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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/00 20060101AFI20221227BHJP
   A01C 15/00 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
A01C11/00 302
A01C15/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020076323
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021170966
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲
(72)【発明者】
【氏名】今泉 大介
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-201561(JP,A)
【文献】登録実用新案第3160991(JP,U)
【文献】特開2015-112026(JP,A)
【文献】特開平11-056050(JP,A)
【文献】特開平05-137431(JP,A)
【文献】特開平06-141642(JP,A)
【文献】特開2000-125616(JP,A)
【文献】特開2016-154492(JP,A)
【文献】特開2014-183790(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139775(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/00 - 14/00
A01C 3/00 - 3/08
15/00 - 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体と、
前記走行車体に設けられ、肥料を貯留する肥料ホッパと、
前記肥料ホッパに貯留された前記肥料を繰り出す繰出機構と、
前記肥料ホッパの上方に配置可能な載置台と、
前記載置台の回動によって、前記載置台を、前記肥料ホッパの上方の位置であり、かつ作業資材を載置可能な載置位置と、前記肥料ホッパの側方の位置である収納位置とに切り替える切替機構と
を備え
前記肥料ホッパは、
上端に設けられた開口を開閉可能な蓋部
を備え、
前記蓋部の回動軸と、前記載置台の回動軸とは、同一方向に延びるように設けられ、
前記収納位置は、前記載置台が前記肥料ホッパの側壁と向かい合う位置であり、
前記切替機構は、
支持枠と、
L字状に形成され、前記支持枠に回動可能に取り付けられ、前記載置台が取り付けられる支持アームとを備え、
前記切替機構は、前記支持アームの基端部を前記支持枠に当接させることで、前記載置台を、前記載置位置、または、前記収納位置に保持する、
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記肥料ホッパは、前記走行車体の左右方向の端にそれぞれ設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
記載置台は、前記蓋部が開いた状態において、前記載置位置に保持される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
記載置台は、前記蓋部の回動方向とは異なる方向に回動する
ことを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記載置台は、前記蓋部が開いた状態である場合に、前記載置位置において前記蓋部が閉じる方向に回動することを規制する
ことを特徴とする請求項3または4に記載の作業車両。
【請求項6】
前記載置台の回動軸は、平面視において前記肥料ホッパの外側に設けられる
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の作業車両。
【請求項7】
前記載置台には、複数の孔が形成される
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場に苗を植え付ける作業車両において、圃場に肥料を供給する施肥装置を有するものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-10373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記する作業車両では、施肥装置が設けられるため、作業車両上の作業スペースが狭くなる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、作業車両上の作業スペースを広くする作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の一態様に係る作業車両は、走行車体と、前記走行車体に設けられ、肥料を貯留する肥料ホッパと、前記肥料ホッパに貯留された前記肥料を繰り出す繰出機構と、前記肥料ホッパの上方に配置可能な載置台と、前記載置台の回動によって、前記載置台を、前記肥料ホッパの上方の位置であり、かつ作業資材を載置可能な載置位置と、前記肥料ホッパの側方の位置である収納位置とに切り替える切替機構とを備え、前記肥料ホッパは、上端に設けられた開口を開閉可能な蓋部を備え、前記蓋部の回動軸と、前記載置台の回動軸とは、同一方向に延びるように設けられ、前記収納位置は、前記載置台が前記肥料ホッパの側壁と向かい合う位置であり、前記切替機構は、支持枠と、L字状に形成され、前記支持枠に回動可能に取り付けられ、前記載置台が取り付けられる支持アームとを備え、前記切替機構は、前記支持アームの基端部を前記支持枠に当接させることで、前記載置台を、前記載置位置、または、前記収納位置に保持する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、作業車両上の作業スペースを広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る苗移植機の側面図である。
図2図2は、実施形態に係る苗移植機の一部を省略した平面図である。
図3図3は、実施形態に係る施肥装置付近の平面図である。
図4図4は、実施形態に係る施肥装置付近の側面図である。
図5図5は、実施形態に係る施肥装置付近を後方から見た背面図である。
図6図6は、変形例に係る載置台を示す概略図である。
図7図7は、変形例に係る載置台を示す概略図である。
図8図8は、変形例に係る苗移植機の概略側面図である。
図9図9は、変形例に係る苗移植機の概略平面図である。
図10図10は、変形例に係る苗移植機の概略側面図である。
図11図11は、変形例に係る苗移植機の概略平面図である。
図12図12は、変形例に係る肥料ホッパを前方に回動させた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本願の開示する作業車両の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、圃場に苗を植え付ける苗移植機を作業車両の一例として説明する。
【0010】
なお、以下の説明では、前後方向は、苗移植機の直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定する。苗移植機の進行方向とは、直進時において、操縦席からハンドルに向かう方向である。
【0011】
左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向であり、「前」側へ向けて左右を規定する。すなわち、操縦者(作業者ともいう)が操縦席に着席して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。
【0012】
上下方向とは、鉛直方向である。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交する。各方向は説明の便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
実施形態に係る苗移植機1について図1、および図2を参照し説明する。図1は、実施形態に係る苗移植機1の側面図である。図2は、実施形態に係る苗移植機1の一部を省略した平面図である。苗移植機1は、走行車体2の後方に昇降リンク機構3を介して苗植付部4が昇降可能に装着される。走行車体2の後部上側には、施肥装置5の本体部分が設けられる。
【0014】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10および左右一対の後輪11を備える四輪駆動車両である。走行車体2のメインフレーム12上には、エンジンが搭載される。エンジンで発生された回転は、HSTと称される静油圧式の無段変速機によって変速される。変速された回転によって生じる回転動力は、走行動力と外部取出動力とに分離されて取り出される。走行動力は、前輪10、および後輪11に伝達される。外部取出動力は、苗植付部4へ伝達されるとともに、施肥装置5に伝達される。
【0015】
エンジンは、エンジンカバー15に収容される。エンジンカバー15の上部には、操縦席が設けられる。操縦席の前方には、各種操作機構を内蔵するフロントカバー17が設けられる。フロントカバー17の左右には、補給用の苗を載せておく一対の予備苗枠20が設けられる。フロントカバー17の上部には、前輪10を操作するハンドル21が設けられる。
【0016】
エンジンカバー15、およびフロントカバー17の下端左右両側は、水平上のフロアステップ25が設けられる。フロアステップ25は、一部が格子状になっており、たとえば作業者の靴に付着した泥などを圃場へ落下させることができる。フロアステップ25の左右両端には、フロアステップ25の上面よりも低く設けられた補助ステップ27が設けられる。補助ステップ27によれば、作業者による苗移植機1への乗降を容易にすることができる。
【0017】
昇降リンク機構3は、平行リンク機構であり、上リンク30と、下リンク31とを有する。上リンク30、および下リンク31の先端側は、メインフレーム12の後端部に立設した背面視において門型のリンクベースフレーム32に上下方向へそれぞれ回動自在に支持される。また、上リンク30および下リンク31の後端側には、縦リンク33が連結される。縦リンク33の下端部には、苗植付部4に回転自在に支持されて走行車体2の前後方向へ延伸する連結軸34が連結される。苗植付部4は、連結軸34まわりにローリング自在に設けられる。
【0018】
苗植付部4は、苗載置部40と、苗植付装置41とを備える。苗載置部40は、マット苗を載置して左右方向へ往復して苗を一株分ずつ各条の苗取出口へ供給するとともに、横一列分の苗が苗取出口へ供給されると苗送りベルト40aによって苗を下方へ移送する。
【0019】
苗植付装置41は、回動自在に設けられた苗植付具によって苗載置部40から苗を取り出し、圃場に苗を植え付ける。
【0020】
苗植付部4の下部には、中央にセンターフロート45、左右両端にサイドフロート46が設けられる。センターフロート45やサイドフロート46を圃場の泥面に設置させた状態で機体を進行させると、センターフロート45やサイドフロート46は、泥面上を滑走しつつ整地する。苗は、かかる整地された圃場面に苗植付装置41によって植え付けられる。なお、センターフロート45、サイドフロート46は、圃場の表土面の凹凸に対応して上下動するように、たとえば左右方向の支軸まわりに回動自在に設けられている。
【0021】
施肥装置5は、肥料ホッパ50と、繰出機構51と、ブロア52とを備える。施肥装置5は、肥料ホッパ50から繰出機構51によって繰り出した肥料を、ブロア52によって吹き出された空気によって搬送し、施肥ホース53などを介して圃場に肥料を供給する。
【0022】
肥料ホッパ50は、走行車体2の左右方向に一対設けられる。具体的には、肥料ホッパ50は、走行車体2の左右方向の端にそれぞれ設けられる。肥料ホッパ50は、圃場に供給する肥料を貯留する。
【0023】
肥料ホッパ50は、下側で前後方向に4つの室に分岐する。各室の底部には、開口部が形成される。肥料ホッパ50は、左右に一対配設されており、下側の開口部の数は4つである。下側の開口部は、苗移植機1の条数に応じて設けられる。本実施形態に係る苗移植機1は、8条植の構成であり、一対の肥料ホッパ50には8つの開口部が形成される。なお、肥料ホッパ50を4つの室に仕切って構成してもよい。下側の各開口部には、繰出機構51がそれぞれ接続される。
【0024】
肥料ホッパ50の上端は、開口しており、肥料を上方から投入することができる。肥料ホッパ50の上端には、開閉可能な蓋部50aが取り付けられる。
【0025】
蓋部50aは、肥料ホッパ50の外側に設けられた回動軸を中心に回動する。具体的には、蓋部50aは、左右方向において肥料ホッパ50よりも外側に設けられた回動軸を中心に回動する。
【0026】
繰出機構51は、繰出部が回転することによって、肥料ホッパ50内の肥料を下方に設けられた施肥ホース53に搬送する。繰出部には、凹部が形成され、凹部に流入した肥料を、回転に伴い施肥ホース53に搬送する。
【0027】
ブロア52は、各施肥ホース53に空気を吹き出す。施肥ホース53に吹き出された空気は、施肥ホース53の肥料を圃場に向けて押し出す。これによって、圃場に肥料が供給される。施肥ホース53は、苗植付装置41の前方側に肥料を供給するように設けられる。
【0028】
実施形態に係る苗移植機1は、肥料ホッパ50の上方に配置可能な載置台60を備える。次に、載置台60について図3図5を参照し説明する。図3は、実施形態に係る施肥装置5付近の平面図である。図4は、実施形態に係る施肥装置5付近の側面図である。図5は、実施形態に係る施肥装置5付近を後方から見た背面図である。図3図5は、左方に設けられる施肥装置5付近を示す。
【0029】
載置台60は、肥料や、予備苗などの作業資材を載置可能である。載置台60は、切替機構61によって載置位置と、収納位置とに切り替えられる。載置位置は、肥料ホッパ50の上方となる位置であり、作業資材を載置可能となる位置である。収納位置は、肥料ホッパ50の上方から離間し、載置台60が収納された状態となり、作業資材を載置不能となる位置である。収納位置は、例えば、左右方向において、肥料ホッパ50よりも内側となる位置である。具体的には、収納位置は、左右方向において内側となる肥料ホッパ50の側壁と向かい合う位置であり、載置台60が上下方向と略平行になる位置である。図5では、載置位置、および収納位置における載置台60を示している。
【0030】
載置台60は、平面視において肥料ホッパ50の開口とほぼ同一の大きさとなるように形成される。載置台60は、板状であり、複数の孔60aが形成される。孔60aは、例えば、前後方向に3列、および左右方向に3列形成される。載置台60の端には、作業資材の落下を抑制するストッパー60bが形成される。載置台60は、肥料ホッパ50の外側に設けられた回動軸を中心に回動する。例えば、載置台60は、肥料ホッパ50よりも内側に設けられた回動軸を中心に回動する。載置台60は、左右方向において、蓋部50aの回動軸よりも内側に設けられた回動軸を中心に回動する。
【0031】
載置台60は、肥料ホッパ50の蓋部50aの回動方向とは異なる方向に回動する。具体的には、蓋部50aは、左右方向において肥料ホッパ50よりも外側の回動軸を中心に回動し、載置台60は、左右方向において肥料ホッパ50よりも内側の回動軸を中心に回動する。すなわち、載置台60、および蓋部50aは、肥料ホッパ50に対し、異なる方向に設けられた各回動軸を中心に回動する。
【0032】
切替機構61は、支持枠62と、支持アーム63と、連結部64とを備える。支持枠62は、例えば、金属製のパイプである。支持枠62は、略U字状に形成される。支持枠62は、載置台60が取り付けられる第1部材62aと、第1部材62aの一端から下方に延びる第2部材62bと、第1部材62aの他端から下方に延びる第3部材62cとを備える。
【0033】
第1部材62aは、前後方向に延びるように設けられる。第1部材62aは、左右方向において肥料ホッパ50よりも内側に設けられる。第1部材62aは、肥料ホッパ50よりも上方に設けられる。具体的には、第1部材62aは、肥料ホッパ50の蓋部50aの回動軸よりも上方に設けられる。載置台60と第1部材62aとの間には、作業者が手を挿入可能となるように隙間が設けられる。
【0034】
第2部材62bは、第1部材62aの前端から下方に延びる。第2部材62bは、肥料ホッパ50よりも前方に設けられる。第2部材62bには、手摺り62dが設けられる。手摺り62dは、作業者が乗り降りする際に作業者に把持される。
【0035】
第3部材62cは、第1部材62aの後端から下方に延びる。第3部材62cは、肥料ホッパ50よりも後方に設けられる。
【0036】
第2部材62b、および第3部材62cは、上端側が左右方向において内側に屈曲するように形成される。
【0037】
支持アーム63は、左右方向に延びるように設けられる。支持アーム63は、前後方向に並んで2つ設けられる。支持アーム63は、連結部64によって支持枠62の第1部材62aに回動可能に取り付けられる。支持アーム63には、載置台60が取り付けられる。すなわち、載置台60は、支持枠62の第1部材62aに支持アーム63、および連結部64を介して回動可能に取り付けられる。
【0038】
支持アーム63は、略L字状に形成される。支持アーム63の基端部63aには、孔が形成される。孔には、前後方向に回動軸部65が挿入される。
【0039】
載置台60が回動された場合に、支持アーム63の基端部63aは、第1部材62aに当接し、載置台60を載置位置、または収納位置に保持する。すなわち、支持アーム63の基端部63aは、載置台60の回動を、載置位置、または収納位置に規制するストッパーとしても機能する。具体的には、載置台60が収納位置にある場合には、支持アーム63の基端部63aの一辺63bが第1部材62aに当接する。また、載置台60が載置位置にある場合には、一辺63bとは反対側の支持アーム63の基端部63aの他辺63cが第1部材62aに当接する。
【0040】
連結部64は、第1部材62aに取り付けられる。連結部64は、支持アーム63を回動可能に支持する。連結部64は、第1部材62aから上方に突出するように設けられる。連結部64には、孔が形成される。孔には、前後方向に回動軸部65が挿入される。回動軸部65は、一端に連結部64に当接する頭部65aが設けられ、他端に抜け防止のためのピンが挿入される孔65bが形成される。
【0041】
次に、載置台60の作用について説明する。
【0042】
載置台60は、載置位置と収納位置とに切り替えることができる。収納位置では、支持アーム63の基端部63aの一辺63bが、支持枠62の第1部材62aに当接することによって、載置台60の位置が保持される。載置位置では、載置台60に、苗や、肥料などの作業資材を載置することができる。
【0043】
肥料ホッパ50の蓋部50aが開いた状態、および閉じた状態にかかわらず、載置台60を回動させることができ、載置台60の位置を収納位置から載置位置に変更することができる。載置位置では、一辺63bとは反対側の辺である他辺63cが第1部材62aに当接することによって、載置台60の位置が保持される。
【0044】
肥料ホッパ50の蓋部50aが閉じた状態で、載置台60が収納位置から載置位置まで回動されると、載置台60の回動軸は肥料ホッパ50よりも上方に位置し、かつ支持アーム63の基端部63aの他辺63cが第1部材62aに当接する。これにより、載置台60は、肥料ホッパ50の蓋部50aの上方に位置する。
【0045】
また、肥料ホッパ50の蓋部50aが開いた状態で、載置台60が収納位置から載置位置まで回動されると、支持アーム63の基端部63aの他辺63cが第1部材62aに当接する。これにより、載置台60は、肥料ホッパ50の開口よりも上方に位置する。載置台60の先端は、肥料ホッパ50の蓋部50aよりも内側に位置する。そのため、肥料ホッパ50の蓋部50aが閉じる方向に回動した場合には、載置台60の先端が肥料ホッパ50の蓋部50aに当接し、肥料ホッパ50の蓋部50aの回動が規制される。すなわち、肥料ホッパ50の蓋部50aは、開いた状態に保持される。
【0046】
例えば、肥料ホッパ50の蓋部50aが開いた状態で、載置台60が載置位置になっている場合には、載置台60に予備の肥料袋が載置される。肥料ホッパ50に肥料を補充する場合には、載置台60に載置した肥料袋を開き、載置台60に肥料袋から肥料が投入されると、載置台60に形成された孔60aから、肥料が肥料ホッパ50に落下する。このように、肥料ホッパ50への肥料の補充が容易となる。
【0047】
実施形態に係る苗移植機1は、走行車体2と、肥料ホッパ50と、繰出機構51と、載置台60と、切替機構61とを備える。肥料ホッパ50は、走行車体2に設けられ、肥料を貯留する。繰出機構51は、肥料ホッパ50に貯留された肥料を繰り出す。載置台60は、肥料ホッパ50の上方に配置可能である。切替機構61は、載置台60を、肥料ホッパ50の上方であり、かつ作業資材を載置可能な載置位置と、肥料ホッパ50の側方の位置である収納位置とに切り替える。
【0048】
これにより、苗移植機1は、肥料ホッパ50の上方の載置位置に載置台60を配置し、載置台60に作業資材を載せることができる。また、苗移植機1では、作業資材を載置台60に載せない場合には、載置台60を収納位置に収納することができる。そのため、苗移植機1は、作業資材の載置の有無に応じて、作業スペースを確保することができる。すなわち、苗移植機1は、苗移植機1上の作業スペースを広くすることができる。また、苗移植機1は、作業状態に応じて作業スペースを変更することができ、作業性を向上させることができる。
【0049】
肥料ホッパ50は、走行車体2の左右方向の端にそれぞれ設けられる。
【0050】
これにより、左右方向の端に肥料ホッパ50をそれぞれ備える苗移植機1において、作業スペースをさらに広くすることができる。
【0051】
肥料ホッパ50は、上端に設けられた開口を開閉可能な蓋部50aを備える。載置台60は、蓋部50aが開いた状態において、載置位置に保持される。
【0052】
これにより、苗移植機1は、肥料ホッパ50の蓋部50aを開いた状態で、載置台60に作業資材を載せることができる。そのため、例えば、肥料ホッパ50の蓋部50aを開いた状態で載置台60に肥料袋を載置し、作業を行い、肥料ホッパ50に肥料を補充する場合に、肥料ホッパ50の蓋部50aの開閉を行わずに、肥料ホッパ50に肥料を補充することができる。すなわち、苗移植機1は、作業性を向上させることができる。
【0053】
載置台60は、回動されることによって載置位置と収納位置とに切り替えられる。載置台60は、蓋部50aの回動方向とは異なる方向に回動する。
【0054】
これにより、苗移植機1は、蓋部50aの開閉状態にかかわらず、載置台60を回動させて、載置台60を載置位置、または収納位置に切り替えることができる。
【0055】
載置台60は、蓋部50aが開いた状態である場合に、載置位置において蓋部50aが閉じる方向に回動することを規制する。
【0056】
これにより、苗移植機1は、載置台60が載置位置にある場合に、蓋部50aが閉じることを防止することができる。そのため、例えば、蓋部50aと、載置台60に載置された作業資材との接触を抑制することができる。
【0057】
載置台60の回動軸は、平面視において肥料ホッパ50の外側に設けられる。
【0058】
これにより、苗移植機1は、載置台60が収納位置にある場合に、載置台60と肥料ホッパ50とが接触することを抑制することができ、載置台60、および肥料ホッパ50の劣化を抑制することができる。また、苗移植機1は、載置台60が収納位置にある場合に、例えば、左右方向に載置台60が突出することを抑制し、載置台60の収納スペースを小さくすることができる。
【0059】
載置台60には、複数の孔60aが形成される。
【0060】
これにより、例えば、肥料ホッパ50の蓋部50aが開いた状態であり、かつ載置台60が載置位置にある場合に、載置台60に肥料を投入することによって、孔60aを通り、肥料が肥料ホッパ50に補充される。すなわち、作業者は、肥料の補充を容易にすることができ、苗移植機1は、肥料補充の作業性を向上させることができる。
【0061】
変形例に係る苗移植機1では、載置台60は、左右方向に沿って設けられた回動軸を中心に回動してもよい。
【0062】
変形例に係る苗移植機1では、肥料ホッパ50の蓋部50aは、左右方向において、肥料ホッパ50よりも内側に設けられた回動軸を中心に回動してもよい。また、変形例に係る苗移植機1では、載置台60は、左右方向において、肥料ホッパ50よりも外側に設けられた回動軸を中心に回動してもよい。
【0063】
変形例に係る苗移植機1は、以下の構成などを有してもよい。
【0064】
苗移植機1は、図6に示すように、載置台60を略L字状としてもよい。図6は、変形例に係る載置台60を示す概略図である。載置台60は、肥料ホッパ50の側方位置において作業資材である肥料袋100を載置し、肥料ホッパ50の上方位置において肥料を肥料ホッパ50に投入可能とする。作業者は、側方位置に載置した肥料袋から、載置台60を上方位置に回動させることによって、肥料袋から肥料を肥料ホッパ50に補充することができる。作業者は、肥料ホッパ50への肥料の補充作業を容易に行うことができる。
【0065】
苗移植機1は、図7に示すように、載置台70を上下方向に複数段、例えば、2段設けてもよい。図7は、変形例に係る載置台70を示す概略図である。載置台70は、上下方向に沿って設けられた軸部71を中心に水平方向に回動する。
【0066】
これにより、苗移植機1は、載置台70に載置可能な作業資材を増やすことができる。また、例えば、作業者は、圃場の外から作業資材を苗移植機1に載置する際の搬送作業を容易に行うことができる。
【0067】
苗移植機1は、図8、および図9に示すように、走行車体2の後方に左右方向に沿って延びる肥料ホッパ80を備える。図8は、変形例に係る苗移植機1の概略側面図である。図9は、変形例に係る苗移植機1の概略平面図である。なお、肥料ホッパ80は、走行車体2の左右方向に一対設けられてもよい。苗移植機1は、予備苗枠20の下方に、サブホッパ81を備える。サブホッパ81は、前後方向に延びる回動部材82の前端側に取り付けられる。回動部材82の後端は、走行車体2に回動可能となるように支持される。すなわち、回動部材82、およびサブホッパ81は、回動部材82の後端を中心に前後方向に回動する。
【0068】
サブホッパ81は、肥料ホッパ50に補充する肥料を貯留するタンクである。サブホッパ81には、肥料をサブホッパ81に投入するための補給口81aが前方に形成される。補給口81aは、例えば、斜め上方を向いて開口するように形成される。これにより、サブホッパ81への肥料の投入が容易となる。また、サブホッパ81には、肥料を肥料ホッパ50に補充するための排出口81bが後方に形成される。排出口81bは、後部上側に形成される。
【0069】
回動部材82、およびサブホッパ81の排出口81bは、回動部材82、およびサブホッパ81が後方に回動した場合に、サブホッパ81の排出口81bが、肥料ホッパ50の上方に位置するように設けられる。
【0070】
予備苗枠20は、上下方向に延びる支持部材20aを中心に水平方向に回動可能である。
【0071】
苗移植機1では、サブホッパ81から肥料ホッパ50に肥料を補充する場合には、予備苗枠20が回動される。図9では、回動後の予備苗枠20を破線で示す。具体的には、予備苗枠が、前方側に回動され、サブホッパ81の上方から退避される。次に、回動部材82、およびサブホッパ81が後方に回動される。これにより、肥料がサブホッパ81の排出口81bから肥料ホッパ50に投入され、肥料が補充される。
【0072】
なお、補給口81aが斜め上方を向いて形成されているため、サブホッパ81内へ肥料が過剰に貯留されることを抑制することができ、サブホッパ81が後方に回動されて肥料ホッパ50に肥料を補充する場合に、補給口81aから肥料が溢れることを抑制することができる。補給口81aには、蓋が設けられるが、蓋の閉め忘れや、蓋が緩く閉められている場合に、補給口81aから肥料が溢れることを抑制することができる。
【0073】
サブホッパ81を予備苗枠20の下方に設けることで、作業者は、走行車体2の側方からの乗り降りが容易となり、走行車体2の後方側で作業を行う場合の作業が容易となる。また、作業者は、回動部材82、およびサブホッパ81を後方に回動させることによって、サブホッパ81から肥料ホッパ50に肥料を補充することができ、肥料の補充を容易に行うことができる。
【0074】
苗移植機1は、図10、および図11に示すように、施肥装置85を苗植付部4の下方に備えてもよい。図10は、変形例に係る苗移植機1の概略側面図である。図11は、変形例に係る苗移植機1の概略平面図である。
【0075】
肥料ホッパ86は、苗植付部4の苗載置部40の下方に設けられる。肥料ホッパ86は、苗載置部40に沿って設けられる。肥料ホッパ86は、上方から下方となるにつれて、前後方向の長さが短くなるように設けられる。肥料ホッパ86は、上端に開口が設けられ、開口を蓋部86aによって開閉可能となっている。蓋部86aは、蓋部86aが開いた状態では、蓋部86aの上端が苗載置部40の上端よりも上方に位置するように設けられる。これにより、肥料ホッパ86は、蓋部86aが開かれた場合に、苗載置部40から泥や、水滴が肥料ホッパ86内に入ることを抑制することができ、例えば、肥料ホッパ86内の肥料が濡れることを抑制することができる。
【0076】
肥料ホッパ86の上端、すなわち開口は、フロアステップ25の後端よりも上方に設けられる。これにより、作業者は、肥料ホッパ50への肥料の補充が容易となる。
【0077】
肥料ホッパ86の下端に取り付けられた繰出機構87は、苗送りベルト40aよりも上方に設けられる。
【0078】
施肥装置85では、繰出機構87によって繰り出された肥料は、自重によって施肥ホース88を介して圃場に供給される。すなわち、施肥装置85は、ブロア52(図1参照)を用いずに、肥料を圃場に供給することができる。
【0079】
肥料ホッパ86は、図12に示すように、下端を中心に前後方向に回動可能である。図12は、変形例に係る肥料ホッパ86を前方に回動させた状態を示す概略図である。肥料ホッパ86内に残った肥料を排出する場合には、肥料ホッパ86が前方に回動される。なお、肥料ホッパ86内に残った肥料を排出する場合に、苗植付部4、および施肥装置85をローリングさせて、肥料ホッパ86内に残った肥料を排出口側に寄せて、排出口から排出させてもよい。これにより、苗移植機1は、肥料ホッパ86内に残った肥料を容易に排出させることができる。
【0080】
苗移植機1は、圃場に苗の植え付け作業を行う場合、車輪、例えば、後輪11の回転数に基づいて、圃場における植付面積を算出してもよい。その際、苗移植機1は、苗移植機1の旋回時、および後退時における車輪の回転数をカウントせずに、植付面積を算出する。これにより、苗移植機1は、植付面積を正確に算出することができる。
【0081】
苗移植機1は、圃場の畔付近まで前進し、自動旋回する場合に、超音波センサによって畔への接近を検知し、自動で前進を停止してもよい。また、苗移植機1は、超音波センサによって旋回中の走行車体2の前方側の高さを検出する。そして、苗移植機1は、旋回中の走行車体2の前方側の高さが予め設定された高さよりも高くなると、デファレンシャルをロックするオートデフロックを作用させてもよい。
【0082】
また、苗移植機1は、旋回中の走行車体2の前方側において、左右方向の高さが予め設定された高さよりも高くなると、すなわち左右方向における高低差が大きくなると、オートデフロックを作用させてもよい。また、苗移植機1は、上記するオートデフロックを作用させる際に、走行車体2を減速させてもよい。また、苗移植機1は、上記するオートデフロックを作用させる際に、オートデフロックのON/OFFを切り替えて作用させるポンピング動作を行ってもよい。
【0083】
また、苗移植機1は、上記するオートデフロックを作用させる場合、またはポンピング動作を行う場合に、旋回半径が小さくなるように制御する。
【0084】
苗移植機1は、旋回中にHSTが開いており、かつ後輪11が回転しない場合には、ポンピング動作を行ってもよい。
【0085】
苗移植機1は、自動旋回を行っている場合に、超音波センサによって圃場の深さの変化量が予め設定された所定変化量よりも大きい場合には、操舵量を調整してもよい。また、苗移植機1は、自動旋回を行っている場合に、超音波センサによって圃場の深さの変化量が予め設定された所定変化量よりも大きく、圃場の深さが深くなった場合には、車速を調整してもよい。例えば、苗移植機1は、車速を速くする。これにより、苗移植機1は、深くなった圃場を早期に脱出することができる。
【0086】
また、苗移植機1は、自動旋回を行っている場合に、超音波センサによって圃場の深さの変化量が予め設定された所定変化量よりも大きく、圃場の深さが深くなった場合には、自動停止し、後退してもよい。また、苗移植機1は、後退後、後退した経路を避けて蛇行走行し、前進してもよい。
【0087】
苗移植機1は、自動旋回を行っている場合に、前方に進まない場合には、ハンドル21(ステアリング)を所定量戻してもよい。
【0088】
苗移植機1は、ローターの高さを検出するセンサによって、ローターの高さが、設定された所定高さに対し高い場合には、圃場が硬いと判定し、苗植付部4による植え付け高さを深くし、苗を深く植え付けてもよい。
【0089】
苗移植機1は、ローターの高さを検出するセンサを硬軟センサとして用いてもよい。苗移植機1は、硬軟センサによって検出された圃場の硬さが硬い場合には、苗植付部4のローリングを鈍感としてもよい。また、苗移植機1は、硬軟センサによって検出された圃場の硬さが硬い場合には、ステアリングのアシスト力を大ききしてもよい。また、苗移植機1は、硬軟センサによって検出された圃場の硬さが硬い場合には、線引きマーカの圃場への押し付け力を大きくしてもよい。また、苗移植機1は、硬軟センサによって検出された圃場の硬さが硬い場合には、自動直進の操舵力を大ききしてもよい。
【0090】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 苗移植機
2 走行車体
4 苗植付部
5 施肥装置
10 前輪
11 後輪
50 肥料ホッパ
50a 蓋部
51 繰出機構
60 載置台
60a 孔
61 切替機構
62 支持枠
63 支持アーム
64 連結部
65 回動軸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12