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<図1>
  • 特許-スコップ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】スコップ
(51)【国際特許分類】
   F25C 5/20 20180101AFI20221227BHJP
【FI】
F25C5/20 302A
F25C5/20 305
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018234159
(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2020094772
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507222147
【氏名又は名称】サントリーマーケティング&コマース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】水谷 昌一
(72)【発明者】
【氏名】村上 源
(72)【発明者】
【氏名】徳本 健吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】南澤 杏奈
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-343952(JP,A)
【文献】特開2003-161556(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0026773(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0151384(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00-5/20
A47F 13/08
A47G 21/00-23/16
A47J 42/00-44/02
G01F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面、前記底面の両側辺から上方に延伸し互いに対向する第1側壁および第2側壁、および、前記第1側壁の後端から前記第2側壁の方であって、前記底面の後端の方向に斜めに延伸し、前記底面の後端に位置する第3側壁、前記第3側壁の外側面から突出するように設けられた把持部、および、前記第2側壁の後端と前記第3側壁との間の開口に設けられた注ぎ口を備えるスコップであって、
前記底面における前記第1側壁の先端と前記第2側壁の先端との間は、対象物を掬う開口となっており、
前記注ぎ口から前記対象物を注ぐ際に、前記第3側壁によって前記対象物を前記注ぎ口へと誘導することを特徴とするスコップ。
【請求項2】
前記注ぎ口は、前記第2側壁と前記第3側壁との間の開口において前記底面から斜め後方に向かって下方に傾斜して延伸している底面部を有し、前記第3側壁が前記底面部と接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のスコップ。
【請求項3】
前記注ぎ口の底面部は、先細り形状を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のスコップ。
【請求項4】
前記注ぎ口の底面部の縁から上方に突出し、前記第2側壁と接続されたガイド部が設けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のスコップ。
【請求項5】
前記底面の先端側は、上方に傾斜していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のスコップ。
【請求項6】
前記把持部の上面は前記注ぎ口の底面部とは反対方向に下方に傾斜していることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のスコップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、氷などの対象物を掬って、ジョッキ、グラスといった容器に注ぐスコップに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店などでジョッキ、グラスといった容器に製氷機の貯氷室から氷を掬って入れる際に、製氷機に備え付けの手持ちの小さなスコップが用いられている。この場合、スコップの先端で氷を掬い、スコップの先端から氷を注ぐことから、スコップで氷を容器に注ぐ際に氷が零れる、あるいは、溢れ出るという問題があった。
【0003】
このように氷などを容器に注ぐ際に、注ぎ易くすることを目的としたスコップ(特許文献1,2)も存在しているが、特許文献1のように、スコップの把手部に中空貫通孔を設けて、貫通孔の中を氷を通過させる構造のスコップでは、貫通孔の中で氷が詰まる可能性があり、特に、大きい氷の場合、貫通孔への入口で複数の氷が重なり合って貫通孔に入らなくなる可能性が高く、飲食店で使用する業務用のスコップとしての使用には適していない。
【0004】
特許文献2のように、大きさの異なる2つの氷放出口を設け、大きい氷放出口から氷を掬い、小さい氷放出口から氷を注ぐ構造のスコップでは、氷を注ぐ際に使用する小さい方の氷放出口の側壁あるいは放出口付近で氷が引っ掛かる可能性が高く、氷の引っ掛かりを解除して氷を注ぐためにスコップを揺するあるいは大きく傾ける動作を行う必要があり、このような動作によって氷を溢したりするので、スムーズに氷を注ぐことができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-343952号公報
【文献】特開2003-161556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、従来のスコップによって氷などを注ぐ際に氷が詰まる、氷を溢すといった問題を解決し、氷などを掬って容器にスムーズに注ぐことができるスコップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスコップは、底面、前記底面の両側辺から上方に延伸し互いに対向する第1側壁および第2側壁、および、前記第1側壁の後端から前記第2側壁の方に斜めに延伸し、前記底面の後端に位置する第3側壁、前記第3側壁の外側面から突出するように設けられた把持部、および、前記第2側壁の後端と前記第3側壁との間の開口に設けられた注ぎ口を備えるスコップであって、前記底面における前記第1側壁の先端と前記第2側壁の先端との間は、対象物を掬う開口となっており、前記注ぎ口から前記対象物を注ぐ際に、前記第3側壁によって前記対象物を前記注ぎ口へと誘導することを特徴とする。
【0008】
前記注ぎ口は、前記第2側壁と前記第3側壁との間の開口において前記底面から斜め後方に向かって下方に傾斜して延伸している底面部を有し、前記第3側壁が前記底面部と接続されている。
【0009】
前記注ぎ口の底面部は、先細り形状を有している。
【0010】
前記注ぎ口の底面部の縁から上方に突出し、前記第2側壁と接続されたガイド部が設けられている。
【0011】
前記底面の先端側は、上方に傾斜している。
【0012】
前記把持部の上面は前記注ぎ口の底面部とは反対方向に下方に傾斜している。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスコップは、底面、前記底面の両側辺から上方に延伸し互いに対向する第1側壁および第2側壁、および、前記第1側壁の後端から前記第2側壁の方に斜めに延伸し、前記底面の後端に位置する第3側壁、前記第3側壁の外側面から突出するように設けられた把持部、および、前記第2側壁の後端と前記第3側壁との間の開口に設けられた注ぎ口を備えるスコップであって、前記底面における前記第1側壁の先端と前記第2側壁の先端との間は、対象物を掬う開口となっており、前記注ぎ口から前記対象物を注ぐ際に、前記第3側壁によって前記対象物を前記注ぎ口へと誘導することにより、氷などの対象物をコップなどの容器に注ぐ際に、掬った対象物を簡単な動作でスムーズに容器へと注ぐことができるようになる。
【0014】
前記注ぎ口は、前記第2側壁と前記第3側壁との間の開口において前記底面から斜め後方に向かって下方に傾斜して延伸している底面部を有し、前記第3側壁が前記底面部と接続されていることにより、掬った対象物をよりスムーズに容器に注ぐことができる。
【0015】
前記注ぎ口の底面部が先細り形状を有することにより、対象物を容器に溢れさせることなく注ぐことができるようになる。
【0016】
前記注ぎ口の底面部の縁から上方に突出し、前記第2側壁と接続されたガイド部が設けられていることにより、前記注ぎ口から対象物が零れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のスコップの斜視図である。
図2】本発明のスコップの平面図である。
図3】本発明のスコップの側面図である。
図4】本発明のスコップの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のスコップ1を、図を用いて以下に詳細に説明する。図1が本発明のスコップ1の斜視図であり、図2が平面図、図3が側面図、図4が正面図である。
【0019】
本発明のスコップ1は、図1~4に示すように、底面2、前記底面2の両側辺に設けられ、互いに対向する第1側壁3および第2側壁4、および、前記第1側壁3の後端から延伸する第3側壁5、前記第3側壁5の外側面に設けられた把持部6、および、前記第2側壁4の後端と前記第3側壁5との間の開口に設けられた注ぎ口7が樹脂によって一体に形成されており、氷などの対象物を先端で掬って、前記注ぎ口7からジョッキ、グラスなどの容器に対象物を注ぐために使用される。
【0020】
図3に示すように、前記底面2の先端部分は上方に湾曲して傾斜しており、かつ、先端部分は先端に向かって厚みが薄くなっていることから、前記コップ1は氷などの対象物を掬い易く、かつ、掬った対象物が先端から零れるのを防止することができる。
【0021】
前記第1側壁3および前記第2側壁4は、前記底面2の左右の両側辺から上方に延伸するように形成されており、前記底面2と共に略コ字状断面を形成している。また、前記第1側壁3と前記第2側壁4との間隔は上方に向かって広くなるように、それぞれがわずかに外側に傾斜して形成されている。前記第1側壁3および前記第2側壁4の先端部分は、図2に示すように、内側面が外側に向かって傾斜していることによって先端に向かって厚みが薄くなっている。これにより、前記第1側壁3と前記第2側壁4との間隔が先端に向かって広くなることから、氷などを掬い易くなる。
【0022】
図2に示すように、前記第3側壁5は、前記第1側壁3の後端から左側(前記第2側壁4に近づく方向)に折れ曲がって、斜めに延伸するように形成されており、前記第1側壁3と前記第3側壁5とは、略「く」の字状の平面形状を有するように配置されている。図2の平面図では、前記第1側壁3と前記第3側壁5とは約110°の角度をなすように形成されているが、角度については特に限定するものではない。図2に示すように、前記第1側壁3と前記第3側壁5との折れ曲がり部分は曲面で構成されており、掬われた対象物がスムーズに前記注ぎ口7へと移動するようになっている。
【0023】
図1,3に示すように、前記第2側壁4の後端は、前記第3側壁5とは接続されておらず、前記2側壁4と前記第3側壁5との間は開口となっており、前記開口に前記注ぎ口7が形成されている。前記注ぎ口7は、前記底面2から斜め後方に向かって、前記底面2から下方へと傾斜して延伸している底面部8を有している。図2に示すように、前記注ぎ口7の底面部8は先端に向かって幅が狭くなり、さらに、容器に注ぎ易くするために、先端部分が略三角形を有する先細り形状を有している。前記注ぎ口7の大きさ及び形状は、対象物および注ぐ容器に応じて適宜、変更することができる。
【0024】
前記注ぎ口7の底面部8の側縁の1つが前記第3側壁5の下端と接続されており、もう1つの側縁には、上方に突出したガイド部9が設けられている。図1,4に示すように、前記第3側壁5の端部は段差によって低くなっており、氷などを容器に注ぐ際に、段差の部分を容器の口に当てることで、氷などが注ぎ易くなる。前記ガイド部9の一端は前記第2側壁4と接続されているが、図1,3に示すように、前記ガイド部9は前記第2側壁4よりも高さが低いことから、段差が形成されている。前記注ぎ口7から氷などを注ぐ際に、前記ガイド部9によって氷が零れるのを防止することができる。また、前記注ぎ口7が先細り形状を有している場合、前記ガイド部9が高いと氷などが詰まることがあるが、前記ガイド部9の高さを低くすることにより、このような詰まりを防止することもできる。
【0025】
前記第3側壁5の外側面には、図1から3に示すように、後方に延伸する把持部6が設けられている。前記把持部6の後端部分には貫通孔10が設けられており、前記スコップ1をフックなどに掛けておくことができる。図4に示すように、前記把持部6の上面は、前記注ぎ口7の底面部8とは反対方向に下方(右斜め下)に傾斜している。前記把持部6の上面は前記第3側壁5の上端へとつながっていることから、前記第3側壁5の上端も前記把持部6の上面と同様に傾斜した形状を有している。
【0026】
前記第2側壁4と前記底面2との接続部分、前記第3側壁5と前記底面2および前記底面部8との接続部分は曲面で面取りされており、掬った対象物が角で引っ掛かることなくスムーズに移動できるように形成されている。
【0027】
本発明のスコップ1の大きさは、対象物および注ぐ容器によって適宜、変更することが可能である。例えば、氷を対象物とした場合、飲食店で使用する一般的な約3cm角の氷を、ジョッキなどに注ぐことを想定すると、先端の幅を約11cm、全長を約28cmとし、一度に、15個前後の氷を掬うことができる大きさとする。これにより、前記スコップ1で1回氷を掬うと、2つの中ジョッキに氷を注ぐことができる。本発明のスコップ1は、対象物を氷だけに限定するのではなく、スコップ1全体の大きさおよび形状、さらに、ガイド部9の大きさおよび形状を変更することにより、その他の用途に使用することも可能である。
【0028】
本発明のスコップ1は、樹脂によって一体成型されているが、一部を別パーツとすることも可能であり、材質についても樹脂以外を使用して形成することも可能である。
【0029】
次に、本発明のスコップ1の使用方法について説明する。本発明のスコップ1を氷を対象物として使用する場合、氷を掬うために製氷機の貯氷器にスコップ1の先端を下側に向けた状態で差し入れて氷を掬う。その後、前記スコップ1の先端を上に上げながら氷が零れないように貯氷器から取り出す。
【0030】
この時、前記スコップ1の把持部6の上面が傾斜していることにより、前記スコップ1の底面2は、先端を上げた状態で、さらに、前記スコップ1内の氷が前記注ぎ口7から零れないように斜め右下に傾いた状態となり、前記スコップ1内の氷は前記注ぎ口7から零れないようにすることができる。前記把持部6の上面を傾斜させない場合は、手首を右に返す、あるいは右に傾ける動作によって、前記スコップ1を右側に傾けることにより、前記注ぎ口7から氷が零れないようにすればよい。
【0031】
このようにして、前記スコップ1内に氷を入れた状態で、前記スコップ1の注ぎ口7とジョッキなどの容器の口部とを近づけて、前記スコップ1の先端を上げたままの状態で、前記スコップ1を持つ手の手首を左に返す動作を行って、前記スコップ1を左側へと傾けながら、前記注ぎ口7を容器の口部の中へ入れると、前記スコップ1内の氷は前記第3側壁5に沿って注ぎ口7へと移動し、前記注ぎ口7の底面部8の上を滑って容器内へと注がれる。
【0032】
この時、前記スコップ1の第3側壁5の段差の部分と、第2側壁4とガイド部9との段差の部分を容器の口の縁に当てると、前記スコップ1を安定した状態で氷を注ぐことができる。そして、前記注ぎ口7の底面部8が下方に傾斜していることにより、前記第3側壁5に沿って注ぎ口7側へと移動された氷がスムーズに容器内に注ぐことができる。
【0033】
さらに、前記注ぎ口7のガイド部9によって、氷が前記第2側壁4と前記第3側壁5との間の開口で詰まることなく、そして、零れることなく注ぎ口7から注ぐことができるようになる。
【0034】
本発明のスコップ1によって、氷などの対象物を容器に注ぐ際に、対象物を掬った後、前記スコップ1を揺するなどの余分な動作を行うことなく、手首を返す動作を行うだけで、対象物を滞留させることなくスムーズに注ぐことができるというすぐれた効果を奏し、これにより、使用する人の負担を減少させ、また、よりスムーズに作業することができるようになる。
【0035】
本発明のスコップ1は、右利きの人が使用することを想定しているが、左利きの人が使用しても従来のスコップに比べて使用する人の負担がはるかに少なく、また左利きの人がより使い易くするために、前記注ぎ口7を右側に設け、前記把持部6の上面の傾斜を反対とすることによって対応することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 スコップ
2 底面
3 第1側壁
4 第2側壁
5 第3側壁
6 把持部
7 注ぎ口
8 底面部
9 ガイド部
10 貫通孔
図1
図2
図3
図4