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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】人体シミュレーション装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/34 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
G09B23/34
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020551652
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(86)【国際出願番号】 JP2018038674
(87)【国際公開番号】W WO2020079778
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】浪間 聡志
(72)【発明者】
【氏名】久保 佑太
(72)【発明者】
【氏名】浅畑 絵里花
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-170075(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0288840(US,A1)
【文献】特開2013-029820(JP,A)
【文献】特開2018-072387(JP,A)
【文献】特開2008-237304(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/158222(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0218437(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大動脈を模した内腔を有する大動脈モデルと、
前記大動脈モデルに備えられた複数の生体モデル接続部と、
部分血管モデルが表面または内部に配設された少なくとも1つの生体モデルと、
前記大動脈モデルの前記内腔に流体を供給するための流体供給部を接続する流体供給部接続部とを備え、
前記少なくとも1つの生体モデルは、前記部分血管モデルの内腔と前記大動脈モデルの内腔とを連通させた状態で、前記複数の生体モデル接続部のうち、それぞれ対応する生体モデル接続部に着脱可能に接続されている人体シミュレーション装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの生体モデルは、脳を模した脳モデル、心臓を模した心臓モデル、肝臓を模した肝臓モデル、および下肢を模した下肢モデルのうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載の人体シミュレーション装置。
【請求項3】
前記部分血管モデルの一部分には、内部に病変を模擬した病変部が形成されている請求項1または請求項2に記載の人体シミュレーション装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの生体モデルは心臓を模した心臓モデルを含み、
前記心臓モデルは、内腔を有しており、
さらに、前記心臓モデルの前記内腔に拡張媒体を送出及び吸出することにより前記心臓モデルを拍動させる拍動部が備えられ、
前記心臓モデルと前記拍動部とは、前記拍動部へと繋がる第1管状体と、前記第1管状体に接続されている、先端が心臓モデルの内腔に連通する第2管状体とを介して互いに接続されており、
前記流体供給部接続部には、前記流体供給部として、前記大動脈モデルに対して脈動させた流体を送出する脈動部が備えられ、
前記大動脈モデルと前記脈動部とは、第3管状体を介して互いに接続されている、
経皮的冠動脈形成術の手技を模擬するために用いられる請求項2または請求項3のうちのいずれか一項に記載の人体シミュレーション装置。
【請求項5】
さらに横隔膜を模した横隔膜モデルと、前記横隔膜モデルに呼吸動作を模擬した動作をさせる呼吸動作部とを備える請求項2から請求項4のうちのいずれか一項に記載の人体シミュレーション装置。
【請求項6】
大動脈を模した内腔を有する大動脈モデルと、前記大動脈モデルに備えられた1つの生体モデル接続部と、前記大動脈モデルの前記内腔に流体を供給するための流体供給部を接続する流体供給部接続部とを備え、
前記の1つの生体モデル接続部に、脳を模した部分血管モデルが表面または内部に配設された脳モデル、心臓を模した部分血管モデルが表面または内部に配設された心臓モデル、肝臓を模した部分血管モデルが表面または内部に配設された肝臓モデル、および下肢を模した部分血管モデルが表面または内部に配設された下肢モデルから選択された1つの生体モデルが、その前記部分血管モデルの内腔と前記大動脈モデルの前記内腔とを連通させた状態で着脱可能に接続されている人体シミュレーション装置。
【請求項7】
前記部分血管モデルの一部分には、内部に病変を模擬した病変部が形成されている請求項6に記載の人体シミュレーション装置。
【請求項8】
前記生体モデルは前記心臓モデルであり、
前記心臓モデルは、内腔を有しており、
さらに、前記心臓モデルの前記内腔に拡張媒体を送出及び吸出することにより前記心臓モデルを拍動させる拍動部が備えられ、
前記心臓モデルと前記拍動部とは、前記拍動部へと繋がる第1管状体と、前記第1管状体に接続されている、先端が心臓モデルの内腔に連通する第2管状体とを介して互いに接続されており、
前記流体供給部接続部には、前記流体供給部として、前記大動脈モデルに対して脈動させた流体を送出する脈動部が備えられ、
前記大動脈モデルと前記脈動部とは、第3管状体を介して互いに接続されている、
経皮的冠動脈形成術の手技を模擬するために用いられる請求項6または請求項7に記載の人体シミュレーション装置。
【請求項9】
さらに横隔膜を模した横隔膜モデルと、前記横隔膜モデルに呼吸動作を模擬した動作をさせる呼吸動作部とを備える請求項6から請求項8のうちのいずれか一項に記載の人体シミュレーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体シミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
循環器系や消化器系等の生体管腔内への低侵襲な治療または検査のために、カテーテル等の医療用デバイスが使用されている。また、医師等の術者が、これらの医療用デバイスを用いた手技を模擬することが可能な装置やシステムが知られている。例えば、特許文献1には、大動脈瘤もしくは大動脈解離が発生した患者の大動脈を模した大動脈モデルを備え、カテーテルを用いたステントグラフト内挿術の手技を模擬することが可能なシミュレーションシステムが開示されている。一方、例えば、特許文献2には、拡縮可能な訓練用心臓を備え、一般的に行われている開胸心臓手術である冠動脈バイパス術(CABG:Coronary Artery Bypass Grafting)の手技を模擬することが可能な心臓シミュレーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-64487号公報
【文献】特開2017-40812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のシミュレーションシステムでは、大動脈モデル以外の生体モデルを有さないため、シミュレーションシステムを用いて模擬できる手技の種類が限定されるという課題があった。また、特許文献2に記載の心臓シミュレーション装置では、カテーテル等の、低侵襲な治療または検査のための医療用デバイスを用いた手技の模擬について考慮されていない。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、低侵襲な治療または検査のための医療用デバイスを用いた様々な手技の模擬が可能な人体シミュレーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、人体シミュレーション装置が提供される。この人体シミュレーション装置は、大動脈を模した大動脈モデルと、一部の血管を模した部分血管モデルを含むとともに、人体内の一部を模した生体モデルと、を備え、前記大動脈モデルは、前記大動脈モデルの内腔と前記部分血管モデルの内腔とを連通させた状態で、前記生体モデルを着脱可能に接続する生体モデル接続部と、前記内腔に流体を供給するための流体供給部を接続する流体供給部接続部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、人体シミュレーション装置では、生体モデル接続部に人体内の一部を模した生体モデルを接続することによって、循環器系や消化器系など、接続された生体モデルに応じた各器官の生体管腔に対する、カテーテルやガイドワイヤ等の医療用デバイスを用いた様々な手技を模擬することができる。また、生体モデル接続部は、生体モデルを着脱可能に接続することができるため、手技に不要な生体モデルを取り外して別途保存することも可能であり、利便性を向上できる。
【0009】
(2)上記形態の人体シミュレーション装置において、前記生体モデル接続部は、脳を模した脳モデルを接続するための第1接続部と、心臓を模した心臓モデルを接続するための第2接続部と、肝臓を模した肝臓モデルを接続するための第3接続部と、下肢を模した下肢モデルを接続するための第4接続部と、のうちの少なくとも2つ以上を備えていてもよい。この構成によれば、生体モデル接続部は、第1~第4接続部のうちの少なくとも2つ以上を備えるため、大動脈モデルに対して、脳モデル、心臓モデル、肝臓モデル、及び下肢モデルのうちの2つ以上を同時に接続することが可能となる。この結果、例えば、複数の血管に対する治療または検査を1つの人体シミュレーション装置で模擬することができる。
【0010】
(3)上記形態の人体シミュレーション装置では、前記大動脈モデルにおいて、前記第1接続部は、大動脈弓またはその近傍に配置され、前記第2接続部は、上行大動脈またはその近傍に配置され、前記第3接続部は、腹部大動脈またはその近傍に配置され、前記第4接続部は、総腸骨大動脈またはその近傍に配置されていてもよい。この構成によれば、大動脈モデルにおいて、第1接続部は大動脈弓またはその近傍に配置され、第2接続部は上行大動脈またはその近傍に配置され、第3接続部は腹部大動脈またはその近傍に配置され、第4接続部は総腸骨大動脈またはその近傍に配置されているため、大動脈モデルに接続された脳モデル、心臓モデル、肝臓モデル、及び下肢モデルを、実際の人体における脳、心臓、肝臓、下肢の位置に無理なく配置できる。
【0011】
(4)上記形態の人体シミュレーション装置において、前記部分血管モデルは、前記一部の血管の各部をそれぞれ構成する複数の血管構成部を備え、前記複数の血管構成部のうちの少なくとも一部には、前記血管の内外部において病変を模擬した病変部が形成されていてもよい。この構成によれば、部分血管モデルは複数の血管構成部を備え、複数の血管構成部のうちの少なくとも一部には、病変を模擬した病変部が形成されている。このため、術者は、部分血管モデルに形成された病変部に対して、ガイドワイヤやカテーテル等の医療用デバイスを用いた手技(例えば、PCI等の手技)を模擬できる。
【0012】
(5)上記形態の人体シミュレーション装置において、前記生体モデル接続部は、前記大動脈モデルの前記内腔に繋がる開口の外周に形成された第1フランジ部を備え、前記部分血管モデルは、前記部分血管モデルの前記内腔に繋がる開口の外周に形成された第2フランジ部を備え、前記生体モデルは、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを突き合わせた状態で固定されることによって、前記大動脈モデルに接続されていてもよい。この構成によれば、大動脈モデル側の第1フランジ部と、部分血管モデル側の第2フランジ部とを突き合わせた状態で固定することによって、大動脈モデルに対して生体モデルを簡単に接続することができる。
【0013】
(6)上記形態の人体シミュレーション装置では、さらに、突き合わせた状態の前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との外縁に係合することで、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを固定する固定部材を備えていてもよい。この構成によれば、突き合わせた状態の第1フランジ部と第2フランジ部との外縁に係合する固定部材によって、第1フランジ部と第2フランジ部とを簡単に固定することができる。
【0014】
(7)上記形態の人体シミュレーション装置において、前記部分血管モデルは、基端が前記生体モデル接続部に接続可能に構成されるとともに、先端が前記生体モデルの表面と内部とのうちの少なくとも一方に配設されていてもよい。この構成によれば、生体モデルの表面に配設された部分血管モデルによって、例えば、脳の後大脳動脈、心臓の左冠動脈及び右冠動脈等を模擬できる。また、生体モデルの内部に配設された部分血管モデルによって、例えば、脳の中大脳動脈、肝臓の肝動脈、下肢の大腿動脈等を模擬できる。
【0015】
(8)上記形態の人体シミュレーション装置において、前記大動脈モデルと、前記大動脈モデルに接続された前記生体モデルとは、流体としての液体を満たすことが可能な水槽に収容されていてもよい。この構成によれば、大動脈モデル及び生体モデルは、液体を満たす水槽に収容されているため、大動脈モデルと生体モデルとを、実際の人体における各部と同様に湿潤状態に維持することができる。
【0016】
(9)上記形態の人体シミュレーション装置において、前記生体モデルは、内腔を有し、心臓を模した心臓モデルであり、さらに、前記心臓モデルの前記内腔に対する拡張媒体の送出及び吸出により、前記心臓モデルを拍動させる拍動部を備え、前記拡張媒体は、放射線透過性の液体であってもよい。この構成によれば、心臓モデルの内腔に対する拡張媒体の送出及び吸出を行う拍動部によって、心臓モデルを実際の人体と同様に拍動させることができる。また、拍動部では、拡張媒体として放射線透過性の液体が使用されるため、造影画像への拡張媒体の写り込みを抑制し、利用者の没入感を向上できる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、人体シミュレーション装置、血管モデルや臓器モデル等の生体モデル、人体シミュレーション装置の制御方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態の人体シミュレーション装置の概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態の人体シミュレーション装置の概略構成を示す図である。
図3】大動脈モデルの構成の一例を示す図である。
図4】モデルの構成の一例を示す図である。
図5】モデルの構成の一例を示す図である。
図6】心臓モデルの一例を示す図である。
図7】モデルの構成の一例を示す説明図である。
図8】モデルの構成の他の例を示す説明図である。
図9】生体モデル接続部の一例について説明する図である。
図10】生体モデル接続部の他の例について説明する図である。
図11】生体モデル接続部の他の例について説明する図である。
図12】固定部材の一例について説明する図である。
図13】固定部材の一例について説明する図である。
図14】不使用時における生体モデル接続部の一例について説明する図である。
図15】制御部における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図16】第2モード処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図17】第2モード処理のステップS76について説明する図である。
図18】第2実施形態のモデルの構成の一例を示す説明図である。
図19】第3実施形態の心臓モデルの一例を示す図である。
図20】第4実施形態における生体モデル接続部について説明する図である。
図21】第5実施形態における生体モデル接続部について説明する図である。
図22】第6実施形態における人体シミュレーション装置の概略構成を示す図である。
図23】第6実施形態における第2モード処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図24】第7実施形態における人体シミュレーション装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
図1及び図2は、第1実施形態の人体シミュレーション装置1の概略構成を示す図である。本実施形態の人体シミュレーション装置1は、人体の循環器系、消化器系、呼吸器系等の生体管腔内に対する、カテーテルやガイドワイヤ等の、低侵襲な治療または検査のための医療用デバイスを用いた治療または検査の手技を模擬するために使用される装置である。人体シミュレーション装置1は、モデル10と、収容部20と、制御部40と、入力部45と、脈動部50と、拍動部60と、呼吸動作部70とを備えている。
【0020】
図2に示すように、モデル10は、人体の心臓を模した心臓モデル110と、肺を模した肺モデル120と、横隔膜を模した横隔膜モデル170と、脳を模した脳モデル130と、肝臓を模した肝臓モデル140と、下肢を模した下肢モデル150と、大動脈を模した大動脈モデル160とを備えている。以降、心臓モデル110、肺モデル120、横隔膜モデル170、脳モデル130、肝臓モデル140、及び下肢モデル150を総称して「生体モデル」とも呼ぶ。肺モデル120と横隔膜モデル170とを総称して「呼吸器モデル」とも呼ぶ。肺モデル120と横隔膜モデル170とを除く各生体モデルは、大動脈モデル160に接続されている。モデル10の詳細は後述する。
【0021】
収容部20は、水槽21と、被覆部22とを備える。水槽21は、上部が開口した略直方体状の水槽である。図1に示すように、水槽21の内部に流体を満たした状態で、水槽21の底面にモデル10が裁置されることで、モデル10が流体内に没する。本実施形態では流体として水(液体)を使用するため、モデル10を実際の人体と同様に湿潤状態に保つことできる。なお、流体としては他の液体(例えば、生理食塩水、任意の化合物の水溶液等)を採用してもよい。水槽21に充填された流体は、モデル10の大動脈モデル160等の内部に取り込まれ、血液を模擬した「模擬血液」として機能する。
【0022】
被覆部22は、水槽21の開口を覆う板状の部材である。被覆部22の一方の面を流体に接触させ、他方の面を外気に接触させた状態で被覆部22を裁置することにより、被覆部22は波消し板として機能する。これにより、水槽21の内部の流体が波打つことによる視認性の低下を抑制できる。本実施形態の水槽21及び被覆部22は、X線透過性を有すると共に透明性の高い合成樹脂(例えばアクリル樹脂)で形成されているため、外部からのモデル10の視認性を向上できる。なお、水槽21及び被覆部22は他の合成樹脂を用いて形成されていてもよく、水槽21と被覆部22とが異なる材料で形成されていてもよい。
【0023】
制御部40は、図示しないCPU、ROM、RAM、及び記憶部を備え、ROMに格納されているコンピュータプログラムをRAMに展開して実行することにより、脈動部50、拍動部60、及び呼吸動作部70の動作を制御する(詳細は後述する)。入力部45は、利用者が人体シミュレーション装置1に対して情報を入力するために使用される種々のインターフェースである。入力部45としては、例えば、タッチパネル、キーボード、操作ボタン、操作ダイヤル、マイク等を採用できる。以降、入力部45としてタッチパネルを例示する。
【0024】
脈動部50は、大動脈モデル160に対して脈動させた流体を送出する「流体供給部」である。具体的には、脈動部50は、図1において白抜き矢印で示すように、水槽21内の流体を循環させて、モデル10の大動脈モデル160へと供給する。本実施形態の脈動部50は、フィルタ55と、循環ポンプ56と、脈動ポンプ57とを備えている。フィルタ55は、管状体31を介して水槽21の開口21Oと接続されている。フィルタ55は、フィルタ55を通過する流体を濾過することで、流体中の不純物(例えば、手技で使用された造影剤等)を除去する。循環ポンプ56は、例えば、非容積式の遠心ポンプであり、水槽21から管状体31を介して供給される流体を、一定の流量で循環させる。
【0025】
脈動ポンプ57は、例えば、容積式の往復ポンプであり、循環ポンプ56から送出された流体に脈動を加える。脈動ポンプ57は、管状体51を介してモデル10の大動脈モデル160と接続されている(図2)。このため、脈動ポンプ57から送出された流体は、大動脈モデル160の内腔へと供給される。なお、脈動ポンプ57としては、往復ポンプに代えて、低速運転させた回転ポンプを利用してもよい。また、フィルタ55及び循環ポンプ56は省略してもよい。管状体31及び管状体51は、X線透過性を有する軟性素材の合成樹脂(例えばシリコン等)で形成された可撓性を有するチューブである。
【0026】
拍動部60は、心臓モデル110を拍動させる。具体的には、拍動部60は、図1において斜線ハッチングを付した矢印で示すように、心臓モデル110の内腔に流体の送出を行うことで心臓モデル110を拡張させ、心臓モデル110の内腔の流体の吸出を行うことで心臓モデル110を収縮させる。拍動部60は、これら送出及び吸出動作を繰り返すことで、心臓モデル110の拍動動作(拡張及び収縮動作)を実現する。拍動部60において使用される流体(以降、「拡張媒体」とも呼ぶ)としては、模擬血液と同様に、液体が使用されてもよく、例えば空気等の気体が使用されてもよい。拡張媒体は、ベンゼン、エタノール等の有機溶媒や、水等の放射線透過性の液体であることが好ましい。拍動部60は、例えば、容積式の往復ポンプを用いて実現できる。拍動部60は、管状体61を介してモデル10の心臓モデル110と接続されている(図2)。管状体61は、X線透過性を有する軟性素材の合成樹脂(例えばシリコン等)で形成された可撓性を有するチューブである。
【0027】
呼吸動作部70は、肺モデル120及び横隔膜モデル170に呼吸動作を模擬した動作をさせる。具体的には、呼吸動作部70は、図1においてドットハッチングを付した矢印で示すように、肺モデル120の内腔と横隔膜モデル170とに対する流体の送出を行うことで、肺モデル120を拡張させると共に横隔膜モデル170を収縮させる。また、呼吸動作部70は、肺モデル120の内腔と横隔膜モデル170とから流体の吸出を行うことで、肺モデル120を収縮させると共に横隔膜モデル170を弛緩させる。呼吸動作部70は、これら送出及び吸出動作を繰り返すことで、肺モデル120及び横隔膜モデル170の呼吸動作を実現する。呼吸動作部70において使用される流体としては、模擬血液と同様に、液体が使用されてもよく、例えば空気等の気体が使用されてもよい。呼吸動作部70は、例えば、容積式の往復ポンプを用いて実現できる。呼吸動作部70は、管状体71を介してモデル10の肺モデル120と接続され、管状体72を介して横隔膜モデル170と接続されている(図2)。管状体71,72は、X線透過性を有する軟性素材の合成樹脂(例えばシリコン等)で形成された可撓性を有するチューブである。
【0028】
図3は、大動脈モデル160の構成の一例を示す図である。大動脈モデル160は、人体の大動脈を模した各部、すなわち、上行大動脈を模した上行大動脈部161と、大動脈弓を模した大動脈弓部162と、腹部大動脈を模した腹部大動脈部163と、総腸骨大動脈を模した総腸骨大動脈部164とで構成されている。
【0029】
大動脈モデル160は、上行大動脈部161の端部において、心臓モデル110を接続するための第2接続部161Jを備えている。同様に、大動脈弓部162の近傍において、脳モデル130を接続するための第1接続部162Jを備え、腹部大動脈部163の近傍において、肝臓モデル140を接続するための第3接続部163Jaを備え、総腸骨大動脈部164の端部において、左右の下肢モデル150を接続するための2つの第4接続部164Jを備えている。なお、第2接続部161Jは上行大動脈部161またはその近傍に配置されていれば足り、第4接続部164Jは総腸骨大動脈部164またはその近傍に配置されていれば足りる。以降、これらの第1~第4接続部161J~164Jを総称して「生体モデル接続部」とも呼ぶ。また、大動脈モデル160は、腹部大動脈部163の近傍において、脈動部50を接続するための流体供給部接続部163Jbを備えている。なお、流体供給部接続部163Jbは、腹部大動脈部163の近傍に限らず、上行大動脈部161の近傍や、脳血管モデル131(例えば、総頸動脈)の近傍等の任意の位置に配置されてよい。また、大動脈モデル160は、異なる位置に配置された複数の流体供給部接続部163Jbを備えてもよい。
【0030】
また、大動脈モデル160の内部には、上述した生体モデル接続部及び流体供給部接続部(第1接続部162J、第2接続部161J、第3接続部163Ja、2つの第4接続部164J、流体供給部接続部163Jb)においてそれぞれ開口した内腔160Lが形成されている。内腔160Lは、脈動部50から供給された模擬血液(流体)を、心臓モデル110、脳モデル130、肝臓モデル140、及び下肢モデル150へと輸送するための流路として機能する。
【0031】
本実施形態の大動脈モデル160は、X線透過性を有する軟性素材の合成樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、シリコン等)により形成されている。特に、PVAを使用する場合、PVAの親水性によって、液体内に没した大動脈モデル160の触感を、実際の人体の大動脈の触感に似せることができる点で好ましい。
【0032】
大動脈モデル160は、例えば、次のようにして作製できる。まず、人体の大動脈の形状を模した型を準備する。型は、実際の人体のコンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)画像や、核磁気共鳴画像法(MRI:Magnetic Resonance Imaging)画像等を解析して生成された人体モデルデータのうち、大動脈に相当する部分のデータを、例えば3Dプリンタに入力して印刷することによって作製できる。型は、石膏であってもよく、金属であってもよく、樹脂であってもよい。次に、準備した型の内側に、液状にした合成樹脂材料を塗布し、合成樹脂材料が冷え固まったのち脱型する。このようにすれば、内腔160Lを有する大動脈モデル160を、簡単に作製できる。
【0033】
図4及び図5は、モデル10の構成の一例を示す図である。図6は、心臓モデル110の一例を示す図である。図4に示すように、心臓モデル110は、心臓を模した形状であり、内部には内腔110Lが形成されている。本実施形態の心臓モデル110は、X線透過性を有する軟性素材の合成樹脂(例えば、シリコン等)により形成され、大動脈モデル160と同様に、人体モデルデータから作製された型の内側に合成樹脂材料を塗布し脱型することで作製し得る。また、心臓モデル110は、心臓血管モデル111と、管状体115とを備えている。なお、図6では、心臓モデル110の内腔110L及び管状体115の図示を省略している。
【0034】
心臓血管モデル111は、上行大動脈の一部と冠動脈とを模した管状の血管モデルであり、X線透過性を有する軟性素材の合成樹脂(例えば、PVA、シリコン等)により形成されている。図6に示すように、心臓血管モデル111の基端111Pは、大動脈モデル160の第2接続部161Jに接続されている。ここで、心臓血管モデル111の基端111Pは、心臓血管モデル111の内腔111Lと、大動脈モデル160の内腔160Lとを連通させた状態で、第2接続部161Jに接続されている。また、図6に示すように、心臓血管モデル111の先端111Dは、右冠動脈を模した管状の右冠動脈モデル112Rと、左冠動脈を模した管状の左冠動脈モデル112Lとに分岐して、心臓モデル110の表面110Sにそれぞれ配設されている。
【0035】
左右の冠動脈モデル112L,Rは、それぞれ、各枝の先端部に、大動脈モデル160(内腔160L)から心臓血管モデル111(内腔111L)を介して供給された流体を、外部(水槽21内)へ放出するための開口112Oを有している。なお、左右の冠動脈モデル112は、開口112Oを備えてもよく、備えなくてもよい。管状体115は、X線透過性を有する軟性素材の合成樹脂(例えばシリコン等)で形成された可撓性を有するチューブである。管状体115は、先端115Dが心臓モデル110の内腔110Lに連通するよう接続され、基端115Pが拍動部60へと繋がる管状体61に連通するよう接続されている。
【0036】
肺モデル120(図4)は、右肺及び左肺をそれぞれ模した形状であり、内部には、右肺と左肺とが連通した状態の1つの内腔120Lが形成されている。肺モデル120は、心臓モデル110の左右を覆う配置とされている。肺モデル120の作製に採用し得る材料及び製法は、心臓モデル110と同様である。肺モデル120の材料と心臓モデル110の材料は同じであってもよく、相違していてもよい。また、肺モデル120は、気管の一部を模した管状のモデルである気管モデル121を備えている。気管モデル121は、心臓モデル110の管状体115と同様の材料で作製できる。気管モデル121の材料と管状体115の材料は同じであってもよく、相違していてもよい。気管モデル121は、先端121Dが肺モデル120の内腔120Lに連通するよう接続され、基端121Pが呼吸動作部70へと繋がる管状体71に連通するよう接続されている。
【0037】
横隔膜モデル170(図4)は、横隔膜を模した形状であり、内部には内腔170Lが形成されている。横隔膜モデル170は、心臓モデル110の下方(換言すれば、心臓モデル110を挟んで脳モデル130とは逆方向)に配置されている。横隔膜モデル170の作製に採用し得る材料及び製法は、心臓モデル110と同様である。横隔膜モデル170の材料と心臓モデル110の材料は同じであってもよく、相違していてもよい。また、横隔膜モデル170には、横隔膜モデル170の内腔170Lと管状体72の内腔とを連通させた状態で、呼吸動作部70へと繋がる管状体72が接続されている。
【0038】
脳モデル130(図4)は、脳を模した形状であり、内腔を有さない中実形状である。脳モデル130は、心臓モデル110の上方(換言すれば、心臓モデル110を挟んで横隔膜モデル170とは逆方向)に配置されている。脳モデル130の作製に採用し得る材料及び製法は、心臓モデル110と同様である。脳モデル130の材料と心臓モデル110の材料は同じであってもよく、相違していてもよい。また、脳モデル130は、左右で一対の総頸動脈から左右で一対の椎骨動脈を含む主要動脈のうち少なくとも一部を模した管状の血管モデルである脳血管モデル131を備えている。脳血管モデル131は、心臓モデル110の心臓血管モデル111と同様の材料で作製できる。脳血管モデル131の材料と心臓血管モデル111の材料は同じであってもよく、相違していてもよい。また、図示していないが、脳血管モデル131は動脈だけでなく、上大脳静脈や直静脈洞を含む主要静脈を模擬していてもよい。
【0039】
なお、脳モデル130は、ヒトの頭蓋及び頸椎を模した骨モデルをさらに備えた複合体であってもよい。例えば、頭蓋は、頭頂骨、側頭骨、後頭骨、蝶形骨を模擬した硬質樹脂ケースと、前頭骨を模擬した蓋と、を有し、頸椎は、内部に血管モデルが通過可能な貫通孔を有する矩形の樹脂体を複数有していてもよい。骨モデルを備える場合、骨モデルは血管モデル、脳モデル等の臓器モデルとは硬度の異なる樹脂で作製され、例えば、頭蓋をアクリル樹脂、椎骨をPVAで作製することができる。
【0040】
脳血管モデル131は、先端131Dが脳モデル130に接続され、基端131Pが大動脈モデル160の第1接続部162J(例えば、ヒトにおける腕頭動脈、鎖骨下動脈、またはその近傍)に接続されている。ここで、脳血管モデル131の先端131Dは、心臓血管モデル111と同様に、椎骨を通過する椎骨動脈および脳モデル130の表面及び/または内部へと配設された他の血管(例えば、後大脳動脈、中大脳動脈)を模していてもよく、さらに後交通動脈を模して総頸動脈末梢部と接続してもよい。また、脳血管モデル131の基端131Pは、脳血管モデル131の内腔と、大動脈モデル160の内腔160Lとを連通させた状態で、第1接続部162Jに接続されている。
【0041】
肝臓モデル140(図4)は、肝臓を模した形状であり、内腔を有さない中実形状である。肝臓モデル140は、横隔膜モデル170の下方に配置されている。肝臓モデル140の作製に採用し得る材料及び製法は、心臓モデル110と同様である。肝臓モデル140の材料と心臓モデル110の材料は同じであってもよく、相違していてもよい。また、肝臓モデル140は、肝動脈の一部を模した管状の血管モデルである肝臓血管モデル141を備えている。肝臓血管モデル141は、心臓モデル110の心臓血管モデル111と同様の材料で作製できる。肝臓血管モデル141の材料と心臓血管モデル111の材料は同じであってもよく、相違していてもよい。
【0042】
肝臓血管モデル141は、先端141Dが肝臓モデル140に接続され、基端141Pが大動脈モデル160の第3接続部163Jaに接続されている。ここで、肝臓血管モデル141の先端141Dは、心臓血管モデル111と同様に、肝臓モデル140の表面及び/または内部へと配設された他の血管(例えば、肝動脈)を模していてもよい。また、肝臓血管モデル141の基端141Pは、肝臓血管モデル141の内腔と、大動脈モデル160の内腔160Lとを連通させた状態で、第3接続部163Jaに接続されている。
【0043】
下肢モデル150(図5)は、右足に相当する下肢モデル150Rと、左足に相当する下肢モデル150Lとを備えている。下肢モデル150R,Lは、左右対称である点を除いて同じ構成を有するため、以降は区別せず「下肢モデル150」として説明する。下肢モデル150は、太腿にある大腿四頭筋や下腿の前脛骨筋、長腓骨筋や長趾伸筋等の主要組織のうち少なくとも一部を模した形状であり、内腔を有さない中実形状である。下肢モデル150の作製に採用し得る材料及び製法は、心臓モデル110と同様である。下肢モデル150の材料と心臓モデル110の材料は同じであってもよく、相違していてもよい。また、下肢モデル150は、大腿動脈から足背動脈を含む主要動脈のうち少なくとも一部を模した管状の血管モデルである下肢血管モデル151(下肢血管モデル151R,L)を備えている。下肢血管モデル151は、心臓モデル110の心臓血管モデル111と同様の材料で作製できる。下肢血管モデル151の材料と心臓血管モデル111の材料は同じであってもよく、相違していてもよい。また、図示していないが、下肢血管モデル151は動脈だけでなく、総骨腸静脈から大伏在静脈を含む主要静脈を模擬していてもよい。
【0044】
下肢血管モデル151は、下肢モデル150の内部を、太腿から下腿側に向かって延伸方向に沿って延びる配置とされている。下肢血管モデル151は、先端151Dが下肢モデル150の下端(足根部から足背部に相当する位置)に露出し、基端151Pが大動脈モデル160の第4接続部164Jに接続されている。ここで、基端151Pは、下肢血管モデル151の内腔と、大動脈モデル160の内腔160Lとを連通させた状態で、第4接続部164Jに接続されている。
【0045】
なお、上述した心臓血管モデル111、脳血管モデル131、肝臓血管モデル141及び下肢血管モデル151を総称して「部分血管モデル」とも呼ぶ。また、部分血管モデルと、大動脈モデル160とを総称して「血管モデル」とも呼ぶ。このような構成とすれば、各生体モデルの表面に配設された部分血管モデルによって、例えば、脳の後大脳動脈、心臓の左冠動脈及び右冠動脈等を模擬できる。また、各生体モデルの内部に配設された部分血管モデルによって、例えば、脳の中大脳動脈、肝臓の肝動脈、下肢の大腿動脈等を模擬できる。
【0046】
図7は、モデル10の構成の一例を示す説明図である。本実施形態の人体シミュレーション装置1では、大動脈モデル160に対して、少なくとも1つ以上の生体モデル(心臓モデル110、肺モデル120、横隔膜モデル170、脳モデル130、肝臓モデル140、下肢モデル150)を着脱することで、種々の態様のモデル10を構成することができる。図7の例では、大動脈モデル160に対して心臓モデル110のみを装着し、他の生体モデル(肺モデル120、横隔膜モデル170、脳モデル130、肝臓モデル140、下肢モデル150)は取り外した状態でモデル10を構成している。また、モデル10には、大動脈モデル160に模擬血液を送出するための脈動部50と、心臓モデル110を拍動させるための拍動部60とが接続されている。例えば、人体シミュレーション装置1を利用して、虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈形成術(PCI:Percutaneous Coronary Intervention)のような、心臓カテーテル治療または検査についての手技を模擬する場合は、図7に示す態様のモデル10を用いればよい。
【0047】
図8は、モデル10の構成の他の例を示す説明図である。図8の例では、大動脈モデル160に対して脳モデル130のみを装着し、他の生体モデル(心臓モデル110、肺モデル120、横隔膜モデル170、肝臓モデル140、下肢モデル150)は取り外した状態で、モデル10を構成している。また、モデル10には、大動脈モデル160に模擬血液を送出するための脈動部50が接続されている。例えば、人体シミュレーション装置1を利用して、脳動脈瘤に対するコイル塞栓術のような、脳血管カテーテル治療または検査についての手技を模擬する場合は、図8に示す態様のモデル10を用いればよい。
【0048】
なお、図7及び図8に示したのは、モデル10の一例に過ぎない。大動脈モデル160に装着される生体モデル(心臓モデル110、肺モデル120、横隔膜モデル170、脳モデル130、肝臓モデル140、下肢モデル150)の組み合わせは、手技に必要な器官に応じて自由に変更できる。例えば、心臓モデル110と下肢モデル150とを装着したモデル10を構成すれば、人体シミュレーション装置1を利用して、PCIの総大腿動脈アプローチ(TFI:Trans-Femoral Intervention)の手技を模擬できる。その他、例えば、下肢モデル150を除く全ての生体モデルを装着してもよく、心臓モデル110と肺モデル120とを装着してもよく、肺モデル120と横隔膜モデル170とを装着してもよく、肝臓モデル140のみを装着してもよく、下肢モデル150のみを装着してもよい。
【0049】
このように、本実施形態の人体シミュレーション装置1によれば、生体モデル接続部(第1接続部162J、第2接続部161J、第3接続部163Ja、第4接続部164J)に人体内の一部を模した生体モデル(心臓モデル110、脳モデル130、肝臓モデル140、下肢モデル150)を接続することによって、循環器系や消化器系など、接続された生体モデルに応じた各器官の生体管腔に対する、カテーテルやガイドワイヤ等の医療用デバイスを用いた様々な手技を模擬することができる。また、生体モデル接続部161J~164Jは、生体モデルを着脱可能に接続することができるため、手技に不要な生体モデルを取り外して別途保存することも可能であり、利便性を向上できる。
【0050】
また、本実施形態の人体シミュレーション装置1において、さらに、呼吸器系に関する生体モデル(肺モデル120、横隔膜モデル170)を接続すれば、呼吸器系の動作の影響を他の生体モデル(心臓モデル110、脳モデル130、肝臓モデル140、下肢モデル150)に及ぼすことができるため、より実情に近い環境での手技の模擬を実現できる。
【0051】
さらに、本実施形態の人体シミュレーション装置1において、生体モデル接続部は、4種類の接続部(第1接続部162J、第2接続部161J、第3接続部163Ja、第4接続部164J)を備えるため、大動脈モデル160に対して、心臓モデル110、脳モデル130、肝臓モデル140、及び下肢モデル150のうちの2つ以上を同時に接続することが可能となる。この結果、例えば、複数の血管に対する治療または検査を1つの人体シミュレーション装置1で模擬することができる。
【0052】
さらに、本実施形態の人体シミュレーション装置1では、大動脈モデル160において、第1接続部162Jは大動脈弓(大動脈弓部162)またはその近傍に配置され、第2接続部161Jは上行大動脈(上行大動脈部161)またはその近傍に配置され、第3接続部163Jaは腹部大動脈(腹部大動脈部163)またはその近傍に配置され、第4接続部164Jは総腸骨大動脈(総腸骨大動脈部164)またはその近傍に配置されているため、大動脈モデル160に接続された脳モデル130、心臓モデル110、肝臓モデル140、及び下肢モデル150を、実際の人体における脳、心臓、肝臓、下肢の位置に無理なく配置できる。
【0053】
さらに、本実施形態の人体シミュレーション装置1では、心臓モデル110の内腔に対する拡張媒体の送出及び吸出を行う拍動部60によって、心臓モデル110を実際の心臓と同様に拍動させることができる。また、拍動部60において、拡張媒体として放射線透過性の液体が使用された場合、造影画像への拡張媒体の写り込みを抑制し、利用者の没入感を向上できる。
【0054】
図9は、生体モデル接続部の一例について説明する図である。図9では、相互に直交するXYZ軸を図示する。生体モデル接続部としての第2接続部161Jは、上行大動脈部161の端部に設けられ、上行大動脈部161の内腔161Lへと繋がる開口161Oを含んでいる。同様に、部分血管モデルとしての心臓血管モデル111は、心臓血管モデル111の端部(基端111P)に設けられ、心臓血管モデル111の内腔111Lへと繋がる開口111Oを含んでいる。大動脈モデル160に心臓モデル110を接続する際、本例では、第2接続部161Jの端面と心臓血管モデル111の端面とを突き合わせ、内腔161Lと内腔111Lとを連通させた状態で、クリップ等の留置具(図示省略)を用いて、第2接続部161Jと心臓血管モデル111とを固定する。これにより、大動脈モデル160に心臓モデル110を接続し、大動脈モデル160の内腔160Lを流れる流体を、心臓血管モデル111の内腔111Lへと供給できる。
【0055】
なお、図9では、生体モデル接続部の一例として第2接続部161Jを例示し、部分血管モデルの一例として心臓血管モデル111を例示した。しかし、他の生体モデル接続部(第1接続部162J、第3接続部163Ja、第4接続部164J)、流体供給部接続部163Jb、他の部分血管モデル(脳血管モデル131、肝臓血管モデル141、下肢血管モデル151)、及び気管モデル121についても同様の構成を採用できる。
【0056】
図10及び図11は、生体モデル接続部の他の例について説明する図である。図10及び図11のXYZ軸は、図9のXYZ軸にそれぞれ対応する。生体モデル接続部としての第2接続部161Jは、さらに、上行大動脈部161(大動脈モデル160)の内腔161Lへと繋がる開口161Oの外周に形成された第1フランジ部91を備えている。第1フランジ部91は、上行大動脈部161の延伸方向(X軸方向)に沿って上行大動脈部161の表面を覆う筒状体913と、筒状体913の開口161O側の端部に配置され、YZ方向に拡がる円盤部材912とを有している。円盤部材912の略中央には、内腔161Lに連通する開口(貫通孔)912Oが形成されている。
【0057】
同様に、部分血管モデルとしての心臓血管モデル111は、さらに、心臓血管モデル111の内腔111Lへと繋がる開口111Oの外周に形成された第2フランジ部92を備えている。第2フランジ部92は、心臓血管モデル111の延伸方向(X軸方向)に沿って心臓血管モデル111の表面を覆う筒状体923と、筒状体923の開口111O側の端部に配置され、YZ方向に拡がる円盤部材922とを有している。円盤部材922の略中央には、開口111Oに連通する開口(貫通孔)が形成されている。
【0058】
図12及び図13は、固定部材の一例について説明する図である。図12及び図13のXYZ軸は、図9のXYZ軸にそれぞれ対応する。図12に示すように、固定部材95は、切欠き95Nを有する半円形状の部材であり、図13に示すように、内部に第1,2フランジ部91,92と係合する係合部951が形成されている。第1フランジ部91、第2フランジ部92、及び固定部材95は、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂等の合成樹脂により形成できる。
【0059】
大動脈モデル160に心臓モデル110を接続する際、本例では、図11に示すように、第1フランジ部91の円盤部材912の-X軸方向の面と、第2フランジ部92の円盤部材922の+X軸方向の面とを付き合わせた状態で、固定部材95を用いて、第1,2フランジ部91,92を固定する。固定部材95は、切欠き95Nが筒状体913,923に嵌り込み、かつ、係合部951が円盤部材912,922の外縁に係合することで、第1,2フランジ部91,92を固定する。これにより、図9と同様に、大動脈モデル160に心臓モデル110を接続し、大動脈モデル160の内腔160Lを流れる流体を、心臓血管モデル111の内腔111Lへと供給できる。なお、他の生体モデル接続部、流体供給部接続部163Jb、他の部分血管モデル、及び気管モデル121に対しても、図10図13の構成を採用してよい。
【0060】
このように、本例では、上行大動脈部161(大動脈モデル160)側の第1フランジ部91と、心臓血管モデル111(部分血管モデル)側の第2フランジ部92とを突き合わせた状態で固定することによって、大動脈モデル160に対して生体モデルを簡単に接続することができる。また、本例では、固定部材95を利用して、第1フランジ部91と第2フランジ部92とを簡単に固定できる。なお、固定部材95を利用せずに第1及び第2フランジ部91,92を固定する場合、クリップ等の留置具を用いて円盤部材912,922を固定すればよい。
【0061】
なお、図10及び図11の例では、第1フランジ部91と第2フランジ部92との突合面(具体的には、円盤部材912の-X軸方向の面と、円盤部材922の+X軸方向の面)にはそれぞれ、弾性体からなる弾性体層914,924が配置されている。弾性体層914,924には、円盤部材912,922と同様に、開口161O,111Oに連通する開口(貫通孔)が形成されている。このような弾性体層914,924を有する構成とすれば、第1フランジ部91と第2フランジ部92との接続部分、換言すれば、上行大動脈部161(大動脈モデル160)と心臓血管モデル111(部分血管モデル)との接続部分における気密性を向上でき、接続部分における流体の漏れを抑制できる。
【0062】
なお、上述した第1フランジ部91及び第2フランジ部92には、生体モデル接続部とそれに対応する部分血管モデルとの組毎に、異なる形状、異なる着色、異なる目印が施されていてもよい。例えば、第1接続部162Jの第1フランジ部91と、脳血管モデル131の第2フランジ部92とは黄色に着色され、第1接続部162Jの第1フランジ部91と、心臓血管モデル111の第2フランジ部92とは赤色に着色されていてもよい。このようにすれば、どの生体モデル(具体的には、生体モデルに繋がる部分血管モデル)を、どの生体モデル接続部に接続することが好ましいか、一見して把握できるため、使い勝手を向上できる。また、第1接続部162Jの第1フランジ部91の円盤部材912と、脳血管モデル131の第2フランジ部92の円盤部材922とを矩形形状とし、第1接続部162Jの第1フランジ部91の円盤部材912と、心臓血管モデル111の第2フランジ部92の円盤部材922とを半円形状としてもよい。このようにしても同様の効果を得られる。
【0063】
図14は、不使用時における生体モデル接続部の一例について説明する図である。図14のXYZ軸は、図9のXYZ軸にそれぞれ対応する。上行大動脈部161(大動脈モデル160)に対して生体モデル(心臓モデル110)を接続しない場合、図10及び図11で説明した第1フランジ部91に代えて、図14で示す閉塞部材96を取り付ければよい。閉塞部材96は、円盤部材912に代えて、開口を有さない円盤部材962を備えている。閉塞部材96が取り付けられることにより、上行大動脈部161の上行大動脈部161に設けられた開口161Oが封止されるため、内腔161Lを通過する流体が開口161Oから漏れることを抑制できる。なお、他の生体モデル接続部、流体供給部接続部163Jb、他の部分血管モデル、及び気管モデル121に対しても、不使用時においては、図14に示す閉塞部材96を取り付けてよい。
【0064】
図15は、制御部における処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部40は、図15に示す処理によって、脈動部50、拍動部60、及び呼吸動作部70の動作を制御する。制御部40は、任意のタイミング(例えば、人体シミュレーション装置1の電源が投入されたタイミング、入力部45から処理の開始指示を取得したタイミング等)で図15の処理を開始する。
【0065】
ステップS12において制御部40は、心拍数iを取得する。具体的には、制御部40は、入力部45(タッチパネル)に心拍数を指定するための画面を表示させ、利用者により入力された値を取得し、心拍数iとする。利用者が心拍数を指定しなかった場合、制御部40は心拍数iを所定のデフォルト値としてよい。ステップS14において制御部40は、呼吸数jを取得する。具体的には、制御部40は、入力部45に呼吸数を指定するための画面を表示させ、利用者により入力された値を取得し、呼吸数jとする。利用者が呼吸数を指定しなかった場合、制御部40は呼吸数jを所定のデフォルト値としてよい。なお、ステップS12及びS14は同時に実施してもよい。
【0066】
ステップS16において制御部40は、動作対象を取得する。具体的には、制御部40は、入力部45に、脈動部50、拍動部60、及び呼吸動作部70のうち、どの動作部を動作対象とするかを指定するための画面を表示させ、利用者により指定された動作対象を取得する。なお、利用者は、脈動部50、拍動部60、及び呼吸動作部70のうち、1つ以上(複数可能)を動作対象として指定できる。ステップS18において制御部40は、ステップS16で指定された動作対象が、脈動部50、拍動部60、及び呼吸動作部70の一部分であるか、全体であるかを判定する。指定された動作対象が一部分である場合(ステップS18:部分)、制御部40は処理をステップS20へ遷移させる。一方、指定された動作対象が全体である場合(ステップS18:全体)、制御部40は処理をステップS30へ遷移させる。
【0067】
ステップS20において制御部40は、ステップS16で利用者から指定された動作部を動作させる。脈動部50の動作を指定された場合、制御部40は、脈動部50における脈動数がステップS12で取得された心拍数iと一致するように、脈動部50を動作させる。拍動部60の動作を指定された場合、制御部40は、拍動部60における拍動数がステップS12で取得された心拍数iと一致するように、拍動部60を動作させる。なお、脈動部50と拍動部60との両方を動作させる場合、制御部40は、脈動部50の位相と拍動部60の位相とをずらしてもよい。呼吸動作部70の動作を指定された場合、制御部40は、呼吸動作部70における呼吸数がステップS14で取得された呼吸数jと一致するように、呼吸動作部70を動作させる。
【0068】
ステップS22において制御部40は、処理の終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件には任意の種々の条件を採用できる。例えば、制御部40は、人体シミュレーション装置1の電源が遮断された場合や、入力部45から処理の終了指示を取得した場合等に、終了条件が成立したと判定できる。終了条件が成立した場合(ステップS22:YES)、制御部40は処理を終了させる。終了条件が成立していない場合(ステップS22:NO)、制御部40は処理をステップS20へ遷移させ、指定された心拍数i及び呼吸数jを用いた、指定された動作部の動作を継続する。
【0069】
一方、ステップS30において制御部40は、動作モードを取得する。具体的には、制御部40は、入力部45に、動作モードを「第1モード」と「第2モード」とのうち、どちらの動作モードとするかを指定するための画面を表示させ、利用者により指定された動作モードを取得する。本実施形態では、第1モードは、心拍数i及び呼吸数jを一定に維持することで、拍動部60における拍動数と、脈動部50における脈動数と、呼吸動作部70における呼吸数とを規則的に維持する動作モードを意味する。一方、第2モードは、心拍数i及び呼吸数jを不規則に変化させることで、拍動部60における拍動数と、脈動部50における脈動数と、呼吸動作部70における呼吸数とを不規則に変化させる動作モードを意味する。
【0070】
ステップS32において制御部40は、ステップS30で取得した動作モードによって処理を遷移させる。ステップS30で取得した動作モードが第1モードである場合(ステップS32:第1モード)、制御部40は、処理をステップS40へ遷移させる。ステップS30で取得した動作モードが第2モードである場合(ステップS32:第2モード)、制御部40は、処理をステップS50へ遷移させる。ステップS50の第2モード処理については、図16において説明する。
【0071】
ステップS40において制御部40は、ステップS40~S46に示す第1モード処理を実行する。具体的には、ステップS40において制御部40は、脈動部50における脈動数が、ステップS12で取得された心拍数iから位相を90度ずらした脈動数(i,cos)となるように、脈動部50を動作させる。ステップS42において制御部40は、拍動部60における拍動数がステップS12で取得された心拍数iと一致するように、拍動部60を動作させる。ステップS44において制御部40は、呼吸動作部70における呼吸数がステップS14で取得された呼吸数jと一致するように、呼吸動作部70を動作させる。
【0072】
その後、ステップS46において制御部40は、処理の終了条件が成立したか否かを判定する。ステップS22と同様に、終了条件には任意の種々の条件を採用できる。ステップS46の終了条件とステップS22の終了条件とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。終了条件が成立した場合(ステップS46:YES)、制御部40は処理を終了させる。終了条件が成立していない場合(ステップS46:NO)、制御部40は処理をステップS40へ遷移させ、第1モード処理を継続する。
【0073】
図16は、第2モード処理の手順の一例を示すフローチャートである。ステップS52において制御部40は、現在時刻を取得して、開始時刻t0とする。ステップS54において制御部40は、第2モード処理において使用する変数を初期化する。具体的には、制御部40は、変数n及び変数oに対して、ステップS12(図15)で取得した心拍数iを代入し、変数pに対して、ステップS14(図15)で取得した呼吸数jを代入する。
【0074】
ステップS60~S64において制御部40は、変数n,o,pを用いて脈動部50、拍動部60、呼吸動作部70を動作させる。具体的には、ステップS60において制御部40は、脈動部50における脈動数が、変数nから位相を90度ずらした脈動数(n,cos)となるように、脈動部50を動作させる。ステップS62において制御部40は、拍動部60における拍動数が変数oと一致するように、拍動部60を動作させる。ステップS64において制御部40は、呼吸動作部70における呼吸数が変数pと一致するように、呼吸動作部70を動作させる。変数n,o,pの初期化(ステップS54)後のステップS60~S64では、変数n及び変数oは利用者が入力した心拍数iに等しく、変数pは利用者が入力した呼吸数jに等しい。このため、変数n,o,pの初期化(ステップS54)後のステップS60~S64は、一定に維持された心拍数i(変数n,o)及び一定に維持された呼吸数j(変数p)を用いて、脈動部50、拍動部60、呼吸動作部70が動作される。
【0075】
ステップS70において制御部40は、乱数を発生させ、この乱数を時間係数xとする。ステップS72において制御部40は、乱数を発生させ、この乱数を拍動係数kとする。
【0076】
ステップS74において制御部40は、時間係数xから、異常心拍発生時間m1と、異常心拍継続時間m2とを決定する。ここで、異常心拍発生時間m1は、拍動部60における拍動数、脈動部50における脈動数、及び呼吸動作部70における呼吸数の変化(一定から不規則へ)を開始する時間を意味する。また、異常心拍継続時間m2は、拍動部60における拍動数、脈動部50における脈動数、及び呼吸動作部70における呼吸数を不規則に維持する時間を意味する。制御部40は、時間係数xを用いて、任意の方法で常心拍発生時間m1と、異常心拍継続時間m2とを決定できる。例えば、制御部40は、異常心拍発生時間m1=t0+x(min)とし、異常心拍継続時間m2=x(min)としてよい。この場合、時間係数x=5を例に挙げると、異常心拍発生時間m1=ステップS52の開始時間t0から5分後となり、異常心拍継続時間m2=5分間となる。
【0077】
図17は、第2モード処理のステップS76について説明する図である。第2モード処理(図16)のステップS76において、制御部40は、ステップS52で取得した開始時間t0と、開始時間t0からの経過時間Δtとの和(すなわち現在時間)が、ステップS74で決定された異常心拍発生時間m1より小さいか否かを判定する。異常心拍発生時間m1より小さい場合(ステップS76:YES、図17:領域A1)、制御部40は、処理をステップS78へ遷移させる。ステップS78において制御部40は、処理の終了条件が成立したか否かを判定する。図15のステップS22と同様に、終了条件には任意の種々の条件を採用できる。ステップS78の終了条件とステップS22の終了条件とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0078】
異常心拍発生時間m1以上である場合(ステップS76:NO、図17:領域A2又は領域A3)、制御部40は、処理をステップS80へ遷移させる。ステップS80において制御部40は、ステップS52で取得した開始時間t0と、開始時間t0からの経過時間Δtとの和(すなわち現在時間)が、ステップS74で決定された異常心拍発生時間m1と異常心拍継続時間m2との和より小さいか否かを判定する。時間m1,m2の和以上である場合(ステップS80:NO、図17:領域A3)、制御部40は、処理をステップS52(開始時間t0の取得)へ遷移させ、処理を繰り返す。
【0079】
時間m1,m2の和より小さい場合(ステップS80:YES、図17:領域A2)、制御部40は、処理をステップS82へ遷移させる。ステップS82において制御部40は、ステップS12(図15)で取得した心拍数iと、ステップS72で発生させた拍動係数kとを乗じた値に応じて、以下の第1~第3のパターンに処理を振り分ける。以下の第1~第3のパターンは、患者の重篤度合いを模擬した複数のパターンに相当する。図16の例では、第3のパターンが最も重篤であり、第1のパターンが最も経度な場合を想定している。
【0080】
心拍数i×拍動係数kの値が180以下である場合(ステップS82:i*k≦180)、ステップS84において制御部40は、第1のパターンで補正値を追加する。具体的には、制御部40は、変数nに心拍数i×拍動係数kを代入し、変数oに心拍数i×拍動係数kを代入し、変数pに呼吸数j×(呼吸数j×拍動係数k/変数o)を代入する。
【0081】
心拍数i×拍動係数kの値が180より大きく240以下である場合(ステップS82:180<i*k≦240)、ステップS86において制御部40は、第2のパターンで補正値を追加する。具体的には、制御部40は、変数nに心拍数i×拍動係数kを代入し、変数oに0を代入し、変数pに呼吸数j×(呼吸数j×拍動係数k/変数o)を代入する。
【0082】
心拍数i×拍動係数kの値が240より大きい場合(ステップS82:240<i*k)、ステップS88において制御部40は、第3のパターンで補正値を追加する。具体的には、制御部40は、変数nに心拍数i×拍動係数kを代入し、変数oに0を代入し、変数pに0を代入する。
【0083】
ステップS84,86,88が終了した後、制御部40は、処理をステップS60へ遷移させて上述の処理を繰り返す。これにより、ステップS60,62,64では、第1~第3のパターンのいずれかで補正値が追加された後の変数n,o,pを用いて、換言すれば、第1~第3のパターン及びランダムに発生された拍動係数kを用いて不規則に変化された変数n,o,pを用いて、脈動部50、拍動部60、及び呼吸動作部70が動作される。
【0084】
このように、本実施形態の人体シミュレーション装置1は、心臓を模した心臓モデル110と、血管を模した血管モデル(大動脈モデル160、心臓血管モデル111、脳血管モデル131、肝臓血管モデル141、下肢血管モデル151)とを備えるため、例えば、虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈形成術(PCI:Percutaneous Coronary Intervention)のような、心臓に対する、低侵襲な治療または検査のための医療用デバイスを用いた治療または検査についての手技を模擬することができる。また、人体シミュレーション装置1の制御部40は、設定された心拍数iに応じて、心臓モデル110を拍動させる拍動部60における拍動数と、大動脈モデル160等の各血管モデルへ送出する流体の脈動部50における脈動数とを変更することができる(図15:ステップS12,S20,S40,S42)。このため、種々の拍動数及び脈動数条件下における治療または検査の手技を模擬することができる。
【0085】
また、本実施形態の人体シミュレーション装置1によれば、制御部40は、設定された呼吸数jに応じて、呼吸動作部70における呼吸数を変更することができる(図15:ステップS14,S20,S44)。このため、より実情に即した態様で、治療または検査の手技を模擬することができる。さらに、本実施形態の人体シミュレーション装置1は、心拍数i、呼吸数jを入力するための入力部45を備えるため、人体シミュレーション装置1の利用者は、拍動部60における拍動数、脈動部50における脈動数、及び呼吸動作部70における呼吸数を自由に設定することができる。
【0086】
さらに、本実施形態の人体シミュレーション装置1によれば、制御部40は、拍動数、脈動数、及び呼吸数を規則的に維持することで、正常状態の患者を模擬した第1モード(図15:ステップS40~S46)と、拍動数、脈動数、及び呼吸数を不規則に変化させることで、不整脈状態の患者を模擬した第2モード(図15:ステップS50、図16)と、を切り替えて実行することができる。このため、本人体シミュレーション装置1によれば、正常状態と、不整脈状態と、の両方の状態下において治療または検査の手技を模擬することができる。
【0087】
さらに、本実施形態の人体シミュレーション装置1によれば、制御部40は、第2モード(図16)における心拍数i及び呼吸数j(すなわち、変数n,o,p)を、患者の重篤度合いを模擬した第1~第3のパターンの中から、ランダムに決定された拍動係数kを用いてランダムに選択された1つのパターンに則して決定する(ステップS82)。このため、実際の患者の容体の急変を模して、人体シミュレーション装置1の利用者に予測できない態様で、拍動部60における拍動数、脈動部50における脈動数、及び呼吸動作部70における呼吸数を変化させることができる。このため、本人体シミュレーション装置1によれば、より実情に即した態様で、治療または検査の手技を模擬することができる。
【0088】
さらに、本実施形態の人体シミュレーション装置1によれば、制御部40は、第2モード(図16)において、拍動数、脈動数、及び呼吸数を一定に維持する第1周期(図17:領域A1,A3)と、拍動数、脈動数、及び呼吸数を変化させる第2周期(図17:領域A2)とを繰り返し実行するため、不整脈の発生と小康状態とを繰り返す患者の状態を再現することができる。また、制御部40は、第2モードにおいて、拍動数、脈動数、及び呼吸数を変化させる第2周期が開始する異常心拍発生時間m1と、第2周期が継続する異常心拍継続時間m2とを、ランダムに決定された時間係数xを用いてランダムに決定する(図16:ステップS74)。このため、人体シミュレーション装置1の利用者に予測できない態様で、拍動数、脈動数、及び呼吸数を変化させることができる。これらの結果、本人体シミュレーション装置1によれば、より実情に即した態様で、治療または検査の手技を模擬することができる。
【0089】
さらに、制御部40は、脈動部50、拍動部60、呼吸動作部70とのうちの少なくともいずれかを動作させる部分動作(図15:ステップS20)と、全体を動作させる全体動作(図15:ステップS40~S44)とを切り替えて実行可能である(図15:ステップS18)。このため、人体シミュレーション装置1の利用者における利便性を向上できる。
【0090】
<第2実施形態>
図18は、第2実施形態のモデル10aの構成の一例を示す説明図である。第1実施形態(図4)では、大動脈モデル160が備える生体モデル接続部のうち、第2接続部161Jに心臓モデル110を接続し、第1接続部162Jに脳モデル130を接続し、第3接続部163Jaに肝臓モデル140を接続し、第4接続部164Jに下肢モデル150を接続する場合を例示した。しかし、生体モデル接続部と、生体モデル接続部に接続される生体モデルとは、必ずしも上述した組み合わせでなくてもよい。例えば、図18に示すように、第2接続部161Jに対して肝臓モデル140が接続されてもよい。また、第2実施形態では、複数の生体モデル接続部を備えていた大動脈モデル160に代えて、単一の生体モデル接続部(図示の例では第2接続部161J)を備える大動脈モデル160aを備えていてもよい。このようにしても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0091】
<第3実施形態>
図19は、第3実施形態の心臓モデル110bの一例を示す図である。第1実施形態(図6)では、心臓血管モデル111の先端111Dは、一体に形成された左右の冠動脈モデル112L,Rに分岐するとした。しかし、左右の冠動脈モデル112L,Rは、血管の各部をそれぞれ構成する複数の血管構成部1121,1122,1125,1126,1127を備えていてもよい。また、各血管構成部1121,1122,1125,1126,1127のうちの少なくとも一部には、血管の内外部において病変を模擬した病変部が形成されていてもよい。図19の例では、左冠動脈モデル112Lの血管構成部1122の血管外部には、こぶ状の病変部LPが形成されている。また、右冠動脈モデル112Rの血管構成部1126の血管内部には、狭窄状の病変部LPが形成されている。このような第3実施形態の心臓モデル110bでは、さらに、同一の血管構成部について、病変部LPを有さない血管構成部と、病変部LPを有する血管構成部との両方が準備され、これらを付け替え可能に構成してもよい。
【0092】
なお、図19では心臓モデル110bについて例示した。しかし、部分血管モデルを有する他の生体モデル(図4:脳モデル130、肝臓モデル140、下肢モデル150)についても第3実施形態と同様の構成を採用できる。また、大動脈モデル160(図3)についても、第3実施形態と同様の構成を採用してよい。
【0093】
このようにしても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第3実施形態のモデル10bによれば、部分血管モデル(心臓血管モデル111)は複数の血管構成部1121,1122,1125,1126,1127を備え、複数の血管構成部1121,1122,1125,1126,1127のうちの少なくとも一部には、病変を模擬した病変部LPが形成されている。このため、術者は、部分血管モデルに形成された病変部LPに対して、ガイドワイヤやカテーテル等の医療用デバイスを用いた手技(例えば、PCI等の手技)を模擬できる。
【0094】
<第4実施形態>
図20は、第4実施形態における生体モデル接続部について説明する図である。第1実施形態(図11)では、図12及び図13で示した構成の固定部材95を用いて、第1フランジ部91と第2フランジ部92とを固定した。しかし、固定部材95とは異なる構成の固定部材を用いて、第1フランジ部91と第2フランジ部92とを固定してもよい。例えば、図20に示すように、ねじ97を用いて、第1フランジ部91と第2フランジ部92とを固定してもよい。このようにしても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0095】
<第5実施形態>
図21は、第5実施形態における生体モデル接続部について説明する図である。第1実施形態(図10)では、第1フランジ部91と第2フランジ部92との突合面には、それぞれ、弾性体からなる弾性体層914,924が配置されているとした。しかし、弾性体層914,924のうち、少なくとも一方は省略されてもよい。例えば、図21に示すように、第1フランジ部91dは弾性体層を備えず、第2フランジ部92dは弾性体層を備えない構成としてもよい。このようにしても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0096】
<第6実施形態>
図22は、第6実施形態における人体シミュレーション装置1eの概略構成を示す図である。図23は、第6実施形態における第2モード処理の手順の一例を示すフローチャートである。第1実施形態(図2図16)では、制御部40は、第2モード処理において使用される時間係数x及び拍動係数kを、乱数を用いてランダムに決定した。しかし、第2モード処理において使用される時間係数x及び拍動係数kは、生体モデルの状態に応じて決定されてもよい。
【0097】
例えば、図22に示すように、第6実施形態の人体シミュレーション装置1eにおいて、モデル10eは、心臓血管モデル111の先端111D、具体的には、左右の冠動脈モデル112L,Rの先端(図6、左右の冠動脈モデル112L,Rのうち心尖部側の端部)に配置されたセンサ119を備える。センサ119は、末梢血管における流体の圧力(模擬血液の血圧)を検出するセンサである。同様に、モデル10eは、脳血管モデル131の先端131Dに配置されたセンサ139と、肝臓血管モデル141の先端141Dに配置されたセンサ149と、下肢血管モデル151の先端151Dに配置されたセンサ159とを備える。センサ119,139,149,159は、それぞれ、部分血管モデルの末梢部分における流体の圧力を測定する「圧力測定部」として機能する。
【0098】
図23に示すように、第6実施形態の第2モード処理において、制御部40eは、センサ119,139,149,159によって測定された圧力によって、時間係数x及び拍動係数kを決定する。具体的には、図23の第2モード処理では、図16(第1実施形態)のステップS70,S72に代えて、ステップS90,S92,S94が実行される。ステップS90において制御部40eは、センサ119,139,149,159の計測値を取得する。
【0099】
ステップS92において制御部40eは、ステップS90で取得した各センサ計測値から、時間係数xを決定する。具体的には、制御部40eは、センサ計測値を用いた演算(例えば、所定の係数を乗じる/除する)や、センサ計測値を用いた検索(例えば、予め定めたセンサ計測値閾値と時間係数との対応付けを検索)等の手段を用いて、時間係数xを決定できる。この際、制御部40eは、単一のセンサの計測値のみを使用して時間係数xを決定してもよいし、複数のセンサの計測値を使用して時間係数xを決定してもよい。ステップS94において制御部40eは、ステップS90で取得した各センサ計測値から、拍動係数kを決定する。制御部40eは、ステップS92と同様に、1つまたは複数のセンサ計測値を用いた演算や、1つまたは複数のセンサ計測値を用いた検索等の手段を用いて、拍動係数kを決定できる。
【0100】
このようにしても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第6実施形態の人体シミュレーション装置1eによれば、制御部40eは、第2モード(図23)における心拍数i及び呼吸数j(すなわち、変数n,o,p)を、患者の重篤度合いを模擬した第1~第3のパターンの中から、血管モデル(心臓血管モデル111、脳血管モデル131、肝臓血管モデル141、下肢血管モデル151)の末梢部分における流体の圧力(すなわち、センサ119,139,149,159の計測値)に応じて選択された1つのパターンに則して決定する(ステップS82)。すなわち、制御部40eは、末梢血管における血圧の変化に対応させて、拍動部60における拍動数、脈動部50における脈動数、及び呼吸動作部70における呼吸数を変化させることができる。このため、第6実施形態の人体シミュレーション装置1eによれば、より実情に即した態様で、治療または検査の手技を模擬することができる。
【0101】
<第7実施形態>
図24は、第7実施形態における人体シミュレーション装置1fの概略構成を示す図である。第1実施形態(図2)では、人体シミュレーション装置1の装置構成の一例について説明した。しかし、人体シミュレーション装置1には、実際の治療または検査において使用される種々の装置が含まれていてもよい。例えば、図24に示すように、第7実施形態の人体シミュレーション装置1fは、制御部40fに接続されたモニタ(表示部)200を備える。制御部40fは、図15及び図16で説明した処理の実行中において、設定された心拍数i、呼吸数j、及び、第2モード処理で変更した心拍数i及び呼吸数j(すなわち、変数n,o,p)を表すグラフを、モニタ200に表示させる。
【0102】
このようにしても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第7実施形態の人体シミュレーション装置1fによれば、制御部40fは、表示部200に心拍数i、呼吸数jの変化を表すグラフを表示させるため、より実情に即した態様で、治療または検査の場面を再現できると共に、利用者における利便性を向上できる。
【0103】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0104】
[変形例1]
上記第1~7実施形態では、人体シミュレーション装置1,1e,1fの構成の一例を示した。しかし、人体シミュレーション装置の構成は種々の変更が可能である。例えば、人体シミュレーション装置は、水槽と、水槽を被覆する被覆部とのうちの少なくとも一方を備えていなくてもよい。例えば、人体シミュレーション装置は、タッチパネル以外の手段(例えば、音声、操作ダイヤル、ボタン等)による入力部を備えていてもよい。
【0105】
[変形例2]
上記第1~7実施形態では、モデル10,10a,b,e,fの構成の一例を示した。しかし、モデルの構成は種々の変更が可能である。例えば、大動脈モデルは、上述の第1~第4接続部のうちの少なくとも一部を備えていなくてもよい。例えば、大動脈モデルにおける上述の第1~第4接続部の配置は、任意に変更してよく、第1接続部は、大動脈弓またはその近傍に配置されていなくてもよい。同様に、第2接続部は、上行大動脈またはその近傍に配置されていなくてもよく、第3接続部は、腹部大動脈またはその近傍に配置されていなくてもよく、第4接続部は、総腸骨大動脈またはその近傍に配置されていなくてもよい。例えば、大動脈モデルが有する生体モデル接続部の数は任意に変更することが可能であり、上述しない生体モデル(例えば、胃モデル、膵臓モデル、腎臓モデル等)を接続するための新たな生体モデル接続部を備えてもよい。
【0106】
例えば、モデルは、心臓モデル、肺モデル、脳モデル、肝臓モデル、下肢モデル、横隔膜モデルのうちの少なくとも一部を備えていなくてもよい。心臓モデルを省略する場合、拍動部についても併せて省略できる。肺モデルと横隔膜モデルとを省略する場合、呼吸動作部についても併せて省略できる。例えば、モデルは、肋骨、胸骨、胸椎、腰椎、大腿骨、頚骨等、ヒトの骨格の少なくとも一部分を模した骨モデルをさらに備えた複合体として構成されてもよい。
【0107】
例えば、上述した心臓モデル、肺モデル、脳モデル、肝臓モデル、下肢モデル、横隔膜モデルの構成は、任意に変更してよい。例えば、心臓モデルの内腔と、心臓モデルの内腔へ流体を送出する拍動部とは省略されてもよい(図4)。例えば、心臓モデルの心臓血管モデルには、左右の冠動脈モデルが備えられていなくてもよく、左右の冠動脈モデルはそれぞれ着脱可能に構成されていてもよい(図6)。例えば、肺モデルには、左右の肺にそれぞれ個別の内腔が設けられていてもよい(図4)。例えば、下肢モデルにはさらに、大腿筋を覆う皮膚モデルが備えられていてもよい(図5)。
【0108】
[変形例3]
上記第1~7実施形態では、制御部40,40e,fにおける処理手順の一例を示した。しかし、制御部における処理は種々の変更が可能である。例えば、脈動部、拍動部、及び呼吸動作部の部分動作(図15:ステップS20,S22)と、全体動作(図15:ステップS30~S50)のうちの少なくとも一方は、省略してもよい。例えば、第1動作モード処理(図15:ステップS40~S46)と、第2動作モード処理(図15:ステップS50、図16図23)とのうちの少なくとも一方は、省略してもよい。例えば、制御部は、時間係数xと時間係数yとを統一した1つの変数を用いて、第2モード処理を実行してもよい。
【0109】
例えば、制御部は、呼吸数jと呼吸数j(または変数p)に基づく呼吸動作部の制御を実施しなくてもよい(図15:ステップS20,S44、図16:ステップS64)。例えば、制御部は、心拍数iと心拍数i(または変数n)に基づく脈動部の制御を実施しなくてもよい(図15:ステップS20,S40、図16:ステップS60)。例えば、制御部は、心拍数iと心拍数i(または変数o)に基づく拍動部の制御を実施しなくてもよい(図15:ステップS20,S42、図16:ステップS62)。
【0110】
[変形例4]
第1~7実施形態の人体シミュレーション装置の構成、及び上記変形例1~3の人体シミュレーション装置の構成は、適宜組み合わせてもよい。
【0111】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0112】
1,1e,f…人体シミュレーション装置
10,10a,b,e…モデル
20…収容部
21…水槽
22…被覆部
31…管状体
40,40e,f…制御部
45…入力部
50…脈動部
51…管状体
55…フィルタ
56…循環ポンプ
57…脈動ポンプ
60…拍動部
61…管状体
70…呼吸動作部
71…管状体
72…管状体
91,91d…第1フランジ部
92,92d…第2フランジ部
95…固定部材
96…閉塞部材
110,110b…心臓モデル
111…心臓血管モデル
112…冠動脈モデル
112L…左冠動脈モデル
112R…右冠動脈モデル
115…管状体
119…センサ
120…肺モデル
121…気管モデル
130…脳モデル
131…脳血管モデル
139…センサ
140…肝臓モデル
141…肝臓血管モデル
149…センサ
150…下肢モデル
151…下肢血管モデル
159…センサ
160,160a…大動脈モデル
161…上行大動脈部
161J…第2接続部
162…大動脈弓部
162J…第1接続部
163…腹部大動脈部
163Ja…第3接続部
163Jb…流体供給部接続部
164…総腸骨大動脈部
164J…第4接続部
170…横隔膜モデル
200…モニタ
912…円盤部材
913…筒状体
914…弾性体層
922…円盤部材
923…筒状体
924…弾性体層
951…係合部
962…円盤部材
1121…血管構成部
1122…血管構成部
1126…血管構成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24