(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】スピーカシステム
(51)【国際特許分類】
H04R 1/30 20060101AFI20221227BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
H04R1/30 A
H04R1/02 104Z
(21)【出願番号】P 2019055840
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】鴫原 顕英
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-124593(JP,A)
【文献】特開2018-110319(JP,A)
【文献】実開昭59-027687(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/30
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカと、
前記スピーカから発せられた音に対して第一方向に第一指向角度を付加し、前記第一方向と直交する第二方向に前記第一指向角度よりも狭い第二指向角度を付加する定指向性ホーンと、
前記定指向性ホーンが取り付けられるフロントバッフルと、
前記フロントバッフルと一体的に形成され、又は前記フロントバッフルと別体で前記フロントバッフルに装着されるパンチングネットと、
前記定指向性ホーンと別体で形成されて前記定指向性ホーンに装着され、前記パンチングネットの前記定指向性ホーンと対向する側の面と接触し、かつ、前記第一方向に沿って延びるように配置される補強部材と、
を備えるスピーカシステム。
【請求項2】
前記パンチングネットは、樹脂製であり、
前記補強部材は、金属製である、請求項1に記載のスピーカシステム。
【請求項3】
スピーカと、
前記スピーカから発せられた音に対して第一方向に第一指向角度を付加し、前記第一方向と直交する第二方向に前記第一指向角度よりも狭い第二指向角度を付加する定指向性ホーンと、
前記定指向性ホーンが取り付けられるフロントバッフルと、
前記フロントバッフルと一体的に形成され、又は前記フロントバッフルと別体で前記フロントバッフルに装着されるパンチングネットと、
前記パンチングネットの前記定指向性ホーンと対向する側の面と接触し、かつ、前記第一方向に沿って延びるように配置される補強部材と、を備え、
前記定指向性ホーン及び前記フロントバッフルの少なくとも一方に、前記補強部材を収容して保持する収容溝が形成され、前記補強部材は、前記収容溝に収容された状態で、前記収容溝に固定される
、スピーカシステム。
【請求項4】
前記パンチングネットは、樹脂製であり、
前記補強部材は、金属製である、請求項
3に記載のスピーカシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカシステムを体育館又は屋内体育施設において使用する場合、バスケットボール及びバレーボール等がスピーカシステムに当たることを想定して、スピーカシステムの周囲を籠により囲ったり、防球構造を有するスピーカシステムが採用される。
【0003】
防球構造を有するスピーカシステムは、ボールが直接当たっても故障し又は破損が生じないように、比較的強固な筐体及び取付構造を有する。このようなスピーカシステムにおけるスピーカユニットの開口部分には、大きな変形が生じないように金属製のパンチングネットが配置されることがある。
【0004】
また、部品の共通化、錆防止、又は製造コスト低減の観点から、前述のようなスピーカシステムにおけるスピーカユニットの開口部分に、樹脂製のパンチングネットが配置されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パンチングネットの強度のみで所望の防球性能を満足するためには、パンチングネットの奥行方向に対する厚さを厚肉にする必要がある。しかしながら、パンチングネットにおける穴の奥行きも増すことにより、定指向性ホーンの指向特性がパンチングネットによって補正され、狙い通りの指向特性が実現されないおそれがある。
【0007】
本発明は、定指向性ホーンの指向特性に影響を与えることなく、パンチングネットが所望の防球性能を発揮することができるスピーカシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、スピーカと、前記スピーカから発せられた音に対して第一方向に第一指向角度を付加し、前記第一方向と直交する第二方向に前記第一指向角度よりも狭い第二指向角度を付加する定指向性ホーンと、前記定指向性ホーンが取り付けられるフロントバッフルと、前記フロントバッフルと一体的に形成され、又は前記フロントバッフルと別体で前記フロントバッフルに装着されるパンチングネットと、前記定指向性ホーンと別体で形成されて前記定指向性ホーンに装着され、前記パンチングネットの前記定指向性ホーンと対向する側の面と接触し、かつ、前記第一方向に沿って延びるように配置される補強部材と、を備えるスピーカシステムを提供する。
また、本発明は、スピーカと、前記スピーカから発せられた音に対して第一方向に第一指向角度を付加し、前記第一方向と直交する第二方向に前記第一指向角度よりも狭い第二指向角度を付加する定指向性ホーンと、前記定指向性ホーンが取り付けられるフロントバッフルと、前記フロントバッフルと一体的に形成され、又は前記フロントバッフルと別体で前記フロントバッフルに装着されるパンチングネットと、前記パンチングネットの前記定指向性ホーンと対向する側の面と接触し、かつ、前記第一方向に沿って延びるように配置される補強部材と、を備え、前記定指向性ホーン及び前記フロントバッフルの少なくとも一方に、前記補強部材を収容して保持する収容溝が形成され、前記補強部材は、前記収容溝に収容された状態で、前記収容溝に固定される、スピーカシステムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、定指向性ホーンの指向特性に影響を与えることなく、パンチングネットが所望の防球性能を発揮するスピーカシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るスピーカシステムの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るスピーカシステムの正面図である。
【
図4】フロントバッフル及びパンチングネットの正面図である。
【
図5】フロントバッフル及びパンチングネットの背面図である。
【
図6】低音スピーカユニット及び中高音スピーカユニットをフロントバッフルに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図7】低音スピーカユニット及び中高音スピーカユニットをフロントバッフルに取り付けた状態を示す平面図である。
【
図8】低音スピーカユニット及び中高音スピーカユニットをフロントバッフルに取り付けた状態を示す側面図である。
【
図9】補強部材を装着する前の状態を示す定指向性ホーンの斜視図である。
【
図10】補強部材を装着した状態を示す定指向性ホーンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態のスピーカシステムについて、添付図面を参照して説明する。
【0012】
なお、図面において、矢印UPRはスピーカシステムの上方側を示し、矢印LWRはスピーカシステムの下方側を示し、矢印FRはスピーカシステムの前方側を示し、矢印RRはスピーカシステムの後方側を示す。また、図面において、矢印RHはスピーカシステムを前面側から見た場合の右方側を示し、矢印LHはスピーカシステムを前面側から見た場合の左方側を示す。
【0013】
図1及び
図2に示すように、スピーカシステム1は、エンクロージャ2と、フロントバッフル3と、パンチングネット4と、を備える。また、スピーカシステム1は、エンクロージャ2の内部に収容される低音スピーカユニット5及び中高音スピーカユニット6(
図6から
図8参照)を備える。
【0014】
図3に示すように、エンクロージャ2は、筒状の周壁部11と、周壁部11の後端を閉塞する後壁部12と、周壁部11の内部に形成され、低音スピーカユニット5及び中高音スピーカユニット6が収容される収容空間部13とを有する。
【0015】
図4及び
図5に示すパンチングネット4は、スピーカシステム1における防球構造を構成する。パンチングネット4は、フロントバッフル3と一体的に形成される一体型パンチングネット7である。パンチングネット4及びフロントバッフル3は、樹脂製である。
【0016】
なお、パンチングネット4は、フロントバッフル3と一体的に形成される一体型パンチングネット7に限定はされず、フロントバッフル3と別体で形成され、フロントバッフル3に装着されてもよい。
【0017】
図4及び
図5に示すように、一体型パンチングネット7は、前面14と、後面15とを有する。また、一体型パンチングネット7は、前面14と後面15とを貫通する第一開口部分16と、前面14と後面15とを貫通する第二開口部分17とを有する。さらに、一体型パンチングネット7は、前面14と後面15とを貫通する第三開口部分18を有する。第一開口部分16は、背面視で円形状に形成され、第二開口部分17は、背面視で四角形状に形成される。
【0018】
一体型パンチングネット7の後面15には、第一開口部分16に連なる枠部21と、第一開口部分16及び枠部21を補強する補強リブ22と、が設けられる。また、一体型パンチングネット7の後面15には、第二開口部分17に連なる外側枠部23と、第三開口部分18に連なるバスレフポート24と、が設けられる。枠部21は、背面視で円形状に形成され、外側枠部23は、背面視で四角形状に形成される。
【0019】
一体型パンチングネット7には、多数の穴25,26が設けられる。図示はしないが、パンチングネット4における第二開口部分17を覆う部分の前後方向に対する厚さは、第一開口部分16を覆う部分の前後方向に対する厚さよりも薄肉に形成される。すなわち、パンチングネット4における第二開口部分17を覆う部分の穴26の奥行きは、第一開口部分16を覆う部分の穴25の奥行きよりも短く形成される。
【0020】
本実施形態では、パンチングネット4の前後方向に対する厚さは、例えば2mm以上6mm未満が好ましく、3mmがさらに好ましい。穴25,26は、1辺が例えば7mm程度の正三角形状の穴(三角穴)である。パンチングネット4の前後方向に対する厚さが6mmでは、定指向性ホーン33の指向特性に大きな影響が出るが、パンチングネット4の前後方向に対する厚さが3mmでは、定指向性ホーン33の指向特性に大きな影響は出ない。また、穴25,26を三角形状の穴(三角穴)とすることにより、水の表面張力が円形状の穴(丸穴)よりも均一化され難く、水が穴25,26に溜まり難くなる。
【0021】
図6及び
図7に示すように、低音スピーカユニット5は、低音スピーカ31を有する。低音スピーカ31は、所謂ウーハであり、主として低音域の音を発する。
【0022】
低音スピーカユニット5は、パンチングネット4との間に虫除けのための防虫ネット(図示せず)を挟み込んだ状態で、フロントバッフル3の枠部21に係合させて固定される。この防虫ネットは、例えば不織布より形成され、防虫ネットの穴の大きさはパンチングネット4の穴25の大きさよりも小さい。
【0023】
図6から
図8に示すように、中高音スピーカユニット6は、中高音スピーカ32と、定指向性ホーン33とを有する。中高音スピーカ32は、所謂ツイータであり、主として中音域から高音域の音を発する。定指向性ホーン33は、樹脂製である。
【0024】
中高音スピーカユニット6は、パンチングネット4との間に虫除けのための防虫ネット(図示せず)を挟み込んだ状態で、フロントバッフル3の外側枠部23に係合させて固定される。この防虫ネットは、例えば不織布より構成され、防虫ネットの穴の大きさはパンチングネット4の穴26の大きさよりも小さい。
【0025】
図9及び
図10に示すように、定指向性ホーン33は、行路長補正スロート部44を有する。行路長補正スロート部44は、中高音スピーカ32から発せられた音の音波行路長を補正する。
【0026】
また、定指向性ホーン33は、ホーン部45を有する。ホーン部45は、中高音スピーカ32から発せられた音に対して第一方向D1に第一指向角度θAを付加し、第一方向D1と直交する第二方向D2に第一指向角度θAよりも狭い第二指向角度θBを付加する(
図7及び
図8参照)。
【0027】
定指向性ホーン33のホーン部45は、右側周壁部46と、左側周壁部47とを有し、これらの右側周壁部46及び左側周壁部47は、第一方向D1に対して広がる形状を持っている。ホーン部45は、右側周壁部46及び左側周壁部47によって、中高音スピーカ32から発せられた音に対して第一方向D1に第一指向角度θAを付加する(
図7参照)。
【0028】
定指向性ホーン33のホーン部45は、第一方向D1の指向特性として、中心軸CLから右方側限界LR及び左方側限界LLとそれぞれなす角度が角度θA1(
図7参照)の広がりを持っている。角度θA1は、例えば50°とされる。そして、中高音スピーカユニット6から発せられる音の第一方向D1の広がりは、第一指向角度θA(
図7参照)の範囲となる。
【0029】
定指向性ホーン33のホーン部45は、上側周壁部48と、下側周壁部49とを有し、これらの上側周壁部48及び下側周壁部49は、第二方向D2に対して広がる形状を持っている。ホーン部45は、上側周壁部48及び下側周壁部49によって、中高音スピーカ32から発せられた音に対して第二方向D2に第二指向角度θBを付加する(
図8参照)。
【0030】
定指向性ホーン33のホーン部45は、第二方向D2の指向特性として、中心軸CLから上方側限界LU及び下方側限界LBとそれぞれなす角度が角度θB1(
図8参照)の広がりを持っている。角度θB1は、例えば7.5°とされる。そして、中高音スピーカユニット6から発せられる音の第二方向D2の広がりは、第二指向角度θB(
図8参照)の範囲となる。
【0031】
さらに、定指向性ホーン33は、定指向性ホーン33の前端部に設けられ、フロントバッフル3の外側枠部23に係合される内側枠部51を有する。内側枠部51は、上枠52と、下枠53と、右枠54と、左枠55とから正面視で四角形状に形成される。
【0032】
このような定指向性ホーン33が、フロントバッフル3に対して取り付けられる(
図6から
図8参照)。
【0033】
スピーカシステム1は、
図9及び
図10に示すような上下一対の補強部材56,56を備える。補強部材56は、パンチングネット4の定指向性ホーン33と対向する側の面である背面57と接触し、かつ、第一方向D1に沿って延びるように配置される(
図7参照)。補強部材56は、例えば金属製のバーからなる。
【0034】
補強部材56は、定指向性ホーン33に装着されて、パンチングネット4の定指向性ホーン33と対向する側の面である背面57(
図5参照)と接触する。
【0035】
定指向性ホーン33における内側枠部51の右枠54及びホーン部45の右側周壁部46には、第二方向D2に間隔を空けて収容溝61が上下一対に形成される。また、定指向性ホーン33における内側枠部51の左枠55及びホーン部45の左側周壁部47には、第二方向D2に間隔を空けて収容溝62が上下一対に形成される。
【0036】
これらの収容溝61,62は、前後方向に対して中心軸CL(
図8参照)と平行に延び、前後方向に対して補強部材56を挿入するのに十分な奥行き(溝深さ)を持っている。
【0037】
そして、補強部材56が、収容溝61,62にそれぞれ収容された状態で、収容溝61,62にそれぞれ接着して固定される。定指向性ホーン33に対する補強部材56の固定は、接着のような化学的接合に限定はされず、例えば、溶着や溶接等の材料的接合であってもよく、ネジ固定のような機械的接合であってもよい。
【0038】
図10に示すように補強部材56を定指向性ホーン33に装着した状態において、上下一対の補強部材56,56の間隔Paは、パンチングネット4への衝突が想定されるボール60の衝突時の上下方向長さPb(
図8参照)よりも小さい。このボール60は、例えばバスケットボールである。
【0039】
また、補強部材56を定指向性ホーン33に装着した状態において、内側枠部51の上枠52と上側の補強部材56との間の距離Pcが、上下一対の補強部材56,56の間隔Paとほぼ等しい。
【0040】
さらに、補強部材56を定指向性ホーン33に装着した状態において、内側枠部51の下枠53と下側の補強部材56との間の距離Pdも、上下一対の補強部材56,56の間隔Paとほぼ等しい。
【0041】
なお、補強部材56を適切に保持する構造をフロントバッフル3に設けることができるのであれば、補強部材56をフロントバッフル3に装着してもよい。
【0042】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0043】
(1)スピーカシステム1は、中高音スピーカ32から発せられた音に対して第一方向D1に第一指向角度θAを付加し、第一方向D1と直交する第二方向D2に第一指向角度θAよりも狭い第二指向角度θBを付加する定指向性ホーン33を備える。また、スピーカシステム1は、定指向性ホーン33が取り付けられるフロントバッフル3と、フロントバッフル3と一体的に形成され、又はフロントバッフル3と別体でフロントバッフル3に装着されるパンチングネット4と、を備える。さらに、スピーカシステム1は、パンチングネット4の定指向性ホーン33と対向する側の面である背面57と接触し、かつ、第一方向D1に沿って延びるように配置される補強部材56を備える。
【0044】
パンチングネット4の強度のみで所望の防球性能を満足するためには、パンチングネット4の奥行方向に対する厚さを厚肉にする必要がある。しかしながら、パンチングネット4における穴26の奥行きも増すことにより、定指向性ホーン33の指向特性がパンチングネット4によって補正され、狙い通りの指向特性が実現されないおそれがある。
【0045】
また、パンチングネット4の背面57に補強のためのリブを設けてパンチングネット4を補強する場合には、当該リブの配置する方向によっては、定指向性ホーン33の指向特性が前記リブによって補正され、狙い通りの指向特性が実現されないおそれがある。
【0046】
そこで、本実施形態では、
図7及び
図8に示すような、定指向性ホーン33の指向特性に影響が及び難い方向に、補強部材56が配置される。具体的には、補強部材56が、第一方向D1に沿って延びるように配置される。
【0047】
図10に示すように補強部材56を配置した状態で、補強部材56がパンチングネット4の背面57と接触するように、補強部材56をパンチングネット4と定指向性ホーン33とにより挟み込む。このようにすることにより、パンチングネット4における第二開口部分17を覆う部分にボール60が当たったときに、パンチングネット4のたわみ変形を補強部材56及び剛体である定指向性ホーン33で受けることができる。
【0048】
このような本実施形態によれば、定指向性ホーン33の指向特性に影響を与えることなく、パンチングネット4が所望の防球性能を発揮することができるスピーカシステム1を提供することができる。
【0049】
また、パンチングネット4がフロントバッフル3と一体的に形成されることにより、スピーカシステム1の部品点数を少なくすることができ、スピーカシステム1の製造工数及び製造コストを低減することができる。
【0050】
(2)補強部材56が、定指向性ホーン33又はフロントバッフル3に装着されて、パンチングネット4の定指向性ホーン33と対向する側の面である背面57と接触する。
【0051】
このようにすることにより、ボール60がパンチングネット4における第二開口部分17を覆う部分に当たったときに、パンチングネット4のたわみ変形を補強部材56及び剛体である定指向性ホーン33で受けることができる。
【0052】
(3)定指向性ホーン33及びフロントバッフル3の少なくとも一方に、補強部材56を収容して保持する収容溝61,62が形成され、補強部材56は、収容溝61,62に収容された状態で、収容溝61,62に固定される。
【0053】
定指向性ホーン33及びフロントバッフル3の少なくとも一方に、補強部材56を収容して保持する収容溝61,62が形成されることにより、補強部材56を安定して保持することができる。
【0054】
また、補強部材56が、収容溝61,62に収容された状態で、収容溝61,62に固定されることにより、補強部材56が定指向性ホーン33及びフロントバッフル3に対して振動して、所謂ビビリ音が発生することを抑制することができる。
【0055】
(4)パンチングネット4は、樹脂製であり、補強部材56は、金属製である。
【0056】
補強部材56を金属製とすることにより、補強部材56を樹脂製とした場合と比較して同じ強度で奥行きは小さくすることができ、定指向性ホーン33の指向特性に与える影響をより小さく抑えることができる。
【0057】
(5)定指向性ホーン33における内側枠部51の上枠52と上側の補強部材56との間の距離Pcと、上下一対の補強部材56,56の間隔Paと、内側枠部51の下枠53と下側の補強部材56との間の距離Pdとが、互いにほぼ等しい。
【0058】
これらの距離Pc、間隔Pa、距離Pdを揃えてほぼ等しくすることにより、ボール60がパンチングネット4における第二開口部分17を覆う部分のどこに当たっても、補強部材56によって均一に力を受けることができる。
【0059】
ところで、本発明のスピーカシステムは前述の実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【0060】
例えば、定指向性ホーンの指向角度によっては、補強部材を十字形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 スピーカシステム
3 フロントバッフル
4 パンチングネット
32 中高音スピーカ(スピーカ)
33 定指向性ホーン
56 補強部材
61 収容溝
62 収容溝