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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】流体制御機器
(51)【国際特許分類】
   F16K 49/00 20060101AFI20221227BHJP
   F16K 7/12 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
F16K49/00 B
F16K7/12 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019013401
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020122496
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】赤本 久敏
(72)【発明者】
【氏名】土口 大飛
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-270716(JP,A)
【文献】特開平02-283987(JP,A)
【文献】実開昭57-040780(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0096843(US,A1)
【文献】特開2003-014155(JP,A)
【文献】特開2003-269654(JP,A)
【文献】特開2018-021649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/00-7/20
13/00-13/10
25/00-25/04
29/00-29/02
33/00
39/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体としてのダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムを収容するボディと、を備える流体制御機器であって、
熱交換媒体を流入させる流入口と、前記熱交換媒体を流出させる流出口と、を有するジャケットを更に備え、
前記ボディの外面と前記ジャケットとの間に、前記熱交換媒体が流通する流通空間が形成され
前記流通空間は、仕切り板で複数の区画に仕切られ、
前記仕切り板は、全閉時に前記ダイヤフラムが前記ボディの内面に接触するシール領域に対応する前記ボディの外面に沿って設けられている、
ことを特徴とする流体制御機器。
【請求項2】
弁体としてのダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムを収容するボディと、を備える流体制御機器であって、
熱交換媒体を流入させる流入口と、前記熱交換媒体を流出させる流出口と、を有するジャケットを更に備え、
前記ボディの外面と前記ジャケットとの間に、前記熱交換媒体が流通する流通空間が形成され
前記流通空間は、仕切り板で複数の区画に仕切られ
前記仕切り板は、前記ジャケットに溶接され、
前記ジャケットは、前記ボディに溶接されている、
ことを特徴とする流体制御機器。
【請求項3】
前記仕切り板は、全閉時に前記ダイヤフラムが前記ボディの内面に接触するシール領域に対応する前記ボディの外面に沿って設けられている、
ことを特徴とする請求項に記載の流体制御機器。
【請求項4】
前記流入口と前記流出口は、前記複数の区画のうち異なる区画に接続され、
前記流入口または前記流出口が接続される各前記区画中において、前記流入口または前記流出口と、他の前記区画に繋がる連通開口とは、離れた側に配置される、
ことを特徴とする請求項からまでのいずれかに1項に記載の流体制御機器。
【請求項5】
前記流入口と前記流出口は、前記ボディに接続された供給配管の軸方向から見たとき、同じ方向に配置されている、
ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の流体制御機器。
【請求項6】
前記流入口及び前記流出口は、ねじ込み式の継手にそれぞれ接続されている、
ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の流体制御機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れを制御する流体制御機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体、粉体、半固形体などの流動性材料を供給する流体制御機器としてボールバルブが用いられている。このボールバルブは、例えば、チョコレートなどを取り扱う食品工場でも使用されている。
【0003】
食品工場では、原料を供給する配管系の洗浄・殺菌が必須であるため、メンテナンス性の観点、また、パーティクルなどの異物混入対策の観点から、弁体にダイヤフラムを用いたダイヤフラムバルブが注目されている。
【0004】
ところで、チョコレートなどの原料は、加熱されて流動性を有する状態で配管系に供給されるため、新たに採用されるダイヤフラムバルブも加熱又は保温する必要がある。ボールバルブでは、非特許文献1にみられるように、ジャケット構造で加熱可能としたものが製品化されているが、ダイヤフラムバルブでは、そのような構造のものが未だ実用化されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】株式会社日阪製作所,”フルボア型ジャケット付ボールバルブ”,Cat No HJ5-1709,第1-5ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1にみられるボールバルブの構造では、弁体を取り外す場合、バルブ本体を前後の配管から切り離す必要があり、メンテナンス性が良くなかった。また、バルブの呼び径が大きくなると、2つに完全分離したジャケットになるため、熱交換媒体を送給する配管が2系統になり、熱交換媒体の循環系が複雑化し、設置スペースが大きくなった。そのため、ボールバルブ用のジャケット構造を、ダイヤフラムバルブにそのまま適用することができなかった。
【0007】
そこで、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、均一に加熱可能なダイヤフラム型の流体制御機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明に係る1つの態様は、弁体としてのダイヤフラムと、前記ダイヤフラムを収容するボディと、を備える流体制御機器であって、熱交換媒体を流入させる流入口と、前記熱交換媒体を流出させる流出口と、を有するジャケットを更に備え、前記ボディの外面と前記ジャケットとの間に、前記熱交換媒体が流通する流通空間が形成されているものである。
(2)上記(1)の態様において、前記流通空間は、仕切り板で複数の区画に仕切られてもよい。
(3)上記(2)の態様において、前記仕切り板は、全閉時に前記ダイヤフラムが前記ボディの内面に接触するシール領域に対応する前記ボディの外面に沿って設けられてもよい。
(4)上記(2)又は(3)の態様において、前記仕切り板は、前記ジャケットに溶接され、前記ジャケットは、前記ボディに溶接されてもよい。
(5)上記(2)から(4)までのいずれか1つの態様において、前記流入口と前記流出口は、前記複数の区画のうち異なる区画に接続され、前記流入口または前記流出口が接続される各前記区画中において、前記流入口または前記流出口と、他の前記区画に繋がる連通開口とは、離れた側に配置されてもよい。
(6)上記(1)から(5)までのいずれか1つの態様において、前記流入口と前記流出口は、前記ボディに接続された供給管の軸方向から見たとき、同じ方向に配置されてもよい。
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つの態様において、前記流入口及び前記流出口は、ねじ込み式の継手にそれぞれ接続されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、均一に加熱可能なダイヤフラム型の流体制御機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る実施形態の流体制御機器を示す部分断面図である。
図2】本発明に係る実施形態の流体制御機器を示す分解斜視図である。
図3】ダイヤフラムを接液側から見た斜視図である。
図4】ボディを示す下方斜視図である。
図5】ボディを第1配管側から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付している。
図1は、本発明に係る実施形態の流体制御機器1を示す部分断面図である。図2は、本発明に係る実施形態の流体制御機器1を示す分解斜視図である。なお、図2では、ジャケット30は省略されている。
【0012】
流体制御機器1は、液体、粉体、蒸気(気体)などの流動性材料F(以降、「流体F」という。)の流れを配管系内で制御するものであり、ダイヤフラム10を弁体として備える、いわゆるダイヤフラムバルブである。なお、流体Fには、例えば、チョコレートなど加熱されることで、流動性を呈するようなものも含まれる。
【0013】
そして、流体制御機器1は、図1に示すように、ダイヤフラム10と、ダイヤフラム10を収容するボディ20と、ダイヤフラム10を開閉方向に駆動させるアクチュエータ50と、アクチュエータ50をボディ20に着脱可能に締結するクランプ部材60と、を備えている。
【0014】
つぎに、ダイヤフラム10について、図3も参照しながら説明する。図3は、ダイヤフラム10を接液側から見た斜視図である。
【0015】
弁体としてのダイヤフラム10は、丸みを帯びた肉厚の先端部11bを有する略円錐形状に形成されている。ただし、略円錐形状は、一定の傾斜角を保って先端部11b側に向かって先細りする完全円錐形を意味するものではなく、例えば、先端部11bに向かってほぼ一定の傾斜角度で先細りして先端部11bが丸められたもの、内側に緩やかに窪むRを描きながら先端部11bに向かって先細りして先端部11bが丸められたもの、中間部がほぼ一定の傾斜角度で先細りして先端部11bが丸められているとともに、先端部11bと反対側となる後端部側が緩やかに末広がりするベルカップ状のものなどの緩やかな曲線を描きながら先細りするものを含むものである。
【0016】
また、ダイヤフラム10は、先端部11bの中心を通って表面10aを横断するように形成された線条シール部11cを有している。この線条シール部11cは、流体Fに接触(接液)する表面10a側から突出するように形成されている。
【0017】
なお、ダイヤフラム10は、吊り具12が裏面10b側に設けられている。また、必要に応じて、ダイヤフラム10は、裏面10b側にバックアップ部が装着されてもよい。
また、ダイヤフラム10は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されている。
【0018】
つづいて、ボディ20について、図4及び図5も参照しながら説明する。図4は、ボディ20を示す下方斜視図である。図5は、ボディ20を第1配管21側から見た断面図である。
【0019】
ボディ20は、図2に示すように、ダイヤフラム10が配置されるボディ本体23と、流体Fが供給及び排出される第1配管21及び第2配管22と、が一体的に設けられている。なお、本実施形態では、第1配管21側を供給配管とするが、第2配管22が供給配管であってもよい。
【0020】
第1配管21及び第2配管22は、ボディ本体23を挟んで対称となるように一直線上に設けられているが、例えば、ボディ本体23を介してL字状やV字状をなすように設けられてもよい。そして、第1配管21及び第2配管22は、フェルール式の継手を介して、各種設備の配管同士の間にそれぞれ連結される。
【0021】
ボディ本体23は、中央にダイヤフラム10の挿入口となる開口部24aを有する円形状のフランジ部24と、フランジ部24から反対側に位置する底部26と、フランジ部24と底部26とに繋がる側部25と、から形成された有底形状のものである。
【0022】
側部25から底部26に掛けての部分は、第1配管21から第2配管22に向かって、第1配管21及び第2配管22の内部流路の内面の一部が延長されたような内面、つまり、内部流路の内径に近い曲率半径を有する曲面状の内面を有している(図5参照)。
【0023】
また、側部25は、第1配管21から第2配管22に向かう中間の位置であって、第1配管21から第2配管22に向かう方向(Y軸方向)に略直交する方向側(図2のX軸方向側)の位置に、内側に向かって突出する突出部25aを左右一対有している。なお、第1配管21から第2配管22に向かう方向をY軸方向とするが、第1配管21及び第2配管22が一直線上に配置されていない場合は、供給配管である第1配管21の軸方向をY軸方向とする。
【0024】
この突出部25aは、ダイヤフラム10の表面形状に対応した形状となるように形成されている。この突出部25aは、アクチュエータ50を駆動させて流体Fの流れを停止するときに、ダイヤフラム10の線条シール部11cが押し付けられて当接(接触)するシール領域27を形成する。このとき、突出部25aに押し付けられた線条シール部11cは変形するため、高い密閉度が得られ、流体Fの流れを確実に停止させることができる。
【0025】
つぎに、アクチュエータ50は、ダイヤフラム10を開閉動作させるもので、図示されない駆動機構と、駆動機構の動作をダイヤフラム10に伝達する押圧具52と、を有している。
【0026】
駆動機構は、例えば、単動又は複動式のエアシリンダに圧縮空気が供給されることで、ボディ20側及びその反対側に上下移動する。ただし、駆動機構は、ハンドルを手動又は電動(モータ)で、時計回りや反時計回りに回すことで、押圧具52を移動させたネジ機構を用いた機械的なものや、電磁気力で弁棒を直動させるようなものであってもよい。
【0027】
最後に、クランプ部材60は、ダイヤフラム10、ボディ20及びアクチュエータ50を一体化させるものであり、図2に示すように、一対の半円形状の挟持部材61,62と、これら挟持部材61,62を略円形状となるように締結する一対の締結部材と、を含んでいる。
【0028】
挟持部材61は、内側に開口するコの字状溝61cを有する半円形状の挟持部本体61aと、挟持部本体61aの半円形状の開放端側の両端部の外側にそれぞれ設けられたパイプ状の締結部61bと、を有している。
【0029】
一方、挟持部材62も、挟持部材61と同じ形状であり、内側に開口するコの字状溝62cを有する半円形状の挟持部本体62aと、挟持部本体62aの半円形状の開放端側の両端部の外側にそれぞれ設けられたパイプ状の締結部62bと、を有している。
【0030】
そして、締結部材は、挟持部材61の締結部61bと挟持部材62の締結部62bを貫通するように設けられるボルトと、ボルトの先端側に螺合させるナットと、を含んでいる。
【0031】
このクランプ部材60により、ボディ20のフランジ部24とアクチュエータ50のフランジ部51との間にダイヤフラム10の外周縁11aを挟持した状態で配置される。つまり、ダイヤフラム10は、ボディ20とアクチュエータ50が一体化されるときに、フランジ部51とフランジ部24とで挟持される。このとき、ボディ20の開口部24aは、ダイヤフラム10で閉塞されている。
【0032】
このような流体制御機器1の構成により、アクチュエータ50の駆動機構がボディ20側に駆動されると、駆動機構の先端側に設けられた押圧具52も移動し、ダイヤフラム10の裏面10b側から表面10a側に押圧される力が作用する。これにより、ダイヤフラム10の表面10aがボディ本体23の側部25及び底部26の内面に当接するように変形し、ダイヤフラム10とボディ20との間にシール領域27が形成され、第1配管21から第2配管22への流体Fの流れが遮断される。
【0033】
逆に、押圧具52がボディ20側から離れる方向に駆動されると、シール領域27が開放され、流体Fが第1配管21側から第2配管22側に流れるようになる。
【0034】
ところで、流体制御機器1は、流体Fを加熱(保温)可能に構成されている。具体的には、ボディ20が、図1,4,5に示すように、熱交換媒体Wが流通するジャケット30で覆われており、熱交換媒体Wの熱をボディ20などに伝えられるようになっている。
【0035】
ジャケット30は、ボディ20において少なくともシール領域27が形成される内面に対応する外側を覆うように設けられている。そして、このジャケット30の内面とボディ20の外面との間に、熱交換媒体Wが流通する流通空間40が形成されている。
【0036】
また、ジャケット30は、熱交換媒体Wを流入させる流入口41aに連通する第1継手41と、熱交換媒体Wを流出させる流出口42aに連通する第2継手42と、を有している。なお、第1継手41は、第2配管22側に位置し、第2継手42は、第1配管21側に位置している。
【0037】
この第1継手41及び第2継手42(又は、流入口41a及び流出口42a)は、ボディ20に接続された供給管となる第1配管21の軸方向から見たとき、アクチュエータ50の取付方向の反対側の方向に配置されているが、同じ方向を向いて配置されていれば、アクチュエータ50の取付方向に対して180°でなく、90°から270°の範囲であってもよい。
【0038】
第1継手41及び第2継手42には、熱交換媒体W用の配管をねじ込み連結可能なねじ込み式のものが用いられ、ジャケット30に溶接されている。なお、第1継手41及び第2継手42は、設置スペースが大きくならないものであれば、他の形式のものでもよい。
【0039】
さらに、ジャケット30は、流入口41aと流出口42aとの略中間付近に仕切り板35が設けられている。具体的には、仕切り板35は、全閉時にダイヤフラム10がボディ20の内面に接触するシール領域27に対応する、ボディ20の外面に沿って、略U字状に設けられている。この仕切り板35により、流通空間40は、熱交換媒体Wの流入口41a側及び流出口42a側の2つの第1区画40a及び第2区画40bに仕切られている。
【0040】
これら第1区画40a及び第2区画40bは、主として2か所の連通開口40cで相互に流通可能になっている。連通開口40cの下端、すなわち、仕切り板35の上端は、図4の状態において、第1配管21の中心(軸)よりも上方に存在するとよい。なお、ジャケット30は、仕切り板35が溶接された後に、ボディ20に溶接されているため、ボディ20と仕切り板35との間には若干の隙間が形成されている。
【0041】
このようなジャケット30は、熱交換媒体Wが漏れないように、ボディ20に溶接されている。ジャケット30をボディ20に溶接することにより、ボディ20に寸法変化(歪み)が発生するが、シール領域27付近の寸法変化は、流体制御機器1のシール性能に影響を与えるため、シール領域27を避けた位置で溶接するとよい。
【0042】
そして、ジャケット30に送給される熱交換媒体Wには、加熱温度に応じて種々のものが使用可能であるが、例えば、40℃から100℃未満の加熱温度であれば、温水を使用するとよい。熱交換媒体Wは、加熱手段及び温度コントローラで一定温度に維持され、ポンプ及びタンクなどを備えた循環装置により、ジャケット30に流入及び流出させられる。
【0043】
以上説明したとおり、本発明に係る実施形態の流体制御機器1は、弁体としてのダイヤフラム10と、ダイヤフラム10を収容するボディ20と、を備える流体制御機器1であって、熱交換媒体Wを流入させる流入口41aと、熱交換媒体Wを流出させる流出口42aと、を有するジャケット30を更に備え、ボディ20の外面とジャケット30との間に、熱交換媒体Wが流通する流通空間40が形成されているものである。これにより、ダイヤフラム10を弁体として備える流体制御機器1であっても、ボディ20を均一加熱することができるため、制御する流体Fの温度を維持することができる。
【0044】
実施形態の流通空間40は、仕切り板35で第1区画40a及び第2区画40bの複数区画に仕切られている。特に、第1区画40a及び第2区画40bそれぞれにおいて、流入口41a及び流出口42aと連通開口40cとは離れた側に配置されている。これにより、流入口41aから流入した熱交換媒体Wが、直近で隣接する流出口42aに直接向かうことがなく、仕切り板35(連通開口40c)を迂回して、流出口42aに向かうことになる。そのため、熱交換媒体Wがジャケット30内側の流通空間40全体に行き渡り、ボディ20の加熱を効果的に行うことができる。
【0045】
実施形態の仕切り板35は、全閉時にダイヤフラム10がボディ20の内面に接触するシール領域27に対応するボディ20の外面に沿って設けられている。これにより、シール領域27に対する加熱の均等性を高めることができる。つまり、シール領域27の一部だけが部分的に低温になることで、流体Fが凝固するようなことがなく、また、流体制御機器1の閉止性能が低下するような問題を抑制することができる。
【0046】
実施形態のジャケット30は、ボディ20に溶接され、仕切り板35は、ジャケット30に溶接されている。上記したように、仕切り板35は、全閉時にダイヤフラム10がボディ20の内面に接触するシール領域27に対応するボディ20の外面に沿って設けられているが、ボディ20に溶接されないため、溶接による熱ひずみがボディ20に発生せず、ダイヤフラム10による弁閉止性能の低下を抑制することができる。
【0047】
実施形態の流入口41aと流出口42aは、ボディ20に接続された第1配管(供給管)21の軸方向から見たとき、同じ方向に配置されている。これにより、熱交換媒体Wを循環させる場合、供給側配管系とリターン側配管系とを流体制御機器1に対して同じ側に配置することができ、配管系の取り回しを、簡素でコンパクトな設計とすることができる。
【0048】
実施形態の流入口41a及び流出口42aは、ねじ込み式の第1継手41及び第2継手42に接続されている。これにより、フェルール式と比べて、流入口41a及び流出口42a同士を近づけて配置することができ、熱交換媒体Wの配管系をコンパクトにすることができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 流体制御機器
10 ダイヤフラム、10a 表面、10b 裏面、11a 外周縁、11b 先端部、11c 線条シール部、12 吊り具
20 ボディ、21 第1配管(供給配管)、22 第2配管、23 ボディ本体、24 フランジ部、24a 開口部、25 側部、25a 突出部、26 底部、27 シール領域
30 ジャケット、35 仕切り板
40 流通空間、40a 第1区画、40b 第2区画、40c 連通開口、41a 流入口、42a 流出口、41 第1継手、42 第2継手
50 アクチュエータ、51 フランジ部、52 押圧具
60 クランプ部材、61,62 挟持部材、61a,62a 挟持部本体、61b,62b 締結部、61c,62c コの字状溝、
F 流動性材料、W 熱交換媒体
図1
図2
図3
図4
図5