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7200258デュアルの5-HT2Aおよび5-HT6受容体アンタゴニストとしての新しいインドールおよびベンゾイミダゾール誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】デュアルの5-HT2Aおよび5-HT6受容体アンタゴニストとしての新しいインドールおよびベンゾイミダゾール誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/10 20060101AFI20221226BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221226BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20221226BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20221226BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221226BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20221226BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20221226BHJP
   C07D 235/10 20060101ALI20221226BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20221226BHJP
   C07D 405/06 20060101ALI20221226BHJP
   C07D 417/06 20060101ALI20221226BHJP
   C07D 409/06 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
C07D209/10
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/18
A61P25/24
A61P25/22
A61P25/20
C07D235/10 CSP
A61K31/496
C07D405/06
C07D417/06
C07D409/06
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020544234
(86)(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2019054171
(87)【国際公開番号】W WO2019162306
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】18461519.3
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520261714
【氏名又は名称】アダムド ファーマ エス.アー.
【氏名又は名称原語表記】ADAMED PHARMA S.A.
【住所又は居所原語表記】Mariana Adamkiewicza 6A,Pienkow,05-152 Czosnow,Poland
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】コラクズコースキー,マーシン
(72)【発明者】
【氏名】ブッキー,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ジャスキェフスカ,ヨアンナ
(72)【発明者】
【氏名】マルチンコフスカ, モニカ
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-509259(JP,A)
【文献】特表2009-501184(JP,A)
【文献】特表2012-508275(JP,A)
【文献】特表2014-518257(JP,A)
【文献】特表2015-525239(JP,A)
【文献】特表2010-515673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 209/10
A61P 25/28
A61P 25/16
A61P 25/18
A61P 25/24
A61P 25/22
A61P 25/20
C07D 235/10
A61K 31/496
C07D 405/06
C07D 417/06
C07D 409/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】

で表され、
式中:
Gは、CHまたはNであり;
は、H、C-C-アルキル、HO-C-C-アルキルまたはC-C-アルキル-O-C-C-アルキルであり;
は、以下からなる群から選択される:
- 非置換または少なくとも1の置換基で置換されたフェニル基、または
- 非置換または少なくとも1の置換基で置換された5または6員のヘテロアリール基、
ここで置換基は、F、Cl、Br、C-C-アルキル-、C-C-アルキル-O-、から選択される、
化合物、またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項2】
Gが、CHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Gが、Nである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、H、メチル、または2-ヒドロキシエチルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が、非置換または少なくとも1の置換基で置換されたフェニル基から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、非置換または少なくとも1の置換基で置換された5または6員のヘテロアリール基から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
5または6員のヘテロアリールが、フリル、チエニル、チアゾリル、またはピリジルから選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、以下からなる群から選択される:
- 非置換または少なくとも1の置換基で置換されたフェニル基、または
- 非置換または少なくとも1の置換基で置換された5または6員のヘテロアリール基、
ここで5または6員のヘテロアリールは、フリル、チエニル、チアゾリル、またはピリジルから選択され、
ここで置換基は、F、Cl、Br、C-C-アルキル-、C-C-アルキル-O-、から選択される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
置換基が、F、Cl、メチルまたはメトキシから選択される、請求項5~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
以下からなる群から選択される、請求項1に記載の式(I)で表される化合物:
1-ベンジル-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール
1-ベンジル-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール
2-{4-[1-ベンジル-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-4-イル]ピペラジン-1-イル}エタノール
1-(フラン-2-イルメチル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール
1-[(5-メチルフラン-2-イル)メチル]-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール
1-(3-クロロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール
1-(3-フルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール
1-(3,4-ジクロロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
1-(3-クロロ-4-フルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
1-(3,4-ジフルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
1-(3,5-ジクロロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
1-ベンジル-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(3,4-ジクロロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
4-(ピペラジン-1-イル)-1-(1,3-チアゾール-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(フラン-2-イルメチル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(3-メトキシベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(3-フルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(3-クロロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(フラン-2-イルメチル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(3,4-ジフルオロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(3-メトキシベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(3-フルオロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(3,4-ジフルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-ベンジル-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-(3-クロロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-[(5-メチルフラン-2-イル)メチル]-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
1-[(5-メチルチオフェン-2-イル)メチル]-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
4-(ピペラジン-1-イル)-1-(チオフェン-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
4-(ピペラジン-1-イル)-1-(チオフェン-3-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(チオフェン-3-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(チオフェン-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-[(5-メチル-1,3-チアゾール-2-イル)メチル]-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール。
【請求項11】
化合物が、
【化2】

であるか、またはその薬学的に許容し得る塩である、請求項1に記載の式(I)で表される化合物。
【請求項12】
化合物が、
【化3】

であるか、またはその薬学的に許容し得る塩である、請求項1に記載の式(I)で表される化合物。
【請求項13】
化合物が、
【化4】

であるか、またはその薬学的に許容し得る塩である、請求項1に記載の式(I)で表される化合物。
【請求項14】
化合物が、
【化5】

であるか、またはその薬学的に許容し得る塩である、請求項1に記載の式(I)で表される化合物。
【請求項15】
医薬としての使用のための、請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物またはその塩および少なくとも1の薬学的に許容し得る賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項17】
アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、認知症関連精神病、統合失調症、妄想症候群、および精神活性物質の摂取に関連する・関連しないその他の精神病的状態、うつ病、様々な病因の不安障害、様々な病因の睡眠障害の処置における使用のための、請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール類および4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール類に関する。本発明はまた、化合物を含む医薬組成物、ならびに医薬としての使用のためのこれらの化合物および医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
認知症は、行動および精神障害および日常の機能における困難性に関係する認知機能の進行性の悪化のセットである(HerschおよびFalzgraf, 2007)。認知症の症状が起こる程度まで脳を損傷させる要因の最も重要なカテゴリーは、神経組織の進行性変性につながる神経変性疾患である。ICD-10分類は、とりわけ、アルツハイマー型認知症(DAT)、ならびにピック病(前頭側頭)における認知症、ハンチントン病における認知症、パーキンソン病における認知症および極めて類似のレビー小体型認知症を区別する。認知症につながる脳損傷の理由は、クロイツフェルト・ヤコブ病(神経変性疾患にも同時に包含される)、HIV/AIDS感染または神経ボレリア症などの感染性疾患である可能性がある。神経変性および感染性疾患のほかに、認知症の症状はまた、いわゆる認知症の急性発症または血管性認知症(一連の脳卒中の後)を引き起こす可能性がある脳卒中などの血管疾患に関する可能性もある。高齢者では、認知症の最もよくある原因はアルツハイマー病である。認知症の世界的な有病率は、60歳を超える人口の約3.9%であると概算され(Ferri et al., 2005)、このことは、世界中に目下約3560万人の異なる形態の認知症の人々がいることを意味する。平均寿命の増加が予期されることに照らすと、この数字は2030年には2倍になり、2050年には3倍になる。したがって、認知症は、極めて重大な、増大している医学的および社会的な問題である。
【0003】
体軸認知障害(axial cognitive disorders)に加えて、認知症を持った患者の60%までは、いわゆる認知症の行動・心理症状(BPSD)をもまた経験する。それらの中からは以下のものが区別できる:精神病性障害(妄想および幻覚)、うつ病、無気力、性的脱抑制、苛立ち、口頭および物理的な攻撃性、精神運動性激越および不安(Carson et al., 2006;Jeste et al., 2008)。例えば、認知症を持った患者の40~60%は、疾患のいくらかの段階でかなりのうつ病性障害を経験し(Hersch and Falzgraf, 2007)、一方で、妄想の場合は精神病症状の有病率は患者の63%に達する可能性があり、幻覚の場合は41%である(Jeste et al., 2008)。BPSDは、疾患のあらゆる段階において起こり得、幾つかの症状は軽度の認知症でよりよくあるものであり(うつ病、無気力、不安、苛立ち)、一方、他のものは認知症の進んだ段階でよりよくある(妄想、幻覚、脱抑制)(HerschおよびFalzgraf, 2007)。まさにBPSDが認知症を持った患者および彼らの介護者の双方にとって大きな負担であり、および基礎的な認知機能障害よりもさらにより急性的に経験され得ることは、幾度も実証されてきている。BPSDの発生はまた、病気の進行の予後不良、より急速な認知機能の喪失および日常生活の特定の機能障害にも関係している。認知症に随伴する、精神病、興奮、攻撃性、およびうつ病は、患者の収容の主要な予測因子であり、臨床的および社会的視点からのBPSDの処置における主な目標である(Amano et al., 2009;Gauthier et al., 2010;HerschおよびFalzgraf, 2007)。
【0004】
1990年代半ばまで、BPSDの処置における選択薬は、とりわけ妄想および幻覚の場合には、第1世代抗精神病薬(すなわち、定型神経遮断薬)であった。このクラスの薬の主な代表であるハロペリドールは、全体として興奮または行動症状に影響を及ぼさず、それは攻撃性を低減させる、ということが実証された。時を同じくして、臨床試験のメタ分析は、第1世代抗精神病薬間でのBPSDへの効能における違いの欠如を実証した(Sink et al., 2005)。続く年には、BPSD処置において、定型神経遮断薬は、第1世代薬物と比較してより低い錐体外路障害誘発(錐体外路症状-EPS)の傾向とより高い効率とによって特徴づけられる抗精神病第2世代薬物(すなわち非定型神経遮断薬)(Liperoti et al., 2008)に、部分的に取って代わられた(De Deyn et al., 2005)。しかしながら、BPSD処置において目下使用されている薬物の有効性および安全性は満足ではない(Nobili et al., 2009)。Cochrane(Cochrane Library)の活動内で行われた、BPSDの処置における第2世代抗精神病薬投与での16の臨床試験のレビューは、リスペリドンおよびオランザピンが攻撃性の処置に効果的であり、およびリスペリドンはまた認知症に関係する精神病の処置においてもプラセボよりも効果的であったということを解明した(BallardおよびWaite, 2006)。しかしながら、両方の薬物は、錐体外路障害および心血管事象の特徴という有意な副作用を引き起こした。その一方で、アリピプラゾールは、アルツハイマー病関連精神病を持った患者における妄想および幻覚の処置においてプラセボに対する優位性を示さなかった(De Deyn et al., 2005)。BPSDの処置における抗精神病薬の使用は、既に存在する認知機能障害をこれらの薬物が増悪させるという事実によって加えて複雑になり、これは認知症を有する患者において特に不利である(Fasano et al., 2012;Jeste et al., 2008;Vigen et al., 2011)。
【0005】
これらの事実に照らして、2005年以来、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、第2世代抗精神病薬のリーフレットに特別な警告を載せることを要求している。これらの警告(いわゆる「枠付きの警告」)は、認知症を持った患者における非定型神経遮断薬の使用の場合における重大な副作用の発生および増加する死のリスクに関係する(アメリカ食品医薬品局、2005)。2008年以来、類似の警告の要件は第1世代抗精神病薬にもまた適用されている(アメリカ食品医薬品局、2008)。
【0006】
これにもかかわらず、抗精神病薬は、BPSDを持った患者においていまだに広く使用されており(Schneider et al., 2006;Schulze et al., 2013b)、それは主に、それよりも好都合な代替物がないからである(Schulze et al., 2013a)。目下、認知症に関係する精神病の処置のために承認された薬物はなく、ならびに、特別に高齢者の治療ニーズに見合うようにデザインされた抗うつ薬、抗不安薬、抗攻撃性薬もない。
【0007】
認知症における精神病は、統合失調症におけるそれとは異なる神経生物学的基質を有し得る。実際に、精神病的なアルツハイマー患者はしばしば視覚的な幻覚および介護者の人物誤認を経験し、これは統合失調症患者にはあまりない症状である。反対に、統合失調症患者に頻繁に起こる奇異なまたは複雑な妄想は、認知症患者ではあまり観察されない(Jeste and Finkel, 2000)。認知症における精神病症状のはっきりとした性質は、異なる神経伝達物質系が働いているということを示唆する。特に、認知症における幻覚はメスカリンやリゼルグ酸などのセロトニンアゴニストによって引き起こされるそれらと類似しているため、セロトニン作動系が関与し得る(Marsh, 1979)。強い視覚的な幻覚は、ケタミンまたはフェンサイクリジンなどのNMDA受容体アンタゴニストによってもまた惹起される可能性があるが(Siegel, 1978)、統合失調症のための新薬の前臨床スクリーニングにおいて広く使用されるアンフェタミンやコカインなどのドーパミン模倣薬ではそれよりも低頻度で惹起される(Jones et al., 2011)。
【0008】
BPSDの発症におけるセロトニン系の重要性を支持する実質的なデータがある。例えば、セロトニン受容体遺伝子多型は、アルツハイマー病(AD)を持った患者における視覚的および聴覚的な幻覚に関係する(Holmes et al., 1998)。セロトニントランスポータープロモーター領域の遺伝子多型(L/L遺伝子型)は、攻撃的行動と関係づけられている(Sukonick et al., 2001)。他の研究は、ADの発病原因における5HT2Aおよび5HT6受容体の関与(Lorke et al., 2006)ならびにADを持った患者の精神病症状との5-HT受容体の関係(Marcos et al., 2008)を示す。
【0009】
LSD(D-リゼルグ酸ジエチルアミド)またはDOI(2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン)などの精神異常発現物質によって引き起こされる、主に視覚的な、幻覚は、大脳皮質における5-HT2A受容体の活性化と関係しているということが観察されている(Nichols, 2004)。それらの臨床的な幻覚の、認知症患者において観察されるそれらとの類似性を考慮に入れて、セロトニン作動性調節不全を包含する共通の薬理学的メカニズムの関与が示唆されている。抗精神病活性における5-HT2Aセロトニン受容体の遮断の関与は、大脳皮質中のグルタミン酸作動性伝達の円滑化に関係している、精神病のグルタミン酸作動性モデルにおける5-HT2A受容体アンタゴニストの活性により、さらに確認された(Varty et al., 1999)。上と一貫しているのは、5-HT2A受容体の選択的逆アゴニストであるピマバンセリンが、パーキンソン病の精神病の処置のために2016年に承認されている最初の抗精神病薬であるという事実である。重要な注意すべきこととして、しかしながら、ピマバンセリンはhERGチャネルに対する有意な親和性を有し(約210nM)、これはECGに変化を引き起こし得、潜在的に生命を脅かす不整脈につながるものである。そのうえ、ピマバンセリンは、5-HT受容体に対して親和性を有しない。
【0010】
証拠の収束線は、セロトニン5 HT6受容体(5 HT6Rs)の遮断が以下のことに関係があり得るということを暗示する:(i)コリン作動性伝達の円滑化に起因する認知促進効果(LiuおよびRobichaud, 2009;Riemer et al., 2003)、(ii)ノルアドレナリン作動性およびドーパミン作動性トーンの増加に起因する抗うつ活性、ならびに(iii)GABA作動性伝達との相互作用に媒介される抗不安効果(Wesolowska, 2010;WesolowskaおよびNikiforuk, 2007)。それらの知見は、5-HT受容体の、中枢神経系(CNS)中、とりわけ、気分および認知の制御に関与する辺縁および皮質の脳領域中における、排他的な局在化によってさらに支持される(Woolley et al., 2004)。
【0011】
5-HT受容体遮断のコリン様成分は、その認知促進活性のための有意性に加えてまた、潜在的に有益な抗精神病効果の観点からも有意であるようにも見受けられる。実際に、ムスカリン受容体アンタゴニストが抗精神病薬特性を有するということが示されている(Maehara et al., 2008)。よって、5-HT受容体の選択的遮断は単独では抗精神病活性を誘発しないものの、それはその増強に寄与し得る。上のことに沿って、最近の研究は、5-HT2Aおよび5-HT受容体拮抗の組み合わせが、それらの受容体の各々の選択的アンタゴニストの独立した使用よりも強い抗精神病効果を作り出し得るということを示した(Fijal et al., 2014)。
【0012】
デュアルの5-HT2Aおよび5-HT受容体アンタゴニストの、認知症を持った患者における増加した治療効能は、グルタミン酸作動性およびコリン作動性伝達の相乗的調節の結果もたらされる増強された抗精神病活性に起因するのみならず、5-HT受容体遮断に媒介される認知促進活性、主にコリン様の性質のもの、にもまた起因し得る。これらの特性は決定的であり、それは、認知症における精神病の存在が認知機能障害と密接不可分にリンクしているからである(Murray et al., 2014)。
【0013】
したがって、1つの分子において抗精神病および認知促進活性の両方を結び合わせる、5-HT2Aおよび5-HT受容体のデュアルアンタゴニストは、認知症関連精神病におけるもっとも重要な治療の課題に対処するものである。
【0014】
国際出願WO2007/006677は、選択的5-HTアンタゴニスト、選択的5-HT2Aアンタゴニスト、またはその両方として一定のベンゾイミダゾロンおよびヒドロインドロン誘導体を開示している。この記載は、いずれの化合物が5-HT2Aおよび5-HT受容体のデュアルアンタゴニストであるか正確に特定していないが、しかしながら、意見書に対する彼の応答において、出願人は両方の受容体のための4つの化合物についての活性を開示した。それでも、開示された4-ピペラジンを置換されたベンゾイミダゾロン誘導体を有する全ての化合物は、水素結合供与体として非置換のピペラジン窒素を有する。さらにまた、2位におけるカルボニル基の存在は、かかる化合物の代謝的および化学的安定性に悪影響を及ぼし、およびベンゾイミダゾール化合物の場合には、一定のpH範囲における追加のイオン化のためおよび追加の水素結合供与体部位の形成のため不都合な、ラクタム-ラクチム互変異性体形成のおそれがある。これらすべては、生体膜を通じた浸透にマイナスの影響を及ぼし、およびしたがって、胃腸管からの吸収および血液脳関門の浸透を妨げる。
【0015】
国際出願WO2008/055808は、選択的5-HTアンタゴニスト、選択的5-HT2Aアンタゴニスト、またはその両方として一定の化合物を開示している。この国際出願に開示された化合物は、任意に置換されたアミド基を2位に有する。化合物は、アミド基のカルボン酸塩への加水分解に起因する低い代謝的および化学的安定性を有する。さらにまた、アミド基の存在は、デュアルの親和性を持った、すなわち、5-HTに対してのみならず5-HT2Aに対してもそうである化合物を得ることを可能としない。
国際出願WO2010/056644およびWO2013/001499は、2位にアルキル基での置換を有するかまたは全く置換のない、すなわち、2位に水素原子がある、化合物を開示している。ここでも同じく、デュアルの親和性を持った、すなわち、5-HTに対してのみならず5-HT2Aに対してもそうである化合物を得ることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
今のところ、5-HT2Aおよび5-HT受容体への拮抗によって作用し、1つの分子において抗精神病および認知促進活性を結び合わせ、かつ、他方では例えばバイオアベイラビリティおよび血液脳関門の浸透の容易性について好都合な特性を有する、潜在的薬物となる化合物は同定されていない。
よって、当該技術分野においてかかる化合物についての必要性はいまだにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明は、in vitroおよびin vivoの両方において好都合な特性を有し、およびしたがって、臨床試験における有望な候補となる、5-HT2Aおよび5-HT受容体のデュアルアンタゴニストとしての4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドールまたは4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾールのコアを持った新しい化合物を提供する。
【0018】
第1の側面において、本発明は、一般式(I):
【化1】
で表される化合物に関し、式中:
Gは、CHまたはNであり;
は、H、C-C-アルキル、HO-C-C-アルキルまたはC-C-アルキル-O-C-C-アルキルであり;
は、以下からなる群から選択される:
- 非置換または少なくとも1の置換基で置換されたフェニル基、または
- 非置換または少なくとも1の置換基で置換された5または6員のヘテロアリール基、
ここで置換基は、F、Cl、Br、C-C-アルキル-、C-C-アルキル-O-から選択される、
第1の態様では、式(I)で表される化合物において、GはCHである。
代替の態様では、式(I)で表される化合物において、GはNである。
好ましくは、式(I)で表される化合物において、Rは、H、メチル、または2-ヒドロキシエチルである。
【0019】
式(I)で表される化合物の好ましい1つの態様において、Rは、非置換または少なくとも1の置換基で置換されたフェニル基から選択される。
式(I)で表される化合物の好ましい別の態様において、Rは、非置換または少なくとも1の置換基で置換された5または6員のヘテロアリール基から選択される。この好ましい態様において、好ましくは、5または6員のヘテロアリールは、フリル、チエニル、チアゾリル、またはピリジルから選択される。
【0020】
もう1つの、最も好ましい態様において、Rは、以下からなる群から選択される:
- 非置換または少なくとも1の置換基で置換されたフェニル基、または
- 非置換または少なくとも1の置換基で置換された5または6員のヘテロアリール基、
ここで5または6員のヘテロアリールは、フリル、チエニル、チアゾリル、またはピリジルから選択される、
ここで置換基は、F、Cl、Br、C-C-アルキル-、C-C-アルキル-O-、から選択される、
全ての態様において、Rが置換された基であるときには、それは1または2の置換基で置換されている。より好ましくは、それは1の置換基で置換されている。
好ましくは、R基の定義中において、置換基は、F、Cl、メチルまたはメトキシから選択される。
代替的に、R基が非置換であるときも、それはまた好ましい。
【0021】
以下の具体的な本発明の式(I)で表される化合物を挙げることができる:
1-ベンジル-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール、
1-ベンジル-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール、
2-{4-[1-ベンジル-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-4-イル]ピペラジン-1-イル}エタノール、
1-(フラン-2-イルメチル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール、
1-[(5-メチルフラン-2-イル)メチル]-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール、
1-(3-クロロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール、
1-(3-フルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール、
1-(3,4-ジクロロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、
1-(3-クロロ-4-フルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、
1-(3,4-ジフルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、
1-(3,5-ジクロロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、
1-ベンジル-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(3,4-ジクロロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
4-(ピペラジン-1-イル)-1-(1,3-チアゾール-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(フラン-2-イルメチル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(3-メトキシベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(3-フルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(3-クロロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(フラン-2-イルメチル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(3,4-ジフルオロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(3-メトキシベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(3-フルオロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(3,4-ジフルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-ベンジル-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-(3-クロロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-[(5-メチルフラン-2-イル)メチル]-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
1-[(5-メチルチオフェン-2-イル)メチル]-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
4-(ピペラジン-1-イル)-1-(チオフェン-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
4-(ピペラジン-1-イル)-1-(チオフェン-3-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(チオフェン-3-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(チオフェン-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール、
4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-[(5-メチル-1,3-チアゾール-2-イル)メチル]-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール。
【0022】
1つのとりわけ好ましい態様において、GはNであり、Rは非置換のフェニル基であり、およびRはHであり、および、化合物は、
【化2】

である。
【0023】
1つの別のとりわけ好ましい態様において、GはCHであり、Rは非置換の2-フリル基であり、およびRはHであり、および、化合物は、
【化3】

である。
【0024】
1つの別のとりわけ好ましい態様において、GはCHであり、Rは非置換の2-フリル基であり、およびRは-CHであり、および、化合物は、
【化4】

である。
【0025】
および、1つの別のとりわけ好ましい態様において、GはCHであり、Rは5-メチル-2-フリル基であり、およびRはHであり、および、化合物は、
【化5】

である。
【0026】
本発明の化合物の作用のメカニズムは、5-HT2Aおよび5-HTセロトニン受容体の両方の選択的遮断に基づいており、精神病および認知障害の発病機序および薬物療法におけるその役割は、前臨床及び臨床研究の両方において十分に確認されている。
【0027】
したがって、本発明の化合物は、セロトニン系とりわけ5-HT2Aおよび5-HT受容体への拮抗の制御に敏感である以下のものなどの状態の処置および/または予防のための医薬として医療において有用であり得る:様々なタイプの認知障害、例として、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、認知症関連精神病、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、妄想症候群、および精神活性物質の摂取に関連する・関連しないその他の精神病的状態、情動障害、双極性障害、躁病、うつ病、様々な病因の不安障害、ストレス反応、意識障害、昏睡、アルコール性せん妄および様々な病因のもの、攻撃性、精神運動性激越、および他の行為障害、様々な病因の睡眠障害、様々な病因の離脱症候群、依存症、様々な病因の疼痛症候群、精神活性物質での中毒、様々な病因の脳循環障害、様々な病因の心身症、転換性障害、解離性障害、排尿障害、自閉症および他の発達障害、例として、夜間頻尿、吃音、チック、精神病理学的症状、および他の中枢および末梢神経系の疾患の過程における神経障害が理解されている。
【0028】
よって、第2の側面において、本発明は、医薬としての使用のための本発明の化合物に関する。
好ましくは、本発明の化合物は、様々なタイプの認知障害、とりわけ、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、認知症関連精神病、統合失調症、妄想症候群、および精神活性物質の摂取に関連する・関連しないその他の精神病的状態、うつ病、様々な病因の不安障害、様々な病因の睡眠障害の、処置において使用することができるものである。
【0029】
中枢神経系障害の処置において、式(I)で表される化合物は、それを含有する医薬組成物または製剤の形態で投与され得る。
したがって、第3の側面において、本発明は、式(I)で表される化合物またはその塩および少なくとも1の薬学的に許容し得る賦形剤を含む、医薬組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な記載
本発明において使用される用語は、以下の意味を有する。下で定義されない他の用語は、当業者に理解されるとおりの意味を有する。
【0031】
用語「C~C-アルキル」は、1~4個の炭素原子を有する、飽和の、直鎖または分枝鎖の炭化水素である。C~C-アルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチルである。より好ましくは、C~C-アルキルは、C~C-アルキル、C~C-アルキル、またはC-アルキルである。C~C-アルキル、C~C-アルキルという表記法は、それぞれ、1から3または2個の炭素原子を有する、飽和の、直鎖または分枝鎖の炭化水素を意味する。最も好ましくは、C~C-アルキルは、メチル基(CHと略される)かまたはエチル基であるC~C-アルキルである。
【0032】
用語「5または6員のヘテロアリール基」は、窒素、硫黄および酸素原子から選択される1~4個のヘテロ原子を有する単環式芳香環基であり、および、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジニル基およびピラジニル基を包含する。好ましくは、5または6員のヘテロアリール基は、フリル基、チエニル基、トリアゾリル基、またはピリジル基から選択される。
【0033】
本発明の化合物は塩基性であるので、それらは好適な酸付加塩を形成することができる。
薬学的に許容し得る酸付加塩は、遊離塩基の生物学的有効性を保ち、かつ、生物学的に望ましくないものではない、それらの塩を指す。酸付加塩は、無機(鉱)酸または有機酸とともに形成され得る。酸の例として、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸、炭酸、コハク酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、安息香酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸などのナフタレンスルホン酸、パモ酸、キシナホ酸、ヘキサン酸が挙げられ得る。
【0034】
式(I)で表される化合物は、以下の方法を使用して得られる。
GがNであるときの、式(I)で表される化合物、すなわち、4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾールのコアに基づく化合物は、以下の反応スキーム1に従って得ることができる。
【0035】
【化6】
【0036】
始めに、2,6-ジフルオロニトロベンゼンA-1を、塩基(典型的にはKCO)の存在下で、ピペラジン誘導体(R=Me、BOC)で処理した。その結果得られた生産物A-2を、続けて塩基(典型的にはKCO)の存在下で、ベンジルアミン(R=アリール、ヘテロアリール)と反応させて、化合物A-3を提供した。その次に、上昇した温度での亜ジチオン酸ナトリウムかまたは金属鉄のいずれかでの、A-3中のニトロ基の還元により、ビスアニリンA-4を調製した。最終的に、ビスアニリンA-4のTFAとの反応および後続するHCl塩形成は、期待されたベンゾイミダゾール類A-5を生じた。
【0037】
【化7】
【0038】
反応スキーム2は、ピペラジン誘導体A-2Cを得るために1-(3-フルオロ-2-ニトロフェニル)ピペラジンA-6をKCOの存在下で酢酸2-ブロモエチルと反応させたときの代表例を図解する。
【0039】
【化8】
【0040】
反応スキーム3は、R=2-フリルまたは5-メチル-2-フリルであるときの例を図解する。この場合においては、ビスアニリンA-4をTFAAと反応させたことで、化合物A-7とA-8との混合物を生じた。化合物A-7を、AcOHを使用してA-8に定量的に変換し、かかる得られた化合物A-8をHClの36%溶液で処理し、これに続いて塩基性化させて、G=Nである式(I)で表される化合物である所望のベンゾイミダゾール類A-5がその結果得られた。
【0041】
代替的に、GがCHであるときの、式(I)で表される化合物、すなわち、4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾールのコアに基づく化合物は、以下の反応スキーム4に従って得ることができる。
【0042】
【化9】
【0043】
始めに、3-ブロモ-2-メチルアニリンB-1を無水トリフルオロ酢酸で処理することで、アミドB-2をもたらした。その結果得られた生産物B-2を、続けて過酸化ベンゾイルおよび光の存在下で臭素と反応させて化合物B-3を提供した。その次に、臭化ベンジルB-4を、ホスホニウム誘導体に変換し、および、熱いDMF中で環化させたことでインドールB-4をもたらした。インドール窒素上のベンジル基での保護、これに続いてピペラジン誘導体(R=Me、BOC)とカップリング反応をさせると、化合物B-6を生じた。酸素およびカリウムtert-ブトキシドの存在下でのベンジル脱保護は、ビルディングブロックB-7をもたらした。最終的に、インドールB-7の臭化ベンジルとの反応(R=アリール、ヘテロアリール)、およびいくつかの場合においては後続するHCl塩形成が、G=CHである式(I)で表される化合物である最終的なトリフルオロインドール類B-9をもたらした。任意に、トリフルオロインドール類B-9のHCl塩は塩基化されることができ、および他の薬学的に許容し得る塩に変換されるかまたは遊離塩基として使用されることができる。
【0044】
【化10】
【0045】
反応スキーム6は、光延反応条件を使用した、化合物B-9への代替的なアプローチを図解する。インドールB-7を、トリフェニルホスフィンおよびジイソプロピルアゾジカルボン酸の存在下で、適したベンジルアルコールと反応させた。反応の生産物B-8を、選ばれた溶媒中のTFAまたはHClで処理し、これに続いて塩基化させたことで、遊離塩基として化合物B-9を作り出した。
【0046】
酸付加塩は、遊離塩基の形態での式(I)で表される化合物を、式(I)で表される化合物と実質的に等モルの量の好適な無機または有機酸と、任意には、通常例えば結晶化および濾過により単離される塩を形成するための有機溶媒などの好適な溶媒中で、反応させることにより、単純な方式で調製され得る。
【0047】
例えば、式(I)で表される化合物の遊離塩基は、化合物の溶液を、例えば、メタノール中で、化学量論量の塩酸またはメタノール、エタノール、ジエチルエーテルもしくは他の好適な溶媒中の塩化水素で処理し、これに続いて溶媒を蒸発させることによって、対応する塩酸塩へと変換することができる。
【0048】
代替的に、塩酸塩は、化合物B-8の化合物B-9への変換で例証されたとおり、メタノール、エタノール、ジエチルエーテルまたは他の好適な溶媒を使用しこれに続いて溶媒を蒸発させる、ピペリジン窒素上のN-t-ブトキシカルボニル基の脱保護の間に得られる。
【0049】
上で挙げられた疾患の処置において、式(I)で表される化合物は化学化合物として投与されることができるが、典型的には、それらは上で定義されたとおりの式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩を活性成分として、薬学的に許容し得る担体および/または賦形剤との組み合わせで含む、医薬組成物の形態で使用される。
【0050】
上で挙げられた疾患の処置において、本発明の式(I)で表される化合物または医薬組成物は、あらゆる経路によって、好ましくは経口的にまたは非経口的に、投与されることができ、および、意図した投与の経路に依存して医療での使用を意図した製剤の形態を有する。
【0051】
固形製剤は、例えば、結合剤(例として、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例として、乳糖、ショ糖、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例として、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例として、クロスポビドン、バレイショデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);湿潤剤(例として、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容し得る賦形剤を用いた慣用的な手段により調製される錠剤またはカプセルの形態を取ることができる。錠剤は、当該技術分野において周知である方法に従って、慣用のコーティング、遅延/制御放出のためのコーティングまたは腸溶コーティングで被覆され得る。
【0052】
経口投与のための液体製剤は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液の形態を取り得るか、または、使用前の水または他の好適なビヒクルとの再構成のための乾生産物として提示され得る。かかる液体製剤は、懸濁化剤(例として、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用油脂);乳化剤(例として、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例として、油、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分画された植物油);および防腐剤(例として、p-ヒドロキシ安息香酸メチルまたはヒドロキシ安息香酸プロピルまたはソルビン酸)などの薬学的に許容し得る賦形剤を用いた慣用の手段により調製され得る。製剤はまた、好適な緩衝剤、香味剤、着色剤、および甘味料をも含んでもよい。
【0053】
経口投与のための製剤は、活性化合物の制御放出を得るための、当業者に公知の方法により好適に製剤化され得る。
非経口投与は、筋肉内および静脈内注射または点滴による投与を包含する。非経口投与のための製剤は、単位投薬形態、例えば、アンプル中または多数回投薬容器中のものであって、防腐剤を加えたものであってもよい。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルションの形態を取ってもよく、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含有してもよい。
代替的に、式(I)で表される化合物は、好適なビヒクルを用いた、例として、滅菌発熱性物質除去蒸留水を用いた再構成のための、粉末形態とすることができる。
【0054】
本発明の化合物を使用した処置の方法には、本発明の化合物の治療有効量の、好ましくは医薬組成物の形態での、かかる処置を必要とする対象への投与が関与する。
【0055】
本発明の化合物の提案される用量は、単一のおよび分割された用量で、1日あたり約0.1~1000mgである。当業者は、所望の生物学的効果を達成するのに要する用量の選択はいくつもの要因、例えば具体的な化合物、使用、投与の様式、患者の年齢および状態に依存し、および正確な投薬量は結局のところ主治医の裁量で決定される、ということを当然に理解する。
【0056】

略語
AcOEt 酢酸エチル
AcOH 酢酸
ACN アセトニトリル
br s ブロードなシングレット
CHCl クロロホルム
d ダブレット
dd ダブレットのダブレット
ddd ダブレットのダブレットのダブレット
dq カルテットのダブレット
DCM ジクロロメタン
EtO ジエチルエーテル
DIPEA N,N’-ジイソプロピル-N”-エチルアミン
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOH エタノール
eq 当量
ESI エレクトロスプレーイオン化
h 時間(単数形または複数形)
HCl 塩化水素
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LiOH 水酸化リチウム
L リットル(単数形または複数形)
m マルチプレット
MeOH メタノール
MgSO 硫酸マグネシウム
mL ミリリットル(単数形または複数形)
NaHCO 重炭酸ナトリウム
Na 亜ジチオン酸ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
NaSO 硫酸ナトリウム
NMR 核磁気共鳴
CO 炭酸カリウム
i-PrOH 2-プロパノール、イソ-プロパノール
q カルテット
RP-HPLC 逆相高速液体クロマトグラフィー
s シングレット
sep セプテット
SQD MS シングル四重極検出器質量分析計
t トリプレット
TFA トリフルオロ酢酸
TFAA 無水トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
UPLCMS 超高速液体クロマトグラフィー質量分析
【0057】
TLCを、アルミニウム箔上のシリカゲル60 F254(Sigma-Aldrich, Merck)を用いて、適当な溶媒系を使用して行った。可視化は、一般的にUV光(254nm)によってなされた。
【0058】
UPLC-MS法:
方法A:
UPLCMS分析を、PDA検出器およびSQD MS検出器を備えたUPLC液体クロマトグラフ上で、C18カラム、2.1mm×100mm、1.7μm(AQUITY UPLC BEHまたは均等物)を使用してESI(+)またはESI(-)下で動作させて行った。HPLCまたはLC/MSグレードのメタノール、HPLCグレードの水、HPLCまたはLC/MSグレードのギ酸、p.a.グレードのアンモニアの25%溶液、およびそれらの混合物を、移動相として使用した。動作条件は以下とした:移動相流0.45mL/分、波長210~400nm、注入体積1μL、カラム温度60℃、オートサンプラー温度5℃。
【0059】
分析を、3.3分+「次の注入の遅延」のための0.5分で実施した。線形過程を伴う勾配溶出:
【表1】
【0060】
分析を、5.5分+「次の注入の遅延」のための1.5分で実施した。線形過程を伴う勾配溶出:
【表2】
【0061】
溶液を以下のとおり調製した:
移動相A1の調製 - 塩基性勾配: 25μLのギ酸および250μLの25%アンモニア溶液を250mLの水へ加えた。10分間超音波浴を使用した脱気。
移動相A2の調製 - 酸性勾配: 50μLのギ酸を250mLの水へ加えた。10分間超音波浴を使用した脱気。
移動相B: メタノール超勾配。
【0062】
方法B:
UPLC-MSまたはUPLC-MS/MS分析を、Waters TQD質量分析計(タンデム四重極を伴うエレクトロスプレーイオン化モードESI)とカップリングされたWaters ACQUITY UPLC(Waters Corporation, Milford, MA, USA)を含むUPLC-MS/MSシステム上で実行した。クロマトグラフィー分離を、Acquity UPLC BEH(エチレン架橋型ハイブリッド)C18カラム:2.1mm×100mmおよび1.7μm粒径を使用して実施した。カラムを40℃で維持し、および10分間にわたって95%から0%への溶離液Aを使用した勾配条件下で、0.3mL/分の流速で溶出させた。溶離液A、水/ギ酸(0.1%、 v/v);溶離液B、アセトニトリル/ギ酸(0.1%、 v/v)。各試料の合計10μLを注入し、およびWaters eλPDA検出器を使用してクロマトグラムを記録した。スペクトルを、200~700nmの範囲で、1.2nmの分解能で、20ポイント/秒のサンプリングレートで分析した。Waters TQD質量分析計のMS検出設定は以下のとおりであった:ソース温度150℃、脱溶媒温度350℃、脱溶媒ガス流速600L/h、コーンガス流速100L/h、キャピラリー電位3.00kV、およびコーン電位20V。窒素ガスを、噴霧および乾燥の両方のために使用した。データは、50~1000m/zの範囲にわたるスキャンモードにおいて0.5s間隔で得られ;最終的なスペクトルを得るために8回のスキャンをまとめた。衝突誘起解離(CAD)分析を20eVのエネルギーで実施し、および全てのすべてのフラグメンテーションがソースで観察された。結果的に、50~500m/zの範囲でイオンスペクトルが得られた。MassLynx V 4.1ソフトウエア(Waters)を、データ取得のために使用した。分析グレードのアセトニトリル/水(1/1、 v/v)を含む混合物中で、各化合物の標準溶液(1mg/mL)を調製した。
【0063】
合成手順
A.ベンゾイミダゾールコアに基づく化合物:
化合物A-2A: 4-(3-フルオロ-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化11】
【0064】
メカニカルスターラーを備えた1Lフラスコへ2,6-ジフルオロニトロベンゼン(16.5g、104mmol)を加え、およびフラスコをDMSO(170mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(31.6g、229mmol)およびN-BOC-ピペラジン(21.2g、114mmol)を加えた。反応混合物を40℃へと加熱し、およびこの温度で2.5hの間攪拌した。反応物を水(400mL)中へと注ぎ、およびDCM(500mL)で希釈した。相を分離させ、および有機相を水(2×150mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および溶媒を真空で除去した。固体残渣を(120mL)中に溶解させ、次いで、水(15mL)を滴下で加え、および、混合物全体を5℃へと冷却し、およびこの温度で2hの間保管した。この後、固体の生産物A-2A(21.9g)を濾過し、および、MeOH:水(10:1、20mL)の混合物で洗浄した。濾液をその体積の半分まで減らし、および5℃で16hの間保管した。追加の一部分の化合物A-2A(6.3g)を濾過し、および、前に得られた固体と合わせた。その結果として、生産物A-2Aが、UPLCMS分析(方法A)に従えば95%の純度で、黄色固体(28.2g、83%収率)として得られた。
【0065】
化合物A-3A: 4-[3-(ベンジルアミノ)-2-ニトロフェニル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化12】
【0066】
磁気撹拌棒を備えた250mLフラスコへ、化合物A-2A(12g、45mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、およびフラスコを無水DMSO(100mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(9.31g、67.5mmol)およびベンジルアミン(5.82g、54mmol)を加え、および、反応混合物を120℃へと加熱し、およびこの温度で2hの間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、基質ピークエリアの1%を示した。反応を氷(およそ150g)中へと注ぎ、およびAcOEt(300mL)で希釈した。相を分離させ、および、水相をAcOEt(2×300mL)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、および溶媒を真空で除去した。その結果として、生産物A-3Aが、UPLCMS分析(方法A)に従えば95%の純度で、黄色固体(11.9g、84%収率)として得られ、および、これを何らのさらなる精製もなしに次のステップで使用した。
【0067】
化合物A-4A: 4-[2-アミノ-3-(ベンジルアミノ)フェニル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化13】
【0068】
磁気撹拌棒を備えた500mLフラスコへ、化合物A-3A(4g、9.7mmol)およびEtOH(200mL)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱した。次いで、新たに調製した水(50mL)中の亜ジチオン酸ナトリウム(5.06g、29.1mmol)の溶液を1分以内に加えた。反応混合物を、80℃で追加の15分間攪拌し、および次いで、それを室温へと冷却した。EtOHを除去し、およびAcOEt(30mL)を加えた。相を分離させ、および、水相をAcOEt(30mL)でもう一度抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、NaSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。粗製生産物A-4Aが、暗褐色油(3.01g)として得られ、および、これを何らのさらなる精製もなしに次のステップで使用した。
【0069】
化合物A-5A、化合物1:塩酸塩の形態での、1-ベンジル-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール
【化14】
【0070】
磁気撹拌棒を備えた10mLフラスコへ、化合物A-4A(382mg、1mmol)およびTFA(2mL)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱した。反応混合物を、16時間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、基質の完全な消費を示した。反応混合物を室温へと冷却し、およびDCM(50mL)で希釈し、および、pHほぼ8を達成するようにNaHCOの飽和溶液を滴下で加えた。次いで、水およびDCMを加え、および相を分離させた。水相をDCM(2×20mL)で抽出し、および、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、NaSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(DCM中の10%~20%のMeOH)を使用して精製した。生産物を伴った分画を濃縮し、20mlのi-PrOH中に再溶解させ、および、0.5mLのHClの36%溶液を加えた。溶媒を真空で除去し、および、残渣を5mlのi-PrOH中に溶解させ、および次いで、20mlのEtOを加えた。固体の生産物を濾過し、およびEtO(5mL)で洗浄した。その結果として、最終生産物A-5A、塩酸塩の形態での化合物1が、UPLCMS分析(方法A)に従えば99.24%の純度で、ベージュ色の固体(141mg、39%収率)として得られた。
【0071】
【数1】
【0072】
化合物A-3B: N-ベンジル-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-ニトロアニリン
【化15】
【0073】
磁気撹拌棒を備えた100mLフラスコへ、2,6-ジフルオロニトロベンゼンA-1(5g、31mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、およびフラスコを無水DMSO(50mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(8.5g、62mmol)および1-メチルピペラジン(3.3g、33mmol)を加えた。反応混合物を30℃へと加熱し、および16hの間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、基質ピークを示さなかった。もう一部分のKCO(5.1g、37mmol)を、これに続いてベンジルアミン(3.96g、37mmol)を、反応混合物へ加えた。反応混合物を70℃へと加熱し、および16hの間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、化合物A-2Bの70%変換を示した。さらにもう一部分のKCO(3g、22mmol)を加え、および、攪拌を70℃で終夜継続させた。この後、UPLCMS分析は、反応液中に化合物A-2Bがないことを示した。反応物を、氷(およそ400g)中へと注ぎ、そこで生産物は結晶化し始めた。固体を濾過し、および、水ですすいだ。かかる得られた粗製の湿った化合物A-3Bを、さらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0074】
化合物A-4B: N -ベンジル-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)ベンゼン-1,2-ジアミン
【化16】
【0075】
磁気撹拌棒を備えた1Lフラスコへ、前のステップからの湿った化合物A-3BおよびEtOH(500mL)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱した。次いで、新たに調製した水(100mL)中の亜ジチオン酸ナトリウム(16.2g、93mmol)の溶液を5分以内に加えた。反応混合物を、80℃で追加の15分間攪拌し、および次いで、それを室温へと冷却した。EtOHを真空下で除去し、およびAcOEt(200mL)を加えた。相を分離させ、および、水相をAcOEt(30mL)でもう一度抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、NaSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。粗製生産物A-4Bが、暗褐色油(4.2g)として得られ、および、これを何らのさらなる精製もなしに次のステップで使用した。
【0076】
化合物A-5B、化合物2:塩酸塩の形態での、1-ベンジル-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール
【化17】
【0077】
磁気撹拌棒を備えた90mLフラスコへ、化合物A-4B(600mg、2mmol)およびTFA(5.8g、51mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、および反応混合物を80℃で2h加熱した。余剰の酸を真空下で除去した。残渣を15mlの無水IPA中に溶解させ、および、5mlのHClの36%溶液を加えた。1時間の攪拌の後、混合物を乾燥するまで蒸発させた。残渣を、5mlのジオキサンおよび数滴のIPAで30分間還流させた。溶液を、攪拌することなく夜の間3℃で冷却した。次いで、固体を濾過し、ジオキサンで洗浄し、および真空乾燥機中で乾燥させた。その結果として、最終生産物A-5B、塩酸塩の形態での化合物2が、UPLCMS分析(方法A)に従えば98.09%の純度で、ベージュ色の固体(100mg、12%収率)として得られた。
【0078】
【数2】
【0079】
化合物A-2C: 酢酸2-[4-(3-フルオロ-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-イル]エチル
【化18】
【0080】
磁気撹拌棒を備えた250mLフラスコへ、1-(3-フルオロ-2-ニトロフェニル)ピペラジンA-6(5g、22.5mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、およびフラスコを無水ACN(50mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(6.0g、45mmol)および酢酸2-ブロモエチル(4.45g、26.6mmol)を加え、および、反応混合物を60℃へと加熱し、およびこの温度で20hの間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、基質ピークを示さなかった。反応物を室温へと冷却し、および、固体を濾過した。その結果として、生産物A-2Cが、UPLCMS分析(方法A)に従えば99%の純度で、黄色固体(6.8g、99%収率)として得られた。
【0081】
化合物A-3C: 酢酸2-{4-[3-(ベンジルアミノ)-2-ニトロフェニル]ピペラジン-1-イル}エチル
【化19】
【0082】
磁気撹拌棒を備えた100mLフラスコへ、化合物A-2C(6.6g、22mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、およびフラスコを無水DMSO(60mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(6.07g、44mmol)およびベンジルアミン(2.59g、24.2mmol)を加え、および、反応混合物を70℃へと加熱し、およびこの温度で20hの間攪拌した。この後、反応物を、氷(およそ60g)中へと注ぎ、およびAcOEt(300mL)で希釈した。相を分離させ、および水相をAcOEt(2×300mL)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、および溶媒を真空で除去した。その結果として、生産物A-3Cが、黄色固体(6.3g、72%収率)として得られ、および、これを何らのさらなる精製もなしに次のステップで使用した。
【0083】
化合物A-5C、化合物3:塩酸塩の形態での、2-{4-[1-ベンジル-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-4-イル]ピペラジン-1-イル}エタノール
【化20】
【0084】
磁気撹拌棒を備えた50mLフラスコ中に、TFA(10mL)を加え、および混合物を70℃へと加熱した。次いで、金属鉄(1.12g、20mmol)および化合物A-3C(2.0g、5mmol)を加えた。反応混合物を、この温度で2時間攪拌した。この後、反応混合物を室温へと冷却し、およびDCM(100mL)で希釈した。pHほぼ8を達成するようにNaHCOの2M溶液を滴下で加え、および次いで、相を分離させた。水相をDCM(2×100mL)で分離させ、および、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、NaSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。残渣を50mlのTHF中に溶解させ、および次いで、5mlの水および1gのLiOHを加えた。反応混合物を、室温で20時間攪拌した。この後、有機溶媒を真空で除去し、および、混合物中へと100mlのAcOEtを加えた。相を分離させ、および、水相をAcOEt(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、および溶媒を真空で除去した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(DCM中の10%~20%のMeOH)を使用して精製した。溶媒の除去の後、残渣を20mlのi-PrOH中に溶解させ、および、0.5mLのHClの36%溶液を加えた。溶媒を真空で除去し、および、残渣を5mlのi-PrOH中に再溶解させ、および次いで、20mlのEtOを加えた。固体の生産物を濾過し、およびEtOで洗浄した。その結果として、最終化合物A-5C、塩酸塩の形態での化合物3が、UPLCMS分析(方法A)に従えば97%の純度で、ベージュ色の固体(81mg、3.7%収率)として得られた。
【0085】
【数3】
【0086】
化合物A-3D: 4-(3-(フラン-2-イルメチルアミノ)-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化21】
【0087】
磁気撹拌棒を備えた50mLフラスコへ、化合物A-2A(1.63g、5mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、およびフラスコを無水DMSO(6mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(2.07g、15mmol)およびフルフリルアミン(6.5mmol、631mg)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱し、およびこの温度で16hの間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、基質A-2Aピークエリアの5%を示した。反応物を、氷(およそ50g)中へと注ぎ、およびAcOEt(30mL)で希釈した。相を分離させ、および、水相をAcOEt(2×30mL)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、および溶媒を真空で除去した。固体残渣を、穏やかな加熱とともに少量のMeOH中に溶解させ、および、次いで5℃で終夜保管した。かかる得られた固体を濾過し、冷MeOH(5mL)ですすぎ、および高真空下で乾燥させた。溶液を真空で濃縮し、シリカゲル上へと事前吸着させ、および、重力カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン中の10%のAcOEt)を使用して精製した。溶媒の除去の後、生産物を、前に得られた固体と合わせた。その結果として、生産物A-3Dが、UPLCMS分析に従えば98%の純度で、赤茶色固体(1.29g、64%収率)として得られた。
【0088】
化合物A-4D: 4-(2-アミノ-3-(フラン-2-イルメチルアミノ)フェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化22】
【0089】
磁気撹拌棒を備えた100mLフラスコへ、化合物A-3D(850mg、2.1mmol)およびEtOH(20mL)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱した。次いで、新たに調製した水(12mL)中の亜ジチオン酸ナトリウム(1.83g、10.5mmol)の溶液を1分以内に加えた。反応混合物を、80℃で追加の15分間攪拌し、および次いで、それを室温へと冷却した。EtOHを除去し、およびAcOEt(30mL)を加えた。相を分離させ、および、水相をAcOEt(30mL)でもう一度抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、NaSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。粗製生産物A-4Dが、暗褐色油(705mg)として得られ、および、これを何らのさらなる精製もなしに次のステップで使用した。
【0090】
化合物A-8A: 4-(1-(フラン-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-4-イル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化23】
【0091】
磁気撹拌棒を備えた10mLフラスコへ、化合物A-4D(100mg、0.27mmol)および無水ACNをアルゴン雰囲気下で加え、および反応混合物を0℃へと冷却した。次いで、DIPEA(243mg、1.88mmol)を加え、これに続いて、新たに調製したACN(1mL)中のTFAA(216mg、1.03mmol)の溶液の滴下での(0.5h)添加を行った。反応混合物を、室温で16hの間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、A-8Aの生産物ピークエリアの15%、および環化していない生産物A-7Aのピークエリアの35%を示した。反応混合物をDCMおよび水で希釈し、および、相を分離させた。水相をDCM(2×20mL)で抽出し、および、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、および溶媒を真空で除去した。残渣をシリカゲル上へと事前吸着させ、および、カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン中10%~15%のAcOEt)を使用して精製した。溶媒の除去の後、2つの分画が得られた。第1の分画、期待された生産物A-8Aが、UPLCMS分析(方法A)に従えば99%の純度で、無色油(107mg、44%収率)として得られた。第2の分画(100mg)は、期待された生産物A-8Aと環化していない生産物A-7Aとの混合物(1:1)であった。還流しているEtOH中でAcOHを使用して、この混合物を純粋化合物A-8Aへと定量的に変換することが可能である。
【0092】
化合物A-5D、化合物4: 1-(フラン-2-イルメチル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール
【化24】
【0093】
磁気撹拌棒を備えた25mLフラスコへ、化合物A-8A(100mg、0.22mmol)およびEtOH(2mL)を、これに続いてHClの36%溶液(0.5mL)を加え、および反応混合物を40hの間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、基質の完全な消費を示した。反応混合物をEtOH(5mL)で希釈し、およそ5℃へと冷却し、およびNHOHの25%溶液(0.5mL)を滴下で加えた。次いで、水およびDCMを加え、および、相を分離させた。水相をDCM(2×20mL)で抽出し、および、合わせた有機相を、水、ブラインで洗浄し、NaSO下で乾燥させ、および溶媒を真空で除去した。その結果として、最終生産物A-5D、化合物4が、UPLCMS分析(方法A)に従えば97.34%の純度で、薄茶色固体(59mg、76%収率)として得られた。
【0094】
【数4】
【0095】
化合物A-3E: 4-(3-((5-メチルフラン-2-イル)メチルアミノ)-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化25】
【0096】
磁気撹拌棒を備えた50mLフラスコへ、化合物A-2A(650mg、2mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、およびフラスコを無水DMSO(4mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(691mg、5mmol)および5-メチルフルフリルアミン(2.6mmol、289mg)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱し、および16hの間攪拌した。これの後、反応混合物を水(およそ50mL)中へと注ぎ、およびDCM(20mL)で希釈した。相を分離させ、および水相をDCM(2×20mL)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および溶媒を真空で除去した。残渣をシリカゲル上へと事前吸着させ、および、カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン中の10%のAcOEt)を使用して精製した。その結果として、最終生産物A-3Eが、UPLCMS分析(方法A)に従えば95%の純度で、赤茶色固体(450mg、54%収率)として得られた。
【0097】
化合物A-4E: 4-(2-アミノ-3-((5-メチルフラン-2-イル)メチルアミノ)フェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化26】
【0098】
磁気撹拌棒を備えた50mLフラスコへ、化合物A-3E(492mg、1.18mmol)およびEtOH(17mL)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱した。次いで、新たに調製した水(4.3mL)中の亜ジチオン酸ナトリウム(1.21g、5.9mmol)の溶液を一度に(in one portion)加えた。反応混合物を、80℃で追加の10分間攪拌し、および次いで、それを室温へと冷却した。水(20mL)およびAcOEt(30mL)を加え、および、相を分離させた。水相をAcOEt(2×30mL)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および溶媒を真空で除去した。粗製生産物A-4Eが、褐色油(402mg)として得られ、および、これを何らのさらなる精製もなしに次のステップで使用した(方法A)。
【0099】
化合物A-8B: 4-(1-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-4-イル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化27】
【0100】
磁気撹拌棒を備えた25mLフラスコへ、化合物A-4E(216mg、0.56mmol)および無水ACNをアルゴン雰囲気下で加えた。次いで、DIPEA(145mg、1.12mmol)を加え、これに続いてTFAA(130mg、0.62mmol)の滴下での(20分)添加を行った。反応混合物を、室温で16h攪拌した。この後、UPLCMS分析は、A-8Bの生産物ピークエリアの15%、および環化していない生産物A-7Bのピークエリアの35%を示した。反応混合物をNaHCOの飽和溶液(20mL)中へと注ぎ、30mlのDCMで希釈し、および、相を分離させた。水相をDCM(2×20mL)で抽出し、および、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。残渣をEtOH(6mL)中に溶解させ、および、0.5mLのAcOHを加えた。次いで、混合物を80℃へと加熱し、および、この温度で2hの間攪拌した。この後、全ての溶媒を除去し、および、残渣をAcOEt(10mL)中に溶解させた。有機相をNaHCOの飽和溶液で洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および溶媒を真空で除去した。残渣をシリカゲル上へと事前吸着させ、および、カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン中20%のAcOEt)を使用して精製した。その結果として、生産物A-8Bが、UPLCMS分析(方法A)に従えば99%の純度で、無色油(115mg、45%収率)として得られた。
【0101】
化合物A-5E、化合物5: 1-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール
【化28】
【0102】
磁気撹拌棒を備えた25mLフラスコへ、化合物A-8B(115mg、0.25mmol)およびEtOH(7mL)を、これに続いてHCl(1.5mL)の36%溶液を加え、および反応混合物を24hの間攪拌した。この後、もう一部分の濃HCl(0.7mL)を加え、および反応混合物を、追加の24h攪拌した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、およそ5℃へと冷却し、および、NHOHの25%溶液(2mL)を滴下で加えた。次いで、DCM(30mL)を加え、および、相を分離させた。水相をDCM(30mL)でもう一度抽出し、および、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。残渣をシリカゲル上へと事前吸着させ、および、カラムクロマトグラフィー(92:8:0.5のDCM:MeOH:NHOH)を使用して精製した。その結果として、最終生産物A-5E、化合物5が、UPLCMS分析(方法A)に従えば96%の純度で、薄茶色固体(60mg、66%収率)として得られた。
【0103】
【数5】
【0104】
化合物A-3F: 4-(3-((3-クロロベンジル)アミノ)-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化29】
【0105】
磁気撹拌棒を備えた50mLフラスコへ、化合物A-2A(1.20g、3.69mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、およびフラスコを無水DMSO(5mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(0.97g、7.01mmol)および3-クロロベンジルアミン(0.84g、5.91mmol)を加え、および反応混合物を70℃へと加熱し、およびこの温度で48hの間攪拌した。その後、反応混合物を室温へと冷却し、ブラインの冷溶液(75mL)中へと注ぎ、および水(75mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾別し、水で洗浄し、空気上で乾燥させ、およびEtOH(99.9%、10mL)から結晶化させて、UPLCMS分析(方法B)に従えば100%の純度で、黄色固体として生産物A-3F(0.77g、47%収率)をもたらした。
【0106】
化合物A-4F: 4-(2-アミノ-3-((3-クロロベンジル)アミノ)フェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化30】
【0107】
磁気撹拌棒を備えた100mLフラスコへ、化合物A-3F(0.75g、1.68mmol)およびEtOH(28mL)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱した。次いで、新たに調製した水(9mL)中の亜ジチオン酸ナトリウム(1.31g、7.55mmol)の溶液を1分以内に加えた。反応混合物を、80℃で追加の15分間攪拌し、および次いで、それを室温へと冷却した。EtOHを除去し、およびAcOEt(20mL)を加えた。相を分離させ、および、水相をAcOEt(20mL)でもう一度抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。粗製生産物A-4Fが、ベージュ色の結晶化油(0.63g)として得られ、および、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0108】
化合物A-5F、化合物6:塩酸塩の形態での、1-(3-クロロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール
【化31】
【0109】
磁気撹拌棒を備えた10mLフラスコへ、化合物A-4F(0.31g、0.74mmol)およびTFA(1.48mL)を加え、および反応混合物を室温で16時間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、基質の完全な消費を示した。反応混合物を室温へと冷却し、およびDCM(40mL)で希釈し、および、pHほぼ8を達成するようにNaHCOの飽和溶液を滴下で加えた。次いで、水およびDCMを加え、および、相を分離させた。水相をDCM(2×15mL)で抽出し、および、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。粗製生産物を37mlのi-PrOH中に再溶解させ、および、0.3mLのHClの36%溶液を加えた。溶媒を真空で除去し、および、残渣を5mlのi-PrOH中に溶解させ、および次いで、20mlのEtOを加えた。固体の生産物を濾過し、およびEtO(5mL)で洗浄した。その結果として、最終生産物A-5F、塩酸塩の形態での化合物6が、UPLCMS分析(方法B)に従えば100%の純度で、ベージュ色の固体(104mg、33%収率)として得られた。
【0110】
【数6】
【0111】
化合物A-3G: 4-(3-((3-フルオロベンジル)アミノ)-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化32】
【0112】
磁気撹拌棒を備えた50mLフラスコへ、化合物A-2A(1.20g、3.69mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、およびフラスコを無水DMSO(5mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(0.97g、7.01mmol)および3-フルオロベンジルアミン(0.74g、5.91mmol)を加え、および反応混合物を70℃へと加熱し、およびこの温度で48hの間攪拌した。その後、反応混合物を室温へと冷却し、ブラインの冷溶液(75mL)中へと注ぎ、および水(75mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾別し、水で洗浄し、空気上で乾燥させ、およびEtOH(99.9%、10mL)から結晶化させて、UPLCMS分析(方法B)に従えば100%の純度で、黄色固体として生産物A-3G(0.73g、46%収率)をもたらした。
【0113】
化合物A-4G: 4-(2-アミノ-3-((3-フルオロベンジル)アミノ)フェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化33】
【0114】
磁気撹拌棒を備えた100mLフラスコへ、化合物A-3G(0.70g、1.63mmol)およびEtOH(27mL)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱した。。次いで、新たに調製した水(8mL)中の亜ジチオン酸ナトリウム(1.27g、7.32mmol)の溶液を1分以内に加えた。反応混合物を、80℃で追加の15分間攪拌し、および次いで、それを室温へと冷却した。EtOHを除去し、およびAcOEt(20mL)を加えた。相を分離させ、および、水相をAcOEt(20mL)でもう一度抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。粗製生産物A-4Gが、淡いベージュ色の油(0.60g)として得られ、および、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0115】
化合物A-5G、化合物7:塩酸塩の形態での、1-(3-フルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾイミダゾール
【化34】
【0116】
磁気撹拌棒を備えた10mLフラスコへ、化合物A-4G(0.30g、0.75mmol)およびTFA(1.5mL)を加え、および反応混合物を室温で16時間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、基質の完全な消費を示した。反応混合物を室温へと冷却し、およびDCM(40mL)で希釈し、および、pHほぼ8を達成するようにNaHCOの飽和溶液を滴下で加えた。次いで、水およびDCMを加え、および、相を分離させた。水相をDCM(2×15mL)で抽出し、および、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。粗製生産物を37mlのi-PrOH中に再溶解させ、および、0.3mLのHClの36%溶液を加えた。溶媒を真空で除去し、および、残渣を5mlのi-PrOH中に溶解させ、および次いで、20mlのEtOを加えた。固体の生産物を濾過し、およびEtO(5mL)で洗浄した。その結果として、最終生産物A-5G、塩酸塩の形態での化合物7が、UPLCMS分析(方法B)に従えば98.84%の純度で、ベージュ色の固体(100mg、32%収率)として得られた。
【0117】
【数7】
【0118】
化合物A-3H: 4-(3-((3,4-ジクロロベンジル)アミノ)-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化35】
【0119】
磁気撹拌棒を備えた50mLフラスコへ、化合物A-2A(1.10g、3.38mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、およびフラスコを無水DMSO(5mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(0.7g、5.07mmol)および3,4-ジクロロベンジルアミン(0.65g、3.72mmol)を加え、および反応混合物を70℃へと加熱し、およびこの温度で24hの間攪拌した。その後、反応混合物を室温へと冷却し、ブラインの冷溶液(75mL)中へと注ぎ、および水(75mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾別し、水で洗浄し、空気上で乾燥させ、およびEtOH(99.9%、10mL)から結晶化させて、UPLCMS分析(方法B)に従えば94.4%の純度で、赤色固体として生産物A-3H(0.7g、43%収率)をもたらした。
【0120】
化合物A-4H: 4-(2-アミノ-3-((3,4-ジクロロベンジル)アミノ)フェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化36】
【0121】
磁気撹拌棒を備えた100mLフラスコへ、化合物A-3H(0.7g、1.54mmol)およびEtOH(22mL)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱した。次いで、新たに調製した水(7mL)中の亜ジチオン酸ナトリウム(1.08g、6.2mmol)の溶液を1分以内に加えた。反応混合物を、80℃で追加の15分間攪拌し、および次いで、それを室温へと冷却した。EtOHを除去し、およびAcOEt(15mL)を加えた。相を分離させ、および、水相をAcOEt(15mL)でもう一度抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。粗製生産物A-4Hが、黄色がかった油(0.285g)として得られ、および、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0122】
化合物A-5H、化合物8: 1-(3,4-ジクロロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
【化37】
【0123】
磁気撹拌棒を備えた10mLフラスコへ、化合物A-4H(0.14g、0.33mmol)およびTFA(0.7mL)を加え、および反応混合物を室温で16時間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、基質の完全な消費を示した。反応混合物を室温へと冷却し、およびDCM(20mL)で希釈し、および、pHほぼ8を達成するようにNaHCOの飽和溶液を滴下で加えた。次いで、水およびDCMを加え、および、相を分離させた。水相をDCM(2×10mL)で抽出し、および、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。得られた粗製生産物を、カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/DCM/メタノール/NH3(水溶液) 4.0/5.0/1.0/0.02、 v/v/v/v)を使用して精製して、UPLCMS分析(方法B)に従えば95.75%の純度で、淡黄色の結晶化油として最終生産物A-5H、化合物8(120mg、85%収率)をもたらした。
【0124】
【数8】
【0125】
化合物A-3I: 4-(3-((3-クロロ-4-フルオロベンジル)アミノ)-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化38】
【0126】
磁気撹拌棒を備えた50mLフラスコへ、化合物A-2A(1.1g、3.38mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、およびフラスコを無水DMSO(5mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(1.16g、8.45mmol)および3-クロロ-4-フルオロベンジルアミン(0.85g、5.4mmol)を加え、および反応混合物を70℃へと加熱し、およびこの温度で24hの間攪拌した。その後、反応混合物を室温へと冷却し、ブラインの冷溶液(75mL)中へと注ぎ、および水(75mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾別し、水で洗浄し、空気上で乾燥させ、およびEtOH(99.9%、10mL)から結晶化させて、UPLCMS分析(方法B)に従えば95.75%の純度で、黄色がかった固体として生産物A-3I(0.5g、32%収率)をもたらした。
【0127】
化合物A-4I: 4-(2-アミノ-3-((3-クロロ-4-フルオロベンジル)アミノ)フェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化39】
【0128】
磁気撹拌棒を備えた100mLフラスコへ、化合物A-3I(0.5g、1.07mmol)およびEtOH(15mL)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱した。次いで、新たに調製した水(5mL)中の亜ジチオン酸ナトリウム(0.75g、4.37mmol)の溶液を1分以内に加えた。反応混合物を、80℃で追加の15分間攪拌し、および次いで、それを室温へと冷却した。EtOHを除去し、およびAcOEt(20mL)を加えた。相を分離させ、および、水相をAcOEt(20mL)でもう一度抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。粗製生産物A-4Iが、黄色がかった油(0.452g)として得られ、および、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0129】
化合物A-5I、化合物9: 1-(3-クロロ-4-フルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
【化40】
【0130】
磁気撹拌棒を備えた10mLフラスコへ、化合物A-4I(0.240g、0.55mmol)およびTFA(1.2mL)を加え、および反応混合物を室温で16時間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、基質の完全な消費を示した。反応混合物を室温へと冷却し、およびDCM(20mL)で希釈し、および、pHほぼ8を達成するようにNaHCOの飽和溶液を滴下で加えた。次いで、水およびDCMを加え、および、相を分離させた。水相をDCM(2×10mL)で抽出し、および、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。得られた粗製生産物を、カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/DCM/メタノール/NH3(水溶液) 4.0/5.0/1.0/0.02、 v/v/v/v)を使用して精製して、UPLCMS分析(方法B)に従えば97.50%の純度で、黄色の結晶化油として最終生産物A-5I、化合物9(200mg、90%収率)をもたらした。
【0131】
【数9】
【0132】
化合物A-3J: 4-(3-((3,4-ジフルオロベンジル)アミノ)-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化41】
【0133】
磁気撹拌棒を備えた50mLフラスコへ、化合物A-2A(1.10g、3.38mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、およびフラスコを無水DMSO(5mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(0.7g、5.07mmol)および3,4-ジフルオロベンジルアミン(0.64g、3.72mmol)を加え、および反応混合物を70℃へと加熱し、およびこの温度で24hの間攪拌した。その後、反応混合物を室温へと冷却し、ブラインの冷溶液(75mL)中へと注ぎ、および水(75mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾別し、水で洗浄し、空気上で乾燥させ、およびEtOH(99.9%、10mL)から結晶化させて、UPLCMS分析(方法B)に従えば94.4%の純度で、黄色がかった固体として生産物A-3J(0.8g、53%収率)をもたらした。
【0134】
化合物A-4J: 4-(2-アミノ-3-((3,4-ジフルオロベンジル)アミノ)フェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化42】
【0135】
磁気撹拌棒を備えた100mLフラスコへ、化合物A-3J(0.8g、1.78mmol)およびEtOH(25mL)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱した。次いで、新たに調製した水(8mL)中の亜ジチオン酸ナトリウム(1.24g、7.14mmol)の溶液を1分以内に加えた。反応混合物を、80℃で追加の15分間攪拌し、および次いで、それを室温へと冷却した。EtOHを除去し、および、AcOEt(15mL)を加えた。相を分離させ、および、水相をAcOEt(15mL)でもう一度抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。粗製生産物A-4Jが、黄色がかった油(0.400g)として得られ、および、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0136】
化合物A-5J、化合物10: 1-(3,4-ジフルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
【化43】
【0137】
磁気撹拌棒を備えた10mLフラスコへ、化合物A-4J(0.396g、1.0mmol)およびTFA(2.0mL)を加え、および反応混合物を室温で16時間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、基質の完全な消費を示した。反応混合物を室温へと冷却し、およびDCM(30mL)で希釈し、および、pHほぼ8を達成するようにNaHCOの飽和溶液を滴下で加えた。次いで、水およびDCMを加え、および、相を分離させた。水相をDCM(2×20mL)で抽出し、および、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。得られた粗製生産物を、カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/DCM/メタノール/NH3(水溶液) 4.0/5.0/1.0/0.02、 v/v/v/v)を使用して精製して、UPLCMS分析(方法B)に従えば95.01%の純度で、黄色の結晶化油として最終生産物A-5J、化合物10(350mg、88%収率)をもたらした。
【0138】
【数10】
【0139】
化合物A-3K: 4-(3-((3,5-ジクロロベンジル)アミノ)-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化44】
【0140】
磁気撹拌棒を備えた50mLフラスコへ、化合物A-2A(0.9g、2.76mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、およびフラスコを無水DMSO(5mL)で満たした。次いで、乾燥KCO(0.95g、6.9mmol)および3,5-ジクロロフルオロベンジルアミン(0.78g、4.43mmol)を加え、および反応混合物を70℃へと加熱し、およびこの温度で24hの間攪拌した。その後、反応混合物を室温へと冷却し、ブラインの冷溶液(75mL)中へと注ぎ、および水(75mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾別し、水で洗浄し、空気上で乾燥させ、およびEtOH(99.9%、10mL)から結晶化させて、UPLCMS分析(方法B)に従えば95%の純度で、黄色がかった固体として生産物A-3K(0.97g、78%収率)をもたらした。
【0141】
化合物A-4K: 4-(2-アミノ-3-((3,5-ジクロロベンジル)アミノ)フェニル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化45】
【0142】
磁気撹拌棒を備えた100mLフラスコへ、化合物A-3K(0.97g、2.16mmol)およびEtOH(30mL)を加え、および反応混合物を80℃へと加熱した。次いで、新たに調製した水(8mL)中の亜ジチオン酸ナトリウム(1.5g、8.66mmol)の溶液を1分以内に加えた。反応混合物を、80℃で追加の15分間攪拌し、および次いで、それを室温へと冷却した。EtOHを除去し、および、AcOEt(20mL)を加えた。相を分離させ、および、水相をAcOEt(20mL)でもう一度抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。粗製生産物A-4Kが、黄色がかった油(0.890g)として得られ、および、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0143】
化合物A-5K、化合物11: 1-(3,5-ジクロロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
【化46】
【0144】
磁気撹拌棒を備えた10mLフラスコへ、化合物A-4K(0.225g、0.538mmol)およびTFA(1.0mL)を加え、および反応混合物を室温で16時間攪拌した。この後、UPLCMS分析は、基質の完全な消費を示した。反応混合物を室温へと冷却し、およびDCM(20mL)で希釈し、および、pHほぼ8を達成するようにNaHCOの飽和溶液を滴下で加えた。次いで、水およびDCMを加え、および、相を分離させた。水相をDCM(2×10mL)で抽出し、および、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO下で乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。得られた粗製生産物を、カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/DCM/メタノール/NH3(水溶液) 4.0/5.0/1.0/0.02、 v/v/v/v)を使用して精製して、UPLCMS分析(方法B)に従えば95%の純度で、黄色の結晶化油として最終生産物A-5K、化合物11(180mg、78%収率)をもたらした。
【0145】
【数11】
【0146】
B.インドールコアに基づく化合物:
化合物B-2: N-(3-ブロモ-2-メチルフェニル)-2,2,2-トリフルオロアセタミド
【化47】
【0147】
磁気撹拌棒を備えかつ150ml DCMで満たされた250mLフラスコへ、12.1g(65mmol)の3-ブロモ2-メチルアニリンを加えた。反応混合物を0℃へと冷却し、および16ml(200mmol)のピリジンを加え、これに続いて23ml(165mmol)の無水トリフルオロ酢酸の滴下をこの温度で行った。添加の後、反応を、温度<5℃で0.5h、およびRTで2.5h攪拌した。この後、反応物を50mlのNHCl飽和でクエンチし、および50mLの水で希釈した。相を分離させ、および、水相をDCM(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、および溶媒を真空で除去した。その結果として、生産物が、白色固体(14.7g、80%収率)として得られ、および、これを何らのさらなる精製もなしに次のステップで使用した。
【0148】
化合物B-3: N-[3-ブロモ-2-(ブロモメチル)フェニル]-2,2,2-トリフルオロアセタミド
【化48】
【0149】
磁気撹拌棒、コンデンサを備え、および100Wランプでスポット照射された250mLフラスコを、120ml CCl;8.1g(29mmol)のB-2および0.38gの過酸化ベンゾイルで満たした。反応混合物を還流まで加熱し、および、10mLのCCl中の2.1mlの臭素をシリンジにより数部分にて加えた。添加の後、反応混合物を終夜還流させた。翌日、TLCは、基質の欠如を示した。反応を冷却し、120ml DCMで希釈し、および、100mlのチオ硫酸ナトリウムの2M溶液へと注いだ。相を分離させ、および水相を、DCM(2×60mL)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、および溶媒を真空で除去した。残渣を、DCM:ヘキサン 1:3の混合物で希釈し、および、生産物が、白色固体、9.1%、88%収率、として沈殿した。
【0150】
化合物B-4: 4-ブロモ-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化49】
【0151】
磁気撹拌棒を備えた500mLフラスコを、200mlの無水トルエンおよび20.1g(56mmol)の基質B-3で満たした。続けて、15.9g(61mmol)のPPHを加えた。反応混合物を60℃へと加熱し、および2時間攪拌した。この後、反応を<5℃で冷却し、および白色固体を濾過し、EtOで洗浄し、および空気流下で素早く乾燥させた。次いで、固体を250mLのDMFで終夜還流させた - UPLC分析は、反応の終わりを示した。溶媒を蒸発させ、残渣を50mLのNaHCO水溶液で希釈し、および50mlの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、および、溶媒を真空で除去した。生の生産物を、混合物 酢酸エチル:ヘキサン 3:7でクロマトグラフィーにかけたことで、13.5gの油性の生産物を生じ、収率92%であった。
【0152】
化合物B-5: 1-ベンジル-4-ブロモ-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化50】
【0153】
磁気撹拌棒を備えた250mLフラスコを、80mlの無水DMFおよび13.1g(0.05mol)の基質B-4で満たした。次いで、反応混合物を0℃へと冷却し、および、2.4g(0.06mol)の水素化ナトリウム(油中60%)を注意深く加えた。10分後、追加5.95ml(0.05mol)の臭化ベンジルを、この温度(0C)で滴下した。全ての試薬の添加の後、反応混合物を温度<5℃で0.5h、およびRTで2.5h、攪拌した。この後、反応を5mlの水でクエンチし、および蒸発させた。残渣を水(100mL)で希釈し、およびDCM(3×70mL)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、および蒸発させた。生産物が、白色固体(17.5g、ほぼ100%収率)として得られ、および、これを何らのさらなる精製もなしに次のステップで使用した。
【0154】
化合物B-6A: 1-ベンジル-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化51】
【0155】
磁気撹拌棒、CaCl管およびコンデンサを備えた250mLフラスコを、150mlの無水ジオキサン、17.9g(50mmol、1eq)の基質B-5、5.64ml(1eq)のメチルピペラジン、1.4g(0.03eq)のPd(dba)および33.6g(2eq)のCsCOで満たした。フラスコを、アルゴンで徹底的にパージした。続けて、2.24g(0.07eq)のBINAPを加え、および反応混合物を100℃へと加熱し、および終夜攪拌した。次の日、反応混合物を冷却し、200mLの水の上に注ぎ、セライトを通して濾過し、およびDCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、および溶媒を真空で除去した。残渣を、混合物 DCM:MeOH:NH(500:19:1)でクロマトグラフィーにかけたことで、14gの油性の生産物B-6Aを生じ、収率75%であった。
【0156】
化合物B-6B: 4-[1-ベンジル-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化52】
【0157】
メチルピペラジンの代わりにN-BOC-ピペラジンを使用し、化合物B-6Aのためのものと同じ手順に従い、B-5(7.1g、20mmol)から出発して、化合物B-6Bを調製した。精製後、8.7gの化合物B-6Bが薄茶色固体(66%収率)として得られた。
【0158】
化合物B-7A: 4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化53】
【0159】
磁気撹拌棒を備えた500mLフラスコを、70mlの無水DMSOおよび14g(37.5mmol)の基質B-6Aで満たした。次いで、反応混合物を10℃へと冷却し、および、THF中1Mのt-BuOKの、160mL(160mmol、4.6eq)を、滴下で加えた。反応混合物をおよそ2℃へと冷却し、および、基質の完全な消費が観察されるまで(およそ5h、反応温度をおよそ5℃に維持して)ガラスパイプにより反応混合物に酸素を泡で通気した。この後、反応混合物を、氷入りの水(200mL)上に注ぎ、および、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、および溶媒を蒸発させた。残渣を、混合物 DCM:MeOH(95:5)でクロマトグラフィーにかけたことで、6.5gの生産物B-7Aを生じ、収率61%であった。
【0160】
化合物B-7B: 4-[2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化54】
【0161】
磁気撹拌棒を備えた250mLフラスコを、120mlの無水THF、45mlの無水DMSOおよび5.3g(11.5mmol)の基質B-6Bで満たした。次いで、反応混合物を0℃へと冷却し、および12g(107mmol、10eq)のt-BuOKを加えた。続けて、基質の完全な消費が観察されるまで(通常2-4h、反応温度をおよそ5℃に維持して)ガラスパイプにより反応混合物に酸素を泡で通気した。この後、反応混合物を、氷入りの水(200mL)上に注ぎ、および、酢酸エチル(3×70mL)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、および溶媒を蒸発させた。残渣を、混合物 AcOEt:ヘキサン(1:9)でクロマトグラフィーにかけたことで、3.8gの生産物B-7Bを生じ、収率90%であった。
【0162】
化合物B-8の調製のための一般的手順A:
乾燥して不活性ガスで満たされたフラスコへ、インドールB-7(1eq)および無水DMF(0.1M)を加え、および、反応混合物を0℃へと冷却した。水素化ナトリウム(鉱油中60%)(1.5eq)を加え、および、反応混合物を、0~5℃で10分、および室温で1h攪拌した。この後、反応物を0℃へと冷却し、および、ベンジル誘導体(1.2eq)を滴下で加えた。反応混合物を、出発材料の完全な消費まで、室温で攪拌した。DCMおよび水を加え、および、相を分離させた。水相をDCM(3×10mL)で抽出し、および、合わせた有機相を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、および溶媒を真空で除去した。残渣を、カラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0163】
化合物B-8B、化合物13: 1-(3,4-ジクロロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化55】

生産物B-8B、化合物13は、一般的手順Aを使用し、B-7A(50mg、0.17mmol)から出発して、薄茶色油(29mg、37%収率、UPLCMS分析に従えば97.72%の純度)として得られた。
【0164】
化合物B-8C、化合物14: 1-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化56】

生産物B-8C、化合物14は、一般的手順Aを使用し、B-7A(50mg、0.17mmol)から出発して、薄茶色油(37mg、49%収率、UPLCMS分析に従えば96.5%の純度)として得られた。
【0165】
化合物B-8D: 4-[1-(チアゾール-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)インドール-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化57】

生産物B-8Dは、一般的手順Aを使用し、B-7B(63mg、0.17mmol)から出発して、薄茶色油(36mg、45%収率)として得られた。
【0166】
化合物B-8E: 4-[1-[(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)メチル]-2-(トリフルオロメチル)インドール-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化58】

生産物B-8Eは、一般的手順Aを使用し、B-7B(63mg、0.17mmol)から出発して、薄茶色油(46mg、53%収率)として得られた。
【0167】
化合物B-8F: 4-[1-(フラン-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化59】
【0168】
水素化ナトリウム(22mg、鉱油中60%、0.54mmol)を、室温でアルゴン下、無水DMF中のB-7B(200mg、0.54mmol)の溶液へ加えた。反応混合物を30分間攪拌し、および次いで、2-(ブロモメチル)フラン(105mg、0.65mmol)を加えた。1h後、次の一部分の水素化ナトリウム(22mg、鉱油中60%、0.54mmol)および2-(ブロモメチル)フラン(31mg、0.19mmol)を加え、および反応を2hの間継続させた。反応混合物を水(20mL)中へと注ぎ、およびDCM(2×20mL)で抽出した。合わせた抽出物を水、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、および減圧下で蒸発させた。粗製生産物を、カラムクロマトグラフィー(AcOEt/ヘキサン、7/93 v/v)を使用して精製した。その結果として、最終生産物B-8Fが、灰色固体(170mg、70%収率)として得られた。
【0169】
化合物B-8G: 1-(3-メトキシベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化60】

生産物B-8Gは、一般的手順Aを使用し、B-7A(100mg、0.35mmol)から出発して、薄茶色油(89mg、63%収率、UPLCMS分析に従えば96%の純度)として得られた。
【0170】
化合物B-8H、化合物19: 1-(3-フルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化61】

生産物B-8H、化合物19は、一般的手順Aを使用し、B-7B(100mg、0.27mmol)から出発し、RTでの1mlのDCM中の200μlのTFAでのBOC-基の脱保護がこれに続くことで、58mgの固体を、57%収率、UPLCMS分析に従えば99%の純度で生じて得られた。
【0171】
化合物B-8I: 4-[1-(3-クロロベンジル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化62】

生産物B-8Iは、一般的手順Aを使用し、B-7B(150mg、0.41mmol)から出発して、黄色油(190mg、94%収率、UPLCMS分析に従えば98.5の純度)として得られた。
【0172】
化合物B-8J、化合物21: 1-(フラン-2-イルメチル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化63】
【0173】
水素化ナトリウム(16mg、鉱油中60%、0.40mmol)を、室温でアルゴン下、無水DMF中のB-7A(100mg、0.37mmol)の溶液へ加えた。反応混合物を30分間攪拌し、および次いで、2-(ブロモメチル)フラン(64mg、0.40mmol)を加えた。18h後、次の一部分の水素化ナトリウム(16mg、鉱油中60%、0.40mmol)および2-(ブロモメチル)フラン(64mg、0.40mmol)を加え、および反応を2hの間継続させた。反応混合物を水(20mL)中へと注ぎ、および酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた抽出物を水、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、および減圧下で蒸発させた。粗製生産物を、カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/NH3水溶液、98/2/0.5 v/v/v)によって、および次に分取HPLCによって、精製した。その結果として、最終生産物B-8J、化合物21が、薄黄色油(22mg、16%、UPLCMS分析に従えば99.7%の純度)として得られた。
【0174】
【数12】
【0175】
化合物B-8K、化合物22: 1-(3,4-ジフルオロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化64】

生産物B-8K、化合物22は、一般的手順Aを使用し、B-7A(100mg、0.37mmol)から出発して得られた。粗製生産物を、カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/NH3水溶液、98/2/0.5 v/v/v)によって、およびに分取TLCによって、精製した。その結果として、最終生産物が、薄黄色油(40mg、13%収率、UPLCMS分析に従えば94.7%の純度)として得られた。
【0176】
【数13】
【0177】
化合物B-8L: 4-[1-(3-メトキシベンジル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化65】

生産物B-8Lは、一般的手順Aを使用し、B-7B(150mg、0.41mmol)から出発して、黄色油(180mg、90%収率、UPLCMS分析に従えば99.5%の純度)として得られた。
【0178】
化合物B-8M: 1-(3-フルオロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化66】

生産物B-8Mは、一般的手順Aを使用し、B-7A(100mg、0.35mmol)から出発して、薄茶色油(97mg、71%収率、UPLCMS分析に従えば96%の純度)として得られた。
【0179】
化合物B-8N: 4-[1-(3,4-ジフルオロベンジル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化67】

生産物B-8Nは、一般的手順Aを使用し、B-7B(200mg、0.54mmol)から出発して、無色油(210mg、78%収率)として得られた。
【0180】
化合物B-8P: 1-(3-クロロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化68】

生産物B-8Pは、一般的手順Aを使用し、B-7A(100mg、0.35mmol)から出発して、薄黄色油(74mg、52%収率、UPLCMS分析に従えば98%の純度)として得られた。
【0181】
化合物B-8S: 4-[1-(チオフェン-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化69】

化合物B-8Sは、一般的手順A(臭素の代わりにメシラートを使用した、1.5eq、16h、60℃で)を使用し、B-7B(507mg、1.37mmol)から出発して、薄茶色油(420mg、65%収率、UPLCMS分析に従えば95%の純度)として得られた。
【0182】
化合物B-8T: 4-[1-(チオフェン-3-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化70】

化合物B-8Tは、一般的手順A(臭素の代わりにメシラートを使用した、3eq、16h、60℃で)を使用し、B-7B(500mg、1.35mmol)から出発して、薄茶色油(250mg、40%収率、UPLCMS分析に従えば95%の純度)として得られた。
【0183】
化合物B-8V、化合物34: 4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-[(5-メチル-1,3-チアゾール-2-イル)メチル]-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化71】

化合物B-8V、化合物34は、一般的手順Aを使用し、B-7B(142mg、0.5mmol)から出発して、アモルファス固体(120mg、61%収率、UPLCMS分析に従えば99.7%の純度)として得られた。
【0184】
化合物B-8およびB-9の調製のための一般的手順B:
乾燥して不活性ガスで満たされたフラスコへ、インドールB-7(1eq)および無水THF(0.1M)を加え、および、反応混合物を0℃へと冷却した。(5-メチル-2-フリル)メタノール(2eq)、トリフェニルホスフィン(1.5eq)およびDIAD(1.5eq)を加え、および、反応混合物を、0~5℃で10分、および室温で1h攪拌した。DCMおよび水を加え、および、相を分離させた。水相をDCM(3×10mL)で抽出し、および、合わせた有機相を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、および溶媒を真空で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーおよび分取HPLCによって精製した。
【0185】
化合物B-9Q、化合物28: 1-[(5-メチルフラン-2-イル)メチル]-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化72】

化合物B-9Q、化合物28は、一般的手順Bを使用し、B-7B(184mg、0.5mmol)から出発し、RTでの1mlのDCM中の200μlのTFAでのBOC-基の脱保護がこれに続いて、アモルファス固体(16mg、9%収率、UPLCMS分析に従えば99%の純度)として得られた。
【0186】
化合物B-9R、化合物29: 1-[(5-メチルチオフェン-2-イル)メチル]-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化73】

化合物B-9R、化合物29は、一般的手順Bを使用し、B-7B(184mg、0.5mmol)から出発し、RTでの4mlのDCM中の400μlのTFAでのBOC-基の脱保護がこれに続いて、薄茶色固体(22mg、12%収率、UPLCMS分析に従えば96.6%の純度)として得られた。
【0187】
化合物B-9F、化合物17: 1-(フラン-2-イルメチル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化74】
【0188】
トリフルオロ酢酸(2mL)を、5mlのDCM中の化合物B-8F(170mg、0.38mmol)の攪拌された溶液へ0℃で加えた。その結果得られた混合物を、2hの間攪拌し、次いで、それを減圧下で濃縮した。残渣を30mlのDCM中に溶解させ、飽和NaHCO(2×20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、およびMgSO上で乾燥させた。溶媒を真空で除去し、および、粗製生産物を、カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/NH3水溶液、95/5/0.5 v/v/v)によって精製した。その結果として、最終生産物B-9F、化合物17が、薄黄色油(41mg、31%収率、UPLCMS分析に従えば98.9%の純度)として得られた。
【0189】
【数14】
【0190】
化合物B-9N、化合物25: 1-(3,4-ジフルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化75】
【0191】
ジオキサン(1.0mL)中のHClの4M溶液を、3mlのTHF中のB-8N(105mg、0.26mmol)の攪拌された溶液へ滴下で加えた。反応混合物を室温で2hの間攪拌し、次いで2mLのEtOを加え、および反応物を、追加で0.5hの間攪拌した。白色固体を濾過し、EtO(2×5mLで洗浄し、および真空下で乾燥させた。固体を20mlのAcOEt中に懸濁させ、1M NaOH(10mL)を加え、および、混合物を10分間、徹底的に攪拌した。有機相を分離させ、ブラインで洗浄し、およびMgSO上で乾燥させた。溶媒を真空で除去し、および、粗製生産物を、カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/NH3水溶液、93/7/0.5 v/v/v)によって精製した。その結果として、最終生産物B-9N、化合物25が、薄黄色油(40mg、39%収率、UPLCMS分析に従えば96.7%の純度)として得られた。
【0192】
【数15】
【0193】
化合物B-9の調製のための一般的手順C:
25mLフラスコへ、化合物B-8を、これに続いてTHF(5mL)、およびジオキサン中の4M HCl(0.5mL)を加えた。反応混合物を、出発材料の完全な消費まで、室温で攪拌し、次いで10mLのEtOを加え、および反応を、追加で0.5hの間攪拌した。白色固体を濾過し、EtO(2×10mL)で洗浄し、および真空下で乾燥させた。
【0194】
化合物B-9D、化合物15: 塩酸塩の形態での、4-(ピペラジン-1-イル)-1-(1,3-チアゾール-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化76】

生産物B-9D、塩酸塩の形態での化合物15は、一般的手順Cを使用し、B-8D(36mg、0.08mmol)から出発して、白色固体(19mg、61%収率、UPLCMS分析に従えば99%の純度)として得られた。
【0195】
化合物B-9E、化合物16: 塩酸塩の形態での、1-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化77】

生産物B-9E、塩酸塩の形態での化合物16は、一般的手順Cを使用し、B-8E(46mg、0.09mmol)から出発して、白色固体(9mg、22%収率、UPLCMS分析に従えば98%の純度)として得られた。
【0196】
化合物B-9G、化合物18: 塩酸塩の形態での、1-(3-メトキシベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化78】

生産物B-9G、塩酸塩の形態での化合物18は、一般的手順Cを使用し、B-8G(89mg、0.22mmol)から出発して、白色固体(92mg、92%収率、UPLCMS分析に従えば99.5%の純度)として得られた。
【0197】
【数16】
【0198】
化合物B-9I、化合物20: 塩酸塩の形態での、1-(3-クロロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化79】

生産物B-9I、塩酸塩の形態での化合物20は、一般的手順C(2.5mLの4M HClで24hの間)を使用し、B-8I(190mg、0.39mmol)から出発して、白色固体(137mg、82%収率、UPLCMS分析に従えば97.8%の純度)として得られた。
【0199】
【数17】
【0200】
化合物B-9L、化合物23: 塩酸塩の形態での、1-(3-メトキシベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化80】

生産物B-9L、塩酸塩の形態での化合物23は、一般的手順C(2.5mLの4M HClで24hの間)を使用し、B-8L(180mg、0.37mmol)から出発して、白色固体(126mg、81%収率、UPLCMS分析に従えば98.7%の純度)として得られた。
【0201】
【数18】
【0202】
化合物B-9M、化合物24: 塩酸塩の形態での、1-[(3-フルオロフェニル)メチル]-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化81】

生産物B-9M、塩酸塩の形態での化合物24は、一般的手順Cを使用し、B-8M(97mg、0.25mmol)から出発して、白色固体(102mg、92%収率、UPLCMS分析に従えば99.2%の純度)として得られた。
【0203】
【数19】
【0204】
化合物B-9P、化合物27: 塩酸塩の形態での、1-(3-クロロベンジル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化82】

生産物B-9P、塩酸塩の形態での化合物27は、一般的手順Cを使用し、B-8P(74mg、0.18mmol)から出発して、白色固体(80mg、99%収率、UPLCMS分析に従えば97.95%の純度)として得られた。
【0205】
【数20】
【0206】
化合物B-9の調製のための一般的手順D:
25mLフラスコへ、化合物B-8を、これに続いてジオキサン(10mL)および濃HCl(1mL)を加えた。反応混合物を60℃で10分間攪拌した。溶媒を蒸発させ、および、残渣をi-PrOHから再結晶化させた。固体を濾過し、i-PrOH(2×5mL)で洗浄し、および真空下で乾燥させた。
【0207】
化合物B-9S、化合物30: 塩酸塩の形態での、4-(ピペラジン-1-イル)-1-(チオフェン-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化83】

生産物B-9S、塩酸塩の形態での化合物30は、一般的手順Dを使用し、B-8S(420mg、0.90mmol)から出発して、薄茶色固体(180mg、40%収率、UPLCMS分析に従えば95%の純度)として得られた。
【0208】
化合物B-9T、化合物31: 塩酸塩の形態での、4-(ピペラジン-1-イル)-1-(チオフェン-3-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化84】

生産物B-9T、塩酸塩の形態での化合物31は、一般的手順Dを使用し、B-8T(250mg、0.54mmol)から出発して、薄茶色固体(130mg、48%収率、UPLCMS分析に従えば96.7%の純度)として得られた。
【0209】
化合物B-9U、化合物32: 塩酸塩の形態での、4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(チオフェン-3-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化85】
【0210】
丸底フラスコへ、化合物B-9T(250mg、0.62mmol)を、これに続いてMeOH(5.5mL)、AcOH(40μl)およびホルムアルデヒド(600μL、37%水溶液)を加えた。反応混合物を40℃で0.5hの間攪拌し、およびこの後、全ての溶媒を蒸発させた。残渣を、ジオキサン(10mL)および濃HCl(1mL)中に溶解させた。反応混合物を60℃で10分間攪拌した。溶媒を蒸発させ、および、残渣をi-PrOHから再結晶化させた。固体を濾過し、i-PrOH(2×5mL)で洗浄し、および、真空下で乾燥させた。その結果として、化合物B-9U、塩酸塩の形態での化合物32が、薄茶色固体(48mg、19%収率、UPLCMS分析に従えば95%の純度)として得られた。
【0211】
化合物B-9W、化合物33: 塩酸塩の形態での、4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1-(チオフェン-2-イルメチル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【化86】

生産物B-9W、塩酸塩の形態での化合物33を、化合物B-9Uのためのものと同じ量の試薬を使用して得た。その結果として、生産物B-9W、化合物33が、B-9S(65mg、0.16mmol)から出発して、薄茶色固体(39mg、59%収率、UPLCMS分析に従えば99%の純度)として得られた。
【0212】
以下の例が、本明細書中に記載された手順または公知の文献に基づく方法に従い、適当な出発材料および当業者に公知の方法を使用して合成されている:
【表3-1】

【表3-2】

【表3-3】

【表3-4】

【表3-5】

【表3-6】

【表3-7】

【表3-8】

【表3-9】

【表3-10】

【表3-11】

【表3-12】
【表3-13】
【表3-14】
【0213】
生物学的例
生物学的例1.受容体結合アッセイ
試験および参照化合物の溶液の調製。試験された化合物の1mM保存溶液を、DMSO中に調製した。化合物の系列希釈物を、自動ピペッティングシステムepMotion 5070(Eppendorf)を使用して、アッセイ緩衝液中で96ウェルマイクロプレート中に調製した。各化合物を、1.0E-6~1.0E-11M(最終濃度)の10濃度で試験した。
【0214】
5-HT2A受容体結合アッセイ。ヒト5-HT2A受容体で安定的にトランスフェクトされたCHO K1細胞からの膜(PerkinElmer)を使用して、放射性リガンド結合を行った。全てのアッセイは、デュプリケートで実施した。50μlの試験された化合物の希釈標準溶液、50μlの[3H]-ケタンセリン(最終濃度1nM)および150μlの希釈された膜(ウェルあたり7μgのタンパク質)をアッセイ緩衝液(50mM Tris、pH 7.4、4mM CaCl2、0.1%アスコルビン酸)中において調製したものを、ポリプロピレン製96ウェルマイクロプレートへ、96ウェルピペッティングステーションRainin Liquidator(MettlerToledo)を使用して移した。非特異的結合を定義するために、ミアンセリン(10μM)を使用した。マイクロプレートをシーリングテープで被覆し、混合し、および、27℃で60分間インキュベートした。反応を、30分間0.5%ポリエチレンイミンに浸しておいたGF/Bフィルターメイト(filter mate)を通した急速濾過により終了させた。200μlの50mM Tris緩衝液(4℃、pH7.4)での10回の迅速洗浄を、自動ハーベスターシステムHarvester-96 MACH III FM(Tomtec)を使用して行った。フィルターメイトを、強制送風ファンインキュベーター中で37℃で乾燥させ、および次いで、固体シンチレーターMeltiLexを、90℃で5分間、フィルターメイト上で溶かした。放射能を、MicroBeta2シンチレーションカウンター(PerkinElmer)においてカウントした。Prism 6(GraphPadソフトウエア)を用いてデータをワンサイト・カーブフィッティング式に当てはめ、および、Cheng-Prusoff式からKi値を概算した。
【0215】
5-HT6受容体結合アッセイ。ヒト5-HT6受容体で安定的にトランスフェクトされたCHO K1細胞からの膜(PerkinElmer)を使用して、放射性リガンド結合を行った。全てのアッセイは、デュプリケートで実施した。50μlの試験された化合物の希釈標準溶液、50μlの[3H]-LSD(最終濃度1nM)および150μlの希釈された膜(ウェルあたり8μgのタンパク質)をアッセイ緩衝液(50mM Tris、pH 7.4、10mM MgCl2、0.1mM EDTA)中において調製したものを、ポリプロピレン製96ウェルマイクロプレートへ、96ウェルピペッティングステーションRainin Liquidator(MettlerToledo)を使用して移した。非特異的結合を定義するために、メチオテピン(10μM)を使用した。マイクロプレートをシーリングテープで被覆し、混合し、および、37℃で60分間インキュベートした。反応を、30分間0.5%ポリエチレンイミンに浸しておいたGF/Bフィルターメイトを通した急速濾過により終了させた。200μlの50mM Tris緩衝液(4℃、pH7.4)での10回の迅速洗浄を、自動ハーベスターシステムHarvester-96 MACH III FM (Tomtec)を使用して行った。フィルターメイトを、強制送風ファンインキュベーター中で37℃で乾燥させ、および次いで、固体シンチレーターMeltiLexを、90℃で5分間、フィルターメイト上で溶かした。放射能を、MicroBeta2シンチレーションカウンター(PerkinElmer)においてカウントした。Prism 6(GraphPadソフトウエア)を用いてデータをワンサイト・カーブフィッティング式に当てはめ、および、Cheng-Prusoff式からKi値を概算した。
【0216】
【表4-1】

【表4-2】
【0217】
上に提示された結果は、全ての試験された化合物が5-HT2Aおよび5-HT6受容体の両方についての高い親和性を保有するということを確認し、それらのデュアル受容体リガンド特性を確認している。
【0218】
生物学的例2.機能活性アッセイ
試験化合物および参照化合物の溶液の調製。試験された化合物の1mM保存溶液を、DMSO中に調製した。化合物の系列希釈物を、自動ピペッティングシステムepMotion 5070(Eppendorf)を使用して、アッセイ緩衝液中で96ウェルマイクロプレート中に調製した。デュプリケートでの2回の独立した実験を行い、および6~10の濃度を試験した。
【0219】
5-HT2Aおよび5-HT6機能活性アッセイ。細胞エクオリンに基づいた機能アッセイを、ミトコンドリア標的エクオリン、ヒトGPCR(5-HT2Aまたは5-HT6)および混交(promiscuous)Gタンパク質α16を発現する、γ-照射組換えCHO-K1細胞(PerkinElemer)で行った。製造者によって提供された標準プロトコルに従ってアッセイを行った。解凍後、細胞をアッセイ緩衝液(0.1%プロテアーゼフリーBSA含DMEM/HAM’s F12)へ移し、および遠心分離した。細胞ペレットを、アッセイ緩衝液中に再懸濁させ、および、セレンテラジンhを5μMの最終濃度で加えた。細胞懸濁液を21℃でインキュベートし、4時間一定した振盪で光から保護し、および次いで、250,000細胞/mlの濃度へとアッセイ緩衝液で希釈した。1時間のインキュベーションの後、50μlの細胞懸濁液を、自動インジェクター内蔵の放射および発光プレートカウンターMicroBeta2 LumiJET(PerkinElmer, USA)を使用して、試験された化合物が予めロードされている白色不透明96ウェルマイクロプレート中へと分注した。即時の発光により生ずるカルシウム動員を、30~60秒間記録した。アンタゴニストモードでは、15~30分のインキュベーションの後、参照アゴニストを上記のアッセイミックスへ加え、およびここでも同じく発光を記録した。参照アゴニストの最終濃度は、等しいEC80であった:5-HT6受容体についてはセロトニン40nM、および、5-HT2A受容体についてはα-メチルセロトニン30M。アッセイは、アゴニストモード(5-HT6 AGOおよび5-HT2A AGO)ならびにアンタゴニストモード(5-HT6 ANTおよび5-HT2A ANT)で行った。
【0220】
GraphPad Prism 6.0ソフトウエアを使用して非線形回帰分析によりIC50およびEC50を決定した。Cheng-Prusoff近似を適用することによりKbを得るために、logIC50を使用した。
【0221】
【表5】
【0222】
上に提示された結果は、全ての試験された化合物が5-HT2Aおよび5-HT6受容体の両方で高い拮抗的特性を保有するということを確認し、それらのデュアル受容体アンタゴニスト特性を確認している。
【0223】
生物学的例3.Wistarラットにおける、5-HT 2A/C 受容体アゴニストである1-(2,5-ジメトキシ-4-ヨードフェニル)-2-アミノプロパン塩酸塩(DOI)によって誘発される頭部けいれんに対する化合物1および17の効果
A.対象
薬物ナイーブな雄のWistarラット(Charles River, Sulzfeld, Germany)を使用した。ラットを、標準プラスチックケースあたり4匹飼育し、および、一定した環境条件(22±1℃、相対湿度60%、07:00に明かりが付く12:12明暗サイクル)の室内に保った。動物は、行動実験手順の始まりの2週間前にブリーダーにより供給された。この時間の間、対象を秤量しおよび取り扱うことを数回行った。ラットは、蒸留水(1~2mL)の強制投薬により、塩酸塩の形態での試験された化合物のp.o.投与にもまた慣らされた。水道水および標準的な実験用飼料(Labofeed H, WPIK, Kcynia, Poland)を、自由に入手可能とした。
本研究におけるラットの処置は、ポーランドおよびヨーロッパ(指令第2010/63/EU号)のそれぞれの規則において定められた倫理基準に完全に準拠した。全ての手順は、倫理委員会によりレビューおよび承認された。
【0224】
B.DOI誘発性頭部けいれん
全ての試験は、防音の実験室の中で、10:00a.m.と04:00p.m.の間に実施した。DOI誘発性頭部けいれんを、Millan et al.(2000)により記載されたとおりにスコア付けした。ラットにDOIを注射し(2.5mg/kg、i.p.)、および、木製チップを床に敷いたガラス製の観察ケージ(25×25×40cm、W×H×L)の中に置いた。5分後に、訓練された観察者によって5分(300秒)間、頭部けいれんをカウントした。塩酸塩の形態での試験された化合物を、薬物ナイーブな対象の異なる群へ、観察期間の開始の180分前にp.o.投与した。
【0225】
C.薬物
DOIを、滅菌生理食塩水(Baxter, Warsaw, Poland)中に溶解させ、および1.0ml/kgの体積でi.p.投与した。塩酸塩の形態での試験された化合物を、0.5% tween中に溶解させ、および2.0ml/kgの体積でp.o.投与した。全ての溶液は、使用の直前に調製し、および、光から保護した。
D.データ分析:
頭部けいれんの合計数(n/5分)を、Kruskal-Wallis分散分析(ANOVA)で補助して分析した。Mann-WhitneyのU検定を、個別の事後比較のために使用した(表1)。0.05未満のP値を有意とみなした。Windows用のStatistica 12.0ソフトウエアパッケージ(StatSoft, Tulsa, OK, USA)を、全てのデータを分析するために使用した。
【0226】
結果
両方の試験された化合物は、化合物1については3.0mg/kgの、および化合物17については1.0mg/kgの最小有効量で、DOI(2.5mg/kg)誘発性の頭部けいれんを用量依存的に減衰させた。
【0227】
生物学的例4.Wistarラットにおける、受動的回避テストにおけるスコポラミンによって誘発される学習および記憶の欠陥に対する化合物1および17の効果
A.対象
薬物ナイーブな雄のWistarラット(Charles River, Sulzfeld, Germany)を使用した。ラットを、標準プラスチックケースあたり4匹飼育し、および、一定した環境条件(22±1℃、相対湿度60%、07:00に明かりが付く12:12明暗サイクル)の室内に保った。動物は、行動実験手順の始まりの2週間前にブリーダーにより供給された。この時間の間、対象を秤量しおよび取り扱うことを数回行った。ラットは、蒸留水(1~2mL)の強制投薬により、塩酸塩の形態での試験された化合物のp.o.投与にもまた慣らされた。水道水および標準的な実験用飼料(Labofeed H, WPIK, Kcynia, Poland)を、自由に入手可能とした。
本研究におけるラットの処置は、ポーランドおよびヨーロッパ(指令第2010/63/EU号)のそれぞれの規則において定められた倫理基準に完全に準拠した。全ての手順は、地元の倫理委員会によりレビューおよび承認された。
【0228】
B.ステップ・スルー型受動回避試験
学習および記憶機能に対する、試験された化合物の効果を、ステップ・スルー型受動回避試験(Ishiyama et al., 2007)を使用して評価した。受動回避装置(PACS-30, Columbus Instruments, Columbus, OH, USA)は、黒色のPlexiglasカバーを持った4つの同一のステンレス製ケージを含んでいた。各ケージは、明かりの付いたおよび暗い区画(23×23×23cm)ならびにステンレス製の格子の床からなっていた。2つの区画は、自動スライドドアによって分離された(PACS-30, Columbus)。
【0229】
訓練(習得)セッションにおいて、動物を、明かりの付いた区画に個別に置き、および10sの間自由に探索させた。次いでスライドドアを開放し、および、動物が暗い区画に進入するまでのステップ・スルー潜時を300-sのカットオフ時間で測定した。動物が暗い区画に進入するとすぐに、ドアを閉めた。回避不可能な足部ショック(3sの間0.5mA)を、3s後に格子の床を通して定電流感電発生器(Columbus)で送った。スコポラミン(0.3mg/kg)を、訓練期間の30分前にi.p.投与した。塩酸塩の形態での試験された化合物またはそれらのビヒクルを、訓練期間の開始の180分前にp.o.投与した。
【0230】
試験(発現)セッションを、訓練セッションの24h後に、同じ枠組みで、ただし何らの足部ショックまたは薬物注射もなく、行った。動物が暗い区画に進入するまでのステップ・スルー潜時を300-sのカットオフ時間で測定した。試験セッションにおける暗い区画に進入するまでのステップ・スルー潜時の、試験された化合物に誘発される変化を、それの記憶促進(promnesic)または健忘効果(Ishiyama et al., 2007)の尺度として扱った。
【0231】
C.薬物
スコポラミン(Adamedにより提供された)を、滅菌生理食塩水(0.9% NaCl;Baxter, Warsaw, Poland)中に溶解させ、および2.0ml/kgの体積でi.p.投与した。塩酸塩の形態での試験された化合物を、0.5% tween中に溶解させ、および2.0ml/kgの体積でp.o.投与した。全ての溶液は、使用の直前に調製し、および、光から保護した。
【0232】
D.データ提示および分析
体重(g)および訓練/試験潜時(s)を、一元配置分散分析(ANOVA)で補助して分析した。受動回避データは、正規分布していなかったので、ステップ・スルー潜時もまた、Kruskal-Wallis分散分析(ANOVA)およびMann-WhitneyのU検定で補助して分析した。0.05未満のP値を有意とみなした。Windows用のStatistica 12.0ソフトウエアパッケージ(StatSoft, Tulsa, OK, USA)を、全てのデータを分析するために使用した。
【0233】
結果
スコポラミン(0.3mg/kg)との組み合わせで投与された、両方の試験された化合物は、試験セッションにおいて、暗い区画に進入するまでのステップ・スルー潜時を有意に引き延ばした。最小有効用量(MED)は、化合物1については3.0mg/kgであり、および、化合物17については1.0mg/kgであった。
【0234】
参照:
【表6-1】

【表6-2】

【表6-3】

【表6-4】