(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 13/18 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
G09F13/18 N
(21)【出願番号】P 2021180061
(22)【出願日】2021-11-04
【審査請求日】2021-11-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年2月19日に道の駅うみんぴあ大飯において開催されたうみんぴあ大飯ウォークラリーにおいて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592090555
【氏名又は名称】パシフィックコンサルタンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391004919
【氏名又は名称】株式会社コトブキ
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】鶴丸 順英
(72)【発明者】
【氏名】深澤 幸郎
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/034277(WO,A1)
【文献】特開2001-092394(JP,A)
【文献】特開2008-139511(JP,A)
【文献】登録実用新案第3119653(JP,U)
【文献】特開2017-211498(JP,A)
【文献】登録実用新案第3195061(JP,U)
【文献】特開2000-282424(JP,A)
【文献】国際公開第2010/070714(WO,A1)
【文献】特開2018-045191(JP,A)
【文献】特開2002-328633(JP,A)
【文献】国際公開第2017/060938(WO,A1)
【文献】特開2002-348818(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0280139(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00-13/46
H01L 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の透明度を有する太陽光発電パネルと、
前記太陽光発電パネルで発電された電気を蓄電するバッテリと、
前記太陽光発電パネルとあらかじめ定めた間隔
だけ離れて平行に配置された透過性の高い透明な表示用板と、
前記表示用板の断面から光を入射する位置に配置され、前記バッテリに蓄電された電気で発光する発光部と、
前記発光部を制御する制御部と、
を備え、
前記表示用板には、白色のシートで表示内容が形成されており、
前記表示用板の前記太陽光発電パネル側の表面に
前記表示内容が形成されており、
前記所定の透明度は、前記太陽光発電パネルを通して前記表示内容を視認できる程度である
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置であって、
前記表示用板は、前記発光部からの光が入射される断面以外の断面は白色である
ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の表示装置であって、
前記太陽光発電パネルと前記表示用板は、板の法線方向が水平方向であり、
前記発光部からの光が入射される断面は、下側もしくは横側であり、
前記太陽光発電パネルと前記表示用板の前記発光部からの光が入射される断面以外の断面は、当該断面を覆う板とコーキング材によって接続されており、
前記太陽光発電パネルと前記表示用板の下側に、前記太陽光発電パネルと前記表示用板の間の空間と外気とをつなぐ穴を有する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の表示装置であって、
前記制御部は、前記太陽光発電パネルによる発電量があらかじめ定めた値を下回ったときに、前記発光部を発光させる
ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の表示装置であって、
前記太陽光発電パネルは、ガラス板と、前記ガラス板内に所定の開口率を有するように配置された球状太陽電池セルを含む
ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置される表示装置(看板)に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電と表示機能(看板)を組み合わせた従来技術として、特許文献1および非特許文献1などが知られている。特許文献1の技術は、ビルなどの窓ガラスもしくは壁面に配置する技術であり、『発電,導光板によるサインの標示、室内への採光が可能となる太陽電池内蔵・採光機能付きの広告板サインを提供することを目的』としている(特許文献1、段落0005)。また、『ガラス導光板サインは、高透過ガラスの裏面にセラミック系印刷発光インクでシルク印刷を行うことで、LED光源から透過した光は反射ドットにより、反射と屈折の法則によってガラス面に発光することができる。また、反射ドットの密度を制御することにより、ガラス面のグラデーション全面又は部分的な発光が可能となる。』と記載されている(特許文献1、段落0008)。非特許文献1の技術は屋外に配置する技術であり、表示機能を上側、太陽光発電機能を下側に配置している。また、特許文献2の技術は表示装置ではないが、特許文献2にはビルの窓などに設置する太陽電池モジュールが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-218253号公報
【文献】特開2013-048222号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】SPHELAR社、“SMART SOLAR SIGN SYSTEM”,[令和3年9月23日検索]、インターネット<http://sphelarpower.jp/product/pdf/smart_solar_sign_system.pdf>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術ではサイン本体に透明度がなく、設置場所によっては視界を遮る形となるため表示機能を十分には発揮できない。また、非特許文献1の技術では、表示面積が小さい。本発明は、屋外で昼夜ともに使用可能であり、広い表示面積を確保できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置(看板)は、太陽光発電パネル、バッテリ、表示用板、発光部、制御部を備える。太陽光発電パネルは、所定の透明度を有する。バッテリは、太陽光発電パネルで発電された電気を蓄電する。表示用板は、太陽光発電パネルとあらかじめ定めた間隔で平行に配置されており、高い透過性を有する。また、表示用板の太陽光発電パネル側の表面に表示内容が形成されている。発光部は、表示用板の断面から光を入射する位置に配置され、バッテリに蓄電された電気で発光する。制御部は、発光部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の表示装置によれば、太陽光発電パネルは所定の透明度を有するので、表示用板に形成された表示内容は視認可能である。また、バッテリを含んでいる。したがって、本発明の表示装置は、屋外で昼夜ともに使用可能であり、広い表示面積を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】本発明の表示装置を実際に設置した例を示す第1の図。
【
図4】本発明の表示装置を実際に設置した例を示す第2の図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
図1に本発明の表示装置の側面の断面図を示す。
図2に本発明の表示装置の正面の断面図(表示用板側からみた図)を示す。
図3と
図4は、本発明の表示装置を実際に設置した例を示す図である。
図3は昼間の様子であり、
図4は夜間の様子である。表示装置100は、太陽光発電パネル110、バッテリ120、表示用板130、発光部140、制御部150を備える。
図1,2において、表示装置100は地面900内に基礎190も備える。太陽光発電パネル110と表示用板130の発光部140からの光が入射される断面以外の断面は、当該断面を覆う板160とコーキング材165によって接続されている。また、太陽光発電パネル110と表示用板130の下側に、太陽光発電パネル110と表示用板130の間の空間と外気とをつなぐ穴170を有する。穴170によって、太陽光発電パネル110と表示用板130の間の空間と外気の湿度を同程度に維持し、表示用板130が結露することを防いでいる。
【0011】
太陽光発電パネル110は、所定の透明度を有する。例えば、
図1に示したように、ガラス板111と、ガラス板内に所定の開口率を有するように配置された球状太陽電池セル112を含むようにすれば、所定の透明度を確保できる。ただし、所定の透明度が得られるのであれば、球状太陽電池セルを用いる方法以外の方法を用いてもよい。なお、球状太陽電池セル112には、非特許文献1に示された球状太陽電池セル112を用いればよい。「所定の透明度」および「所定の開口率」とは、表示用板130に形成された表示内容が視認できる程度とすればよい。バッテリ120は、太陽光発電パネル110で発電された電気を蓄電する。球状太陽電池セル112で発電された電気をバッテリ120に充電する技術も非特許文献1に示された技術を利用すればよい。
【0012】
表示用板130は、太陽光発電パネル110とあらかじめ定めた間隔で平行に配置されており、高い透過性を有する。表示用板130には、アクリル板もしくは高透過ガラスを利用すればよい。透過率が通常のガラスと同程度のガラスでは表示内容は十分には視認できない。太陽光発電パネル110のガラス板111には、強化ガラスを用いることが望まれる。したがって、表示内容132はガラス板111に形成するのではなく、アクリル板のように透過性が高い材料の板に形成するべきである。また、表示内容132は、表示用板130の太陽光発電パネル110側の表面に形成される。
【0013】
発光部140は、表示用板130の断面から光を入射する位置に配置される。また、発光部140は、バッテリ120に蓄電された電気で発光する。発光部140にはLEDなどの低消費電力な光源を用いればよい。なお、バッテリ120の容量は、天候が悪くてもあらかじめ定めた日数、発光部140を発光できる容量にすればよい。あらかじめ定めた日数とは、例えば4日であるが、これに限定する必要はない。
【0014】
なお、太陽光発電パネル110と表示用板130は、板の法線方向を水平方向とすればよい。発光部140からの光が入射される断面は、下側もしくは横側とすればよい。発光部140を下側もしくは横側に配置すれば、表示装置100の上を小さくできるので、すっきりとした表示装置にでき、デザイン性を高くしやすい。また、表示用板130は、発光部140からの光が入射される断面以外の断面は白色にすればよい。入射された光によって効率よく表示内容132を明るくするためには、断面で光を散乱させるのが望ましい。したがって、断面を鏡のような光を反射する状態にするよりも、光を散乱させる状態にすることが望ましい。例えば、断面に白色のカッティングシート131を貼ればよい。また、表示内容132は、白色のシートで形成すればよい。例えば、白いカッティングシートを用いればよい。
【0015】
制御部150は、発光部140を制御する。例えば、制御部150は、太陽光発電パネル110による発電量があらかじめ定めた値を下回ったときに、発光部140を発光させる。発電量が低いということは暗くなっていることを示しているからである。このように周辺の明るさを検知すれば、明るさを検知するセンサが不要である。
【0016】
コーキング材165は、太陽光発電パネル110と表示用板130の膨張率の違いを吸収できるように形成されている。特に、表示用板130にアクリルを用いた場合、太陽光発電パネル110と表示用板130の熱膨張率の違いが大きいため、コーキング材165は重要である。
【0017】
本発明の表示装置によれば、太陽光発電パネルは球状太陽電池セルを所定の開口率を有するように配置しているので、所定の透明度を有する。よって、遮蔽物として視界を遮らず、表示用板に形成された表示内容(表示用板の文字など)は視認可能である。また、球状太陽電池セルとバッテリを含んでいる。したがって、本発明の表示装置は、電力ケーブルによって電力を供給しなくても屋外で昼夜ともに使用可能であり、広い表示面積を確保できる。また、本発明の表示装置であれば、表示用板130が透明なので、太陽光発電パネル110が北側となる配置でも問題ないし、太陽光発電パネル110が東側もしくは西側となっても問題ない。つまり、本発明の表示装置であれば、広い表示面積を確保しながら、表示用板の方向は方位を気にすることなく配置できる。
【0018】
1921年2月19~21日に、
図3,4に示した表示装置100などを用いて実証実験を行った。実際の表示装置において、屋外で昼夜ともに使用可能であり、広い表示面積を確保できることを確認できた。
【符号の説明】
【0019】
100 表示装置 110 太陽光発電パネル
111 ガラス板 112 球状太陽電池セル
120 バッテリ 130 表示用板
131 カッティングシート 132 表示内容
140 発光部 150 制御部
160 板 165 コーキング材
170 穴 190 基礎
【要約】
【課題】屋外で昼夜ともに使用可能であり、広い表示面積を確保できる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、太陽光発電パネル、バッテリ、表示用板、発光部、制御部を備える。太陽光発電パネルは、所定の透明度を有する。バッテリは、太陽光発電パネルで発電された電気を蓄電する。表示用板は、太陽光発電パネルとあらかじめ定めた間隔で平行に配置されており、高い透過性を有する。また、表示用板の太陽光発電パネル側の表面に表示内容が形成されている。発光部は、表示用板の断面から光を入射する位置に配置され、バッテリに蓄電された電気で発光する。制御部は、発光部を制御する。
【選択図】
図1