(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】照明制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/19 20200101AFI20221227BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20221227BHJP
【FI】
H05B47/19
H05B47/165
(21)【出願番号】P 2019047685
(22)【出願日】2019-03-14
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】野坂 哲郎
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-229455(JP,A)
【文献】特開2017-216055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具の調光指令値を含む第1設定情報が記憶された第1メモリを有し、前記第1設定情報に基づき前記照明器具を制御し、前記照明器具の調光指令値を含む第2設定情報を受信すると前記第2設定情報を前記第1メモリに記憶するコントローラと、
前記第2設定情報を前記コントローラに送信する通信機器と、
を備え、
前記通信機器は、ネットワーク端末またはリモコン設定器から前記第2設定情報に基づく制御を指令する設定指令を受信すると、前記設定指令を前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記設定指令を受信すると前記第1設定情報に基づいた制御を前記第2設定情報に基づいた制御に切り替え
、
前記通信機器は、少なくとも1つの設定情報が記憶された第2メモリを有し、前記少なくとも1つの設定情報のうち前記ネットワーク端末の通信プロトコルに対応する前記第2設定情報を前記コントローラに送信することを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
照明器具の調光指令値を含む第1設定情報が記憶された第1メモリを有し、前記第1設定情報に基づき前記照明器具を制御し、前記照明器具の調光指令値を含む第2設定情報を受信すると前記第2設定情報を前記第1メモリに記憶するコントローラと、
前記第2設定情報を前記コントローラに送信する通信機器と、
を備え、
前記通信機器は、ネットワーク端末またはリモコン設定器から前記第2設定情報に基づく制御を指令する設定指令を受信すると、前記設定指令を前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記設定指令を受信すると前記第1設定情報に基づいた制御を前記第2設定情報に基づいた制御に切り替え、
前記設定指令には制御時間情報が含まれ、
前記コントローラは、前記設定指令を受信すると前記制御時間情報に対応する時間だけ前記第2設定情報に基づいて前記照明器具を制御した後、前記第1設定情報に基づき前記照明器具を制御することを特徴とす
る照明制御システム。
【請求項3】
照明器具の調光指令値を含む第1設定情報が記憶された第1メモリを有し、前記第1設定情報に基づき前記照明器具を制御し、前記照明器具の調光指令値を含む第2設定情報を受信すると前記第2設定情報を前記第1メモリに記憶するコントローラと、
前記第2設定情報を前記コントローラに送信する通信機器と、
を備え、
前記通信機器は、ネットワーク端末またはリモコン設定器から前記第2設定情報に基づく制御を指令する設定指令を受信すると、前記設定指令を前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記設定指令を受信すると前記第1設定情報に基づいた制御を前記第2設定情報に基づいた制御に切り替え、
前記通信機器は、前記ネットワーク端末またはリモコン設定器から解除指令を受信すると、前記解除指令を前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記解除指令を受信すると、前記第2設定情報に基づいた制御を終了し、前記第1設定情報に基づき前記照明器具を制御することを特徴とす
る照明制御システム。
【請求項4】
前記第2設定情報は前記第1設定情報よりも前記照明器具の目標調光率または目標照度が低いことを特徴とする請求項1から
3の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
照明器具の調光指令値を含む第1設定情報が記憶された第1メモリを有し、前記第1設定情報に基づき前記照明器具を制御し、前記照明器具の調光指令値を含む第2設定情報を受信すると前記第2設定情報を前記第1メモリに記憶するコントローラと、
前記第2設定情報を前記コントローラに送信する通信機器と、
を備え、
前記通信機器は、ネットワーク端末またはリモコン設定器から前記第2設定情報に基づく制御を指令する設定指令を受信すると、前記設定指令を前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記設定指令を受信すると前記第1設定情報に基づいた制御を前記第2設定情報に基づいた制御に切り替え、
前記コントローラは、前記照明器具についての情報を前記通信機器に送信し、
前記通信機器は、前記照明器具についての情報に応じて前記設定指令を前記コントローラに送信することを特徴とす
る照明制御システム。
【請求項6】
前記照明器具についての情報は、前記照明器具の調光率、前記照明器具の消費電力または前記コントローラに接続される照明器具の数を含むことを特徴とする請求項
5に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記第2設定情報は、シーン番号と、前記シーン番号に対応する調光指令値と、を含み、
前記設定指令は、前記シーン番号を含み、
前記コントローラは、前記設定指令を受信すると前記シーン番号に対応する前記調光指令値に基づき前記照明器具を制御することを特徴とする請求項1から
6の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項8】
前記ネットワーク端末は、パーソナルコンピュータであることを特徴とする請求項1から
7の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項9】
前記ネットワーク端末は、サーバであることを特徴とする請求項1から
7の何れか1項に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には制御装置が、リモコンにより設定された制御スケジュールに基づいて伝送線上の複数の照明器具を制御する設備機器制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような照明制御システムでは、制御データを変更しようとする際、手動で入力することで誤った入力がなされるおそれがある。誤った制御データが入力された場合、照明制御システムが制御データ変更後に正常動作しなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、正確に制御データを変更できる照明制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示に係る照明制御システムは、照明器具の調光指令値を含む第1設定情報が記憶された第1メモリを有し、該第1設定情報に基づき該照明器具を制御し、該照明器具の調光指令値を含む第2設定情報を受信すると該第2設定情報を該第1メモリに記憶するコントローラと、該第2設定情報を該コントローラに送信する通信機器と、を備え、該通信機器は、ネットワーク端末またはリモコン設定器から該第2設定情報に基づく制御を指令する設定指令を受信すると、該設定指令を該コントローラに送信し、該コントローラは、該設定指令を受信すると該第1設定情報に基づいた制御を該第2設定情報に基づいた制御に切り替え、該通信機器は、少なくとも1つの設定情報が記憶された第2メモリを有し、該少なくとも1つの設定情報のうち該ネットワーク端末の通信プロトコルに対応する該第2設定情報を該コントローラに送信する。
第2の開示に係る照明制御システムは、照明器具の調光指令値を含む第1設定情報が記憶された第1メモリを有し、該第1設定情報に基づき該照明器具を制御し、該照明器具の調光指令値を含む第2設定情報を受信すると該第2設定情報を該第1メモリに記憶するコントローラと、該第2設定情報を該コントローラに送信する通信機器と、を備え、該通信機器は、ネットワーク端末またはリモコン設定器から該第2設定情報に基づく制御を指令する設定指令を受信すると、該設定指令を該コントローラに送信し、該コントローラは、該設定指令を受信すると該第1設定情報に基づいた制御を該第2設定情報に基づいた制御に切り替え、該設定指令には制御時間情報が含まれ、該コントローラは、該設定指令を受信すると該制御時間情報に対応する時間だけ該第2設定情報に基づいて該照明器具を制御した後、該第1設定情報に基づき該照明器具を制御する。
第3の開示に係る照明制御システムは、照明器具の調光指令値を含む第1設定情報が記憶された第1メモリを有し、該第1設定情報に基づき該照明器具を制御し、該照明器具の調光指令値を含む第2設定情報を受信すると該第2設定情報を該第1メモリに記憶するコントローラと、該第2設定情報を該コントローラに送信する通信機器と、を備え、該通信機器は、ネットワーク端末またはリモコン設定器から該第2設定情報に基づく制御を指令する設定指令を受信すると、該設定指令を該コントローラに送信し、該コントローラは、該設定指令を受信すると該第1設定情報に基づいた制御を該第2設定情報に基づいた制御に切り替え、該通信機器は、該ネットワーク端末またはリモコン設定器から解除指令を受信すると、該解除指令を該コントローラに送信し、該コントローラは、該解除指令を受信すると、該第2設定情報に基づいた制御を終了し、該第1設定情報に基づき該照明器具を制御する。
第4の開示に係る照明制御システムは、照明器具の調光指令値を含む第1設定情報が記憶された第1メモリを有し、該第1設定情報に基づき該照明器具を制御し、該照明器具の調光指令値を含む第2設定情報を受信すると該第2設定情報を該第1メモリに記憶するコントローラと、該第2設定情報を該コントローラに送信する通信機器と、を備え、該通信機器は、ネットワーク端末またはリモコン設定器から該第2設定情報に基づく制御を指令する設定指令を受信すると、該設定指令を該コントローラに送信し、該コントローラは、該設定指令を受信すると該第1設定情報に基づいた制御を該第2設定情報に基づいた制御に切り替え、該コントローラは、該照明器具についての情報を該通信機器に送信し、該通信機器は、該照明器具についての情報に応じて該設定指令を該コントローラに送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る照明制御システムでは、通信機器から第2設定情報が送信されることで、制御データが変更される。従って、正確に制御データを変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る照明制御システムを説明する図である。
【
図2】実施の形態1に係る通信機器を説明する図である。
【
図3】実施の形態1に係る内部システムを説明する図である。
【
図4】実施の形態1に係るコントローラを説明する図である。
【
図5】実施の形態1に係るシーン設定情報を説明する図である。
【
図6】実施の形態1に係るスケジュール設定情報を説明する図である。
【
図7】実施の形態1に係る変更後のシーン設定情報を説明する図である。
【
図8】実施の形態1に係る照明制御システムの動作シーケンスを説明する図である。
【
図9】実施の形態1の変形例に係る照明制御システムを説明する図である。
【
図10】実施の形態1の変形例に係る書き換え後のシーン設定情報を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る照明制御システムについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明制御システム70を説明する図である。照明制御システム70は通信機器3、コントローラ1および複数の照明器具2を備える。なお、
図1では便宜上、照明器具2が1つのみ図示されている。
【0011】
通信機器3は、設備インタフェース機器とも呼ばれる。通信機器3は、コントローラ1と、ネットワーク端末であるパーソナルコンピュータ4と通信する。以下ではパーソナルコンピュータをPCと呼ぶ。また、通信機器3は、コントローラ1との通信プロトコルと、PC4との通信プロトコルとを変換する。
【0012】
図2は、実施の形態1に係る通信機器3を説明する図である。通信機器3は制御部3aと第2メモリ3bとを有する。制御部3aは、コントローラ1およびPC4との通信および通信プロトコルの変換を行う。第2メモリ3bには、後述する複数の設定情報が記憶される。
【0013】
通信機器3は、ネットワーク接続端子31と通信線接続端子32とを備える。通信線接続端子32と、後述するコントローラ1の通信線接続端子13間は、通信線16で接続される。通信機器3は通信線16を介してコントローラ1と通信する。
【0014】
ネットワーク接続端子31は、LAN(Local Area Network)17に接続される。通信機器3は、LAN17を介してPC4と通信する。LAN17は無線でも有線でも良い。PC4は、例えば店舗内で運用される。LAN17上では通信プロトコルAが用いられる。通信プロトコルAは、例えばTCP/IPである。
【0015】
PC4は通信機器3を介してコントローラ1をデマンド制御する。PC4のデマンド制御に用いられるソフトウェアは、通信信号のフレームが独自に設定された専用ソフトウェアである。
【0016】
図3は、実施の形態1に係る内部システム60を説明する図である。コントローラ1と複数の照明器具2は内部システム60を構成する。
【0017】
複数の照明器具2は、照明器具2a~2dを含む。複数の照明器具2の各々は、調光可能な光源21及び調光端子22を備える。複数の照明器具2の各々は、調光端子22から入力される調光信号に基づいて、光源21を調光制御する。
【0018】
複数の照明器具2は2系統に分けられる。複数の照明器具2は、系統毎に異なるスケジュールで調光制御される。説明の簡略化のため、本実施の形態では照明器具2の台数を1系統当り2台とする。1系統当たりの照明器具2は、1台以上であれば良い。また、複数の照明器具2は3系統以上に分けられてもよい。また、複数の照明器具2は全て同じ系統に属していても良い。
【0019】
図4は、実施の形態1に係るコントローラ1を説明する図である。コントローラ1は、照度センサ11、複数の調光信号線接続端子12a、12b、通信線接続端子13、制御部1aおよび第1メモリ1bを備える。
【0020】
制御部1aは、複数の調光信号線接続端子12a、12bから調光信号を送信し、複数の照明器具2を制御する。調光信号は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)信号または双方向通信などのデジタル信号である。コントローラ1は、調光信号の出力を2系統備える。制御部1aは、複数の調光信号線接続端子12a、12bそれぞれから、独立した調光信号を送信する。また、第1メモリ1bには、後述する設定情報が記憶される。
【0021】
コントローラ1の調光信号線接続端子12aは、照明器具2a、2bの調光端子22と渡り配線された調光線15で接続される。コントローラ1の調光信号線接続端子12bは、照明器具2c、2dの調光端子22と渡り配線された調光線15で接続される。照明器具2a、2bは第1系統に属し、照明器具2c、2dは第2系統に属する。
【0022】
次に、内部システム60が外部からデマンド制御されない場合の動作について説明する。コントローラ1の制御部1aは、照明器具2a~2dに調光指令を送信し、照明器具2a~2dをスケジュール運転する。スケジュール運転とは、1日を複数の時間帯に区切り、時間帯毎に設定された調光率または調光制御に自動で切り替える運転である。例えば、昼間、朝方、夕方および夜間の時間帯別に照明器具2a~2dを調光制御する。これにより、照明器具2a~2dの一日当たりの消費電力を抑えることができる。
【0023】
本実施の形態では、コントローラ1は第1系統と第2系統に個別に調光信号を送信する。これにより、2系統の照明器具2を独立してスケジュール運転させることができる。
【0024】
また、照度センサ11はコントローラ1が設けられた空間の照度を検出する。制御部1aは、照度センサ11が検出した照度に基づき、例えば第1系統を調光運転する。コントローラ1は、照度センサ11で検出した照度と目標照度とを比較し、明るさが一定になるように調光制御する。これにより、設置場所の照度を落とすことなく照明器具2a、2bの消費電力を更に抑えることができる。
【0025】
図5は、実施の形態1に係るシーン設定情報を説明する図である。
図6は、実施の形態1に係るスケジュール設定情報を説明する図である。コントローラ1の第1メモリ1bには、設定情報が記憶されている。設定情報は、シーン設定情報と、スケジュール設定情報とを含む。また、設定情報には、通信機器3から送信される第2設定情報と、予め第1メモリ1bに記憶された第1設定情報とがある。第1設定情報はスケジュール運転および調光運転に用いられる制御データである。第2設定情報は後述するデマンド制御に用いられる制御データである。第1設定情報と第2設定情報は、それぞれ複数の照明器具2の調光指令値を含む。
図5は、第1メモリ1bに第1設定情報のみが記憶され、第2設定情報は未だ設定されていない状態を示す。
【0026】
図5に示されるシーン設定情報は、複数のシーン情報を含む。各々のシーン情報は、シーン番号と、シーン番号に対応する調光指令値とを含む。また、調光指令値は4データ列から構成される。4データ列は、照度センサ11の入切情報、第1系統の第1目標調光率、第2系統の第2目標調光率および目標照度を含む。
【0027】
照度センサ11の入切情報は、照度センサ11を用いた照度を一定とする制御を入切する設定である。また、目標照度は、照度センサ11を用いた明るさ一定制御の目標値である。照度センサ11が入のとき、制御部1aは、照度センサ11で検出した照度と目標照度とを比較し、照明器具2が設置された空間の明るさが目標照度と一致するように調光制御する。
【0028】
第1目標調光率と第2目標調光率は、それぞれ第1系統と第2系統の調光率の目標値である。照度センサ11が切のとき、制御部1aは、第1系統の調光率が第1目標調光率と一致し、第2系統の調光率が第2目標調光率と一致するように、調光信号線接続端子12a、12bから調光信号を出力する。
【0029】
スケジュール設定情報は、時刻とシーン番号からなるスケジュールパターンを少なくとも1つ有する。本実施の形態では、一例として、スケジュールパターンがパターン1の1つみの場合が
図6に示されている。
【0030】
スケジュールパターンとしてパターン1が指定された場合、時刻0時からシーン番号1に対応する制御が実施される。このとき、照度センサ11はオフされ、第1系統および第2系統は、調光率が80%となるように制御される。次に、時刻4時からシーン番号2に対応する制御が実施される。このとき、照度センサ11はオフされ、第1系統および第2系統は、調光率が100%となるように制御される。
【0031】
次に、時刻8時からシーン番号3に対応する制御が実施される。このとき、照度センサ11がオンされ、第1系統は照度が1000lxとなるように制御される。また、第2系統は調光率が100%となるように制御される。次に、時刻16時からシーン番号2に対応する制御が実施される。このとき、照度センサ11はオフされ、第1系統および第2系統は、調光率が100%となるように制御される。
【0032】
次に、時刻19時からシーン番号4に対応する制御が実施される。このとき、照度センサ11はオフされ、第1系統および第2系統は、調光率が90%となるように制御される。次に、時刻22時からシーン番号1に対応する制御が実施される。このとき、照度センサ11はオフされ、第1系統および第2系統は、調光率が80%となるように制御される。
【0033】
このように、スケジュール運転では、パターン番号を指定することで時刻毎に予め指定した調光制御が実施される。
図5、
図6に示されるシーン設定情報とスケジュール設定情報は一例である。シーン設定情報とスケジュール設定情報は、
図5、6に示されるもの以外の情報を有しても良い。例えば、コントローラ1は人感センサを有し、人感センサに応じた制御データがシーン設定情報に組み込まれても良い。
【0034】
内部システム60が通信機器3と通信しない場合、内部システム60はコントローラ1に予め設定された情報に基づきスタンドアローンで動作する。つまり、コントローラ1は予め第1メモリ1bに記憶された第1設定情報に基づき、スケジュール運転を実施する。これに対し、照明制御システム70では、PC4からネットワークを介してコントローラ1の運転をデマンド制御するように設定を変更できる。
【0035】
内部システム60を後からデマンド制御が可能な照明制御システム70に変更する場合を考える。このとき、変更前のコントローラ1の第1メモリ1bに保存されているシーン設定情報を、デマンド制御に対応するように書き換える必要がある。
【0036】
本実施の形態では、コントローラ1の第1メモリ1bに保存されている設定情報に第2設定情報を追加する。第2設定情報は、PC4からのデマンド制御に対応するシーン設定情報である。第2設定情報は、通信機器3から送信される。コントローラ1は、第2設定情報を受信すると第2設定情報を第1メモリ1bに記憶する。
【0037】
図7は、実施の形態1に係る変更後のシーン設定情報を説明する図である。シーン番号1~4に対応するシーン情報は、変更前から第1メモリ1bに記憶されていた第1設定情報である。シーン番号5、6に対応するシーン情報は、通信機器3から送信された第2設定情報である。ここで、通信機器3は、第1設定情報を含めて第1メモリ1bが記憶する設定情報を上書きしても良い。
【0038】
デマンド制御では、PC4からネットワークを介して、シーン番号5または6の制御が実施される。シーン番号5が指定された場合、照度センサ11はオフされ、第1系統および第2系統は、調光率が30%となるように制御される。シーン番号6が指定された場合、照度センサ11はオフされ、第1系統および第2系統は、調光率が50%となるように制御される。
【0039】
デマンド制御用の第2設定情報は、通常のスケジュール運転または明るさ一定制御用の第1設定情報よりも、複数の照明器具2の目標調光率または目標照度が低い。第2設定情報に応じた制御が実施されることで、第1設定情報に応じた制御が実施される場合よりも複数の照明器具2の消費電力を低減できる。
【0040】
図8は、実施の形態1に係る照明制御システム70の動作シーケンスを説明する図である。通信線16を介して通信機器3とコントローラ1との間で送受信される通信信号は、送信元アドレス、送信先アドレス、コマンド及びデータの領域を備える。
【0041】
まず、ステップ1に示されるように、コントローラ1は通信線16に接続された機器のアドレスを定期的に要求する。機器アドレス要求コマンドは、送信先アドレスを指定しないブロードキャスト通信で送信される。
【0042】
次に、ステップ2に示されるように、通信機器3は、コントローラ1に機器アドレス応答を送信する。通信機器3は、例えば自機器に割り当てられたアドレスである11番を機器アドレス応答として送信する。ここで、照明制御システム70は複数の通信機器3を備えても良い。この場合、複数の通信機器3には、例えば11~15の機器アドレスがそれぞれ割り当てられる。
【0043】
ステップ3、4に示されるように、機器アドレス要求コマンドおよび機器アドレス応答は一定の時間間隔で繰り返されても良い。一定の時間間隔は例えば1分毎である。
【0044】
また、ステップ5に示されるように、通信機器3も通信線16に接続された機器のアドレスをブロードキャスト通信で定期的に要求する。次に、ステップ6に示されるように、コントローラ1は、通信機器3に機器アドレス応答を送信する。コントローラ1は、例えば自機器に割り当てられたアドレスである1番を機器アドレス応答として送信する。照明制御システム70は、複数のコントローラ1を備えても良い。複数のコントローラ1には、例えば1~10の機器アドレスがそれぞれ割り当てられる。
【0045】
機器アドレス応答を受信した通信機器3は、通信線16にコントローラ1が接続されていることを認識する。ステップ1~4と、ステップ5、6の順番は逆でも良い。
【0046】
次に、ステップ7に示されるように、通信機器3は、コントローラ1に設定情報の書き込み要求を送信する。設定情報の書き込み要求のデータ領域には、第2設定情報であるシーン設定情報が格納される。
【0047】
次に、ステップ8に示されるように、設定情報の書き込み要求を受信したコントローラ1は、第2設定情報を第1メモリ1bに保存する。次に、ステップ9に示されるように、コントローラ1は、通信機器3に書き込み完了応答を送信する。
【0048】
次に、ステップ10に示されるように、書き込み完了応答を受信した通信機器3は送信完了確認を行う。通信機器3は、コントローラ1に送るべき未送信の第2設定情報がある場合、ステップ7に戻り、次の第2設定情報を送信する。通信機器3は、送信した第2設定情報に対して、書き込み完了応答を受信しない場合、再び第2設定情報を送信しても良い。また、通信機器3は、送信した第2設定情報に対して全ての書き込み完了応答を受信したコントローラ1には、第2設定情報を送信しない。
【0049】
以上で、スタンドアローンで動作する内部システム60をデマンド制御が可能な照明制御システム70に変更する設定が完了する。次に、デマンド制御の動作について説明する。デマンド制御の実施前またはデマンド制御の解除後は、コントローラ1は第1設定情報に基づき複数の照明器具2を制御している。
【0050】
まず、ステップ11に示されるように、通信機器3は、コントローラ1に状態読み出し要求を送信する。状態読み出し要求は、定期的に送信されても良い。次に、ステップ12に示されるように、コントローラ1は、状態読み出し要求に応じて通信機器3に状態応答を送信する。
【0051】
状態読み出し要求によって要求されるデータおよび状態応答により送信されるデータは、複数の照明器具2についての情報である。複数の照明器具2についての情報は、例えば複数の照明器具2の運転状態である。運転状態には、複数の照明器具2の調光率、消費電力、系統毎の調光率または系統毎の消費電力が含まれる。また、複数の照明器具2についての情報は、制御可能な照明器具2の数またはコントローラ1に接続される照明器具2の数であっても良い。また、複数の照明器具2についての情報は、系統毎の消費電力の合計値または全灯時の複数の照明器具2の消費電力であっても良い。また、複数の照明器具2についての情報は、節電可能な消費電力の系統毎の合計値であっても良い。
【0052】
また、通信機器3は、ステップ11aに示されるように、PC4から送信された状態読み出し要求を受けて、コントローラ1に状態読み出し要求を送信してもよい。また、ステップ12aに示されるように、状態応答を受信した通信機器3は、PC4に状態応答を送信しても良い。
【0053】
次に、ステップ13に示されるように、PC4の管理者は、通信機器3にシーン設定指令を送信する。シーン設定指令は、第2設定情報に基づく制御の指令である。つまり、シーン設定指令は、デマンド制御を指示するデマンド制御指令である。通信機器3は、PC4からシーン設定指令を受信すると、設定指令をコントローラ1に送信する。
【0054】
通信機器3は、状態応答により受信した複数の照明器具2についての情報に応じて、シーン設定指令をコントローラ1に送信しても良い。また、シーン設定指令は、複数の照明器具2についての情報に応じて、PC4から送信されても良い。シーン設定指令は、例えば複数の照明器具2の消費電力が規定値よりも大きい場合に、通信機器3またはPC4から送信されても良い。
【0055】
シーン設定指令のデータ領域には、ステップ7の設定情報の書き込み要求でコントローラ1に送信された第2設定情報の内、デマンド制御が設定されたシーン番号のいずれかが格納される。本実施の形態では、デマンド制御が設定されたシーン番号は、シーン番号5、6である。
【0056】
コントローラ1は、シーン設定指令を受信すると、シーン設定指令に含まれるシーン番号に対応する調光指令値に基づき、照明器具2a~2dを制御する。つまり、コントローラ1は、ステップ14に示されるように、送信されたシーン番号に応じたデータ列を参照し、照明器具2a~2dを調光制御する。これにより、コントローラ1は、第1設定情報に基づいた制御を第2設定情報に基づいた制御に切り替える。従って、照明器具2a~2dの調光率が下がり、消費電力を低減できる。
【0057】
次に、ステップ15に示されるように、運転状態を変更したコントローラ1は、通信機器3にシーン設定応答を送信する。シーン設定応答を受信した通信機器3は、PC4にシーン設定応答を送信する。これにより、第2設定情報に基づいた制御に切り替わったことがPC4で確認できる。
【0058】
次に、デマンド制御の解除方法について説明する。シーン設定指令のデータ領域には制御時間情報が含まれても良い。制御時間情報は、第2設定情報に基づくデマンド制御を行う時間の情報であり、例えば1時間である。この場合、コントローラ1は、シーン設定指令を受信すると、制御時間情報に対応する時間だけ第2設定情報に基づいて複数の照明器具2を制御する。その後、コントローラ1はデマンド制御を解除する。つまり、制御時間情報に対応する時間の経過後、コントローラ1は第1設定情報に基づき複数の照明器具2を制御する。
【0059】
また、デマンド制御の解除は、ステップ16~18に示されるように行っても良い。まず、ステップ16に示されるように、PC4の管理者は、通信機器3にシーン解除指令を送信する。通信機器3は、PC4からシーン解除指令を受信すると、シーン解除指令をコントローラ1に送信する。
【0060】
コントローラ1は、ステップ17に示されるように、シーン解除指令を受信すると、第2設定情報に基づいた制御を終了し、第1設定情報に基づき複数の照明器具2を制御する。つまり、シーン解除指令を受信したコントローラ1は、シーン設定指令を受信する前に行っていたスケジュール運転または明るさ一定制御に復帰する。
【0061】
次に、ステップ18に示されるように、運転状態を変更したコントローラ1は、通信機器3にシーン解除応答を送信する。シーン解除応答を受信した通信機器3は、PC4にシーン解除応答を送信する。これにより、デマンド制御が解除されたことがPC4で確認できる。以上でデマンド制御が終了する。
【0062】
一般に、照明制御システム70を導入する予定であっても、PC4の導入に先んじて、内部システム60のみで運用されることが多い。これは、PC4等のネットワーク端末は、設置時の調整等で導入が遅れることが多いためである。また、内部システム60と異なる製造者が提供するネットワーク端末であれば、更に導入が遅れるおそれがある。このような場合、内部システム60を後からデマンド制御が可能な照明制御システム70に変更することが必要となる。
【0063】
このとき、シーン設定情報の書き換えを赤外線リモコンの操作により行うことが考えられる。この場合、誤操作により、誤った入力がなされるおそれがある。また、複数の照明制御システム70が複数の店舗または施設に導入されている場合、複数の照明制御システム70のそれぞれにリモコンで設定を行うと、システム数分の手間及び費用が発生する。
【0064】
これに対し、本実施の形態では、通信機器3が第2設定情報をコントローラ1に送信する。また、コントローラ1は、第2設定情報を受信すると第2設定情報を第1メモリ1bに記憶する。通信機器3とコントローラ1間の通信を用いて、コントローラ1に保存されたシーン設定情報を上書きすることで、シーン設定情報の書き換えを自動で容易に実施できる。また、シーン設定情報の書き換えを手動で行う必要がないため、誤った制御データが入力されて照明制御システム70が誤動作することを防止できる。
【0065】
本実施の形態では、PC4が照明制御システム70を監視し、消費電力を低減させるデマンド制御を行う。これに限らず、本実施の形態はあらゆる調光制御に適用できる。
【0066】
また、スケジュール運転または明るさ一定制御に用いられる第1設定情報は、予めコントローラ1の第1メモリ1bに記憶されている。これに限らず、第1設定情報は、第2設定情報と同様に通信機器3から送信されても良い。
【0067】
図9は、実施の形態1の変形例に係る照明制御システム80を説明する図である。ネットワーク端末は、PC4に限らずサーバ5でも良い。照明制御システム80において、通信機器3は、ネットワーククラウド18を介してサーバ5と接続される。サーバ5は、複数の照明制御システム80と接続されても良い。サーバ5は例えば、サーバ5が管理する複数のチェーン店それぞれに設置された照明制御システム80をデマンド制御する。
【0068】
ネットワーククラウド18上では、通信プロトコルBが用いられる。通信プロトコルBは、調光率等の通信データの構造が定義されたプロトコルである。通信プロトコルBは、例えばECHONET Lite(登録商標)である。規格化され公開された通信インタフェースであるECHONET Liteを用いることにより、サーバ5と通信機器3の間で調光率信号等を含む通信信号を送受信する通信ソフトウェアを開発することができる。従って、例えばサーバ5と通信機器3を提供する会社が異なる場合にも、通信ソフトウェアを開発することができる。
【0069】
図10は、実施の形態1の変形例に係る書き換え後のシーン設定情報を説明する図である。シーン番号1~4に対応するシーン情報は、照明制御システム70と同じである。シーン番号5~8に対応するシーン情報は通信機器3から送信された第2設定情報である。
【0070】
デマンド制御では、サーバ5からネットワークを介して、シーン番号5~8の何れかの制御が実施される。シーン番号5、6が指定された場合の制御は、照明制御システム70と同じである。シーン番号7が指定された場合、照度センサ11がオンされ、第1系統は照度が700lxとなるように制御される。また、第2系統は調光率が55%となるように制御される。シーン番号8が指定された場合、照度センサ11はオフされ、第1系統および第2系統は、調光率が40%となるように制御される。
【0071】
照明制御システム80においても、照明制御システム70と同様の効果を得ることができる。
【0072】
また、通信機器3は、複数の設定情報を第2メモリ3bに格納している。複数の設定情報は、例えば
図7に示される通信プロトコルAにひもつけされたシーン設定情報と、
図10に示される通信プロトコルBにひもつけされたシーン設定情報とを含む。通信機器3は、第2メモリ3bに複数格納した複数の設定情報の中から、デマンド制御を行うネットワーク端末の通信プロトコルに対応するシーン設定情報をコントローラ1に送信する。
【0073】
照明制御システム70では、通信機器3は
図7に示されるシーン設定情報を選択し、コントローラ1に送信する。また、照明制御システム80では、通信機器3は
図9に示されるシーン設定情報を選択し、コントローラ1に送信する。
【0074】
このような通信機器3の構成により、ネットワーク端末の構成に応じたシーン設定情報を選択して、デマンド制御を実施できる。これに限らず、第2メモリ3bは、少なくとも1つの設定情報を記憶していれば良い。また、
図9に示されるように、リモコン設定器である赤外線リモコン6を操作して、通信機器3の第2メモリ3bに格納された複数の設定情報からコントローラ1に送信するシーン設定情報を選択してもよい。
【0075】
また、ネットワーク端末に代えてリモコン設定器が、シーン設定指令またはシーン解除指令を通信機器3に送信しても良い。また、リモコン設定器は状態読み出し要求を通信機器3に送信しても良い。この場合、リモコン設定器は状態応答を受信する。使用者は、状態応答により受信した複数の照明器具2についての情報に応じてリモコン設定器を操作し、シーン設定指令またはシーン解除指令をコントローラ1に送信しても良い。
【0076】
本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 コントローラ、1a 制御部、1b 第1メモリ、2、2a~2d 照明器具、3 通信機器、3a 制御部、3b 第2メモリ、4 PC、5 サーバ、6 赤外線リモコン、11 照度センサ、12a、12b 調光信号線接続端子、13 通信線接続端子、15 調光線、16 通信線、18 ネットワーククラウド、21 光源、22 調光端子、31 ネットワーク接続端子、32 通信線接続端子、60 内部システム、70、80 照明制御システム