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特許7200361車両用のキックスタンド、及び当該キックスタンドを動作するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】車両用のキックスタンド、及び当該キックスタンドを動作するための方法
(51)【国際特許分類】
   B62H 1/04 20060101AFI20221226BHJP
   B62H 1/02 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
B62H1/04
B62H1/02 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021513009
(86)(22)【出願日】2018-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 IB2018053150
(87)【国際公開番号】W WO2019215474
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】520435371
【氏名又は名称】カンデーロ カロリーナ
(73)【特許権者】
【識別番号】520435382
【氏名又は名称】カンデーロ イザベッラ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】カンデーロ ロベルト
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-40483(JP,U)
【文献】特開2010-6252(JP,A)
【文献】特開2014-73719(JP,A)
【文献】特開平5-238442(JP,A)
【文献】特開平5-238441(JP,A)
【文献】特開2010-235077(JP,A)
【文献】特開昭60-82493(JP,A)
【文献】実開昭58-40485(JP,U)
【文献】中国実用新案第201077484(CN,Y)
【文献】米国特許出願公開第2008/0203701(US,A1)
【文献】米国特許第4817977(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 1/02- 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪車用のキックスタンド(1)であって、
前記二輪車のフレーム(T)に固定されるベース(2)と、
駆動モータ(3)と、
2つのリミット位置間で操作経路に沿って前記ベース(2)を基準として旋回する2つの脚部(4)と、
を備えており、
前記2つのリミット位置が、前記脚部(4)がグラウンドと接触していない前記キックスタンドの休止状態と、前記脚部(4)がグラウンドと接触している作動状態と、に相当するキックスタンド(1)において、
脚部(4)は、入れ子式伸縮構造であり、円筒状のボディ(41)と、当該円筒状のボディ(41)内でスライドする棒部(42)と、を備えており、
前記キックスタンド(1)は、前記ボディ(41)に対して前記棒部(42)を相対的に駆動する流体圧システム(5)を備えており、
前記休止状態から前記作動状態までの前記操作経路は、前記駆動モータ(3)が片方又は両方の前記脚部(4)を前記ベース(2)に対して回転させるように駆動する第1の操作経路部分と、前記駆動する流体圧システム(5)が片方又は両方の前記棒部(42)を前記円筒状のボディ(41)から伸長するように駆動する第2の操作経路部分と、の2つの部分に分かれており、
前記円筒状のボディ(41)からの棒部(42)の伸長距離のバランスをとる自動システムであって、前記円筒状のボディ内に完全に後退した前記棒部(42)の位置と、前記グラウンドにおける前記棒部(42)と接触する位置、の間の距離に依存して、前記各棒部(42)の伸長距離を決めることにより、前記二輪車の鉛直方向、長手方向、中心の平面を前記グラウンドに対して実質的に垂直に維持する自動システムが提供されており、
前記各棒部(42)は流体圧式のシリンダ(B1,B2)のロッドから成り、又は流体圧式のシリンダ(B1,B2)のロッドによって制御され、
前記第1の操作経路部分では、前記キックスタンドの回転は前記モータ(3)によって、機械的伝動機構が回転運動を、前記キックスタンドの回転を駆動するキックスタンド回転駆動棒部の直線運動に変換すると共に、前記棒部(42)を駆動する前記流体圧システム(5)が非作動状態であることにより制御され、
前記第2の操作経路部分では、前記流体圧システム(5)が作動可能にされて、前記駆動モータ(3)が、前記棒部(42)を作動する前記シリンダのチャンバ内に加圧流体を供給するようにポンプ(51,52,53)を作動させることにより、前記流体圧システム(5)が動作する
ことを特徴とするキックスタンド(1)。
【請求項2】
記各リンダは共通の分配チャンバ(C,A)を介して加圧流体供給部に接続されており、又は接続可能であり、
前記自動ステムは、2つの前記シリンダ間に常に開通状態の連通路を成す前記分配チャンバから成る、
請求項1記載のキックスタンド。
【請求項3】
記各リンダは、各リンダに対して設けられた加圧流体供給部に別個に独立して接続され、並びに/又は、
前記棒部ごとに、前記グラウンドに対する当該棒部の圧力及び/若しくは前記棒部(42)内の流体の圧力を検知するためのセンサが設けられており、
前記センサの出力部は制御ユニット(CU)に接続されており、
前記制御ユニット(CU)は前記センサの信号を互いに比較して、圧力値が所定の閾値を超える第1のシリンダ(41)への加圧流体流を停止すると共に、他のシリンダ(41)には、当該他のシリンダで測定される圧力値が前記閾値を超えるまで、及び/若しくは前記第1のシリンダで測定される値と実質的に等しくなるまで、加圧流体を供給する、
請求項1記載のキックスタンド。
【請求項4】
前記第1の操作経路部分では、方の前記脚部(4)が前記ベース(2)に対して回転し、
前記第2の操作経路部分では、前記ベース(2)に対する方の前記脚部(4)の角度は変わらない、
請求項1から3までのいずれか1項記載のキックスタンド(1)。
【請求項5】
入れ子式伸縮構造の前記脚部ごとに、前記棒部(42)を前記シリンダ(41)内に嵌めた位置すなわち後退した状態に維持するための逆方向のばねが設けられている、
請求項1から4までのいずれか1項記載のキックスタンド(1)。
【請求項6】
前記キックスタンドは回転停止当接部を備えていると共に、前記回転運動を、前記キックスタンドの回転を制御する直線運動に変換する前記機械的伝動機構は、前記加圧流体を前記流体圧システム(5)に供給する前記ポンプを手動で作動する手動作動手段を備えている、
請求項1からまでのいずれか1項記載のキックスタンド(1)。
【請求項7】
-前記駆動モータ(3)の軸と噛み合うギア(6)であって、該ギア(6)の中心にあるねじ部付きの孔(62)と、を有し、駆動モータ(3)と、ギア(6)と組み立てたものが、前記ベース(2)に対して旋回するように取り付けられた電気的駆動アセンブリとなる、ギア(6)と、
-前記ギア(6)の前記ねじ部付きの孔(62)に対応するねじ部を有し、当該ギア(6)と協働する軸(51)と、
を備えており、
前記軸(51)にはさらに拡幅ヘッド(53)が設けられていることにより流体圧ピストンが形成され、
前記キックスタンド(1)は流体圧ポンプボディ(52)を備えており、当該流体圧ポンプボディ(52)内には前記軸(51)がスライド可能に組み付けられることにより、作動流体に対する少なくとも1つのチャンバ(C)を画定する流体圧ポンプが構成され、
前記流体圧システム(5)は、前記軸(51)の中心長手軸と実質的に一致する方向に沿って前記電気的駆動アセンブリに対して可動の装置である前記軸(51)と、前記ポンプボディ(52)と、前記拡幅ヘッド(53)と、を備えており、
前記流体圧ピストンの前記拡幅ヘッド(53)には、前記ポンプボディ(52)から外側に突出するスロット付きシート(54)が少なくとも1つ設けられており、
前記キックスタンド(1)は、前記脚部(4)の回転軸(X)から偏心して前記脚部(4)に結合された横方向ピン(7)を備えており、
前記横方向ピン(7)の一部は、前記スロット付きシート(54)に収容されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のキックスタンド(1)。
【請求項8】
前記駆動モータ(3)は、加圧流体を供給するポンプを駆動するモータであり、
前記ポンプの吐出口は、前記第1の操作経路部分において前記棒部(42)を駆動する前記流体圧システムを非作動状態にしつつ前記キックスタンドの回転運動を駆動する流体圧アクチュエータに接続されており、
前記棒部(42)を駆動する前記流体圧システムは、前記第1の操作経路部分の終了時に前記キックスタンド回転停止に達したときに作動可能となって、前記シリンダ(41)を前記ポンプの吐出口に接続する、
請求項1から7までのいずれか1項記載のキックスタンド。
【請求項9】
キックスタンドであって、
-作動流体貯蔵部(S)と、
-前記作動流体を所定の圧力で、当該作動流体を分配する流体回路へ供給するポンプと、
-休止位置から作動位置への前記キックスタンドの回転を駆動する流体圧アクチュエータシリンダ(C)と、
-完全に伸長した位置と、前記キックスタンドの脚部内へ完全に後退した位置と、の間で前記キックスタンドの脚部内へスライドする棒部(42)であるロッドを有する流体圧シリンダ(B1,B2)と、
-前記キックスタンドの各脚部(4)にそれぞれ関連付けられた2つの前記各シリンダ(B1,B2)へ前記作動流体をそれぞれ分配する共通のマニホルド(A)であって、前記両シリンダ(B1,B2)を互いに連通するマニホルド(A)と、
-サーボ制御されるバルブ(E1,E2,E3,E4)と、前記ポンプ(D)の吐出口と回収貯蔵部(S)との間で前記作動流体を導き出す分路と、の組み合わせと、
-前記休止位置及び前記作動位置において前記キックスタンドの回転位置を検知するための位置センサと、
-前記脚部(4)を基準とする前記各棒部(42)に対する位置センサと、
-前記キックスタンドの回転を駆動する前記流体圧アクチュエータシリンダ(C)と前記マニホルド(A)すなわち前記流体圧シリンダ(B1,B2)とへの供給又は供給阻止を択一的に行い、前記流体圧アクチュエータシリンダ(C)又は前記流体圧シリンダ(B1,B2)及び前記ニホルドを前記貯蔵部(S)に接続するように、前記ポンプ(D)を制御すると共に前記サーボ制御されるバルブの前記組み合わせの各バルブ(E1,E2,E3,E4)を別個に制御するように設定された制御ユニット(CU)と、
-前記休止位置から前記作動位置まで又はその逆に記キックスタンドを作動させるための制御手段(I1,I2)と、
を備えていることを特徴とするキックスタンド。
【請求項10】
二輪車用のキックスタンド(1)を動作する方法であって、
前記キックスタンドは、前記二輪車の下側から突出しない休止位置から、当該休止位置下側に越えて突出する作動位置への回転移動、又はその逆方向の回転移動を、モータ(3)によって行う少なくとも1つの第1の移動ステップを行い、
前記作動位置は、両方又は片方の車輪によって提供される支持点以外にグラウンド上における前記二輪車の少なくとも他の支持点を生じさせるものであり
前記第1の移動ステップの他にさらに、前記キックスタンドの各脚部を前記グラウンド上の前記他の支持点に向けて伸長させる第2のステップであって、前記各脚部によって前記グラウンドにかかる圧力を測定して当該圧力と所定の圧力閾値とを比較し、及び/又は前記各脚部の検出された圧力値を比較することにより、前記グラウンド上の前記他の支持に達するまでに要する距離に応じて前記各脚部を互いに依存せずに伸長させる第2のステップを有する方法において、
前記脚部(4)の伸長は、前記脚部(4)に対してスライドする伸長棒部を動かす駆動シリンダを設けた流体圧システム(5)により、2つの前記脚部に関連付けられた当該駆動シリンダ(B1,B2)が流体力学的に連通するように前記駆動シリンダ(B1,B2)を互いに接続することによって、流体力学的に行われ、
前記第1のステップでは、前記キックスタンドの回転は前記モータ(3)によって、機械的伝動機構が回転運動を、前記キックスタンドの回転を駆動するキックスタンド回転駆動棒部の直線運動に変換すると共に、前記伸長棒部(42)を駆動する前記流体圧システム(5)が非作動状態であることにより制御され、
前記第2のステップでは、前記流体圧システム(5)が作動可能にされて、前記モータ(3)が、前記伸長棒部(42)を作動する前記駆動シリンダのチャンバ内に加圧流体を供給するようにポンプ(51,52,53)を作動させることにより、前記流体圧システム(5)が動作する
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好適には二輪自動車、スクータ、自転車、及び電動自転車等の車両用のキックスタンドと、かかるキックスタンドを動作するための方法と、に関する。
【0002】
従来技術では、駐輪状態の際に、回転するように二輪車のフレームに結合されたキックスタンドを用いて当該二輪車のバランスをとることが公知となっている。
【0003】
その最も簡単な形態では、キックスタンドは逆U字形であり、手動で操作される。
【0004】
より高度に開発された一部の実施形態では、特に高重量の車両の場合、又はユーザが加えることができる力に限界がある場合にはしばしば、電動のキックスタンドが提供されている。簡単にいうとこの電動のキックスタンドは、U字形のサポート部が、ユーザによって操作される電気モータによって操作されるものである。
【0005】
かかる自動的な解決手段は、有用ではあるが欠点を免れない。
【0006】
その欠点の1つは、公知のキックスタンドの操作経路が2つの部分に分かれていることであり、後退位置からU字形の両アーム部が実質的に鉛直位置又は中間位置に達するまで回転し(第1の経路部分)、この鉛直位置又は中間位置において、車両の一部が持ち上げられ、この中間位置からU字形の両アーム部は、フレームに対して固定された戻り止め部に当接するまで回転し続け(第2の経路部分)、この位置で車両のバランスがしっかりとれる(駐輪状態)。
【0007】
電動のキックスタンドを備えたかなり高重量の車両(例えばグランツーリズム用の二輪自動車等)の場合、電気モータがキックスタンドを駆動する労力はかなり大きいので、極めて高い出力のモータを設ける必要があり、その結果コストが著しく高くなる。
【0008】
他の1つの欠点は、第1の経路部分と第2の経路部分との間の中間位置で部分的に持ち上げられる車両の重量を支えるため、キックスタンドのベアリング構造(U字形、フレームへの取付部品、フレームにおけるキックスタンドに固定される領域)をオーバーサイズにしなければならないことに拠るものである。
【0009】
その結果、かかる電動キックスタンドは故障又は損傷を受けることが多くなる。
【0010】
上述の電動キックスタンドのさらに他の1つの欠点は、車両を凹凸のある表面に駐輪した場合に見られるものであり、この場合、U字の片方のアーム部が地面に接触する前にもう片方のアーム部が接触するという事態が生じることがあり、中間位置に達するときには、地面と接触するU字の片方のアーム部にのみ車両の全重量が加わり(又は-より一般的には-両アーム部にかかる荷重が均等でない)、その結果、アームが変形するリスクや、破損するリスクも生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、車両用、好適には例えば二輪自動車、スクータ、自転車及び電動自転車等の二輪車用のキックスタンドであって、上記の欠点を解消するキックスタンドを提供することである。
【0012】
本発明の他の1つの課題は特に、サポート構造に過剰な機械的荷重がかかるのを回避する車両用の上述のキックスタンドを提供することである。
【0013】
さらに他の1つの課題は、頑強で長時間の動作に耐えられる車両用の上述のキックスタンドを提供することである。
【0014】
さらに他の1つの課題は、極めて簡単に取り付けることができ、場合によっては既存の車両に元のキックスタンドと交換して取り付けることができる、車両用の上述のキックスタンドを提供することである。
【0015】
さらに他の1つの課題は、車両の盗難を防止できる車両用の上述のキックスタンドを提供することである。
【0016】
本発明の他の1つの課題は、上記の課題のうち少なくとも1つ又は一部を解決する他にさらに、1つの装置として又は部品のキットとして提供し、電動のキックスタンドを取り付けるために工場に配置されていない既存の二輪自動車に取り付けることができるキックスタンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記及び他の課題は、最初に添付した請求項に記載の車両用のキックスタンドにより解決される。
【0018】
本発明はまず、車両用、好適には例えば二輪自動車、スクータ、自転車、及び電動自転車等の二輪車用のキックスタンドに関し、当該キックスタンドは、車両のフレームに固定されるベースと、駆動モータと、2つのリミット位置間で操作経路に沿ってベースを基準として旋回する2つの脚部と、を備えており、2つのリミット位置は、脚部がグラウンドと接触していないキックスタンドの休止状態と、脚部がグラウンドと接触している作動状態と、に相当する。
【0019】
上記の少なくとも1つの脚部、好適には両脚部は、入れ子式伸縮構造となっている。というのも、脚部は円筒状のボディと、当該円筒状のボディ内でスライドする棒部と、を備えているからである。
【0020】
キックスタンドは、ボディに対して棒部を相対的に駆動する流体圧システムを備えている。
【0021】
また、休止状態から作動状態までの操作経路は、駆動モータが片方又は両方の脚部をベースに対して回転させるように駆動する第1の操作経路部分と、駆動流体圧システムが片方又は両方の棒部を円筒状のボディから伸長するように駆動する第2の操作経路部分と、の2つの部分に分かれている。
【0022】
ここで、円筒状のボディからの少なくとも1つの棒部の伸長距離のバランスをとる自動システムであって、円筒状のボディ内に完全に後退した棒部の位置と、グラウンドにおける棒部を支持する位置又は領域と、の間の距離に依存して、各棒部の伸長距離を決めることにより、モータビークルの鉛直方向、長手方向、中心の平面をグラウンドに対して実質的に垂直に維持する自動システムが提供される。
【0023】
上記の一般的な実施形態の種々の変形実施態様を提供することが可能である。
【0024】
一実施形態では、各棒部は流体圧シリンダのロッドから成り、又は流体圧シリンダのロッドによって制御され、各流体圧シリンダは共通の分配チャンバを介して加圧流体供給部に接続されており、又は接続可能であり、自動バランスシステムは、2つのシリンダ間に常に開通状態の連通路を成す上記の分配チャンバから成る。
【0025】
この場合バランスシステムは、制御する2つのシリンダ又はロッドが各対応する棒部である2つのシリンダのチャンバの連通が常に開通していることにより、流体の圧力が常に一定で同じとなる物理的作用により補償がなされることが保証される。
【0026】
かかる実施形態の一変形態様では、各流体圧シリンダは、各流体圧シリンダに対して設けられた加圧流体供給部に別個に独立して接続され、並びに/又は、棒部ごとに、グラウンドに対する棒部の圧力及び/若しくは棒部内の流体の圧力を検知するためのセンサが設けられており、センサの出力部は制御ユニットに接続されており、制御ユニットはセンサの信号を互いに比較して、圧力値が所定の閾値を超える第1のシリンダへの加圧流体流を停止すると共に、他のシリンダには、当該他のシリンダで測定される圧力値が上記閾値を超えるまで、及び/若しくは第1のシリンダで測定される値と実質的に等しくなるまで、加圧流体を供給するように構成することができる。
【0027】
上記の変形態様が有利となるのは、特に、棒部を制御し又は棒部をロッドにより構成する流体圧シリンダに代えて、電気機械的なリニアアクチュエータ又はこれに類するアクチュエータを使用する場合である。この場合、直接的なやりとりを行うことができないので、上記値の間の差を最小にするため、すなわち、重力に対してバランスのとれた状態である垂直配置で完全に鉛直方向となるように車両を維持するために、上記の電気機械的なリニアアクチュエータのモータに給電するためには、グラウンド上に静止している棒部の状態と、グラウンドに加わる対応する圧力とを検出する必要がある。
【0028】
本システムの一変形実施態様は、キックスタンドを動作させる2つの手法であって2つの経路部分における動きに関して互いに異なる2つの手法を設けることができ、具体的には第1の部分において、キックスタンドが実質的に車両の下側とは逆方向に畳まれる休止位置から、キックスタンドがグラウンドに向かって突き出されて例えば戻り止め部等によって保持される作動位置へ、キックスタンドを回転させる。この戻り止め部は例示であり、本発明を限定するものではない。本変形実施態様では、回転は電気機械的なアクチュエータによって行われるか、又は代替的に流体圧アクチュエータによって行われる。
【0029】
棒部を展開することによって脚部を伸長する操作経路の第2の部分は、流体圧システムを用いるもの又は電気機械的システムを用いるものの2つの代替手段により行うことができる。
【0030】
-電気機械的なアクチュエータによって行われる休止状態から作動状態へのキックスタンドの回転動作及びその逆方向のキックスタンドの回転動作と、グラウンドの状態に応じて伸長のバランスをとりながら行われる流体力学方式の伸長と、を組み合わせた実施形態と、
-流体圧アクチュエータによって行われる休止状態から作動状態へのキックスタンドの回転動作及びその逆方向のキックスタンドの回転動作と、グラウンドの状態に応じて伸長のバランスをとりながら行われる流体力学方式の伸長と、を組み合わせた実施形態と、
の2つの好適な実施形態がある。
【0031】
好適な実施形態ではないが、他にも、キックスタンドの経路の両部分に対して電気機械的なアクチュエータを用いる変形態様、又は、流体圧により動作する回転と電気機械的なアクチュエータにより動作する伸長とを組み合わせた変形態様も可能である。
【0032】
電気機械的なアクチュエータによる回転動作と流体圧システムによる伸長とを組み合わせた第1の変形態様に関しては、回転に用いられるものと同一の電気機械的動作のモータから加圧流体を供給するように流体圧システムを駆動することも可能である。
【0033】
発明を実施するための形態の説明に、さらなる詳細及び変形実施態様が示されている。
【0034】
完全に流体力学的動作に基づく第2の変形実施態様が有利である理由は、かかる形式のキックスタンドを装着するために工場に配置されていないモータビークルにも搭載可能な装置の形態でキックスタンドを製造できるからである。
【0035】
また当該実施形態の以下の説明から、上述の場合、キックスタンドすなわち制御操作システムと車両との間の多数の機械的及び電気的インタフェースを要する簡単なキット又は装置として、キックスタンドを製造できることも明らかであり、これによって様々な型式のモータビークルへの後付け装備が容易になり、様々な型式のモータビークルに対する適合性を向上させることができる。
【0036】
よって本発明は、上記の特徴のうち1つ又は複数を具備するキックスタンドであって適合キット又は装置として製造されたキックスタンドにも関する。
【0037】
本発明はさらに、車両用のキックスタンドを動作するための方法にも関し、キックスタンドは、モータビークルの下側から突出しない休止位置から、当該モータビークルの下側を越えて突出する作動位置への回転移動、又はその逆方向の回転移動を行う少なくとも1つの第1の移動ステップを行い、作動位置は、両方又は片方の車輪によって提供される支持点以外にグラウンド上におけるモータビークルの少なくとも他の支持点を生じさせる程度まで車両の下側を越えて突出しており、本方法は休止ステップから開始して、
-駆動モータがベースに対して脚部を回転させると共に、非作動状態にある流体圧システムを直線移動させる前記第1の移動ステップと、
-キックスタンドの各脚部をグラウンド上の支持点に向けて伸長させる第2のステップであって、各脚部によってグラウンドにかかる圧力を測定して当該圧力と所定の圧力閾値とを比較し、及び/又は各脚部の検出された圧力値を比較することにより、グラウンド上の支持部に達するまでに要する距離に応じて各脚部を互いに依存せずに伸長させる第2のステップと、
を有する。
【0038】
本方法の一実施形態では、脚部の伸長は、脚部に対してスライドする伸長棒部を動かす駆動シリンダを設け、これら2つの脚部に関連付けられた当該駆動シリンダが流体力学的にしっかり連通するように駆動シリンダを接続することによって、流体力学的に行われる。
【0039】
本方法の一変形態様では、脚部の伸長は電気機械的なリニアアクチュエータによって行われ、当該伸長を行うためには、脚部に対してスライドする伸長棒部を動かすリニアアクチュエータを設け、グラウンドにかかる各棒部の圧力の差を最小にし、若しくは消失させ、及び/又は当該圧力差を所定の閾値以下に維持するように、これらのアクチュエータを当該圧力の差に依存して別個かつ独立して制御ユニットにより制御する。
【0040】
他の有利な及びオプションの特徴は従属請求項に記載されており、これは本願明細書の一体的な一部である。
【0041】
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、添付の図面に示されている一部の実施形態の以下の説明からより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】休止状態にある本発明のキックスタンドの底面図である。
図2】休止状態にある本発明のキックスタンドのA-A平面に沿った断面側面図である。
図3】中間作動状態にある図1,2のキックスタンドの底面図である。
図4】中間作動状態にある図1,2のキックスタンドの断面側面図である。
図5】中間作動状態にある図1,2のキックスタンドの正面図である。
図6】最終的な作動状態にある図1~5のキックスタンドの底面図である。
図7】最終的な作動状態にある図1~5のキックスタンドの断面側面図である。
図8】最終的な作動状態にある図1~5のキックスタンドの正面図である。
図9】凹凸の無いグラウンドにおける最終的な作動状態の図1~8のキックスタンドを示す図である。
図10】凹凸のあるグラウンドにおける最終的な作動状態の図1~8のキックスタンドを示す図である。
図11】手動作動ステップ中の図1~10のキックスタンドの断面側面図である。
図12】本発明の一実施形態のブロック図であり、同ブロック図のキックスタンドは、本発明のキックスタンドを工場で取り付けずに既存のモータビークルに適用できる「後付け」タイプの装置の形態である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1及び図2を参照すると、一実施形態における車両用、好適には例えば二輪自動車、スクータ、自転車及び電動自転車等の二輪車用のキックスタンド1が示されており、本実施形態では2つの脚部4が設けられており、両脚部4はグラウンド上に置かれている。
【0044】
ここで留意すべき点は、簡単な一実施形態では、本発明のキックスタンドは上記構成と異なり、1つの脚部4のみを有するいわゆる「片側スタンド」の形態であるが、下記では2つの脚部の構成について説明を行い、この説明は上記簡単な実施形態のバージョンにも同様に当てはまる。
【0045】
図1及び図2を再度参照すると、キックスタンド1は-一般に-車両のフレームに固定されたベース2を備えている。
【0046】
ベース2には少なくとも、フレームへの固定手段が設けられており、これは例えば、フレームTに係合するねじ接続部用(ボルト、ナット、ねじ部品用)の孔等である。フレームTは図中では簡素化して示されており、例えばプレート等である。
【0047】
例示の本実施形態では、キックスタンド1は2つの脚部4を備えており、脚部4はベース2に対して操作経路に沿って、2つのリミット位置間で回転する。
【0048】
図1及び図2は第1のリミット位置を示しており、この第1のリミット位置は、脚部4が後退しているキックスタンド1の休止状態、すなわち脚部4がグラウンドT上に置かれておらず又はグラウンドTと接触していない休止状態(又は非使用状態)に相当する。
【0049】
図6~8は、第2のリミット位置にあるキックスタンド1を示しており、この第2のリミット位置は、脚部4がグラウンドと接触して駐輪状態の車両を支える「最終的な」作動状態に相当する(この「最終的な」作動状態は、「中間」作動状態と区別される。これについては下記にてより良好に説明する)。
【0050】
両リミット位置間(図1,2の休止位置と図6~8の最終的な作動位置との間)において、脚部4は、図3~5の中間作動状態に相当する中間位置を通過する。
【0051】
好適には休止状態では、車両に搭載されたキックスタンド1を参照すると脚部4は水平方向であるのに対し、中間作動位置及び最終的な作動位置では脚部4は実質的に鉛直方向である。
【0052】
例えば図中に示されているように、脚部4は入れ子式伸縮構造であり、円筒状のボディ41と、当該円筒状のボディ41内にスライドする棒部42と、を備えている。
【0053】
棒部42の自由端には、グラウンドに置かれるパッドを設けるのが好適であり、このパッドは例えば、支持を強化するためのゴム材料又はプラスチック材料から成る。
【0054】
好適には棒部42及びボディ41は、ボディ内に収容されて棒部42に作用するスラストスプリングと共に単動流体圧シリンダを構成し、このばね(不図示)は棒部42をボディ41内に嵌めた状態に維持するように棒部42に作用する(最小伸長状態)。
【0055】
そしてキックスタンド1は、ボディ41に対して棒部42を駆動する流体圧システム5を備えており、とりわけ、流体圧システム5は流体圧ポンプ51を備えており、流体圧ポンプ51は、ばねの逆方向の作用に抗しながらボディ41から棒部42を展開するように制御するため、脚部4のボディ41と棒部42との間のチャンバに作動流体(例えば作動油等)を供給するためのものである。
【0056】
本発明において特徴的なのは、休止状態から作動状態までの脚部の操作経路が、駆動モータ3が片方又は両方の脚部4をベース2に対して回転するように駆動する第1の操作経路部分と、駆動流体圧システム5がロッド42を円筒状のボディ41から伸長させるように駆動する第2の操作経路部分と、の2つの部分に分かれていることである。
【0057】
かかる構成によって、とりわけ、機械的な労力に関して最も高重量の経路部分がさらに流体圧システムによって、又は流体圧システムのみによって行われることにより、最適な動作が達成される。
【0058】
特に第1の操作経路部分では流体圧システム5は作動せず、第2の操作経路部分において流体圧システム5が駆動モータ3によって、好適には電気モータによって駆動される。
【0059】
第1の操作経路部分(休止状態から中間作動状態までの部分)では、脚部4がベース2に対して回転するのに対して、第2の操作経路部分(中間作動状態から最終的な作動状態までの部分)では、ベース2に対する脚部4の角度は変わらない。
【0060】
ここで、図面中に示されている解決手段(例示であり、本発明を限定するものではない)を詳細に説明すると、キックスタンド1は駆動モータ3の軸と噛み合うギア6を備えており、キックスタンド1はギア6によって(2方向のうちいずれか一方向に)回転される。
【0061】
ギア6にはオプションとして、専用の保護ケース又は保護筐体61が設けられている。
【0062】
駆動モータ3とギア6と、筐体61がある場合には筐体61とを組み立てたものが電気的作動アセンブリを構成し、これは例えば専用のピン等によってベース2に対して旋回するように取り付けられる。
【0063】
ギア6はその中心にねじ孔62を備えており、このねじ孔62に、これに対応するねじ部を備えた軸51が係合する。
【0064】
軸51には拡幅ヘッド53が設けられており、これにより実際の流体圧ピストンが形成され、軸51は、スライドするように取り付けられたポンプボディ52と協働することにより、作動流体に対するチャンバCを画定する実際の流体圧ポンプを構成する。
【0065】
流体圧ピストンの拡幅ヘッド53にはスロット付きシート54が少なくとも1つ設けられており、スロット付きシート54はポンプボディ52から外側に向かって突出しており、スロット付きシートには、脚部4に結合された横方向ピン7が、脚部4の回転軸Xから偏心して入れられている。
【0066】
流体圧システム5のチャンバCは、作動流体を脚部4の流体圧チャンバに送ったときに、内側の逆方向のばねの力を克服して脚部4の棒部42をシリンダ41から伸長させるように、管59(流体嵌合部を備えているのが適している)によって脚部4の流体圧チャンバ(不図示)と選択的に流体連通する。
【0067】
軸51とポンプボディ52と拡幅ヘッド53とを備えた流体圧システム5は、軸51の中心長手軸と実質的に一致する方向に沿って電気的作動アセンブリに対して直線移動できる可動の装置であり、より具体的にはこの直線移動は、スロット付きシート54の長さ(軸51の中心長手軸に対して平行な長さ)と略等しい長さにわたって行われる。
【0068】
(ギア6の筐体61が設けられている場合には)ギア6の筐体61(又は、その代替物として適した当接部がある場合にはその当接部)は、流体圧システムの上述の直線移動を止めるための当接要素であり、これについては以下の説明からより明らかとなる。
【0069】
ここで留意すべき点として、軸51は、流体圧システム5の流体圧ピストンである他にさらに、シート54及びピン7を用いて脚部に回転可能に結合されている。
【0070】
ここでキックスタンド1の動作について、(簡素化のために)図1及び図2の休止状態から開始して図6~8の最終的な作動状態までを仮定して説明する。
【0071】
第1のステップでは、駆動モータ3を作動させることによりギア6を回転させ、このギア6の回転により(孔62のねじ部が軸51のねじ部と係合することによって)軸51を直線移動させる。
【0072】
この第1のステップでは、孔62に螺入している軸51の直線移動によって駆動されて、流体圧システム5全体が直線移動する。
【0073】
軸51の直線移動によってピン7が動き、脚部4を回転作動させる。
【0074】
かかる第1のステップは、図3~5に示されている中間作動状態に達すると終了する。この中間作動状態では、脚部4はベース2に対して回転した状態であるが、棒部42は未だシリンダ41内に収容されており、この状態では流体圧システムは筐体61に当接している(又はこれと等価的に、当接目的で設けられた当接部に当接している)。
【0075】
ここで留意すべき点は、第1のステップ全体を通じて流体圧システム5は、脚部4の流体圧チャンバと有効に流体連通するチャンバC内の作動油を圧縮しない非作動状態であり、脚部4内の逆方向のばねの力と、流体圧システムの自由度の規定とにより、軸51及びヘッド53は回路内の作動流体を圧縮することができないことである。
【0076】
その後第2のステップにおいて、駆動モータ3がギア6を回転し続けて、第1のステップと同様に軸51を直線移動させているが、このときには流体圧システム5の直線移動は、ポンプボディが筐体61に当接することにより(又はこれと等価的に当接部に当接することにより)阻止されており、ベース2に対する脚部4の位置は固定されている。
【0077】
よって、軸51はチャンバC内の作動流体を圧縮し始める。
【0078】
このステップでは、チャンバCと脚部4の流体圧チャンバとの流体連通が有効化された状態に留まり、最終的に軸51は脚部4の流体圧チャンバ内の作動流体の運動を生じさせ、その結果、シリンダ41内から棒部42が外に移動する。
【0079】
ところでここで留意すべき点は、同時にチャンバCと脚部の流体圧チャンバとが互いに連通して、(チャンバCを脚部の各チャンバ間の中間位置として)一種の連通管回路を構成しており、これにより、凹凸の無いグラウンドの場合には図9のように、基本的に各棒部42がシリンダ41から同量だけ伸長して、グラウンド上に安定的かつ頑強に支えられることである。
【0080】
それに対して、グラウンドが図10のように平坦でなく凹凸を有する場合には、同時に脚部4のチャンバとチャンバCとの間に連通があることにより、各棒部42は異なって伸長し、この異なる伸長により各棒部42はグラウンドの凹凸に合わせて調整され、上記にて言及したこの場合の公知の問題を解消することができる。
【0081】
第2のステップの終了時には、脚部の流体圧チャンバとチャンバCとの流体連通を終了してこれらのチャンバを隔絶することにより、車両重量の作用を受けて棒部42が復帰するのを阻止する。
【0082】
ここで留意すべき点は、上記のことによって有効な盗難防止機能が実現され、駆動モータ3がオン制御されなければ脚部4が復帰することはできず、車両のいかなる移動も阻止されることである。
【0083】
本発明の車両用のキックスタンド1の動作方法は、電気的駆動アセンブリと流体圧システムとを備えていると共に、車両のフレームに固定可能なベース2に対して回転可能なシリンダ41と、シリンダ41に関連付けられた入れ子式伸縮可能な棒部であって流体圧システムによってシリンダ41から展開される棒部と、を備えたキックスタンド1の動作方法であるが、簡単にいうと当該動作方法は、休止ステップから開始して、
-駆動モータ3が脚部4をベース2に対して回転させて、流体圧システム5を直進移動させるが、当該流体圧システム5は非作動状態である第1のステップと、
-駆動モータ3が流体圧システムを駆動して、脚部4のシリンダ41から棒部42を伸長させる第2のステップと、
を有する動作方法として実現される。
【0084】
この好適な図示の実施形態では、第1のステップ及び第2のステップの両方において駆動モータ3は、流体圧システムのポンプの流体圧ピストンの一部であると共に脚部4に結合されている軸51に作用する。
【0085】
脚部4の復帰ステップは上記と同様に、以上にて説明したのと逆方向のプロセスによって(モータ3を単純に逆方向に回転させることにより)行われ、復帰ステップについてはこれ以上言及しない。
【0086】
図11を参照すると、ここで留意すべき点は、オプションとして手動解除手段が設けられていることである。この手動解除手段は、特にモータ3の不具合時、又はモータ3への給電が無い場合(例えば車両のバッテリーが空である場合)に有用である。かかる手動解除手段は、軸51のヘッドに軸方向に配置された工具受け部を有し、この工具受け部は、拡幅ヘッド53に結合された軸51とは反対側であり、この受け部に工具U(例えば六角レンチ又はスクリュードライバ等)が嵌められて、モータ3が動作しない場合に軸51を回転できるようにする。
【0087】
このようにして、上記の課題が解決される。
【0088】
以上に説明した実施形態については多数の変形態様が可能であり、これらは全て、本発明の均等態様とみなすべきものである。
【0089】
例えば、電気モータ3に代えて他の種類のモータ(磁気モータ又は流体モータ等)を設けることができ、さらに、脚部4のシリンダ41の外形はいかなる形状とすることもできる(多面体又は円筒形等)。
【0090】
図12を参照すると、同図は、本発明のキックスタンドを装着するために工場内に配置されない既存のモータビークルに本発明のキックスタンドを適用できる一実施形態を示している。
【0091】
かかる「後付け」タイプの実施形態は、上記のバージョンの実施形態に構造的な変更を加えるために上記の実施形態の構造を参照することができるので、後付けタイプの実施形態については概説に留める。
【0092】
いかなる既存のモータビークルにも後付けできる装置として本発明のキックスタンドを設定するという上記課題を解決するためには、既存のモータビークルに固定される必要なインタフェースの数を最小限にするため、及びキットとして提供するためには、図示の実施形態が選択されるが、これは本発明を限定するものではない。キットは、当該装置の取付先のモータビークルの構造によって決まる種々の構造的条件に合わせて調整するための可変要素を備えることができる。
【0093】
図示の実施形態は、技術的コンセプトを上述のような汎用的な変形態様に限定するものではなく、特に通常のモータビークルの一部の型式に特化するようにそれぞれ構成された多数の変形態様を提供することができることが明らかである。
【0094】
既存のモータビークルの可能な限り大きな部分に適合するように装置が製造された特殊な本実施形態については、本発明は、機械的組立により全体的な寸法を車両床部より下方のキックスタンド構造付近の領域に縮小するように、システムの各動作を非局在化するものである。
【0095】
有利な一実施形態では、キックスタンドは、上記の実施形態において既に説明した補償として脚部の伸長を制御するバランスシステムを備えている。
【0096】
好適な一変形実施態様では、キックスタンドを回転させる動作は、ウォームスクリューを用いた上述の例のように機械的なものではなく、加圧流体を流して生成する部材がキックスタンド設置領域から離れた位置に設けられた流体回路により供給を受ける流体圧アクチュエータを用いて行われ、流体回路はソレノイドバルブと位置センサとの組み合わせにより制御され、ソレノイドバルブ及び位置センサは、圧力及び流体流れ生成器と共に電子制御ユニットによって、例えばキックスタンドのために設けられた機能を実行するための指令を符号化した制御プログラムを実行するプログラミング可能なプロセッサ等によって制御され、これは、センサ、ソレノイドバルブ及び加圧流体流れ生成部材とやりとりするためのインタフェースを備えている。
【0097】
上記にて既に述べたように、バランスシステムは同じコンセプトにより動作するが、本実施形態において提案する解決手段は機械的にはより簡素である。というのも、バランスシステムを開放する必要が無くなり、また、スロット54を備えたピストン53の場合のようにピストンはスロットを有する必要が無いからである。
【0098】
図12を参照すると、流体回路は一対の脚部を有するキックスタンドを備えており、各脚部はそれぞれ、流体圧シリンダB1及びB2のロッドの端部に取り付けられている。
【0099】
流体圧シリンダCは、キックスタンドが下方に回転するように制御する。
【0100】
流体圧シリンダB1,B2及びCは流体圧ポンプDから供給を受け、流体圧ポンプDは貯蔵部Sと連通している。
【0101】
キックスタンドの回転の復帰動作のために、弾性のばねMが作用する。これにより、特にポンプに関して、システムが可逆的になるのが阻止される。かかるシステムは比較的複雑ではあるが、例えば、キックスタンド及び調整可能な脚部の回転のために使用される複動シリンダの2つの入口/出口間の送り流を反転するディストリビュータを用いて可逆的なポンプを設けることで足りるため、当該システムは常に可能である。
【0102】
T継手R1がポンプDの吐出口をシリンダC及び貯蔵部Sの両方に接続すると共に、シリンダCを貯蔵部Sに接続する。ソレノイドバルブE1は、シリンダC側のポンプの吐出口を開閉する。ソレノイドバルブE2は、T継手R1と補償システムAとの接続部を開閉する。ソレノイドバルブE3はポンプDの吐出口との接続部を開閉し、ソレノイドバルブE4は、T継手R1を介する貯蔵部Sとの接続部を開閉する。管T1,T2,T3,T4及びT5はシリンダCとポンプDの吐出口とをそれぞれ接続し、また、補償システムAをそれぞれ貯蔵部S又はポンプDの吐出口と択一的に接続し、回路を貯蔵部Sと接続し、2つのシリンダB1及びB2を補償システムAと接続する。
【0103】
制御ユニットCUが、システム動作のための指令を符号化した制御プログラムを実行することにより、ソレノイドバルブの開閉とポンプDの動作とを制御する。さらに制御ユニットCUには、システムの設定を行うため及び/若しくは診断データを取り出すため、又は制御プログラムの更新を行うため、有線方式又は無線方式で接続可能であり又は接続されたインタフェースを設けることもできる。これらについては詳細に示しておらず、例えば制御電子システムで使用されCANバスとして知られているインタフェース等の通常のインタフェースとすることができる。
【0104】
さらに他の一特徴では、キックスタンドの動きをモニタリングするセンサ、例えばリミットマイクロスイッチ等を設けることもでき、また図示の例には、本発明の限定としてではなく、
-制御ユニットがバルブE1を閉弁すると共にバルブE2を開弁する信号に基づくキックスタンドの下方向回転の終了を制御するためのセンサF1、
-制御ユニットがバルブE3を閉弁する信号に基づく脚部の伸長の終了を制御するためのセンサF2、
-制御ユニットCUがバルブE2を閉弁してバルブE1を開弁する信号に基づく脚部の復帰移動の完了を制御するためのセンサF3、
-制御ユニットCUがバルブE1,E3,E4を閉弁する信号に基づくキックスタンドの上方向回転の終了を制御するためのセンサF4
として、上記センサが例示されている。
【0105】
制御ユニットに接続され又はバルブに直接作用する他のセンサシステムを設けることも可能であることは明らかである。
【0106】
図12の実施形態に関し、その動作を以下に説明する。
【0107】
キックスタンドが休止状態にあるとき、すなわちキックスタンドが持ち上げられていて車両を走行できる状態では、システムはソレノイドバルブE1,E2,E3及びE4を閉弁状態にしている。
【0108】
ユーザがモータビークルを停車してキックスタンドを立てたい場合、スイッチI1が流体圧ポンプDを駆動してソレノイドバルブE1及びE3を開弁する。このスイッチI1は、制御ユニットが設けられている場合には制御ユニットに接続されており、又はポンプに直接接続されている。ポンプDは貯蔵部Sから作動油を取り出し、管T1を介してシリンダCを作動することにより、回路内で作動油を圧縮し、これによりキックスタンドが下方向に回転するように制御する。キックスタンドの下方向回転が完了すると、センサF1はバルブE1を閉弁させると共にソレノイドバルブE2を開弁させ、これにより流体圧ポンプDによって押された作動油は管T2を通ってバランスシステムAへ流れ、バランスシステムAは管T4及びT5を介して脚部B1及びB2を伸長させるよう制御する。
【0109】
脚部は、上記にて図1~11の実施形態で既に説明したのと同じ仕方で、バランスシステムAによりロックされる。
【0110】
かかる状態に達すると、マイクロスイッチF2によって電子ユニットCUに通知がなされて、ソレノイドバルブE3が閉弁する。ここで留意すべき点は、この状態ではソレノイドバルブE4は未だ閉弁状態であるから、作動油は回路から貯蔵部に流れることができないことである。ここでキックスタンドは使用状態すなわち駐輪状態になり、回路がロックされて作動油は流体圧ポンプD及び貯蔵部Sには戻れなくなる。
【0111】
休止位置へのキックスタンドの復帰ステップすなわち車両走行状態は、スイッチI2によりソレノイドバルブE1が閉弁されると共にソレノイドバルブE4が開弁することにより可能になる。その前のステップにより、ソレノイドバルブE3は閉弁している。よって、作動油は貯蔵部Sへ戻ることができ、それと同時に脚部B1及びB2が復帰する。脚部が元に戻ると、マイクロスイッチF3はソレノイドバルブE2を閉弁させると共にソレノイドバルブE1を開弁させる。
【0112】
キックスタンドの上方向回転ステップは、ソレノイドバルブE1及びE4が開弁していることにより、らせんばねMの力が作動油の逆圧と対向しないことによって保証される。
【0113】
このステップが完了すると、マイクロスイッチF4はキックスタンドの持ち上げ移動の移動終了を検出し、全てのソレノイドバルブE1,E3,E4を閉弁する。
【0114】
キックスタンド昇降スイッチは図12ではI1及びI2によって示されており、上記の動作の仕方によりポンプDとソレノイドバルブとを操作する。
図1
図2
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図11
図12