(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】車両用撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20221227BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20221227BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20221227BHJP
H04N 23/695 20230101ALI20221227BHJP
B66F 9/24 20060101ALN20221227BHJP
【FI】
H04N7/18 J
H04N5/232 945
H04N5/232 030
H04N5/232 990
H04N5/232 941
H04N7/18 D
H04N7/18 E
B66F9/24 P
B66F9/24 A
(21)【出願番号】P 2019003053
(22)【出願日】2019-01-11
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】安立 結香子
【審査官】大濱 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-075426(JP,A)
【文献】特開2003-212494(JP,A)
【文献】特開2014-086950(JP,A)
【文献】特開2015-202835(JP,A)
【文献】特開平10-181447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/232
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付けられ、視野に前記車体の一部が写るカメラと、
前記カメラが正規姿勢にある場合の車両の特定部位の位置を示すカメラ姿勢決めガイドを生成する姿勢決めガイド生成部と、
前記カメラにて撮像された画像に前記姿勢決めガイド生成部で生成したカメラ姿勢決めガイドを重畳して表示する表示部と、を備え
、
前記カメラ姿勢決めガイドは線分であり、前記車体の前後方向であるX方向に沿って延びる第1のカメラ姿勢決めガイド線と、前記車体の左右方向であるY方向に沿って延びる第2のカメラ姿勢決めガイド線と、を有することを特徴とする車両用撮像装置。
【請求項2】
荷役装置を備えた車体に取り付けられ、視野に前記車体の一部
及び前記荷役装置の一部が写るカメラと、
前記カメラが正規姿勢にある場合の車両の特定部位の位置を示すカメラ姿勢決めガイドを生成する姿勢決めガイド生成部と、
前記カメラにて撮像された画像に前記姿勢決めガイド生成部で生成したカメラ姿勢決めガイドを重畳して表示する表示部と、を備え
、
前記カメラ姿勢決めガイドは線分であり、前記車体の一部に沿って延びる第3のカメラ姿勢決めガイド線と、前記荷役装置の一部に沿って延びる第4のカメラ姿勢決めガイド線と、を有することを特徴とする車両用撮像装置。
【請求項3】
前記車両用撮像装置は、遠隔操作システムに用いられるものであって、
前記遠隔操作システムは、前記車両と、遠隔操作装置とを備え、
前記車両は、車体に車両通信部を有し、
前記遠隔操作装置は、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記車両の走行を遠隔操作するのに用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用撮像装置。
【請求項4】
前記遠隔操作によりカメラ姿勢が調整されることを特徴とする請求項3に記載の車両用撮像装置。
【請求項5】
車両は産業車両であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用撮像装置。
【請求項6】
前記カメラは複数台設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載したカメラで車両周辺を撮像してカメラ画像を表示部で表示することが行われている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カメラの取り付け姿勢がずれると所望の画像を表示することができなくなることが懸念される。
本発明の目的は、カメラの取り付け姿勢がずれても所望の画像を表示することができる車両用撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための車両用撮像装置は、車体に取り付けられ、視野に前記車体の一部が写るカメラと、前記カメラが正規姿勢にある場合の車両の特定部位の位置を示すカメラ姿勢決めガイドを生成する姿勢決めガイド生成部と、前記カメラにて撮像された画像に前記姿勢決めガイド生成部で生成したカメラ姿勢決めガイドを重畳して表示する表示部と、を備えることを要旨とする。
【0006】
これによれば、カメラが正規姿勢にある場合の車両の特定部位の位置を示すカメラ姿勢決めガイドが、表示部においてカメラにて撮像された画像に重畳して表示される。カメラの取り付け姿勢がずれた場合には、車両の特定部位の位置とカメラ姿勢決めガイドとを合わすことによりカメラを正規姿勢にすることができる。このようにして、カメラの取り付け姿勢がずれても所望の画像を表示することができる。
【0007】
また、車両用撮像装置について、カメラ姿勢決めガイドは線分であるとよい。
また、車両用撮像装置について、前記車両用撮像装置は、遠隔操作システムに用いられるものであって、前記遠隔操作システムは、前記車両と、遠隔操作装置とを備え、前記車両は、車体に車両通信部を有し、前記遠隔操作装置は、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記車両の走行を遠隔操作するのに用いられるとよい。
【0008】
また、車両用撮像装置について、前記遠隔操作によりカメラ姿勢が調整されるとよい。
また、車両用撮像装置について、車両は産業車両であるとよい。
また、車両用撮像装置について、前記カメラは複数台設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カメラの取り付け姿勢がずれても所望の画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】フォークリフト用遠隔操作システムの電気的構成を示すブロック図。
【
図3】リーチ式フォークリフトの一部を破断して示す概略斜視図。
【
図4】リーチ式フォークリフトを模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
本実施形態では、車両用撮像装置は、フォークリフト用遠隔操作システムに用いられるものである。
【0012】
図1に示すように、フォークリフト用遠隔操作システム10は、産業車両としてのリーチ式フォークリフト20と、リーチ式フォークリフト20の走行及び荷役装置による荷役を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置40と、を備えている。リーチ式フォークリフト20は作業場に配置される。そして、遠隔操作装置40を用いて操作室から作業場のリーチ式フォークリフト20を遠隔操作することができるようになっている、
作業場においてパレット等から離れた場所にリーチ式フォークリフト20が位置している。この状態から、操作者はリーチ式フォークリフト20を遠隔操作して、リーチ式フォークリフト20をパレット等に近づけてフォークをパレット穴に差し込む動作等を行わせる。
【0013】
図2、
図3に示すように、リーチ式フォークリフト20は車体21を備える。車体21の前側には左右一対のリーチレグ22a,22bが配置され、リーチレグ22a,22bは前方に向かって延びている。詳しくは、リーチレグ22aは進行方向右側に設けられ、リーチレグ22bは進行方向左側に設けられている。リーチレグ22a,22bの前部には前輪23a,23bが配設されている。詳しくは、右前輪23aは進行方向右側のリーチレグ22aに設けられ、左前輪23bは進行方向左側のリーチレグ22bに設けられている。このように、車体21の前側に左右一対の前輪23a,23bが設けられている。
【0014】
車体21の後部には、後輪24とキャスタホイール(補助輪)25が配設されている。後輪24は車体21の左方に設けられており、キャスタホイール25は車体21の右方に設けられている。後輪24は、駆動輪及び操舵輪である。
【0015】
図2に示すように、リーチ式フォークリフト20は、2つの前輪23a,23b、及び、1つの後輪24の3つの車輪で走行する。車体21には、リーチ式フォークリフト20の駆動源となる走行モータ26と、走行モータ26の電力源となるバッテリ27が搭載されている。そして、後輪24が走行モータ26により回転駆動される。
【0016】
リーチ式フォークリフト20は、車体21の前方に、荷役装置28を備える。荷役装置28は、リーチシリンダ(図示せず)の駆動により、各リーチレグ22a,22bに沿って前後動作するマスト29を備える。マスト29の前方には、左右一対のフォーク30a,30bがリフトブラケット31を介して設けられている。フォーク30a,30bは、マスト29に沿って昇降する。
【0017】
本実施形態のリーチ式フォークリフト20は、運転者が着座して操作することが可能に構成されている。なお、運転席の無い無人リーチ式フォークリフトであってもよい。
図3に示すように、リーチ式フォークリフト20は、立席タイプの運転室32を車体21の後部に備える。運転室32の前方及び左方には、ステアリングテーブル33a,33bが設けられている。運転室32の前方に位置するステアリングテーブル33aには、リーチ式フォークリフト20を走行動作させるディレクションレバー34、荷役装置28を動作させる複数の荷役レバー35が設けられている。ディレクションレバー34は、後輪24を回転駆動させて車両を走行させるべく操作される。運転室32の左方に位置するステアリングテーブル33bには、後輪24の操舵を行うハンドル36が設けられている。また、運転室32の床面にはブレーキペダル37が備えられている。
【0018】
車体21は2本のピラー38とヘッドガード39を有する。運転室32は、車体21において立設された2本のピラー38と、ピラー38の上端に固定されたヘッドガード39とにより囲まれている。ヘッドガード39は、水平方向に拡がる板状をなし、平面視において四角形をなしている。
【0019】
図1に示すように、リーチ式フォークリフト20は、車体21において、フォークリフト搭載機器50として、コントローラ51と、車両通信部としての無線ユニット52と、画像処理部53と、車両通信部としての無線機54と、4台のカメラ71,72,73,74を有する。
【0020】
遠隔操作装置40は、コントローラ61と、操作部62と、表示部(モニタ)63と、操作装置通信部としての無線機64,65を有する。遠隔操作装置40において、操作室側機器60として、コントローラ61と操作部62と表示部(モニタ)63を備える。
【0021】
遠隔操作装置40の無線機64は作業場に配置されている。また、遠隔操作装置40の無線機65は作業場に配置されている。操作室に配置されるコントローラ61は有線L1により作業場に配置した無線機64と接続されている。コントローラ61は有線L2により作業場に配置した無線機65と接続されている。
【0022】
作業場において、遠隔操作装置40の無線機64とフォークリフト搭載機器50の無線ユニット52とは双方向に無線通信できる。また、作業場において、フォークリフト搭載機器50の無線機54から遠隔操作装置40の無線機65に無線で通信できる。
【0023】
このようにして、リーチ式フォークリフト20は無線ユニット52及び無線機54を有し、遠隔操作装置40は、無線ユニット52及び無線機54と無線通信を行う無線機64,65を有する。
【0024】
遠隔操作装置40のコントローラ61は操作部62及び表示部(モニタ)63と接続されている。操作部62は、操作者によりリーチ式フォークリフト20を遠隔操作するためのものであり、操作者によるリーチ式フォークリフト20の操作内容(リフト、リーチ、ティルトの操作指令値、及び、速度、加速度、操舵角の操作指令値等)がコントローラ61に送られる。コントローラ61は、リフト、リーチ、ティルトの操作指令値、及び、速度、加速度、操舵角の操作指令値等の車両制御信号を、無線機64を介してフォークリフト搭載機器50の無線ユニット52に無線送信する。
【0025】
フォークリフト搭載機器50において、コントローラ51と無線ユニット52と画像処理部53とは、それぞれ相互に通信(例えばCAN通信)可能に接続されている。コントローラ51は遠隔操作装置40側からの指示により走行系アクチュエータ(走行モータ26、図示しない操舵モータ等)及び荷役系アクチュエータ(図示しないリフトシリンダ、リーチシリンダ、ティルトシリンダ等)を駆動することができる。
【0026】
無線ユニット52は、リーチ式フォークリフト20の車速等の車両情報、異常情報(障害物検知情報等)を、無線機64を介してコントローラ61に無線送信する。
図1において、コントローラ61は、無線機64、無線ユニット52及びコントローラ51を介してリーチ式フォークリフト20の走行及び荷役装置28による荷役を遠隔操作することができるようになっている。つまり、
図3での操作部(ディレクションレバー34、荷役レバー35、ハンドル36、ブレーキペダル37等)に代わり遠隔操作装置40の操作部62により遠隔操作することができるようになっている。
【0027】
そして、遠隔操作装置40において、操作部62を用いて操作者が所望の操作を行うとコントローラ61により操作内容が無線機64を介してリーチ式フォークリフト20側に送られる。リーチ式フォークリフト20において、無線ユニット52で遠隔操作装置40からの操作内容が受信され、コントローラ51によりアクチュエータ部が駆動されて所望の動作が実行される。
【0028】
図2及び
図4に示すように、リーチ式フォークリフト20においてヘッドガード39にカメラ取付用のステーSt1,St2,St3,St4が設けられている。ステーSt1は、ヘッドガード39の右の前隅部P1から外方に張り出している。ステーSt2は、ヘッドガード39の左の前隅部P2から外方に張り出している。ステーSt3は、ヘッドガード39の右の後隅部P3から外方に張り出している。ステーSt4は、ヘッドガード39の左の後隅部P4から外方に張り出している。
【0029】
ステーSt1にはカメラ71が前方下方を向くように取り付けられており、カメラ71は、リーチ式フォークリフト20の右の前隅部の周辺を撮像する。具体的には、カメラ71は、ヘッドガード39の右の前隅部P1からリーチ式フォークリフト20の進行方向前方の床面を撮像する。また、ステーSt2にはカメラ72が前方下方を向くように取り付けられており、カメラ72は、リーチ式フォークリフト20の左の前隅部の周辺を撮像する。具体的には、カメラ72は、ヘッドガード39の左の前隅部P2からリーチ式フォークリフト20の進行方向前方の床面を撮像する。
【0030】
ステーSt3にはカメラ73が下方を向くように取り付けられており、カメラ73は、リーチ式フォークリフト20の右の後隅部の周辺を撮像する。具体的には、カメラ73は、ヘッドガード39の右の後隅部P3から下方の床面を撮像する。また、ステーSt4にはカメラ74が下方を向くように取り付けられており、カメラ74は、リーチ式フォークリフト20の左の後隅部の周辺を撮像する。具体的には、カメラ74は、ヘッドガード39の左の後隅部P4から下方の床面を撮像する。
【0031】
より詳しくは、カメラはリーチ式フォークリフト20とその周辺を撮像するものであり、そのためになるべく上方から撮像する。後方での左右のカメラ73,74は上方に位置するヘッドガード39に設置する。一方、前方のカメラ71,72は前後方向に移動するマスト29ではなく、固定された部材であり上部に位置するヘッドガード39に設置する。また、前方のカメラ71,72はリーチレグ先端まで見る必要があるとともにパレットが乗る場合を考慮して左右に設置している。このように、4台のカメラ71,72,73,74は、リーチ式フォークリフト20の車体21の前端左右及び後端左右に設けられる。
【0032】
図1に示すように、リーチ式フォークリフト20において、カメラ71,72,73,74により撮像された画像はコントローラ51により画像処理部53及び無線機54を介して遠隔操作装置40側に送られる。遠隔操作装置40において、無線機65でリーチ式フォークリフト20からのカメラ画像が受信される。カメラ71,72,73,74にて撮像されたリーチ式フォークリフト20の周辺のカメラ画像が表示部63に送られる。
【0033】
表示部63は画面63aを有する。遠隔操作装置40に設けられる表示部63において、リーチ式フォークリフト20の周辺のカメラ画像が表示される。表示部63は、例えばディスクトップ型ディスプレイである。操作者は表示部63におけるリーチ式フォークリフト20の周辺のカメラ画像を見ながら操作することになる。
【0034】
カメラ71,72,73,74は、車体21に取り付けられており、視野に車体21の一部及び荷役装置28の一部が写る。具体的には、例えば、カメラ72によるカメラ画像として、
図5に示すように車体側面、リーチレグ、フォーク、マスト、コントロールボックス等が写る。
図6で説明すると、車体側面100、リーチレグ側面101、フォーク側面102,103、車体突起部側面104、マスト前面105、コントローラ61等が収納されるコントロールボックスの後面106、リーチレグ前面107が写る。
【0035】
姿勢決めガイド生成部としてのコントローラ61は、カメラが正規姿勢にある場合の車両としてのリーチ式フォークリフト20の特定部位の位置を示すカメラ姿勢決めガイドとしてのカメラ姿勢決めガイド線Lg1,Lg2,Lg3,Lg3,Lg4,Lg5,Lg6(
図6参照)を生成する。つまり、本実施形態では、カメラ姿勢決めガイドは線分である。そして、例えば、
図6に示すように、表示部63において、カメラにて撮像された画像に、生成したカメラ姿勢決めガイド線Lg1,Lg2,Lg3,Lg3,Lg4,Lg5,Lg6が重畳して表示される。
図5及び
図6において、リーチ式フォークリフト20の前後方向がX方向であり、リーチ式フォークリフト20の左右方向がY方向である。
【0036】
カメラ姿勢決めガイド線Lg1は、車体側面100及びリーチレグ側面101に対応し、車体側面100、リーチレグ側面101、カメラ姿勢決めガイド線Lg1は、X方向に延びている。カメラ姿勢決めガイド線Lg2は、フォーク側面102に対応し、フォーク側面102及びカメラ姿勢決めガイド線Lg2は、X方向に延びている。カメラ姿勢決めガイド線Lg3は、フォーク側面103に対応し、フォーク側面103及びカメラ姿勢決めガイド線Lg3は、X方向に延びている。カメラ姿勢決めガイド線Lg4は、車体突起部側面104に対応し、車体突起部側面104及びカメラ姿勢決めガイド線Lg4は、X方向に延びている。カメラ姿勢決めガイド線Lg5は、マスト前面105に対応し、マスト前面105及びカメラ姿勢決めガイド線Lg5は、Y方向に延びている。カメラ姿勢決めガイド線Lg6は、コントロールボックス後面106に対応し、コントロールボックス後面106及びカメラ姿勢決めガイド線Lg6は、Y方向に延びている。カメラ姿勢決めガイド線Lg7は、リーチレグ前面107に対応し、リーチレグ前面107及びカメラ姿勢決めガイド線Lg7は、Y方向に延びている。
【0037】
このように、カメラ画像に車体及び荷役装置が写るべき線(カメラ姿勢決めガイド線Lg1,Lg2,Lg3,Lg4,Lg5,Lg6,Lg7)が描画される。この線と、写った車体21及び荷役装置28から車体21及び荷役装置28に対するカメラ71,72,73の姿勢が分かる。
【0038】
次に、作用について説明する。
表示部63の画面63aにおいて、カメラ71,72,73,74によるカメラ画像が表示される。このとき、画面63aに車体21の一部及び荷役装置28の一部が写る。例えば、カメラ72によるカメラ画像として、
図6に示すように、車体側面100、リーチレグ側面101、フォーク側面102,103、車体突起部側面104、マスト前面105、コントロールボックス後面106、リーチレグ前面107が写る。
【0039】
カメラ71,72,73,74が正規姿勢にある場合には、例えば
図5に示すごとく次のようになる。
カメラ姿勢決めガイド線Lg1と車体側面100とが重なる(一致する)。カメラ姿勢決めガイド線Lg1とリーチレグ側面101とが重なる(一致する)。カメラ姿勢決めガイド線Lg2とフォーク側面102とが重なる(一致する)。カメラ姿勢決めガイド線Lg3とフォーク側面103とが重なる(一致する)。カメラ姿勢決めガイド線Lg4と車体突起部側面104とが重なる(一致する)。カメラ姿勢決めガイド線Lg5とマスト前面105とが重なる(一致する)。カメラ姿勢決めガイド線Lg6とコントロールボックス後面106とが重なる(一致する)。カメラ姿勢決めガイド線Lg7とリーチレグ前面107とが重なる(一致する)。
【0040】
カメラ71,72,73,74の取り付け姿勢がずれた場合には、例えば
図6に示すごとく次のようになる。
カメラ姿勢決めガイド線Lg1と車体側面100とが重ならない(一致しない)。カメラ姿勢決めガイド線Lg1とリーチレグ側面101とが重ならない(一致しない)。カメラ姿勢決めガイド線Lg2とフォーク側面102とが重ならない(一致しない)。カメラ姿勢決めガイド線Lg3とフォーク側面103とが重ならない(一致しない)。カメラ姿勢決めガイド線Lg4と車体突起部側面104とが重ならない(一致しない)。カメラ姿勢決めガイド線Lg5とマスト前面105とが重ならない(一致しない)。カメラ姿勢決めガイド線Lg6とコントロールボックス後面106とが重ならない(一致しない)。カメラ姿勢決めガイド線Lg7とリーチレグ前面107とが重ならない(一致しない)。
【0041】
このように、カメラ71,72,73,74の取り付け姿勢がずれた場合には、描画した線(カメラ姿勢決めガイド線Lg1,Lg2,Lg3,Lg4,Lg5,Lg6,Lg7)を確認し、カメラ画像を見ながら手作業により、カメラ71,72,73,74の取り付け姿勢を修正して
図5のように、車両の特定部位の位置(100~107)とカメラ姿勢決めガイド(Lg1,Lg2,Lg3,Lg3,Lg4,Lg5,Lg6)とを合わす。即ち、カメラ姿勢決めガイド線Lg1,Lg2,Lg3,Lg4,Lg5,Lg6,Lg7を車体の一部及び荷役装置の一部に合わせる。姿勢調整とは、カメラの光軸の向き(カメラ角度)の調整に加え、カメラ位置の調整も含む。このカメラの姿勢の調整を行うことによりカメラが最適姿勢にされる。
【0042】
このようにして、カメラが正規姿勢にある場合の車両の特定部位の位置を示すカメラ姿勢決めガイドが、表示部においてカメラにて撮像された画像に重畳して表示されるので、カメラの取り付け姿勢がずれた場合には、車両の特定部位の位置とカメラ姿勢決めガイドとを合わすことによりカメラを正規姿勢にする。このようにして、カメラの取り付け姿勢がずれても容易に理想的なカメラ姿勢を実現でき、所望の画像を表示することができる。
【0043】
そして、例えば、前方表示カメラにおいて姿勢がずれると本来見えるべき所が写っていないことがあるが、カメラを正しい姿勢にすることにより、それが防止できる。他にも、進行方向に現在の操舵角に応じた車幅ガイド線及び前方距離線を表示する時にカメラ姿勢がずれていると正しく車幅ガイド線や前方距離線を表示することができないが、カメラを正しい姿勢にすることにより、それが防止できる。
【0044】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)車両用撮像装置の構成として、車体21及び荷役装置28に取り付けられ、視野に車体21の一部及び荷役装置28の一部が写るカメラ71,72,73,74を備える。カメラ71,72,73,74が正規姿勢にある場合の車両としてのリーチ式フォークリフト20の特定部位の位置を示すカメラ姿勢決めガイドとしてのカメラ姿勢決めガイド線Lg1~Lg7を生成する姿勢決めガイド生成部としてのコントローラ61を備える。カメラ71,72,73,74にて撮像された画像にコントローラ61で生成したカメラ姿勢決めガイドとしてのカメラ姿勢決めガイド線Lg1~Lg7を重畳して表示する表示部63を備える。よって、カメラ71,72,73,74の取り付け姿勢がずれた場合には、車両の特定部位の位置とカメラ姿勢決めガイドとしてのカメラ姿勢決めガイド線Lg1~Lg7とを合わすことによりカメラ71,72,73,74を正規姿勢にすることができる。このようにして、カメラ71,72,73,74の取り付け姿勢がずれても所望の画像を表示することができる。
【0045】
(2)カメラ姿勢決めガイドは線分であるので、車両の特定部位の位置とカメラ姿勢決めガイドとしてのカメラ姿勢決めガイド線Lg1~Lg7とを容易に合わすことができる。
【0046】
(3)車両用撮像装置は、遠隔操作システムに用いられるものであって、遠隔操作システムは、車両としてのリーチ式フォークリフト20と、遠隔操作装置40とを備える。リーチ式フォークリフト20は、車体21及び荷役装置28に車両通信部としての無線ユニット52および無線機54を有する。遠隔操作装置40は、車両通信部としての無線ユニット52および無線機54と無線通信を行う操作装置通信部としての無線機64,65を有し、リーチ式フォークリフト20の走行を遠隔操作するのに用いられる。よって、遠隔操作システムに用いられるカメラにおいて取り付け姿勢がずれても所望の画像を表示することができる。
【0047】
(4)車両は産業車両であるので、有用である。
(5)カメラは複数台設けられている。この場合、1つのカメラの画像と他のカメラの画像を合成して表示させることもでき、この際、合成後のカメラ画像の境目においてカメラの姿勢がずれていると正確に写し出すことができなくなるが、カメラを正しい姿勢にすることにより、それが防止できる。
【0048】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○
図1において仮想線で示すようにリーチ式フォークリフト20にカメラ姿勢調整機構55を設け、カメラ姿勢調整機構55によりカメラ71,72,73,74の姿勢を調整可能とする。操作室において操作者が操作部62によりコントローラ61、無線機64、無線ユニット52、コントローラ51を介してカメラ姿勢調整機構55を駆動してカメラ姿勢を調整するようにしてもよい。このように遠隔操作によりカメラ姿勢が調整されるようにすることにより、容易にカメラを正規姿勢にすることができる。
【0049】
○ 車両用撮像装置は遠隔操作システムに用いられるものであったが、これに限るものではない。例えば、有人車両に用いてもよい。つまり、カメラを搭載した無人車両と、表示部を有する遠隔操作装置とを備えるのではなく、例えば、カメラと表示部を搭載した有人車両に適用してもよい。
【0050】
○ カメラ姿勢決めガイド(カメラ姿勢決めガイド線Lg1~Lg7)は、直線であったが曲線でもよい。
○ カメラ姿勢決めガイド(カメラ姿勢決めガイド線Lg1~Lg7)は、線分であったが、カメラ姿勢決めガイドは線分以外でもよく、例えば図形(例えばハンドルの図形)、点(例えば搭載機器の中心点、車体の角や搭載機器の角の点)等でもよい。点の場合、複数の点をカイドとして用いると、正規姿勢にしやすい。
【0051】
○ 車両に搭載するカメラの台数は問わない。また、複数のカメラのうちの少なくとも一台のカメラにおいてカメラ姿勢決めガイドを重畳して表示すればよい。
○ 産業車両以外にも、例えば自動車(乗用車等)に適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
10…リーチ式フォークリフト用遠隔操作システム、20…リーチ式フォークリフト、21…車体、28…荷役装置、40…遠隔操作装置、52…無線ユニット、54…無線機、61…コントローラ、63…表示部、64,65…無線機、71,72,73,74…カメラ、100…車体側面、101…リーチレグ側面、102…フォーク側面、103…フォーク側面、104…車体突起部側面、105…マスト前面、106…コントロールボックス後面、107…リーチレグ前面、L1~L7…カメラ姿勢決めガイド線。