IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-コネクタ 図1
  • 特許-コネクタ 図2
  • 特許-コネクタ 図3
  • 特許-コネクタ 図4
  • 特許-コネクタ 図5
  • 特許-コネクタ 図6
  • 特許-コネクタ 図7
  • 特許-コネクタ 図8
  • 特許-コネクタ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6581 20110101AFI20221227BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20221227BHJP
【FI】
H01R13/6581
H01R12/71
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019111718
(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公開番号】P2020205163
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 泰徳
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-269107(JP,A)
【文献】特開2002-151207(JP,A)
【文献】特表平10-510949(JP,A)
【文献】特開2000-067955(JP,A)
【文献】特開2010-146776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部および取付部を有するハウジングと、前記収容部に収容される端子と、前記取付部に取り付けられ、電磁波をシールドするシールド部材とを備え、
前記取付部は、前記収容部からの距離が異なる複数位置に設けられ、前記収容部を挟んで、第1方向の両側に配置される第1取付部と、前記第1方向と交差する第2方向の両側に配置される第2取付部とを有し、
前記シールド部材は、前記収容部から前記第1方向の距離が異なる複数の前記第1取付部に対して共用される同一形状の板材である複数の第1シールド板と、前記収容部から前記第2方向の距離が異なる複数の前記第2取付部に対して共用される同一形状の板材である複数の第2シールド板とを有しているコネクタ。
【請求項2】
前記取付部は、溝状をなし、一端が前記ハウジングの一面に開口している請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1シールド板および前記第2シールド板は、互いに交差して接触する第1接触部および第2接触部を有している請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記シールド部材は、回路基板に接続される基板接続部を有し、前記ハウジングは、前記基板接続部を介して、前記回路基板に固定される請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたコネクタは、複数の端子収容室を有するコネクタハウジングと、コネクタハウジングの外周を取り囲む遮蔽用シェルとを備えている。遮蔽用シェルは、グランド用電線に電気的に接続され、グランド回路を構成する。コネクタハウジングは、隣接する端子収容室間に介在する隔壁を有している。隔壁には、コネクタのインピーダンスをケーブルに整合させるための肉抜き部が設けられている。コネクタの伝送特性は、遮蔽用シェルおよび肉抜き部によって調整され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-123025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、仮に、コネクタが嵌合される相手側部材が変更されると、変更された相手側部材の伝送特性に応じて、ハウジングの形状などを変更しなければならない。その結果、製造コストが増加するという問題がある。
【0005】
そこで、製造コストの上昇を抑えて伝送特性を調整することが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、収容部および取付部を有するハウジングと、前記収容部に収容される端子と、前記取付部に取り付けられ、電磁波をシールドするシールド部材とを備え、前記取付部は、前記収容部からの距離が異なる複数位置に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、製造コストの上昇を抑えて伝送特性を調整することが可能なコネクタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態にかかるコネクタにおいて、ハウジングの斜視図である。
図2図2は、ハウジングの平面図である。
図3図3は、第1シールド板を第1方向から見た図である。
図4図4は、第2シールド板を第2方向から見た図である。
図5図5は、第1シールド板が外側の第1取付部に取り付けられ、第2シールド板が外側の第2取付部に取り付けられた状態をあらわす斜視図である。
図6図6は、図5の状態において、外側の第1嵌合部と外側の第2嵌合部とが嵌り合い、第1接触部と第2接触部とが接触した部分の拡大斜視図である。
図7図7は、第1シールド板が内側の第1取付部に取り付けられ、第2シールド板が内側の第2取付部に取り付けられた状態をあらわす斜視図である。
図8図8は、図7状態において、内側の第1嵌合部と内側の第2嵌合部とが嵌り合い、第1接触部と第2接触部とが接触した部分の拡大斜視図である。
図9図9は、ハウジングの収容部に端子金具が収容された状態を第1方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)収容部および取付部を有するハウジングと、前記収容部に収容される端子と、前記取付部に取り付けられ、電磁波をシールドするシールド部材とを備え、前記取付部は、前記収容部からの距離が異なる複数位置に設けられている。この構成によれば、複数の取付部のうちから選択した適宜の取付部にシールド部材を取り付けることで、相手側部材の伝送特性に合わせることができるから、伝送特性の調整のためにハウジングなどを新たに設ける必要がない。その結果、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0010】
(2)前記取付部は、溝状をなし、一端が前記ハウジングの一面に開口しているのが好ましい。この構成によれば、取付部を成形する金型構造が特に複雑になることがない。また、シールド部材を取付部に圧入などして容易に取り付けることができる。
【0011】
(3)前記取付部は、前記収容部を挟んで、第1方向の両側に配置される第1取付部と、前記第1方向と交差する第2方向の両側に配置される第2取付部とを有し、前記シールド部材は、前記第1取付部に取り付けられる第1シールド板と、前記第2取付部に取り付けられる第2シールド板とを有していると良い。この構成によれば、第1取付部に対する第1シールド板の取付位置および第2取付部に対する第2シールド板の取付位置を変更することができるため、伝送特性を調整する際の選択幅を広げることができる。
【0012】
(4)前記第1シールド板は、前記収容部から前記第1方向の距離が異なる複数の前記第1取付部に対して共用される同一形状の板材であり、前記第2シールド板は、前記収容部から前記第2方向の距離が異なる複数の前記第2取付部に対して共用される同一形状の板材であると良い。この構成によれば、第1シールド板および第2シールド板を複数種設ける必要がなく、部品点数が増加するのを防止することができる。
【0013】
(5)前記第1シールド板および前記第2シールド板は、互いに交差して接触する第1接触部および第2接触部を有していると良い。この構成によれば、第1シールド板および第2シールド板が第1接触部および第2接触部を介して電気的に接続されるため、第1シールド板および第2シールド板のそれぞれに個別のアース回路(グランド回路)を設ける必要がない。
【0014】
(6)前記シールド部材は、回路基板に接続される基板接続部を有し、前記ハウジングは、前記基板接続部を介して、前記回路基板に固定されると良い。これによれば、シールド部材とは別に、ハウジングを回路基板に固定するための部材を設ける必要がなく、コネクタの構造を簡素化することができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
本実施形態にかかるコネクタは、ハウジング10と、ハウジング10に収容される端子金具40と、ハウジング10に取り付けられるシールド部材50、51とを備えている。
【0017】
<ハウジング10>
ハウジング10は合成樹脂製であって、図1および図2に示すように、複数の収容部11を有している。各収容部11は、左右に対をなし、ハウジング10を上下に貫通する断面矩形の孔として構成される。端子金具40は、収容部11内に挿入される(図9を参照)。
【0018】
ハウジング10は、各収容部11の並び方向を長手方向とし、各収容部11の並び方向と直交する方向を短手方向とする平面視長方形の外形形状を呈している。本開示においては、図1および図2に示すように、ハウジング10の長手方向を第1方向とし、ハウジング10の短手方向を第2方向とする。
【0019】
ハウジング10は、各収容部11(ハウジング10の中心部)から外側(径方向外側、外周側)への距離が異なる複数位置に、取付部12~15を有している。各取付部は、各収容部11を挟んだ第1方向の両側に並んで配置される第1取付部12、13と、各収容部11を挟んだ第2方向の両側に並んで配置される第2取付部14、15とで構成される。
【0020】
各第1取付部は、第1方向に見たときに、各収容部11からの距離が短い内側の第1取付部12と、各収容部11からの距離が長い外側の第1取付部13とを有している。内側の第1取付部12は、各収容部11の第1方向の両側に、各収容部11と近接して配置される。外側の第1取付部13は、各収容部11の第1方向の両側に、各収容部11から離れて配置される。
【0021】
内側および外側の各第1取付部12、13は、上下方向に延びる溝状をなし、上端がハウジング10の上面に開口し、下端がハウジング10の下面側に形成された支持部16で閉じられている。また、内側および外側の各第1取付部12、13は、平面視において第2方向に細長く延びるスリット形状をなし、互いに平行に配置される。
【0022】
各第2取付部は、第2方向に見たときに、各収容部11からの距離が短い内側の第2取付部14と、各収容部11からの距離が長い外側の第2取付部15とを有している。内側の第2取付部14は、各収容部11の第2方向の両側に、各収容部11と近接して配置される。外側の第2取付部15は、各収容部11の第2方向の両側に、各収容部11から離れて配置される。
【0023】
内側および外側の各第2取付部14、15は、上下方向に延びる溝状をなし、上端がハウジング10の上面に開口し、下端がハウジング10の下面に開口している。また、内側および外側の各第2取付部14、15は、平面視において第1方向に細長く延びるスリット形状をなし、互いに平行に配置される。
【0024】
ハウジング10は、四隅部分に、角柱状の隅部17を有している。各取付部12~15は、ハウジング10の四隅部分において、隅部17の上面側で互いに交差している。具体的には、各第1取付部12、13は、それぞれ、第2方向の両端部において、各第2取付部14、15と直角に交差して連通している。各第2取付部14、15は、それぞれ、第1方向の両端部において、各第1取付部12、13と直角に交差して連通している。隅部17の上面の外周には、各取付部12~15の端部における溝面が平面視四角形に凹設されている。
【0025】
ハウジング10の四つの側面のうち、第1方向で互いに反対側を向く第1側面18は、第2方向の中間部に、上下方向の全長にわたって一定幅に切り欠かれた形態の第1切欠部19を有している。外側の第1取付部13は、第1切欠部19を介してハウジング10の第1側面18側に開口している。
【0026】
ハウジング10の四つの側面のうち、第2方向で互いに反対側を向く第2側面20は、第1方向の中間部に、上下方向の全長にわたって一定幅に切り欠かれた形態の第2切欠部21を有している。外側の第2取付部15は、第2切欠部21を介してハウジング10の第2側面20側に開口している。第2切欠部21の開口幅は、第1切欠部19の開口幅より大きくされている。
【0027】
ハウジング10における内側の第2取付部14と外側の第2取付部15との間に形成された隔壁22は、第1方向の中間部に、上下方向の全長にわたって一定幅に切り欠かれた形態の内側の切欠部23を有している。内側の切欠部23は、第2切欠部21を隔壁22に投影して形成される領域に第2切欠部21に対応する形状になっている。
【0028】
<シールド部材50、51>
シールド部材50、51は、金属製の板材であって、各取付部12~15から選択される適宜の取付部に取り付けられる。シールド部材は、図5および図7に示すように、内側および外側の各第1取付部12、13に共通して取り付けられる第1シールド板50と、内側および外側の各第2取付部14、15に共通して取り付けられる第2シールド板51とで構成される。
【0029】
第1シールド板50は、図3に示すように、上下方向および第2方向に沿った矩形平板状の第1シールド本体52と、第1シールド本体52の上端から第2方向の両側に突出する突片状の第1接触部53とを有している。第1シールド板50の板厚は、第1取付部12、13の開口幅(第1方向の開口寸法)と同じかまたは第1取付部12、13の開口幅より大きくされている。第1シールド板50は、第1取付部12、13に上方から圧入される。
【0030】
第1接触部53は、第1シールド本体52寄りの位置に、内側の第1嵌合部54を有し、第1シールド本体52から離れた端部側に、外側の第1嵌合部55を有している。内側および外側の各第1嵌合部54、55は、第1接触部53の下端に矩形状に開口している。外側の第1嵌合部55は、第1接触部53の第2方向の端部にも開口している。
【0031】
第2シールド板51は、図4に示すように、上下方向および第1方向に沿った矩形平板状の第2シールド本体56と、第2シールド本体56の上端から第1方向の両側に突出する突片状の第2接触部57と、第2シールド本体56の下端から第2方向に突出する基板接続部58とを有している。第2シールド本体56の板幅は、第1シールド本体52の板幅より大きくされている。
【0032】
第2シールド本体56および基板接続部58は、相互の板面が直交し、第1方向から見てL字形を呈している(図9を参照)。第2シールド本体56は、第1方向の両側の下端部に、矩形状の段付き部59を有している。第2シールド本体56の下端は、段付き部59を介して幅狭に形成されている。基板接続部58は、第2シールド本体56の下端に全長にわたって連設されている。図9に示すように、基板接続部58は、下面(下方を向く板面)が回路基板90の表面に沿って配置され、回路基板90に半田付けして固定される。また、基板接続部58は、回路基板90にアース接続される。
【0033】
第2シールド板51の板厚は、第2取付部14、15の開口幅(第2方向の開口寸法)と同じかまたは第2取付部14、15の開口幅より大きくされている。基板接続部58の板幅は、第2切欠部21の溝幅(内側の切欠部23の溝幅も同じ)より小さくされている。第2シールド板51は、第2取付部14、15に上方から圧入される。
【0034】
図4に示すように、第2接触部57は、第2シールド本体56寄りの位置に、内側の第2嵌合部60を有し、第2シールド本体56から離れた端部側に、外側の第2嵌合部61を有している。内側および外側の各第2嵌合部60、61は、第2接触部57の上端に矩形状に開口している。外側の第2嵌合部61は、第2接触部57の第1方向の端部にも開口している。
【0035】
<端子金具40>
端子金具40は、導電性の金属板を曲げ加工などして一体に成形される。図9に示すように、端子金具40は、基部41と、基部41から上方に突出する一対の弾性片42と、基部41の下端から側方に突出するリード部43とを有している。各弾性片42は、互いに対向して配置される。各弾性片42間には相手側端子30の接続部分が挿入されて電気的に接続される。基部41は、ハウジング10に係止される図示しない係止構造を有している。リード部43は、端子金具40が収容部11に挿入された状態で、ハウジング10の下方に配置され、先端部が第1方向の外側に突出して配置される。リード部43は、下面(下方を向く板面)が回路基板90の表面に沿って配置され、回路基板90に形成された導電部分に半田付けして接続される。
【0036】
<シールド部材50、51の取付構造>
本実施形態のシールド部材は、既述したとおり、第1シールド板50と第2シールド板51の2種類の板材で構成される。ハウジング10には、各収容部11を挟んだ第1方向の両側に第1シールド板50が対をなして配置され、各収容部11を挟んだ第2方向の両側に第2シールド板51が対をなして配置される。対をなす第1シールド板50は互いに同一形状とされ、対をなす第2シールド板51も互いに同一形状とされる。
【0037】
例えば、図5に示す態様の場合、各収容部11を挟んだ第2方向の両側に配置される外側の第2取付部15にそれぞれ第2シールド板51が上方から圧入して装着され、次いで、各収容部11を挟んだ第1方向の両側に配置される外側の第1取付部13にそれぞれ第1シールド板50が上方から圧入して装着される。
【0038】
第2シールド板51の第2接触部57は、隅部17の外側の溝面上に設置される。これにより、第2シールド板51の圧入動作が規制され、第2シールド板51が外側の第2取付部15に対して正規状態に装着される。第2シールド板51の基板接続部58は、第2切欠部21を通して第2方向の外側に突出して配置される。
【0039】
第1シールド板50の下端は、外側の支持部16に支持され得る。第1シールド板50の第1接触部53は、隅部17の外側の溝面上に設置される。これにより、第1シールド板50の圧入動作が規制され、第1シールド板50が外側の第1取付部13に対して正規状態に装着される。
【0040】
図6に示すように、第1接触部53の外側の第1嵌合部55が第2接触部57の外側の第2嵌合部61に上方から嵌り込み、第1接触部53および第2接触部57が互いに直交した状態で噛み合うように接触する。
【0041】
その後、コネクタは、回路基板90の表面に設置され、第2シールド板51の基板接続部58および端子金具40のリード部43が回路基板90に半田付けして接続される。第2シールド板51が回路基板90にアース接続されると、第1接触部53および第2接触部57を介して、第1シールド板50もアースされる。
【0042】
また、例えば、図7に示す態様の場合、各収容部11を挟んだ第2方向の両側に配置される内側の第2取付部14にそれぞれ第2シールド板51が上方から圧入して装着され、次いで、各収容部11を挟んだ第1方向の両側に配置される内側の第1取付部12にそれぞれ第1シールド板50が上方から圧入して装着される。
【0043】
第2シールド板51の第2接触部57は、隅部17の内側の溝面上に設置される。これにより、第2シールド板51の圧入動作が規制され、第2シールド板51が内側の第2取付部14に対して正規状態に装着される。第2シールド板51の基板接続部58は、内側の切欠部23および第2切欠部21を通して第2方向の外側に突出して配置される。
【0044】
第1シールド板50の下端は、内側の支持部16に支持され得る。第1シールド板50の第1接触部53は、隅部17の内側の溝面上に設置される。これにより、第1シールド板50の圧入動作が規制され、第1シールド板50が内側の第1取付部12に対して正規状態に装着される。
【0045】
図8に示すように、第1接触部53の内側の第1嵌合部54が第2接触部57の内側の第2嵌合部60に上方から嵌り込み、第1接触部53および第2接触部57が互いに直交した状態で噛み合うように接触する。その後、コネクタが回路基板90の表面に設置され、第2シールド板51の基板接続部58および端子金具40のリード部43が回路基板90に半田付けして接続される。
【0046】
図7に示す態様は、図5に示す態様よりも相手側部材(相手側のコネクタなど)のインピーダンスが高くなる場合に適用されると良く、そうすることで全体の伝送特性が良好に調整され、相手側部材の変更などに柔軟に対応することができる。
【0047】
このように、本実施形態によれば、複数の取付部12~15のうちから選択した適宜の取付部にシールド部材50、51を取り付けることで、相手側部材の伝送特性に合わせることができるから、伝送特性の調整のためにハウジングなどを新たに設ける必要がなく、製造コストの上昇を抑えることができる。


【0048】
また、各取付部12~15がいずれも溝状に形成されているから、各取付部12~15を成形する金型構造が特に複雑になることがない。しかも、シールド部材50、51を各取付部12~15に圧入することで簡単に取り付けることができる。
【0049】
また、シールド部材が第1シールド板50と第2シールド板51とを有し、複数種の板材を組み合わせて構成されるから、各取付部12~15に対するシールド部材50、51の取付位置を選択する際のバリエーション幅を広げることができる。
【0050】
また、第1シールド板50が内側および外側の各第1取付部12、13に対して共用される同一形状の板材であり、第2シールド板51も内側および外側の各第2取付部14、15に対して共用される同一形状の板材であるため、部品点数が増加するのを防止することができる。
【0051】
また、第1シールド板50および第2シールド板51は、互いに交差して接触する第1接触部53および第2接触部57を有しているため、第1シールド板50および第2シールド板51のそれぞれに個別のアース回路(グランド回路)を設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができる。
【0052】
さらに、第1接触部53には内側および外側の各第2取付部14、15と対応する位置に第2シールド板51との接触部分となる内側の第1嵌合部54および外側の第1嵌合部55が並んで配置され、第2接触部57には内側および外側の各第1取付部12、13と対応する位置に第1シールド板50との接触部分となる内側の第2嵌合部60および外側の第2嵌合部61が並んで配置される。このため、第1シールド板50および第2シールド板51は、互いの相対位置が変更されても接触状態を維持することができる。その結果、多様な伝送特性に簡単に対応することができる。
【0053】
さらにまた、第2シールド板51が基板接続部58を有し、ハウジング10が基板接続部58を介して回路基板90に固定されるため、ハウジング10を回路基板90に固定するための専用の部材を設ける必要がなく、コネクタの構造を簡素化することができる。
【0054】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態の場合、各取付部12~15は溝状に形成されていたが、他の実施形態としては、各取付部はシールド部材を取り付け可能であれば溝状に形成されていなくても良い。例えば、外側の各取付部の少なくとも一つは、ハウジングの側面に突設される突部またはハウジングの側面に凹設される凹部であって良い。この場合、シールド部材には、突部または凹部と係止可能な係止構造が設けられていると良い。
【0055】
上記実施形態の場合、シールド部材50、51は各取付部12~15のそれぞれに個別に取り付け可能なように平板状に形成されていたが、他の実施形態としては、シールド部材は各取付部にまたがって一括して取り付け可能なように筒状に形成されていても良い。
【0056】
上記実施形態の場合、ハウジング10の内側と外側の2箇所に取付部12~15が設けられていたが、他の実施形態としては、ハウジングの内外方向(ハウジングの中心部から外側に向かう方向)の3箇所以上に取付部が設けられていても良い。
【0057】
上記実施形態の場合、第2シールド板51に基板接続部58が設けられていたが、他の実施形態としては、第1シールド板に基板接続部が設けられていても良く、あるいは、第1シールド板と第2シールド板の双方に基板接続部が設けられていても良い。もっとも、シールド部材は基板接続部を有しない形態であっても良い。
【0058】
上記実施形態の場合、ハウジング10が平面視長方形の外形形状を呈し、ハウジング10の長手方向が第1方向とされ、ハウジング10の短手方向が第2方向とされたが、他の実施形態として、ハウジングが平面視正方形の外形形状を呈する場合、一側面と平行な方向が第1方向とされ、一側面と直交する他側面と平行な方向が第2方向とされると良い。
【0059】
上記実施形態の場合、ハウジング10が平面視長方形の外形形状を呈していたが、他の実施形態として、ハウジングが平面視円形の外形形状を呈していても良い。この場合、シールド部材は、全体として円筒状に形成されると良い。
【0060】
上記実施形態に場合、シールド部材50、51がいずれも外側の取付部13、15に取り付けられる第1態様とシールド部材50、51がいずれも内側の取付部12、14に取り付けられる第2態様とを示したが、他の実施形態としては、例えば、第1シールド板が外側の第1取付部に取り付けられ、第2シールド板が内側の第2取付部に取り付けられる態様であっても良く、あるいは、第1シールド板が内側の第1取付部に取り付けられ、第2シールド板が外側の第2取付部に取り付けられる態様であっても良い。
【符号の説明】
【0061】
10…ハウジング
11…収容部
12…内側の第1取付部(取付部)
13…外側の第1取付部(取付部)
14…内側の第2取付部(取付部)
15…外側の第2取付部(取付部)
16…支持部
17…隅部
18…第1側面
19…第1切欠部
20…第2側面
21…第2切欠部
22…隔壁
23…内側の切欠部
30…相手側端子
40…端子金具
41…基部
42…弾性片
43…リード部
50…第1シールド板(シールド部材)
51…第2シールド板(シールド部材)
52…第1シールド本体
53…第1接触部
54…内側の第1嵌合部
55…外側の第1嵌合部
56…第2シールド本体
57…第2接触部
58…基板接続部
59…段付き部
60…内側の第2嵌合部
61…外側の第2嵌合部
90…回路基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9