(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】電池モジュール及びこれを備える車両並びにバスバー
(51)【国際特許分類】
H01M 50/50 20210101AFI20221226BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20221226BHJP
H01M 50/512 20210101ALI20221226BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20221226BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20221226BHJP
H01M 50/209 20210101ALN20221226BHJP
【FI】
H01M50/50 101
H01M50/503
H01M50/512
H01M50/296
H01M50/249
H01M50/209
(21)【出願番号】P 2020509605
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 JP2018042374
(87)【国際公開番号】W WO2019187312
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2018069570
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】信平 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 崇俊
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/065422(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0303459(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0147722(US,A1)
【文献】国際公開第2017/017915(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子を有する複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを積層した状態で、隣接する電池セルの電極端子同士を接続するバスバーと、を備える電池モジュールであって、
前記バスバーが、
第一の厚さを有する第一バスバーと、
前記第一の厚さよりも厚い第二の厚さを有する第二バスバーとを備え、
前記第一バスバーを、前記隣接する電池セルの各電極端子にそれぞれ接続すると共に、
前記第二バスバーを、前記電池セルの電極端子に非接触としてな
り、
前記第一バスバーが、
電池セルの電極端子に接続するための端子接続部と、
前記第二バスバーと接触する第一平坦部とを有し、
前記第二バスバーが、
前記第一平坦部と接触する第二平坦部を有しており、
前記電池セルが、隣接して積層された第一電池セルと第二電池セルを含んでおり、
前記端子接続部が、
前記第一平坦部から折曲された第一中間片と、
前記第一中間片を介して、第一方向に折曲された第一端子接続片と、
前記第一平坦部から、前記第一中間片と交差する方向に折曲された第二中間片と、
前記第二中間片を介して、前記第一方向と交差する第二方向に折曲された第二端子接続片とを有し、
前記第一端子接続片が、第一電池セルの電極端子に接続され、
前記第二端子接続片が、第二電池セルの電極端子に接続されてなる電池モジュール。
【請求項2】
請求項
1に記載の電池モジュールであって、
前記第二バスバーが、前記第二平坦部を直線状に形成しており、
前記第一バスバーを複数、前記第二平坦部に沿って固定してなる電池モジュール。
【請求項3】
請求項
2に記載の電池モジュールであって、
前記複数の第一バスバーの内、両端に位置する第一バスバーは、前記第二端子接続片を
、外側に突出させる姿勢に固定されてなる電池モジュール。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の電池モジュールであって、
前記第二バスバーが、端縁を折曲して、外部の接続部と接続するための第二端縁接続部を備えてなる電池モジュール。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の電池モジュールであって、
前記電池セルを並列接続してなる電池モジュール。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一に記載の電池モジュールを備える車両であって、
前記電池モジュールと、該電池モジュールから電力供給される走行用のモータと、前記電池モジュール及び前記モータを搭載してなる車両本体と、前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュール及びこれを備える車両並びにバスバーに関する。
【背景技術】
【0002】
電池モジュールは、車両の駆動用の電源装置や蓄電用の電源装置等に利用されている。このような電池モジュールは、大電流を出力可能に構成されることが好ましく、直列や並列に接続される充放電可能な複数の電池セルを備えている。また近年は電池モジュールの高容量化が望まれており、特に、多数の電池セルの並列化に対応することが肝要となる。
【0003】
並列接続される複数の電池セルを備える電池モジュールとしては、下記特許文献に記載の電池モジュールが知られている。下記特許文献に記載の電池モジュールは、複数の電池セルと、それぞれの電池セルの出力端子に接続される複数の導電部材と、複数の導電部材を介して複数の電池セルを並列接続するバスバーと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の電池モジュールは、各々の電池セルの電極端子に接続されている複数の導電部材を一本のバスバーに固定しなければならず、バスバーと複数の導電部材の相対位置がずれると、導電部材をバスバーに固定できなくなる問題があった。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、並列に接続される複数の電池セルを備える電池モジュールにおいて組立作業性を向上させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある側面に係る電池モジュールは、電極端子を有する複数の電池セルと、前記複数の電池セルを積層した状態で、隣接する電池セルの電極端子同士を接続するバスバーとを備える。前記バスバーは、第一の厚さを有する第一バスバーと、前記第一の厚さよりも厚い第二の厚さを有する第二バスバーとを備えており、前記第一バスバーを、前記隣接する電池セルの各電極端子にそれぞれ接続すると共に、前記第二バスバーを、前記電池セルの電極端子に非接触とする。
【0008】
また、本発明のある側面に係るバスバーは、電極端子を有する電池セルを複数積層した状態で、隣接する電池セルの電極端子同士を接続する。バスバーは、第一の厚さを有する第一バスバーと、第一の厚さよりも厚い第二の厚さを有する第二バスバーと、を備えている。第一バスバーは、隣接する電池セルの各電極端子にそれぞれ接続するための端子接続部と、第二バスバーと接触するための第一平坦部とを有している。第二バスバーは、第一平坦部と接触する第二平坦部を有している。
【発明の効果】
【0009】
上記構成により、隣接する電池セルを接続する第一バスバーに、第二バスバーを接続することで、複数の電池セルを並列接続することができるので、組立作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る電池モジュールの概略斜視図である。
【
図2】
図1に示す電池モジュールの分解斜視図である。
【
図3】
図2に示す電池モジュールからバスバーホルダを省略した状態を示す分解斜視図である。
【
図4】電池セルとバスバーの連結構造を示す拡大斜視図である。
【
図7】
図1のVII-VII線における断面図である。
【
図10】変形例に係るバスバーを示す分解斜視図である。
【
図11】変形例に係るバスバーを示す分解斜視図である。
【
図12】変形例に係るバスバーを示す分解斜視図である。
【
図13】変形例に係るバスバーを示す分解斜視図である。
【
図14】エンジンとモータで走行するハイブリッド車に電池モジュールを搭載する例を示すブロック図である。
【
図15】モータのみで走行する電気自動車に電池モジュールを搭載する例を示すブロック図である。
【
図16】蓄電用の電池モジュールに適用する例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本発明に係るある実施形態を着想するに至った経緯について説明する。バスバーを介して複数の電池セルを並列接続する構成の電池モジュールは、バスバーに複数の電池セルから電流が流れ込むため、相対的にバスバーに流れる通電電流が、直列に接続するバスバーに比べて大きい。電気抵抗が大きいバスバーに大電流が流れると発熱するため、複数の電池セルを並列接続するバスバーとしては、電気抵抗の小さいものを用いるほうが好ましい。
【0012】
一方、複数の電池セルをバスバーで接続する構成の場合、各々の電池セルの位置ずれが問題となることがある。特に、電池セルは、製造公差に起因する寸法のばらつきがあるため、フレキシブル性を有するバスバーを用いることで、接続する電池セルの変位を吸収できるように構成することが好ましい。バスバーのフレキシブル性を高めるためには、バスバーの板厚を薄くすることが有効である。しかしながら、板厚の薄いバスバーは、電気抵抗が大きいため、上述の通り、大電流が流れると発熱する問題がある。このように、バスバーの電気抵抗の低減とフレキシブル性の向上は、本質的に相反しており、両立させることが困難であった。
【0013】
この問題に対して、本発明者らは、複数の電池セルを並列接続するバスバーにおいて、他の部分と比較して通電電流が小さい箇所があることを知見し、本発明に至った。
【0014】
本発明の一実施形態に係る電池モジュールは、前記第一バスバーが、電池セルの電極端子に接続するための端子接続部と、前記第二バスバーと接触する第一平坦部とを有し、前記第二バスバーが、前記第一平坦部と接触する第二平坦部を有する。上記構成によると、隣接する電池セルを接続する第一バスバーに、第二バスバーを接続することで、複数の電池セルを並列接続することができるので、組立作業性を向上させることができる。
【0015】
また本発明の他の実施形態に係る電池モジュールは、前記電池セルが、隣接して積層された第一電池セルと第二電池セルを含んでおり、前記端子接続部が、前記第一平坦部から折曲された第一中間片と、前記第一中間片を介して、第一方向に折曲された第一端子接続片と、前記第一平坦部から、前記第一中間片と交差する方向に折曲された第二中間片と、前記第二中間片を介して、前記第一方向と交差する第二方向に折曲された第二端子接続片とを有し、前記第一端子接続片が、第一電池セルの電極端子に接続され、前記第二端子接続片を、第二電池セルの電極端子に接続される。上記構成によると、第一バスバーを複数の方向に対して変形させることができ、バスバーのフレキシブル性をさらに向上させることができる。
【0016】
さらに、本発明の他の実施形態に係る電池モジュールは、前記第二バスバーが、前記第二平坦部を直線状に形成しており、前記第一バスバーを複数、前記第二平坦部に沿って固定される。上記構成によると、第一バスバーと第二バスバーの位置決めが容易となり、組立作業性をさらに向上させることができる。
【0017】
さらにまた本発明の他の実施形態に係る電池モジュールは、前記複数の第一バスバーの内、両端に位置する第一バスバーが、前記第二端子接続片を、外側に突出させる姿勢に固定される。上記構成によって、電池セルの膨張による変形に対応し易くできる。
【0018】
さらにまた本発明の他の実施形態に係る電池モジュールは、前記第二バスバーに、端縁を折曲して、外部の接続部と接続するための第二端縁接続部を備える。上記構成によると、外部の接続部と接続するための第二端縁接続部の位置を比較的自由に設計することができる。
【0019】
さらにまた本発明の他の実施形態に係る電池モジュールは、前記電池セルを並列接続する。上記構成により、並列接続によってバスバーに通電される電流量が多くなっても、肉厚の第二バスバーでもって通電性能を確保することが可能となる。
【0020】
さらにまた本発明の他の実施形態に係る車両は、上記の電池モジュールと、該電池モジュールから電力供給される走行用のモータと、前記電池モジュール及び前記モータを搭載してなる車両本体と、前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備える。
【0021】
さらにまた本発明の他の実施形態に係るバスバーは、電極端子を有する電池セルを複数積層した状態で、隣接する電池セルの電極端子同士を接続するバスバーであって、第一の厚さを有する第一バスバーと、前記第一の厚さよりも厚い第二の厚さを有する第二バスバーとを備え、前記第一バスバーは、隣接する電池セルの各電極端子にそれぞれ接続するための端子接続部と、前記第二バスバーと接触するための第一平坦部とを有し、前記第二バスバーが、前記第一平坦部と接触する第二平坦部を有している。
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一若しくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0023】
実施形態に係る電池モジュールは、ハイブリッド車や電気自動車などの電動車両に搭載されて走行モータに電力を供給する電源、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの発電電力を蓄電する電源、あるいは深夜電力を蓄電する電源など、種々の用途に使用され、とくに大電力、大電流の用途に好適な電源として使用される。
[実施形態1]
【0024】
本発明の実施形態1に係る電池モジュール100の斜視図を
図1に、その分解斜視図を
図2に、
図2からバスバーホルダ301を省略した分解斜視図を
図3に、バスバー3と電極端子の連結構造を示す分解斜視図を
図4に、それぞれ示す。
図1と
図2に示す電池モジュール100は、正負の電極端子2を備える複数の電池セル1と、これら複数の電池セル1の電極端子2に接続されて、複数の電池セル1を並列かつ直列に接続するバスバー3と、バスバー3を保持するバスバーホルダ301を備え、これらのバスバー3を介して複数の電池セル1を並列かつ直列に接続している。電池セル1は、充放電可能な二次電池である。電池モジュール100は、複数の電池セル1が並列に接続されて並列電池グループを構成すると共に、複数の並列電池グループが直列に接続されて、多数の電池セル1が並列かつ直列に接続される。
図1と
図2に示す電池モジュール100は、複数の電池セル1を積層して電池積層体10を形成しており、この電池積層体10を固定部品13で固定して、複数の電池セル1を積層状態に固定している。固定部品13は、積層している電池セル1の両端面に配置される一対のエンドプレート14と、このエンドプレート14に、端部を連結して積層状態の電池セル1を加圧状態に固定している締結部材15とを備えている。
(電池セル1)
【0025】
電池セル1は、幅広面である主面の外形を四角形とする角形電池であって、幅よりも厚さを薄くしている。さらに、電池セル1は、充放電できる二次電池であって、リチウムイオン二次電池としている。ただし、本発明は、電池セルを角形電池には特定せず、またリチウムイオン二次電池にも特定しない。電池セルには、充電できる全ての電池、たとえばリチウムイオン二次電池以外の非水系電解液二次電池やニッケル水電池セルなども使用できる。
【0026】
電池セル1は、正負の電極板を積層している電極体を外装缶1aに収納して電解液を充填して気密に密閉したものである。外装缶1aは、底を閉塞する四角い筒状に成形したもので、上方の開口部を金属板の封口板1bで気密に閉塞している。外装缶1aは、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を深絞り加工して製作される。封口板1bは、外装缶1aと同じように、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。封口板1bは、外装缶1aの開口部に挿入され、封口板1bの外周と外装缶1aの内周との境界にレーザービームを照射して、封口板1bを外装缶1aにレーザー溶接して気密に固定している。
(電極端子2)
【0027】
電池セル1は、天面である封口板1bを端子面1Xとして、この端子面1Xの両端部に正負の電極端子2を固定している。正負の電極端子2は、
図3に示すように、絶縁材18を介して封口板1bに固定されており、内蔵する正負の電極板(図示せず)にそれぞれ接続されている。正負の電極端子2は、突出部2aの周囲に溶接面2bを設けている。溶接面2bは、封口板1bの表面と平行な平面状で、この溶接面2bの中央部に突出部2aを設けている。
図4の電極端子2は、突出部2aを円柱状としている。ただ、突出部は、必ずしも円柱状とする必要はなく、図示しないが、多角柱状又は楕円柱状とすることもできる。
【0028】
電池セル1の封口板1bに固定される正負の電極端子2の位置は、正極と負極が左右対称となる位置としている。これにより、電池セル1を左右反転させて積層し、隣接して接近する正極と負極の電極端子2をバスバー3で接続することで、隣接する電池セル1同士を直列に接続できるようにしている。
(電池積層体10)
【0029】
複数の電池セル1は、各電池セル1の厚さ方向が積層方向となるように積層されて電池積層体10を構成している。電池積層体10は、正負の電極端子2を設けている端子面1X、図にあっては封口板1bが同一平面となるように、複数の電池セル1を積層している。
【0030】
電池積層体10は、
図3に示すように、積層している電池セル1の間に絶縁スペーサ16を挟着している。図の絶縁スペーサ16は、樹脂等の絶縁材で薄いプレート状またはシート状に製作されている。図に示す絶縁スペーサ16は、電池セル1の対向面とほぼ等しい大きさのプレート状としており、この絶縁スペーサ16を互いに隣接する電池セル1の間に積層して、隣接する電池セル1同士を絶縁している。なお、隣接する電池セル1間に配置されるスペーサとしては、電池セル1とスペーサの間に冷却気体の流路が形成される形状のスペーサを用いることもできる。また、電池セル1の表面を絶縁材で被覆することもできる。例えばPET樹脂等のシュリンクチューブで電池セルの電極部分を除く外装缶の表面を熱溶着させてもよい。この場合は、絶縁スペーサ16を省略してもよい。また、実施形態に係る電池モジュール100においては、複数の電池セルを多並列かつ多直列に接続するので、互いに直列に接続される電池セル同士の間には絶縁スペーサ16を挟着するが、互いに並列に接続される電池セル同士においては、隣接する外装缶同士に電圧差が生じないので、これ等の電池セルの間の絶縁スペーサを省略することもできる。
【0031】
さらに、
図3に示す電池モジュール100は、電池積層体10の両端面に端面スペーサ17を挟んでエンドプレート14を配置している。端面スペーサ17は、
図3に示すように、電池積層体10とエンドプレート14との間に配置されてエンドプレート14を電池積層体10から絶縁する。端面スペーサ17は、樹脂等の絶縁材で薄いプレート状またはシート状に製作されている。図に示す端面スペーサ17は、角形の電池セル1の対向面全体をカバーできる大きさと形状として、電池積層体10の両端に配置された電池セル1とエンドプレート14との間に積層している。
【0032】
電池積層体10は、隣接する電池セル1の正負の電極端子2に金属製のバスバー3が接続されて、このバスバー3を介して複数の電池セル1が並列かつ直列に接続される。電池積層体10は、互いに並列に接続されて並列電池グループを構成する複数の電池セル1においては、端子面1Xの両端部に設けた正負の電極端子2が左右同じ向きとなるように積層され、互いに直列に接続される並列電池グループを構成する電池セル1同士においては、端子面1Xの両端部に設けた正負の電極端子2が左右逆向きとなるように複数の電池セル1が積層されている。ここで、
図3に示す実施形態1に係る電池モジュール100では、12個の電池セル1を厚さ方向に積層して電池積層体10としており、4個の電池セル1を並列に接続して並列電池グループとすると共に、3組の並列電池グループを直列に接続して12個の電池セル1を4並列3直列に接続している。したがって、
図3に示す電池積層体10は、並列電池グループを構成する4個の電池セル1を正負の電極端子2が左右同じ向きとなるように積層すると共に、同じ向きに積層された4個ずつの電池セル1からなる3組の並列電池グループを、正負の電極端子2が交互に左右逆向きとなるように積層している。ただ、本発明は、電池積層体を構成する電池セルの個数とその接続状態を特定しない。後述する他の実施形態も含めて、電池積層体を構成する電池セルの個数、及びその接続状態を種々に変更することもできる。
【0033】
実施形態に係る電池モジュール100は、複数の電池セル1が互いに積層される電池積層体10において、互いに隣接する複数の電池セル1の電極端子2同士をバスバー3で接続して、複数の電池セル1を並列かつ直列に接続する。
(バスバーホルダ301)
【0034】
電池モジュール100は、
図1~
図2に示すように電池積層体10とバスバー3との間にバスバーホルダ301を配置することで、複数のバスバー3を互いに絶縁し、かつ、電池セルの端子面とバスバー3とを絶縁しながら、複数のバスバー3を電池積層体10の上面の定位置に配置できる。このようなバスバーホルダ301として、例えば、複数のバスバー3が配置されるホルダー本体の内側を複数に区画して、各バスバー3が配置される区画室を有する構造とすることができる。このバスバーホルダ301は、例えば、プラスチック等の絶縁材で成形されて、複数のバスバー3を嵌合構造で定位置に配置することで、電位差のある電極端子間を絶縁しながら、複数のバスバー3を電池積層体10の上面の定位置に配置できる。なお、
図3以降においては電池セルとバスバー3の接続状態を判り易くするために、複数のバスバー3を定位置に配置するバスバーホルダ301の図示を省略している。
(バスバー3)
【0035】
バスバー3は、金属板を裁断、加工して所定の形状に製造される。バスバー3を構成する金属板には、電気抵抗が小さく、軽量である金属、例えばアルミニウム板や銅板、あるいはこれらの合金が使用できる。ただし、バスバー3の金属板は、電気抵抗が小さくて軽量である他の金属やこれらの合金も使用できる。
【0036】
本実施形態においては、複数の電池セル1の電極端子2を所定の接続状態に接続するバスバー3を独特の構造としている。以下、バスバー3の詳細な構造を
図3~
図7に基づいて詳述する。バスバー3は、所定の配列で積層された複数の電池セル1のうち、互いに隣接して配置される電池セル1の対向する電極端子2同士を接続して、多数の電池セル1を並列かつ直列に接続する。
図4に示すバスバー3は、電池積層体10の上面であって、電池セル1の端子面1Xに対向して配置されており、電池積層体10の両側において、複数の電池セル1の積層方向に配列された複数の電極端子2を略直線状に接続している。
【0037】
バスバー3は、
図5、
図6に示すように、第一の厚さを有する第一バスバー310と、第一の厚さよりも厚い第二の厚さを有する第二バスバー320で構成される。そして第一バスバー310側を、隣接する電池セル1の各電極端子2にそれぞれ接続すると共に、第二バスバー320側は電池セル1の電極端子2に非接触としている。このようにすることで、薄く変形し易い第一バスバー310側で、電池セル1の電極端子2の位置のばらつきを吸収することにより、バスバー3を電池セル1に固定する際の追従性、組立性を確保できる。その一方で、第二バスバー320側を厚く形成することで、電気抵抗を低減して電池セル1の接続による大電流の通電性能を確保できる。
【0038】
また一方で、第一バスバー310を薄く形成することで、温度ヒューズ機能を持たせることもできる。すなわち、大電流が通電された際に第一バスバー310を溶融させて、安全性を高めることができる。このように、バスバー3を第一バスバー310と第二バスバー320に分割したことで、電極端子の追随性と発熱の制御という相反する課題を両立させることが可能となる。
(第一バスバー310)
【0039】
第一バスバー310は、電池セル1の電極端子2に接続するための端子接続部316と、第二バスバー320の第二平坦部323と接触する第一平坦部313とを有する。
【0040】
また第一バスバー310の端子接続部316は、第一平坦部313から折曲された第一中間片312と、第一中間片312を介して、第一方向に折曲された第一端子接続片311と、第一平坦部313から、第一中間片312と交差する方向に折曲された第二中間片315と、第二中間片315を介して、第一方向と交差する第二方向に折曲された第二端子接続片314とを有する。
図4に示すように、第一端子接続片311が、一の電池セル1の電極端子2に接続され、第二端子接続片314が、この電池セル1に隣接する電池セル1の電極端子2に接続される。
【0041】
このようにすることで、電極端子の位置ずれに対応することができる。電池モジュールの使用環境によって、電極端子同士の相対的は位置関係がずれることがある。例えば電池セルは充放電によって膨張するため、複数の電池セルを積層すると、積層数が多いほど積層方向に電極端子が移動する量が大きくなる。また車載用の電池モジュールにおいては、振動や衝撃によって、積層された電池セル同士がずれる結果、電極端子同士の相対的な位置関係がずれて、これらを接続したバスバーに負荷がかかる。そこで、このような位置ずれを吸収する機構をバスバーに持たせている。具体的には、第一端子接続片311及び第二端子接続片314を、それぞれ第一中間片312、第二中間片315を介して、直交する方向に折曲させたことで、折曲による可撓性を確保している。加えて、第一バスバー310を薄手の金属製としたことでも、変形し易さを発揮させている。このように第一バスバー310に、電極位置の変位に追従可能なフレキシビリティを付与することで、バスバー3と電極端子2との接続の信頼性が高められる。また、電池モジュールの組立作業時における組み立て性も確保される。
【0042】
この様子を、
図4に示す隣接して積層された第一電池セル1Aと第二電池セル1Bの各電極端子2を、第一バスバー310で接続する例で説明する。この例において、第一端子接続片311を第一電池セル1Aの電極端子2に、第二端子接続片314を第二電池セル1Bの電極端子2に、それぞれ溶接している。この状態で、第一電池セル1Aと第二電池セル1BとがX方向に位置ずれすると、第一端子接続片311がこれに応じて移動する。第一端子接続片311は第一平坦部313と第一中間片312を介して設けられており、折曲されて変形できる。すなわち第一中間片312と第一端子接続片311との折曲部分、及び第一中間片312と第一平坦部313との折曲部分で折曲することにより、
図4において矢印Xで示す方向に多少移動できる。
【0043】
一方、電極端子2がY方向に相対移動する場合には、第二端子接続片314で吸収する。第二端子接続片314は、第二中間片315でもって第一中間片312とほぼ直交する方向に折曲されている。この結果、
図4において矢印Yで示す方向に多少移動できる。
【0044】
さらに、電極端子2がZ方向に相対移動する場合にはおいても、第一中間片312及び第二中間片315がそれぞれ折曲し傾斜することによって高低差を吸収できるので、
図4において矢印Zで示す方向への相対変位に対応できる。
【0045】
このように、電池セル1の電極端子2の位置のばらつきが生じても、第一バスバー310の変形でもってこれを吸収することにより、第一バスバー310と電極端子2との機械的な接続部位に負荷が生じることを緩和して、接続の安定性や信頼性を高めることができる。
【0046】
第一端子接続片311及び第二端子接続片314には、開口部330が設けられている。開口部330は円形状に形成されており、
図4に示すように電池セル1の電極端子2とレーザー溶接等で溶接される。また開口部330は
図5や
図6に示すように、円形状の一部に窪み331を形成している。窪み331は、好ましくは円形状の開口部330の中心に対して対向する部位にそれぞれ設ける。これによって中心を通る線上でたわみやすくして、第一端子接続片311及び第二端子接続片314の可撓性を増して変形時の追従性を向上できる。
【0047】
第一バスバー310は、導電性と可撓性に優れた材質で構成することが好ましい。ここではアルミニウム板、銅、ニッケル等の金属製とする。また必要に応じて表面にめっきを施すことができる。めっきの種類は、ニッケル等が利用できる。
(第二バスバー320)
【0048】
第二バスバー320は、第一バスバー310よりも肉厚に形成される。この第二バスバー320は、第一バスバー310の第一平坦部313と接触する第二平坦部323を有する。このように第二バスバー320を厚く形成して断面積を大きくすることで、電気抵抗を低減して、大電流を通電しても発熱等を抑制することができる。
【0049】
また第二平坦部323を板状に延長させることで、この長さ方向に沿って複数個の第一バスバー310を固定し易くなる。また第一バスバー310を第二バスバー320に固定する位置を位置決めしやすいように、ガイドを設けてもよい。ガイドの例として、
図6では第二バスバー320の第二平坦部323に突起324を形成し、一方、第一バスバー310の第一平坦部313には、この突起324を受ける凹部317を形成している。このようにすることで、突起324に凹部317を当接させて、第二バスバー320の所定の位置に第一バスバー310を固定できる。また凹部317は、交差する二辺に形成することが好ましい。これによって、第一バスバー310が回転する方向に位置ずれすることを阻止できる。
【0050】
この第二バスバー320を、第一バスバー310と同じ材質で構成することによって、第一バスバー310と第二バスバー320の溶接が容易となる。ただ、第二バスバーと第一バスバーとを異なる材質で構成してもよい。例えば電極端子2の材質に応じて、第一バスバーを溶接に適した金属材料に変更してもよい。このように、用いる電池セルに応じた設計が容易となる。
【0051】
第一バスバー310と第二バスバー320とは相互に固定される。第一バスバー310と第二バスバー320は、第一バスバー310の第一平坦部313と第二バスバー320の第二平坦部323でもって固定している。この固定には、溶接や機械的な接続、例えばボルトによる螺合やかしめなどが利用できる。
【0052】
また、第一バスバー310の第一平坦部313と第二バスバー320の第二平坦部323との固定位置は、第一端子接続片311及び第二端子接続片314と各電極端子2との接続位置と重複しない位置とすることが好ましい。例えば
図4の斜視図や
図7の断面図に示すように、積層された各電池セル1の電極端子2の列よりも外側に、第一平坦部313と第二平坦部323とを重ねるように配置する。このようにすることで、電池セル1の電極端子2と第一バスバー310との溶接に際して、溶接する部位の上方から第二平坦部323を排除して開放空間を確保でき、第二平坦部323が干渉することなくレーザー溶接をスムーズに行える利点が得られる。例えば第一バスバー310と第二バスバー320を溶接した後、このバスバーを電池積層体10に組み付けて溶接できる。
【0053】
第二バスバー320は、複数個の第一バスバー310を固定することができる。
図5及び
図6の例では、第一バスバー310を4個、第二バスバー320に固定している。また後述する
図8、
図9に示す例では、第一バスバー310を2個、第二バスバー320に固定している。このように第一バスバーの数は、接続したい電池セル1の数に応じて決定される。また第一バスバーの数に応じて、第二バスバーの第二平坦部の長さを調整できる。言い換えると、第二バスバーを変更することで、異なる数の第一バスバーを固定することができ、これによってさまざまな数の電池セル1の接続に対応させることができる。
【0054】
複数個の第一バスバー310を第二バスバー320の第二平坦部323に並べて固定する場合、第二平坦部323の端縁に位置する第一バスバー310は、第二端子接続片314が外側に位置する姿勢となるように固定される。この場合は、予め第一バスバー310の外形を左右反転させたものを準備する。
図6において、第一バスバー310Aと第一バスバー310Bとは、左右を反転させた形状としている。このような配置により、特に積層された電池セルの内で端縁に位置する電池セルが、膨張によって左右に拡がり易くなる事態に対応させることができる。いいかえると、電池セルの積層方向に変形し易い姿勢となるように第一バスバーを、第二端子接続片が両側に突出する姿勢に固定することで、このような電池セルの膨張に際してもバスバーと電極端子との接続状態を安定的に維持できる利点が得られる。
[実施形態2]
【0055】
以上の第二バスバーは、全体を平板状に形成された例を説明した。ただ本発明は第二バスバーをこの形状に限定せず、外部の接続部と接続するための第二端縁接続部を備えることもできる。このような例を実施形態2に係るバスバーとして、
図8の斜視図及び
図9の分解斜視図に示す。これらの図において、第一バスバー310は上述した実施形態1と同様であり、詳細説明を省略する。
【0056】
実施形態2に係るバスバー3Bも、実施形態1と同様、第二バスバー320Bに、第二平坦部323Bを設けている。一方、実施形態2に係る第二バスバー320Bは、端縁に第二端縁接続部340を設けている。
図8、
図9に示す例では、第二バスバー320Bの第二平坦部323Bの端縁を折曲して、第二端縁接続部340を設けている。このようにすることで、バスバーを外部に電気接続し易くできる。特に大電流の取り出しに適しており、好適には電池積層体の端面にこのバスバーを設けて、複数の電池セルの総電位の取り出しに利用できる。
【0057】
第二端縁接続部340は、接続ピン341を突出させることが好ましい。これにより、外部の端子と接続しやすくできる。接続ピン341にはスタッドボルトが好適に利用できる。また接続ピン341は、かしめや圧入、接着等により第二端縁接続部340に接合される。このため第二端縁接続部340には、接続ピン341を圧入する穴を形成しておくことが好ましい。
【0058】
また第二端縁接続部340は、好ましくは第二平坦部323Bとの間に第二折曲部342を形成することで、接続ピン341に対しても多少の変位を許容するフレキシブル性を付与することができる。
図8、
図9に示す例では、第二折曲部342を第二端縁接続部340から連続して下方に傾斜するように設けられている。これにより、接続ピン341が相対的に位置ずれしても、このような位置ずれを第二折曲部342で吸収して接続の安定性を保持できる。
図8等の例では、第二端縁接続部340を第二平坦部323Bよりも低い面としている。
[変形例]
【0059】
以上の例では、第一バスバーを複数個、第二バスバーに固定する例を説明した。ただ本発明は、第一バスバーの数を複数個に限定するものでなく、一の第一バスバーを第二バスバーに固定することもできる。例えば、
図5等の例では、一の第一バスバー310に第一端子接続片311と第二端子接続片314という2つの端子接続片を設けた例を説明したが、端子接続片を3つ以上設けることもできる。この場合、各端子接続片は、電池セル1からバスバーまでの距離を等しくすることが好ましい。これにより、電池セル1の並列数を変化させても、経路の変化が生じないようにできる。
【0060】
変形例として、端子接続片の数を3つ以上とした例を
図10、
図11、
図12、
図13に示す。これらの例に示すバスバー3C、3D、3E、3Fでは、それぞれ、第一バスバー310C、310D、310E、310Fとして、予め第一平坦部313C、313D、313E、313Fと端子接続部316C、316D、316E、316Fを折曲されると共に、端子接続部316C、316D、316E、316Fとして4つの端子接続片を設けた構成を示している。第一バスバー310C、310D、310E、310Fは、第二バスバー320C、320D、320E、320Fに溶接や螺合により固定される。
図10~
図12は、溶接により第一バスバー310C、310D、310Eと第二バスバー320C、320D、320Eを固定する例を、
図13は螺合により第一バスバー310Fと第二バスバー320Fを固定する例を、それぞれ示している。このように複数のバスバーを一体に纏めることで、個別にバスバーを設けた場合と比べてバスバーの溶接時に位置決め作業を簡素化できる利点が得られる。
【0061】
また端子接続部316C、316D、316E、316Fは、部分的に絞り加工等を設けることで電極端子の多少の変形を受容可能としてもよい。
【0062】
さらに第二バスバー320C、320D、320E、320F側では、第二端縁接続部340C、340D、340E、340Fを第二平坦部323C、323D、323E、323Fの一方の端縁(図において右側)に設けている。第二端縁接続部340C、340D、340E、340Fはさまざまな形態のものが利用できる。例えば
図10、
図11に示すように、第二平坦部323C、323Dを垂直姿勢としつつ、端縁をL字状に形成して下方に突出させ、かつL字状の突出部分を水平姿勢となるように折曲させ、接続ピン341を形成している。また
図11の例では、第二平坦部323Dの端部を傾斜させた第二折曲部342Dを設けることで、この部分で接続ピン341の変位を吸収する機能を持たせることができる。
【0063】
また
図12、
図13の例では、第二平坦部323E、323Fを水平姿勢として、上面から接続ピン341を直立させている。また
図12の例では、第二平坦部323Eの端縁を平面視においてL字状に形成して、接続ピン341の位置を第二平坦部323Eの主面からずらしている。
【0064】
このような形態の第一バスバー、第二バスバーを用いることでも、同様に厚手のバスバーと薄手のバスバーに分割して、電極端子2への追随性発熱性に対応させることが可能となる。
【0065】
以上の電池モジュールは、車載用の電源として利用できる。電池モジュールを搭載する車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。なお、車両を駆動する電力を得るために、上述した電池モジュールを直列や並列に多数接続して、さらに必要な制御回路を付加した大容量、高出力の電池モジュール1000を構築した例として説明する。
(ハイブリッド車用電池モジュール)
【0066】
図14は、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車に電池モジュールを搭載する例を示す。この図に示す電池モジュールを搭載した車両HVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、これらのエンジン96及び走行用のモータ93で駆動される車輪97と、モータ93に電力を供給する電池モジュール1000と、電池モジュール1000の電池を充電する発電機94とを備えている。電池モジュール1000は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電池モジュール1000の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電池モジュール1000から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電池モジュール1000の電池を充電する。なお、車両HVは、
図14に示すように、電源モジュール1000を充電するための充電プラグ98を備えてもよい。この充電プラグ98を外部電源と接続することで、電池モジュール1000を充電できる。
(電気自動車用電池モジュール)
【0067】
また、
図15は、モータのみで走行する電気自動車に電池モジュールを搭載する例を示す。この図に示す電池モジュールを搭載した車両EVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させる走行用のモータ93と、このモータ93で駆動される車輪97と、このモータ93に電力を供給する電池モジュール1000と、この電池モジュール1000の電池を充電する発電機94とを備えている。電池モジュール100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。モータ93は、電池モジュール1000から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電池モジュール1000の電池を充電する。また車両EVは充電プラグ98を備えており、この充電プラグ98を外部電源と接続して電池モジュール1000を充電できる。
(蓄電システム)
【0068】
さらに、本発明は、電池モジュールの用途を、車両を走行させるモータの電源には特定しない。実施形態に係る電池モジュールは、太陽光発電や風力発電等で発電された電力で電池を充電して蓄電する蓄電システムの電源として使用することもできる。
図16は、電池モジュール1000の電池を太陽電池で充電して蓄電する蓄電システムを示す。この図に示す蓄電システムは、図に示すように、家屋や工場等の建物81の屋根や屋上等に配置された太陽電池82で発電される電力で、電池モジュール100の電池を充電する。さらに、この蓄電システムは、電池モジュール100に蓄電した電力を、DC/ACインバータ85を介して負荷83に供給する。
【0069】
さらに、電池モジュールは、図示しないが、夜間の深夜電力を利用して電池を充電して蓄電する蓄電システムの電源として使用することもできる。深夜電力で充電される電池モジュールは、発電所の余剰電力である深夜電力で充電して、電力負荷の大きくなる昼間に電力を出力して、昼間のピーク電力を小さく制限することができる。さらに、電池モジュールは、太陽電池の出力と深夜電力の両方で充電する電源としても使用できる。この電池モジュールは、太陽電池で発電される電力と深夜電力の両方を有効に利用して、天候や消費電力を考慮しながら効率よく蓄電できる。
【0070】
以上のような蓄電システムは、コンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電池モジュール、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電池モジュール、家庭内用または工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機や道路用の交通表示器などのバックアップ電源用などの用途に好適に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る電池モジュールの冷却方法、冷却プログラム、コンピュータで読み取り可能な記録媒体及び記憶した機器、電池モジュール並びにこれを備える車両は、ハイブリッド車、燃料電池自動車、電気自動車、電動オートバイ等の電動車両を駆動するモータの電源用等に使用される大電流用の電源として好適に利用できる。例えばEV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電池モジュールが挙げられる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電池モジュール、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電池モジュール、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0072】
100、1000…電池モジュール、1…電池セル;1A…第一電池セル;1B…第二電池セル、1X…端子面、1a…外装缶、1b…封口板、2…電極端子、2a…突出部、2b…溶接面、3、3B、3C、3D、3E、3F…バスバー、10…電池積層体、13…固定部品、14…エンドプレート、15…締結部材、16…絶縁スペーサ、17…端面スペーサ、18…絶縁材、81…建物、82…太陽電池、83…負荷、85…DC/ACインバータ、91…車両本体、93…モータ、94…発電機、95…DC/ACインバータ、96…エンジン、97…車輪、98…充電プラグ、310、310A、310B、310C、310D、310E、310F…第一バスバー、301…バスバーホルダ、311…第一端子接続片、312…第一中間片、313、313C、313D、313E、313F…第一平坦部、314…第二端子接続片、315…第二中間片、316、316C、316D、316E、316F…端子接続部、317…凹部、320、320B、320C、320D、320E、320F…第二バスバー、323、323B、323C、323D、323E、323F…第二平坦部、324…突起、330…開口部、331…窪み、340、340C、340D、340E、340F…第二端縁接続部、341…接続ピン、342、342D…第二折曲部、HV…車両、EV…車両