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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20221227BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
H02M3/155 W
G05F1/56 310V
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019183123
(22)【出願日】2019-10-03
(65)【公開番号】P2021061655
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健一
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-127195(JP,A)
【文献】特開2014-99995(JP,A)
【文献】特開平10-260743(JP,A)
【文献】特許第6552774(JP,B1)
【文献】特開2003-157117(JP,A)
【文献】特開2015-53808(JP,A)
【文献】特開2015-128345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00-3/44
G05F 1/12-1/44
1/45-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの入力電圧を目標出力電圧に電圧変換して出力側に接続される負荷へ出力するレギュレータを複数有し、前記複数のレギュレータが並列接続されている電源装置であって、
出力側へ電流を出力可能であり、且つ出力側から電流を引き込むことが可能である通常モードと、出力側からの電流の引き込みを不能とし、且つ出力側への電流の出力のみを可能とする補正モードと、に前記レギュレータの動作を切り替え可能なモード切替部と、
前記レギュレータからの出力電流が流れているか否かを判定する判定部と、
前記レギュレータの前記目標出力電圧を設定する目標出力電圧設定部と、を備え、
前記モード切替部は、前記複数のレギュレータのうちの少なくとも一つを補正対象とし、前記補正対象であるレギュレータの動作を、前記通常モードから前記補正モードに切り替え、
前記判定部によって前記補正モードに切り替えられた前記補正対象であるレギュレータからの出力電流が流れていないと判定された場合には、前記目標出力電圧設定部は、前記補正対象であるレギュレータの前記目標出力電圧を上げる補正を行い、当該補正を行った結果、前記判定部によって前記補正対象であるレギュレータからの出力電流が流れていると判定された場合、前記モード切替部は、前記補正対象であるレギュレータの動作を、前記補正モードから前記通常モードに切り替えるとともに、
前記判定部によって前記補正モードに切り替えられた前記補正対象であるレギュレータからの出力電流が流れていると判定された場合には、前記目標出力電圧設定部は、前記補正対象であるレギュレータの前記目標出力電圧を下げる補正を行い、当該補正を行った結果、前記判定部によって前記補正対象であるレギュレータからの出力電流が流れていないと判定された場合、前記モード切替部は、前記補正対象であるレギュレータの動作を、前記補正モードから前記通常モードに切り替えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記レギュレータは、直列に接続される上アームトランジスタ及び下アームトランジスタを有し、
前記モード切替部によって、前記補正対象であるレギュレータの動作が前記通常モードから前記補正モードに切り替えられたときには、前記補正対象であるレギュレータの前記下アームトランジスタはオフとされ、
前記モード切替部によって、前記補正対象であるレギュレータの動作が前記補正モードから前記通常モードに切り替えられたときには、前記補正対象であるレギュレータの前記上アームトランジスタ及び下アームトランジスタはオンオフ動作が行われることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記レギュレータは、平滑回路を有するスイッチングレギュレータであることを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記レギュレータは、シリーズレギュレータであることを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記モード切替部は、前記負荷が軽負荷状態もしくは無負荷状態のときに、前記補正対象であるレギュレータの動作を、前記通常モードから前記補正モードに切り替えることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレギュレータが並列接続されている電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、電源からの入力電圧を目標出力電圧に電圧変換して出力側に接続される負荷へ出力するレギュレータを複数有し、複数のレギュレータが並列接続されている電源装置が開示されている。このように、複数のレギュレータを並列接続することにより、各レギュレータの負担が軽減されるとともに、各レギュレータの大型化を抑えつつも、大電流を負荷に出力することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-103869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各レギュレータからの出力電圧には、各レギュレータの個体差に起因したバラツキが生じる。このため、出力電圧が高いレギュレータは、出力電圧が低いレギュレータよりも多くの電流を負荷に出力することになり、出力電圧の高いレギュレータの発熱量が大きくなってしまう虞がある。したがって、各レギュレータからの出力電圧の差を極力小さくすることにより、各レギュレータからの出力電流の差を小さくし、各レギュレータの発熱量のアンバランスを抑えることが望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、各レギュレータの発熱量のアンバランスを抑えることができる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電源装置は、電源からの入力電圧を目標出力電圧に電圧変換して出力側に接続される負荷へ出力するレギュレータを複数有し、前記複数のレギュレータが並列接続されている電源装置であって、出力側へ電流を出力可能であり、且つ出力側から電流を引き込むことが可能である通常モードと、出力側からの電流の引き込みを不能とし、且つ出力側への電流の出力のみを可能とする補正モードと、に前記レギュレータの動作を切り替え可能なモード切替部と、前記レギュレータからの出力電流が流れているか否かを判定する判定部と、前記レギュレータの前記目標出力電圧を設定する目標出力電圧設定部と、を備え、前記モード切替部は、前記複数のレギュレータのうちの少なくとも一つを補正対象とし、前記補正対象であるレギュレータの動作を、前記通常モードから前記補正モードに切り替え、前記判定部によって前記補正モードに切り替えられた前記補正対象であるレギュレータからの出力電流が流れていないと判定された場合には、前記目標出力電圧設定部は、前記補正対象であるレギュレータの前記目標出力電圧を上げる補正を行い、当該補正を行った結果、前記判定部によって前記補正対象であるレギュレータからの出力電流が流れていると判定された場合、前記モード切替部は、前記補正対象であるレギュレータの動作を、前記補正モードから前記通常モードに切り替えるとともに、前記判定部によって前記補正モードに切り替えられた前記補正対象であるレギュレータからの出力電流が流れていると判定された場合には、前記目標出力電圧設定部は、前記補正対象であるレギュレータの前記目標出力電圧を下げる補正を行い、当該補正を行った結果、前記判定部によって前記補正対象であるレギュレータからの出力電流が流れていないと判定された場合、前記モード切替部は、前記補正対象であるレギュレータの動作を、前記補正モードから前記通常モードに切り替える。
【0007】
これによれば、補正後のレギュレータからの出力電圧が、補正モードに切り替わる前の出力電圧よりも高い電圧になったり、低い電圧となったりするため、その他のレギュレータからの出力電圧との差が小さくなる。その結果、各レギュレータからの出力電流の差を容易に小さくすることができる。
【0008】
ここで、例えば、各レギュレータが、通常モードにおいて、出力側からの電流の引き込みを不能とし、且つ出力側への電流の出力のみを可能とするレギュレータとしてそれぞれ動作する場合を考える。この場合、例えば、負荷に出力される出力電流は、出力電圧が最も高いレギュレータからの出力電流と等しくなってしまう。したがって、各レギュレータからの出力電圧の補正を行ったとしても、出力電圧が最も高いレギュレータのみが電流を出力することになるため、出力電圧が最も高いレギュレータの発熱量が、その他のレギュレータの発熱量に比べて極端に大きくなってしまう。
【0009】
そこで、各レギュレータは、通常モードにおいて、出力側へ電流を出力可能であり、且つ出力側から電流を引き込むことが可能であるレギュレータとして動作する。このため、負荷に出力される出力電流は、各レギュレータからの出力電流の和になる。したがって、各レギュレータからの出力電流の差が小さくなることにより、各レギュレータの発熱量のアンバランスを抑えることができる。
【0010】
上記電源装置において、前記レギュレータは、直列に接続される上アームトランジスタ及び下アームトランジスタを有し、前記モード切替部によって、前記補正対象であるレギュレータの動作が前記通常モードから前記補正モードに切り替えられたときには、前記補正対象であるレギュレータの前記下アームトランジスタはオフとされ、前記モード切替部によって、前記補正対象であるレギュレータの動作が前記補正モードから前記通常モードに切り替えられたときには、前記補正対象であるレギュレータの前記上アームトランジスタ及び下アームトランジスタはオンオフ動作が行われるとよい。
【0011】
このような構成は、出力側へ電流を出力可能であり、且つ出力側から電流を引き込むことが可能である通常モードと、出力側からの電流の引き込みを不能とし、且つ出力側への電流の出力のみを可能とする補正モードと、を実現する構成として好適である。
【0012】
上記電源装置において、前記レギュレータは、平滑回路を有するスイッチングレギュレータであるとよい。
上記電源装置において、前記レギュレータは、シリーズレギュレータであるとよい。
【0013】
上記電源装置において、前記モード切替部は、前記負荷が軽負荷状態もしくは無負荷状態のときに、前記補正対象であるレギュレータの動作を、前記通常モードから前記補正モードに切り替えるとよい。
【0014】
「負荷の軽負荷状態」とは、複数のレギュレータのうちの少なくとも1つが補正モードに切り替わっているときに、複数のレギュレータのうち、電源装置の出力電流と等しい出力電流を流すレギュレータで過電流や過電圧が発生することが無い負荷の状態をいう。これによれば、モード切替部は、負荷が軽負荷状態もしくは無負荷状態のときに、補正対象であるレギュレータを、通常モードから補正モードに切り替えているため、出力電圧が最も高いレギュレータの負担が過度に大きくなることを抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、各レギュレータの発熱量のアンバランスを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態における電源装置を示す回路図。
図2】(a)及び(b)は電流の流れを説明するための回路図、(c)は三角波の電流波形を示すグラフ。
図3】(a)及び(b)は電流の流れを説明するための回路図、(c)は三角波の電流波形を示すグラフ。
図4】制御装置の制御を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、電源装置を具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。
図1に示すように、電源装置10は、レギュレータである第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21を有している。したがって、電源装置10は、レギュレータを複数有している。第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、電源B1からの入力電圧Vinを予め設定された目標出力電圧に電圧変換して出力側に接続される負荷LDへ出力する。第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、並列接続されている。
【0018】
第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、非絶縁型のDCDCコンバータである。第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、降圧型スイッチングレギュレータである。なお、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、互いに同じ構成である。
【0019】
第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、正極端子31、負極端子32、及び出力端子33をそれぞれ有している。各正極端子31は、電源B1の正極に接続されている。各負極端子32は、電源B1の負極に接続されている。そして、第1レギュレータ11は、電源B1から正極端子31に印加された入力電圧Vinを降圧して、出力端子33から出力電圧Vout1を出力する。第2レギュレータ21は、電源B1から正極端子31に印加された入力電圧Vinを降圧して、出力端子33から出力電圧Vout2を出力する。
【0020】
第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、直列に接続される上アームトランジスタ及び下アームトランジスタを有する。本実施形態の第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、スイッチングレギュレータであり、上アームトランジスタとしての駆動用スイッチング素子34、下アームトランジスタとしての同期整流素子35、及び平滑回路30をそれぞれ有している。本実施形態では、駆動用スイッチング素子34及び同期整流素子35は、PチャネルMOSFETであるが、トランジスタであればよく、NチャネルMOSFETやIGBTやバイポーラトランジスタでもよい。駆動用スイッチング素子34のドレインは、正極端子31に接続されている。駆動用スイッチング素子34のソースは、同期整流素子35のドレインに接続されている。同期整流素子35のソースは、負極端子32に接続されている。したがって、駆動用スイッチング素子34及び同期整流素子35は、電源B1に直列接続されている。
【0021】
駆動用スイッチング素子34及び同期整流素子35は、ボディダイオード34a,35aを各々備える。
第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、制御装置38をそれぞれ有している。制御装置38は、例えば、マイクロコンピュータを主体として構成される。制御装置38が実行する処理は、例えば、制御装置38の記憶部38aに記憶された処理をCPUが実行することにより行われる。なお、制御装置38が実行する処理は、例えば、専用の電子回路によるハードウェア処理によって行われてもよい。
【0022】
制御装置38は、駆動用スイッチング素子34のゲート及び同期整流素子35のゲートに接続されている。本実施形態の制御装置38は、目標の出力電圧を得るための基準電圧Vref1,Vref2と出力電圧を分圧したフィードバック電圧Vfb1,Vfb2とに基づいてパルス信号を生成する。パルス信号は、矩形波の信号である。
【0023】
制御装置38は、生成したパルス信号を駆動用スイッチング素子34のゲート及び同期整流素子35のゲートへ出力して、駆動用スイッチング素子34及び同期整流素子35のオンオフ動作(スイッチング動作)の制御を行う。駆動用スイッチング素子34及び同期整流素子35は、制御装置38から送信されるパルス信号により、オンオフ動作を行う。
【0024】
平滑回路30は、インダクタ36とコンデンサ37とを有しており、直列接続された駆動用スイッチング素子34と同期整流素子35との中点と出力端子33との間に設けられている。
【0025】
詳述すると、インダクタ36の一端は、駆動用スイッチング素子34のソースと同期整流素子35のドレインに接続されるとともに、インダクタ36の他端は、出力端子33に接続されている。コンデンサ37の一端は、インダクタ36の他端と出力端子33に接続されている。コンデンサ37の他端は、同期整流素子35のソース、ボディダイオード35aのアノード及び負極端子32に接続されている。
【0026】
第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、一対の分圧抵抗39a,39bをそれぞれ有している。分圧抵抗39aの一端は、インダクタ36の他端、コンデンサ37の一端及び出力端子33に接続されている。分圧抵抗39aの他端は、分圧抵抗39bの一端に接続されている。分圧抵抗39bの他端はグランドに接続されている。制御装置38は、分圧抵抗39aと分圧抵抗39bとの間に接続されている。
【0027】
第1レギュレータ11の一対の分圧抵抗39a,39bは、出力端子33から出力される出力電圧Vout1を分圧してフィードバック電圧Vfb1を生成する。フィードバック電圧Vfb1は、第1レギュレータ11の制御装置38に出力される。そして、第1レギュレータ11の制御装置38は、フィードバック電圧Vfb1と、予め設定されている第1レギュレータ11の基準電圧Vref1とが等しくなるように、第1レギュレータ11の駆動用スイッチング素子34及び同期整流素子35のオンオフ動作を制御して、出力電圧Vout1を生成する。
【0028】
基準電圧Vref1は、第1レギュレータ11の出力電圧Vout1が目標出力電圧となるように設定されている。つまり、基準電圧Vref1を補正することは、目標出力電圧を補正することといえる。したがって、第1レギュレータ11の制御装置38は、第1レギュレータ11の目標出力電圧を設定する目標出力電圧設定部として機能する。
【0029】
第2レギュレータ21の一対の分圧抵抗39a,39bは、出力端子33から出力される出力電圧Vout2を分圧してフィードバック電圧Vfb2を生成する。フィードバック電圧Vfb2は、第2レギュレータ21の制御装置38に出力される。そして、第2レギュレータ21の制御装置38は、フィードバック電圧Vfb2と、予め設定されている第2レギュレータ21の基準電圧Vref2とが等しくなるように、第2レギュレータ21の駆動用スイッチング素子34及び同期整流素子35のオンオフ動作を制御して、出力電圧Vout2を生成する。
【0030】
基準電圧Vref2は、第2レギュレータ21の出力電圧Vout2が目標出力電圧となるように設定されている。つまり、基準電圧Vref2を補正することは、目標出力電圧を補正することといえる。したがって、第2レギュレータ21の制御装置38は、第2レギュレータ21の目標出力電圧を設定する目標出力電圧設定部として機能する。
【0031】
第1レギュレータ11の出力端子33は、第1抵抗R1を介して負荷LDに接続されている。第2レギュレータ21の出力端子33は、第2抵抗R2を介して負荷LDに接続されている。詳述すると、第1レギュレータ11の出力端子33は、第1抵抗R1の一端に接続され、第2レギュレータ21の出力端子33は、第2抵抗R2の一端に接続されている。そして、第1抵抗R1の他端と第2抵抗R2の他端とが接続されるとともに、第1抵抗R1の他端と第2抵抗R2の他端との接続点C1が負荷LDに接続されている。つまり、第1レギュレータ11と第2レギュレータ21とは、並列接続され負荷LDに接続されている。なお、本実施形態では、第1抵抗R1及び第2抵抗R2の抵抗値Rはそれぞれ同じである。
【0032】
第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、電流センサ40をそれぞれ有している。電流センサ40は、インダクタ36の他端とコンデンサ37の一端との間に設けられている。第1レギュレータ11の電流センサ40は、第1レギュレータ11からの出力電流Iout1を検出する。第2レギュレータ21の電流センサ40は、第2レギュレータ21の出力電流Iout2を検出する。各電流センサ40は、各制御装置38にそれぞれ電気的に接続されている。第1レギュレータ11の電流センサ40により検出された出力電流Iout1の情報は、第1レギュレータ11の制御装置38に送信される。第2レギュレータ21の電流センサ40により検出された出力電流Iout2の情報は、第2レギュレータ21の制御装置38に送信される。
【0033】
第1レギュレータ11の制御装置38には、第1レギュレータ11の動作を通常モードと補正モードとに切り替え可能なプログラムが記憶部38aに予め記憶されている。したがって、第1レギュレータ11の制御装置38は、第1レギュレータ11の動作を通常モードと補正モードとに切り替え可能なモード切替部として機能する。また、第2レギュレータ21の制御装置38には、第2レギュレータ21の動作を通常モードと補正モードとに切り替え可能なプログラムが記憶部38aに予め記憶されている。したがって、第2レギュレータ21の制御装置38は、第2レギュレータ21の動作を通常モードと補正モードとに切り替え可能なモード切替部として機能する。
【0034】
まず、通常モードのときの第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21の動作について、図2を使って説明する。
図2(a)及び図2(b)に示すように、各制御装置38は、通常モードのときには、駆動用スイッチング素子34がオンオフ動作を行うように駆動用スイッチング素子34の駆動を制御するとともに、同期整流素子35がオンオフ動作を行うように同期整流素子35の駆動を制御する。したがって、通常モードのときには、同期整流素子35のオンオフ動作が行われる。通常モードでは、駆動用スイッチング素子34がオンのときには、同期整流素子35がオフとなり、駆動用スイッチング素子34がオフのときには、同期整流素子35がオンとなる。
【0035】
フィードバック電圧Vfb1,Vfb2が、基準電圧Vref1,Vref2よりも低い場合は、図2(a)に示すように、駆動用スイッチング素子34をオンとし、且つ同期整流素子35をオフとする。この場合、図2(a)において矢印a1で示すように、電源B1から正極端子31及び駆動用スイッチング素子34を通じてインダクタ36に電流が流れ、インダクタ36及びコンデンサ37によって平滑化され、出力端子33から出力される。
【0036】
フィードバック電圧Vfb1,Vfb2が、基準電圧Vref1,Vref2よりも高い場合は、図2(b)に示すように、駆動用スイッチング素子34をオフとし、且つ同期整流素子35をオンとする。この場合、図2(b)において矢印b1で示すように、出力側からの電流の引き込みが行われ、インダクタ36に対して電流が逆流する。
【0037】
第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21が、通常モードで動作しており、負荷LDが、インダクタ36に流れる電流が0A近傍となる軽負荷状態もしくは無負荷状態である場合には、接続点C1での電流波形は、図2(c)に示すように、0Aを跨いでマイナス側にも変化する連続モードとなる。つまり、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、通常モードでは、出力側へ電流を出力可能であり、且つ出力側から電流を引き込むことが可能である同期整流方式のレギュレータとして動作する。
【0038】
次に、補正モードのときの第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21の動作について、図3を使って説明する。
図3(a)及び図3(b)に示すように、各制御装置38は、通常モードから補正モードに切り替えられると、同期整流素子35が常にオフとなるように同期整流素子35の駆動を制御する。したがって、制御装置38によって通常モードから補正モードに切り替えられたときには、同期整流素子35は常時オフである。
【0039】
フィードバック電圧Vfb1,Vfb2が、基準電圧Vref1,Vref2よりも低い場合は、図3(a)に示すように、駆動用スイッチング素子34をオンとする。この場合、図3(a)において矢印a11で示すように、電源B1から正極端子31及び駆動用スイッチング素子34を通じてインダクタ36に電流が流れ、インダクタ36及びコンデンサ37によって平滑化され、出力端子33から出力される。
【0040】
フィードバック電圧Vfb1,Vfb2が、基準電圧Vref1,Vref2よりも高い場合は、図3(b)に示すように、駆動用スイッチング素子34をオフとする。同期整流素子35がオフされているため、通常モードのような出力側からの電流の引き込みが行われない。
【0041】
第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21が、補正モードで動作しており、負荷LDが、インダクタ36に流れる電流が0A近傍となる軽負荷状態もしくは無負荷状態である場合には、接続点C1での電流波形は、図3(c)に示すように、0Aを跨いでマイナス側には変化しない不連続モードとなる。つまり、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、補正モードでは、出力側からの電流の引き込みを不能とし、且つ出力側への電流の出力のみを可能とするダイオード整流方式(非同期整流方式)のレギュレータとして動作する。
【0042】
図1に示すように、第1レギュレータ11の制御装置38は、第1レギュレータ11の電流センサ40によって電流が検出された場合、第1レギュレータ11からの出力電流Iout1が流れていると判定する。一方、第1レギュレータ11の制御装置38は、第1レギュレータ11の電流センサ40によって電流が検出されない場合、第1レギュレータ11からの出力電流Iout1が流れていないと判定する。したがって、第1レギュレータ11の制御装置38は、第1レギュレータ11からの出力電流Iout1が流れているか否かを判定する判定部としても機能する。
【0043】
第2レギュレータ21の制御装置38は、第2レギュレータ21の電流センサ40によって電流が検出された場合、第2レギュレータ21からの出力電流Iout2が流れていると判定する。一方、第2レギュレータ21の制御装置38は、第2レギュレータ21の電流センサ40によって電流が検出されない場合、第2レギュレータ21からの出力電流Iout2が流れていないと判定する。したがって、第2レギュレータ21の制御装置38は、第2レギュレータ21からの出力電流Iout2が流れているか否かを判定する判定部としても機能する。
【0044】
負荷LDは、監視システム41によって、負荷LDの負荷状態が監視されている。監視システム41は、第1レギュレータ11の制御装置38及び第2レギュレータ21の制御装置38と通信可能に構成されている。そして、負荷LDの負荷状態に関する情報は、監視システム41から第1レギュレータ11の制御装置38及び第2レギュレータ21の制御装置38にそれぞれ送信される。
【0045】
第1レギュレータ11の制御装置38には、監視システム41から制御装置38に送信される負荷LDの負荷状態が、軽負荷状態もしくは無負荷状態である旨の情報を受信すると、補正対象である第1レギュレータ11の動作を通常モードから補正モードに切り替えるプログラムが記憶部38aに予め記憶されている。したがって、第1レギュレータ11の制御装置38は、負荷LDが軽負荷状態もしくは無負荷状態のときに、補正対象である第1レギュレータ11の動作を通常モードから補正モードに切り替える。
【0046】
同様に第2レギュレータ21の制御装置38には、監視システム41から制御装置38に送信される負荷LDの負荷状態が、軽負荷状態もしくは無負荷状態である旨の情報を受信すると、補正対象である第2レギュレータ21の動作を通常モードから補正モードに切り替えるプログラムが記憶部38aに予め記憶されている。したがって、第2レギュレータ21の制御装置38は、負荷LDが軽負荷状態もしくは無負荷状態のときに、補正対象である第2レギュレータ21の動作を通常モードから補正モードに切り替える。
【0047】
第1レギュレータ11の制御装置38の補正対象であるレギュレータは、第1レギュレータ11であり、第2レギュレータ21の制御装置38の補正対象であるレギュレータは、第2レギュレータ21である。
【0048】
制御装置38には、補正対象であるレギュレータ11,21の動作を通常モードから補正モードに切り替えた後、補正対象であるレギュレータ11,21からの出力電流Iout1,Iout2が流れていないと判定した場合には、補正対象であるレギュレータ11,21の目標出力電圧を上げる補正を行うためのプログラムが記憶部38aに予め記憶されている。そして、制御装置38には、補正対象であるレギュレータ11,21の目標出力電圧を上げる補正を行った結果、補正対象であるレギュレータ11,21からの出力電流Iout1,Iout2が流れていると判定された場合、補正対象であるレギュレータ11,21の動作を補正モードから通常モードに切り替えるプログラムが記憶部38aに予め記憶されている。
【0049】
また、制御装置38には、補正対象であるレギュレータ11,21の動作を通常モードから補正モードに切り替えた後、補正対象であるレギュレータ11,21からの出力電流Iout1,Iout2が流れていると判定した場合には、補正対象であるレギュレータ11,21の目標出力電圧を下げる補正を行うためのプログラムが記憶部38aに予め記憶されている。そして、制御装置38には、補正対象であるレギュレータ11,21の目標出力電圧を下げる補正を行った結果、補正対象であるレギュレータ11,21からの出力電流Iout1,Iout2が流れていないと判定された場合、補正対象であるレギュレータ11,21の動作を補正モードから通常モードに切り替えるプログラムが記憶部38aに予め記憶されている。
【0050】
次に、上記実施形態の作用について図4を使って説明する。
第1レギュレータ11の構成と第2レギュレータ21の構成とが同じであったとしても、第1レギュレータ11からの出力電圧Vout1及び第2レギュレータ21からの出力電圧Vout2は、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21それぞれの個体差に起因したバラツキが生じる。例えば、基準電圧Vref1,Vref2が製造バラツキによって変わると、設計時に目標とした出力電圧を出力できなくなる。ここでは、第2レギュレータ21からの出力電圧Vout2が第1レギュレータ11からの出力電圧Vout1よりも高い場合について説明する。
【0051】
この場合、第1レギュレータ11からの出力電流Iout1と、第2レギュレータ21からの出力電流Iout2との差ΔIは、ΔI=Iout2-Iout1である。また、第1レギュレータ11からの出力電圧Vout1と、第2レギュレータ21からの出力電圧Vout2との差ΔVは、ΔV=Vout2-Vout1である。ここで、第1抵抗R1及び第2抵抗R2の抵抗値Rがそれぞれ同じであるとすると、ΔI=ΔV/2Rの関係から、ΔVの値を小さくすれば、ΔIの値が小さくなることが分かる。つまり、第1レギュレータ11からの出力電圧Vout1と、第2レギュレータ21からの出力電圧Vout2との差ΔVが小さくなれば、結果として、第1レギュレータ11からの出力電流Iout1と、第2レギュレータ21からの出力電流Iout2との差ΔIが小さくなる。
【0052】
なお、本実施形態では、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21の動作は、初期状態において通常モードに設定されているものとし、第1レギュレータ11の補正と第2レギュレータ21の補正は同時に行われるものとする。
【0053】
最初に、第1レギュレータ11の補正について図4を使って説明する。
まず、第1レギュレータ11の制御装置38は、ステップS11において、監視システム41から受信した負荷LDの負荷状態が、軽負荷状態もしくは無負荷状態であるか否かを判定する。第1レギュレータ11の制御装置38は、ステップS11において、監視システム41から受信した負荷LDの負荷状態が、軽負荷状態もしくは無負荷状態ではないと判定すると、ステップS11に戻り、軽負荷状態もしくは無負荷状態と判定されるまでステップS11を繰り返す。
【0054】
第1レギュレータ11の制御装置38は、ステップS11において、監視システム41から受信した負荷LDの負荷状態が、軽負荷状態もしくは無負荷状態であると判定すると、ステップS12に移行する。そして、第1レギュレータ11の制御装置38は、ステップS12において、第1レギュレータ11を通常モードから補正モードに切り替える。
【0055】
次に、第1レギュレータ11の制御装置38は、ステップS13において、第1レギュレータ11からの出力電流Iout1が流れているか否かを判定する。このとき、第1レギュレータ11は、補正モードに切り替わっているため、出力側からの電流の引き込みを不能とし、且つ出力側への電流の出力のみを可能とするダイオード整流方式のレギュレータとして動作している。
【0056】
第2レギュレータ21からの出力電圧Vout2が第1レギュレータ11からの出力電圧Vout1よりも高く、第1レギュレータ11の動作が補正モードであるため、接続点C1における出力電流Ioutは、第2レギュレータ21からの出力電流Iout2と等しくなる。もし、第1レギュレータ11の制御装置38が、第1レギュレータ11のフィードバック電圧Vfb1が、基準電圧Vref1より高くても最小のデューティーで駆動用スイッチング素子34をオンとする機能を有している場合には、第1レギュレータ11の出力電流Iout1も若干流れる。しかし、本実施形態の第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、フィードバック電圧Vfb1が基準電圧Vref1よりも高い場合は、駆動用スイッチング素子34をオフとする。このため、第1レギュレータ11の出力電流Iout1は零となり、接続点C1における出力電流Ioutは、第2レギュレータ21からの出力電流Iout2と等しくなる。
【0057】
ここで、本実施形態では、制御装置38は、負荷LDの負荷状態が、軽負荷状態もしくは無負荷状態のときに、第1レギュレータ11を通常モードから補正モードに切り替えているため、第2レギュレータ21の負担が過度に大きくなることが抑えられている。「負荷LDの軽負荷状態」とは、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21のうちの少なくとも一方が補正モードに切り替わっているときに、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21のうち、電源装置10の接続点C1に流れる出力電流Ioutと等しい出力電流を流すレギュレータで過電流や過電圧が発生することが無い負荷の状態をいう。
【0058】
したがって、第1レギュレータ11の電流センサ40によって出力電流Iout1は検出されないため、第1レギュレータ11の制御装置38は、ステップS13において、第1レギュレータ11からの出力電流Iout1が流れていないと判定し、ステップS14に移行する。第1レギュレータ11の制御装置38は、ステップS14において、第1レギュレータ11の目標出力電圧を上げる補正を行う。本実施形態では、現在、制御装置38の記憶部38aに記憶されている基準電圧Vref1よりも高い値に基準電圧Vref1を補正し、制御装置38の記憶部38aに記憶する。基準電圧Vref1は、第1レギュレータ11の出力電圧Vout1が目標出力電圧となるように設定されているため、基準電圧Vref1が高くなるように補正することは、第1レギュレータ11の目標出力電圧を上げる補正を行っているといえる。
【0059】
そして、第1レギュレータ11の制御装置38は、ステップS15において、第1レギュレータ11からの出力電流Iout1が流れているか否かを判定する。第1レギュレータ11の制御装置38は、ステップS15において、第1レギュレータ11からの出力電流Iout1が流れていないと判定すると、ステップS14の処理に戻り、第1レギュレータ11からの出力電流Iout1が流れるまでステップS14とステップS15を繰り返す。
【0060】
一方、第1レギュレータ11の制御装置38は、ステップS15において、第1レギュレータ11からの出力電流Iout1が流れていると判定すると、ステップS16に移行する。そして、第1レギュレータ11の制御装置38は、ステップS16において、第1レギュレータ11の動作を補正モードから通常モードに切り替える。
【0061】
次に、第2レギュレータ21の補正について図4を使って説明する。
第2レギュレータ21の制御装置38は、ステップS11において、監視システム41から受信した負荷LDの負荷状態が、軽負荷状態もしくは無負荷状態であるか否かを判定する。第2レギュレータ21の制御装置38は、ステップS11において、監視システム41から受信した負荷LDの負荷状態が、軽負荷状態もしくは無負荷状態ではないと判定すると、ステップS11に戻り、軽負荷状態もしくは無負荷状態と判断されるまでステップS11を繰り返す。
【0062】
第2レギュレータ21の制御装置38は、ステップS11において、監視システム41から受信した負荷LDの負荷状態が、軽負荷状態もしくは無負荷状態であると判定すると、ステップS12に移行する。そして、第2レギュレータ21の制御装置38は、ステップS12において、第2レギュレータ21を通常モードから補正モードに切り替える。
【0063】
次に、第2レギュレータ21の制御装置38は、ステップS13において、第2レギュレータ21からの出力電流Iout2が流れているか否かを判定する。このとき、第2レギュレータ21は、駆動用スイッチング素子34がオンされているため、第2レギュレータ21の出力電流Iout2は流れている。
【0064】
したがって、第2レギュレータ21の制御装置38は、ステップS13において、第2レギュレータ21からの出力電流Iout2が流れていると判定し、ステップS25に移行する。第2レギュレータ21の制御装置38は、ステップS25において、第2レギュレータ21の目標出力電圧を下げる補正を行う。本実施形態では、現在、制御装置38の記憶部38aに記憶されている基準電圧Vref2よりも低い値に基準電圧Vref2を補正し、制御装置38の記憶部38aに記憶する。基準電圧Vref2は、第2レギュレータ21の出力電圧Vout2が目標出力電圧となるように設定されているため、基準電圧Vref2が低くなるように補正することは、第2レギュレータ21の目標出力電圧を下げる補正を行っているといえる。
【0065】
そして、第2レギュレータ21の制御装置38は、ステップS26において、第2レギュレータ21からの出力電流Iout2が流れているか否かを判定する。第2レギュレータ21の制御装置38は、ステップS26において、第2レギュレータ21からの出力電流Iout1が流れていると判定すると、ステップS25の処理に戻り、第2レギュレータ21からの出力電流Iout2が流れなくなるまでステップS25とステップS26を繰り返す。
【0066】
一方、第2レギュレータ21の制御装置38は、ステップS26において、第2レギュレータ21からの出力電流Iout2が流れていないと判定すると、ステップS16に移行する。そして、第2レギュレータ21の制御装置38は、ステップS16において、第2レギュレータ21の動作を補正モードから通常モードに切り替える。
【0067】
上記のような第1レギュレータ11の目標出力電圧の補正及び第2レギュレータ21の目標出力電圧の補正を行うことにより、出力電圧Vout1と、出力電圧Vout2との差ΔVが小さくなる。その結果、出力電流Iout1と、出力電流Iout2との差ΔIを小さくすることができる。したがって、本実施形態のように、第1レギュレータ11の補正及び第2レギュレータ21の補正を行えば、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21の発熱量のアンバランスが抑えられる。
【0068】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)第1レギュレータ11の補正又は第2レギュレータ21の補正を行うことにより、出力電圧Vout1と出力電圧Vout2との差ΔVが小さくなる。その結果、出力電流Iout1と、出力電流Iout2との差ΔIを小さくすることができる。
【0069】
(2)各制御装置38によって、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21それぞれの動作が通常モードから補正モードに切り替えられたときには、同期整流素子35はオフとされ、補正モードから通常モードに切り替えられたときには、駆動用スイッチング素子34及び同期整流素子35はオンオフ動作が行われる。このような構成は、出力側へ電流を出力可能であり、且つ出力側から電流を引き込むことが可能である通常モードと、出力側からの電流の引き込みを不能とし、且つ出力側への電流の出力のみを可能とする補正モードと、を実現する構成として好適である。
【0070】
(3)各制御装置38は、負荷LDが軽負荷状態もしくは無負荷状態のときに、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21それぞれの動作を、通常モードから補正モードに切り替える。これによれば、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21のうち、出力電圧が高いレギュレータの負担が過度に大きくなることを抑えることができる。
【0071】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0072】
○ 上記実施形態では、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、スイッチングレギュレータであったが、シリーズレギュレータに変更してもよい。
上記実施形態の第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21をシリーズレギュレータに変更する場合は、例えば、平滑回路30を削除し、駆動用スイッチング素子34及び同期整流素子35をアナログ信号によって制御する構成にすればよい。なお、上記実施形態の場合、下アームトランジスタは、同期整流素子であるが、シリーズレギュレータの場合、同じトランジスタではあるがパルス信号によって制御されないため、同期整流素子ではない。
【0073】
○ 上記実施形態において、レギュレータからの出力電流が流れているか否かの判定は、電流センサによって電流が検出されたか否かによって判定しているが、これに限られず、公知の種々の方法によって判定してもよい。例えば、レギュレータの温度や出力電圧値によって判定してもよいし、上記実施形態であれば、駆動用スイッチング素子34にパルス信号が入力されているか否かによって判定してもよい。また、レギュレータがシリーズレギュレータの場合は、二つのトランジスタのうち、電源B1の正極に接続されるトランジスタの電圧値が閾値電圧に達しているか否かによって判定してもよい。
【0074】
○ 上記実施形態において、例えば、第1レギュレータ11を通常モードから補正モードに切り替えるタイミングと、第2レギュレータ21を通常モードから補正モードに切り替えるタイミングとは、ずれていてもよく、例えば、第1レギュレータ11の補正が終了した後に第2レギュレータ21を通常モードから補正モードに切り替えてもよい。
【0075】
○ 上記実施形態において、負荷LDの負荷状態が監視する監視システム41を備えているが、省略してもよい。
○ 上記実施形態において、各制御装置38は、負荷LDが軽負荷状態もしくは無負荷状態以外のときに、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21それぞれを、通常モードから補正モードに切り替えるようにしてもよい。
【0076】
○ 上記実施形態において、例えば、電源装置10の起動直後もしくは第1レギュレータ11及び/又は第2レギュレータ21を補正モードに切り替えるとき又は補正モード中のときに、接続点C1の出力先を負荷LDよりも軽い負荷に切り替えるか、接続点C1の出力先が無負荷状態となるように負荷LDから切り替えてもよいし、負荷LDの駆動を制御する制御システムが、負荷LDが軽負荷もしくは無負荷状態となるように負荷LDを制御するようにしてもよい。これによれば、監視システム41を省略することができる。
【0077】
○ 電源装置は、レギュレータが3つ以上並列接続されている構成であってもよい。
○ 第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21は、一対の分圧抵抗39a,39bをそれぞれ有しているがなくてもよく、第1レギュレータ11及び第2レギュレータ21の出力電圧を検出できればどのような方法で検出してもよい。
【0078】
○ 目標出力電圧の補正は、1回の補正で目標出力電圧になるように補正してもよいし、徐々に目標出力電圧を上げるように補正してもよい。
○ 上記実施形態では、目標出力電圧を補正した結果、補正対象のレギュレータからの出力電流の流れに変化が生じた時点の基準電圧Vref1,Vref2を使って、補正モードから通常モードに切り替えた後のレギュレータを動作させているが、これに限られず、目標出力電圧を補正する前のレギュレータからの出力電流の流れに変化を生じさせる基準電圧Vref1,Vref2であればよい。例えば、目標出力電圧を補正した結果、補正対象のレギュレータからの出力電流の流れに変化が起きた時の基準電圧Vref1,Vref2から若干値を変更した基準電圧Vref1,Vref2を使って、補正モードから通常モードに切り替えた後のレギュレータを動作させてもよい。なお、「レギュレータからの出力電流の流れに変化を生じさせる」とは、補正前にレギュレータからの出力電流が流れていなかったが、補正後にレギュレータからの出力電流が流れること、もしくは、補正前にレギュレータからの出力電流が流れていたが、補正後にレギュレータからの出力電流が流れなくなることを指す。
【符号の説明】
【0079】
B1…電源、LD…負荷、10…電源装置、11…レギュレータである第1レギュレータ、21…レギュレータである第2レギュレータ、30…平滑回路、34…上アームトランジスタとしての駆動用スイッチング素子、35…下アームトランジスタとしての同期整流素子、38…モード切替部、判定部、及び目標出力電圧設定部として機能する制御装置。
図1
図2
図3
図4