(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】障害物検出装置及び障害物検出方法
(51)【国際特許分類】
G01S 15/931 20200101AFI20221227BHJP
G01S 15/87 20060101ALI20221227BHJP
G01S 3/802 20060101ALI20221227BHJP
G01S 7/53 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
G01S15/931
G01S15/87
G01S3/802
G01S7/53
(21)【出願番号】P 2019082091
(22)【出願日】2019-04-23
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西野 裕一
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/146619(WO,A1)
【文献】特開2006-298266(JP,A)
【文献】特開平03-084488(JP,A)
【文献】特開2013-002955(JP,A)
【文献】特表2015-532712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/72- 1/82
G01S 3/80- 3/86
G01S 5/18- 5/30
G01S 7/52- 7/64
G01S 15/00-15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられ、超音波を送信し、障害物によって反射された反射波を受信する超音波センサを複数備え、複数の前記超音波センサによる超音波の送信を制御するとともに、前記超音波センサによる反射波の受信結果から前記障害物の検出を行う障害物検出装置であって、
複数の前記超音波センサのうちの2
つ以上の超音波センサによって
構成された超音波センサ群が
複数存在し、
前記超音波センサ群毎に、
前記超音波センサ群を構成する2
つ以上の前記超音波センサから同時に超音波を送信し、複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信した場合に前記障害物を検出する検出モードと、
前記超音波センサ群を構成する前記超音波センサから個別に超音波を送信し、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から前記障害物の方向を推定する推定モードと、
が設定され、
複数の前記超音波センサ群は、3つの前記超音波センサによって構成された第1超音波センサ群と、2つの前記超音波センサによって構成された第2超音波センサ群と、を含み、
前記第1超音波センサ群を構成する前記超音波センサは、前記車両の第1面、第2面、及び第3面の各面に取り付けられており、
前記第2超音波センサ群を構成する前記超音波センサは、前記第1面、前記第2面、及び前記第3面のうちの2つの面に取り付けられており、
前記障害物の検出開始時には
前記第1超音波センサ群による前記検出モードに設定され、
前記第1超音波センサ群による前記検出モードにおいて前記障害物が検出された場合に
前記第1超音波センサ群による前記推定モードに切り替わ
り、
前記第1超音波センサ群による前記検出モードにおいて前記障害物が検出されなかった場合に前記第2超音波センサ群による前記検出モードに切り替わり、
前記第2超音波センサ群による前記検出モードにおいて前記障害物が検出された場合に前記第2超音波センサ群による前記推定モードに切り替わることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
複数の前記超音波センサは、隣り合う超音波センサの検出範囲の一部が重なり合うように並べて配置されている請求項
1に記載の障害物検出装置。
【請求項3】
車両に取り付けられ、超音波を送信し、障害物によって反射された反射波を受信する超音波センサが複数用いられ、複数の前記超音波センサから超音波を送信するとともに、前記超音波センサによる反射波の受信結果から前記障害物を検出する障害物検出方法であって、
複数の前記超音波センサのうちの2つ以上の超音波センサによって構成された超音波センサ群が複数存在し、
複数の前記超音波センサ群は、3つの前記超音波センサによって構成された第1超音波センサ群と、2つの前記超音波センサによって構成された第2超音波センサ群と、を含み、
前記第1超音波センサ群を構成する前記超音波センサは、前記車両の第1面、第2面、及び第3面の各面に取り付けられており、
前記第2超音波センサ群を構成する前記超音波センサは、前記第1面、前記第2面、及び前記第3面のうちの2つの面に取り付けられており、
前記障害物の検出開始時に
、前記
第1超音波センサ群を構成する
3つの前記超音波センサから同時に超音波を送信し、複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信した場合に前記障害物を検出する
第1検出ステップと、
前記第1検出ステップにおいて前記障害物を検出した場合に、前記
第1超音波センサ群を構成する
3つの前記超音波センサから個別に超音波を送信
し、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から前記障害物の方向を推定する
第1推定ステップと、
前記第1検出ステップにおいて前記障害物を検出しなかった場合に、前記第2超音波センサ群を構成する2つの前記超音波センサから同時に超音波を送信し、複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信した場合に前記障害物を検出する第2検出ステップと、
前記第2検出ステップにおいて前記障害物を検出した場合に、前記第2超音波センサ群を構成する2つの前記超音波センサから個別に超音波を送信し、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から前記障害物の方向を推定する第2推定ステップと、
を有することを特徴とする障害物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検出装置及び障害物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を送信し、障害物によって反射した反射波を受信する超音波センサにより、障害物を検出する障害物検出装置が知られている。障害物検出装置は、超音波センサによる超音波の送信を制御するとともに、超音波センサによる反射波の受信結果から障害物を検出する。超音波センサから超音波を送信した際、超音波センサの検出範囲内に障害物が存在する場合、送信された超音波は障害物に当たって反射する。一方、超音波の検出範囲内に障害物が存在しない場合、送信された超音波は障害物に当たって反射することなく減衰する。障害物検出装置は、超音波センサが反射波を受信した場合に障害物を検出する。
【0003】
障害物検出装置には、超音波センサを複数備えるものがある。なお、超音波を送信した超音波センサと該超音波の反射波を受信する超音波センサは同一であることが多いが、障害物の形状によっては、超音波を送信した超音波センサに加えて他の超音波センサが反射波を受信したり、超音波を送信した超音波センサとは別の超音波センサのみが反射波を受信したりすることがある。このような障害物検出装置では、複数の超音波センサから個別に超音波を送信することにより、反射波の受信直前に超音波を送信した超音波センサを特定できる。そして、特定された超音波センサの検出範囲から障害物検出装置に対する障害物の方向を推定することができる。
【0004】
複数の超音波センサを備える障害物検出装置の一例として、特許文献1には、第1~第4超音波センサを備える障害物検出装置が開示されている。第1~第4超音波センサは、順に並べられている。第1超音波センサ及び第3超音波センサは同時に超音波を送信し、第2超音波センサ及び第4超音波センサは同時に超音波を送信する。このように2つの超音波センサから同時に超音波を送信することによって、第1~第4超音波センサから個別に超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数の超音波センサから同時に超音波を送信する場合、以下のような問題が生じる虞がある。例えば、第1超音波センサ及び第3超音波センサが同時に超音波を送信して、第3超音波センサのみが反射波を受信した場合、反射波の送信源としては、第1超音波センサのみ、第3超音波センサのみ、又は第1超音波センサ及び第3超音波センサの両方の3パターンが考えられる。つまり、複数の超音波センサから同時に超音波を送信することにより、反射波の受信直前に超音波を送信した超音波センサを特定することができなくなる。その結果、障害物検出装置に対する障害物の方向も推測できなくなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、障害物の有無を早期に検出できるとともに、障害物の方向を推定できる障害物検出装置及び障害物検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための障害物検出装置は、超音波を送信し、障害物によって反射された反射波を受信する超音波センサを複数備え、複数の前記超音波センサによる超音波の送信を制御するとともに、前記超音波センサによる反射波の受信結果から前記障害物の検出を行う障害物検出装置であって、複数の前記超音波センサのうちの2以上の超音波センサによって超音波センサ群が構成され、前記超音波センサ群を構成する2以上の前記超音波センサから同時に超音波を送信し、複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信した場合に前記障害物を検出する検出モードと、前記超音波センサ群を構成する前記超音波センサから個別に超音波を送信し、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から前記障害物の方向を推定する推定モードと、を有し、前記障害物の検出開始時には前記検出モードに設定され、前記検出モードにおいて前記障害物が検出された場合に前記推定モードに切り替わることを要旨とする。
【0009】
これによれば、障害物の検出開始時には、障害物検出装置は検出モードに設定されているため、障害物の有無が不確定な状態では、超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサから同時に超音波を送信する。よって、複数の超音波センサから個別に超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に検出できる。また、検出モードにおいて障害物が検出された場合には障害物検出装置は推定モードに切り替わるため、障害物が検出された状態では、超音波センサ群を構成する超音波センサから個別に超音波を送信する。よって、推定モードでは反射波の受信直前に超音波を送信した超音波センサを特定でき、特定された超音波センサの検出範囲から障害物の方向を推定できる。
【0010】
また、上記障害物検出装置について、前記超音波センサ群は複数存在するとともに、前記超音波センサ群毎に、前記検出モード及び前記推定モードが設定され、前記超音波を送信する前記超音波センサ群を切り替えながら障害物の検出を行うのが好ましい。
【0011】
これによれば、1つの超音波センサ群が存在する場合と比較して、より広範囲について障害物の有無を早期に検出できるとともに障害物の方向を推定できる。
また、上記障害物検出装置について、複数の前記超音波センサは、隣り合う超音波センサの検出範囲の一部が重なり合うように並べて配置されているのが好ましい。
【0012】
これによれば、隣り合う超音波センサの検出範囲が重なり合っていない場合と比較して、超音波を送信した超音波センサとは別の超音波センサが該超音波の反射波を受信する可能性が高くなる。よって、推定モードにより障害物の方向を推定することがより効果的である。
【0013】
上記問題点を解決するための障害物検出方法は、超音波を送信し、障害物によって反射された反射波を受信する超音波センサが複数用いられ、複数の前記超音波センサから超音波を送信するとともに、前記超音波センサによる反射波の受信結果から前記障害物を検出する障害物検出方法であって、前記障害物の検出開始時に、複数の前記超音波センサのうちの2以上の超音波センサによって構成された超音波センサ群について、前記超音波センサ群を構成する2以上の前記超音波センサから同時に超音波を送信し、複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信した場合に前記障害物を検出するステップと、前記障害物を検出した場合に、前記超音波センサ群を構成する前記超音波センサから個別に超音波を送信するステップと、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から前記障害物の方向を推定するステップと、を有することを要旨とする。
【0014】
これによれば、障害物の有無が不確定な状態では、超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサから同時に超音波を送信する。よって、複数の超音波センサから個別に超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に検出できる。また、障害物が検出された状態では、超音波センサ群を構成する超音波センサから個別に超音波を送信する。よって、反射波の受信直前に超音波を送信した超音波センサを特定でき、特定された超音波センサの検出範囲から障害物の方向を推定できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、障害物の有無を早期に検出できるとともに、障害物の方向を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は第1実施形態の障害物検出装置が搭載されるフォークリフトの概略側面図、(b)は障害物検出装置が搭載されるフォークリフトの概略背面図。
【
図4】(a)は第1実施形態の障害物検出装置による検出範囲を示す側面図、(b)は第1実施形態の障害物検出装置による検出範囲を示す平面図。
【
図5】第1実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
【
図6】(a)~(c)は例1-1における障害物検出方法を示す平面図、(d)は例1-1における超音波の送受信のタイミングを示す図。
【
図7】(a)~(c)は例1-2における障害物検出方法を示す平面図、(d)は例1-2における超音波の送受信のタイミングを示す図。
【
図8】(a)~(c)は例1-3における障害物検出方法を示す平面図、(d)は例1-3における超音波の送受信のタイミングを示す図。
【
図9】(a)~(c)は例1-4における障害物検出方法を示す平面図、(d)は例1-4における超音波の送受信のタイミングを示す図。
【
図10】(a)~(c)は例1-5における障害物検出方法を示す平面図、(d)は例1-5における超音波の送受信のタイミングを示す図。
【
図11】(a)~(c)は例1-6における障害物検出方法を示す平面図、(d)は例1-6における超音波の送受信のタイミングを示す図。
【
図12】第2実施形態の障害物検出装置が搭載されるフォークリフトの概略背面図。
【
図13】第2実施形態の障害物検出装置による検出範囲を示す平面図。
【
図14】第2実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
【
図15】第2実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
【
図16】第2実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
【
図17】(a)~(f)は例2-1における障害物検出方法を示す平面図。
【
図18】例2-1における超音波の送受信のタイミングを示す図。
【
図19】(a)~(e)は例2-2における障害物検出方法を示す平面図。
【
図20】例2-2における超音波の送受信のタイミングを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、障害物検出装置及び障害物検出方法を具体化した第1実施形態を
図1~
図11にしたがって説明する。
【0018】
図1(a)に示すように、フォークリフト10は、車体11と、車体11の前方に設けられた荷役装置12と、車体11の後方に設けられたカウンタウェイト13とを備える。
図1(b)に示すように、カウンタウェイト13の後端面は、第1面13aと、第1面13aと連続する面であり、第1面13aの左側に位置する第2面13bと、第1面13aと連続する面であり、第1面13aの右側に位置する第3面13cとを有する。第1面13aは、前後方向と直交する。第2面13bは、左端が右端よりも前方に位置するように傾斜している。第3面13cは、右端が左端よりも前方に位置するように傾斜している。なお、フォークリフト10は、搭乗者による運転が行われるフォークリフトである。
【0019】
図2に示すように、フォークリフト10は、メインコントローラ17と、荷役装置12を動作させる荷役機構14と、フォークリフト10を走行させる駆動機構15と、フォークリフト10の起動状態と停止状態とを切り替えるキースイッチ16とを備える。
【0020】
メインコントローラ17は、CPU18及びメモリ19を備える。メモリ19には、フォークリフト10を動作させるためのプログラム等が記憶されている。CPU18は、メインコントローラ17に入力された情報や、メモリ19に記憶されたプログラム等の情報などを用いて演算を行う。メインコントローラ17は、キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされている場合、駆動機構15や荷役機構14を制御することで荷役動作や走行動作をフォークリフト10に行わせる。一方で、メインコントローラ17は、キースイッチ16によりフォークリフト10が停止状態にされている場合、荷役動作や走行動作をフォークリフト10に行わせない。
【0021】
また、フォークリフト10には、超音波によって障害物を検出する障害物検出装置20が搭載されている。障害物検出装置20は、超音波センサ群21を備える。
図1(b)及び
図3に示すように、本実施形態の超音波センサ群21は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの2つの超音波センサによって構成されている。各超音波センサ21a,21bは、超音波の送信と受信の両方を1つの素子で行う送受信兼用型である。
【0022】
各超音波センサ21a,21bは、図示しない圧電振動子を備える。圧電振動子は、電気信号を振動に変換可能であるとともに、振動を電気信号に変換可能である。圧電振動子は、後述する送信指令部31から送信信号が入力されることにより振動する。圧電振動子が振動することにより、各超音波センサ21a,21bから超音波が送信される。第1超音波センサ21aから送信される超音波の周波数と、第2超音波センサ21bから送信される超音波の周波数は同じである。超音波の送信方向の先に障害物がある場合、送信された超音波は、障害物に当たって反射することにより反射波となる。圧電振動子は、反射波を受けると振動し、後述する検出部32に受信信号を出力する。つまり、各超音波センサ21a,21bは、超音波を送信する送信機能と、反射波を受信する受信機能とを有する。なお、圧電振動子は送受信兼用型であるため、各超音波センサ21a,21bが超音波を送信している間、反射波を受信することはできない。また、各超音波センサ21a,21bは、自身が送信した超音波の反射波だけでなく、他の超音波センサが送信した超音波の反射波も受信可能である。よって、超音波を送信した超音波センサ21a,21bと該超音波の反射波を受信する超音波センサ21a,21bとが同一の場合もあれば異なる場合もある。
【0023】
図1(b)に示すように、第1超音波センサ21aは、カウンタウェイト13の第1面13aに対し、フォークリフト10の左右方向の中央Cよりも左側に取り付けられている。第2超音波センサ21bは、カウンタウェイト13の第1面13aに対し、フォークリフト10の左右方向の中央Cよりも右側に取り付けられている。各超音波センサ21a,21bは、車体11の後方に超音波を送信する。よって、障害物検出装置20により検出される障害物は、フォークリフト10の後方に存在する障害物である。
【0024】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、フォークリフト10の後方には、各超音波センサ21a,21bによる障害物の検出が可能な検出範囲Aが存在する。
図4(b)に示すように、第1超音波センサ21aの検出範囲Aは、フォークリフト10の後方の左側に存在し、第2超音波センサ21bの検出範囲Aは、フォークリフト10の後方の右側に存在する。
図4(a)に示すように、各検出範囲Aは、略球状に広がる空間であり、各超音波センサ21a,21bが配置される高さと同じ高さには、上下方向と直交する検出面積が最大となる最大検出部A1を有する。
【0025】
フォークリフト10が使用される環境では、例えば、フォークリフト10の後方にて作業者が立った状態で作業したり、作業者がしゃがんだ状態で作業したりすることが考えられる。このため、フォークリフト10に搭載される障害物検出装置20では、フォークリフト10の後方において各超音波センサ21a,21bが配置される高さと同じ高さにある障害物を検出するだけでなく、各超音波センサ21a,21bが配置される高さよりも低い位置にある障害物を検出することが求められる。よって、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの左右方向における配置間隔は、最大検出部A1だけでなく、最大検出部A1よりも下側に位置する検出対象部A2も考慮して決定される。なお、上下方向における最大検出部A1から検出対象部A2までの距離は、検出したい障害物の高さに応じて適宜設定される。
【0026】
本実施形態では、
図4(b)に示すように、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは、第1超音波センサ21aの検出対象部A2の右端と第2超音波センサ21bの検出対象部A2の左端とが接するように配置されている。よって、第1超音波センサ21aの最大検出部A1における右側の一部は、第2超音波センサ21bの最大検出部A1における左側の一部と重なり合っている。言い換えると、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは、検出範囲Aの一部が重なり合っている。
【0027】
なお、障害物の材質や形状等によって、超音波の反射率は異なる。各超音波センサ21a,21bの検出対象部A2は、想定される障害物のうち、超音波の反射率が最も低い障害物を基準にして設定される。このため、基準とした障害物よりも超音波の反射率が高い障害物に対しては、第1超音波センサ21aの検出範囲Aと第2超音波センサ21bの検出範囲Aとが重なり合う部分は大きくなる。
【0028】
図2に示すように、障害物検出装置20は、制御ECU30を備える。制御ECU30は、CPUと、RAM及びROM等からなる記憶部とを備える電子制御ユニット:Electronic Control Unitである。記憶部には、障害物検出装置20を制御するための種々のプログラムが記憶されている。制御ECU30は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路:ASICを備えていてもよい。制御ECU30は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU、並びにRAM及びROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆるものを含む。制御ECU30は、メインコントローラ17と相互に通信可能に接続されている。なお、本実施形態では、制御ECU30はメインコントローラ17と別体で形成されている。
【0029】
図3に示すように、制御ECU30は、送信指令部31及び検出部32を備える。送信指令部31及び検出部32はそれぞれ、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bに接続されている。送信指令部31は、各超音波センサ21a,21bに送信信号を出力することで各超音波センサ21a,21bに超音波を送信させる。送信指令部31は、キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされている間、超音波センサ21a,21bに送信信号を所定の間隔で繰り返し出力する。各超音波センサ21a,21bは、送信指令部31から送信信号が入力される度に超音波を送信する。よって、送信指令部31による送信信号の出力間隔は、超音波センサ21a,21bによる超音波の送信間隔と同じになる。
【0030】
なお、超音波の送信間隔は、超音波センサ21a,21bによって超音波が送信されてから、送信された超音波が検出範囲A内に存在する障害物によって反射し、反射波が超音波センサ21a,21bによって受信されるまでに要する時間よりも長く設定される。よって、検出範囲A内に障害物が存在する場合、超音波センサ21a,21bが超音波を送信してから、次に超音波センサ21a,21bが超音波を送信するまでの間に反射波は受信される。
【0031】
検出部32は、各超音波センサ21a,21bによる反射波の受信結果から障害物の有無を検出する。検出部32は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方から反射波の受信信号が入力されることにより、フォークリフト10の後方に障害物があることを検出する。検出部32は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから反射波の受信信号が入力されない場合、フォークリフト10の後方における第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物が無いことを検出する。
【0032】
障害物検出装置20は、障害物の有無を検出する検出モードM1と、左右方向において障害物検出装置20に対する障害物の方向を推定する推定モードM2とを有する。障害物検出装置20は、運転開始時の初期状態において検出モードM1に設定されている。障害物検出装置20は、検出モードM1において障害物が検出された場合に検出モードM1から推定モードM2に切り替わる。
【0033】
検出モードM1では、送信指令部31は、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bに同時に超音波を送信させる。検出部32は、検出モードM1における第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bによる反射波の受信結果から、フォークリフト10の後方における障害物の有無を検出する。推定モードM2では、送信指令部31は、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bに個別に超音波を送信させる。本実施形態の推定モードM2では、送信指令部31は、第1超音波センサ21aに超音波を送信させた後、第2超音波センサ21bに超音波を送信させる。検出部32は、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から障害物の方向を推定する。本実施形態では、検出部32は、第1超音波センサ21aによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の左側にあるか否かを推定する。検出部32は、第2超音波センサ21bによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の右側にあるか否かを推定する。また、検出部32は、推定した障害物の方向をメインコントローラ17に出力する。メインコントローラ17は、障害物があると推定された方向への走行動作をフォークリフト10に行わせない。
【0034】
次に、第1実施形態の障害物検出方法について説明する。
キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされると、障害物検出装置20の運転が開始される。
【0035】
図5に示すように、障害物検出装置20は、初期状態において検出モードM1に設定されている(ステップS11)。よって、障害物検出装置20は、障害物の有無を検出する。
【0036】
第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に超音波を送信する(ステップS12)。第1超音波センサ21aから送信される超音波を第1超音波S1とし、第2超音波センサ21bから送信される超音波を第2超音波S2とする。第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物がある場合、第1超音波S1は障害物に当たって反射するため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方は、第1超音波S1の第1反射波R1を受信する。第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物が無い場合、第1超音波S1は障害物に当たることなく減衰するため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは反射波を受信しない。同様に、第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物がある場合、第2超音波S2は障害物に当たって反射するため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方は、第2超音波S2の第2反射波R2を受信する。第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物が無い場合、第2超音波S2は障害物に当たることなく減衰するため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは反射波を受信しない。
【0037】
第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方が第1反射波R1及び第2反射波R2の少なくとも一方を受信した場合(ステップS13でYES)、検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物があることを検出する(ステップS14)。一方、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bが第1反射波R1及び第2反射波R2を受信しない場合(ステップS13でNO)、検出部32は、フォークリフト10の後方における第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物が無いことを検出する(ステップS15)。
【0038】
障害物検出装置20は、ステップS14において検出部32が障害物を検出すると、検出モードM1から推定モードM2に切り替わる(ステップS16)。よって、障害物検出装置20は、検出した障害物の方向を推定する。
【0039】
まず、第1超音波センサ21aから第1超音波S10を送信する(ステップS17)。第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物がある場合、第1超音波S10は障害物に当たって反射する。このため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方は、第1超音波S10の第1反射波R10を受信する(ステップS18でYES)。この場合、検出部32は、障害物が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS19)。一方、第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物が無い場合、第1超音波S10は障害物に当たることなく減衰する。このため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは、第1超音波S10の第1反射波R10を受信しない(ステップS18でNO)。この場合、検出部32は、障害物が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側には無いと推定する(ステップS20)。
【0040】
次に、第2超音波センサ21bから第2超音波S20を送信する(ステップS21)。第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物がある場合、第2超音波S20は障害物に当たって反射する。このため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方は、第2超音波S20の第2反射波R20を受信する(ステップS22でYES)。この場合、検出部32は、障害物が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS23)。一方、第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物が無い場合、第2超音波S20は障害物に当たることなく減衰する。このため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは第2超音波S20の第2反射波R20を受信しない(ステップS22でNO)。この場合、検出部32は、障害物が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側には無いと推定する(ステップS24)。
【0041】
なお、障害物検出装置20は、キースイッチ16によりフォークリフト10が停止状態にされるまで
図5に示すフローを繰り返し行う。すなわち、ステップS15において障害物が無いことを検出した場合には、引き続き検出モードにて障害物の有無の検出を行い、ステップS23,S24において障害物の方向を推定し終えた場合には、検出モードに切り替わることで障害物の有無の検出を再開する。
【0042】
第1実施形態の作用を具体例1-1~1-6を用いて説明する。
例1-1では、
図6(a)に示すように、フォークリフト10の後方の左側、すなわち第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物X11があるものとする。例1-2では、
図7(a)に示すように、フォークリフト10の後方の右側、すなわち第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物X12があるものとする。例1-3では、
図8(a)に示すように、フォークリフト10の後方における左右両側、すなわち第1超音波センサ21aの検出範囲A内及び第2超音波センサ21bの検出範囲A内の両方に障害物X13があるものとする。また、障害物X11,X12,X13は移動しないものとする。なお、例1-1~1-3では、障害物X11,X12,X13の形状を簡略化して図示している。
【0043】
各例1-1~1-3において、障害物検出装置20は、運転開始時、検出モードM1に設定されている(ステップS11)。障害物検出装置20は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に第1超音波S1及び第2超音波S2を送信する(ステップS12)。
【0044】
例1-1では、
図6(a)に示すように、第1超音波S1は、障害物X11に当たることにより第1超音波センサ21aに向けて反射する。一方、第2超音波S2は、障害物X11に当たることなく減衰する。このため、
図6(d)に示すように、第1超音波センサ21aは第1超音波S1の第1反射波R1を受信し、第2超音波センサ21bは反射波を受信しない。つまり、超音波センサ群21を構成する超音波センサの一部である第1超音波センサ21aのみが反射波を受信する(ステップS13でYES)。検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物X11があることを検出する(ステップS14)。
【0045】
例1-2では、
図7(a)に示すように、第1超音波S1は、障害物X12に当たることなく減衰する。一方、第2超音波S2は、障害物X12に当たることにより第1超音波センサ21aに向けて反射する。このため、
図7(d)に示すように、第1超音波センサ21aは第2超音波S2の第2反射波R2を受信し、第2超音波センサ21bは反射波を受信しない。つまり、超音波センサ群21を構成する超音波センサの一部である第1超音波センサ21aのみが反射波を受信する(ステップS13でYES)。検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物X12があることを検出する(ステップS14)。
【0046】
例1-3では、
図8(a)に示すように、第1超音波S1は、障害物X13に当たることにより第1超音波センサ21aに向けて反射する。また、第2超音波S2は、障害物X13に当たることにより第1超音波センサ21aに向けて反射する。このため、
図8(d)に示すように、第1超音波センサ21aは第1超音波S1の第1反射波R1及び第2超音波S2の第2反射波R2を受信し、第2超音波センサ21bは反射波を受信しない。つまり、超音波センサ群21を構成する超音波センサの一部である第1超音波センサ21aのみが反射波を受信する(ステップS13でYES)。検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物X13があることを検出する(ステップS14)。
【0047】
ここで、
図6(d)、
図7(d)、及び
図8(d)から分かるように、例1-1~1-3では、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に第1超音波S1及び第2超音波S2を送信した後で、第1超音波センサ21aのみが反射波を受信することが共通している。しかしながら、第1超音波センサ21aが受信した反射波が第1反射波R1であるか、第2反射波R2であるか、又は第1反射波R1及び第2反射波R2の両方であるかは分からない。このため、検出モードM1では、検出した障害物X11,X12,X13が第1超音波センサ21aの検出範囲A内にあるか、第2超音波センサ21bの検出範囲A内にあるか、又は第1超音波センサ21aの検出範囲A内及び第2超音波センサ21bの検出範囲A内の両方にあるかを推定できない。言い換えると、検出モードM1では、障害物X11,X12,X13がフォークリフト10の後方において左側にあるか、右側にあるか、左右両側にあるかを推定できない。
【0048】
本実施形態の障害物検出装置20は、ステップS14において検出部32が障害物X11,X12,X13を検出すると、検出モードM1から推定モードM2に切り替わる(ステップS16)。
【0049】
図6(b)に示すように、例1-1では、まず、第1超音波センサ21aから第1超音波S10を送信する(ステップS17)。第1超音波S10は、検出モードM1と同様、障害物X11に当たることにより第1超音波センサ21aに向けて反射する。このため、
図6(d)に示すように、第1超音波センサ21aが第1超音波S10を送信した後、第1超音波センサ21aは第1超音波S10の第1反射波R10を受信する(ステップS18でYES)。よって、検出部32は、障害物X11が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS19)。
【0050】
図6(c)に示すように、例1-1では、次に、第2超音波センサ21bから第2超音波S20を送信する(ステップS21)。第2超音波S20は、検出モードM1と同様、障害物X11に当たることなく減衰する。このため、
図6(d)に示すように、第2超音波センサ21bが第2超音波S20を送信した後、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは反射波を受信しない(ステップS22でNO)。よって、検出部32は、障害物X11が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側に無いと推定する(ステップS24)。
【0051】
図7(b)に示すように、例1-2では、まず、第1超音波センサ21aから第1超音波S10を送信する(ステップS17)。第1超音波S10は、検出モードM1と同様、障害物X12に当たることなく減衰する。このため、
図7(d)に示すように、第1超音波センサ21aが第1超音波S10を送信した後、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは反射波を受信しない。よって、検出部32は、障害物X12が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側に無いと推定する(ステップS20)。
【0052】
図7(c)に示すように、例1-2では、次に、第2超音波センサ21bから第2超音波S20を送信する(ステップS21)。第2超音波S20は、検出モードM1と同様、障害物X12に当たることにより第1超音波センサ21aに向けて反射する。このため、
図7(d)に示すように、第2超音波センサ21bが第2超音波S20を送信した後、第1超音波センサ21aは第2超音波S20の第2反射波R20を受信する(ステップS22でYES)。よって、検出部32は、障害物X12が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS23)。
【0053】
図8(b)に示すように、例1-3では、まず、第1超音波センサ21aから第1超音波S10を送信する(ステップS17)。第1超音波S10は、検出モードM1と同様、障害物X13に当たることにより第1超音波センサ21aに向けて反射する。このため、
図8(d)に示すように、第1超音波センサ21aが第1超音波S10を送信した後、第1超音波センサ21aは第1超音波S10の第1反射波R10を受信する(ステップS18でYES)。よって、検出部32は、障害物X13が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS23)。
【0054】
図8(c)に示すように、例1-3では、次に、第2超音波センサ21bから第2超音波S20を送信する(ステップS21)。第2超音波S20は、検出モードM1と同様、障害物X13に当たることにより第1超音波センサ21aに向けて反射する。このため、
図8(d)に示すように、第2超音波センサ21bが第2超音波S20を送信した後、第1超音波センサ21aは第2超音波S20の第2反射波R20を受信する(ステップS22でYES)。よって、検出部32は、障害物X13が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS23)。
【0055】
このように障害物検出装置20が推定モードM2を有することによって、障害物X11,X12,X13がフォークリフト10の後方において左右方向の左側にあるか、右側にあるか、左右両側にあるかを推定できる。なお、例1-1~1-3では、ステップS23,S24において障害物X11,X12,X13の方向を推定し終えると、障害物検出装置20は、推定モードM2から検出モードM1に切り替わり、障害物の有無の検出を再開する。
【0056】
例1-4では、
図9(a)に示すように、フォークリフト10の後方の左側、すなわち第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物X14があるものとする。例1-5では、
図10(a)に示すように、フォークリフト10の後方の右側、すなわち第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物X15があるものとする。例1-6では、
図10(a)に示すように、フォークリフト10の後方における左右両側、すなわち第1超音波センサ21aの検出範囲A内及び第2超音波センサ21bの検出範囲A内の両方に障害物X16があるものとする。また、障害物X14,X15,X16は移動しないものとする。なお、例1-4~1-6では、障害物X14,X15,X16の形状を簡略化して図示している。
【0057】
各例1-4~1-6において、障害物検出装置20は、運転開始時、検出モードM1に設定されている(ステップS11)。障害物検出装置20は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に第1超音波S1及び第2超音波S2を送信する(ステップS12)。
【0058】
例1-4では、
図9(a)に示すように、第1超音波S1は、障害物X14に当たることにより第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bに向けて反射する。一方、第2超音波S2は、障害物X14に当たることなく減衰する。このため、
図9(d)に示すように、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは第1超音波S1の第1反射波R1を受信する。つまり、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの両方が反射波を受信する(ステップS13でYES)。検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物X14があることを検出する(ステップS14)。
【0059】
例1-5では、
図10(a)に示すように、第1超音波S1は、障害物X15に当たることなく減衰する。一方、第2超音波S2は、障害物X15に当たることにより第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bに向けて反射する。このため、
図10(d)に示すように、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは第2超音波S2の第2反射波R2を受信する。つまり、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの両方が反射波を受信する(ステップS13でYES)。検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物X15があることを検出する(ステップS14)。
【0060】
例1-6では、
図11(a)に示すように、第1超音波S1は、障害物X16に当たることにより第1超音波センサ21aに向けて反射し、第2超音波S2は、障害物X16に当たることにより第2超音波センサ21bに向けて反射する。このため、
図11(d)に示すように、第1超音波センサ21aは第1超音波S1の第1反射波R1を受信し、第2超音波センサ21bは第2超音波S2の第2反射波R2を受信する。つまり、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの両方が反射波を受信する(ステップS13でYES)。検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物X16があることを検出する(ステップS14)。
【0061】
ここで、
図9(d)、
図10(d)、及び
図11(d)から分かるように、例1-4~1-6では、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に超音波S1,S2を送信した後で、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの両方が反射波を受信することが共通している。しかしながら、検出モードM1では、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bが受信した反射波が第1反射波R1であるか、第2反射波R2であるか、又は第1反射波R1及び第2反射波R2の両方であるかは分からない。このため、検出モードM1では、検出した障害物X14,X15,X16が第1超音波センサ21aの検出範囲A内にあるか、第2超音波センサ21bの検出範囲A内にあるか、又は第1超音波センサ21aの検出範囲A内及び第2超音波センサ21bの検出範囲A内にあるかを推定できない。言い換えると、検出モードM1では、検出した障害物X14,X15,X16がフォークリフト10の後方において左側にあるか、右側にあるか、左右両側にあるかを推定できない。
【0062】
障害物検出装置20は、ステップS14において検出部32が障害物X14,X15,X16を検出すると、検出モードM1から推定モードM2に切り替わる(ステップS16)。
【0063】
図9(b)に示すように、例1-4では、まず、第1超音波センサ21aから第1超音波S10を送信する(ステップS17)。第1超音波S10は、検出モードM1と同様、障害物X14に当たることにより第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bに向けて反射する。このため、
図9(d)に示すように、第1超音波センサ21aが第1超音波S10を送信した後、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは第1超音波S10の第1反射波R10を受信する(ステップS18でYES)。よって、検出部32は、障害物X14が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS19)。
【0064】
図9(c)に示すように、例1-4では、次に、第2超音波センサ21bから第2超音波S20を送信する(ステップS21)。第2超音波S20は、検出モードM1と同様、障害物X14に当たることなく減衰する。このため、
図9(d)に示すように、第2超音波センサ21bが第2超音波S20を送信した後、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは反射波を受信しない(ステップS22でNO)。よって、検出部32は、障害物X14が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側に無いと推定する(ステップS24)。
【0065】
図10(b)に示すように、例1-5では、まず、第1超音波センサ21aから第1超音波S10を送信する(ステップS17)。第1超音波S10は、検出モードM1と同様、障害物X15に当たることなく減衰する。このため、
図10(d)に示すように、第1超音波センサ21aが第1超音波S10を送信した後、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは反射波を受信しない(ステップS18でNO)。よって、検出部32は、障害物X15が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側に無いと推定する(ステップS20)。
【0066】
図10(c)に示すように、例1-5では、次に、第2超音波センサ21bから第2超音波S20を送信する(ステップS21)。第2超音波S20は、検出モードM1と同様、障害物X15に当たることにより第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bに向けて反射する。このため、
図10(d)に示すように、第2超音波センサ21bが第2超音波S20を送信した後、第1超音波センサ21aは第2超音波S20の第2反射波R20を受信する(ステップS22でYES)。よって、検出部32は、障害物X15が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS23)。
【0067】
図11(b)に示すように、例1-6では、まず、第1超音波センサ21aから第1超音波S10を送信する(ステップS17)。第1超音波S10は、検出モードM1と同様、障害物X16に当たることにより第1超音波センサ21aに向けて反射する。このため、
図11(d)に示すように、第1超音波センサ21aが第1超音波S10を送信した後、第1超音波センサ21aは第1超音波S10の第1反射波R10を受信する(ステップS18でYES)。よって、検出部32は、障害物X16が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS19)。
【0068】
図11(c)に示すように、例1-6では、次に、第2超音波センサ21bから第2超音波S20を送信する(ステップS21)。第2超音波S20は、検出モードM1と同様、障害物X16に当たることにより第2超音波センサ21bに向けて反射する。このため、
図11(d)に示すように、第2超音波センサ21bが第2超音波S20を送信した後、第2超音波センサ21bは第2超音波S20の第2反射波R20を受信する(ステップS22でYES)。よって、検出部32は、障害物X16が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS23)。
【0069】
このように障害物検出装置20が推定モードM2を有することによって、障害物X14,X15,X16がフォークリフト10の後方において左右方向の左側にあるか、右側にあるか、左右両側にあるかを推定できる。なお、例1-4~1-6では、ステップS23,S24において障害物X14,X15,X16の方向を推定し終えると、障害物検出装置20は、推定モードM2から検出モードM1に切り替わり、障害物の有無の検出を再開する。
【0070】
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)障害物検出装置20は、障害物の検出開始時には検出モードM1に設定されているため、障害物の有無が不確定な状態では、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に超音波を送信する。よって、例えば、第1超音波センサ21aが超音波を送信した後、第2超音波センサ21bが超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に検出できる。また、障害物検出装置20は、検出部32が障害物を検出すると推定モードM2に切り替わるため、障害物が検出された状態では、検出モードM1で同時に超音波を送信した第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから個別に超音波を送信する。よって、推定モードM2では、反射波の受信直前に超音波を送信した超音波センサを特定することができ、特定された超音波センサの検出範囲Aから障害物の方向を推定できる。
【0071】
(1-2)複数の超音波センサ21a,21bに同時に超音波を送信させることにより障害物の有無を検出するとともに障害物の方向を推定する方法として、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bで異なる周波数の超音波を送信する超音波センサを用いることが考えられる。この場合、受信した反射波の周波数により各超音波センサ21a,21bを区別できるが、用意する超音波センサの種類が増加する。これに対し、本実施形態では、障害物が検出された場合には障害物検出装置20が推定モードM2に切り替わって障害物の方向を推定する。このため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bで同じ周波数の超音波を送信する超音波センサを用いることができる。よって、障害物検出装置20のコストを低減できる。
【0072】
(1-3)第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは、検出範囲Aの一部が重なり合うように配置されているため、検出範囲Aが重なり合わないように配置される場合と比較して、超音波を送信した超音波センサとは別の超音波センサが該超音波の反射波を受信する可能性が高くなる。よって、推定モードM2により障害物の方向を推定することがより効果的である。
【0073】
(第2実施形態)
以下、障害物検出装置及び障害物検出方法を具体化した第2実施形態を
図12~
図20にしたがって説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0074】
図12に示すように、フォークリフト10には、超音波によって障害物を検出する障害物検出装置20が搭載されている。本実施形態の障害物検出装置20は、カウンタウェイト13の後端面に対し、左右方向に1列に並べて取り付けられた第1~第7超音波センサ21a~21gを備える。左右方向の左から右に向かって、第1~第7超音波センサ21a~21gとする。
【0075】
ところで、フォークリフト10の操舵輪の操舵角は、乗用車の操舵角と比較して大きいため、障害物検出装置20には、フォークリフト10の後方における側方寄りの範囲についても障害物を検出することが求められる。このため、超音波センサは、カウンタウェイト13の第1面13aだけでなく、カウンタウェイト13の第2面13b及び第3面13cにも取り付けられるのが好ましい。本実施形態では、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは、カウンタウェイト13の第2面13bに取り付けられている。第3超音波センサ21c、第4超音波センサ21d、及び第5超音波センサ21eは、カウンタウェイト13の第1面13aに取り付けられている。第4超音波センサ21dは、フォークリフト10の左右方向の中央Cに位置している。第6超音波センサ21f及び第7超音波センサ21gは、カウンタウェイト13の第3面13cに取り付けられている。
【0076】
図13に示すように、第1~第7超音波センサ21a~21gは、左右方向に隣り合う超音波センサ21a~21gの検出対象部A2の端が接するように配置されている。よって、第1~第7超音波センサ21a~21gは、左右方向に隣り合う超音波センサ21a~21gの検出範囲Aの一部が重なり合っている。例えば、第2超音波センサ21bの検出対象部A2の左端は、第1超音波センサ21aの検出対象部A2の右端と接し、第2超音波センサ21bの検出対象部A2の右端は、第3超音波センサ21cの検出対象部A2の左端と接している。第2超音波センサ21bの最大検出部A1の左側の一部は、第1超音波センサ21aの最大検出部A1の右側の一部と重なり合い、第2超音波センサ21bの最大検出部A1の右側の一部は、第3超音波センサ21cの最大検出部A1の左側の一部と重なり合っている。
【0077】
本実施形態では、第1~第3超音波センサ群211~213が存在することが第1実施形態とは大きく異なる。第1超音波センサ群211は、第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gによって構成されている。第2超音波センサ群212は、第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eによって構成されている。第3超音波センサ群213は、第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fによって構成されている。第1~第7超音波センサ21a~21gは、異なる超音波センサ群211,212,213を構成する超音波センサと隣り合うように並べて配置されている。例えば、第2超音波センサ群212を構成する第2超音波センサ21bは、第1超音波センサ群211を構成する第1超音波センサ21a、及び第3超音波センサ群213を構成する第3超音波センサ21cと隣り合っている。
【0078】
第1~第7超音波センサ21a~21gには、制御ECU30の送信指令部31及び検出部32が接続されている。障害物検出装置20は、第1超音波センサ群211によって障害物の検出を行う第1モードMaと、第2超音波センサ群212によって障害物の検出を行う第2モードMbと、第3超音波センサ群213によって障害物の検出を行う第3モードMcとを有する。障害物検出装置20は、第1~第3モードMa~Mcを切り替えながら障害物の検出を行う。言い換えると、障害物検出装置20は、用いる超音波センサ群を切り替えながら障害物の検出を行う。
【0079】
第1モードMaは、障害物の有無を検出する第1検出モードMa1と、左右方向において障害物検出装置20に対する障害物の方向を推定する第1推定モードMa2とを有する。第1検出モードMa1では、送信指令部31は、第1超音波センサ群211を構成する第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gに同時に超音波を送信させる。検出部32は、第1検出モードMa1における第1~第7超音波センサ21a~21gによる反射波の受信結果から、フォークリフト10の後方における障害物の有無を検出する。第1推定モードMa2では、送信指令部31は、第1超音波センサ群211を構成する第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gに個別に超音波を送信させる。本実施形態の第1推定モードMa2では、送信指令部31は、第1超音波センサ21a→第4超音波センサ21d→第7超音波センサ21gの順で超音波を送信させる。検出部32は、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から障害物の方向を推定する。本実施形態では、検出部32は、第1超音波センサ21aによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の左側にあるか否かを推定する。検出部32は、第4超音波センサ21dによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の中央にあるか否かを推定する。検出部32は、第7超音波センサ21gによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の右側にあるか否かを推定する。
【0080】
第2モードMbは、障害物の有無を検出する第2検出モードMb1と、左右方向において障害物検出装置20に対する障害物の方向を推定する第2推定モードMb2とを有する。第2検出モードMb1では、送信指令部31は、第2超音波センサ群212を構成する第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eに同時に超音波を送信させる。検出部32は、第2検出モードMb1における第1~第7超音波センサ21a~21gによる反射波の受信結果から、フォークリフト10の後方における障害物の有無を検出する。第2推定モードMb2では、送信指令部31は、第2超音波センサ群212を構成する第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eに個別に超音波を送信させる。本実施形態の第1推定モードMa2では、送信指令部31は、第2超音波センサ21bに超音波を送信させた後、第5超音波センサ21eに超音波を送信させる。検出部32は、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から障害物の方向を推定する。本実施形態では、検出部32は、第2超音波センサ21bによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の左側にあるか否かを推定する。検出部32は、第5超音波センサ21eによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の右側にあるか否かを推定する。
【0081】
第3モードMcは、障害物の有無を検出する第3検出モードMc1と、左右方向において障害物検出装置20に対する障害物の方向を推定する第3推定モードMc2とを有する。第3検出モードMc1では、送信指令部31は、第3超音波センサ群213を構成する第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fに同時に超音波を送信させる。検出部32は、第3検出モードMc1における第1~第7超音波センサ21a~21gによる反射波の受信結果から、フォークリフト10の後方における障害物の有無を検出する。第3推定モードMc2では、送信指令部31は、第3超音波センサ群213を構成する第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fに個別に超音波を送信させる。本実施形態の第3推定モードMc2では、送信指令部31は、第3超音波センサ21cに超音波を送信させた後、第6超音波センサ21fに超音波を送信させる。検出部32は、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から障害物の方向を推定する。本実施形態では、検出部32は、第3超音波センサ21cによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の左側にあるか否かを推定する。検出部32は、第6超音波センサ21fによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の右側にあるか否かを推定する。
【0082】
次に、第2実施形態の障害物検出方法について説明する。
キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされると、障害物検出装置20の運転が開始される。
【0083】
図14に示すように、障害物検出装置20は、初期状態において第1モードMaの第1検出モードMa1に設定されている(ステップS31)。よって、障害物検出装置20は、第1超音波センサ群211を用いて障害物の有無を検出する。
【0084】
第1超音波センサ群211を構成する第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gから同時に超音波を送信する(ステップS32)。第1超音波センサ21aから送信される超音波を第1超音波S1とし、第4超音波センサ21dから送信される超音波を第4超音波S4とし、第7超音波センサ21gから送信される超音波を第7超音波S7とする。
【0085】
第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物がある場合、第1超音波S1は障害物に当たって反射するため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第1超音波S1の第1反射波R1を受信する。第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物が無い場合、第1超音波S1は障害物に当たることなく減衰するため、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない。同様に、第4超音波センサ21dの検出範囲A内に障害物がある場合、第4超音波S4は障害物に当たって反射するため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第4超音波S4の第4反射波R4を受信する。第4超音波センサ21dの検出範囲A内に障害物が無い場合、第4超音波S4は障害物に当たることなく減衰するため、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない。同様に、第7超音波センサ21gの検出範囲A内に障害物がある場合、第7超音波S7は障害物に当たって反射するため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第7超音波S7の第7反射波R7を受信する。第7超音波センサ21gの検出範囲A内に障害物が無い場合、第7超音波S7は障害物に当たることなく減衰するため、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない。
【0086】
第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つが第1反射波R1、第4反射波R4、及び第7反射波R7の少なくとも1つを受信した場合(ステップS33でYES)、検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物があることを検出する(ステップS34)。一方、第1~第7超音波センサ21a~21gが第1反射波R1、第4反射波R4、及び第7反射波R7を受信しない場合(ステップS33でNO)、検出部32は、フォークリフト10の後方における第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gの検出範囲A内に障害物が無いことを検出する(ステップS35)。
【0087】
障害物検出装置20は、ステップS34において検出部32が障害物を検出すると、第1検出モードMa1から第1推定モードMa2に切り替わる(ステップS36)。よって、障害物検出装置20は、ステップS34で検出した障害物の方向を推定する。
【0088】
まず、第1超音波センサ21aから第1超音波S10を送信する(ステップS37)。第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物がある場合、第1超音波S10は障害物に当たって反射する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第1超音波S10の第1反射波R10を受信する(ステップS38でYES)。この場合、検出部32は、障害物が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS39)。一方、第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物が無い場合、第1超音波S10は障害物に当たることなく減衰する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gは、第1超音波S10の第1反射波R10を受信しない(ステップS38でNO)。この場合、検出部32は、障害物が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側には無いと推定する(ステップS40)。
【0089】
次に、第4超音波センサ21dから第4超音波S40を送信する(ステップS41)。第4超音波センサ21dの検出範囲A内に障害物がある場合、第4超音波S40は障害物に当たって反射する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第4超音波S40の第4反射波R40を受信する(ステップS42でYES)。この場合、検出部32は、障害物が第4超音波センサ21dの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の中央にあると推定する(ステップS43)。一方、第4超音波センサ21dの検出範囲A内に障害物が無い場合、第4超音波S40は障害物に当たることなく減衰する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gは、第4超音波S40の第4反射波R40を受信しない(ステップS42でNO)。この場合、検出部32は、障害物が第4超音波センサ21dの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の中央には無いと推定する(ステップS44)。
【0090】
そして、第7超音波センサ21gから第7超音波S70を送信する(ステップS45)。第7超音波センサ21gの検出範囲A内に障害物がある場合、第7超音波S70は障害物に当たって反射する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第7超音波S70の第7反射波R70を受信する(ステップS46でYES)。この場合、検出部32は、障害物が第7超音波センサ21gの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS47)。一方、第7超音波センサ21gの検出範囲A内に障害物が無い場合、第7超音波S70は障害物に当たることなく減衰する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gは、第7超音波S70の第7反射波R70を受信しない(ステップS46でNO)。この場合、検出部32は、障害物が第7超音波センサ21gの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側には無いと推定する(ステップS48)。
【0091】
ステップS35において障害物が無いことを検出するか、又はステップS47,S48において障害物の方向を推定し終えると、障害物検出装置20は、第2モードMbの第2検出モードMb1に切り替わる(ステップS49)。よって、障害物検出装置20は、第2超音波センサ群212を用いて障害物の有無を検出する。
【0092】
図15に示すように、第2超音波センサ群212を構成する第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eから同時に超音波を送信する(ステップS50)。第2超音波センサ21bから送信される超音波を第2超音波S2とし、第5超音波センサ21eから送信される超音波を第5超音波S5とする。第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物がある場合、第2超音波S2は障害物に当たって反射するため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第2超音波S2の第2反射波R2を受信する。第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物が無い場合、第2超音波S2は障害物に当たることなく減衰するため、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない。同様に、第5超音波センサ21eの検出範囲A内に障害物がある場合、第5超音波S5は障害物に当たって反射するため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第5超音波S5の第5反射波R5を受信する。第5超音波センサ21eの検出範囲A内に障害物が無い場合、第5超音波S5は障害物に当たることなく減衰するため、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない。
【0093】
第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つが第2反射波R2及び第5反射波R5の少なくとも1つを受信した場合(ステップS51でYES)、検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物があることを検出する(ステップS52)。一方、第1~第7超音波センサ21a~21gが第2反射波R2及び第5反射波R5を受信しない場合(ステップS51でNO)、検出部32は、フォークリフト10の後方における第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eの検出範囲A内に障害物が無いことを検出する(ステップS53)。
【0094】
障害物検出装置20は、ステップS52において検出部32が障害物を検出すると、第2検出モードMb1から第2推定モードMb2に切り替わる(ステップS54)。よって、障害物検出装置20は、ステップS52で検出した障害物の方向を推定する。
【0095】
まず、第2超音波センサ21bから第2超音波S20を送信する(ステップS55)。第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物がある場合、第2超音波S20は障害物に当たって反射する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第2超音波S20の第2反射波R20を受信する(ステップS56でYES)。この場合、検出部32は、障害物が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS57)。一方、第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物が無い場合、第2超音波S20は障害物に当たることなく減衰する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gは、第2超音波S20の第2反射波R20を受信しない(ステップS56でNO)。この場合、検出部32は、障害物が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側には無いと推定する(ステップS58)。
【0096】
次に、第5超音波センサ21eから第5超音波S50を送信する(ステップS59)。第5超音波センサ21eの検出範囲A内に障害物がある場合、第5超音波S50は障害物に当たって反射する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第5超音波S50の第5反射波R50を受信する(ステップS60でYES)。この場合、検出部32は、障害物が第5超音波センサ21eの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS61)。一方、第5超音波センサ21eの検出範囲A内に障害物が無い場合、第5超音波S50は障害物に当たることなく減衰する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gは、第5超音波S50の第5反射波R50を受信しない(ステップS60でNO)。この場合、検出部32は、障害物が第5超音波センサ21eの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側には無いと推定する(ステップS62)。
【0097】
ステップS53において障害物が無いことを検出するか、又はステップS61,S62において障害物の方向を推定し終えると、障害物検出装置20は、第3モードMcの第3検出モードMc1に切り替わる(ステップS63)。よって、障害物検出装置20は、第3超音波センサ群213を用いて障害物の有無を検出する。
【0098】
図16に示すように、第3超音波センサ群213を構成する第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fから同時に超音波を送信する(ステップS64)。第3超音波センサ21cから送信される超音波を第3超音波S3とし、第6超音波センサ21fから送信される超音波を第6超音波S6とする。第3超音波センサ21cの検出範囲A内に障害物がある場合、第3超音波S3は障害物に当たって反射するため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第3超音波S3の第3反射波R3を受信する。第3超音波センサ21cの検出範囲A内に障害物が無い場合、第3超音波S3は障害物に当たることなく減衰するため、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない。同様に、第6超音波センサ21fの検出範囲A内に障害物がある場合、第6超音波S6は障害物に当たって反射するため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第6超音波S6の第6反射波R6を受信する。第6超音波センサ21fの検出範囲A内に障害物が無い場合、第6超音波S6は障害物に当たることなく減衰するため、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない。
【0099】
第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つが第3反射波R3及び第6反射波R6の少なくとも1つを受信した場合(ステップS65でYES)、検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物があることを検出する(ステップS66)。一方、第1~第7超音波センサ21a~21gが第3反射波R3及び第6反射波R6を受信しない場合(ステップS66でNO)、検出部32は、フォークリフト10の後方における第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fの検出範囲A内に障害物が無いことを検出する(ステップS67)。
【0100】
障害物検出装置20は、ステップS66において検出部32が障害物を検出すると、第3検出モードMc1から第3推定モードMc2に切り替わる(ステップS68)。よって、障害物検出装置20は、ステップS66において検出した障害物の方向を推定する。
【0101】
まず、第3超音波センサ21cから第3超音波S30を送信する(ステップS69)。第3超音波センサ21cの検出範囲A内に障害物がある場合、第3超音波S30は障害物に当たって反射する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第3超音波S30の第3反射波R30を受信する(ステップS70でYES)。この場合、検出部32は、障害物が第3超音波センサ21cの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS71)。一方、第3超音波センサ21cの検出範囲A内に障害物が無い場合、第3超音波S30は障害物に当たることなく減衰する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gは、第3超音波S30の第3反射波R30を受信しない(ステップS70でNO)。この場合、検出部32は、障害物が第3超音波センサ21cの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側には無いと推定する(ステップS72)。
【0102】
次に、第6超音波センサ21fから第6超音波S60を送信する(ステップS73)。第6超音波センサ21fの検出範囲A内に障害物がある場合、第6超音波S60は障害物に当たって反射する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gの少なくとも1つは、第6超音波S60の第6反射波R60を受信する(ステップS74でYES)。この場合、検出部32は、障害物が第6超音波センサ21fの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS75)。一方、第6超音波センサ21fの検出範囲A内に障害物が無い場合、第6超音波S60は障害物に当たることなく減衰する。このため、第1~第7超音波センサ21a~21gは、第6超音波S60の第6反射波R60を受信しない(ステップS74でNO)。この場合、検出部32は、障害物が第6超音波センサ21fの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側には無いと推定する(ステップS76)。
【0103】
なお、障害物検出装置20は、キースイッチ16によりフォークリフト10が停止状態にされるまで
図14~
図16に示すフローを繰り返し行う。すなわち、障害物検出装置20は、第1モードMa→第2モードMb→第3モードMc→第1モードMa→…の順に切り替わるとともに、各モードMa~Mcの各検出モードMa1~Mc1において障害物を検出した場合には各推定モードMa2~Mc2に切り替わる。
【0104】
第2実施形態の作用を具体例2-1,2-2を用いて説明する。
例2-1では、
図17(a)に示すように、フォークリフト10の後方の左側であって第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物X21があるものとする。また、障害物X21は移動しないものとする。なお、例2-1では、障害物X21の形状を簡略化して図示している。
【0105】
例2-1において、障害物検出装置20は、運転開始時、第1モードMaの第1検出モードMa1に設定されている(ステップS31)。第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gから同時に第1超音波S1、第4超音波S4、及び第7超音波S7を送信する(ステップS32)。
【0106】
図17(a)に示すように、第1超音波S1は、障害物X21に当たることにより第1~第3超音波センサ21a~21cに向けて反射する。一方、第4超音波S4及び第7超音波S7は、障害物X21に当たることなく減衰する。このため、
図18に示すように、第1~第3超音波センサ21a~21cは第1超音波S1の第1反射波R1を受信し、第4~第7超音波センサ21d~21gは反射波を受信しない。つまり、第1超音波センサ群211を構成する超音波センサの一部である第1超音波センサ21aと、第2超音波センサ群212を構成する超音波センサの一部である第2超音波センサ21bと、第3超音波センサ群213を構成する超音波センサの一部である第3超音波センサ21cとが反射波を受信する(ステップS33でYES)。検出部32は、第1~第3超音波センサ21a~21cから反射波の受信信号が入力されたことにより、フォークリフト10の後方に障害物X21があることを検出する(ステップS34)。
【0107】
ところで、第1検出モードMa1では、第1~第3超音波センサ21a~21cが受信した反射波が第1反射波R1、第4反射波R4、及び第7反射波R7のどの反射波を含むかは分からない。つまり、第1検出モードMa1では、検出した障害物X21がフォークリフト10の後方において左右方向のどの方向にあるかを推定できない。
【0108】
障害物検出装置20は、ステップS34において検出部32が障害物X21を検出すると、第1検出モードMa1から第1推定モードMa2に切り替わる(ステップS36)。
まず、
図17(b)に示すように、第1超音波センサ21aから第1超音波S10を送信する(ステップS37)。第1超音波S10は、第1検出モードMa1と同様、障害物X21に当たることにより第1~第3超音波センサ21a~21cに向けて反射する。このため、
図18に示すように、第1超音波センサ21aが第1超音波S10を送信した後、第1~第3超音波センサ21a~21cは第1超音波S10の第1反射波R10を受信する(ステップS38でYES)。よって、検出部32は、障害物X21が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS39)。
【0109】
次に、
図17(c)に示すように、第4超音波センサ21dから第4超音波S40を送信する(ステップS41)。第4超音波S40は、第1検出モードMa1と同様、障害物X21に当たることなく減衰する。このため、
図18に示すように、第4超音波センサ21dが第4超音波S40を送信した後、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない(ステップS42でNO)。よって、検出部32は、障害物X21が第4超音波センサ21dの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の中央に無いと推定する(ステップS44)。
【0110】
そして、
図17(d)に示すように、第7超音波センサ21gから第7超音波S70を送信する(ステップS45)。第7超音波S70は、第1検出モードMa1と同様、障害物X21に当たることなく減衰する。このため、
図18に示すように、第7超音波センサ21gが第7超音波S70を送信した後、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない(ステップS46でNO)。よって、検出部32は、障害物X21が第7超音波センサ21gの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側に無いと推定する(ステップS48)。
【0111】
ステップS48において障害物X21の方向を推定し終えると、障害物検出装置20は、第1推定モードMa2から第2モードMbの第2検出モードMb1に切り替わる(ステップS49)。
【0112】
図17(e)に示すように、第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eから同時に第2超音波S2及び第5超音波S5を送信する(ステップS50)。例2-1では、第2超音波S2及び第5超音波S5は、障害物X21に当たることなく減衰する。このため、
図18に示すように、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない(ステップS51でNO)。検出部32は、フォークリフト10の後方における第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eによる検出範囲A内には障害物X21がないことを検出する(ステップS53)。障害物検出装置20は、ステップS53において検出部32が障害物X21を検出しないと、第3モードMcの第3検出モードMc1に切り替わる(ステップS63)。
【0113】
図17(f)に示すように、第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fから同時に第3超音波S3及び第6超音波S6を送信する(ステップS64)。例2-1では、第3超音波S3及び第6超音波S6は、障害物X21に当たることなく減衰する。このため、
図18に示すように、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない(ステップS65でNO)。検出部32は、フォークリフト10の後方における第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fによる検出範囲A内には障害物X21がないことを検出する(ステップS67)。
【0114】
例2-2では、
図19(a)に示すように、フォークリフト10の後方の左側であって第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物X22があるものとする。また、障害物X22は移動しないものとする。なお、例2-2では、障害物X22の形状を簡略化して図示している。
【0115】
例2-2において、障害物検出装置20は、運転開始時、第1モードMaの第1検出モードMa1に設定されている(ステップS31)。第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gから同時に第1超音波S1、第4超音波S4、及び第7超音波S7を送信する(ステップS32)。
【0116】
例2-2では、
図19(a)に示すように、第1超音波S1、第4超音波S4、及び第7超音波S7は、障害物X22に当たることなく減衰する。このため、
図20に示すように、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない(ステップS33でNO)。検出部32は、フォークリフト10の後方における第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gの検出範囲A内には障害物X22が無いと検出する(ステップS35)。障害物検出装置20は、ステップS35において検出部32が障害物X22を検出しないことにより、第2モードMbの第2検出モードMb1に切り替わる(ステップS49)。
【0117】
図19(b)に示すように、第2検出モードMb1では、第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eから同時に第2超音波S2及び第5超音波S5を送信する(ステップS50)。例2-2では、第2超音波S2は、障害物X22に当たることにより第3超音波センサ21cに向けて反射する。一方、第5超音波S5は、障害物X22に当たることなく減衰する。このため、
図20に示すように、第3超音波センサ21cは第2超音波S2の第2反射波R2を受信し、第1超音波センサ21a、第2超音波センサ21b、及び第4~第7超音波センサ21d~21gは反射波を受信しない。つまり、第2超音波センサ群212を構成する超音波センサとは別の第3超音波センサ21cが反射波を受信する(ステップS51でYES)。検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物X22があることを検出する(ステップS52)。
【0118】
ところで、第2検出モードMb1では、第3超音波センサ21cが受信した反射波が第2反射波R2であるか、第5反射波R5であるか、又は第2反射波R2及び第5反射波R5の両方であるかは分からない。つまり、第2検出モードMb1では、検出した障害物X22がフォークリフト10の後方において左右方向のどの方向にあるかを推定できない。
【0119】
障害物検出装置20は、ステップS52において検出部32が障害物X22を検出することにより、第2検出モードMb1から第2推定モードMb2に切り替わる(ステップS54)。
【0120】
まず、
図19(c)に示すように、第2超音波センサ21bから第2超音波S20を送信する(ステップS55)。第2超音波S20は、第2検出モードMb1と同様、障害物X22に当たることにより第3超音波センサ21cに向けて反射する。このため、
図20に示すように、第2超音波センサ21bが第2超音波S20を送信した後、第3超音波センサ21cは第2超音波S20の第2反射波R20を受信する(ステップS56でYES)。よって、検出部32は、障害物X22が第3超音波センサ21cの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS57)。
【0121】
次に、
図19(d)に示すように、第5超音波センサ21eから第5超音波S50を送信する(ステップS59)。第5超音波S50は、第2検出モードMb1のときと同様、障害物X22に当たることなく減衰する。このため、
図20に示すように、第5超音波センサ21eが第5超音波S50を送信した後、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない(ステップS60でNO)。よって、検出部32は、障害物X22が第5超音波センサ21eの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側に無いと推定する(ステップS62)。
【0122】
ステップS62において障害物X22の方向を推定し終えると、障害物検出装置20は、第2推定モードMb2から第3モードMcの第3検出モードMc1に切り替わる(ステップS63)。
【0123】
図19(e)に示すように、第3モードMcの第3検出モードMc1では、第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fから同時に第3超音波S3及び第6超音波S6を送信する(ステップS64)。例2-2では、第3超音波S3及び第6超音波S6は、障害物X22に当たることなく減衰する。このため、
図20に示すように、第1~第7超音波センサ21a~21gは反射波を受信しない(ステップS65でNO)。検出部32は、フォークリフト10の後方における第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fによる検出範囲A内には障害物X22がないことを検出する(ステップS67)。
【0124】
第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)障害物検出装置20は、障害物の検出開始時には第1モードMaの第1検出モードMa1に設定されているため、障害物の有無が不確定な状態では、第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gから同時に超音波を送信する。よって、例えば、第1超音波センサ21aから超音波を送信した後、第4超音波センサ21dから超音波を送信し、その後、第7超音波センサ21gから超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に検出できる。また、障害物検出装置20は、検出部32が障害物を検出すると第1推定モードMa2に切り替わる。このため、障害物が検出された状態では、第1検出モードMa1で同時に超音波を送信した第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gから個別に超音波を送信する。よって、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、反射波の受信直前に超音波を送信した超音波センサを特定でき、特定された超音波センサの検出範囲Aから障害物の方向を推定できる。第2モードMb及び第3モードMcについても同様の効果が得られる。
【0125】
(2-2)複数の超音波センサ21a~21gから同時に超音波を送信することにより障害物の有無を検出するとともに障害物の方向を推定する方法としては、第1~第7超音波センサ21a~21gで異なる周波数の超音波を送信する超音波センサを用いることが考えられる。この場合、受信した反射波の周波数により各超音波センサ21a~21gを区別できるが、用意する超音波センサの種類が増加する。これに対し、本実施形態では、第1モードMaの第1検出モードMa1において障害物が検出された場合には障害物検出装置20が第1推定モードMa2に切り替わって障害物の方向を推定する。このため、第1超音波センサ群211を構成する第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gで同じ周波数の超音波を送信する超音波センサを用いることができる。第2超音波センサ群212及び第3超音波センサ群213についても同様に、同じ周波数の超音波を送信する超音波センサを用いることができる。よって、障害物検出装置20のコストを低減できる。
【0126】
(2-3)第1~第7超音波センサ21a~21gは、隣り合う超音波センサの検出範囲Aの一部が重なり合うように配置されているため、検出範囲Aが重なり合わないように配置される場合と比較して、超音波を送信した超音波センサとは別の超音波センサが該超音波の反射波を受信する可能性が高くなる。よって、第1~第3推定モードMa2~Mc2により障害物の方向を推定することがより効果的である。
【0127】
(2-4)3つの超音波センサ群が存在するとともに、第1~第3超音波センサ群211~213のそれぞれに対し、検出モード及び推定モードが設定されている。障害物検出装置20は、超音波センサ群を切り替えながら障害物の検出を行う。これにより、1つの超音波センサ群が存在する場合と比較して、より広範囲について、障害物の有無を早期に検出できるとともに障害物の方向を推定できる。
【0128】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 第1実施形態において、超音波センサ群21を構成する超音波センサの数は、2に限定されず、3以上であってもよい。
【0129】
○ 第2実施形態において、第1超音波センサ群211を構成する超音波センサの数は3に限定されず、2でもよいし3でもよい。また、第2超音波センサ群212を構成する超音波センサの数は2に限定されず、3以上であってもよい。また、第3超音波センサ群213を構成する超音波センサの数は2に限定されず、3以上であってもよい。
【0130】
○ 第2実施形態において、超音波センサ群の数は、3に限定されず、2でもよいし、4以上であってもよい。
○ 第1実施形態において、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは、カウンタウェイト13に形成された穴に挿入されることでカウンタウェイト13に取り付けられていてもよいし、ブラケット等を介してカウンタウェイト13にネジ留めによって取り付けられていてもよい。
【0131】
○ 第2実施形態において、第1~第7超音波センサ21a~21gは、カウンタウェイト13に形成された穴に挿入されることでカウンタウェイト13に取り付けられていてもよいし、ブラケット等を介してカウンタウェイト13にネジ留めによって取り付けられていてもよい。
【0132】
○ 第1実施形態において、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは、検出範囲Aが重なり合わないように配置されていてもよい。
○ 第2実施形態において、第1~第7超音波センサ21a~21gは、隣り合う超音波センサの検出範囲Aが重なり合わないように配置されていてもよい。
【0133】
○ 第1実施形態において、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bが並べられる方向は左右方向に限定されない。第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは、例えば、上下方向に並べられていてもよい。この場合、推定モードM2では、障害物が上下方向において上側にあるか、下側にあるか、上下両側にあるかを推定する。
【0134】
○ 第2実施形態において、第1~第7超音波センサ21a~21gが並べられる方向は左右方向に限定されない。第1~第7超音波センサ21a~21gは、例えば、上下方向に並べられていてもよい。この場合、第1~第3推定モードMa2~Mc2では、障害物が上下方向において上側にあるか、下側にあるか、上下両側にあるかを推定する。
【0135】
○ 障害物検出装置20は、フォークリフト10の前方や、フォークリフト10の側方に存在する障害物を検出するものでもよい。この場合、障害物を検出したい方向に超音波が送信されるように超音波センサをフォークリフト10に取り付ければよい。なお、障害物検出装置20としては、前方、後方、及び側方の何れかの方向の障害物を検出するものであってもよいし、複数の方向の障害物を検出するものであってもよい。
【0136】
○ 第1実施形態及び第2実施形態において、制御ECU30は、メインコントローラ17と一体でもよい。
○ 第1実施形態及び第2実施形態において、各超音波センサ21a~21gは、送信用の圧電振動子と受信用の圧電振動子とを備える超音波センサであってもよい。
【0137】
○ 第1実施形態の推定モードM2において、第2超音波センサ21bから超音波を送信した後、第1超音波センサ21aから超音波を送信してもよい。
○ 第1実施形態の推定モードM2において、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから個別に超音波を送信した後で、障害物の方向を推定してもよい。
【0138】
○ 第2実施形態の第1推定モードMa2において、超音波の送信が個別に行われるのであれば、第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gによる超音波の送信順は適宜変更してよい。第2実施形態の第2推定モードMb2において、第5超音波センサ21eから超音波を送信した後、第2超音波センサ21bから超音波を送信してもよい。第2実施形態の第3推定モードMc2において、第6超音波センサ21fから超音波を送信した後、第3超音波センサ21cから超音波を送信してもよい。
【0139】
○ 第2実施形態の第1推定モードMa2において、第1超音波センサ21a、第4超音波センサ21d、及び第7超音波センサ21gから個別に超音波を送信した後で、障害物の方向を推定してもよい。第2実施形態の第2推定モードMb2において、第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eから個別に超音波を送信した後で、障害物の方向を推定してもよい。第2実施形態の第3推定モードMc2において、第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fから個別に超音波を送信した後で、障害物の方向を推定してもよい。
【0140】
○ 第2実施形態において、例えば、例2-1では、第1~第3検出モードMa1~Mc1を一通り行った後で第1推定モードMa2を行ってもよい。ただし、第1検出モードMa1で障害物を検出した直後に第1推定モードMa2を行った方が、第2検出モードMb1及び第3検出モードMc1の完了を待たずに障害物の方向を推定できるため、障害物の方向の推定に要する時間を短縮できる。
【0141】
また、第2実施形態において、例えば、例2-2では、第1~第3検出モードMa1~Mc1を一通り行った後で第2推定モードMb2を行ってもよい。ただし、第2検出モードMb1で障害物を検出した直後に第2推定モードMb2を行った方が、第3検出モードMc1の完了を待たずに障害物の方向を推定できるため、障害物の方向の推定に要する時間を短縮できる。
【0142】
○ フォークリフト10は、自動で運転が行われるフォークリフトであってもよい。
○ 障害物検出装置20は、乗用車、トーイングトラクタ等の産業車両、自律移動するロボット等、障害物の検出を要する装置であれば、どのような装置に搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0143】
20…障害物検出装置、21…超音波センサ群、21a~21g…超音波センサとしての第1~第7超音波センサ、211~213…超音波センサ群としての第1~第3超音波センサ群、A…検出範囲。