(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】航空機のフラップのロック装置
(51)【国際特許分類】
E05C 19/14 20060101AFI20221226BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20221226BHJP
B64D 29/06 20060101ALI20221226BHJP
E05B 5/00 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
E05C19/14
B64C1/00 A
B64D29/06
E05B5/00 A
(21)【出願番号】P 2020534523
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2018085757
(87)【国際公開番号】W WO2019121863
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】102017223684.1
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503371373
【氏名又は名称】ルフトハンザ・テッヒニク・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】LUFTHANSA TECHNIK AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・ズッター
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・オレシュ
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0138785(US,A1)
【文献】実開昭56-8772(JP,U)
【文献】実開昭52-10197(JP,U)
【文献】実開昭48-76096(JP,U)
【文献】実開昭50-96183(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05C 1/00-21/02
B64C 1/00
B64D 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に航空機用であり、表面(1)と面一に埋め込むことができ、フラップ(2)をロックするためのロック装置(10)であって、
前記ロック装置(10)を作動させるプレート(11)およびロック要素(12)を備え、
前記プレート(11)は、前記ロック装置(10)のロック状態では前記表面(1)と面一であり、開状態では前記表面(1)から突出し、
前記ロック状態で前記表面(1)に対して内側に位置するとともに前記開状態でのみ視認できる前記ロック装置(10)の少なくとも一部の面(14)は、光輝性材料でコーティングされ
、
前記コーティング(20)は、硫化亜鉛化合物および/またはアルミン酸ストロンチウム化合物を含むことを特徴とする、ロック装置(10)。
【請求項2】
特に航空機用であり、表面(1)と面一に埋め込むことができ、フラップ(2)をロックするためのロック装置(10)であって、
前記ロック装置(10)を作動させるプレート(11)およびロック要素(12)を備え、
前記プレート(11)は、前記ロック装置(10)のロック状態では前記表面(1)と面一であり、開状態では前記表面(1)から突出し、
前記ロック状態で前記表面(1)に対して内側に位置するとともに前記開状態でのみ視認できる前記ロック装置(10)の少なくとも一部の面(14)は、光輝性材料でコーティングされ、
前記コーティング(20)は、-55°Cから60°Cの温度範囲および/または1°C/秒の温度勾配に合わせて設計されていることを特徴とする、ロック装置(10)。
【請求項3】
前記ロック装置(10)の外面(13’)は、光輝性のコーティングを有し、
この光輝性のコーティング(20)の自然色および/または明色は、前記ロック装置(10)の前記開状態でのみ視認できる前記面(14)の色とは異なることを特徴とする、請求項1
または2に記載のロック装置(10)。
【請求項4】
光輝性材料の前記コーティング(20)は、反射層(22)、光輝層(23)、および半透明の上層(24)を含む多層構造を有することを特徴とする、請求項1
から3のいずれか1項に記載のロック装置(10)。
【請求項5】
前記コーティング(20)は、フィルムとして具体化された少なくとも1つの層を有する多層のコーティング要素(20’)によって形成され、
前記面
(13’,14)に接着剤で接着されることを特徴とする、請求項
4に記載のロック装置(10)。
【請求項6】
前記コーティング要素(20’)は、接着層(21)を含むことを特徴とする、請求項5に記載のロック装置(10)。
【請求項7】
前記反射層(22)は75%を超える反射率を有し、および/または、前記光輝層(23)は重量比で15%~75%、好ましくは20%~45%もしくは40%~75%の光輝性顔料を有することを特徴とする、請求項
4から請求項6のいずれか1項に記載のロック装置(10)。
【請求項8】
前記コーティング(20)の厚さは、1mm未満であり、好ましくは0.75mm未満であり、さらに好ましくは0.15mmから0.5mmであることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のロック装置(10)。
【請求項9】
前記コーティング(20)の輝度は、DIN67510に従って10分間の照明後に、50mcd/m2であり、好ましくは100mcd/m2であり、および/または、100ルクスでの10分のチャージ後に輝度50mcd/m2であり、さらに好ましくは75ルクスでの10分のチャージ後に75mcd/m2であることを特徴とする、請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載のロック装置(10)。
【請求項10】
表面(1)と面一に埋め込むことができるロック装置(10)を改造する方法であって、
前記ロック装置(10)は、前記ロック装置(10)を作動させるプレート(11)およびロック要素(12)を備え、
前記プレート(11)は、前記ロック装置(10)のロック状態では前記表面(1)と面一であり、開状態では前記表面(1)から突出し、
前記ロック状態では前記表面(1)に対して内側に位置するとともに前記開状態でのみ視認できる前記ロック装置(10)の少なくとも一部の面(14)は、光輝性材料でコーティングされ
、
前記コーティングは、硫化亜鉛化合物および/またはアルミン酸ストロンチウム化合物を含むことを特徴とする、方法。
【請求項11】
表面(1)と面一に埋め込むことができるロック装置(10)を改造する方法であって、
前記ロック装置(10)は、前記ロック装置(10)を作動させるプレート(11)およびロック要素(12)を備え、
前記プレート(11)は、前記ロック装置(10)のロック状態では前記表面(1)と面一であり、開状態では前記表面(1)から突出し、
前記ロック状態では前記表面(1)に対して内側に位置するとともに前記開状態でのみ視認できる前記ロック装置(10)の少なくとも一部の面(14)は、光輝性材料でコーティングされ、
前記コーティング(20)は、-55°Cから60°Cの温度範囲および/または1°C/秒の温度勾配に合わせて設計されていることを特徴とする、方法。
【請求項12】
光輝性材料の前記コーティング(20)は、反射層(22)、光輝層(23)、および半透明の上層(24)を含む多層構造を有し、
前記コーティング(20)は、
前記ロック装置(10)の前記面(14)に前記
反射層(22
)、前記光輝層(23)、および前記上層(24)を順次塗布することによって適用されることを特徴とする、請求項
10または11に記載の方法。
【請求項13】
事前に形成された多層のコーティング要素(20’)は、
前記面(14)に前記コーティング(20)として接着剤で接着されることを特徴とする、請求項
10または11に記載の方法。
【請求項14】
改造された前記ロック装置(10)は、請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載のロック装置(10)である、請求項
10から請求項
13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に航空機用であり、表面と面一に埋め込むことができ、フラップなどをロックするためのロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の外面には多くの開口部があり、整備員が、整備、点検、または修理の目的でシステムにアクセスできるようになっている。まれにしか開ける必要のないアクセス箇所のメンテナンス用の開口部は、多くの場合、ねじカバーによって閉じられており、ねじカバーを開くためにはねじを完全に取り外さなければならない。比較的頻繁に開く必要のあるメンテナンス用の開口部は、ヒンジやピボット機構で取り付けられ、工具を使用せずに開閉できるロック装置を備えたフラップやドアが多く使用されている。
【0003】
米国特許第4531769号および米国特許第5620212号に示される種類の対応するロック装置は、プレートおよびロックフックを有し、これらは嵌合部で係合した後に以下のように接続される。即ち、プレートを動かすことによりロックフックを締め付け、確実なロックを実現する。一般に、そのようなロック装置は可動または枢動可能にフラップまたはドアに組み込まれる一方、必要な嵌合部品またはアバットメントは航空機の固定された外面にてロックフックを受けるように取り付けられる。この場合、ロック装置は、工具を使用せずに、即ちプレートを手動で上下することによって動作でき、それによって機構を介してその嵌合部にロックフックを係合させたり、その嵌合部から取り外したりする。
【発明の概要】
【0004】
ロック装置のロック状態では、プレートは一般に航空機の外面と面一であり、このようにして航空機の表面をできるだけ滑らかにし、空気力学的問題を引き起こさないようにする。ただし、開状態では、プレートは航空機の外面から特定の角度で突出するため、商用航空機に関連する建設規則(FAR25.783またはCS25.783など)を満たす必要があり、少なくとも完全にロックされていない一部のフラップまたはドアについて明確に視認できる表示が必要である。
【0005】
しかしながら、例えばメンテナンス措置を施した後、航空機が運転に入る前に、ロック装置が正しくロックされていないことが時折起こる。その結果、空気の流れによってフラップやドアが開いたり壊れたりする危険があり、航空機やその搭乗者だけでなく、地上の第三者を危険にさらすことにもつながるおそれがある。
【0006】
航空機の外面の色とは異ならせて、一般的には日光色の目立つ色でロック装置を塗装する既知の慣行がある。この方策の1つの欠点として、日光色が顕著な信号効果を達成するために、UVまたは近UV範囲の短波光を必要とする。例えば薄明や暗闇の中で航空機を準備するときなどのように、これらの照明条件は存在しないことが多い。ガス放電ランプなどによる単色のエプロン照明の場合も、日光色で塗装されたロック装置では特に目立たない。
【0007】
日光色を使用する場合のもう1つの欠点は、たとえば固定アンテナやドレインマストなどの航空機の外面塗装で、赤またはオレンジの色相がよく使用され、その結果、この色にある程度の慣れが生じ、もはや特に目立つものとして認識されないことである。
【0008】
ロック装置のロックが解除されたという認識を改善するための他の装置の欠点は、そのような装置の設置とメンテナンスのための技術的努力にあり、従ってコストと信頼性にもつながる。それと同様に、多くの場合、技術的または経済的な理由から改造が困難となり得る。
【0009】
本発明の根底にある目的は、認識性を高めたフラップをロックするためのロック装置を提供するとともに、既存のロック装置の認識性を高める方法を提供することである。
【0010】
この目的は、請求項1に記載されたロック装置および請求項12に記載された方法によって達成される。有利な発展は、従属請求項の主題を形成する。
【0011】
したがって、本発明は、特に航空機用であり、表面に面一に埋め込むことができ、フラップをロックすることを意図したロック装置に関し、当該ロック装置は、ロック装置を作動させるプレートおよびロック要素を備え、プレートは、ロック装置のロック状態では前記表面と面一であり、開状態では前記表面から突出し、ロック状態では前記表面に対して内側に位置するとともに開状態でのみ視認できる前記ロック装置の少なくとも一部の面は、光輝性材料でコーティングされている。
【0012】
本発明はさらに、表面と面一に埋め込むことができるロック装置を改造する方法に関し、前記ロック装置は、前記ロック装置(10)を作動させるプレート(11)およびロック要素(12)を備え、前記プレートは、ロック装置のロック状態では前記表面と面一であり、開状態では前記表面から突出し、ロック状態では前記表面に対して内側に位置するとともに開状態でのみ視認できる前記ロック装置の少なくとも一部の面は、光輝性材料でコーティングされている。
【0013】
本発明は、ロック装置の開状態で視認できる少なくともそれらの面に対する光輝性材料でのコーティングによって、特に夕暮れや夜間などの様々な環境条件下におけるロック装置の開状態の認識性を大幅に向上できるという洞察に基づいている。
【0014】
光輝性コーティングは、一般的に、黄色、青緑色、または赤色の自然色で、日光の下でも簡単に識別可能である。ここでは、自然色は、ロック装置の周囲の表面の色に対して得られるコントラストが可能な限り大きくなるように選択できる。例えば、赤または赤みがかった色以外の表面の場合には黄色の自然色の光輝性コーティングを選択できる一方、実質的に白色の表面の場合には赤色の自然色のコーティングを選択できる。
【0015】
薄明または暗闇の間、光輝性コーティングは、先に吸収した放射エネルギーを特定の明るい色の可視光として、実際上は残光として放出するため、同様に容易に視認できる。薄明では、まだ利用可能な環境光はコーティングの光輝性を活性化するのに十分であり得るが、その結果としてその発光色で輝き始めて容易に認識できるものとなる。本発明はそのような洞察に基づいている。また、特に暗闇に関しては、フラップを固定するために使用されるロック装置がメンテナンス目的でのみ開かれることがよくある。そのため、ロック装置が開かれて対応するフラップが開かれた後、普段フラップによって覆われている要素に対してメンテナンス作業が行われることから、原則として十分な照明が確保される。この照明は通常、光輝性コーティングをチャージするのに十分であるため、残光が可能になり、メンテナンス作業とそれに伴う照明の取り外しが完了した後でも簡単に認識できる。
【0016】
光輝性コーティングは、一般に、コーティングをチャージするために吸収した波長とは異なる波長の光の形で蓄積されたエネルギーを放出するため、光輝性材料を適切に選択すると、単色のエプロン照明によって、または、少なくとも可視光の全てのスペクトルを放出しないナトリウム蒸気ランプやLED照明などによって、コーティングを確実に活性化でき、エプロン照明の光とは異なり得る波長で光が放出されるため、このような条件下でも光輝性コーティングは容易に認識できる。
【0017】
周囲の表面と面一であり、閉状態で視認できるロック装置の外側にも、光輝性コーティングを施し得る。この場合、ロック装置は、閉状態であっても、様々な照明状況で容易に認識できる。この場合のロック装置の開状態の良好な認識性を確保するために、ロック装置の外側のコーティングが、開状態でのみ視認できる表面のコーティングとは異なる自然色および/または明るい色であることが好ましい。この色の違いにより、ロック装置が開いているか閉じているかをさらに容易に認識できる。
【0018】
光輝性コーティングは、反射層と、光輝層と、下層を損傷から保護するための半透明な、好ましくは透明な上層とを含む多層構造を有することが好ましい。
【0019】
コーティングは、この目的のために提供されるロック装置の面に個々の層を順次塗布することによって適用されてもよい。このようにして、最初に反射層を塗布し、次に光輝層を塗布し、最後に半透明の上層を塗布してもよい。このプロセスは、浸漬、ブラッシング、ローリング、注入、またはスプレーなどの従来の塗装方法に依拠してもよい。
【0020】
代替案として、コーティングを多層コーティング要素として事前に生成してもよく、その後にこの目的のために提供された面に接着剤で接着してもよい。この目的のために、コーティング要素の少なくとも1つの層は、フィルムとして具体化され、そのフィルムに他の層が例えば塗装方法によって、またはフィルムとして具体化される他の層への一体的な接続によって適用される。この種のコーティング要素の閉鎖要素への取り付けを容易にするために、コーティング要素は接着層を含んでもよい。これにより、コーティング要素をステッカーと同様の方法で閉鎖要素に固定できる。
【0021】
好ましくは、反射層は75%を超える反射率を有し、および/または、光輝層は重量比で15%~75%、好ましくは20%~45%もしくは40%~75%の光輝性顔料を有する。
【0022】
好ましくは、コーティングの厚さが1mm未満、好ましくは0.75mm未満であり、さらに好ましくは0.15mm~0.5mmである。これに対応する薄いコーティングの厚さの場合、上記コーティングは、この目的のためのロック装置を修正する必要なしに、既存のロック装置にしばしば適用され得る。
【0023】
本発明においてコーティングのために想定される光輝性は、例えば、硫化亜鉛化合物および/またはアルミン酸ストロンチウム化合物によって達成でき、これらは一般に250nmから500nmの波長範囲の放射線を吸収し、450nmから650nmの波長で発光することが多い。
【0024】
好ましくは、コーティング(または光輝層)において、光輝性に使用される化合物およびその重量比は、得られる輝度がDIN67150に従った10分の照明後に50mcd/m2、好ましくは100mcd/m2になるように選択されるべきである。特に好ましくは、100ルクスで10分間チャージした後にコーティングの輝度が50mcd/m2であり、さらに好ましくは75ルクスで10分間チャージした後にコーティングの輝度が75mcd/m2である。当業者は、許容内の労力でこれらの仕様に適合するコーティングを見つけることができる。
【0025】
好ましくは、コーティングが-55℃から60℃の温度範囲および/または1℃/秒の温度勾配で設計される。
【0026】
本発明に係る方法の説明のために、上記の説明を参照できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る取付状態のロック装置の第1の例示的な実施形態。
【
図4】
図2,3の光輝性コーティングの構成の第1の例示的な実施形態の断面図。
【
図5】
図2,3の光輝性コーティングの構成の第2の例示的な実施形態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、添付の図面を参照して、好ましい実施形態を使用して、本発明を例として説明する。
【0029】
図1は、航空機の外面1の一部を示しており、片側に取り付けられているため旋回可能であるフラップ2が外面1の一部を形成している。フラップ2は、ロック装置10によって図示の閉じた状態で選択的に保持され得る。
【0030】
本目的のために、ロック装置10は、フックとして設計されたロック要素12が配置されている枢動可能なプレート11を有している。プレート11は、外面1から突出する開状態(
図1に示す)から外面1と面一になるように枢動できる。この閉状態では、ロック要素12が外面1の固定部の嵌合部3と係合し、フラップ2を閉状態に固定している。ロック要素12は、プレート11の窓(
図2および
図3を参照)を介して閉状態でも外部からアクセス可能であり、必要なときにロック解除できる。この限りでは、このロック装置10は従来技術に対応する。
【0031】
図2では、
図1のロック装置10が2つの図に分けて示されている。
【0032】
ロック装置10の特にプレート11は、閉状態では外面1と面一である塗装面13を有する。塗装面13は、外面1の色または日光色に塗装できる。ロック要素10の他の面14(
図2でハッチングして示す)は、
図1に示すようにロック装置10が開状態では視認できるが、閉状態ではロック要素10の内側に位置するために視認できず、即ち塗装面13および外面1に隠れている。面14は、光輝性材料でコーティングされている。光輝性材料の自然色と発光色の両方は、外面1の色に対して、昼光と薄明または暗闇との両方で可能な限り大きなコントラストが得られるように選択され、光輝性材料は燐光する。
【0033】
図3は、
図2と同様に分けた図で
図1および
図2に示されるロック装置10の変形例を示す。
【0034】
図3に示す設計の変形例では、閉状態で外面1と面一であるプレート11の面13’は、同様に光輝性材料でコーティングされている。このとき、面13’の光輝性材料の自然色および発光色は、閉状態で内側に位置する面14の光輝性材料のものとは異なっている。
【0035】
ロック要素10に保持されているフラップ2はその後方に位置する航空機の構成要素に手が届くように、またはメンテナンス目的などのためにのみ開かれるので、ロック要素10は原則として暗闇の間に十分な人工照明の下でのみ開かれる。これは、一般に面14の光輝性材料をチャージするのに十分である。結果として、例えばメンテナンス作業が終了して人工照明を停止した後でも面14が燐光を発する。したがって、適切にロックされていないロック装置10は、暗闇の中であっても容易に認識できる。
【0036】
ガス放電ランプを使用したエプロン照明などの単色光の照明の場合、面14の光輝性材料は、および必要に応じて面13’の光輝性材料についても、単色照明とは異なる波長で光を放射できるため、ロック装置10のロック状態は容易に認識できる。
【0037】
面14の光輝性材料用に、および必要に応じて面13の光輝性材料用に選択された自然な色と、周囲の外面1の色とを対照的にしていることから、日光の下でのロック装置10のロック状態の認識性は、日光色でマークされた従来のロック装置と同等である。
【0038】
図4は、ロック装置10の面13’および/または14に光輝性材料を有するコーティング20の第1の可能な多層構造を示している。
図4に示されるコーティング20は、各面13’,14に対して個々の層22,23,24の連続塗布により形成される。
【0039】
面13’,14に最も近い最下層として、コーティング20は、75%を超える反射率を有するとともに10μmから100μmの層厚を有する反射層22を含んでいる。
【0040】
この反射層22上には、重量比で20%~45%の光輝性アルミン酸ストロンチウム化合物を含む光輝層23がある。アルミン酸ストロンチウム化合物は、DIN67510に従って10分間の照明後に100mcd/m2の輝度を有し、さらに-55℃から60℃の温度範囲および1℃/秒の温度勾配で損傷を受けないように選択されている。光輝層の厚さは、約100μmから400μmである。
【0041】
最後に、例えばポリウレタンまたはアクリレートに基づく塗料からなる透明な上層24が設けられ、それによって光輝層23は摩耗および他の損傷から保護される。この層24の透明性により、下層23の光輝性は損なわれない。上層24は、約5μmから50μmの厚さを有する。
【0042】
個々の層22,23,24は、例えば、浸漬、ブラッシング、ローリング、注入、またはスプレーなどの任意の従来の塗装方法によって適用でき、特に既に使用されているロック要素10への後付け的な適用も可能である。このようにして、本発明に従って既存のロック要素10を改造することが可能である。
【0043】
図5には、コーティング20の代替的な多層構造が示されている。この例示的な実施形態では、すべての層21~24を有するコーティング20は、単純な接着接合ステップによって面13’,14に塗布されるコーティング要素20’として構成されている。
【0044】
コーティング要素20’の最下層21は接着層21であり、これにより、コーティング要素20’を、ステッカーに類似の方法で、面13’,14に容易に貼り付けることができる。この場合、接着層21はフィルムとして構成されるため、コーティング要素20’全体をフィルムとして取り扱うことができる。
【0045】
反射層22、光輝層23および上層24は、
図4の設計変形例に類似の方法で、フィルムとして構成された接着層21に適用される。個々の層は、例えばスクリーン塗装によってフィルムの接着層21に適用できる。個々の層22,23,24の特性の説明については、
図4に関する上記の説明を参照してもよい。
【0046】
層21~24のすべてを含むコーティング要素20’の厚さは、300μm~800μmである。
図4に関連して説明したように、コーティング要素20’としてコーティング20を構成することにより、直接塗布できない周囲の条件下でもロック装置10をコーティングすることが可能になる。
【符号の説明】
【0047】
1 表面(外面)
2 フラップ 3 嵌合部
10 ロック装置 11 プレート 12 ロック要素 13,13’,14 面 20 コーティング 20’ コーティング要素
21 接着層
22 反射層
23 光輝層
24 上層