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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】ピストンポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 53/16 20060101AFI20221226BHJP
   F04B 15/08 20060101ALI20221226BHJP
   F04B 53/10 20060101ALI20221226BHJP
   F04B 53/14 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
F04B53/16 C
F04B15/08
F04B53/10 C
F04B53/14 Z
F04B53/16 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021129092
(22)【出願日】2021-08-05
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】518126144
【氏名又は名称】株式会社三井E&Sマシナリー
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】高橋 元幸
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-138780(JP,A)
【文献】中国実用新案第207634260(CN,U)
【文献】特開2003-120537(JP,A)
【文献】特開2018-096326(JP,A)
【文献】特許第6572481(JP,B1)
【文献】特許第5774384(JP,B2)
【文献】特開昭63-075370(JP,A)
【文献】米国特許第5775886(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/16
F04B 15/08
F04B 53/10
F04B 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を排出する排出流路(10)を備え、該排出流路(10)と連通する貫通孔(13)を有する開閉弁(11)が設けられたシリンダヘッド(1)と、
シリンダライナ(2)と、
前記シリンダライナ(2)内で往復摺動可能に構成されるピストン本体(30)と、頂面(33)と、傾斜曲面(34)とを有し、該頂面(33)が切頭状に形成されたピストン先端部(32)とを備えるピストン(3)とを有し、
前記シリンダヘッド(1)と、前記シリンダライナ(2)とが、バルブヘッド(4)を介して接合され、
前記バルブヘッド(4)は、前記ピストン(3)のピストン先端部(32)傾斜曲面(34)の形状に対応する内壁面(40)を備える空洞(41)と、該空洞(41)のシリンダヘッド(1)側に、前記ピストン(3)の往復摺動によって、流体を加圧し、加圧された該流体を排出する出口開口部(42)とを備え、
前記出口開口部(42)は、前記シリンダヘッド(1)に設けられた前記開閉弁(11)により閉塞されており、所定の圧力に達すると、前記開閉弁(11)が開き、流体が、前記出口開口部(42)から、前記貫通孔(13)を介して、前記排出流路(10)へ排出されるように構成され、
前記ピストン先端部(32)の傾斜曲面(34)は、シリンダライナ(2)側からシリンダヘッド(1)側に向かって、縮径に形成され、且つ、断面形状が、内側から外側に凸条R1、又は、外側から内側に凸条R2の形状に形成されていることを特徴とするピストンポンプ。
【請求項2】
前記開閉弁には、前記出口開口部から前記空洞内に突出するように形成され、該空洞側から、該出口開口部側に向かって拡径する略円錐台形状の開閉弁突起部が設けられており、
前記開閉弁突起部は、開閉弁が開口した際に、出口開口部との間で、流体の流れのガイド機能を果たすように構成されていることを特徴とする請求項1記載のピストンポンプ。
【請求項3】
ピストン先端部の頂面は、ピストンポンプの往復摺動が最大の際に、前記空洞の領域を、前記開閉弁突起部の先端近傍まで到達するように構成されていることを特徴とする請求項2記載のピストンポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンポンプに関し、詳しくは、圧縮された流体の流れを阻害せず、圧力損失を抑えることができるピストンポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
低温流体を加圧して吐出するピストンポンプは、低温流体をシリンダライナとバルブヘッド内に吸入してピストンを用いて吐出させるものであり、例えば、図6図8に示すように、シリンダヘッド100とシリンダライナ200とを有し、シリンダライナ200を往復摺動するピストン300を有し、シリンダヘッド100とシリンダライナ200との間に配置されているバルブヘッド400を有する構成が挙げられる(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、円柱状の形態からなるピストン先端部310を有するピストン300を利用し、バルブヘッド400には、出口開口部と、ピストン先端部310に対応する空洞とが設けられ、出口開口部に隣接して、弁体110が、シリンダヘッド100に入り込むように配置されている。
ピストン先端部310は、ピストンポンプ行程が最大の際に空洞の領域を貫通するように構成されている。
【0004】
また、特許文献2では、ピストン先端部が、切頭円錐形状の形態であり、空洞の領域に完全に入り込む形状として切頭円錐形の形状が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6572481号公報
【文献】特許第5774384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、まず、図6において、ピストン300によって、低温流体が加圧される前の状態であり、ピストンポンプは、図図示されない低圧液体燃料供給管に接続された燃料供給口500から、液体燃料がシリンダライナ200とバルブヘッド400との間に形成される空洞内に吸入される。
【0007】
次に、図7に示すように、空洞内に吸入された低温流体をピストン300によって押圧する。これにより、ピストン300、及びピストン先端部310は、空洞の形状とぴったり合う構成であるため、空洞に隙間がなくなり、空洞内の低温流体が加圧される。図7の状態では、圧縮する際に、空洞の形状が、ピストン先端部310にぴったり合う形状であるため、空洞が急激に狭くなる段差が形成されているため、加圧時に流体が弁体に向かう方向と異なる方向に流れを生じ、圧損が生じてしまう。
【0008】
次に、図8に示すように、加圧された低温流体の圧力が、弁体110を押し上げる圧力になると、弁体110が押し上げられ、加圧された流体が、弁体の排出流路に連通する貫通孔を介して、排出流路へ排出される。さらに、押し上げられた弁体110に、加圧された流体が衝突することにより、加圧された流体に圧損を生じさてしまう。
【0009】
つまり、特許文献1では、空洞から開閉弁に至る流路が、空洞から急激に狭くなるため、流体の2次流れを生じ、圧力損失が発生するという課題が残されていた。
【0010】
また、特許文献2においても、ピストン先端部は、切頭円錐形の形態からなるため、ぴったりあう空洞も直線状に形成されているため、圧縮された流体において、出口開口部に向かう流体と出口開口部から離れる流体との圧力が均衡してしまい、流体の圧力損失を生じる結果となっていた。
【0011】
そこで、本発明の課題は、流体をスムーズに加圧し、加圧された流体の排出時の流れを阻害せず、圧力損失を抑えることができるピストンポンプを提供することにある。
【0012】
さらに本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は以下の各発明によって解決される。
【0014】
(請求項1)
流体を排出する排出流路(10)を備え、該排出流路(10)と連通する貫通孔(13)を有する開閉弁(11)が設けられたシリンダヘッド(1)と、
シリンダライナ(2)と、
前記シリンダライナ(2)内で往復摺動可能に構成されるピストン本体(30)と、頂面(33)と、傾斜曲面(34)とを有し、該頂面(33)が切頭状に形成されたピストン先端部(32)とを備えるピストン(3)とを有し、
前記シリンダヘッド(1)と、前記シリンダライナ(2)とが、バルブヘッド(4)を介して接合され、
前記バルブヘッド(4)は、前記ピストン(3)のピストン先端部(32)傾斜曲面(34)の形状に対応する内壁面(40)を備える空洞(41)と、該空洞(41)のシリンダヘッド(1)側に、前記ピストン(3)の往復摺動によって、流体を加圧し、加圧された該流体を排出する出口開口部(42)とを備え、
前記出口開口部(42)は、前記シリンダヘッド(1)に設けられた前記開閉弁(11)により閉塞されており、所定の圧力に達すると、前記開閉弁(11)が開き、流体が、前記出口開口部(42)から、前記貫通孔(13)を介して、前記排出流路(10)へ排出されるように構成され、
前記ピストン先端部(32)の傾斜曲面(34)は、シリンダライナ(2)側からシリンダヘッド(1)側に向かって、縮径に形成され、且つ、断面形状が、内側から外側に凸条R1、又は、外側から内側に凸条R2の形状に形成されていることを特徴とするピストンポンプ。
(請求項2)
前記開閉弁には、前記出口開口部から前記空洞内に突出するように形成され、該空洞側から、該出口開口部側に向かって拡径する略円錐台形状の開閉弁突起部が設けられており、
前記開閉弁突起部は、開閉弁が開口した際に、出口開口部との間で、流体の流れのガイド機能を果たすように構成されていることを特徴とする請求項1記載のピストンポンプ。
(請求項3)
ピストン先端部の頂面は、ピストンポンプの往復摺動が最大の際に、前記空洞の領域を、前記開閉弁突起部の先端近傍まで到達するように構成されていることを特徴とする請求項2記載のピストンポンプ。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、圧縮された流体の流れを阻害せず、圧力損失を抑えることができるピストンポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のピストンポンプのピストン行程において、ピストンが最下に位置している状態を示す図
図2】本発明のピストンポンプのピストン行程において、ピストンが最上に位置している状態を示す図
図3】本発明のピストンポンプのピストン行程において、開閉弁が解放された状態を示す図
図4】空洞の内壁面の曲面形状を示す図であり、図4(A)は、空洞の内壁面の曲面形状の一例を示す図、図4(B)は、空洞の内壁面の曲面形状の他の一例を示す図
図5図4(A)の場合の空洞の内壁面とピストン先端部の傾斜曲面との関係を示す図
図6】従来のピストンポンプのピストン行程において、ピストンが最下に位置している状態を示す図
図7】従来のピストンポンプのピストン行程において、ピストンが最上に位置している状態を示す図
図8】従来のピストンポンプのピストン行程において、開閉弁が解放された状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について好ましい実施の形態について説明する。
図1~3に基づいて、本発明のピストンポンプの好ましい形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明のピストンポンプのピストン行程において、ピストンが最下に位置している状態を示す図であり、図2は、本発明のピストンポンプのピストン行程において、ピストンが最上に位置している状態を示す図であり、図3は、本発明のピストンポンプのピストン行程において、流体の圧力が所定以上になり開閉弁が解放された状態を示す図である。
【0019】
ピストンポンプは、吸入した低温流体を加圧して吐出させる圧縮機である。
【0020】
本発明のピストンポンプで用いられる低温流体は、液体あるいは気体を含む。液体は、例えば液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、メタン、プロパン、ブタン等の液化ガスを含む。低温流体は、例えば、-120℃以下の液体燃料であることが好ましい。
【0021】
本発明のピストンポンプは、シリンダヘッド1、シリンダライナ2、ピストン3及びバルブヘッド4を有している。
【0022】
シリンダヘッド1は、加圧された流体を排出する排出流路10を備えている。排出流路10に沿って溝部10Aが形成されており、該溝部10Aにバネ12を介して開閉弁11が装着されている。開閉弁11は、加圧された流体を排出したり、遮断したりする機能を有する。ここで図1に示すように、開閉弁10の下面と、バルブヘッド4のシリンダヘッド1側の上面とが、平面でシールすることにより、後述するバルブヘッド4の空洞を密閉し、出口開口部からの流体が漏れるのを遮断している。
【0023】
開閉弁11には、排出流路10と連通する貫通孔13が設けられている。
【0024】
3はピストンであり、シリンダライナ2内で往復摺動するように設けられている。ピストン3は、シリンダライナ2の内壁面と接するピストンリング31を備えたピストン本体30と、ピストン先端部32とから構成されている。
【0025】
ピストン先端部32は、切頭状である頂面33と傾斜曲面34を有している。傾斜曲面34は、加圧された流体の排出方向に向かって縮径様に形成されている。
【0026】
バルブヘッド4は、シリンダヘッド1とシリンダライナ2との間に設けられており、シリンダライナ2を往復摺動するピストン3のピストン先端部32の形状に対応する内壁面40を備える空洞41を有している。また、バルブヘッド4は、シリンダヘッド1との間に、空洞41内で加圧された流体を排出する出口開口部42が形成されている。
【0027】
ここで、空洞41の出口開口部42側には、バルブヘッド4の強度のために、出口開口部42に向かって縮径する空間が形成されている。この空間は、流体の圧縮時に無駄なボリュームとなるため、ピストン3にピストン先端部32を設けることで、無駄を削減するように構成されている。
【0028】
空洞41の出口開口部42側に形成された空間と、ピストン先端部32との間には、図2に示すように、ピストン先端部32が空間に入り込むときの圧縮時の流体の流れを阻害しないように隙間が形成される。
【0029】
内壁面40は、傾斜曲面34に対応する形状になっている。例えば、内壁面40を、図4に示すような形状にすることができる。
【0030】
図4は、空洞41の内壁面40の曲面形状を示す図であり、図4(A)は、一例であり、図4(B)は他の例である。
【0031】
図4(A)に示すように、内壁面40は、断面形状が、内側から外側に向かって凸条(R1)の形状に形成されている。
【0032】
また、図4(B)に示すように、内壁面40の断面形状は、内側から外側に向かって凹条(R2)の形状に形成されてもよい。図4(B)に示す内壁面40の断面形状の場合には、ピストン先端部32の傾斜曲面も対応する形状になる。これにより、図4(A)の場合と同様の効果を得られる。
【0033】
図5は、図4(A)の場合の空洞の内壁面40とピストン先端部32の傾斜曲面34との関係を示す図である。
【0034】
図5に示すように、内壁面40の曲面形状に対応するように、ピストン先端部32の傾斜曲面34の形状が形成されている。
【0035】
図5において、内壁面40と、ピストン先端部32の傾斜曲面34とが、流路の排出方向に向かって、上流側から、法線方向の間隔がδ1、δ2、δ3となっている。法線方向の間隔δ1、δ2、δ3は、略均一であることが好ましい。内壁面40と傾斜曲面34とが図示のような曲面形状であることによって、流体への加圧をスムーズにすることができると共に、加圧された流体を排出する際に、排出流路10へ向かう流路がなだらかに縮径される形状となるため、流体の圧力損失を軽減することができる。また、法線方向間隔が、δ1=δ2=δ3であることにより、流体への加圧をよりスムーズに行うことができる。
【0036】
本実施形態において、開閉弁11がバネ12に押圧されている際には、出口開口部42は閉じており、バネ12による押圧力に対して、加圧された流体が開閉弁11を押圧する圧力が上回ると、開閉弁11は、開く方向に作動する。バルブヘッド4は、加圧された流体が出口開口部42から排出される際に、開閉弁11が開放され、出口開口部42から、加圧された流体が排出される。
【0037】
したがって、本実施形態では、バネ12による所定の押圧力に対して、加圧された流体が、所定の圧力に達すると、開閉弁11が開く方向に作動し、加圧された流体は、出口開口部42から、貫通孔13を介して、排出流路10へ排出される。
【0038】
本実施形態においては、開閉弁11の先端には、出口開口部42を貫通し、空洞41に向かって突出する略円錐台形状の開閉弁突起部14が設けられていることが好ましい。
【0039】
開閉弁突起部14は、空洞41に向かって、略円錐台形状であることにより、開閉弁11が開放されると、出口開口部42と、開閉弁突起部14との間に流路が形成され、開閉弁突起部14が、流体のガイド機能を果たすことができる。
【0040】
図1図3に基づいて、本発明のピストンポンプの作用を説明する。
まず、図1は、ピストン3によって、流体が加圧される前の状態である。この時、本発明のピストンポンプは、図示されない低圧液体燃料供給管に接続された燃料供給口5から、液体燃料が空洞41内に吸入される。
【0041】
次に、図2に示すように、空洞41内に吸入された流体をピストン3が開閉弁突起部14の先端近傍まで到達するように構成され、ピストン3、及びピストン先端部32によって、空洞41内の容積が小さくなり、流体を押圧する。これにより、流体は加圧される。
【0042】
図1から図2の状態に移行する際、流体は、内壁面40と、傾斜側面34との間の空間が狭くなり、空洞41の出口開口部42側の縮径された空間に向かって移動する。本実施形態においては、流体の圧縮時に、外周から内周に向かって凸条(R1)となる形状の内壁面40と、内壁面40の形状に対応する形状の傾斜側面34とを有することにより、空洞部41の出口開口部42側の空間に至る流路がなだらかな流路となるため、流体の流れを阻害しない。この結果、圧縮時における流体の圧力の損失を低減することができる。
【0043】
次に、図3に示すように、加圧された流体の圧力が、バネ12の押圧力を上回る圧力になると、出口開口部42を遮断していた開閉弁11が押し上げられ、出口開口部42が開放される。これにより、開放された出口開口部42から加圧された流体が排出され、開閉弁11の貫通孔13を介して、排出流路10へ排出される。
【0044】
ここで、図3に示すように、開閉弁11が開口し、流体が排出された後、図1の状態に戻り次のサイクルの工程に移行する。
【0045】
図1の状態に戻ると、開閉弁11が閉じると共に、ピストン3が下がる。つまり、燃料吸入口5からの流体を吸入するために、空洞41内では、流体の吸入圧力まで低下することになる。
【0046】
燃料供給口5から流体を吸入する圧力まで低下すると、開閉弁突起部14と、空洞41の出口開口部42側の空間との間に生じる隙間も同様に圧力が低下することになり、該隙間に残った加圧された流体がガス化し、ガス化した流体の体積が大きく膨張してしまう。
【0047】
もし、開閉弁突起部14と、該空間との間に生じる隙間が大きすぎると、空洞41内にはガス化した燃料で充満してしまうため、次のサイクルで加圧するための燃料の吸入が阻害されてしまいポンプ効率が大きく損なわれてしまう。
【0048】
本実施形態においては、図3に示すように、開閉弁11が開放されると、開閉弁11に設けられた開閉弁突起部14と空洞41の出口開口部42側の空間との間に生じた隙間が、加圧された流体のガイド流路となる機能を果たす程度の隙間であることが好ましい。また、図2に示すように、開閉弁突起部14と空洞41の出口開口部42側の空間との間に生じた隙間は、次のサイクル時に燃料供給口5からの流体の吸入を阻害しない程度の小さな隙間であることが好ましい。流体の排出時に、開閉弁突起部14と出口開口部42側の空間との間に生じる小さな隙間が、流体のガイド流路となる機能を備えることにより、流体に生じる圧力損失を抑えて、排出流路10へスムーズに排出することができる。
【0049】
また、本実施形態においては、ピストン先端部32の頂面33が、ピストン3の往復摺動が最大の際に、空洞41の領域を、開閉弁突起部14の先端近傍まで到達するように構成されているため、開閉弁突起部14と空洞41との間に生じる小さな隙間となる無駄な容積を極力小さくすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 シリンダヘッド
10 排出流路
11 開閉弁
12 バネ
13 貫通孔
14 開閉弁突起部
2 シリンダライナ
3 ピストン
30 ピストン本体
31 ピストンリング
32 ピストン先端部
33 頂面
34 傾斜曲面
4 バルブヘッド
40 内壁面
41 空洞
42 出口開口部
5 燃料供給口
100 シリンダヘッド
200 シリンダライナ
300 ピストン
310 ピストン先端部
400 バルブヘッド
500 燃料供給口
【要約】
【課題】流体をスムーズに加圧し、加圧された流体の排出時の流れを阻害せず、圧力損失を抑えることができるピストンポンプの提供。
【解決手段】シリンダヘッド1と、シリンダライナ2と、ピストン本体30と、ピストン3とを有し、シリンダヘッド1とシリンダライナ2とがバルブヘッド4を介して接合され、バルブヘッド4はピストン先端部32の形状に対応する空洞41と加圧された流体を排出する出口開口部42とを備え、出口開口部42は開閉弁11により閉塞されており所定の圧力に達すると開閉弁11が開き、流体が排出流路10へ排出されるように構成され、ピストン先端部32の傾斜曲面34は、シリンダライナ2側からシリンダヘッド1側に向かって、縮径に形成され、且つ、断面形状が、内側から外側に凸条R1、又は、外側から内側に凸条R2の形状に形成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8