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特許7200192摂取可能なタブレット、または粉末型口腔清潔剤組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】摂取可能なタブレット、または粉末型口腔清潔剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20221226BHJP
   A61K 8/66 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20221226BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 8/98 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/66
A61K8/34
A61K8/02
A61Q11/00
A61K8/36
A61K8/25
A61K8/73
A61K8/98
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020177146
(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公開番号】P2021138682
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0024742
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520412567
【氏名又は名称】バレウン カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハン ス
(72)【発明者】
【氏名】チュン,ビョン ヒ
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】韓国特許第10-1985771(KR,B1)
【文献】韓国特許第10-1914491(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0094009(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0141386(US,A1)
【文献】特表2014-508136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0258733(US,A1)
【文献】Time-Realeased Dry Mouth Discs ,ID 1095522,Mintel GNPD[online],2009年5月,[検索日2022.05.31],URL,https://www.portal.mintel.com
【文献】Xylitol Salmiac Mints,ID 579705,Mintel GNPD[online],2006年9月,[検索日2022.05.31],URL,https://www.portal.mintel.com
【文献】Breath Freshening Sachets,ID 430038,Mintel GNPD[online],2006年2月,[検索日2021.10.26],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K36/00
A23L33/00
A23G 3/00
Mintel GNPD
CAPLUS/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体組成物の重量に対して、酵素4.8乃至7.0重量%、キシリトール40乃至70重量%、キキョウ0.5乃至15重量%、カリン0.1乃至15重量%、及びミント10乃至15重量%を含み、
前記酵素塩は、発酵及び熟成させた山野草発酵液を用いて酵素を接種した塩(しお)である、
ことを特徴とするタブレットまたは粉末型口腔清潔剤組成物。
【請求項2】
全体組成物の重量に対して、レモン1乃至20重量%、緑茶5乃至20重量%、プロポリス0.01乃至0.5重量%、及びラカンカ0.01乃至0.5重量%をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載のタブレットまたは粉末型口腔清潔剤組成物。
【請求項3】
全体組成物の重量に対して、ステアリン酸マグネシウム0.1乃至5重量%及び二酸化ケイ素0.1乃至5重量%をさらに含み、
タブレット製剤を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のタブレットまたは粉末型口腔清潔剤組成物。
【請求項4】
全体組成物の重量に対して、マルトデキストリン1乃至5重量%をさらに含み、
粉末型製剤を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のタブレットまたは粉末型口腔清潔剤組成物。
【請求項5】
全体組成物の重量に対して、酵素塩4.8乃至7.0重量%、キシリトール45乃至60重量%、キキョウ0.5乃至2.0重量%、カリン0.2乃至2.0重量%、ミント10乃至15重量%、レモン5乃至15重量%、緑茶10乃至17重量%、プロポリス0.05乃至0.2重量%、ラカンカ0.1乃至0.3重量%、ステアリン酸マグネシウム0.5乃至1.5重量%及び二酸化ケイ素0.5乃至1.5重量%を含
前記酵素塩は、発酵及び熟成させた山野草発酵液を用いて酵素を接種した塩(しお)である、
ことを特徴とするタブレット型口腔清潔剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摂取可能なタブレット、または粉末型口腔清潔剤組成物(Ingestible Tablet or Powder Type Oral Cleaning Composition)に関するものであり、より詳しくは、天然成分のみで構成されて摂取が可能であり、口腔内細菌の抑制及び口臭の抑制が可能なタブレット又は粉末型の口腔清潔剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
呼吸及び食べ物を摂取するための主要機関である口腔(oral cavity)は、空気と食べ物を通じて絶えず外部抗原(antigen)に露出されるため、歯磨きなどを通じて口腔の清潔が維持されなければ、歯と歯茎(歯肉)周辺部で歯垢(dental plaque)が生成され、生成された歯垢が次第に石灰化されて、歯牙表面に歯石(dental calculus)を形成することになる。歯垢と歯石は口腔細菌の増殖拠点となって歯肉炎(gingivitis)、歯周炎(periodontitis)のような歯肉の炎症性疾患を起こすという点で、病理学的に非常に重要な意味を持つ。
【0003】
口腔の健康と関連して、世界的に問題となっている口腔疾患はう蝕と歯周病である。最近WHOの報告によると、う蝕と歯周病は、世界中の成人人口の約60%で発症することが報告されたが、このような口腔疾患を引き起こす一次原因は歯垢内に存在する細菌であると知られている。
【0004】
う蝕を起こす細菌には、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)及びスタフィロコッカス・ソブリヌス(Staphylococcus sobrinus)のようなミュータンスグループ連鎖球菌(ミュータンス連鎖球菌)があり、歯周病と関連する菌は、ほとんど歯肉縁下の歯垢に存在するグラム陰性嫌気性細菌種で、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、エイケネラ・コローデンス(Eikenella corrodens)、アクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、バクテロイデス・フォルシサス(Bacteroides forsythus)、キャムピィバクテロイドス(Campybacterrectus)、レポネーマ(Treponema)等が存在する。
【0005】
口腔内の微生物は、歯面に付着して歯垢を形成するので、歯周病を予防したり、歯周病の進行を抑制するために歯磨きや糸ようじの使用などの物理的方法を使用し、これと共に、抗生物質や口内洗浄剤のような化学的方法を使用することができる。この中で、口内洗浄剤は、簡単に使用できる口腔衛生用品として広く利用されている。
【0006】
口内洗浄剤に対する先行特許としては、大韓民国公開特許第1994-8669号、第1995-16696号、第2002-28765号、第2004-66313号などがある。これらは一部の生薬成分を含む口内洗浄剤に対する発明として、だた、歯の美白効果を記載しているだけで、歯内の細菌を抑制することができる作用については記載していなかった。
【0007】
また、従来の口内洗浄剤は、通常、液状またはゲルの形で提供され、携帯するのが不便なだけでなく、口の中でうがい、又は歯ブラシで洗浄した後、必ず吐き出さなければならないため、吐くことができる空間、すなわち、トイレの洗面台などを必要とする問題があった。
【発明の概要】
【解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決するために案出されたものであり、タブレットまたは粉末状の剤形で構成されて、携帯及び摂取が簡便で、天然素材だけを含有して摂取が可能であり、口腔内細菌の抑制及び口臭除去の効果が優れた口腔清潔剤組成物を提供することを目的とする。
【課題の解決手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、全体組成物の重量に対して、塩3乃至10重量%、キシリトール40乃至70重量%、キキョウ0.5乃至15重量%、カリン0.1乃至15重量%、及びミント10乃至15重量%を含むタブレットまたは粉末型の口腔清潔剤組成物を提供する。
【0010】
本発明の組成物は、全体組成物の重量に対して、レモン1乃至20重量%、緑茶5乃至20重量%、プロポリス0.01乃至0.5重量%、及びラカンカ0.01乃至0.5重量%をもっと含むことができる。
【0011】
本発明の組成物は、全体組成物の重量に対して、ステアリン酸マグネシウム0.1乃至5重量%及び二酸化ケイ素0.1乃至5重量%をもっと含み、タブレット剤形を持つことができる。
【0012】
本発明の組成物は、全体組成物の重量に対して、マルトデキストリン1乃至5重量%をもっと含み、粉末型剤形を持つことができる。
【0013】
本発明は、また、全体の組成物の重量に対して、塩4乃至7重量%、キシリトール45乃至60重量%、キキョウ0.5乃至2.0重量%、カリン0.2乃至2.0重量%、ミント10乃至15重量%、レモン5乃至15重量%、緑茶10乃至17重量%、プロポリス0.05乃至0.2重量%、ラカンカ0.1乃至0.3重量%、ステアリン酸マグネシウム0.5乃至1.5重量%、及び二酸化ケイ素0.5乃至1.5重量%を含む、タブレット型口腔清潔剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る摂取が可能なタブレット又は粉末型口腔清潔剤組成物は、液状やゲルの形ではなく、タブレットや粉末の形で提供されることで、携帯及び使用が簡便な長所がある。また、化学成分を含まず、天然素材を使用することで、使用した後に摂取が可能であり、吐くスペースが必要ないため、場所に関わらず常時使用できる利便性を有する。さらに、口腔内細菌の抑制及び口臭除去に優れた効果を発揮し、味の嗜好性も優れている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例及び比較例の口腔清潔用組成物のpH測定結果を示す。
図2a】11種の有害菌に比較例1の試料を塗布した後、24時間後の培養皿を撮影したものである。
図2b】11種の有害菌に対する比較例1の有害菌抑制率を示したものである。
図3a】11種の有害菌に比較例2の試料を塗布した後、24時間後の培養皿を撮影したものである。
図3b】11種の有害菌に対する比較例2の有害菌抑制率を示したものである。
図4a】11種の有害菌に比較例3の試料を塗布した後、24時間後の培養皿を撮影したものである。
図4b】11種の有害菌に対する比較例3の有害菌抑制率を示したものである。
図5a】11種の有害菌に実施例1の試料を塗布した後、24時間後の培養皿を撮影したものである。
図5b】11種の有害菌に対する実施例1の有害菌抑制率を示したものである。
図6a】11種の有害菌に実施例2の試料を塗布した後、24時間後の培養皿を撮影したものである。
図6b】11種の有害菌に対する実施例2の有害菌抑制率を示したものである。
図7a】11種の有害菌に実施例3の試料を塗布した後、24時間後の培養皿を撮影したものである。
図7b】11種の有害菌に対する実施例3の有害菌抑制率を示したものである。
図8a】11種の有害菌の実施例4の試料を塗布した後、24時間後の培養皿を撮影したものである。
図8b】11種の有害菌に対する実施例4の有害菌抑制率を示したものである。
図9a】11種の有害菌に実施例5の試料を塗布した後、24時間後の培養皿を撮影したものである。
図9b】11種の有害菌に対する実施例5の有害菌抑制率を示したものである。
図10a】11種の有害菌に比較例4の試料を塗布した後、24時間後の培養皿を撮影したものである。
図10b】11種の有害菌に対する比較例4の有害菌抑制率を示したものである。
図11a】11種の有害菌に比較例5の試料を塗布した後、24時間後の培養皿を撮影したものである。
図11b】11種の有害菌に対する比較例5の有害菌抑制率を示したものである。
図12a】ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)に実施例及び比較例の試料を塗布した後、24時間後の培養皿を撮影したものである。
図12b】ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)に対する実施例及び比較例の試料の抑制率を示したものである。
図13a】ラクトバチルス・サリヴァリゥス(Lactobacillus salivarius)に実施例及び比較例の試料を塗布した後、24時間後の培養皿を撮影したものである。
図13b】ラクトバチルス・サリヴァリゥス(Lactobacillus salivarius)に対する実施例及び比較例の試料の抑制率を示したものである。
図14】実施例及び比較例の試料に対する細胞生存率を示したものである。
図15】LPS処理後、実施例及び比較例の試料を適用した細胞のNO生成量を分析した結果である。
図16a】実施形態に係るTNF-αの発現量の測定結果を示す。
図16b】実施形態に係るIL-1βの発現量の測定結果を示す。
図16c】実施形態に係るIL-6の発現量の測定結果を示す。
図17】実施例及び比較例の試料に対するHS溶液の試験結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
他の式で定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を持つ。一般的に、本明細書で使用される命名法は、本技術分野でよく知られており、通常使用されるものである。
【0017】
本発明は、タブレットまたは粉末型口腔清潔剤組成物に関するものであり、塩、キシリトール、キキョウ、カリン及びミントを特定組成比で含むことにより、抗炎症及び抗菌の効果が優れ、口臭除去に効果的であり、天然成分のみで構成され摂取が可能な、歯の健康のためのタブレット又は粉末型口腔清潔剤組成物に関するものである。
【0018】
本発明に係るタブレットまたは粉末型口腔清潔剤組成物は、望ましくは、塩3乃至10重量%、キシリトール40乃至70重量%、キキョウ0.5乃至15重量%、カリン0.1乃至15重量%及びミント10乃至15重量%を含むことができる。
【0019】
本発明において、上記の塩は天日塩が望ましく、特に、上記の天日塩は、洗浄、乾燥及び滅菌後、山野草発酵液を用いて酵素接種した酵素塩であることが望ましい。
【0020】
以下、上記酵素塩の製造方法について具体的に説明する。
【0021】
採取したばかりの天日塩には多量の水分、にがり、不純物が含有されている。それを除去するために、上記の天日塩を淡水で洗浄し、脱水した後、乾燥及び殺菌を通じて水分、にがり及び不純物を除去することができる。この時、上記乾燥及び殺菌はマイクロ波を利用して、30乃至60分間行うことができ、120乃至150℃で行うことが望ましい。
【0022】
上記の工程によって、乾燥及び殺菌された塩は、36乃至40℃で山野草発酵液を噴射して、酵素接種することができる。
【0023】
上記の山野草発酵液は、茵陳ヨモギ、ドクダミ、黒ニンニク、ハンジキン、セキショウ、スイカズラ、タラノキの根、エゾウコギ、三白草、ヤドリギ、葛根、キクイモ、松葉、当帰、霊芝、サンシュユ、クコの実、甘草、ナツメ、ツルドクダミの根、百茯苓、ケンポナシの実、土茯苓、桑の葉、楡根皮、シナモン、旱蓮草、発酵長脳参、アザミ、車前子、スベリヒユ及び山椒の実からなる群から選ばれる10種以上、望ましくは20種の薬草を一定の割合に使用して製造することができる。
【0024】
上記の山野草発酵液は、薬草を採取して洗浄し、糖を利用して発酵及び熟成させる。上記の発酵及び熟成過程は、原料を糖液と一緒に長期間保存して微生物によって発酵・熟成させることで、原料中に含まれている栄養成分等を破壊せずに抽出するためのもので、糖液としては砂糖が基本的に使用される。本発明では、より健康志向の製品を作るために糖液として砂糖とオリゴ糖を混合して使用した。
【0025】
本発明の一具体例において、上記の山野草発酵液は、薬草100重量部に対して、砂糖10乃至40重量部とオリゴ糖60乃至90重量部を配合して製造することができる。
【0026】
上記混合比で添加された糖液は、砂糖を単独で使用した場合に比べて、発酵初期に雑菌の制御が容易であり、膨潤が迅速な長所がある。これは砂糖を単独で使用する場合には、発酵初期に薬草原料に含有された水分が浸透圧を通じて砂糖に移動され膨潤が起き、この時、糖液の濃度が高くなり、薬草原料の表面に残っている雑菌が浸透圧によって低減されるが、製造時間が長くなる欠点がある。しかし、適切なオリゴ糖の糖液を使用すると、砂糖を単独で使用するよりも、初期の膨潤を迅速にして、製造時間を一週間ほど短縮することができる。
【0027】
上記薬草の発酵は、10乃至20℃の温度で20乃至60日の間に行われる。あまりにも長時間発酵を進行すると、アルコールが生成され、20℃以上の温度では、硝酸菌の生育が活発になって酢酸が多く生成される素地があり、上記範囲未満では、発酵がうまく行われなかったり、カビが増殖したりすることがある。
【0028】
上記の発酵が完了した薬草発酵液は、繊維質と液体に分離して残存する微細繊維質はマイクロフィルターを用いて完全に濾過した後、液体だけを壺に入れて熟成させる。上記の熟成は、10乃至20℃の温度で3年以上実施され、熟成期間が3年未満の場合、薬草の味と香りが原液に十分浸出されない問題がある。
【0029】
熟成が完了した薬草発酵熟成液は減圧蒸留を通じてアルコールを除去して、食品基準法に適したアルコール含有量の1%以下に低減して使用する。
【0030】
上記のアルコールが低減された薬草発酵液は、高温殺菌機で1次殺菌される。上記の1次殺菌段階は、85乃至100℃の温度で30乃至50分の間に実施されることができ、上記範囲で薬草の味と香りなどの風味が損なわれず、有用成分の破壊なしに細菌の増殖を効果的に抑制することができる。上記1次殺菌された薬草の発酵液は、容器内に高温充填(hot fill)した後、冷却する。
【0031】
上記の高温充填及び冷却段階は、発酵液を高温に上昇させ充電した後、急冷する工程で、予熱液の潜熱により薬草風味の損傷を抑制し、微生物に熱衝撃を与え、2次殺菌の効率を高める効果がある。具体的には、上記の高温充填は85乃至95℃の温度で充電され、上記冷却は30乃至40℃の温度に冷却されることができ、上記の範囲の温度で薬草の風味向上及び細菌の増殖を抑制する効果がある。
【0032】
上記冷却された薬草発酵液は、超高温瞬間殺菌機で2次殺菌される。上記の超高温瞬間殺菌(UHT、ultra-high temperature sterilization)は、100乃至140℃の温度で2乃至40秒の間に実施されることができ、1次殺菌によって完全に死滅していない耐熱性胞子生成菌及び雑菌を除去することができる。
【0033】
このように生産された酵素の培養液は、50乃至65ブリックスの濃度に濃縮した後、殺菌水及び培養菌混合液と混合する。
【0034】
上記の培養菌混合液は、ラクトバチルス・ブルガリクス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・フランタルム、ストレプトコッカス・サーモフィルスなどの有益菌によるプロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、SODなどの酵素を含むことができる。
【0035】
上記の薬草発酵液は、培養タンクで48乃至72時間に35乃至37℃の温度で培養発酵された後、酵素接種のために使用される。
【0036】
上記の薬草発酵液を、殺菌及び乾燥された塩等に噴射して、最終的に、酵素塩を製造することができる。
【0037】
上記の方法で製造された酵素塩は、そのものの苦味が取れ、重くて塩辛い味が軽量化された特徴がある。
【0038】
上記の酵素塩はそのまま使用するか、または80乃至90℃の温度で粘液化させた後、粘液物質を乾燥して粉末化させた後に使用することができる。
【0039】
本発明の酵素塩は抗酸化、抗がん、免疫力強化、老化予防、新陳代謝活性化の効能がある。
【0040】
本発明において、上記の塩は、全体組成物の重量に対して3乃至10重量%で含まれることが望ましく、4乃至7重量%がもっと望ましく、4.5乃至5.0重量%が最も望ましい。
【0041】
本発明の組成物はまた、キシリトールを全体組成物の重量に対して40乃至70重量%で含むことができ、45乃至60重量%がもっと望ましく、55乃至60重量%が最も望ましい。
【0042】
キシリトールは歯磨き粉、ガムなどに主に使用される天然甘味料として、1日に10乃至25gを使用すると、虫歯の原因となる酸を形成しないため、虫歯予防のみならず、骨密度の向上及びインフルエンザAの感染に効果的なものと知られている。
【0043】
本発明の組成物はまた、キキョウを全体組成物の重量に対して0.1乃至15重量%含むことができ、0.5乃至2.0重量%含むことがもっと望ましく、0.7乃至1.3重量%が最も望ましい。
【0044】
キキョウは、platycodin A、C、D、及びpolygalacin Dなどの生理活性物質が多量に含まれており、抗炎、抗アレルギー、抗肥満、高脂血症の予防、抗菌、抗酸化機能があると知られている。
【0045】
上記キキョウは、原物を粉砕した乾物を利用することができるが、製造、流通過程で腐る恐れがあるので、抽出物を粉末形態で使用することが望ましい。
【0046】
本発明の実施形態により、口腔清潔剤組成物をタブレット形態に製造する場合、上記キキョウを0.5乃至2.0重量%で使用することが望ましく、0.7乃至1.3重量%がもっと望ましい。
【0047】
本発明の他の実施形態により、口腔清潔剤組成物を粉末形態に製造する場合、上記キキョウは、5乃至15重量%で使用されることが望ましく、8乃至12重量%がもっと望ましい。
【0048】
本発明の組成物はまた、カリンを全体組成物の重量に対して、0.1乃至15重量%含むことができ、0.2乃至2.0重量%含むことがもっと望ましく、0.3乃至0.7重量%含むことが最も望ましい。
【0049】
カリンは昔から風邪を予防し、症状を緩和させる効果があると知られており、ビタミン、タンニン、ペクチン、クエン酸、カリウム、ポリフェノールなどが含まれ、抗ウイルス、抗炎症、抗酸化、ブドウ糖の吸収遅延、認知症の治療などの活性がある。
【0050】
上記カリンは、原物を粉砕した乾物を利用することができるが、製造、流通過程で腐る恐れがあるので、抽出物を粉末形態で使用することが望ましい。
【0051】
本発明の実施形態により、口腔清潔剤組成物をタブレット形態に製造する場合、上記カリンを0.2乃至2.0重量%で使用することが望ましく、0.3乃至0.7重量%がもっと望ましい。
【0052】
本発明の他の実施形態により、口腔清潔剤組成物をタブレット形態に製造する場合、上記カリンは5乃至15重量%で使用されることが望ましく、8乃至12重量%がもっと望ましい。
【0053】
本発明の組成物はまた、ミントを全体組成物の重量に対して5乃至20重量%含むことができ、10乃至15重量%がもっと望ましく、13乃至14重量%が最も望ましい。
【0054】
ミントはフェノール成分とフラボノイド成分が豊富で、抗酸化及び組織損傷の予防に効果があると知られている。
【0055】
本発明の実施形態により、口腔清潔剤組成物をタブレット形態で製造する場合、上記ミントを10乃至15重量%で使用することが望ましく、13乃至14重量%がもっと望ましい。
【0056】
本発明の他の実施形態により、口腔清潔剤組成物を粉末形態で製造する場合、上記ミントは10乃至12重量%が望ましい。
【0057】
上記ミントは、抽出物または抽出物の粉末形態で本発明で使用することができる。
【0058】
本発明は、また、レモン、緑茶、プロポリス、ラカンカなどの抗炎症、抗菌効果を有する成分等をさらに含むことができる。
【0059】
レモンはフラボノイド、アスコルビン酸、ミネラルなどが豊富で、老化防止、殺菌作用、抗炎症、抗ウイルス効能があると知られており、脂質低下効果を有する。
【0060】
上記レモンは、レモン抽出物または抽出物の粉末形態で使用されることが望ましい。
【0061】
上記レモンは、全体組成物の重量に対して1乃至20重量%を含むことができる。本発明の実施の形態によって、口腔清潔剤組成物をタブレット形態で製造する場合、上記レモンを5乃至15重量%含むことが望ましく、8乃至10重量%がもっと望ましい。本発明の他の実施形態により、口腔清潔剤組成物を粉末形態で製造する場合、上記レモンは3乃至7重量%が望ましい。
【0062】
緑茶はカテキンが含まれており、抗酸化、体脂肪の減少、血中コレステロールの改善に役立ち、抗菌効能に対する研究も報告されている。
【0063】
上記緑茶は緑茶抽出物または抽出物の粉末形態で使用されることが望ましい。
【0064】
本発明において、緑茶は全体組成物の重量に対して5乃至20重量%含むことができる。本発明の実施形態により、口腔清潔剤組成物をタブレット形態に製造する場合、上記緑茶を10乃至17重量%含むことが望ましく、11乃至13重量%がもっと望ましい。本発明の他の実施形態により、口腔清潔剤組成物を粉末形態に製造する場合、上記緑茶は、5乃至10重量%が望ましい。
【0065】
プロポリス(propolis)は木の分泌物を蜂が採取し、蜂の唾液及蜜蝋(beeswax)と一緒に混ぜて作ったことを意味し、古くから民間薬として使用されてきた。プロポリスにはフラボノイド、ポリフェノールなど、様々な活性成分を含有しており、抗炎症、抗ウイルス、抗アレルギー、歯周炎などに効果が優れていると知られている。
【0066】
上記プロポリスは、本発明の組成物の全体重量に対して0.01乃至0.5重量%含まれることが望ましく、0.05乃至0.2重量%がもっと望ましい。
【0067】
ラカンカ(羅漢果、Momordica grosvenori Swingle / Siraitia grosvenorii)は、ひょうたんの実で、中国広西省桂林地域の高冷地でのみ育つ多年草植物である。中国で約300年前から天然甘味料と各種成人病の予防、抗がん効果、喉頭炎、喉の痛み、乾いた咳などの病気の治療のために使用された。ラカンカは、天然甘味料として砂糖と最も類似し、非配糖体で歯周病菌が栄養源として使用できないと言われており、体に吸収されずに排出され、カロリーもほとんどなく、血糖指数も上げないため天然甘味料としての活用度が非常に高い。
【0068】
また、ラカンカの主要有効成分は、トリテルペノイドサポニンとフラボノイド配糖体である。薬理学的研究によると、ラカンカは血糖降下、高脂血症の改善、抗酸化、抗突然変異、血管透過性の抑制、鎮咳と去痰作用があることが確認された。
【0069】
上記ラカンカは、抽出物または抽出物の粉末形態で本発明で使用することができる。
【0070】
上記ラカンカは、本発明の組成物の全重量を基準に0.01乃至0.5重量%含むことができ、0.1乃至0.3重量%がもっと望ましい。本発明では、砂糖よりも300倍の甘さを持つラカンカを少量使用することにより、消費者の嗜好度を向上させながらもカロリーが低く、抗菌力に優れた口腔清潔剤組成物を提供することができる。
【0071】
本発明の一実施形態により、本発明の組成物は、タブレット形態の剤形を持つことができる。上記剤形は、本技術分野で一般的に使用されるタブレット剤形製造技術を利用して形成することができ、例えば、混合粉末を打錠機で打錠して、タブレット形態に成形することができる。壊れないタブレットの形に成形するために、高圧、低速で打錠することが望ましい。
【0072】
本発明において、上記混合粉末をタブレット形態に製造する前に、篩を利用してフィルタリングする過程を経るが、この時、篩目の大きさがタブレット剤形に影響を与えることがある。たとえば、篩目の大きさが30mesh以上と非常に細かくフィルタリングがされる場合、タブレット打錠過程で原料の流れと流動性に影響を与え、高圧過程でタブレットの結合力が非常に弱く形成される可能性がある。したがって、篩目の大きさを18mesh以下に調節することがタブレット結合力を向上させるために望ましい。
【0073】
本発明において、タブレット形態の剤形で製造される場合、タブレットの結合力を向上させるための賦形剤を添加することができる。上記賦形剤には、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素などを使用することができ、両方を使用することが望ましい。
【0074】
上記賦形剤は、全体組成物の重量に対して0.1乃至10重量%含むことができ、0.5乃至5重量%がもっと望ましく、1.5乃至2.5重量%が最も望ましい。
【0075】
本発明の望ましい実施例により、本発明の口腔清潔剤組成物をタブレット形態で製造する場合、本発明の組成物は、塩3乃至10重量%、キシリトール40乃至70重量%、キキョウ0.1乃至15重量%、カリン0.1乃至15重量%、ミント5乃至20重量%、レモン1乃至20重量%、緑茶5乃至20重量%、プロポリス0.01乃至0.5重量%、ラカンカ0.01乃至0.5重量%、ステアリン酸マグネシウム0.1乃至5重量%及び二酸化ケイ素0.1乃至5重量%を含むことが望ましい。
【0076】
もっと望ましくは、本発明のタブレット型口腔清潔剤組成物は、塩4乃至7重量%、キシリトール45乃至60重量%、キキョウ0.5乃至2.0重量%、カリン0.2乃至2.0重量%、ミント10乃至15重量%、レモン5乃至15重量%、緑茶10乃至17重量%、プロポリス0.05乃至0.2重量%、ラカンカ0.1乃至0.3重量%、ステアリン酸マグネシウム0.5乃至1.5重量%及び二酸化ケイ素0.5乃至1.5重量%を含むことができる。
【0077】
最も望ましくは、本発明のタブレット型口腔清潔剤組成物は、塩4.5乃至5重量%、キシリトール55乃至60重量%、キキョウ0.7乃至1.3重量%、カリン0.3乃至0.7重量%、ミント13乃至14重量%、レモン8乃至10重量%、緑茶11乃至13重量%、プロポリス0.05乃至0.2重量%、ラカンカ0.1乃至0.3重量%、ステアリン酸マグネシウム0.8乃至1.2重量%及び二酸化ケイ素0.8乃至1.2重量%を含むことができる。本発明の実施例では、上記の組成比を有するタブレット型口腔清潔剤組成物が有害菌の活性を抑制し、有益菌の生存力は維持しており、特に炎症誘発及び口臭試験で効能が非常に優れていることを確認した。
【0078】
また、本発明の他の実施形態により、粉末形態の口腔清潔剤組成物を製造する場合、固結防止のための固結防止剤を追加で含むことができる。
【0079】
上記固結防止剤としては、マルトデキストリンを使用することができ、全体の組成物の重量に対して1乃至5重量%を使用することが望ましく、2乃至4重量%がもっと望ましい。
【0080】
本発明の望ましい実施例により、本発明の口腔清潔剤組成物を粉末形態で製造する場合、本発明の組成物は、塩4.5乃至5.0重量%、キシリトール45乃至50重量%、キキョウ8乃至12重量%、カリン8乃至12重量%、ミント10乃至12重量%、レモン3乃至7重量%、緑茶5乃至10重量%、プロポリス0.01乃至0.5重量%、ラカンカ0.1乃至0.3重量%、及びマルトデキストリン2乃至4重量%を含むことが望ましい。
【0081】
本発明に係るタブレットまたは粉末型口腔清潔剤組成物は、すべての成分が、化学成分が全く含まれない天然素材で作られるため、使用後に吐き出さず、そのまま摂取できるため、便利に使用することができる。
【0082】
また、本発明のタブレットまたは粉末型口腔清潔剤組成物は、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)、ストレプトコッカス・サンギス(Streptococcus sanguinis)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)、エイケネラ・コローデンス(Eikenella corrodens)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、プレボテラ・ニグレセンス(Prevotella nigrescens)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)などの口腔内の有害菌を抑制することができ、虫歯や歯周病を改善することができる。
【0083】
また、本発明の口腔清潔剤組成物は、ラクトバチルス・サリヴァリゥス(Lactobacillus salivarius)及びストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)などの有益菌の抑制率が従来の製品よりも低く、有害菌を抑制しながらも、有益菌は生存することができる特徴がある。
【0084】
また、本発明の口腔清潔剤組成物は、口臭の主な原因である硫化水素(hydrogen sulfide)、メチルメルカプタン(methylmercaptan)、ジメチルスルフィド(dimethyl sulfide)のような揮発性化合物; 酪酸(butyric acid)、カダベリン(cadaverine)などのようなアミン(amine)類;インドール(indole)、ピリジン(pyridine)などポリフェノール化合物(polyphenolic compound)を除去することができる。本発明の一実施例では、本発明の口腔清潔剤組成物がアンモニア、ホルムアルデヒド、トリメチルアミン、及びメチルメルカプタンの成分を実質的に大幅に減少させることがあることを確認した。
【0085】
最後に、本発明の口腔清潔剤組成物は、口腔内の細菌の抑制と口臭の減少効果を発揮しながらも、消費者の好みに合う味を表現する最適な比率を選定して、消費者が抵抗なく摂取することができる。
【0086】
実施例
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、ただ本発明を例示するためのもので、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものと解釈されないことは、当業界で通常の知識を有する者にとって自明である。
【0087】
実験準備
下の表1に示すような組成で口腔清潔用組成物を製造した。各成分は、抽出粉末の形態で準備し、タブレット剤形の場合、打錠機で打錠して製造した。
【0088】
比較実験のために、キキョウ抽出粉末(Platycodon grandiflorum)、カリン抽出粉末(Chaenomeles sinensis Koehne)及びラカンカ抽出粉末(Siraitia grosvenorii)をそれぞれ比較例1乃至3にして実験をし、市販製品との比較のためにD社とJ社の液状口腔清潔剤製品をそれぞれ比較例4及び5にして、結果を比較した。
【0089】
実験で粉末型試料は、100mg/mL水準に溶解し、0.45μmフィルタ後、使用した。
【0090】
【表1】
【0091】
実験例1:pH測定
上記実施例1乃至5及び比較例1乃至5の合計10種の試料を15mLの円錐チューブ(conical tube)に5mLずつ分注した。各試料当り3つのtubeをpH meterで6回ずつ測定した。その結果を図1に示した。
【0092】
図1に、本発明のタブレット型組成物である実施例2乃至5の場合、pHが4.0乃至4.2の範囲で、市販の製品である比較例4及び5のpHである4.7及び4.2と類似した水準であると確認された。
【0093】
粉末型組成物である実施例1の場合、pH3.4でやや低い数値を示した。
【0094】
天然抽出物であるキキョウ及びカリン抽出物は、pH4.6及び3.2を示したが、ラカンカ抽出物の場合、pH8.6で塩基性を示した。
【0095】
実験例2:抗菌実験
下記の表2の病原性口腔微生物(以下、「有害菌」)11種と非病原性微生物(以下、「有益菌」)の2種について抗菌実験を行った。
【0096】
有害菌と有益菌をブロス液体培地5mLに36.5℃、145rpmの条件のシェーカー(shaker)で48時間培養した。100CFU有害菌と有益菌を60O培養皿に塗抹し、37℃、5%COの環境のインキュベータ(incubator)で24時間培養した。
【0097】
培養皿に8mmのペーパーディスク(抗生物質分析用のADVENTECペーパーディスク)4個を上げた後、ペーパーディスク(paper disc)に実験試料を100uLずつ塗布した。
【0098】
試料塗布24時間後、培養皿撮影及び閾値(threshold value)による微生物増進抑制効果を観察した。評価方法は、Image Jプログラムを利用して、バッジの中の領域を設定し、black&whiteのthresholdを利用して、白色の中の点の面積を計算して数値化した後、定量的に評価した。
【0099】
各試料に対する抗菌実験の結果を図2乃至図13に示し、その結果を総合して、以下の表3に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
上記の表で確認できるように、実施例1乃至5の組成物は、すべて市販製品である比較例4及び5に比べて大きく劣らず、又はより優れた有害菌に対する抗菌活性を示した。
【0103】
また、有益菌の抑制において、比較例4及び5の市販製品は、有益菌も一緒に抑制することと示されたが、天然抽出物を使用する実施例1乃至5の場合、有益菌は大きく抑制しないことと確認され、有害菌を抑えつつ有益菌は維持することができることが確認された。
【0104】
粉末型剤形の実施例1の場合、S. salivariusの生存力を大きく維持したが、L. salivariusは大きく抑制する傾向を示したが、タブレット剤形の実施例2乃至5の場合、いずれの有益菌においても生存力をよく保存した。
【0105】
実験例3:抗炎症実験
3-1.細胞の生存試験
T75フラスコに27 passage、Raw 264.7細胞を一般培養した。Raw 264.7細胞を3回以内の継代培養を通じて細胞の安定化を実施した後、96 well culture plate(96ウェル培養皿)に1x10cells/mLで2時間培養した。
【0106】
1μg/mLのリポ多糖類(Lipopolysaccharides)を処理して、24時間培養した後、実施例と比較例の試料を100mg/mLでそれぞれ100μlずつ注入し、24時間培養した。
【0107】
MTT assay kit(Dojindo社,Cell Counting Kit-8)を各wellに注入して、37℃/5%CO環境のインキュベータで2時間再培量した後、450nmの吸光度で細胞生存率を測定した結果を図14に示した。
【0108】
図14で、実施例1乃至5の組成物は、すべての細胞生存率が100%に近い値を示し、毒性が非常に低いことを確認することができる。このような結果は、比較例4及び5の市販製品の細胞生存率がそれぞれ46.7%及び35.9%と非常に低いものと対比される。
【0109】
また、天然物抽出粉末である比較例1乃至3の場合も、毒性が報告されていないにもかかわらず、細胞生存率が低かった。これは天然物を抽出し、粉末化する過程で発生した問題と判断され、本発明の組成物の場合、これらの問題点が完全に克服されたことを確認することができる。
【0110】
3-2.NO assay試験
NO抑制効果を確認するためにLPSでNOを生成させた試料について、実施例及び比較例の口腔清潔組成物を処理してNO生成消去効果を確認しようとした。
【0111】
T75フラスコに27 passage、Raw 264.7細胞を一般培養した。 Raw 264.7細胞を3回以内の継代培養を通じて細胞の安定化を実施した後、96 well culture plateに1x10cells/mLで2時間培養した。
【0112】
1μg/mLのリポ多糖類(Lipopolysaccharides)を処理して、24時間培養した後、実施例と比較例の試料を100mg/mLでそれぞれ100μlずつ注入し、24時間培養した。
【0113】
各wellのmediaを100mLずつ収集して、96 well culture plateに移した後、NO assay kit(Cayman社、nitrate colorimetric assay kit)を利用して、540-550nmの吸光度で測定した。測定結果を図15に示した。
【0114】
図15で、すべての試料は、対照群と比較して統計的に有意にNO生成抑制に効率的であると観察された。LPSを処理した対照群のNO生成抑制を0%に見たとき、すべての試料は、平均79%のNO生成を抑制することと観察された。
【0115】
特に、実施例4及び5の場合には、市販製品である比較例2と類似したレベルのNOの減少を見せ、80%以上の抑制を示した。
【0116】
3-3.炎症関連タンパク質の発現解析
炎症誘発関連のサイトカインであるTNF-α(Tumor necrosis factor-alpha)、IL-1β(Interleukin-1 beta)、IL-6(Interleukin-6)をmurine inflammatory cytokine pre-coated ELISA kitを用いて培養液の上澄み液内のタンパク質濃度を測定した。
【0117】
100mm dish plateにRaw 264.7細胞を3回以内の継代培養を通じて細胞の安定化を実施した後、96ウェル培養皿(96 well culture plate)に1x10cells/mLで2時間培養した。
【0118】
NOを生成し、酸化的ストレスを誘発し、炎症と関連した研究されたニトロプルシドナトリウム(sodium nitroprusside,SNP)を300μM処理して16時間培養した後、実施例を2乃至20mg/mLの濃度で注入し、24時間培養した。
【0119】
以後、50μlの分析希釈液を提供されたwellにそれぞれ入れて、各サイトカインに対する標準液と実験液をそれぞれ50μlずつwellの中心部に添加し、よく混ざるように培養皿を軽く床に叩きつけた後、提供された密閉用テープで覆って、2時間室温で反応させた。
【0120】
密閉用テープを除去し、指定された洗浄バッファー(washing buffer)で5回洗浄過程を繰り返し、測定しようとするcytokineの共役溶液100μlを各wellに入れ、密閉用テープで覆って2時間反応させた後、洗浄バッファーで5回洗浄過程を繰り返した。
【0121】
100μlの基質溶液を各wellに入れて、30分間室温で遮光状態で保管しながら反応させた後、静止溶液を各wellに100μlずつ入れて、30分以内にマイクロプレートリーダー(microplate reader)で450nmで測定した。
【0122】
図16aは、実施形態に係るTNF-αの発現量の測定結果を示す。
【0123】
TNF-αは、主に単核細胞とマクロファージで生産され、免疫反応と炎症反応を誘導する炎症誘導媒介のサイトカイン(cytokine)で細胞の成長と分化、アポトーシス(apoptosis)、ネクローシス(necrosis)などの機能に関与し、血管透過性を増加させる。
【0124】
実施例1の場合、ポジティブコントロール(positive control)で使用したSNPにより増加したTNF-αの生成量がそれぞれのサンプルを10及び20mg/ml処理する場合、統計的に有意な減少効果を示すことを確認した。
【0125】
実施例2乃至5の場合、ポジティブコントロール(positive control)で使用したSNPにより増加したTNF-αの生成量がそれぞれのサンプルを5及び10mg/ml処理する場合、統計的に有意な減少効果を示すことを確認した。
【0126】
図16bは、実施形態に係るIL-1βの発現量の測定結果を示す。
【0127】
IL-1(Interleukinー1)は、TNF-αと同様に、感染や他の刺激に対する宿主の炎症反応媒介者として様々な生成誘導物質の刺激を通じて単球、マクロファージ、角質細胞、NK細胞、T細胞、B細胞、内皮細胞など様々な細胞で生成される。
【0128】
図16bにおいて、実施例1、3及び5の場合、SNPにより増加されたIL-1β生成量が2及び5mg/mlの両方で有意に減少しており、特に実施例5の場合、2及び5mg/mlの濃度の両方でIL-1β生成量がコントロール水準に大幅に減少することを確認した。
【0129】
実施例2及び4の場合、2mg/mlの処理時に、SNPにより増加されたIL-1β生成量が有意に減少することを確認したが、5mg/mlでは減少現象は見られないか、又は少ない減少だけを確認した。
【0130】
図16cは、実施形態に係るIL-6の発現量の測定結果を示す。
【0131】
IL-6(Interleukin-6)は、マクロファージとT-細胞によって生産され、TNF-α、IL-1と共に急性期タンパク反応の誘導体として炎症誘発性サイトカイン(proーinflammatory cytokine)、抗炎症性サイトカイン(anti-inflammatory cytokine)として知られている。
【0132】
図16cにおいて、実施例1の場合、SNPにより増加されたIL-6生成量が10、20mg/mlの水準で減少効果を示さなかったが、実施例2乃至5の場合、SNPにより増加されたIL-6生成量が減少することが確認できており、実施例4の場合、SNPにより増加されたIL-6生成量がコントロール水準に大きく減少することを確認した。
【0133】
実験例4:口臭試験
4-1.H S溶液試験
生理的、病理的口臭を誘発する条件(150~200ppb)を仮定するために、HS溶液を利用して、口臭発生抑制実験を実施した。
【0134】
S溶液原液と3次蒸留水とを1:1000に希釈して、対照群に設定した。
【0135】
50mLの円錐チューブ(conical tube)に3次蒸留水及び実施例と比較例の試料をそれぞれ10mL入れた後、1:1000に希釈したHS溶液を1μl添加した。すべての試料について3回ずつHS濃度を測定して口臭抑制能力を決定した。結果を図17に示した。
【0136】
1000倍希釈したHS溶液は120~290ppbで測定された。
【0137】
本発明の実施例1乃至5の試料はいずれも対照群に比べてそれぞれ79.6%、58.4%、79.1%、39.9%及び62.5%のHS改善効果が観察された。
【0138】
市販製品である比較例4の場合、多数回の実験にもHSが測定されなかったが、比較例5の場合71.1%の改善効果が観察され、本発明の試料が市販の製品と似ているか、又はより優れた口臭抑制効果を持つことを確認した。
【0139】
4-2.ガス検知管法を利用した口臭除去試験
ASTM D1988ー06のStandard test method(ASTM D1988ー06.,2011)を応用したガス検知管法を用いて、本発明の口腔清潔剤の口臭抑制効果を確認しようとした。
【0140】
500mL密閉可能容器に検知管の出し入れが可能なゴム栓を挟んで準備して、下の表4に記載された悪臭試験液を容器内に注入して、30分間、悪臭を誘発させた。
【0141】
口腔清潔剤試料としては、先の実験で最も優れた性能を示したタブレット剤形の実施例3の試料と粉末型剤形の実施例1の試料を使用した。
【0142】
悪臭発生30分後に10mg/mlの試料をそれぞれ注入し、60分後にガス検知器(GV-100S)を用いて残留ガスを比較した。実験は、ヒュームフード(Fume hood)の中で行い、温度と湿度の条件は、21~23℃、40~55%に設定した。
【0143】
本発明の口腔清潔剤を処理する前の初期の各ニオイ成分の値を100%にしたとき、60分後に測定したニオイ成分の値は、以下の表4に示すとおりである。
【0144】
【表4】
【0145】
上記の表において、実施例1及び3の粉末型及びタブレット型組成物はすべて10乃至70%程度の消臭効果を示しており、平均的に50%程度の口臭を除去することができるということを確認した。
【0146】
以上で、本発明の内容の特定部分を詳細に記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述は、単に望ましい実施様態に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とそれらの等価物によって定義されると言える。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b
図14
図15
図16a
図16b
図16c
図17