(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】ベイピング監視システムおよびベイピング監視方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/53 20200101AFI20221227BHJP
A24F 40/60 20200101ALI20221227BHJP
A24F 40/65 20200101ALI20221227BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/60
A24F40/65
(21)【出願番号】P 2021529345
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(86)【国際出願番号】 GB2019053484
(87)【国際公開番号】W WO2020128431
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-05-24
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ストロフェア, オリオル
(72)【発明者】
【氏名】リードリー, デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】エゼオーク, モーリス
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0130143(KR,A)
【文献】特表2017-538410(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0080477(KR,A)
【文献】特表2015-507477(JP,A)
【文献】国際公開第2018/060798(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/001922(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/112750(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/122201(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0304402(US,A1)
【文献】国際公開第2014/195805(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベイピング監視システムであって、
使用者による吸入に応答してペイロードから蒸気を生成し、かつ
吸入中に使用者によって有効に吸入されるペイロードの量を示す吸入データを供与量プロセッサに供給するように動作可能な電子蒸気供給システム(EVPS)と、
使用者の血流に送達される活性成分の量を、前記EVPSに関する薬物動態データ、および前記吸入データに基づいて計算するように動作可能な供与量プロセッサと、
を備え、
前記供与量プロセッサが、計算された前記活性成分の量を、参照従来燃焼製品に関する薬物動態データに基づいて、前記参照従来燃焼製品の等価数へ変換するように動作可能であり、
当該ベイピング監視システムが、前記参照従来燃焼製品の等価数を、ユーザインタフェースを介して示すように動作可能である、ベイピング監視システム。
【請求項2】
前記供与量プロセッサに空気流センサデータを供給するように動作可能な空気流センサを備え、
前記供与量プロセッサが、前記空気流センサデータに応じて吸入プロファイルを計算し、前記使用者の血流に送達される活性成分の量を前記吸入プロファイルに応じて計算するように動作可能である、請求項1に記載のベイピング監視システム。
【請求項3】
前記供与量プロセッサに温度センサデータを供給するように動作可能な温度センサを備え、
前記供与量プロセッサが、前記温度センサデータに応じて吸入プロファイルを計算し、前記使用者の血流に送達される活性成分の量を前記吸入プロファイルに応じて計算するように動作可能である、請求項1に記載のベイピング監視システム。
【請求項4】
前記EVPSが前記供与量プロセッサを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のベイピング監視システム。
【請求項5】
前記EVPSが、前記ユーザインタフェースを表示するためのディスプレイを備える、請求項4に記載のベイピング監視システム。
【請求項6】
遠隔装置を更に備え、前記遠隔装置が前記供与量プロセッサを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のベイピング監視システム。
【請求項7】
前記遠隔装置が、前記ユーザインタフェースを表示するためのディスプレイを備える、請求項6に記載のベイピング監視システム。
【請求項8】
当該ベイピング監視システムが、1つ以上のブランド燃焼製品について、使用者に送達される活性成分の量を前記参照従来燃焼製品に対して相対的に指示するルックアップテーブルを備え、
前記供与量プロセッサが、前記ルックアップテーブルの指示データに基づいて、前記参照従来燃焼製品の等価数を、1つ以上の前記ブランド燃焼製品の等価数へ変換するように動作可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載のベイピング監視システム。
【請求項9】
前記供与量プロセッサが、
(i)現在の日
(ii)現在の週
(iii)現在の月
(iv)現在の年、および
(v)現在設置されているペイロード
から選択される1つ以上にわたって、等価燃焼製品の累積計数を維持する、請求項1~8のいずれか一項に記載のベイピング監視システム。
【請求項10】
気化用のペイロードが前記EVPS内に設置される前に、前記ペイロードが前記供与量プロセッサに登録され、
前記供与量プロセッサが、登録された前記ペイロードの識別情報に応じた前記EVPSに関する薬物動態データを使用する、請求項1~9のいずれか一項に記載のベイピング監視システム。
【請求項11】
使用者による吸入に応答してペイロードから蒸気を生成するように動作可能な電子蒸気供給システム(EVPS)から
、吸入中に使用者によって有効に吸入されるペイロードの量を示す吸入データを受信するように動作可能な受信機と、
使用者の血流に送達される活性成分の量を、前記EVPSに関する薬物動態データ、および前記吸入データに基づいて計算するように動作可能な供与量プロセッサであって、計算された前記活性成分の量を、参照従来燃焼製品に関する薬物動態データに基づいて、前記参照従来燃焼製品の等価数へ変換するように動作可能な供与量プロセッサと、
前記参照従来燃焼製品の等価数を、ユーザインタフェースを介して示すように動作可能なディスプレイと、
を備える移動体通信装置。
【請求項12】
前記EVPSに使用されるペイロードの種類を識別するデータを取得するように動作可能な入力ユーザインタフェースを備え、
前記供与量プロセッサが、前記使用者の血流に送達される活性成分の量を、識別された前記ペイロードの種類に関連付けられた活性成分の濃度に応じて計算するように動作可能である、請求項11に記載の移動体通信装置。
【請求項13】
使用されている前記EVPSの種類を識別するデータを取得するように動作可能な入力手段を備え、
前記供与量プロセッサが、前記使用者の血流に送達される活性成分の量を、識別された前記EVPSの種類に関連付けられた修正データに応じて計算するように動作可能である、請求項11または12に記載の移動体通信装置。
【請求項14】
前記識別するデータが遠隔サーバから取得される、請求項12または13に記載の移動体通信装置。
【請求項15】
吸入中に使用者によって有効に吸入されるペイロードの量を示す吸入データを供与量プロセッサに供給するステップと、
前記供与量プロセッサによって、使用者の血流に送達される活性成分の量を、EVPSに関する薬物動態データ、および前記吸入データに基づいて計算するステップと、
前記供与量プロセッサによって、計算された前記活性成分の量を、参照従来燃焼製品に関する薬物動態データに基づいて、前記参照従来燃焼製品の等価数へ変換するステップと、
前記参照従来燃焼製品の等価数を、ユーザインタフェースを介して表示するステップと、
を備えるベイピング監視方法。
【請求項16】
前記供与量プロセッサに空気流データを供給するステップと、
前記供与量プロセッサにおいて、前記空気流センサデータから吸入プロファイルを計算し、前記使用者の血流に送達される活性成分の量を前記吸入プロファイルに応じて計算するステップと、
を備える請求項
15に記載のベイピング監視方法。
【請求項17】
前記供与量プロセッサが前記EVPS内にある、請求項
15または
16に記載のベイピング監視方法。
【請求項18】
前記供与量プロセッサが遠隔装置内にあり、前記表示するステップが、前記ユーザインタフェースを前記遠隔装置のディスプレイ上に表示することを含む、請求項
15~
17のいずれか一項に記載のベイピング監視方法。
【請求項19】
1つ以上のブランド燃焼製品について、使用者に送達される活性成分の前記参照従来燃焼製品に対する相対的な量をルックアップテーブル内で参照するステップと、
前記ルックアップテーブルの指示データに基づいて、前記参照従来燃焼製品の等価数を、1つ以上の前記ブランド燃焼製品の等価数へ変換するステップと、
を備える請求項
15~
18のいずれか一項に記載のベイピング監視方法。
【請求項20】
(i)現在の日
(ii)現在の週
(iii)現在の月
(iv)現在の年、および
(v)現在設置されているペイロード
から選択される1つ以上にわたって、等価燃焼製品の累積計数を維持するステップを備える請求項
15~
19のいずれか一項に記載のベイピング監視方法。
【請求項21】
気化用のペイロードが前記EVPS内に設置される前に、前記ペイロードを前記供与量プロセッサに登録するステップを備え、
前記計算するステップが、登録された前記ペイロードの識別情報に応じた前記EVPSに関する薬物動態データを使用することを含む、請求項
15~
20のいずれか一項に記載のベイピング監視方法。
【請求項22】
移動体通信装置用のベイピング監視方法であって、
受信機によって、使用者による吸入に応答してペイロードから蒸気を生成するように動作可能な電子蒸気供給システム(EVPS)から
、吸入中に使用者によって有効に吸入されるペイロードの量を示す吸入データを受信するステップと、
供与量プロセッサによって、使用者の血流に送達される活性成分の量を、前記EVPSに関する薬物動態データ、および前記吸入データに基づいて計算するステップと、
前記供与量プロセッサによって、計算された前記活性成分の量を、参照従来燃焼製品に関する薬物動態データに基づいて、前記参照従来燃焼製品の等価数へ変換するステップと、
ディスプレイによって、前記参照従来燃焼製品の等価数を、ユーザインタフェースを介して示すステップと、
を備える、移動体通信装置用のベイピング監視方法。
【請求項23】
請求項
15~
22のいずれか一項に記載の方法をコンピュータシステムに実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベイピング監視システムおよびベイピング監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子蒸気供給システム(EVPS)、例えば電子タバコおよび他のエアロゾル送達システムは、揮発性材料を気化させるのに十分な電源を、制御回路、加熱要素、および典型的には、蒸気/エアロゾルの取得源である液体、ゲル、または固体のペイロードと共に含む複雑な装置である。いくつかのEVPSはまた、通信システムおよび/または計算能力を備える。
【0003】
使用時に、この装置は、典型的にはペイロードの一部を十分な温度に加熱して揮発性物質を気化させることにより、揮発性物質を含む蒸気を吸入のために使用者へ送達するように意図されている。
【0004】
この装置は、典型的には、より伝統的な燃焼式喫煙の併用品または代用品として使用され、ニコチンなどの活性成分を使用者の血流に送達するという同様の効果を有する。
【0005】
しかしながら、使用者は、通常の使用中にどれだけの量の活性成分を受け取っているかについて明確な感覚を有していない可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、この問題を軽減または緩和しようとするものである。
【0007】
第1の側面では、ベイピング監視システムが請求項1に従って提供される。
【0008】
別の側面では、移動体通信装置が請求項11に従って提供される。
【0009】
別の側面では、ベイピング監視方法が請求項15に従って提供される。
【0010】
別の側面では、移動体通信装置用のベイピング監視方法が請求項22に従って提供される。
【0011】
本発明の更なる側面および特徴は、添付の特許請求の範囲で規定される。
【0012】
以下では、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら、例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子タバコの概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電子タバコの制御ユニットの概略図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電子タバコのプロセッサの概略図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る、移動体端末と通信する電子タバコの概略図である。
【
図6】電子タバコの気化器またはヒータの概略図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る移動体端末の概略図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る、蒸気監視方法のフローチャートである。
【
図9】本発明の実施形態に係る、移動体通信装置用の蒸気監視方法のフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態に係る、サーバ用の蒸気監視方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ベイピング監視システムおよびベイピング監視方法を開示する。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解をもたらすために、いくつかの具体的な詳細が提示される。しかしながら、本発明を実施するためにこれらの特定の詳細を使用する必要がないことは当業者には明らかであろう。逆に、当業者に知られている特定の詳細は、明快さのために適宜省略される。
【0015】
背景を説明すると、電子蒸気供給システム、例えば電子タバコおよび他のエアロゾル送達システムは、一般に、リザーバに収容された気化すべき液体、典型的にはニコチン(この液体は「e-リキッド」と呼ばれることがある)を含む。使用者が装置を吸い込むと、電気(例えば、抵抗)加熱器が作動して少量の液体を気化させ、エアロゾルを事実上生成し、したがって、このエアロゾルが使用者によって吸入される。この液体は、エタノールや水などの溶媒中にニコチンを、エアロゾル形成を助けるためのグリセリンまたはプロピレングリコールとともに含んでもよく、また、1つ以上の追加の香料を含んでもよい。当業者は、電子タバコおよび他のそのような装置において使用することの可能な多くの様々な液体製剤を認識するであろう。
【0016】
気化した液体をこのように吸入する行為は、「ベイピング」として広く知られている。
【0017】
電子タバコは、外部データ通信をサポートするためのインタフェースを有してもよい。このインタフェースは、例えば、制御パラメータおよび/または更新されたソフトウェアを外部ソースから電子タバコにロードするために使用することができる。代替的または追加的に、このインタフェースを、電子タバコから外部システムにデータをダウンロードするために利用してもよい。ダウンロードされたデータは、例えば、電子タバコの使用パラメータや故障状態などを表してもよい。当業者には分かるように、電子タバコと1つ以上の外部システム(これは別の電子タバコであってもよい)との間で、多くの他の形態のデータを交換することができる。
【0018】
いくつかの例では、電子タバコが外部システムと通信を行うためのインタフェースが、電子タバコへのマイクロ、ミニ、または通常のUSB接続を使用するUSBリンク等の有線接続に基づいている。電子タバコが外部システムと通信を行うためのインタフェースは、無線接続に基づいてもよい。そのような無線接続は、有線接続よりもいくつかの利点を有する。例えば、使用者は、そのような接続を形成するために追加のケーブル設置を必要としない。加えて、使用者は、移動、接続の設定、およびペアリング装置の範囲に関して、より高い柔軟性を有する。
【0019】
本書を通して「電子タバコ」という用語が使用されるが、この用語は、電子蒸気供給システム、エアロゾル送達装置、および他の同様の用語と交換して使用することができる。
【0020】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る電子タバコ10の概略(分解)図である(縮尺は均一ではない)。この電子タバコは、本体または制御ユニット20と、カトマイザ30を備える。カトマイザ30は、典型的にはニコチンを含む液体のリザーバ38と、ヒータ36と、マウスピース35とを含む。電子タバコ10は、電子タバコの中心線に沿ってカトマイザ30の一端に位置するマウスピース35から制御ユニット20の反対側の端部(通常は先端部と呼ばれる)まで延びる縦軸または円柱軸を有する。この縦軸は、
図1において、LAで示される破線によって表示される。
【0021】
カトマイザ内のリキッドリザーバ38は、(e-)リキッドを液体の形態で直接保持してもよいし、あるいは、リキッドの保持体として発泡体マトリックスや綿材料などの吸収構造を利用してもよい。リキッドは、この後、リザーバ38から送出され、ヒータ36を備える気化器に送達される。例えば、リキッドは、リザーバ38からヒータ36までウィック(
図1には図示せず)を介して毛管作用により流れてもよい。
【0022】
他の装置では、リキッドが、植物材料または他の(表面上は固体の)植物誘導体材料の形態で提供されてもよい。この場合、リキッドは、この材料のうち、この材料が加熱されたときに気化する揮発性物質を表すと考えることができる。この種類の材料を含む装置は、一般に、リキッドをヒータに輸送するためのウィックを必要としないが、材料に対してヒータを適切に配置して適切な加熱を行うことに留意されたい。
【0023】
当然のことながら、ヒータは、エアロゾル/蒸気を生成するための手段の一例である。より一般的には、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるように構成された装置である。いくつかの実施形態において、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料から1つ以上の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成するように、エアロゾル生成材料に熱エネルギーを受けさせるように構成された加熱器である。いくつかの実施形態において、エアロゾル生成器は、加熱することなくエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるように構成される。例えば、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料に振動、増加した圧力、および静電エネルギーの1つ以上を受けさせるように構成されていてもよい。
【0024】
これも当然のことながら、固体材料(加工タバコ葉など)やゲルの加熱など、液体以外のペイロード送達の形態も同様に考えることができる。そのような例では、気化する揮発性物質が、吸入される蒸気/エアロゾルの活性成分を提供する。当然ながら、本書における「リキッド」、「e-リキッド」などへの言及は、ペイロード送達の他の態様を等しく包含し、同様に、「リザーバ」または同様のものへの言及は、固体材料のための容器など、他の貯蔵手段を等しく包含する。
【0025】
したがって、一般的には、エアロゾル生成材料は、例えば加熱され、照射され、または任意の他の方法でエネルギーを付与されたときにエアロゾルを生成することの可能な材料である。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体、またはゲルの形態であってもよく、この固体、液体、またはゲルは、活性物質および/または香料を含有してもよいし、含有しなくてもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾル生成材料は「非晶質固体」を含んでいてもよい。非晶質固体は、「モノリシック固体」(すなわち、非繊維質)と称されることもある。いくつかの実施形態において、非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。この非晶質固体は、その中にいくらかの流体、例えば液体、を保持しうる固体材料である。いくつかの実施形態において、エアロゾル生成材料は、例えば、約50重量%、60重量%、または70重量%から、約90重量%、95重量%、または100重量%までの非晶質固体を含んでいてもよい。
【0026】
エアロゾル生成材料は、1つ以上の活性物質および/または香料、1つ以上のエアロゾル形成材料、並びに任意で1つ以上の他の機能性材料を含んでいてもよい。
【0027】
エアロゾル形成材料は、エアロゾルを形成することの可能な1つ以上の成分を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾル形成材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、および炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含んでいてもよい。
【0028】
液体、ゲル、植物性材料、または他の適切な蒸気源は、加熱時に、その蒸気内に活性成分または活性物質(これらの用語は交換可能であると考えられる)を送達してもよい。本書で使用される活性物質は、生理学的応答を達成または増強することを意図される物質である生理学的活性材料であってもよい。活性物質は、例えば、機能性食品、向知性物質、および精神作用物質から選択してもよい。活性物質は、天然に存在するものでもよいし、合成により得られるものでもよい。活性物質は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、ビタミン(B6、B12、Cなど)、メラトニン、カンナビノイド、またはそれらの成分、誘導体、もしくは組み合わせを含んでいてもよい。活性物質は、タバコ、大麻、または他の植物性材料の成分、誘導体、または抽出物を1つ以上含んでいてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、活性物質はニコチンを含む。いくつかの実施形態において、活性物質はカフェイン、メラトニン、またはビタミンB12を含む。
【0030】
本書に記載されるように、活性成分または活性物質は、1つ以上の植物性材料またはその成分、誘導体、もしくは抽出物を含むか、またはそれらに由来してもよい。本書で使用される場合、用語「植物性材料」は、植物に由来する任意の材料を含み、これらに限定されるものではないが、抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種子、花、果実、花粉、殻、皮などを含む。あるいは、この材料は、植物性材料中に天然に存在し、または合成により得られる活性化合物を含んでいてもよい。この材料は、液体、気体、固体、粉末、粉塵、破砕粒子、顆粒、ペレット、断片、細片、シートなどの形態であってもよい。植物性材料の例は、タバコ、ユーカリノキ、スターアニス、麻、カカオ、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カモミール、亜麻、ショウガ、イチョウ葉エキス、ハシバミ、ハイビスカス、ローリエ、甘草、抹茶、マテ、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、茶(緑茶、紅茶など)、タイム、クローヴ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、ベイリーフ、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモンピール、ミント、ジュニパー、ニワトコの花、バニラ、ウィンターグリーン、シソ、ウコン、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、オレンジの花、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、マルベリー、チョウセンニンジン、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブ、またはそれらの任意の組み合わせである。ミントは、以下のミント品種、すなわち、ヨウシュハッカ(Mentha Arvensis)、グレープフルーツミント(Mentha c.v.)、エジプシャンミント(Mentha niliaca)、ペパーミント(Mentha piperita)、ライムミント(Mentha piperita citrata c.v.)、チョコレートミント(Mentha piperita c.v.)、カーリーミント(Mentha spicata crispa)、ワイルドミント(Mentha cordifolia)、ホースミント(Mentha longifolia)、パイナップルミント(Mentha suaveolens variegata)、ペニーロイヤルミント(Mentha pulegium)、イングリッシュスペアミント(Mentha spicata c.v.)、およびアップルミント(Mentha suaveolens)から選択されたものであってもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、活性成分は、1つ以上の植物性材料またはその成分、誘導体、もしくは抽出物を含むか、またはそれらに由来し、その植物性材料はタバコである。
【0032】
いくつかの実施形態において、活性成分は、1つ以上の植物性材料またはその成分、誘導体、もしくは抽出物を含むか、またはそれらに由来し、その植物性材料は、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ、および麻から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態において、活性成分は、1つ以上の植物性材料またはその成分、誘導体、もしくは抽出物を含むか、またはそれらに由来し、その植物性材料は、ルイボスおよびウイキョウから選択される。
【0034】
制御ユニット20は、電子タバコ10に電力を供給するための再充電可能なセルまたはバッテリー54(以下、バッテリーと呼ぶ)と、電子タバコを全体的に制御するためのプリント回路基板(PCB)28および/または他の電子機器を含む。
【0035】
制御ユニット20およびカトマイザ30は、
図1に示されるように、互いに取外し可能であるが、装置10の使用時には、例えばねじまたはバヨネット継手によって、接合される。カトマイザ30および制御ユニット20上のコネクタは、
図1にそれぞれ31Bおよび21Aとして概略的に示されている。制御ユニットとカトマイザとの間のこの接続は、2つの間の機械的および電気的な接続性をもたらす。
【0036】
制御ユニットがカトマイザから取り外されると、カトマイザに接続するために使用される制御ユニット上の電気接続部21Aは、充電装置(図示せず)を接続するためのソケットとしても機能してよい。この充電装置の他端は、電子タバコの制御ユニット内のバッテリー54を再充電するためにUSBソケットに差し込むことができる。他の実装例では、(例えば)電気接続部21AとUSBソケットとの間の直接接続のためのケーブルが電子タバコに備え付けられていてもよい。
【0037】
制御ユニットには、空気入口用の1つ以上の孔がPCB28に隣接して設けられている。これらの孔は、制御ユニットを通る空気通路に接続され、この空気通路は、コネクタ21Aを貫通して設けられた空気通路へと至る。この空気通路は次に、カトマイザ30を通ってマウスピース35に至る空気経路につながる。ヒータ36およびリキッドリザーバ38は、コネクタ31Bとマウスピース35との間に空気チャネルを設けるように構成されていることに注意されたい。この空気チャネルは、カトマイザ30の中心を通って延び、リキッドリザーバ38がこの中心経路の周りの環状領域に閉じ込められてもよい。代替的に(または追加的に)、空気流チャネルは、リキッドリザーバ38と、カトマイザ30の外側ハウジングとの間に位置してもよい。
【0038】
使用者がマウスピース35を介して吸い込むと、空気が1つ以上の空気入口孔を通って制御ユニット20内に引き込まれる。この空気流(または関連する圧力の変化)は、センサ、例えば圧力センサによって検出され、このセンサは、ヒータ36を作動させて、リザーバ38から供給されるニコチン液を気化させる。空気流は、制御ユニットから気化器に入り、そこで空気流がニコチン蒸気と混合する。この空気流とニコチン蒸気の混合物(事実上、エアロゾル)は、この後、カトマイザ30を通過してマウスピース35から出て、使用者によって吸入される。カトマイザ30は、ニコチン液の供給が尽きたときに、制御ユニットから取り外して廃棄してもよい(そして、その後、別のカトマイザと交換してもよい)。上述のように、ニコチンは、活性成分の非限定的な例である。
【0039】
当然ながら、
図1に示される電子タバコ10は、例示のためにのみ提示されたものであり、多くの他の実装例を採用することができる。例えば、いくつかの実施態様では、カトマイザ30は、リキッドリザーバ38を含むカートリッジと、ヒータ36を含む別個の気化器部分とに分割される。この構成では、カートリッジは、リザーバ38内のリキッドが使い尽くされた後に廃棄することができるが、ヒータ36を含む別個の気化器部分は保持される。代替的に、電子タバコは、
図1に示すカトマイザ30を備えるか、あるいは一体型(単一)の装置として構成されてもよいが、リキッドリザーバ38は、(使用者によって)交換可能なカートリッジの形態である。更なる可能な変形例は、ヒータ36がカトマイザ30の
図1に示す端部とは反対側の端部、すなわちリキッドリザーバ38とマウスピース35との間に配置されてもよく、あるいはヒータ36がカトマイザの中心軸LAに沿って配置され、リキッドリザーバがヒータ35の径方向外側に位置する環状構造の形態であるというものである。
【0040】
当業者はまた、制御ユニット20のための多くの可能な変形例を認識するであろう。例えば、空気流は、PCB28に隣接する空気流に加えて、またはその代わりに、先端部、すなわちコネクタ21Aとは反対側の端部で制御ユニットに入ってもよい。この場合、空気流は、典型的には、バッテリー54と、制御ユニットの外壁との間の通路に沿ってカトマイザに向かって引き込まれる。同様に、制御ユニットは、先端部またはその付近(例えば、バッテリーと先端部との間)に配置されたPCBを備えてもよい。このようなPCBは、PCB28に加えて、またはその代わりに設けられてもよい。
【0041】
更に、電子タバコは、カトマイザと制御ユニットとの間の接続点での充電に加えて、またはその代わりに、先端部での充電、または装置上の他の場所に位置するソケットを介した充電をサポートしてもよい(一部の電子タバコは本質的に一体化されたユニットとして提供され、この場合、使用者はカトマイザを制御ユニットから切り離すことができない)。他の電子タバコは、有線充電に加えて(またはその代わりに)、無線(誘導)充電をサポートしてもよい。
【0042】
図1に示される電子タバコの潜在的な変形例に関する上述の議論は例示である。当業者は、電子タバコ10の更なる潜在的な変形例(および変形例の組合せ)を認識するであろう。
【0043】
図2は、本開示のいくつかの実施形態に係る
図1の電子タバコ10の主要な機能要素の概略図である。
図2は、主に電気的な接続および機能に関するものであり、様々な要素の物理的サイズを示すことも、制御ユニット20またはカトマイザ30内におけるそれらの要素の物理的配置の詳細を示すことも意図していないことに注意されたい。加えて、
図2に示される要素のうち制御ユニット20内に配置されるものの少なくとも一部を回路基板28上に実装できることが理解されるであろう。あるいは、そのような要素のうちの1つ以上が、代わりに、回路基板28と協力して動作するように制御ユニット内に収容されるが、回路基板自体には物理的に搭載されなくてもよい。例えば、これらの要素は、1つ以上の追加の回路基板上に配置されてもよいし、別々に配置されてもよい(例えばバッテリー54)。
【0044】
図2に示されるように、カトマイザは、コネクタ31Bを介して電力を受け取るヒータ310を含む。制御ユニット20は、カトマイザ30の対応するコネクタ31B(または場合によってはUSB充電装置)に接続するための電気ソケットまたはコネクタ21Aを含む。これにより、制御ユニット20とカトマイザ30との間に電気的接続性がもたらされる。
【0045】
制御ユニット20は、センサユニット61を更に含む。このセンサユニット61は、空気入口から空気出口まで(コネクタ21Aを通ってカトマイザ30まで)制御ユニット20を通る空気経路内に、またはその空気経路に隣接して配置される。このセンサユニットは、圧力センサ62および温度センサ63(これもまた、この空気経路内またはこの空気経路に隣接して配置される)を含む。制御ユニットは、コンデンサ220、プロセッサ50、電界効果トランジスタ(FET)スイッチ210、バッテリー54、ならびに入力装置59および出力装置58を更に含む。
【0046】
プロセッサ50および他の電子要素(例えば圧力センサ62)の動作は、一般に、プロセッサ(または他の構成要素)上で実行されるソフトウェアプログラムによって少なくとも部分的に制御される。そのようなソフトウェアプログラムは、ROMなどの不揮発性メモリに記憶されてもよく、このメモリは、プロセッサ50自体に統合することも、あるいは別個の構成要素として設けることも可能である。プロセッサ50は、ROMにアクセスして、必要に応じて個々のソフトウェアプログラムをロードし、実行することができる。プロセッサ50は、制御ユニット20内の他の装置(例えば圧力センサ62)と適宜通信するための適切な通信手段、例えばピンやパッド(および対応する制御ソフトウェア)も含む。
【0047】
出力装置58は、可視出力、音声出力、および/または触覚出力を提供してもよい。例えば、出力装置は、スピーカ58、バイブレータ、および/または1つ以上のライトを含んでもよい。ライトは、典型的には、1つ以上の発光ダイオード(LED)の形態で設けられ、これらは同一色でも異なる色(すなわち多色)でもよい。多色LEDの場合、異なる色、例えば赤色、緑色または青色のLEDを、色に相対的なバリエーションを与えるように任意で様々な相対輝度で、オンに切り替えることにより、異なる色が得られる。赤色、緑色および青色LEDが共に設けられる場合は、全範囲の色が可能であるが、赤、緑および青の3色のLEDのうち2色のみが提供される場合は、対応する部分範囲の色のみをうることができる。
【0048】
出力装置からの出力は、バッテリー低下警告など、電子タバコ内の様々な状況または状態を使用者に伝えるために使用することができる。異なる状態または状況を伝えるために、異なる出力信号を使用することができる。例えば、出力装置58が音声スピーカである場合、異なる状態または状況を、異なる音高および/または持続時間のトーンまたはビープ音によって、および/または複数のそのようなビープ音またはトーンを提供することによって表してもよい。あるいは、出力装置58が1つ以上のライトを含む場合、異なる色、光パルスまたは連続照明、異なるパルス持続時間などを使用することによって、異なる状態または状況を表すことができる。例えば、1つの表示灯を利用して、バッテリー低下警告を示す一方で、別の表示灯を使用して、リキッドリザーバ38がほぼ枯渇したことを示してもよい。当然ながら、所与の電子タバコが、複数の異なる出力モード(音声、視覚)等をサポートするために複数の出力装置を含んでもよい。
【0049】
入力装置59は、様々な形態で提供することができる。例えば、入力装置(複数であってもよい)は、電子タバコの外面上のボタンとして、例えば、機械センサ、電気センサ、または容量(タッチ)センサとして実装されてもよい。いくつかの装置は、入力機構として電子タバコへの吹き込みをサポートし(このような吹き込みは圧力センサ62によって検出することができ、圧力センサは入力装置59の一形態としても機能する)、および/または別の形態の入力機構として、カトマイザ30と制御ユニット20との接続/切断をサポートしてもよい。またも当然ながら、所与の電子タバコが、複数の異なる入力モードをサポートするために複数の入力装置59を含んでもよい。
【0050】
上述のように、電子タバコ10は、空気入口から電子タバコを通り、カトマイザ30内の圧力センサ62およびヒータ310を通過してマウスピース35に至る空気経路を提供する。したがって、使用者が電子タバコのマウスピースを吸い込むと、プロセッサ50が、圧力センサ62からの情報に基づいてそのような吸い込みを検出する。このような検出に応答して、CPUはバッテリー54からヒータに電力を供給し、それにより、使用者による吸入のためにリキッドリザーバ38からのニコチンを加熱して気化させる。
【0051】
図2に示す特定の実装では、FET210がバッテリー54とコネクタ21Aとの間に接続されている。このFET210はスイッチとして機能する。プロセッサ50は、このスイッチを動作させるためにFETのゲートに接続され、それによって、プロセッサが、検出された空気流の状態に従って、バッテリー54からヒータ310への電力の流れをオンおよびオフに切り替えることを可能にする。当然ながら、ヒータ電流は、比較的大きく、例えば、1~5アンペアの範囲とすることができ、したがって、FET210は、(FET210の代わりに使用しうる任意の他の形態のスイッチと同様に)そのような電流の制御をサポートするように実装されるべきである。
【0052】
バッテリー54からヒータ310に流れる電力量をよりきめ細かく制御するために、パルス幅変調(PWM)方式を採用してもよい。PWM方式は、例えば1msの繰り返し周期に基づいていてもよい。そのような周期の各々において、スイッチ210は、その周期の一部分にわたってオンにされ、周期の残りの部分にわたってオフにされる。これは、デューティサイクルによってパラメータ化される。ここで、0のデューティサイクルは、スイッチが各周期の全体にわたってオフである(すなわち、事実上、恒久的にオフである)ことを示し、0.33のデューティサイクルは、スイッチが各周期の3分の1にわたってオンであることを示し、0.66のデューティサイクルは、スイッチが各周期の3分の2にわたってオンであることを示し、1のデューティサイクルは、FETが各周期の全体にわたってオンである(すなわち、事実上、恒久的にオンである)ことを示す。当然ながら、これらはデューティサイクルの例示的な設定値として提示されているに過ぎず、任意の中間値を適宜使用することができる。
【0053】
PWMの使用は、(バッテリー出力電圧およびヒータ抵抗に基づく)公称有能電力にデューティサイクルを乗じたものによって与えられる有効電力をヒータに提供する。プロセッサ50は、例えば、吸い込みの開始時に1のデューティサイクル(すなわち、最大電力)を利用して、最初にヒータ310をその所望の動作温度まで可能な限り迅速に上昇させてもよい。この所望の動作温度が達成されたら、プロセッサ50は、所望の動作電力をヒータ310に供給するために、デューティサイクルを適切な値に低減してもよい。
【0054】
図2に示すように、プロセッサ50は、無線通信のための通信インタフェース55、特に、Bluetooth(登録商標)Low Energy(BLE)通信をサポートするものを含む。
【0055】
任意で、ヒータ310を、無線通信の送受信のために通信インタフェース55によって使用されるアンテナとして利用してもよい。このようにする動機の1つは、制御ユニット20が金属ハウジング202を有する一方で、カトマイザ部30がプラスチックハウジング302を有する場合があることである(これは、カトマイザ30が使い捨てなのに対し、制御ユニット20は保持されるため、より高い耐久性を活かしうる点を反映している)。金属ハウジングは、制御ユニット20自体の内部に配置されたアンテナの動作に影響を及ぼしうる遮蔽物または障壁として作用する。しかしながら、無線通信用のアンテナとしてヒータ310を利用すれば、カトマイザのプラスチックハウジングのために、この金属遮蔽を回避するのに役立てることができ、カトマイザに追加の構成要素や複雑さ(または費用)を加えることもない。これに代えて、別個のアンテナを設けてもよいし(図示せず)、金属ハウジングの一部を使用してもよい。
【0056】
図2に示されるようにヒータがアンテナとして使用される場合、プロセッサ50、より具体的には通信インタフェース55は、バッテリー54から(コネクタ31Bを介して)ヒータ310に至る電力線にコンデンサ220によって結合されてもよい。この容量結合はスイッチ210の下流で生じる。これは、無線通信は、ヒータが加熱のために給電されていないときに動作しうるからである(以下でより詳細に説明する)。当然ながら、コンデンサ220は、バッテリー54からヒータ310への電力供給がプロセッサ50にそれることを防止するのに役立つ。
【0057】
容量結合は、より複雑なLC(インダクタ-コンデンサ)ネットワークを使用して実装されてもよく、このLCネットワークも、通信インタフェース55の出力とのインピーダンス整合をもたらすことができることに留意されたい(当業者に知られているように、このインピーダンス整合は、通信インタフェース55と、アンテナとして作用するヒータ310との間で信号を、接続部に沿って反射させて戻すのではなく、適切に転送する支援を行うことに役立つことができる。)
【0058】
いくつかの実装例では、プロセッサ50および通信インタフェースは、英国のレディングに本拠を置くDialog Semiconductor PLC製のDialog DA14580チップを使用して実装される。このチップに関する更なる情報(およびデータシート)は、http://www.dialog-semiconductor.com/products/bluetooth-smart/smartbond-da14580から入手可能である。
【0059】
図3は、このチップ50の高レベルかつ簡略化された全体像を示しており、ここで、このチップ50は、Bluetooth(登録商標)Low Energyをサポートする通信インタフェース55を含む。このインタフェースは、特に、信号の変調および復調などを実行するための無線送受信機520、リンク層ハードウェア512、および高度暗号化設備(128ビット)511を含む。無線トランシーバ520からの出力は、アンテナに(例えば、アンテナとして機能するヒータ310に容量結合220ならびにコネクタ21Aおよび31Bを介して)接続される。
【0060】
プロセッサ50の残りの部分は、一般処理用コア530、RAM531、ROM532、ワンタイムプログラミング(OTP)ユニット533、汎用I/Oシステム560(PCB28上の他の構成要素と通信するためのもの)、電力管理ユニット540、および2つのバスを接続するためのブリッジ570を含む。ROM532および/またはOTPユニット533に記憶されたソフトウェア命令は、コア530内の1つ以上の処理ユニットによる実行のために、RAM531に(および/またはコア530の一部として設けられたメモリに)ロードすることができる。これらのソフトウェア命令は、プロセッサ50に、センサユニット61とのインタフェーシング、およびそれに応じたヒータの制御など、本書に記載の様々な機能を実施させる。
図3に示す装置は、通信インタフェース55としても、電子蒸気供給システム10のための一般的な制御器としても機能するが、他の実施形態では、これら2つの機能が2以上の異なる装置(チップ)間で分けられてもよく、例えば、1つのチップが通信インタフェース55として機能し、別のチップが電子蒸気供給システム101のための一般的な制御器として機能してもよいことに留意されたい。
【0061】
いくつかの実装例において、プロセッサ50は、ヒータがリザーバ38からの液体を気化させるために使用されているときに無線通信を防止するように構成されてもよい。たとえば、スイッチ210がオンに切り替えられたときに、無線通信を中断し、終了し、または通信の開始を防止してもよい。逆に、無線通信が進行中である場合は、例えば、センサユニット61からの空気流の検出を無視することによって、および/または無線通信が進行している間、ヒータ310への電力をオンにするようにスイッチ210を動作させないことによって、ヒータの作動を防止してもよい。
【0062】
いくつかの実装例において加熱と無線通信の両方のためにヒータ310を同時に動作させることを防止する1つの理由は、それがヒータのPWM制御からの潜在的な干渉を回避するのに役立つからである。このPWM制御は、それ自体の周波数(パルスの繰り返し周波数に基づく)を有しており、この周波数は、通常、無線通信に使用される周波数よりもはるかに低いにもかかわらず、これら2つの周波数は互いに干渉する可能性がある。いくつかの状況では、そのような干渉は、実用上、いかなる問題も引き起こさず、(望むのであれば)加熱と無線通信の両方のためのヒータ310の同時動作が許容される。これは、例えば、信号強度および/またはPWM周波数の適切な選択、適切なフィルタリングの提供などの技術によって容易となりうる。
【0063】
図4は、電子タバコ10と、スマートフォン400または他の適切な移動体通信装置(タブレット、ラップトップ、スマートウォッチなど)上で実行されるアプリケーション(アプリ)との間のBluetooth(登録商標)Low Energy通信を示す概略図である。このような通信は、例えば、電子タバコ10のファームウェアをアップグレードするため、電子タバコ10から使用データおよび/または診断データを回収するため、電子タバコ10のリセットまたはロック解除のため、電子タバコの設定を制御するためなど、広範囲の目的に使用することができる。
【0064】
一般的にいえば、電子タバコ10は、例えば入力装置59を使用することによって、または場合によってはカトマイザ30を制御ユニット20に接合することによってスイッチを入れられると、Bluetooth(登録商標)Low Energy通信の告知を開始する。この発出通信がスマートフォン400によって受信されると、スマートフォン400は、電子タバコ10への接続を要求する。電子タバコは、出力装置58を介してこの要求を使用者に通知し、使用者が入力装置59を介して要求を受諾または拒否するのを待ってもよい。要求が受諾されるとすると、電子タバコ10は、スマートフォン400と更に通信することができる。電子タバコは、スマートフォン400の識別情報を記憶し、そのスマートフォンからの将来の接続要求を自動的に受諾することができることに留意されたい。接続が確立されると、スマートフォン400および電子タバコ10は、クライアント-サーバモードで動作し、スマートフォンは、電子タバコに要求を開始および送信するクライアントとして動作し、したがって、電子タバコはサーバとして動作する(そして、適宜、要求に応答する)。
【0065】
Bluetooth(登録商標)Low Energyリンク(Bluetooth Smart(登録商標)としても知られる)は、IEEE802.15.1規格を実施するものであり、約12cmの波長に対応する2.4~2.5GHzの周波数で動作し、最大で1Mビット/秒のデータレートを有する。接続のためのセットアップ時間は6ミリ秒未満であり、平均電力消費は非常に低く、1mW以下のオーダーとなりうる。Bluetooth(登録商標)Low Energyリンクは、約50mまで延在することができる。しかしながら、
図4に示される状況では、電子タバコ10およびスマートフォン400は、典型的には同じ人物に属し、したがって、互いに極めて近接している(例えば、1m)。Bluetooth(登録商標)Low Energyに関する更なる情報は、http://www.bluetooth.com/Pages/Bluetooth-Smart.aspxで見つけることができる。
【0066】
当然ながら、電子タバコ10は、スマートフォン400(または任意の他の適切な装置)との通信のための他の通信プロトコルをサポートしてもよい。そのような他の通信プロトコルは、Bluetooth(登録商標)Low Energyの代わりであってもよいし、それに追加してもよい。そのような他の通信プロトコルの例には、Bluetooth(登録商標)(Low Energy版ではない。例えば、www.bluetooth.comを参照のこと)、ISO13157に従った近距離無線通信(NFC)、およびWiFi(登録商標)が含まれる。NFC通信は、Bluetooth(登録商標)(13.56MHz)よりもはるかに低い波長で動作し、一般にはるかに短い範囲、例えば0.2m未満、を有する。しかしながら、この短距離は、依然として、
図4に示されるようなほとんどの使用シナリオに適合する。一方、IEEE802.11ah、IEEE802.11v、または同様のもの等の低電力WiFi(登録商標)通信を、電子タバコ10と遠隔装置との間で採用してもよい。いずれの場合も、適切な通信チップセットが、プロセッサ50の一部として、または別個の構成要素として、PCB28上に含まれうる。当業者は、電子タバコ10で使用することの可能な他の無線通信プロトコルを認識するであろう。
【0067】
図5は、いくつかの実施形態に係る例示的なカトマイザ30の概略分解図である。カトマイザは、外側プラスチックハウジング302、マウスピース35(ハウジングの一部として形成されてもよい)、気化器620、中空内管612、および制御ユニットへの取り付けのためのコネクタ31Bを有する。カトマイザ30を通る空気流経路は、コネクタ31Bを貫通する空気入口から始まり、次に気化器625および中空管612の内部を通り、最後にマウスピース35を通って外部に通じる。カトマイザ30は、(i)プラスチックハウジング302と、(ii)気化器620および内管612との間の環状領域に液体を保持する。コネクタ31Bには、この領域に液体を維持するのを助け、漏れを防止するために、シール635が設けられている。
【0068】
図6は、
図5に示される例示のカトマイザ30からの気化器620の概略分解図である。気化器620は、それぞれが実質的に半円形の断面を有する2つの部品627A、627Bから形成された実質的に円筒形のハウジング(クレードル)を有する。組み立てられたとき、部品627A、627Bの縁部は、互いに完全には(少なくとも、それらの全長に沿っては)当接せず、むしろ、(
図5に示されるように)わずかな間隙625が残る。この間隙は、気化器および管612の周りに位置する外部リザーバからの液体が気化器620の内部に入ることを可能にする。
【0069】
気化器の部品の1つである627Bは、ヒータ310を支持するように
図6に示されている。ヒータ310に電力(および無線通信信号)を供給するための2つのコネクタ631A、631Bが示されている。より具体的には、これらのコネクタ631A、631Bは、ヒータをコネクタ31Bに連結し、そこから制御ユニット20に連結する。(コネクタ631Aは、ヒータ310の下を通る電気接続であって
図6では見えない電気接続によって、コネクタ31Bから、気化器620の遠端に位置するパッド632Aに接合されることに留意されたい。)
【0070】
ヒータ310は、焼結金属繊維材料から形成された加熱要素を備え、一般的には、多孔質導電性材料(鋼など)のシートの形態をとる。しかし、当然ながら、他の多孔質導電性材料を使用してもよい。
図6の例における加熱要素の全体抵抗は、約1オームである。しかし、当然ながら、利用可能なバッテリー電圧および加熱要素の所望の温度/電力消費特性を考慮するなどして、他の抵抗を選択してもよい。この点に関して、関連する特性は、対象となるソース液体に応じた装置の所望のエアロゾル(蒸気)生成特性に従って選択することができる。
【0071】
加熱要素の主要部分は、ほぼ長方形であり、約20mmの長さ(すなわち、コネクタ31Bと接点632Aとの間に延びる方向の長さ)と、約8mmの幅を有する。この例において加熱要素を備えるシートの厚さは、約0.15mmである。
【0072】
図6に見られるように、加熱要素のほぼ長方形の主要部分は、長辺の各々から内側に延びるスロット311を有する。これらのスロット311は、気化器ハウジング部品627Bによって提供されるペグ312と係合し、それにより、加熱要素の位置をハウジング部品627A、627Bに対して維持することを助ける。
【0073】
これらのスロットは、約4.8mmだけ内側に延び、約0.6mmの幅を有する。これらの内側に延びるスロット311は、加熱要素の各辺において約5.4mmだけ互いから離間し、対向する辺から内側に延びるスロットは、この間隔の約半分だけ互いにずれている。スロットのこの配置の結果、加熱要素に沿った電流の流れは、事実上、曲がりくねった経路を辿るように強制され、その結果、スロットの端部の周りに電流および電力の集中が生じる。加熱要素上の異なる位置における異なる電流/電力密度は、比較的低い電流密度の領域よりも熱くなる比較的高い電流密度の領域があることを意味する。これは、事実上、加熱要素に、ある範囲の異なる温度および温度勾配をもたらすが、これはエアロゾル供給システムとの関連で望ましいものとなりうる。これは、ソース液体の異なる成分が異なる温度でエアロゾル化/気化しうるからであり、したがって、ある範囲の温度を有する加熱要素を提供することは、ソース液体中のある範囲の異なる成分を同時にエアロゾル化することに役立ちうるからである。
【0074】
図6に示すヒータ310は、一方向に細長い実質的に平坦な形状を有し、アンテナとして作用するのによく適している。制御ユニットの金属ハウジング202と共に、ヒータ310は、近似的なダイポール構成を形成し、これは、典型的には、Bluetooth Low Energy通信の波長と同じオーダーの大きさの物理的サイズ、すなわち、約12cmの波長に対して数センチメートルのサイズ(これはヒータ310および金属ハウジング202の両方を可能にする)を有する。
【0075】
図6は、ヒータ310(加熱要素)の1つの形状および構成を示すが、当業者は、様々な他の可能性を認識するであろう。例えば、ヒータは、コイルまたは他の構成の抵抗線として設けられてもよい。別の可能性は、ヒータが、気化される液体(例えば、ある形態のタバコ製品)を収容するパイプとして構成されることである。この場合、パイプは、主に、(例えば、コイルまたは他の加熱要素によって)発生場所から気化される液体に熱を輸送するために使用してもよい。そのような場合、パイプは、加熱される液体に対して依然としてヒータとして動作する。ここでも任意で、そのような構成を、無線構成をサポートするためのアンテナとして使用することができる。
【0076】
本書で前述したように、適切な電子タバコ10は、移動体通信装置400と、例えばBluetooth(登録商標)Low Energyプロトコルを使用してこれらの装置をペアリングすることによって、通信することができる。
【0077】
この結果、スマートフォン上で実行するための適切なソフトウェア命令(例えばアプリの形態)を提供することによって、電子タバコ、ならびに/または電子タバコおよびスマートフォンを備えるシステムに追加の機能を提供することが可能である。
【0078】
ここで
図7を参照すると、典型的なスマートフォン400は、中央処理装置(CPU)(410)を備える。CPUは、適宜、直接接続により、あるいはI/Oブリッジ414および/またはバス430を介して、スマートフォンの構成要素と通信することができる。
【0079】
図7に示す例では、CPUは、メモリ412と直接通信する。ここで、このメモリ412には、オペレーティングシステムおよびアプリケーション(アプリ)を記憶するためのFlash(登録商標)メモリなどの永続メモリと、CPUによって現在使用されているデータを保持するためのRAMなどの揮発性メモリとが含まれていてもよい。典型的には、永続メモリおよび揮発性メモリは、物理的に別個のユニット(図示せず)によって形成される。更に、メモリは、microSDカードなどのプラグインメモリと、加入者情報モジュール(SIM)(図示せず)上の加入者情報データとを別個に備えていてもよい。
【0080】
スマートフォンはまた、グラフィックス処理ユニット(GPU)416を備えうる。GPUは、CPUと直接、またはI/Oブリッジを介して通信してもよく、またはCPUの一部であってもよい。GPUは、CPUとRAMを共有してもよく、またはそれ自体の専用RAM(図示せず)を有してもよく、携帯電話のディスプレイ418に接続される。ディスプレイは、典型的には、液晶(LCD)または有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイであるが、電子インク等の任意の好適なディスプレイ技術であってもよい。任意で、GPUを、スマートフォンの1つ以上のラウドスピーカー420を駆動するためにも使用することができる。
【0081】
あるいは、スピーカは、I/Oブリッジおよびバスを介してCPUに接続されてもよい。スマートフォンの他の構成要素も同様にバスを介して接続してもよい。このような構成要素には、装置にタッチ入力を提供する目的でスクリーン上に重ねられた容量性タッチ面などのタッチ面432、使用者の発話を受信するためのマイクロフォン434、画像を取り込むための1つ以上のカメラ436、スマートフォンの地理的位置の推定値を取得するための全地球測位システム(GPS)ユニット438、および無線通信手段440が含まれる。
【0082】
無線通信手段440は、Bluetooth(登録商標)(標準または低エネルギー形態)、前述のような近距離無線通信およびWi-Fi(登録商標)、ならびに2G、3G、および/または4G等の電話ベースの通信等、異なる規格および/またはプロトコルに準拠するいくつかの別個の無線通信システムを備えてもよい。
【0083】
これらのシステムは、典型的には、バッテリー(図示せず)によって給電される。このバッテリーは、USB(図示せず)などのデータリンクの一部となりうる電力入力(図示せず)を介して充電可能であってもよい。
【0084】
当然ながら、異なるスマートフォンは、異なる特徴(例えば、コンパスやブザー)を含んでもよく、また、上記に列挙されたもののいくつか(例えば、タッチ面)を省略してもよい。
【0085】
したがって、より一般的には、本開示の一実施形態では、スマートフォン400などの適切な遠隔装置が、アプリを記憶および実行するためのCPUおよびメモリと、電子タバコ10との無線通信を開始および維持するように動作可能な無線通信手段とを備える。しかし、当然ながら、この遠隔装置は、タブレット、ラップトップ、スマートTVなど、これらの能力を有する装置であってよい。
【0086】
以下では、
図1および
図4を再び参照しながら、ベイピング監視システムを検討する。
【0087】
このようなベイピング監視システムは、本書で以下に説明するように、使用者が自身のベイピングレベルを、自身の以前の喫煙レベルに有意に関連する手法で監視および計測するための手段を提供することができる。
【0088】
より詳細には、ベイピング監視システムは、電子蒸気供給システム(EVPS)10を単独で、またはスマートフォン400などの遠隔装置と協力して動作するように備えてもよい。前述のように、EVPSは、ペイロードから蒸気/エアロゾルを生成するように動作可能である。
【0089】
さらに、EVPSは、吸入データを供与量プロセッサに供給するように動作可能である。供与量プロセッサは、EVPSのプロセッサ50であってもよいし、遠隔装置のプロセッサ410であってもよく、あるいは供与量プロセッサの役割を、例えば、これら2つの物理プロセッサで分け合ってもよい。
【0090】
吸入データは、使用者によって有効に吸入されるペイロードの量を示し、典型的には1回の吸入(パフ)あたりの量であるが、任意で、所定の期間にわたる累積量、例えば1分あたり、1時間あたり、1日あたり、もしくは1週間あたりの累積量、または所定のパフ回数ごと、例えば5回ごと、10回ごと、もしくは5もしくは10の任意の適切な倍数であって例えば100以下のパフ回数ごとの累積量であってもよい。
【0091】
供与量プロセッサに供給される吸入データが、単純なセンサ計測値を含み、使用者によって気化され吸入されるペイロードの量の最終的な指示が、供与量プロセッサによって後に計算されるようになっていてもよいし、あるいは、吸入データが、事前に計算された形態で供与量プロセッサに供給され、この計算が、例えば、EVPSのプロセッサによって実行されてもよい。
【0092】
使用者によって有効に吸入されるペイロードの量を表す吸入データは、センサ計測値に基づいて、任意の好適な手法を使用して推定してもよく、そういった手法には、以下の4つの手法のうちの任意の1つが含まれる。
【0093】
使用者によって有効に吸入されるペイロードの量は、ヒータ/カトマイザを通過する空気流から第1の近似値と推定してもよい。生成される蒸気の量は、パフ中にEVPSを通過する空気の体積に比例すると想定することができる。この比例関係は、線形であっても非線形であってもよく、また、実験的に決定してもよい。更に、使用者が、生成された蒸気のすべて、または所定の割合を吸入するものと想定してもよい。ここでも、この所定の割合を実験的に決定してもよい。
【0094】
したがって、ベイピング監視システムは、空気流センサデータを供与量プロセッサに供給するように動作可能な空気流センサを備えてもよく、供与量プロセッサは、空気流センサデータに応じて吸入量を計算するように動作可能である。
【0095】
使用者によって有効に吸入されるペイロードの量は、パフ中にEPVSを通過する空気の体積と、ヒータの温度プロファイル、または非熱式の霧化器を使用する場合は等価的に霧化器の活性化率とに基づいて、第2の近似値と推定してもよい。生成される蒸気の量は、ペイロードの気化温度以上であるヒータの温度に比例すると想定することができ、したがって、第1の近似の推定値を修正するために使用することができる。この比例関係は、線形であっても非線形であってもよく、また、実験的に決定してもよい。
【0096】
したがって、供与量プロセッサは、温度センサデータに応じて吸入プロファイルを計算するように動作可能であってもよい。
【0097】
使用者によって気化され吸入されるペイロードの量は、パフ中にEVPSを通過する空気の体積、ヒータの温度プロファイル、および空気の体積に関する空気流量プロファイルに基づいて、第3の近似値と推定してもよい。空気流量は、吸入の深さ、したがって肺の深部に到達するペイロードの量と強い正の相関を有する。ここで、ペイロードは、肺において血流に吸収される可能性がある。したがって、速い空気流は、より大きな割合のペイロードが肺に到達することを示し、より遅い空気流は、より小さな割合のペイロードが肺に到達することを示す。したがって、有効に吸入される蒸気の量は、空気流量に比例すると想定することができ、これを第1または第2の近似の推定値を修正するために使用することができる。この比例関係は、線形であっても非線形であってもよく、また、実験的に決定してもよい。
【0098】
したがって、供与量プロセッサは、空気流センサデータに応じて吸入プロファイルを計算するように動作可能であってもよい。典型的には、このプロファイルの積分は、第1の近似において参照される総量に等しい。
【0099】
使用者によって気化され吸入されるペイロードの量は、ヒータ温度と空気流量との相互作用に基づいて、第3の近似値を精密化したものとして、第4の近似値と推定してもよい。ヒータ温度がペイロードの気化温度よりも高いがそれに近い場合、比較的容易に肺に輸送される非常に微細な蒸気/エアロゾル粒子が生成されるが、温度が上昇するにつれて、気化速度が上昇する傾向があり、それに伴って、肺への輸送が比較的容易でない、より大きな蒸気/エアロゾル粒子が生成される傾向もある。その結果、温度プロファイルおよび空気流量プロファイルを一緒に評価して、例えば、高空気流が微細粒子の生成と同時であるかどうか(これは、肺深部における蒸気の大きな吸収を示す)、または例えば、低空気流が大粒子の生成と同時であるかどうか(これは、肺深部における蒸気の小さな吸収を示す)を判定することができる。したがって、温度プロファイルおよび空気流量プロファイルは、生成された蒸気の推定吸入効果を重み付けするために使用することができ(ここで、生成された蒸気の量自体は、パフ中にEVPSを通過する空気の総体積から推定される。)、また、第1、第2、または第3の近似の推定値を修正するために使用することができる。重み付けは、線形であっても非線形であってもよく、また、実験的に決定してもよい。
【0100】
したがって、供与量プロセッサは、温度センサデータおよび空気流センサデータの双方に応じて吸入プロファイルを計算するように動作可能であってもよい。
【0101】
上述のように、供与量プロセッサは、推定値自体を計算するために、(例えば、圧力センサ62、温度センサ63、および任意で他の好適なセンサから)センサデータを受信してもよい。しかしながら、任意で、例えば、供与量プロセッサがEVPSとペアリングされたスマートフォン内にある場合、供与量プロセッサ/スマートフォンは、EVPS内のプロセッサによって計算される、使用者によって有効に吸入されるペイロードの量の完全にまたは部分的に計算された推定値を吸入データとして受信してもよい。例えば、EVPSによる圧力データ計測値は、スマートフォンへの送信の前に、EVPSのプロセッサによって空気流量データまたは流れ体積データに変換されてもよい。
【0102】
供与量プロセッサは、使用者の血流に送達されるニコチンなどの活性成分の量を、EVPSに関する薬物動態データ、および吸入データに基づいて計算するように動作可能である。
【0103】
薬物動態データは、使用者が有効に吸入した蒸気の量と、使用者の血液に送達される活性成分の量との関係を表す。
【0104】
第1の例では、このデータは、上述の吸入データが取得された所与の1回のパフの間に吸収される蒸気中の活性成分の割合の推定値に限定することができる。
【0105】
任意で、薬物動態データは、活性成分の体内における非活性状態への代謝率、または等価的に活性成分の排泄率、の推定値を更に含むことができる。この場合、吸入が行われる時間の記録を任意で併用して、存在する活性成分が依然として体内で代謝されていること、および現在のパフで吸収されると推定される追加の活性成分に起因した使用者中の全活性成分の推定量を作成することができる。
【0106】
薬物動態データは、少なくとも1人、好ましくは統計的に有意な標本数の試験使用者に既知の量の蒸気を送達し、その後、彼らの血液中の活性成分のレベルの変化を計測することによって、実験的に取得することができる。
【0107】
供与量プロセッサは更に、使用者の血流に添加される活性成分の量を、薬物動態データによって示される量に、実験的試験中に使用した既知の送達量における蒸気の量に対する、吸入データに従って現在のパフ中に使用者によって吸入される蒸気の有効量の比を乗じた値に等しいものとして計算することができる。したがって、吸入される蒸気の有効量が試験例と同一である場合、供与量プロセッサは、使用者の血液供給に追加される活性成分の量が薬物動態データに示される量と同一であると計算することになる。一方、吸入される蒸気の計算された有効量が試験例の半分である場合、供与量プロセッサは、血液供給に追加される活性成分の量が薬物動態データに示された量の半分に等しいと計算してもよい。
【0108】
上記の計算は、例えば、使い捨ての電子タバコまたは他の電子タバコであって、交換ペイロードが固定種類のものであり、その結果、他の変動要素を考慮する必要がない電子タバコに適している。
【0109】
しかしながら、この推定は、更なるデータが利用可能である場合、任意で精密化することができる。例えば、異なる蒸気粒子サイズや、異なる吸入プロファイル(例えば、短くて速い深呼吸、短くて遅い浅呼吸、および/または長くて遅い深呼吸)といった変動要素が、関連する差異を、血流中に吸収される活性成分の量に生じさせる場合、異なる蒸気粒子サイズおよび/または異なる吸入プロファイルに対して、別個の薬物動態データを取得してもよい。活性成分の吸収に関連するこれらまたは他の変動要素の任意の適切な組み合わせを試験して、薬物動態データの様々なセットを取得してもよい。
【0110】
その結果、蒸気粒子サイズおよび/または吸入プロファイルが現在のパフについて推定された場合、現在吸入されている蒸気の有効量の推定を任意で精密化するために、利用可能であれば、対応する1セットの薬物動態データを選択してもよいし、あるいは最も近い2セットの薬物動態データを、例えば推定された蒸気粒子サイズおよび吸入プロファイルと、これら2セットの薬物動態データにおける値との相対差の関数として、補間してもよい。
【0111】
さらに、当然ながら、いくつかのEVPSシステムに対して、使用者は、以前のペイロードまたはデフォルトのペイロード(例えば、EVPSとともに製造業者によって供給されるもの)とは異なる濃度の活性成分を有しうる交換ペイロードを購入する可能性がある。
【0112】
したがって、供与量プロセッサは、使用者の血液供給に追加されると推定される活性成分の量を、試験中に使用されたペイロード中の活性成分の濃度に対する現在のペイロード中の活性成分の相対濃度に従ってスケーリングすることができる。
【0113】
ペイロード中の活性成分の相対濃度は、任意の適切な手段によってベイピング監視システムに入力されてもよい。例えば、EVPS上のダイヤルまたはスライダに複数の一般的な濃度を印しておき、このダイヤルまたはスライダを使用者が設定してもよい。例えば、このダイヤルまたはスライダは、可変抵抗器を制御することができ、この可変抵抗器の値が計測され、意図された濃度を示すために使用される。
【0114】
代替的にまたは追加的に、濃度は、遠隔装置400上のユーザインタフェースを介して入力し、または選択することができる。
【0115】
代替的にまたは追加的に、濃度は、交換ペイロードの包装上のQRコードまたは他の機械可読マーカーから読み取ることができる。この場合、濃度は、所定のデータ規約に従ってマーカーのデータ内に含めることができ、あるいはマーカーがペイロードを識別でき、対応する濃度はルックアップテーブルから検索することができる。このルックアップテーブルは、スマートフォンまたは他の接続された装置へローカルで保持するか、または新製品に伴って容易に更新することの可能な中央サーバに保持される。このようなサーバについては後述する。
【0116】
いずれにせよ、気化用のペイロードは、このようにEVPS内でのペイロードの設置/使用の前に供与量プロセッサに登録され、供与量プロセッサは、登録されたペイロードの識別情報に応じたEVPS用の薬物動態データを使用する。当然ながら、この薬物動態データは、前述のように、同一の薬物動態データを、実験的試験中に使用されたものと比較した相対濃度に従ってスケーリングしたものであってもよい。
【0117】
最後に、別個の地域電力設定(例えば、10W、15W、または20W)で動作可能なEVPSシステムに対して、任意で、別個の薬物動態データを各設定に対して取得してもよいし、あるいは網羅的なデータを1つの設定に対して取得するととともに、そのデータを1つ以上の他の設定へと変換するためのスケーリング係数を十分な試験により決定することも可能である。
【0118】
いずれにせよ、供与量プロセッサは、このように、使用者の血流に送達される活性成分の量を、EVPS用の薬物動態データ、および吸入データに基づいて計算するように動作可能である。
【0119】
これとは別に、薬物動態データは、1つの参照シガレットから血液に送達される活性成分の量を示すために取得することができ、またはこれまで取得されてきた。ニコチンについては、そのようなデータを取得することができる業界標準の参照シガレットが存在する。当然ながら、他の活性成分については、異なる参照シガレットを試験してもよい。したがって、より一般的に言えば、薬物動態データは、任意の適切な参照従来燃焼製品、例えば、概念上の標準シガレット、葉巻、パイプ、またはタバコを喫煙するための他の喫煙装置に関して、または大麻などの他の植物性材料に関して取得することができる。この後者の例では、(血中アルコールレベルのように)消費限度が法令によって強制され、その消費限度によって、血中濃度限界および/または所定数の認可された(かつ標準の)製品の消費を基準として消費が制限される可能性がある場合、薬物動態上の等価性に基づいて等価ベイピング量を決定することが特に有益となりうる。当然ながら、この場合、使用者の血流に追加される活性成分の推定量、および任意で累積量も使用者に対して有効に提示してもよい。同様に、使用者の血液中の濃度の推定は、例えば、使用者の1つ以上のパラメータ記述子、例えば可能性の高そうな血液量を人体モデルに基づいて決定するために体重および任意で身長、を参照して行ってもよい。
【0120】
いずれの場合でも、供与量プロセッサは更に、計算された活性成分の量を、参照従来燃焼製品(例えば、シガレット)に関する薬物動態データに基づいて、その参照従来燃焼製品の等価数に変換するように動作可能である。
【0121】
したがって、供与量プロセッサは、血流によって吸収される活性成分の量に関して、現在のパフが従来燃焼製品のどの程度の割合を表すかを決定することができる。これは、使用者の生理機能に対するEVPSおよび標準燃焼製品(例えばシガレット)の相対的な効果に関連するので、使用者に有意義な比較を提供する。したがって、例えば、パフ回数、バッテリー消耗、または使用されたペイロードの推定値(例えば、ペイロード交換同士の間のパフ回数の記録に基づく)などの消費の代用尺度よりも正確であり、かつ使用者の主観的経験により強く関連する。
【0122】
ベイピング監視システムは更に、参照従来燃焼製品(例えば、シガレット)の等価数を、ユーザインタフェースを介して示すように動作可能である。
【0123】
典型的には、これは、ベイピング監視システムの一部としてEVPSとペアリングされたスマートフォンまたは同様の装置上のグラフィック表示またはテキスト表示の形態をとる。したがって、例えば、個々のパフが、従来のシガレットの5%に対応するものとして報告されてもよく、および/またはシガレットのグラフィック表現が、対応する量だけ消費されて示されてもよい。
【0124】
代替的にまたは追加的に、グラフィック表示またはテキスト表示をEVPS自体に設けて同様の効果を得てもよい。あるいは、そのような表示がEVPS上で利用可能でない場合は、任意で、光、または他の状態表示器(例えばブザー)を使用して、従来のシガレットの閾割合に相当する割合が消費された時点を示してもよい。
【0125】
使用者は、パフごとに消費されるシガレットの等価量を示すテキスト報告またはグラフィック報告を見ることが便利だと考えるかもしれないが、当然ながら、使用者は、より長い時間スケールにわたってこの等価性を推定することを望むかもしれない。
【0126】
したがって、任意で、以下の期間、すなわち現在の日、現在の週、現在の月、現在の年、および現在設置されているペイロードの持続時間の1つ以上にわたって、等価燃焼製品の累積計数を維持するように供与量プロセッサが構成されていてもよい。
【0127】
使用者は更に、例えば、使用者が1日あたりN本の標準シガレットという等価物を喫煙しているかどうかを見ることができ、ここで、Nは、個人的な目標であるか、または単に使用者が喫煙に使用した量である。
【0128】
任意で、標準シガレットなどの標準燃焼製品に関する薬物動態データは、他の成分の血流への吸収を示すこともできる。この場合、任意で、ベイピング監視システムのためのユーザインタフェースが、意図した活性成分以外の成分であって使用者の血流に吸収されなかったものの等価量を示すことができる。
【0129】
同様に任意で、ペイロードの費用がベイピング監視システムに入力される場合、または代わりに、ペイロードが事前包装されたEVPSの一部である場合、または費用が計算の目的のために実質的に無視できる場合、現在推奨される小売価格について、等価数の標準シガレットの費用およびEVPSを使用することによって得られる使用者の実質的な節約額を表示することも可能である。
【0130】
任意で、標準燃焼製品に加えて、1つ以上のブランド燃焼製品(例えば、特定ブランドのシガレットまたは他の喫煙製品などのブランドタバコ製品)について薬物動態データを同様に取得してもよい。ブランド燃焼製品を消費することによって吸収される活性成分の量は、標準燃焼製品を消費することによって吸収される量の倍数として特定することができる。
【0131】
使用者は更に、比較のためにブランド燃焼製品(例えば、EVPSを使用する前に使用者が使用していた特定のブランド)を選択してもよく、標準燃焼製品の等価数を、関連する乗数によってスケーリングして、ブランド燃焼製品の等価数を提供することができる。これは、使用者にとってより直感的であり、使用者が消費の程度を理解するのに役立つ。
【0132】
任意で、この代わりに、使用者は、例えばシステムの初期使用時に、ブランド燃焼製品を標準シガレットとして使用することを選択するように促されてもよく、その場合、そのブランド燃焼製品に関する薬物動態データが標準シガレットの代わりに使用されてもよく、その場合、変換は乗数を1にしたものとなるか、または変換を完全にスキップしてもよい。
【0133】
本書で前述したように、EVPSは、供与量プロセッサを備えるか、または供与量プロセッサのいくつかのステップを実施することができる。同様に、本書で前述したように、EVPSは、ユーザインタフェースを表示するためのディスプレイを備えていてもよい。
【0134】
しかしながら、よりリッチでより直感的となりうるユーザインタフェースを提供するため、EVPSは、本書で前述したように、スマートフォンまたは同様の装置とペアリングされ、この装置が、スマートフォンのディスプレイ上にユーザインタフェースを提供するアプリであって、スマートフォン自体のプロセッサを介して供与量プロセッサの機能の一部または全部を提供するアプリを実行してもよい。
【0135】
したがって、移動体通信装置400は、使用者による吸入に応答してペイロードから蒸気を生成するように動作可能な電子蒸気供給システム(EVPS)10から吸入データを受信するように動作可能な受信機440(例えば、本書で前述したBluetooth(登録商標)受信機)と、使用者の血流に送達される活性成分の量を、EVPSに関する薬物動態データ、および吸入データに基づいて計算するように動作可能な、スマートフォンCPUなどの供与量プロセッサ410であって、計算された活性成分の量を、参照従来シガレットに関する薬物動態データに基づいて、その参照従来シガレットの等価数へ変換するように動作可能な供与量プロセッサと、参照従来シガレットの等価数を、ユーザインタフェースを介して示すように動作可能なディスプレイ418とを備えていてもよい。
【0136】
前述のように、使用者が自身のペイロードを選択することができる場合、移動体通信装置は、EVPSに使用されるペイロードの種類を識別するデータを取得するように動作可能な入力ユーザインタフェースを備えてもよく、供与量プロセッサは、識別されたペイロードの種類に関連付けられた活性成分の濃度に応じて、使用者の血流に送達される活性成分の量を計算するように動作可能であってもよい。
【0137】
例えば、この場合、入力手段は、濃度レベルを入力または選択するためのバーチャルキーボードまたはドロップダウンメニューであってもよく、あるいはペイロード容器またはそのパッケージ上のQRコードまたは同様の機械可読マーカーからデータを抽出するために使用されるスマートフォンのカメラであってもよい。同様に、活性成分の濃度は、識別されたペイロードに関連付けられたルックアップテーブルから見出されてもよく、ここで、このルックアップテーブルは、スマートフォン、または遠隔サーバのいずれかに置かれる。
【0138】
特に、移動体通信装置に関連付けられたアプリは、原則として、複数の種類のEVPSとともに動作することが可能であってもよい。したがって、任意で、移動体通信装置は、使用されているEVPSの種類を識別するデータを取得するように動作可能な入力手段を備えてもよく、供与量プロセッサは、識別されたEVPSの種類に、例えば別のルックアップテーブル内で関連付けられた修正データに応じて、使用者の血流に送達される活性成分の量を計算するように動作可能であってもよく、ここで、このルックアップテーブルは、スマートフォン、または遠隔サーバのいずれかに置かれる。
【0139】
ここでも、入力手段は、EVPSの種類を入力または選択するためのバーチャルキーボードまたはドロップダウンメニューであってもよく、あるいはEVPSまたはそのパッケージ上のQRコードまたは同様の機械可読マーカーからデータを抽出するために使用されるスマートフォンのカメラであってもよい。
【0140】
例示の修正データは、例えば、特定のEVPS内の中心空気流の横断面積に関連してもよい。当然のことながら、動圧の同等の変化に対して、流量および総流量は、EVPSの横断面積に応じて変動する。同様に、修正データが、圧力センサまたは温度センサの特定の応答プロファイルに関連してもよく、その結果、この前置ステップがEVPS自体によって実行されないとしても、そのようなセンサからのセンサデータを正しく解釈できるようになっていてもよい。同様に、修正データが、ヒータの出力を特徴付けるパラメータに関連してもよく、例えば、異なるヒータが、それらのヒータのサイズおよび/またはペイロードとの相互作用の性質に依存して、同じ温度で異なる量の蒸気を生成してもよい。当然ながら、修正データの任意の適切な調整がEVPSに関連付けられてもよい。
【0141】
その後、本書で前述した計算を、例えば、空気流補正パラメータに従って吸入量または吸入プロファイルをスケーリングすること、ヒータ補正パラメータに応じて温度プロファイル、蒸気密度および/もしくは粒径予測を修正すること、ならびに/または対応するセンサ補正パラメータに従って任意のセンサデータを修正することにより、適宜修正してもよい。
【0142】
本書で前述したように、したがって、移動体通信装置およびEVPSは、ベイピング監視システムとして一緒に動作することができる。
【0143】
本書で前述したように、ブランドタバコ製品固有の修正データ、ペイロード固有の修正データ、および/またはEVPS固有の修正データに関する一部または全てのデータは、サーバに保持され、移動体通信装置からの照会、または場合によってはEVPSからの照会(例えば、独立してWi-Fi可能である場合、または移動体通信装置をデータアクセスポイントとして使用する場合)に応答して提供されてもよい。
【0144】
したがって、ベイピング監視システムにデータを提供するように構成されたサーバは、ベイピング監視システムから修正データを求める要求を受信するように構成された受信機を備えてもよく、ここで、この要求は、ベイピング監視システムの電子蒸気供給システム(EVPS)内に設置されるペイロード、ユーザインタフェースを介して従来シガレットの等価数を示すときに使用されるブランドタバコ製品、およびEVPSからなるリストから選択される1つ以上のための識別データを備えており、上記のサーバは、この識別データを対応する修正データに関連付けるルックアップテーブルを備えるメモリと、受信された識別データに対応する修正データをこのルックアップテーブルから取得するように動作可能なプロセッサと、この取得した修正データをベイピング監視システムに送信するように構成された送信機とを更に備えていてもよい。
【0145】
上述のように、ペイロードに関する修正データは、そのペイロード内の活性成分の濃度レベルを、絶対値として、または実験的試験に対して相対的に表し、および/または任意の他の適切なデータを表してもよい。一方、ブランドタバコ製品に関する修正データは、標準シガレットと比較した、仮想の使用者に吸収される活性成分の総量に対する倍率、および/または任意の他の好適なデータを表してもよい。最後に、EVPSに関する修正データは、横断面積の絶対値、またはデフォルト面積に対するEVPSの横断面積のスケーリング値を表してもよく、および/または補正パラメータが、EVPSのヒータおよび/またはセンサの特性に関連している。
【0146】
ここで
図8を参照すると、対応する蒸気監視方法は、
・第1のステップs810で、吸入データを供与量プロセッサに供給し、
・第2のステップs820で、供与量プロセッサによって、使用者の血流に送達される活性成分の量を、EVPSに関する薬物動態データ、および吸入データに基づいて計算し、
・第3のステップs830で、供与量プロセッサによって、計算された活性成分の量を、参照従来燃焼製品に関する薬物動態データに基づいて、その参照従来燃焼製品の等価数へ変換し、
・第4のステップs840で、参照従来燃焼製品の等価数を、ユーザインタフェースを介して表示することを備えている。
【0147】
当業者には明らかなように、本書に記載され、特許を請求される装置の様々な実施形態の動作に対応する上記方法の変形例は、本発明の範囲内にあると考えられる。これらの変形例には以下のものが含まれるが、これらに限定されない。
【0148】
・供与量プロセッサに空気流データを供給し、供与量プロセッサにおいて、空気流センサデータから吸入プロファイルを計算し、使用者の血流に送達される活性成分の量をこの吸入プロファイルに応じて計算する。
【0149】
・供与量プロセッサがEVPS内にある。
【0150】
・供与量プロセッサが、移動体通信装置などの遠隔装置内にあり、前記表示するステップは、遠隔装置のディスプレイ上にユーザインタフェースを表示することを含む。
【0151】
・1つ以上のブランド燃焼製品について、使用者に送達される活性成分の参照従来燃焼製品に対する相対的な量をルックアップテーブル内で参照し、このルックアップテーブルの指示データに基づいて、参照従来燃焼製品の等価数を、1つ以上のブランド燃焼製品の等価数へ変換する。
【0152】
・現在の日、現在の週、現在の月、現在の年、および現在設置されているペイロードからなるリストから選択される1つ以上にわたって、等価燃焼製品の累積計数を維持する。
【0153】
・気化用のペイロードがEVPS内に設置される前に、ペイロードを供与量プロセッサに登録し、前記計算するステップが、登録されたペイロードの識別情報に応じたEVPSに関する薬物動態データを使用することを含む。
【0154】
同様に、
図9を参照すると、移動体通信装置用のベイピング監視方法は、
・第1のステップs910で、受信機によって、使用者による吸入に応答してペイロードから蒸気を生成するように動作可能な電子蒸気供給システム(EVPS)から吸入データを受信し、
・第2のステップs920で、供与量プロセッサによって、使用者の血流に送達される活性成分の量を、EVPSに関する薬物動態データ、および吸入データに基づいて計算し、
・第3のステップs930で、供与量プロセッサによって、計算された活性成分の量を、参照従来燃焼製品に関する薬物動態データに基づいて、その参照従来燃焼製品の等価数へ変換し、
・第4のステップs940で、ディスプレイによって、参照従来燃焼製品の等価数を、ユーザインタフェースを介して示すことを備えている。
【0155】
またも当業者には明らかなように、本書に記載され、特許を請求される装置の様々な実施形態の動作に対応する上記方法の変形例は、本発明の範囲内にあると考えられる。これらの変形例には以下のものが含まれるが、これらに限定されない。
【0156】
・入力ユーザインタフェースを介して、EVPSに使用されるペイロードの種類を識別するデータを取得し、供与量プロセッサにおいて、使用者の血流に送達される活性成分の量を、識別されたペイロードの種類に関連付けられた活性成分の濃度に応じて計算する。
【0157】
・使用されているEVPSの種類を識別するデータを、入力手段を介して取得し、供与量プロセッサにおいて、使用者の血流に送達される活性成分の量を、識別されたEVPSの種類に関連付けられた修正データに応じて計算する。
【0158】
・遠隔サーバから識別データを取得する。
【0159】
最後に、
図10を参照すると、サーバ用のベイピング監視方法は、
第1のステップs1010で、ベイピング監視システムから修正データを求める要求を受信し、ここで、この要求は、
(i)ベイピング監視システムの電子蒸気供給システム(EVPS)内に設置されるペイロード、
(ii)ユーザインタフェースを介して従来燃焼製品の等価数を示すときに使用されるブランド燃焼製品、および
(iii)EVPS
からなるリストから選択される1つ以上のための識別データを備えており、
・第2のステップs1020で、識別データを対応する修正データに関連付けるルックアップテーブルから、受信された識別データに対応する修正データを取得し、
・第3のステップs1030で、取得した修正データをベイピング監視システムに送信する。
【0160】
当然ながら、上述の方法は、場合に応じてソフトウェア命令によって、または専用ハードウェアの含有もしくは置換によって適切に改修された従来のハードウェア上で実行してもよい。
【0161】
したがって、従来の等価装置の既存部品に対する必要な改修は、フロッピーディスク、光ディスク、ハードディスク、PROM、RAM、フラッシュメモリ、またはこれらもしくは他の記憶媒体の任意の組合せなどの非一時的機械可読媒体上に記憶されたプロセッサ実施可能命令を備えるコンピュータプログラム製品の形態で実装してもよいし、ASIC(特定用途向け集積回路)もしくはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)または従来の等価装置の改修に使用するために適した他の構成可能な回路として、ハードウェアで実現してもよい。これとは別に、そのようなコンピュータプログラムは、イーサネット、無線ネットワーク、インターネット、またはこれらもしくは他のネットワークの任意の組み合わせなどのネットワーク上のデータ信号を介して送信されてもよい。