(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】サイドエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/207 20060101AFI20221226BHJP
B60R 21/2338 20110101ALI20221226BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
B60R21/207
B60R21/2338
B60N2/42
(21)【出願番号】P 2021528129
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2020022807
(87)【国際公開番号】W WO2020255817
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2019114698
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】東 英孝
(72)【発明者】
【氏名】南 雄太
(72)【発明者】
【氏名】岡上 喜貴
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和弥
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0389421(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018108171(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018101395(DE,A1)
【文献】国際公開第2019/193987(WO,A1)
【文献】特開2014-108740(JP,A)
【文献】米国特許第05730464(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0091695(US,A1)
【文献】特開2006-142861(JP,A)
【文献】米国特許第05791685(US,A)
【文献】特開平09-039710(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017117103(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/207
B60R 21/2338
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用座席に着座した乗員の側方で膨張展開するサイドエアバッグ装置であって、
ガスを発生させるインフレータと、
前記インフレータの作動時に前記ガスにより膨張展開して前記乗員の側部を保護する袋状のエアバッグと、を備え、
前記エアバッグは、前記乗員の胴体の側方で膨張展開する胴体保護部と、前記胴体保護部の上方に設けられ、かつ、前記乗員の肩部の上部と前記乗員の頭部の側部との間に膨張展開する頭部保護部と、を有し、
前記頭部保護部は、
前記エアバッグの膨張展開時に前記胴体保護部に対して鋭角に屈曲することを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサイドエアバッグ装置であって、
前記頭部保護部は、
前記エアバッグの膨張展開時に前記乗員の前記肩部と接触することを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置であって、
前記エアバッグは、前記胴体保護部及び前記頭部保護部が連続して設けられた単一の袋であり、
前記エアバッグには、
前記エアバッグの膨張展開時に前記乗員側の表面に位置するテザーが取り付けられており、
前記テザーは、一端部が前記頭部保護部の先端部に取り付けられ、他端部が前記胴体保護部の中間部に取り付けられており、
前記一端部と前記他端部との間の前記テザーの長さは、前記頭部保護部の前記先端部と前記胴体保護部の前記中間部との間の前記エアバッグの長さよりも短いことを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のサイドエアバッグ装置であって、
前記エアバッグの膨張展開時に、前記テザーが前記乗員と接触することによって、前記頭部保護部の前記胴体保護部に対する更なる屈曲が引き起こされ、前記更なる屈曲によって、前記頭部保護部と前記胴体保護部との間のガスの移動が阻害されることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置であって、
前記エアバッグは、前記胴体保護部を構成するメインバッグと、前記頭部保護部を構成するサブバッグと、前記メインバッグ及び前記サブバッグを連通するガス流通孔と、を有し、
前記サブバッグは、基端部が前記ガス流通孔を囲むように前記メインバッグの上端部に固定され、かつ、膨張展開前に折り畳まれた状態の前記エアバッグにおいて、前記メインバッグの前記上端部から前記メインバッグの前記乗員側の中間部に沿って重なっていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のサイドエアバッグ装置であって、
前記サブバッグの基端部の一部は、前記ガス
流通孔の前記中間部側で前記メインバッグに固定される接合ラインであり、
前記メインバッグと前記サブバッグとの角度は、前記接合ラインによって決定されることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のサイドエアバッグ装置であって、
前記サブバッグは、膨張展開前に折り畳まれた状態の前記エアバッグにおいて、車両前後方向に沿って前記乗員側に折り返されていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項8】
車両用座席に着座した乗員の側方で膨張展開するサイドエアバッグ装置であって、
ガスを発生させるインフレータと、
前記インフレータの作動時に前記ガスにより膨張展開して前記乗員の側部を保護する袋状のエアバッグと、を備え、
前記エアバッグは、前記乗員の胴体の側方で膨張展開する胴体保護部と、前記胴体保護部の上方に設けられ、かつ、前記乗員の肩部の上部と前記乗員の頭部の側部との間に膨張展開する頭部保護部と、を有し、
前記エアバッグは、前記胴体保護部を構成するメインバッグと、前記頭部保護部を構成するサブバッグと、前記メインバッグ及び前記サブバッグを連通するガス流通孔と、を有し、
前記サブバッグは、基端部が前記ガス流通孔を囲むように前記メインバッグの上端部に固定され、かつ、膨張展開前に折り畳まれた状態の前記エアバッグにおいて、前記メインバッグの前記上端部から前記メインバッグの前記乗員側の中間部に沿って重なっており、
前記サブバッグは、膨張展開前に折り畳まれた状態の前記エアバッグにおいて、車両前後方向に沿って前記乗員側に折り返されていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項9】
請求項5~8のいずれかに記載のサイドエアバッグ装置であって、
前記サブバッグの基端部の一部は、前記メインバッグの外周に固定される接合ラインであることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のサイドエアバッグ装置であって、
前記胴体保護部は、膨張展開時に前記乗員の腕部を押し上げることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドエアバッグ装置に関する。より詳しくは、自動車等の車両の側面衝突時に乗員の側方で膨張展開するサイドエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の側面衝突時に、乗員が車両幅方向内側に移動して、隣に着座した乗員と接触することを防止するサイドエアバッグ装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エアバッグによる乗員の保護機能を向上することを目的としたサイドエアバッグ装置が開示されている。このサイドエアバッグ装置においては、エアバッグの乗員と相対する側の外表面上にテンションテザーを取り付けることによって、エアバッグの膨張展開後に乗員がエアバッグに衝突した際、エアバッグがシートから離れる方向に回転することを抑制する、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のサイドエアバッグ装置においては、エアバッグがシートから離れる方向に回転することを抑制しており、乗員の車両幅方向内側への移動、特に、乗員の胴体の車両幅方向内側への移動を抑制している。しかしながら、乗員の頭部と肩部との間には車両幅方向において間隔があるため、乗員の胴体の車両幅方向内側への移動を抑制すると、その反動で乗員の頭部がエアバッグ側に回転してしまう。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、乗員の頭部を拘束しつつ、乗員の車両幅方向内側への移動を抑制可能なサイドエアバッグ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、車両用座席に着座した乗員の側方で膨張展開するサイドエアバッグ装置であって、ガスを発生させるインフレータと、前記インフレータの作動時に前記ガスにより膨張展開して前記乗員の側部を保護する袋状のエアバッグと、を備え、前記エアバッグは、前記乗員の胴体の側方で膨張展開する胴体保護部と、前記胴体保護部の上方に設けられ、かつ、前記乗員の肩部の上部と前記乗員の頭部の側部との間に膨張展開する頭部保護部と、を有し、前記頭部保護部は、膨張展開時に前記胴体保護部に対して鋭角に屈曲する、サイドエアバッグ装置である。
【0008】
本発明の別の一態様は、車両用座席に着座した乗員の側方で膨張展開するサイドエアバッグ装置であって、ガスを発生させるインフレータと、前記インフレータの作動時に前記ガスにより膨張展開して前記乗員の側部を保護する袋状のエアバッグと、を備え、前記エアバッグは、前記乗員の胴体の側方で膨張展開する胴体保護部と、前記胴体保護部の上方に設けられ、かつ、前記乗員の肩部の上部と前記乗員の頭部の側部との間に膨張展開する頭部保護部と、を有し、前記エアバッグは、前記胴体保護部を構成するメインバッグと、前記頭部保護部を構成するサブバッグと、前記メインバッグ及び前記サブバッグを連通するガス流通孔と、を有し、前記サブバッグは、基端部が前記ガス流通孔を囲むように前記メインバッグの上端部に固定され、かつ、膨張展開前に折り畳まれた状態の前記エアバッグにおいて、前記メインバッグの前記上端部から前記メインバッグの前記乗員側の中間部に沿って重なっており、前記サブバッグは、膨張展開前に折り畳まれた状態の前記エアバッグにおいて、車両前後方向に沿って前記乗員側に折り返されている、サイドエアバッグ装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、乗員の頭部を拘束しつつ、乗員の車両幅方向内側への移動を抑制可能なサイドエアバッグ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1のサイドエアバッグ装置について、エアバッグの膨張展開前かつ側方から見た状態を示す模式図である。
【
図2】実施形態1のサイドエアバッグ装置について、エアバッグの膨張展開前かつ前方から見た状態を示す模式図である。
【
図3】実施形態1のサイドエアバッグ装置について、エアバッグによる乗員拘束時かつ側方から見た状態を示す模式図である。
【
図4】実施形態1のサイドエアバッグ装置について、エアバッグによる乗員拘束時かつ前方から見た状態を示す模式図である。
【
図5】実施形態1のサイドエアバッグ装置中のエアバッグを、膨張展開前に折り畳まれた状態から膨張させずに一旦展開した状態を示す平面模式図である。
【
図6】
図5中の線分A1-A2に対応する部分を示す断面模式図である。
【
図7】テザーのエアバッグへの取り付け形態について、
図6とは別の形態を示す断面模式図である。
【
図8】実施形態2のサイドエアバッグ装置について、エアバッグによる乗員拘束時かつ側方から見た状態を示す模式図である。
【
図9】実施形態2のサイドエアバッグ装置について、エアバッグによる乗員拘束時かつ前方から見た状態を示す模式図である。
【
図10】実施形態2のサイドエアバッグ装置中のエアバッグを、膨張展開前に折り畳まれた状態から膨張させずに一旦展開した状態を示す平面模式図である。
【
図11】
図10中の線分B1-B2に対応する部分を示す断面模式図である。
【
図12】
図10中のサブバッグを構成する基布を示す平面模式図である。
【
図13】
図11中のサブバッグが車両前後方向に沿って乗員側に折り返された状態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書中の方向に関する記載は、特に断りのない限り、車両を基準としたものであり、例えば、「前方」は車両前方向を示し、「後方」は車両後方向を示し、「上方」は車両上方向を示し、「下方」は車両下方向を示し、「側方」は車両幅方向における内側方向を示す。また、各図中に適宜示される矢印FRは車両前方向を示し、矢印UPは車両上方向を示し、矢印INは車両幅方向における内側方向を示す。なお、車両用座席の内部に配置される部材は、車両用座席を透視した状態で図示されている。
【0012】
[実施形態1]
本発明の実施形態1のサイドエアバッグ装置について、図面を参照して以下に説明する。
【0013】
(膨張展開前)
図1は、実施形態1のサイドエアバッグ装置について、エアバッグの膨張展開前かつ側方から見た状態を示す模式図である。
図2は、実施形態1のサイドエアバッグ装置について、エアバッグの膨張展開前かつ前方から見た状態を示す模式図である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、サイドエアバッグ装置1は、車両用座席30のシートバック(背もたれ部)31の側部(車両幅方向内側の側部)に固定されている。
【0015】
車両用座席30としては、例えば、車両の運転席、助手席等が想定される。
【0016】
サイドエアバッグ装置1は、インフレータ10と、エアバッグ20と、を有している。
【0017】
インフレータ10は、エアバッグ20の内部に設けられている。インフレータ10は、シリンダー状(円柱状)のガス発生装置であり、シートバック31の延在方向(高さ方向)に沿って配置されている。インフレータ10の上部及び下部からは一対のボルトが突出しており、その一対のボルトは、エアバッグ20を貫通している。インフレータ10は、このような一対のボルトによって、シートバック31の側部(例えば、サイドフレーム)に固定されている。インフレータ10は、シートバック31ではなく、シート座面に固定されていてもよい。
【0018】
インフレータ10は、車両の側面衝突時に作動する。具体的には、まず、車両に搭載された衝突検知センサが車両の側面衝突を検知すると、衝突検知センサから送られた信号をECU(Electronic Control Unit)が演算し、衝突のレベルが判定される。判定された衝突のレベルがエアバッグ20を膨張させる場合に該当すると、インフレータ10が着火され、燃焼による化学反応でガスが発生する。その結果、インフレータ10から発生したガスは、エアバッグ20の内部に導入されることになる。
【0019】
インフレータ10の種類としては、特に限定されず、例えば、ガス発生剤を燃焼させて発生するガスを利用するパイロ式インフレータ、圧縮ガスを利用するストアード式インフレータ、ガス発生剤を燃焼させて発生するガスと圧縮ガスとの混合ガスを利用するハイブリッド式インフレータ等が挙げられる。
【0020】
エアバッグ20は、袋状であり、膨張展開前においてシートバック31の側部(例えば、サイドフレーム)に折り畳まれた状態で固定され、クッションパッドとともにシートバック31の表皮に覆われて収納されている。
【0021】
本実施形態では、国際統一側面衝突ダミー(World-SID:World Side Impact Dummy)40が車両用座席30に着座している。国際統一側面衝突ダミー40の着座姿勢は、現在、日本及び欧州で採用されている側面衝突試験法(ECE R95)、又は、米国で採用されている側面衝突試験法(FMVSS214)で定められたものである。エアバッグ20の膨張展開時(以下、単に、膨張展開時とも言う)の位置及び大きさは、
図1に示すような国際統一側面衝突ダミー40の胴体41、腰部42、頭部43、腕部44、肩部45等の位置に応じて設定される。以下では、国際統一側面衝突ダミー40を「乗員40」と称する。
【0022】
車両側壁50としては、車両用座席30に着座した乗員40の車両幅方向外側(コンソールボックス60とは反対側)に位置する車体部分であれば特に限定されず、サイドドア、ピラー、サイドウインドウ等を総称している。
【0023】
コンソールボックス60は、車両用座席30の車両幅方向内側に設けられている。例えば、コンソールボックス60は、車内の車両幅方向中央部において、運転席と助手席との間に設けられている。コンソールボックス60は、乗員40の車両幅方向内側の腕部44を支持する肘掛け部(アームレスト部)として機能してもよい。
【0024】
(乗員拘束時)
図3は、実施形態1のサイドエアバッグ装置について、エアバッグによる乗員拘束時かつ側方から見た状態を示す模式図である。
図4は、実施形態1のサイドエアバッグ装置について、エアバッグによる乗員拘束時かつ前方から見た状態を示す模式図である。
【0025】
車両が障害物(例えば、別の車両)と側面衝突し、具体的には、車両側壁50と車両幅方向において対向する車両側壁(車両用座席30が運転席である場合、助手席の車両幅方向外側に位置する車体部分)に障害物が衝突し、インフレータ10が作動すると、インフレータ10から発生したガスがエアバッグ20の内部に導入され、エアバッグ20は、その折り畳みが解かれながら膨張する。膨張したエアバッグ20から加わる力によってシートバック31の表皮が破られると、
図3及び
図4に示すように、エアバッグ20は、コンソールボックス60の上方、かつ、車両用座席30に着座した乗員40の側方で膨張展開し、乗員40の側部を保護する。このように膨張展開するエアバッグ20は、ファーサイドエアバッグとも呼ばれる。
【0026】
車両の側面衝突時、エアバッグ20は、胴体保護部21及び頭部保護部22を有するように膨張展開する。
【0027】
胴体保護部21は、乗員40の胴体41の側方で膨張展開する。
【0028】
頭部保護部22は、胴体保護部21の上方に設けられ、かつ、乗員40の肩部45の上部と乗員40の頭部43の側部との間に膨張展開する。
【0029】
頭部保護部22は、膨張展開時に胴体保護部21に対して鋭角に屈曲している。頭部保護部22が胴体保護部21に対して鋭角に屈曲しているとは、エアバッグ20を前方から見た状態で、胴体保護部21を構成する基布の接合ライン21a(例えば、縫製ライン)と頭部保護部22を構成する基布の接合ライン22a(例えば、縫製ライン)とのなす角度αが鋭角である、すなわち、α<90°であることを意味する。
図4では、接合ライン21a及び接合ライン22aが直線状ではなく曲線状であるが、接合ライン21a及び接合ライン22aが接触する箇所の近傍において、接合ライン21a及び接合ライン22aの実質的な延伸方向が鋭角をなしていればよい。また、
図4では、乗員40が車両用座席30に着座しているが、頭部保護部22が、乗員40がいない状態での膨張展開時(いわゆる、自然膨張展開時)に胴体保護部21に対して鋭角に屈曲していればよい。
【0030】
車両の側面衝突時、車両用座席30に着座した乗員40は、車両幅方向内側に移動する。そこで、エアバッグ20が膨張展開すると、胴体保護部21は、移動する乗員40の胴体41、すなわち、肩部45から下方側の部分を拘束する。この際、乗員40の胴体41が胴体保護部21に拘束された反動で、乗員40の頭部43がエアバッグ20側に回動する。ここで、頭部保護部22は胴体保護部21の上方から乗員40の頭部43の側部に向かって屈曲しているため、頭部保護部22は、回動する乗員40の頭部43の側部と直ちに接触し、頭部43を拘束できる。また、胴体保護部21が乗員40の胴体41を拘束することで車両幅方向内側に移動し、頭部保護部22が乗員40から離れようとする場合であっても、頭部保護部22は、胴体保護部21に対して鋭角に屈曲しているために乗員40の頭部43に近い位置を維持できる。したがって、サイドエアバッグ装置1によれば、乗員40の頭部43を拘束しつつ、乗員40の車両幅方向内側への移動を抑制できる。
【0031】
頭部保護部22は、膨張展開時に乗員40の肩部45と接触することが好ましい。頭部保護部22が乗員40の肩部45と接触することによって、頭部保護部22の車両幅方向内側への移動が抑制される。つまり、乗員40の頭部43の車両幅方向内側への移動が抑制されるため、頭部43が頭部保護部22によって拘束されやすくなる。
【0032】
エアバッグ20の詳細について、
図5及び
図6も参照しつつ以下に説明する。
図5は、実施形態1のサイドエアバッグ装置中のエアバッグを、膨張展開前に折り畳まれた状態から膨張させずに一旦展開した状態を示す平面模式図である。なお、
図5では、乗員40側から見た状態が示されており、インフレータ10のおおよその位置も示されている。
図6は、
図5中の線分A1-A2に対応する部分を示す断面模式図である。
【0033】
エアバッグ20は、胴体保護部21及び頭部保護部22が連続して設けられた単一の袋である。具体的には、
図5及び
図6に示すように、エアバッグ20は、基布24a及び基布24bで構成されている。基布24aと基布24bとは、外周が接合ライン21a及び接合ライン22aに沿って互いに接合されている。基布24aと基布24bとは、接合ライン23aに沿っても互いに接合されている。また、インフレータ10から発生した直後の高温状態のガスからエアバッグ20を保護するために、基布24cがインフレータ10の近傍に設けられており、基布24a及び基布24bと接合ライン21a、接合ライン23b等に沿って接合されている。
【0034】
基布24a、基布24b、及び、基布24cとしては、例えば、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート等の糸で織られた布が用いられる。基布24a、基布24b、及び、基布24cは、耐熱性の向上、気密性の向上等を図るために、シリコン等の無機物で表面が被覆されていてもよい。
【0035】
エアバッグ20は、複数枚の基布(
図5及び
図6では、基布24a及び基布24b)の外周を互いに接合することで袋状に形成されていてもよいし、1枚の基布を2つ折りにした状態で外周を接合することで袋状に形成されていてもよい。基布の接合方法としては、例えば、縫製、接着、溶着、それらの組み合わせ等が挙げられる。
【0036】
エアバッグ20には、膨張展開時に乗員40側の表面に位置するテザー70が取り付けられている。テザー70は、一端部が頭部保護部22の先端部に取り付けられ、他端部が胴体保護部21の中間部に取り付けられている。具体的には、
図5及び
図6に示すように、テザー70の一端部は、頭部保護部22の先端部(頭部保護部22を構成する基布24a及び基布24bの先端部)と接合ライン23c(接合ライン22aの一部を兼ねる)に沿って接合されている。また、テザー70の他端部は、胴体保護部21の中間部(胴体保護部21を構成する基布24a及び基布24bの中間部)と接合ライン23dに沿って接合されている。
【0037】
図6に示すように、一端部と他端部との間のテザー70の長さは、頭部保護部22の先端部と胴体保護部21の中間部との間のエアバッグ20の長さよりも短い。エアバッグ20及びテザー70の長さがこのような関係を満たすことによって、膨張展開時に、頭部保護部22がテザー70によって胴体保護部21側に引っ張られることになり、結果的に、頭部保護部22が胴体保護部21に対して鋭角に屈曲しやすくなる。また、テザー70は、胴体保護部21と頭部保護部22との間に取り付けられているため、
図4に示すように、膨張展開時に乗員40の腕部44及び肩部45の側方に位置することになる。これにより、エアバッグ20に向かって移動する乗員40の胴体41を胴体保護部21が拘束する際、乗員40の腕部44又は肩部45がテザー70を押すことになる。その結果、テザー70の一端部とテザー70の他端部との間の直線距離が短くなり、頭部保護部22が更に屈曲する。そのため、胴体保護部21が乗員40の胴体41を拘束することで車両幅方向内側に移動し、頭部保護部22が乗員40から離れようとする場合であっても、頭部保護部22は、乗員40の頭部43を拘束可能なように屈曲する。
【0038】
また、エアバッグ20の膨張展開時にテザー70が乗員40と接触し、テザー70の一端部とテザー70の他端部との間の直線距離が短くなることによって、頭部保護部22の胴体保護部21に対して更なる屈曲が引き起こされ、この更なる屈曲によって、頭部保護部22と胴体保護部21との間のガスの移動が阻害されることが好ましい。なお、「更なる屈曲」とは、テザー70が存在しないときの頭部保護部22の屈曲度合いと比較して、屈曲度合いが大きくなることを意味し、「阻害」とは、テザー70が存在しないときのガスの移動量と比較して、ガスの移動量が小さいことを意味し、好ましくは、ガスの移動が無いことを意味する。
図4に示すように、乗員40の腕部44又は肩部45がテザー70を押し、頭部保護部22の胴体保護部21に対する屈曲度合いが大きくなると、頭部保護部22と胴体保護部21の接続部分が狭まる傾向があり、該接続部分に設けられた、頭部保護部22の内部と胴体保護部21の内部とを連通するガス流通孔を塞ぐことが可能になる。胴体保護部21と頭部保護部22間のガスの移動を阻害すると、乗員40を受け止めた時にガスがもう一方の気室に逃げることを抑制できるので、乗員40を受け止めてエアバッグ20が押しつぶされたときに内圧が上昇し、それにより乗員への拘束力が上がる。
【0039】
テザー70は、
図6に示すように1枚の基布で構成されていてもよいし、複数枚の基布の積層体であってもよい。テザー70を構成する基布としては、例えば、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート等の糸で織られた布が用いられる。このような基布は、耐熱性の向上、気密性の向上等を図るために、シリコン等の無機物で表面が被覆されていてもよい。
【0040】
テザー70のエアバッグ20への取り付け形態は、
図6と異なっていてもよい。
図7は、テザーのエアバッグへの取り付け形態について、
図6とは別の形態を示す断面模式図である。
図7に示すような形態は、基布24aと基布24bとの間にテザー70の一端部を挟んだ状態で、基布24a及び基布24bの外周を互いに接合しつつ内外を反転させた後に、テザー70の他端部を取り付けることによって得られる。
【0041】
胴体保護部21は、膨張展開時に乗員40の腕部44を押し上げることが好ましい。胴体保護部21が乗員40の腕部44を押し上げることによって、腕部44は、胴体保護部21と頭部保護部22との間に位置することになる。そのため、頭部保護部22が乗員40の頭部43を拘束することで下方に回動しようとする場合であっても、胴体保護部21によって押し上げられた乗員40の腕部44が頭部保護部22を支持するため、頭部43が頭部保護部22によって拘束されやすくなる。
【0042】
[実施形態2]
本発明の実施形態2のサイドエアバッグ装置について、図面を参照して以下に説明する。実施形態2のサイドエアバッグ装置は、エアバッグの構成以外、実施形態1のサイドエアバッグ装置と同様であるため、重複する点については説明を適宜省略する。
【0043】
(膨張展開前)
エアバッグ20の膨張展開前の状態は、
図1及び
図2を参照して既に説明した通りである。
【0044】
(乗員拘束時)
図8は、実施形態2のサイドエアバッグ装置について、エアバッグによる乗員拘束時かつ側方から見た状態を示す模式図である。
図9は、実施形態2のサイドエアバッグ装置について、エアバッグによる乗員拘束時かつ前方から見た状態を示す模式図である。
【0045】
車両が障害物(例えば、別の車両)と側面衝突し、具体的には、車両側壁50と車両幅方向において対向する車両側壁(車両用座席30が運転席である場合、助手席の車両幅方向外側に位置する車体部分)に障害物が衝突し、インフレータ10が作動すると、インフレータ10から発生したガスがエアバッグ20の内部に導入され、エアバッグ20は、その折り畳みが解かれながら膨張する。膨張したエアバッグ20から加わる力によってシートバック31の表皮が破られると、
図8及び
図9に示すように、エアバッグ20は、コンソールボックス60の上方、かつ、車両用座席30に着座した乗員40の側方で膨張展開し、乗員40の側部を保護する。
【0046】
車両の側面衝突時、エアバッグ20は、胴体保護部21及び頭部保護部22を有するように膨張展開する。
【0047】
エアバッグ20の詳細について、
図10及び
図11も参照しつつ以下に説明する。
図10は、実施形態2のサイドエアバッグ装置中のエアバッグを、膨張展開前に折り畳まれた状態から膨張させずに一旦展開した状態を示す平面模式図である。なお、
図10では、乗員40側から見た状態が示されており、インフレータ10のおおよその位置も示されている。
図11は、
図10中の線分B1-B2に対応する部分を示す断面模式図である。
【0048】
図10及び
図11に示すように、エアバッグ20は、胴体保護部21を構成するメインバッグ25と、頭部保護部22を構成するサブバッグ26と、メインバッグ25及びサブバッグ26を連通するガス流通孔27と、を有している。
【0049】
メインバッグ25は、基布24d及び基布24eで構成されている。基布24dと基布24eとは、外周が接合ライン21aに沿って互いに接合されている。基布24dには、エアバッグ20においてガス流通孔27として機能する孔が設けられている。また、インフレータ10から発生した直後の高温状態のガスからメインバッグ25を保護するために、基布24cがインフレータ10の近傍に設けられており、基布24d及び基布24eと接合ライン21a、接合ライン23b等に沿って接合されている。
【0050】
基布24d及び基布24eとしては、例えば、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート等の糸で織られた布が用いられる。基布24d及び基布24eは、耐熱性の向上、気密性の向上等を図るために、シリコン等の無機物で表面が被覆されていてもよい。
【0051】
メインバッグ25は、複数枚の基布(
図10及び
図11では、基布24d及び基布24e)の外周を互いに接合することで袋状に形成されていてもよいし、1枚の基布を2つ折りにした状態で外周を接合することで袋状に形成されていてもよい。基布の接合方法としては、例えば、縫製、接着、溶着、それらの組み合わせ等が挙げられる。
【0052】
図12は、
図10中のサブバッグを構成する基布を示す平面模式図である。サブバッグ26は、
図12に示すような基布24fで構成されている。基布24fには、エアバッグ20においてガス流通孔27として機能する孔が設けられている。
【0053】
基布24fとしては、例えば、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート等の糸で織られた布が用いられる。基布24fは、耐熱性の向上、気密性の向上等を図るために、シリコン等の無機物で表面が被覆されていてもよい。
【0054】
基布24fの端部(孔が設けられている側の端部)、いわゆる基端部は、メインバッグ25の上端部(孔が設けられている側の端部)と、孔同士が互いに重なるように、接合ライン23e及び接合ライン23fに沿って接合されている。基布24fは、折り返し線28aに沿って2つ折りにされた状態で、外周が接合ライン22aに沿って接合されている。メインバッグ25を構成する基布24d及び基布24eと、2つ折りにされた基布24fとは、接合ライン23g(接合ライン21aの一部を兼ねる)に沿って互いに接合されている。以上により、サブバッグ26が構成されるとともに、メインバッグ25及びサブバッグ26を連通するガス流通孔27が設けられることになる。
【0055】
本実施形態では、エアバッグ20が上述したような構成を有しているため、車両が障害物と側面衝突し、インフレータ10が作動すると、まずは、インフレータ10から発生したガスがメインバッグ25の内部に導入され、メインバッグ25は、その折り畳みが解かれながら膨張する。そして、膨張したメインバッグ25及びサブバッグ26から加わる力によってシートバック31の表皮が破られると、
図8及び
図9に示すように、メインバッグ25は乗員40の胴体41の側方で膨張展開し、それと同時に、ガス流通孔27を通じて、メインバッグ25の内部からサブバッグ26の内部にガスが導入され、サブバッグ26は、その折り畳みが解かれながら膨張する。これにより、サブバッグ26は乗員40の肩部45の上部と乗員40の頭部43の側部との間に膨張展開する。
【0056】
図10及び
図11に示すように、サブバッグ26は、基端部がガス流通孔27を囲むようにメインバッグ25の上端部に固定されている。更に、サブバッグ26は、膨張展開前に折り畳まれた状態のエアバッグ20において、メインバッグ25の上端部からメインバッグ25の乗員40側の中間部に沿って重なっている。サブバッグ26がこのように構成されていることによって、サブバッグ26が、メインバッグ25の乗員40側かつ上方で、乗員40の頭部43に向かって膨張展開することになる。また、サブバッグ26は、膨張展開時にメインバッグ25に対して鋭角に屈曲する。
【0057】
本実施形態において、サブバッグ26の基端部(膨張展開時のサブバッグ26におけるメインバッグ25との境界部分)の一部は、メインバッグ25の外周に固定される接合ライン23gである。
図10に示すように、接合ライン23gは、メインバッグ25の外周に沿ってサブバッグ26の基端部を接合する部分に相当し、メインバッグ25を構成する基布24dと基布24eとを互いに接合する接合ライン21aの一部に相当する。サブバッグ26の基端部の一部が接合ライン23gであることにより、膨張したサブバッグ26のガス
流通孔27及び接合ライン23eよりも外周側とメインバッグ25の上端部側とが反発し合うことを防止できるため、サブバッグ26がメインバッグ25に対して安定して固定される。
【0058】
また、本実施形態において、サブバッグ26の基端部の別の一部は、ガス流通孔27の中間部側(下方)でメインバッグ25に固定される接合ライン23fである。膨張展開時のメインバッグ25とサブバッグ26との角度は、接合ライン23fの位置によって決定される。膨張展開前に折り畳まれた状態のエアバッグ20において、サブバッグ26が、メインバッグ25の上端部からメインバッグ25の乗員40側の中間部に沿って重なっている場合、接合ライン23fの位置が、メインバッグ25及びサブバッグ26の外周に近ければ近い(上方にある)ほど、膨張展開時のメインバッグ25とサブバッグ26の角度が鈍角となり、メインバッグ25の中間部に近ければ近い(下方にある)ほど、膨張展開時のメインバッグ25とサブバッグ26の角度が鋭角となる。よって、ガス流通孔27の中間部側に接合ライン23fを設けることで、膨張展開時のメインバッグ25に対するサブバッグ26の角度を鋭角に規制することができる。メインバッグ25及びサブバッグ26の外周の接合ライン23g(21a)から中間部側の接合ライン23fまでの長さは、メインバッグ25の車両前後方向の長さに対して半分以上であることが好ましい。
【0059】
サブバッグ26は、
図13に示すように、膨張展開前に折り畳まれた状態のエアバッグ20において、折り返し線28bに沿って、すなわち、車両前後方向に沿って乗員40側に折り返されていることが好ましい。
図13は、
図11中のサブバッグが車両前後方向に沿って乗員側に折り返された状態を示す断面模式図である。サブバッグ26が車両前後方向に沿って折り返されていることによって、サブバッグ26が下方に膨張展開することなく、乗員40の頭部43に向かって膨張展開しやすくなり、結果的に、頭部43がサブバッグ26によって拘束されやすくなる。
【0060】
サブバッグ26は、1枚の基布(
図10及び
図11では、基布24f)を2つ折りにした状態で外周を接合することで袋状に形成されていてもよいし、複数枚の基布の外周を互いに接合することで袋状に形成されていてもよい。基布の接合方法としては、例えば、縫製、接着、溶着、それらの組み合わせ等が挙げられる。
【0061】
ガス流通孔27は、1つのみ設けられていてもよいが、複数(
図10では、2つ)設けられていることが好ましい。ガス流通孔27が複数設けられていることによって、メインバッグ25からサブバッグ26へのガスの流出量が増えるため、サブバッグ26が乗員40の頭部43に向かってより早く膨張展開し、結果的に、頭部43がサブバッグ26によって拘束されやすくなる。
【0062】
ガス流通孔27は、
図10に示すような円形状であることが好ましい。
【0063】
実施形態1及び実施形態2において、サイドエアバッグ装置1の他の構成要素については、従来公知のサイドエアバッグ装置と同様の構成要素を適宜用いることができる。
【0064】
本発明は、実施形態1及び実施形態2に記載された内容に限定されるものではない。実施形態1及び実施形態2に記載された各構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜削除されてもよいし、追加されてもよいし、変更されてもよいし、組み合わされてもよい。
【0065】
実施形態1及び実施形態2では、膨張展開時にメインバッグに対して鋭角に屈曲するサブバッグを開示しているが、実施形態2の構成において、サブバッグ26を膨張展開時にメインバッグ25に対して鋭角に屈曲しないものにしても、乗員の頭部を拘束しつつ、乗員の車両幅方向内側への移動を抑制する一定の効果を得ることは可能である。すなわち、実施形態2において、サブバッグ26は、基端部がガス流通孔27を囲むようにメインバッグ25の上端部に固定されており、かつ、膨張展開前に折り畳まれた状態のエアバッグ20において、メインバッグ20の上端部からメインバッグ25の乗員側40の中間部に沿って重なっており、更に車両前後方向に沿って乗員40側に折り返されている構成を有している。このような構成を有すれば、サブバッグ26は、下方に膨張展開することなく、メインバッグ25の乗員40側かつ上方で、乗員40の頭部43に向かって膨張展開するので、メインバッグ25に対する角度に関わらず、上記効果を得ることが可能である。
【0066】
また、実施形態1及び実施形態2では、車両側壁50と車両幅方向において対向する車両側壁に障害物が衝突した際にインフレータ10が作動する場合を説明したが、車両側壁50に障害物が衝突した際にインフレータ10が作動する場合であってもよい。この場合、車両用座席30に着座した乗員40の車両幅方向外側で膨張展開するサイドエアバッグによって乗員40が拘束された後、その揺り戻し等によって乗員40が車両幅方向内側に移動する際に、エアバッグ20によって乗員40の頭部43を拘束しつつ、乗員40の車両幅方向内側への移動を抑制できる。
【符号の説明】
【0067】
1:サイドエアバッグ装置
10:インフレータ
20:エアバッグ
21:胴体保護部
21a:胴体保護部を構成する基布の接合ライン
22:頭部保護部
22a:頭部保護部を構成する基布の接合ライン
23a、23b、23c、23d、23e、23f、23g:接合ライン
24a、24b、24c、24d、24e、24f:基布
25:メインバッグ
26:サブバッグ
27:ガス流通孔
28a、28b:折り返し線
30:車両用座席
31:シートバック(背もたれ部)
40:乗員(国際統一側面衝突ダミー)
41:胴体
42:腰部
43:頭部
44:腕部
45:肩部
50:車両側壁
60:コンソールボックス
70:テザー
α:胴体保護部を構成する基布の接合ラインと頭部保護部を構成する基布の接合ラインとのなす角度