、ここでx、y、zは化学量論係数である、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記生成された化合物は、
(a) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、AxOy型の二元酸化物、
(b) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、AxByOz型の三元酸化物、
(c) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、AwBxCyOz型の四元酸化物、
(d) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドであり、Bがハロゲンであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、AxBy型の二元ハロゲン化物、
(e) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドの任意な組合せであり、Cがハロゲンであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、AxByCz型の三元ハロゲン化物、
(f) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドの任意な組合せであり、Dがハロゲンであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、AwBxCyDz型の四元ハロゲン化物、
(g) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、AxNy型の二元窒化物、
(h) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、AxByNz型の三元窒化物、
(i) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、AwBxCyNz型の四元窒化物、
(j) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドであり、Bがカルコゲンであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、AxBy型の二元カルコゲン化物、
(k) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドの任意な組合せであり、Cがカルコゲンであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、AxByCz型の三元カルコゲン化物、
(l) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドの任意な組合せであり、Dがカルコゲンであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、AwBxCyDz型の四元カルコゲン化物、
(m) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、AxCy型の二元炭化物、
(n) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドであり、Bがハロゲンであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、AxByOz型の二元オキシハロゲン化物、
(o) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、AxAsy型の二元ヒ化物、
(p) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、AxByAsz型の三元ヒ化物、
(q) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、AwBxCyAsz型の四元ヒ化物、
(r) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、Ax(PO4)y型の二元リン酸塩、
(s) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、AxBy(PO4)z型の三元リン酸塩、並びに
(t) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属又はメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、AwBxCy(PO4)z型の四元リン酸塩、
よりなるグループのうち1つから選択される、方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記生成された化合物は、ポリマーである、酸化ポリエチレン(PEO)、ポリビニル・アルコール(PVA)、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリビニル・ピロリドン(PVP)の任意な組合せからなる、方法。
【請求項9】
請求項4記載の方法において、前記1つ以上の活性材料は基板に堆積され、
前記基板は、フォイル、シート、又はフィルムの形態であり、
前記基板はポリイミド、ポリエチレン、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリエステル及びポリエチレン・ナフタレート(PEN)よりなるグループから選択される有機材料で構成される、方法。
【請求項10】
請求項4記載の方法において、多孔質の、予形成したリチウムイオン電池電極である、前記1つ以上の活性材料は、スプレー、スロットダイコーティング、バスコーティング又はグラビアローラコーティングによって前記第1溶液及び前記第2溶液に曝露される、方法。
【請求項11】
バッテリー電極の表面に薄膜をコーティングする液相堆積方法において、
(a) バッテリー電極を反応チャンバ内に準備するステップと、
(b) 前記バッテリー電極を、第1試薬を含む第1溶液に、前記バッテリー電極を前記第1溶液に少なくとも部分的に浸漬することによって曝露させて、前記バッテリー電極の前記表面上に吸着第1試薬を含む最初の層を有する第1コーティングされたバッテリー電極を生成するステップと、及び
(c) 前記第1コーティングされたバッテリー電極を、第2試薬を含む第2溶液に、前記第1コーティングされたバッテリー電極を前記第2溶液に少なくとも部分的に漬浸することによって曝露させるステップであり、前記少なくとも第2試薬が前記第1コーティングされたバッテリー電極における前記吸着第1試薬と反応し、第2コーティングされたバッテリー電極の表面上にコーティングされた完全な単層の薄膜を有する前記第2コーティングされたバッテリー電極を生成し、前記単層の薄膜は、前記第2試薬及び前記吸着第1試薬の反応から形成された化合物を有するものであるステップと、
を備える、方法。
【請求項12】
バッテリー電極上に薄膜をコーティングするシステムにおいて、
前記バッテリー電極を以下のものに搬送する搬送装置であって、すなわち、
(a) 前記バッテリー電極を、少なくとも第1試薬を含む第1溶液に曝露させて、前記バッテリー電極上に吸着第1試薬を含む層を生成する、第1反応チャンバと、及び
(b) 吸着第1試薬を含む層を有する前記バッテリー電極を、少なくとも第2試薬を含む第2溶液に曝露させる第2反応チャンバであって、前記少なくとも第2試薬が前記吸着第1試薬と反応し、前記電極の表面上に薄膜を生成する、第2反応チャンバと、
に搬送する、搬送装置を備える、システム。
【請求項13】
請求項12記載のシステムにおいて、前記搬送装置は、前記電極を前記第1反応チャンバ及び第2反応チャンバに案内する一連のローラを有する、システム。
【請求項14】
バッテリー電極上に薄膜をコーティングするシステムにおいて、
前記バッテリー電極を反応チャンバに搬送する搬送装置であって、前記反応チャンバでは、
(1) 前記バッテリー電極が、少なくとも第1試薬を含む第1溶液に曝露されて、前記バッテリー電極上に吸着第1試薬を含む層を生成し、また
(2) 前記吸着第1試薬を含む層を有する前記バッテリー電極が、少なくとも第2試薬を含む第2溶液に曝露され、前記少なくとも第2試薬が前記吸着第1試薬と反応し、完全にコーティングされたバッテリー電極の表面上にコーティングされた完全な単層の薄膜を有する前記完全にコーティングされたバッテリー電極を生成し、前記単層の薄膜は、前記第2試薬及び前記吸着第1試薬の反応から生じた化合物を含んでいる、
搬送装置を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件出願は、参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする、2017年6月20日出願の米国仮出願第62/522,470号の恩恵を主張する。
【背景技術】
【0002】
伝統的気相原子層堆積(ALD)技術は、真空チャンバ内における有機金属前駆体の蒸発に依存している。このチャンバ内に配置される基板は、有機金属蒸気の衝突流束に曝露させる。しばしば水酸基末端化されている基板表面は、吸着有機金属の1つの自己限定的表面飽和単分子層を精密に作出するよう衝突蒸気と反応する。一例において、真空及び不活性ガスを用いての過剰有機金属排除が後続し、基板表面の酸化剤(例えば、HO、O又はO)に対する曝露が後続する有機金属吸着は、結果として金属酸化物の精密な1つの単分子層形成を生ずる。
【0003】
ALDは、基板上に多孔質マイクロ構体を処理する精密厚さで共形コーティングを生成するのに特に好適である。このような基板の一例はリチウムイオン電池(LIB)電極である。従来技術のLIB電極は、一般的には結合剤及び導電性添加剤と混合したアノード粒子又はカソード粒子のスラリーをフォイル状電流コレクタ上にコーティングすることによって作製する。コーティング後に粒子間に残存する開口空間は、電極薄膜の厚さ全体にわたり多孔性を生ずる。この種の形態を処理する基板は、他の物理蒸着(PVD)プロセス(例えば、スパッタリング)によって適切にコーティングすることができないことがよくあり、これは「見通し線」限界に起因する。代表的には、このような技術における堆積サイクルは、製品を完成するため、反応前に吸着原子表面移動がほとんどないようにできる。この結果として、基板における原子の衝突流束に直接曝露される領域のみ適切にコーティングされる。すべての表面を多孔質形態で共形的及び均一にコーティングするため、ALDに類似する堆積技術を必要とし、この場合、相当量の時間が反応前の吸着原子の表面移動性のために許容される。リチウムイオン電池電極上に及びALDコーティングは、一般的に固体-電解質-相関(SEI)形成のような容量フェードに関連する有害な側面反応を減少することが実証されている。しかし、伝統的ALDプロセスにおける多数の製造限界は、類似薄膜品質、均一性及び共形性を達成する製造性のより高いプロセスに対する必要性を顕在化する。
【0004】
Al及びZnOのような酸化物のALDに使用される有機金属試薬(すなわち、前駆体)(それぞれ、トリメチルアルミニウム(TMA)及びジエチルジンク(DEZ))は、比較的低温(<100℃)及び適度なベース真空圧(>1Torr)で蒸発するとともに、多くの有機金属前駆体は、相当高い蒸気圧を発生するために100℃より高い温度(及び200℃より相当高い)を必要とする。高い前駆体沸点に対する重大な欠点は、基板表面上での前駆体縮合を防止するため基板温度を前駆体沸点以上の温度に維持しなければならない点である。前駆体縮合は単分子層毎の成長制御損失を生ずる結果となり、ひいては予測不可能な最終膜厚となる結果になる。抽気ALDチャンバ内での基板は、熱伝導媒体がないことに起因して放射加熱する(懸吊したロール・ツー・ロールのフォイル状基板のように)必要性がしばしばある。放射加熱は、バッテリー電極に使用されるような反射性フォイル状基板にとっては不十分である。高基板温度(>200℃)は、さらにバッテリー電極にとっては実用的ではなく、これはすなわち、このような温度では電極コーティングに使用されるポリマー結合剤(例えば、PVDF)が劣化するからである。ロール・ツー・ロール基板の層内に混入した残留ガスは、さらに、伝統的ALDチャンバにおけるポンプダウン時間を長くし、また連続的パージ及び抽気により使用されなかった前駆体の損失は伝統的ALDプロセスにおける材料利用率を低下することになる。伝統的ALDプロセスで代表的に使用されるガス状有機金属前駆体における自然発火性の性質は、さらに、コスト的に安全な下部構造を組み込む必要もある。
【0005】
特許文献1(米国公開特許公報第2016/0351973号)において、気相ALD及び誘導体堆積技術は、スラリー形成前に種々の封入コーティングを有するバッテリー電極の構成成分パウダーを直接コーティングすることによってSEI形成を減少することを開示した。このような技術は、形成された電極のALDコーティングにおける基板温度のような若干の限界を回避する。しかし、この技術における重大な欠点は、このようにして形成される保護(不動態化)層が相当な電極内部抵抗を誘引する点である。内部抵抗は電圧低下に起因してバッテリー出力を大幅に制限するおそれがある。封入保護層が有害な側面反応に対する抑制剤として十分機能するためには、電極と電解質との間における電子移動を抑止しなければならない。特許文献1の出願で示されたような広いバンドギャップ絶縁材料は、このような用途にとって良候補である。残念なことに、個別の電極パウダー粒子が塗布されるとき、粒子間電子移動を妨げることも行い、内部抵抗を生ずる結果となる。内部抵抗の問題を回避するとともに、電極と電解質との間における保護層の恩恵を維持する唯一の方法は、予形成したバッテリー電極に保護層を堆積させることである。
【0006】
酸化物及びカルコゲン化物の高品質で共形的な薄膜は、数10年にわたりALD以外の技術、例えば、化学浴析出(CBD)、順次イオン層吸着及び反応(SILAR)及び層毎のゾルゲルによって堆積が行われてきた。CBD技術において、複合した金属前駆体の(代表的には)水溶液をカルコゲン化物又は酸化物のイオン源と混合させる。これらプロセスの温度は、一般的には、バッテリー電極材料、結合剤又はセパレータの分解温度よりも相当低い適度なものである。CBDは、CdTe又はCIGS薄膜太陽電池上にn型結合として高品質CdS又はZnSを堆積するのに使用されていることが最もよく知られている。この技術は、長年、これらタイプの太陽電池のための世界記録的効率を設定するために使用されてきた。それらは、優れた薄膜品質及び共形性を示す開回路電圧、高ダイオードの理想的な性質、及び高シャント抵抗を生じてきた。CBDプロセスは、薄膜太陽電池大量生産ラインとして商業化されてもいる。
【0007】
CBD技術の有用な変化形はSILARである。この場合、基板はカチオン(残留溶液)性及びアニオン(陰イオン)性の溶液に対して交互に曝し、これらステップ間にリンス(洗い流し)ステップを挟んで行う。この技術は、結果としてより緩慢な薄膜成長を生ずるとともに、この技術の恩恵は、2つの反応物質の混合から均質核生成(析出)の脱離であり、このことは材料利用を劇的に改善する。良好な誘電体のトンネル現象限界が1~2nmのオーダーであるという事実を考慮すると、SILAR技術はバッテリー電極表面に保護層堆積が実現可能である。SILARプロセスにおける厚さ制御は、CBDプロセスにおけるよりも良好であり、例えば、バッテリー電極上での保護層の厚さ制御は、電子トンネル現象バリアを維持するとともに、リチウム拡散に対する望ましくないバリアを防止するのに臨界的である。
【0008】
気相ALDに使用する同一種類の有機金属を使用する層毎のゾルゲルコーティングを実証する溶液ベースの技術も存在する。例えば、Al単分子層は、基板を適切なアルミニウムアルコキシド溶液に浸漬させることによって成長することができる。有機金属前駆体吸着に続いての加水分解のような酸化ステップは、酸化物の単一単分子層を産生することができる。これらステップは、単分子層毎のコーティングを生ずるようステップ間にリンスステップを伴って繰り返される。金属アルコキシド前駆体は、一般的には2プロパノールのような標準有機溶剤内で極めて高いモル濃度にまで溶解可能である。近年、高品質なAl、SiO及びZrOの再結合阻止層はこの技術を使用して色素増感TiO太陽電池上に全体的に成長した。
【0009】
特許文献2(米国公開特許公報第2016/0090652号)は、上述した方法に類似の液相ALD方法を提示しており、この方法は、個別ウェハー基板を有機金属前駆体の溶液、過剰有機金属を除去するリンス溶剤、酸化溶液、及び他のリンスに連続して曝露させる。これら4つのステップは任意な所望厚さになるまで繰り返す。ウェハーはスピンコーティング装置に取り付け、各ステップ直後にウェハーをスピンさせて過剰流体を除去する。この技術はウェハーに類似する基板にもうまく機能することができるが、このプロセスはフォイルロールのような連続的基板をコーティングするのには使用できない。
【0010】
したがって、ALD及び他の従来方法に代わる、バッテリー電極の表面上に共形的コーティングを得るための、より迅速、より効率的、より安全、及びより費用効果が高い堆積方法に対する必要性が存在する。現在に至るまで、商業的規模でロール状バッテリー電極上に共形的に成長した薄膜を堆積させる溶液堆積設備は実証されていなかった。依然として解決されていなかった重大な困難性の例としては、薄膜成長中における均質核生成、前駆体溶液の交差汚染、及び薄膜のすべての場所における膜厚の均一性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国公開特許公報第2016/0351973号
【文献】米国公開特許公報第2016/0090652号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、薄膜コーティングを生成するための液相堆積する方法、システム、及び組成物を提供する。本明細書記載の薄膜は、とくに、電気化学デバイス、例えば、バッテリー電極又はバッテリーセパレータ薄膜に使用される多孔質コンポーネントの表面をコーティングするのに有用である。本開示の方法及びシステムは、気相に代わる液相送給にも係わらず、試薬がALDにおけるように基板表面にわたり吸着及び移動できることによって、精密厚さ制御及び所望薄膜の共形性を促進する。試薬の液相送給は、高温による熱蒸発に依存する代わりに試薬を移動させる溶媒和エネルギーを活用する。
【0013】
若干の態様において本発明開示は、バッテリー電極の表面に薄膜をコーティングする方法に関し、この方法は、
(a) 搬送装置にバッテリー電極を準備するステップと、
(b) 前記搬送装置によって、第1試薬を含む少なくとも第1溶液を有する第1反応チャンバに前記バッテリー電極を移送するステップと、
(c) 前記搬送装置によって、前記第1溶液に曝露させて前記バッテリー電極の前記表面上に吸着第1試薬を含む層を有する部分的にコーティングされたバッテリー電極を生成するステップと、
(d) 前記搬送装置によって、前記部分的にコーティングされたバッテリー電極を、少なくとも第2試薬を含む第2溶液を有する第2反応チャンバに移送するステップと、並びに
(e) 前記搬送装置によって、前記部分的にコーティングされたバッテリー電極を前記第2溶液に曝露させるステップであって、前記少なくとも第2試薬は、前記部分的にコーティングされたバッテリー電極における前記吸着第1試薬と反応して、完全にコーティングされた前記バッテリー電極の前記表面上にコーティングされた単分子層の薄膜を有する完全コーティングされたバッテリー電極を生成し、前記単分子層の薄膜は、前記第2試薬及び前記吸着第1試薬の反応から形成された化合物を有するものであるステップと、
を備える。
【0014】
若干の実施形態において、前記単分子層の薄膜は0.5nm~100μmの厚さを有する。幾つかの実施形態において、前記単分子層の薄膜は約0.5nm~100μmの粒径を有する粒子から成るものとすることができる。他の実施形態において、前記単分子層の薄膜は結晶質又は非晶質であることができる。
【0015】
若干の実施形態において、前記バッテリー電極は、100nm~1,000μmの厚さを有する。他の実施形態において、コーティングすべき前記バッテリー電極はサイズが0.1nm~100μmの範囲にわたる細孔を有する。幾つかの実施形態において、コーティングすべき前記バッテリー電極は、1~99%の薄膜多孔率を有する。幾つかの実施形態において、前記バッテリー電極は、グラファイト、Si、Sn、Si-グラファイト複合物、Sn-グラファイト、又はリチウム金属から成るものである。他の実施形態において、前記バッテリー電極は、LiNiMnCo、LiNiCoAl、LiMnNi、LiMnO、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、LiV、硫黄又はLiCoOから成り、ここでx、y、zは化学量論係数である。
【0016】
若干の実施形態において、前記搬送装置はロール・ツー・ロール堆積システムとし得る。幾つかの実施形態において、前記前記搬送装置は、前記バッテリー電極及び前記部分的にコーティングされたバッテリー電極を、それぞれ第1反応チャンバ及び第2反応チャンバに案内する一連のローラを有することができる。
【0017】
若干の実施形態において、前記バッテリー電極は、浸漬、スプレー、スロットダイコーティング、及びグラビアローラコーティングよりなるグループから選択されるプロセスによって、前記第1溶液に対して、部分的又は完全に曝露される。他の実施形態において、前記部分的にコーティングされたバッテリー電極は、浸漬、スプレー、スロットダイコーティング、及びグラビアローラコーティングよりなるグループから選択されるプロセスによって、前記第2溶液に対して、部分的又は完全に曝露される。幾つかの実施形態において、前記第1溶液及び前記第2溶液は非イオン性である。
【0018】
若干の実施形態において、本発明方法は、さらに、第1溶剤を含む第1リンス溶液により前記部分的にコーティングしたバッテリー電極をリンスして、前記部分的にコーティングされたバッテリー電極上の飽和第1層と、前記第1溶剤及び未反応第1試薬を含む第1残留溶液とを生成するステップを備える。幾つかの実施形態において、本発明方法は、さらに、前記第1残留溶液を第1濾過ステップに送り、前記第1溶剤から未反応第1試薬を分離するステップを備える。
【0019】
若干の実施形態において、本発明方法は、さらに、第2溶剤を含む第2リンス溶液により前記完全にコーティングしたバッテリー電極をリンスして、前記完全にコーティングされたバッテリー電極上の薄膜における飽和した単分子層と、前記第2溶剤及び未反応第2試薬を含む第2残留溶液とを生成するステップを備える。幾つかの実施形態において、本発明方法は、さらに、前記第2残留溶液を第2濾過ステップに送り、前記第2溶剤から未反応第2試薬を分離するステップを備える。他の実施形態において、本発明方法は、さらに、回収した前記未反応第1試薬又は前記未反応第2試薬を、それぞれ前記第1溶液又は前記第2溶液に再循環戻しするステップと、及び回収した前記第1溶剤又は前記第2溶剤を、それぞれ前記第1リンス溶液又は前記第2リンス溶液に再循環戻しするステップと、を備える。
【0020】
若干の実施形態において、前記濾過ステップは、膜分離、化学析出、イオン交換、電気化学除去、物理的吸着、及びフロー濾過クロマトグラフィ、又はこれらの組合せを使用して実施する。
【0021】
若干の実施形態において、前記第1溶液は1つより多い試薬を含む。幾つかの実施形態において、前記第2溶液は1つより多い試薬を含む。幾つかの実施形態において、前記第1試薬及び前記第2試薬は有機金属前駆体である。他の実施形態において、前記第1試薬及び前記第2試薬はカチオン性又はアニオン性である。
【0022】
若干の実施形態において、前記第1溶液及び前記第2溶液は、さらに、有機溶剤、水、又はそれら双方の混合物を含む。
【0023】
若干の実施形態において、薄膜は、以下のグループ、すなわち、
(a) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元酸化物、
(b) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の三元酸化物、
(c) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の四元酸化物、
(d) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、Bがハロゲンであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元ハロゲン化物、
(e) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、Cがハロゲンであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の三元ハロゲン化物、
(f) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、Dがハロゲンであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の四元ハロゲン化物、
(g) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元窒化物、
(h) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の三元窒化物、
(i) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の四元窒化物、
(j) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、Bがカルコゲンであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元カルコゲン化物、
(k) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、Cがカルコゲンであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の三元カルコゲン化物、
(l) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、Dがカルコゲンであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の四元カルコゲン化物、
(m) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元炭化物、
(n) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、Bがハロゲンであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の二元オキシハロゲン化物、
(o) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、AAs型の二元ヒ化物、
(p) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、AAs型の三元ヒ化物、
(q) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、AAs型の四元ヒ化物、
(r) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A(PO型の二元リン酸塩、
(s) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A(PO型の三元リン酸塩、並びに
(t) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A(PO型の四元リン酸塩、
よりなるグループのうち1つから選択される化合物を有する。
【0024】
若干の実施形態において、前記形成された化合物は、Al、CdS、又はTiNである。
【0025】
若干の実施形態において、前記バッテリー電極は基板を有する。幾つかの実施形態において、前記基板は、フォイル、シート、又はフィルムの形態である。他の実施形態において、前記基板は、ガラスのウェハー又はピースの形態である。幾つかの実施形態において、前記基板は、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリエステル、又はポリエチレン・ナフタレート(PEN)よりなるグループから選択される有機材料で作成される。他の実施形態において、前記基板は、銅、アルミニウム、又はステンレス鋼のような金属で作成される。
【0026】
若干の態様において、本発明開示は、バッテリー電極の表面に薄膜をコーティングする液相堆積方法に関し、この方法は、
(a) バッテリー電極を反応チャンバ内に準備するステップと、
(b) 前記バッテリー電極を、第1試薬を含む少なくとも第1溶液に曝露させて、前記バッテリー電極の前記表面上に吸着第1試薬を含む層を有する部分的にコーティングされたバッテリー電極を生成するステップと、及び
(c) 前記部分的にコーティングされたバッテリー電極を、第2試薬を含む少なくとも第2溶液に曝露させるステップであり、前記少なくとも第2試薬が前記部分的にコーティングされたバッテリー電極における前記第1吸着試薬と反応し、完全にコーティングされたバッテリー電極の表面上にコーティングされた単分子層の薄膜を有する完全にコーティングされたバッテリー電極を生成し、前記単分子層の薄膜は、前記第2試薬及び前記吸着第1試薬の反応から形成された化合物を有するものであるステップと、
を備える。
【0027】
若干の態様において、本発明方法は、さらに、第1溶剤を含む第1リンス溶液により前記部分的にコーティングしたバッテリー電極をリンスして、前記部分的にコーティングされたバッテリー電極上の飽和第1層と、前記第1溶剤及び未反応第1試薬を含む第1残留溶液とを生成するステップと、並びに第2溶剤を含む第2リンス溶液により前記完全にコーティングしたバッテリー電極をリンスして、前記完全にコーティングされたバッテリー電極上の薄膜における飽和した単分子層と、前記第2溶剤及び未反応第2試薬を含む第2残留溶液とを生成するステップと、を備える。
【0028】
若干の態様において、本発明方法は、さらに、前記第1残留溶液を第1濾過ステップに送り、前記第1溶剤から未反応第1試薬を分離するステップと、及び前記第2残留溶液を第2濾過ステップに送り、前記第2溶剤から未反応第2試薬を分離するステップと、を備える。
【0029】
若干の実施形態において、本発明方法は、さらに、回収した前記未反応第1試薬又は前記未反応第2試薬を、それぞれ前記第1溶液又は前記第2溶液に再循環戻しするステップと、及び回収した前記第1溶剤又は前記第2溶剤を、それぞれ前記第1リンス溶液又は前記第2リンス溶液に再循環戻しするステップと、を備える。
【0030】
若干の態様において、本発明開示は、バッテリー電極上に薄膜をコーティングするシステムに関し、このシステムは、前記バッテリー電極を以下のものに搬送する搬送装置であって、すなわち、
(a) 前記バッテリー電極を、少なくとも第1試薬を含む第1溶液に曝露させて、前記バッテリー電極上に吸着第1試薬を含む層を有する生成する第1反応チャンバと、及び
(b) 吸着第1試薬を含む層を有する前記バッテリー電極を、少なくとも第2試薬を含む第2溶液に曝露させる第2反応チャンバであって、前記少なくとも第2試薬が前記第1吸着試薬と反応し、前記電極の表面上に薄膜を生成する、該第2反応チャンバと、
に搬送する、該搬送装置を備える。
【0031】
若干の実施形態において、前記搬送装置は、前記電極を第1反応チャンバ及び第2反応チャンバに案内する一連のローラを有する。幾つかの実施形態において、前記第1反応チャンバ及び第2反応チャンバは、タンク、トレイ、又は浴の形態である。幾つかの実施形態において、前記第1反応チャンバ及び第2反応チャンバは、それぞれの反応チャンバ内の第1又は第2の溶液の量を決定するセンサを有する。幾つかの実施形態において、前記第1反応チャンバ及び第2反応チャンバは、それぞれの反応チャンバ内の第1又は第2の溶液の量を調節するバルブを有し、前記バルブは各反応チャンバ内のセンサによって制御する。
【0032】
若干の実施形態において、本発明システムは、さらに、前記第1反応チャンバ及び第2反応チャンバとの間に配置した第1リンスチャンバであって、前記搬送装置によって前記第1リンスチャンバに搬送された前記バッテリー電極をリンスするための第1溶剤を含む第1リンス溶液を収容し、リンスすることによって、前記バッテリー電極上の飽和第1層と、前記第1溶剤及び未反応第1試薬を含む第1残留溶液とを生成する、該第1リンスチャンバを備える。幾つかの実施形態において、本発明システムは、さらに、前記第1リンス溶液における前記第1溶剤から未反応第1試薬を分離する第1濾過装置を備える。
【0033】
若干の実施形態において、本発明システムは、さらに、前記第2反応チャンバの後に配置した第2リンスチャンバであって、前記搬送装置によって前記第2リンスチャンバに搬送された前記バッテリー電極をリンスするための第2溶剤を含む第2リンス溶液を収容し、リンスすることによって、前記バッテリー電極の表面上にコーティングされた薄膜を生成する、該第2リンスチャンバを備える。幾つかの実施形態において、本発明システムは、さらに、前記第2リンス溶液における前記第2溶剤から未反応第2試薬を分離する第2濾過装置を備える。
【0034】
若干の実施形態において、前記第1濾過装置及び前記第2濾過装置は、分離膜、濾過カラム若しくはクロマトグラフィカラム、化学的若しくは電気化学的分離タンク、吸着カラム、又はこれらの組合せのうち1つから選択される。
【0035】
若干の実施形態において、前記吸着第1試薬及び前記第2試薬の反応によって前記形成された化合物は、以下のグループ、すなわち、
(a) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元酸化物、
(b) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の三元酸化物、
(c) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の四元酸化物、
(d) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、Bがハロゲンであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元ハロゲン化物、
(e) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、Cがハロゲンであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の三元ハロゲン化物、
(f) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、Dがハロゲンであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の四元ハロゲン化物、
(g) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元窒化物、
(h) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の三元窒化物、
(i) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の四元窒化物、
(j) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、Bがカルコゲンであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元カルコゲン化物、
(k) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、Cがカルコゲンであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の三元カルコゲン化物、
(l) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、Dがカルコゲンであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の四元カルコゲン化物、
(m) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元炭化物、
(n) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、Bがハロゲンであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の二元オキシハロゲン化物、
(o) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、AAs型の二元ヒ化物、
(p) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、AAs型の三元ヒ化物、
(q) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、AAs型の四元ヒ化物、
(r) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A(PO型の二元リン酸塩、
(s) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A(PO型の三元リン酸塩、並びに
(t) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A(PO型の四元リン酸塩、
よりなるグループのうち1つから選択される。
【0036】
若干の実施形態において、本発明システムは、さらにモータを備える。このモータは、システムの異なるコンポーネント、例えば、ローラに機械的に連結して、電極をシステムに搬送又は駆動する手段を提供する。幾つかの実施形態において、本発明システムはコンピュータを備える。コンピュータは、搬送装置及び/又は他のシステムコンポーネントの動作及び機能を制御する手段として、モータ及び/又はシステムの他のデバイスと動作可能に連結する又はそれ以外として通信状態にすることができる。
【0037】
若干の実施形態において、本発明開示はバッテリー電極に関し、このバッテリー電極は、単分子層の薄膜でコーティングされた多孔質のマイクロ構体であって、前記単分子層の薄膜は0.5nm~100μmの厚さを有する、該マイクロ構体を備える。請求項46の幾つかの実施形態において、前記バッテリー電極は、100nm~1,000μmの厚さを有する。幾つかの実施形態において、前記バッテリー電極は、サイズが0.1nm~100μmの範囲にわたる細孔を有する。幾つかの実施形態において、前記バッテリー電極は、1~99%の薄膜多孔率を有する。幾つかの実施形態において、前記多孔質のマイクロ構体は、グラファイト、Si、Sn、Si-グラファイト複合物、Sn-グラファイト複合物、又はリチウム金属から成るものである。他の実施形態において、前記多孔質のマイクロ構体は、LiNiMnCo、LiNiCoAl、LiMnNi、LiMnO、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、LiV、硫黄又はLiCoOから成り、ここでx、y、zは化学量論係数である。
【0038】
若干の実施形態において、前記薄膜は、第1試薬及び第2試薬の反応によって生成された化合物を有し、前記反応は、前記第1試薬及び第2試薬を有する溶液内に完全に又は部分的に浸漬する電極の表面上で生起し、前記反応が前記電極の表面上に前記化合物を析出する。幾つかの実施形態において、前記化合物は、金属酸化物を有する。他の実施形態において、前記化合物は、遷移金属二カルコゲン化物を有する。
【0039】
若干の実施形態において、バッテリー電極は、さらに基板を有する。幾つかの実施形態において、前記基板は、フォイル、シート、又はフィルムの形態である。幾つかの実施形態において、前記バッテリー電極の前記基板は、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリエステル、又はポリエチレン・ナフタレート(PEN)よりなるグループから選択される有機材料で作成される。他の実施形態において、前記基板は、銅、アルミニウム、又はステンレス鋼のような金属で作成される。
【0040】
若干の実施形態において、本発明方法は、複数の特異薄膜を生成するステップを備える。幾つかの実施形態において、複数の薄膜各々は異なる化合物を有する。他の実施形態において、バッテリー電極の表面上にスタックとして成長させることができる。
【0041】
若干の態様において、本発明開示は、バッテリー電極の表面に薄膜をコーティングする方法に関し、この方法は、
(a) 搬送装置にバッテリー電極を準備するステップと、
(b) 前記搬送装置によって、少なくとも2つの異なる試薬を含む少なくとも溶液を有する反応チャンバに前記バッテリー電極を移送するステップと、及び
(c) 前記搬送装置によって、前記バッテリー電極を前記溶液に曝露させるステップであって、前記少なくとも2つの異なる試薬が反応して、完全にコーティングされたバッテリー電極の表面上に単分子層の薄膜を有する完全コーティングされたバッテリー電極を生成し、前記単分子層の薄膜は、前記少なくとも2つの異なる試薬の反応から形成された化合物を有するものであるステップと、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明開示による方法の実施形態における概括的フロー図である。本発明方法はリンス/パージステップ並びに濾過ステップを備える。
図2】本発明開示によるバッテリー電極の表面に薄膜をコーティングするシステムの一実施形態における概略図である。
図3A】非コーティングの原初グラファイトの表面形態を示すグラファイト電極表面の60k倍に拡大した画像である。
図3B】本発明開示による方法でコーティング済みグラファイトの表面形態を示すグラファイト電極表面の60k倍に拡大した画像である。
図4】コーティング済み電極対非コーティング電極のワンウェイ第1サイクル損失を示すスキャッタをプロットしたグラフである。
図5】コーティング済みアノードと非コーティングアノードとの間における、コーティングの存在に起因する第1サイクル容量における95%信頼帯までの有意差を示すt-検定グラフである。
図6】非コーティンググラファイトアノード(600)対コーティング済みグラファイトアノード(601)に関する電圧に対する差分充電量/差分電圧(dQ/dV)の変化を示すグラフである。
図7】フォイル基板頂面に本発明開示に従って薄膜をコーティングしたバッテリー電極を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明開示は、種々のタイプ及び形態及び様々な構成状態にある薄膜のコーティングを形成する液相堆積方法及びシステムを提示する。現在に至るまでは、高度な多孔性、蛇行性、及び/又は多数の高アスペクト比形体を有するマイクロ構体(すなわち、「非平面状」マイクロ構体)を備える基板上に薄膜(<厚さ10マイクロメートル(μm))の共形コーティングを形成する技術は、非効率(物理的気相堆積の「見通しライン」限界)であるか、又はコスト及び時間がかかる(伝統的原子層堆積(ALD))のいずれかである。本発明開示の実施形態は、非平面状マイクロ構体上に均一で共形性のある層を形成する上で費用効果の高い手段をもたらす。とくに、本発明開示は、非平面状バッテリー電極の表面上に均一で共形性のある層を形成することに傾注する。
【0044】
本発明方法は、概して、薄膜堆積(析出)の液相コーティングプロセスに言及する。これら薄膜は、バッテリーのような電気化学デバイスのコンポーネントにおける表面をコーティングするのに使用することができる。とくに、本明細書記載のコーティングで恩恵を示すことができるリチウムイオン電池のようなバッテリーへの用途としては、高電圧カソード、迅速充電、ケイ素含有アノード、より安価な電解質、及びナノ構造を有する電極がある。したがって、幾つかの実施形態において、薄膜は、カソード又はアノードのようなバッテリーの電極にコーティングすることができる。
【0045】
電極は、フォイル又はシートのような基板の頂面上に多孔質コーティングを備える。幾つかの実施形態において、バッテリー電極は、グラファイト、Si、Sn、ケイ素-グラファイト複合物、Sn-グラファイト複合物、又はリチウム金属から成る。幾つかのケースにおいて、バッテリー電極は、LiNiMnCo、LiNiCoAl、LiMnNi、LiMnO、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、LiV、硫黄又はLiCoOから成り、ここでx、y、zは化学量論係数である。
【0046】
若干の実施形態において、基板は、代表的にはフォイル又はシートの形状の連続的基板とすることができる。本明細書で使用される「連続的基板」は、2つの最大寸法間に少なくとも10:1のアスペクト比を示し、ロール形態としてそれ自身上に巻回するに十分な可撓性を有する基板に言及する。基板は種々の材料で作成することができ、限定しないが、銅、アルミニウム若しくはステンレス鋼のような金属、又はポリイミド、ポリエチレン、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリエステル、ポリエチレン・ナフタレート(PEN)のような有機材料があり得る。
【0047】
本発明開示によりコーティングしたバッテリー電極の実施形態の例を図7に示す。コーティング済みバッテリー電極700は、薄膜702でコーティングされた電極構成粒子701を有する。薄膜702は5nm~100μmの間における厚さとすることができる。電極構成粒子701はフォイル基板703の頂面上に位置する。
【0048】
若干の態様において、本明細書で提示した方法及びシステムは、現行のSEIよりも溶解に対する抵抗性が高く、適度な機械的安定性を持ってコーティングすべき材料又はコンポーネントに対して十分な付着力を有することができ、イオン(例えば、バッテリーの場合において、リチウムイオン)の伝導性を示すとともに電解質絶縁破壊を防止する妥当な電気抵抗性を有することができ、また任意な粒子間内部抵抗を大幅に回避することができる、バッテリーにおける人工的なSEI層を生成することに関する。
【0049】
本発明開示による方法の実施形態における簡単なフロー手順を図1に示す。図1の実施形態はバッテリー電極の表面上に薄膜をコーティングする方法に関するが、この説明は、本明細書記載の方法及びシステムを用いて堆積されるコンポーネントの単なる代表例であり、限定されるものと解すべきではない。
【0050】
図1につき説明すると、バッテリー電極は、例えば、ステップ100において第1反応チャンバ内で第1試薬を含む第1溶液に曝露させて、電極の表面上に吸着された第1試薬を含む層を生成することができる。
【0051】
第1溶液は少なくとも第1試薬を含む。第1試薬は、電極(すなわち、コーティングすべきコンポーネント)の材料と反応して自己制限層を形成することができる任意な化合物とすることができる。若干の実施形態において、第1試薬は有機金属化合物である。このような有機金属の例としては、限定しないが、アルミニウムtri-secブトキシド、チタンエトキシド、ニオブエトキシド、トリメチルアルミニウム、及びジルコニウムtert-ブトキシドがある。他の実施形態において、第1試薬は、イオン化合物を含む水溶液を有する。イオン化合物の例としては、限定しないが、酢酸亜鉛、塩化カドミウム、塩化亜鉛、塩化ジルコニウム、及び硫酸亜鉛がある。幾つかの実施形態において、第1溶液はpHが変動し得る。幾つかの実施形態において、第1溶液は、固体薄膜を形成するよう反応するカチオン性前駆体及びアニオン性前駆体の双方のイオン化合物を含む溶液とすることができ、この場合、薄膜成長は薄膜形成反応の反応速度論によって制限される。幾つかの実施形態において、第1溶液は、固体薄膜を形成するよう反応する有機金属前駆体及び酸化前駆体の双方を含む溶液とすることができ、この場合、薄膜成長は薄膜形成反応の反応速度論によって制限される。
【0052】
第1試薬が有機金属である実施形態において、第1水溶液は、さらに、第1試薬を溶解又は複合体化するのに使用される溶剤も含有することができる。好適な溶剤としては、有機溶剤、例えばイソプロピルアルコール若しくはエタノールのようなアルコール、アルコール誘導体例えば、ピリジン若しくはテトラヒドロフラン(TTTF)のような極性が幾分低い有機溶剤である2メトキシエタノール、又はヘキサン及びトルエンのような無極性有機溶剤がある。
【0053】
一実施形態において、第1水溶液は第1反応チャンバ内に格納する。反応チャンバは、電極を収容しまた反応を生ずる自己制限層に使用すべき水溶液量を格納するに十分大きいデバイスでなければならない。反応チャンバとして使用され得るこのようなデバイスとしては、限定しないが、タンク、浴槽、トレイ、ビーカー又はこれらに類するものがある。
【0054】
電極は搬送装置によって第1反応チャンバに移送することができる。以下により詳細に説明されるこの搬送装置は、第1反応チャンバに対する電極の搬入及び搬出を案内又は指示するよう適合化及び位置決めすることができる。
【0055】
若干の実施形態において、電極は、全体的又は部分的に、第1及び第2の反応チャンバにおける第1水溶液及び第2水溶液内にそれぞれ浸漬させることができる。他の実施形態において、電極は第1及び第2の反応チャンバにおいて第1水溶液及び第2水溶液をそれぞれスプレーすることができる。
【0056】
他の実施形態において、電極は、2次元液膜を生成するよう第1水溶液を連続的に分注するスロットダイコーターの下方に搬送することができる。電極が搬送される速度及びダイを通過する流体の流速は液膜の厚さを決定する。この後、溶剤は、溶解した成分の固体薄膜を生ずるよう単純に蒸発することができる、又は液膜は電極の表面上に薄膜を析出するよう反応する反応剤を含むことができる。結果として生ずる固体薄膜は、1つの原子単分子層のような薄さ又は100ミクロン程度の厚さとなり得る。反応は、溶剤が依然として存在したまま生ずる、又は溶剤が蒸発した後に生ずることができる。コーティングプロセス終了後まで残留溶剤が残存する場合、ドクターブレード、エアナイフ、計量ナイフ又はそれらに類するもののような種々の技術によって除去することができる。この後、スロットダイコーティングプロセス全体は、異なる化学組成物の新たな薄膜を生成するよう、又は単にその同一化学組成物のより厚いコーティングを生成するよう反復することができる。この場合、反応チャンバは、単にスロットダイコーターを位置付けるエリアを有し、又は必ずしも用語「チャンバ」が示唆するような閉空間に類似する必要はない。
【0057】
他の実施形態において、電極はコーティング溶液を収納するタンク及びグラビアローラに搬送することができる。グラビアローラは、ウェブにおける優先的表面張力(濡れ)及びコーティング溶液によるローラによってディップタンクから隣接ウェブに連続的に移送する。スロットダイコーティングにおけるように、初期的には電極の表面上の2次元液膜を生ずる結果となる。特定の溶液、ウェブ及びローラの組成は、例えば、ウェブ及びローラ双方における流体の表面張力に影響を及ぼすことができ、これによりプロセスのコーティング効率に影響する。この後、溶剤は、溶解した成分の固体薄膜を生成するよう単純に蒸発する、又は電極表面上に薄膜を析出するよう反応する反応剤を含むことができる。結果として生ずる固体薄膜は、1つの原子単分子層のような薄さ又は100ミクロン程度の厚さとなり得る。反応は、溶剤が依然として存在したまま生ずる、又は溶剤が蒸発した後に生ずることができる。コーティングプロセス終了後まで残留溶剤が残存する場合、ドクターブレード、エアナイフ、計量ナイフ又はそれらに類するもののような種々の技術によって除去することができる。この後、グラビアコーティングプロセス全体は、異なる化学組成物の新たな薄膜を生成するよう、又は単にその同一化学組成物のより厚いコーティングを生成するよう反復することができる。
【0058】
同一プロセス(すなわち、スロットダイ又はグラビアコーティング)における複数の順次に反復されるステップは同一又は異なる溶液で実施することができる。溶液は、交差汚染を回避する、例えば、異種薄膜形成反応が好ましいときの均質核形成を阻止するために分離する(第1溶液、第2溶液等々として)ことができる。
【0059】
電極は十分な時間(「滞留時間」)にわたり第1溶液に曝露させ、第1試薬が電極表面に吸着し、また連続層(すなわち、自己制限層)を生成できるようにする。このステップに影響を及ぼすことができるプロセス変数の例としては、溶液及び電極の温度、滞留時間、及び試薬濃度がある。
【0060】
本発明方法及びシステムの利点は、使用される溶剤が、比熱容量において変化し、また熱伝導媒体及び前駆体移送媒体の双方として採用することもでき、これにより電極のより迅速でより効率的な加熱を生ずることができる点である。溶液に溶解した前駆体は、その純粋な類似体に比べると、外気曝露に関してより一層安定性もある。
【0061】
随意的に、電極は、ステップ100からの第1試薬を溶剤で除去する第1リンス/パージステップ102を受けることができる。ここで、電極を次の処理ステップに移行する前に、吸着されなかった第1試薬のほとんど又はすべてが電極表面から除去される。重要なプロセス変数としては、溶剤温度、電極温度、及び滞留時間がある。図1においてステップ102は単独ステップとして示したが、若干の実施形態において、このステップは、反復することができる、又は第1試薬除去を改善するための付加的リンス/パージステップを有することができる。
【0062】
このリンスステップは、正確に1つの飽和した(精製された)第1層を電極上に残し、第1溶剤、未反応第1試薬及び他の反応副生成物を含む残留溶液を反応チャンバに残す。
【0063】
追加の随意的ステップとして、リンスステップに使用される溶剤及びいかなる未反応試薬をも回収するため残留溶液を濾過ステップ103に送ることができる。濾過ステップは未反応試薬(及びいかなる反応副生成物)から溶剤を分離する。濾過ステップは、さらに、チャンバ間の交差汚染を防止し、また動作過程にわたる試薬によるリンス溶液の緩慢汚染を回避する。リンス浴の連続的濾過は、リンス溶剤の純度を維持するだけでなく、材料回収システムとしても作用することができ、これによりプロセスの材料利用効率を向上することができる。従来既知の任意な濾過技術を使用することができる。好適な技術としては、限定しないが、膜分離、化学析出、イオン交換、電気化学除去、物理的吸着、及びフロー濾過クロマトグラフィがある。
【0064】
分離した溶剤は、再利用のためにリンスステップ102に再循環戻しする。同様に、濾過した未反応第1試薬も、プロセスでの更なる使用のためにステップ100に再循環戻しすることができる(図示せず)。
【0065】
吸着された第1試薬を含む層(すなわち、自己限定層)を有する部分的にコーティングされたバッテリー電極は、次にステップ104において第2反応チャンバ内で第2試薬を含む第2溶液に曝露させることができる。
【0066】
幾つかの実施形態において、第2溶液は、酸化物又はカルコゲン化物源のような酸化剤を含むことができ、カルコゲン化物源の例としては、限定しないが、水、チオアセトアミド、及び硫化ナトリウムがある。極性又は無極性の有機溶剤からなる又は単に水である溶剤も存在することができる。他の実施形態において、第2溶液はアンモニア又はヒドラジンのような窒素含有試薬を含むこともできる。幾つかの実施形態において、第2溶液はpHが変動することができる。
【0067】
第2試薬は、第1試薬と比べると異なる別個の組成物である。第2試薬は、吸着された第1試薬と反応して電極上にコーティングされた薄膜化合物の完全単分子層を生成できるように選択する。
【0068】
幾つかの実施形態において、薄膜全体は第1溶液単独から電極に曝露される試薬によって形成することができる。この場合、第2溶液は完全に省略することができる。
【0069】
幾つかの実施形態において、形成される化合物はAl及びTiOのような金属酸化物を含むことができる。
【0070】
他の実施形態において、形成される化合物は遷移金属二カルコゲン化物(TMDs)を含むことができる。この分類の材料における代表的な例は一般化学式MXに従い、ここでMは、Mo、W、Ti、等々のような遷移金属であり、またXはS又はSeのいずれかである。
【0071】
幾つかの実施形態において、化合物は、以下のポリマー、すなわち、酸化ポリエチレン(PEO)、ポリビニル・アルコール(PVA)、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリビニル・ピロリドン(PVP)の任意な組合せからなる。このようなポリマーは、とりわけLiClO、LiPF又はLiNOのようなリチウム塩と組み合わさるとき、固体ポリマー電解質薄膜を生ずることができる。
【0072】
幾つかの実施形態において、化合物は、例えば、Mo、Ti、又はWの硫化物又はセレン化物を含むことができる。これら材料は、バンドギャップのような電子特性が広範囲に変動し、また例えば、リチウムイオン電池動作における反応を低下させる電子移動を阻止する適合した半導体ヘテロ接合を生成するのに使用することができる。とくに、このようなメカニズムは、アノード及びカソード双方の表面における反応低下を阻止するために活用することができる。
【0073】
幾つかの実施形態において、形成される化合物は、以下のグループ、すなわち、
(a) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元酸化物、
(b) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の三元酸化物、
(c) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の四元酸化物、
(d) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、Bがハロゲンであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元ハロゲン化物、
(e) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、Cがハロゲンであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の三元ハロゲン化物、
(f) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、Dがハロゲンであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の四元ハロゲン化物、
(g) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元窒化物、
(h) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の三元窒化物、
(i) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の四元窒化物、
(j) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、Bがカルコゲンであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元カルコゲン化物、
(k) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、Cがカルコゲンであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の三元カルコゲン化物、
(l) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、Dがカルコゲンであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の四元カルコゲン化物、
(m) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A型の二元炭化物、
(n) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、Bがハロゲンであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A型の二元オキシハロゲン化物、
(o) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、AAs型の二元ヒ化物、
(p) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、AAs型の三元ヒ化物、
(q) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、AAs型の四元ヒ化物、
(r) Aがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドであり、またx及びyが化学量論係数であるとして、A(PO型の二元リン酸塩、
(s) A及びBがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またx、y及びzが化学量論係数であるとして、A(PO型の三元リン酸塩、並びに
(t) A、B及びCがアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属若しくはメタロイドの任意な組合せであり、またw、x、y及びzが化学量論係数であるとして、A(PO型の四元リン酸塩、
よりなるグループから選択することができる。
【0074】
反応が、トリメチルアルミニウムの加水分解におけるような非イオン前駆体、例えば、有機金属と酸化剤との間における反応である場合、有機部分は除去され、またすべての結合が飽和されるまで金属-酸素-金属結合に置換される。反応が、2つのイオン溶液間での反応、例えば、Cd2+溶液とS2-溶液との間の反応におけるような場合、反応が一定の高溶解性はイオン化合物、この場合、CdSの析出を促進し、電極は表面エネルギーを最小化することにより異種薄膜形成を促進する。
【0075】
ステップ102と同様に、ステップ104からの電極は、次に第2リンス/パージステップ106に導かれ、未吸着/未反応第2試薬を除去する。
【0076】
若干の実施形態において、薄膜は約0.5nm~100μmの厚さを有することができる。例えば、薄膜は、0.5nm~10nm、10nm~50nm、50nm~100nm、100nm~500nm、500nm~1μm、1μm~10μm、10μm~50μm、又は50μm~100μmの範囲内における厚さとすることができる。
【0077】
幾つかの実施形態において、ステップ101~106は薄膜コーティングの所望厚さが電極上に形成されるまで任意な回数反復することができる。このスキームをステップ108で示し、このステップ108において、薄膜でコーティングされた電極は更なる処理のためステップ100に戻される(ループを形成する)。幾つかの実施形態において、これらステップは反復されるが、異なる前駆体で反復され、これにより種々の化合物からなる薄膜スタックを有するコーティングを生ずる。
【0078】
さらに、ステップ102及び106中において、リンス又はパージ溶剤は連続的又は周期的のいずれかで濾過され、未反応試薬を溶剤から分離及び回収することができる。この濾過ステップは、それぞれステップ103及び105で示す。前駆体及び溶剤の双方は、次に潜在的にプロセスに再循環戻しすることができる。ここで、溶剤の再循環は戻り矢印で示す。これら濾過ステップは、装置の耐用寿命にわたり材料コストを大幅に削減する。すべての洗浄及びリンスステップに関して、濾過ステップを設計に組み込むことができる。濾過技術は、ステップ100及び104に使用される試薬のタイプに適合するよう調整するのが好ましい。例えば、イオン水溶液は、適切に濾過すべき純水器に使用される濾過カラムのタイプを必要とする。しかし、有機金属は、例えば、分子量で排除する接線流濾過システムによって良好に除去することができる。
【0079】
薄膜を電極表面にコーティングするシステムの実施形態における概略図を図2に示す。図2において、反応チャンバは、反応溶液を収容する順次のタンク又は浴として示し、電極は搬送装置の支援により反応チャンバに搬送される。図2の実施形態はバッテリー電極の表面に薄膜をコーティングする方法に関するが、この記載は単に、本明細書記載の方法及びシステムを使用してコーティングすべきコンポーネントを説明するだけであり、限定するものと解すべきではない。
【0080】
図2の搬送装置は、バッテリー電極を第1及び第2の反応チャンバに対して搬入及び搬出するよう案内又は導くのに特に適したものにし、また適合させる。
【0081】
好適には自動化された搬送装置は、電極を第1及び第2の反応チャンバに対して搬入及び搬出するため案内又は導くよう位置決めされた張力ローラのような一連のローラを有する。このようにして、システムは電極表面に薄膜をコーティングするための連続液体堆積プロセスを提供することができる。一連のローラ202a~iは搬送モータ(図示せず)によって駆動する。ローラ202a~iは、以下により詳細に説明するシステムに電極201を搬送できるよう動作及び指向させる。システム200は、さらに、一連のチャンバ205、207、215、及び217を有する。
【0082】
若干の実施形態において、第1及び第2の反応チャンバは、それぞれに対応する反応チャンバ内の第1若しくは第2の溶液の量又は各反応チャンバ内の前駆体の濃度を決定又は測定するためのセンサを有することができる。さらに、第1及び第2の反応チャンバは、センサによって電子的に作動する調節バルブを有することもできる。溶液レベルが低すぎることをセンサ(フロートスイッチ)が決定するとき、バルブが開いてより多くの溶液を他のソースから反応チャンバ内に流入させることができる。幾つかのケースにおいて、ポンプ(例えば、蠕動ポンプ)を使用して溶液を反応チャンバ内に駆動流入させる。溶液が所望レベルにあることをセンサが決定するとき、バルブは閉じて過剰な溶液が反応チャンバ内に流入しないよう防止する。幾つかのケースにおいて、反応チャンバ内で溶液のレベルが高すぎることをセンサが決定するとき、バルブが開いて反応チャンバから過剰溶液を流出させることができる。センサが前駆体濃度を検出する場合、タンク前駆体溶液がより低く検出される状況において、バルブは高前駆体濃度の貯蔵液にタンクを露出させ、またその逆にすることができる。センサの例としてはイオン選択性電極がある。
【0083】
他の実施形態において、システムは、第1反応チャンバと第2反応チャンバとの間に配置した第1リンスチャンバを有する。第1リンスチャンバは、電極上に飽和した第1層を生成するよう搬送装置によって第1リンスチャンバに搬送される電極をリンスする第1溶剤を含む第1リンス溶液と、第1溶剤及び未反応第1試薬を含む第1残留溶液を収容する。
【0084】
同様に、システムは、さらに、第2反応チャンバの後に配置される第2リンスチャンバを有することもできる。第2リンスチャンバは、電極上にコーティングされた薄膜を生成するよう搬送装置によって第2リンスチャンバに搬送される電極をリンスする第2溶剤を含む第2リンス溶液を収容する。
【0085】
チャンバ205は、第1試薬及び溶剤を含む第1溶液を収容する第1反応チャンバである。
【0086】
チャンバ207は、第1反応チャンバ205の後に配置された第1リンスチャンバであり、第1溶剤を含む第1リンス溶液を収容する。第1濾過装置209は第1リンスチャンバ207に接続する。第1濾過装置209は、第1リンスチャンバ207に接続した残渣チューブ213と、及び浸透収集チューブ211を有する。
【0087】
他のチャンバ215を第1リンスチャンバ207の後に配置した第2反応チャンバであり、第2試薬及び溶剤を含む第2溶液を収容する。
【0088】
チャンバ217は、第1反応チャンバ215の後に配置された第2リンスチャンバである。チャンバ217は、溶剤を含む第2リンス溶液を収容する。第2濾過装置219は第2リンスチャンバ217に接続する。第2濾過装置219は、第2リンスチャンバ217に接続した残渣チューブ223と、及び浸透収集チューブ221を有する。
【0089】
システム200は、さらに、各チャンバ205、207、215、217に配置したバルブ225a~dをそれぞれ有する。バルブ225a~dは、補充源(図示せず)に接続し、必要なとき追加的に第1溶液、第2溶液、第1試薬、第2試薬、又は溶剤をそれぞれ第1及び第2のチャンバ205及び215に、又はより多くの第1リンス溶液又は第2リンス溶液をそれぞれ第1及び第2のリンスチャンバ207及び217に供給する。バルブ225a~dは、チャンバ内の溶液の量又は濃度をモニタリング又は測定し得るセンサ(図示せず)のトリガによって電気的に作動して開くことができる。センサは各チャンバの溶液内に浸漬させることができる。
【0090】
動作にあたり、電極203の第1部分は、先ず搬送装置201の一部である第1ローラ202aに配置される。代表的には、第1部分は、例えば、接着剤又はテープによって残りのローラ202b~iに張り廻されるリーダー材料に付着される。このようにして、リーダー材料はプロセス中に搬送装置201を経て電極を案内することができる。リーダー材料は、この後ローラ202aに配置された電極の部分がローラ202iまで搬送された後、又は電極全体のコーティングが完了するとき、電極から取り外すことができる。このようなリーダー材料の例は、電極の先行ロールからのものとすることができる。特定電極のコーティングに先立って、電極の先行ロールは活性材料のない(単なるフォイル)長い後尾長を有するものとすることができる。先行ロールが処理された後、この残余部分は搬送装置に張り廻された状態で残り、活性材料を切断して取り外す。この後残余部分は次のロールの電極を搬送装置に案内するためのリーダーとして作用する。
【0091】
したがって、電極203の第1部分は第2ローラ202bの運動によって第1反応チャンバ205内に搬送され、この第2ローラ202bも第1反応チャンバ205内に配置される。電極203の第1部分は第1反応チャンバ205内で第1溶液に曝露され、電極の第1部分の表面上に吸着された第1試薬を含む自己制限層を生成する。電極203の第1部分は、反応を生じさせるため若干の滞留時間にわたり第1反応チャンバ205内に留める。反応がほぼ完了した後、電極203の第1部分は、第3ローラ202cに向かって上昇移動することによって第1反応チャンバ205から引き上げられる。
【0092】
このことが生じている間に電極203の第2部分が第1反応チャンバ205内に搬送される。搬送装置は、所望量の電極が薄膜をコーティングされるまで連続的に動作する。
【0093】
電極203の第1部分に戻って説明すると、この第1部分は、第4ローラ202dの運動によって第1リンスチャンバ207に搬送され、この第4ローラ202dも第1リンスチャンバ207内に配置される。第1リンスチャンバ207は、電極上に飽和した第1層を生成するために電極203をリンスする第1溶剤を含む第1リンス溶液と、並びに第1溶剤及び未反応第1試薬を含む第1残留溶液とを収容する。
【0094】
システムは、さらに、第1及び第2のリンス溶液内における溶剤から未反応試薬を分離するための濾過装置を備える。この濾過装置は、このような分離を行う任意なデバイスとすることができる。好適には、濾過装置は、以下のもの、すなわち、膜、濾過カラム、クロマトグラフィカラム、化学的又は電気化学的分離タンク、又は吸着カラムのうちから選択する。
【0095】
必要なとき、第1リンス溶液は、第1濾過装置209を通過して第1溶剤から未反応第1試薬を分離する。第1濾過装置209は、未反応第1試薬に富み、また第1溶剤が枯渇している浸透流と、第1溶剤に富み、また第1リンス溶液に比べると未反応第1試薬が枯渇している残渣流を生成する。浸透流は、浸透収集チューブ211に収集され、第1反応チャンバ205に再循環又は送り戻すことができる。残渣流は、残渣チューブ213経由で第1リンスチャンバ207に再循環戻しする。濾過装置209は周期的又は連続的に動作することができる。第1リンスチャンバ207からの電極203の第1部分は、第5ローラ202eへの上方移動によって第1リンスチャンバ207から引き上げられる。
【0096】
電極203の第1部分は、この後第6ローラ202fへの下方移動によって第2反応チャンバ215内に搬送され、この第6ローラ202fも第2反応チャンバ215内に配置される。第2反応チャンバ215は、少なくとも第2試薬を含む第2溶液を有する。第2反応チャンバ215内で、電極203は第2溶液に曝露され、この第2溶液は吸着された第1試薬と反応して、電極の表面上にコーティングされた単分子層の薄膜を生成する。この反応がほぼ完了した後、電極203の第1部分は、第7ローラ202gへの上昇移動によって第2反応チャンバ215から引き上げられる。
【0097】
次に、電極203の第1部分は第8ローラ202hへの下方移動によって第2リンスチャンバ217に搬送され、この第8ローラ202hも第2リンスチャンバ217内に配置される。第2リンスチャンバ217は、電極203の表面上にコーティングされた薄膜の精製された単分子層を生成するために電極をリンスする第2溶剤と、第2溶剤及び未反応第2試薬を含む第2残留溶液とを収容する。
【0098】
第1リンス溶液と同様に、第2リンス溶液は第2濾過装置219に送られる。第2濾過装置219は、未反応第2試薬に富み、また第2溶剤が枯渇している浸透流と、並びに第2溶剤に富み、また第2リンス溶液に比べると未反応第2試薬が枯渇している残渣流とを生成する。浸透流は、浸透収集チューブ221に収集され、第2反応チャンバ215に再循環又は送り戻すことができる。残渣流は、残渣チューブ223経由で第2リンスチャンバ217に再循環戻しする。濾過装置219は周期的又は連続的に動作することができる。
【0099】
最終的に、電極203の第1部分は、第9ローラ202iへの上方搬送によって第2リンスチャンバ217から引き上げられる。ここから、第1部分は電極の残りの所望部分が薄膜でコーティングされるまで収集又は巻き上げることができる。
【0100】
図2で説明された本発明開示の同様な実施形態は、スロットダイ又はグラビアコーティングの反応チャンバ(図示せず)を有する浴堆積反応チャンバ205及び215に置換したものを含めることができる。このような実施形態において、リンスチャンバ207、217は、リンスステップの必要性に基づいて設ける又は設けないものとすることができる。このような実施形態において又は図2で説明した実施形態においてさえも、リンスステップの代わりに、エアナイフ、ドクターブレード、計量ナイフ又はそれらに類する過剰溶液除去技術を採用することができる。他の類似の実施形態において、堆積反応全体をチャンバ205内で実施するときチャンバ215全体をなくすことができる。このように、本発明開示の装置は、堆積設備及び搬送設備双方の点で、特定溶液堆積プロセスを促進する任意の特定様態にしてモジュール化及びアセンブリ化するものとみなすことができる。
【0101】
本発明開示の方法は、コンピュータシステムの使用又は支援により実施することができる。コンピュータシステムは、本発明方法を動作させる多くの異なる態様に関与することができ、この関与は、限定しないが、搬送装置の様々な局面における調節、例えば反応チャンバに対してコーティングすべきコンポーネントを搬入及び搬出の移動をさせることによる搬送装置の移動方向を決めるような調節、バルブの開閉のタイミングを制御する、センサ測定値を介して液体量を検出する、試薬及びバッファのような液体の反応チャンバ内に対するフロー方向を決める、及びポンプを調節することがある。幾つかの局面において、コンピュータシステムは、本明細書記載の方法及びシステムを自動化するよう実装することができる。
【0102】
コンピュータシステムは、中央処理ユニット(ここではCPU、さらに「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」)を有することができ、単一コア若しくは多重コアのプロセッサ、又は並列処理用の複数プロセッサとすることができる。コンピュータシステムは、さらに、メモリ若しくは記憶場所(例えば、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶ユニット(例えば、ハードディスク)、1つ又はそれ以上の他のシステム通信する通信インタフェース(例えば、ネットワークアダプタ)、並びにキャッシュ、他のメモリ、データ記憶装置及び/又は電子ディスプレイアダプタのような周辺デバイスを有することができる。メモリ、記憶ユニット、インタフェース、及び周辺デバイスは、マザーボードのような通信バス(有線)を介してCPUと通信する。記憶ユニットは、データを保存するデータ記憶ユニット(又はデータ格納庫)とすることができる。コンピュータシステムは、通信インタフェースの支援によりコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)に動作可能に接続することができる。ネットワークは、インターネット、内部ネット及び/若しくは外部(エクストラ)ネット、又はインターネットと通信する内部ネット及び/若しくは外部(エクストラ)ネットとすることができる。ネットワークは、幾つかのケースにおいて、遠隔通信及び/又はデータネットワークである。ネットワークは、クラウドコンピューティングのような分散コンピューティングを可能にできる1つ又はそれ以上のコンピュータサーバーを含むことができる。ネットワークは、コンピュータシステムの支援を有する幾つかのケースにおいて、クライアント又はサーバーとして挙動するようデバイスをコンピュータストレスに接続することができるピア・ツー・ピアのネットワークを実装することができる。
【0103】
CPUは、プログラム又はソフトウェアで実現できるマシン可読命令のシーケンスを実行することができる。命令はメモリのような記憶場所に保存することができる。CPUで実施される動作例としては、フェッチ、デコード、実行、及びライトバックがあり得る。
【0104】
記憶ユニットは、ドライバ、ライブラリ、及び保存プログラムのようなファイルを格納することができる。記憶ユニットは、ユーザーが生成したプログラム及び記録したセッション、並びにプログラムに関連する出力を格納することができる。記憶ユニットは、ユーザーデータ、例えば、ユーザー選好及びユーザープログラムを格納することができる。コンピュータシステムは、幾つかのケースにおいて、コンピュータシステムの外部にある、例えば、内部ネット又はインターネットを介してコンピュータシステムに通信する遠隔サーバーに配置されるような、1つ又はそれ以上の付加的データ記憶ユニットを含むことができる。
【0105】
コンピュータシステムは、ネットワークを介して1つ又はそれ以上の遠隔コンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム401はユーザー(例えば、オペレータ)の遠隔コンピュータシステムと通信することができる。遠隔コンピュータシステムの例としては、パーソナルコンピュータ(例えば、携帯PC)、スレート又はタブレットPC(例えば、アップル(登録商標)のiPad、サムスン(登録商標)のGalaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、アップル(登録商標)のiPhone、アンドロイド使用可能デバイス、ブラックベリー(登録商標))、又は携帯情報端末がある。ユーザーはネットワークを介してコンピュータシステムにアクセスすることができる。
【0106】
本明細書記載の方法は、コンピュータシステムの電子記憶場所、例えば、電子記憶ユニットのメモリに格納したマシン(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実現することができる。マシン実行可能又はマシン可読コードはソフトウェアの形態で提供することができる。使用中、コードはプロセッサが実行することができる。幾つかのケースにおいて、コードは、記憶ユニットから検索することができ、またプロセッサ405の素早いアクセスのためにメモリに記憶することができる。幾つかの状況において、電子記憶ユニットは省くことができ、またマシン実行可能命令をメモリに記憶しておく。
【0107】
コードは、コードを実行し得るプロセッサを有するマシンで使用するため予めコンパイル及び構成することができる、又はランタイム中にコンパイルすることができる。コードは、予コンパイル状態で又はコンパイル通りに実行することを可能にするよう選択できるプログラミング言語で供給することができる。
【0108】
本明細書記載のシステム及び方法の態様、例えば、コンピュータシステムは、プログラミングで実現することができる。技術の様々な態様は、代表的には、マシン(又はプロセッサ)実行可能の形態及び/又はマシン可読媒体のタイプで実施される若しくは実現される関連データの形態における「製品」若しくは「製造物品」として見なすことができる。マシン実行可能コードは、メモリ(例えば、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)又はハードディスクのような電子記憶ユニットに記憶することができる。「記憶(storage)」タイプ媒体としては、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも持続的な記憶を提供する、コンピュータ、プロセッサ若しくはこれらに類するものにおける有形メモリ、種々の半導体メモリのようなそれらに関連するモジュール、テープドライブ、ディスクドライブ、等々のうちいずれか又はすべてがあり得る。ソフトウェアのすべて又は一部分は、時にはインターネット又は種々の他の遠隔通信ネットワークを介して通信することができる。例えば、このような通信は、1つのコンピュータ若しくはプロセッサかから他のものへ、例えば、管理サーバー又はホストコンピュータからアプリケーションサーバーのコンピュータプラットフォームへのソフトウェアローディングを可能にすることができる。したがって、ソフトウェア要素を担持する他のタイプとしては、ローカルデバイス間の物理的インタフェースを挟んで、有線及び光地上通信線ネットワークを介して、また種々のエアリンク上で使用されるような、光波、電波及び電磁波がある。このような波を搬送する物理的要素、例えば、有線又は無線のリンク、光リンク又はそれらに類するものは、ソフトウェアを担持する媒体と見なすこともできる。本明細書で使用されるように、持続的有形「記憶」媒体に限定しないが、コンピュータ若しくはマシン「可読媒体」のような用語は、実行のために命令をプロセッサに供給することに関与する任意な媒体に言及する。ここで、コンピュータ実行可能コードのようなマシン可読媒体は、限定しないが、有形記憶媒体、搬送波媒体、又は物理的伝送媒体を含む多くの形態をとることができる。不揮発性記憶媒体としては、例えば、コンピュータ又はこれに類するものにおける任意な記憶デバイスのような光ディスク又は磁気ディスクがあり、図面に示すようなデータベース等々を実装するのに使用することができる。揮発性記憶媒体としては、コンピュータプラットフォームにおけるメインメモリのようなダイナミックメモリがある。有形伝送媒体としては、コンピュータシステム内でバスを構成するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅ワイヤ及び光ファイバがある。搬送波伝送媒体は、電気若しくは電磁的信号、又は無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に発生するような音波若しくは光波の形態をとることができる。したがって、コンピュータ可読媒体の共通形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意な他の磁気媒体、CD-ROM、DVD若しくはDVD-ROM、任意な他の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔パターンを有する任意な他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、aROM及びEPROM、フラッシュEPROM、任意な他のメモリチップ若しくはカートリッジ、搬送波伝送データ若しくは命令、このような搬送波を伝送するケーブル若しくはリンク、コード及び/又はデータをコンピュータが読むことができる任意な他の媒体がある。コンピュータ可読媒体の多くのこれら形態は、1つ又はそれ以上の命令における1つ又はそれ以上のシーケンスを実行のためにプロセッサに搬送することに関与することができる。
【0109】
コンピュータシステムは、例えば、1つ又はそれ以上のサンプル分析結果を提示するユーザー・インタフェース(UI)を有する電子ディスプレイを備える、又はこのような電子ディスプレイと通信することができる。UFの例としては、限定しないが、グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)及びウェブをベースとするユーザー・インタフェースがある。
【0110】
上述した方法及びシステムは、説明目的であり、本発明範囲又は根底原理を限定することを何ら意図しない以下の実施例によって、以下にさらに説明する。
【実施例
【0111】
実施例1:TiOの堆積
チタンイソプロポキシドは、先ずドライなイソプロピルアルコールのような適切な無水溶剤内で溶解し、電極表面上に吸着される。コーティングすべきコンポーネント(電極のような)は、次にリンス溶剤を用いて過剰な未吸着チタンイソプロポキシドを洗浄する。次に、電極は、適切な溶剤、例えば、イソプロピルアルコールに溶解した水のような酸化剤溶液に導入する。加水分解は、2-プロパノールに対するアルコキシド配位子損失を生ずる結果となり、添加された水酸基を有する吸着部分が残る。第4ステップにおいて、水及び溶剤の過剰溶液をリンス溶剤によって除去する。酸化チタンの単一単分子層が生成される。このプロセスは厚さを増加させるよう反復することができる。
【0112】
実施例2:CdSの堆積
硫酸カドミウム(CdSO)を先ず水溶液に溶解させ、電極の表面上に吸着されるCd2+を生ずる。電極は過剰な未吸着Cd2+を洗浄する。この後、電極は、チオ尿素又はNaSのようなアニオン(陰イオン)性硫黄前駆体を含む水溶液に導入する。前駆体溶液のpHは反応速度を制御するよう変化させることができる。この反応におけるCdSの高溶解性生成物定数は、表面エネルギー最小化が核生成を促進する電極表面上へのCdSの単一単分子層析出を生ずる結果となる。
【0113】
実施例3:TiNの堆積
電極(又はコーティングすべき他のコンポーネント)をチタンエトキシドが溶解した無水エタノールの溶液に浸漬又は曝露させる。電極は過剰前駆体を洗浄する。電極は、THF内のピリジン又はヒドラジンにおけるアンモニアのような窒素前駆体を含有する溶液に曝露させる。前駆体が吸着したチタンエトキシドと反応する結果として、TiNの単一単分子層を生ずる。
【0114】
実施例4:グラファイトアノード上での薄膜コーティング
コーティングプロセスはグラファイトアノード上で実施した。エネルギー分散X線分光法とともに走査電子顕微鏡法(SEM-EDX)を採用してコーティングの存在を確認した。SEM画像は、コーティングの前後におけるグラファイトアノード表面の形態に明確な変化があることを示した(図3A~3B)。次に、局所的Al信号及びO信号のEDX測定は、コーティング材料が実際にAlであったことを確認した。EDXによる-0.9原子%Al測定は、文献で実証された約1nmALD被覆グラファイトアノードで観測されたAlのEDX信号の範囲内である。このようにして、溶液コーティングされたAlは、文献におけるALDにより堆積されたコーティング厚さの範囲内であると結論付けることができる。
【0115】
実施例5:グラファイトLi半電池生成
コーティングしたグラファイトアノードはLiフォイルと対にしてグラファイトLi半電池生成する。半電池は、グラファイトにSEIを形成するため不可逆容量損失に関する精密データを生成する上で理想的である。1回のみの充電-放電サイクルが第1サイクル容量損失を測定する上で必要であると仮定すると、学習の迅速サイクルも得ることができる。図4~5及び表1から分かるように、Alコーティングしたアノードを比較対照と比較するとき、平均第1サイクル損失における1.37%の統計学的有意(95%信頼帯)差が得られた。
【表1】
【0116】
差分充電量/差分電圧(dQ/dV)対半電池電圧をプロットすることによって0.6~0.8V近傍の代表的SEI生成電圧中に伝送される充電量を正確に同定することができる。図6から分かるように、SEI生成からの差分充電量は非コーティング(600)と対比するとコーティング済み半電池(601)が低く、このことはSEI生成がコーティングによって抑制されたことをはっきりと示す。
【0117】
以上において、特定の実施形態を図解及び説明してきたが、種々の変更を加えることができ、またこれら変更例も本発明の範囲内にあることを理解されたい。本開示は、本明細書で提示した特定実施例に限定することを意図するものでもない。若干の実施形態を上述した明細書につき説明したが、本明細書記載の好適な実施形態の説明及び図解は、限定的意味であると解すべきでない。さらに、本発明開示のすべての態様は、多様な条件及び変数に基づく本明細書記載の特定標記、構成又は相対的比率に限定されないことを理解されたい。実施形態の形式及び詳細における種々の変更は当業者には明らかであろう。したがって、本発明開示は任意なこのような変更、改変及び均等物もカバーすると考えられる。
図1
図2
図3A-3B】
図4
図5
図6
図7