(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】キャリア基板上のデバイスの製造
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20221227BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20221227BHJP
H01L 21/205 20060101ALN20221227BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/02 B
H01L21/20
H01L21/205
(21)【出願番号】P 2018537787
(86)(22)【出願日】2017-01-20
(86)【国際出願番号】 SG2017050032
(87)【国際公開番号】W WO2017127026
(87)【国際公開日】2017-07-27
【審査請求日】2020-01-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-25
(32)【優先日】2016-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508144082
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(73)【特許権者】
【識別番号】504161939
【氏名又は名称】ナンヤン・テクノロジカル・ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、クァン ホン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、リ
(72)【発明者】
【氏名】チュア、ソー ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー、エン キアン、ケネス
(72)【発明者】
【氏名】フィッツジェラルド、ユージーン エー.
(72)【発明者】
【氏名】タン、チュアン セン
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】恩田 春香
【審判官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-513113(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0284609(US,A1)
【文献】特開2011-204980(JP,A)
【文献】特表2011-519181(JP,A)
【文献】特開2010-199617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/02
H01L21/20
H01L21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア基板上にデバイスを製造する方法であって、
第1基板を提供する段階と、
前記第1基板上でのエピタキシャル成長により、それぞれ異なる構成を有する複数のバッファ層を形成する段階と、
前記複数のバッファ層上に1又は複数のデバイス層を形成する段階と、
前記第1基板と反対側の前記1又は複数のデバイス層に第2基板を接着する段階と、
前記第1基板を除去する段階と、
前記複数のバッファ層及び前記1又は複数のデバイス層の第2の部分が前記第2基板上に残るように前記複数のバッファ層の
第1の部分を除去して前記複数のバッファ層の厚さを減らすことにより、前記1又は複数のデバイス層のひずみを調整する段階と、
を備える方法。
【請求項2】
前記1又は複数のデバイス層の極性が、前記第2基板への前記接着する段階及び前記第1基板の前記除去する段階の結果として反転される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のバッファ層を形成する段階は、SiNxマスキング段階を有する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記1又は複数のデバイス層の所望の極性を高歩留まりで達成すべく、エッチングストップ層を提供する段階と、前記エッチングストップ層を使用する段階とをさらに備える、
請求項
1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2基板と反対側の前記1又は複数のデバイス層に第3基板を接着する段階と、前記第2基板を除去する段階とをさらに備える、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1又は複数のデバイス層の極性は、前記第3基板への前記接着及び前記第2基板の前記除去の結果として反転される、
請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記1又は複数のデバイス層の所望の極性を高歩留まりで達成すべく、別のエッチングストップ層を提供する段階と、前記別のエッチングストップ層を使用する段階とをさらに備える、
請求項
5又は
6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア基板上にデバイスを製造する方法に広く関し、キャリア基板上のデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
50、100、150,200mm、又はさらに大きいSi基板上のIII-N材料(すなわち、GaN、AlN及びInNならびにそれらの合金)の成長に関して、熱不整合に起因する引張りひずみは、ひずみ設計されたバッファにより注意深く補償されるが、ウェハは、さらなるプロセス処理中に壊れやすいことがしばしば見つけられている。壊れやすさは、例えば、GaN-on-Siウェハが、熱処理(例えば、アニール、高温膜堆積/エッチングなど)及び機械的処理(例えば、化学機械研磨、ウェハ接着など)を伴うステップ中にかなり高い頻度で大きな破片に割れることに現れる。
【0003】
例えば、直径200mmで725μm厚のGaN-on-Siウェハの壊れやすさは、例えば、低温(LT)-AlN堆積前の基板アニールステップ中のSi基板におけるすべり線の形成によって主に引き起こされることが認められた。これは、200mmのSi基板全体にわたる鉛直及び半径方向の温度変化の存在に起因すると考えられている。Si結晶のすべりは、局部応力がLT-AlN成長前のアニール温度(1050°C)で降伏強度を超えた場合に起こる。MOCVD成長におけるSi基板には、2つの可能性のある主要な応力源が存在する。それらは、ウェハと、ウェハがサセプタと接触する箇所との間の接触応力と、ウェハ全体にわたる鉛直及び半径方向の温度の不均一性に起因する熱応力とである。すべり線は、ウェハのエッジから生じ、ウェハの中央の方に伝播する。ヒーターゾーンの設定の最適化によって成長中の200mmのSiウェハ全体にわたる半径方向の温度差を最小化することは、すべり形成及びウェハの壊れやすさを低減する1つの主要な方法であるが、熱だけがウェハの裏面に供給されることに起因して、ウェハを通して鉛直温度差を十分に取り除くことは可能でない。従って、ほぼ全ての場合において、Siエピタキシー上のIII族-窒化物に関わる高成長温度に起因するウェハの壊れやすさが問題として残る。本発明の実施形態は、上記の課題のうち少なくとも1つに取り組もうとする。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、キャリア基板上にデバイスを製造する方法が提供され、方法は、第1基板を提供する段階と、第1基板上に1又は複数のデバイス層を形成する段階と、第1基板と反対側のデバイス層に第2基板を接着する段階と、第1基板を除去する段階とを備える。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、キャリア基板と、キャリア基板上の1又は複数のデバイス層とを備えるデバイスであって、デバイス層がキャリア基板とは異なる基板上に成長された、デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の実施形態は、例としてだけ以下の明細書から、及び図面と併用して、当業者にはより良く理解され、容易に明らかになるであろう。
【
図1】例示的な実施形態によるGaN/SiのためのSi(111)基板交換のステップを示す。
【
図2】
図1の第1接着及びSi(111)除去後のSi(100)基板上のGaN及びそのバッファ層の断面SEM画像を示す。
【
図3】例示的な実施形態によるAlN、AlGaNバッファ及びGaNの一部が除去された後のGaN-on-insulator(GaN-OI)の断面SEM画像を示す。
【
図4】バッファ層/GaN除去の異なるステップにおける、5つのグレーデッド(graded)AlGaN層のひずみ設計された例示的な実施形態に対するGaNの格子定数の解析の実験結果を示す。
【
図5】バッファ層/GaN除去の異なるステップにおける、5つのグレーデッドAlGaN層のひずみ設計された例示的な実施形態についてのウェハボウ(bow)の解析の実験結果を示す。
【
図6】例示的な実施形態によるキャリア基板上にデバイスを製造する方法を説明するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
グレーデッドAlGaN層の例示的な実施形態において、例えば、80%、50%及び20%のAl含有量を有する3つのグレーデッドAlGaN層(例えば、Si(111)基板から開始する)が、1050°Cの温度でAlN/Si構造上に成長された。例示的な実施形態は、GaN-on-Siヘテロエピタキシーのひずみ補正方法を使用する。基本的なアイデアは、成長温度から室温に冷却する間に発生される熱不整合に起因した大きな引張りひずみを補償すべく、AlGaN材料系の面内格子不整合を用いることによりエピタキシャル成長中の圧縮ひずみを導入することである。ステップ・グレーデッド(step-graded)AlGaNの応力進化は、基本的なひずみ設計原理に基づき詳細に論じられる。725μm厚で直径200mmのSiウェハに対するひずみ設計の困難さは、ウェハ湾曲度の変化から熱伝導性の変化を切り離す、形作られたサセプタを用いることにより低減され得るが、本発明の例示的な実施形態は、Al0.2Ga0.8N層の厚さ調節及び好ましくはSiNxその場(in situ)マスキングを適用し、GaN-on-Siウェハの最終的なボウを調整する。通常、より凸なウェハは、Al0.2Ga0.8N層の厚さの増加から引き起こされ、貫通転位密度(TDD)は一般的に、同様に良くなる。しかしながら、スクリュー及びエッジ貫通転位(TD)の構成は、Al0.2Ga0.8N層の厚さによって変わる。通常、1.2μmのGaNは、80nmのGaN後に挿入されたSiNxのその場マスキング層を用いて1000℃で堆積され得る。SiNxのその場マスキングの場合には、それがAl0.2Ga0.8N層からGaNの圧縮ひずみを切り離し、その結果、GaN層は圧縮性が低い。TDDは、SiNxのカバレッジ(coverage)で単調に良くなる。好ましい実施形態において、Al0.2Ga0.8N層の厚さ、及びSiNxのその場マスキングの継続時間が組み合わされ、725μm厚で直径200mmのSiウェハに対して最小のTDDでボウのないウェハを有利に作り出す。
【0008】
様々な実施形態において、他の例えば50%及び80%のAl含有量のAlGaNバッファ層は、ひずみ設計においても有利に役立ち得ることは、留意されたい。しかしながら、例示的な実施形態によるステップ・グレーデッドバッファ系において、最も大きい圧縮ひずみを系に加え、従ってボウ制御に最大の影響を加える、最低の、例えばAl含有量(すなわち20%Al及び0%Al==GaN)を有する層であることが期待される。
【0009】
本発明の例示的な実施形態は、すべりを含む最初の基板、例えばSi(111)基板を、新たなすべりなしの基板、例えばSi(100)基板と置き換える方法を提供する。この方法によって、ひずみ設計のために使用されていた可能性がある厚いバッファ層も除去され得、Si上の薄型デバイス層構造は、たとえバッファ層がひずみ設計のために使用されたとしても、実現され得る。さらに、例えば、GaNの応力は、最終的なGaNの厚さを調節することにより操作され得る。追加的又は代替的に、Si(100)基板はまた、工業用のCMOSファウンドリにおいて容易に受け入れられ、処理されるという利点を有し得る。
【0010】
図1のa)及び
図1のb)は、例示的な実施形態による基板交換のためのステップシーケンスを示す。この実施形態において、上記に論じられたひずみ管理のためのグレーデッド層のアプローチが使用されているが、異なるひずみ設計方法は、異なる実施形態において、例えば、1又は複数のGaNデバイス層を含む、Si(111)基板上の開始GaNの形成において適用され得る。
【0011】
図1のa)に示されるように、実際のエピタキシャル成長の前に、Si(111)基板104は先ず、自然酸化物を除去すべくその場アニールされた。次に、20nmの低温(LT)AlN核生成層106aが980°Cで成長された。温度は、AlNの前駆体の流れが温度傾斜中(10nmのAlN堆積は、温度傾斜中に起こった)に維持されながら、高温(HT)-AlN層106bを成長すべく上昇された。210nmのAlN(106a/b)の成長後、ステップ・グレーデッドAl
xGa
1-xN層(250nmの80%Al層107、310nmの40%Al層108及び440nmの20%Al層109)が圧縮ひずみを導入すべく成長され、ウェハが成長後に冷却された場合にその後の成長GaN層中に高まる引張りひずみを補償する。通常、SiN
xのマスキング層111を有する0.5から数μmのu-GaN層110への成長は、デバイス層112の成長前に実行される。
【0012】
この例示的な実施形態において、エピタキシーはGa極性/金属極性であり、そのことは、当業者により認識されるようなより典型的な場合であることは、留意されたい。しかしながら、N極性のエピタキシーは、異なる実施形態において可能である。用語「N極性」及び「Ga極性/金属極性」は、ウェハの上(アクセス可能)面での原子配置を指し、極性/配置は通常、様々な材料層の全体にわたって保持される。
図1のa)を参照して、GaNデバイス層112の上(アクセス可能)面の極性は、この実施形態においてGa極性であり、従ってウェハは、Ga極性面を有すると見なされ、それに対応してGaNデバイス層112の底部は、N極性を有することとなる。極性は、各層全体にわたって保持されているので、隣接するGaN層110の上部は、再度Ga極性面を有することとなる一方、GaN層110の底部は、N極性を有することとなることは、留意されるべきである。異なる実施形態においてN極性面を有する開始/成長ウェハについての極性全てに対して、逆のことが当てはまる。
【0013】
この例示的な実施形態において、
図1のbのステップ1を参照すると、SiO
2102が次に、ウェハ103(すなわち、Si(111)基板104、AlN層106a/b、80%、50%及び20%のAl含有量をそれぞれ有する3つのグレーデッドAlGaNバッファ層107-109、SiN
xマスキング(図示せず)を有するGaN層110であり、これらは、例示的な実施形態においてバッファ層と見なされ得、GaNデバイス層112が続く)上に堆積され、次にN
2雰囲気下の高温(例えば、~600
oC、数時間)で高密度化された。SiO
2層102は、熱伝導性ならびに接着強度を改善すべく、Si
3N
4、Al
2O
3、AlN(アルミニウム窒化物)、BN(ホウ素窒化物)及び異なる実施形態の他の誘電体(ならびに、異なる誘電体の組み合わせ、例えば、SiO
2+Si
3N
4)により置き換えられ得る。融着の成功を達成するために、ウェハ表面のRMS粗さは、好ましくは<1nmである。それゆえ、例示的な実施形態において、ウェハ103は、誘電体堆積後、化学機械研磨(CMP)を使用して研磨され、RCA洗浄が続く。別のSi(100)基板/ウェハ114が、ドナーウェハとして使用され、役立てられた。
【0014】
例示的な実施形態において、接着前に、両方のウェハ(すなわち、誘電体堆積後のウェハ103及びSi(100)基板114)は、数秒間プラズマ暴露(例えば、O2、N2、H2、Arなど)を受け、脱イオン水ですすがれ、それからスピン乾燥された。プラズマ暴露は、誘電体(例えば、SiO2。層102)の表面親水性を増大し得る。すすぎステップは、ウェハ接着を開始する十分高い密度で水酸(OH)基を有するウェハの表面を終わらせる。この例示的な実施形態において、水素原子間のファンデルワールス力に基づく接着後、ウェハ対103/114は、さらに接着強度を高めるべく、大気のN2雰囲気において300oCで3時間アニールされた。接着は、任意の適当なSi(111)ウェハ103の開始ボウ値、例えば、絶対ボウ<150μmで行われ得、最終的なウェハボウは、以下により詳細に説明されるように有利に最適化され、一般的に、最終的なウェハボウ<50μmが、その後の製造処理の歩留まりを改善すべく望ましいことは、留意されたい。
【0015】
図1のb)のステップ2を参照すると、Si(111)104の研削(この例示的な実施形態において50μmまで)が実行された。その後、Brewer Scienceからの保護層116(酸性環境において残存することができる)が、Si(111)104基板からのSi除去プロセス中に保護層として役割を果たすべく、Si(100)112ドナーウェハの裏面上に堆積、例えば、スピンコーティングされた。この例示的な実施形態において、残留しているSi(111)は、ウェハ接着対をHNA溶液(例えば、体積比でHF:硝酸:酢酸=1:1.5:3.75であり、その比は、所望される異なるエッチングレートを達成すべく、変更され得ることに留意されたい)中に浸漬することにより除去される。Siに対するAlNのエッチング選択比が、使用されるHNA溶液において高いので、AlN106が、この例示的な実施形態においてエッチングストップ層として使用された。エッチングは、室温においてSiが完全に除去されるまで実行されたが、そのことは、エッチャント内の発泡がいつやむかに留意することにより決定され得る。保護層はアセトンにより除去され、
図1のステップ3に示されるような構造になった。
【0016】
任意で、AlN106、3つのAlGaNバッファ107-109及びGaN層は次に、例えば、誘導結合型プラズマ反応性イオンエッチング(ICP-RIE)又はCMPプロセスにより除去され得る。通常、プロセス全体の終了時に、残る必要がある最小セットの層は、デバイス層112であることは、留意されたい。しかしながら、例えば、ボウ/ひずみ要件に起因して、バッファ層の一部が所望される可能性がある、又は、その全体が所望されない可能性がある。従って、N極性面を有するGaNデバイス層112が、
図1のb)のステップ4に示されるようにもたらされ得る。これは、介在ステップ2においてウェハが鉛直に反転され、それで、ステップ1のGaNデバイス層112のGa極性の上(アクセス可能)面となるように使用されるものが、ここで(ステップ4において)底部層(SiO2層102に接着される)であり、従って、新たな上(アクセス可能)面は、GaN層110(ステップ1において)に隣接したGaNデバイス層112の前のN極性面である、からである。良好なプロセス歩留まりを達成すべく、ステップ4のICP-RIE又はCMPプロセスが、所望のN極性面となるべく、適当な深度で終了するような実施形態において適切なエッチング停止層(図示せず)を有することは、好適であり得る。
【0017】
この例示的な実施形態のプロセスの続きのステップ4からGa極性面を有するGaN層112を実現すべく、SiO
2層(又は他の誘電体、あるいは誘電体の組み合わせ)117が
図1のbのステップ4のウェハ上に堆積され、次に高密度化された。CMPプロセスは、接着の成功を達成すべく、SiO
2膜117を滑らかにするために実行された。CMPプロセス後、
図1のステップ5に示されるように、ウェハは、RCA洗浄され、別のSi(100)ハンドル基板118に接着された。接着プロセスは、
図1のb)のステップ1を参照して、上述のものと同様であった。接着後、ステップ2を参照してSi(111)基板104の除去のために上記のような同じ研削と、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)エッチングとが、Si(100)基板114の除去のために使用され、
図1のb)のステップ6に示される、Ga極性面付きのGaN層112を有するウェハをもたらす。
【0018】
Ga極性面が、ステップ4のエッチングの終了時に、上述の第2接着ステップなしで、所望される場合、それを実行する方法は、異なる実施形態によるGaNデバイス層112のGa極性の上(アクセス可能)面の代わりに、GaNデバイス層112のN極性の上(アクセス可能)面を有する反転デバイスエピ構造(
図1のa)と比較)を成長するべきであろうことに、再度留意されたい。このことにより、露出された(ステップ4の層112)GaN面の極性はその時点でGa極性となるべく効果的に反転され、それにより、そのような実施形態においてGa極性デバイス層を得るためのステップ5(第2接着ステップ)及びステップ6の必要がなくなる。良好なプロセス歩留まりを達成すべく、そのような実施形態において、適切なエッチング停止層を有することは、前と同じように好適であり得、それにより、ステップ4のICP-RIE又はCMPプロセスが所望のGa極性面となるべく、適当な深度で終了する。
【0019】
図2は、
図1のステップ3、すなわち第1接着及びSi(111)基板104除去後の構造の断面の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【0020】
図3は、
図1のステップ4の構造、すなわちICP-RIEを介したAlN106、AlGaNバッファ107-109、GaN層110及びGaN層112の一部の除去後の断面SEM画像を示す。
【0021】
図4は、バッファ層/GaN除去の異なるステップで、すなわち、異なる「上部」層がウェハ周囲の雰囲気に露出された状態で、5つのグレーデッドAlGaN層のひずみ設計された例示的な実施形態についてのGaNの格子定数の解析の実験結果を示す。
【0022】
図4に示される結果から分かるように、最終的なGaN厚を制御することにより(サンプルBとサンプルCとのためのt
Bとt
Cとをそれぞれ比較)、GaNの応力は、0.14GPaから0.3GPaまで操作され得、より高い引張り応力も、はるかに薄いGaNに対して達成可能である。高度な引張りひずみのGaN層は、例えば、電子移動度を増加し、それゆえ高電子移動度トランジスタ(HEMT)の性能を改善すべく所望され得る。有利には、例示的な実施形態において、壊れやすいSi(111)基板が、Si(100)ドナー基板に置き換わられたので、GaN層の高い引張りひずみが、ウェハの割れを引き起こさない。
【0023】
図5は、バッファ層/GaN除去の異なるステップにおける、5つのグレーデッドAlGaN層のひずみ設計された例示的な実施形態についてのウェハボウ解析の実験結果を示す。
図5から分かるように、AlN、AlGaNバッファ、u-GaN及びn-GaN層の一部の除去後の最終的なウェハボウ(-20μm、数詞500と比較)は、バッファ層を含む全ての層が存在するウェハボウ(-30μm、数詞502と比較)と比較して小さくなっている。
図5に示されるn-GaN層は、デバイス層を含み、デバイス層の所望されない部分などのデバイス層の一部も、除去され得ることは、留意されたい。
図5から分かるように、最初のGaN/バッファ/Si(
図4のサンプルAと比較)のボウは、-30μmであり、ボウは、AlNバッファ層の除去後に-110μmに増大され、ボウは、AlN+AlGaN1+AlGaN2+AlGaN3バッファの除去後に、-85μmに低減された。最終的に、GaN/SiO2/Siのボウ(
図4のサンプルCと比較)は、バッファ層全てが除去された後、-20μmに低減された。
【0024】
図6は、例示的な実施形態によるキャリア基板上にデバイスを製造する方法を説明するフローチャート600を示す。ステップ602で、第1基板が提供される。ステップ604で、1又は複数のデバイス層が、第1基板上に形成される。ステップ606で、第2基板は、第1基板と反対側のデバイス層に接着される。ステップ608で、第1基板は、除去される。
【0025】
デバイス層の極性は、第2基板への接着及び第1基板の除去の結果として反転され得る。
【0026】
デバイス層を形成する段階は、複数のバッファ層上にデバイス層を形成する段階の前に異なる構成を有する複数のバッファ層を形成する段階を備え得る。複数のバッファ層を形成する段階は、SiNxマスキング段階を備え得る。複数のバッファ層及び/又はデバイス層は、エピタキシャル成長により成長され得る。方法はさらに、複数のバッファ層の少なくとも一部を除去する段階を備え得る。方法はさらに、デバイス層の一部を除去する段階を備え得る。方法はさらに、デバイス層の所望の極性を高歩留まりで達成すべく、エッチングストップ層を提供する段階と、エッチングストップ層を使用する段階とを備え得る。
【0027】
方法はさらに、第2基板と反対側のデバイス層の少なくとも一部に第3基板を接着する段階と、第2基板を除去する段階とを備え得る。デバイス層の極性は、第3基板への接着及び第2基板の除去の結果として反転され得る。方法はさらに、デバイス層の所望の極性を高歩留まりで達成すべく、別のエッチングストップ層を提供する段階と、他のエッチングストップ層を使用する段階とを備え得る。
【0028】
1つの実施形態において、デバイスは、キャリア基板と、キャリア基板上の1又は複数のデバイス層とを備え、デバイス層がキャリア基板とは異なる基板上に成長された。
【0029】
キャリア基板上のデバイス層の極性は、異なる基板上のデバイス層の極性と比較して反転され得る。
【0030】
キャリア基板上のデバイス層の極性は、異なる基板上のデバイス層の極性と同じであり得る。
【0031】
デバイスはさらに、キャリア基板と反対側のデバイス層の成長の間に使用されるバッファ層の少なくとも一部を備え得る。デバイスは、キャリア基板と反対側のデバイス層の成長の間に使用される異なる構成を有する1又は複数のバッファ層を備え得る。バッファ層は、SiNxマスクを備え得る。デバイス層又はバッファ層の一部又は1もしくは複数のバッファ層のうち1つが、ある雰囲気に露出され得る。デバイス層及び/又はバッファ層の一部及び/又は1もしくは複数のバッファ層が、エピタキシャル成長により成長されていてよい。
【0032】
本発明の実施形態は、以下の特徴/利点のうち1又は複数を有し得る。
(i)グレーデッド層、例えば、80%、50%及び20%のAl含有量を有する3ステップ・グレーデッドAlGaN層が成長され、エピタキシャル成長中に圧縮ひずみを導入する。3ステップ・グレーデッドAlGaN層及び5ステップ・グレーデッドAlGaN層が、上記の説明において例として明らかにされたが、グレーデッド層の他の数も可能性があり、グレーデッド層の数は、通常約1-10である。これは、引張りひずみは、成長プロセスの終了時に成長温度から室温への冷却中に導入されるので、有利である。それゆえ、圧縮ひずみ及び引張りひずみの両方が好ましくは、互いを補償することとなり、ウェハボウの最小変化につながる。ウェハ接着、リソグラフィなどのその後の処理に関して、ステップ・グレーディング(step-grading)プロファイル(すなわち、ステップ数、各ステップの厚さ、各ステップの合金組成)の調整が好ましくは、実行され得る。最終的なデバイスのヘテロ構造及び厚さに応じて、バッファ層内で所望される最適な応力プロファイルは、著しく変化し得ることに留意されたい。
(ii)SiNxその場マスクが使用され、圧縮ひずみを切り離し、SiNxその場マスク後にGaN層が相対的に圧縮ひずみを小さくする。
(iii)壊れやすいSi(111)基板は、Si(100)ウェハにより置き換えられる。
(iv)GaN及び最終的なデバイス層の応力も、最終的なGaN厚を制御することにより操作され得る。高度に引張りひずみが入ったGaN層は、例えば電子移動度を増加させ得、それゆえHEMT性能を改善し得る。
(v)薄型デバイス(HEMT又はLED)層は、より良いデバイス性能(例えば、HEMT又は発光ダイオード(LED)デバイス等のより良い熱消散)のために厚いバッファ層を除去することにより達成可能である。
(vi)N極性のGaN又はGa極性のGaNがもたらされ得る。
(vii)Si(100)ウェハは、Si(111)基板と比較してファウンドリにより受け入れられ、処理されることがより容易である。
【0033】
多くの変形及び/又は変更が、広く説明される本発明の主旨又は範囲から逸脱することなく、具体的な実施形態に示されるように本発明に対してなされ得ることが、当業者により理解されるであろう。それゆえ、本実施形態はあらゆる点で、例示的であり、限定されずに考慮されるべきである。また、本発明は、特徴又は特徴の組み合わせが特許請求の範囲又は本実施形態に明らかに特定されていないとしても、特徴の任意の組み合わせ、特に特許請求の範囲の特徴の任意の組み合わせを含む。
【0034】
例えば、異なる実施形態において、本発明は、他の半導体材料系に対して含む、他のデバイス層に適用可能であり得る。例えば、Ge及びGaAsバッファ付きのSi上のヘテロエピタキシャルInGaPにおける引張り熱不整合(例えば、発光デバイス(LED)に対する)は、ウェハに大きな凹のボウをもたせる。そのような実施形態において、元のSi基板を置き換え、Ge及びGaAsバッファを除去する方法はまた、ウェハ安定性を改善すべく適用され得る。
【0035】
また、ひずみ設計/制御のためのグレーデッド構造の使用が本明細書の例示的な実施形態において説明されているが、本発明は、異なる実施形態において異なるタイプのひずみ設計(例えば、超格子バッファなど)を用いてウェハに適用され得る。
本明細書によれば、以下の各項目に記載の構成もまた開示される。
[項目1]
キャリア基板上にデバイスを製造する方法であって、
第1基板を提供する段階と、
前記第1基板上に1又は複数のデバイス層を形成する段階と、
前記第1基板と反対側の前記1又は複数のデバイス層に第2基板を接着する段階と、
前記第1基板を除去する段階と
を備える方法。
[項目2]
前記1又は複数のデバイス層の極性が、前記第2基板への前記接着する段階及び前記第1基板の前記除去する段階の結果として反転される、
項目1に記載の方法。
[項目3]
前記1又は複数のデバイス層を形成する段階は、複数のバッファ層上に前記1又は複数のデバイス層を形成する段階の前に異なる構成を有する前記複数のバッファ層を形成する段階を備える、
項目1又は2に記載の方法。
[項目4]
前記複数のバッファ層を形成する段階は、SiNxマスキング段階を有する、
項目3に記載の方法。
[項目5]
前記複数のバッファ層及び1又は前記複数のデバイス層のうち少なくとも一方は、エピタキシャル成長より成長される、
項目3又は4に記載の方法。
[項目6]
前記1又は複数のバッファ層の少なくとも一部を除去する段階をさらに備える、
項目3から5のいずれか一項に記載の方法。
[項目7]
前記1又は複数のデバイス層の一部を除去する段階をさらに備える、
項目6に記載の方法。
[項目8]
前記1又は複数のデバイス層の所望の極性を高歩留まりで達成すべく、エッチングストップ層を提供する段階と、前記エッチングストップ層を使用する段階とをさらに備える、
項目6又は7に記載の方法。
[項目9]
前記第2基板と反対側の前記1又は複数のデバイス層の少なくとも一部に第3基板を接着する段階と、前記第2基板を除去する段階とをさらに備える、
項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
[項目10]
前記1又は複数のデバイス層の極性は、前記第3基板への前記接着及び前記第2基板の前記除去の結果として反転される、
項目9に記載の方法。
[項目11]
前記1又は複数のデバイス層の所望の極性を高歩留まりで達成すべく、別のエッチングストップ層を提供する段階と、前記別のエッチングストップ層を使用する段階とをさらに備える、
項目9又は10に記載の方法。
[項目12]
キャリア基板と、
前記キャリア基板上の1又は複数のデバイス層とを備えるデバイスであって、
前記1又は複数のデバイス層は、前記キャリア基板とは異なる基板上に成長された、
デバイス。
[項目13]
前記キャリア基板上の前記1又は複数のデバイス層の極性は、前記異なる基板上の前記1又は複数のデバイス層の極性と比較して反転される、
項目12に記載のデバイス。
[項目14]
前記キャリア基板上の前記1又は複数のデバイス層の極性は、前記異なる基板上の前記1又は複数のデバイス層の極性と同じである、
項目12に記載のデバイス。
[項目15]
前記キャリア基板と反対側の前記1又は複数のデバイス層の前記成長の間に使用されるバッファ層の少なくとも一部をさらに備える、
項目12から14のいずれか一項に記載のデバイス。
[項目16]
前記キャリア基板と反対側の前記1又は複数のデバイス層の前記成長の間に使用される異なる構成を有する複数のバッファ層を備える、
項目15に記載のデバイス。
[項目17]
前記バッファ層は、SiNxマスクを有する、
項目15又は16に記載のデバイス。
[項目18]
前記1又は複数のデバイス層又は前記バッファ層の前記一部又は前記1もしくは複数のバッファ層のうち1つが、ある雰囲気に露出される、
項目15から17のいずれか一項に記載のデバイス。
[項目19]
前記1又は複数のデバイス層及び/又は前記バッファ層の前記一部及び/又は前記1もしくは複数のバッファ層がエピタキシャル成長により成長された、
項目15から18のいずれか一項に記載のデバイス。