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特許7200245外側に配向したピンチワイヤアークを備えた凸部を有するアンビルロール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】外側に配向したピンチワイヤアークを備えた凸部を有するアンビルロール
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20221226BHJP
   B23K 20/10 20060101ALI20221226BHJP
   B29C 59/04 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
B29C65/08
B23K20/10
B29C59/04 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020528021
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018082422
(87)【国際公開番号】W WO2019101953
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】1801602.2
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1719546.2
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512131140
【氏名又は名称】コンセプツ フォー サクセス(シー4エス) アインゲトラー カウフマン
(74)【代理人】
【識別番号】100163991
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 慎司
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,クリストフ
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-500405(JP,A)
【文献】米国特許第02706233(US,A)
【文献】国際公開第2015/165927(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0164699(US,A1)
【文献】特開昭56-148952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ材料を処理するためのアンビルロールであって、
円筒形の外側支持表面、アンビルロール軸、半径を示し、
前記円筒形の外側支持表面の外側に突出する複数のアークを具備し、
前記アークは、アークワイヤによって形成され、
前記アークは、
前記外側支持表面の外側に配向された上部フリーアーク部分であって、
前記アークワイヤの表面が、前記上部フリーアーク部分の最も外側に配置された点としてのその先端から全方向に前記外側支持表面に向かって先細になるように構成された上部フリーアーク部分と、
第1及び第2のサイドアーク部分と、を備え、
前記複数のアークは、
前記上部フリーアーク部分の前記最も外側に配置された点を接続するアーク先端線が前記アークのx方向を定めるように配置されており、
各アークは、x方向に沿った長さ延長(x)と、前記外側支持表面及び前記長さ延長xに垂直に延びるアーク高さHを示し、
前記アンビルロールは、前記外側支持表面の半径方向外側に配置され、前記アークの前記第1及び第2のサイドアーク部分中におけるピンチポイントで前記アークの前記長さ及び高さ延長に垂直なy方向に沿って横方向の圧縮力を加えるように適合された少なくとも2つの圧縮ジョーを含んだピンチング装置を更に備えており、
それにより、前記ピンチポイントにおける前記アークワイヤの動きを実質的に抑止し、
前記ピンチング装置は、ピンチポイントを介して前記第1又は第2のサイドアーク部分を介して前記上部フリーアーク部分に加えられたz方向の力を前記外側支持表面に伝達するように更に適合されている、
アンビルロール。
【請求項2】
前記アークワイヤは、丸みを帯びた断面を示す、請求項1に記載のアンビルロール。
【請求項3】
前記アークワイヤは、少なくとも前記上部フリーアーク部分の前記最も外側に配置された点において0.1mmから5mmの間の前記アークのy方向で延びる断面を示す、請求項1又は2に記載のアンビルロール。
【請求項4】
前記上部フリーアーク部分は、0.2から50mmの間のx及びz方向に広がる円によって外接される、請求項1乃至3の何れか1項に記載のアンビルロール。
【請求項5】
前記上部フリーアーク部分の前記最も外側に配置された点のx方向距離は、前記フリーアーク高さHの0.1倍よりも大きい、請求項1乃至4の何れか1項に記載のアンビルロール
【請求項6】
z方向に20μm未満に変形するような使用条件下における前記アークに対するz方向の衝撃に耐えるように適合されている、請求項1乃至5の何れか1項に記載のアンビルロール。
【請求項7】
以下からなる群から選択される条件のうちの1つが適用される、請求項1乃至6の何れか1項に記載のアンビルロール。
a.アークワイヤは、2つのワイヤが交差する単一のピンチポイントで挟まれる;
b.アークワイヤは、2つのピンチポイント又はピンチエリアで、各1つが単一ワイヤが挟まれるサイド部分の各々において挟まれる;
c.アークワイヤは3つのピンチポイントで挟まれ、2つの交差するワイヤが挟まれる前記サイド部分にある2つのピンチポイントと、2つのワイヤが交差する単一のピンチポイントとを有し、単一のピンチポイントは他の2つのピンチポイントと支持表面との間に位置している;
d.アークワイヤは2つの直接隣り合うアークが2つの共通のピンチポイントを持つように挟まれる。
【請求項8】
前記アークワイヤは、前記複数のアークに対して実質的に連続的である、請求項1乃至7の何れか1項に記載のアンビルロール。
【請求項9】
いに平行に整列された2つ又はより多くのアークワイヤを含んでいる、請求項1乃至8の何れか1項に記載のアンビルロール。
【請求項10】
前記アークワイヤは以下からなる群より選択される、請求項1乃至9の何れか1項に記載のアンビルロール。
a.傾斜コイルばね;
b.波状ワイヤ。
【請求項11】
それらの先端線が実質的に平行であり、それらの先端点がx方向にオフセットされるように、一対の圧縮ジョーの間に平行に配置された、2つ又はより多くの波状ワイヤを含んでいる、請求項1乃至10の何れか1項に記載のアンビルロール。
【請求項12】
前記アークワイヤの前記x方向が、以下からなる群から選択される方向と実質的に整列している、請求項1乃至11の何れか1項に記載のアンビルロール。
a.前記アンビルロール軸に平行;
b.前記外側支持表面の円周方向
【請求項13】
超音波接合のための、請求項1乃至12の何れか1項に記載のアンビルロール。
【請求項14】
前記アークは、金属ワイヤによって形成されている、請求項1乃至13の何れか1項に記載のアンビルロール。
【請求項15】
z方向に10μm未満に変形するような使用条件下における前記アークに対するz方向の衝撃に耐えるように適合されている、請求項1乃至14の何れか1項に記載のアンビルロール。
【請求項16】
前記圧縮ジョーは、リングディスク、又は、アンビルロールの一体部分であるディスク要素であり、前記ピンチング装置は、前記圧縮ジョーに同時に作用するように適合された圧縮手段を更に備えている、請求項1乃至15の何れか1項に記載のアンビルロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外面に凸部を備えたアンビルロールとして機能することができるロールである。この凸部は、波状ワイヤ又は長さ若しくはx方向に延びる軸方向に傾斜した螺旋コイルなどのアークワイヤの外側に又はz方向に傾斜したアークである。これらのアークは、z及びx方向に垂直にピンチされている。このようなアンビルロールは、ウェブ材料をエンボス加工又は接合することなどによって、ウェブ材料などの材料を処理するために使用され得る。特定の用途では、そのようなロールは、超音波ソノトロードと相互作用してもよい。
【背景技術】
【0002】
エンボス加工、接合、又は印刷プロセスにおいてウェブ材料を処理するために、外面に凸部を有するロールを使用することは、当技術分野でよく知られている。丸みを帯びた先端を示す凸部は、特定の用途のための加熱された又はそうでなければエネルギーを提供するロールに対して作用するアンビルとして有利であり得ることも知られている(例えば、EP11441887A1参照)。しかしながら、そこに記載されているような解決策は、非常に骨の折れる、したがって高価な機械加工を必要とするため、製造するのが難しい。
【0003】
特定の用途では、例えば超音波接合用途と組み合わせて、細長いインプリントを作成する、丸い先端のある凸部を使用することが有利であることが分かっている。例えば超音波接合プロセスのアンビルとして有用な、フレキシブルで好ましくは螺旋状のアンビルロールが記載されているWO2012042055A1、又は、丸い先端を使用してウェブ材料の粒子を移動させるWO2016/166368を参照。US2016/0056956では、電気的用途のための、特に交互に異なる直径及び寸法を示すコイルターンを備えた傾斜コイルばねの製造が記載されている。
【0004】
フレキシブルな螺旋又はコイルばねアンビルを使用すると、従来の大量生産の螺旋コイルばねを使用できるため、非常に単純なアプリケーションが可能になり、柔軟性とコイルばねの上部(即ち上部円アーク部分)の幾何学的形状との両方により、幾つかの利点が得られる。しかしながら、そのようなコイルばねはまた、主にコイルばねの不十分な固定のために、結合力の損失をもたらし得るロールの支持表面上での屈曲が見出されている。
したがって、特に幾何学的形状及び製造の容易さの利点を維持しながら、上記の問題を克服するという問題が残っている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、好ましくは熱エンボス加工によって、より好ましくは超音波結合によってウェブ材料を処理するためのアンビルロールである。アンビルロールは、円筒形の外側支持表面、アンビルロール軸、及び半径を示し、円筒形の外側ベース面の外側に突出する複数のアークを含んでいる。これらのアークは、アークワイヤ、好ましくは金属ワイヤによって形成され、好ましくは複数のアークについて実質的に同一であり、より好ましくは複数のアークを形成する単一のワイヤである。
【0006】
アークは、支持表面の外側に向けられた上部フリーアーク部分であって、アークワイヤの表面がフリーアーク部分の最も外側に位置する点としての先端から全ての方向でアンビルロール支持表面に向かって先細りになるようにされた上部フリーアーク部分と、第1及び第2のサイドアーク部分とを備えている。複数のアークは、上部アーク部分の最も外側に配置された点を結ぶアークの先端線が、アークのx方向を定義するように配置される。各アークは、x方向に沿った長さ延長(x)と、支持表面及び長さ延長xに垂直に延びるアーク高さHを示す。
【0007】
更に、アンビルロールは、支持表面の半径方向外側に配置され、ピンチポイントでアークの長さ及び高さに垂直なy方向に沿って横方向の圧縮力を加えることによりピンチポイントでのアンビルワイヤの動きを実質的に抑止するように適合された少なくとも2つの圧縮ジョーを含んだピンチング装置を備えている。このようにして、ピンチング装置は、上部アーク部分に加えられたz方向の力を、第1又は第2のサイド部分を介して、ピンチポイントを通じて支持表面に伝達するように適合されている。
【0008】
好ましくは、アークワイヤは、丸みを帯びた断面、好ましくは円形又は楕円形の断面を示す。好ましくは、この断面は、少なくとも上部アーク部分の最も外側に配置された点において、アークのy方向に0.1mmから5mmの間で延在している。アークの上部アーク部分は、0.2から50mmの間のx及びz方向に広がる円によって外接されていてもよい。上部アーク部分の最も外側に位置する点のx方向距離は、フリーアークの高さHの0.1倍より大きくてもよく、好ましくは1.0倍より大きくてもよい。
【0009】
好ましくは、アンビルロールは、これらがz方向に20μm未満、好ましくは10μm未満、最も好ましくは5μm未満に変形するような使用条件下でアークに対するz方向の衝撃に耐えるように適合されている。
アークワイヤのピンチングは、幾つかの方法で実行することができる:
アークワイヤは、2つのワイヤが交差する単一のピンチポイントで挟まれる;
アークワイヤは、2つのピンチポイント又はピンチエリアで、各1つが単一ワイヤが挟まれるサイド部分の各々において挟まれる;
アークワイヤは3つのピンチポイントで挟まれ、2つの交差するワイヤが挟まれる側部にある2つのピンチポイントと、2つのワイヤが交差する単一のピンチポイントとを有し、単一のピンチポイントは他の2つのピンチポイントと支持表面との間に位置している;
アークワイヤは2つの直接隣り合うアークが2つの共通のピンチポイントを持つように挟まれる。
【0010】
アークワイヤは、複数のアークに対して実質的に連続であり得る。アンビルロールは、好ましくは互いに平行に整列された2つ以上のアークワイヤを含み得る。アンビルワイヤは、好ましくはフリーアーク高さHの0.1倍よりも大きい、好ましくは1.0倍よりも大きいピッチを示す傾斜コイルばねであってもよく、2つの隣り合うアークの上部アーク部分の最も外側に配置された点間の距離がフリーアーク高さHの0.1倍より大きく、好ましくは1.0倍より大きい波状ワイヤであってもよい。
【0011】
任意に、アンビルロールは、それらの先端線が実質的に平行であり、それらの先端点がx方向にオフセットされるように、一対の圧縮ジョーの間に平行に配置された、2つ又はそれ以上の波状ワイヤを含み得る。
【0012】
アークワイヤのx方向は、アンビル軸に平行に又はアンビル表面に対して円周方向に実質的に整列させてもよく、好ましくは、圧縮ジョーは、リングディスク、又は、アンビルロールの一体部分であるディスク要素であり、ピンチング装置は、圧縮ジョーに同時に作用するように適合された圧縮手段を更に含んでおり、好ましくは、アークワイヤは、実質的にエンドレスである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A図1Aは、本発明に有用であり得るワイヤアークを示している。
図1B図1Bは、本発明に有用であり得るワイヤアークを示している。
図1C図1Cは、本発明に有用であり得るワイヤアークを示している。
図2A図2Aは、本発明において有用なアークワイヤとしての波状ワイヤの様々な実施を示している。
図2B図2Bは、本発明において有用なアークワイヤとしての波状ワイヤの様々な実施を示している。
図2C図2Cは、本発明において有用なアークワイヤとしての波状ワイヤの様々な実施を示している。
図2D図2Dは、本発明において有用なアークワイヤとしての波状ワイヤの様々な実施を示している。
図2E図2Eは、本発明において有用なアークワイヤとしての波状ワイヤの様々な実施を示している。
図2F図2Fは、本発明において有用なアークワイヤとしての波状ワイヤの様々な実施を示している。
図2G図2Gは、本発明において有用なアークワイヤとしての波状ワイヤの様々な実施を示している。
図3A図3Aは、従来の螺旋コイルばねの形状を示している。
図3B図3Bは、従来の螺旋コイルばねの形状を示している。
図3C図3Cは、従来の螺旋コイルばねの形状を示している。
図3D図3Dは、従来の螺旋コイルばねの形状を示している。
図4A図4Aは、本発明に有用であり得る、軸構成の傾斜コイルばねの幾何学的形状を示している。
図4B図4Bは、本発明に有用であり得る、軸構成の傾斜コイルばねの幾何学的形状を示している。
図4C図4Cは、本発明に有用であり得る、軸構成の傾斜コイルばねの幾何学的形状を示している。
図4D図4Dは、本発明に有用であり得る、軸構成の傾斜コイルばねの幾何学的形状を示している。
図4E図4Eは、本発明に有用であり得る、軸構成の傾斜コイルばねの幾何学的形状を示している。
図4F図4Fは、本発明に有用であり得る、軸構成の傾斜コイルばねの幾何学的形状を示している。
図5A図5Aは、軸構成の傾斜コイルばねを示しているが、ピッチと高さとの比率が低く、比較的好まれない実施例を示している。
図5B図5Bは、本発明では有用ではない、放射構成の傾斜コイルばねを示している。
図6A図6Aは、本発明に適した傾斜コイルばねを作製するためのプロセスに関連する機器を示している。
図6B図6Bは、本発明に適した傾斜コイルばねを作製するためのプロセスに関連する機器を示している。
図7A図7Aは、本発明による傾斜したコイルばねを備えたアンビルロールを示している。
図7B図7Bは、本発明による傾斜したコイルばねを備えたアンビルロールを示している。
図8A図8Aは、本発明による傾斜したコイルばねを備えたアンビルロールの別の実施を示している。
図8B図8Bは、本発明による傾斜したコイルばねを備えたアンビルロールの別の実施を示している。
図9A図9Aは、本発明による傾斜したコイルばねを備えたアンビルロールの別の実施を示している。
図9B図9Bは、本発明による傾斜したコイルばねを備えたアンビルロールの別の実施を示している。 同じ数字は同じ要素又は機能を参照する。図は概略図であり、必ずしも縮尺どおりではない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記載において、本発明の説明は、特定の実行又は実施形態を指す場合があり、他の要素と組み合わせて特定の要素を指す場合があるが、本発明をこれらの実行、実施形態、又は組合せに限定するものと見なされるべきではない。
【0015】
一般に、本発明は、ウェブ材料のエンボス加工又は接合を作成するために非常に適切に使用することができるアンビルロールを対象としている。このようなアンビルは、逆回転ロールなどのカウンタツールと相互作用する回転ロールであってもよく、超音波ユニットの静的なフラットホーンなどの平坦な部品であってもよい。多くの場合、必須ではないが、アンビルの一方又は両方が、超音波システムなどからの加熱又は運動エネルギー供給などのエネルギー源を備えていてもよい。そのような用途では、ウェブ材料などのワークピースと相互作用する可能性がある凸部をその外面に示す少なくとも1つのアンビルを有することが非常に望ましい場合がある。
【0016】
アプリケーションを以下のものに制限する意図ではないが、可能なアプリケーションはとして、以下のものが挙げられる:
1つ又は両方のアンビルの凸部によって作成されたエンボスポイントのパターンでウェブ材料を加圧することにより、エンボスポイントのパターンを作成する。
そのようなエンボス加工は、エンボス加工点又は接合点でウェブ材料を溶融合することを含み得る。
2つ又はそれ以上のウェブ材料間の接合を、好ましくは二次元又は線形パターンを有する溶融合適合性化合物を含むウェブ材料の溶融合によって、作成する。
WO2016/166368に記載されているように、粒子がロードされた繊維ウェブに粒子のない領域を作成する。
【0017】
このような用途では、例えば上記のWO2011/042055に記載されているように、エンボスポイントの面積を小さくすることが望ましい場合が多く、接合の場合、接合点の強く処理された領域から、これらの接合点を取り囲む未処理の領域に向かって徐々に変化することが説明されている。
【0018】
以下において、本発明は、丸みを帯びた先端と全方向に先細になる表面とを有する凸部をその外面に示すアンビルロールを提供する。凸部の外向きの先端は、例えば、特定の小さな干渉でアンビルを操作できるようにするために、特定の柔軟性を示す場合がある。つまり、2つのアンビルロールの軸の間隔は、外径の合計よりも小さく、アンビルの隆起の周りの表面を包む。アンビルロールは、特定の用途に応じたサイズであってよく、約0.05mから約1mまでの直径を示してもよい。
【0019】
先に引用した従来技術から知られているように、そのような用途に、螺旋ばねを適切に使用できることが知られている。しかしながら、理論に束縛されることを望まないが、螺旋ばねの可撓性は、その支持体上におけるばねの屈曲及び場合によっては制御されない動きを誘発する可能性があると考えられている。特に、アンビルが特定の干渉で操作される場合、又はアンビル間のギャップ中のウェブ材料がギャップ幅をかなりの部分まで満たす場合、最初の力伝達接触は、凸部の先端ではなく、相対運動の方向に沿ってわずかに手前であり得るため、小さいがアンバランスなトルクが発生し、ばねがねじれて回転する可能性がある。
【0020】
本発明によるアンビルは、ロール形状を有し、したがって、アンビルロール軸及び軸からの半径方向距離rでの円筒形外表面を示し、それにより、rは、約1cm~約100cmの範囲であり得る。ロール軸に沿ったアンビルの幅は、使用目的に合わせて調整されており、1cmから約2mの範囲であるが、典型的には10m未満のより広いロールも除外されない。回転可能に取り付けられたアンビルロールは、サーボドライブなどの従来の手段によって駆動されてもよい。
【0021】
本発明によるアンビルロールは、その外面に凸部を含み、それは、
包絡面から離れる方向に先細りする丸い先端;
標準のソリッドアンビルロールと比較して、高い柔軟性を維持しながら半径方向の圧縮力に耐える十分な剛性;
アンビルロールの支持表面での良好な固定、を示す。
【0022】
これは、アンビルロールの支持表面上に複数のアークを配置することにより達成される。本文脈において、「アーク」という用語は、支持表面から最も外側に配置される丸い先端又はフリーアーク部分と、フリーアークから支持表面に向かって延びる2つのサイド部分とを有するようなアークワイヤによって形成される構造を指す。
【0023】
フリーアーク部分は、外接円が直径を示すように丸みを帯びた形状を有していてもよい。
本文脈において、「アークワイヤ」という用語は、意図された用途に適した材料、好ましくは金属、例えば鋼、好ましくはばね鋼などから作製されたワイヤを指す。アークワイヤは、好ましくは、少なくともフリーアーク部分については丸みを帯びた形状を示し、円形又は楕円形の断面を有し、それにより、アーク先端から支持表面に向かってすべての方向にテーパリングを形成していてもよい。アークワイヤは、適宜、約0.1mmから約4mmのサイズを示すことができる。
【0024】
複数のアークは、少なくとも2つ、多くの場合10から100の間のアーク、典型的には2000未満のアークを含んでいる。アークの先端の接続は、アーク線を形成する。アーク線は、以下でより詳細に説明するように、好ましくは、例えばアンビルのロール軸に平行な直線、例えば円筒状のアンビル外面に平行にしてピンチング装置の設計を容易にする円、又は、支持ロールの半径よりも大きい半径を有する円アークである。アーク線は、アークの長さ又はx方向を定義する。アークの高さ又はz方向は、アンビルロールの半径方向に沿ってその軸から離れて延びており、高さHは、アークの最も外側の点、即ち先端から、支持表面に向かっての距離である。隣り合う2つのアークの先端のx方向の距離は、アークの高さの0.1倍を超えていてもよく、多くの場合1.0倍を超えることがある。
【0025】
アンビルロールは、1つ又は複数のアークを含むことができ、これらは、幾つかの直線アーク線がアンビル軸に平行な構成で配置されるとき、又は幾つかの円形線が互いに隣り合って配置されるときなど、それぞれ互いに平行に配置されることが好ましい。2つの隣り合うアーク線の距離は、例えば、アーク線に対応するアークによって形成される結合線が、アンビルを通過する基板の横側端部にあるとき、約1mmから1m以上であり得る。多くの場合、この距離は、約2mmから約30mmの間である。
【0026】
アンビルロールは、更に、アークを所定の位置にしっかりと保持するためのピンチング装置を含み、これは、複数のアークの、それに隣接して、幅方向に互いに反対に位置する、即ち、xz平面に垂直に配置された少なくとも2つの圧縮ジョーを含んでいる。圧縮ジョーは、アンビルロールの一体部分であってもよく、それは、下部アーク部分を収容することができるスリットをアンビルロールに切り込むことによって達成され得る。ピンチングは、実質的に、ピンチポイントとも呼ばれる、アークワイヤと圧縮ジョーとの間の接触点での前記アークワイヤの移動を防止することを目的とし、それにより、より詳細に説明されるように、単一のワイヤ又は2本の交差ワイヤが、1つのピンチポイントで挟まれる。当業者は、特にアークワイヤが圧縮ジョーに向かって平らな表面を示す場合、ピンチポイントが厳密な数学的意味でのポイントではないかもしれないが、ワイヤ及び/又は圧縮ジョー上の特定の、しかし十分に区切られたピンチエリアをカバーする可能性があることを容易に理解するであろう。
【0027】
したがって、ピンチング装置は、ピンチポイントを介して前記第1又は第2の側部を介して上部支持部に加えられたz方向の力を前記支持表面に伝達するように適合されている。使用中のそのようなz方向力の下で、アークの先端は、好ましくは約20μm未満、より好ましくは約10μm未満、更により好ましくは約5μm未満の位置に再配置され得る。アークは、ピンチポイントから支持表面に向かって延びる下側アーク部分を含むことがあり、そしてしばしばその上にあってもよい。好ましい実施形態では、2つの隣り合うアークの下部アーク部分のアークワイヤは実質的に連続的であるか、又は、複数のアークの全てのアークさえもが、下部アークを通じて、あるアークから隣り合うアークまで延びる単一の連続的なアークワイヤから形成され得る。
【0028】
好ましくは、圧縮ジョーは、複数のアークのすべてのアークを挟むようにx方向に延びているが、x方向に沿って配置された複数の圧縮ジョーを使用してもよい。
【0029】
複数のアークを含むアンビルロールの場合、それぞれが一対の圧縮ジョーと組み合わされてもよい。或いは、圧縮ジョーは、2つの隣り合う複数のアークの間に配置され、それらと協働してもよく、又は、複数のアークの幾つかは、各々が圧縮ジョーによって分離され、圧縮手段によって作動される2つの外側圧縮ジョーによってすべて一緒に圧縮されてもよい。
以下で説明する特定の実施に応じて、各アークに対して、以下からなる群から選択される条件の1つが適用される:
a.ワイヤは、2つのワイヤが交差する単一のピンチポイントで挟まれる;
b.アークワイヤは、2つのピンチポイント又はピンチエリアで、各1つが単一ワイヤが挟まれるサイド部分の各々において挟まれる;
c.アークワイヤは3つのピンチポイントで挟まれ、2つの交差するワイヤが挟まれる側部にある2つのピンチポイントと、2つのワイヤが交差する単一のピンチポイントとを有し、単一のピンチポイントは他の2つのピンチポイントと支持表面との間に位置している;
d.ワイヤは、2つのワイヤが交差している4つのピンチポイントで挟まれる。
【0030】
図1AからCは、本発明の原理を概略的に表しており、アーク1のアークワイヤ10を示し、上部アーク部分25と、支持表面1000に対して最も外側に配置された点としてのアーク先端26とを有している。更に、アークは、アークの先端から支持表面1000に向かって先細になる第1(23)及び第2(27)の側部を含んでいる。アークワイヤ10は、図1Bの断面図に例示的に示されるように、丸みを帯びた断面11を示している。図1Cにおいて、z方向8、長さ方向5、及び幅方向3のデカルト座標で更に示されているように、アークは、アーク高さ9及びアーク長さ6を示す。更に、図1Cは、複数のアーク1、1’、1’’を概略的に示しており、アーク1’の先端26’から隣り合うアーク1’’の先端26’’までのアーク距離35だけx方向に間隔をあけていてもよい。先端、即ちアークの最も外側に向いた点26、26’…は、ここでは直線として示されているアークの先端線30を形成している。
【0031】
図1Aから1Cでは、それぞれ、アーク(図1A)及び複数のアーク(図1C)に沿って長さ方向に延びるピンチング装置50の圧縮ジョー51及び52をそれぞれ示すことにより、アークのピンチングが描かれている。圧縮ジョーは、各アークの第1及び第2の側部を、それぞれピンチ点41、42、41’、42’、41’’、42’’でしっかりと挟んでいる。ピンチングジョーの破線によって図1Cに示されているように、ピンチングジョー51は、複数のアークのうちの幾つかのすべてのアークにわたって延びていてもよい。圧縮ジョーは、圧縮ジョー又は支持体1000と一体である場合があるように、接続部60によって支持体1000に接続され、任意の従来の方法でアークから支持体に力を伝達するように適合され、又は、圧縮ジョーはアンビルロールの一体部分である。図1Bに示されるように実行するために、ピンチポイント41、42での圧縮ジョー51、52の間の単一のアークワイヤ10のみが存在し、これらは、次に実質的にy方向の延長又はアークワイヤの厚さで互いから離される。
【0032】
図2Aから2Fは、連続的なアークワイヤを成形することによって実現され得るような、複数のアークの幾つかの実行を示している。図2Aでは、アークワイヤは、「波状のワイヤ」の形態であり、正弦波状の配置で複数の3つのアーク1、1’、1’’を示し、ほぼ均一に丸みを帯びたアークが外向きに且つ支持体1000に向けて配向している。z方向から見ると、波状のワイヤは実質的に直線になる。図2Bが異なる形状の波状ワイヤの実行を示しているように、外向きに配置されたアークは、支持体1000に向かうものよりも比較的大きな半径を示し、一方、図2Cでは、外向きに配向したアークは、低い方のアークよりも小さい。図2Dでは、アークはそれらの長さ方向に沿って対称ではなく、図2Eは、側部が依然として離れているように離間された、Ω字形のアークを示している。図2Fは、図2Eのものと類似であるが、アークがx方向に互いに近づくように移動されたΩ字形の波状ワイヤが使用されるときにピンチングするための更なるオプションを描写しており、その結果、アーク1の第2のサイド部分27は、隣り合うアーク1’の第1のサイド部分23’と重なり合う。そのような例では、2つの隣り合うアークによって共有される各々2つのピンチポイント43及び44が存在する。ピンチポイント43及び44の両方について、同じワイヤ部分、例えば、アーク1の第2のサイド部分27は、同じ他のワイヤ部分、ここではアーク1’の第1のサイド部分23’の上に覆いかぶさっていることに留意されたい。図2Gは、更なる実施を示し、ここでは、2つの直線の波状ワイヤが、圧縮ジョーの間で平行にオフセットして配置され、例示的に示されるように、第1の波状ワイヤ10は、2番目の波状ワイヤ10 *のアーク1、1’、1’’、1’’’からオフセットしたアーク1、1’、1’’、1’’’を有している。
【0033】
複数のアークは、傾斜コイルばねから更に形成されていてもよい。コイルばねの一般的な命名法を説明するために、図3AからCを参照する。ここでは、ばねワイヤ110が付いた傾斜していない螺旋コイルばね100が側面図で描かれており(図3A)、即ち、xy次元(10、20)に延在する支持体200上に配置される場合など、y方向又は幅方向から、そのx方向又は長手方向軸並びに中心線105及びその高さ108に沿って延在するそのようなばね上へとデカルト座標で見た場合が描かれている。コイルばねは、ピッチ135で互いに離れた一連のターン120、120’、…で構成されている。視覚化を容易にするために、図3Aでは、コイルばね100の巻きの「後」半分部分138、即ち、視点の位置に対して中心線の後ろの半分部分は点線としてプロットされ、「前」半分部分133は実線として描かれている。図3Bは、コイルばねの幅103を更に示す上面図によってコイルばねを示し、図3Cでは、図は中心線に沿った図となっている。
【0034】
図3Cに見られるように、各1ターン120は、各々が半径方向に最も外側の点を有する特徴的な部分を更に備えており、即ち、
支持体を備えたワイヤの第1の最下点又は接触点122を備えた下側アーク部分121、
半径方向に、ここでは横方向に、最も外側に配置された第1のサイドポイント124を備えた第1のサイドアーク部分123、
最上部のアーク点又はアーク先端126を備えた上側アーク部分125、
横方向に最も外側に配置された第2のサイドポイント128を有する第2のサイドアーク部分127、
ターン120が次のターン120’の最初の最下点又は接触点122’と一致する第1のターン120の2番目の最下点又は接触点122で更なるターン120’に接続する更なる下側アーク部分121’、を備えている。
【0035】
したがって、下側アーク部分は、最下点から両方のx方向にコイルばねの2つの連続するターンに延びている。図3Cでは、最下領域122が陰影を付けて示され、図が次のターン120’の最初の最下点122’でのワイヤ110を通る断面で作られていることを示している。
【0036】
図示されているように、コイルばねは、実質的に円筒形の形状を示し、高さ108、即ち支持体200と接触している最下点122から最上部のアーク点126までの距離は、幅103、即ち最も外側に位置する2つのポイント124、128間の距離と同じである。そのようなばねコイルが、例えば図3Dに示されるように一対のxz方向に延びるジョープランク150によってy方向に圧縮される場合、ワイヤは、高さ108’の増加と幅103’の減少を伴って、各ターンがその実質的に円形の形状から楕円形状に圧縮されるように変形する。
【0037】
本発明に有用な傾斜コイルばね(勾配コイルばねとも呼ばれることもある)を検討する場合、図4Aから4Cに見られるように、図3AからCに対応する命名法で類推してそのような傾斜コイルばねを示す。図4Aのような側面図において、即ち、x-z平面上へのy軸に沿った図において、ワイヤは、重なり合うループとして見ることができる。図4Bでは、z方向からの図を示しており、ワイヤは、曲がりくねった形状で見ることができる。X軸に沿ったyz平面上への側面図(図4Cを参照)では、ワイヤは、楕円形を示している。傾斜の度合いは、傾斜面と最下点又は接触点を通るzy-拡張平面137との角度として定義される軸方向傾斜角度γ139によって記述することができ、これにより、傾斜面は、
ターン120’がターン120につながる最下点、
前のターン120とターン120’の最初のサイドポイントとの間の中点、
ターン120と次のターン120’の第2のサイドポイントの間の中点によって広がっている。
【0038】
したがって、傾斜角度は、傾斜の程度を表し、図3に示すような傾斜していないコイルでは最小値を有し、隣り合うターンのワイヤの側部がピンチポイント140で互いに接触しているときに最大値(γmax)に達し、即ち、コイルワイヤの直径及びピッチ135の関数である。この角度は常に90°未満である。
【0039】
横方向の力を加えると、傾斜したコイルばねは、傾斜していないコイルばねとは大幅に異なる動作をし、図3Dに示すように変形する。これは、コイルの高さを増加した圧縮高さ108’に増加させながら、コイルの円形断面を楕円形に変形させ、傾斜コイルばねの場合は幅を縮小し、γmaxに達するまで傾斜角度を拡大する。
【0040】
傾斜していないコイルばねと比較して、傾斜したコイルばねは、一回転全体にわたって均一な半径も示さない。好ましい実施例における傾斜コイルのターンの特徴的な部分の内接円を考慮すると、傾斜ばねコイルは、サイドポイント123及び127に対して、傾斜コイルばねの高さにほぼ対応する半径134(図4Dを参照)を示し、これも傾斜していない円筒形コイルの半径にほぼ対応している。最上点と最下点では、内接円の半径はかなり異なる。例えば、最下部121の場合、内接円132の半径は大きくなり(図4Fを参照)、最上部125の場合、半径136は小さくなる(図4Eを参照)。当業者は、反対の構成も可能であり且つ本発明に適しており、即ち、より小さい内接円が支持体200に向かって配置され、大きい方の円が外側に配置され得ることを容易に認識するであろう。
【0041】
図4に示されているように、図4Bに見られるような1つのピンチ又は交差点150のみが生じるので、傾斜コイルばねは、好ましくは高さよりも大きいピッチ135を示す。図5Aでは、ピッチ135が高さ108よりも小さい、軸方向に傾斜したコイルばねの実行が示されており、図5Aでは、ワイヤの各1ターンに対して複数の交差点が存在している。
【0042】
当業者はまた、傾斜コイルばねが非平面上に配置され得ること、例えば、図5Aに示されるように、特に図5Aに示されるようにロールの直径がばねの直径と比較して大きい場合、円筒形のロール又はドラム210の表面の周りに巻かれ得ることを見出すであろう。そのようなロールは、その周りにロールが回転可能に取り付けられ、その回転がロールの機械方向を規定する、横断方向に配向されたロール軸3005を示す。円筒座標では、半径方向が軸から離れる方向に伸び、ロールの円筒面が傾斜コイルの支持体を形成する。
【0043】
図5Bに示されているように、放射状構成の傾斜コイルばねは、本発明には適さない。当業者は、軸方向に傾斜したコイルばねが前方傾斜を有することができ、角度γが図4Bに示されるように、中心軸のx方向に対して正であるか、又は、図6Bに示されているように、角度γが中心軸のx方向に対して負である後方傾斜を有し得ることを容易に見出すであろう。
【0044】
傾斜コイルばねの材料選択は特に限定されないが、ステンレス鋼又は同様に強くて弾性のある金属材料など、機械的ばねに従来から使用されている材料が好ましい。
【0045】
適切な軸方向に傾斜したコイルは、電気又はシーリング用途向けに「Axially Compressed Dynaflex(登録商標)」の商品名で米国コロラド州NPIスプリングから市販されている。しかしながら、それらが図5Aに示すように小さいピッチを示し、したがって、図4E及びFに示すように上部内接円136と下部内接円132の半径の大きな差を示さないことは好まれない。
【0046】
適切な傾斜コイルは、図6A及びBに概略的に示されているようなツール及びプロセスで製造することができる。そこでは、線直径112及び前駆体ピッチ135の非傾斜前駆体ばね100が提供され、オプションで、現在のプロセスステップの直前にインラインで形成されている。前駆体ばねは、両方とも、それぞれが、例えば、歯1110及び1210の形態であり、前駆体コイルのピッチに従って長手方向に離間している、固定ツール1100及び移動ツール1200を含んだ傾斜工具1000の隙間の中へと移動される。移動ツールは、外側に伸びる歯を持つ実質的にエンドレスなベルト又はワイヤであってもよく、又は、その歯がコイルの側面部分を受け取り、それをコイルの移動方向に沿って輸送するように適合された螺旋ねじタイプのフィーダ(「ワーム」)であってもよい。固定ツールは、その表面及び/又は歯の前駆体コイルの幅(及び高さ)に対応していてもよい開始距離で、傾斜したコイルの幅に近い幅に実質的に対応するように縮小されるようにして、減少する距離で移動ツールから離れており、オプションで、追加の圧縮ローラ1310、1320によって更に支持されていてもよい。
【0047】
傾斜付与を実行するための2つのオプションに従うことができる。第1のオプションでは、ターンの最上点と最下点が、それぞれ、ツールの固定手段と係合される。x方向に沿って、それらの1つをもう1つに対して相対的に再配置すると、望ましい傾斜が得られる。第2のオプションでは、横方向と反対方向に最も外側に配置された2つのターンポイントが固定手段と係合され、x方向に沿って互いに対してそれらを再配置することで、望ましい傾斜を提供する。どちらのオプションも、本発明に適した傾斜コイルばねを提供するが、適切な傾斜角度を提供するために、ベースアンビルへの適切な取り付けが必要である。
【0048】
結果は、実質的にエンドレスであるか、又は所定の長さを示し、より長いコイルを形成するために従来の手段によって更に接続され得る傾斜コイルであり、又は、内側コイルリング直径を示す閉リングコイルでもあり得る。典型的には、傾斜角度γは0°より大きく、γmaxに到達する場合もあるが、必ずしも必要ではない。
【0049】
本発明の重要な側面は、アークワイヤ、即ち、例えば波状ワイヤ又は傾斜コイルばねがしっかりと固定され、その結果、概してアークのz方向に沿って力が加えられると、ピンチポイントと支持体との間で、可能な動きがあったとしても非常に動きが少ないことである。それゆえ、支持体上に載る可能性のあるアークワイヤの下部が曲がったりねじれたりすることが防止される。
【0050】
これは、幅方向の圧縮をアークワイヤに加えるピンチング装置によって適切に達成することができる。傾斜コイルの場合、実質的にその最大傾動角度γmaxに達し、2つの隣り合うターンの側部は、ピンチポイント140において互いに向かって実質的に強制的に嵌合するように圧縮される。これは、例えば、互いに直接接触していることによって、そして、ピンチング装置によってこの位置にしっかりと保持されることによって生じ、このピンチング装置は、傾斜したコイルばねを操作ドラム又はロールに固定するためにも使用される。圧縮ジョーの圧縮力は使用目的に応じて調整される。より高いz方向の力が加えられるアプリケーションでは、対応するピンチ力によってポンチポイントにワイヤを固定するように、それに応じて圧縮力も調整する必要がある。当業者は、「直接接触」という用語が、力を伝達するスペーサなどのワイヤ及び/又は圧縮ジョーの間に何かが配置される変形を含むことを容易に理解するであろう。
【0051】
適切なピンチング装置は、アークの幅又はy方向に沿って圧縮を加える任意の手段であってもよく、最も好ましくは、傾斜したコイルばねの長さに沿って一定である。ピンチング装置は、支持ロールの表面上に配置されていてもよく、又は、支持ロールと一体であって、残りの表面の外側に配置されいてもよい。
【0052】
複数のアークは、実質的に、ベースドラム又はロール上の任意の位置及び向きに取り付けることができる。ただし、固定は、図7及び9の文脈で説明されているように、軸方向又は半径方向のどちらの向きでも容易に実行することができる。一般に、ロールは、円筒座標で、半径r70、角度座標φ(ファイ)50、及び幅座標λ(ラムダ)60を示す。
【0053】
図7A及びBを参照すると、ここでは軸方向に傾斜したコイルばね100として示されている軸方向に配置されたアークワイヤが、ベースロール2003上に配置され、コイル軸105は実質的にロール軸2005に平行である。アンビルロール2000は、隣り合う2つのターンの側部が圧縮ジョーによって直接接触されて保持される最大傾斜角での傾斜コイルの幅に対応する所定の任意選択的に調整可能な間隔2030で第1(2010)及び第2(2020)圧縮ジョーを更に備えている。
【0054】
図8及び9を参照すると、一組のアークワイヤが、アンビルロール3000上に円周方向に配置され得る。図8A及びBでは、傾斜コイルばねについて示され、ここでは例示的且つ非限定的に、5つのコイルばね100、100’、100’’、100’’’、及び100ivが、一組の圧縮ジョー3010、3010’、3010’’、3010’’’、3010iv、3010の間にある。ジョーは、表面(図示せず)から延びる固定された凸部であってもよく、それらはアンビルロール(図示せず)の独自の部分であってもよく、又は、ロール上で軸方向に移動可能に取り付けられ得る円周リングでもあってもよい。アンビルロールに対して片側又は両側でキャップを引っ張るネジ付きボルトのように、ここでは矢印3090で示されている圧縮ツールによって圧縮されてもよい。同様に、図9A及びBは、ピンチング装置3090によって圧縮され、ディスク3010、3010’、3010’’などによって分離された、波状のワイヤ10、10’、…を有するそのようなアンビルロールを示している。
【0055】
圧縮ジョーは、アークワイヤの固定を強化するように特に適合させることができる。これは、ジョーの高さ、すなわち、支持表面上のジョーの高さを、少なくともピンチポイント40、140の高さとすることによって達成できる。ジョーは、下部でそれらの間の最小距離が実現されるように、z方向にテーパが付けられている場合もある。例えば、ワイヤがピンチポイントで重なり合うようにコイルワイヤ直径の2倍から、ワイヤ部分がより固定され得るように上部でコイルワイヤ直径の1倍にしてもよい。
【0056】
アークワイヤ及び圧縮ジョーの位置をベースロールの「中」又は「上」と言及する場合、ベースロールは滑らかではなく、ノッチ、溝、他の空洞だけでなく、リング、ピンなどの隆起などの表面構造を持っている可能性がある設計が含まれていてもよく、そのような構造もまた、圧縮ジョーの一部として機能することができる。
【0057】
特定の実施において、傾斜コイルばねの支持表面に向けられた部分は、向きを逆にすることによって、すなわち、使用中の構成でロール上において外側に向けられたアーク状部分を位置決めし、アンビルロールにアークワイヤを再組み立てする前に、補助支持表面上に、そしてアークワイヤの外向きの部分を望ましい精度に機械加工することなどによって、高精度に適切に水平にすることができる。
【0058】
アークワイヤは、以下によって意図された使用に適合させられてもよい:
高さを選択する(例えば前駆体ばねの外径を選択する);
線径を選択する;
線材を選択する;
アーク距離、コイルばねピッチをそれぞれ選択する;
以下を選択してパターン全体を選択する:
アークワイヤの数、向き、長さ;
許容できる寸法のバリエーション、特に高さ及びワイヤの直径を選択する。
【0059】
アンビルロールを使用してボンディング操作を実行する場合などの特定のアプリケーションの場合には、超音波エネルギーを使用してボンディング操作を実行する場合には更に、傾斜コイルばね又は波線ターンの高さの差が小さいことが好ましい。超音波アプリケーションの場合、高さの差は、約18μm以下であることが多く、超音波ホーンの振幅よりも小さいことが好ましい。それゆえ、好ましくは、コイルばねの高さの変動は、約18μm未満、好ましくは約10μm未満、又は更には5μm未満である。
【0060】
したがって、この目的のために、事前に形成された傾斜コイルばね又は波状ワイヤを、図7及び8のアンビルベースロール2003、3003の表面に固定することができ、圧縮ジョーは、保持するために調整ピンチ力で圧縮され、傾斜したコイルばねを所定の位置に保持しつつ、凸部にz方向の力を加えるとピンチポイントでのワイヤの相対的な移動が可能になるようにすることができる。補助的支持ツール(図示せず)は、ばね/ワイヤに向かって平ら又は凹状に開いており、傾斜コイルばね又は波状ワイヤの幾つかの、好ましくは全てのターンをカバーするのに十分な長さで上に配置され、下向きに、即ちばね/ワイヤのz方向に沿って押される。これにより、ターン/巻線の高さの差が平準化され、圧縮ジョーが締め付けられて、この位置を固定し、動作中のz方向の力に耐えるために必要な最終的なピンチ力に到達する。必要に応じて、補助ツールの下向きの圧力を上げ、ジョーの圧縮を増やしながら、これらのステップを繰り返すことができる。補助的支持ツールを使用する代わりに、アンビルロールは、例えば、ジョーの圧縮が中程度のレベルであるときに、平坦な又は回転可能なロールなどのカウンタツールに対抗して動作するときに作動することができる。操作によって高さの差が平準化され、最終的なピンチ力に達するまで、圧縮が徐々に増加する。
【0061】
ターンの高さを調整する別のアプローチでは、傾斜コイルばねを「反転」、つまり使用中の構成の最上点を補助面に下向きに配置し、次に外側に配置された領域を精密加工することができる。その後、傾斜コイルばねは、アンビルベースロール上の精密研磨部分で位置決めすることができる。
【実施例
【0062】
例示的な実施において、約100mmの長さ、14mmの外径、及び1mmのワイヤ直径を示す従来のステンレス鋼の非傾斜の前駆体螺旋ばねが傾斜され、金属製のジョーを最小幅にして、約14 mmのピッチを示す2つの間のベンチバイスサポートに取り付けた。ジョーは、ばねコイルの高さの約60%まで延ばされた。
【0063】
約19g/mの一般に衛生用品のトップシート材料として適用される2層のスパンボンドポリプロピレンウェブが、傾斜コイルばねの自由な凸部の上に配置され、利用可能な従来のハンドヘルド超音波ボンディングソノトロード、例えばドイツのHerrmann Ultraschallから市販されているもので処理した。
【0064】
その結果、非常に滑らかで、柔らかく、強く保持する結合点のラインが得られ、支持体に対する動きは観察されなかった。
【0065】
同じ実験を、20mmの外径と0.75mmのワイヤ直径を示すより柔らかいバネで繰り返し、支持体に対するバネの動きに関して同じ結果が得られた。

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B