(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】プラスチックを粉砕し、このプラスチックから粉末材料を製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20221226BHJP
B29B 9/04 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
C08J3/12 A CER
C08J3/12 CEZ
B29B9/04
(21)【出願番号】P 2021501046
(86)(22)【出願日】2019-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2019069103
(87)【国際公開番号】W WO2020025312
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】102018118913.3
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519099818
【氏名又は名称】ドレスラー グループ ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】オッテン,ディットマール
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106079146(CN,A)
【文献】特開2001-181402(JP,A)
【文献】特開平01-090227(JP,A)
【文献】特開昭48-095444(JP,A)
【文献】特開2007-077393(JP,A)
【文献】特開平10-053653(JP,A)
【文献】特開平09-328559(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/112996(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1502643(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-3/28、99/00
C08K 3/00-13/08
C08L 1/01-101/14
B02C 1/00-7/18、15/00-17/24
B29B 7/00-11/14、13/00-15/06
B29C 31/00-31/10、37/00-37/04、
71/00-71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマ
ーを粉砕し、それから
予め定められた粒度分布を有する粉末材料を製造するための方法であって、
所望の粉末材料の粒度分布を予め定めるステップと、
塊状で提供される前記熱可塑性ポリマーを
、粉砕装置内で
、塊状で提供される前記熱可塑性ポリマーよりも小さい寸法の出発粉末へ粉砕するステップと、
ここで、前記出発粉末は顆粒を含み、
前記
予め定められた粒度分布
を有する粉末材料が達成されるまで、当該出発粉末を少なくとも1回スクリーニングするステップと、を含み、
離型剤
が前記粉砕するステップ中に前記粉砕装置へ供給され
、前記離型剤は微粉末の形態で提供され、前記離型剤は前記出発粉末の顆粒を粉塵のようにコーティングし、凝集形成のための前記出発粉末の粘着性および能力を低下させ、
ここで、
a)前記粉砕するステップは、前記粉砕装置を備えたミル内で行われ、それにより、-50℃未満の温度の冷却剤が前記粉砕装置に供給され、または
b)前記粉砕するステップは、前記熱可塑性ポリマーが溶融または溶解し、次いで少なくとも1つの噴霧ノズルを介して微粒子化または噴霧することによって粉砕される噴霧塔を使用し、ここで、-50℃未満の温度の冷却剤が前記粉砕装置に供給されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記離型剤が、界面活性剤、ワックスおよび金属石鹸の群の少なくとも1つから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記離型剤が疎水性である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記離型剤は、前記出発粉末の製造が終了する前に供給される請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記離型剤が、前記熱可塑性ポリマーの重量に基づいて、最大で5重量
%の割合で供給される請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記離型剤が、前記熱可塑性ポリマーの重量に基づいて、少なくとも0.1重量パーセン
トの割合で供給される請求項1ないし
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリマーが、
室温で、90未
満のショアA硬度を有する請求項1ないし
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法によって熱可塑性ポリマ
ーを粉砕し、それから
予め定められた粒度分布を有する粉末材料を製造するための装置であって、
ミルまたは噴霧塔を含み、前記熱可塑性ポリマーのための入口と、出発粉末のための出口(42)と、
-50℃未満の温度の冷却剤のため
の供給パイプ(30)とを有する、塊状で提供される前記熱可塑性ポリマーのための粉砕装置と、
前記粉砕装置の下流に配置され、前記出発粉末が運ばれるパイプラインを介して前記粉砕装置に接続されるスクリーニング装置(44)とを含み、ここで、前記スクリーニング装置(44)は、前記
予め定められた粒度分布用に設計された少なくとも1つのスクリーン(46)を有し、
前記粉砕装置は、前記粉砕装置に離型剤を導入するための手段を有することを特徴とする装置。
【請求項9】
前記手段は、前記離型剤のためのパイプ(30)またはノズル(38)で
ある請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記
噴霧塔は、少なくとも1つの噴霧ノズルおよび出口(42)
を有し、前記離型剤を導入するための前記手段は、前記噴霧ノズルと前記出口(42)との間で前記噴霧塔内に配置された少なくとも1つのノズル(38)である請求項
8に記載の装置。
【請求項11】
前記噴霧ノズルを出る液滴は、前記噴霧塔内で前記出口(42)に向かって移動し、
すなわち前記出口(42)に向かって落下し、前記ノズル(38)は、前記液滴が通過する離型剤のミストを前記噴霧塔内で引き起こすように構成されている請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前記粉砕装置がミルを含
む場合、前記離型剤のための前記パイプ(30)は、前記熱可塑性ポリマーのための、および/または
前記冷却剤のためのインフィード部分(56)と一緒に形成される請求項
8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリマーを粉砕し、それから所定の粒度分布(grain distribution)を有する粉末材料を製造するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
目的は、500μm未満の粒子サイズ、特に100μm未満の粒子サイズ、例えば30~100μmの粒子である。指定可能な最大上限は800μmである。下限は、数ナノメートルの範囲にあり、好ましくは約1μmまたは10μmである。可能であれば、球形からの偏差は、粒子の最小断面寸法が20未満とならないように、好ましくはこれらの粒子の最大断面寸法が50%未満とならないようにすることが想定される。
【0003】
このような粉末材料は、多くの使用領域、例えば3D印刷、粉末コーティング等に必要とされる。個々の粒子が球形であるほど、粉末は流動性が高くなる。この種の粉末は、それぞれの場合において所望され、個々の意図された用途のために所定の粒度分布において市場によって必要とされる。特定の粉末を製造するために、熱可塑性ポリマーとして塊状で提供される出発材料は、最初に、粉砕工程で出発粉末に粉砕され、次いで、スクリーニングプロセスにおいて、出発粉末は、粉末分布(powder distribution)または粒子バンド(grain band)とも呼ばれる所望の粒度分布が達成されるようにスクリーニングされる。次いで、この最終粉末は、包装され、出荷される。
【0004】
このような粉末材料を製造するための装置は、DE 20 2016 106 243 U1から公知である。ここで、プラスチック出発製品のホットメルトは、ノズル装置に供給され、そこから溶融物が出て、落下する小さな液滴に分離する。それらは低温ガス手段(means of cryo-gas)によって冷却され、より低い領域で集められる。これに続いて、スクリーニングおよびパッケージングが行われる。
【0005】
さらに、最初にプラスチック出発製品を溶媒に溶解し、そこから粒子を得ることが知られている。例えば、得られた溶液を霧化または噴霧し、溶媒が実質的に蒸発するまで、得られた液滴を単離し続ける。この方法では、プラスチックをより高い温度にする必要がないので、この点で化学変化が予想されない。しかしながら、溶媒はプラスチックに作用する。
【0006】
粉末を粉砕および製造するための装置および方法は、工業的に使用されている。WO 2007/008480 A1には、低温で粉砕し、粉末を製造する方法が記載されており、低温粉砕(cryo-grinding)の公知の先行技術は、明細書の序論の数頁で詳細に記載されている。EP 2 957 598 A1には、極低温粉砕(cryogenic grinding)によって粉末に変換されたポリアミドを製造する方法が開示されている。次いで、スクリーニングプロセスが行われる。
【0007】
極低温とは、一般に、-150℃未満の温度であると理解される。本出願では、-50℃未満の温度が含まれ、これは、ドライアイスCO2を使用する冷却を含む。
【0008】
粉砕工程を低温で行わないことも可能である。ポリマーのガラス転移温度が-20℃未満、特に-30℃未満である場合には、通常、低温での粉砕が必要である。そうでなければ、それぞれのポリマーを正常に粉砕することができないからである。
【0009】
上記の方法は、プラスチック出発材料を粉末プラスチックに粉砕するための例である。さらなる粉砕方法は、先行技術から公知である。
【0010】
粉砕する場合、市場によって要求され、所望されるような粉末最終製品は、一般に、直ちには得られない。市場は、例えば、特定の3Dプリンタに必要とされる所望の粉末材料のサイズ及び分布を指定する。正しい粒度分布を得るために、粉砕工程から得られた粉末プラスチック(出発粉末)は、少なくとも1回スクリーニングされる。いくつかのスクリーニングプロセスを次々に実施することができる。この場合、粒度分布は、粉砕およびスクリーニングを実施する方法にも依存する。少なくとも1回のスクリーニングプロセスが、粉砕プロセスに適合され、それに対して調整される。それはまた、所定の粒度分布に適合される。
【0011】
選択された粉砕プロセスに応じて、得られた粉末材料は、個々の粒子または顆粒(granules)の特徴的な形状を有する。典型的な形状は、最終的に所望される球形から多かれ少なかれ逸脱し得る。例えば、顆粒は、非円形であってもよく、例えば、付加物(尾部)を有していてもよく、比較的平坦(プレートレット状)であってもよく、棒状等であってもよい。これは、スクリーニングプロセスおよびスクリーニング結果に影響を及ぼす。粉砕プロセス後かつスクリーニングプロセス前に、顆粒を丸めるプロセスを実施することができる。これに関して、例えば、出願人によるDE 10 2017 100 981が参照される。
【0012】
上記方法が実際に実施された時、特に出発粉末が、熱可塑性エラストマーから得られ(例えば軟質TPUを粉砕することによって得られ)、特定の粘着性を示す場合に、粉砕工程によって引き起こされる問題が、スクリーニングプロセス中に生じることが見出された。装置のスループットは、しばしば大幅に減少する。スクリーニング装置は目詰まりする傾向がある。経済的に健全なスクリーニングプロセスは、しばしば実施することができない。
【発明の概要】
【0013】
この背景に対して、本発明は、スクリーニングプロセスがより容易になり改善されるよう、熱可塑性ポリマーを粉砕し、それから粉末を製造するための従来の方法および従来の装置を改良することを目的とする。
【0014】
この目的は、熱可塑性ポリマーを粉砕し、それから予め定められた粒度分布を有する粉末材料を製造するための方法であって、
所望の粉末材料の粒度分布を予め定めるステップと、
塊状で提供される熱可塑性ポリマーを、粉砕装置内で、塊状で提供される前記熱可塑性ポリマーよりも小さい寸法の出発粉末に粉砕するステップと、ここで、前記出発粉末は顆粒を含み、
予め定められた粒度分布を有する粉末材料が達成されるまで、当該出発粉末を少なくとも1回スクリーニングするステップと、を含み、
ここで、離型剤(release agent)が、粉砕するステップ中に粉砕装置に供給され、離型剤は微粉末の形態で提供され、離型剤は出発粉末の顆粒を粉塵のようにコーティングし、凝集形成のための出発粉末の粘着性および能力を低下させ、
ここで、
a)粉砕するステップは、粉砕装置を備えたミル内で行われ、それにより、-50℃未満の温度の冷却剤が粉砕装置に供給され、または
b)粉砕するステップは、熱可塑性ポリマーが溶融または溶解し、次いで少なくとも1つの噴霧ノズルを介して微粒子化または噴霧することによって粉砕される噴霧塔を使用し、ここで、-50℃未満の温度の冷却剤が粉砕装置に供給される方法によって達成される。
【発明の効果】
【0015】
当該方法によって安定したスクリーニングプロセスを達成することができた。一定の粉末分布が達成された。スループットは大幅に、例えば10倍増加した。また、最終粉末の嵩重量も、少なくとも10%、最も頻繁には少なくとも20%増加した。
【0016】
粉砕方法は、従来技術から知られている確立された粉砕方法の1つにならって実施される。重要な例は上述されている。機械的粉砕は一般にミルで行われ、この場合、例えば、旋風ミル(whirlwind mills)、ピンミル、ボールミル等が使用される。噴霧塔(spraying tower)が使用される場合、粉砕は、熱可塑性ポリマーを溶融または溶解し、噴霧塔内で微粒子化(atomization)することによって達成される。
【0017】
所定の粒度分布は、一般に、市場によって指定され、最も頻繁には特定の顧客によって指定される。粒度分布の典型的な例は、d90<125μm、d50が60μmおよび80μmの間であり、d10が20μmおよび30μmの間である。塊状で提供されるポリマーは、顆粒、バー、ブロック、商業的に入手可能な配送形状または熱可塑性ポリマー出発材料の他の形状を含むと理解される。出発材料の塊は、出発粉末のものよりも少なくとも1000倍大きい寸法、好ましくはセンチメートル範囲以上の寸法を有する。
【0018】
一般に、いずれの場合も、1つのポリマーのみが本方法に従って処理されるが、2つ以上のポリマーを同一装置内で同時に処理することも可能である。
【0019】
10μm未満の微細含有物(fines content)は、スクリーニングプロセスの改善により、最終粉末中で最小限に抑えられる。したがって、追加の除塵工程を省略することができる。プロセス中の健康保護、および、例えば最終顧客での最終粉末のその後のさらなるプロセス中の健康保護が改善される。最終粉末の自由流動性(free-flowing property)は、従来技術による最終粉末よりも大幅に改善される。凝集体形成がより少なく、スクリーニングプロセスがより容易になるので、粗い含有物を粉砕工程に戻すことが減る。本発明は、粗い材料の割合を大幅に減少させることを可能にする。粗い材料は、粉砕プロセスに戻されなければならない。これは、粉砕工程が繰り返されるたびに微細含有物の割合が上昇するので、正しいサイズを実際に既に有する粒子が再び粉砕されることになる。出発粉末または最終粉末を除塵する工程をさらに実施することができ、本発明によれば、より少ない労力で実施することができる。
【0020】
当該方法は、粉砕工程後に粘着性および凝集体形成を示す傾向がある熱可塑性材料に適している。例えば、PP、PA、PPS、ABS、PBT、PE、PS、PET、PMMA、PC、PEEK、PEKK等の熱可塑性ポリマーにも適している。特に好ましくは、当該方法は、TPU、エステル系熱可塑性材料およびエーテル系熱可塑性材料、例えばTPEEに適している。
【0021】
離型剤は、好ましくは、非常に微細な粉末形態で提供される。出発粉末の粒子をダスト状に被覆し、それにより出発粉末の2つの隣接する粒子間の直接接触を防止することが想定される。これにより、出発粉末の自由流動性が向上する。離型剤は、添加剤、固化防止剤または凝集防止剤と呼ばれてもよい。出発粉末の流動性は、離型剤によって改善される。プロセスプラント、すなわちそのパイプ、回転式フィーダ等における流動性も改善される。
本発明の好ましい実施形態によれば、離型剤は、界面活性剤、ワックス、金属石鹸の群の少なくとも1つから選択され得る。
【0022】
金属ステアリン酸塩およびアミドワックスが特に好ましい離型剤である。離型剤の溶融温度は、好ましくは50℃および160℃の間の範囲であるべきである。
本発明の好ましい実施形態によれば、離型剤は、出発粉末の製造が終了する前に供給される。
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、離型剤は、熱可塑性ポリマーの重量に基づいて、最大で5重量%の割合で供給される。
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、離型剤は、熱可塑性ポリマーの重量に基づいて、少なくとも0.1重量パーセントの割合で供給される。
【0023】
粉砕工程後に出発粉末を加熱することが可能である。したがって、スクリーニング工程は、ケースバイケースで、より便利な方法で実施され得る。
【0024】
その後の添加剤の使用がしばしば望まれる。従来技術によれば、これは追加の方法ステップを必要とする。本発明によれば、このような工程は、添加剤が粉砕工程中に既に添加されているため、もはや必要ではなく、または離型剤に加えて提供される追加の異なる添加剤をそれと一緒に添加することができる。
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、熱可塑性ポリマーは、室温で、90未満のショアA硬度を有する。
【0025】
本目的は、本方法を実施するのに役立つ装置によっても達成される。熱可塑性ポリマーを粉砕し、それから予め定められた粒度分布を有する粉末材料を製造するための装置は、
出発材料として塊状で提供される熱可塑性ポリマーのための粉砕装置であって、ミルまたは噴霧塔を含み、熱可塑性ポリマーのための入口と、出発粉末のための出口と、-50℃未満の温度の冷却剤のための供給パイプとを有する粉砕装置と、
粉砕装置の下流に配置され、好ましくは、出発粉末が運ばれるパイプラインを介して粉砕装置に接続されたスクリーニング装置とを含む。ここで、スクリーニング装置は、予め定められた粒度分布のために設計された少なくとも1つのスクリーンを有する。粉砕装置は、離型剤を粉砕装置に導入するための手段を有する。
【0026】
粉砕工程をスクリーニング工程とは別の時点で実施することも可能である。長方形メッシュスクリーン、例えばAllgaier社製の300×110μm長方形メッシュタンブリングスクリーンAVTM1600をスクリーンとして使用することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、手段は、離型剤のためのパイプまたはノズルである。
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、噴霧塔は、少なくとも1つの噴霧ノズルおよび出口を有する。この実施形態によれば、離型剤を導入するための手段は、噴霧ノズルと出口との間の噴霧塔に配置された少なくとも1つのノズルである。
本発明の好ましい実施形態によれば、噴霧ノズルを出る液滴は、噴霧塔内で出口に向かって移動し、すなわち出口に向かって落下し、ノズルは、液滴が通過する離型剤のミストを噴霧塔内で引き起こすように構成されている。
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、粉砕装置がミルを含む場合、離型剤のためのパイプは、熱可塑性ポリマーのための、および/または冷却剤のためのインフィード部分と一緒に形成される。
【0027】
スクリーニング装置の上流に位置する全ての構成要素、すなわち、回転式フィーダ、搬送ポンプ等は、粉砕装置の一部とみなされる。
【0028】
実施例:
【実施例1】
【0029】
実施例1:塊状のTPUを、旋風ミルの粉砕ループ(milling loop)に導入し、粉砕した。Baerlocher社のアミドワックスBaerolub L-ASを1重量%(ミルに導入されたTPUに基づく)を、TPUと共に導入した。粉砕プロセスの間、ミルは、出発粉末における離型剤の優れた分布をもたらした。このプロセスでは、離型剤の潤滑効果が有利であると思われる。
【実施例2】
【0030】
実施例2:プロセスは実施例1と同一であるが、0.13重量%の酸化アルミニウム(Alu C)が離型剤として添加された。粒度分布d90<125μm、60μmおよび80μmの間のd50、20μmおよび30μmの間のd10について、372g/lの嵩重量が達成された。
【実施例3】
【0031】
実施例3:プロセスは実施例2と同一であるが、2重量%のステアリン酸カルシウム(Valtris Specialty Chemicals社製114-36 L3)が離型剤として添加された。462g/lの嵩重量が、上記の粒度分布について達成された。実施例2と比較して、スクリーニング装置のスループットを約50%向上させることができた。
【0032】
本発明の他の利点および特徴は、その他のクレームから明らかになり、また、本発明の2つの例示的実施形態の以下の説明から明らかになるが、それらは限定的ではないと理解されるべきであり、図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、熱可塑性材料を粉砕するための装置の概略図を示し、粉砕は、溶融手段および微粒子化手段(means of melting and atomization)によって行われる。
【
図2】
図2は、
図1に類似した概略図を示すが、この場合の装置では、粉砕がミル手段によって機械的に行われる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
まず、
図1による装置を説明する。
図2による装置については、その個々の構成要素が
図1による装置と異なる範囲でのみ説明する。
【0035】
顆粒の形態で提供されるTPUは、溶融容器20内で溶融される。溶融物は、溶融容器20から、ポンプ24によって送り出され、コンベアパイプ22を介して噴霧塔を形成する容器26に搬送される。この容器26内の上部には、溶融材料が送り出されるノズルアセンブリ28が配置されている。液体材料は、例えば、より下方で液滴に分離する細い糸の形で、そのノズル開口部を出る。ノズルアセンブリ28からの距離が増加するにつれて、液滴はより丸くなり、自由落下粒子がそれらから形成され、垂直下方に落下する。
【0036】
低温ガス、特に液体窒素のための供給パイプ30は、コンベアパイプ22の隣で上方から容器26内に突出している。供給パイプ30は、供給ユニット32に接続されており、この供給ユニット32は、この場合、ノズルアセンブリ28の上方かつ外側に位置するリングとして構成されている。
【0037】
ポリマー材料は、コーン34内でノズルアセンブリ28から出る。低温ガスは、コーンエンベロープ36の形状で供給ユニット32から出て、コーン34は、コーンエンベロープ36内に位置する。コーン34は、可能であれば、容器26の側壁に衝突しないように配向されている。
【0038】
側方ノズル38または同様の導入装置が、容器26の下部領域に配置されている。離型剤、金属ステアリン酸塩は、それらをを介して容器26の内部に導入され、矢印を参照すると、離型剤の層40が、可能であれば、容器26の下部領域に形成される。液滴は、この層40を介して落下し、したがって、多かれ少なかれ離型剤によってコーティングされる。プロセス制御に応じて、離型剤の一部は層40から下方に落下し、この一部は斜壁を有する出口の領域に落下する。粒子は、出口42の最下部にゆっくり到達する前に、これらの斜壁に当たる。したがって、粒子は、斜壁上に位置する時および位置している間に、離型剤でコーティングされ得る。また、粒子は、斜壁の上方かつ層40の下方に位置する間に、離型剤でコーティングされ得る。
【0039】
容器26の下部領域において、後者は円錐形の出口42を有する。そこで、コーティングされた液滴は、実質的にもはや変形できない程度まで冷却され、出発粉末を形成する。これはスクリーニング装置44に到達する。変形例では、
図2から明らかなように、回転式フィーダを介在させてもよい。それは粉砕装置の一部である。変形例では、離型剤をこの回転式フィーダに供給することができる。
【0040】
スクリーニング装置44は、従来技術に従って構成される。図を簡略化するために、それはただ1つのスクリーン46を有する。所定の粒度分布は、スクリーン46によって通され(矢印48参照)、残りは排出される(矢印50参照)。
【0041】
図2による装置では、顆粒の形態のTPUが供給容器52内に配置されている。顆粒は、回転式フィーダ54を介して、この場合ピンミルとして構成されるミル58のインフィード部分56に供給される。離型剤、この場合はアミドワックスのためのパイプ60が、ミル58に向かう供給パイプにさらに通じている。したがって、顆粒および離型剤は、同時にミル58のインフィード部分56に入り、粉砕プロセス中にミル58中で密接に混合される。
【0042】
出力側には、
図1と同様の条件が設けられている。また、この場合、ミル58の出口42は、スクリーニング装置44に直接接続されている。
【0043】
実質的に、好ましくは等のような用語、および不正確であると理解される可能性のある記載は、正常値から、プラス/マイナス5%、好ましくはプラス/マイナス2%、特にプラス/マイナス1パーセントの偏差が可能であることを意味すると理解されるべきである。出願人は、独立クレームの特徴以外であっても、クレームからの特徴とサブ的特徴、及び/又は、明細書の記載からの特徴と部分的特徴を、任意の形式の他の特徴、サブ的特徴又は部分的特徴と組み合わせる権利を留保する。出願人はさらに、任意の特徴および部分的特徴を削除する権利を留保する。
【0044】
図面において、機能的に同等な部分は、常に同一の参照番号が付与され、したがって、それらは、原則として、一度だけ説明されている。
【符号の説明】
【0045】
参照記号
20 溶融容器
22 コンベアパイプ
24 ポンプ
26 容器
28 ノズルアセンブリ
30 供給パイプ
32 供給ユニット
34 コーン
36 コーンエンベロープ
38 ノズル
40 層
42 出口
44 スクリーニング装置
46 スクリーン
48 矢印
50 矢印
52 供給容器
54 回転式フィーダ
56 インフィード部分
58 ミル
60 パイプ