(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】情報処理装置及び保全支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20221226BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20221226BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06Q50/20
(21)【出願番号】P 2022032832
(22)【出願日】2022-03-03
【審査請求日】2022-03-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509148865
【氏名又は名称】旭国際テクネイオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】深町 光宏
(72)【発明者】
【氏名】重田 為和
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-004218(JP,A)
【文献】特開2020-035201(JP,A)
【文献】特開2014-106888(JP,A)
【文献】特開2005-267033(JP,A)
【文献】特開2020-080147(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003545(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象機器に対する保全作業の教育を支援するための情報処理装置であって、
前記対象機器の部位に関連付けられた教育用画像を取得する取得部と、
MRデバイスと通信する第1の通信部と、
指導者用端末と通信する第2の通信部と、
を備え、
前記第1の通信部は、前記対象機器の対象部位の作業手順に従って、前記教育用画像を前記MRデバイスに出力し、
前記第1の通信部は、前記MRデバイスを介して実現された前記教育用画像を含む複合現実画像を受信し、
前記第2の通信部は、前記複合現実画像を前記指導者用端末に出力し、
前記教育用画像は、前記対象機器の前記対象部位に
重畳される画像であって、前記対象部位の仮想的な不具合
を示す画像である不具合画像を含む、
情報処理装置。
【請求項2】
前記不具合画像は、前記対象部位の傷、汚れ、変形、及び劣化を含む不具合を表す画像を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記不具合画像は、前記対象部位の不正な組立順序を表現する画像を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の通信部は、前記対象部位に関するチェック項目の重み付けレベルが所定の値以上であることに基づいて、前記重み付けレベルに対応するチェック項目に関する前記不具合画像を前記MRデバイスに出力する、請求項
1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の通信部は、前記対象部位に関するチェック項目毎の受講者の状況を示す評価情報を前記指導者用端末から受信する、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対象機器に対する前記受講者に関する評価スコアを算出するスコア算出部をさらに備え、
前記スコア算出部は、少なくとも前記重み付けレベル及び前記評価情報に基づいて前記評価スコアを算出し、
前記第1の通信部は、前記評価スコアを前記MRデバイスに出力する、
請求項4を引用する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2の通信部は、前記指導者用端末からアドバイス情報を受信し、
前記第1の通信部は、前記アドバイス情報を前記MRデバイスに出力する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
対象機器に対する保全作業の遠隔教育を支援するための保全支援システムであって、前記保全支援システムは、情報処理装置、MRデバイス、及び指導者用端末を備え、前記情報処理装置は、
前記対象機器の部位に関連付けられた教育用画像を取得する取得部と、
MRデバイスと通信する第1の通信部と、
指導者用端末と通信する第2の通信部と、
を備え、
前記第1の通信部は、前記対象機器の対象部位の作業手順に従って、前記教育用画像を前記MRデバイスに出力し、
前記第1の通信部は、前記MRデバイスを介して実現された前記教育用画像を含む複合現実画像を前記MRデバイスから受信し、
前記第2の通信部は、前記複合現実画像を前記指導者用端末に出力し、
前記教育用画像は、前記対象機器の前記対象部位に
重畳される画像であって、前記対象部位の仮想的な不具合
を示す画像である不具合画像を含み、
前記MRデバイスは、
前記教育用画像に基づく前記複合現実画像を実現する表示部と、
前記複合現実画像を取得する取得部と、
前記複合現実画像を前記情報処理装置に出力する出力部と、
を備え、
前記指導者用端末は、
前記第2の通信部から出力された前記複合現実画像を受信する受信部と、
前記複合現実画像を表示する表示部と、
前記複合現実画像に基づいて、前記対象部位に関するチェック項目毎の受講者の状況を示す評価情報を出力する出力部と、
を備える、保全支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及び保全支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラント設備等の産業用設備では、例えば、伝送器類、調節弁類、分析計類、その他各種調節計といった機械・装置(以下、「計装機器」と称する)が使用されている。このような計装機器は、所定の周期、又は不具合発生時に点検、修理、整備等のメンテナンス(以下、「保全」と総称する)が行われる。保全作業には、作業者に熟練した保全技術が求められる。このような保全作業を支援し、作業者を訓練するための技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、発電設備や工場設備の運用保守作業の効率化、作業者の人的ミス防止のために、点検対象機器の点検を行う作業者が作業場所において装着するMR(Mixed Reality)デバイスの透過型ディスプレイに操作手順マニュアルに基づく種々の仮想オブジェクトを表示させる保守運用システムが記載されている。また、特許文献1には、MRデバイスにより撮影された点検対象部品の画像と点検対象部品の画像の学習済みモデルを使用し、作業者の操作が正しいか否かを判定することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、作業現場において、作業対象の機器や機材と識別ラベルを撮影し、撮影された画像データから、当該作業対象の機器や機材のマニュアルやインシデント情報を、MRデバイス等を使用して作業者に提供する作業支援システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6884911号公報
【文献】特開2021-51519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プラント設備においては、計装機器を取り外した状態で保全作業を行うことが多く、設備の稼働に支障を生じさせないよう短時間で高度な保全作業を行う必要がある。そのため、熟練した作業者を育成するため、保全対象の各機器の分解から組み立てまでの工程で必要な技術を効果的に習熟させる支援技術が求められている。
【0007】
この発明は、上記事情に着目してなされたもので、保全対象となる計装機器の保全技術の遠隔教育を支援するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、対象機器に対する保全作業の教育を支援するための情報処理装置は、対象機器の部位に関連付けられた教育用画像を取得する取得部と、MRデバイスと通信する第1の通信部と、指導者用端末と通信する第2の通信部と、を備え、第1の通信部は、対象機器の対象部位の作業手順に従って、教育用画像をMRデバイスに出力し、第1の通信部は、MRデバイスを介して実現された教育用画像を含む複合現実画像を受信し、第2の通信部は、複合現実画像を指導者用端末に出力し、教育用画像は、対象機器の対象部位に関連する仮想的な不具合を表す不具合画像を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る保全支援システムを例示するブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る保全対象機器を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る保全対象機器の点検対象部品を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るサーバが有する観察項目テーブルを例示する図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るMRデバイスにより実現されるMR画像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るMRデバイスにより実現されるMR画像の別の例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るMRデバイスにより実現されるMR画像のさらに別の例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るサーバによる教育課程における情報処理の手順を例示するフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係るサーバによる評価課程における情報処理の手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて実施形態について説明する。各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(構成例)
図1は、実施形態に係る保全支援システム100を例示するブロック図である。
保全支援システム100は、計装機器の保全作業に関する一連の教育、及び評価過程を含む実習活動を実現するシステムである。保全作業は、計装機器の各部位の分解、点検、清掃、組立、調整作業等を含む。保全作業は、メンテナンス作業ともいう。点検は、故障又は消耗等による不具合に応じた部品の修理又は交換作業を含む。実習活動は、計装機器に関する技術、技能をMR(複合現実)画像を用いた教育、及び評価過程を通じて受講者に習得させるための活動である。実習活動は、保全対象機器毎に設定された教育課程、及び評価過程を含む。保全対象機器は、保全作業の対象となる計装機器を示す。保全対象機器は、例えば、伝送器類、調節弁類等である。実習活動は、保全対象機器の保全対象部位毎に設定された教育課程、及び評価過程を含んでもよい。保全対象部位は、保全対象機器のうち、保全作業の対象となる部位を示す。例えば、保全作業が保全対象機器の外観について行われる場合、保全対象部位は、「外観」を示す。教育課程は、計装機器の保全作業を技能講習により受講者に提供する過程である。技能講習は、保全作業の作業手順、及び保全作業における注意点等を受講者に指導するための講習である。評価過程は、計装機器の保全作業を技能演習により受講者を評価する過程である。技能演習は、技能講習において習得した作業手順、及び注意点等に基づいて、保全作業における複数のチェック項目に該当する事象の検出を受講者が正しく行えたか否かを評価するための演習である。技能演習は、保全作業における複数のチェック項目に基づいて評価される。技能演習における評価は、指導者等により実施される。教育課程、及び評価過程において、受講者は指導者等と離れた場所で技能講習、及び技能演習を受けることができる。指導者は、受講者と離れた場所で受講者の技能演習における評価を行うことができる。保全支援システム100は、計装機器の保全作業に関する遠隔教育において使用することができる。保全支援システム100は、対象機器に対する保全作業の遠隔教育を含む教育を支援するためのシステムである。
【0012】
保全支援システム100は、サーバ1、指導者用端末2、及びMRデバイス3を含む。サーバ1、指導者用端末2、及びMRデバイス3は、ネットワークを介して互いに通信自在に接続する。例えば、ネットワークは、インターネットである。ネットワークは、無線ネットワークを含んでもよいし、有線ネットワークを含んでもよい。なお、保全支援システム100は、サーバ1、指導者用端末2、及びMRデバイス3のうちの少なくとも2つの機器を含むシステムを指すこともある。
【0013】
サーバ1は、データを収集し、収集したデータを処理する電子機器である。電子機器は、コンピュータを含む。サーバ1は、ネットワークを介して、指導者用端末2、及びMRデバイス3と通信自在に接続する。サーバ1は、指導者用端末2、及びMRデバイス3から種々のデータを受け取り、指導者用端末2、及びMRデバイス3に種々のデータを出力する。サーバ1は、情報処理装置の一例である。サーバ1の構成例については後述する。
【0014】
指導者用端末2は、他の電子機器と通信可能な電子機器である。指導者用端末2は、例えば、計装機器の分解、点検、清掃、組立、調整作業等に関する一連の教育、評価過程を含む実習活動において指導者等が使用する機器である。指導者用端末2は、実習活動が行われる場所と同じ場所、又は異なる場所に設置され得る。指導者用端末2は、PC(Personal Computer)、スマートフォン、又は、タブレット端末等である。指導者は、講師、管理者、ユーザ又は人と読み替えてもよい。指導者用端末2の構成例については後述する。
【0015】
MRデバイス3は、他の電子機器と通信可能な電子機器である。MRデバイス3は、例えば、計装機器の分解、点検、清掃、組立、調整作業等に関する一連の教育、評価過程を含む実習活動において実習活動に参加する受講者等が使用する機器である。MRデバイス3は、例えば、受講者等の頭部に装着されるHMD(Head Mounted Display)、スマートフォン、タブレット端末等である。受講者は、作業者、参加者、ユーザ又は人と読み替えてもよい。MRデバイス3の構成例については後述する。
【0016】
サーバ1の構成例について説明する。
サーバ1は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13及び通信インタフェース14を含む電子機器である。サーバ1を構成する各部は、互いに信号を入出力可能に接続されている。
図1では、インタフェースは、「I/F」と記載されている。
【0017】
プロセッサ11は、サーバ1の中枢部分に相当する。例えば、プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)であるが、これに限定されない。プロセッサ11は、種々の回路で構成されていてもよい。プロセッサ11は、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13に予め記憶されているプログラムをメインメモリ12に展開する。プログラムは、サーバ1のプロセッサ11に後述する各部を実現または実行させるプログラムである。プロセッサ11は、メインメモリ12に展開されるプログラムを実行することで、種々の動作を実行する。
【0018】
メインメモリ12は、サーバ1の主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はプログラムを記憶する。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。例えば、メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域としてROM(Read Only Memory)を含む。例えば、メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域としてRAM(Random Access Memory)を含む。メインメモリ12は、プログラムを記憶する。
【0019】
補助記憶デバイス13は、サーバ1の補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス13は、EEPROM(登録商標)(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等である。補助記憶デバイス13は、上述のプログラム、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ及びプロセッサ11での処理によって生成されるデータを記憶する。補助記憶デバイス13は、上述のプログラムを記憶する。
【0020】
補助記憶デバイス13は、教育用画像記憶領域130を含む。教育用画像記憶領域130は、教育用画像を記憶する。教育用画像は、保全対象機器の各部位に関連付けられたガイド画像、及び不具合画像の何れか一方又は両方を含む。教育用画像は、二次元画像、及び三次元画像を含み得る。保全対象機器は、保全作業の対象となる計装機器を示す。保全対象機器は、プラント設備から取り外していない機器であってもよいし、プラント設備から取り外した機器であってもよい。ガイド画像は、保全対象機器の各部位に対する保全作業の処理手順を示す画像である。処理手順は、保全対象機器の各部位に対して少なくとも1つの手順を含む。ガイド画像は、処理手順をテキストで示すテキストガイド画像、及び処理手順を映像で示す画像を含む映像ガイド画像等を含む。映像は、静止画像、及び動画を含んでもよい。不具合画像は、保全対象機器の各部位に関連する仮想的な不具合を表す画像である。不具合画像は、傷、汚れ、変形、及び劣化を含む不具合を表す画像を含む。不具合画像は、不正な組立順序等を表す画像を含んでもよい。不具合画像は、保全対象機器の各部位に対して重畳して表示される画像を含む。不具合画像は、保全対象機器の各部位の位置情報に基づいて各部位に重畳されうる。位置情報は、例えば、三次元座標である。不具合画像は、保全対象機器の各部位に対するチェック項目に関連付けられた画像である。チェック項目は、保全対象機器の各部位に対して少なくとも1つのチェック項目を含む。チェック項目は、例えば、保全対象機器の点検を要する項目を示す。教育用画像は、PC等の端末を介して、サーバ1にアップロードされる。
【0021】
補助記憶デバイス13は、観察項目テーブル記憶領域131を含む。観察項目テーブル記憶領域131は、観察項目テーブルを記憶する。観察項目テーブルは、保全対象機器の保全作業におけるチェック項目を含む。観察項目テーブルは、保全対象機器のカテゴリ、部位、チェック項目、重要観察チェック項目、重み付けレベル、評価情報、及び対応教育用画像情報を含む。カテゴリは、保全対象機器の種類を示す。カテゴリは、例えば、空気式差圧伝送器、空気式圧力伝送器等を含む。部位は、保全対象機器の保全作業を行う単位を示す。部位は、例えば、外観、伝送部、受圧部、本体等を含む。チェック項目は、上述のように、保全対象機器の各部位に対して点検を要する項目を示す。チェック項目は、例えば、本体腐食、ダイアフラムケース腐食等を含む。重要観察チェック項目は、各チェック項目について特に注意して観察又は点検する必要がある項目を示す。重要観察チェック項目は、例えば、傷や潰れ点検、変形や漏れ点検、接触面摩耗、異常位置等を含む。重み付けレベルは、チェック項目毎に設定される受講者による事象の検出の重要度を示す。重要度は、チェック項目に該当する事象のような不具合が発生した場合に計装機器全体の機能に対する影響、計装機器を設置したプラント設備全体に対する影響、不具合が悪化する進行の程度、劣化の程度等を総合的に考慮して設定される値である。重み付けレベルは、予め設定されるものでもよく、管理者等により適宜設定されるものでもよい。
【0022】
重み付けレベルは、例えば、「1」~「5」等の数値で示される。
例えば、部品交換等を行うことにより、その他の部品に不具合がなければ計装機器の機能を初期レベルと同等に担保することができる極めて軽微な不具合に対するチェック項目は、重み付けレベルを「1」とする。重み付けレベル「1」のチェック項目は、例えば、ボルトの弛み等である。
例えば、部品交換等を行うことにより、その他の部品に不具合がなければ計装機器の機能を充分に担保することができる軽微な不具合に対するチェック項目は、重み付けレベルを「2」とする。
例えば、部品交換等を行うことにより、その他の部品の不具合等との兼ね合いによっては計装機器の機能が低下する方向に悪影響を受けるやや重大な不具合に対するチェック項目は、重み付けレベルを「3」とする。
例えば、部品交換等を行ったとしても、プラント設備の稼働率が下がる程度の悪影響を与えてしまう極めて重大な不具合に対するチェック項目は、重み付けレベルを「4」とする。
例えば、プラント設備の稼働に明らかな悪影響を与えかねない不具合である場合、部品交換ができない場合、耐用年数が過ぎている場合等の致命的な不具合に対するチェック項目は、重み付けレベルを「5」とする。なお、上述した重み付けレベルは、単なる一例であり、実際の重み付けレベルを示すものはなく、計装機器の種類等によって適宜設定され得る。
【0023】
評価情報は、チェック項目毎の受講者による状況を示す情報である。評価情報は、状況として、評価過程の技能演習において、受講者がチェック項目に該当する事象の検出を正しく行えたか否かを示す。評価情報は、例えば、指導者用端末2により入力される評価情報に基づいて更新され得る。例えば、受講者がチェック項目に該当する事象の検出を正しく行えた場合、評価情報として「1」が設定され、受講者がチェック項目に該当する事象の検出を正しく行えなかった場合、評価情報として「0」が設定されてもよい。
【0024】
対応教育用画像情報は、各部位に関連付けられたガイド画像、及び各チェック項目に関連付けられた不具合画像を示す情報である。対応教育用画像情報は、例えば、ガイド画像、又は不具合画像のメモリアドレス等のリンク情報であってもよい。
【0025】
補助記憶デバイス13は、ユーザ情報記憶領域132を含む。ユーザ情報記憶領域132は、各受講者のユーザ情報を記憶する。ユーザ情報は、各受講者の技能講習及び技能演習に関する情報等を含む。ユーザ情報は、ユーザ識別情報、技能講習の受講科目、技能演習の評価スコア等を含む。ユーザ識別情報は、各受講者を一意に識別するユーザID等を示す。技能講習の受講科目は、保全対象機器毎に設定された講習の科目を示す。受講科目は、観察項目テーブルのカテゴリと対応していてもよい。技能演習の評価スコアは、技能演習においてチェック項目毎に指導者用端末2により入力される評価情報により算出される評価スコアを示す。評価スコアは、評価情報及び重み付けレベルに基づいて算出される。評価スコアは、例えば、評価情報が「1」のチェック項目の数に重み付けレベルの値を重み付けとして使用して算出される。ユーザ情報は、技能演習の評価情報を含んでもよい。技能演習の評価情報は、指導者用端末2により入力される評価情報に基づく情報である。
【0026】
通信インタフェース14は、所定の通信プロトコルに従い、ネットワークを介して、サーバ1を他の電子機器と通信可能に接続する種々のインタフェースを含む。
【0027】
なお、サーバ1のハードウェア構成は、上述の構成に限定されるものではない。サーバ1は、適宜、上述の構成要素の省略及び変更並びに新たな構成要素の追加を可能とする。
【0028】
上述のプロセッサ11に実装される各部について説明する。
プロセッサ11は、取得部110、第1の通信部111、第2の通信部112、比較部113、及びスコア算出部114を実装する。プロセッサ11に実装される各部は、各機能ということもできる。プロセッサ11に実装される各部は、プロセッサ11及びメインメモリ12を含む制御部に実装されるということもできる。
【0029】
取得部110は、教育用画像記憶領域130から教育用画像を取得する。取得部110は、保全対象機器の各部位に関連付けられた教育用画像を取得する。教育用画像は、少なくとも保全対象機器の各部位に関連付けられたガイド画像、及び不具合画像の何れか一方又は両方を含む。以下の説明において、「取得」するは、「受信」と読み替えてもよい。
【0030】
第1の通信部111は、通信インタフェース14を介して、MRデバイス3と通信する。第1の通信部111は、教育用画像をMRデバイス3に出力する。第1の通信部111は、教育用画像として、保全対象機器の保全対象部位に関連付けられたガイド画像をMRデバイス3に出力する。第1の通信部111は、教育用画像として、重み付けレベルが所定の値以上である保全対象部位のチェック項目に関連付けられた不具合画像をMRデバイス3に出力する。所定の値は、例えば、「5」である。第1の通信部111は、後述する比較部113による保全対象部位の各チェック項目の重み付けレベルと所定の値との比較結果に基づいて、教育用画像として、重み付けレベルが所定の値以上である保全対象部位のチェック項目に関連付けられた不具合画像をMRデバイス3に出力する。
【0031】
第1の通信部111は、通信インタフェース14を介して、アドバイス情報をMRデバイス3に出力する。アドバイス情報は、例えば、保全対象部位についての保全作業の作業手順の中で、チェック項目に関する注意点等の情報を含む。アドバイス情報は、各部品の重要観察チェック項目に関する情報を含んでもよい。アドバイス情報は、受講者が作業手順を適切に学習するために役立つ情報を含む。アドバイス情報は、技能講習において、受講者に作業手順に含まれる重要観察チェック項目を知らせるための情報を含んでもよい。重要観察チェック項目を知らせるための情報は、保全作業において注意すべき詳細情報を含む。技能講習におけるアドバイス情報は、例えば、「ノズルに傷がないかチェックすることが重要です」等である。アドバイス情報は、技能演習において、受講者が作業手順を適切に再現できていない場合、又は受講者に特に注意を促す必要がある場合等に、正しい作業手順を指導するための情報を含む。技能演習におけるアドバイス情報は、例えば、「ノズルに傷がないかチェックしながら作業してください」等である。アドバイス情報は、技能講習、及び技能演習において、受講者からの質問に回答するための情報を含んでもよい。アドバイス情報は、音声、映像、又はテキスト情報であり得る。
【0032】
第1の通信部111は、保全対象部位に関連付けられたチェック項目が最後の項目であるか否かを判定する。第1の通信部111は、保全対象部位に関連付けられたチェック項目が最後の項目である場合、保全対象部位に関する評価スコアをMRデバイス3に出力する。以下の説明において、「出力」するは、「送信」と読み替えてもよい。保全対象部位に関連付けられたチェック項目が最後の項目であるか否かを判定する機能は、判定部により実現されてもよい。判定部は、第1の通信部111に含まれる機能であってもよいし、第1の通信部111とは異なる機能であってもよい。第1の通信部111が保全対象部位に関連付けられたチェック項目が最後の項目であるか否かを判定することについての説明では、「第1の通信部111」の表記は、「判定部」と読み替えてもよい。
【0033】
第1の通信部111は、通信インタフェース14を介して、MRデバイス3により撮影されたMR画像(複合現実画像)をMRデバイス3から受信する。MR画像は、MRデバイス3により実現される教育用画像が現実空間に重畳された画像である。第1の通信部111は、MR画像を補助記憶デバイス13に保存してもよい。
【0034】
第2の通信部は、通信インタフェース14を介して、指導者用端末2と通信する。第2の通信部112は、MRデバイス3から取得されたMR画像を指導者用端末2に出力する。
【0035】
第2の通信部112は、通信インタフェース14を介して、チェック項目毎の受講者の状況を示す評価情報を指導者用端末2から受信する。第2の通信部112は、評価情報を補助記憶デバイス13に保存してもよい。第2の通信部112は、通信インタフェース14を介して、アドバイス情報を指導者用端末2から受信する。第2の通信部112は、アドバイス情報を補助記憶デバイス13に保存してもよい。
【0036】
比較部113は、保全対象部位の各チェック項目の重み付けレベルを取得する。比較部113は、保全対象部位の各チェック項目の重み付けレベルと所定の値を比較する。比較部113は、各チェック項目の重み付けレベルが所定の値以上であるか否かを判断する。
【0037】
スコア算出部114は、各チェック項目に関連付けられた評価情報と重み付けレベルに基づいて、保全対象部位に関する評価スコアを算出する。スコア算出部114は、評価スコアをユーザ情報記憶領域132に保存する。
【0038】
なお、取得部110、第1の通信部111、第2の通信部112、及びスコア算出部114は、プログラムを実行することでプロセッサ11に実装されるものとして説明したが、これに限定されない。
【0039】
指導者用端末2の構成例について説明する。
指導者用端末2は、プロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶デバイス23、通信インタフェース24、入力デバイス25、表示デバイス26、及びスピーカ27を含む電子機器である。指導者用端末2を構成する各部は、互いに信号を入出力可能に接続されている。
【0040】
プロセッサ21は、指導者用端末2の中枢部分に相当する。プロセッサ21は、上述のプロセッサ11と同様のハードウェア構成である。プロセッサ21は、メインメモリ22または補助記憶デバイス23に予め記憶されているプログラムを実行することで、種々の動作を実行する。
【0041】
メインメモリ22は、指導者用端末2の主記憶部分に相当する。メインメモリ22は、上述のメインメモリ12と同様のハードウェア構成である。メインメモリ22は、プログラムを記憶する。
【0042】
補助記憶デバイス23は、指導者用端末2の補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス23は、上述の補助記憶デバイス13と同様のハードウェア構成である。補助記憶デバイス23は、上述のプログラムを記憶する。
【0043】
通信インタフェース24は、所定の通信プロトコルに従い、ネットワークを介して、指導者用端末2を他の機器と通信可能に接続する種々のインタフェースを含む。
【0044】
入力デバイス28は、指導者用端末2へデータ又は指示を入力可能なデバイスである。例えば、入力デバイス28は、キーボードまたはタッチパネル等を含む。入力デバイス28は、音声を入力可能なマイク、及び撮影範囲の撮影データを取得可能なカメラを含んでもよい。
【0045】
表示デバイス26は、プロセッサ21の制御により種々の画面を表示可能なデバイスである。例えば、表示デバイス26は、液晶ディスプレイまたはEL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。
【0046】
スピーカ27は、指導者用端末2の制御により音声を出力可能なデバイスである。
【0047】
なお、指導者用端末2のハードウェア構成は、上述の構成に限定されるものではない。指導者用端末2は、適宜、上述の構成要素の省略及び変更並びに新たな構成要素の追加を可能とする。
【0048】
MRデバイス3の構成例について説明する。
MRデバイス3は、プロセッサ31、メモリ32、通信インタフェース33、ディスプレイ34、カメラ35、マイク36、及びセンサ37を含む電子機器である。MRデバイス3を構成する各部は、互いに信号を入出力可能に接続されている。
【0049】
プロセッサ31は、MRデバイス3の中枢部分に相当する。プロセッサ31は、上述のプロセッサ11と同様のハードウェア構成である。プロセッサ31は、メモリ32に予め記憶されているプログラムを実行することで、種々の動作を実行する。
【0050】
通信インタフェース33は、所定の通信プロトコルに従い、ネットワークを介して、MRデバイス3を他の機器と通信可能に接続する種々のインタフェースを含む。
【0051】
ディスプレイ34は、透視可能な光透過性のディスプレイである。
カメラ35は、MRデバイス3の制御により撮影範囲の撮影データを取得可能なデバイスである。
マイク36は、MRデバイス3の制御により音声を入力可能なデバイスである。
センサ37は、MRデバイス3の制御により受講者の視線を検知する視線センサ等を含む。
【0052】
なお、MRデバイス3のハードウェア構成は、上述の構成に限定されるものではない。MRデバイス3は、適宜、上述の構成要素の省略及び変更並びに新たな構成要素の追加を可能とする。MRデバイス3は、MRデバイス3の制御により音声を出力可能なスピーカを備えていてもよい。
【0053】
保全対象機器の保全作業について説明する。
図2は、実施形態に係る保全対象機器を概略的に示す図である。
図2では、空気式差圧伝送器を保全対象機器の例として示している。
図2に示す空気式差圧伝送器は、分解作業を行う前の状態を表している。
【0054】
図3は、実施形態に係る保全対象機器の点検対象部品を概略的に示す図である。
図3では、空気式差圧伝送器の一部を点検対象部品の例として示している。
図3に示す点検対象部品は、空気式差圧伝送器の伝送部及び受圧部を含む。
【0055】
伝送部の部品として、パイロットリレー、フィードバックベロー、ノズル、フラッパー、スパンホイールを含む。パイロットリレーの内部部品として、ガスケット、ダイヤフラム、内弁、ボール、張力板バネを含む。受圧部の部品として、フォースバー、ダイヤフラムシール、ダイヤフラムカプセル、フレクシャーロックナット、フレクシャーを含む。
【0056】
空気式差圧伝送器は、
図3に示す部品に分解することができる。受講者は、技能講習において、教育用画像、及び指導者用端末2から受信されるアドバイス情報等に基づいて保全対象機器である空気式差圧伝送器の分解を行う。受講者は、分解作業の後、各部品についてガイド画像に従って点検、及び清掃作業を行う。その後、受講者は、各部品の組立、及び調整作業等を行う。受講者は、技能演習において、教育用画像、及び指導者用端末2から受信されるアドバイス情報等に基づいて、技能講習において学んだ保全作業に従って、保全対象機器である空気式差圧伝送器の分解を行う。受講者は、分解作業の後、各部品についてガイド画像に従って点検、及び清掃作業を行う。その後、受講者は、各部品の組立、及び調整作業等を行う。受講者は、技能講習において保全作業を学び、技能演習において保全作業の演習を行う。指導者は、チェック項目に従って受講者の技能演習における保全作業の評価を行う。
【0057】
観察項目テーブルについて説明する。
図4は、実施形態に係るサーバが有する観察項目テーブルを例示する図である。
【0058】
観察項目テーブルは、保全対象機器のカテゴリ、部位、チェック項目、重要観察チェック項目、重み付けレベル、評価情報、及び対応教育用画像情報を含む。カテゴリは、保全対象機器の種類を示す。カテゴリは、保全対象機器を保全対象部位及びチェック項目に基づいて分類したものである。例えば、空気式差圧伝送器、及び空気式圧力伝送器等は保全対象部位及びチェック項目において共通するため同一カテゴリの保全対象機器である。部位は、保全対象機器の保全作業を行う単位を示す。例えば、カテゴリ「空気式差圧伝送器」に対応する部位は、「外観」、「伝送部」、「受圧部」、「本体」等を含む。チェック項目は、保全対象機器「空気式差圧伝送器」の各部位に対して点検を要する項目を示す。例えば、部位「外観」に対応するチェック項目は、「本体腐食」、「ダイアフラムケース腐食」、「バルブ詰まり」等を含む。重要観察チェック項目は、各チェック項目について特に注意して観察又は点検する必要がある項目を示す。例えば、チェック項目「ノズル・フラッパー傷、絞り汚れ」に対応する重要観察チェック項目は、「傷や潰れ点検」等を含む。受講者は、チェック項目の点検を行う際、重要観察チェック項目について特に注意して点検をすることが要求される。重要観察チェック項目は、重み付けレベルの程度に応じて設定されてもよく、重み付けレベルの程度に関係なく設定されてもよい。例えば、重み付けレベルが高いチェック項目について、重要観察チェック項目に詳細な観察方法や観察箇所が設定されてもよい。重み付けレベルは、チェック項目毎に設定される受講者による事象の検出の重要度を示す。例えば、チェック項目「本体腐食」に対応する重み付けレベルは「2」である。チェック項目「ダイアフラムケース腐食」に対応する重み付けレベルは「2」である。チェック項目「バルブ詰まり」に対応する重み付けレベルは「3」である。評価情報は、受講者がチェック項目に該当する事象の検出を正しく行えたか否かを示すことにより、チェック項目毎の受講者による事象の検出を評価する情報である。例えば、受講者がチェック項目「バルブ詰まり」に該当する事象の検出を正しく行えた場合、対応する評価情報は「1」である。受講者がチェック項目「ダイアフラムケース腐食」に該当する事象の検出を正しく行えなかった場合、対応する評価情報は「0」である。対応教育用画像情報は、各部位に関連付けられたガイド画像、及び各チェック項目に関連付けられた不具合画像を示す情報を含む。
【0059】
保全対象機器のカテゴリ、部位、チェック項目、重要観察チェック項目、重み付けレベル、評価情報、及び対応教育用画像情報は、それぞれが関連付けられている。観察項目テーブルは、評価情報が更新される毎に更新されてもよい。観察項目テーブルは、管理者等により適宜更新されてもよい。
【0060】
MRデバイス3により実現されるMR画像について説明する。
図5は、実施形態に係るMRデバイス3により実現されるMR画像の一例を示す図である。
図5は、技能講習において受講者により使用されるMRデバイス3により実現されるMR画像の一例を示す図である。
図5では、例えば、空気式差圧伝送器の伝送部を分解する手順に関する技能講習が行われている場合を想定する。
【0061】
図5は、ガイド画像Ob1及びOb2を含む。ガイド画像Ob1は、映像ガイド画像を示す。映像ガイド画像は、伝送部の分解手順を示す少なくとも1つの映像を含む。映像は、静止画像でもよく、動画でもよい。映像ガイド画像は、映像に関連付けられたテキスト情報を含んでもよい。例えば、映像は、伝送部のノズル部分の分解手順を示す順番に示す複数の静止画像であり得る。複数の静止画像は、作業手順に従い、矢印、又は番号等により順番が識別可能な態様で表示され得る。映像に関連付けられたテキスト情報は、「ノズルナットを外す」等である。映像ガイド画像は、受講者が作業対象部位を容易に特定できる表示を含んでもよい。例えば、映像ガイド画像は、映像に分解対象の部位を識別可能な態様で表示してもよい。識別可能な態様は、例えば、矢印、又は囲み線等の装飾表示、太字、又は装飾文字等による強調表示を含む。
【0062】
ガイド画像Ob2は、テキストガイド画像を示す。テキストガイド画像は、伝送部の分解手順を示すテキスト情報を含む。例えば、テキスト情報は、伝送部のノズル部分の分解手順を示す順番に示すテキスト情報であり得る。テキスト情報は、作業手順に従い、矢印、又は番号等により順番が識別可能な態様で表示され得る。テキスト情報は、例えば、「(1)ノズルナットを取り外す。(2)クランプネジを緩める。(3)ノズル機構を取り外す。」等である。テキストガイド画像は、受講者が作業手順を容易に認識できる表示を含んでもよい。例えば、テキストガイド画像は、部品の名称又は作業内容を識別可能な態様で表示してもよい。
【0063】
ガイド画像Ob1及びOb2は、作業手順を1つ前に戻る「戻る」ボタン、作業手順を次に進める「次へ」ボタンを含んでもよい。ガイド画像Ob1及びOb2は、ガイド画像の表示を取り消す「取消」ボタンを含んでもよい。
【0064】
受講者は、技能講習において、ガイド画像Ob1及びOb2を視認しながら保全対象機器の保全作業手順を学ぶ。受講者は、ガイド画像Ob1及びOb2を視認しながら、ガイドに従って実際に保全対象機器の保全作業を行うことができる。
【0065】
図5におけるガイド画像Ob1及びOb2は、技能講習において使用されるガイド画像として説明したが、技能演習においてもガイド画像Ob1及びOb2と同様のガイド画像を使用して演習を行ってもよい。その場合、ガイド画像Ob1及びOb2に含まれる映像、及びテキスト情報等は、技能講習用のガイド画像と同様のものでもよく、技能講習用のガイド画像を簡略化したものでもよい。例えば、技能演習用のガイド画像は、技能講習用のガイド画像に含まれる情報の一部を省略したものや、作業手順の一部を空欄にしたものであってもよい。このような技能演習用のガイド画像を使用することにより受講者が作業手順を習得したか否かを確認してもよい。
【0066】
図6は、実施形態に係るMRデバイスにより実現されるMR画像の別の例を示す図である。
図6は、技能演習において受講者により使用されるMRデバイス3により実現されるMR画像の一例を示す図である。
図6では、例えば、空気式差圧伝送器の伝送部を清掃、組立する手順に関する技能演習が行われている場合を想定する。
【0067】
図6は、ガイド画像Ob1及びガイド画像Ob2を含む。ガイド画像Ob1は、映像ガイド画像を示す。ガイド画像Ob2は、テキストガイド画像を示す。ガイド画像Ob1及びガイド画像Ob2は、
図5と同様のものであってよい。ガイド画像Ob1は、伝送部を清掃、組立する手順を示す映像を含む。ガイド画像Ob2は、伝送部を清掃、組立する手順を示すテキスト情報を含む。
【0068】
図6は、アドバイス情報A1を含む。
図6では、アドバイス情報A1が音声であることを想定する。アドバイス情報A1は、伝送部を清掃、組立する手順に関するアドバイス情報である。例えば、アドバイス情報A1は、「ノズルに傷がないかチェックしながら作業してください」である。受講者は、アドバイス情報A1に従って、保全対象機器の保全作業を行うことができる。アドバイス情報A1は、MRデバイス3のスピーカから音声出力されてもよいし、MRデバイス3とは別のデバイスから音声出力されてもよい。アドバイス情報A1がテキスト情報である場合、ガイド画像Ob1又はガイド画像Ob2がアドバイス情報A1を含んでもよい。アドバイス情報A1が映像である場合、ガイド画像Ob1又はガイド画像Ob2がアドバイス情報A1を含んでもよい。アドバイス情報A1がテキスト情報又は映像である場合、アドバイス情報A1の表示は、ガイド画像Ob1又はガイド画像Ob2とは異なる領域でもよい。アドバイス情報A1は、MRデバイス3のディスプレイ34に表示されてもよいし、MRデバイス3とは別のデバイスに表示されてもよい。
【0069】
アドバイス情報A1は、技能講習において出力されてもよい。その場合、アドバイス情報A1は、重要観察チェック項目に関する情報であってよい。例えば、技能講習におけるアドバイス情報A1は、「ノズルに傷がないかチェックすることが重要です」等である。
【0070】
図7は、実施形態に係るMRデバイスにより実現されるMR画像のさらに別の例を示す図である。
図7は、技能演習において受講者により使用されるMRデバイス3により実現されるMR画像の一例を示す図である。
図7では、例えば、空気式差圧伝送器の伝送部を清掃、組立する手順に関する技能演習が行われている場合を想定する。
【0071】
図7は、ガイド画像Ob1及びガイド画像Ob2を含む。ガイド画像Ob1は、映像ガイド画像を示す。ガイド画像Ob2は、テキストガイド画像を示す。ガイド画像Ob1及びガイド画像Ob2は、
図6と同様のものであってよい。
【0072】
図7は、不具合画像Ob3を含む。不具合画像Ob3は、受講者が作業中の保全対象機器の保全対象部位に重畳される。この例では、受講者がノズルの保全作業をしている場合を示す。不具合画像Ob3は、例えば、ノズルの傷を示す三次元の画像である。受講者は、ノズルの保全作業に際し、不具合画像Ob3に気づくか否かによって評価される。例えば、受講者が、ノズルの傷に気づいた場合、指導者用端末2により受講者がチェック項目に該当する事象の検出を正しく行えたことを示す評価情報が設定される。受講者が、ノズルの傷に気づかなかった場合、指導者用端末2により受講者がチェック項目に該当する事象の検出を正しく行えなかったことを示す評価情報が設定される。
【0073】
不具合画像Ob3は、技能講習において出力されてもよい。その場合、不具合画像Ob3は、チェック項目、又は重要観察チェック項目に関連する不具合画像であってよい。例えば、
図7の不具合画像Ob3は、技能講習における伝送部のノズルをチェックする手順を指導する際に表示されてもよい。
【0074】
(動作例)
保全支援システム100による処理の手順について説明する。
なお、以下のサーバ1を主体とする説明では、サーバ1をプロセッサ11と読み替えてもよい。同様に、指導者用端末2を主体とする説明では、指導者用端末2をプロセッサ21と読み替えてもよい。同様に、MRデバイス3を主体とする説明では、MRデバイス3をプロセッサ31と読み替えてもよい。
【0075】
以下の処理では、計装機器の保全作業に関する実習活動のうち教育課程において、指導者が受講者に対し技能講習を行う場合を想定する。技能講習は、各保全対象機器について部位毎に行われる。以下の例では、保全対象機器の複数の部位のうちの一つを保全対象部位とし、技能講習を行うものとする。具体的には、保全対象機器を「空気式差圧伝送器」とし、保全対象部位を「伝送部」とした場合の技能講習を行うものとする。保全対象部位についてチェック項目1~i(i=は1以上の整数)が設定される。技能講習では、MRデバイスを使用して、保全対象機器の各部位の分解、点検、清掃、組立、調整作業等の作業手順を受講者に指導する。指導者は、分解、点検、清掃、組立、調整作業等の作業手順の中で、チェック項目に関する注意点を受講者に指導する。
【0076】
なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0077】
図8は、実施形態に係るサーバ1による教育課程における情報処理の手順を例示するフローチャートである。
取得部110は、教育用画像記憶領域130から、保全対象機器の保全対象部位に関連付けられた教育用画像を取得する(ステップS1)。ステップS1では、例えば、取得部110は、保全対象機器の保全対象部位に関連付けられたガイド画像を含む教育用画像を教育用画像記憶領域130から取得する。
【0078】
第1の通信部111は、保全対象機器の保全対象部位の作業手順に従って、教育用画像をMRデバイス3に出力する(ステップS2)。ステップS2では、例えば、第1の通信部111は、保全対象部位の作業手順に従って、教育用画像として、保全対象部位に関連付けられたガイド画像を、MRデバイス3に出力する。MRデバイス3は、保全対象部位の作業手順に従って、通信インタフェース33を介して、保全対象部位に関連付けられたガイド画像を受信する。MRデバイス3のプロセッサ31は、ガイド画像をサーバ1から受信する受信部として機能し得る。ガイド画像を受信することは、教育用画像を受信することの一例である。MRデバイス3は、少なくともディスプレイ34により、受信したガイド画像に基づいてMR画像を実現する。MRデバイス3のプロセッサ31は、ガイド画像に基づいてMR画像を実現する表示部として機能し得る。ガイド画像に基づいてMR画像を実現することは、教育用画像に基づいてMR画像を実現することの一例である。ここで、受講者は、MR画像を視認しながら、保全対象部位の保全作業の作業手順を学習する。MRデバイス3は、MR画像をカメラ35で撮影することにより取得する。MRデバイス3のプロセッサ31は、MR画像を取得する取得部として機能し得る。MRデバイス3は、通信インタフェース33を介して、MR画像をサーバ1に出力する。MRデバイス3のプロセッサ31は、MR画像をサーバ1に出力する出力部として機能し得る。
【0079】
第1の通信部111は、MRデバイス3を介して実現された教育用画像を含むMR画像を受信する(ステップS3)。ステップS3では、例えば、第1の通信部111は、MRデバイス3により撮影されたガイド画像を含むMR画像をMRデバイス3から受信する。第1の通信部111は、受信したMR画像を補助記憶デバイス13に記憶してもよい。
【0080】
第2の通信部112は、MRデバイス3から受信されたMR画像を指導者用端末2に出力する(ステップS4)。指導者用端末2は、通信インタフェース24を介して、サーバ1からMR画像を受信する。指導者用端末2のプロセッサ21は、MR画像を受信する受信部として機能し得る。指導者用端末2は、受信したMR画像を表示デバイス26に表示してもよい。指導者用端末2のプロセッサ21は、MR画像を表示する表記部として機能し得る。指導者用端末2を使用する指導者は、MR画像に基づいて受講者の技能講習の受講状況を確認することができる。
【0081】
第2の通信部112は、指導者用端末2からアドバイス情報を受信したか否かを判断する(ステップS5)。第2の通信部112によりアドバイス情報を受信したと判断された場合(ステップS5:YES)、処理は、ステップS5からステップS6に遷移する。この場合、第2の通信部112は、受信したアドバイス情報を補助記憶デバイス13に保存してもよい。第2の通信部112によりアドバイス情報を受信していないと判断された場合(ステップS5:NO)、処理は、終了する。
【0082】
第1の通信部111は、アドバイス情報をMRデバイス3に出力する(ステップS6)。MRデバイス3は、通信インタフェース33を介して、アドバイス情報を受信する。MRデバイス3のプロセッサ31は、アドバイス情報をサーバ1から受信する受信部として機能し得る。MRデバイス3は、アドバイス情報に基づいてMR画像を実現する。MRデバイス3のプロセッサ31は、アドバイス情報に基づいてMR画像を実現する表示部として機能し得る。ここで、受講者は、MR画像を視認しながら、アドバイス情報に基づいて、保全対象部位の保全作業の作業手順を学習する。
【0083】
次に、技能演習における保全支援システム100による処理の手順について説明する。
以下の処理では、計装機器の保全作業に関する実習活動のうち評価課程において、受講者が技能演習を行う場合を想定する。技能演習は、各保全対象機器について部位毎に行われる。以下の例では、保全対象機器の複数の部位のうちの一つを保全対象部位とし、技能演習を行うものとする。具体的には、保全対象機器を「空気式差圧伝送器」とし、保全対象部位を「伝送部」とした場合の技能演習を行うものとする。保全対象部位についてチェック項目1~i(i=は1以上の整数)が設定される。技能演習では、MRデバイスを使用して、保全対象機器の各部位の分解、点検、清掃、組立、調整作業等の作業手順に従って受講者が実際の作業を行う。指導者は、分解、点検、清掃、組立、調整作業等の作業手順の中で、チェック項目に関する注意点を受講者に指導する。
【0084】
技能演習は、技能講習の後に行われる。技能演習は、保全対象機器毎に技能講習が行われた後に行われてもよい。技能演習は、保全対象部位毎に技能講習が行われた後に行われてもよい。
【0085】
図9は、実施形態に係るサーバ1による評価課程における情報処理の手順を例示するフローチャートである。
【0086】
取得部110は、教育用画像記憶領域130から、保全対象機器の保全対象部位に関連付けられた教育用画像を取得する(ステップS101)。ステップS101では、例えば、取得部110は、保全対象機器の保全対象部位に関連付けられたガイド画像、及び不具合画像を含む教育用画像を教育用画像記憶領域130から取得する。
【0087】
第1の通信部111は、保全対象機器の保全対象部位の作業手順に従って、教育用画像をMRデバイス3に出力する(ステップS102)。ステップS102では、例えば、第1の通信部111は、保全対象部位の作業手順に従って、教育用画像として、保全対象部位に関連付けられたガイド画像を、MRデバイス3に出力する。MRデバイス3は、保全対象部位の作業手順に従って、保全対象部位に関連付けられたガイド画像を受信する。MRデバイス3は、受信したガイド画像に基づいてMR画像を実現する。ここで、受講者は、MR画像を視認しながら、保全対象部位の保全作業の作業手順を学習する。MRデバイス3は、MR画像をカメラで撮影することにより取得する。MRデバイス3は、MR画像をサーバ1に出力する。
【0088】
比較部113は、保全対象部位のチェック項目iの重み付けレベルが所定の値以上であるか否かを判断する(ステップS103)。ステップS103では、例えば、比較部113は、保全対象部位のチェック項目iの重み付けレベルを観察項目テーブル記憶領域131から取得する。比較部113は、保全対象部位のチェック項目iの重み付けレベルと所定の値を比較する。比較部113は、チェック項目iの重み付けレベルと所定の値との比較に基づいて、重み付けレベルが所定の値以上であるか否かを判断する。
【0089】
比較部113により重み付けレベルが所定の値以上であると判断された場合(ステップS103:YES)、処理は、ステップS103からステップS104に遷移する。比較部113により重み付けレベルが所定の値以上でないと判断された場合(ステップS103:NO)、処理は、ステップS103からステップS105に遷移する。
【0090】
第1の通信部111は、比較部113による比較結果を取得する。第1の通信部111は、比較結果がチェック項目iの重み付けレベルが所定の値以上であることを示すことに基づいて、教育用画像として、重み付けレベルに対応するチェック項目iに関する不具合画像をMRデバイス3に出力する。一例では、第1の通信部111は、不具合画像を保全対象部位に重畳されるように出力する。この場合、不具合画像は、保全対象部位の傷、汚れ、変形、及び劣化を含む不具合を表す画像であってもよい。別の例では、第1の通信部111は、不具合画像を保全対象機器に重畳されないように出力する。この場合、不具合画像は、保全対象部位の不正な組立順序を表現する画像であってもよい。不正な組立順序を表現する画像は、保全対象機器を三次元で表現した静止画像であってもよく、保全対象機器を三次元のアニメーションにより表現した動画であってもよい。
MRデバイス3は、通信インタフェース33を介して、不具合画像を受信する。MRデバイス3のプロセッサ31は、不具合画像をサーバ1から受信する受信部として機能し得る。不具合画像を受信することは、教育用画像を受信することの一例である。MRデバイス3は、少なくともディスプレイ34により、受信した不具合画像に基づいてMR画像を実現する。MRデバイス3のプロセッサ31は、不具合画像に基づいてMR画像を実現する表示部として機能し得る。不具合画像に基づいてMR画像を実現することは、教育用画像に基づいてMR画像を実現することの一例である。一例では、MRデバイス3は、不具合画像を保全対象部位に重畳されるような態様でMR画像を実現する。別の例では、MRデバイス3は、不具合画像を保全対象部位に重畳されないような態様でMR画像を実現する。MRデバイス3は、MR画像をカメラ35で撮影することにより取得する。MRデバイス3は、通信インタフェース33を介して、MR画像をサーバ1に出力する。
【0091】
第1の通信部111は、MRデバイス3を介して実現された教育用画像を含むMR画像を受信する(ステップS105)。ステップS105では、例えば、第1の通信部111は、MRデバイス3により撮影されたガイド画像、及び不具合画像を含むMR画像をMRデバイス3から受信する。第1の通信部111は、受信したMR画像を補助記憶デバイス13に記憶してもよい。
【0092】
第2の通信部112は、MRデバイス3から受信されたMR画像を指導者用端末2に出力する(ステップS106)。指導者用端末2は、サーバ1からMR画像を受信する。指導者用端末2は、受信したMR画像を表示デバイス26に表示してもよい。指導者用端末2を使用する指導者は、MR画像に基づいて受講者の技能演習の受講状況を確認することができる。具体的には、指導者は、受講者がチェック項目に該当する事象の検出を正しく行えたか否かを判断することができる。
【0093】
第2の通信部112は、指導者用端末2からアドバイス情報を受信したか否かを判定する(ステップS107)。第2の通信部112によりアドバイス情報を受信したと判定された場合(ステップS107:YES)、処理は、ステップS107からステップS108に遷移する。この場合、第2の通信部112は、受信したアドバイス情報を補助記憶デバイス13に保存してもよい。第2の通信部112によりアドバイス情報を受信していないと判定された場合(ステップS107:NO)、処理は、ステップS107からステップS109に遷移する。
【0094】
第1の通信部111は、アドバイス情報をMRデバイス3に出力する(ステップS108)。MRデバイス3は、アドバイス情報を受信する。MRデバイス3は、アドバイス情報に基づいてMR画像を実現する。ここで、受講者は、MR画像を視認しながら、アドバイス情報に基づいて、保全対象部位の保全作業の作業手順を学習する。受講者は、アドバイス情報に基づいて、適切な作業手順を学習することができる。
【0095】
第2の通信部112は、チェック項目iの受講者の状況を示す評価情報を指導者用端末2から受信する(ステップS109)。ステップS109では、例えば、第2の通信部112は、指導者用端末2において、指導者用端末2を使用する指導者により入力されたチェック項目iについての受講者による事象の検出を評価する評価情報を受信する。指導者用端末2を使用する指導者は、サーバ1から受信したMR画像に基づいて、受講者による事象の検出を評価する。例えば、指導者は、受講者がチェック項目iに該当する事象の検出を正しく行えた場合、評価情報「1」を入力する。指導者は、受講者がチェック項目iに該当する事象の検出を正しく行えなかった場合、評価情報は「0」を入力する。指導者用端末2は、通信インタフェース24を介して、MR画像に基づいて、チェック項目iについての受講者の状況を示す評価情報をサーバ1に出力する。指導者用端末2のプロセッサ21は、評価情報を出力する出力部として機能し得る。第2の通信部112は、受信した評価情報を補助記憶デバイス13に保存してもよい。第2の通信部112は、評価情報を受信する毎にユーザ情報記憶領域においてユーザ情報を更新してもよい。
【0096】
第1の通信部111は、チェック項目iが保全対象部位に関する最後のチェック項目であるか否かを判断する(ステップS110)。第1の通信部111によりチェック項目iが最後のチェック項目であると判定された場合(ステップS110:YES)、処理は、ステップS110からステップS111に遷移する。第1の通信部111によりチェック項目iが最後のチェック項目でないと判定された場合(ステップS110:NO)、処理は、ステップS110からステップS103に戻る。
【0097】
スコア算出部114は、受講者に関する評価スコアを算出する(ステップS111)。ステップS111では、例えば、スコア算出部114は、保全対象部位の各チェック項目に関連付けられた評価情報と重み付けレベルに基づいて、評価スコアを算出する。スコア算出部114は、例えば、評価情報に重み付けレベルに応じた重み付けを行い、評価スコアを算出してもよい。スコア算出部114は、保全対象部位のチェック項目毎に評価スコアを算出してもよい。この場合、スコア算出部114は、チェック項目iについての評価情報を受信する毎に評価スコアを算出する。スコア算出部114は、保全対象部位のすべてのチェック項目についてまとめて評価スコアを算出してもよい。この場合、スコア算出部114は、保全対象部位の最後のチェック項目についての評価情報を受信したことに基づいて評価スコアを算出する。スコア算出部114は、評価スコアをユーザ情報記憶領域132に保存してもよい。スコア算出部114は、評価スコアを算出する毎にユーザ情報記憶領域においてユーザ情報を更新してもよい。
【0098】
第1の通信部111は、評価スコアをMRデバイス3に出力する(ステップS112)。ステップS112では、例えば、第1の通信部111は、評価スコアを算出する毎に、評価スコアをMRデバイス3に出力する。一例では、第1の通信部111は、保全対象部位のすべてのチェック項目についてまとめて算出された評価スコアをMRデバイス3に出力する。別の例では、第1の通信部111は、保全対象部位の各チェック項目について算出された評価スコアをMRデバイス3に出力する。MRデバイス3は、通信インタフェース33を介して、評価スコアを受信する。MRデバイス3のプロセッサ31は、評価スコアをサーバ1から受信する受信部として機能し得る。MRデバイス3は、受信した評価スコアに基づいてMR画像を実現する。MRデバイス3のプロセッサ31は、評価スコアに基づいてMR画像を実現する表示部として機能し得る。ここで、受講者は、MR画像を視認しながら、保全作業に対する評価スコアを確認することができる。受講者は、評価スコアを確認しながら、能動的かつ効率的に作業手順を学習することができる。
【0099】
(効果)
実施形態に係る対象機器に対する保全作業の教育を支援するためのサーバ1は、対象機器の部位に関連付けられた教育用画像を取得し、対象機器の対象部位の作業手順に従って、教育用画像をMRデバイスに出力し、前記MRデバイスを介して実現された教育用画像を含む複合現実画像を受信し、複合現実画像を指導者用端末2に出力することができる。これにより、サーバ1は、保全対象機器の保全作業の作業手順を複合現実画像として受講者に提供することができる。そのため、サーバ1は、受講者による保全技術の習得を支援することができる。また、サーバ1は、複合現実画像を指導者用端末2に出力することにより、指導者用端末2に、複合現実画像に基づく受講者の状況を提供することができる。そのため、サーバ1は、実習活動における受講者の実習の状況を受講者と指導者が共有することにより、受講者による保全技術の習得を支援することができる。さらに、サーバ1は、対象機器の対象部位に関連する仮想的な不具合を表す不具合画像を含む教育用画像をMRデバイス3に出力することができる。これにより、サーバ1は、受講者が習得した作業手順に従って保全作業を行う技能演習において、対象部位の不具合を視覚的に表現した複合現実画像を受講者に提供することができる。受講者は、実際の不具合に対する対処方法を仮想的な不具合を使用して習得することができる。指導者は、受講者による不具合への対処方法に対する評価をすることができる。そのため、サーバ1は、仮想的な不具合を使用して、受講者に対処方法を効果的に習得させることを実現し、それにより受講者による保全技術の習得を支援することができる。
【0100】
サーバ1は、対象部位の傷、汚れ、変形、及び劣化を含む不具合を表す画像を含む不具合画像を対象部位に重畳されるようにMRデバイス3に出力することができる。これにより、サーバ1は、保全対象部位に視覚的に識別可能な不具合を重畳させた複合現実画像を受講者に提供することができる。受講者は、実際の不具合に対する対処方法を仮想的な不具合使用してより効果的に対処方法を習得することができる。そのため、サーバ1は、仮想的な不具合を使用して、受講者に対処方法をさらに効果的に習得させることを実現し、それにより受講者による保全技術の習得を支援することができる。
【0101】
サーバ1は、対象部位の不正な組立順序を表現する画像を含む不具合画像をMRデバイス3に出力することができる。これにより、サーバ1は、不正な組立順序に基づく技能演習を受講者に提供することができる。受講者は、正しい組立順序を効果的に習得することができる。そのため、サーバ1は、保全対象機器の組立順序を効果的に習得させることを実現し、それにより受講者による保全技術の習得を支援することができる。
【0102】
サーバ1は、対象部位に関するチェック項目の重み付けレベルが所定の値以上であることに基づいて、重み付けレベルに対応するチェック項目に関する不具合画像をMRデバイスに出力することができる。これにより、サーバ1は、保全対象部位に関する重要なチェック項目についてのみ不具合画像を重畳させた複合現実画像を受講者に提供することができる。受講者は、重要なチェック項目について、実際の不具合に対する対処方法を仮想的な不具合使用してより効果的に対処方法を習得することができる。そのため、サーバ1は、仮想的な不具合を使用して、受講者に対処方法をさらに効果的に習得させることを実現し、それにより受講者による保全技術の習得を支援することができる。
【0103】
サーバ1は、対象部位に関するチェック項目毎の受講者の状況を示す評価情報を指導者用端末2から受信することができる。これにより、サーバ1は、受講者のチェック項目毎の評価情報を管理することができる。そのため、サーバ1は、受講者による保全作業の習熟度を管理することができ、それにより受講者による保全技術の習得を支援することができる。
【0104】
サーバ1は、対象機器に対する受講者に関する評価スコアを重み付けレベル及び評価情報に基づいて算出し、評価スコアをMRデバイス3に出力することができる。これにより、サーバ1は、受講者の保全対象機器に対する評価スコアを管理することができる。そのため、サーバ1は、受講者による保全作業の習熟度を管理することができ、それにより受講者による保全技術の習得を支援することができる。
【0105】
サーバ1は、指導者用端末2からアドバイス情報を受信し、アドバイス情報をMRデバイス3に出力することができる。これにより、サーバ1は、受講者に保全作業に関するアドバイス情報を提供することができる。受講者は、保全作業の技能講習、及び技能演習において、指導者から適時に的確なアドバイスを受け取ることができる。そのため、サーバ1は、受講者と指導者との対話を通じて受講者に保全作業をさらに効果的に習得させることを実現し、それにより受講者による保全技術の習得を支援することができる。
【0106】
実施形態に係る対象機器に対する保全作業の遠隔教育を支援するための保全支援システム100は、サーバ1、MRデバイス3、及び指導者用端末2を備える。サーバ1は、対象機器の部位に関連付けられた教育用画像を取得し、対象機器の対象部位の作業手順に従って、教育用画像をMRデバイス3に出力し、MRデバイス3を介して実現された教育用画像を含む複合現実画像をMRデバイス3から受信し、複合現実画像を指導者用端末に出力することができる。MRデバイス3は、教育用画像に基づく複合現実画像を実現し、複合現実画像を取得し、複合現実画像をサーバ1に出力することができる。指導者用端末2は、サーバ1から出力された複合現実画像を受信し、複合現実画像を表示し、複合現実画像に基づいて、対象部位に関するチェック項目毎の受講者の状況を示す評価情報を出力することができる。これにより、保全支援システム100は、保全対象機器の保全作業の作業手順を複合現実画像として受講者に遠隔提供することができる。そのため、保全支援システム100は、遠隔教育による受講者の計装機器の保全技術の習得を支援することができる。また、保全支援システム100は、複合現実画像を指導者用端末2に出力することにより、指導者用端末2に、複合現実画像に基づく受講者の状況を遠隔提供することができる。そのため、保全支援システム100は、実習活動における受講者の実習の状況を受講者と指導者が共有することにより、遠隔教育による受講者の計装機器の保全技術の習得を支援することができる。
【0107】
さらに、サーバ1は、対象機器の対象部位に関連する仮想的な不具合を表す不具合画像を含む教育用画像をMRデバイス3に出力することができる。これにより、保全支援システム100は、受講者が習得した作業手順に従って保全作業を行う技能演習において、対象部位の不具合を視覚的に表現した複合現実画像を受講者に遠隔提供することができる。受講者は、実際の不具合に対する対処方法を仮想的な不具合を使用して習得することができる。指導者は、受講者による不具合への対処方法に対する評価をすることができる。そのため、保全支援システム100は、仮想的な不具合を使用して、受講者に対処方法を効果的に習得させることを実現し、それにより遠隔教育による受講者の計装機器の保全技術の習得を支援することができる。
【0108】
情報処理装置は、サーバ1のような1つの装置で実現されてもよいし、機能を分散させた複数の装置で実現されてもよい。例えば、情報処理装置は、MRデバイス3への教育用画像の出力等のMRデバイス3を制御する機能を有する装置と、アドバイス情報の通信を制御する機能を有する装置とを別個に備えていてもよい。
【0109】
プログラムは、装置に記憶された状態で譲渡されてよいし、装置に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。後者の場合は、プログラムは、ネットワークを介して譲渡されてよいし、記録媒体に記録された状態で譲渡されてもよい。記録媒体は、非一時的な有形の媒体である。記録媒体は、コンピュータ可読媒体である。記録媒体は、CD-ROM、メモリカード等のプログラムを記憶可能かつコンピュータで読取可能な媒体であればよく、その形態は問わない。
【0110】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
1…サーバ、2…指導者用端末、3…MRデバイス、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶デバイス、14…通信インタフェース、21…プロセッサ、22…メインメモリ、23…補助記憶デバイス、24…通信インタフェース、25…入力デバイス、26…表示デバイス、27…スピーカ、28…入力デバイス、31…プロセッサ、32…メモリ、33…通信インタフェース、34…ディスプレイ、35…カメラ、36…マイク、37…センサ、100…保全支援システム、110…取得部、111…第1の通信部、112…第2の通信部、113…比較部、114…スコア算出部、130…教育用画像記憶領域、131…観察項目テーブル記憶領域、132…ユーザ情報記憶領域、A1…アドバイス情報、Ob1…ガイド画像、Ob2…ガイド画像、Ob3…不具合画像。
【要約】
【課題】保全対象となる計装機器の保全技術の遠隔教育を支援するための技術を提供する。
【解決手段】対象機器に対する保全作業の教育を支援するための情報処理装置は、対象機器の部位に関連付けられた教育用画像を取得する取得部と、MRデバイスと通信する第1の通信部と、指導者用端末と通信する第2の通信部と、を備え、第1の通信部は、対象機器の対象部位の作業手順に従って、教育用画像をMRデバイスに出力し、第1の通信部は、MRデバイスを介して実現された教育用画像を含む複合現実画像を受信し、第2の通信部は、複合現実画像を指導者用端末に出力し、教育用画像は、対象機器の対象部位に関連する仮想的な不具合を表す不具合画像を含む。
【選択図】
図4