(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】レンジ曖昧性を軽減するための複数の検出器を備えるライダー受光器
(51)【国際特許分類】
G01S 17/08 20060101AFI20221226BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
G01S17/08
G01S7/481 A
(21)【出願番号】P 2021532093
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 US2019064428
(87)【国際公開番号】W WO2020117912
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-08-06
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521026699
【氏名又は名称】ルミナー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガアレマ,スティーブン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ドラマー,マーク エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ミールケ,スティーブン エル.
(72)【発明者】
【氏名】アイヒェンホルツ,ジェイソン エム.
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0084651(US,A1)
【文献】特表2018-533026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0284240(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0257186(US,A1)
【文献】特開2000-266851(JP,A)
【文献】特開2003-084074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S17/00-17/95
G01C 3/06- 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライダーシステムであって、
ライダーシステムの動眼視野内に向けて複数の光信号を出射するように構成された光源であって、前記光信号は、第1の光信号および第2の光信号を含み、前記第2の光信号は、前記第1の光信号が出射された後、特定の時間間隔で出射される光源と、
出射された第1または第2の光信号のうち、前記ライダーシステムから離れた位置にあるターゲットによって散乱された部分を含む受信光信号を検出するように構成された受光器であって、前記受信光信号は、第2の光信号が出射された後に検出される受光器と、を含み、前記受光器は、
1つの前記受信光信号の第1の部分を検出するように構成された第1の検出器と、
当該1つの前記受信光信号の第2の部分を検出するように構成された第2の検出器と、
プロセッサであって、
受光器から、
前記受信光信号の第1および第2の部分に対応する電気信号を受信し、
受信した電気信号に少なくとも部分的に基づいて、
前記受信光信号が
、出射された第2の光信号と関連しているかどうかを判定する、ように構成されたプロセッサと、を含
んでおり、
前記ライダーシステムは、スキャナをさらに含み、該スキャナは、
複数の光信号からなる出力ビームを、ライダーシステムの動眼視野にわたって走査方向に走査し、
前記受光器の視野を、ライダーシステムの動眼視野にわたって走査方向に走査し、
前記第1の検出器と前記第2の検出器は、前記受光器の視野の走査方向に対応するラインに沿って配置されている、ライダーシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記受信光信号が出射された第1の光信号に関連するか否かを判定するようにさらに構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項3】
出射された第1の光信号に関連する前記受信光信号は、ターゲットまでの距離がライダーシステムの動作レンジよりも大きいレンジ曖昧性事象に対応する、ことを特徴とする請求項2に記載のライダーシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記受信光信号が出射された第1の光信号と関連していると判定することに応答して、受信した電気信号を無視するようにさらに構成される、ことを特徴とする請求項2に記載のライダーシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記受信光信号が出射された第1の光信号と関連すると判定することに応答して、
第1の光信号と第2の光信号の間の特定の時間間隔に関連付けられた第1の距離と、
第2の光信号が出射されてから前記受信光信号が前記受光器で検出されるまでの時間間隔に関連付けられた第2の距離と、に少なくとも部分的に基づいて、
ライダーシステムからターゲットまでの距離を判定するようにさらに構成される、ことを特徴とする請求項2に記載のライダーシステム
。
【請求項6】
出射された第2の光信号に関連付けられている前記受信光信号は、前記ターゲットまでの距離がライダーシステムの動作レンジ未満であることに対応している、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記受信光信号が出射された第2の光信号に関連すると判定することに応答して、第2の光信号の出射と前記受信光信号が受光器によって検出される時間との間の時間間隔に少なくとも部分的に基づいて、ライダーシステムからターゲットまでの距離を決定するようにさらに構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項8】
前記受信光信号が出射された第2の光信号に関連しているかどうかを判定することは、前記受信光信号の第1の部分の光学特性OC
1と、前記受信光信号の第2の部分の対応する光学特性OC
2とを比較するために、受信した電気信号を分析することを含み、光学特性OC
1およびOC
2のそれぞれは、ピーク光パワー、平均光パワー、ピーク光強度、または光パルスエネルギーに対応している、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、OC
1がOC
2よりも大きい場合に、前記受信光信号が出射された第2の光信号に関連している判定するように構成されている、ことを特徴とする請求項8に記載のライダーシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、比OC
1/OC
2が特定の閾値を超えた場合に、前記受信光信号が前記出射された第2の光信号に関連していると判定するように構成されている、ことを特徴とする.請求項8に記載のライダーシステム。
【請求項11】
光信号は、第2の光信号の後に別の特定の時間間隔で出射される第3の光信号をさらに含み、
前記受信光信号は、出射された第1、第2、または第3の光信号のうち、ターゲットによって散乱された部分を含み、
前記受信光信号は、第3の光信号が出射された後に検出され、前記プロセッサは、前記受信光信号が、出射された第1の光信号、出射された第2の光信号、または出射された第3の光信号に関連しているかどうかを判定するように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項12】
前記第1の検出器は、前記ターゲットまでの距離がライダーシステムの近距離レンジの距離よりも小さい場合に、前記第2の検出器よりも前記受信光信号に対してより大きな応答を生成するように構成された近距離レンジ検出器であり、
前記第2の検出器は、前記ターゲットまでの距離が前記近距離レンジの距離よりも大きい場合に、前記第1の検出器よりも大きな応答を生成するように構成された遠距離レンジ検出器である、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項13】
ライダーシステムの近距離レンジ内に位置するターゲットから受信した散乱光に対して、前記第1の検出器が第2の検出器よりも大きな応答を示し、近距離レンジを超えて位置するターゲットから受信した散乱光に対して、前記第2の検出器が前記第1の検出器よりも大きな応答を示
す、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項14】
前記第1および第2の検出器は、単一の検出器チップ上またはチップ内に配置されており、前記第1および第2の検出器は、100マイクロメートル未満のギャップによって分離されている、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項15】
前記第1の検出器は
、第1の検出
器チップの一部であり、前記第2の検出器は、前記第1の検出器チップとは別
の第2の検出
器チップの一部である、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項16】
前記第1および第2の検出器のそれぞれは、アバランシェフォトダイオード(APD)またはPINフォトダイオードを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項17】
前記受信光信号の第1の部分を検出することは、前記第1の検出器が、前記受信光信号の第1の部分に対応する第1の電流信号を生成することを含み、
前記受信光信号の第2の部分を検出することは、前記第2の検出器が、前記受信光信号の第2の部分に対応する第2の電流信号を生成することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項18】
前記受光器は、さらに、
前記第1の電流信号に対応する第1の電圧信号を生成するように構成された第1のトランスインピーダンス増幅器と、
前記第2の電流信号に対応する第2の電圧信号を生成するように構成された第2のトランスインピーダンス増幅器と、を含むことを特徴とする請求項
17に記載のライダーシステム。
【請求項19】
前記第1および第2の検出器は、それぞれの電流信号が減算されて差分電流信号を生成するように結合され、
前記受光器は、前記差分電流信号に対応する電圧信号を生成するように構成されたトランスインピーダンス増幅器をさらに含む、ことを特徴とする請求項
17に記載のライダーシステム。
【請求項20】
前記受信した電気信号は、前記受信光信号の第1の部分の光学特性および前記受信光信号の第2の部分の光学特性に対応する1つまたは複数の値を含むデジタル信号である、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項21】
前記受信した電気信号は、前記受信光信号の第1の部分に対応する第1の電気信号と、前記受信光信号の第2の部分に対応する第2の電気信号とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項22】
前記受光器は、前記受信光信号から第2の部分を分割し、該第2の部分を前記第2の検出器に方向付けるように構成された光学アセンブリをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項23】
前記光学アセンブリは、前記第2の部分を反射して前記第2の部分を前記第2の検出器に方向付けるように構成されたミラーを含む、ことを特徴とする請求項
22に記載のライダーシステム。
【請求項24】
前記光学アセンブリは、第1のプリズムおよび第2のプリズムを含み、
前記第1のプリズムは、前記受信光信号の第2の部分を分割し、該第2の部分を前記第2のプリズムに方向付けるように構成され、
前記第2のプリズムは、前記第2の部分を前記第2の検出器に方向付けるように構成されている、ことを特徴とする請求項
22に記載のライダーシステム。
【請求項25】
前記光学アセンブリは、前記受信光信号の第2の部分を集束するように構成された光集束素子を含む、ことを特徴とする請求項
22に記載のライダーシステム。
【請求項26】
前記光学アセンブリは、前記受信光信号の第2の部分の角度発散の量を低減するように構成された比較的高い屈折率を有する光学材料を含む、請求項
22に記載のライダーシステム。
【請求項27】
前記ライダーシステムは、パルスライダーシステムであり、前記複数の光信号は、
0.1μJと100μJの間のパルスエネルギーと、
80kHzと10MHzの間のパルス繰り返し周波数と、
0.1nsと50nsの間のパルス幅と、
を有する光パルスを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項28】
前記ライダーシステムは、前記複数の光信号のそれぞれが周波数変調された光からなる周波数変調連続波(FMCW)ライダーシステムである、ことを特徴とする請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項29】
ライダーシステムの光源によって、前記ライダーシステムの動眼視野に向けられた複数の光信号を出射するステップであって、前記光信号は、第1の光信号および第2の光信号を含み、前記第2の光信号は、前記第1の光信号が出射された後、特定の時間間隔で出射されるステップと、
前記ライダーシステムの受光器によって、出射された第1または第2の光信号のうち、前記ライダーシステムから離れた位置にあるターゲットによって散乱された部分を含む受信光信号を検出するステップであって、前記受信光信号は、第2の光信号が出射された後に検出されるステップと、を含み、前記受信光信号を検出するステップは、
前記受光器の第1の検出器によって、
1つの前記受信光信号の第1の部分を検出するステップと、
前記受光器の第2の検出器によって、
当該1つの前記受信光信号の第2の部分を検出するステップと、
前記ライダーシステムのプロセッサによって、前記受信光信号の第1の部分および第2の部分に対応する電気信号を受信するステップと、
前記プロセッサによって、受信した電気信号に少なくとも部分的に基づいて、前記受信光信号が
、出射された第2の光信号に関連しているかどうかを判定すること、を含
んでおり、
前記ライダーシステムのスキャナによって、複数の光信号からなる出力ビームを、前記ライダーシステムの動眼視野にわたって走査方向に走査し、前記受光器の視野を、前記ライダーシステムの動眼視野にわたって走査方向に走査するステップをさらに含み、
前記第1の検出器と前記第2の検出器は、前記受光器の視野の走査方向に対応するラインに沿って配置されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年12月5日に出願された米国特許出願第16/210704号および2019年8月29日に出願された米国特許出願第16/554709号の優先権の利益を主張するものであり、それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、ライダーシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
光検出及び測距(ライダー)(Light detection and ranging(lidar))は、離れたターゲット(遠隔ターゲット)までの距離を測定するために使用可能な技術である。一般に、ライダーシステムは、光源と受光器を含んでいる。光源は、例えば、特定の動作波長を有する光を出射するレーザーであり得る。ライダーシステムの動作波長は、例えば、電磁スペクトルの赤外、可視、または紫外部分であり得る。光源は、ターゲットに向けて光を出射し、ターゲットはその光を散乱する。散乱された光の一部は、受光器で受け取られる。このシステムは、受け取った光に関連する1つ以上の特性に基づいて、ターゲットまでの距離を決定する。例えば、ライダーシステムは、光源から出射された光のパルスがターゲットに到達し、ライダーシステムに戻ってくるまでの飛行時間に基づいて、ターゲットまでの距離を決定するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、光検出及び測距(ライダー)システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、ライダーシステムで生成される走査パターンの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、一例の回転ポリゴンミラーを備えた一例のライダーシステムを示す図である。
【
図4】
図4は、ライダーシステムの光源視野(FOV
L)と受光器視野(FOV
R)の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、複数のピクセルと複数の走査ラインを含む単方向走査パターンの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、受信した光信号に対応する電圧信号の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、例示的なライダーシステムと、ライダーシステムの動作レンジ内に位置するターゲットとを示す図である。
【
図9】
図9は、
図8のライダーシステムによって出射された光パルスと、受信した光信号に対応する電圧信号を示す図である。
【
図10】
図10は、例示的なライダーシステムと、ライダーシステムの動作レンジの外に位置するターゲットとを示す図である。
【
図11】
図11は、
図10のライダーシステムによって出射された光パルスと、受信した光信号に対応する電圧信号を示す図である。
【
図12】
図12は、2つの検出器を備えた受光器の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、受け取った光の4つのスポットを、2つの検出器の例に重ね合わせた図である。
【
図14】
図14は、ターゲットまでの距離の関数として、
図13の検出器によって生成される信号の例を示す図である。
【
図15】
図15は、2つの検出器と2つの増幅器を含む受光器の例を示す図である。
【
図16】
図16は、2つの検出器と1つの増幅器を含む受光器の例を示す図である。
【
図17】
図17は、バイセル検出器チップの一例を示す上面図である。
【
図18】
図18は、バイセル検出器チップの一例を示す側面図である。
【
図19】
図19は、3つの検出器を含むマルチセル検出器チップの例を示す側面図である。
【
図20】
図20は、2つの検出器とミラーを含む受光器の例を示す図である。
【
図21】
図21は、2つの検出器と2つのプリズムを含む例示的な受光器の上面図である。
【
図24】
図24は、2つのキューブプリズムを含む受光器の例を示す図である。
【
図25】
図25は、菱形プリズムを含む受光器の例を示す図である。
【
図26】
図26は、部分的に反射面を持つ菱形プリズムを含む受光器の例を示す図である。
【
図28】
図28は、湾曲した反射面を含む受光器の例を示す図である。
【
図29】
図29は、高屈折率材料を含む受光器の例を示す図である。
【
図30】
図30は、受信した光信号が出差された光信号と関連しているかどうかを判定する方法の一例を示す図である。
【
図31】
図31は、コンピュータシステムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1は、例示的な光検出及び測距(ライダー)システム100を示す。特定の実施形態において、ライダーシステム100は、レーザー測距システム、レーザーレーダーシステム、LIDARシステム、ライダーセンサ、またはレーザー検出及び測距(LADARまたはレイダー)システムと呼ばれる場合もある。特定の実施形態において、ライダーシステム100は、光源110、ミラー115、スキャナ120、受光器140、及びコントローラ150を含むものであってもよい。光源110は、例えば、電磁スペクトルの赤外、可視、または紫外部分の特定の動作波長を有する光を発するレーザーを含むものであってもよい。より具体的な例として、光源110は、約1.2μmと約1.7μmの間の動作波長を有するレーザーを含むものであってもよい。一例として、光源110は、約900ナノメートル(nm)から2000nmの間の動作波長を有するレーザーを含んでいてもよい。光源110は、連続波(CW)、パルス、または所定の用途のために任意の適した方法で変調された光の出力ビーム125を出射する。光の出力ビーム125は、遠隔ターゲット130に向けて射程に沿って方向づけられる。一例として、遠隔ターゲット130は、ライダーシステム100から約1mから1kmの距離Dに位置していてもよい。
【0006】
出力ビーム125が射程に沿った範囲のターゲット130に到達すると、ターゲット130は、出力ビーム125からの光の少なくとも一部を散乱するか、または反射するものであってもよい。散乱された光(散乱光)または反射された光(反射光)の一部は、ライダーシステム100に向かって戻る場合がある。
図1の例では、散乱光または反射光は、スキャナ120を通過する入力ビーム135によって表されている。この入力ビーム135は、スキャナ120を通過し、ミラー115によって反射され、受光器140に向けられる。特定の実施形態において、出力ビーム125からの光の比較的小さな割合のみが、入力ビーム135としてライダーシステム100に戻るものであってもよい。一例として、出力ビーム125の平均パワー、ピークパワー、またはパルスエネルギーに対する入力ビーム135の平均パワー、ピークパワー、またはパルスエネルギーの比は、約10
-1、約10
-2、約10
-3、約10
-4、約10
-5、約10
-6、約10
-7、約10
-8、約10
-9、約10
-10、約10
-11、または約10
-12であってもよい。別の例として、出力ビーム125のパルスが1マイクロジュール(μJ)のパルスエネルギーを有する場合、入力ビーム135の対応するパルスのパルスエネルギーは、約10ナノジュール(nJ)、約1nJ、約100ピコジュール(pJ)、約10pJ、約1pJ、約100フェムトジュール(fJ)、約10fJ、約1fJ、約100アトジュール(aJ)、約10aJ、約1aJ、または約0.1aJのパルスエネルギーを有していてもよい。
【0007】
特定の実施形態において、出力ビーム125は、光信号、レーザービーム、光ビーム、光学的ビーム、出射ビーム、出射光、またはビームと呼ばれる場合もある。特定の実施形態において、入力ビーム135は、受信光信号、戻りビーム、受信ビーム、戻り光、受信光、入力光、散乱光、または反射光と呼ばれる場合もある。本明細書で使用される場合、散乱光とは、ターゲット130によって散乱または反射された光を指すものであってもよい。一例として、入力ビーム135は、ターゲット130によって散乱された出力ビーム125からの光、ターゲット130によって反射された出力ビーム125からの光、または、ターゲット130からの散乱光と反射光の組み合わせを含むものであってもよい。
【0008】
特定の実施形態において、受光器140は、入力ビーム135からの光子を受け取りまたは検出して、1つまたは複数の代表的な信号を生成するものであってもよい。例えば、受光器140は、入力ビーム135を代表する出力電気信号145を生成してもよく、電気信号145は、コントローラ150に送信されるものであってもよい。特定の実施形態において、受光器140またはコントローラ150は、プロセッサ、コンピューティングシステム(例えば、ASIC、FPGA)、及び/または他の好適な回路を含むものであってもよい。コントローラ150は、受光器140からの電気信号145の1つまたは複数の特性を分析して、ライダーシステム100からの射程に沿った距離などのターゲット130の1つ以上の特性を決定するように構成されるものであってもよい。これは、出射された光ビーム125または受信された光ビーム135の飛行時間、または周波数、または位相を分析することによって行われるものであってもよい。ライダーシステム100が飛行時間Tを測定する場合(例えば、Tは、出射された光パルスがライダーシステム100からターゲット130に向けて進行し、ライダーシステム100に戻るための往復の飛行時間を表す)、ターゲット130からライダーシステム100までの距離Dは、
D=c・T/2
で表されるものであってもよい。ここで、cは光速(約3.0×108m/s)である。一例として、飛行時間がT=300nsと測定された場合、ターゲット130からライダーシステム100までの距離は、近似的にD=45.0mと決定され得る。別の例として、飛行時間がT=1.33μsであると測定された場合、ターゲット130からライダーシステム100までの距離は、近似的にD=199.5mであると決定され得る。特定の実施形態において、ライダーシステム100からターゲット130までの距離Dは、ターゲット130の距離、深さ(深度)、または範囲(レンジ)と呼ばれる場合もある。本明細書で使用される場合、光速cとは、任意の適切な媒体、例えば空気、水、または真空中での光の速度を指すものである。一例として、真空中の光速は、約2.9979×108m/sであり、(約1.0003の屈折率を有する)空気中の光速は、約2.9970×108m/sである。
【0009】
特定の実施形態において、光源110は、パルスレーザーまたはCWレーザーを含むものであってもよい。一例として、光源110は、約10ピコ秒(ps)から約100ナノ秒(ns)のパルス持続時間またはパルス幅を有する光のパルスを生成または出射するように構成されたパルスレーザーであってもよい。パルスは、約100ps、200ps、400ps、1ns、2ns、5ns、10ns、20ns、50ns、100ns、または任意の他の適切なパルス持続時間を有するものであってもよい。別の例として、光源110は、約1nsから約5nsのパルス持続時間を有するパルスレーザーであってもよい。別の例として、光源110は、約80kHzから約10MHzのパルス繰り返し周波数、または約100nsから約12.5μsのパルス周期(例えば、連続するパルス間の時間)でパルスを生成するパルスレーザーであってもよい。特定の実施形態において、光源110は、実質的に一定のパルス繰り返し周波数を有していてもよく、または可変もしくは調整可能なパルス繰り返し周波数を有していてもよい。一例として、光源110は、約1.56μsのパルス周期に対応する、約640kHz(例えば、毎秒640,000パルス)の実質的に一定のパルス繰り返し周波数でパルスを生成するパルスレーザーであってもよい。別の例として、光源110は、約200kHzから約2MHzの範囲で変化させることができるパルス繰り返し周波数(繰り返しレートとも呼ばれ得る)を有していてもよい。本明細書で使用される場合、光のパルスは、光学パルス、光パルス、またはパルスと呼ばれる場合もある。
【0010】
特定の実施形態において、光源110は、出力ビーム125は、任意の適切な平均光パワーを有する自由空間出力ビーム125を生成するパルスレーザーまたはCWレーザーを含むものであってもよい。一例として、出力ビーム125は、約1ミリワット(mW)、約10mW、約100mW、約1ワット(W)、約10W、または他の任意の適切な平均パワーを有するものであってもよい。特定の実施形態において、出力ビーム125は、任意の適切なパルスエネルギーまたはピーク光パワーを有する光パルスを含んでもよい。一例として、出力ビーム125は、約0.01μJ、約0.1μJ、約0.5μJ、約1μJ、約2μJ、約10μJ、約100μJ、約1mJ、または他の任意の適切なパルスエネルギーを有するパルスを含むものであってもよい。別の例として、出力ビーム125は、約10W、約100W、約1kW、約5kW、約10kW、または他の任意の適切なピークパワーを有するパルスを含むものであってもよい。光パルスのピークパワー(Ppeak)は、
E=Ppeak・Δt という式によってパルスエネルギー(E)と関連付けることができる。ここで、Δtは、パルスの持続時間である。パルスの持続時間は、パルスの半値全幅持続時間として定義され得る。例えば、持続時間が1nsでパルスエネルギーが1μJの光パルスは、約1kWのピークパワーを有する。出力ビーム125の平均パワー(PW)は、PW=PRF・E という式によってパルス繰り返し周波数(PRF)およびパルスエネルギーと関連付けることができる。例えば、パルスの繰り返し周波数が500kHzである場合、1μJのパルスを有する出力ビーム125の平均パワーは、約0.5Wである。
【0011】
特定の実施形態において、光源110は、例えば、ファブリーペロー型レーザーダイオード、量子井戸レーザー、分布ブラッグ反射器(DBR)レーザー、分布帰還(DFB)レーザー、または垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)、量子ドットレーザーダイオード、格子結合面発光レーザー(GCSEL)、スラブ結合光導波路レーザー(SCOWL)、単一横モードレーザーダイオード、マルチモードブロードエリア型レーザーダイオード、レーザーダイオードバー、レーザーダイオードスタック、またはテーパーストライプレーザダイオード、などのレーザーダイオードを含むものであってもよい。一例として、光源110は、アルミニウム・ガリウム・ヒ素(AlGaAs)レーザーダイオード、インジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)レーザーダイオード、インジウム・ガリウム・ヒ素・リン(InGaAsP)レーザーダイオード、または、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、リン(P)もしくは他の任意の適切な材料の任意の組み合わせを含むレーザーダイオードを含むものであってもよい。特定の実施形態において、光源110は、約1200nmから約1600nmのピーク発光波長を有するパルスレーザーダイオードまたはCWレーザーダイオードを含むものであってもよい。一例として、光源110は、約1550nmの波長で光パルスを生成するために電流変調されたInGaAsP DFBレーザーダイオードを含むものであってもよい。
【0012】
特定の実施形態において、光源110は、1つ以上の光増幅段階が引き続くパルスレーザーダイオードまたはCWレーザーダイオードを含むものであってもよい。パルスレーザーダイオードは、光増幅器によって増幅される比較的低出力の光シードパルスを生成してもよい。一例として、光源110は、動作波長が約1550nmの電流変調されたレーザーダイオードに続いて、単段または多段のエルビウム添加ファイバー増幅器(EDFA)またはエルビウムイッテルビウム添加ファイバー増幅器(EYDFA)を含むファイバーレーザーモジュールであってもよい。別の例として、光源110は、連続波(CW)または準CWレーザーダイオードに続いて、外部光変調器(例えば、電気光学変調器)を含んでいてもよい。光変調器は、レーザーダイオードからのCW光を変調して光パルスを生成し、これを光増幅器に送るものであってもよい。別の例として、光源110は、半導体光増幅器(SOA)が続くパルスまたはCWレーザーダイオードを含んでもよい。SOAは、レーザーダイオードからの光を受け取り、導波路を伝搬する光を増幅するように構成されたアクティブ光導波路を含んでいてもよい。SOAは、レーザーダイオードと同じチップ上に組み込まれていてもよく、または入力面または出力面に反射防止コーティングを施した別個のデバイスであってもよい。
【0013】
特定の実施形態において、光源110は、ダイレクトエミッタレーザーダイオードを含むものであってもよい。ダイレクトエミッタレーザーダイオード(ダイレクトエミッタとも呼ばれ得る)は、後に光増幅器によって増幅されない光を生成するレーザーダイオードを含んでいてもよい。ダイレクトエミッタレーザーダイオードを含む光源110は、光増幅器を含まない場合があり、ダイレクトエミッタによって生成される出力光は、レーザーダイオードによって出射された後に増幅されない場合がある。ダイレクトエミッタレーザーダイオードによって生成された光(例えば、光パルス、CW光、または周波数変調された光)は、増幅されることなく自由空間出力ビーム125として直接出射されるものであってもよい。ダイレクトエミッタレーザーダイオードは、レーザーダイオードに電流パルスを供給する電源によって駆動されるものであってもよく、各電流パルスの結果として、出力光パルスの出射が生じるものであってもよい。
【0014】
特定の実施形態において、光源110は、ダイオード励起固体(DPSS)レーザーを含むものであっても。DPSSレーザー(固体レーザーと呼ばれる場合もある)は、1つまたは複数のポンプレーザーダイオードによって励起される固体、ガラス、セラミック、または結晶ベースの利得媒体を含むレーザーを指すものであってもよい。利得媒体は、希土類イオン(例えば、ネオジム、エルビウム、イッテルビウム、またはプラセオジム)がドープされたホスト材料を含んでいてもよい。例えば、利得媒体は、ネオジム(Nd)イオンがドープされたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)結晶を含んでいてもよく、利得媒体は、Nd:YAG結晶と呼ばれるものであってもよい。Nd:YAGを利得媒体とするDPSSレーザーは、約1300nmから約1400nmの波長の光を発生させ、Nd:YAG利得媒体は、約730nmから約900nmの動作波長を有する1つ以上のポンプレーザーダイオードによって励起されるものであってよい。DPSSレーザーは、可飽和吸収体(例えば、可飽和吸収体として機能するバナジウムドープ結晶)を含む受動的Qスイッチレーザーであってもよい。あるいは、DPSSレーザーは、能動的Qスイッチ(例えば、音響光学変調器または電気光学変調器)を含むアクティブQスイッチレーザーであってもよい。受動的または能動的にQスイッチされたDPSSレーザーは、ライダーシステム100の出力ビーム125を形成する出力光パルスを生成するものであってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、光源110によって出射される光の出力ビーム125は、例えば、約0.5~10ミリラジアン(mrad)の全角ビーム発散などの、任意の適切なビーム発散を有するコリメートされた光ビームであってもよい。出力ビーム125の発散とは、出力ビーム125が光源110またはライダーシステム100から遠ざかるにつれて増大するビームサイズ(例えば、ビーム半径またはビーム直径)の、角度の測定値を指すものであってもよい。特定の実施形態において、出力ビーム125は、単一の発散値によって特徴付けられるビーム発散を有する実質的に円形の断面を有していてもよい。一例として、円形の断面を有し、2mradの全角ビーム発散を有する出力ビーム125は、ライダーシステム100から100mの距離において、約20cmのビーム直径またはスポットサイズを有し得る。特定の実施形態において、2つの発散値によって特徴付けられる、実質的に楕円形の断面を有するものであってもよい。一例として、出力ビーム125は、高速軸と低速軸とを有しており、高速軸の発散値は、低速軸の発散値よりも大きいものであってもよい。別の例として、出力ビーム125は、4mradの高速軸発散と2mradの低速軸発散とを備える楕円形のビームであってもよい。
【0016】
特定の実施形態において、光源110によって出射される光の出力ビーム125は、非偏光またはランダム偏光の光であってもよく、特定のまたは固定された偏光を有しない光であってもよく(例えば、偏光は時間とともに変化してもよい)、または、特定の偏光を有する光であってもよい(例えば、出力ビーム125は、直線偏光、楕円偏光、または円偏光の光であってもよい)。一例として、光源110は、特定の偏光を有しない光を背性するものであってもよく、直線偏光の光を生成するものであってもよい。
【0017】
特定の実施形態において、ライダーシステム100はまた、ライダーシステム100内の光、またはライダーシステム100によって生成されるかもしくは受け取られる光(例えば、出力ビーム125または入力ビーム135)を反射、集束、フィルタリング、整形、修正、誘導(ステアリング)、または方向付けするように構成された1つ以上の光学部品を含んでもよい。一例として、ライダーシステム100は、1つ以上のレンズ、ミラー、フィルタ(例えば、バンドパスフィルタまたは干渉フィルタ)、ビームスプリッタ、偏光子、偏光ビームスプリッタ、波長板(例えば、半波長板または四分の一波長板)、回折素子、またはホログラフィー素子、アイソレータ、カプラ、検出器、ビームコンバイナ、またはコリメータを含むものであってもよい。ライダーシステム100の光学部品は、自由空間の光学部品、ファイバー結合の光学部品、または自由空間とファイバー結合の光学部品の組み合わせであってもよい。
【0018】
特定の実施形態において、ライダーシステム100は、出力ビーム125または入力ビーム135を所望のビーム径または発散角に拡大、集束、またはコリメートするための望遠鏡、1つまたは複数のレンズ、または1つまたは複数のミラーを含むものであってもよい。一例として、ライダーシステム100は、入力ビーム135を受光器140の光検出器上に集束させるための1つ以上のレンズを含むものであってもよい。別の例として、ライダーシステム100は、出力ビーム125または入力ビーム135を誘導または集束するために、1つ以上の平面ミラーまたは湾曲ミラー(例えば、凹面鏡、凸面鏡、または放物面鏡)を含んでいてもよい。例えば、ライダーシステム100は、入力ビーム135を受光器140の光検出器上に集束するために、軸外放物面鏡を含んでもよい。
図1に示されているように、ライダーシステム100は、ミラー115を含んでもよく、このミラーは、金属ミラーまたは誘電体ミラーであってもよい。ミラー115は、光ビーム125がミラー115を通過するか、またはミラー115の縁部または側面に沿って通過し、入力ビーム135が受光器140に向かって反射されるように構成されてもよい。一例として、ミラー115(オーバーラップミラー、重ね合わせミラー、またはビームコンバイナーミラーと呼ばれる場合もある)は、出力光ビーム125が通過する穴、スロット、または開口部を含んでいてもよい。別の例として、出力光ビーム125は、ミラー115を通過するのではなく、出力光ビーム125とミラー115の縁部との間に隙間(例えば、約0.1mm、約0.5mm、約1mm、約2mm、約5mm、または約10mmの幅の隙間)を設けて、ミラー115の横を通過するように方向付けられるものであってよい。
【0019】
特定の実施形態において、ミラー115は、出力ビーム125と入力ビーム135を実質的に同軸とし、2つのビームが(反対方向ではあるが)ほぼ同じ光路に沿って進行するようにするものであってもよい。入力ビームと出力ビームが実質的に同軸であるとは、入力ビーム135と出力ビーム125が(反対方向ではあるが)実質的に同じ光路に沿って進行するように、ビームが少なくとも部分的に重なっているか、または共通の伝搬軸を共有していることを意味するものであってもよい。出力ビーム125及び入力ビーム135は、入力ビーム135及び出力ビーム125が実質的に同じ光路に沿って(逆方向ではあるが)進行するように少なくとも部分的に重なっていてもよく、または共通の伝搬軸を共有するものであってもよい。一例として、出力ビーム125と入力ビーム135は、10mrad、5mrad、2mrad、1mrad、0.5mrad、または0.1mrad未満の範囲で互いに平行になるものであってもよい。出力ビーム125が動眼視野にわたって走査されるとき、入力ビーム135は、2つのビームの間の同軸関係が維持されるように、出力ビーム125に沿って追従するものであってもよい。
【0020】
特定の実施形態において、ライダーシステム100は、ライダーシステム100の動眼視野にわたって出力ビーム125を走査するように構成されたスキャナ120を含むものであってもよい。一例として、スキャナ120は、1つまたは複数の回転軸回りに旋回、回転、振動、または角度的に移動する1つまたは複数の走査ミラーを含むものであってもよい。出力ビーム125は、走査ミラーによって反射されてもよく、走査ミラーが旋回または回転すると、反射された出力ビーム125は、対応する角度で走査されるものであってもよい。一例として、走査ミラーは、30度の範囲で周期的に前後に揺動し、その結果、出力ビーム125が60度の範囲で前後に走査される(例えば、走査ミラーによるΘ度の回転により、出力ビーム125の2Θ度の角度方向の走査が生じる)ように構成されるものであってもよい。
【0021】
特定の実施形態において、走査ミラーは、特定の角度範囲(例えば、5°の角度範囲、30°の角度範囲、60°の角度範囲、120°の角度範囲、360°の角度範囲、または任意の他の適切な角度範囲)にわたってミラーを旋回または回転させるスキャナアクチュエータまたは走査機構に取り付けられるか、またはそれによって機械的に駆動されるものであってもよい。ミラーを旋回または回転させるように構成されたスキャナアクチュエータまたは走査機構は、ガルバノスキャナ、共振スキャナ、圧電アクチュエータ、ボイスコイルモータ、電気モータ(例えば、DCモータ、ブラシレスDCモータ、同期式電気モータ、またはステッピングモータ)、微小電気機械システム(MEMS)デバイス、または他の任意の適切なアクチュエータまたは機構を含むものであってもよい。一例として、スキャナ120は、30°の角度範囲で前後に揺動するように構成されたガルバノスキャナに取り付けられた走査ミラーを含んでいてもよい。別の例として、スキャナ120は、同じ方向に連続的に回転するように構成されたポリゴンミラーを含んでもよい(例えば、ポリゴンミラーは、前後に揺動するのではなく、時計回りまたは反時計回りの方向に360°連続的に回転する)。ポリゴンミラーは、実質的に固定された回転周波数(例えば、約1Hz、約10Hz、約50Hz、約100Hz、約500Hz、または約1000Hzの回転周波数)でポリゴンミラーを回転させるように構成された同期モータに結合されるか、または取り付けられていてもよい。
【0022】
特定の実施形態において、スキャナ120は、ライダーシステム100の動眼視野にわたって出力ビーム125(これは、光源110によって出射された光の少なくとも一部を含んでいてもよい)を走査するように構成されるものであってもよい。ライダーシステム100の動眼視野(field of regard:FOR)とは、ライダーシステム100が走査するまたは距離情報を取得するように構成され得るエリア、領域、または角度範囲を指すものであってもよい。一例として、30度の走査範囲を有する出力ビーム125を有するライダーシステム100は、30度の角度の動眼視野を有すると言うことができる。別の例として、30度の範囲にわたって回転する走査ミラーを有するライダーシステム100は、60度の範囲にわたって走査する出力ビーム125(例えば、60度のFOR)を生成するものであってもよい。特定の実施形態において、ライダーシステム100は、約10°、約20°、約40°、約60°、約120°、約360°、または任意の他の適切なFORを有するものであってもよい。
【0023】
特定の実施形態において、スキャナ120は、出力ビーム125を水平方向および垂直方向に走査するように構成されてもよく、ライダーシステム100は、水平方向に沿った特定のFORおよび垂直方向に沿った別の特定のFORを有するものであってもよい。一例として、ライダーシステム100は、10°~120°の水平FORと、2°~45°の垂直FORとを有していてもよい。特定の実施形態において、スキャナ120は、第1の走査ミラーと第2の走査ミラーとを含んでいてもよく、第1の走査ミラーは、出力ビーム125を第2の走査ミラーに向けて誘導し、第2の走査ミラーは、出力ビーム1255をライダーシステム100から射程に沿って誘導する。一例として、第1の走査ミラーは、第1の方向に沿って出力ビーム125を走査し、第2の走査ミラーは、第1の方向と実質的に直交する第2の方向に沿って出力ビーム125を走査するものであってもよい。別の例として、第1の走査ミラーは、実質的に水平方向に沿って出力ビーム125を走査し、第2の走査ミラーは、実質的に垂直方向に沿って出力ビーム125を走査する(または、その逆)であってもよい。別の例として、第1および第2の走査ミラーは、それぞれガルバノスキャナによって駆動されるものであってもよい。別の例として、第1の走査ミラーまたは第2の走査ミラーは、電気モータによって駆動されるポリゴンミラーを含みものであってもよい。特定の実施形態において、スキャナ120は、ビームスキャナ、光学スキャナ、またはレーザースキャナと呼ばれるものであってもよい。
【0024】
特定の実施形態において、1つまたは複数の走査ミラーは、出力ビーム125を射程に沿った所望の方向にまたは所望の走査パターンに沿って誘導するように1つまたは複数の走査ミラーを制御するコントローラ150に通信可能に結合されるものであってもよい。特定の実施形態において、走査パターンは、出力ビーム125が方向付けられるパターンまたはパス(経路)を指すもであってもよい。一例として、スキャナ120は、60°の水平FORおよび20°の垂直FORにわたって出力ビーム125を走査するように構成された2つの走査ミラーを含んでいてもよい。2つの走査ミラーは、60°×20°のFORに実質的に広がる走査パスをたどるように制御されてもよい。一例として、走査パスの結果として、60°×20°のFORに実質的に広がるピクセルを備えた点群(ポイントクラウド)が生成されるものであってもよい。ピクセルは、60°×20°のFORをほぼ均等に覆うように配置されている。あるいは、ピクセルは、特定の不均一な分布を有していてもよい(例えば、ピクセルは、60°×20°のFORの全てまたは一部に分布していてもよく、ピクセルは、60°×20°のFORの1つまたは複数の特定の領域において高い密度を有していてもよい)。
【0025】
特定の実施形態において、ライダーシステム100は、光のパルスを出射するように構成された光源110と、出射された光のパルスの少なくとも一部をライダーシステム100の動眼視野にわたって走査するように構成されたスキャナ120とを含むものであってもよい。出射された光のパルスの1つまたは複数は、ライダーシステム100か射程の範囲に位置するターゲット130によって散乱されてもよく、受光器140は、ターゲット130によって散乱された光のパルスの少なくとも一部を検出するものであってもよい。受光器140は、フォトレシーバ、光受信器、光センサ、検出器、光検出器、または光学検出器と呼ばれるものであってもよい。特定の実施形態において、ライダーシステム100は、入力ビーム135の少なくとも一部を受信または検出し、入力ビーム135に対応する電気信号を生成する受光器140を含むものであってもよい。一例として、入力ビーム135が光パルスを含む場合、受光器140は、受光器140によって検出された光パルスに対応する電流パルスまたは電圧パルスを生成するものであってもよい。別の例として、受光器140は、1つまたは複数のアバランシェフォトダイオード(APD)または1つまたは複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を含んでもよい。別の例として、受光器140は、1つ以上のPN接合型フォトダイオード(例えば、p型半導体とn型半導体によって形成されるフォトダイオード構造であり、PNの頭文字は、p型領域とn型領域を有する構造を指す)、または1つ以上のPIN接合型フォトダイオード(例えば、p型領域とn型領域との間に位置するドーピングされていない真性半導体領域によって形成されるフォトダイオード構造であり、PINの頭文字は、p型領域、真正半導体領域、およびn型領域を有する構造を指す)を含むものであってもよい。APD、SPAD、PN接合型フォトダイオード、またはPIN接合型フォトダイオードは、それぞれ検出器、光検出器、またはフォトダイオードと呼ばれる場合もある。検出器は、シリコン、ゲルマニウム、InGaAs、AlInAsSb(アルミニウム・インジウム・ヒ素・アンチモン)を含む活性領域またはアバランシェ増倍領域を有するものであってもよい。活性領域とは、検出器が入力光を受け取るまたは検出する領域のことを指すものである。活性領域は、任意の適切なサイズまたは直径を有していてもよく、例えば、約10μm、約25μm、約50μm、約80μm、約100μm、約200μm、約500μm、約1mm、約2mm、または約5mmの直径を有していてもよい。
【0026】
特定の実施形態において、受光器140は、信号増幅、サンプリング、フィルタリング、信号調整、アナログ-デジタル変換、時間-デジタル変換、パルス検出、閾値検出、立ち上がりエッジ検出、または立ち下がりエッジ検出を行う電子回路を含むものであってもよい。一例として、受光器140は、受信された光電流(例えば、受信した光信号に応答してAPDによって生成される電流)を電圧信号に変換するトランスインピーダンス増幅器を含んでいてもよい。電圧信号は、受信した光パルスの1つまたは複数の特性(例えば、立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、振幅、持続時間、またはエネルギー)に対応するアナログまたはデジタルの出力信号145を生成するパルス検出回路に送信されるものであってもよい。一例として、パルス検出回路は、デジタル出力信号145を生成するために時間-デジタル変換を行うものであってもよい。電気的な出力信号145は、処理または分析のために(例えば、受信した光パルスに対応する飛行時間値を決定するために)、コントローラ150に送信されるものであってもよい。
【0027】
特定の実施形態において、コントローラ150は、光源110、スキャナ120、及び受光器140のうちの1つ以上に電気的に結合されるか、または通信的に結合されるものであってもよい。一例として、コントローラ150は、光源110から電気的なトリガパルスまたはエッジを受信するものであってもよく、各パルスまたはエッジは、光源110による光パルスの出射に対応するものである。別の例として、コントローラ150は、光源110が光パルスを生成すべき時を示す指令、制御信号、またはトリガ信号を光源110に提供するものであってもよい。コントローラ150は、電気的パルスを含む電気的トリガ信号を送信するものであってもよく、この場合、光源110は、各電気的パルスに応答して光パルスを発生する。特定の実施形態において、光源110によって生成される光パルスの周波数、周期、持続時間、パルスエネルギー、ピークパワー、平均パワー、または波長は、コントローラ150によって提供される指令、制御信号、またはトリガパルスに基づいて調整されるものであってもよい。特定の実施形態において、コントローラ150は、光源110および受光器140に結合されていてもよく、コントローラ150は、パルスが光源110によって出射されたときと、パルスの一部(例えば、入力ビーム135)が受光器140によって検出または受信されたときとに関連付けられたタイミング情報に基づいて、光パルスの飛行時間値を決定するものであってもよい。特定の実施形態において、コントローラ150は、信号増幅、サンプリング、フィルタリング、信号調整、アナログ-デジタル変換、時間-デジタル変換、パルス検出、閾値検出、立ち上がりエッジ検出、または立ち下がりエッジ検出を行う回路を含むものであってもよい。
【0028】
特定の実施形態において、ライダーシステム100は、出射された光のパルスがライダーシステム100からターゲット130に進行して、ライダーシステム100に戻るまでの往復飛行時間に少なくとも部分的に基づいて、ライダーシステム100からターゲット130までの距離Dを決定するように構成された1つまたは複数のプロセッサ(例えば、コントローラ150)を含むものであってもよい。ターゲット130は、少なくとも部分的にライダーシステム100の動眼視野内に含まれ、ライダーシステム100の動作レンジ(ROP)以下であるライダーシステム100からの距離Dに位置していてもよい。特定の実施形態において、ライダーシステム100の動作レンジ(動作距離と呼ばれる場合もある)は、ライダーシステム100が、ライダーシステム100の動眼視野内に現れるターゲット130を検知または識別するように構成される距離を指すものであってもよい。ライダーシステム100の動作レンジは、例えば、25m、50m、100m、200m、500m、または1kmなど、任意の適切な距離であってもよい。一例として、200mの動作レンジを有するライダーシステム100は、ライダーシステム100から最大で200m離れた場所に位置する様々なターゲット130を検知または識別するように構成されていてもよい。ライダーシステム100の動作レンジROPは、
ROP
=c・τ/2という式によって、一連の光信号の射出の間の時間τに関連するものであってもよい。動作レンジが200m(ROP=200m)のライダーシステム100の場合、一連のパルス間の時間τ(これを、パルス周期と呼ぶ場合もある)は、
約2・ROP/c=1.33μsである。また、パルス周期τは、ライダーシステム100から距離ROPに位置するターゲット130との間をパルスが往復するための飛行時間に対応するものであってもよい。さらに、パルス周期τは、τ=1/PRFという式で、パルス繰り返し周波数(PRF)と関連するものであってもよい。例えば、
1.33μsのパルス周期は、約752kHzのPRFに対応する。
【0029】
特定の実施形態において、ライダーシステム100は、1つまたは複数の射程内のターゲット130までの距離を決定するために使用されるものであってもよい。動眼視野にわたってライダーシステム100を走査することによって、システムは、動眼視野内の多数の点に距離をマッピングするために使用され得る。これらの深度マッピングされた点の各々は、ピクセルまたはボクセルと呼ばれる場合もある。連続して取得されたピクセルの集合(深度マップ、点群、またはフレームと呼ばれる場合もある)は、画像としてレンダリングされるものであってもよく、物体を識別または検出するため、またはFOR内の物体の形状または距離を決定するために分析されるものであってもよい。一例として、点群は、水平方向に60°および垂直方向に15°に広がる動眼視野に広がるものであってもよく、点群は、水平方向に100から2000ピクセル、垂直方向に4から400ピクセルのフレームを含むものであってもよい。
【0030】
特定の実施形態において、ライダーシステム100は、約0.1フレーム/秒(FPS)と約1000FPSの間の任意の適切なフレームレートで、動眼視野の点群を繰り返し取得または生成するように構成されるものであってもよい。一例として、ライダーシステム100は、約0.1FPS、約0.5FPS、約1FPS、約2FPS、約5FPS、約10FPS、約20FPS、約100FPS、約500FPS、または約1000FPSのフレームレートで点群を生成してもよい。別の例として、ライダーシステム100は、5×105パルス/秒の速度で光パルスを生成し(例えば、システムは、毎秒50万ピクセルの距離を決定してもよい)て、1000×50ピクセルのフレーム(例えば、5万ピクセル/フレーム)を走査するように構成されており、これは、10フレーム/秒(例えば、毎秒10個の点群)の点群フレームレートに対応する。特定の実施形態において、点群フレームレートは、実質的に固定されていてもよく、あるいは動的に調整可能であってもよい。一例として、ライダーシステム100は、特定のフレームレート(例えば、1Hz)で1つまたは複数の点群を取得し、その後、別のフレームレート(例えば、10Hz)で1つまたは複数の点群を取得するように切り替えるものであってもよい。より遅いフレームレート(例えば、1Hz)は、1つまたは複数の高解像度の点群を取得するために使用されるものであってもよく、より速いフレームレート(例えば、10Hz)は、複数の低解像度の点群を迅速に取得するために使用されるものであってもよい。
【0031】
特定の実施形態において、ライダーシステム100は、動眼視野内の1つまたは複数のターゲット130までの距離を検知、識別、または決定するように構成されるものであってもよい。一例として、ライダーシステム100は、ターゲット130の全部または一部がライダーシステム100の動眼視野内に含まれているターゲット130までの距離を決定するものであってもよい。ターゲット130の全部または一部がライダーシステム100のFOR内に含まれているとは、FORがターゲット130の少なくとも一部に重なる、該少なくとも一部を包含する、または該少なくとも一部を包囲することを指すものであってもよい。特定の実施形態において、ターゲット130は、ライダーシステム100に対して相対的に動いているまたは静止している物体の全部または一部を含み得る。一例として、ターゲット130は、人、車両、オートバイ、トラック、列車、自転車、車椅子、歩行者、動物、道路標識、信号機、車線標示、路面標示、駐車スペース、パイロン、ガードレール、交通障壁、ポットホール、踏切、道路内または道路付近の障害物、縁石、道路上または道路脇の停止車両、電柱、家屋、建物、ゴミ箱、郵便受け、樹木、他の任意の適切な物体、または2つ以上の物体の全部または一部の任意の適切な組み合わせ、の全部または一部を含むものであってもよい。特定の実施形態において、ターゲットを物体(オブジェクト)と呼ぶ場合がある。
【0032】
特定の実施形態において、光源110、スキャナ120、および受光器140は、単一のハウジングの中に一緒にパッケージされてもよい。ここで、ハウジングとは、ライダーシステム100の全てまたは一部を保持または含む箱、ケース、または筐体を指すものであってもよい。一例として、ライダーシステムのハウジングは、ライダーシステム100の光源110、ミラー115、スキャナ120、および受光器140を含んでもよい。さらに、ライダーシステムのハウジングは、コントローラ150を含んでもよい。また、ライダーシステムのハウジングは、電力または電気信号をハウジングにまたはハウジングから伝達するための1つまたは複数の電気接続を含んでもよい。特定の実施形態において、ライダーシステム100の1つまたは複数の構成要素は、ライダーシステムハウジングから遠隔地に配置されてもよい。一例として、光源110の全てまたは一部は、ライダーシステムハウジングから遠隔地に配置されてもよく、光源110によって生成された光のパルスは、光ファイバーを介してハウジングに伝達されてもよい。別の例として、コントローラ150の全部または一部が、ライダーシステムのハウジングから離れた場所に配置されてもよい。
【0033】
特定の実施形態において、光源110は、アイセーフレーザーを含んでもよく、またはライダーシステム100は、アイセーフレーザーシステムまたはアイセーフレーザー製品に分類されるものであってもよい。アイセーフレーザー、アイセーフレーザーシステム、またはアイセーフレーザー製品は、システムからの出射光が人の目に損傷を与える可能性がほとんどまたは全くないような、出射波長、平均パワー、ピークパワー、ピーク強度、パルスエネルギー、ビームサイズ、ビーム発散、照射時間、または走査される出力ビームを有するレーザーを含むシステムを指すものであってもよい。一例として、光源110またはライダーシステム100は、通常の使用のすべての条件で安全であるクラス1レーザー製品(国際電気標準会議(IEC)の60825-1規格によって規定される)、またはクラスIレーザー製品(米国連邦規則集(CFR)のタイトル21、セクション1040.10によって規定される)に分類されるものであってもよい。特定の実施形態において、ライダーシステム100は、約900nmと約2100nmの間の任意の適切な波長で動作するように構成されたアイセーフレーザー製品(例えば、クラス1またはクラスI分類)に分類されるものであってもよい。一例として、ライダーシステム100は、約1200nmと約1400nmの間、または約1400nmと約1600nmの間の動作波長を有するレーザーを含むものであってもよく、レーザーまたはライダーシステム100は、アイセーフな方法で動作するものであってもよい。別の例として、ライダーシステム100は、約1300nmと約1400nmの間の動作波長を有する走査型レーザーを含むアイセーフレーザー製品であってもよい。別の例として、ライダーシステム100は、約1200nmと約1600nmの間の動作波長を有するレーザーダイオード、ファイバーレーザー、または固体レーザーを含むクラス1またはクラスIのレーザー製品であってもよい。
【0034】
特定の実施形態において、1つまたは複数のライダーシステム100は、ビークルに組み込まれるものであってもよい。例示的な一実施形態において、ビークルの全周囲360度の水平FORを提供するために、複数のライダーシステム100がビークルに組み込まれるものであってもよい。別の例として、それぞれ45度から90度の水平FORを有する4から10のライダーシステム100が組み合わされて、合わせて360度の水平FORに広がる点群を提供するセンサシステムを形成するものであってもよい。ライダーシステム100は、隣接するFORが空間的または角度的な重なり量を有するように配向されるものであってもよく、それによって、複数のライダーシステム100からのデータが組み合わされるか、または繋ぎ合わされて、合わせて単一のまたは連続した360度の点群を形成することを可能にするものであってもよい。一例として、各ライダーシステム100のFORは、隣接するFORと約1度から15度の重なり量を有していてもよい。
特定の実施形態において、ビークルとは、人または貨物を輸送するように構成された移動機を指すものであってもよい。例えば、ビークルは、乗用車、自動車、原動機付き車両、トラック、バス、バン、トレーラー、オフロード車両、農耕用作業車、芝刈り機、建設機械、フォークリフト、ロボット、ゴルフカート、キャンピングカー、タクシー、オートバイ、スクーター、自転車、スケートボード、列車、スノーモービル、水上機(例えば、船またはボート)、航空機(例えば、固定翼航空機、ヘリコプター、または飛行船)、無人航空機(例えば、ドローン)、または宇宙機を含むか、その形態をとるか、またはこれらを指すものであってもよい。特定の実施形態において、ビークルは、ビークルの推進力を提供する内燃機関または電気モータを含むものであってもよい。
【0035】
特定の実施形態において、1つまたは複数のライダーシステム100は、車両の運転者を支援するための先進運転支援システム(ADAS)の一部として車両に含まれるものであってもよい。例えば、ライダーシステム100は、運転者に情報またはフィードバックを提供する(例えば、潜在的な問題または危険を運転者に警告する)、または衝突または事故を回避するために車両の一部(例えば、制動システムまたは操舵システム)を自動的に制御するADASの一部であってもよい。ライダーシステム100は、アダプティブクルーズコントロール、自動ブレーキ、自動駐車、衝突回避を提供し、運転者に対して危険または他の車両について警告し、車両を正しい車線に維持し、または物体または他の車両が死角にある場合に警告を提供する車両ADASの一部であってもよい。
【0036】
特定の実施形態において、1つまたは複数のライダーシステム100は、自動運転システムの一部として車両に組み込まれるものであってもよい。一例として、ライダーシステム100は、自動運転システムに周囲の環境に関する情報を提供するものであってもよい。自動運転システムは、車両を取り巻く環境を通じて、目的地に向かって自動運転車両を誘導するように構成されていてもよい。自動運転システムは、1つまたは複数のコンピュータシステムを含むものであってもよく、コンピュータシステムは、ライダーシステム100から周辺環境に関する情報を受信し、受信した情報を分析し、車両の自動運転システム(例えば、ハンドル、アクセル、ブレーキ、または方向指示器)に制御信号を提供するものであってもよい。一例として、自動運転車両に組み込まれたライダーシステム100は、点群を0.1秒ごとに自動運転システムに提供するものであってもよい(例えば、点群は10Hzの更新レートを有する。これは、1秒当たり10フレームを表す)。自動運転システムは、受信した点群を分析して、複数のターゲット130と、そのそれぞれの位置、距離、または速度を検知または識別するものであってもよく、自動運転システムは、アクセルを離してブレーキをかける指示を送信してもよい。
【0037】
特定の実施形態において、自動運転車両は、自律走行車両、ドライバーレスカー、セルフドライビングカー、ロボットカー、または無人車両と呼ばれる場合もある。特定の実施形態において、自動運転車両は、その環境を感知し、人間の入力をほとんどまたは全く必要とすることなく車両をナビゲートまたは運転するように構成された車両であってもよい。一例として、自動運転車両は、どの時点においても運転者による車両の制御を期待することなく、全行程の安全上重要な機能(例えば、運転、操舵、制動、駐車)を制御または実行しつつ、任意の適切な場所まで運転するように構成されるものであってもよい。別の例として、自動運転車両は、特定の環境(例えば、高速道路上)において運転者が運転作業から安全に注意を逸らすことを可能にするものであってもよく、または、自動運転車両は、運転者からの入力または注意をほとんどまたは全く必要とすることなく、一部の環境を除いた全ての環境における車両の制御を提供するものであってもよい。
【0038】
特定の実施形態において、自動運転車両は、車両内に運転者が存在する状態で走行するように構成されていてもよく、または、自動運転車両は、運転者が存在しない状態で走行するように構成されていてもよい。一例として、自動運転車両は、関連する操作部(例えば、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル)を有する運転席を含むものであってもよく、運転席に着いている人がいない状態で、または運転席に着いている人からの入力がほとんどない状態で、走行するように構成されるものであってもよい。別の例として、自動運転車両は、運転席または関連する運転者の操作部を含まないように構成されていてもよく、人間の入力なしで実質的にすべての運転機能(例えば、運転、操舵、制動、駐車、及びナビゲーション)を実行するように構成されていてもよい。別の例として、自動運転車両は、運転者なしで運用されるように構成されていてもよい(例えば、車両は、車両内に存在する運転者なしで人間の乗客または貨物を輸送するように構成されていてもよい)。別の例として、自動運転車両は、人間の乗客なしで動作するように構成されていてもよい(例えば、車両は、車両に人間の乗客を乗せることなく貨物を輸送するように構成されていてもよい)。
【0039】
特定の実施形態において、光学信号(これは、光信号、光波形、光学波形、出力ビーム、または出射光と呼ばれる場合もある)は、光のパルス、CW光、振幅変調された光、周波数変調された光、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。本開示では、光のパルスを含む光信号を生成するライダーシステム100または光源110の例示的な実施形態を説明または図示しているが、本明細書で説明または図示した実施形態は、適切な場合には、連続波(CW)光、振幅変調された光信号、または周波数変調された光信号を含む他のタイプの光信号にも適用することができる。例えば、本明細書に記載または図示されているライダーシステム100は、光のパルスを生成するように構成された光源110を含んでいてもよい。あるいは、ライダーシステム100は、周波数変調連続波(FMCW)ライダーシステムとして動作するように構成されていてもよく、CW光または周波数変調光信号を生成するように構成された光源110を含んでいてもよい。
【0040】
特定の実施形態において、ライダーシステム100は、光源110からの出射光(例えば、
図1または
図3の出力ビーム125)が周波数変調された光を含むFMCWライダーシステムであってもよい。パルスライダーシステムは、光源110が光のパルスを出射するライダーシステム100の一種であり、遠隔ターゲット130までの距離は、光のパルスがターゲット130まで進行して戻ってくるまでの飛行時間から決定される。ライダーシステム100の別のタイプは、周波数変調されたライダーシステムであり、周波数変調連続波(FMCW)ライダーシステムと呼ばれることもある。FMCWライダーシステムは、周波数変調された光を使用して、出射された光の変調周波数に対する受信された光(これは、遠隔ターゲットによって散乱されている)の変調周波数に基づいて、遠隔ターゲット130までの距離を決定する。出射された光がターゲット130まで進行し、ライダーシステムに戻ってくるまでの往復時間は、受信した散乱光と出射された光の一部との間の周波数差に対応させることができる。
【0041】
例えば、線形にチャープされた光源(例えば、時間とともに直線的な周波数の変化を生じさせる周波数変調)の場合、出射光と受信光との間の周波数差が大きいほど、ターゲット130が遠くに位置していることになる。周波数差は、受信光を出射光の一部と混合し(例えば、2つのビームを検出器に結合することによって、または受信光と出射光に対応するアナログ電気信号を混合することによって)、結果として得られるビート周波数を決定することによって決定することができる。例えば、APDからの電気信号を、高速フーリエ変換(FFT)技術を用いて分析し、出射光と受信光との間の周波数差を決定することができる。CWレーザーに線形の周波数変調m(例えば、Hz/sの単位で)が適用された場合、往復時間Tは、受信した散乱光と出射光の周波数差Δfに、T=Δf/m
という式により関係し得る。さらに、ターゲットからライダーシステムまでの距離Dは、D=c・Δf/(2m)という式で表すことができる。ここで、cは光速である。例えば、1012Hz/s(または、1MHz/μs)の線形の周波数変調を有する光源110の場合、330kHzの(受信した散乱光と出射光との)周波数差を測定した場合、ターゲットまでの距離は約50m(約330nsの往復時間に相当)である。別の例として、周波数差が1.33MHzの場合、ターゲットまでの距離は約200mに相当する。
【0042】
FMCWライダーシステムのための光源110は、ファイバーレーザー(例えば、シードレーザーダイオードと後続の1つ以上の光増幅器)またはダイレクトエミッタレーザーダイオードであってもよい。シードレーザーダイオードまたはダイレクトエミッタレーザーダイオードは、(例えば、実質的に一定の直流電流でレーザーダイオードを駆動することによって)CW方式で動作されるものであってもよく、周波数変調は、外部変調器(例えば、電気光学位相変調器)によって提供されるものであってもよい。あるいは、周波数変調は、シードレーザーダイオードまたはダイレクトエミッタレーザーダイオードに、電流変調とともに直流バイアス電流を印加することによって生成されるものであってもよい。電流変調は、対応する屈折率変調をレーザーダイオードに生じさせ、その結果、レーザーダイオードによって出射される光の周波数変調が生じる。電流変調成分(及び対応する周波数変調)は、任意の適切な周波数または形状(例えば、区分的な線形波、正弦波、三角波、または鋸歯状波)を有することができる。
【0043】
図2は、ライダーシステム100によって生成される例示的な走査パターン200を示す。走査パターン200(光走査パターン、光走査パス、走査パス、または走査(スキャン)と呼ばれる場合もある)は、出力ビーム125がFORの全部または一部にわたって走査されるときにしたがうパス(経路)またはコースを表すものであってもよい。走査パターン200の各走査は、1つのフレームまたは1つの点群の取得に対応するものであってもよい。特定の実施形態において、ライダーシステム100は、1つまたは複数の特定の走査パターン200に沿って出力光ビーム125を走査するように構成されるものであってもよい。特定の実施形態において、走査パターン200は、任意の適切な水平FOR(FOR
H)及び任意の適切な垂直FOR(FOR
V)を有する任意の適切な動眼視野(FOR)にわたる走査するものであってもよい。例えば、走査パターン200は、角度寸法(例えば、FOR
H×FOR
V)40°×30°、90°×40°、または60°×15°によって表される動眼視野を有するものであってもよい。別の例として、走査パターン200は、10°、25°、30°、40°、60°、90°、または120°以上のFOR
Hを有していてもよい。さらに別の例として、走査パターン200は、2°、5°、10°、15°、20°、30°、または45°以上のFOR
Vを有していてもよい。
【0044】
図2の例において、基準線220は、走査パターン200の動眼視野の中心を表す。特定の実施形態において、基準線220は、任意の好適な配向、例えば、0°の水平角度(例えば、基準線220は真正面を向いていてもよい)及び0°の垂直角度(例えば、基準線220は0°の傾斜を有していてもよい)を有していてもよく、または基準線220は、ゼロではない水平角度またはゼロではない傾斜(例えば、+10°または-10°の垂直方向の角度)を有していてもよい。
図2において、走査パターン200が60°×15°の動眼視野を有する場合、走査パターン200は、基準線220に関して±30°の水平範囲に及び、基準線220に関して±7.5°の垂直範囲に及ぶものである。さらに、
図2の光ビーム125は、基準線220に関して水平方向に約-15°、垂直方向に約+3°の配向を有する。光ビーム125は、基準線220に対して-15°の方位及び+3°の高度を有すると言うものであってもよい。特定の実施形態において、方位(これは、方位角と呼ばれる場合もある)は、基準線220に対する水平方向の角度を表すものであってもよく、高度(これは、高度角、高さ、または仰角と呼ばれる場合もある)は、基準線220に対する垂直方向の角度を表すものであってもよい。
【0045】
特定の実施形態において、走査パターン200は、複数のピクセル210を含むものであってもよく、各ピクセル210は、1つまたは複数のレーザーパルス及び1つまたは複数の対応する距離測定値に関連付けられるものであってもよい。さらに、走査パターン200は、複数の走査ライン230を含んでいてもよく、各走査ラインは、動眼視野の少なくとも一部にわたる1つの走査を表し、各走査ライン230は、複数のピクセル210を含んでいてもよい。
図2では、走査ライン230は、5つのピクセル210を含み、ライダーシステム100から見て右から左にFORを横切るほぼ水平な走査に対応する。特定の実施形態において、走査パターン200の1サイクルは、合計P
x×P
yピクセル210(例えば、P
xかけるP
yピクセルの二次元分布)を含むものであってもよい。一例として、走査パターン200は、水平方向に沿って約100から約2000ピクセル210、垂直方向に沿って約4から約400ピクセル210の大きさを有する分布を含むものであってもよい。別の例として、走査パターン200は、走査パターン200の1サイクルあたりの合計64000個のピクセルのために、水平方向に沿って1000ピクセル210、垂直方向に沿って64ピクセル210(例えば、フレームサイズは1000×64ピクセル)の分布を含んでもよい。特定の実施形態において、水平方向に沿ったピクセル210の数を走査パターン200の水平解像度と言い、垂直方向に沿ったピクセル210の数を走査パターン200の垂直解像度と言うものであってもよい。一例として、走査パターン200は、100ピクセル242以上の水平解像度を有し、4ピクセル242以上の垂直解像度を有していてもよい。別の例として、走査パターン240は、100から2000ピクセル210の水平解像度と、4から400ピクセル210の垂直解像度を有していてもよい。
【0046】
特定の実施形態において、各ピクセル210は、距離値(例えば、対応するレーザーパルスが散乱されたターゲット130の一部までの距離)または1つ以上の角度値に関連付けられるものであってもよい。一例として、ピクセル210は、距離値と、ライダーシステム100に対するピクセル210の角度位置を表す2つの角度値(例えば、方位及び高度)とに関連付けられるものであってもよい。ターゲット130の一部に対する距離は、対応するパルスの飛行時間測定に少なくとも部分的に基づいて決定されるものであってもよい。角度値(例えば、方位または高度)は、出力ビーム125の(例えば、対応するパルスがライダーシステム100から出射されたときの)角度、または入力ビーム135の(例えば、入力信号がライダーシステム100によって受信されたときの)角度に対応するものであってもよい。特定の実施形態において、角度値は、スキャナ120の構成要素の位置に少なくとも部分的に基づいて角度値を決定されるものであってもよい。一例として、ピクセル210に関連付けられた方位または高度の値は、スキャナ120の1つまたは複数の対応する走査ミラーの角度位置から決定されるものであってもよい。
【0047】
図3は、例示的な回転ポリゴンミラー301を有する例示的なライダーシステム100を示す。特定の実施形態において、スキャナ120は、特定の方向に沿って出力ビーム125を走査するように構成されたポリゴンミラー301を含んでもよい。
図3の例では、スキャナ120は、2つの走査ミラーを含む。(1)Θ
x方向に沿って回転するポリゴンミラー301と、(2)Θ
y方向に沿って前後に振動する走査ミラー302である。ミラー115の横を通過した光源110からの出力ビーム125は、走査ミラー302の反射面320で反射された後、ポリゴンミラー301の反射面(例えば、面320A、320B、320C、または320D)で反射される。ターゲット130からの散乱光は、入力ビーム135としてライダーシステム100に戻る。入力ビーム135は、ポリゴンミラー301、走査ミラー302、およびミラー115から反射し、入力ビーム135は集束レンズ330を通り、受光器140の検出器340に方向付けられる。検出器340は、PNフォトダイオード、PINフォトダイオード、APD、SPAD、または他の任意の適切な検出器であってもよい。反射面320(反射性の面と呼ばれる場合もある)は、反射性金属コーティング(例えば、金、銀、またはアルミニウム)または反射性誘電体コーティングを含んでいてもよく、反射面320は、光源110の動作波長において任意の適切な反射率R(例えば、70%、80%、90%、95%、98%、または99%以上のR)を有していてもよい。
【0048】
特定の実施形態において、ポリゴンミラー301は、Θ
x方向またはΘ
y方向に沿って回転し、出力ビーム125を実質的に水平方向または垂直方向に沿ってそれぞれ走査するように構成されるものであってもよい。Θ
x方向に沿った回転とは、出力ビーム125の実質的に水平方向に沿った走査が生じることになるミラー301の回転運動を指すものであってもよい。同様に、Θ
y方向に沿った回転とは、出力ビーム125の実質的に垂直方向に沿った走査が生じることになる回転運動を指すものであってもよい。
図3において、ミラー301は、Θ
x方向に沿って回転し、出力ビーム125を実質的に水平方向に沿って走査するポリゴンミラーであり、ミラー302は、Θ
y方向に沿って回転し、出力ビーム125を実質的に垂直方向に沿って走査する。特定の実施形態において、ポリゴンミラー301は、任意の適切な方向に沿って出力ビーム125を走査するように構成されていてもよい。一例として、ポリゴンミラー301は、例えば、水平方向または垂直方向に対して約0°、約10°、約20°、約30°、約45°、約60°、約70°、約80°、または約90°の角度など、水平方向または垂直方向に対して任意の適切な角度で出力ビーム125を走査してもよい。
【0049】
特定の実施形態において、ポリゴンミラー301は、その側面または面のうちの2つ以上に反射面320を有する多面体を指すものであってもよい。一例として、ポリゴンミラーは、任意の適切な数の反射面(例えば、2、3、4、5、6、7、8、または10個の面)を含んでもよく、各面は反射面320を含む。ポリゴンミラー301は、例えば、三角形(3つの反射面320を有する)、正方形(4つの反射面320を有する)、五角形(5つの反射面320を有する)、六角形(6つの反射面320を有する)、七角形(7つの反射面320を有する)、または八角形(8つの反射面320を有する)などの、任意の適切な多角形の断面形状を有していてもよい。
図3では、ポリゴンミラー301は、実質的に正方形の断面形状を有し、4つの反射面(320A、320B、320C、320D)を有する。なお、
図3のポリゴンミラー301は、正方形ミラー、立方体ミラー(キューブミラー)、または、四面体ミラーと呼ばれる場合もある。また、
図3において、ポリゴンミラー301は、立方体、直方体、または、角柱に類似した形状を有していてもよい。さらに、ポリゴンミラー301は、合計6つの面を有していてもよく、そのうちの4つの面は、反射面を有する面(300A、320B、320C、320D)を含む。
【0050】
特定の実施形態において、ポリゴンミラー301は、ポリゴンミラー301の回転軸を中心に、時計回りまたは反時計回りの回転方向に連続的に回転するものであってもよい。回転軸は、ポリゴンミラー301の回転平面に垂直であり、ポリゴンミラー301の質量中心を通る線に対応していてもよい。
図3では、ポリゴンミラー301が図面の平面内で回転しており、ポリゴンミラー301の回転軸は図面の平面に垂直である。電気モータが、実質的に固定された周波数(例えば、約1Hz(または1回転/秒)、約10Hz、約50Hzz、約100Hz、約500Hz、または約1000Hzの回転周波数)でポリゴンミラー301を回転させるように構成されていてもよい。一例として、ポリゴンミラー301は、ポリゴンミラー301を約160Hz(または、96000回転/分(RPM))の回転速度で回転させるように構成された電気モータ(例えば、同期式電気モータ)に機械的に結合されていてもよい。
【0051】
特定の実施形態において、出力ビーム125は、ポリゴンミラー301が回転されると、反射面320A、320B、320C、320Dから順次反射されるものであってもよい。これにより、出力ビーム125が特定の走査軸(例えば、水平走査軸または垂直走査軸)に沿って走査されて走査ラインのシーケンスが生成され、各走査ラインはポリゴンミラー301の反射面の1つからの出力ビーム125の反射に対応する。
図3では、出力ビーム125が反射面320Aで反射して1つの走査ラインが生成される。次に、ポリゴンミラー301が回転すると、出力ビーム125が反射面320B、320C、320Dで反射して、2本目、3本目、4本目のそれぞれの走査ラインが生成される。特定の実施形態において、ライダーシステム100は、出力ビーム125が最初にポリゴンミラー301から反射され、次に走査ミラー302から反射されるように(またはその逆に)構成されていてもよい。一例として、光源110からの出力ビーム125は、まずポリゴンミラー301に向けられ、ポリゴンミラー301の反射面で反射され、次に出力ビーム125は、走査ミラー302に向けられ、走査ミラー302の反射面320で反射されてもよい。また、
図3の例では、出力ビーム125は、ポリゴンミラー301と走査ミラー302とで逆の順序で反射される。
図3では、光源110からの出力ビーム125は、まず走査ミラー302に導かれて反射面320で反射され、その後、出力ビーム125はポリゴンミラー301に導かれて反射面320Aで反射される。
【0052】
図4は、ライダーシステム100の例示的な光源視野(FOV
L)及び受光器視野(FOV
R)を示している。ライダーシステム100の光源110は、FOV
LおよびFOV
Rがスキャナ120によって動眼視野(FOR)にわたって走査されるときに、光のパルスを出射するものであってもよい。特定の実施形態において、光源視野とは、特定の瞬間に光源110によって照明される円錐状の角度領域を指すものであってもよい。同様に、受光器視野とは、受光器140が特定の瞬間に光を受信または検出でき、その外側の光は受信または検出できない円錐状の角度領域を指すものであってもよい。一例として、動眼視野にわたって光源視野が走査されるとき、光源110によって出射された光のパルスの一部は、ライダーシステム100から射程に沿って送られてもよく、光のパルスは、パルスが出射されたときにFOV
Lが指し示す方向に送られるものであってもよい。光のパルスは、ターゲット130から散乱され、受光器140は、FOV
Rに沿って方向付けられたまたはFOV
R内に含まれる散乱光の一部を受信および検出するものであってもよい。
【0053】
特定の実施形態において、スキャナ120は、ライダーシステム100の動眼視野にわたって光源視野と受光器視野の両方を走査するように構成されるものであってもよい。スキャナ120が走査パターン200をたどりながら動眼視野にわたってFOV
L及びFOV
Rを走査するように、複数の光パルスが出射され、検出されるものであってもよい。特定の実施形態において、走査パターン240にわたってFOV
Lが走査されるとFOV
Rが同じ走査速度で実質的に同じパスをたどるように、光源視野と受光器視野とが互いに同期して走査されてもよい。特定の実施形態において、動眼視野にわたってFOV
L及びFOV
Rが走査されるときに、FOV
L及びFOV
Rは、互いに同じ相対位置を維持するものであってもよい。一例として、FOV
Lは、FOV
Rと実質的に重なるか、または(
図4に図示されているように)FOV
Rの内側の中央に配置されてもよく、FOV
LとFOV
Rとの間のこの相対的な位置関係は、走査を通じて維持されるものであってもよい。別の例として、FOV
Rは、走査を通じて、特定の固定量だけFOV
Lから遅れていてもよい(例えば、FOV
Rは、走査方向と反対の方向にFOV
Lからずれているものであってもよい)。
【0054】
特定の実施形態において、FOVLは、出力ビーム125の発散角と実質的に同じか、またはそれに対応する角度の大きさまたは範囲ΘLを有していてもよく、FOVRは、受光器140が光を受信して検出することができる角度に対応する角度の大きさまたは範囲ΘRを有してもよい。特定の実施形態において、受光器視野は、光源視野に対する任意の適切なサイズであってもよい。一例として、受光器視野は、光源視野の角度範囲よりも小さくてもよく、光源視野の角度範囲と実質的に同じ大きさであってもよく、または光源視野の角度範囲よりも大きくてもよい。特定の実施形態において、光源視野は、50ミリラジアン(mrad)以下の角度範囲を有するものであってもよく、受光器視野は、50ミリラジアン以下の角度範囲を有するものであってもよい。FOVLは、例えば、約0.1mrad、約0.2mrad、約0.5mrad、約1mrad、約1.5mrad、約2mrad、約3mrad、約5mrad、約10mrad、約20mrad、約40mrad、または約50mradのような任意の適切な角度範囲ΘLを有するものであってもよい。同様に、FOVRは、例えば、約0.1mrad、約0.2mrad、約0.5mrad、約1mrad、約1.5mrad、約2mrad、約3mrad、約5mrad、約10mrad、約20mrad、約40mrad、または約50mradのような任意の適切な角度範囲ΘRを有するものであってもよい。特定の実施形態において、光源視野と受光器視野は、ほぼ等しい角度範囲を有していてもよい。一例として、ΘL及びΘRは共に、1mrad、2mrad、または4mradに略等しいものであってもよい。特定の実施形態において、受光器視野は光源視野よりも大きくてもよく、または光源視野は受光器視野よりも大きくてもよい。一例として、ΘLは3mradに略等しくてもよく、ΘRは4mradに略等しくてもよい。別の例として、ΘRは、ΘLの約L倍の大きさであってもよく、ここでLは、例えば、1.1、1.2、1.5、2、3、5、または10などの任意の適切な係数である。
【0055】
特定の実施形態において、ピクセル210は、光源視野または受光器視野を表すものであってもよく、それらに対応するものであってもよい。出力ビーム125の直径(及び対応するピクセル210のサイズ)は、出力ビーム125が光源110から伝播するにつれて、ビーム発散角ΘLに応じて増大するものであってもよい。一例として、出力ビーム125が2mradのΘLを有する場合、ライダーシステム100から100mの距離では、出力ビーム125は、約20cmのサイズまたは直径を有していてもよく、対応するピクセル210もまた、約20cmの対応するサイズまたは直径を有していてもよい。ライダーシステム100から200mの距離では、出力ビーム125および対応するピクセル210は、それぞれ約40cmの直径を有していてもよい。
【0056】
図5は、複数のピクセル210と複数の走査ライン230を含む例示的な単方向走査パターン200を示している。特定の実施形態において、走査パターン200は、任意の適切な数の走査ライン230(例えば、約1、約2、約5、約10、約20、約50、約100、約500、または約1000の走査ライン)を含んでもよく、走査パターン200の各走査ライン230は、任意の適切な数のピクセル210(例えば、1、2、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、または5000のピクセル)を含んでもよい。
図5に図示された走査パターン200は、8つの走査ライン230を含み、各走査ライン230は、約16のピクセル210を含む。特定の実施形態において、走査ライン230が2方向に走査される(例えば、右から左に、次いで左から右にというように交互に走査される)走査パターン200を双方向走査パターン200と呼ぶものであってもよく、走査ライン230が同一方向にスキャンされる走査パターン200を単方向走査パターン200と呼ぶものであってもよい。
図5の走査パターン200は、各走査ライン230が、FORにわたって実質的に同じ方向(例えば、ライダーシステム100から見てほぼ左から右)に移動する単方向走査パターン200と呼ばれ得る。特定の実施形態において、単方向走査パターン200の走査ライン230は、FORにわたって、例えば、左から右へ、右から左へ、上から下へ、下から上へ、または水平軸または垂直軸に対して任意の適切な角度(例えば、0°、5°、10°、30°、または45°の角度)など、任意の適切な方向に方向付けられてもよい。特定の実施形態において、単方向走査パターン200の各走査ライン230は、前または後の走査ライン230に直接接続されていない別個のラインであってもよい。
【0057】
特定の実施形態において、単方向走査パターン200は、ポリゴンミラー(例えば、
図3のポリゴンミラー301)を含むスキャナ120によって生成されてもよく、各走査ライン230は、ポリゴンミラーの特定の反射面320に関連付けられている。一例として、
図3のポリゴンミラー301の反射面320Aは、
図5の走査ライン230Aを生成することができる。同様に、ポリゴンミラー301が回転すると、反射面320B、320C、320Dがそれぞれ連続して走査ライン230B、230C、230Dを生成してもよい。さらに、ポリゴンミラー301の引き続く回転に対して、反射面320A、320B、320C、320Dからの出力ビーム125の反射によって、走査ライン230A’、230B’、230C’、230D’がそれぞれ連続して生成されてもよい。特定の実施形態において、単方向走査パターン200のN本の連続した走査ライン230は、N面体ミラーの1つの全回転に対応してもよい。一例として、
図5の4つの走査ライン230A、230B、230C、および230Dは、
図3の四面体ミラー301の1つの完全な回転に対応してもよい。さらに、その後のポリゴンミラー301の一回転により、
図5の次の4本の走査ライン230A’、230B’、230C’、230D’が生成されるものであってもよい。
【0058】
図6は、例示的な受光器140を示す。特定の実施形態において、ライダーシステム100の受光器140は、1つまたは複数の検出器340
、1つまたは複数の増幅器350、または1つまたは複数の比較器370を含んでいてもよい。さらに、受光器140は、比較器370のそれぞれに関連付けられた1つまたは複数の時間-デジタル変換器(TDC)380を含んでいてもよい。ライダーシステム100の光源110は、光信号を出射するものであってもよく、受光器140は、遠隔ターゲット130によって散乱され、出射された光信号の一部を含む受信された光信号(例えば、入力光135)を検出するように構成されるものであってもよい。
【0059】
図6に示された例示的な受光器140は、入力光信号(入力光135)を受信し、受信した光信号に対応する光電流iを生成するように構成された検出器340を含む。検出器340は、APD、PNフォトダイオード、またはPINフォトダイオードを含んでいてもよく、検出器340によって生成される光電流iは、光電流信号または電流信号と呼ばれるものであってもよい。検出器340は、光電流iを受信して、受信した光電流に対応する電圧信号360を生成するように構成された電子増幅器350に結合されている。例えば、検出器340は、入力光パルスを検出することに応答して光電流のパルスを生成するAPDであってもよく、電圧信号360は、光電流のパルスに対応するアナログ電圧パルスであってもよい。増幅器350は、光電流iを受信し、光電流信号に対応する電圧信号を生成するように構成されたトランスインピーダンス増幅器を含んでいてもよい。さらに、増幅器350は、電圧信号を増幅する電圧増幅器、または、光電流または電圧信号をフィルタリングする電子フィルタ(例えば、ローパスフィルタ)を含んでいてもよい。
【0060】
図6において、増幅器350によって生成された電圧信号360は、N個の比較器(比較器370-1、370-2、・・・、370―N)に結合され、各比較器には、特定の閾値または基準電圧(V
T1、V
T2、・・・、V
TN)が供給される。例えば、受光器140は、N=10個の比較器を含んでいてもよく、閾値電圧は、0ボルトと1ボルトの間の10個の値に設定されてもよい(例えば、V
T1=0.1V、V
T2=0.2V、
およびV
T10=1.0Vなど)。比較器は、電圧信号360が特定の閾値電圧を超えて上昇したときまたは閾値電圧を下回って下降したときに、エッジ信号(例えば、立ち上がりまたは立ち下がりの電気的エッジ)を生成してもよい。例えば、比較器370-2は、電圧信号360が閾値電圧V
T2を超えて上昇したときに、立ち上がりエッジを生成してもよい。加えてまたは代わりに、比較器370-2は、電圧信号360が閾値電圧V
T22を下回って下降したときに、立ち下がりエッジを生成してもよい。
【0061】
図6の受光器140は、N個の時間-デジタルコンバータ(TDC)(380-1、380-2、・・・、380-N)を含み、各比較器は、TDCの1つに結合されている。各TDCは、比較器からエッジ信号を受信したときの時間を表す出力電気信号(例えば、デジタル信号、デジタルワード、またはデジタル値)を生成するタイマとして機能するものであってもよい。例えば、電圧信号360が閾値電圧V
T1を超えて上昇した場合、比較器370-1は、TDC380-1の入力に供給されるエッジ信号を生成し、TDC380-1は、エッジ信号がTDC380-1によって受信された時間に対応するデジタル値を生成してもよい。デジタル時間値は、光のパルスが出射される時間を指すものであってもよく、デジタル時間値は、光のパルスがターゲット130まで進行してライダーシステム100に戻ってくるまでの往復時間に対応してもよい。
【0062】
図6の出力電気信号は、比較器からエッジ信号を受信するTDCのそれぞれからのデジタル値を含んでもよく、各デジタル値は、光源110による光パルスの出射と比較器からのエッジ信号の受信との間の時間間隔を表してもよい。例えば、光源110は、ターゲット130によって散乱される光のパルスを出射してもよく、受光器140は、散乱された光のパルスの一部を入力光信号135として受信してもよい。受光器140内のTDCは、ゼロカウントにリセットされてもよく、光源110が光のパルスを出射すると、TDCは、経過時間に対応するカウントの累積を開始してもよい(例えば、TDCは、クロックサイクルまたはクロックサイクルの何らかの分数でカウントしてもよい)。TDC380-1が比較器370-1からエッジ信号を受信すると、TDC380-1は、時間カウントの累積を停止し、光パルスの出射とエッジ信号の受信との間の時間間隔を表すデジタル信号を生成してもよい。例えば、デジタル信号は、光パルスの出射とエッジ信号の受信との間に経過したクロックサイクルの数に対応するデジタル値を含んでもよい。TDCからの出力電気信号は、検出器340によって検出された入力光信号135に対応し、比較器からエッジ信号を受信したTDCのそれぞれからのデジタル値を含んでいてもよい。出力電気信号は、コントローラ150に送られてもよく、コントローラは、出力電気信号に少なくとも部分的に基づいて、ターゲット130までの距離を決定してもよい。加えてまたは代わりに、コントローラ150は、TDCから受信した出力電気信号に少なくとも部分的に基づいて、入力光信号135の光学特性を決定してもよい。
【0063】
特定の実施形態において、ライダーシステム100の受光器140は、1つまたは複数のアナログデジタル変換器(ADC)を含んでいてもよい。一例として、複数の比較器およびTDCを含む代わりに、受光器140は、増幅器350から電圧信号360を受信し、電圧信号360に対応するデジタル化された出力電気信号を生成するADCを含んでもよい。本開示では、1つまた複数の比較器370および1つまたは複数のTDC380を含む例示的な受光器140を説明または図示しているが、受光器140は、追加的または代替的に、1つまたは複数のADCを含んでもよい。一例として、
図6において、受光器140は、N個の比較器370およびN個のTDC380の代わりに、電圧信号360を受信し、電圧信号360に対応するデジタル化された値を含む出力電気信号を提供するように構成されたADCを含んでいてもよい。
【0064】
図7は、受信した光信号135に対応する例示的な電圧信号360を示している。
図7に図示された電圧信号360は、電子増幅器350によって生成されたアナログ信号であってもよく、
図6の受光器140によって検出された光のパルスに対応していてもよい。y軸上の電圧レベルは、それぞれの比較器370-1、370-2、・・・、370-Nの閾値電圧V
T1、V
T2、・・・、V
TNに対応している。また、時間値t
1、t
2、t
3、・・・、t
Nは、電圧信号360が対応する閾値電圧を超えた時に対応し、時間値t’
1、t’
2、t’
3、・・・、t’
Nは、電圧信号360が対応する閾値電圧を下回った時に対応する。例えば、電圧信号360が閾値電圧V
T1を超えた時刻t
1において、比較器370-1はエッジ信号を生成し、TDC380-1は時間t
1に対応するデジタル値を出力してもよい。さらに、TDC380-1は、電圧信号360が閾値電圧V
T1を下回った時の時間t’
1に対応するデジタル値を出力してもよい。あるいは、受光器140は、電圧信号360が閾値電圧V
T1を下回った時の時間t’
1に対応するデジタル値を出力するように構成された追加のTDC(
図6には図示せず)を含んでいてもよい。受光器140からの出力電気信号は、時間値t
1、t
2、t
3、・・・、t
Nおよびt’
1、t’
2、t’
3、・・・、t’
Nのうちの1つまたは複数に対応する1つまたは複数のデジタル値を含んでいてもよい。さらに、出力電気信号は、時間値に関連する閾値電圧に対応する1つまたは複数の値を含んでいてもよい。
図7の電圧信号360は、閾値電圧V
TNNを超えていないので、対応する比較器370-Nは、エッジ信号を生成しない。その結果、TDC380-Nは時間値を生成しないか、またはTDC380-Nはエッジ信号を受信しなかったことを示す出力電気信号を生成してもよい。
【0065】
特定の実施形態において、受光器140によって生成される出力電気信号は、受光器140によって検出された受信光信号の光学特性に対応してもよく、光学特性を決定するために使用されるものであってもよい。光学特性は、受信した光信号のピーク光パワー、受信した光信号の平均光パワー、受信した光信号のピーク光強度、受信した光信号のエネルギー、受信した光信号の持続時間、または受信した光信号の形状(例えば、パルス形状)を指すものであってもよい。例えば、受光器140によって検出された光パルスは、以下の光学特性のうちの1つまたは複数を有していてもよい。すなわち、1ナノワットと10ワットの間のピーク光パワー、1アトジュールと10ナノジュールの間のパルスエネルギー、および0.1nsと50nsの間のパルス持続時間である。特定の実施形態において、受信した光信号の光学特性は、(例えば、
図6に示されているように)受光器140の1つまたは複数のTDC380によって供給される出力電気信号から決定されてもよく、または、光学特性は、受光器140の1つまたは複数のADCによって供給される出力電気信号から決定されてもよい。
【0066】
特定の実施形態において、受信した光信号のピーク光パワーまたはピーク光強度は、受光器140によって供給される出力電気信号のうちの1つまたは複数の値から決定されてもよい。一例として、コントローラ150は、電圧信号360のピーク電圧(V
ピーク)に基づいて、入力光パルス135のピーク光パワーを決定してもよい。コントローラ150は、電圧信号360のピーク電圧と受信光信号のピーク光パワーとを相関させる式またはルックアップテーブルを使用してもよい。
図7の例では、入力光パルスのピーク光パワーは、電圧信号360のピーク電圧V
ピークにほぼ等しい閾値電圧V
T(N-1)から決定されてもよい(例えば、閾値電圧V
T(N-1)は、10mWのピーク光パワーを有する入力光パルス135と関連付けられてもよい)。別の例として、コントローラ150は、電圧信号360のピーク電圧を決定するために、出力電気信号の値にカーブフィットまたは補間操作を適用し、その後、このピーク電圧を使用して入力光パルスのピーク光パワーを決定してもよい。
【0067】
特定の実施形態において、受信した光信号のエネルギーは、出力電気信号のうちの1つまたは複数の値から決定されてもよい。例えば、コントローラ150は、電圧信号360に対応するデジタル値の総和を実行して、電圧-信号曲線下の面積を決定してもよく、電圧-信号曲線下の面積は、入力光パルス135のパルスエネルギーと相関するものであってもよい。一例として、
図7の電圧-信号曲線の下のおおよその面積は、曲線をM個のサブセクション(ここで、Mは、出力電気信号に含まれる時間値の数にほぼ等しい)に細分化し、サブセクションのそれぞれの面積を加算する(例えば、リーマン和、台形ルール、シンプソンルールなどの数値積分手法を使用する)ことによって決定されてもよい。例えば、
図7の電圧-信号曲線360の下のおおよその面積Aは、以下の式
【数1】
を用いたリーマン和から求めてもよい。ここで、V
TKは、時間値t
kに関連するしきい値電圧であり、Δt
kは、時間値t
kに関連するサブセクションの幅である。
図7の例では、電圧信号360は、1ピコジュールのパルスエネルギーを有する受信光パルスに対応していてもよい。
【0068】
特定の実施形態において、受信した光信号の持続時間は、対応する電圧信号360の持続時間または幅から決定されてもよい。例えば、出力電気信号の2つの時間値の差を用いて、光パルスの持続時間を決定してもよい。
図7の例では、電圧信号360に対応する光信号の持続時間は、差(t
’
3-t
3)から決定されてもよく、これは、2ナノ秒のパルス持続時間を有する受信光パルスに対応していてもよい。上述した受信光信号の光学特性を決定するための方法の1つまたは複数は、(
図6に示されているように)複数の比較器370およびTDC380を含む受光器140を用いて、または1つまたは複数のADCを含む受光器140を用いて実装されるものであってもよい。
【0069】
特定の実施形態において、1つまたは複数の受光器140によって生成される1つまたは複数の出力電気信号は、受光器によって検出された2つまたは複数の光パルスの光学的特性を比較するために使用されてもよい。例えば、受光器140は、2つの別々の光パルスを検出するように構成された2つの検出器340を含んでいてもよい(例えば、各検出器は、受信した光パルスの異なる部分を検出してもよい)。2つの光パルスの光学特性は、2つのパルスに関連し、受光器140によって生成される1つまたは複数の出力電気信号に基づいて比較されてもよい。例えば、コントローラ150は、2つの光パルスに関連する2つの電圧信号360のピーク電圧を決定してもよい。より高いピーク電圧を有する電圧信号360は、より高いピーク光パワーまたはピーク光強度を有する光パルスに対応し得る。コントローラ150は、2つの光パルスの光パワーまたは強度の値を(例えば、数式またはルックアップテーブルを使用して)決定するのではなく、1つまたは複数の出力電気信号のピーク電圧値を比較して、どのパルスがより高いピーク光パワーまたは強度を有するかを決定してもよい。別の例として、コントローラ150は、2つの電圧-信号曲線の下の領域を比較して、2つの対応する光パルスのエネルギーを比較してもよい。より大きな面積を持つ電圧-信号曲線は、より大きなパルスエネルギーを有する光パルスに対応し得る。コントローラ150は、2つの光パルスのパルスエネルギーの値を決定するのではなく、2つの電圧-信号曲線の面積を比較して、どちらのパルスがより高いパルスエネルギーを有するかを決定してもよい。
【0070】
図8は、例示的なライダーシステム100と、ライダーシステム100の動作レンジ(R
OP)内に位置するターゲット130Aとを示す。特定の実施形態において、ライダーシステム100は、ライダーシステム100の動眼視野内に方向付けられた複数の光のパルスを出射するように構成された光源110を含むものであってもよい。
図8のライダーシステム100は、光パルス400Aを含む出力ビーム125を出射する。光パルス400Aは、ライダーシステムから距離D
Aに位置するターゲット130Aに伝播する。ここでD
Aは、動作レンジR
OPよりも小さい。光パルス400Aは、ターゲット130Aによって散乱され、散乱光の一部は、入力ビーム135としてライダーシステム100に戻るように伝播する。入力ビーム135は、ライダーシステム100が出射した光パルス400Aのうち、ターゲット130Aによって散乱された部分を含む光パルス410Aを含む。ライダーシステム100は、受信した光パルス410Aを検出する受光器140を含んでもよい。さらに、ライダーシステム100は、光パルス400Aの出射と光パルス410Aの検出との間の時間間隔に基づいて、ターゲット130Aまでの距離D
Aを決定するコントローラ150を含んでいてもよい。特定の実施形態において、出力ビーム125は、光信号を含んでいてもよく、光信号と呼ばれるものであってもよい。また、入力ビーム135は、受信した光信号を含んでいてもよく、受信した光信号と呼ばれるものであってもよい。
【0071】
図9は、
図8のライダーシステム100によって出射された光パルス400Aおよび400Bと、受信した光信号に対応する電圧信号360とを示す図である。特定の実施形態において、ライダーシステム100は、複数の光パルスを出射するように構成されてもよく、各光パルスは、以前に出射された光パルスの後に特定の時間間隔で出射される。
図8のライダーシステム100は、光パルス400Aが出射された後の時間間隔τで光パルス400Bを出射する。例えば、2つの引き続く光パルスの間の時間間隔τ(パルス周期と呼ばれる場合もある)は、約20ns、約50ns、約100ns、約500ns、約1ps、約2ps、約5ps、約10ps、または他の任意の適切な時間間隔であってもよい。光パルス400Aからの散乱光を含む受信光信号は、ライダーシステム100の受光器140によって検出され、受光器140は、
図9の対応する電圧信号360を生成してもよい。電圧信号360は、光パルス400Aの出射後の時間間隔T
Aで生成され、散乱光パルス410Aの受信に対応する電気パルスを含む。ライダーシステム100は、光パルス400Aの出差から光パルス410Aの検出までの時間T
Aに基づいて、ターゲット130Aまでの距離D
Aを決定してもよい。距離D
Aは、D
A=c・T
A/2の式から決定され得る。例えば、T
Aが1psである場合、ターゲット130Aまでの距離D
Aは、約150mである。さらに、D
Aよりも大きい
図8の動作レンジR
OPは、約200mmであってもよい。
【0072】
図10は、例示的なライダーシステム100と、ライダーシステム100の動作レンジ(R
OP)の外に配置されているターゲット130Cとを示している。
図10のライダーシステム100は、光パルス400Cを含む出力ビーム125を出射する。光パルス400Cは、ライダーシステムから距離D
Cに位置するターゲット130Cに伝播する。ここで、D
Cは、動作レンジR
OPよりも大きい。光パルス400Cは、ターゲット130Cによって散乱され、散乱光の一部は、入力ビーム135としてライダーシステム100に戻るように伝播する。入力ビーム135は、ライダーシステム100が出射した光パルス400Cのうち、ターゲット130Cによって散乱された部分を含む光パルス410Cを含む。ライダーシステム100は、受信する光パルス410Cを検出する受光器140を含んでいてもよい。
【0073】
図11は、
図10のライダーシステム100が出射する光パルス400Cおよび400Dと、受信した光信号に対応する電圧信号360とを示す図である。
図10のライダーシステム100は、光パルス400Cが出射された後、時間間隔τで光パルス400Dを出射してもよい。光パルス400Cからの散乱光を含む受信光信号は、ライダーシステム100の受光器140によって検出され、
図11の対応する電圧信号360が生成される。電圧信号360は、光パルス400Cの出射から時間間隔T
C後に生成される、散乱光パルス410Cの受信に対応する電気パルスを含む。電圧信号360の電気パルスによって示される散乱光パルス410Cの受信は、光パルス400Dが出射された後の時間ΔTに発生する。
【0074】
特定の実施形態において、ターゲット130までの距離がライダーシステム100の動作レンジR
OPよりも大きい場合に、レンジ曖昧性事象が発生する場合がある。レンジ曖昧性事象(レンジアンビギュイティまたはレンジラップと呼ばれる場合もある)とは、受信した光パルスがどの出射光パルスに関連しているかが曖昧であるために、ライダーシステム100がターゲット130までの誤った距離を決定する可能性がある状況を指す。
図8および
図9において、ターゲット130Aまでの距離D
Aは、D
Aが動作レンジR
OPPよりも小さいので、レンジ曖昧性なしに決定され得る。
図9の電圧信号360の電気パルスによって示されるように、光パルス410Aの受信は、後続の光パルス400Bの出射に先立って発生するので、ライダーシステム100は、レンジ曖昧性が生じない可能性がある。すなわち、
図9の電気パルスは、出射された光パルス400Aと曖昧さなく関連付けられ得るものであり、その結果、ターゲット130Aまでの距離D
Aが曖昧さなく決定され得る。
【0075】
図10および
図11では、ターゲット130Cがライダーシステム100の動作レンジであるR
OPの外に(R
OPを超えて)位置していることから、レンジ曖昧性事象が生じることがある。
図10では、ターゲット130Cまでの正しい距離は、受信した光パルス410C(
図11の電圧信号360のパルスによって示される)を出射された光パルス400Cと関連付けることによって決定されてもよい。例えば、ターゲット130Cまでの正しい距離は、D
C=c・T
C/2の式またはD
C=R
OP+c・ΔT/2の式から求めてられる。しかし、受信した光パルス410
Cが、その後に出射された光パルス400Dと誤って関連付けられた場合、ライダーシステム100は、ターゲット130Cまでの実際の距離D
Cよりも近い誤った距離を決定する可能性がある。ターゲット130Cによって散乱された光パルス410Cは、光パルス400Dが出射された後の時間ΔTにライダーシステム100によって受信される。その結果、ライダーシステムは、受信した光パルス410C(電圧信号360のパルスに対応する)と、その後に出射された光パルス400Dとを誤って関連付け、ライダーシステム100からターゲット130Cまでの距離が、ΔD=c・ΔT/2と誤って決定される可能性がある。ターゲットまでの正しい距離(D
C)は、誤った距離(ΔD)よりも動作距離(R
OP)にほぼ等しい量だけ大きく、
D
C=ΔD+R
OPである。例として、動作距離R
OPが200mで、ターゲットまでの正しい距離D
Cが250mの場合、レンジ曖昧性により、ターゲットまでの距離が
ΔD=50mと誤って判定される可能性がある。
【0076】
特定の実施形態において、ライダーシステム100の動作レンジR
OPは、ライダーシステム100がターゲット130からの散乱光を検出し、ターゲットまでの距離を決定するように構成される距離に対応するものであってもよい。さらに、動作レンジR
OPは、ライダーシステム100が、レンジ曖昧性なしにターゲット130までの距離を決定することができる距離に対応してもよい。ライダーシステム100の動作レンジR
OPは、約25m、約50m、約100m、約150m、約200m、約250m、約500m、約1000m、または任意の他の適切な距離であってもよい。R
OPよりも小さい距離に位置するターゲット130の場合、ライダーシステム100は、レンジ曖昧性なしにターゲットまでの距離を決定し得る。ターゲット130がR
OPよりも大きい距離に位置している場合、ライダーシステム100には、レンジ曖昧性が生じ、ターゲットまでの正しい距離を決定しない可能性がある。
図8において、ターゲット130Aは、ライダーシステム100から距離D
Aに位置しており、D
AはR
OPよりも小さく、ライダーシステム100は、距離D
Aをレンジ曖昧性なしに決定し得る。例えば、動作レンジは200mであってもよく、ターゲット130Aまでの距離は150mと決定されてもよい。
図10において、ターゲット130Cは、ライダーシステム100から距離D
Cに位置しており、D
CはR
OPよりも大きい。例えば、動作レンジは200mであってもよく、ターゲット130Cまでの距離は250mであってもよい。レンジ曖昧性が生じる場合、ライダーシステムは、ターゲット130Cまでの誤った距離(例えば、50mの誤った距離)を決定する可能性がある。
【0077】
特定の実施形態において、ライダーシステム100の動作レンジR
OPは、
R
OP=c・τ/2という式によって、引き続くパルス間の時間τに関連するものであってもよい。例えば、引き続くパルス間の時間が1.33μsである場合、動作レンジは約200mであってもよい。ターゲット130がR
OPよりも小さい距離に位置する場合、ターゲットからの散乱光は、時間τが経過する前かつ後続のパルスが出射される前に、ライダーシステム100によって受信されてもよい。その結果、ライダーシステム100は、レンジ曖昧性なしに、ターゲット130までの距離を決定し得る。ターゲット130が動作レンジR
OPの外に位置する場合、ターゲット130からの散乱光は、後続のパルスが出射された後(例えば、前のパルスが出射されてから時間間隔τが経過した後)に受信されてもよい。
図10及び
図11において、ライダーシステム100には、レンジ曖昧性が生じ、受信したパルス410Cが、以前に出射されたパルス400Cと関連するのか、後続のパルス400Dと関連するのかを判定できない場合がある。例えば、パルス400Dは、パルス400Cが出射された1.33μs後に出射され(200
mの動作レンジに対応)、散乱パルス410Cは、パルス400Dが出射された0.34μs後に受信される場合がある(ターゲット130Cまでの距離が250mに対応)。レンジ曖昧性の結果、ライダーシステム100は、ターゲット130までの正しい距離を決定できない可能性がある。
【0078】
特定の実施形態において、ライダーシステム100は、以下の光学特性のうちの1つまたは複数を有する複数の光パルスを出射するように構成されたパルスライダーシステムであってもよい。これらの光学特性は、0.1μJと100μJの間のパルスエネルギー、80kHzと10MHzの間のパルス繰り返し周波数、および0.1nsと50nsの間のパルス持続時間である。一例として、
図1、3、8、および10に図示されたライダーシステム100の1つまたは複数は、約0.5から約1μJのパルスエネルギー、約400から約800kHzのパルス繰り返し周波数、および約2から約5nsのパルス持続時間を有する光のパルスを出射するように構成された光源110を含んでいてもよい。特定の実施形態において、ライダーシステム100は、それぞれが周波数変調された光を含む複数の光信号を出射するように構成されたFMCWライダーシステムであってもよい。
図1、3、8、および10に図示されたライダーシステム100の1つまたは複数は、FMCWライダーシステムとして動作するように構成されていてもよい。
【0079】
図12は、2つの検出器340-1および340-2を有する例示的な受光器140を示す。特定の実施形態では、受光器140は、2つ以上の検出器340を含んでいてもよい。
図12の検出器340-1および検出器340-2のそれぞれは、例えばアバランシェフォトダイオード(APD)またはPINフォトダイオードなどの、任意の適切なタイプの検出器を含んでいてもよい。例えば、検出器340-1および340-2のそれぞれは、ライダーシステム100の1200nmと1600nmの間の1つまたは複数の動作波長の光を検出するように構成されたInGaAs APDであってもよい。2つの検出器340-1および340-2は、別々のパッケージまたはチップに含まれる別々の検出器コンポーネントであってもよい。例として、検出器340-1は、第1の検出器チップの一部であってもよく、検出器340-2は、第1の検出器チップとは別の第2の検出器チップの一部であってもよい。あるいは、2つの検出器340-1および340-2は、同じパッケージに含まれていてもよく、同じチップに集積化されていてもよい。
【0080】
特定の実施形態において、ライダーシステム100は、(1)ライダーシステム100の動眼視野にわたって走査方向に出力ビーム125を走査し、(2)ライダーシステム100の動眼視野にわたって同じ走査方向に受光器140の視野を走査するように構成されたスキャナ120を含んでいてもよい。出力ビーム125は、ライダーシステムの光源110が発する光信号(例えば、光のパルス)を含んでいてもよく、受光器140は、受光器FOVの方向からライダーシステム100に向かって散乱する出力ビーム125からの光を検出してもよい。
図12では、受光器FOVは、動眼視野にわたって走査方向に走査され、受光器FOVから受光器140に戻るように伝搬する光は、レンズ330によって検出器340-1および340-2に集束される。集束された光は、受光器FOVが走査されるときに検出器340-1および340-2を横切って(スポットの移動方向に)移動するスポットまたは画像を形成する。
【0081】
特定の実施形態において、光源110は、光パルスを出射してもよく、ターゲット130によって散乱された光パルスの一部は、受光器140に向けられ、検出器340-1および340-2上のスポットに集束してもよい。受信した光パルスは、受信した光パルスの第1の部分が検出器340-1によって検出され、受信した光パルスの第2の部分が検出器340-2によって検出されるように、検出器340-1および340-2に方向付けられていてもよい。第1の部分および第2の部分は、それぞれ、ライダーシステム100からターゲット130までの距離に少なくとも部分的に依存する光パワーまたはエネルギーの量を有してもよい。例えば、近くのターゲット130については、受信した光パルスの第1の部分は、第2の部分よりも大きなエネルギーまたはピークパワーを有していてもよい。さらに、ライダーシステム100の動作レンジの外に位置するターゲット130については、受信した光パルスの第1の部分は、第2の部分よりも低いエネルギーまたはピークパワーを有していてもよい。
【0082】
図13は、2つの例示的な検出器340-1および340-2に重ね合わされた受信光の4つの例示的なスポットを示している。2つの検出器340-1および340-2は、
図12に図示されたものと同様の受光器140の一部であってもよく、4つのビームスポット(スポット-1、スポット-2、スポット-3、およびスポット-4)は、2つの検出器340-1および340-2に対して4つの異なる位置に配置されている。この4つのスポットは、ライダーシステム100から異なる距離に位置する4つのターゲット130から散乱された受信光を表している。スポットの各々のサイズまたは位置は、対応するターゲット130がライダーシステム100からどのくらいの距離に位置するかに依存するものであってもよい。スポットは、対応するターゲット130までの距離が長くなるにつれて、スポットの移動方向(例えば、
図13の左から右へ)に検出器340-1および340-2を横切って移動するものであってもよい。例えば、スポット-1は、比較的近いターゲット130(例えば、ライダーシステム100から50m未満の距離に位置するターゲット)から受信した散乱光の焦点スポットを表してもよく、スポット-4は、比較的遠いターゲット130(例えば、ライダーシステムの動作レンジの外に位置するターゲット)から受信した散乱光のスポットを表してもよい。スポット-2およびスポット-3は、それぞれライダーシステム100から中間距離(例えば、50mと動作レンジとの間の距離)に位置するターゲット130から受信した散乱光を表してもよい。
【0083】
スポットの各々のサイズは、受信した光が検出器上にどれだけ強く集束されるかに対応してもよく、受信した光の集束は、対応するターゲット130までの距離に依存してもよい。例えば、近くのターゲットからの光には焦点ぼけが生じてもよく、中間距離のターゲットからの光はよく集束するものであってもよく、動作レンジの外に位置するターゲットからの光には焦点ぼけが生じてもよい。近くのターゲットから受け取った光を表し得るスポット-1は、焦点ぼけが生じて比較的大きなスポットサイズを有しており、中間距離のターゲットから受け取った光を表し得るスポット-2は、比較的小さなスポットサイズに集束されている。
図13の各スポットの直径は、検出器における集束された入力ビーム135のビーム直径に対応していてもよい。例えば、スポット直径は、検出器におけるビームの1/e径、1/e
2径、または半値全幅(FWHM:full width at half maximum)径に対応していてもよい。別の例として、スポット-1は、約100μmの1/e
2径を有し、スポット-2は、約40μmの1/e
2径を有するものであってもよい。
【0084】
特定のスポットに関連する光を受信することに応答して検出器340-1および340-2のそれぞれによって生成される光電流の量は、スポットのサイズおよび検出器上のその位置に少なくとも部分的に依存し得る。例えば、スポット-1の約10%が検出器340-1に重なる場合、検出器340-1は、スポット-1に関連する光のパワーまたはエネルギーの約10%に対応する光電流信号を生成してもよい。特定のスポットに関連する光は、
図13に示されたスポットの円形の境界を超えて延びてもよい。例えば、スポット-1に関連する光は、近似的なガウス分布を有していてもよく、スポット-1で表される光のパワーまたはエネルギーの一部は、スポット-1の境界の外側で検出器340-2まで延びていてもよい。一例として、スポット-1に関連する光の約0.01%が検出器340-2に重なってもよく、検出器340-2は、スポット-1に関連する光のパワーまたはエネルギーの約0.01%に対応する光電流信号を生成してもよい(例えば、検出器340-2からの信号は、検出器340-1からの信号よりも1000倍小さくてもよい)。別の例として、スポット-2に関連する光の約95%が検出器340-1と重なってもよく、スポット-2に関連する光の約1%が検出器340-2と重なってもよい(例えば、検出器340-2からの信号は、検出器340-1からの信号よりも約95倍小さくてもよい)。別の例として、スポット-3は、2つの検出器340-1および340-2に対してほぼ中央に位置してもよく、各検出器は、ほぼ同じ振幅を有する光電流を生成してもよい。別の例として、スポット-4に関連する光の約70%が検出器340-2と重なり、スポット-4に関連する光の約1%が検出器340-1と重なってもよい(例えば、検出器340-2からの信号は、検出器340-11からの信号よりも約70倍大きくてもよい)。
【0085】
特定の実施形態において、受光器140の1つまたは複数の検出器340は、受光器140の視野の走査方向に対応するラインに沿って配置されてもよい。
図12では、検出器340-1および340-2を横切るスポットの移動方向は、反対方向ではあるが、受光器FOVの走査方向に対応している。受光器FOVが上向きの走査方向に走査すると、集光された光スポットは、走査方向と平行な下向きの方向に検出器340-1および340-2を横切って移動する。
図13では、集光された光スポットは、検出器340-1および340-2を横切って左から右へと移動し、検出器340-1および340-2は、スポットの移動方向に対応するラインに沿って横並びに配向されている。スポットの移動方向に対応するラインは、受光器FOVの走査方向に対応するラインとほぼ平行であってもよい。さらに、検出器340-1および340-2上に像形成される受光器FOVの走査方向は、検出器を横切るスポット移動の方向に対応していてもよい。
【0086】
図14は、ターゲット130までの距離の関数として、
図13の検出器によって生成される信号の例を示している。
図14の曲線は、入力光信号135に応答して各検出器によって生成される信号(例えば、光電流)の振幅に対応してもよく、入力光信号135は、ライダーシステム100から特定の距離に位置するターゲット130によって散乱された出力光信号125からの光を含んでいる。検出器340-1によって生成される信号(実線で表される)は、近くのターゲットについては比較的大きく、その後、ターゲットまでの距離が長くなるにつれて低下する。検出器340-2によって生成される信号(破線で表される)は、近距離および中間距離に対して変化し、その後、距離が増加するにつれて低下する。
図14において、y軸上の値は、検出器340-1および340-2のそれぞれで検出される光信号の光学的特性に対応していてもよい。例えば、スポット-3では、2つの検出器は、ほぼ同じ光パワーまたはエネルギーを有する光信号を検出してもよい。スポット-2では、検出器340-1によって検出された光信号の部分は、検出器340-2によって検出された光信号の部分よりも約100倍の光パワーまたはエネルギーを有していてもよい。スポット-4では、検出器340-1によって検出された光信号の部分は、検出器340-2によって検出された光信号の部分よりも約100倍少ない光パワーまたはエネルギーを有していてもよい。
【0087】
図14の丸で囲んだ数字1、2、3、4は、
図13の対応するビームスポットを表している。スポット-1は、ライダーシステムの比較的近く(例えば、20mの距離)に位置するターゲット130から散乱された光に対応し得る。スポット-1は、検出器340-1との重なりが比較的小さい(例えば、約10%の重なり)が、ターゲット130が比較的近いので、検出器340-1に到達するターゲット130からの散乱光の量はかなり多い。その結果、
図14にスポット-1の光から検出器340-1によって生成される比較的大きな信号によって示されているように、検出器340-1によって生成される光電流は比較的大きい。スポット-1は、検出器340-2との重なりが非常に小さく、
図14では、スポット-1から検出器340-2によって生成された光電流は、検出器340-1によって生成された光電流の約1000倍小さい。スポット-2は、ライダーシステムから中間距離(例えば、65mの距離)に位置するターゲット130から散乱された光に対応し得る。
図14では、スポット-2から検出器340-2によって生成される光電流は、検出器340-1によって生成される光電流よりも約100倍小さい。スポット-3は、2つの検出器340-1および340-2によって生成される光電流がほぼ等しくなる交差ポイントを表している。スポット-3は、中間距離(例えば、150m)または動作レンジ(例えば、200m)付近に位置するターゲット130から散乱された光に対応し得る。スポット-3に対応する距離よりも近くに位置するターゲットについては、検出器340-1によって生成される光電流は、検出器340-2によって生成される光電流よりも大きい。スポット-3に対応する距離を超えて位置するターゲットについては、検出器340-1の光電流は、検出器340-2の光電流よりも小さい。スポット-4は、動作レンジ上に位置する、または動作レンジの外に位置するターゲット130から散乱された光に対応し得る。例えば、ライダーシステム100は、200mの動作レンジを有していてもよく、スポット-4は、ライダーシステム100から250mに位置するターゲット130に対応するものであってもよい。スポット-4から検出器340-2によって生成される光電流は、検出器340-1によって生成される光電流の約100倍である。
【0088】
特定の実施形態において、受光器140は、近距離レンジ検出器および遠距離レンジ検出器を含んでもよい。ライダーシステム100の近距離レンジの距離よりも小さい距離に位置するターゲットから散乱された入力光135については、近距離レンジ検出器は遠距離レンジ検出器よりも大きな応答を生成してもよい。同様に、近距離レンジの距離を超えて位置するターゲットから散乱された光については、遠距離レンジ検出器が近距離レンジ検出器よりも大きな応答を生成してもよい。
図12および
図13の例では、検出器340-1は近距離レンジ検出器と呼ばれる場合があり、検出器340-2は遠距離レンジ検出器と呼ばれる場合がある。さらに、
図14のスポット-3における交差ポイントは、近距離レンジ距離にほぼ等しいライダーシステム100からの距離に位置するターゲット130に対応していてもよい。近距離レンジの距離よりも近くに位置するターゲット130に対して、検出器340-1(例えば、近距離レンジ検出器)は、検出器340-
2(例えば、遠距離レンジ検出器)よりも大きな応答を生成してもよい。同様に、近距離レンジの距離を超えて位置するターゲット130に対して、検出器340-2は、検出器340-1よりも大きな応答を生成してもよい。近距離レンジの距離は、約50m、約100m、約150m、約200m、約250m、約500m、または他の適切な距離であってもよい。
【0089】
特定の実施形態において、近距離レンジの距離は、ライダーシステム100の動作レンジにほぼ等しくてもよい。例えば、ライダーシステム100は、200mの動作レンジを有していてもよく、近距離レンジの距離(検出器340-1と340-2の信号間の交差ポイントに対応する)は、200mにほぼ等しくてもよい。特定の実施形態において、近距離レンジは、ライダーシステム100の動作レンジよりも大きくてもよく、小さくてもよい。例えば、ライダーシステム100は、200mの動作レンジを有していてもよく、近距離レンジの距離が動作レンジよりも小さくなるように、近距離レンジの距離は約150mであってもよい。
【0090】
特定の実施形態において、ターゲット130までの距離に伴う検出器応答の変化は、少なくとも部分的に、ライダーシステム100のスキャナ120によって提供されるものであってもよい。例えば、スキャナ120は、検出器340-1および340-2上の受信光のスポットのサイズおよび位置がターゲット130までの距離とともに変化するように、受光器FOVを走査してもよい。さらに、検出器340-1および340-2は、ターゲット130までの距離が長くなるにつれて、受信光のスポットが検出器340-1から検出器340-2へ移動するように配置されてもよい。近距離レンジの距離内に位置するターゲットの場合、受信した光のスポットは、検出器340-1が検出器340-2よりも大きな応答を生成するように、実質的に検出器340-1に向かって、または検出器340-1の近くに方向付けられていてもよい。近距離レンジを超えて位置するターゲットの場合、受信した光のスポットは、検出器340-2が検出器340-1よりも大きな応答を生成するように、検出器340-2に向きづけられて、または検出器340-2の近くに実質的に向き付けられていてもよい。
【0091】
図15は、2つの検出器(340-1および340-2)および2つの増幅器(350-1および350-2)を含む例示的な受光器140を示す。特定の実施形態において、受光器140は、受信した光信号の第1の部分を検出するように構成された第1の検出器340-1と、受信した光信号の第2の部分を検出するように構成された第2の検出器340-2とを含んでもよい。
図15において、入力ビームからの光は、入力ビームの第1の部分135-1が検出器340-1によって受信され、入力ビームの第2の部分135-2が検出器340-2によって受信されるように、受光器140の検出器340-1および340-2に入射するものであってもよい。第1の部分135-1は、入力光135-1と呼ばれる場合もあり、第2の部分135-2は、入力光135-2と呼ばれる場合もある。入力光135-1は、受信した光のスポットのうち、検出器340-1と重なって検出される部分に対応してもよく、入力光135-2は、スポットのうち、検出器340-2と重なって検出される部分に対応してもよい。
図13の例では、スポット-1のうち、検出器340-1と重なる部分(例えば、スポット-1の約10%)が入力光135-1に対応し、スポット-1のうち、検出器340-2と重なる部分(例えば、スポット-1の約0.1%)が入力光135-2に対応していてもよい。
図13のスポット-2については、検出器340-1と重なるスポット-2の部分(例えば、スポット-2の約95%)は、入力光135-1に対応してもよく、検出器340-2と重なるスポット-2の部分(例えば、スポット-2の約1%)は、入力光135-2に対応してもよい。
図13のスポット-3については、検出器340-1と重なるスポット-3の部分は、入力光135-1に対応してもよく、検出器340-2と重なるスポット-3の部分は、入力光135-2に対応してもよい。
図13のスポット-4について、検出器340-1と重なるスポット-4の部分(例えば、スポット-4の約1%)は、入力光135-1に対応してもよく、検出器340-2と重なるスポット-4の部分(例えば、スポット-4の約70%)は、入力光135-2に対応してもよい。
【0092】
図15において、検出器340-1は、入力光135-1を検出することに応答して光電流i
1を生成し、検出器340-2は、入力光135-2を検出することに応答して光電流i
2を生成する。
図15の光電流i
1、i
2の振幅または大きさは、それぞれの入力光135-1、135-2のパワーまたはエネルギーに対応してもよい。例えば、入力光135-1は、散乱光の受信パルスの第1の部分を含んでいてもよく、検出器340-1は、入力光135-1のパルスに対応する光電流i
1を生成してもよい(例えば、光電流i
1の振幅は、入力光135-1のパルスのピークパワーに比例してもよい)。同様に、入力光135-2は、散乱光の受信パルスの第2の部分を含んでいてもよく、検出器340-2は、入力光135-2のパルスに対応する光電流i
2を生成してもよい。
図15の検出器340-1および340-2によって生成される光電流信号の振幅は、
図14に示される距離に伴う信号の変化と同様に、ターゲット130への距離に応じて変化してもよい。
【0093】
図15では、受光器140は、光電流i
1に対応する第1の電圧信号360-1を生成する第1の増幅器350-1を含む。さらに、受光器140は、光電流i
2に対応する第2の電圧信号360-2を生成する第2の増幅器350-2を含む。増幅器350-1および350-2は、
図6の増幅器350と同様のものであってもよく、それぞれ1つまたは複数のトランスインピーダンス増幅器、電圧増幅器、または電子フィルタを含んでいてもよい。例えば、増幅器350-1は、光電流i
1を受信して、光電流i
1に対応する第1の電圧信号360-1を生成する第1のトランスインピーダンス増幅器を含んでいてもよい。同様に、増幅器350-2は、光電流i
2を受信して、光電流i
2に対応する第2の電圧信号360-2を生成する第2のトランスインピーダンス増幅器を含んでいてもよい。
【0094】
図16は、2つの検出器(340-1および340-2)および1つの増幅器350を含む例示的な受光器140を示す。特定の実施形態において、受光器140は、第1の検出器340-1および第2の検出器340-2を含んでいてもよく、検出器は一体に結合される。
図16では、検出器340-1および340-2は、それらのそれぞれの光電流i
1およびi
2が減算されて差分光電流(これは、差分電流または差分電流信号と呼ばれる場合もある)を生成するように、一体に結合される。検出器340-1および検出器340-2がほぼ同じ大きさの光電流を生成する場合、差分光電流(i
1-i
2)は、ほぼゼロであってもよい。ゼロの差分光電流は、2つの検出器がほぼ同じ量の光電流を生成する
図13および14のスポット-3(例えば、交差ポイント)に対応する。正の差分光電流(例えば、i
1>i
2)は、スポット-3に対応する距離よりも近くに位置するターゲット130に対応し、負の差分光電流(例えば、i
1<i
2)は、スポット-3に対応する距離を超えて位置するターゲット130に対応する。
図16の受光器140は、差分光電流を受信して、差分光電流に対応する電圧信号260を生成する電子増幅器250を含む。
【0095】
特定の実施形態において、受光器140は、受信した光信号の第1の部分を検出するように構成された第1の検出器340-1と、受信した光信号の第2の部分を検出するように構成された第2の検出器340-2とを含んでいてもよい。受光器140は、受信した光信号の第1の部分および第2の部分に対応する電気信号を生成してもよい。例えば、
図15の電圧信号360-1および360-2は、
図6に図示された比較器370およびTDC380と同様に、1つまたは複数の比較器370および1つまたは複数のTDC380に結合されてもよい。TDCは、電圧信号360-1および360-2に対応する出力電気信号を生成してもよく、この出力電気信号は、今度は入力光135-1および入力光135-2にそれぞれ対応する。
【0096】
特定の実施形態において、出力電気信号は、受信した光信号の第1の部分の光学特性または受信した光信号の第2の部分の光学特性に対応する1つまたは複数の値を含むデジタル信号であってもよい。例えば、
図15の出力電気信号は、電圧信号360-1および360-2のそれぞれが特定の閾値電圧を超えたとき、または下回ったときを示す時間値に対応するデジタル値を含んでいてもよい。時間値は、
図7の時間値t
1、t
2、・・・t
N-1またはt’
1、t’
2、・・・t’
N-1と同様であってもよい。別の例として、出力電気信号は、電圧信号360-1が特定の閾値電圧を超えたり下回ったりする時間に対応するデジタル値を含んでもよい。あるいは、出力電気信号は、電圧信号360-2が特定の閾値電圧を超えたとき、または下回ったときに対応するデジタル値を含んでいてもよい。特定の実施形態において、出力電気信号は、受信した光信号の第1の部分に対応する第1の電気信号と、受信した光信号の第2の部分に対応する第2の電気信号とを含んでもよい。第1および第2の電気信号は、コントローラ150に送られる1つの電気信号に結合されてもよく、または、第1および第2の電気信号は、2つの別々の信号として(例えば、シリアルまたはパラレルで)コントローラ150に送られてもよい。
図15では、出力電気信号は、電圧信号360-1に対応する第1の電気信号(これは、今度は入力光135-1に対応する)と、電圧信号360-2に対応する第2の電気信号(これは、今度は入力光135-2に対応する)とを含んでもよい。特定の実施形態において、出力電気信号は、1つまたは複数のアナログ信号、1つまたは複数のデジタル信号、またはアナログ信号とデジタル信号の任意の適切な組み合わせを含んでもよい。
【0097】
特定の実施形態において、コントローラ150(これは、プロセッサ、FPGA、ASIC、コンピュータ、またはコンピューティングシステムを含むか、またはこれらと呼ばれるものであってもよい)は、ライダーシステム100内に配置されてもよく、ライダーシステム100の外部に配置されてもよい。あるいは、コントローラ150の1つまたは複数の部分がライダーシステム100内に配置され、コントローラ150の1つまたは複数の他の部分がライダーシステム100の外部に配置されてもよい。特定の実施形態において、コントローラ150の1つまたは複数の部分は、ライダーシステム100の受光器140内に配置されてもよく、コントローラ150の1つまたは複数の他の部分は、ライダーシステム100の他の部分に配置されてもよい。例えば、受光器140は、受光器140からの出力電気信号を処理するように構成されたFPGAまたはASICCを含んでもよく、処理された信号は、ライダーシステム100内の他の場所に位置するコンピューティングシステムに送られてもよい。特定の実施形態において、コントローラ150は、論理回路、アナログ回路、またはデジタル回路の任意の適切な配置または組み合わせを含んでもよい。
【0098】
特定の実施形態において、ライダーシステム100は、第1の光信号および第2の光信号(例えば、
図11のパルス400Cおよび400D)を出射してもよく、第2の光信号は、第1の光信号の後の時間τに出射される。ライダーシステム100は、ターゲット130によって散乱された出射された第1または第2の光信号の一部を含む受信光信号を検出するように構成された受光器140を含んでもよい。受光器140は、受信した光信号の第1および第2の部分をそれぞれ検出する2つの検出器340-1および340-2を含んでもよい(例えば、
図15では、検出器340-1は第1の部分135-1を検出し、検出器340-2は第2の部分135-2を検出する)。受信した光信号の第1の部分および第2の部分は、第2の光信号が出射された後に検出されてもよい。受光器140は、受信した光信号の第1の部分および第2の部分に対応する出力電気信号を生成してもよく、受光器140は、出力電気信号をライダーシステム100のコントローラ150に送信してもよい。特定の実施形態では、コントローラ150は、(1)受光器140から出力電気信号を受信し、(2)受信した電気信号に少なくとも部分的に基づいて、受信した光信号が出射された第2の光信号(例えば、
図11のパルス400D)に関連するかどうかを判定するように構成されてもよい。加えてまたは代わりに、コントローラ150は、受信した光信号が出射された第1の光信号(例えば、
図11のパルス400C)と関連するかどうかを判定するように構成されてもよい。
【0099】
特定の実施形態において、複数の検出器340を含む受光器140は、ライダーシステム100における範囲の曖昧さを緩和するように構成されてもよい。本明細書に記載されるような複数の検出器340を有する受光器140は、ライダーシステム100が、受信した光パルスが(2つ以上の出射された光パルスの)どの出射された光パルスに関連するかを決定することを可能にするものであってもよい。一例として、レンジ曖昧性の緩和を提供するライダーシステム100は、以下の判定のうちの1つまたは複数を行うように構成されてもよい。(1)受信した光信号が出射された第1の光信号と関連付けられていることを判定する、(2)受信した光信号が出射された第1の光信号と関連付けられていないことを判定する、(3)受信した光信号が出射された第2の光信号と関連付けられていることを判定する、または(4)受信した光信号が出射された第2の光信号と関連付けられていないことを判定する。別の例として、レンジ曖昧性の緩和を提供するライダーシステム100は、以下の判定のうちの1つまたは複数を行うように構成されてもよい。(1)ターゲット130が、ライダーシステム100の動作レンジよりも小さいライダーシステム100からの距離に位置していると判定する、または(2)ターゲット130が、動作レンジよりも大きいライダーシステム100からの距離に位置していると判定する。複数の検出器を有する受光器を含まない他の従来のライダーシステムは、レンジ曖昧性を緩和することができず、またはライダーシステムの動作レンジの外に位置するターゲットに対して誤った距離を提供する可能性がある。
【0100】
特定の実施形態において、受信した光信号が出射された第1または第2の光信号に関連するかどうかを判定することは、電気信号(例えば、
図15の出力電気信号)を分析して、受信した光信号の第1および第2の部分の光学的特性を比較することを含んでもよい。電気信号を分析することは、対応する電圧信号360-1および360-2の1つまたは複数のピーク値、平均値、または面積を決定することを含んでいてもよく、第1および第2の部分の光学特性を比較することは、ピーク値、平均値、または面積を比較することを含んでいてもよい。例えば、受信した光信号は、光パルスを含んでいてもよく、コントローラ150は、電気信号から決定され、第1および第2の部分のエネルギーまたはピークパワーに対応する値を比較することによって、受信した信号の第1および第2の部分135-1および135-2のエネルギーまたはピークパワーを比較してもよい。一例として、より高いピーク電圧V
ピークを有する電圧信号は、より高いピーク光パワーを有する光パルス部分に対応し得る。別の例として、電圧パルス下の面積が大きい電圧信号は、より高い光エネルギーを有する光パルス部分に対応し得る。
【0101】
特定の実施形態において、コントローラ150は、OC1(受信した光信号の第1の部分135-1の光学特性)をOC2(受信した光信号の第2の部分135-2の光学特性)と比較してもよい。光学特性OC1は、第1の部分135-1のピーク光パワー、平均光パワー、ピーク光強度、または光パルスエネルギーに対応する1つまたは複数の値(出力電気信号から決定される)を含んでもよい。同様に、光学特性OC2は、第2の部分135-2のピーク光パワー、平均光パワー、ピーク光強度、または光パルスエネルギーに対応する1つまたは複数の値(出力電気信号から決定される)を含んでもよい。OC1とOC2との比較に基づいて、コントローラ150は、対応する受信光信号が、出射された第2の光信号または出射された第1の光信号のいずれに関連するかを判定してもよい。
【0102】
検出器340-1および340-2からの信号のサイズは、(例えば、
図14に示されているように)ターゲット130までの距離に応じて変化する可能性があるため、コントローラ150は、OC
1とOC
2を比較することによって、受信した光信号が、ライダーシステム100の動作レンジよりも小さい距離または大きい距離に位置するターゲット130から散乱されているかどうかを判定することができる。例えば、ターゲット130がライダーシステム100の動作レンジ内に位置する場合、コントローラ150は、(1)受信した光信号が出射された第2の光信号(すなわち、最も最近に出射された光信号)と関連する、または(2)受信した光信号が出射された第1の光信号(すなわち、以前に出射された光信号)と関連していないと判定してもよい。この場合、受信した光信号が検出されたときには、第1の光信号は、少なくともτの時間間隔で既に移動しており、これは、ライダーシステム100の動作レンジの外に位置するターゲットに対応することになる。したがって、ターゲット130がライダーシステムの動作レンジ内に位置すると判定された場合(OC
1とOC
2の比較に基づいて)、第1の光信号は考慮から除外されてもよく、受信光信号は出射された第2の光信号と関連すると判定されてもよい。別の例として、ターゲット130がライダーシステム100の動作レンジの外に位置する場合、コントローラ150は、(1)受信した光信号が出射された第2の光信号と関連していない、または(2)受信した光信号が出射された第1の光信号と関連すると判定してもよい。
図10および
図11の例では、ターゲット130Cはライダーシステム100の動作レンジの外に位置しており、受信光信号410Cは出射された第1の光信号400Cと関連付けられている。第2の光信号400Dは、ライダーシステム100の動作レンジ内に位置するターゲットを示すことになるため、考慮から除外してもよい。
【0103】
特定の実施形態において、OC
1とOC
2とを比較することは、OC
1がOC
2よりも大きいかどうかを判定することを含んでもよい。OC
1がOC
2よりも大きい場合、プロセッサ150は、(1)受信した光信号が出射された第2の光信号と関連する、または(2)受信した光信号が出射された第1の光信号と関連していないと判定してもよい。OC
1がOC
2よりも大きいことは、受信した光信号が、
図14の交差ポイントに関連する距離よりも小さい距離に位置するターゲット130から散乱されることに対応してもよい。交差ポイントは、OC
1がOC
2にほぼ等しいターゲット距離に対応し、ライダーシステム100は、交差ポイントに関連する距離がライダーシステム100の動作レンジにほぼ等しくなるように構成されてもよい。OC
1がOC
2よりも大きい場合、対応するターゲット130は、動作レンジよりも小さい距離に位置しており、これは、受信した光信号が、出射された第2の光信号からの(出射された第1の光信号からではない)散乱光を含むことを示している。特定の実施形態において、OC
2がOC
1よりも大きい場合、プロセッサ150は、(1)受信した光信号が出射された第2の光信号と関連していない、または(2)受信した光信号が出射された第1の光信号と関連すると判定してもよい。OC
2がOC
1よりも大きいことは、受信した光信号が、動作レンジよりも大きい距離に位置するターゲット130から散乱されたことに対応してもよく、これは、受信した光信号が、出射された第1の光信号からの(出射された第2の光信号からではない)散乱光を含むことを示している。
【0104】
特定の実施形態において、OC
1とOC
2とを比較することは、比OC
1/OC
2が特定の閾値rを超えるかどうかを判定することを含んでもよい。OC
1/OC
2がrより大きい場合、プロセッサ150は、(1)受信した光信号が出射された第2の光信号と関連している、または(2)受信した光信号が出射された第1の光信号と関連していないと判定してもよい。加えてまたは代わりに、OC
1/OC
2がrより小さい場合、プロセッサ150は、(1)受信した光信号が出射された第2の光信号と関連していない、または(2)受信した光信号が出射された第1の光信号と関連していると判定してもよい。rの値は、10
-3、10
-2、10
-1、1、10、10
2、10
3、または他の任意の適切な値に設定されてもよい。例えば、r=1の場合、OC
1/OC
2が1より大きいことは、受信した光信号が、
図14の交差ポイント(スポット-3)に関連する距離よりも小さい距離に位置するターゲット130から散乱されたことに対応し得る。r=1の場合、ライダーシステム100の動作レンジは、交差ポイントに関連する距離にほぼ設定されてもよい。比OC
1/OC
2が1を超えるか否かを判定することは、上述したように、OC
1がOC
2よりも大きいか否かを判定することに対応する。
【0105】
特定の実施形態において、rの値は、ライダーシステム100の動作レンジに基づいて設定されてもよい。例えば、ライダーシステム100の動作レンジが交差ポイントに関連する距離に設定されている場合、rは1に設定されてもよい。これにより、ライダーシステムは、受信した光信号が、動作レンジ内に位置するターゲットから散乱されているのか、動作レンジを超えているのかを判定することができる(比OC
1/OC
2が1より大きいか小さいかに基づく)。別の例として、ライダーシステム100の動作レンジが、
図14のスポット-2に関連する距離に対応する場合、比OC
1/OC
2がその距離で約100であるため、rは100に設定されてもよい。別の例として、ライダーシステム100の動作レンジが、
図14のスポット-4に関連する距離に対応する場合、比OC
1/OC
2がその距離で約0.01であるため、rは0.01に設定されてもよい。
OC
1/OC
2>0.01であれば、コントローラ150は、(1)ターゲットまでの距離が動作レンジよりも小さい、および/または、(2)受信した光信号が出射された第2の光信号と関連していると判定してもよい。OC
1/OC
2<0.01の場合、コントローラ150は、(1)ターゲットまでの距離が動作レンジよりも大きい、および/または、(2)受信した光信号が出射された第1の光信号と関連していると判定してもよい。
【0106】
ライダーシステム100は、第1の光信号および第2の光信号を出射するように構成されてもよく、第2の光信号は第1の光信号の後の時間τに出射される。引き続くパルス間の時間τは、ROP=c・τ/2の式により、ライダーシステム100の動作レンジROPに関連してもよい。受光器140は、ターゲット130によって散乱された出射された第1または第2の光信号の一部を含む受信光信号を検出してもよい。特定の実施形態において、プロセッサ150は、受光器140から受信した電気信号に少なくとも部分的に基づいて、受信した光信号が出射された第2の光信号に関連しているかどうかを判定するように構成されてもよい。受信した光信号が出射された第2の光信号と関連しているとは、受信した光信号が、出射された第2の光信号からの散乱光を含み、出射された第1の光信号からの散乱光をほとんどまたは全く含まないことを指すものであってもよい。さらに、受信した光信号が出射された第2の光信号と関連していることは、ターゲット130までの距離Dがライダーシステム100の動作レンジよりも小さいことに対応してもよい。特定の実施形態では、受信した光信号が出射された第2の光信号と関連していることを判定することに応答して、プロセッサ150は、ターゲット130までの距離を決定してもよい。例えば、ターゲット130までの距離は、式D=c・T/2から決定されてもよい。ここで、Tは、第2の光信号の出射と受信した光信号の検出との間の時間間隔である。この時間Tは、第2の光信号がターゲット130まで移動してライダーシステム100に戻ってくるまでの往復時間に相当する。ターゲット130までの距離は動作レンジ以下(例えば、D<ROP)であるため、往復時間Tはτよりも小さいことになる。
【0107】
特定の実施形態において、プロセッサ150は、受光器140から受信した電気信号に少なくとも部分的に基づいて、受信した光信号が出射された第1の光信号に関連するかどうかを決定するように構成されてもよい。一例として、ライダーシステム100は、第1の光信号および第2の光信号を出射してもよく、第2の光信号は、第1の光信号の後の時間tに出射される。受光器140は、ターゲット130によって散乱された出射された第1または第2の光信号の一部を含む受信光信号を検出してもよい。プロセッサ150は、受信した光信号が出射された第1の光信号に関連するかどうかを判定してもよい。受信した光信号が出射された第1の光信号と関連しているとは、受信した光信号が、出射された第1の光信号からの散乱光を含み、第2の光信号からの散乱光をほとんどまたは全く含まないことを指してもよい。特定の実施形態において、出射された第1の光信号と関連付けられている受信光信号は、ターゲット130までの距離がライダーシステム100の動作レンジよりも大きいレンジアンビギュイティイベントに対応していてもよい。
図10および
図11は、ターゲット130Cまでの距離Dcが動作レンジよりも大きい例示的なレンジアンビギュイティイベントを示すRow さらに、レンジアンビギュイティイベントは、ラウンドトリップタイム7cが連続するパルス間の時間tよりも大きいことに対応する。
【0108】
特定の実施形態において、受信した光信号が出射された第1の光信号に関連すると判定することに応答して、プロセッサ150は、対応する電気信号を無視するように構成されてもよい。一例として、プロセッサ150は、受光器140から電気信号を受信してもよく、受信した信号に基づいて、プロセッサ150は、受信した光信号が出射された第1の光信号と関連すると判定してもよい。この判定は、ターゲット130がライダーシステム100の動作レンジの外に位置するレンジ曖昧性事象が発生したことを示してもよい。判定が行われた後、プロセッサ150は、(1)ターゲット130までの距離を決定することを控える、(2)電気信号に関連するデータを消去または無視する、または(3)受光器140をリセットして後続の光信号の受信を待つように指示することによって、電気信号を無視してもよい。
【0109】
特定の実施形態において、受信した光信号が出射された第1の光信号と関連していることを判定することに応答して、プロセッサ150は、光信号が散乱されたターゲット130までの距離を決定するように構成されてもよい。受信された光信号が出射された第1の光信号と関連していることは、ターゲットまでの距離がライダーシステム100の動作レンジよりも大きい、レンジ曖昧性事象に対応してもよい。例えば、
図10及び
図11において、ターゲット130Cまでの距離D
Cは、式D
C=R
OP+ΔDから決定されてもよい。ここで、R
OP
は動作レンジ(式R
OP=c・τ/2による第1及び第2の光信号の出射の間の時間間隔τに相当する)である。距離ΔDは、式ΔD=c-ΔT/2から決定されてもよい。ここで、ΔTは、第2の光信号の発光と、受信した光信号の受光器140による検出との間の時間間隔に対応する。この場合、受光器140は、第2の光信号が出射されたときに、TDC380によって累積された時間値をリセットしてもよく、その結果、受光器140は、ΔTが決定され得るように時間データを提供してもよい。あるいは、受光器140またはコントローラ150は、時間間隔T
Cに対応する値を決定してもよく、ターゲット130Cまでの距離D
Cは、D
C=c・T
C/2の式から決定されてもよい。
【0110】
特定の実施形態において、ライダーシステム100は、第1の光信号、第2の光信号、および第3の光信号を出射してもよい。第2の光信号は、第1の光信号の後の時間τ1に出射されてもよく、第3の光信号は、第2の光信号の後の時間τ2に出射されてもよい。ここで、τ1およびτ2は、同じ時間間隔であってもよく、異なる時間間隔であってもよい。ライダーシステム100は、ターゲット130によって散乱された出射された第1、第2、または第3の光信号の一部を含む受信された光信号を検出するように構成された受光器140を含んでもよい。受光器140は、受信した光信号の第1および第2の部分をそれぞれ検出する2つの検出器340-1および340-2を含んでもよい。受信した光信号の第1及び第2の部分は、第3の光信号が出射された後に検出されてもよい。受光器140は、受信した光信号の第1の部分および第2の部分に対応する出力電気信号を生成してもよく、受光器140は、出力電気信号をライダーシステム100のコントローラ150に送信してもよい。特定の実施形態において、プロセッサ150は、(1)受光器140から出力電気信号を受信し、(2)受信した電気信号に少なくとも部分的に基づいて、受信した光信号が、出射された第1の光信号、出射された第2の光信号、または出射された第3の光信号に関連しているかどうかを判定するように構成されてもよい。受信した光信号が第3の光信号と関連していることは、ターゲット130までの距離Dがライダーシステム100の動作レンジROPよりも小さい(例えば、D<ROP)ことに対応していてもよい。また、第2の光信号と関連している受信光信号は、ターゲット130までの距離がROPよりも大きく2ROPよりも小さいレンジ曖昧性事象に対応していてもよい。(例えば、ROP<D<2ROP)。また、第1の光信号と関連している受信光信号は、ターゲット130までの距離が2ROPPよりも大きいレンジ曖昧性事象に対応していてもよい(例えば、D>2ROP)。
【0111】
特定の実施形態において、1つまたは複数の電気信号を使用して、入力光ビーム135の受光器140への位置合わせを支援してもよい。例えば、
図12または
図15において、電圧信号360-1、電圧信号360-2、または出力電気信号は、(1)入力光ビーム135を受光器140内に位置合わせするため、(2)入力光ビーム135-1を検出器340-1に対して位置合わせするため、または(3)入力光ビーム135-2を検出器340-2に対して位置合わせするために使用されてもよい。入力光ビーム135の位置合わせは、
図12のレンズ330の位置または向きを調整すること、受光器140に対する入力光ビーム135の角度または位置を調整すること(例えば、ミラーまたは他の光学部品の向きを調整することによって)、入力光ビーム135-1または135-2の角度または位置を調整すること(例えば、ミラーまたは他の光学部品の向きを調整することによって)、または検出器340-1または340-2の位置または向きを調整することを含んでもよい。入力光ビーム135の位置合わせは、交差ポイントに関連する距離を調整または設定するために実行されてもよい。例えば、交差ポイントに関連する所望の距離が150mである場合、ライダーシステム100からの光信号は、約150m離れた場所に位置するターゲットに向けられてもよい。次に、検出器340-1および340-2に関連する信号(例えば、電圧信号360-1および360-2それぞれ)がほぼ等しくなるまで、入力光ビーム135の位置合わせを調整してもよい。これは、入力光ビーム135が検出器340-1および340-2の間でほぼ均等に分割されることを示してもよい(例えば、
図13のスポット-3と同様)。入力光ビーム135の位置合わせを調整することは、ライダーシステム100の組み立てまたは製造中に実行されてもよい。例えば、調整手順が実行された後、レンズ330、検出器340-1、検出器340-2、または調整を実行するために使用される別の光学部品(例えば、ミラー)は、所定の位置に(例えば、エポキシで)固定されてもよい。加えてまたは代わりに、入力光ビーム135の位置合わせの調整は、ライダーシステム100が組み立てられた後または展開された後に(例えば、機械的または熱的なミスアライメントを補償するために)実行されてもよい。一例として、ライダーシステム100は、入力光ビーム135の位置合わせを調整するために使用される調整可能な光学部品(例えば、手動で調整可能なミラー、またはモータやアクチュエータを使用して自動的に調整可能なミラー)を含んでもよい。
【0112】
図17は、例示的なバイセル(二重セル型)検出器チップ500の上面図を示す。特定の実施形態において、受光器140は、単一の検出器チップ500上またはチップ中に配置された2つの検出器340-1および340-2を含んでもよい。別々のパッケージまたは別々のチップに配置された2つの別々の検出器を有するのではなく、2つの検出器340-1および340-2は、それらが同じチップ500の一部であるように一緒に製造されてもよい。バイセル検出器チップ500を含む受光器140は、2つの検出器340-1および340-2によって生成される信号に基づいて、レンジ曖昧性を緩和するように構成されたライダーシステム100の一部であってもよい。例えば、
図12、
図15、または
図16に図示された受光器140は、検出器340-1および340-2がチップ500に一緒に統合されたバイセル検出器チップ500を含んでもよい。
【0113】
バイセル検出器チップ500は、任意の適切なチップ幅(例えば、約100μm、約200μm、約400μm、約600μm、約1mm、約2mm、約5mm、または約10mmのチップ幅)と、任意の適切なチップ長さ(例えば、約100μm、約200μm、約400μm、約600μm、約1mm、約2mm、約5mm、または約10mmのチップ長さ)とを有していてもよい。例えば、
図17のバイセル検出器チップ500は、約400pmの幅と約400pmの長さを有していてもよい。バイセル検出器チップ500における検出器340-1および340-2はそれぞれ、任意の適切な検出器の幅(例えば、約10μm、約20μm、約50μm、約100μm、約200μm、約500μm、または約1mmの検出器の幅)および任意の適切な検出器の長さ(例えば、約10μm、約20μm、約50μm、約100μm、約200μm、約500μm、または約1mmの検出器の長さ)を有してもよい。例えば、
図17の検出器340-1および340-2は、それぞれ、約50μmの幅および約80μmの長さを有してもよい。バイセル検出器チップ500内の検出器340-1および340-2は、任意の適切なギャップ(例えば、約1μm、約2μm、約5μm、約10μm、約20μm、約50μm、約100μm、約200μm、または約500μmの幅を有するギャップ)によって分離されてもよい。例えば、
図17の検出器340-1および340-2は、約10μmのギャップによって分離されてもよい。別の例として、
図17の検出器340-1および340-2は、100μm未満のギャップによって分離されてもよい。別の例として、
図17の検出器340-1および340-2は、約1μmと約100μmの間のギャップによって分離されてもよい。
【0114】
図18は、例示的なバイセル検出器チップ500の側面図を示す。バイセル検出器チップ500は、基板材料510上に配置された検出器340-1および検出器340-2を含む。例えば、検出器340-1および340-2はそれぞれ、InGaAs APDであってもよく、基板材料510はインジウム・リン(InP)を含んでいてもよい。特定の実施形態において、バイセル検出器チップ500における検出器340-1および340-2のそれぞれは、それぞれのアノードおよびカソードのための別個の電気接続を有してもよい。あるいは、検出器340-1および340-2は、共通のアノードまたは共通のカソードを有していてもよい。
図18では、検出器340-1および340-2は、共通のアノード520と、カソード530-1および530-2のための別々の電気接続とをそれぞれ有するように構成されている。アノード520はInPを含んでいてもよく、基板510およびアノード520の両方は、1200nmと1600nmの間の波長を有し得る入力光135-1および135-2に対して実質的に透明であってもよい。
【0115】
図18では、入力光135-1が検出器340-1に入射し、入力光13522が検出器340-2に入射している。ターゲット130までの距離が長くなると、検出器に集光された入力光のスポットは、
図18に示す方向に移動してもよい。近くのターゲット130については、入力光135-1が入力光135-2よりも大きなパワーまたはエネルギーを持つように、入力光のスポットが方向付けられてもよい。特定の距離を超えて位置するターゲットについては、入力光135-1が入力光135-2よりも小さいパワーまたはエネルギーを有するようにしてもよい。
【0116】
図19は、3つの検出器340-1a、340-1b、および340-2を含む例示的なマルチセル(多重セル型)検出器チップ500の側面図を示す。特定の実施形態において、受光器140は、2つ以上の検出器340を含んでもよい。一例として、受光器140は、2つ、3つ、4つ、5つ、または他の任意の適切な数の検出器340を含んでもよい。検出器340は、別個のパッケージまたは別個のチップに配置されてもよく、あるいは、検出器340は、単一のパッケージまたは単一の検出器チップ500上またはチップ中に配置されてもよい。検出器340は、受光器の視野の走査方向に対応するラインに沿って、互いに隣接して配置されてもよい。
図19の例では、3つの検出器(340-1a、340-1b、および340-2)は、単一のマルチセル検出器チップ500に一緒に統合されている。さらに、3つの検出器は、検出器を横切るスポットの移動方向(これは、受光器FOVの走査方向に対応する)に対応するラインに沿って配置されている。
図19に図示されたマルチセル検出器チップ500は、
図17または
図18に図示されたバイセル検出器チップ500と同様であってもよい。
図19の検出器340-1a、340-1b、および340-2はそれぞれ、任意の適切な寸法を有していてもよく、それぞれ、例えばAPDまたはPINフォトダイオードなど、任意の適切なタイプの検出器を含んでいてもよい。
【0117】
特定の実施形態において、受光器140は、入力ビーム135を検出することに応答して検出器340によって生成される信号に基づいてレンジ曖昧性を緩和するように構成されたライダーシステム100の一部であるマルチセル検出器チップ500を含んでもよい。
図19において、入力ビームの第1の部分135-1aが検出器340-1aによって受け取られ、入力ビームの第2の部分135-1bが検出器340-1bによって受け取られ、入力ビームの第3の部分135-2が検出器340-2によって受け取られるように、入力ビーム(例えば、遠隔ターゲットからの散乱光)からの光が検出器に入射してもよい。検出器340-1a、340-1b、および340-2のそれぞれは、それぞれの入力光135-1a、135-1b、および135-2に応答して光電流を生成してもよく、検出器のそれぞれによって生成される光電流の振幅または量は、ターゲット130までの距離に応じて変化してもよい。比較的近いターゲット130(例えば、ライダーシステム100から50m未満に位置するターゲット)から受信した散乱光は、主に検出器340-1aに方向づけられてもよく、中間距離(例えば、50mと近距離レンジの距離間)に位置するターゲット130からの散乱光は、主に検出器340-1bに方向付けられてもよい。ターゲット130が近距離レンジの距離を超えて位置する場合、受信した散乱光は主に検出器340-2に方向付けられてもよい。
【0118】
特定の実施形態において、受光器140の1つまたは複数の検出器340は、近距離レンジ検出器として動作するように構成されてもよく、受光器140の1つまたは複数の他の検出器340は、遠距離レンジ検出器として動作するように構成されてもよい。さらに、1つまたは複数の近距離レンジ検出器からの信号を1つまたは複数の遠距離レンジ検出器からの信号と比較して、受信した光信号が出射された第1の光信号(例えば、
図11のパルス400C)または出射された第2の光信号(例えば、
図11のパルス400D)と関連しているかどうかを判定してもよい。
図19において、検出器340-1aaおよび340-1bは、近距離レンジ検出器として動作するように構成されてもよく、検出器340-2は、遠距離レンジ検出器として動作するように構成されてもよい。近距離レンジ内に位置するターゲット130については、ターゲットからの散乱光は主に近距離レンジ検出器340-1aおよび340-1bに方向付けられてもよく、検出器340-1aまたは340-1bbに(別々にまたは組み合わせて)よって生成される光電流は、遠距離レンジ検出器340-2によって生成される光電流よりも大きくてもよい。近距離レンジを超えて位置するターゲット130の場合、ターゲットからの散乱光は、主に遠距離レンジ検出器340-2に方向付けられてもよく、検出器340-2によって生成される光電流は、検出器340-1aまたは340-1bに(別々にまたは組み合わせて)よって生成される光電流よりも大きくてもよい。
【0119】
特定の実施形態において、検出器340-1aおよび340-1bに関連する1つまたは複数の電子信号(例えば、光電流または電圧信号)を、検出器340-2に関連する電子信号と比較して、受信した光信号が出射された第1の光信号または出射された第2の光信号に関連するかどうかを判定してもよい。検出器からの電子信号を比較することは、検出器340-1aおよび340-1bからの光電流または電圧信号を組み合わせること(例えば、光電流または電圧信号を直接加算することによって、または光電流または電圧信号を加重和として加算することによって)を含んでもよい。次に、検出器340-1aおよび340-1bからの組み合わされた信号に関連する1つまたは複数の値を、検出器340-2からの信号に関連する1つまたは複数の対応する値と比較して、受信した光信号が出射された第1の光信号または出射された第2の光信号に関連するかどうかを判定してもよい。
【0120】
特定の実施形態において、マルチセル検出器チップ500の各検出器340に関連する電子利得は、特定の値を有するように構成されてもよい。各検出器340に関連する利得はほぼ等しくてもよく、または1つまたは複数の検出器が1つまたは複数の異なる利得値に関連してもよい。例えば、
図19において、検出器340-1aに関連する利得は、検出器340-1bに関連する利得よりも低くなるように構成されてもよい。検出器340に関連する電子利得は、(1)検出器の面積、(2)検出器の逆バイアス、または(3)電子増幅器の利得を含む1つまたは複数の要因に依存してもよい。より大きな断面積(例えば、検出器の長さ×検出器の幅)を有する検出器は、より多くの入射光を捕捉することができ、これはより大きな有効利得に対応する。さらに、検出器の利得は、検出器に印加される逆バイアス電圧に依存する場合があり、逆バイアス電圧が大きいほど、利得が大きくなる。特定の実施形態では、マルチセル検出器チップ500内の各検出器340は、特定の電子利得を有するそれぞれの電子増幅器350に結合されてもよい。
図19では、3つの検出器340-1a、340-1b、および340-2はそれぞれ、ほぼ同じ電子利得を有する3つのそれぞれの増幅器に結合されてもよく、または、1つまたは複数の増幅器が異なる電子利得を有してもよい。例えば、電子増幅器は、検出器340-1aの増幅器の利得が、検出器340-1bの増幅器の利得よりも低くなるように構成されてもよい。検出器340-1aは、主に、比較的近いターゲットからの散乱光を受信してもよく、一方、検出器340-1bは、主に、中間距離のターゲットからの散乱光を受信してもよい。その結果、比較的近いターゲット130の場合、入力光135-1aは、比較的大きな光パワーまたはエネルギーを有していてもよく、電子増幅器の損傷または飽和を避けるために、検出器340-1aは、比較的低い利得を有する増幅器に結合されてもよい。検出器340-1bは、より遠くにあるターゲットからの散乱光を受信する可能性があるため、入力光135-1bは、より小さな光パワーまたはエネルギーを有する可能性があり、したがって、検出器340-1bは、より高い利得を有する増幅器に結合されてもよい。加えてまたは代わりに、検出器340-1aに関連する利得は、検出器の面積または逆バイアスに基づいて、検出器340-1bに関連する利得よりも低くなるように構成されてもよい。別の例として、検出器340-1aに印加される逆バイアス電圧は、検出器340-1bに印加される逆バイアス電圧よりも小さくてもよく、その結果、検出器340-1aの利得が低くなる。
【0121】
図20は、2つの検出器(340-1および340-2)およびミラー600を含む例示的な受光器140を示す。特定の実施形態では、受光器140は、入力光135-1(入力光信号135の第1の部分を含む)を検出するように構成された第1の検出器340-1と、入力光135-2(入力光信号135の第2の部分を含む)を検出するように構成された第2の検出器340-2とを含んでもよい。さらに、受光器140は、入力信号135から第2の部分135-2を分割して、第2の部分135-2を第2の検出器340-2に方向付けるように構成された光学アセンブリを含んでもよい。加えてまたは代わりに、受光器140は、入力信号135から第1の部分135-1を分割して、第1の部分135-1を第1の検出器340-1に方向付けるように構成された光学アセンブリを含んでもよい。特定の実施形態において、入力信号135から第1の部分135-1または第2の部分135-2を分割する光学アセンブリは、例えば、1つまたは複数のミラー、プリズム(例えば、直角プリズム、立方体プリズム、または菱形プリズム)、レンズ、湾曲したミラー、または高屈折率材料などの任意の適切な光学部品を含んでもよい。
【0122】
図20において、光学アセンブリは、入力信号135から第2の部分135-2を分割して、第2の検出器340-2に方向付けられるように第2の部分135-2を反射するミラー600を含む。第1の部分135-1は、ミラー600によって反射されず、第1の検出器340-1に向けられる入力光135の一部を含む。ターゲット130までの距離が長くなると、入力光ビーム135は、
図20に示すスポットの移動方向に移動する。近くのターゲット130については、入力光135-1が入力光135-2よりも大きなパワーまたはエネルギーを持つように、入力光ビーム135を方向付けてもよい。特定の距離を超えて位置するターゲットについては、入力光135のより大きな部分がミラー600によって分割され、検出器340-2に向けられるように、入力光ビーム135が方向付けられてもよい。その結果、特定の距離を超えて位置するターゲットに対して、入力光135-1は、入力光135-2よりも少ないパワーまたはエネルギーを有してもよい。
図20では、検出器340-1および340-2は、それぞれ別々の検出器チップ500-1および500-2に配置されている。受光器140は、任意の適切な検出器分離距離(例えば、約100μm、約200μm、約500μm、約1mm、約2mm、約5mm、約10mm、または約20mmの距離)で分離された2つの別個の検出器チップ500-1および500-2を含んでもよい。
【0123】
特定の実施形態において、受光器140の光学アセンブリは、1つまたは複数のミラーを含んでもよい。一例として、(
図20に図示されているような)単一のミラー600を使用する代わりに、光学アセンブリは、入力光135-2を分割するための第1のミラーと、入力光135-2を検出器340-2に向けるための第2のミラーとを含んでもよい。特定の実施形態において、受光器140の光学アセンブリは、入力光135-1を分割し、入力光135-1を検出器340-1に向けるように構成された1つまたは複数のミラーを含んでもよい。一例として、
図20のミラー600に加えて、またはミラー600の代わりに、光学アセンブリは、入力光信号135から入力光135-1を分割して、入力光135-1を検出器340-1に導く1つまたは複数のミラーを含んでもよい。
【0124】
図21は、2つの検出器(340-1および340-2)および2つのプリズム(610-1および610-2)を含む例示的な受光器140の上面図を示している。検出器340-1の上方および隣接して配置されているプリズム610-1は、反射面620-1(例えば、反射性金属コーティングまたは反射性誘電体コーティング)を含む。検出器340-2の上に配置されているプリズム610-2は、反射面620-2を含む。プリズム610-1および610-2のそれぞれは、エポキシまたは接着剤(例えば、紫外線硬化型接着剤)を用いて、それぞれの検出器チップ500-1および500-2の上面に貼り付けられてもよい。エポキシまたは接着剤は、入力光135-1および135-2に対して実質的に透明であってもよい。
【0125】
図22および
図23はそれぞれ、
図21の例示的な受光器140の側面図を示している。特定の実施形態において、受光器140の光学アセンブリは、22つのプリズム610-1および610-2を含んでもよい。第1のプリズム610-1は、入力光135-2を入力ビーム135から分割して、入力光135-2を第2のプリズム610-2に方向付ける反射面620-1を含んでもよい。第2のプリズム610-2は、入力光135-2を検出器340-2に向ける反射面620-2を含んでいてもよい。反射面620-2は、反射性の金属または誘電体のコーティングを含んでもよく、または、反射面620-2は、プリズム610-2と周囲の環境との間の界面における内部全反射によって提供されてもよい。検出器340-1に向けられる入力光135-1は、プリズム610-1の反射面620-1によって反射されない入力光135の一部を含む。ターゲット130までの距離が長くなると、入力光ビーム135は、
図22および
図23に示すスポットの移動方向に移動する。
図22の入力光ビーム135は、入力光135-1が入力光135-2よりも大きなパワーまたはエネルギーを有する、近くのターゲット130から散乱された光を表していてもよい。
図23の入力ビーム135は、入力ビーム135のより大きな部分がプリズム610-1によって分割され、検出器340-2に向けられる、特定の距離を超えて位置するターゲット130から散乱された光を表してもよい。その結果、特定の距離を超えて位置するターゲットに対して、入力光135-1は、入力光135-2よりも少ないパワーまたはエネルギーを有してもよい。
【0126】
図24は、2つの立方体プリズム(630-1および630-2)を含む例示的な受光器140を示している。(
図21~23に図示されているような)三角プリズムまたは直角プリズムを使用するのではなく、受光器140の光学アセンブリは、1つまたは複数の立方体プリズムを含んでもよい。
図24では、光学アセンブリは、立方体プリズム630-1および立方体プリズム630-2を含む。第1の立方体プリズム630-2は、入力光135-2を分岐させ、入力光135-2を第2の立方体プリズム630-2に方向付ける反射面620-1を含む。第2の立方体プリズム630-2は、入力光135-2を検出器340-2に方向付ける反射面620-2を含む。検出器340-1に導かれる入力光135-1は、プリズム630-1の反射面620-1で反射されない入力光135の一部を含む。
図24に示された立方体プリズム630-1および630-2は、組み立ておよび製造を容易にすることができる。例えば、それぞれの立方体プリズム630-1および630-2の水平な上面635-1および635-2は、ピックアンドプレースマシンまたは真空処理ツールを使用して、プリズムをピックアップして正確に配置することを可能にし得る。さらに、上面635-1は、入力ビーム135の波長において低い反射率(例えば、1540~1560nmにおいて0.5%未満の反射率)を有する反射防止コーティングを含んでいてもよい。
【0127】
図25は、菱形プリズム640を含む例示的な受光器140を示している。
図21~24に示されているように)2つのプリズムを使用するのではなく、受光器140の光学アセンブリは、菱形プリズム640を含んでもよい。菱形プリズム640の反射面620-1および620-2は、反射性の金属コーティングまたは反射性の誘電体コーティングを含んでもよい。あるいは、反射面620-1または620-2は、表面620-1または620-2における入力光135-2の内部全反射によって提供されてもよい。
図25において、菱形プリズム640の第1の反射面620-1は、入力光135-2を分割し、入力光135-2を第2の反射面620-2に導く。第2の反射面620-2は、入力光135-2を反射して、検出器340-2に導く。検出器340-1に導かれる入力光135-1は、プリズム630-1の反射面620-1で反射されない入力光135の一部を含む。
図25に図示された菱形プリズム640は、組み立てや製造を容易にすることができる。例えば、水平な上面635は、ピックアンドプレースマシンまたは真空処理ツールを使用して、菱形プリズム640をピックアップして正確に配置することを可能にし得る。さらに、上面635は、入力ビーム135の波長において低い反射率を有する反射防止コーティングを含んでいてもよい。
【0128】
図26は、部分的に反射する表面(部分反射麺)620-1を有する菱形プリズム640を含む例示的な受光器140を示す。特定の実施形態において、受光器140の光学アセンブリは、部分反射面620-1を含んでもよい。部分反射面620-1は、入射入力ビーム135の任意の適切な割合(例えば、約10%、約20%、約50%、約70%、または約90%)を反射してもよく、入射入力ビーム135の任意の適切な割合(例えば、約90%、約80%、約50%、約30%、または約10%)を透過してもよい。例えば、
図26の反射面620-1は、入力ビーム135の約半分が入力光ビーム135-2として反射され、入力ビーム135の約半分が入力光ビーム135-1として透過されるように、約50%の反射率を有してもよい。部分反射面620-1は、反射した光を検出器340-1または340-2に方向付けるように構成されてもよい。
図26では、部分反射面620-1は、反射光を(入力光ビーム135-2として)検出器340-2に方向付け、透過光を(入力光ビーム135-1として)検出器340-1に方向付ける。
【0129】
特定の実施形態において、受光器140の光学アセンブリは、部分反射面620-1を有する菱形プリズム640を含んでもよい。
図26では、入力ビーム135の一部が部分反射面620-1によって反射され、入力光ビーム135-2を生成する。入力光ビーム135-2は、菱形プリズム640を伝搬し、反射面620-2によって検出器340-2に向かって反射される。部分反射面620-1は、部分反射性の金属または誘電体コーティング(例えば、入力光ビーム135の約50%を反射し、入力光ビーム135の約50%を透過する金、銀、またはアルミニウムのコーティング)を含んでもよい。反射面620-2は、入力光135-2の90%以上を反射する反射性の金属または誘電体のコーティングを含んでもよい。あるいは、反射面620-2は、菱形プリズム640と周囲の環境との間の界面における内部全反射によって提供されてもよい。
【0130】
特定の実施形態において、光学アセンブリは、別の光学部品に取り付けられた菱形プリズム640を含んでもよい。
図26の菱形プリズム640は、(例えば、エポキシまたは接着剤を使用して)プリズム610に取り付けられており、プリズム/菱形プリズム光学アセンブリは、検出器チップ500-1および500-2への確実な取り付けを提供してもよい。
図26では、プリズム610は、検出器チップ500-1の上面に貼り付けられてもよく、菱形プリズム640の右端は、検出器チップ500-2の上面に貼り付けられてもよい。プリズム610の底面は、光学アセンブリが検出器チップ500-1の上面に緊密に取り付けられるように、平坦な表面を提供してもよい。
【0131】
図26の例では、入力ビームは、部分反射面620-1によって、入力光ビーム135-1と入力光ビーム135-2の2つのビームに分割される。菱形プリズム640および検出器340-1および340-2は、近くのターゲット130に対して、検出器340-1に方向付けられる入力光ビーム135-1の量が、検出器340-2に方向付けられる入力光ビーム135-2の量よりも大きくなるように配置されてもよい。ターゲット130までの距離が長くなると、入力光ビーム135は、
図26に示すスポットの移動方向に移動する。ターゲット距離の増加(およびそれに対応する入力光ビームスポットの移動)により、検出器340-1に入射する入力光135-1の量は減少し、検出器340-2に入射する入力光135-2の量は増加する。ターゲット130が、ライダーシステム100の動作レンジよりも小さいまたは大きい距離に位置しているかどうかは、受信した入力光信号135に応答して検出器340-1および340-2によって生成された信号に基づいて判定されてもよい。
【0132】
図27は、レンズ650を含む例示的な受光器140を示す。特定の実施形態において、受光器140の光学アセンブリは、入力光135-1または入力光135-2を集束するように構成された集束要素を含んでもよい。
図27では、光学アセンブリは、入力光135-2を検出器340-2上に集束する集束要素として機能するレンズ650を含む。入力光135-2は、伝播する際に発散するビームであってもよく、集束要素がなければ、入力光ビーム135-2のスポットサイズは、検出器340-2の面積よりも大きくなってもよい。レンズ650は、検出器340-2が入力光ビーム135-2からの光のほとんどまたは全てを受け取るように、入力光ビーム135-2を集束してもよい。加えてまたは代わりに、光学アセンブリは、入力光135-1を検出器350-1上に集束する集束要素を含んでもよい。
【0133】
図28は、湾曲した反射面670を含む例示的な受光器140を示す。
図28では、受光器140の光学アセンブリは、入力光135-2のための集束要素として機能する湾曲した反射面670を含む。湾曲した反射面670は、任意の適切な形状(例えば、球面、放物面、または楕円面)を有する反射性の金属または誘電体のコーティングを含んでもよい。湾曲した反射面670は、検出器340-2が入力光ビーム135-2からの光のほとんどまたは全てを受け取るように、入力光ビーム135-2を集束してもよい。
【0134】
図29は、高屈折率材料680を含む例示的な受光器140を示す。特定の実施形態において、受光器140の光学アセンブリは、入力光ビーム135-2の角度発散を低減する高屈折率材料680を含んでもよい。入力光ビーム135-2が高屈折率材料680に入ると、ビーム135-2は高屈折率材料680によって屈折され、ビームの角度発散が低減されてもよい。ビームの角度発散の減少により、検出器340-2が入力ビーム135-2からの光のほとんどまたは全てを受け取ることができる場合がある。高屈折率材料680は、ライダーシステム100の1200nmと1600nmmの間の1つまたは複数の動作波長の光に対して実質的に透明である任意の適切な材料から作られてもよい。例えば、高屈折率材料680は、ガラス(例えば、溶融シリカまたはフリントガラス)または半導体材料(例えば、シリコン、ガリウムヒ素、AlGaAs、ガリウム・リン、インジウム・リン、またはセレン化亜鉛)から作られてもよい。高屈折率材料680は、例えば、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、または約4.0の比較的高い屈折率など、ライダーシステム100の1つまたは複数の動作波長において任意の適切な屈折率を有してもよい。
図25または
図26に図示された菱形プリズム640は、比較的高い屈折率を有する材料から作られてもよい。
【0135】
図30は、受信した光信号が出射された光信号に関連するかどうかを判定するための例示的な方法3000を示す。
図30に示される方法3000は、レンジ曖昧性を緩和するための方法に対応してもよい。例えば、
図10および
図11において、ライダーシステム100は、第1の光パルス400Cおよび第2の光パルス400Dを出射してもよく、方法3000は、受信した光パルス410Cが第2の光パルスに関連しているかどうかを判定るために使用されてもよい。方法は、ステップ3010で開始されてもよい。複数の光信号が出射されてもよく、光信号は、第1の光信号および第2の光信号を含む。例えば、第1の光信号および第2の光信号のそれぞれは、ライダーシステム100の光源110によって出射され、ライダーシステム100の動眼視野内に方向付けられた光のパルスを含んでもよい。第2の光のパルスは、第1の光のパルスの後の特定の時間間隔τで出射されてもよい。ステップ3020において、受信された光信号(例えば、入力ビーム135)が検出されてもよく、ここで、受信された光信号は、ターゲット130によって散乱される出射された第1または第2の光信号の一部を含む。受信光信号は、受光器140によって検出されてもよく、受信光信号は、第2の光信号が出射された後に検出されてもよい。受光器140は、受信した光信号の第1の部分135-1を検出するように構成された第1の検出器340-1と、受信した光信号の第2の部分135-2を検出するように構成された第2の検出器340-2とを含んでもよい。ステップ3030では、受信した光信号の第1の部分および第2の部分に対応する電気信号を受信してもよい。例えば、受光器140は、出力電気信号を生成してライダーシステム100のコントローラ150に送信し、コントローラ150は、出力電気信号を受信してもよい。出力電気信号は、1つまたは複数のアナログ信号、1つまたは複数のデジタル信号、またはアナログ信号とデジタル信号の任意の適切な組み合わせを含んでもよい。ステップ3040において、コントローラ150は、受信した光信号が出射された第2の光に関連しているかどうかを判定してもよく、その時点で本方法は終了してもよい。例えば、コントローラ150は、受光器140から出力電気信号を受信してもよく、コントローラ150は、受信した電気信号に少なくとも部分的に基づいて、受信した光信号が出射された第2の光と関連するかどうかを判定してもよい。加えてまたは代わりに、コントローラ150は、受信した光信号が出射された第1または第2の光信号に関連するかどうかを判定してもよい。
【0136】
2つ以上の検出器を備えるライダーシステムに関する様々な例示的な態様を、以下に記載する。
【0137】
(1)ライダーシステムであって、ライダーシステムの動眼視野内に向けて複数の光信号を出射するように構成された光源であって、前記光信号は、第1の光信号および第2の光信号を含み、前記第2の光信号は、前記第1の光信号が出射された後、特定の時間間隔で出射される光源と、出射された第1または第2の光信号のうち、前記ライダーシステムから離れた位置にあるターゲットによって散乱された部分を含む受信光信号を検出するように構成された受光器であって、前記受信光信号は、第2の光信号が出射された後に検出される受光器と、を含み、前記受光器は、受信光信号の第1の部分を検出するように構成された第1の検出器と、受信光信号の第2の部分を検出するように構成された第2の検出器と、プロセッサであって、受光器から、受信光信号の第1および第2の部分に対応する電気信号を受信し、受信した電気信号に少なくとも部分的に基づいて、受信光信号が出射された第2の光信号と関連しているかどうかを判定する、ように構成されたプロセッサと、を含んでいる、ライダーシステム。
【0138】
(2)前記第1および第2の検出器は、共通のアノードと、それぞれのカソードのための別々の電気接続とを有するように構成されている、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0139】
(3)前記アノードは、前記受信光信号の波長の光に対して実質的に透明であるように構成されている、(2)の態様に記載のライダーシステム。
【0140】
(4)前記第1および第2の検出器のそれぞれは、それぞれのアノードおよびカソードのために別々の電気接続を有するように構成されている、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0141】
(5)前記第1および第2の検出器は、単一のパッケージに含まれているか、または単一の検出器チップに一緒に統合されている、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0142】
(6)前記受光器は、前記受信光信号の第3の部分を検出するように構成された第3の検出器をさらに含む、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0143】
(7)前記プロセッサが前記受光器から受信した電気信号は、前記受信光信号の第3部分にさらに対応する、(6)の態様に記載のライダーシステム。
【0144】
(8)前記第1、第2、および第3の検出器が単一の検出器チップに一緒に統合されている、(6)の態様に記載のライダーシステム。
【0145】
(9)前記第1、第2、および第3の検出器は、前記受光器の視野の走査方向に対応するラインに沿って配置されている、(6)の態様に記載のライダーシステム。
【0146】
(10)前記検出器の各々は、電子利得の特定の値に関連付けられている、(6)の態様に記載のライダーシステム。
【0147】
(11)前記第1の検出器は、第1の電子利得に関連付けられ、前記第2の検出器は、前記第1の電子利得以上の第2の電子利得に関連付けられ、前記第3の検出器は、前記第2の電子利得以上の第3の電子利得に関連付けられている、(6)の態様に記載のライダーシステム。
【0148】
(12)前記光源は、ダイレクトエミッタレーザーダイオードを含む、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0149】
(13)前記ダイレクトエミッタレーザーダイオードは、前記複数の光信号を自由空間光ビームとして直接発光するように構成されている、(12)の態様に記載のライダーシステム。
【0150】
(14)前記光源は、パルスまたは連続波のレーザーダイオードと、半導体光増幅器(SOA)と、を含み、SOAは、レーザーダイオードからの光を受け取り、光が導波路を伝播スする際に光を増幅するように構成された能動的(アクティブ)光導波路を含む、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0151】
(15)前記レーザーダイオードおよび前記SOAは、単一のチップ上または単一のチップ内に一緒に集積化されている、(14)の態様に記載のライダーシステム。
【0152】
(16)前記レーザーダイオードと前記SOAは別個のデバイスであり、前記SOAは、反射防止コーティングが施された入力ファセットまたは出力ファセットを含む、(14)の態様に記載のライダーシステム。
【0153】
(17)前記プロセッサは、前記受信光信号が出射された第1の光信号に関連すると判定することに応答して、第1の光信号の出射と前記受信光信号が受光器によって検出される時間との間の時間間隔に少なくとも部分的に基づいて、前記ライダーシステムからターゲットまでの距離を決定するようにさらに構成される、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0154】
(18)前記受信光信号が出射された第1の光信号に関連するかどうかを判定することは、前記受信光信号の第1の部分の光学特性OC1と、前記受信光信号の第2の部分の対応する光学特性OC2とを比較するために、受信した電気信号を分析することを含み、光学特性OC1およびOC2のそれぞれは、ピーク光パワー、平均光パワー、ピーク光強度、または光パルスエネルギーに対応する、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0155】
(19)前記プロセッサは、OC1がOC2より小さい場合に、前記受信光信号が出射された第1の光信号に関連していると判定するように構成されている、(18)の態様に記載のライダーシステム。
【0156】
(20)前記プロセッサは、比OC1/OC2が特定の閾値よりも小さい場合に、前記受信光信号が出射された第1の光信号に関連していると判定するように構成されている、(18)の態様に記載のライダーシステム。
【0157】
(21)光信号は、第2の光信号の後に別の特定の時間間隔で出射される第3の光信号をさらに含み、前記受信光信号は、出射された第1、第2、または第3の光信号のターゲットによって散乱された一部を含み、前記受信光信号は、第3の光信号が出射された後に検出され、前記プロセッサは、受信した電気信号に少なくとも部分的に基づいて、前記受信光信号が出射された第1の光信号、出射された第2の光信号、または出射された第3の光信号に関連しているかどうかを判定するようにさらに構成される、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0158】
(22)出射された第1の光信号に関連する前記受信光信号は、ターゲットまでの距離がライダーシステムの動作レンジの2倍よりも大きいレンジ曖昧性事象に対応し、出射された第2の光信号に関連する受信された光信号は、ターゲットまでの距離が動作レンジと動作レンジの2倍との間にあるレンジ曖昧性事象に対応し、出射された第3の光信号に関連する前記受信光信号は、ターゲットまでの距離が動作レンジよりも小さいことに対応する、(21)の態様に記載のライダーシステム。
【0159】
(23)前記受光器は、前記受信光信号の第1の部分を第1の検出器に方向づけるか、または前記受信光信号の第2の部分を第2の検出器に方向付けるように構成された光学アセンブリをさらに含む、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0160】
(24)前記光学アセンブリは、前記受信光信号の第1の部分を透過させ、前記受信光信号の第2の部分を反射するように構成された部分反射面を有する菱形プリズムを含む、(23)の態様に記載のライダーシステム。
【0161】
(25)複数の光信号を含む出力ビームを第1の方向に沿って走査するように構成された第1のミラーと、出力ビームを第1の方向と実質的に直交する第2の方向に沿って走査するように構成されたポリゴンミラーと、を含むスキャナをさらに含む、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0162】
(26)ライダーシステムの動眼視野にわたって光源視野と受光器視野とを走査するように構成されたスキャナをさらに含み、光源視野と受光器視野とが互いに同期して走査され、光源視野の走査速度と受光器視野の走査速度とがほぼ等しい、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0163】
(27)前記ライダーシステムは、車両の運転者が車両を運転することを支援するように構成された先進運転支援システム(ADAS)を備える車両の一部である、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0164】
(28)前記ライダーシステムは、周囲の環境を通って目的地に向かって自動運転車両を誘導するように構成された自動運転システムを含む自動運転車両の一部であり、前記ライダーシステムが、周囲の環境に関する情報を自動運転システムに提供するように構成されている、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0165】
(29)前記ライダーシステムは、パルスライダーシステムであり、前記複数の光信号は光パルスを含む、(1)の態様に記載のライダーシステム。
【0166】
図31は、例示的なコンピュータシステム3100を示す。特定の実施形態において、1つまたは複数のコンピュータシステム3100は、本明細書に記載または図示された1つまたは複数の方法のうちの1つまたは複数のステップを実行することができる。特定の実施形態において、1つまたは複数のコンピュータシステム3100は、本明細書で説明または図示された機能を提供してもよい。特定の実施形態において、1つまたは複数のコンピュータシステム3100上で動作するソフトウェアは、本明細書に記載または図示された1つまたは複数の方法のうちの1つまたは複数のステップを実行してもよく、または本明細書に記載または図示された機能を提供してもよい。特定の実施形態は、1つまたは複数のコンピュータシステム3100の1つまたは複数の部分を含んでもよい。特定の実施形態において、コンピュータシステムは、プロセッサ、コントローラ、コンピューティングデバイス、コンピューティングシステム、コンピュータ、汎用コンピュータ、またはデータ処理装置を含むか、またはこれらを指すものであってもよい。本明細書では、コンピュータシステムへの言及は、適切な場合、1つまたは複数のコンピュータシステムを包含してもよい。
【0167】
コンピュータシステム3100は、任意の適切な物理的形態をとってもよい。一例として、コンピュータシステム3100は、組み込みコンピュータシステム、システムオンチップ(SOC)、シングルボードコンピュータシステム(SBC)、デスクトップコンピュータシステム、ラップトップまたはノートブックコンピュータシステム、メインフレーム、コンピュータシステムのメッシュ、サーバ、タブレットコンピュータシステム、またはこれらのうちの2つ以上の任意の適切な組み合わせであってもよい。別の例として、コンピュータシステム3100の全部または一部は、カメラ、ビデオカメラ、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、携帯電話、スマートフォン、電子書籍端末(例えば、電子書籍リーダー)、ゲーム機など、さまざまなデバイスと組み合わせたり、それらに接続したり、それらに統合したりすることができる。例えば、カメラ、カムコーダー、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、携帯電話、スマートフォン、電子書籍端末(電子書籍リーダー)、ゲーム機、スマートウォッチ、時計、電卓、テレビモニタ、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニタ、車両ディスプレイ(オドメーターディスプレイやダッシュボードディスプレイなど)、車両ナビゲーションシステム、ライダーシステム、ADAS、自動運転車両、自動運転システム、コックピットコントロール、カメラビューディスプレイ(車両のリアビューカメラのディスプレイなど)、アイウェア、またはヘッドマウントディスプレイなどが挙げられる。適切な場合、コンピュータシステム3100は、1つまたは複数のコンピュータシステム3100を含んでいてもよく、ユニット化または分散化されていてもよく、複数の場所にまたがっていても、複数の機械にまたがっていても、複数のデータセンターにまたがっていても、またはクラウドに存在していてもよい。クラウドは、1つまたは複数のネットワークに1つまたは複数のクラウドコンポーネントを含むものであってもよい。適切な場合、1つまたは複数のコンピュータシステム3100は、本明細書に記載または図示されている1つまたは複数の方法のうちの1つまたは複数のステップを実質的に空間的または時間的な制限なしに実行することができる。一例として、1つまたは複数のコンピュータシステム3100は、本明細書で説明または図示された1つまたは複数の方法のうちの1つまたは複数のステップをリアルタイムまたはバッチモードで実行してもよい。また、1つまたは複数のコンピュータシステム3100は、適切な場合、本明細書に記載または図示された1つまたは複数の方法のうちの1つまたは複数のステップを、異なる時間または異なる場所で実行してもよい。
【0168】
図31の例に示されているように、コンピュータシステム3100は、プロセッサ3110、メモリ3120、ストレージ3130、入力/出力(I/O)インターフェース3140、通信インターフェース3150、またはバス3136を含んでいてもよい。コンピュータシステム3100は、任意の適切な数の任意の適切なコンポーネントを任意の適切な配置で含んでいてもよい。
【0169】
特定の実施形態において、プロセッサ3110は、コンピュータプログラムを構成するものなどの命令を実行するためのハードウェアを含んでもよい。一例として、命令を実行するために、プロセッサ3110は、内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリ3120、またはストレージ3130から命令を取得(またはフェッチ)し、それらをデコードして実行し、その後、1つまたは複数の結果を内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリ3120、またはストレージ3130に書き込むことができる。特定の実施形態において、プロセッサ3110は、データ、命令、またはアドレスのための1つまたは複数の内部キャッシュを含んでもよい。プロセッサ3110は、必要に応じて、任意の適切な数の任意の適切な内部キャッシュを含んでもよい。一例として、プロセッサ3110は、1つまたは複数の命令キャッシュ、1つまたは複数のデータキャッシュ、または1つまたは複数のトランスレーション・ルックアサイド・バッファ(TLB)を含んでいてもよい。命令キャッシュ内の命令は、メモリ3120またはストレージ3130内の命令のコピーであってもよく、命令キャッシュは、プロセッサ3110によるそれらの命令の検索を高速化し得る。データキャッシュ内のデータは、プロセッサ3110で実行される命令が動作するためのメモリ3120またはストレージ3130内のデータのコピー、プロセッサ3110で実行される後続の命令によるアクセスのための、またはメモリ3120またはストレージ3130への書き込みのための、プロセッサ3110で実行された以前の命令の結果、または他の適切なデータであってもよい。データキャッシュは、プロセッサ3110による読み取りまたは書き込み動作を高速化してもよい。TLBは、プロセッサ3110の仮想アドレス変換を高速化してもよい。特定の実施形態において、プロセッサ3110は、データ、命令、またはアドレスのための1つまたは複数の内部レジスタを含んでもよい。プロセッサ3110は、適切な場合には、任意の適切な数の任意の適切な内部レジスタを含んでもよい。適切な場合、プロセッサ3110は、1つまたは複数の算術論理ユニット(ALU)を含んでもよく、マルチコアプロセッサであってもよく、または1つまたは複数のプロセッサ3110を含んでいてもよい。
【0170】
特定の実施形態において、メモリ3120は、プロセッサ3110が実行するための命令またはプロセッサ3110が動作するためのデータを格納するためのメインメモリを含んでいてもよい。一例として、コンピュータシステム3100は、ストレージ3130または別のソース(例えば、別のコンピュータシステム3100など)からメモリ3120に命令をロードしてもよい。その後、プロセッサ3110は、メモリ3120からの命令を内部レジスタまたは内部キャッシュにロードしてもよい。命令を実行するために、プロセッサ3110は、内部レジスタまたは内部キャッシュから命令を取り出し、デコードしてもよい。命令の実行中または実行後に、プロセッサ3110は、内部レジスタまたは内部キャッシュに1つまたは複数の結果(中間結果または最終結果であってもよい)を書き込んでもよい。プロセッサ3110は、次に、それらの結果の1つまたは複数をメモリ3120に書き込んでもよい。1つまたは複数のメモリバス(それぞれアドレスバスおよびデータバスを含んでもよい)が、プロセッサ3110をメモリ3120に結合してもよい。バス3160は、1つまたは複数のメモリバスを含んでもよい。特定の実施形態において、1つまたは複数のメモリ管理ユニット(MMU)は、プロセッサ3110とメモリ3120との間に存在し、プロセッサ3110によって要求されるメモリ3120へのアクセスを促進してもよい。特定の実施形態では、メモリ3120は、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでもよい。このRAMは、適切な場合、揮発性メモリであってもよい。適切な場合、このRAMは、ダイナミックRAM(DRAM)またはスタティックRAM(SRAM)であってもよい。メモリ3120は、適切な場合には、1つまたは複数のメモリ3120を含んでもよい。
【0171】
特定の実施形態において、ストレージ3130は、データまたは命令のための大容量ストレージを含んでもよい。一例として、ストレージ3130は、ハードディスクドライブ(HDD)、フロッピーディスクドライブ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、またはUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)ドライブ、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。ストレージ3130は、必要に応じて、取り外し可能または取り外し不能な(または固定された)媒体を含んでもよい。ストレージ3130は、適切な場合には、コンピュータシステム3100の内部または外部にあってもよい。特定の実施形態において、ストレージ3130は、不揮発性の固体メモリであってもよい。特定の実施形態では、ストレージ3130は、リードオンリーメモリ(ROM)を含んでもよい。適切な場合、このROMは、マスクROM(MROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的に消去可能なPROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、またはこれらの2つ以上の組み合わせであってもよい。ストレージ3130は、適切な場合、プロセッサ3110とストレージ3130との間の通信を容易にする1つまたは複数のストレージ制御ユニットを含んでもよい。適切な場合、ストレージ3130は、1つまたは複数のストレージ3130を含んでいてもよい。
【0172】
特定の実施形態において、I/Oインターフェース3140は、コンピュータシステム3100と1つまたは複数のI/Oデバイスとの間の通信のための1つまたは複数のインターフェースを提供するハードウェア、ソフトウェア、またはその両方を含んでもよい。コンピュータシステム3100は、適切な場合、1つまたは複数のこれらのI/Oデバイスを含んでもよい。これらのI/Oデバイスの1つまたは複数は、人とコンピュータシステム3100との間の通信を可能にしてもよい。一例として、I/Oデバイスは、キーボード、キーパッド、マイク、モニタ、マウス、プリンタ、スキャナ、スピーカ、カメラ、スタイラス、タブレット、タッチスクリーン、トラックボール、別の適切なI/Oデバイス、またはこれらの2つ以上の適切な組み合わせを含んでもよい。I/Oデバイスは、1つまたは複数のセンサを含んでいてもよい。適切な場合、I/Oインターフェース3140は、プロセッサ3110がこれらのI/Oデバイスの1つまたは複数を駆動することを可能にする1つまたは複数のデバイスまたはソフトウェアドライバを含んでもよい。I/Oインターフェース3140は、適切な場合、1つまたは複数のI/Oインターフェース3140を含んでもよい。
【0173】
特定の実施形態において、通信インターフェース3150は、コンピュータシステム3100と1つまたは複数の他のコンピュータシステム3100または1つまたは複数のネットワークとの間の通信(例えば、パケットベースの通信など)のための1つまたは複数のインターフェースを提供するハードウェア、ソフトウェア、またはその両方を含んでいてもよい。一例として、通信インターフェース3150は、イーサネットなどの有線ネットワークと通信するためのネットワークインターフェースコントローラ(NIC)またはネットワークアダプタ、無線NIC(WNIC)、WI-FIネットワークなどの無線ネットワークと通信するための無線アダプタ、または、光ファイバー通信または自由空間光通信を用いて通信するための光送信器(例えば、レーザーまたは発光ダイオード)または光受信器(例えば、光検出器)を含んでいてもよい。コンピュータシステム3100は、アドホックネットワーク、PAN(パーソナル・エリア・ネットワーク)、IVN(車載ネットワーク:In-vehicle Network)、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)、WAN(ワイド・エリア・ネットワーク)、MAN(メトロポリタン・エリア・ネットワーク)、またはインターネットの1つ以上の部分、またはこれらの2つ以上の組み合わせと通信してもよい。これらのネットワークの1つまたは複数の部分は、有線または無線であってもよい。一例として、コンピュータシステム3100は、無線PAN(WPAN)(例えば、ブルートゥース(登録商標)WPANなど)、WI-FIネットワーク、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)ネットワーク、携帯電話ネットワーク(例えば、GSM(Global System for Mobile Communications)ネットワークなど)、または他の適切な無線ネットワーク、またはこれらの2つ以上の組み合わせと通信してもよい。別の例として、コンピュータシステム3100は、100ギガビットイーサネット(100GbE)、10ギガビットイーサネット(10GbE)、またはSONET(Synchronous Optical Networking)に基づく光ファイバー通信を用いて通信してもよい。コンピュータシステム3100は、適切な場合、これらのネットワークのいずれかのための任意の適切な通信インターフェース3150を含んでいてもよい。通信インターフェース3150は、適切な場合、1つまたは複数の通信インターフェース3150を含んでいてもよい。
【0174】
特定の実施形態において、バス3160は、コンピュータシステム3100のコンポーネントを互いに結合するハードウェア、ソフトウェア、またはその両方を含んでもよい。一例として、バス3160は、AGP(Accelerated Graphics Port)または他のグラフィックス・バス、CAN(Controller Area Network)バス、EISA(Enhanced Industry Standard Architecture)バス、FSB(Front Side Bus)、HT(HYPERTRANSPORT)インターコネクト、ISA(Industry Standard Architecture)バス、INFINIBANDインターコネクトを含んでもよい。LPC(Low Pin-Count)バス、メモリバス、MCA(Micro Channel Architecture)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expresss(PCIe)バス、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)バス、VLB(Video Electronics Standards Association Local Bus)、またはその他の適切なバス、もしくはこれらの2つ以上の組み合わせを含む。バス3160は、適切な場合、1つまたは複数のバス31600を含んでいてもよい。
【0175】
特定の実施形態において、本明細書に開示されている実装に関連して説明されている様々なモジュール、回路、システム、方法、またはアルゴリズムのステップは、電子的ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの任意の適切な組み合わせとして実装されてもよい。特定の実施形態において、コンピュータソフトウェア(ソフトウェア、コンピュータ実行可能コード、コンピュータコード、コンピュータプログラム、コンピュータ命令、または命令と呼ばれる場合もある)は、本明細書に記載または図示された様々な機能を実行するために使用されてもよく、コンピュータソフトウェアは、コンピュータシステム3100によって実行されるか、またはコンピュータシステム3100の動作を制御するように構成されてもよい。一例として、コンピュータソフトウェアは、プロセッサ3110によって実行されるように構成された命令を含んでもよい。特定の実施形態において、ハードウェアおよびソフトウェアの交換可能性のために、様々な例示の論理ブロック、モジュール、回路、またはアルゴリズムステップは、一般的に機能性の観点から説明されてきた。このような機能をハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実装するかどうかは、特定のアプリケーションまたはシステム全体に課される設計上の制約に依存する場合がある。
【0176】
特定の実施形態において、本明細書に開示された様々なモジュール、回路、システム、方法、またはアルゴリズムのステップを実装するために、コンピューティングデバイスを使用することができる。一例として、本明細書に開示されるモジュール、回路、システム、方法、またはアルゴリズムの全部または一部は、汎用のシングルチップまたはマルチチッププロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ASICC、FPGA、他の任意の適切なプログラマブルロジックデバイス、離散ゲートまたはトランジスタロジック、離散ハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の適切な組み合わせによって実装または実行されてもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサのほか、従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、状態機械のいずれであってもよい。また、プロセッサは、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つまたは複数のマイクロプロセッサなど、コンピューティングデバイスの組み合わせとして実装されてもよい。
【0177】
特定の実施形態において、本明細書に記載された事項の1つまたは複数の実装は、1つまたは複数のコンピュータプログラム(例えば、コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体にエンコードまたは格納されたコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュール)として実装されてもよい。一例として、本明細書に開示された方法またはアルゴリズムのステップは、コンピュータ可読非一時的記憶媒体上に存在し得るプロセッサ実行可能なソフトウェアモジュールに実装されてもよい。特定の実施形態において、コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体は、コンピュータソフトウェアを保存または転送するために使用され得るものであり、コンピュータシステムによってアクセスされる可能性がある任意の適切な記憶媒体を含んでもよい。ここで、コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体またはメディアは、1つまたは複数の半導体ベースまたは他の集積回路(IC)(例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific IC)など)、ハードディスクドライブ(HDD)、ハイブリッドハードディスクドライブ(HHD)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク、レーザーディスク(登録商標))、光ディスクドライブ(ODD)、光磁気ディスク、光磁気ドライブ、フロッピーディスク、フロッピーディスクドライブ(FDD)、磁気テープ、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ(SSD)、RAM、RAMドライブ、ROM、セキュアデジタルカードまたはドライブ、その他の適切なコンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体、またはこれらの2つ以上の適切な組み合わせを適宜組み合わせたものを含んでいる。コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体は、適切な場合には、揮発性、不揮発性、または揮発性と不揮発性の組み合わせであってもよい。
【0178】
特定の実施形態において、別々の実装の文脈で本明細書に記載されている特定の特徴は、単一の実装で組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の実装の文脈で説明されている様々な特徴は、複数の実装において別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで実装することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上記で説明され、最初にそのように主張されることさえあるが、主張された組み合わせのうちの1つまたは複数の特徴は、場合によっては組み合わせから抜粋され、主張された組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形例に適用されてもよい。
【0179】
操作が特定の順序で行われるように図面に描かれていることがあるが、これは、そのような操作が示された特定の順序で実行されること、または連続した順序で実行されること、または全ての操作が実行されることを要求していると理解されるべきではない。さらに、図面は、フローチャートまたはシーケンス図の形で、1つまたは複数の例示的な工程または方法を模式的に示している場合がある。しかし、示されていない他の操作が、模式的に示されている例示的な工程または方法に組み込まれるものであってもよい。例えば、1つまたは複数の追加の操作が、図示された操作のいずれかの前、後、同時に、または間に実行されてもよい。さらに、図示された1つまたは複数の操作は、必要に応じて繰り返されてもよい。さらに、図示された操作は、任意の適切な順序で実行されてもよい。さらに、本明細書では、特定のコンポーネント、デバイス、またはシステムが特定の動作を実行するものとして説明されているが、任意の適切なコンポーネント、デバイス、またはシステムの任意の適切な組み合わせを使用して、任意の適切な動作または動作の組み合わせを実行してもよい。特定の状況では、マルチタスクまたは並列処理の動作を実行することができる。さらに、本明細書に記載されている実装における様々なシステムコンポーネントの分離は、すべての実装においてそのような分離が必要であると理解されるべきではなく、記載されているプログラムコンポーネントおよびシステムは、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されていてもよく、複数のソフトウェア製品にパッケージ化されてもよいものである。
【0180】
様々な実施形態を、添付の図面に関連して説明してきた。しかし、図は必ずしも縮尺通りに描かれていない可能性があることを理解すべきである。例えば、図に描かれている距離や角度は例示であり、図示されているデバイスの実際の寸法やレイアウトとは必ずしも正確な関係がない場合がある。
【0181】
本開示の範囲は、本明細書に記載または例示された例示的な実施形態のすべての変更、置換、変形、変更、及び修正を包含することは、当該技術分野における通常の技術を有する者であれば理解するであろう。本開示の範囲は、本明細書に記載または例示された例示的な実施形態に限定されるものではない。さらに、本開示は、特定の構成要素、要素、機能、操作、またはステップを含むものとして本明細書に記載または図示されたそれぞれの実施形態を説明または図示するものであるが、これらのうちのいずれの実施形態も、本明細書の、当該技術分野において通常の技術を有する者であれば理解するであろういずれかに記載または図示された構成要素、要素、機能、操作、またはステップのいずれかの組み合わせまたは並べ換えを含むものであってもよい。
【0182】
本明細書で使用されている「または」という用語は、他に明示されていない限り、または文脈によって他に示されていない限り、任意の1つまたは任意の組み合わせを意味する包含的な意味に解釈されるべきものである。したがって、本明細書では、「AまたはB」という表現は、「A、B、またはAとBの両方」を意味する。別の例として、本明細書において、「A、B、またはC」は、A、B、C、AとB、AとC、BとC、AとBとC、のうちの少なくとも1つを意味する。但し、この定義は、要素、装置、ステップ、または操作の組み合わせが何らかの態様で本質的に相互に排他的である場合に、例外を有するものである。
【0183】
本明細書で使用される場合、「近似的に」、「実質的に」、または「約」のような近似の言葉は、そのように修飾された場合、必ずしも絶対的または完全ではないが、当該技術分野における通常の技術を有する者がその状態が存在するとして指定するために十分に近いと考えられる状態を言うものである。記述が変化し得る程度は、当技術分野の通常の技術を有する者が、変化された特徴を変化していない特徴の必要な特性または性能を有するものとして認識することができるかに依存する。一般に、上記の議論には従うが、「約」のような近似の言葉で修飾された数値は、記載された値から±0.5%、±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±10%、±12%、または±15%変化する可能性がある。
【0184】
本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」、「第3」、等々の用語は、それらが先行する名詞のラベルとして使用されるものであってもよく、これらの用語が、必ずしも特定の順序(例えば、特定の空間的、時間的、または論理的な順序)を意味するものではない。例として、システムは、「第1の結果」と「第2の結果」を決定すると記述されている場合、「第1」と「第2」の用語は、必ずしも第1の結果が第2の結果の前に決定されることを意味するものではない。
【0185】
本明細書で使用される場合、「~に基づいて」及び「~に少なくとも部分的に基づいて」という表現は、決定(判定、判別)に影響を与える1つまたは複数の要因を説明または提示するために使用される場合があり、これらの用語は、決定に影響を与える可能性のある追加的な要因を除外するものではない。決定は、提示された要因のみに基づくものであってもよく、それらの要因に少なくとも部分的に基づくものであってもよい。「Bに基づいてAが決定される」という表現は、BがAの決定に影響を与える要因であることを示している。いくつかの例において、他の要因もAの決定に寄与するものであってもよい。他の例では、Aは、Bのみを要因として決定されるものであってもよい。