IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファン ドン ウォンの特許一覧 ▶ ファン ローガン ジェの特許一覧 ▶ ファン ジェ ベクの特許一覧 ▶ ハイコン カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】半導体素子テスト用BGAソケット装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/76 20060101AFI20221226BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20221226BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
H01R33/76 505B
G01R31/26 J
G01R1/073 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021531061
(86)(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 KR2018016658
(87)【国際公開番号】W WO2020116709
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0154687
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519408973
【氏名又は名称】ファン ドン ウォン
(73)【特許権者】
【識別番号】519409279
【氏名又は名称】ファン ローガン ジェ
(73)【特許権者】
【識別番号】515215025
【氏名又は名称】ファン ジェ ベク
(73)【特許権者】
【識別番号】519408984
【氏名又は名称】ハイコン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ドン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ローガン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジェ ベク
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-264047(JP,A)
【文献】国際公開第2009/084085(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/00-33/975
G01R 1/06-1/073
G01R 31/26-31/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して備えられる一対の固定側端子と可動側端子を含み、前記固定側端子と前記可動側端子の各上側尖端部はボール端子を中心として一定の間隔オフセット(d)されて備えられるコンタクトと;
前記コンタクトが垂直に備えられて固定されるメインボディ部と;
前記メインボディ部の上部に弾性支持され、前記メインボディ部に対して一定の高さの範囲内で上下移動可能に備えられるカバーと;
前記メインボディ部と前記カバーとの間に備えられ、前記カバーの上下位置と連動して左右スライドが行われて前記可動側端子を水平方向に開閉操作し、前記固定側端子が貫通位置する固定側端子収容孔と前記可動側端子が貫通位置する可動側端子収容孔が設けられ、前記固定側端子収容孔と前記可動側端子収容孔は前記コンタクトの上側尖端部間のオフセット(d)だけオフセット(d)され、前記固定側端子収容孔は前記可動側端子収容孔よりも長さがさらに長いスライダーと;を含む、半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項2】
前記スライダーをスライド方向に弾性支持するスライドスプリングをさらに含む、請求項1に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項3】
前記カバーは、垂直方向に延長され、前記メインボディ部の上下高さに応じて、前記スライダーに備えられた開放カム接触部及び閉鎖カム接触部とのそれぞれの接触が行われて前記スライダーを水平方向に前進及び後進操作する開放カムと閉鎖カムを含む、請求項1または2に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項4】
前記開放カムは、前記カバーの四角形の四辺のうちのいずれか一辺に備えられ、前記閉鎖カムは、前記開放カムに対して直角方向の二辺のうちのいずれか一辺に備えられることを特徴とする、請求項3に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項5】
前記開放カムは、前記スライダーのスライド方向に備えられることを特徴とする、請求項4に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項6】
前記スライダーの上面に備えられ、ICのボール端子の定着位置を案内するボール端子ガイドをさらに含む、請求項1に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項7】
前記ボール端子ガイドは、ボール端子の定着中心から等距離上に突出するように配置される複数のブロックであることを特徴とする、請求項6に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項8】
前記スライダーは、複数のコンタクトと対応して前記可動側端子収容孔が複数設けられ、互いに隣接する可動側端子収容孔同士の間で前記可動側端子を開放方向に加圧する開放用加圧端、及び前記可動側端子を閉方向に加圧する閉鎖用加圧端が備えられる開閉用可動子が備えられることを特徴とする、請求項1に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項9】
前記スライダーは、互いに隣接する固定側端子収容孔同士の間に備えられ、前記固定側端子の内側面を支持して固定側上側尖端部と可動側上側尖端部との間の最小距離を維持する距離維持可動子をさらに含む、請求項8に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項10】
前記固定側上側尖端部と前記可動側上側尖端部との間の最小間隔(w1)は、ボール端子の直径よりは小さいことを特徴とする、請求項9に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項11】
前記メインボディ部の下端に備えられ、前記コンタクトを固定するストッパーボディ部をさらに含む、請求項1に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項12】
前記スライダーに回動自在に備えられ、前記カバーの上下位置に応じてICの上部を加圧固定するICホルダーをさらに含む、請求項1に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項13】
前記スライダーの上部にICのローディングガイドのための傾斜面が備えられ、ICの定着位置を案内するICガイドをさらに含む、請求項1に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【請求項14】
前記メインボディ部の下部に上下遊動可能に備えられ、前記コンタクトのリードが貫通挿入されるリードガイドをさらに含む、請求項1に記載の半導体素子テスト用BGAソケット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子のテストに使用するデュアルピンチタイプ(dual pinch type)のBGAソケット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体素子(IC、Integrated Circuit)(以下、「IC」という。)用ソケットは、テストボード(Test Board)またはバーンインボード(Burn-in Board)に備えられ、ボードに形成されているI/O端子(入出力端子)を介してICの駆動に必要な所定電圧の電源と電気的信号を入出力することができるようにするバーンインチャンバー(Burn-in Chamber)またはその周辺装置とICの特性を測定するための別途のテスト装置とが相互接続されることにより、ICをテストするためのシステムに利用される。
【0003】
一般に広く用いられているICのうち、BGA(Ball Grid Array)型ICは、ICの底面全体にICの端子、すなわちボール(Ball)を配列してICのサイズ及び厚さを革新的に減らしたものである。図1の(a)(b)は、BGA型ICの平面図及び側面図であって、IC10の底面に複数のボール端子11が備えられる。
【0004】
図2は従来技術のピンチ(pinch)タイプのコンタクト(contact)を備えたBGAソケット装置の平面図であり、図3図2のA-A線に沿った断面構成図であり、図4図3の一部拡大図である。
【0005】
図2乃至図4を参照すると、従来技術のBGAソケット装置は、BGA型ICのボール端子2に接触する固定側端子20と可動側端子21を含むコンタクト16と;コンタクト16のボディを収容するボディ17と;ボディ17の下端に備えられ、コンタクト16を固定するストッパー18と;コンタクト16のリードの位置をガイドするリードガイド19と;ボディ17の上部に弾性支持され、ボディ17に対して一定のストローク範囲内で上下移動可能に備えられるカバー11と;ボディ17の上部に備えられ、カバー11の上下運動と連動して左右移動が行われて可動側端子21を開閉操作するスライダー15と;スライダー15に回動自在に組み立てられ、カバー11の上下運動に応じてICの上部を加圧固定する複数のICホルダー14と;スライダー15に備えられ、ICホルダー14を弾性支持するホルダースプリング13と;を含む。
【0006】
コンタクト16は、IC1の左右対称的に設けられた固定側端子20と可動側端子21が備えられてボール端子2との接触が行われ、固定側端子20と可動側端子21の下端は、ボディ24に固定され、ボディ24から延長されたリード25が備えられる。リード25は、PCB(図示せず)と半田付けによって固定される。
【0007】
カバー11は、ボディ17の上部にスプリング9によって弾性支持され、一定距離の範囲内で上下移動が可能であり、上下位置に応じてスライダー15を左右操作するためのスライドカムが備えられる。
【0008】
スライダー15には、ボディ17に垂直に固定されるコンタクト16の二つの端子20、21が貫通位置する端子ホール23が形成される。このとき、端子ホール23には、固定側端子20と可動側端子21との間を区画する可動子22が設けられる。
【0009】
図4を参照すると、カバーを下方に押すと、カバーのスライドカムによって、スライダー15は右側に移動する。この時、可動子22が一緒に移動しながら可動側端子21を外方に拡開させ、固定側端子20と可動側端子21との間にICのボール端子が位置することができる。一方、スライダー15の初期位置に可動子22を挟んで分離された固定側端子20と可動側端子21との間の距離は、ボール端子のサイズよりも小さく設計される。図3の図面符号12は、IC1のローディング時に位置をガイドするICガイドである。
【0010】
図5の(a)(b)(c)は従来技術のソケット装置の概略的な作動例を示す図である。
【0011】
図5の(a)は初期状態を示しており、カバー11はボディ17に弾性支持されて一定の高さに位置し、コンタクトの固定側端子20と可動側端子21は可動子22に密着することにより、両端子20、21同士の間は一定の間隔L1を維持する。
【0012】
次に、図5の(b)に示されているように、カバー11を押して下方に移動すると、スライダーと共に、可動子22は、図の右側に移動して可動側端子21が外方に拡開し、ソケット装置にIC1がローディングされる。このとき、両端子20、21同士の間の距離L2は、ボール端子2の直径よりは広い間隔を有する。
【0013】
最後に、図5の(c)に示されているように、カバー11が再び原位置に復帰すると、スライダーと共に、可動子22は初期位置に復帰し、可動側端子21も再び原位置に復帰することにより、固定側端子20と可動側端子21はボール端子2を固定する。
【0014】
このように、従来技術のBGAソケット装置は、次の問題点を持つ。
【0015】
ピンチタイプのコンタクトにおけるボール端子との接触または接触解除は、可動側端子の水平操作によって行われる。この時、可動側端子は、反復的な弾性変形が行われ、繰り返し使用による耐久性の低下によりボール端子との接触力が低下する。特に、従来技術のBGAソケット装置は、可動側端子の復帰過程(図5の(c)参照)で、スライダーの初期位置復帰は可動側端子の弾性復元力によって操作力が発生する構造である。よって、可動側端子の使用回数が増加するほど可動側端子の疲労(stress)による復帰弾性力の漸進的な低下によりボール端子との接触力が弱くなる。これは、ICのテストに対する信頼性の低下につながる。
【0016】
通常、ピンチタイプのBGAソケット装置は、寿命回数が約2万カバーサイクル(Cover Cycle)程度要求される。よって、ピンチタイプのコンタクトにおける繰り返し使用時に端子の耐久性を改善して弾性復帰力の低下を改善することは、BGAソケット装置のテスト信頼度を決定するのに非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】韓国登録実用新案公報第20-0229127号(公告日:2001年7月19日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、このような従来の半導体素子テスト用BGAソケット装置を改善しようとするもので、ピンチタイプのコンタクトにおいてICのボール端子との接触が行われる端子の弾性復帰力の低下によるコンタクトの劣化(degrading)を改善することができるBGAソケット装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る半導体素子テスト用BGAソケット装置は、互いに対向して備えられる一対の固定側端子と可動側端子を含み、前記固定側端子と前記可動側端子の各上側尖端部は、ボール端子を中心として一定の間隔オフセット(d)されて備えられるコンタクトと;前記コンタクトが垂直に備えられて固定されるメインボディ部と;前記メインボディ部の上部に弾性支持され、前記メインボディ部に対して一定の高さの範囲内で上下移動可能に備えられるカバーと;前記メインボディ部と前記カバーとの間に備えられ、前記カバーの上下位置と連動して左右スライドが行われて前記可動側端子を水平方向に開閉操作し、前記固定側端子が貫通位置する固定側端子収容孔と前記可動側端子が貫通位置する可動側端子収容孔が設けられ、前記固定側端子収容孔と前記可動側端子収容孔は前記コンタクトの上側尖端部間のオフセット(d)だけオフセット(d)され、前記固定側端子収容孔は前記可動側端子収容孔よりも長さがさらに長いスライダーと;を含む。
【0020】
次に、本発明のBGAソケット装置用コンタクトは、互いに対向して並んで備えられる一対の固定側端子及び可動側端子と;前記固定側端子と前記可動側端子の下端が一体に固定されるコンタクトボディと;前記コンタクトボディから下方に延長されるリードと;を含み、前記固定側端子と前記可動側端子の各上側尖端部は、ボール端子の中心に対して一定の間隔オフセットされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の半導体素子テスト用BGAソケット装置は、二つの端子の尖端部が一定の間隔オフセットされるように設けられるデュアルピンチタイプのコンタクトと、カバーの垂直方向の運動と連動して水平方向の前後スライドが行われてコンタクトの開閉操作力が発生するスライダーとを含むことにより、従来のようにスライダーの復帰動作がコンタクト自体の弾性力のみに依存せず、カバーの上下位置に応じて直接スライダーの前後スライドに必要な操作力が発生してコンタクトの劣化現象を改善し、テスト信頼性とソケット装置及びコンタクトの寿命を延長させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1の(a)(b)はBGA型ICの平面図及び側面図である。
図2】従来技術のソケット装置の平面図である。
図3図2のA-A線に沿った断面構成図である。
図4図3の一部拡大図である。
図5図5の(a)(b)(c)は従来技術のソケット装置の概略的な作動例を示す図である。
図6】本発明の実施例に係るBGAソケット装置の平面構成図である。
図7図6のB-B線に沿った断面構成図である。
図8図6のC-C線に沿った断面構成図である。
図9図9の(a)(b)はそれぞれ本発明の実施例に係るコンタクトの正面及び側面構成図である。
図10】本発明の実施例に係るメインボディ部の平面構成図である。
図11図10のD-D線に沿った断面構成図である。
図12図10のE-E線に沿った断面構成図である。
図13】本発明の実施例に係るストッパーボディ部の平面構成図である。
図14図14の(a)(b)はそれぞれ図13のF-F線とG-G線に沿った断面構成図である。
図15】本発明の実施例に係るカバーの平面構成図である。
図16図15のH-H線に沿った断面構成図である。
図17図15のI-I線に沿った断面構成図である。
図18】本発明の実施例に係るスライダーの平面構成図である。
図19図19の(a)(b)(c)はそれぞれ図18のJ-J線、K-K線及びL-L線に沿った断面構成図である。
図20図20の(a)(b)はそれぞれ図18のM-M線に沿った断面構成図及び右側面構成図である。
図21図21の(a)(b)はそれぞれ図18のN-N線とO-O線に沿った断面構成図である。
図22】本発明の実施例に係るBGAソケット装置におけるICのボール端子とコンタクトとの接触過程を簡略に示す図である。
図23】本発明の実施例に係るBGAソケット装置におけるICのボール端子とコンタクトとの接触過程を簡略に示す図である。
図24】本発明の実施例に係るBGAソケット装置におけるICのボール端子とコンタクトとの接触過程を簡略に示す図である。
図25】本発明の他の実施例に係るBGAソケット装置の平面構成図である。
図26図25のP-P線に沿った断面構成図である。
図27図25のQ-Q線に沿った断面構成図である。
図28】(a)(b)はそれぞれ本発明の他の実施例に係るコンタクトの正面及び側面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、本明細書及び請求の範囲で使用される用語や単語は、通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【0024】
したがって、本明細書に記載された実施例と図面に示された構成は、本発明の最も好適な一つの実施例に過ぎないもので、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替することができる様々な均等物と変形例があり得ることを理解すべきである。
【0025】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面によって詳細に説明する。
【0026】
図6は本発明の実施例に係るBGAソケット装置の平面構成図であり、図7図6のB-B線に沿った断面構成図であり、図8図6のC-C線に沿った断面構成図である。
【0027】
図6乃至図8を参照すると、本実施例に係るBGAソケット装置200は、一対の固定側端子と可動側端子を含むコンタクト100と、複数のコンタクト100が垂直に備えられるメインボディ部210と、メインボディ部210の下端に備えられ、コンタクト110を固定するストッパーボディ部220と、メインボディ部210の上部に弾性支持され、メインボディ部210に対して一定の高さの範囲内で上下移動可能に備えられるカバー230と、メインボディ部210とカバー230との間に備えられ、カバー230の上下位置と連動して左右スライドが行われて可動側端子120を開閉操作するスライダー240とを含む。
【0028】
メインボディ部210とカバー230との間には複数のカバースプリング251が設けられ、カバー230は、カバースプリング251によって弾性支持され、メインボディ部210の上部に一定の高さS内で上下移動可能に組み立てられる。
【0029】
メインボディ部210のスライダー240の間には、水平方向に複数のスライドスプリング252が設けられ、スライドスプリング252は、スライダー240を水平方向に加圧して、スライダー240の水平操作に必要な操作力を提供する。ちなみに、図6のBGAソケット装置において、スライドスプリング252はスライダー240を右方向に加圧する。
【0030】
図9の(a)(b)はそれぞれ本発明の実施例に係るコンタクトの正面及び側面構成図である。
【0031】
図9を参照すると、本実施例のコンタクト100は、ICのボール端子2を挟んで互いに対向して配置される一対の固定側端子110と可動側端子120を含むデュアルピンチタイプ(dual pinch type)のコンタクトであって、固定側端子110と可動側端子120の下端が一体に固定されるコンタクトボディ130と、コンタクトボディ130から下方に延長されるリード140とを含む。リード140は、PCB(図示せず)の貫通孔に組み立てられて半田付けによって固定される。
【0032】
固定側端子110は、ピン111と、このピン111の上端に設けられ、ボール端子との直接接触が行われる上側尖端部112とを含む。同様に、可動側端子120は、ピン121と、このピン121の上端に設けられる上側尖端部122とを含む。
【0033】
固定側ピン111の中間には、外方に突出する支持突起111aが設けられることができる。この支持突起111aは、メインボディ部の収納孔内に位置するときに側壁に支持され、固定側端子110を水平方向に支持する役割を果たす。
【0034】
好ましくは、固定側上側尖端部112と可動側上側尖端部122は、ボール端子2の中心に対して一定の間隔dだけオフセット(offset)される。したがって、本発明におけるデュアルピンチタイプのコンタクトは、ボール端子との接触時に二つの上側尖端部112、122がボール端子2に対して互いに一定の間隔dがオフセットされて接触が行われる。
【0035】
図10は本発明の実施例に係るメインボディ部の平面構成図であり、図11図10のD-D線に沿った断面構成図であり、図12図10のE-E線に沿った断面構成図である。
【0036】
図10乃至図12を参照すると、メインボディ部210は、一定のパターンに応じて複数の第1収容孔211が垂直に貫通形成され、各第1収容孔211にコンタクトが垂直に収納される。各第1収容孔211の上側開口端には、固定側ピン111と可動側ピン121との間に固定子212が備えられ、固定側ピン111と可動側ピン121は、メインボディ部210内で水平方向に固定される。
【0037】
メインボディ部210は、左右対称となるように側壁に一対のストッパー突起213が設けられ、ストッパー突起213は、メインボディ部210の一定の高さに突設され、カバーのガイド突起と係合されてカバーの上下可動範囲を制限する。
【0038】
メインボディ部210の下部にはガイドピン214が突設され、このガイドピン214は、PCBとの組立過程でPCBとの組立位置を案内する。このようなガイドピン214は一つまたは複数であり得る。
【0039】
メインボディ部210は、内側側壁の一部に第1固定突起215が突設され、この第1固定突起215は、ストッパーボディ部220との嵌合のための組立部材として使用される。
【0040】
図面符号216は、メインボディ部210を垂直に貫通してスライダーを組み立てるためのスライダー組立孔である。
【0041】
図13は本発明の実施例に係るストッパーボディ部の平面構成図であり、図14の(a)(b)はそれぞれ図13のF-F線とG-G線の断面構成図である。
【0042】
図13及び図14を参照すると、ストッパーボディ部220は、一定のパターンに応じて複数の第2収容孔221が垂直に貫通形成され、各第2収容孔221にコンタクトが垂直に固定される。第2収容孔221は、メインボディ部の第1収容孔と略同じ位置に設けられ、コンタクト100が垂直に位置する。
【0043】
好ましくは、第2収容孔221は、下部に下がるほど内径が狭くなる構造であり、内側側壁に一定の傾斜を有する支持傾斜面221aが形成され、この傾斜面221aによってコンタクトボディ130が支持されることにより、リード140は、第2収容孔221の下方に突出して位置する。
【0044】
ストッパーボディ部220は、鉛直に延長される多数の固定アーム222が設けられ、この固定アーム222の上側先端には第2固定突起222aが設けられ、この第2固定突起222aはメインボディ部210の第1固定突起215(図12参照)に嵌合されることにより、ストッパーボディ部220はメインボディ部210の下端に嵌合される。
【0045】
メインボディ部210と共に、ストッパーボディ部220は、コンタクトを固定するためのものであって、コンタクト100をストッパーボディ部220の第2収容孔221に仮組立した後、これをメインボディ部210に組み立てる。一方、他の変形例としては、メインボディ部の収容孔に直接コンタクトを圧入して組み立てることにより、別途のストッパーボディ部なしにメインボディ部のみでコンタクトの固定が行われることができる。
【0046】
図15は本発明の実施例に係るカバーの平面構成図であり、図16図15のH-H線に沿った断面構成図であり、図17図15のI-I線に沿った断面構成図である。
【0047】
図15乃至図17を参照すると、カバー230は、メインボディ部に組み立てられてスライダーが露出するように略四角の開口部230aが形成され、各コーナーにカバースプリング収納溝230aが形成され、各カバースプリング収納溝230aにカバースプリングが挿入されてメインボディ部に弾性的に組み立てられる。
【0048】
カバー230は下端に延長された一対のガイドアーム231が設けられ、各ガイドアーム231の下側先端にはガイド突起231aが突設され、このガイド突起231aはメインボディ部210のストッパー突起213(図11参照)に嵌合されることにより、カバー230はメインボディ部210の上部で一定の高さの範囲内で上下移動が可能である。
【0049】
カバー230は、垂直方向に延長され、スライダーを水平方向にスライド操作する開放カム232と閉鎖カム233が備えられる。
【0050】
好ましくは、カバー230の4辺(side)のうちのいずれか一辺(side)に開放カム232が備えられ、開放カム232に対して直角方向の二辺(side)のうちのいずれか一辺に閉鎖カム233が備えられる。本実施例において、閉鎖カム233は、開放カム232に対して直角方向の二辺(side)に備えられることにより、スライダーのスライド方向に均一な水平操作力が伝達され得る。より好ましくは、開放カム232は、カバー230の4辺(side)のうち、スライダーの可動方向(図6における左右方向)に位置する辺(side)に配置される。
【0051】
開放カム232と閉鎖カム233は、それぞれ一定の水平長さt1、t2の範囲内で一定の傾斜面を有し、傾斜面は、カバー230の垂直運動過程でスライダーと接触してスライダーを水平駆動する役割を果たす。これは、関連図面で再び詳細に説明する。
【0052】
図18は本発明の実施例に係るスライダーの平面構成図であり、図19の(a)(b)(c)はそれぞれ図18のJ-J線、K-K線及びL-L線に沿った断面構成図であり、図20の(a)(b)はそれぞれ図18のM-M線に沿った断面構成図及び右側面構成図であり、図21の(a)(b)はそれぞれ図18のN-N線とO-O線に沿った断面構成図である。
【0053】
図18乃至図21を参照すると、スライダー240は、前述したカバーの開放カム及び閉鎖カムと対応して開放カム接触部241と閉鎖カム接触部242が設けられ、各接触部241、242は、スライダー240の各辺から一体に突出して一定の曲面を有し、開放カム及び閉鎖カムの傾斜面と接触してカバーの上下運動によってスライダー240の水平操作が行われる。
【0054】
図面符号243は、メインボディ部組立フックであり、メインボディ部のスライダー組立孔216(図10参照)に嵌合されてスライダー240のスライド方向への水平移動を案内する役割を果たす。図面符号244は、スライドスプリング252(図6参照)が固定されるスライドスプリング組立ガイドである。
【0055】
スライダー240は、各コンタクトの固定側ピンと可動側ピンがそれぞれ貫通位置する固定側端子収容孔245と可動側端子収容孔246が形成され、好ましくは、固定側端子収容孔245と可動側端子収容孔246は、一定の間隔dだけオフセット(offset)され、固定側端子収容孔245の長さL1は、可動側端子収容孔246の長さL2よりは長い(L1>L2)。
【0056】
スライダー240の上面には、ICのローディング過程でボール端子2の定着位置を案内するボール端子ガイド247が設けられ、本実施例において、ボール端子ガイド247は、ボール端子2の定着中心から等距離上に配置される複数のブロックによって提供されることを例示しているが、これに限定されるものではない。
【0057】
スライダー240は、各コンタクトの固定側ピンと可動側ピンがそれぞれ貫通位置する固定側端子収容孔245と可動側端子収容孔246が形成され、好ましくは、固定側端子収容孔245と可動側端子収容孔246は、一定の間隔dだけオフセット(offset)され、固定側端子収容孔245の長さL1は、可動側端子収容孔246の長さL2よりは長い(L1>L2)。
【0058】
好ましくは、互いに隣接する可動側端子収容孔246の間に、逆三角形に突出した開閉用可動子249が設けられ、開閉用可動子249は、逆三角の形状を有し、左側端と右側端は、それぞれ互いに隣接する二つの可動側ピン121によって開放用加圧端249aと閉鎖用加圧端249bとして機能する。
【0059】
また、互いに隣接する固定側端子収容孔245同士の間に、逆三角形に突出した距離維持可動子248が設けられ、距離維持可動子248は、固定側ピン111の内側面を支持して固定側上側尖端部112と可動側上側尖端部122との間の最小間隔を維持する役割を果たす。
【0060】
図22乃至図24は本発明の実施例に係るBGAソケット装置におけるICのボール端子とコンタクトとの接触過程を簡略に示す図である。
【0061】
図22はBGAソケット装置の初期状態を示しており、カバー230は、カバースプリング251によって弾性支持され、メインボディ部210の上端の一定の高さに位置し、スライダー240は、スライドスプリング252によって弾性支持され、図22の右方向に加圧された状態である。
【0062】
一方、コンタクトは、コンタクトボディがメインボディ部210に固定された状態で、固定側ピン111が距離維持可動子248と接して支持され、可動側ピン121は開閉用可動子249の閉鎖用加圧端249bと接して支持される。この時、固定側上側尖端部112と可動側上側尖端部122との間の初期間隔w1は、ボール端子の直径よりは小さい。
【0063】
次に、図23に示されているように、カバー230を押して一定の距離Sだけ移動する場合、カバー230の開放カム232によってスライダー240が一定の変位左方向に水平移動する。
【0064】
スライダー240の水平方向の移動によって、開閉用可動子249も水平移動しながら可動側ピン121を押す。この時、開閉用可動子249の開放用加圧端249aが可動側ピン121を押して、二つの上側尖端部112、122間の間隔w2はボール端子2の直径以上になる。その後、ICがソケット装置にローディング(loading)され、二つの上側尖端部112、122の間にボール端子2が位置する。
【0065】
図24を参照すると、カバー230を押していた外力が除去されると、カバースプリング251の弾性復元力によってカバー230が原位置に復帰しながら、閉鎖カム233と共に、スライドスプリング252の弾性復元力によってスライダー240も再び原位置に復帰する。
【0066】
一方、スライダー240の復帰過程で、可動側ピン121は開閉用可動子249の閉鎖用加圧端249bによって加圧された状態でボール端子2と接触し、二つの上側尖端部112、122の間の初期間隔w1はボール端子2の直径よりは小さく設計された状態(図22参照)であるので、固定側上側尖端部112は、初期状態に対する距離差bだけの変位によって接触力をもってボール端子2と接触する。
【0067】
図25乃至図27は本発明の他の実施例に係るBGAソケット装置を示す図であり、図25は平面構成図であり、図26図25のP-P線に沿った断面構成図であり、図27図25のQ-Q線に沿った断面構成図である。本実施例において、カバーと連動してスライダーのスライド動作によるコンタクトとボール端子との接触が行われるのは同一である。よって、前述した実施例と重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0068】
本実施例のBGAソケット装置は、スライダー2400に回動自在に組み立てられ、カバー2300の上下位置に応じてIC1の上部を加圧固定するICホルダー310をさらに含む。
【0069】
ICホルダー310は、スライダー2400に回動自在に組み立てられるヒンジ軸311と、ヒンジ軸311を回転軸としてIC1の上部を加圧するように設けられる加圧レバー312と、ヒンジ軸311に対して偏心してカバー2300の上下ストロークの範囲内に備えられるブラケット313と、スライダー2400に備えられ、ブラケット313を弾性支持するホルダースプリング314とを含む。
【0070】
カバー2300の下端には、ブラケット313を加圧する加圧突起2310が設けられる。カバー2300が下がると、加圧突起2310がブラケット313を押圧することにより加圧レバー312が開放され、IC1のローディングまたはアンローディングが行われる。本実施例において、ICホルダー310は、スライダー2400のスライド方向に対して直角に対称的に一対が備えられ、IC1を加圧するように設けられることを示している。
【0071】
本実施例のBGAソケット装置は、スライダー2400の上部に、IC1のガイドのための傾斜面321が備えられたICガイド320をさらに含む。ICガイド320は、下端縁がメインボディ部2100に支持されてスライダー2400の上部に備えられ、IC1が傾斜面321に沿って投入されてIC1が定位置に定着されるようにする。
【0072】
本実施例のBGAソケット装置は、ストッパーボディ部2200の下部に備えられ、コンタクトのリード140が貫通挿入されるリードガイド330をさらに含む。
【0073】
リードガイド330は、両端にフック331が設けられ、メインボディ部2100に上下遊動可能に組み立てられる。このようなリードガイド330は、ソケット装置をPCBに組み立てる過程でコンタクトのリード140がPCBのスルーホール(through hole)内に正確に挿入されるようにリード140を案内する。
【0074】
図28の(a)(b)はそれぞれ本発明の他の実施例に係るコンタクトの正面及び側面構成図である。
【0075】
図28を参照すると、本実施例のコンタクト400は、一対の固定側端子410と可動側端子420を含むデュアルピンチタイプのコンタクトであって、固定側端子410と可動側端子420の下端が一体に固定されるコンタクトボディ430と、コンタクトボディ430から下方に延長されるリード440とを含む。
【0076】
固定側端子410は、固定側ピン411と、この固定側ピン411の上端に設けられ、ボール端子2との直接接触が行われる固定側上側尖端部412とを含み、これと対応して、可動側端子420も、可動側ピン421と、可動側ピン421の上端に設けられる可動側上側尖端部422とを含む。
【0077】
固定側上側尖端部412と可動側上側尖端部422は、ボール端子2の中心に対して一定の間隔dだけオフセット(offset)される。
【0078】
特に、本実施例において、リード440は、一部の曲線区間を有し、曲線区間を有するリード440は、上下方向に所定の弾性力を有し、PCBの接触パッドとの接触時に圧縮されながら接触が行われて接触力を大きくすることができる。
【0079】
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施例と図面によって説明されたが、本発明は、これによって限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と下記の請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0080】
100、400 コンタクト
110 固定側端子
111 固定側ピン
112 固定側上側尖端部
120 可動側端子
121 可動側ピン
122 可動側上側尖端部
130 コンタクトボディ
140 リード
200 BGAソケット装置
210、2100 メインボディ部
211 第1収容孔
212 固定子
213 ストッパー突起
214 ガイドピン
215 第1固定突起
216 スライダー組立孔
220、2200 ストッパーボディ部
221 第2収容孔
222 固定アーム
222a 第2固定突起
230、2300 カバー
231 ガイドレバー
231a ガイド突起
232 開放カム
233 閉鎖カム
240、2400 スライダー
241 開放カム接触部
242 閉鎖カム接触部
243 メインボディ部組立フック
244 スライドスプリング組立ガイド
245 固定側端子収容孔
246 可動側端子収容孔
247 ボール端子ガイド
248 距離維持可動子
249 開閉用可動子
249a 開放用加圧端
249b 閉鎖用加圧端
251 カバースプリング
252 スライドスプリング
310 ICホルダー
311 ヒンジ軸
312 加圧レバー
313 ブラケット
314 ホルダースプリング
320 ICガイド
330 リーダーガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28