IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水ハウス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-パネル材の運搬台車 図1
  • 特許-パネル材の運搬台車 図2
  • 特許-パネル材の運搬台車 図3
  • 特許-パネル材の運搬台車 図4
  • 特許-パネル材の運搬台車 図5
  • 特許-パネル材の運搬台車 図6
  • 特許-パネル材の運搬台車 図7
  • 特許-パネル材の運搬台車 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】パネル材の運搬台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 1/22 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
B62B1/22
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018184033
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020050290
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 津代司
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3109792(JP,U)
【文献】特開平11-115766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前方の下部に設けられる一つの車輪と、当該車輪に支持されるフレームと、を備え、矩形平板状のパネル材を運搬するパネル材の運搬台車であって、
前記フレームは、
互いに距離を開けて進行方向の後方に向かって延びる一対のハンドルと、
前記ハンドルから進行方向の前方に向かって延びる一対の上枠側部と、
前記一対の上枠側部の前端同士を連結する上枠前部と、
前記車輪の後方で、前記上枠側部の下方に延びて形成される一対のスタンドと、
前記一対のスタンドの間に架設される連結部と、
を有し、
前記上枠前部に前記パネル材の側面を進行方向の後方にガイド可能なガイド溝が複数並べて形成されるとともに
前記連結部に前記パネル材の側面を当該連結部と前記上枠前部との間にガイドし、当該パネル材の下方を向く前記角部が挿入可能なガイド部が複数並べて形成され、
前記一対のスタンドを水平な地面に設地させたときに、前記上枠側部は進行方向の前方に向かって下り勾配となり、当該上枠側部の進行方向の前寄りの位置には、上方に突出する落下防止突起が形成され、
前記パネル材をその長手方向を進行方向の左右側に向けて、当該パネル材の進行方向の前側の端部を前記落下防止突起に当接させた状態で当該パネル材が前記一対の上枠側部に跨って載置可能であるとともに、
前記パネル材の1つの角部が上方を向き、且つ、前記1つの角部の対角の角部が前記上枠前部及び前記連結部の間で下方を向いて、当該パネル材の側面が前記上枠前部及び前記連結部に当接するように載置可能であることを特徴とするパネル材の運搬台車。
【請求項2】
一方の前記上枠側部の前端及び他方の前記上枠側部の後端にそれぞれ端部が留め外し可能な弾性を有するベルトが設けられ、
当該ベルトは前記パネル材の上に架け渡されて、当該パネル材を固定可能であることを特徴とする請求項1に記載のパネル材の運搬台車。
【請求項3】
前記パネル材は型枠パネルであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパネル材の運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形平板状のパネル材を運搬するパネル材の運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、手押し一輪車と呼ばれ、鋼管などで形成したフレームに荷台を設け、当該荷台の前方よりの下方に車輪を形成し、荷台の後部に設けられた取っ手を押すことで前方に進む運搬台車が知られている(例えば特許文献1)。このような手押し一輪車は、簡便な構造であるとともに、進行する際には1つの車輪のみが接地することになり、狭い足場でも小回りが利いて手軽に利用することができるので、例えば、工事用の土砂や資材の運搬又は農作業などの用途で広く普及している。
【0003】
また、例えば4つの隅部にそれぞれキャスターが設けられた台車であって、複数本の仕切ロッドが等間隔に設けられて、当該仕切ロッドの間に板ガラスを挿入して、運搬中に板ガラス同士が衝突して破損することを抑制する運搬台車が提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3019948号公報
【文献】特開2007-320563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の特許文献1のような手押し一輪車の運搬台車で、矩形平板状のパネル材を運搬する場合、姿勢が安定しないため運搬中にパネル材を落下させるおそれがある。また、パネル材の大きさによっては運搬台車に載置することが困難となり、載置したパネル材が運搬台車の両側に突き出して狭い通路を進行することが困難となる問題がある。
【0006】
一方、特許文献2のような運搬台車においては、狭い足場では通行することができず、また小回りが利きにくいので、荒い路面の工事現場や農作業の現場においては、使用することが困難である。
【0007】
そこで本発明は、幅の狭い通路や足場でも通行することができ、小回りが利く運搬用台車であって、矩形平板状のパネル材を落下させることなく安定して運搬することができるパネル材の運搬台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパネル材の運搬台車は、車体前方の下部に設けられる一つの車輪と、当該車輪に支持されるフレームと、を備え、矩形平板状のパネル材を運搬するパネル材の運搬台車であって、前記フレームは、互いに距離を開けて進行方向の後方に向かって延びる一対のハンドルと、前記ハンドルから進行方向の前方に向かって延びる一対の上枠側部と、前記一対の上枠側部の前端同士を連結する上枠前部と、前記車輪の後方で、前記上枠側部の下方に延びて形成される一対のスタンドと、前記一対のスタンドの間に架設される連結部と、を有し、前記上枠前部に前記パネル材の側面を進行方向の後方にガイド可能なガイド溝が複数並べて形成されるとともに前記連結部に前記パネル材の側面を当該連結部と前記上枠前部との間にガイドし、当該パネル材の下方を向く前記角部が挿入可能なガイド部が複数並べて形成され、前記一対のスタンドを水平な地面に設地させたときに、前記上枠側部は進行方向の前方に向かって下り勾配となり、当該上枠側部の進行方向の前寄りの位置には、上方に突出する落下防止突起が形成され、前記パネル材をその長手方向を進行方向の左右側に向けて、当該パネル材の進行方向の前側の端部を前記落下防止突起に当接させた状態で当該パネル材が前記一対の上枠側部に跨って載置可能であるとともに、前記パネル材の1つの角部が上方を向き、且つ、前記1つの角部の対角の角部が前記上枠前部及び前記連結部の間で下方を向いて、当該パネル材の側面が前記上枠前部及び前記連結部に当接するように載置可能であることを特徴としている。
【0011】
本発明のパネル材の運搬台車は、一方の前記上枠側部の前端及び他方の前記上枠側部の後端にそれぞれの端部が留め外し可能な弾性を有するベルトが設けられ、当該ベルトは前記パネル材の上に架け渡されて、当該パネル材を固定可能であることを特徴としている。
【0012】
本発明のパネル材の運搬台車は、前記パネル材は型枠パネルであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパネル材の運搬台車によると、一つの車輪と、当該車輪に支持されるフレームとを備えるパネル材の運搬台車であるので、狭い足場のような場所でも取り回しよくパネル材を運搬することができる。そして、パネル材をその長手方向を進行方向の左右側に向けて、且つ、パネル材の一方のパネル面が一対の上枠側部に当接するように一対の上枠側部に跨って載置可能であるので、パネル材の運搬台車のハンドルを持ち上げて当該運搬台車を進行させるときに、複数のパネル材を上下方向に重ねて運搬台車に積載することができる。また、パネル材の1つの角部が上方を向き、且つ、1つの角部の対角の角部が前記上枠前部及び前記連結部の間で下方を向いて、当該パネル材の側面が前記上枠前部及び前記連結部に当接するように載置可能であるので、パネル材がパネル面の寸法が大きい場合であっても、パネル材をパネル材の運搬台車の両側方向に突出させることがないので、幅の狭い通路であってもパネル材の運搬台車を用いてパネル材を運搬することができる。
【0014】
本発明のパネル材の運搬台車によると、上枠前部にパネル材の側面をガイド可能なガイド溝が複数並べて形成されるので、パネル材の運搬台車の前方からパネル材をパネル面が進行方向に平行な鉛直面となるように配置して、当該パネル材の側面をガイド溝に沿わせることで、パネル材を当該パネル材の1つの角部が上方を向き、且つ、1つの角部の対角の角部が上枠前部及び連結部の間で下方を向いて、パネル材の側面が上枠前部及び連結部に当接するように載置することができる。
【0015】
本発明のパネル材の運搬台車によると、連結部にパネル材の側面をガイドし、当該パネル材の角部が挿入可能なガイド部が複数並べて形成されるので、パネル材の運搬台車の後方からパネル材をパネル面が進行方向に平行な鉛直面となるように配置して、ガイド部にガイドさせることで、パネル材を1つの角部が上方を向き、当該角部の対角の角部が下方を向くように上枠前部及び連結部の間で上枠前部及び連結部に当接するように載置することができ、しかも、パネル材の角部がガイド部に挿入されることで、パネル材の姿勢を安定させることができる。
【0016】
本発明のパネル材の運搬台車によると、一方の上枠側部の前端及び他方の上枠側部の後端に端部が留め外し可能な弾性を有するベルトが設けられ、当該ベルトはパネル材の上に架け渡されて、当該パネル材を固定可能であるので、パネル材の運搬台車に載置されたパネル材の上にたすき状にベルトを架け渡すことでパネル材の脱落をより確実に防止できる。
【0017】
本発明のパネル材の運搬台車によると、パネル材は基礎工事の際に使用される型枠パネルであるので、様々な建築現場で使用することとなり、必ずしも幅の広い通路が確保できていない現場の狭い通路であっても、比較的小回りよく通行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】パネル材の運搬台車の全体構成を示す斜視図。
図2】パネル材の運搬台車の自立状態を説明する側面図。
図3】パネル材の運搬台車に横置きでパネル材を積載した状態を示す斜視図。
図4】横置きでパネル材を積載したパネル材の運搬台車を進行させる状態を説明する側面図。
図5】前方からパネル材の運搬台車に縦置きでパネル材を積載する工程を示す斜視図。
図6】後方からパネル材の運搬台車に縦置きでパネル材を積載する工程を示す斜視図。
図7】パネル材の運搬台車に縦置きでパネル材を積載した状態を示す斜視図。
図8】縦置きでパネル材を積載したパネル材の運搬台車を進行させる状態を説明する側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るパネル材の運搬台車1の実施形態について各図を参照しつつ説明する。本実施形態におけるパネル材の運搬台車1は、建築現場で矩形平板状のパネル材2としての型枠パネルを運搬する際に用いられる台車である。パネル材2としての型枠パネルは基礎を打設する際に型枠を形成するものであり、図示しないが、型枠の内側となる面が平坦で、型枠の外側となる面にリブが設けられて補強された鋼製の型枠パネルである。なお、本発明のパネル材の運搬台車1は、建築現場での型枠パネルの運搬に用いられるものに限定されるものではなく、足場が荒れている場合や足場の幅や通路幅が狭い場所において矩形平板状のパネル材2を運搬する場合に用いることができる。
【0020】
パネル材の運搬台車1は、図1及び図2に示すように、車体の前方の下部に設けられる一つの車輪3と、当該車輪3に支持されるフレーム4と、を備えている。なお、本実施形態において、前後方向はパネル材の運搬台車1の進行方向を前方とし、進行方向と逆の方向を後方としている。また進行方向から見て垂直な水平方向を左右方向としている。
【0021】
フレーム4は、一対のハンドル5と、ハンドル5から連続しており進行方向の前方に向かって延びる一対の上枠側部6と、一対の上枠側部6の前端同士を連結する上枠前部7と、上枠側部6の前寄りの下方に形成される車輪保持部8と、車輪保持部8の後方に形成される一対のスタンド9と、一対のスタンド9の間に架設される連結部10と、上枠側部6に設けられる互いに平行な一対の落下防止突起11と、上枠前部7に並べて形成されるガイド溝12と、連結部10に並べて形成されるガイド部13と、一方の上枠側部6の前端及び他方の上枠側部6の後端にそれぞれ端部が留め外し可能に固定されるベルト14とを有する。
【0022】
一対のハンドル5は、略後方に向かって延びるように左右方向の両側に配置されている鋼管である。一対のハンドル5には表面に滑り止めのラバー等が設けられていてもよい。一対のハンドル5は、スタンド9が地面に当接してパネル材の運搬台車1が自立した状態において、図2に示すように、後方に上り勾配となっている。また一対のハンドル5は後方に向かって互いに離れる方向に緩やかに広がって形成されている。一対のハンドル5の間の距離は作業者が間に入ることができる距離であり、作業者は、一対のハンドル5の間に入って、左右それぞれの手でハンドル5を握って、パネル材の運搬台車1を操作する。
【0023】
上枠側部6はハンドル5と連続する鋼管であり、前方に向かって直線状に形成されている。上枠側部6は前方に向かって下り勾配であるとともに、2つの上枠側部6が前方に向かって緩やかに狭まって延びている。上枠側部6とハンドル5との間は他の部分よりも急勾配に形成されており、上枠側部6及びハンドル5を区分している。2つの上枠側部6の前端は互いに接近する方向に湾曲して上枠前部7が形成されている。上枠前部7は上枠側部6と連続する鋼管であり、2つの上枠側部6の前端同士を接続している。上枠前部7は水平な直線状に形成されている。
【0024】
車輪保持部8は、車輪3の軸を支持する軸受け部15と、軸受け部15が固定されており、車輪3の両側から前側に回りこむU字状に形成された支持部16と、上枠側部6から垂れ下がって上枠側部6と支持部16とを繋ぐ前腕部17と、を有している。
【0025】
スタンド9は、側面視V字状となるように下部で湾曲する鋼管であり、車輪保持部8の後方に配置されている。スタンド9は2つの上枠側部6の下方にそれぞれ設けられている。2つのスタンド9は、それぞれ上枠側部6の後ろ寄りの位置に後端が固定されており、後端から下方に延びる脚後部18が形成され、脚後部18の下端で上方に向かって湾曲する湾曲部20が形成されるとともに、湾曲部20の前方に湾曲部20から上方に向かう脚前部19が形成されている。そして脚前部19は、上枠側部6よりも下方で、もう一方のスタンド9に接近する方向に湾曲しており、スタンド9の前端同士の間に前端接続部21が設けられている。前端接続部21には、車輪保持部8のU字状の支持部16の端部がそれぞれ固定されている。また、スタンド9の前端には上枠側部6と連結する後腕部22が形成されている。また、一方のスタンド9の脚前部19及び他方のスタンド9の脚前部19のそれぞれの中間部の間に脚前接続部23が架設されている。さらに、スタンド9の脚後部18は上側に連結部10が架設されるとともに、下側に脚後接続部24が架設されている。連結部10及び脚後接続部24は水平方向に延びる鋼管であり、2つのスタンド9の間に架設されて溶接固定されている。
【0026】
落下防止突起11は、鉄筋で形成されており、上枠側部6の前寄りの位置から上方に突出して形成されている。落下防止突起11は、それぞれの上枠側部6の車輪3の回転軸よりも前方となる位置に溶接固定されて上方に突出しており、落下防止突起11の下端は、車輪保持部8の支持部16に固定されている。落下防止突起11の下側は、前腕部17に沿った位置に配置されている。
【0027】
ガイド溝12は、上枠前部7の上側に5本の前側鉄筋25が溶接されることで、それぞれの前側鉄筋25の間に形成された溝であり、パネル材2の側面がガイド溝12に挿入されることでパネル材2を進行方向後方にガイドすることができる。5本の前側鉄筋25はそれぞれの間の距離がパネル材2の厚さとほぼ等しいか、又はパネル材2の厚さよりも僅かに長い。ガイド溝12を構成する前側鉄筋25は左右両端の2本の鉄筋が後方に延びて、前端接続部21及び脚後接続部24に溶接固定されている。ガイド溝12を構成する前側鉄筋25の内、中間の3本は短く切断されており、上枠前部7にのみ溶接固定されている。
【0028】
また、ガイド部13は、前端接続部21及び脚後接続部24に架設される5本の下側鉄筋26と、上端が連結部10に溶接されるとともに、下端が下側鉄筋26の中間位置にそれぞれ溶接される5本の後側鉄筋27とを備えており、後側鉄筋27の間にパネル材2を挟んでパネル材2を進行方向前側の下方にガイドすることができる。5本の下側鉄筋26のうち左右両端の2本の鉄筋が前方に延びて左右両端の前側鉄筋25となっている。また、下側鉄筋26の内、中間の3本は、前端接続部21及び脚後接続部24の間にのみ架設されて溶接されている。なお、下側鉄筋26の内、中間の3本の延長線上には、前側鉄筋25の中間の3本が上枠前部7に溶接されて配置されている。下側鉄筋26及び後側鉄筋27のそれぞれの間の距離は、パネル材2の厚さとほぼ等しいか、又はパネル材2の厚さよりも僅かに長い。
【0029】
ベルト14は、上枠側部6の前端及び後端にそれぞれ端部が留め外し可能な弾性を有する帯状に形成されている。ベルト14の端部は例えばループ状で、一端が上枠側部6の前端付近に形成された落下防止突起11に引っ掛けることができるとともに、他端がハンドル5に引っ掛けられて、上枠側部6の後端付近に配置されている。なお、図1では、一方のベルト14が一方の上枠側部6の前端及び後端近傍に固定されており、他方のベルト14が他方の上枠側部6の前端及び後端に固定されているが、パネル材2を固定する際には、いずれかのベルト14の端部が一方の上枠側部6の前端及び他方の上枠側部6の後端にそれぞれ斜めに架設されて、パネル材2を固定する。なお、ベルト14は本実施形態では端部がループ状となって上枠側部6の前端及び後端に留め外し可能となっているが、ベルト14の端部の形状はこれに限定されるものではなく、ベルト14の留め外しを可能とするフックなどの金具が設けられていてもよい。
【0030】
パネル材の運搬台車1にはパネル材2を横置き及び縦置きの2つの姿勢で積載することができる。パネル材の運搬台車1にパネル材2を積載する際には、まず、図2に示すように、2つのスタンド9の湾曲部20を地面に接地させて、車輪3及び2つのスタンド9の3点で接地した状態で、パネル材の運搬台車1を自立させる。そして、パネル材2を横置きする場合には、図3に示すように、パネル材2をその長手方向を進行方向の左右側に向け、一対の上枠側部6に跨るように載置する。一対の上枠側部6はパネル材の運搬台車1の前方向に下り勾配で傾斜しており、一対の上枠側部6の前寄りの位置から上方に突出している落下防止突起11によって、パネル材2がパネル材の運搬台車1の前方にずり落ちることを防止しながらパネル材2を積載することができる。
【0031】
パネル材2は一対の上枠側部6の上に上下方向に重ねて3枚積載することができる。落下防止突起11は上枠側部6から上方にパネル材2の厚さの3枚分以上の長さ突出しており、パネル材2を3枚重ねてもパネル材2がパネル材の運搬台車1の前方にずり落ちることを防止できる。なお、図3においては、パネル材2をパネル材の運搬台車1の前後方向に2列配置しているが、パネル材2の形状によっては、パネル材2を1列配置するものであっても良い。またパネル材2を重ねる枚数は3枚に限定されるものではなく、運搬する必要があるパネルの枚数によっては、横置きした1枚又は2枚のパネル材2を運搬しても良く、又は、4枚以上のパネル材2を重ねるものであっても良い。そして、パネル材2を横置きした後、一方のベルト14をパネル材2の上にたすきがけ状に架け渡して、当該ベルト14の端部を一方の上枠側部6の前端及び他方の上枠側部6の後端に止めつける。パネル材2はベルト14に拘束されて、パネル材の運搬台車1から落下することを防止することができる。
【0032】
パネル材の運搬台車1にパネル材2を積載すると、一対のハンドル5の間に作業者が入って、両方のハンドル5を持ち上げることで、図4に示すように、スタンド9の湾曲部20を地面から浮かし、パネル材の運搬台車1の進行方向に向かってハンドル5を押してパネル材2を運搬する。
【0033】
また、パネル材2を縦置きする際には、パネル材の運搬台車1が2つのスタンド9の湾曲部20と車輪3の3点接地した自立状態で、パネル材2を前方又は後方からパネル材の運搬台車1に積載する。パネル材2を前方からパネル材の運搬台車1に積載する際には、図5に示すように、パネル材2の一方の長辺側の側面を上枠前部7に形成されているガイド溝12に挿入した状態でパネル材2を前方から後方に向かってスライドさせ、パネル材2を1つの角部が上方を向いて起立しており、且つ、1つの角部の対角の角部が上枠前部7及び連結部10の間で下方を向いて、当該パネル材2の側面が上枠前部7及び連結部10に当接するように載置する。
【0034】
また、パネル材2を後方からパネル材の運搬台車1に積載する際には、図6に示すように、パネル材2の一方の長辺側の側面を上側の連結部10に当接させて、ガイド部13の後側鉄筋27の上端部の間に挿入し、パネル材2を後方から前方に向かってスライドさせて、パネル材2の1つの角部が上方を向いており、且つ、1つの角部の対角の角部が上枠前部7及び連結部10の間で下方を向いて、当該パネル材2の側面が上枠前部7及び連結部10に当接するように載置する。このときパネル材2はそのパネル面がパネル材の運搬台車1の進行方向に対して平行な鉛直面を形成するように配置されており、積載したパネル材2がパネル材の運搬台車1の左右方向に突出していないので、細い通路であってもパネル材の運搬台車1を進行させることができる。なお、ここで角部が上方を向くとはパネル材2のパネル面が鉛直面を形成しており、且つ、パネル材2の1つの角部を形成する2つの辺が互いに角部に向かって上り勾配となっていることをいう。また、角部が下方を向くとは角部を形成する2つの辺が角部に向かって下り勾配と成っていることをいう。
【0035】
以上のようにして、パネル材2を縦置きした後、図7に示すように、一方のベルト14をパネル材2の上にたすきがけ状に架け渡して、当該ベルト14の端部を一方の上枠側部6の前端及び他方の上枠側部6の後端に止めつける。パネル材2はベルト14に拘束されて、パネル材の運搬台車1から落下することを防止することができる。そして、一対のハンドル5の間に作業者が入って、両方のハンドル5を持ち上げることで、図8に示すように、スタンド9の湾曲部20を地面から浮かし、パネル材の運搬台車1の進行方向に向かってハンドル5を押してパネル材2を運搬する。
【0036】
以上のように本実施形態のパネル材の運搬台車1によると、横置きと縦置きの2つの方法でパネル材2を積載することができるので、運搬するパネル材2の数量やパネル材2の大きさ、通路の幅などの要素を考慮して横置きと縦置きとを選択することができる。すなわち、縦置きの場合、狭い通路でもパネル材2を運搬することができる利点を有しているが、パネル材2が小さい場合や運ばなければならないパネル材2の数が多い場合であっても、4枚のパネル材2しか一度に運搬することができない。一方横置きの場合、パネル材の運搬台車1の左右方向にパネル材2がはみ出して載置されるので、通路が狭い場合には通行することが困難となるが、重ねる枚数を増やすことで運搬するパネル材2の枚数を増やすことができ、また、パネル材2の寸法によっては前後にパネル材2を積載することで、より多くのパネル材2を一度に運搬することができる利点がある。
【0037】
また、パネル材2を縦置きする場合に、パネル材の運搬台車1の前方からパネル材2を積載することも、パネル材の運搬台車1の後方からパネル材2を積載することもできるので、パネル材の運搬台車1の前後に回りこむことが困難な場所でパネル材2の積載作業を行うような場合であっても、簡単にパネル材2を積載することができる。
【0038】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係るパネル材の運搬台車1は、例えば基礎工事に用いられる型枠パネルの運搬用に好適である。
【符号の説明】
【0040】
1 パネル材の運搬台車
2 パネル材
3 車輪
4 フレーム
5 ハンドル
6 上枠側部
7 上枠前部
8 車輪保持部
9 スタンド
10 連結部
11 落下防止突起
12 ガイド溝
13 ガイド部
14 ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8