(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】生海苔異物分離装置(生海苔異物分離除去装置)
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20221227BHJP
B03B 5/28 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
A23L17/60 103B
B03B5/28 A
(21)【出願番号】P 2018144799
(22)【出願日】2018-08-01
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
(72)【発明者】
【氏名】山内 宏則
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-246723(JP,A)
【文献】特開2007-306832(JP,A)
【文献】特開2016-168037(JP,A)
【文献】特開平11-346733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生海苔混合液槽
の選別ケーシングに設けた選別ケースリングと、前記選別ケースリングの円形穴の環状内周面に近接して設けた回転板と、前記環状内周面と、前記回転板の外周面で形成したクリアランスと、
前記選別ケースリングの内周面側の表面に設けた窪み部に支持した第1チップと、
前記回転板の外周面側の表面に設けた窪み部に支持した第2チップと、
前記第1チップ、及び前記第2チップの本体の自由端面に、それぞれ設けた一条、又は数条のスリットと、
前記第1チップ、及び前記第2チップの本体の一方側と他方側に設けた傾斜面と、
でなり、
前記傾斜面は、
共回り発生リスクの軽減を、又は共回りする生海苔塊、異物塊を、前記クリアランスより離れた生海苔混合液に導くことを可能とすることを特徴とした生海苔異物分離装置。
【請求項2】
前記選別ケースリングに設けた前記第1チップの前記自由端面は、この
選別ケースリングの内周面と面一位置から、前記クリアランス内に臨む位置までの間において、移動可能とすることを特徴とする請求項1に記載の生海苔異物分離装置。
【請求項3】
前記回転板に設けた前記第2チップの前記自由端面は、前記クリアランス内に臨んだ出面位置から、この回転板の外周面と面一位置までの間において、移動可能とすることを特徴とする請求項1に記載の生海苔異物分離装置。
【請求項4】
前記第1チップ、及び前記第2チップの前記本体の前記自由端面に前記スリットを形成する請求項2、又は請求項3に記載の生海苔異物分離装置。
【請求項5】
前記第1チップ、及び前記第2チップは、少なくとも、二段積みが可能であり、この上段の前記第1チップ、及び前記第2チップの前記本体の前記自由端面、及び/又は、この下段の前記第1チップ、及び前記第2チップの前記本体の前記自由端面にそれぞれ前記スリットを形成し、かつこの上段の前記第1チップ、及び前記第2チップの各スリット位置と、前記下段の前記第1チップ、及び前記第2チップの各スリット位置とは、前記自由端面の鉛直方向において、異なっていることを特徴とした請求項4に記載の生海苔異物分離装置。
【請求項6】
前記第1チップ、及び前記第2チップは、上下段の二段積みであり、この上段の前記第1チップ、及び前記第2チップは、前記スリットを備えるが、この下段の前記第1チップ、及び前記第2チップは、前記スリットを備えないことを特徴とし、前記上段の前記第1チップ、及び前記第2チップの前記スリットは、前記下段の前記第1チップ、及び前記第2チップで封鎖される構成とし、前記第1チップ、及び前記第2チップの前記スリットが
前記第1チップ、及び前記第2チップの底面まで貫通しないことを特徴とする請求項4に記載の生海苔異物分離装置。
【請求項7】
前記第1チップ、及び前記第2チップの前記スリットは、この第1チップ、及び前記第2チップの表面から底面に貫通する構成としたことを特徴とする請求項4に記載の生海苔異物分離装置。
【請求項8】
前記第2チップは、前記回転板の前記外周面より突出することを特徴とする請求項1に記載の生海苔異物分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生海苔・海水混合液(生海苔混合液)から異物を分離除去し、備え付けのタンク、又は次の装置に、選別した生海苔を、送るための生海苔異物分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生海苔異物分離装置の回転板、及び選別ケースリング(選別ケーシングを含む)で構成するクリアランスに、このクリアランスに臨む、チップを備えた選別ケースリングの構造では、スリットの深さ分、クリアランスの隙間が広くなり、選別すべき異物が通過する。この異物が乾海苔に残れば、品質不良と、価格の低下を招来する。関連する文献として、特許第4789041号公報(文献(1))が挙げられる。この発明は、異物分離槽の底面の円形孔の内周壁と、回転円板の外周壁との間に形成されるテーパー形状のクリアランスで選別する。クリアランスの目詰り防止は、回転円板に設けた突起部と、回転円板の外周壁に鉛直方向に延びる切欠き溝とでなる構成が開示されている。
【文献】特許第4789041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
文献(1)は、回転板に直接、切欠き溝を形成する構成である。従って、回転板の外周面が摩耗した際には、切欠き溝としての効果が低下する。その対応としては、回転板の交換であるが、この交換は容易ではない。即ち、回転板の取り換えには、諸般の費用の問題とか、交換用回転板の保持、在庫の問題とかがあり、不経済で、かつ合理的でない。そして、この文献(1)とか、その他の文献上では、選別ケースリングの内周面に切欠き溝を設ける構造は、開示されていないことと、又は市場においては、一部で見聞されるが、その構造から、回転板と同様な問題がある。
【0004】
また、文献(1)のように、回転板の外周面に切欠き溝を設ける構成では、切欠き溝によって、選別隙間がより広くなり、本来選別分離すべき異物等を吸込み、品質の劣化を招来する問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み、本発明は、請求項1~請求項8を提案し、以下の目的を達成する。
【0006】
1. 摩耗によりスリットの効果が低下した場合(例えは、スリットが摩耗した場合)に、選別ケースリングや回転板の交換は不要で、第1チップ、及び/又は、第2チップのみ交換し、摩耗対策(回転板、及び選別ケースリングの機能回復)ができること、又は低コスト(選別ケースリング、及び回転板の準備・保守・在庫管理が不要)で、スリットの修復が短時間でできる。また、少なくとも、選別ケースリングの取り換えの際の技術・時間(芯だし等に関するもの)を要さず、例えば、容易・速やかに仕事ができる。
【0007】
2. 選別ケースリングの内周面の窪み部、又は回転板の外周面の窪み部に設けた各スリットと、第1チップ、及び第2チップの各スリットのそれぞれを組み合わせることで、多様な形態のスリットを選択できる。例えば、選別ケースリングの窪み部、及び/又は、回転板の窪み部にスリットを入れ、スリット無しの第1チップ、及び第2チップを装着した場合、それぞれ窪み部のスリットの上端開口部は第1チップ、及び/又は、第2チップ等で塞がれた形となり、この上端開口部からの異物の吸引を防ぐことができる。
【0008】
3. 選別ケースリングの内周面の窪み部、又は回転板の外周面の窪み部に入れたスリットの位置・有無と、第1チップ、及び第2チップに入れたスリットの位置・有無等の組み合わせで、多様な形態のスリットを提案できる。例えば、スリット位置をずらす形態とか、スリットを途中で分断する形態とか、スリットを塞ぐ形態とかが可能となり、スリットで広くなるクリアランスからの吸引異物を無くし得る。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明は、生海苔混合液槽の選別ケーシングに設けた選別ケースリングと、選別ケースリングの円形穴の環状内周面に近接して設けた回転板と、環状内周面と、回転板の外周面で形成したクリアランスと、
選別ケースリングの内周面側の表面に設けた窪み部に支持した第1チップと、
回転板の外周面側の表面に設けた窪み部に支持した第2チップと、
第1チップ、及び第2チップの本体の自由端面に、それぞれ設けた一条、又は数条のスリットと、
第1チップ、及び第2チップの本体の一方側と他方側に設けた傾斜面と、
でなり、
傾斜面は、共回り発生リスクの軽減を、又は共回りする生海苔塊、異物塊を、クリアランスより離れた生海苔混合液に導くことを可能とすることを特徴とする生海苔異物分離装置である。
【0010】
従って、請求項1においては、目的とする1)-3)を達成できる。
【0011】
請求項2の発明は、選別ケースリングに設けた前記第1チップの前記自由端面は、選別ケースリングの内周面と面一位置から、クリアランス内に臨む位置までの間において、移動可能とすることを特徴とする生海苔異物分離装置である。
【0012】
従って、請求項1に記載の目的達成と、併せて、選別ケースリングに最適な第1チップを提供できる。
【0013】
請求項3の発明は、回転板に設けた第2チップの自由端面は、クリアランス内に臨んだ出面位置から、回転板の外周面と面一位置までの間において、移動可能とすることを特徴とする生海苔異物分離装置である。
【0014】
従って、請求項1に記載の目的達成と、併せて、回転板に、最適な第2チップを提供できる。
【0015】
請求項4の発明は、第1チップ、及び第2チップの本体の自由端面にスリットを形成する生海苔異物分離装置である。
【0016】
従って、請求項1に記載の目的達成と、併せて、選別ケースリング、及び/又は、回転板の第1・第2チップの本体の自由端面に最適なスリット付きの第1・第2チップを提供できる。
【0017】
請求項5の発明は、第1チップ、及び第2チップは、少なくとも、二段積みが可能であり、上段の第1チップ、及び第2チップの本体の自由端面、及び/又は、下段の第1チップ、及び第2チップの本体の自由端面にそれぞれスリットを形成し、かつ上段の第1チップ、及び第2チップの各スリット位置と、下段の第1チップ、及び第2チップの各スリット位置とは、自由端面の鉛直方向において、異なっていることを特徴とする生海苔異物分離装置である。
【0018】
従って、請求項1に記載の目的達成と、併せて、選別ケースリング、及び/又は、回転板に、最適な多段積み第1・第2チップを提供できる。
【0019】
請求項6の発明は、第1チップ、及び第2チップは、上下段の二段積みであり、上段の第1チップ、及び第2チップは、スリットを備えるが、下段の第1チップ、及び第2チップは、スリットを備えないことを特徴とし、上段の第1チップ、及び第2チップのスリットは、下段の第1チップ、及び第2チップで封鎖される構成とし、第1チップ、及び第2チップのスリットが第1チップ、及び第2チップの底面まで貫通しないことを特徴とする生海苔異物分離装置である。
【0020】
従って、請求項1に記載の目的達成と、併せて、選別ケースリング、及び/又は、回転板に、最適な多段積み第1・第2チップで、スリットが貫通しない構成の第1・第2チップを提供できる。
【0021】
請求項7の発明は、第1チップ、及び第2チップのスリットは、第1チップ、及び第2チップの表面から底面に貫通する構成としたことを特徴とする生海苔異物分離装置である。
【0022】
従って、請求項1に記載の目的達成と、併せて、選別ケースリング、及び/又は、回転板に、最適なスリット付きの第1・第2チップを提供できる。
【0025】
請求項8の発明は、第2チップは、回転板の外周面より突出することを特徴とする生海苔異物分離装置である。
【0026】
従って、請求項1に記載の目的達成と、併せて、回転板に、最適な第2チップを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】生海苔異物分離装置の一例と、関連装置の一部を示した縮尺模式図
【
図2】生海苔異物分離装置の生海苔混合液槽の要部の拡大断面図、及び選別ケースリングとチップ等の細部をさらに拡大し詳細に示した図
【
図3-1】第1実施例で、異物分離部の選別ケースリングに取付けた板状の第1チップを示しており、(イ)は、第1実施例における第1チップの取付け状態の要部拡大の俯瞰図、(ロ)は第1チップを取付ける窪み部の一例を示した俯瞰図
【
図3-2】第1実施例で、異物分離部の回転板に取付けた板状の第2チップを示しており、(イ)は、第1実施例における第2チップの取付け状態の要部拡大の俯瞰図、(ロ)は第2チップを取付ける窪み部の一例を示した俯瞰図
【
図4】第2実施例であり、異物分離部の選別ケースリングにおいて、選別ケースリングに取付けた細幅のスリットを備えた板状の第1チップの俯瞰図
【
図4-1】
図4の第2実施例であって、選別ケースリングと、第1チップを拡大して示す要部の俯瞰図
【
図5】第3実施例であり、異物分離部の選別ケースリングにおいて、選別ケースリングに取付けた広幅のスリットを備えた板状の第1チップの俯瞰図
【
図5-1】
図5の第3実施例であって、選別ケースリングと、第1チップを拡大して示す要部の俯瞰図
【
図6】第4実施例であり、異物分離部の選別ケースリングにおいて、選別ケースリングの窪み部の下にスリットを備え、スリットを備えない板状の第1チップを設けた例の俯瞰図と、要部の拡大俯瞰図
【
図6-1】
図6の第4実施例であって、選別ケースリングと、第1チップを拡大して示す要部の俯瞰図
【
図7】第5実施例であり、異物分離部の選別ケースリングにおいて、選別ケースリングの鍔片に切欠きを備え、この切欠きに重畳するように、スリットを備えない板状の第1チップを設けた例の俯瞰図
【
図7-1】
図7の第5実施例であって、選別ケースリングと、第1チップを拡大して示す要部の俯瞰図
【
図8】第6実施例であり、異物分離部の選別ケースリングにおいて、選別ケースリングに取付けた貫通しないスリットを備えた板状の第1チップの俯瞰図
【
図8-1】
図8の第6実施例であって、選別ケースリングと、第1チップを拡大して示す要部の俯瞰図
【
図9】第7実施例であり、異物分離部の選別ケースリングにおいて、選別ケースリングに取付けた両側面(一方側面も有り得る)に傾斜面を有する、スリットを備えた板状の第1チップの俯瞰図
【
図9-1】
図9の第7実施例であって、選別ケースリングと、第1チップを拡大して示す要部の俯瞰図
【
図10】第8実施例であり、異物分離部の選別ケースリングにおいて、選別ケースリングに取付けたスリットを備えた板状の二枚の第1チップであって、この二枚の第1チップのスリットの鉛直方向の位置が異なる一例の俯瞰図
【
図10-1】
図10の第8実施例であって、選別ケースリングと、第1チップを拡大して示す要部の俯瞰図
【
図11】第9実施例であり、異物分離部の選別ケースリングにおいて、選別ケースリングの上側にスリットを備えた板状の第1チップ、及び下側にスリットを備えない板状の第1チップを重畳した一例の俯瞰図
【
図11-1】
図11の第9実施例であって、選別ケースリングと、第1チップを拡大して示す要部の俯瞰図
【
図12】第10実施例であり、異物分離部の選別ケースリングにおいて、選別ケースリングの上側に取付けたスリットを備えない板状の第1チップ、及び下側にスリットを備えた板状の第1チップを重畳した一例の俯瞰図
【
図12-1】
図12の第10実施例であって、選別ケースリングと、第1チップを拡大して示す要部の俯瞰図
【
図13】第11実施例であり、異物分離部の選別ケースリングにおいて、L字形の第1チップを備えた一例の俯瞰図
【
図13-1】
図13の第11実施例であって、選別ケースリングと、第1チップを拡大して示す要部の俯瞰図
【
図14】(イ)は、回転板の傾斜面と、選別ケースリングの先端ピン角でなるクリアランスを、(ロ)は回転板の第2チップと、選別ケースリングの内周面の第1チップによる間隔(隙間幅)を示した拡大断面図である。(イ)は、クリアランスの幅を、例えば、0.1mmとした際には、(ロ)は、間隔は、例えば、0.05mmとする(第2チップは0.05mmの出面である)
【
図15】第1チップに備えたスリットの各例を示した一覧の図
【
図16】第1チップの一覧を示した概念端面図であって、何れも、本発明の範疇であり、縮尺した形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1、
図2において、1は生海苔異物分離装置(良品生海苔装置)の一例で、この生海苔異物分離装置1は、生海苔混合液をプールする上方開放部を備えた生海苔混合液槽2と、生海苔混合液槽2の内底面200に設けた、例えば、壺形、瓶形、或いは椀形であって、容器となる選別ケーシング3と、選別ケーシング3の内底面300より上方に立設した外周壁301に架承した環状形状の選別ケースリング5と、この選別ケースリング5の表面5aより裏面5bに向かって開口した円形穴500(内底面の開口)(又は図示しないが、選別ケースリング5を備えた選別ケーシング3の表面(符号なし)より裏面(符号なし)に向かって開口した円形穴)と、選別ケースリング5(又は選別ケーシング3)の円形穴500の環状内周面5dに近接して設けた回転板7と、この回転板7の外周面7bと選別ケースリング5の先端ピン角5d1との間に形成した良質生海苔が通過するクリアランス6(詳細は、後述する)と、回転板7を支持する、選別ケーシング3の内底面300より垂架した回転軸9と、この回転軸9を支持する選別ケーシング3の中央302に設けた軸受け10と、この回転軸9を回転するモータ11とで構成されている。尚、図示しないが、選別ケーシング3と選別ケースリング5とが、一体型では、選別ケースリング5は、選別ケーシング3と読み替え可能である。また、その働き等も同じである。図中8は、選別ケースリング5の表面5aに一個、又は複数個設けた窪み部であり、窪み部8には、後述する一個(一基)、又は複数個(複数基)の第1チップ30が固定される。また、図中80は、回転板7の表面7aに一個、又は複数個設けた窪み部80であり、この窪み部80には、後述する一個、又は複数個の第2チップ40が固定される。
【0030】
図中20のホースは、生海苔・海水/水(生海苔とする)を溜める生海苔混合液貯留槽21と連通しており、定量の生海苔を、その開口より、生海苔混合液槽2に供給する。図中25のホースは、海水、又は水を、生海苔異物分離装置1に供給する。図中26はポンプである。
【0031】
また、図中22は選別ケーシング3の内底面300に設けた選別された生海苔を取出す生海苔排出口、23は生海苔排出口22に繋いだ配管であり、クリアランス6において分離処理された(選別された)生海苔を、この生海苔排出口22と、配管23とで、生海苔をプールする生海苔タンク12(良質生海苔タンク)か、又は次の海苔製造装置かに、供給する(クリアランス6の生海苔の通過量を、確保する)。
【0032】
生海苔タンク12に供給された選別された生海苔は、図示しない、他の生海苔製造装置(機器)に供給される。
【0033】
ここで、この
図1、
図2等を参照し、生海苔異物分離装置1の生海苔混合液槽2の構造と、生海苔混合液槽2の生海苔Aの流れを、簡単に説明する。先ず、生海苔異物分離装置1の生海苔混合液槽2は、選別ケーシング3と、選別ケーシング3の外周壁301に設けた選別ケースリング5と、選別ケースリング5の円形穴500に内嵌めされた(挿設された)回転板7と、選別ケースリング5の環状内周面5d(開口)と回転板7の環状外周面7b(開口)とで構成されている。そして、回転板7は、生海苔混合液槽2外のモータ11の出力軸に支持されている。これによって、回転板7は、モータ11が回転することにより、所定の速度で回転するとともに、回転板7の回転により、生海苔混合液槽2の生海苔Aは、生海苔混合液槽2内で旋回する。一例では、生海苔混合液槽2内にある、水深100mm~200mm程度の生海苔混合液Bは、回転板7の回転により旋回し、生海苔混合液Bの生海苔Aは、旋回する液の流れで、かつ略展開された状態の流れとなる。この旋回流の下で、比重分離されて、生海苔A2(良質生海苔)は、ポンプ26の吸引により、順次、クリアランス6(後述する)の方向に導かれ、クリアランス6から吸込まれる。一方、異物等は吸い込まれず、生海苔混合液槽2の内底面200の槽隅部201に導かれ、ここに留まる。この動きで、生海苔混合液Bの異物を分離除去する。
【0034】
図14を基にして、クリアランス6の構造と、その働き等に関し説明すると、図中、(イ)は、回転板7の傾斜面7fと、選別ケースリング5の内周面5dの先端ピン角5d1でなるクリアランス6を、(ロ)は、回転板7の第2チップ40と、選別ケースリング5の内周面5dに設けた第1チップ30とによる間隔を示した拡大断面図である。(イ)では、クリアランス6の幅は、例えば、0.08~0.15mmであり、また、この幅は、回転板7の上下移動で調整する。また、(ロ)は、回転板7に設けた第2チップ40の自由端面40cの出面(自由端面40cが、クリアランス6内に臨む長さで、所謂、出代寸法)と、選別ケースリング5に設けた第1チップの自由端面30cとの隙間(幅)を示したものである。そして、クリアランス6を通過できない異物、その他の生海苔(再生可能な生海苔)は、第1チップ30の垂直端面30d1・(及び/又は)表面30aが、選別ケースリング5の表面5aより突出する形態、及び/又は、第2チップ40の垂直端面40d1・(及び/又は)表面40aが、回転板7の表面7aより突出する形態等の働きで、クリアランス6とか、選別ケースリング5とか、或いは回転板7の外周面7b等から離れた箇所の生海苔混合液Bに導く(例えば、液中において、「生海苔混合液B」の槽隅部201に向かった流れとなる)ことで、生海苔混合液Bの流れに添い、液中の流れに戻すことができる。これにより、例えば、共回り発生リスクの軽減とか、生海苔、生海苔塊は、生海苔A2(良質生海苔)に再生できる展開状態の確保が図れる特徴がある。このクリアランス6から離れた箇所の、生海苔混合液Bに導く役割を果たす為には、例えば、選別ケースリング5に取付けた第1チップ30か、又は回転板7に取付けた第2チップ40が合理的である。尚、回転板7の外周面7bにスリット(図示せず)を設けることも有り得る。
【0035】
そして、前述した第1チップ30の垂直端面30d1・表面30aが、選別ケースリング5の表面5aより突出する形態、及び第2チップ40の垂直端面40d1・表面40aが、回転板7の表面7aより突出する形態と併せて、或いは、個別で第1チップ30の自由端面30c、又は第2チップ40の自由端面40cが、それぞれクリアランス6内への出面形態(臨む形態)を採用することで、さらに前記生海苔混合液Bの流れに添い、液中の(槽隅部201に向かった)流れに戻すことが確実にできる。その他は、前述の例に準ずる。
【0036】
続いて、第1チップ30と、第2チップ40に関して説明する。一例を示した図において、
図3-1~
図3-2の第1実施例より、
図13~
図13-1の第11実施例までに関し、順に説明する。
【0037】
図3-1~
図3-2の第1実施例は、選別ケースリング5に第1チップ30を、回転板7に第2チップ40を、それぞれ支持する。即ち、選別ケースリング5の表面5aの内周面5dの周面(後述する面一)から外周面(後述する基端面)に亙って形成した窪み部8には第1チップ30を嵌合、及び/又は、止め具33、34を用いて螺孔係止して固定する。第1チップ30の表面30aは、選別ケースリング5の表面5aより突出する場合もある。図示しないが、例えば、表面30aは選別ケースリング5の表面5aに面一もあり得る。一方、回転板7の表面7aの外周面7bに形成した窪み部80には第2チップ40を嵌合、及び/又は、螺孔係止して固定する。第2チップ40の表面40aは、回転板7の表面7aより突出する場合もある。図示しないが、例えば、表面40aは、回転板7の表面7aに面一もあり得る。図中30c1は、チップ30の自由端面30cの角部である。この第1チップ30の自由端面30cは、クリアランス6内への出面より、選別ケースリング5の内周面5d(面一)、或いは内周面5dの内側までの範囲において、移動可能とする。
【0038】
この第1チップ30の自由端面30c(一方端)は、選別ケースリング5の内周面5dと略同じ曲面であり、内周面5dと面一構造である。また第1チップ30の基端面30c2(他方端)は、選別ケースリング5の軸心方向の反対に位置する。そして、自由端面30cの上下方向Q(第1チップ30/本体3000の上下方向Q)に向かった、少なくとも、一条、又は複数条のスリット31等を有するか、又はスリット31を設け無い構造も有り得る。また、第1チップ30は、板状の本体3000を有し、少なくとも、一方の側面30dは垂直端面30d1である。またこの垂直端面30d1は、後述するように傾斜面30d2としてもよい。第1チップ30の表面30aは、選別ケースリング5の表面5aより突出すること、及び/又は、傾斜面30d2を備えることで、共回り等する生海苔塊、異物塊等を、クリアランス6より離れた生海苔混合液Bに導く。図中30bは第1チップ30の裏面を示す。選別ケースリング5に取付けた第1チップ30の自由端面30cは、
図3-1等の如く、選別ケースリング5の内周面5dと面一位置から、このクリアランス6内に臨む位置まで、或いは内周面5dの内側までの範囲において、移動可能である。
【0039】
一方、選別ケースリング5に対峙する回転板7の窪み部80には、第2チップ40を取付ける。第2チップ40は、回転板7の外周面7bよりクリアランス6内に臨む(突出する)が、外周面7bと面一構造(同じ曲面となる。他の物品、例えば、選別ケースリング5も同じ)であってもよい。この第2チップ40の自由端面40cは、クリアランス6に臨むように設ける。第2チップ40は、自由端面40cと基端面40c2の両端部を結ぶ対の側面40d、40dを有する。尚、図中40c1は自由端面40cの角部を、また、40d1は側面40dの垂直端面を、それぞれ示す。また、側面40dの一方側・他方側を傾斜面とすることもできる。
【0040】
また第2チップ40の基端面40c2(他方端)は、中央302の方向に位置する。そして第2チップ40は、回転板7の外周面7b(鍔片も有り得る)の上下方向Qに向かった、少なくとも、一条、又は複数条の、例えば、半球状のスリット41等を有する。また、第2チップ40は、板状の本体4000を有し、少なくとも、一方の側面40dは垂直端面40d1である。またこの垂直端面40d1は、図示しないが傾斜面とすることも可能である。第2チップ40の表面40aは、回転板7の表面7aより突出すること、及び/又は、傾斜面を備えることで、共回り等する生海苔塊、異物塊等を、クリアランス6より離れた生海苔混合液Bに導く。そして、自由端面40cの上下方向Q(第2チップ40/本体4000の上下方向Q)に向かった、少なくとも、一条、又は複数条の、例えば、半球状のスリット41等を有する。図中40eは、自由端面40cの底面を示す。回転板7に取付けた第2チップ40の自由端面40cは、
図3-2等の如く、クリアランス6内に臨んだ出面位置から、この回転板7の外周面7bと面一位置までの間において、移動可能である。
【0041】
この例の如く,第1チップ30の自由端面30cが、選別ケースリング5の内周面5dと面一態様では、第2チップ40の自由端面40cは、クリアランス6内に臨む態様である。また、図示しないが、第1チップ30の自由端面30cが、クリアランス6内に臨む態様では、第2チップ40の自由端面40cは、回転板7の外周面7bと面一態様である。
【0042】
図4~
図4-1の第2実施例は、スリット31を幅0.4mmとし、窪み部8を深さ1.5mmとする。尚、第1チップ30の厚みは、2.0mmとする。その他は、第1実施例に基づく。また特徴も、第1実施例に準ずる。
【0043】
図5~
図5-1の第3実施例は、スリット31を幅0.8mmとし、窪み部8を深さ1.5mmとする。尚、第1チップ30の厚みは、2.0mmとする。その他は、第1実施例に基づく。また特徴も、第1実施例に準ずる。
【0044】
図6~
図6-1の第4実施例は、選別ケースリング5に、スリット31を設けない構造の第1チップ30を固定した構成である。窪み部8は深さ0.5mm、第1チップ30の厚みは、1.2mmとする。この例では、スリット31の特徴は備えないが、第1チップ30の表面30aが、選別ケースリング5の表面5aより突出することと、側面30dの角部が刃部30eとしての役割を備える。これらにより、例えば、少なくと、第1実施例の如く、第1チップ30の表面30aは、選別ケースリング5の表面5aより突出すること、及び/又は、側面30dの刃部30eを備えることで、共回り等する生海苔塊、異物塊等を、クリアランス6より離れた生海苔混合液Bに導くことと、併せて導くことによる前述の特徴が達成できる。この例では、選別ケースリング5の内周面5dにおいて、その鉛直方向Q(上下方向)にスリット32を形成する。その特徴は、スリット31に準ずる。また、スリット32の上端開口部を、スリット31無しの第1チップ30で塞ぐことで、異物の吸込みを無くし得る特徴がある。
【0045】
図7~
図7-1の第5実施例は、選別ケースリング5の、第1チップ30を設けた箇所に切欠き502を形成し、ごみ詰り防止とか、共回り防止効果等が期待できる。尚、幅方向Q1において、窪み部8>切欠き502は一例である。その他は、前述の各実施例に準ずる。
【0046】
図8~
図8-1の第6実施例は、第1チップ30にスリット31を設けたが、スリット31は非貫通であり、底面31aには、壁(符号なし)を備える。従って、スリット31からの異物の通過とか、本来、選別すべき生海苔、異物等が、スリット31から吸い込まれることを無くす。
【0047】
図9~
図9-1の第7実施例は、第1チップ30の一方側面30d、及び/又は、他方側面30dに傾斜面30d2をそれぞれ形成するとともに、図示しないが、この傾斜面30d2の一方か双方に、共回り防止効果が期待できる掬い角部を形成した一例である。掬い角部は、異物の無い流域に配備されており、異物を砕くことで発生すると考えられる小ごみ発生はないと考えられる。尚、傾斜面30d2の効果は、異物をクリアランス6より離間させ、槽隅の生海苔混合液Bに導くことである。尚、自由端面30c(本体3000)の上下方向Qの長さは1.2mmである。また、窪み部8の深さは0.5mmとする。その他は、前述の各実施例に準ずる。
【0048】
図10~
図10-1の第8実施例は、第1チップ30を二枚重ねにする構成であり、かつ各第1チップ30に設けたスリット31が、回転板5の回転方向(幅方向Q1)において、位相を異にすることを特徴とする。位相を異にすることで、前述した、
図8~
図8-1の第6実施例に準ずる。
【0049】
図11~
図11-1の第9実施例は、第1チップ30を二枚重ねにする構成であり、かつ積層した上側の第1チップ30にはスリット31を設けるが、下側の第1チップ30には、スリット31を無しにした一例である。これにより、上側のスリット31を通過した異物、又は小ごみを、下側のスリット無しの第1チップ30でブロックできる特徴がある(他の例も同じ)。また、前述した、
図8~
図8-1の第6実施例に準ずる。
【0050】
図12~
図12-1の第10実施例は、第1チップ30を二枚重ねにする構成であり、かつ上側の第1チップ30はスリット無し、下側の第1チップ30はスリット31を備えたことを特徴とする。下側の第1チップ30にのみスリット31を設けることで、前述した、
図8~
図8-1の第6実施例と同効となり、その他は第6・第4実施例に準ずる。
【0051】
図13~
図13-1の第11実施例は、第1チップ30をL字にした構造であり、選別ケースリング5の内周面5dに形成した鍔片5eの表面5aの部分に窪み部8を設け、この窪み部8に第1チップ30の本体3000と、曲り片3001を差込み支持する。曲り片3001は、鍔片5eより突起する形態で、チップ30の曲り片3001は、共回り解消に効果的である。従って、この例の如く、曲り片3001は、クリアランス6と、クリアランス6下側の吸込み方向(下側近傍)の間を、カバーできる。
【0052】
そして、
図14の(イ)は回転板7の傾斜面7fと、選別ケースリング5の内周面5dの先端ピン角5d1でなるクリアランス6を、(ロ)は、回転板7の第2チップ40と、選別ケースリング5の内周面5dに設けた第1チップ30とによる間隔を記している。(イ)は0.1mm、(ロ)は0.05mmであり、生海苔の状況により変更するが、一例である。
【0053】
図15は、第1チップ30に備えたスリット31の各例を示した一覧である。
【0054】
尚、
図16は、別の第1チップ30を、それぞれ示した概念端面図であって、何れも、本発明の範疇であり、縮尺した形態を一覧表に分類した一例である。
【0055】
前述した各実施例等は、本発明の好ましい一例の説明であり、各実施例とか図面に限定されない。従って、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0056】
1 生海苔異物分離装置
2 生海苔混合液槽
200 内底面
201 槽隅部
3 選別ケーシング
300 内底面
301 外周壁
302 中央
5 選別ケースリング
5a 表面
5b 裏面
5d 内周面
5d1 先端ピン角
5e 鍔片
500 円形穴
502 切欠き
6 クリアランス
7 回転板
7a 表面
7b 外周面
7c 内側
7f 傾斜面
8 窪み部
80 窪み部
9 回転軸
10 軸受け
11 モータ
12 生海苔タンク
20 ホース
21 生海苔混合液貯留槽
22 生海苔排出口
23 配管
25 ホース
26 ポンプ
30 第1チップ
30a 表面
30b 裏面
30c 自由端面
30c1 角部
30c2 基端面
30d 側面
30d1 垂直端面
30d2 傾斜面
30e 刃部
3000 本体
3001 曲り片
31 スリット
31a 底面
32 スリット
33 止め具
34 止め具
40 第2チップ
40a 表面
40b 裏面
40b1 角部
40c 自由端面
40c1 角部
40c2 基端面
40d 側面
40d1 垂直端面
40e 底面
4000 本体
41 スリット
A 生海苔
A2 生海苔(良質生海苔)
B 生海苔混合液
Q 上下方向
Q1 幅方向