IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アビオメド オイローパ ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許-血管内血液ポンプ 図1
  • 特許-血管内血液ポンプ 図2
  • 特許-血管内血液ポンプ 図3
  • 特許-血管内血液ポンプ 図4
  • 特許-血管内血液ポンプ 図5
  • 特許-血管内血液ポンプ 図6A
  • 特許-血管内血液ポンプ 図6B
  • 特許-血管内血液ポンプ 図7
  • 特許-血管内血液ポンプ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】血管内血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/174 20210101AFI20221226BHJP
   A61M 60/237 20210101ALI20221226BHJP
   A61M 60/806 20210101ALI20221226BHJP
   A61M 60/825 20210101ALI20221226BHJP
   A61M 60/829 20210101ALI20221226BHJP
   A61M 60/824 20210101ALI20221226BHJP
   A61M 60/857 20210101ALI20221226BHJP
   A61M 60/416 20210101ALI20221226BHJP
   F04D 29/047 20060101ALI20221226BHJP
   F04D 29/046 20060101ALI20221226BHJP
   F04D 29/043 20060101ALI20221226BHJP
   F16C 33/24 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
A61M60/174
A61M60/237
A61M60/806
A61M60/825
A61M60/829
A61M60/824
A61M60/857
A61M60/416
F04D29/047 Z
F04D29/046 C
F04D29/043
F16C33/24 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021171421
(22)【出願日】2021-10-20
(62)【分割の表示】P 2020011910の分割
【原出願日】2013-02-14
(65)【公開番号】P2022020677
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】102012202411.5
(32)【優先日】2012-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507116684
【氏名又は名称】アビオメド オイローパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スパニアー ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】キルヒホッフ フランク
(72)【発明者】
【氏名】ジース トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒェルス ディルク
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-528797(JP,A)
【文献】特表2000-512191(JP,A)
【文献】特表2000-511455(JP,A)
【文献】特表昭61-500058(JP,A)
【文献】特表2000-511759(JP,A)
【文献】米国特許第5211546(US,A)
【文献】米国特許第4944722(US,A)
【文献】特開2002-315824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/00 - 60/90
F04D 29/043 - 29/047
F16C 33/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内血液ポンプ(10)を含むシステムであって、
前記血管内血液ポンプは、
近位端と遠位端を有するモータハウジング(20)と、前記モータハウジング内に配置された電気モータ(21)と、を有する駆動部(11)であって、前記電気モータは、一端が前記モータハウジング(20)の遠位端から突出し、前記モータハウジングの近位端と遠位端の両方において前記モータハウジング内に半径方向(27、31)に取り付けられているモータシャフト(25)を有し、前記モータシャフト(25)は、前記モータハウジング(20)内で少なくとも1つのアキシャル滑り軸受(40)またはラジアル-アキシャル滑り軸受(46)によって軸方向に取り付けられている、駆動部(11)と、
前記モータハウジング(20)の近位端に接続され、そこに沿って前記電気モータに電源供給する線(23)が延びるカテーテル(14)と、
前記モータハウジング(20)の遠位端に固定された管状のポンプハウジング(32)と、前記モータハウジングの遠位端から突出し、前記ポンプハウジング(32)内で回転可能な前記モータシャフト(25)の端に着座する羽根車(34)と、を有するポンプ部(12)と、
パージ流体ライン(29)であって、当該パージ流体ラインを通じて供給された流体が前記アキシャル滑り軸受(40)と前記モータハウジングの遠位端に位置付けられた前記ラジアル軸受(31)の軸受隙間、または前記ラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間を通って流れるように配置されるパージ流体ライン(29)と、を含み、
前記システムが、37℃で1.2mPa・s以上の粘性を有する流体を前記パージ流体ラインに供給するパージ流体源をさらに含む、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記アキシャル滑り軸受(40)または前記ラジアル-アキシャル滑り軸受(46)が、前記モータシャフト(25)に設置され、前記モータハウジング(20)の円周方向の肩部で支持されるディスク(44)を含むシステム
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、
前記アキシャル滑り軸受(40)または前記ラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間を形成する表面(41、42)の少なくとも一方が、前記軸受隙間を半径方向に外側から半径方向に内側へと貫通する経路(43)を有するシステム
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記アキシャル滑り軸受(40)または前記ラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の前記軸受隙間が、円周方向のある領域において収束する隙間として構成されるシステム
【請求項5】
請求項に記載のシステムにおいて、
前記アキシャル滑り軸受(40)または前記ラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間を形成する前記表面(42、41)のうちの移動表面(42)が平らであるシステム
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記アキシャル滑り軸受(40)または前記ラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間を形成する前記表面(41、42)の一方が、螺旋状に配置された1つまたは複数の溝(45)を有するシステム
【請求項7】
請求項に記載のシステムにおいて、
前記アキシャル滑り軸受(40)または前記ラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間を形成する前記表面(41、42)のうちの移動表面(42)が、螺旋状に配置された1つまたは複数の溝を有するシステム
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記アキシャル滑り軸受(40)または前記ラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間を形成する前記表面(41、42)がセラミック製であるシステム
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記モータハウジング(20)の近位端にある前記ラジアル軸受(27)が外側リングを有し、前記電気モータ(21)のリードワイヤ(51)が前記外側リングを通って、または前記外側リングの半径方向に外側に位置するスロット(50)の中で延びるシステム
【請求項10】
請求項に記載のシステムにおいて、
前記電気モータ(21)の前記リードワイヤ(51)と前記カテーテル(14)に沿って延びる前記線(23)が、前記モータハウジングの近位端にある前記ラジアル軸受(27)の近位方向に位置付けられる表面の上に導電的に接続されるシステム
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記モータハウジングが少なくとも部分的に注型プラスチックのハウジングであり、導電接続部(52)も同様に注型されるシステム
【請求項12】
請求項1~8のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記モータシャフト(25)のラジアル軸受(27、31)のうちの少なくとも1つは、前記モータハウジング(20)の前記近位端および前記遠位端においてラジアル滑り軸受として構成されるシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムにおいて、
少なくとも1つのラジアル滑り軸受において、前記軸受隙間を形成する前記表面の一方がセラミック表面であり、前記軸受隙間を形成する前記表面の対応する他方がアモルファスカーボンコーティング(DLC)であるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の、または随意選択により動物の体にも使用可能な、血液循環を補助するための血管内血液ポンプに関する。これは、例えば大腿動脈に挿入され、体内の血管系の中を案内され、例えば心臓の拍動を補助し、またはその代わりとなる。本発明は同様に、このような血管内血液ポンプを含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような血液ポンプが満たすべき使用可能期間と小型化に関する要求は日々高まりつつある。この種のポンプで最小のものは、外径が約4mmである。それ以上の外径の縮小は、特にポンプ内で使用される機械的要素が希望の小ささで入手できないことによって制約される。さらに、機械的要素には大きな負荷がかかることになり、それは、これらのポンプがパッケージサイズと人の血液循環中で運ばれる血流量の多さによって、1分間に数万回転という高い回転速度で動作するからである。この種の血液ポンプはもともと短期間の心臓補助用とされていたが、数日から数週間に及ぶ長期治療用として使用されることもますます増えている。
【0003】
欧州特許第0961621B1号明細書から、駆動部と、駆動部の近位端に取り付けられ、その中を通って延びて駆動部に電源供給する線を有するカテーテルと、駆動部の遠位端に固定されたポンプ部と、を有する血管内血液ポンプが知られている。駆動部はモータハウジングを含み、その中に電気モータが配置され、電気モータのモータシャフトは駆動部から遠位方向に向かってポンプ部の中へと突出する。ポンプ部自体は管状のポンプハウジングを含み、これは、モータハウジングから突出しているモータシャフトの端に設置され、その中で回転する羽根車を有する。モータシャフトはモータハウジング内において厳密に2つの軸受に取り付けられ、これらの軸受は相互に最大限に離間されて、ポンプハウジング内で羽根車が確実に実際の正確な中央位置で案内されるようになっている。モータハウジングの近位端の軸受としては実際にラジアル玉軸受が使用されるが、羽根車側の軸受はさらに軸シールとして構成され、モータハウジングへの血液の侵入が防止される。実際には、モータハウジングへの血液の侵入にさらに対抗するために、パージ流体を、モータハウジングと軸シールとして構成された羽根車側の軸受を通過するように流す。これは、そのときの血圧より高いパージ流体圧力で行われる。
【0004】
血管内血液ポンプは通常、ポンプハウジングからモータハウジングを遠位側から近位側へと通過するように血液を運ぶ。逆の輸送方向もまた可能である。どちらの場合も、羽根車は血液を運ぶときに軸力を発生させ、これがモータシャフトを通じて軸受に伝えられ、ラジアル玉軸受によって受けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第0961621B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この先行技術から始まる本発明の目的は、どのようにして上記のような血管内血液ポンプのパッケージサイズをさらに小型化し、その使用可能寿命を延長するか、その方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、特許請求項1の特徴を有する血管内血液ポンプによって達成される。その従属項には、本発明の有利な発展形と実施形態が記載されている。各実施形態では血管内血液ポンプを使用しながら血液循環が補助される。
【0008】
本発明による血液ポンプは、それがモータハウジング内にアキシャル軸受によって軸方向に取り付けられ、アキシャル軸受がアキシャル滑り軸受またはラジアル-アキシャル滑り軸受であることを特徴とする。それゆえ、モータシャフトの軸力をモータハウジングの近位端に設置されたラジアル玉軸受によって受ける必要がなくなる。したがって、ラジアル玉軸受は相応に小型化できるか、他の小型のラジアル軸受、詳しくはラジアル滑り軸受を代用できる。これによって今度は、外径がさらに縮小された血液ポンプを開発することが可能となる。
【0009】
同時に、この方法によって血液ポンプの使用可能寿命がより長くなる。これは、そもそもラジアル軸受が受けるようには意図されていない軸力が弱まるため、ラジアル軸受の負担が軽減され、それによって、軸受に生じる摩耗が減少するからである。
【0010】
あるいは、本発明を現在のパッケージサイズに組み込むことにより、使用可能寿命を延ばし、より複雑でないものとすることができる。
【0011】
モータシャフトに作用する軸力は輸送方向と反対である。血液ポンプが近位方向と遠位方向に交互に輸送するように配置されているとき、軸力はモータシャフトに、一方の場合は遠位方向に、もう一方の場合は近位方向に作用する。したがって、このような血液ポンプでは、モータシャフトを軸方向に取り付けるために2つのアキシャル滑り軸受またはアキシャル-ラジアル滑り軸受がモータハウジング内に設置されることになる。アキシャル滑り軸受は、モータシャフトに取り付けられてモータハウジングの円周方向の肩部で支持されるディスクによって簡単に形成できる。アキシャル-ラジアル滑り軸受の場合は、ディスクが凸状または凹状の、詳しくは球状の軸受面を有する。以下、「アキシャル滑り軸受」という用語は、アキシャル滑り軸受とラジアル-アキシャル滑り軸受の両方の種類について同義として使用される。
【0012】
モータハウジングそのものは、アキシャル滑り軸受の軸受隙間に潤滑膜を形成するのに適した流体で満たされている。あるいは、パージ流体供給ラインを通じて供給され、モータハウジングの遠位端に設置されたラジアル軸受を通って流れるパージ流体がアキシャル滑り軸受の軸受隙間に流れるようにして、軸受隙間に潤滑膜を形成するためにこれを使用することもできる。この場合に確実にパージ流体がそのときの血圧より高い圧力で遠位側のラジアル軸受に到達できるようにするために、少なくともアキシャル滑り軸受の軸受隙間を形成する表面の少なくとも一方に、軸受隙間を半径方向に外側から半径方向に内側へと通る経路を設け、パージ流体がこの経路を通って遠位側ラジアル軸受に流れるようにすることができる。この経路は必ずしも軸受隙間表面内になくてもよく、別の経路として、または穴として実現することもできる。しかしながら、経路を軸受隙間表面の一方に設けることは、軸受隙間内の潤滑膜があまり高温にならない点で有利であり、これは、潤滑膜の一部がその後に流れるパージ流体と常に入れ替わるからである。好ましくは、経路を軸受隙間の静止表面に位置付けることによって、半径方向の輸送能力を最小化する。
【0013】
好ましくは、アキシャル滑り軸受は動圧滑り軸受として構成される。ラジアル滑り軸受とは異なり、動圧滑り軸受では相互に関して移動される2つの表面のポンプ動作を通じて潤滑膜内に圧力を生じさせる。この目的のために、好ましい態様によれば。軸受隙間をアキシャル滑り軸受の円周方向のある領域において収束する隙間として構成できる。これに関連して、移動表面は好ましくは平坦であり、すなわち軸受隙間の、それに対向する静止表面は傾斜部を有し、それが移動表面の回転方向において移動表面に向かって収束する。それゆえ、軸受隙間に楔状部分が形成され、その中に潤滑流体が運ばれ、その結果、圧力が発生し、それによって移動表面が静止表面と反対に移動する。この状態では流体膜上に滑り摩擦が発生し、前記摩擦は事実上、摩耗を生じさせない。血液ポンプは通常、常に高い回転速度で輸送するため、血液ポンプは特に摩耗が少なく、したがって長期的用途に適している。
【0014】
最も単純な実施形態では、移動ディスクをウォブルディスクとして構成し、単に傾斜部を通じて、収束隙間または楔状部分を形成できる。
【0015】
収束する表面領域を有する軸受隙間の代わりに、軸受隙間を形成する表面の一方に螺旋状に配置された1つまたは複数の溝を設けることができる。この場合、潤滑流体は2つの表面の相対運動を通じて溝に沿って軸受の中央に向かって送出され、そこに圧力が生じ、それが今度は2つの表面を相互に反発するように移動させる。螺旋状の溝を有する軸受の態様では、螺旋状に配置される溝を移動表面に設けることが好ましい。これは、そうすることによって潤滑流体がより効果的に溝内に運ばれるからである。
【0016】
設計上の理由からポンプ装置の軸力(Fex rotor)がアキシャル滑り軸受の負荷支持能力より大きくなる場合、ポンプ装置の軸力はモータ内の回転磁石を軸方向に適当に配置することによって部分的に補償できる。本発明によれば、回転磁石はソレノイドのように動作し、磁力によってモータ静止部の中央に位置付けられようとする。それがこの休止位置から引き出されると、磁力が逆方向(Fax magnet)に発生する。この力は、軸力の方向(Fax rotor)に使用して軸方向にさらに安定化させるか、または反対方向に使用して、アキシャル滑り軸受の負荷を解除することができる。さらに、結果的にアキシャル軸受にかかる力は、パージ流体の圧力を変えることによって調節できる(図2参照)。
【0017】
アキシャル滑り軸受の軸受隙間を形成する表面がセラミック、好ましくは酸化ジルコニウム製であることがさらに好ましい。セラミック製の表面は強度が高く、摩耗性が低い。特に、モータハウジングの遠位端は全体に、アキシャル滑り軸受のための表面を含め、一体のセラミック部品から単純に製造でき、それによって血液ポンプの全体的な製造コストが安くなる。
【0018】
モータハウジング内に受けられる電気モータのリードワイヤは通常、近位側にあるラジアル軸受の外側に巻き回され、カテーテル内に延びる電源供給線に導電的に接続される。本発明の好ましい実施形態によれば、電気モータのリードワイヤは、今度はラジアル軸受の外側リングを通じて、または有利な態様としては外側リングに設けられた、半径方向に外側にある1つまたは複数のスロットを通って案内される。これによって半径方向に全体的として省スペース化され、これが今度は外径の小さい血液ポンプの開発にとってプラスとなる。それゆえ、例えば圧力測定のためのスペースを確保し、それをモータの近位端において実施することが可能となる。
【0019】
リードワイヤは有利な点として、モータハウジングの、近位側に位置付けられたラジアル軸受の近位側にある電源供給線にはんだ付けすることができる。これは、電気モータのリードワイヤを電源供給線に電気的に直結しようとすると、リードワイヤが細く、電源供給線が比較的太いことから、困難が生じる可能性があることから、有利である。電気モータの関係する表面がプラスチックまたはセラミック製であれば、以下に説明するように、はんだ位置領域を例えば銅により導電的にコーティングしてからはんだ付けすることができ、リードワイヤと供給線のはんだ付けはそれぞれこの領域で別々に実行される。
【0020】
好ましくは、モータハウジングの関連部分はその後、プラスチックの中に埋め込まれ、はんだ位置と、好ましくはモータ巻線も埋め込まれ、それによってはんだ位置は一方で電気的に絶縁され、他方で機械的に保護される。
【0021】
本発明の好ましい発展形によれば、モータシャフトのためのラジアル軸受はまた、それぞれ、モータハウジングの近位端と遠位端の滑り軸受として構成される。これらのラジアル軸受は実質的にシャフトを正確に中央で案内する役割だけを果たし、したがって小さい半径方向の力しか受けないため、単純な滑り軸受として構成できる。ラジアル滑り軸受に必要な半径方向への全体的スペースは、その内側および外側リングを有する回転要素軸受より格段に小さくて済む。これもまた、外径の小さい血液ポンプを製造する能力に対して有利な効果を有する。
【0022】
詳しくは、ラジアル滑り軸受をセラミックのモータハウジングの近位端に配置して、セラミック軸受がモータシャフトの円周面に直接当たるようにすることが好ましい。モータハウジングの遠位端に設置されたラジアル軸受もまた、それに対応する方法で構成できる。モータシャフトの、セラミック表面と対向する表面は、セラミック表面と共にラジアル滑り軸受の軸受隙間を形成し、好ましくは、アモルファスカーボンコーティング(DLC=ダイヤモンドライクカーボンまたはダイヤモンドライクコーティング)により被覆される。DLC層は特に摩耗に強く、摩擦が小さい。これらは厚さわずか数マイクメートルであり、例えば化学気相成長法(CVD)または物理的気相成長法(PVD)によって生成できる。あるいは、シャフトを破損しにくいセラミックで作ることができる。
【0023】
操作中、血液ポンプはパージ流体源に取り付けられ、流体がパージ流体ラインを通じてモータハウジングの中に供給される。するとパージ流体は、アキシャル滑り軸受と、さらに遠位側のラジアル軸受を通って流れる。アキシャル滑り軸受において、これは軸受隙間の中に潤滑膜を形成する。しかしながら、パージ流体がモータハウジングを通って流れる圧力は軸受隙間の幅に不利な影響を与える。なぜなら、パージ流体の圧力が高いほど、軸受隙間の幅が小さくなり、滑り表面間の潤滑膜が薄くなるからである。潤滑膜が薄いほど、今度は摩擦力に打ち勝つのに必要な、電気モータを駆動するためのモータ電流が大きくなる。これは血液ポンプの制御にとって不利であり、その理由は、電流輸送量が通常、モータ電流と回転速度(両方とも既知の量である)のみに基づいて保存された特性曲線によって決まるからである。パージ流体の圧力がさらにモータ電流に影響を与える場合、他の影響の程度を考慮に入れなければならないであろう。同じ種類の血液ポンプを、パージ流体の圧力が300~1400mmHgの間で異なる様々な用途のために使用できるという事実を鑑み、モータ電流のパージ流体圧力への依存を回避することが重要である。
【0024】
これは実際には、バージ流体として、水の粘性(37℃でη=0.75mPa・s)よりはるかに高い粘性を有する流体を選択するときに実現される。粘性の高いパージ流体の場合、流体膜は高圧でも維持され、したがってアキシャル滑り軸受の摩擦がパージ流体の圧力により左右されなくなる。パージ流体の粘性が37℃で約1.2mPa・sまたはそれより高ければ、アキシャル滑り軸受を単純な滑り軸受として構成でき、動圧滑り軸受として構成する必要がないことが判明した。例えば、酸化ジルコニウム製のセラミック表面間に20%以上のグルコース溶液を用いたときに良好な結果が得られた。
【0025】
本発明の一実施形態は、近位端と遠位端を有するモータハウジング(20)と、モータハウジング内に配置された電気モータ(21)と、を有する駆動部(11)であって、電気モータが、一端がモータハウジング(20)の遠位端から突出し、モータハウジングの近位端と遠位端の両方においてモータハウジング内に半径方向(27、31)に取り付けられているモータシャフト(25)を有するようなモータハウジング(20)と、モータハウジング(20)の近位端に接続され、そこに沿って電気モータに電源供給する線(23)が延びるカテーテル(14)と、モータハウジング(20)の遠位端に固定された管状のポンプハウジング(32)と、モータハウジングの遠位端から突出し、ポンプハウジング(32)内で回転可能なモータシャフト(25)の端に着座する羽根車(34)と、を有するポンプ部(12)と、を含む血管内血液ポンプ(10)において、モータシャフト(25)がモータハウジング(20)内で、少なくとも1つのアキシャル滑り軸受(40)またはラジアル-アキシャル滑り軸受(46)によって軸方向に取り付けられている。
【0026】
望ましくは、アキシャル滑り軸受(40)またはラジアル-アキシャル滑り軸受(46)が、モータシャフト(25)に設置され、モータハウジング(20)の円周方向の肩部で支持されるディスク(44)を含む。
【0027】
望ましくは、パージ流体ライン(29)を含み、これが、パージ流体ラインを通じて供給された流体がアキシャル滑り軸受(40)とモータハウジングの遠位端に位置付けられたラジアル軸受(31)の軸受隙間、またはラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間を通って流れるように配置される。
【0028】
望ましくは、アキシャル滑り軸受(40)またはラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間を形成する表面(41、42)の少なくとも一方が、軸受隙間を半径方向に外側から半径方向に内側へと貫通する経路(43)を有する。
【0029】
望ましくは、アキシャル滑り軸受(40)またはラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間が、円周方向のある領域において収束する隙間として構成される血管内血液ポンプ。
【0030】
望ましくは、アキシャル滑り軸受(40)またはラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間を形成する表面(42、41)のうちの移動表面(42)が平らである。
【0031】
望ましくは、アキシャル滑り軸受(40)またはラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間を形成する表面(41、42)の少なくとも一方が、螺旋状に配置された1つまたは複数の溝(45)を有する。
【0032】
望ましくは、アキシャル滑り軸受(40)またはラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間を形成する表面(41、42)のうちの移動表面(42)が、螺旋状に配置された溝を有する。
【0033】
望ましくは、アキシャル滑り軸受(40)またはラジアル-アキシャル滑り軸受(46)の軸受隙間を形成する表面(41、42)がセラミック製である。
【0034】
望ましくは、モータハウジング(20)の近位端に設置されたラジアル軸受(27)が外側リングを有し、電気モータ(21)のリードワイヤ(51)が外側リングを通って、または外側リングの半径方向に外側に位置するスロット(50)の中で延びる血管内血液ポンプ。
【0035】
望ましくは、電気モータ(21)のリードワイヤ(51)とカテーテル(14)に沿って延びる線(23)が、モータハウジングの近位端にあるラジアル軸受(27)の近位方向に位置付けられる表面(52)の上に導電的に接続される。
【0036】
望ましくは、モータハウジングが少なくとも部分的に注型プラスチックのハウジングであり、はんだ付け部分(52)も注型される。
【0037】
望ましくは、モータシャフト(25)のラジアル軸受(27、31)の少なくとも一方が、モータハウジング(20)の近位端と遠位端においてラジアル滑り軸受として構成される。
【0038】
望ましくは、少なくとも1つのラジアル滑り軸受において、軸受隙間を形成する表面の一方がセラミック表面であり、軸受隙間を形成する表面のうち、これに対応する他方がアモルファスカーボンコーティング(DLC)である。
【0039】
望ましくは、血管内血液ポンプと、パージ流体ラインに粘性が37℃で1.2mPa・s以上である流体を供給するためのパージ流体源と、を含む。
【0040】
本発明の関連技術に係る方法は、血管内血液ポンプを使用しながら血液循環を補助する方法において、パージ流体ラインに供給される流体の粘性が37℃で1.2mPa・s以上である。
【0041】
望ましくは、パージ流体が20%以上のグルコース溶液である。
【0042】
以下に、例として添付の図面を参照しながら本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】左心室前方に挿入された血液ポンプと左心室内に位置付けられたその脱血カニューレの概略図である。
図2】血液ポンプの例示的実施形態の縦方向の概略断面図である。
図3図2の詳細部IIIの拡大図である。
図4】詳細部IIIの、図3からの変形版の図である。
図5図2の詳細部IVの拡大図である。
図6A】第一の例示的実施形態によるアキシャル滑り軸受表面の平面図と発展形である。
図6B】第一の例示的実施形態によるアキシャル滑り軸受表面の平面図と発展形である。
図7】第二の例示的実施形態によるアキシャル滑り軸受の断面図である。
図8】第三の例示的実施形態によるアキシャル滑り軸受表面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、左心室を補助する血液ポンプ10の利用を示す。血液ポンプは、モータ部11と、ポンプ部12と、を含み、これらは軸方向に前後に配置され、その結果、ロッド状の形態を成す。ポンプ部は柔軟な吸引ホース13によって延長され、これはその端および/またはその側壁に、血液がポンプに入るための開口部を有する。血液ポンプ10の、吸引ホース13と反対に面する端は、カテーテル14に接続され、これは大動脈弓15aと大動脈16の中に挿入されている。血液ポンプ10は、それが主として上行大動脈15bの中にあるように設置され、ポンプ部12は吸引ホース13とともに実質的に左心室17の中にある。大動脈弁18は、閉じた場合、ポンプハウジングまたは吸引ホース13の外側と接触する状態になる。先頭に吸引ホース13を有する血液ポンプ10は、カテーテル14を前進させることによって図の位置まで前進され、その際、随意選択によってガイドワイヤを使用してもよい。そのようにする間、吸引ホース13は大動脈弁18を逆方向に通過し、それによって血液が吸引ホース13の中に吸引され、大動脈16の中へと送出される。ここまでは、血液ポンプは欧州特許第0961621B1号明細書から知られている血液ポンプに対応する。
【0045】
血液ポンプの使用は図1に示される用途に限定されず、これは一般的な用途の例に関しているにすぎない。それゆえ、ポンプは他の末梢血管、例えば鎖骨下動脈に挿入することも、または右心に設置することもできる。
【0046】
図2は、モータ部11と、そこにしっかりと接続(firmly connected)されたポンプ部12と、を有する血液ポンプの好ましい例示的実施形態を示す。モータ部11は長形のハウジング20を有し、その中に電気モータ21が格納されている。電気モータ21のステータ24は、通常の方法で、円周方向に分散された多数の巻線と、長さ方向の磁気リターンパス28を有する。これはモータハウジングにしっかりと接続される。ステータ24はモータシャフト25に接続されてアクティブ方向に磁化された永久磁石からなるロータ26を取り囲む。モータシャフト25はモータハウジング20の全長にわたって延び、そこから遠位方向に突出する。そこで、これは羽根車34を担持し、羽根車はそこから突出する羽根36またはポンプベーンを有し、これらは管状のポンプハウジング32の中で回転し、ポンプハウジング32自体はモータハウジング20にしっかりと接続されている。
【0047】
モータハウジング20の近位端は、そこに気密状態に取り付けられた柔軟なカテーテル14を有する。カテーテル14の中には、電気モータ21への電源供給とその制御のための電気ケーブル23が延びている。さらに、カテーテル14の中にはパージ流体ライン29が延び、これはモータハウジング20の近位側端壁22を貫通する。パージ流体はパージ流体ライン29からモータハウジング20の内部へと供給され、モータハウジングの遠位端の端面30から出る。パージング圧力は、それがそのときの血圧より高く、それによってモータハウジング中への血液の進入が防止されるように選択され、これは個々の用途に応じて300~1400mmHgの間である。
【0048】
羽根車34が回転すると、血液はポンプハウジング32の端面吸引開口部37の中に吸引され、ポンプハウジング32の中で軸方向に後方に運ばれる。ポンプハウジング32の出口38を通じて、血液はポンプ部12から出て、さらにモータハウジング20に沿って流れる。これによって、駆動部内で生成される熱が確実に排出される。また、ポンプ部を逆の輸送方向で動作させることも可能であり、血液はモータハウジング20に沿って吸引されて、開口部37から出る。
【0049】
モータシャフト25は、一方でモータハウジングの近位端、他方でモータハウジングの遠位端のラジアル軸受27と31に取り付けられる。ラジアル軸受は、この例示的実施形態において、それぞれ単純な滑り軸受として構成される。さらに、モータシャフト25はまた、モータハウジング20の中に軸方向に取り付けられる。アキシャル軸受40も同様に滑り軸受として構成される。アキシャル軸受40については、図3に関してより詳しく後述する。これは、羽根車34が遠位側から近位側へと運ばれるときに遠位方向に作用するモータシャフト25の軸力を取り去る役割を果たす。血液ポンプが血液を逆方向にも、または逆方向にのみ輸送するために使用される場合、対応するアキシャル滑り軸受40(もまた/のみ)が、対応する方法でモータハウジング20の近位端に設置される。
【0050】
図2による血液ポンプはあるいは、パージ流体を用いずに数時間という短期間のみ利用することもできる。この場合、滑り軸受に潤滑剤を1回供給し、さらに遠位側の滑り軸受31には半径方向のリップシールを設けることによって血液の侵入を防止する。すると、有利な点として、パージ流体ラインをすべて省略できる。
【0051】
図3は、図2の詳細部IIIをより詳しく示している。具体的には、ラジアル滑り軸受31とアキシャル滑り軸受40がわかる。ラジアル滑り軸受31の軸受隙間は、一方で、DLCコーティングされたモータシャフト25の円周面によって、他方で、例えば酸化ジルコニウム等のセラミック部品として製造されるモータハウジング20の遠位端壁30の貫通穴表面によって形成される。
【0052】
アキシャル滑り軸受40の軸受隙間は、一方で、端壁30の軸方向の内面41と、他方で、それに対向する表面42によって形成される。この対向表面42はセラミックディスク44の一部であり、これはモータシャフト25上の、ロータ26の遠位側に設置され、ロータ26と一緒に回転する。端壁30の軸受隙間表面41の中の経路43により、パージ流体はアキシャル滑り軸受40の軸受隙間表面41と42の間を通って、ラジアル滑り軸受31へと流れ、モータハウジング20から遠位方向に出ることができる。パージ流体は、37℃で少なくとも1.2mPa・sとなるように選択される。適当な流体は、例えば20%グルコース溶液であることがわかった。図3に示されるアキシャル滑り軸受40は、通常の滑り軸受である。静圧滑り軸受の変形版については、図6A/B、7、8を参照しながら後述する。図とは異なり、アキシャル滑り軸受40の軸方向の隙間は非常に小さく、数μmである。
【0053】
アキシャル滑り軸受40とラジアル滑り軸受31の代わりに複合的なラジアル-アキシャル滑り軸受46を実現でき、これは凹状の軸受胴を有し、その中で凸面が移動する。このような変形版は図4において球形の滑り軸受46によって示されている。軸受隙間表面41は、球形の凹状設計であり、対向する軸受隙間表面42は、それに対応する球形の凸状設計である。経路43はこの場合も、端壁30の静止軸受隙間表面41内にある。あるいは、端壁30の静止軸受隙間表面41を凸状とし、対向する軸受隙間表面42を凹状とすることができる。表面42、43はまた、球形ではなく円錐形とすることもできる。好ましくは、モータハウジング20の両側に、対応するラジアル-アキシャル滑り軸受を設置して、シャフト25が軸方向に移動したときに半径方向のずれが生じないようにする。複合的なアキシャル-ラジアル滑り軸受の利点は、より高い負荷容量を有することである。しかしながら、欠点は摩擦径が大きくなることである。
【0054】
図5は、モータハウジング20の遠位端のラジアル軸受27を示している。ここでもモータシャフト25は、DLCコーティングで被覆され、モータハウジング20の、この場合もセラミック製の近位側端壁22の一体部分を形成する軸受ブッシュの中で移動する。ここまでは、ラジアル滑り軸受27はラジアル滑り軸受31に対応する。
【0055】
端壁22の円周上に、120°離間された、軸方向に延びる3つのスロット50が設けられており、図5ではそのうちの1つだけが見えている。これらのスロット50を通って細いリードワイヤ51がステータ24の巻線まで延びる。リードワイヤ51は、端壁20の近位側にはんだ付けされ、はんだ位置52はそれまでに局所的銅コーティングにより導電性とされている。同じはんだ位置52で、電源供給線23の端もまたはんだ付けされる。ステータ巻線のワイヤと電源供給線との接続は、いずれの従来の結合方法(はんだ、溶接、クランピング、レーザ溶接、ギャップ溶接、接触ボンディング等)でも実行できる。その後、リードワイヤ51とはんだ位置52を含む端壁22がプラスチック材料で包まれ、ステータのモータ巻線もまた、同時に包まれる。これは、例えば真空鋳造によって実行できる。
【0056】
前述の血液ポンプは、モータシャフト25を取り付けるためのラジアル玉軸受がなくてもよい。これは取り付けにくく、大きさは少なくとも3mmである。その結果、例えば外径わずか3mmという、さらに小型のポンプを製造できる。さらに、この血液ポンプの使用可能寿命はラジアル玉軸受を有するものと比較して、摩耗が少ないため大幅に長くなる。それゆえ、30日を超える動作時間をわずかな摩耗で実現できる。後者はきわめて重要であり、これは、羽根車の取付と正しい動作が溶血を抑える上で重要であるからである。
【0057】
図6Aは、代替的な例示的実施形態によるモータハウジング20の遠位側端壁30の表面41を平面図で示す。図6Bは、図6Aの表面41の発展形を示す。表面41そのものは静止している。矢印で示される方向は、滑り軸受40の対向表面42が移動する方向を示す。これはさらに、潤滑膜が軸受隙間の中で静止表面41に関して移動する方向にも対応する。したがって、表面41には、相互に前後に配置される傾斜部があり、これらはそれと対向する平らな移動表面42と共に収束隙間を形成する。その結果、潤滑膜に動水圧が発生し、これによって軸受隙間を形成する表面は離間された状態のままとなる。
【0058】
図6Aと6Bによる傾斜面状の構造を有する回転表面の構成は、アキシャル滑り軸受の効率にとって有利であるが、軸受隙間内の半径方向の輸送効果が大きくなり、これはパージ流体の輸送方向に対抗する。図7は、ウォブルディスク(wobble disk)の形態で収束隙間を傾斜面で実現する最も単純な構成を示している。ここで、ディスク44は単に斜面上に設置されるか、わずかに傾斜が付けられる。傾きの量は一般に1~5μmである。
【0059】
図8は、アキシャル滑り軸受40の、水力学的に作用する表面の別の変形版を示している。これはいわゆる螺旋状の溝を有する軸受を含み、これは好ましくは、軸受隙間の移動表面に、したがってセラミックディスク44の表面42に形成される。この場合、いくつかの溝45が表面42内に螺旋状に配置される。溝45は、図8では概略的にのみ示されている。セラミックディスク44が図8において矢印で示される方向に回転すると、潤滑膜は溝45に沿って半径方向に内側に運ばれて、そこに圧力を発生させ、これによって、軸受隙間を形成する表面は離間された状態に保たれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8