(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】小型ピクセル高ダイナミックレンジピクセルセンサー
(51)【国際特許分類】
H04N 25/771 20230101AFI20221226BHJP
H04N 25/581 20230101ALI20221226BHJP
【FI】
H04N5/3745 200
H04N5/355 450
(21)【出願番号】P 2022535185
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(86)【国際出願番号】 US2020063557
(87)【国際公開番号】W WO2021118912
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-07-19
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518332608
【氏名又は名称】ビーエイイー・システムズ・イメージング・ソリューションズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ドゥー、ハン・ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴン、チェングワン
(72)【発明者】
【氏名】リム、ポール・ジー.
(72)【発明者】
【氏名】マグナニ、アルバート・エム.
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0186806(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0297292(US,A1)
【文献】特開2017-103727(JP,A)
【文献】国際公開第2007/088710(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/108632(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/086287(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-378
H04N 3/00-14
H01L 27/14ー148
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビット線に接続された複数のピクセルセンサーを備える装置であって、前記ピクセルセンサーのうちの少なくとも1つは、
電子蓄積ノードに接続されたカソードおよびホール蓄積ノードに接続されたアノードを有するフォトダイオードと、
前記電子蓄積ノードがリーク電位よりも小さい電位を有する場合、電子が前記電子蓄積ノードからオーバーフロー経路に漏洩することを可能にするオーバーフローゲートによって前記電子蓄積ノードに接続された前記オーバーフロー経路と、
転送ゲートによって前記電子蓄積ノードに接続された浮動拡散ノードと、
前記オーバーフロー経路を前記浮動拡散ノードに接続するオーバーフロー経路ゲートと、
前記ホール蓄積ノードを接地に接続するホール蓄積ノードリセットゲートと、
前記ホール蓄積ノードに接続された端子および接地に接続された別の端子を有するホール蓄積キャパシタと、
前記ホール蓄積ノードを前記オーバーフロー経路に接続するオーバーフロー経路結合キャパシタと
を備える、装置。
【請求項2】
前記ピクセルセンサーのうちの前記1つが、
前記浮動拡散ノードをリセットバスに接続するリセットゲートと、
前記浮動拡散ノード上の電位を示す出力電位を生成する緩衝増幅器と、
行選択信号に応答して、前記出力電位を前記ビット線に結合する選択ゲートと
を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フォトダイオードが、基板中に作製され、前記ホール蓄積キャパシタが、前記基板中の前記フォトダイオードを囲むトレンチを備え、前記トレンチが、絶縁体に沿って並べられ、導体で充填され、前記導体が、接地に接続され、前記トレンチが、前記フォトダイオードを前記複数のピクセルセンサーのうちの他のものから絶縁する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記電子蓄積ノード、前記オーバーフロー経路、および前記浮動拡散ノードをリセット電位のリセットバスに接続し、前記ホール蓄積ノードを接地に接続することによって、前記ピクセルセンサーのうちの前記1つを初期化し、次いで、前記オーバーフロー経路が前記浮動拡散ノードに接続されたままにしながら、前記電子蓄積ノードおよび前記浮動拡散ノードを前記リセットバスから絶縁する、コントローラをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラが、前記フォトダイオードの前の露光中に前記電子蓄積ノードから漏洩したオーバーフロー電荷を測定する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラが、2つのステップで露光後に前記オーバーフロー電荷を測定し、第1のステップが、前記露光後に前記浮動拡散ノード上の電圧を測定することを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
第2のステップが、前記浮動拡散ノードを前記リセット電位にリセットすることと、前記リセット電位を測定することと、前記ホール蓄積ノードを接地にリセットすることと、次いで、前記浮動拡散ノードの前記電位を測定することとを備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記オーバーフロー電荷を測定した後に、以前の露光から前記フォトダイオードに蓄積されたフォトダイオード電荷を測定する、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記フォトダイオード電荷が、相関二重サンプリングを使用して測定される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
電子蓄積ノードに接続されたカソードおよびホール蓄積ノードに接続されたアノードを有するフォトダイオードと、
前記電子蓄積ノードがリーク電位よりも小さい電位を有する場合、電子が前記電子蓄積ノードからオーバーフロー経路に漏洩することを可能にするオーバーフローゲートによって前記電子蓄積ノードに接続された前記オーバーフロー経路と、
転送ゲートによって前記電子蓄積ノードに接続された浮動拡散ノードと、
前記オーバーフロー経路を前記浮動拡散ノードに接続するオーバーフロー経路ゲートと、
前記ホール蓄積ノードを接地に接続するホール蓄積ノードリセットゲートと、
前記ホール蓄積ノードに接続された端子および接地に接続された別の端子を有するホール蓄積キャパシタと、
前記ホール蓄積ノードを前記オーバーフロー経路に接続するオーバーフロー経路結合キャパシタと
を備える、ピクセルセンサー。
【請求項11】
前記浮動拡散ノードをリセットバスに接続するリセットゲートと、
前記浮動拡散ノード上の電位を示す出力電位を生成する緩衝増幅器と、
行選択信号に応答して、前記出力電位をビット線に結合する選択ゲートと
をさらに備える、請求項10に記載のピクセルセンサー。
【請求項12】
前記フォトダイオードが、基板中に作製され、前記ホール蓄積キャパシタが、前記基板中の前記フォトダイオードを囲むトレンチを備え、前記トレンチが、絶縁体に沿って並べられ、導体で充填され、前記導体が、接地に接続され、前記トレンチが、前記フォトダイオードを、前記基板中に構築された他の回路から絶縁する、請求項10に記載のピクセルセンサー。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]デジタルカメラは、記録されているシーン中の対応する点において光強度を測定するピクセルセンサーから構築された撮像アレイに依存する。ピクセルセンサーのダイナミックレンジは、所与の露光について、ピクセルセンサーが測定できる最大強度が、ピクセルセンサーが測定できる最小強度で除算された比であるように定義される。ノイズレベルの改善は、今や、ショットノイズによって決定された信号となるような最も小さい信号を低減してきた。検出され得る最も小さい信号のさらなる改善は、ピクセルセンサーのダイナミックレンジを著しく変化させることが予想されない。したがって、ダイナミックレンジの改善は、センサーが飽和または非線形になることなしにピクセルセンサーによって測定され得る最大強度のサイズを増加させることに向けられている。
【0002】
[0002]従来技術のピクセルセンサーのうちの1つの種類は、キャパシタ上でフォトダイオードからオーバーフローする電荷をキャプチャすることによって、単一のフォトダイオードのダイナミックレンジを拡張する。露光の終了時に、フォトダイオード上に残っている電荷と、キャパシタ上に蓄積された電荷とは、読み出され、当該のピクセルセンサーの最終的な振幅を提供するために使用される。この種類の解決策は、ピクセルセンサーごとに1つのキャパシタを必要とする。より小さいカメラの必要に応じてピクセルセンサーのサイズが減少するにつれて、キャパシタのために利用可能な空間が減少し、したがって、蓄積され得るオーバーフロー電荷の最大量が低減される。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本開示では、撮像アレイと、撮像アレイにおいて使用するためのピクセルセンサーとについて説明する。撮像アレイは、ビット線に接続された複数のピクセルセンサーを含む。ピクセルセンサーのうちの少なくとも1つは、電子蓄積ノードに接続されたカソードおよびホール蓄積ノードに接続されたアノードを有するフォトダイオードを含む。電子蓄積ノードがリーク電位よりも小さい電位を有する場合、オーバーフロー経路は、電子が電子蓄積ノードからオーバーフロー経路に漏洩することを可能にするオーバーフローゲートを介して、電子蓄積ノードに接続する。浮動拡散ノードは、転送ゲートによって電子蓄積ノードに接続される。オーバーフロー経路ゲートは、オーバーフロー経路を浮動拡散ノードに接続する。ホール蓄積ノードリセットゲートは、ホール蓄積ノードを接地に接続する。ピクセルセンサーはまた、ホール蓄積ノードに接続された端子および接地に接続された別の端子を有するホール蓄積キャパシタと、ホール蓄積ノードをオーバーフロー経路に接続するオーバーフロー経路結合キャパシタとを含む。
【0004】
[0004]一態様では、ピクセルセンサーのうちの少なくとも1つは、浮動拡散ノードをリセットバスに接続するリセットゲートと、浮動拡散ノード上の電位を示す出力電位上の電位を生成する緩衝増幅器と、行選択信号に応答して、出力電位をビット線に結合する選択ゲートとを含む。
【0005】
[0005]別の態様では、ピクセルセンサーのうちの少なくとも1つ中のフォトダイオードは、基板中に作製され、ホール蓄積キャパシタは、基板中のフォトダイオードを囲んでいるトレンチを含み、トレンチは、絶縁体に沿って並べられ、導体で充填され、導体は、接地に接続され、トレンチは、フォトダイオードを近隣のピクセルセンサーから絶縁する。
【0006】
[0006]別の態様では、撮像アレイは、電子蓄積ノード、オーバーフロー経路、および浮動拡散ノードをリセット電位のリセットバスに接続し、ホール蓄積ノードを接地に接続することによって、ピクセルセンサーを初期化し、次いで、オーバーフロー経路が浮動拡散ノードに接続されたままにしながら、電子蓄積ノードおよび浮動拡散ノードをリセットバスから絶縁する、コントローラを含む。
【0007】
[0007]別の態様では、コントローラは、ピクセルセンサーのうちの少なくとも1つ中のフォトダイオードの前の露光中に電子蓄積ノードから漏洩したオーバーフロー電荷を測定する。
【0008】
[0008]別の態様では、コントローラは、2つのステップで以前の露光からのオーバーフロー電荷を測定し、第1のステップは、露光後に浮動拡散ノード上の電圧を測定することを含む。
【0009】
[0009]別の態様では、第2のステップは、浮動拡散ノードを、ピクセルセンサーのうちの少なくとも1つにおけるリセット電位にリセットすること、リセット電位を測定することと、ホールノードを接地にリセットすることと、次いで、浮動拡散ノードの電位を測定することとを含む。
【0010】
[0010]別の態様では、コントローラは、オーバーフロー電荷を測定した後に、以前の露光からピクセルセンサーのうちの少なくとも1つ中のフォトダイオードに蓄積されたフォトダイオード電荷を測定する。
【0011】
[0011]別の態様では、ピクセルセンサーのうちの少なくとも1つ中のフォトダイオード電荷は、相関二重サンプリングを使用して測定される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】[0012]CMOS撮像アレイの一実施形態の概略図。
【
図2】[0013]ピクセルセンサーのダイナミックレンジのレンジを拡張するために、各ピクセルセンサー中の単一のフォトダイオードとオーバーフローキャパシタとを利用する従来技術のピクセルセンサーを示す図。
【
図3】[0014]従来のピクセルセンサーの断面図。
【
図4】[0015]従来のピクセルセンサーの等価回路の図。
【
図5】[0016]本開示によるピクセルセンサーの一実施形態を示す図。
【
図6】[0017]露光を測定するためにピクセルセンサーが使用されるときに行われる様々な動作のタイミングを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0018]次に、CMOS撮像アレイの一実施形態の概略図である
図1を参照されたい。撮像アレイ40は、この例では矩形であるピクセルセンサー41のアレイから構築される。各ピクセルセンサーは、フォトダイオード46と、インターフェース回路47とを含む。インターフェース回路の詳細は、特定のピクセル設計に依存する。しかしながら、ピクセルセンサーのすべては、そのピクセルセンサーをビット線43に接続するために使用される行線42に接続されたゲートを含む。任意の時間に可能にされる特定の行は、行デコーダ45に入力される行アドレスによって決定される。行選択線は、フォトダイオードとインターフェース回路とが構築された基板上で、金属層において水平方向に流れる導体の並列アレイである。
【0014】
[0019]ビット線の各々は、典型的にはセンス増幅器と列デコーダとを含む列処理回路44において終端する。ビット線は、フォトダイオードとインターフェース回路とが構築された基板上で、金属層において垂直方向に流れる導体の並列アレイである。各センス増幅器は、そのセンス増幅器によって処理されるビット線に現在接続されているピクセルセンサーによって生成された信号を読み取る。センス増幅器は、アナログデジタル変換器(ADC)を利用することによってデジタル出力信号を生成し得る。任意の所与の時間に、単一のピクセルセンサーは、撮像アレイから読み出される。読み出される特定の列は、その列からのセンス増幅器/ADC出力を撮像アレイの外部にある回路に接続するために列デコーダによって利用される列アドレスによって決定される。制御信号の順序付けと他の機能とは、コントローラ30によって実施される。図面を簡略化するために、コントローラ30と様々な制御線との間の接続は図面から省略されている。
【0015】
[0020]次に、ピクセルセンサーのダイナミックレンジのレンジを拡張するために、各ピクセルセンサー中の単一のフォトダイオードとオーバーフローキャパシタとを利用する従来技術のピクセルセンサーを示す
図2を参照されたい。
【0016】
[0021]以下の議論を簡略化するために、70に示されているピクセルセンサー60の部分は、容量性オーバーフローピクセルセンサーと呼ばれる。容量性オーバーフローピクセルセンサーはフォトダイオード11を含み、そのオーバーフローキャパシタ61は、第1および第2のキャパシタ端子によって特徴づけられる。フォトダイオード11は、フォトダイオード転送ゲート12によって浮動拡散ノード13に接続される。フォトダイオード11はまた、オーバーフローゲート15によってオーバーフローキャパシタ61の第1の容量性端子に接続される。オーバーフローキャパシタ61の第1の容量性端子はまた、オーバーフローキャパシタゲート62によって浮動拡散ノード13に接続される。浮動拡散ノード13は、14に示されている寄生キャパシタンスによって特徴づけられる。浮動拡散ノード13上の電圧は、ゲート16を導通状態に入れることによって電圧Vrに設定され得る。
【0017】
[0022]再びピクセルセンサー60を参照すると、浮動拡散ノード13は、浮動拡散ノード13上の電位を示す出力電圧を生成するソースフォロワ17に接続される。ソースフォロワ17の出力は、ゲート18によってビット線19に結合され得る。オーバーフローキャパシタ61の第2の容量性端子は、ピクセルセンサー60中の接地に接続される。
【0018】
[0023]ビット線19は、列処理回路55において終端する。列処理回路55は、ビット線増幅器50と、以下でより詳細にそれらの機能について説明される2つのサンプルアンドホールド回路とを含む。第1のサンプルアンドホールド回路は、ゲート22とキャパシタ23とを備え、第2のサンプルアンドホールド回路は、ゲート24とキャパシタ25とを備える。これらのサンプルアンドホールド回路の出力は、ビット線19に現在接続されているピクセルセンサーの出力値を提供するためにADC51によって処理される。サンプルアンドホールド回路が使用される様式については、以下でより詳細に論じられる。
【0019】
[0024]オーバーフローキャパシタ61は、ノード67における電位が、ノード67上の電圧とTX2の電圧とによって決定される電位に露光中に達した後に、フォトダイオード11によって生成された光電荷を収集する。露光の最初に、フォトダイオード11とオーバーフローキャパシタ61とは、Vrによって決定されるリセット電圧に設定される。光電荷がフォトダイオード11に蓄積するにつれて、フォトダイオード11上の電圧は減少する。オーバーフローゲート15上のゲート電圧によって決定された電圧において、過剰な電荷は、オーバーフローゲート15中を流れ、露光全体にわたって導通状態のままであるオーバーフローキャパシタ61とキャパシタ14とオーバーフローキャパシタゲート62の寄生キャパシタンスとの組合せに流れる。
【0020】
[0025]ノード67またはオーバーフローキャパシタ61のいずれかに蓄積した電荷は、露光の終了時に読み取られる。一実施形態では、オーバーフローキャパシタ61が最初に読み取られる。露光中に、TX3は高であり、したがって、オーバーフローキャパシタ61は浮動拡散ノード13に接続される。浮動拡散ノード13上の電位は、浮動拡散ノード13に印加されたリセット電位と、次の露光の開始の直前のオーバーフローキャパシタ61との間の差である。浮動拡散ノード13上の電位は、キャパシタ23に蓄積される。次いで、浮動拡散ノード13とノード66とはリセットされ、リセット電位はキャパシタ25に蓄積される。キャパシタ23および25上の電位の差は、次いで、ADC51によってデジタル化される。
【0021】
[0026]次いで、フォトダイオード11上の電位が読み取られる。最初に、オーバーフローキャパシタ61は、オーバーフローキャパシタゲート62を非導通状態に入れることによって絶縁され、浮動拡散ノード13は、再びVrにリセットされる。次いで、浮動拡散ノード13上の実際の電位がキャパシタ23に蓄積される。ゲート12は、次いで、導通状態に入れられ、それにより、フォトダイオード11上の電荷を浮動拡散ノード13に転送する。浮動拡散ノード13上の電位は、キャパシタ25に蓄積される。キャパシタ23および25上の電位の差は、次いで、ADC51によってデジタル化される。
【0022】
[0027]オーバーフローキャパシタ61に蓄積され得る最大光電荷は、ピクセルセンサー60が露光前にリセットされた後のノード66上の電圧によって決定される。ピクセルセンサー60は、ゲート16、12、および62を導通状態に入れ、次いで、ゲート16および12を非導通状態に入れることによってフォトダイオード11とオーバーフローキャパシタ61とを絶縁することによって、リセットされる。これは、ノード66、67および13をVrの電位のままにする。露光が進むにつれて、フォトダイオード11において生成された電子は、ノード67上の電位を減少させる。ノード67上の電位が、オーバーフローゲート15上の電圧によって決定される値に降下したとき、光電子は、オーバーフローキャパシタ61上にオーバーフローする。オーバーフローキャパシタ61に蓄積される各光電子は、ノード66における電位を低下させる。ノード66または13上の電位が、ビット線19が8段階中に飽和する電位に達したとき、最大フルウェル容量または最大光電荷に達する。ビット線は、それの電圧が浮動拡散ノード13上の電圧に線形的に従わないときに飽和する。
【0023】
[0028]ピクセルセンサー60のダイナミックレンジは、読出し回路によって検出され得る最小光電荷に対する、ピクセルセンサーに蓄積され得る最大光電荷の比である。最大光電荷は、オーバーフローキャパシタ61に蓄積された電荷と、読出しにおいてフォトダイオード11に蓄積された電荷との和である。したがって、
図2に示されているピクセルのダイナミックレンジを増加させるために、オーバーフローキャパシタ61のキャパシタンスは増加される必要があろう。しかしながら、上述されたように、オーバーフローキャパシタのサイズは、ピクセルセンサーごとに1つのそのようなキャパシタが存在しなければならないので、限界がある。典型的には、オーバーフローキャパシタは、フォトダイオードが構築された基板上で、金属層において構築される。
【0024】
[0029]次に、増加した蓄積キャパシタンスを提供する別の従来技術のオーバーフローキャパシタピクセル設計を示す
図3および
図4を参照されたい。
図3は、ピクセルセンサー71の断面図であり、
図4は、ピクセルセンサー71の等価回路である。ピクセルセンサー71は裏側センサーである。すなわち、光は、ゲートおよびフォトダイオードが構築された表面の反対側のウエハの表面からピクセルセンサー71に入る。入射光は、マイクロレンズ77によってピクセルセンサー上に撮像され、所望の色帯で信号を提供するようにカラーフィルタ76によってフィルタ処理される。浮動拡散ノード93上の電圧は、ゲート89上の行読取り信号に応答して電圧をビット線91に接続するソースフォロワ88によって読み取られる。
【0025】
[0030]ピクセルセンサー71はまた、フォトダイオードが構築されたp基板がディープトレンチによって近隣のフォトセンサーから絶縁されるという点で、上記で論じられた他の従来技術のピクセルセンサーとは異なる。このトレンチは、基板を完全に通過し、絶縁性酸化物75に沿って並べられる。トレンチの本体は、ポリシリコンなどの導体73で充填される。ポリシリコンは、キャパシタ81の一方のプレートを形成する。p基板は、キャパシタ81の他方のプレートを形成する。キャパシタ81は、従来技術の容量性オーバーフローセンサーにおいて使用されるキャパシタよりも著しく多くのキャパシタンスを有し、したがって、この設計は、ピクセルセンサーのダイナミックレンジを増加させるための電位を有する。
【0026】
[0031]ピクセルセンサー71はまた、オーバーフロー電子の代わりに、電子への光子の変換によって生成されたホールが蓄積されるという点で、上記で論じられたオーバーフローピクセルセンサーとは異なる。ホールは、キャパシタ78の助けをかりて読み出される。ホールと電子の両方のための読出し回路は、領域74において構築される。
【0027】
[0032]フォトダイオード83が飽和に達すると、ホール電子対への光子の変換によって生成されたホールは、ホール蓄積サブユニット92の一部であるキャパシタ81に蓄積される。初めに、ノード72は、ゲート82を介して接地にリセットされる。ノード72は、次いで、絶縁され、浮動する。ノード84は、初めにVRTにリセットされる。光電子がノード84に蓄積されるにつれて、ノード84における電位は減少する。ノード84が十分に低い電位に達したとき、過剰な電子は、ゲート85を通って流れ出る。これらの過剰な電子に対応するホールは、キャパシタ81に蓄積する。集積期間の終了時に、ノード84に蓄積された電子と、キャパシタ81に蓄積されたホールとは、ゲート86および87の助けをかりて読み出される。小さい光信号の場合、電子が、露光測定値を提供する。より大きい光信号の場合、ホール信号が、露光測定値を提供するために使用される。
【0028】
[0033]ホールがキャパシタ81に移動するにつれて、ノード72における電圧は増加する。電圧が、ノード84における電圧によって決定されるしきい値に達したとき、ホール電流は、フォトダイオード83を通って流れ出る。この時点で、ピクセルセンサーは、飽和されており、このしきい値を超えさせるものを越える光レベルで露光を測定することができない。このデバイスにおいてより高いダイナミックレンジを提供するために、キャパシタ81のキャパシタンスは増加される必要があろう。
【0029】
[0034]撮像アレイのコストは、ピクセルセンサーのサイズに直接関係する。したがって、撮像アレイのコストを低減するために、ピクセルセンサーのサイズは低減されなければならない。残念ながら、そのようなサイズ低減は、キャパシタ81のキャパシタンスの減少をもたらす。キャパシタ81のキャパシタンスは、トレンチスルー基板72の表面積に比例する。
【0030】
[0035]本開示によるピクセルセンサーは、ホールの蓄積に関連する基板電圧立上りの一部分をオフセットするためにオーバーフロー電子を使用することによって、ダイナミックレンジの改善を取得する。加えて、本開示によるピクセルセンサーは、正電荷の測定値がオーバーフロー電荷に達することを要求しない。
【0031】
[0036]次に、本開示によるピクセルセンサー100の一実施形態を示す
図5を参照されたい。この例では、ピクセルセンサーは、ピクセルセンサーの行と列との矩形アレイに編成され、これにおいて、所与の列中の各ピクセルセンサーは、ビット線19などの共通ビット線に接続される。ビット線19に接続される特定のピクセルセンサーは、ピクセルセンサー内のゲート18によって決定される。図面を簡略化するために、1つの列中のただ1つのピクセルセンサーが示されている。ビット線19上の信号は、ピクセルセンサー100によって測定された露光の読出し中に列処理回路120によって処理される。
【0032】
[0037]ピクセルセンサー100は、電子を収集するために使用されるN形フォトダイオード11と、ホールを収集するためキャパシタC118をもつ電気的に絶縁された基板とを含む。電気的に絶縁された基板は、基板の周りに絶縁性トレンチをエッチングすることによって、上記で論じられたものと類似の様式で作成される。トレンチは、キャパシタ118の1つのプレートを形成するポリシリコンで充填される。信号Rpsによって制御されるゲート112は、Hノード127を接地にリセットするために使用される。TX1によって制御される転送ゲート12は、フォトダイオード11を浮動拡散ノード13に接続する。浮動拡散ノード13が十分に高い電位にあるときは、ソースフォロワ17がゲート18によってビット線19に接続されたとき、Eノード117上の何らかの電子は、フォトダイオード11から転送され、ソースフォロワ17を介して浮動拡散ノード13上の電圧の変化に留意することによって測定され得る。
【0033】
[0038]オーバーフローゲート15は、オーバーフロー電子が、フォトダイオード11から、フォトダイオード11からのオーバーフロー電子を収集するために使用されるキャパシタ111に転送されることを可能にする。信号VCTによって制御されるゲート119は、浮動拡散ノード13に対してノード116を接続または切断する。信号Rpによって制御されるゲート16は、浮動拡散13を電圧Vrにリセットするために使用される。
【0034】
[0039]この例示的な実施形態では、ビット線19上の電圧は、列ビット線増幅器123と、相関二重サンプリング(CDS)のためのアナログメモリとして使用される2つのサンプリングキャパシタ23および25とを含む、列読出し回路120によって処理される。本開示の目的で、CDSは、読み出されるべきである電荷が、ビット線19上の2つの電圧の差を取ることによって決定される任意の適用例を含む。キャパシタ23および25上の電圧は、それぞれ制御信号S1およびS2に応答して、それぞれゲート22および24によって制御される。ADC121は、キャパシタ23および25に蓄積された電圧の差をデジタル化する。電流源124は、読出しプロセス中にビット線19をバイアスするために使用される。
【0035】
[0040]次に、露光を測定するためにピクセルセンサー100などのピクセルセンサーが使用されるときに行われる様々な動作のタイミングを示す
図6を参照されたい。ピクセルセンサー100の動作は、3つの段階に分割され得る。第1の段階では、ピクセルセンサー100はリセットされ、電荷が露光期間にわたって集積される。第2の段階では、フォトダイオード11をオーバーフローした電荷が読み出され、第3の段階では、フォトダイオード自体に蓄積されている電荷が読み出される。以下の議論を簡略化するために、ゲート16、12、119、および112は、理想的なスイッチであると仮定される。すなわち、これらのゲートが導通状態にあるとき、ゲート上に実質的な電位降下はない。実際には、小さい電圧降下がある場合、リセット電位Vrは、この降下を相殺するために、わずかに増加され得る。
【0036】
[0041]ピクセルセンサー100は、ゲート12、16、119、および112を導通状態に入れることによってリセットされる。リセットの終了時に、ノード117は、実質的にVrの電位にあり、浮動拡散ノード13およびノード116も、Vrにある。Hノード127は、接地にリセットされる。集積期間中に、ゲート119は導通状態のままであり、ゲート12および112は非導通状態に設定される。したがって、ノード116は、集積中に浮動拡散ノード13上の電圧を追跡する。信号TX2は、ノード117における電位が所定のしきい値を下回って減少したとき、光電子がオーバーフローゲート15を通ってノード117から漏洩するように設定される。
【0037】
[0042]ピクセルセンサー100がそれの利点を提供する様式は、測定される最大光レベルが、フォトダイオード11によって適応され得るものよりも大きい露光の場合を考慮することによって、より容易に理解され得る。露光の早期では、Eノード117における電位は、電子がEノード117から漏洩するしきい値よりも大きい。露光のこの部分中に生成された光電子は、Eノード117に蓄積し、これらの光電子に対応するホールは、それらの電子カウンターパートを平衡させるために、ピニング接合部に蓄積される。Eノード117における電圧が、上記で論じられたしきい値を下回って減少すると、電子はEノード117から漏洩し、ノード116における電圧は、Vrのそれのリセット値から減少し始める。ゲート119は導通状態であるので、浮動拡散ノード13上の電圧も減少する。同時に、漏洩する光電子に対応するホールは、Hノード127に移行し、キャパシタ118に蓄積される。したがって、基板がゲート112によって接地から絶縁されるので、Hノード127における電圧は増加する。しかしながら、キャパシタ111上の電圧の変化は、電子がキャパシタ111からHノード127に移動することをもたらし、それにより、この増加の一部を打ち消す。したがって、Hノード127に蓄積し得るホールの数は、上記で論じられた従来技術の方式に対して増加される。
【0038】
[0043]次の蓄積段階の開始より前に、最後の集積段階中に蓄積された電荷は、読み出される。このオーバーフロー電荷は、電荷の2つの割振りからなると見なされ得る。第1は、浮動拡散ノード13に関連付けられたキャパシタ14に蓄積されたオーバーフロー電荷である。これは、電荷集積期間中にフォトダイオードから漏洩し、浮動拡散ノード13上の電位を低減させた電荷である。この電荷は、リセット電圧からの浮動拡散ノード13上の電圧降下を観測することによって測定され得る。
【0039】
[0044]オーバーフロー電荷の第2の割振りは、キャパシタ118へのホールの移行から生じるHノード127上の陽電位を平衡させるための、キャパシタ111に蓄積された電荷である。この電荷は、浮動拡散ノードをVrにリセットし、次いで、ゲート112を使用してHノード127が接地にリセットされたとき、浮動拡散ノード13における電圧の降下を測定することによって測定され得る。総オーバーフロー電荷は、浮動拡散ノード13上の電圧を測定する前にHノード127を接地することによって測定され得ないことに留意されたい。より高い露光では、これらの2つの電荷の和は、浮動拡散ノード13をVrにリセットし、次いで、電子を浮動拡散ノード13に転送することによって測定され得る総電荷を超え得る。
【0040】
[0045]オーバーフロー電荷読出し中に、ビット線19が列ビット線増幅器123の正端子に接続される、
図5および
図6を参照されたい。フォトダイオード電荷読出し中に、ビット線19は、列ビット線増幅器123の負端子に接続される。これは、キャパシタ25上の電圧がキャパシタ23上の電圧以上になることを保証する。図面を簡略化するために、端子切替え回路は図から省略されている。この構成は、ADC121が、以下で論じられる読出しの各々における2つの電圧間の差をデジタル化することを可能にする。
【0041】
[0046]
図6のタイミング記述では、読出し方式は、ソースフォロワ17の優勢フリッカーノイズを低減するために、オーバーフロー電荷読出しとフォトダイオード電荷読出しの両方に対して常に相関二重サンプリング(CDS)を使用する。しかしながら、オーバーフロー電荷読出しでは、CDSは、リセットノイズを除去することができない。しかしながら、リセットノイズは、高い露光に対応する、オーバーフロー電荷の場合におけるショットノイズよりもはるかに小さく、したがって、リセットノイズの補正は、オーバーフロー電荷の測定値を著しく改善しない。フォトダイオード電荷読出しでは、CDSは、リセットノイズを除去する。
【0042】
[0047]したがって、この実施形態では、CDSは、オーバーフロー電荷読出しとフォトダイオード電荷読出しの両方のために使用される。また、ADC121は、オーバーフロー電荷読出しとフォトダイオード電荷読出しの両方に対して同時にキャパシタ23および25上の2つの蓄積された電圧間の差を常にデジタル化する。
【0043】
[0048]本開示のピクセルセンサーは、同じサイズのホール蓄積キャパシタでは、
図4に示されている従来技術のピクセルセンサーよりも実質的に大きいフルウェル容量を有することに留意されたい。ホール蓄積キャパシタ81によって適応され得る最大ホール蓄積電荷は、キャパシタ81のキャパシタンス×ノード72における最大電圧立上りである。ノード72は、接地において開始し、リセット電圧の最大値に上昇することができる。次に、
図5に示されているキャパシタ118を考察されたい。初めに、ノード127は接地にあり、ノード116はVrにある。したがって、キャパシタ111上の電圧差だけ、そのキャパシタに蓄積された電子の過剰がある。ホールがノード127に蓄積するにつれて、対応する電子はノード116に流れ、それにより、ノード116における電位が減少する。電位のこの減少は、キャパシタ111上に保持された電子を解放して、ノード127上の電荷の一部を打ち消す。したがって、ノード127における電圧が、本開示によるピクセルセンサーにおいてそれの最大値に達する前に、より多くのホールがノード127に蓄積し得る。
【0044】
[0049]上記で説明された実施形態は、改善されたピクセルセンサーの様々な態様を示すために提供されてきた。しかしながら、異なる特定の実施形態に示されている本開示で提供される異なる態様は、他の実施形態を提供するために組み合わされ得ることを理解されたい。加えて、ここで説明されたピクセルセンサーに対する様々な修正は、上記の説明および添付の図面から明らかになろう。したがって、ここで説明されたピクセルセンサーは、以下の特許請求の範囲のみによって限定されるものである。