(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】サスペンション組立体のための形状記憶合金ワイヤ取り付け構造
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20221226BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20221226BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20221226BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20221226BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20221226BHJP
F03G 7/06 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
G02B7/04 D
G03B30/00
G02B7/04 E
G03B5/00 J
H04N5/225 700
H04N5/232 480
F03G7/06 D
F03G7/06 F
(21)【出願番号】P 2021068927
(22)【出願日】2021-04-15
(62)【分割の表示】P 2017546796の分割
【原出願日】2016-03-07
【審査請求日】2021-05-13
(32)【優先日】2015-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508130890
【氏名又は名称】ハッチンソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HUTCHINSON TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】ラドウィッグ,ピーター エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,マーク エー.
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,マイケル ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】シェーレ,ブライアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リーマー,ダグラス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,ドナルド エム.
(72)【発明者】
【氏名】ザゲット,ジョン エー.
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/083318(WO,A1)
【文献】特表2013-520701(JP,A)
【文献】国際公開第2013/175197(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/076463(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0119863(US,A1)
【文献】特開2008-098389(JP,A)
【文献】実開昭59-104565(JP,U)
【文献】特表2015-537247(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0304561(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0054234(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0135703(US,A1)
【文献】特開2014-055527(JP,A)
【文献】特表2013-522810(JP,A)
【文献】特開平07-259725(JP,A)
【文献】特開平06-275325(JP,A)
【文献】特開平01-073754(JP,A)
【文献】特開2009-110868(JP,A)
【文献】特開2014-225378(JP,A)
【文献】特開平03-058464(JP,A)
【文献】特開平01-186577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G03B 30/00
G03B 5/00-5/08
H04N 5/225
H04N 5/232
F03G 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部材である金属ベース層として構成された支持部材と、前記支持部材に移動可能に連結され、プレートを含む可動部材と、を備え、
前記一部材である金属ベース層は第1取り付け構造を含み、前記第1取り付け構造は、
形状記憶合金ワイヤを保持するよう構成された前記第1取り付け構造の第1部分、及び、
前記第1取り付け構造の前記第1部分とともにクリンプされるように構成され、形状記憶合金ワイヤを保持するよう構成された前記第1取り付け構造の第2部分を含み、
前記プレートは第2取り付け構造を含み、前記第2取り付け構造は、
形状記憶合金ワイヤを保持するよう構成された前記第2取り付け構造の第1部分、及び、
前記第2取り付け構造の前記第1部分とともにクリンプされるように構成された、第2取り付け構造の第2部分を含み、
前記第2取り付け構造の前記第1部分は、第1間隙によって離間して配置された第1の細長い形体を含み、前記第2取り付け構造の前記第2部分は、第2間隙によって離間して配置された第2の細長い形体を含み、前記第1の細長い形体及び前記第2の細長い形体は導電材料から形成され、さらに
前記第1取り付け構造及び前記第2取り付け構造の前記第1部分及び前記第2部分に連結された前記形状記憶合金ワイヤと、
を備えたサスペンション組立体。
【請求項2】
前記形状記憶合金ワイヤを保持する
前記第1取り付け構造の前記第1部分は、第
3間隙によって離間して配置された第1導電トレースと、前記一部材である金属ベース層と前記第1導電トレースの間の誘電体とを含み、
前記形状記憶合金ワイヤを保持する
前記第1取り付け構造の前記第2部分は、第
4間隙によって離間して配置された第2導電トレースと、前記一部材である金属ベース層と前記第2導電トレースの間の誘電体とを含み、
前記第
3間隙は前記第2導電トレースにアライメントし、前記第1導電トレースは前記第
4間隙にアライメントする、請求項1に記載のサスペンション組立体。
【請求項3】
前記一部材である金属ベース層は、前記第1部分及び前記第2部分がともにクリンプされるとき前記第1取り付け構
造の前記第1部分及び前記第2部分の少なくとも1つにおける曲げ部の外部分に部分的エッチング凹部を含む、請求項1に記載のサスペンション組立体。
【請求項4】
前記第2取り付け構造の前記第2部分は、前記第2取り付け構造の前記第1部分とともにクリンプされるように構成され
、
前記第1間隙は前記第2の細長い形体にアライメントし、前記第1の細長い形体は前記第2間隙にアライメントする、請求項1に記載のサスペンション組立体。
【請求項5】
前記第2取り付け構造の前記第1部分は前記第1の細長い形体を受けるエッチング凹部を含み、前記第2取り付け構造の前記第2部分は前記第2の細長い形体を受けるエッチング凹部を含む、請求項
1に記載のサスペンション組立体。
【請求項6】
前記エッチング凹部は円形端部を含む、請求項
5に記載のサスペンション組立体。
【請求項7】
前記第1取り付け構造及び前記第2取り付け構造の前記第1部分及び前記第2部分は、前記一部材である金属ベース層及び前記プレートと、それぞれ一体的である、請求項
1に記載のサスペンション組立体。
【請求項8】
前記プレートは、
前記第2取り付け構造の前記第1部分及び前記第2部分がともにクリンプされるとき、
前記第2取り付け構造の前記第1部分及び前記第2部分の曲げ部の外部分に部分的エッチング凹部を含む、請求項
7に記載のサスペンション組立体。
【請求項9】
前記第2取り付け構造の前記第1部分及び前記第2部分の少なくとも1つは、少なくとも1つのエッチング凹部を含む、請求項1に記載のサスペンション組立体。
【請求項10】
前記第1取り付け構造及び前記第2取り付け構造の前記第1部分及び前記第2部分上に配置された導電層をさらに含む、請求項
9に記載のサスペンション組立体。
【請求項11】
前記プレート上に配置された形状記憶合金ワイヤカッティングパッドをさらに含む、請求項4または
9に記載のサスペンション組立体。
【請求項12】
前記エッチング凹部は、複数の凹部のアレイを含む、請求項
9に記載のサスペンション組立体。
【請求項13】
前記複数の凹部は、凹部のアレイ、平行なジグザク状、平行直線状凹部であるパターンの少なくとも1つを含む、請求項
12に記載のサスペンション組立体。
【請求項14】
前記第1取り付け構造の前記第1部分は、凹部、プラットフォーム、及び前記凹部と前記プラットフォームとの間の第1エッジを含み、
前記第1取り付け構造の前記第2部分は、前記第1エッジからオフセットされた第2エッジを含み、
前記第1部分及び前記第2部分がともにクリンプされるとき、前記第1エッジ及び前記第2エッジはカッティングエッジを形成する、請求項1に記載のサスペンション組立体。
【請求項15】
前記第1取り付け構造の前記第1部分及び前記第2部分上に配置された導電層をさらに含む、請求項
14に記載のサスペンション組立体。
【請求項16】
前記第1取り付け構造及び前記第2取り付け構造の前記第1部分及び前記第2部分は非一体的であり、接着、溶接、及びはんだ接合の少なくとも1つを用いてともに連結される、請求項1、4、
9および
14のいずれか一項に記載のサスペンション組立体。
【請求項17】
前記第1取り付け構造及び前記第2取り付け構造の前記第1部分及び前記第2部分の少なくとも一方側から延びる部材をさらに含み、前記形状記憶合金ワイヤは前記部材によってクリンプされる、請求項
9または
14に記載のサスペンション組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2015年3月6日に出願された「一体型電気リードを備えたツーピースカメラレンズサスペンション」という発明の名称である米国仮特許出願第62/129,562号に基づく優先権を主張し、該出願の全体があらゆる目的のために言及によって本願明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示の実施形態は、概して、形状記憶合金(shape-memoryalloy、SMA)ワイヤを用いたサスペンション組立体に関する。特に、本開示の実施形態は、サスペンション組立体の支持部材をサスペンション組立体の可動部材に連結するSMAワイヤをクリンプする取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0003】
様々なサスペンション組立体にて、サスペンション組立体の支持部材をサスペンション組立体の可動部材に連結するためにSMAワイヤが用いられている。例として、SMAワイヤを用いたサスペンションは、カメラレンズサスペンションシステムにおいて見受けられ得る。特許文献1及び特許文献2は、静止型支持組立体上の可撓性要素又はばねプレートによって支持された(カメラレンズ素子を実装することができる)可動組立体を有する、カメラレンズ光学画像安定化(optical image stabilization、OIS)サスペンションシステムを開示している。リン青銅などの金属から形成される可撓性要素は、可動プレート及び可撓体を備える。可撓体は可動プレートと静止型支持組立体との間に延び、静止型支持組立体に対する可動組立体の移動を可能にするようにばねとして機能する。この機械的機能に加えて、可撓体は、支持組立体から、可動組立体に実装されたカメラレンズ要素などの構造体に、電気的接続を提供する。可動組立体及び支持組立体は、該組立体同士の間に延びる形状記憶合金(SMA)ワイヤによって連結される。SMAワイヤのそれぞれは、一端で支持組立体に取り付けられ、対向端で可動組立体に取り付けられる。サスペンションは、SMAワイヤに電気駆動信号を印加することで作動される。上記特許文献はあらゆる目的のために言及によって本明細書に組み込まれる。
【0004】
改善されたレンズサスペンションは続けて必要とされている。特に、SMAワイヤに損傷を与えない、及び/又はサスペンション使用時に損傷を受けるSMAワイヤに影響を与えにくいサスペンション上の電気信号を接続するための改善された構造を備えたそうしたサスペンション構造体が必要とされている。高機能で、堅牢、及び製造効率のよいこれらのタイプのサスペンション構造は、特に望ましいものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際出願公開第2014/083318号
【文献】国際出願公開第2013/175197号
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、SMAワイヤの損傷の可能性を低減するようにSMAワイヤを接続する一体型電気トレースを有する、改善されたサスペンションに関する。サスペンションは機能的で、堅牢であり、製造効率がよいものである。
【0007】
一実施形態において、サスペンション組立体には、金属ベース層を含む支持部材と、支
持部材に移動可能に連結され、プレートを含む可動部材と、を備え、該金属ベース層は第1取り付け構造を含み、該第1取り付け構造は、第1間隙によって離間して配置された第1導電トレースと、ベース層と第1トレースの間の誘電体とを含む第1部分、及び、第1部分とともにクリンプされるように構成され、第2間隙によって離間して配置された第2導電トレースと、ベース層及び第2トレースの間の誘電体とを含む第2部分を含み、第1間隙は第2トレースに実質的にアライメントし、第1トレースは第2間隙に実質的にアライメントし、該プレートは第2取り付け構造を含み、第1部分及び第2部分、並びに第2取り付け構造に連結された形状記憶合金ワイヤと、を備える。
【0008】
他の実施形態において、サスペンション組立体には、金属ベース層を含む支持部材と、支持部材に移動可能に連結され、プレートを含む可動部材と、を備え、該金属ベース層は第1取り付け構造を含み、該プレートは第2取り付け構造を含み、該第2取り付け構造は、第1間隙によって離間して配置された第1誘電部材を含む第1部分、及び、第1部分とともにクリンプされるように構成され、第2間隙によって離間して配置された第2誘電部材を含む第2部分を含み、第1間隙は第2部材に実質的にアライメントし、第1部材は第2間隙に実質的にアライメントし、さらに、第1取り付け構造、並びに第1部分及び第2部分に連結された形状記憶合金ワイヤと、を備える。
【0009】
他の実施形態において、サスペンション組立体には、金属ベース層を含む支持部材と、支持部材に移動可能に連結され、プレートを含む可動部材と、を備え、該ベース層は第1取り付け構造を含み、該プレートは第2取り付け構造を含み、該第2取り付け構造は、第1部分、及び、第1部分とともにクリンプされるように構成された第2部分を含み、第1部分及び第2部分の少なくとも1つは、少なくとも1つのエッチング凹部を含み、さらに、第1取り付け構造、並びに第1部分及び第2部分に連結された形状記憶合金ワイヤと、を備える。
【0010】
他の実施形態において、サスペンション組立体には、金属ベース層を含む支持部材と、支持部材に移動可能に連結され、プレートを含む可動部材と、を備え、該ベース層は第1取り付け構造を含み、該第1取り付け構造は、凹部、プラットフォーム、及び凹部とプラットフォームとの間の第1エッジを含む第1部分、並びに、第1部分とともにクリンプされるように構成され、第1エッジからオフセットされた第2エッジを含む第2部分を含み、第1部分及び第2部分がともにクリンプされるとき第1エッジ及び第2エッジはカッティングエッジを形成し、該プレートは第2取り付け構造を含み、さらに、第2構造、並びに第1部分及び第2部分に連結された形状記憶合金ワイヤと、を備える。
【0011】
他の実施形態において、サスペンション組立体には、金属ベース層を含む支持部材と、支持部材に移動可能に連結され、プレートを含む可動部材と、を備え、該ベース層は第1取り付け構造を含み、該プレートは第2取り付け構造を含み、該第2取り付け構造は、第1部分、第1部分とともにクリンプされるように構成された第2部分、並びに第1部分及び第2部分がともにクリンプされるとき第1部分及び第2部分の少なくとも一方側から延びる部材を含み、さらに、第1取り付け構造、第1部分及び第2部分、並びに機械的係合部材に連結された形状記憶合金ワイヤと、を備える。
【0012】
他の実施形態において、サスペンション組立体には、金属ベース層を含む支持部材と、支持部材に移動可能に連結された可動部材と、を備え、該ベース層は第1取り付け構造を含み、前記可動部材は、第1部分を含むプレート、及び第1部分とともにクリンプされるように構成された第2部分を含み、第2部分は第1部分と非一体的であり、接着、溶接、及びはんだ接合の少なくとも1つを用いて第1部分に連結され、さらに、可動部材と、第1取り付け構造、並びに第1部分及び第2部分に連結された形状記憶合金ワイヤと、を備える。
【0013】
支持部材は、金属ベース層、ベース層上の導電トレース、ベース層及びトレースの間の誘電体、並びに形状記憶合金ワイヤ取り付け構造を含む。可動部材は、プレート、プレートから延び且つ支持部材に連結された可撓性アーム、プレート及び可撓性アームの金属ベース層、可撓性アーム及び任意的にプレートのベース層上の導電トレース、ベース層及びトレースの間の誘電体、並びに形状記憶合金ワイヤ取り付け構造を含む。可撓性アーム上の導電トレースは、支持部材上の導電トレースに電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】
図1Aは、本開示の実施形態におけるサスペンションの上面等角図である。
【
図5】
図5は、
図4Aに示される可動部材の可撓性アーム実装領域及びワイヤ取り付け部の詳細な上面等角図である。
【
図6】
図6は、
図4Aに示される可動部材の可撓性アーム実装領域及びワイヤ取り付け部の詳細な上面等角図である。
【
図7】
図7は、
図1Aに示されるサスペンションの支持部材実装領域及び可撓性アーム実装領域の詳細な上面等角図である。
【
図8】
図8は、サスペンションの実施形態の注釈付き図である。
【
図9】
図9は、サスペンションの実施形態の注釈付き図である。
【
図10】
図10は、サスペンションの実施形態の注釈付き図である。
【
図11】
図11は、サスペンションの実施形態の注釈付き図である。
【
図12】
図12は、サスペンションの実施形態の注釈付き図である。
【
図13】
図13は、サスペンションの実施形態の注釈付き図である。
【
図14】
図14は、サスペンションの実施形態の注釈付き図である。
【
図15A】
図15Aは、本開示の実施形態における、支持部材に組み込まれることが可能な取り付け構造の上面等角図である。
【
図17】
図17は、例示のカッティングパッドを含む取り付け部材の上面等角図を示す。
【
図18】
図18は、他の例示のカッティングパッドを含む取り付け部材の上面等角図を示す。
【
図19】
図19は、可動部材に組み込まれることが可能な取り付け構造を示す。
【
図20A】
図20Aは、本明細書に開示される取り付け構造に組み込まれることが可能なクリンプの実施形態を示す。
【
図20B】
図20Bは、本明細書に開示される取り付け構造に組み込まれることが可能なクリンプの実施形態を示す。
【
図20C】
図20Cは、本明細書に開示される取り付け構造に組み込まれることが可能なクリンプの実施形態を示す。
【
図21】
図21は、本開示の実施形態における、可動部材のベース層を示す。
【
図22A】
図22Aは、本明細書に開示される取り付け構造にエッチングされることが可能な部分エッチングパターンの実施形態を示す。
【
図22B】
図22Bは、本明細書に開示される取り付け構造にエッチングされることが可能な部分エッチングパターンの実施形態を示す。
【
図23A】
図23Aは、本明細書に開示される取り付け構造にエッチングされることが可能な部分エッチングパターンの実施形態を示す。
【
図23B】
図23Bは、本明細書に開示される取り付け構造にエッチングされることが可能な部分エッチングパターンの実施形態を示す。
【
図24A】
図24Aは、本明細書に開示される取り付け構造にエッチングされることが可能な部分エッチングパターンの実施形態を示す。
【
図24B】
図24Bは、本明細書に開示される取り付け構造にエッチングされることが可能な部分エッチングパターンの実施形態を示す。
【
図26A】
図26Aは、本明細書に開示される取り付け構造に組み込まれることが可能なクリンプの他の実施形態を示す。
【
図26B】
図26Bは、本明細書に開示される取り付け構造に組み込まれることが可能なクリンプの他の実施形態を示す。
【
図27A】
図27Aは、本明細書に開示される取り付け構造に組み込まれることが可能なクリンプの他の実施形態を示す。
【
図27B】
図27Bは、本明細書に開示される取り付け構造に組み込まれることが可能なクリンプの他の実施形態を示す。
【
図27C】
図27Cは、本明細書に開示される取り付け構造に組み込まれることが可能なクリンプの他の実施形態を示す。
【
図28A】
図28Aは、本明細書に開示される取り付け構造に組み込まれることが可能なクリンプの他の実施形態を示す。
【
図28B】
図28Bは、本明細書に開示される取り付け構造に組み込まれることが可能なクリンプの他の実施形態を示す。
【
図29】
図29は、本開示の実施形態における、可動部材の他のベース層を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1A及び
図1Bは、本開示の実施形態における、サスペンション組立体10を示す。図に示されるように、サスペンション組立体10は、フレキシブルプリント回路基板(flexible printed circuit、FPC)又は支持部材12、及び支持部材に連結されたばねクリ
ンプ回路又は可動部材14を包含する。形状記憶合金(Shape memory alloy、SMA)ワイ
ヤ15は、支持部材12と可動部材14との間に延び、支持部材に対する可動部材の位置を移動及び制御するように電気的に作動されることができる。実施形態において、サスペンション組立体10は、例えば携帯電話、タブレット、ノートパソコンに組み込まれ得るカメラレンズ光学画像安定化(camera lens optical image stabilization、OIS)装置である。
【0016】
図2A、
図2B、
図3A、及び
図3Bは、支持部材12をより詳細に示す。図に示されるように、支持部材12は、ベース層16と、ベース層上の導体層にトレース18a~18dなどの複数の導電トレース18とを包含する。誘電体20の層は、導電トレース18
とベース層16との間に配置されて、トレースをベース層16から電気的に絶縁する。クリンプ24(即ち、静止クリンプ、図示される実施形態において4つが示される)などの複数のワイヤ取り付け構造がベース層16に配置される。図示される実施形態において、クリンプ24は、ベース層16の主平面部分26から(例えばz方向に)間隔をあけた高さで、ベース層16のレッジ25に一体的に形成された2つの対の隣接構造として構成される。その他の実施形態(図示されず)は、他のワイヤ取り付け構造(例えばはんだパッド)及び/又はその他の配置に構成される(例えば対ではなく単独で)ワイヤ取り付け構造を包含する。実施形態において、ベアリング保持凹部28は、ベース層16の部分26に形成される。凹部28のベアリング(図示せず)は、可動部材14に係合し、支持部材12に対して可動部材を移動可能に支持することができる。トレース18は、ベース層16上の導体層に端子30及びコンタクトパッド32を包含する。トレース18のそれぞれは、端子30をコンタクトパッド32に連結する。例として、コンタクトパッド32a及び32bは支持部材12の第1実装領域33にあり、トレース18a及び18bは、端子30a及び30bをパッド32a及び32bにそれぞれ連結する。第2実装領域35のコンタクトパッド32は同様にトレース18によって端子30に連結される。コンタクトパッド32は、図示される実施形態においてクリンプ24のそれぞれに配置され、コンタクトパッドのそれぞれは、個別のトレースによって個別の端子30に連結される(例として、トレース18dは端子30dをパッド32dに連結する)。端子30が配置されたベース層16の部分は、主面部分26の平面から(例として、図示される実施形態では主面部分の平面に垂直に)形成される。
【0017】
図3Aと
図3Bとは支持部材12の実装領域33の実施形態をより詳細に示す。図示されるように、実装領域33は、第1実装パッド40と第2実装パッド42とを包含する。実装パッド42は、ベース層の他の部分から電気的に絶縁された、ベース層16のアイランド又はパッド部44を包含する。アイランドパッド部44は、アイランドパッド部とベース層の近傍部分との間に延びる誘電体20領域によってベース層16の近傍部分から部分的に支持され得る。トレース18a及びコンタクトパッド32aは、アイランドパッド部44に延び、実施形態においては、実装パッド42において誘電体20を介して延びるめっき又はその他のビア46などの電気接続部によってアイランドパッド部44に電気的に接続される。他の実施形態は、ビア46の位置に又はビア46に加えて、例えば誘電体20の端部を超えてコンタクトパッド32aとアイランドパッド部44との間に延びる導電性接着剤などの、その他の電気接続部を含む。実装パッド40は、実装パッド42に隣接し、(実施形態において電気接地又は共通構造として機能する)ベース層16のパッド部48、及びコンタクトパッド32bをパッド部48に接続するビア50などの電気接続部を含む。実装領域35は実装領域33と同様であり得る。
【0018】
図4A、
図4B、
図5、
図6、及び
図7は、可動部材14の実施形態をより詳細に示す。図示されるように、可動部材14は、プレート60とプレート60から延びるばね又は可撓性アーム62とを包含する。図示される実施形態では、プレート60は矩形部であり、各可撓性アーム62はプレート外周の2つの側に沿って延びる第1部分64と第2部分66とを有する延長部である。プレート60と可撓性アーム62とは、ステンレス鋼などのばね用金属ベース層68に形成される。可動部材14はまた、クリンプ70(可動クリンプ、図示される実施形態では4つが示され、対で形成される)などのSMAワイヤ取り付け構造も包含する。図示される実施形態において、クリンプ70は、プレート60と同じばね用金属ベース層68と一体的であり、該ばね用金属ベース層68から(即ち、プレートから延びるアーム72の端部において)形成される。可動部材14は他の実施形態において異なるように構成される。例として、他の実施形態において(図示せず)、可撓性アーム62は異なる形状、異なる数、異なる構成であり得る、及び/又はプレート60の他の位置から延び得る。さらに他の実施形態において(図示せず)、クリンプ70は、プレート60に取り付けられる個別の構造として形成され得る(即ち、プレートと一体的で
ない)。その他の実施形態(図示せず)では、他のタイプのワイヤ取り付け構造(例えばはんだパッド)及び/又は他の配置に構成される(例えば対ではなく単独で)ワイヤ取り付け構造が包含される。
【0019】
可撓性アーム62の端部分には、支持部材12の実装領域33及び35に実装されるように構成された実装領域74がある。ベース層68上の導電トレース76は実装領域74から可撓性アーム62に延びる。実施形態において、トレース76はまた、プレート60の一部においてベース層68上にも延びる。図示される実施形態において、トレース76はまた、プレート60のアーム72のコンタクトパッド77にも延びる。図示される実施形態において、コンタクトパッド77は、プレート60の主平面から延びるプラットフォーム上にある。コンタクトパッドは、他の実施形態において他の位置に(例えばプレート60上に)ある(図示せず)。誘電体78の層は、導電トレース76とベース層68の間に配置されて、トレースをベース層から電気的に絶縁する。実装領域74は第1実装パッド80及び第2実装パッド82を包含する。各実装パッド82は、ベース層68において、ベース層の他の部分から電気的に絶縁されたアイランド又はパッド部84を包含する。各トレース76は、実装パッド82から、実装パッド80を超えて(実装パッド80から電気的に絶縁されて)延びる。図示される実施形態において、実装パッド80及び実装パッド82の間に延びるトレース76の部分は可撓性アーム62上のトレース部分に拡張されて、ベース層68のアイランドパッド部84を支持する。トレース76は、アイランドパッド部84まで延び、実施形態において、実装パッド82において誘電体78を介して延びるめっき又は他のビア86などの電気接続部によりアイランドパッド部に電気的に接続される。他の実施形態は、ビア86の位置に又はビア86に加えて、誘電体78の端部を超えてトレース76とアイランドパッド部84との間に延びる導電性接着剤などの、その他の電気接続部を含む。実装パッド80は、誘電体78によってトレース76から電気的に絶縁されるベース層68のパッド部90を包含する。図示される実施形態において、実装パッド80及び82上のトレース76部分は円形であり中央で開口しているが、他の実施形態では他の形状を取る(図示せず)。
【0020】
図1A及び
図7におそらく最良に示されるように、可動部材可撓性アーム62の実装領域74は、支持部材12の実装領域33及び35に機械的に取り付けられる。可撓性アーム62のトレース76は、支持部材12の関連するトレース18に電気的に接続される。実施形態において、可動部材14のベース層68におけるパッド部84及び90と、支持部材12のベース層16における対応するパッド部44及び48との間で溶接によって機械的接続がなされる。溶接は、例えば、パッド部84及び90においてトレース76の開口部を介してなされる。また溶接により、可動部材14のパッド部84及び90と、支持部材12の対応するパッド部44及び48との電気的接続が可能になる。これらの電気的接続によって、可動部材14の金属ベース層68、そして可動クリンプ70は、関連するトレース18(即ち、ビア50を介した18bなど)に共通して電気的に接続される。同様に、各可撓性アームトレース76は、関連するトレース18(即ち、ビア46を介した18aなど)に電気的に接続される。本開示の他の実施形態(図示せず)は、可撓性アーム62を支持部材12に機械的に実装するための、及び/又は可撓性アームのトレース76を支持部材の関連するトレース18に電気的に接続するための、他の構造を有する。図示される実施形態において、導電金属領域94は、クリンプ70において、可動部材14の金属ベース層68に直接的に配置されて(即ち、導電金属領域と金属ベース層との間に誘電体又は他の絶縁材料はない)、クリンプにより係合される金属ベース層とSMAワイヤ15との電気的接続を向上させる。
【0021】
以下に詳細に記載されるように、支持部材12と可動部材14とはアディティブ法及び又はサブトラクティブ法により形成され得る。ベース層16及び/又は68は、実施形態においてステンレス鋼である。他の実施形態において、ベース層16及び/又は68は、
リン青銅などの他の金属又は材料である。トレース18及び76、端子30及びコンタクトパッド32は、銅、銅合金又は他の導体から形成され得る。誘電体20及び78としてポリイミド又は他の絶縁材料が用いられ得る。支持部材12及び/又は可動部材14の他の実施形態(図示せず)には、より多い又は少ないトレース18及び76があり、トレースは種々のレイアウトで配置され得る。SMAワイヤ15をベース層16に取り付けるために、溶接など、クリンプ24以外の構成が用いられ得る。本開示の他の実施形態(図示せず)には、より多い又は少ないクリンプ24及び70があり、クリンプ24及び70はそれぞれ支持部材12及び可動部材14の様々な位置に配置され得る。
【0022】
図8~
図14は、本開示の実施形態における改善されたカメラレンズサスペンション組立体の注釈付き図である。サスペンション組立体は、ベース又は支持部材(
図8~
図14においてスタティックFPC(フレキシブルプリント回路基板)として言及される)と、可動・ばね部材(
図8~
図14においてばねクリンプ回路として言及される)という2つの主要な部品を有する。図示される実施形態において、スタティックFPC(ベース部)とばねクリンプ回路(可動部材)とは、ベース金属(図示される実施形態ではステンレス鋼(SST))に形成された(例えば銅「Cu」又は銅合金層における)リード、コンタクトパッド及び端子などの電気構造を有するという点で、一体型リード構造である。絶縁体層(例えばポリイミド又は「ポリ」)はSSTから電気的に分離される電気構造部分を隔てる(Cu層の他の部分はSST層に接続される又はSST層上に直接的に配置される)。一部の位置では、電気構造は、Cuトレース又はリード層からポリ層の開口を介してSST層に延びる電気接続部(例えば「ビア」)によって、SST層に電気的に接続され得る。実施形態において、レンズはばねクリンプ回路に実装され得る。さらに他の実施形態において、レンズを支援するオートフォーカスシステムがばねクリンプ回路に実装され得る。
【0023】
上述されたように、スタティックFPC及びばねクリンプ回路は、ベース金属(例えばSSTなどのばね用金属)、ポリ及びCu(即ち、「トレース」層)のオーバーレイ層から形成され得る。Cuの全体又は一部に絶縁カバーコートが施されてもよい。耐食性を与えるために、金(Au)及び/又はニッケル(Ni)などの耐食性金属がトレース層の部分にめっきされる、或いは塗布され得ることができる。本開示の実施形態におけるスタティックFPC及びばねクリンプ回路を製造するために、フォトリソグラフィ(例えば、パターン状及び/又は非パターン状フォトレジストマスクの使用)に関するウェットエッチング(例えば化学的)及びドライエッチング(例えばプラズマ)、電解めっき及び無電解めっき、並びにスパッタリング処理などの従来の添加剤堆積及び/又はサブトラクティブ法、並びに(例えばパンチや型を用いた)機械的成形方法が用いられ得る。これらのタイプのアディティブ法及び又はサブトラクティブ法は、例えば、ディスク駆動装置へッドサスペンションの製造に関して既知であり且つ使用されるものであり、米国特許第8,885,299号明細書(Bennin等、「デュアルステージアクチュエーションディスク駆動装置サスペンション用低抵抗グランドジョイント(Low Resistance Ground Joints for Dual Stage Actuation Disk DriveSuspensions)」)、米国特許第8,169,746
号明細書(Rice等、「複数トレース構造を備えた一体型リードサスペンション(Integrated Lead Suspension with Multiple Trace Configurations)」)、米国特許第8,
144,430号明細書(Hentges等、「一体型リードサスペンションの多層グランドプレーン構造(Multi-Layer Ground Plane Structures for Integrated Lead Suspensions)」)、米国特許第7,929,252号明細書(Hentges等、「一体型リ
ードサスペンションの多層グランドプレーン構造(Multi-Layer Ground Plane Structures for Integrated Lead Suspensions))、米国特許第7,388,733号明細書(Swanson等、「サスペンション組立体用貴金属導電リード製造方法(Method for Making Noble Metal Conductive Leads for SuspensionAssemblies)」)、米国特許第7,3
84,531号明細書(Peltoma等、「一体型リードサスペンションのめっきグラ
ンド形体(Plated Ground Features for Integrated Lead Suspensions)」)である米国特許文献において一般に公開されており、これらのすべてが言及によってあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0024】
スタティックFPCは図示される実施形態において一部材であり、部材の2つの対角部のそれぞれに2つの静止クリンプ(取り付け構造)を有する(全部で4つの静止クリンプ)。端子パッド部は、部材表面上を延びるトレースに接続された、トレース層の端子パッドを含む。例として示されるように、個別のトレースが4つの静止クリンプのそれぞれに延びる。静止クリンプのそれぞれには、トレース及びポリ層によって形成された電気コンタクト又は端子がある。スタティックFPC部の上面から延びる成形ディンプルは、ばねクリンプ回路部材の裏面に係合し、摺動インターフェイスベアリングとして機能して、スタティックFPCに対するばねクリンプ回路部材の低摩擦移動を可能にする。スタティックFPCのトレースはまた、(例えば、オートフォーカス(AF)組立体に電気信号を供給し、ばねクリンプ回路部材のSTT層に共通又は接地信号経路を提供するために)電気的及び機械的にばねクリンプ回路部材に連結されるスタティックFPCの電気パッド位置に、端子パッドを連結する。ビアは、スタティックFPCの各トレースを、脚部に接続されるSST層部分に連結する。
【0025】
ばねクリンプ回路は図示される実施形態において一部材であり、レンズ又はオートフォーカスシステムを支持する中心部材と、中心部材から延びる1つ以上のばねアーム(図示される実施形態においては2つ)とを含む。ばねクリンプ部材は、部材の2つの対角部のそれぞれに2つの可動クリンプを有する(全部で4つの可動クリンプ)。(図示される実施形態では、中心部材の反対側のばねアームの端部における)SST層の受け台又は脚部は、スタティックFPCの対応する位置に溶接される、又は別の方法で取り付けられるように構成される。ばねクリンプ部材のトレースは、スタティックFPCのトレースに(例えば脚部を介して)電気的に接続され、オートフォーカス(AF)端子パッドなどの端子パッドに信号を接続するように構成される。図示される実施形態において、ばねクリンプ回路のSST層は、可動クリンプに取り付けられたSMAワイヤ端部への信号経路として用いられる。スタティックFPCの対応する端子パッド及びトレースと、ばねクリンプ回路のSST層との電気的接続は、ばねアームの脚部とスタティックFPCのSST層との間の接続により得られる(即ち、実施形態において、2部材のSST層は、電気的に接続され、共通接地電位にある)。
【0026】
可動部材可撓性アームにトレースを有する実施形態におけるサスペンションによって価値のある有利性がもたらされる。これらは、例えば、効率的に作製及び組み立て可能である。トレースは、可動部材のプレート又は他の部分に実装される構造に電気信号を接続するために効果的な構造である。
【0027】
上述のように、サスペンション組立体10は、支持部材12と可動部材14との間に延びるSMAワイヤ15を含む。SMAワイヤ15は、取り付け構造を用いて支持部材12及び可動部材14に連結される。取り付け構造は、クリンプ、例えば
図2A~
図2B及び
図4A~
図4Bにそれぞれ示されるクリンプ24、70を含むとよい。実施形態において、支持部材12及び可動部材14はそれぞれ、
図1B及び
図4Bにそれぞれ示されるように、2つの対角部に取り付け構造を含む。
【0028】
図15A~
図15Bは、本開示の実施形態における、取り付け機構91を示す。実施形態において、取り付け機構91は、支持部材12の1つ以上の対角部に組み込まれる。例として、取り付け機構91は、支持部材12の2つの対角部に組み込まれるとよい。さらに、取り付け機構91は、1つ以上のクリンプ92a、92bを用いて、SMAワイヤ15a及び15bなどの1つ以上のSMAワイヤ15をクリンプするように構成される。
【0029】
図示されるように、取り付け機構91はベース層16と一体的であり、2つのクリンプ92a、92bを含む。2つのクリンプ92a、92bは、主平面部分26から(例えばz方向に)間隔をあけた高さで、ベース層16のレッジ25上に形成される(
図2A及び
図2Bに示される)。図示されるように、各クリンプ92a、92bは、第1部分94a、94b及び第2部分96a、96bを含む。第1部分94a、94bは、実質的に各軸97a、97bに沿って折り曲げられるように構成されて、第1部分94a、94b及び第2部分96a、96bをともにクリンプする。ともにクリンプされると、第1部分94a、94b及び第2部分96a、96bは、クリンプ92b及びSMAワイヤ15bによって例示されるように、SMAワイヤ15a、15bを所定の場所に保持する。
図1A及び
図1Bにおいて上述されるように、SMAワイヤ15の他方の端部は可動部材14に連結される。
【0030】
図示されるように、第1部分94a、94b及び第2部分96a、96bは、一体的部材である。しかしながら、実施形態において、第1部分94a、94b及び第2部分96a、96bは非一体的であり、以下に
図30A~
図30Bに示されるように、接着、溶接、及び/又ははんだ接合などを用いてともに連結されてもよい。
【0031】
クリンプ92aによって示されるように、クリンプ92aの第1部分94aは、一式の導電トレース98を含み、第2部分96aは一式の導電トレース99を含む。実施形態において、導電トレース99は、導電トレース18aから突出する。クリンプ92bは類似の構成を有してもよい。上述のように、導電トレース18a及び18bは、個別の端子パッド30a及び30bにそれぞれ連結されるとよい。さらに、誘電体100の1つ以上の層が、導電トレース98、99とベース層16との間に配置されて、導電トレース98、99をベース層16から電気的に絶縁する。実施形態において、導電トレース98、99の間に配置された誘電体100は単一部材の誘電体であるとよく、又は代替的に、導電トレース98、99の間に配置された誘電体100は、軸97a、97bに沿ってそれぞれ割れ目があって(クリンプ92aについて
図15Bに示される)、軸97a、97bに沿った第1部分94a、94bの折り曲げの補助をするとよい。さらに、実施形態において、トレース98、99の長さは、
図15Bに示されるように、互い違いであるとよい。トレース98、99の長さを互い違いにすることで、SMAワイヤ15が第1部分94及び第2部分96の間の曲げ部に接触して、SMAワイヤ15をベース層16にショートさせる可能性を低減する。実施形態において、トレース98、99は、銅、銅合金、又は他の導体から形成されるとよい。実施形態において、トレース98、99の全体又は部分に、絶縁カバーコートが施されてもよい。耐食性を与えるために、金(Au)及び/又はニッケル(Ni)などの耐食性金属がトレース98、99の部分にめっきされる、或いは塗布されることができる。誘電体100としてポリイミド又は他の絶縁材料が用いられ得る。
【0032】
誘電体100の層がトレース98、99をベース層16から分離し、導電トレース18a及び18bは個別の端子パッド30a及び30bにそれぞれ連結されることから、各SMAワイヤ15a及び15bは、可動部材14を移動及び制御するために個別に作動され得る。この構成のため、ベース層16は一部材であってもよい。一方、従来の実施形態では、4部材に分けられて、各SMAワイヤ15が互いに個別に作動可能であるベース層を必要とする。ベース層16は、本明細書に記載の実施形態において一部材からなるものであるため、従来の実施形態に用いられるベース層よりも、構造的統合性及び剛性を有する。
【0033】
図示されるように、トレース98は、それらの間に間隙102を含み、トレース99もそれらの間に間隙104を含む。実施形態において、1つ以上の間隙102は、1つ以上のトレース99にアライメントし、1つ以上の間隙104は、1つ以上のトレース98に
アライメントする。実施形態において、トレース98、99は、例えばフィンガー、スライス及び/又は部材などの、細長い形体を含むとよい。トレース98及びトレース99は、例えば織り合わせ、交互、及び/又は互い違いなどの関係性で、互いに対してオフセットされ、第1部分94a及び第2部分96aがともにクリンプされるときに、トレース98は間隙104に配置され、トレース99は間隙102に配置される。クリンプ92bは、クリンプ92aに類似するトレース及び間隙の構成を含むとよい。上述のように、実施形態において、導電トレース99は、
図15Aに示されるように、導電トレース18aから突出するとよい。そのように、第1部分94a、94bが第2部分96a、96bとともにクリンプされるときに、
図16に示されるように、SMAワイヤ15が導電トレース98及び99において湾曲される。
【0034】
図16は、クリンプ92bの断面図を示す。実施形態において、クリンプ92aは、クリンプ92aの第1部分94a及び第2部分96aがともにクリンプされるときに同様の構成を有するとよい。図に示されるように、導電トレース98及び99は、第1部分94b及び第2部分96bがともにクリンプされるときに、SMAワイヤ15の長さ方向軸に対して垂直の力を与える。そのように、SMAワイヤ15は、トレース98、99によって間隙102、104内へと変形される。この構成のため、SMAワイヤ15が2つの平坦な部材によって所定の場所に保持される場合よりも、SMAワイヤ15は、クリンプ92bによってより確実に所定の場所に保持されることができる。
【0035】
実施形態において、導電トレース98、99の幅106、間隙102、104の幅108、及び導電トレース98と導電トレース99との距離110は、SMAワイヤ15の可撓性に応じて変更され得る。例として、第1のSMAワイヤ15が第2のSMAワイヤ15よりも硬質であり、第1のSMAワイヤ15が用いられている場合、間隙104の幅108及び導電トレース98、99の間の距離110は、第2のSMAワイヤ15が用いられている場合よりも大きい。他の例として、第1のSMAワイヤ15が用いられている場合、より局所的な垂直の力をSMAワイヤ15に与えるために、トレース98の幅106は、第2のSMAワイヤ15が用いられている場合よりも小さい。
【0036】
実施形態において、1つ以上のSMAワイヤ15がクリンプ92a、92bの間にクリンプされた後に、SMAワイヤ15は、SMAワイヤ15巻きから切断される必要がある。追加又は代替的に、クリンプ92a、92bの端部を超えて延びる余分なSMAワイヤ15は、取り除かれる必要がある。実施形態において、SMAワイヤ15は、ワイヤをベース層16、及び/又はトレース18をベース層16から分離する誘電体100においてワイヤを押し付けるツールを用いてせん断されるとよい。しかしながら、一部の場合において、このことにより、SMAワイヤ15がベース層16に接触し、ショートし得る。そうして、実施形態において、誘電体の上部及びSMAワイヤ15の下部にパッドが配置されるとよい。
【0037】
図17及び
図18は、本開示の実施形態において、例示のカッティングパッド112a、112bをそれぞれ含む取り付け部材を示す。上述されるように、カッティングパッド112a、112bは、ひと巻きのワイヤからSMAワイヤ15を切断するため、及び/又は必要のない任意の余分なSMAワイヤ15を切断するために用いられるとよい。このため、SMAワイヤ15がベース層16にショートする可能性が低減される。実施形態において、パッド112a、112bは、それぞれ、クリンプ92a、92bの端部113a、113bの近傍の位置においてレッジ25上に配置されるとよい。パッド112a、112bはクリンプ92a、92bの外側に配置されて、クリンプ92a、92bがクリンプされるときにパッド112a、112bが露出される、及び/又は、パッド112a、112bはクリンプ92a、92bの端部113a、113bを超えて延びる部分を含むので、クリンプ92a、92bがクリンプされるときにパッド112a、112bが露
出される。
【0038】
実施形態において、パッド112a、112bは金属製であるとよい。例として、パッド112a、112bは、銅、銅合金、又は他の導体などの、トレース18と同じ材料から作製されるとよい。このように、パッド112aは、
図17に示されるように、トレース18に連結されるとよい。代替的に、パッド112bは、
図18に示されるように、トレース18から分離されるとよい。他の実施形態において、パッド112a、112bは非金属材料製である、及び/又は、パッド上のカバーコートを含み得る。
【0039】
図19は、本開示の実施形態において、可動部材14に組み込まれることが可能な取り付け構造114を示す。図に示されるように、取り付け構造114は2つのクリンプ115を含む。2つのクリンプ115はプレート60と一体的であり、各クリンプ115は第1部分116と第2部分118とを含む。第1部分116は、第1部分116と第2部分118とをともにクリンプするために、実質的に各軸120a、120bに沿って折り曲げられるように構成される。第1部分116と第2部分118とは、ともにクリンプされるときに、SMAワイヤ15を所定の位置に保持する。
図1A及び
図1Bにおいて上述されるように、SMAワイヤ15の他端部は支持部材12に連結される。
【0040】
第1部分116と第2部分118とは、プレート60上に配置された細長い形体122a~122dを含む。さらに、細長い形体122a~122dは、それらの間に間隙124a~124dを含む。実施形態において、1つ以上の間隙124a~124dは、1つ以上の細長い形体122a~122dにアライメントする。実施形態において、細長い形体122a~122dは、例えばフィンガー、スライス及び/又は部材などであるとよい。細長い形体122a、122b及び細長い形体122c、122dは、例えば織り合わせ、交互、及び/又は互い違いなどの関係性で互いに対してオフセットされるので、第1部分116及び第2部分118がともにクリンプされるときに、細長い形体122a、122bが間隙124c、124dに配置され、細長い形体122c、122dが間隙124a、124bに配置される。そのように、第1部分116が第2部分118とともにクリンプされるとき、細長い形体122a~122dは、SMAワイヤ15の長さ方向軸に対して垂直の力を与える。こうして、SMAワイヤ15は、細長い形体122a~122dによって間隙124a~124d内へと変形される。この構成により、SMAワイヤ15が2つの平坦な部材によって所定の位置に保持される場合よりも、SMAワイヤ15はクリンプ115によってより確実に所定の位置に保持される。
【0041】
実施形態において、細長い形体122a~122dは、導電材料又は誘電体から作製されるとよい。例として、細長い形体122a~122dは、銅、銅合金、若しくは他の導体、又はポリイミド若しくは他の絶縁材料から形成されるとよい。
【0042】
実施形態において、導電層126が細長い形体122上に配置されるとよい。しかしながら、細長い形体122の部分が間隙124a~124dを含むことから、細長い形体122a~122dが誘電体から作製されるときには、SMAワイヤ15は導電層126を介してプレート60に電気的に接続されるとよい。上述されるような間隙104の幅108及び導電トレース98、99の間の距離に類似して、細長い形体122a~122dの幅及び間隙124a~124dの幅は、SMAワイヤ15の可撓性に応じて変更され得る。実施形態において、導電層126は、銅、銅合金又は他の導体から形成されるとよい。実施形態において、導電層126の全体又は部分に、絶縁カバーコートが施されることができる。耐食性を与えるために、金(Au)及び/又はニッケル(Ni)などの耐食性金属が導電層126の部分にめっきされる、或いは塗布され得ることができる。細長い形体122としてポリイミド又は他の絶縁材料が用いられ得る。
【0043】
図20A~
図20Cは、上述の1つ以上の取り付け機構に組み込まれ得るクリンプ128の他の実施形態を示す。実施形態において、可動部材14の1つ以上の対角部のそれぞれに、複数のクリンプ128が組み込まれるとよい。例として、各対角部に2つのクリンプ128である、4つのクリンプ128が、
図21に示されるように、可動部材14の2つの対角部に組み込まれるとよい。
【0044】
図に示されるように、クリンプ128はプレート60と一体的であり、第1部分130と第2部分132とを含む。第1部分130は、第1部分130及び第2部分132をともにクリンプするために、実質的に軸134に沿って折り曲げられるように構成される。第1部分130及び第2部分132は、ともにクリンプされるとき、
図20B及び
図20Cに示されるように、SMAワイヤ15を所定の位置に保持する。
図1A及び
図1Bにおいて上述されるように、SMAワイヤ15の他端部は支持部材12に連結される。
【0045】
実施形態において、クリンプ128は凹部136を含む。凹部136は、
図20Aに示されるように、プレート60の第2部分132にエッチングされるとよい。さらに、第1部分130は、複数の細長い部材138、140であって、それらの間に間隙を含むものを含むとよい。3つの細長い部材138、140が示されるが、代替的実施形態では、より多い又は少ない細長い部材138、140が含まれるとよい。第1部分130及び第2部分132がともにクリンプされるとき、少なくとも1つの細長い部材、例えば細長い部材140が凹部136に延びる。1つの細長い部材140のみが凹部136延びていることが示されるが、他の実施形態において、他の細長い部材が各凹部又は同じ凹部に延び得る。さらに、第1部分130及び第2部分132がともにクリンプされるときに、細長い部材138は、
図20B及び
図20Cに示されるように第2部分132の上部に接触するとよい。実施形態において、凹部136の端部及び細長い部材138、140の端部は円形であるので、SMAワイヤ15が細長い部材140によって凹部136に強制的に配置されるときに、SMAワイヤ15は損傷を受けにくい。
【0046】
細長い部材140は凹部136内に延びるので、第1部分130及び第2部分132がともにクリンプされるときに細長い部材140はSMAワイヤ15の長さ方向軸に垂直の力を与える。そのように、SMAワイヤ15は細長い部材140によって凹部136内へと変形される。この構成のため、SMAワイヤ15が2つの平坦な部材によって所定の場所に保持される場合よりも、SMAワイヤ15は、クリンプ128によって所定の位置により確実に保持されることができる。
【0047】
実施形態において、細長い部材140は、細長い部材140の底部側143(図示せず)及び/又は上部側144(
図20Cに示す)に追加の材料層142を含み、細長い部材140が凹部136内に延びる、及び/又は細長い部材140が、他の状態で延びるであろうものよりもさらに凹部136内に延びることができる。ゆえに、第1部分130及び第2部分132がともにクリンプされるために、平坦なクリンプツールが用いられるとよい。
【0048】
図21は、本開示の実施形態における、可動部材14のベース層60を示す。図に示されるように、ベース層60は、実質的に平坦であり、取り付け構造146を含むとよい。実施形態において、プレート60の2つの対角部148は、2つの取り付け構造146を含むとよい。各取り付け構造146は、
図19及び
図20A~
図20Cにそれぞれ示される、例えばクリンプ115、128であるクリンプを含むとよい。追加又は代替的に、プレート60の取り付け構造146は、例えば複数の凹部のアレイ、1つ以上のエッチングパターン、及び/又は部分的エッチングパターンのアレイである、1つ以上の凹部を含むとよい。取り付け構造146に含まれる1つ以上の凹部は、SMAワイヤ15が2つの平坦な部材によって所定の場所に保持される場合よりも、SMAワイヤ15をより確実に保
持することができる。エッチングパターンを作成するために、
図8~14に関して上述されるエッチング方法の1つ以上が用いられるとよい。実施形態において、誘電体及び導電層がエッチングパターン上に配置されるとよい。エッチングパターンが作成された後、SMAワイヤ15の損傷の可能性を低減するために、部分的エッチングパターンの角部が円形にされるとよい。
【0049】
図22A~
図24Bは、取り付け構造146にエッチングされ得る部分エッチングパターンの実施形態を示す。
図22A~
図24Bに示される実施形態のそれぞれにおいて、取り付け構造146に固定されるSMAワイヤ15は、部分エッチングパターンによって変形され得る。そのように、SMAワイヤ15が2つの平坦な部材によって所定の場所に保持される場合よりも、SMAワイヤ15は、取り付け構造146によって所定の位置により確実に保持されることができる。
【0050】
例として、部分エッチングパターン150は、
図22A~
図22Bに示されるような、互い違いの直線状凹部であるとよい。実施形態において、部分エッチングパターン150は、取り付け構造146に含まれるクリンプがクリンプされるときに、織り合わせ、交互、及び/又は互い違いなどで互いに対してオフセットされるとよい。他の例として、部分エッチングパターン152は、
図23A~
図23Bに示されるような、凹部のアレイであるとよい。さらに他の例として、部分エッチングパターン154は、
図24A~
図24Bに示されるような、平行なジグザク状であるとよい。
【0051】
図25A~
図25Cは、本開示の実施形態において、可動部材14に組み込まれることができる他の取り付け構造160を示す。実施形態において、以下に記載される取り付け構造160の特徴は、本明細書に記載される他の取り付け構造に組み込まれ得る。図に示されるように、取り付け構造160は2つのクリンプ162を含む。クリンプ162は、プレート60と一体的であり、第1部分164及び第2部分166を含む。第1部分164は、第1部分164及び第2部分166をともにクリンプするために、実質的に軸168に沿って折り曲げられるように構成される。第1部分164及び第2部分166は、ともにクリンプされるとき、SMAワイヤ15を所定の位置に保持することができる。
図1A及び
図1Bにおいて上記に示されるように、SMAワイヤ15の他端部が支持部材12に連結される。
【0052】
図に示されるように、第1部分164は凹部170を含み、第2部分166は細長い部材172を含む。第1部分164及び第2部分166がともにクリンプされるときに、細長い部材172は凹部170へと延びる。第1部分164及び第2部分166がともにクリンプされるときに、SMAワイヤ15は、細長い部材172によって凹部170内へと変形される。この構成のため、SMAワイヤ15が2つの平坦な部材によって所定の場所に保持される場合よりも、SMAワイヤ15は、クリンプ162によってより確実に保持されることができる。実施形態において、エッジ176は、エッジ174を超えて延びる部分177を含むので、第1部分164及び第2部分166がともにクリンプされるときに、
図25B及び
図25Cに示されるように、第1部分164は第2部分166に適合することができる。
【0053】
さらに、第1部分164はエッジ174を含み、第2部分166は、エッジ174からオフセットされたエッジ176を含む。第1部分164及び第2部分166がともにクリンプされるときに、エッジ174及び176は、SMAワイヤ15を切断することが可能なカッティングエッジを作るように構成される。
図25Bは、両方のクリンプ162が閉じた取り付け構造160を示し、
図25Cは、エッジ174、176がSMAワイヤ15の端部分を切断した後の取り付け構造160を示す。
【0054】
図26A~
図26Bは、本開示の実施形態における、クリンプ178の他の実施形態を示す。上述のクリンプと類似して、クリンプ178は可動部材14及び/又は上述の取り付け構造に組み込まれることができる。クリンプ178は、プレート60と一体的であり、ともに折り曲げられるように構成された第1部分180及び第2部分182を含む。第1部分180及び第2部分182は、ともに折り曲げられるとき、
図26Bに示されるように、SMAワイヤ15を所定の位置にクリンプすることが可能である。
【0055】
図に示されるように、クリンプ178はエッチング凹部184を含む。凹部184は、第1部分180及び第2部分182がともにクリンプされるときにクリンプ178が曲がる186ところに実質的に配置される。さらに、凹部184は曲げ部186の外部分に配置される。凹部184は、曲げ部186のストレスを低減し、第1部分180及び第2部分182がともにクリンプされるときにプレート60が割れる可能性を低減することができる。実施形態において、プレート60がより厚みのある金属製である場合、並びに/又はプレート60が延性の低い及び/若しくは可鍛性の低い金属製である場合に、これは有利である。実施形態において、凹部184は、
図8~
図14に関して上述されるエッチング方法などのエッチングによって形成されるとよい。
【0056】
実施形態において、凹部184と同様のエッチング凹部が、支持部材12に含まれるとよい。つまり、例えば、エッチング凹部は、第1部分94a、94b及び第2部分96a、96bがともにクリンプされるときにクリンプ92a、92bが曲がるところに実質的に配置されるとよい。
【0057】
図27A~
図27Cは、本開示の実施形態における、クリンプ187の他の実施形態を示す。上述されたクリンプに類似して、クリンプ187は、支持部材12、可動部材14、及び/又は、支持部材12及び可動部材14に関してそれぞれ上述される取り付け構造に組み込まれることができる。クリンプ187はプレート60と一体的であり、ともに折り曲げられるように構成された第1部分188及び第2部分190を含む。第1部分188及び第2部分190は、ともに折り曲げられるとき、図に示されるように、SMAワイヤ15を所定の位置にクリンプすることができる。
【0058】
クリンプ187は、クリンプ187の少なくとも一方側から延び、SMAワイヤ15におけるクリンプ力を支持及び/又は提供するストレインリリーフ部材192を含む。図に示されるように、ストレインリリーフ部材192は、クリンプ187の両側から延びるが、他の実施形態において、ストレインリリーフ部材192は、クリンプ187の一方側から延びるのみである。
【0059】
従来の実施形態において、サスペンション組立体10がストレス下にあるとき、SMAワイヤ15がクリンプの側部を出るところが本質的に高ストレス領域であることから、SMAワイヤがクリンプの側部を出るところ近傍でSMAワイヤは損傷を受ける、及び/又は破壊され得る。ストレインリリーフ部材192は、SMAワイヤ15とともに曲がり、サスペンション組立体10がストレス下にある時にSMAワイヤ15の曲げ半径を増大させるので、SMAワイヤ15におけるストレスを低減する。つまり、例えば角度θで曲がる幅xを有するSMAワイヤ15の部分に代わって、ストレインリリーフ部材192は、角度θで曲がる部分の幅を、例えば2×x、3×x、4×xなどに増大させるとよい。これにより、SMAワイヤ15におけるストレスがSMAワイヤ15のさらなる部分に分散される。実施形態において、ストレインリリーフ部材192がクリンプ187の側部から突出する距離は、例えば、SMAワイヤ15に用いられる材料のタイプ、堅さ及び/又は厚みに応じて、変わり得る。
【0060】
実施形態において、ストレインリリーフ部材192は金属製であるとよい。例として、
ストレインリリーフ部材192は、銅、銅合金又は他の導体などのトレース18と同じ材料製であるとよい。そのように、ストレインリリーフ部材192はトレース18に連結されるとよい。実施形態において、ストレインリリーフ層192の全体又は部分に、絶縁カバーコートを適用することができる。耐食性を与えるために、金(Au)及び/又はニッケル(Ni)などの耐食性金属がストレインリリーフ層192の部分にめっきされる、或いは塗布され得る。追加又は代替的に、ストレインリリーフ部材192は誘電体から作製されるとよい。例として、ストレインリリーフ部材192は、誘電体78と同じ材料製であるとよい。誘電体の例は、ポリイミド又は他の絶縁材料を含むとよい。追加又は代替的に、ストレインリリーフ部材192は、
図27B及び
図27Cに示されるように、ストレインリリーフの内部に金属パッド194を含むとよい。実施形態において、金属パッド194は、SMAワイヤ15を掴むことに利用され、SMAワイヤ15がストレインリリーフ部192を抜け出る可能性を低減することができる。
【0061】
図28A~
図28Bは、本開示の実施形態における、クリンプ196の他の実施形態を示す。上述のクリンプと類似して、クリンプ196は、支持部材12、可動部材14、及び/又は、支持部材12及び可動部材14に関してそれぞれ上述される取り付け構造に組み込まれることができる。クリンプ196は、ともに折り曲げられるように構成された第1部分198及び第2部分200である、2つの部分を含む。第1部分198及び第2部分200は、ともに折り曲げられるとき、SMAワイヤ15を所定の位置にクリンプすることができる。クリンプ196の保持強度を増大させる、及び/又は支持部材10がストレス下にあるときにSMAワイヤ15における引っ張りを低減するために、上述される1つ以上の実施形態が、クリンプ196に組み込まれることができる。
【0062】
第2部分200はプレート60と一体的であるとよい。第1部分198は、第2部分200と非一体的であるが、接着、溶接、及び/又ははんだ接合などを用いて第2部分200に連結されるとよい。第1部分198及び第2部分200は、SMAワイヤ15のいずれかの側においてともに連結されるとよい。すなわち、実施形態において、第1部分198及び第2部分200は、クリンプ196の内部側202又はクリンプの外部側204で連結されるとよい。
【0063】
図29は、本開示の実施形態における、可動部材14のベース層60を示す。図示されるように、ベース層60は実質的に平面であり、取り付け構造206を含むとよい。実施形態において、プレート60の2つの対角部208は2つの取り付け構造206を含むとよい。各取り付け構造206は、
図28A~
図28Bに示される、例えばクリンプ196であるクリンプ210を含むとよい。例として、取り付け構造206に含まれるクリンプ210は、第2部分214と非一体的であるが、接着、溶接、及び/又ははんだ接合などを用いて第2部分214に連結される第1部分212を含むとよい。追加又は代替的に、プレート60の取り付け構造206はエッチングパターンを含むとよい。取り付け構造206に含まれるエッチングパターンは、SMAワイヤ15が2つの平坦な部材によって所定の場所に保持される場合よりも確実にSMAワイヤ15を保持することができる。エッチングパターンを作成するために、
図8~
図14に関して上述されるエッチング方法の1つ以上が用いられるとよい。実施形態において、誘電体及び導電層はエッチングパターン上に配置されるとよい。エッチングパターンが作成された後、SMAワイヤ15の損傷の可能性を低減するために、部分エッチングパターンの角部を円形にするとよい。
【0064】
本開示の実施形態は、好ましい実施形態を参照して記載されているが、当業者は、本開示の趣旨及び範囲から外れることなく形態及び詳細を変更できることを認める。例として、図に示される実施形態が、支持部材と反対の可撓性アームの側部(トレースの上部側)にトレースを備えていても、他の実施形態では、代替的に又は追加的に、可動部材に対向する可撓性アームの側部(トレースの底部側)にトレースを含むことができる。