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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】大気圧プラズマ発生装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
H05H1/24
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021189240
(22)【出願日】2021-11-22
(62)【分割の表示】P 2020533986の分割
【原出願日】2018-08-02
(65)【公開番号】P2022016559
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】神藤 高広
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/151970(WO,A1)
【文献】特開2016-216668(JP,A)
【文献】特開2006-086081(JP,A)
【文献】国際公開第2018/029845(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00 - 1/54
H01J 37/00 - 37/36
H01L 21/3065
C23C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電によりプラズマを発生させる1対の電極と、
前記1対の電極を内蔵し、処理ガスが流入する流入口および前記1対の電極により前記処理ガスがプラズマ化されたプラズマガスが流出する流出口を有する反応室と、
オゾンの発生量が所定の下限値より大きくなるように前記流出口から流出される前記プラズマガスの温度を冷却ガスによって制御する制御装置と、を備える大気圧プラズマ発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気圧プラズマガス発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマ処理において、温度条件は処理品質に影響するため、温度制御が行われている。例えば、特許文献1に記載のプラズマ処理装置では、真空容器内でプラズマ処理によりエッチングされるウエハが載置される試料台の内部に温度センサおよびヒータが配置され、所定の温度となるように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-213359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大気圧プラズマ装置においては、酸素および窒素がある環境下で高温のプラズマガスが発生された場合に、NOxが発生することが判明した。NOxは環境等に有害であり、法規制の対象となっているため、発生を抑制することが必要である。
【0005】
本明細書において参考的に開示する参考発明は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、NOxの発生を抑制することができる大気圧プラズマガス発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、放電によりプラズマを発生させる1対の電極と、1対の電極を内蔵し、処理ガスが流入する流入口および1対の電極により処理ガスがプラズマ化されたプラズマガスが流出する流出口を有する反応室と、オゾンの発生量が所定の下限値より大きくなるように流出口から流出されるプラズマガスの温度を冷却ガスによって制御する制御装置と、を備える大気圧プラズマ発生装置を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本明細書において参考的に開示する参考発明によれば、NOxの発生を抑制することができる大気圧プラズマガス発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】産業用ロボットに取り付けられた大気圧プラズマ発生装置の概略構成を示す図である。
図2】大気圧プラズマ発生装置を示す斜視図である。
図3】プラズマガス噴出装置および加熱ガス供給装置を示す断面図である。
図4】大気圧プラズマ発生装置の制御系統を示すブロック図である。
図5】発生源温度対NOx濃度およびオゾン濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示す様に、大気圧プラズマ発生装置10は、プラズマヘッド11、本体部17、電力ケーブル40、およびガス配管80などを備える。本体部17は、処理ガス供給装置77および冷却ガス供給装置102を備える。大気圧プラズマ発生装置10は、本体部17から電力ケーブル40を介してプラズマヘッド11に電力を伝送し、ガス配管80を介して処理ガスを供給し、プラズマヘッド11からプラズマガスを照射させる。尚、処理ガスは、酸素等の活性ガスと窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合させたガスであり、プラズマガスは酸素プラズマガスである。プラズマヘッド11は、産業用ロボット140のロボットアーム141の先端に取り付けられている。電力ケーブル40およびガス配管80はロボットアーム141に沿って取り付けられている。ロボットアーム141は、2つのアーム部145,145を1方向に連結させた多関節ロボットである。産業用ロボット140は、ロボットアーム141を駆動して、ワーク台5が支持するワークWにプラズマガスを照射する作業を行う。
【0010】
図2に示す様に、プラズマヘッド11は、プラズマガス噴出装置12および加熱ガス供給装置14を有する。以下の説明において、プラズマヘッド11の幅方向をX方向と、大気圧プラズマ発生装置10の奥行方向をY方向と、X方向とY方向とに直行する方向、つまり、上下方向をZ方向と称する。
【0011】
プラズマガス噴出装置12は、上部ハウジング19、下部ハウジング20、下部カバー22、1対の電極24,26(図3)、1対のヒートシンク27,28によって構成されている。上部ハウジング19と下部ハウジング20とは、上部ハウジング19を下部ハウジング20の上に配設させた状態で、ゴム製のシール部材29を介して連結されている。そして、連結された状態の上部ハウジング19と下部ハウジング20とが、X方向における両側面において、1対のヒートシンク27,28によって挟まれている。
【0012】
後述するように、下部ハウジング20内部に形成された反応室38によりプラズマガスが生成され、生成されたプラズマガスは下部カバー22の下面から下方に噴射される。ヒートシンク27,28は、上部ハウジング19および下部ハウジング20などを冷却する機能を有する。ヒートシンク27,28の内部には、供給口96から排気口98へ至る流路が形成されている。供給口96には、供給パイプ100を介して、冷却ガス供給装置102(図7参照)から、室温程度の空気である冷却ガスが供給される。冷却ガスは、熱交換により暖められ、排気口98から排気される。
【0013】
加熱ガス供給装置14は、ガス管110と、ヒータ112と、連結ブロック114とを有している。ガス管110は、ヒートシンク27,28の内部に形成された冷却ガスが流れる流路と連結されている。詳しくは、ガス管110は、上端部において、排出パイプ116を介して、1対のヒートシンク27,28の排気口98に接続されている。排出パイプ116は、一端部において二股に分岐しており、それら二股に分岐した端部が1対のヒートシンク27,28の排気口98に連結されている。一方、排出パイプ116の他端部は分岐しておらず、ガス管110の上端に接続されている。これにより、1対のヒートシンク27,28から排出されたガスが、ガス管110に供給される。なお、ガス管110の外周面には、概して円筒状のヒータ112が配設されており、ガス管110がヒータ112によって加熱される。これにより、ヒートシンク27,28からガス管110に供給されたガスが加熱される。
【0014】
次に、図3を用いて、プラズマガス噴出装置12の内部構造について説明する。下部ハウジング20は、メインハウジング30、放熱板31、アース板32、連結ブロック34、ノズルブロック36を含む。メインハウジング30は、概してブロック状をなし、メインハウジング30の内部には、反応室38が形成されている。反応室38は、処理ガスが流入する流入口(不図示)およびプラズマガスが流出する流出口39を有する。
【0015】
アース板32は、避雷針として機能するものであり、メインハウジング30の下面に固定されている。アース板32の下面に連結ブロック34が固定されており、連結ブロック34の下面にノズルブロック36が固定されている。放熱板31は、メインハウジング30の側面に配設されている。放熱板31は、複数のフィン(不図示)を有しており、メインハウジング30の熱を放熱する。
メインハウジング30、アース板32、連結ブロック34、およびノズルブロック36において、ガス流路50が形成されている。ガス流路50は、一端は反応室38の流出口39と連通しており、他端はノズルブロック36の下面に開口している。ガス流路50のノズルブロック36における開口が流出口51である。
【0016】
連結ブロック114は、ガス管110の下端に連結されるとともに、下部カバー22のY方向での加熱ガス供給装置14側の側面に固定されている。連結ブロック114には、連通路120が形成されており、連通路120の一端部は、連結ブロック114の上面に開口するとともに、連通路120の他端部は、Y方向でのプラズマガス噴出装置12側の側面に開口している。そして、連通路120の一端部がガス管110の下端に連通し、連通路120の他端部が、下部カバー22の貫通穴72に連通している。これにより、ガス管110において加熱されたガスが、下部カバー22に供給される。
【0017】
大気圧プラズマ発生装置10の制御系統は、図4に示すように、制御装置16と、処理ガス供給装置77、および冷却ガス供給装置102が通信可能に接続されており、制御装置16により、各部が制御されている。制御装置16は、コンピュータを主体とするコントローラ130、駆動回路132~134を有する。尚、駆動回路132は、電極24,26へ供給する電力を制御する回路である。駆動回路133は、処理ガス供給装置77および冷却ガス供給装置102が供給する各ガスの流量を制御する回路である。駆動回路134は、ヒータ112へ供給する電力を制御する回路である。また、NOxセンサ151および温度センサ152が流出口51付近に配設されている。NOxセンサ151により検出されるNOx濃度を示す信号がコントローラ130へ出力される。温度センサ152により検出される温度を示す信号がコントローラ130へ出力される。
【0018】
大気圧プラズマ発生装置10において、プラズマガス噴出装置12では、上述した構成により、反応室38の内部で処理ガスがプラズマ化され、ノズルブロック36の下端からプラズマガスが噴出される。詳しくは、反応室38の内部に、処理ガス供給装置77によって処理ガスが供給される。この際、反応室38では、反応室38に内蔵される1対の電極24,26に電圧が印加されており、1対の電極24,26間に電流が流れる。これにより、1対の電極24,26間に放電が生じ、その放電により、処理ガスがプラズマ化され、プラズマガスが噴出される。以下の説明において、プラズマガスが噴出されることを、プラズマ照射と記載する場合がある。ヒートシンク27,28を備えない場合には、プラズマ化の際、電極24,26への電圧の印加により反応室38の温度は上昇する。しかし、大気圧プラズマ発生装置10においては、冷却ガス供給装置102により冷却ガスがヒートシンク27,28の流路に供給され、熱交換により反応室38が冷却される。尚、ヒートシンク27,28の流路を流れ、熱交換により暖められた冷却ガスは、ガス管110に供給され、ヒータ112により加熱される。加熱された冷却ガスは、下部カバー22の内部に供給され、下部カバー22の貫通穴70から、プラズマガスに対して噴出される。また、貫通穴70はノズルブロック36の近傍にあり、ノズルブロック36の下端から噴出されるプラズマガスの流路に配設されている。そして、下部カバー22の貫通穴70から、プラズマガスが、加熱された冷却ガスとともに噴出される。プラズマガスは、噴射される加熱された冷却ガスにより加熱される。ヒータ112は制御装置16により制御されているため、プラズマガスの温度も制御されている。
【0019】
さて、本実施形態では、大気圧プラズマ発生装置10にて酸素プラズマが発生される。酸素プラズマは、酸素と結合しオゾンを発生させることが知られている。今回、発明者らは、大気圧プラズマ発生装置10において、NOxの発生濃度について測定した。図5は、発生源温度に対するオゾン(実線)およびNOx(破線)の濃度を示すグラフである。ここで、発生源温度とは、例えば流出口51付近の温度である。尚、NOxの発生機構は、例えば酸素ラジカルと窒素との反応、あるいは、高温の状況下における酸素と窒素との反応などが考えられる。図5に示されるように、温度100~700℃において、オゾンの発生量は低温であるほど多くなり、温度100~1300℃において、NOxの発生量は高温であるほど多くなることがわかった。尚、700℃以上において、オゾン濃度が一点鎖線に示される濃度、つまりほぼゼロとはならず、実線に示される濃度となるのは、NOxが酸素と反応してオゾンが生成されるためだと考えられる。そのため、NOx濃度の増加に伴って、オゾン濃度も増加していると考えられる。オゾンは自然に酸素に戻るものの、NOxは自然分解されないため、NOxが発生する場合には、除去装置を取り付けるなどする必要がある。今回、発明者らは、NOx濃度の温度依存性に注目し、大気圧プラズマ発生装置10における制御に次の工夫を行った。
【0020】
プラズマ照射の際、制御装置16は、NOxの発生量が閾値以下となるようにプラズマガスの温度を制御する。詳しくは、制御装置16は、NOxセンサ151により出力される信号に基づいて、NOx濃度が閾値以下となるように、ヒータ112を制御する。尚、閾値は、例えば法による規制値などに基づく値とすると良い。
ところで、本実施形態では、冷却ガス供給装置102により反応室38は冷却され、反応室38の温度は300~400℃程度となる。プラズマガスは、温度が高い程、例えばプラズマ照射される対象物に親水性を付与するなどのプラズマ照射の効果は向上する。そのため、本実施形態では、ヒータ112により加熱された冷却ガスによってプラズマガスを加熱する構成となっている。図5に示されるように、温度が約600℃以上となると、NOx濃度がゼロよりも大きくなる。そこで、閾値を例えば0[ppm]より僅かに超える値に設定し、NOxセンサ151の出力信号に基づき、NOx濃度が閾値よりも大きくならないように、ヒータ112を制御する構成とする。
【0021】
より具体的には、コントローラ130に、予め閾値を記憶させておく。そして、プラズマ照射の際には、制御装置16は、NOxセンサ151の出力信号が示すNOx濃度が閾値以上となると、ヒータ112による加熱を停止させる制御を行う。さらに、制御装置16は、温度センサ152により出力される信号に基づいて、温度が目標温度となるように、ヒータ112を制御する。例えば、プラズマ照射される対象物が樹脂の場合、樹脂の融点温度よりも高温のプラズマガスが照射されると、対象物を損傷させてしまう。そこで、コントローラ130に予め記憶された目標温度なるように、制御装置16にヒータ112による加熱のON・OFFを制御させる。これにより、NOxの生成量を閾値以下としつつ、プラズマガスの温度を目標温度とすることができる。
【0022】
上記実施形態にて、電極24,26は1対の電極の一例である。ヒータ112は加熱器の一例であり、ヒートシンク27,28は、冷却器の一例である。流出口51付近は、プラズマガスの流路の一例である。冷却ガスは冷却加熱ガスの一例であり、連結ブロック114および下部カバー22は連結部の一例であり、貫通穴70は噴出口の一例である。加熱ガス供給装置14および下部カバー22は、加熱装置の一例である。
【0023】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
制御装置16は、NOxセンサ151により出力される信号に基づいて、NOx濃度が閾値以下となるように、ヒータ112を制御する。これにより、NOxの生成量を閾値以下に制限することができる。また、制御装置16は、温度センサ152により出力される信号に基づいて、温度が目標温度となるように制御する。これにより、プラズマガスの温度をプラズマ照射する対象物に応じた温度をすることができる。また、加熱ガス供給装置14は、ガス管110を流れる冷却ガスをヒータ112により加熱する。加熱された冷却ガスが噴出されることでプラズマガスが加熱される。これにより、ヒータ112を制御することにより、プラズマガスの温度を制御することができる。
【0024】
(別例1)
次に、大気圧プラズマ発生装置10が温度センサ152を備えず、NOxセンサ151を備える別例1について説明する。
この構成の場合には、制御装置16は、NOxセンサ151により出力される信号に基づいて、NOx濃度が閾値以下となるように、ヒータ112を制御する。これにより、NOxの生成量を閾値以下に制限することができる。
【0025】
(別例2)
次に、大気圧プラズマ発生装置10がNOxセンサ151を備えず、温度センサ152およびオゾンセンサ(不図示)を備える別例2について説明する。
この構成の場合には、制御装置16は、オゾンセンサにより出力される信号に基づいて、オゾン濃度が所定値以上となるように、ヒータ112を制御する。図5に示されるように、オゾンの濃度は~800℃程度の温度範囲では、温度が上昇するほどオゾンの発生量が減少する。一方、NOxの濃度は温度が高いほど高くなり、約600℃を超えると、ゼロよりも大きくなる。従って、オゾンの濃度およびNOxの濃度は何れも温度に依存することから、オゾンの濃度に基づき、NOxの濃度を推定することが可能である。
具体的には、オゾン濃度とNOx濃度との相関データを測定し、NOx濃度が閾値値以下となるオゾン濃度の下限値を決定する。そして、コントローラ130に決定されたオゾン濃度の下限値を記憶させる。そして、プラズマ照射の際には、制御装置16は、オゾンセンサの出力信号が示すオゾン濃度が下限値より小さくとなると、ヒータ112による加熱を停止させる制御を行う。さらに、制御装置16は、温度センサ152により出力される信号に基づいて、温度が目標温度となるように、ヒータ112を制御する。これにより、NOxの濃度を閾値以下としつつ、プラズマガスの温度をプラズマ照射する対象物に応じた温度とすることができる。
【0026】
(別例3)
次に、大気圧プラズマ発生装置10がNOxセンサ151および温度センサ152を備えず、オゾンセンサ(不図示)を備える別例3について説明する。
この構成の場合には、(別例2)と同様に、オゾン濃度とNOx濃度との相関データを測定し、NOx濃度が規制値以下となるオゾン濃度の下限値を決定する。そして、コントローラ130に決定されたオゾン濃度の下限値を記憶させる。そして、プラズマ照射の際には、制御装置16は、オゾンセンサの出力信号が示すオゾン濃度が下限値より小さくとなると、ヒータ112による加熱を停止させる制御を行う。これにより、NOxの濃度を閾値以下とすることができる。
【0027】
(別例4)
次に、大気圧プラズマ発生装置10が温度センサ152を備えず、NOxセンサ151およびオゾンセンサ(不図示)を備える別例4について説明する。
この構成の場合には、(別例2)と同様に、オゾン濃度とNOx濃度との相関データを測定し、NOx濃度が閾値以下となるオゾン濃度の下限値を決定する。そして、コントローラ130に決定されたオゾン濃度の下限値を記憶させる。プラズマ照射の際には、制御装置16は、NOxセンサ151の出力信号が示すNOx濃度が閾値以上となると、ヒータ112による加熱を停止させ、かつオゾンセンサの出力信号が示すオゾン濃度が下限値より小さくとなると、ヒータ112による加熱を停止させる制御を行う。これにより、NOxの発生量を確実に閾値以下とすることができる。
【0028】
(別例5)
次に、大気圧プラズマ発生装置10がNOxセンサ151、温度センサ152、およびオゾンセンサ(不図示)を備える別例5について説明する。
この構成の場合には、(別例4)と同様に、プラズマ照射の際には、制御装置16は、NOxセンサ151の出力信号が示すNOx濃度が閾値以上となると、ヒータ112による加熱を停止させ、かつオゾンセンサの出力信号が示すオゾン濃度が下限値より小さくとなると、ヒータ112による加熱を停止させる制御を行う。また、コントローラ130に予め記憶された目標温度なるように、制御装置16にヒータ112による加熱のON・OFFを制御させる。これにより、NOxの発生量を確実に閾値以下としつつ、プラズマガスの温度を目標温度とすることができる。
【0029】
(別例6)
次に、大気圧プラズマ発生装置10がNOxセンサ151を備えず、温度センサ152を備える別例6について説明する。
この構成の場合には、NOx濃度と温度との相関データを測定し、NOx濃度が閾値以下となる温度の上限値を決定する。そして、コントローラ130に決定された温度の上限値を記憶させる。プラズマ照射においては、制御装置16は、温度センサ152の出力信号が示す温度が上限値より大きくなると、ヒータ112による加熱を停止させる。これにより、NOxの発生量を閾値以下とすることができる。
【0030】
(別例7)
次に、大気圧プラズマ発生装置10がヒータ112を備えず、冷却装置(不図示)を備える別例7について説明する。
上記実施形態では、冷却ガス供給装置102により反応室38は冷却され、ヒータ112により加熱された冷却ガスによってプラズマガスを加熱する構成となっていた。電極24,26への電圧の印加により反応室38の温度は上昇するため、反応室38が冷却されない場合には、プラズマガスの温度は、例えば1000℃程度になる。(別例7)では、ヒータ112を備えずに、冷却装置によって、反応室38における温度上昇分を加味して、プラズマガスの温度が設定温度となるように、反応室38を冷却する構成とする。
冷却装置としては、例えば、駆動回路133に、温度センサ152の出力信号に基づいて、冷却ガス供給装置102が供給する冷却ガスの流量を調整するフィードバック制御回路を追加した構成が考えられる。つまり、温度センサ152が示す温度が設定温度よりも高ければ、冷却ガスの流量を増やし、設定温度よりも低ければ、冷却ガスの流量を減らすことで、設定温度となるように制御する構成である。
【0031】
この構成の場合には、制御装置16は、NOxセンサ151により出力される信号に基づいて、NOx濃度が閾値以下となるように、冷却装置を制御する。これにより、NOxの生成量を閾値以下に制限することができる。また、制御装置16は、温度センサ152により出力される信号に基づいて、温度が目標温度となるように冷却装置を制御する。これにより、プラズマガスの温度をプラズマ照射する対象物に応じた温度をすることができる。
尚、(別例1)~(別例6)の構成と(別例7)の構成とを任意に組み合わせる構成としても良い。つまり、(別例1)~(別例6)の構成において、各センサの出力信号に基づき、冷却装置を制御する構成としても良い。
【0032】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記では、冷却器として内部に冷却ガスの流路が形成されたヒートシンク27,28を示したが、これに限定されない。例えば、内部に冷却ガスの流路を有さない複数のフィンを有するヒートシンクとしても良い。また、上記では、反応室38を冷却するヒートシンク27,28を説明したが、例えばボルテックスチューブなどにより、処理ガスを冷却する構成、あるいは、処理ガスおよび反応室38の両者を冷却する構成としても良い。また、(別例7)についても同様に、冷却装置が反応室38を冷却する構成の他に、処理ガスを冷却する構成、処理ガスと反応室38の両者を冷却する構成としても良い。
【0033】
また、上記では、NOxセンサ151および温度センサ152は、流出口51付近に配設されていると説明したが、これに限定されない。例えば、反応室38、ガス流路50に配設される構成としても良い。
【0034】
また、(別例7)では、ヒータ112を備えない構成を説明したが、ヒータ112および冷却装置の両者を備え、ヒータ112および冷却装置を設定温度となるように制御装置16が制御する構成としても良い。
【0035】
また、上記では、大気圧プラズマ発生装置10が、NOxセンサ151および温度センサ152を備えると説明したが、これらセンサを備えず、オープンループ制御する構成としても良い。具体的には、予め、NOxの生成量が閾値以下となるヒータ112の制御条件を実験などにより求める。そして、プラズマ照射においては、この制御条件に従って、制御を行う。
【0036】
また、上記では、加熱装置の一例として、ヒータ112により加熱された冷却ガスをプラズマガスに対して噴出することで、プラズマガスを加熱する構成と示したが、これに限定されない。例えば、プラズマガスをヒータなどで直接加熱する構成としても良い。
【0037】
また、上記では、下部ハウジング20は、アース板32を有すると説明したが、これに限定されず、アース板32を有しない構成としても良い。
【符号の説明】
【0038】
10 大気圧プラズマ発生装置
14 加熱ガス供給装置
16 制御装置
22 下部カバー
24,26 電極
27,28 ヒートシンク
38 反応室
110 ガス管
112 ヒータ
114 連結ブロック
図1
図2
図3
図4
図5