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▶ レボリューショナリー メディカル デバイシーズ,インコーポレイテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】換気マスク
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20221226BHJP
   A61M 16/01 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
A61M16/06 A
A61M16/06 Z
A61M16/01 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020216060
(22)【出願日】2020-12-25
(62)【分割の表示】P 2019041441の分割
【原出願日】2015-08-07
(65)【公開番号】P2021058657
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】62/039,759
(32)【優先日】2014-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/078,677
(32)【優先日】2014-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/161,041
(32)【優先日】2015-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515089769
【氏名又は名称】レボリューショナリー メディカル デバイシーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ,マイケル ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】カタルド,スティーヴン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ライリー,トーマス エム.
(72)【発明者】
【氏名】レッドフォード,ライアン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ケイン,デイヴィッド エム.
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3192368(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0076311(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0145247(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0024533(US,A1)
【文献】特開2007-181661(JP,A)
【文献】特表2008-511399(JP,A)
【文献】特表2012-509148(JP,A)
【文献】特表平02-502161(JP,A)
【文献】特表平05-507004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0109992(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
A61M 16/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の口を覆わない状態で、患者の鼻を覆うように構成された本体であって、該本体は鼻用の空洞を形成する内部と、前記鼻用の空洞と分離されたガス路と、及び前記ガス通路に接続された外部開口部と、を有する本体と、
流体的に前記鼻用の空洞に連結され、前記鼻用の空洞内に酸素を導入するためのOポートと、
前記鼻用の空洞に流体的に連結され、 及び麻酔ガスを前記鼻用の空洞に向けたり、あるいは前記鼻用の空洞から遠ざけたりするために構成された換気ポートと、
前記本体の前記ガス通路を介して前記外部開口部に流体的に連結された呼気終末COポート、
とを備え、
前記外部開口部は、装着者が口から排出した麻酔ガス及び呼気終末CO を捕集するように適用され、前記ガス通路は、口から排出した麻酔ガス及び呼気終末CO を前記外部開口部から前記呼気終末COポートに向くように構成されていることを特徴とする鼻換気マスク。
【請求項2】
患者の口の周りの麻酔ガスの収集を高めるために、前記マスクの鼻領域の下部に位置し前記外部開口部周りの前記マスクの外表面から伸びているガスフードを備えていることを特徴とする請求項1に記載の鼻換気マスク。
【請求項3】
前記呼気終末COポートは、モニターラインと接続するように構成されており、前記換気ポートは、前記モニターラインと異なる換気ラインに接続するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の鼻換気マスク。
【請求項4】
前記ガス通路は、口から排出した麻酔ガス及び呼気終末CO を前記鼻用の空洞から隔離するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鼻換気マスク。
【請求項5】
前記マスクは、前記換気ポートによる呼気終末CO を監視するガスモニター取付具を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の鼻換気マスク。
【請求項6】
前記Oポートに連結され、前記Oポートを妨害するように構成された取り外し可能なキャップを備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の鼻換気マスク。
【請求項7】
前記マスクをマスクアンカで取り付けるためのタブや小穴を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の鼻換気マスク。
【請求項8】
患者の口を覆わない状態で、患者の鼻を覆うように構成された本体であって、該本体は鼻用の空洞を形成する内部と、前記鼻用の空洞と分離されたガス路と、及び前記ガス通路に接続された外部開口部と、を有する本体と、
流体的に前記鼻用の空洞に連結され、前記鼻用の空洞内に酸素を導入するための第1ポートと、
前記鼻用の空洞に流体的に連結され、 及び麻酔ガスを前記鼻用の空洞に向けたり、あるいは前記鼻用の空洞から遠ざけたりするために構成された第2ポートと、
前記ガス通路を介して前記外部開口部に流体的に連結され、モニターラインと連結するように構成された第3ポート、
とを備え、
前記外部開口部は、装着者が口から排出した麻酔ガス及び呼気終末CO を捕集するように適用され、前記ガス通路は、口から排出した麻酔ガス及び呼気終末CO を前記外部開口部から前記第3ポートに向くように構成されていることを特徴とする鼻換気マスク。
【請求項9】
患者の口の周りの麻酔ガスの収集を高めるために、前記マスクの鼻領域の下部に位置し前記外部開口部周りの前記マスクの外表面から伸びているガスフードを備えていることを特徴とする請求項8に記載の鼻換気マスク。
【請求項10】
前記第2ポートは、前記モニターラインとは異なる換気ラインに連結するように構成されていることを特徴とする請求項8または9に記載の鼻換気マスク。
【請求項11】
前記ガス通路は、口から排出した麻酔ガス及び呼気終末CO を前記鼻用の空洞から隔離するように構成されていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の鼻換気マスク。
【請求項12】
前記マスクは、前記換気ポートによる呼気終末CO を監視するガスモニター取付具を備えていることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の鼻換気マスク。
【請求項13】
前記第2ポートに連結され、前記第2ポートを妨害するように構成されている取り外し可能なキャップを備えていることを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載の鼻換気マスク。
【請求項14】
前記マスクをマスクアンカに取り付けるためのタブや小穴を有することを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載の鼻換気マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麻酔用マスクと換気マスクの改良に関する。
【0002】
本出願は、2014年8月20日提出の米国仮出願番号第62/039,759号、2014年11月12日提出の米国仮出願番号第62/078,677号、及び2015年5月13日に提出の米国仮出願番号第62/161,041号の優先権を主張するものであり、その内容を援用することによりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
外科手術の際は、通常、患者は麻酔をかけられる。最も一般的な送達システムは、麻酔ガス及び酸素を含むキャニスタと、ガス流及び患者の呼吸を調整するシステムと、呼吸、酸素供給、及び麻酔ガス混合物の送達のために患者の気道の有効性を確保するための装置とを含む。換気マスクは、患者が外科手術のために麻酔をかけられる前、患者が麻酔をかけられている間、患者が手術中もしくは処置中に鎮静した場合、患者が麻酔から覚醒する間、患者が麻酔から覚醒した後、あるいは患者が何らかの理由で追加の酸素を必要としている間などを限定することなく含む、緊急事態及び/または選択的な気道管理中のいずれかにおいて、患者に酸素を提供するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、マスク換気の1つの欠点は、マスクを定位置に保持し、患者を吸気位置に保ち、酸素と麻酔ガスが空気中に漏れないように、また、患者の気道を開いた状態にするためには、提供者の手と患者の顔が常に接触していなければならない点である。提供者が患者を吸気位置に維持しないと、上気道閉塞として知られる危険で困難な事態になる可能性がある。提供者が連続してマスクを保持し、操作しなければならない理由は、人体構造と生理学が関係する。顎、舌、及び上気道の筋肉が、沈静薬及び/または患者に沈静及び/または麻酔のために投与した筋肉弛緩薬によって弛緩すると、上気道(口、咽頭、喉頭)が部分的に塞がり、完全に閉鎖してしまう可能性がある。患者の顎が落ちると、舌が気道を塞ぎ、いびき(部分的な閉塞)または無呼吸(酸素が上気道から肺へ通ることが完全に不可能となる)となって現れる。提供者が麻酔または鎮静を十分に管理できていなかった場合、あるいは、徐々に切れて患者が動き始めたときには別の問題が起きる。その場合も、患者の頭部や首の位置が吸気位置でなくなるため、患者の気道を同様に塞いでしまう可能性がある。患者が外科手術の間に動くと、目、耳、鼻、首、頭部、及び喉の手術では特に外科医がミスをする可能性があるため、危険である。
【0005】
さらに、外科手術中、患者が急に挿管を必要とする場合もある。フルフェイスのマスク、即ち、患者の鼻も口も覆うマスクは、緊急の状態では問題を有する。なぜなら、挿管の際には患者の口からマスクを取り外さなければならないからである。しかし、マスクを取り外すということは、酸素の補助も排除することになる。下記に示すように、本発明の一態様は、従来の技術における前記及び他の問題点に対処している。
【0006】
本発明の別の態様は、心肺機能蘇生(CPR)マスクに関する。
【0007】
心肺機能蘇生は、一般的にCPRとして知られており、心臓が停止した人(以降、「対象者」または「被害者」と称する)の自発的な血流や呼吸が復旧するようにさらに処置が取られるまでの間、脳の機能を損なわないよう守るために手動で行う緊急処置である。また、CPRは、溺れた被害者または感電の被害者の場合のように、呼吸の応答がない、あるいは、例えば、末期呼吸のような異常呼吸を呈する者にも適応とされる。
【0008】
CPRでは、手動で血液を体内に心臓を通して送出することによって人工的循環を作り出すべく、少なくとも2インチの深さで少なくとも毎分100回以上の胸部圧迫を行う。また、救助者が、直接対象者の口に息を吹き込む、またはCPRマスクを介して対象者の口及び/または鼻に息を吹き込む(総称して「マウス・ツー・マウス蘇生」)、あるいは対象者の口及び/または鼻から対象者の肺に空気を送り込む装置を使って呼吸を提供することもある。外部から換気を提供する工程は「人工呼吸」と称される。しかしながら、現在、人工呼吸に合わせて質の高い胸部圧迫を行うことを強く推奨しており、人工呼吸は、質の高い胸部圧迫と組み合わせれば、患者にとって潜在的に最大の利益をもたらすことができる。
【0009】
従来のCPRマスクは、CPRの提供者の手で定位置に保持されるか、あるいは、対象者または被害者の頭部の後ろに延在するストラップによって定位置に保持されるように構成されている。CPRマスクは、呼吸をしていない対象者または被害者の換気を補助できる一方、救助者がマウス・ツー・マウス及び/またはノーズ・ツー・マウスの蘇生を提供する際に提供される空気には、致死的ともいえる大量のCOが含まれている。下記に説明するように、他の態様において本発明は、従来技術の前記及び他の問題点に対処している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様による本発明は、従来の技術における前記の、そして他の問題を克服する改良された換気/麻酔マスクを提供する。さらに詳しくは、鼻換気/麻酔マスクは、麻酔中に非侵襲性陽圧換気(NIPPV)を介して酸素や他のガスを供給するための換気ポートを備え、鼻から呼気終末CO濃度を測定できる麻酔回路に接続され、提供者が直接喉頭鏡検査法及び挿管法を行っている間、口と気道がはっきりと見えるような1つ以上のオフセットしたガス開口部と、患者の口からのみ吐き出し可能な麻酔ガスと呼気終末COを捕集するための鼻下の口部開口部と、鼻用の空洞から隔離されたマスクの内側の溝に接続されたガス捕集/呼気終末CO開口部と、手術後の患者に酸素を供給するための酸素ポートと、を備える。そして、例えば、同時係属中のPCT出願PCT/US14/44934及び同時係属中のPCT出願PCT/US15/34277の教義による、マスクを患者の頭部にストラップで止めるための、あるいは、マスクを手術台に束縛するための複数の、好ましくは3つもしくは4つのタブまたは小穴でこのマスクが完成する。
【0011】
本発明の一実施形態では、酸素をマスク内に導入するためのOポートと、換気ポートと、換気ポートと一体化した、あるいは取り付けられたガス監視取り付け具を有する鼻換気マスクが提供される。この実施形態では、ガス監視ポートは、ルアーロックを含む。
【0012】
本発明の別の実施形態では、マスク内の患者の唇領域の上であって鼻領域の下の口から吐き出されたガスを捕集して、捕集装置に向けて開口した外部開口部を有する鼻換気マスクが提供され、前記マスクは、さらに、任意で呼気終末CO濃度を監視するために吐き出されたガスの一部を迂回させる捕集ラインを備え、好ましくは呼気終末CO濃度監視ラインが捕集ラインを遮断する点にコネクタが設けられ、効率よくガス流を迂回させることによって呼気終末COラインに対して正圧となり、それによってガスが捕集ラインからサンプルとして抽出されることを特徴とする。
【0013】
このような実施形態では、マスクはさらに、麻酔専門医が切り替えることによって鼻と口の呼気終末COの排出を別々に監視すること、あるいは、両方に対してバルブを開放して同時に監視することができる、麻酔専門医による制御用の2方向3ポート弁を備え、口用の呼気終末CO濃度監視ポートを選択すれば、麻酔中に呼気終末CO濃度監視ラインが、他の換気ガスも捕集できるのが好ましい。
【0014】
本発明は、また、マスクをマスクアンカで前に取り付けるための、あるいは従来の麻酔マスクストラップで後ろに取り付けるためのタブや小穴を有する鼻換気マスクを提供し、さらに任意で次のうちの一方もしくは両方を特徴とするものである。
(a)前後を一体化した1本のみのヘッドストラップを取り付けることができ、後方ヘッドストラップは、マスクのみに取り付ける、もしくはマスクに取り付けてから面に取り付けることによって、患者の頭部及び/または首が動かないように防ぐこと、あるいは、
(b)患者の頭部をヘッドストラップで支持面に固定して、提供者が頭部及び/または首の角度を変えたときに患者の頭部は希望の位置にとどまるとともに支持面は希望の位置にとどまるようにすること。
【0015】
本発明の別の実施形態では、次のうちの1つ以上の特徴を有する鼻マスクが提供される。
(a)マスクは、酸素移送マスクとして、またはOと麻酔ガスを提供する換気マスクとして、そして同時に呼気終末CO濃度を監視するものとして使用可能であること。
(b)手術前、手術中、そして手術後にCPAPに使用することができる、1つ以上のポートを介して呼気終末CO濃度を監視するためのポートを有すること。
(c)1つ以上のポートを介して呼気終末CO濃度を監視でき、患者の口と気道が蘇生バッグによって塞がれることなく直接喉頭鏡検査法と挿管法が可能となるように蘇生バッグに接続可能なポートを有すること。
(d)マスクがマスクアンカで前方に取り付け可能である、もしくは従来の麻酔マスクストラップで後方に取り付け可能であること。
(e)酸素をマスク内に導入するためのOポートと、換気ポートと、換気ポートと一体化した、あるいは換気ポートに取り付けられたガス監視取り付け具を有し、好ましくは、監視ポートはルアーロックを含む。
【0016】
本発明は、さらに、口及び/または鼻の周囲に漏出する麻酔ガスを収集するための一体型捕集システムを有する麻酔マスクを提供する。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、鼻マスクに取り付けて顎下空間に当て、圧力をかけることによって装着者の舌を軟口蓋に押し付けて舌の後のスペースを閉塞するようにして、ガスが患者の口から洩れないように抑制または防止するとともに患者に鼻で呼吸をさせるように構成され、必要であれば、息を吐き出す間は圧力を解放して呼吸を妨げないようにする機能も有する顎ストラップを提供する。
【0018】
本発明の別の態様では、マウス・ツー・マウス及び/またはノーズ・ツー・マウス蘇生用の、被害者が吐き出したCOを救助者または提供者が再び吸い込まないように防ぐCO吸収体を含む改良されたCPRマスクを提供する。さらに詳しくは、本開示は、マスクに組み込まれたCOフィルタもしくは吸収体、または救助者または提供者が吐き出したCOを吸収するためのマスク吸入口を有するCPRマスクを提供する。
【0019】
つまり、提供されるマウス・ツー・マウス及び/またはノーズ・ツー・マウス蘇生用のCPRマスクは、被害者の鼻及び/または口を覆う形状の本体を備え、救助者が吐いて被害者に送達されるCOを少なくとも部分的に除去するためのCO吸収体を含む。
【0020】
一実施形態では、CO吸収体はマスクの内面に塗布される。
【0021】
別の実施形態では、マスクは、換気管を含み、CO吸収体が換気管内に位置する。
【0022】
別の実施形態では、マスクは、マスクを被害者の頭部に保持するための一方向弁及び/またはストラップを含む。
【0023】
一実施形態では、マスクは、被害者の顔に適合するように周囲が柔軟になっている。このような実施形態では、周囲には軟質で柔軟な気泡または弾性変形する発泡クッションを含んでいてもよい。
【0024】
また別の実施形態では、マスクは、マスクの内部に組み込まれた、もしくは換気管に組み込まれたバイオロジカルフィルタを有する。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態では、さらに次のうちの1つ以上の特徴を有する上記のようなCPRマスクが提供される。
(a)一方向弁を備える。
(b)マスクを被害者の頭部に保持するためのストラップを含む。
(c)マスクは、さらに装着者の顔に適合する柔軟な周囲を有し、周囲は、好ましくは軟質で柔軟な気泡または弾性変形する発泡クッションを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明のさらなる特徴と利点は、添付の図面に基づく下記の詳細な説明により明らかとなろう。
【0027】
図1図1aは本発明の第1の実施形態による鼻換気マスクの正面図である。図1bは本発明の第1の実施形態による鼻換気マスクの平面図である。
図2図1aの換気マスクの内部の図である。
図3a】本発明による換気マスクを患者の頭部に取り付けた状態を示す平面図である。
図3b】本発明による換気マスクを患者の頭部に取り付けた状態を示す平面図である。
図4a】マスクに取り付けた顎ストラップを示す図3aに類似した図である。
図4b】マスクに取り付けた顎ストラップを示す図3bに類似した図である。
図5a】本発明による呼気終末CO濃度モニタを有する鼻マスクの別の構成を示す図である。
図5b】本発明による呼気終末CO濃度モニタを有する鼻マスクの別の構成を示す図である。
図6】本発明による鼻マスク換気システムの別の構成を示す側面図である。
図7】本発明によるCO濃度モニタを有する鼻換気マスクの別の実施形態の平面図である。
図8】本発明によるCO濃度モニタを有する鼻マスクのさらに別の実施形態の平面図である。
図9】本発明の第1の実施形態によるCPRマスクの部分断面図である。
図10】本発明によるCPRマスクの第2の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第1の実施形態による鼻換気マスク10を図1a及び図1bに示す。4つのガス開口部を有しているのが最適だが、4つより少なくても多くてもよい。まず第1は、Oや他のガスを、麻酔中、あるいは重篤な病気の患者のNIPPV用に供給し、鼻から吐き出した呼気終末COをすべて患者から回収できる換気ポート12である。第2は、鼻下の鼻用の空洞から隔離され、患者の鼻の上のマスク部分で形成された口部開口部14である。この開口部14の目的は、患者の口から吐き出された麻酔ガスと呼気終末COを捕集することである。麻酔ガスが操作室に入って危険な状態にならないように抑制または排除することに加え、患者の肺から吐き出され、口から漏れ出した呼気終末CO濃度を監視することができる。第3の開口部は、鼻用の空洞から隔離されたマスクの内部(図2参照)の溝18によって開口部に接続されたガス捕集/呼気終末COポート16である。吐き出された呼気終末COを含むガスは、ポート16を通ってマスクを離れ、管20によってガス捕集フィルタ及びガスをガス捕集ラインからサンプルとして取り出す呼気終末CO濃度モニタ32(図3参照)まで導かれる。第4の開口部は、麻酔の間はキャップで閉鎖されるが、手術前、手術中あるいは手術後のいずれかではO源(図示せず)に接続できるOポート22である。Oが供給されるときには、換気管は換気ポート12から取り外し、呼気終末COが鼻から吐き出されるようにする。鼻下の口部開口部14の周りに位置するガスフード24は、図示の如くマスクを超えて延在している。これは、患者から吐き出されたガスをより多く取り込むために口部開口部14の影響をマスク内により広げるためにオプションで設けるものである。
【0029】
マスクは、我々の同時係属中のPCT出願PCT/US14/44934及び同時係属中のPCT出願PCT/US15/34277の教義による、下記に示す顎ストラップまたは頭部ストラップを取り付けるための、あるいは、ストラップを手術台に取り付けるための3つの小穴もしくはタブ60、62、64、または4つの小穴もしくはタブ66、68、70、72(図7)を含む。
【0030】
本発明の鼻換気マスク10の内部を図2に示す。換気ポート12とOポート22は鼻用の空洞26に接続される。口から吐き出されたガスは、マスクの外側の口部開口部14からガス通路18を通って、ガス捕集装置及び呼気終末CO濃度監視ポート16から出て捕集装置及び呼気終末CO濃度モニタへ流れる。ガス通路18は、患者の鼻と口領域上に換気マスクによって作られた鼻用の空洞26を分離する。
【0031】
またはOと麻酔ガスは、患者に供給されると、鼻用の空洞26を通って換気ポート12に取り付けた換気回路28を通り、また点線で30を付して示すキャップがOポートを密閉する。手術後、キャップ30をOポート22から取り外し、Oラインをポートに取り付けてOを患者に供給する。換気回路28は換気ポート12から取り外され、鼻用の空洞26は大気に解放され、呼気終末COは鼻から吐き出される。
【0032】
鼻マスク換気/呼気終末CO濃度監視用、及び経口ガス捕集装置/呼気終末CO濃度監視ライン用両者のガス回路を図3a及び図3bに示す。図3aは換気回路28、そして呼気終末CO濃度監視装置32に接続した鼻用の空洞26から流れる鼻のガス流を示す。図3bは、口から吐き出したガスが口の開口部に入り、ガス捕集ラインを通って回復装置34及び捕集ラインに接続された付属のラインまで流れ、呼気終末CO濃度監視装置まで流れる様子を示す。捕集ラインへの開口部は、開口部がガス流に対して垂直である場合より局所的な圧力が高くなるように捕集ガス流に対して約90度のところに位置していなければならない。垂直であると、負圧により、負圧の勾配による呼気終末CO濃度監視ラインの流れがサンプリングできなくなる。
【0033】
図4a及び図4bを参照する。顎ストラップ36もまた、鼻マスク10に取り付けて顎下空間に当て、舌を軟口蓋に対して押し付ける圧力をかけ、舌の後ろの空間を閉塞させて、ガスが患者の口から漏れないように防ぎ、患者が鼻から呼吸できるようにする。顎ストラップ36は、必要であれば、息を吐く間、圧力を解放する機能を持たせ、呼気を閉塞しないように防ぐとともに、呼気終末COと他のガスを口から解放することができる。
【0034】
また別の構成では、鼻マスク換気及び呼気終末CO濃度監視の両者用のガス回路を図5a及び図5bに示す。この図では、鼻回路を呼気終末CO濃度監視装置に接続する2方向、3ポート弁40を示している。麻酔専門医は、呼気終末CO濃度について、どの領域で監視するか、即ち、鼻、口領域、あるいはその両方で同時に監視するかを決定する。
【0035】
鼻マスク換気と、口の気道からの呼気終末COの排出監視のための別の構成の側面図を図6に示す。2方向、3ポート弁40は呼気終末COをサンプリングするため、口に向けて旋回してある。
【0036】
また、鼻換気マスクは、前後を組み合わせた1本のみのヘッドストラップを取り付けることができ、後方ヘッドストラップは、マスクのみに取り付けることができる、もしくはマスクに取り付けてから面に取り付けることによって、患者の頭部及び/または首が動かないように防ぐことができる。患者の頭部をヘッドストラップで固定して面を支持することにより、提供者が頭部及び/または首の角度を変えたときに、患者の頭部は希望の位置にとどまるとともに支持面は希望の位置にとどまる。
【0037】
図7は、換気マスク上のOポートに接続したOラインを介して酸素を患者に提供する、本発明のまた別の実施形態を示す図である。吐き出したガスは、図7に示すように換気ポート12を介して大気に排出される。患者が麻酔によって意識がない場合には、COを確実に吐き出させるのが望ましい。これは、マスク換気ポート12上で摺動する「T字型」ガス監視取り付け具50を追加することによって達成できる。筒状の取り付け具50の本体により、吐き出したガスが大気に排出される。取り付け具の側面に、筒状開口部52が側面に対して、公称90度の角度で開口している。この開口部52の端部には、ルアーロックまたは他の種類の固定接続を行う。主流から吐き出されたガスは、ガスモニタに接続したガス監視ライン54をガス監視ラインのインターフェースに取り付ければ、この開口部を通してサンプリングすることができる。
【0038】
同じようにガスサンプリング機能を達成するための別の方法を図8に示す。ガス監視ラインインターフェースは、この実施形態では、マスク換気ポート12の一体化された要素である。この構成では、Oは供給ラインを介してOポートに流れ込む。そして、排出ガスは換気ポート12を介して大気へ抜ける。換気ポート12の側面に、筒状開口部56が側面に対して公称90度の角度で開口している。この開口部の端部には、ルアーロックまたは他のどの種類の固定接続も行うことができる。ガスモニタに接続したガス監視ラインをガス監視ラインの面に取り付ければ、この開口部を通して主流から吐き出されたガスをサンプリングすることができる。
【0039】
図9を参照する。本発明の他の態様による、人工呼吸、マウス・ツー・マウス蘇生あるいは他の緊急呼吸補助を必要とするCPR手順に作用するCPRマスクの第1の実施形態を110で示す。マスク110は、被害者の鼻及び/または口を覆う形状であり、軟質で柔軟な周囲112を有し、適度な力で取り付けたときに被害者の顔に沿って変形してマスクがしっかり密着する。一般的に、マスクの周囲112は、軟質で柔軟な気泡114を含んでいる、あるいは、弾性変形可能な発泡クッションなどを含む。
【0040】
換気管116は、空気が供給されるマスクから突出し、そこから救助者が空気を供給でき、その管に排出できる一体型吸入ポート118に取り付けられる。換気管116または吸入ポート118は一般的に、その管116を通ってマスクに空気が入るように構成された一方向弁120を有する。換気管116とそれに付随するバルブ120は、ポート118と一体に形成してもよく、または交換可能で使い捨ての要素、もしくはパッケージでもよい(図10)。
【0041】
マスク110の内面122は、部分的に、活性炭やゼオライトなどのようなCO吸収材で被覆されている。また、蛇紋岩のようなある鉱物も有利に採用可能である。一般的に、これらの材料は、最適な寸法に選り分けられ、マスク110の内面122に結合したフィルタ材料124内に包み込まれる。あるいは、マスク110の内面122は、サイエンティフィック・アメリカン、2012年1月6日号の33ページに報告されているように、ヒュームドシリカなどを含むポリエチレンイミンのようなCO吸収ポリマーで覆ってもよい。
【0042】
あるいは、図10に示すように、CO吸収材を含むCOフィルタ126を、換気管116に一体化してもよい。
【0043】
使用の際は、救助者がCPRマスク110を被害者の鼻及び/または口の上に置き、被害者の救急換気を始める。救助者は適度な力を加えて被害者の顔にほぼ密着させ、救助者が換気管116内に息を吐き出すことによって換気が提供される。救助者からの排出物にはCOが含まれているが、ほとんどのCOは、COフィルタ材により取り除かれる。
【0044】
マスク110は、例えば、大人サイズ、若者サイズ、子供サイズなどのような顔のサイズの違いに対応して異なるサイズで形成してもよい。本発明のCPRマスクの特性及び利点は、被害者に与えられるCOの量を大幅に減らせるという点である。また、マスクは、緊急事態に病気がうつることがないように、被害者と救助者の両方を救えるものである。
【0045】
上記の発明において、その精神と範囲にもとることなく様々な変更を行うことができる。例えば、バイオロジカルフィルタ(図10に130で点線にて示す)を、マスクまたは換気管116の中に組み込んでもよい。さらに、マスクは、マスクを被害者の頭部に留めるためのストラップ132を有していてもよく、これにより、救助者がマスクを被害者の顔に押し付けなければならない必要性がなくなる。また別の変更も可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 鼻換気マスク
12 換気ポート
14 ガス捕集及びCO濃度監視ポート
16 ガス捕集及びCO濃度監視ポート
22 0ポート
24 ガスフード
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10