特許 7201182 車両用格納型サイドステップ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-12-26

(45)【発行日】2023-01-10

(54)【発明の名称】車両用格納型サイドステップ

(51)【国際特許分類】

   B60R 3/00 20060101AFI20221227BHJP

【ＦＩ】

B60R3/00

【請求項の数】 3

(21)【出願番号】P 2020072432

(22)【出願日】2020-04-14

(65)【公開番号】P2021169242

(43)【公開日】2021-10-28

【審査請求日】2021-11-09

(73)【特許権者】

【識別番号】596166313

【氏名又は名称】株式会社 いそのボデー

(74)【代理人】

【識別番号】110001335

【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所

(72)【発明者】

【氏名】磯野 栄治

(72)【発明者】

【氏名】霜鳥 信勝

(72)【発明者】

【氏名】高橋 諒

【審査官】上谷 公治

(56)【参考文献】

【文献】実開平０１－１１５９８９（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０１５－０７４３０３（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭６０－１０５２５０（ＪＰ，Ｕ）

【文献】実開平０６－０６７１８８（ＪＰ，Ｕ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６０Ｒ ３／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

トラック等の自動車の車体側面の下部において、ステップ板が展開自在に取り付けられた車両用格納型サイドステップ（１）であって、
自動車の車体に取り付けられる、２個の縦枠（１１）とこれらを支持する連結棒（１２）からなる枠体（３）と、
長方形状の板材から成る足乗せ部（４）と、該足乗せ部（４）の両側面に支持部材（５）が取り付けられたステップ板（２）と、
前記枠体（３）の縦枠（１１）と、前記ステップ板（２）側面の支持部材（５）との間に連結された連結片（８）と、
前記ステップ板（２）の両側面の支持部材（５）の基端側に、取り付けられたピン部（６）と、
前記ピン部（６）の動きを規制するために、前記枠体（３）の両縦枠（１１）に開けられた、該ピン部（６）が摺働する長穴（１４）と、
前記ステップ板（２）を前記枠体（３）に格納した状態を維持するロック機構（１０）と、
前記ロック機構（１０）に取り付けられる、該ロック機構（１０）のロック状態とアンロック状態を検知するロック機構センサ（２２）と、
前記ロック機構センサ（２２）により検出された、前記ロック機構（１０）のアンロック状態について自動車の運転席に報知させるように制御する制御装置（２１）と、
前記制御装置（２１）からの信号により、前記ロック機構（１０）がアンロック状態であることを車両の運転席に報知する報知手段（２８）と、を備え、
前記ステップ板（２）は、その両側面で支持されている前記連結片（８）で下方への回動を阻止し、前記ピン部（６）で上方への回動をそれぞれ阻止することにより展開した水平状態を維持できると共に、前記制御装置（２１）の駆動機構停止信号出力部（２７）からの駆動機構停止信号により、自動車のエンジン又はモータの駆動機構（３２）が始動しないように構成した、ことを特徴とする車両用格納型サイドステップ。

【請求項2】

前記枠体（３）の両縦枠（１１）に開けられた長穴（１４）は、該長穴（１４）内で摺働する前記ピン部（６）が格納時に容易に展開しないように、上下方向の直線部（１４ａ）とその上部に連続して傾斜部（１４ｂ）が形成された形状から成る、ことを特徴とする請求項１に記載の車両用格納型サイドステップ。

【請求項3】

前記足乗せ部（４）は、前記ステップ板（２）の先端側から前記連結片（８）の一端が取り付けられた位置までの奥行き（ｄ）を有する形態に形成されている、ことを特徴とする請求項１又は２の何れかに記載の車両用格納型サイドステップ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、自動車等の車両の乗降の際に利用する車体側面の下方位置に取り付けられるサイドステップに係り、特に車高の高い自動車に取り付けることができる車両用格納型サイドステップに関する。

【背景技術】

【0002】

従来より、自動車には、容易に乗り降りできるように車体側面かつドアの下方にサイドステップが設けられているものがある。乗用車のように人が乗降するだけのサイドステップは、自動車の車体の下部にステップ板が形成されたものである。人が乗車又は下車する際に、足を簡単に掛けられる程度の幅を有するステップ部が形成されたものである。

【0003】

サイドステップは、通常は自動車の車体に格納され、自動車への乗降の際に展開して車体の側方へ飛び出す形態のものがある。また、トラックのように大型の車両では、単に人が乗降する際に用いるのではなく、トラックボディ内に貨物を積み込んだり、貨物を降ろす際にステップ板を展開して使用する形態のものがある。トラックでは、トラックボディの庫内の床面が高い位置にあるため、ステップ板もそれに合わせて高い位置で展開するように設計されている。

【0004】

このように自動車のサイドステップに関する技術が種々提案されている。例えば、特許文献１の実開平７－９６５６号公報「車両用サイドステップ装置」のように、ロッカパネルに固定されたステーと、このステーに結合されて乗降口の下方に水平状に設置されたメインステップと、前記ステーの先端に回動可能に連結され、前記メインステップの先端付近から垂下した直立姿勢および前記メインステップの下側で横倒した水平姿勢に回動端で変換される連結リンクと、この連結リンクの自由端に回動可能に連結され、前記連結リンクと直交した姿勢および前記連結リンクと同一の姿勢に回動端で変換されるステップアームと、このステップアームに結合され、前記連結リンクが直立して前記ステップアームが前記連結リンクと直交したときに前記メインステップの斜め下方へ水平姿勢で進出し、前記連結リンクおよび前記ステップアームがともに横倒したときに前記メインステップの下側に水平姿勢で格納されるサブステップとを設けた車両用サイドステップ装置が提案されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【文献】実開平７－９６５６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

しかし、図５の比較図で説明するように、従来のサイドステップ５１のステップ板５２では回転の中心点（Ｓ）が下部に位置するため、広い面積を有するステップ板５２は展開時に高い位置に設定できないという問題を有していた。逆に、ステップ板５２を高い位置に設定すると、格納する枠体５３のスペースとの関係でステップ板５２の面積を小さくしなければならないという問題を有していた。

【0007】

また、展開式のステップ板は、トラック等の自動車が悪路を走行しているときに、格納しているステップ板のロック機構が不要に解除されることがあった。走行中にステップ板が展開すると自動車の車体の側方へ飛び出して、他の走行車両に接触するといった大変危険な状態になるという問題を有していた。

【0008】

本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、大きなステップ板を、車体の側面において地上からある程度の高い位置において展開し維持でき、また自動車の走行中にロック機構が外れたり、又はロック機構の掛け忘れがあったときでも簡単にはこの格納中のステップ板が展開することを防止して安全に走行できる車両用格納型サイドステップを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0009】

本発明は、トラック等の自動車の車体側面の下部において、ステップ板が展開自在に取り付けられた車両用格納型サイドステップ（１）であって、
自動車の車体に取り付けられる、２個の縦枠（１１）とこれらを支持する連結棒（１２）からなる枠体（３）と、
長方形状の板材から成る足乗せ部（４）と、該足乗せ部（４）の両側面に支持部材（５）が取り付けられたステップ板（２）と、
前記枠体（３）の縦枠（１１）と、前記ステップ板（２）側面の支持部材（５）との間に連結された連結片（８）と、
前記ステップ板（２）の両側面の支持部材（５）の基端側に、取り付けられたピン部（６）と、
前記ピン部（６）の動きを規制するために、前記枠体（３）の両縦枠（１１）に開けられた、該ピン部（６）が摺働する長穴（１４）と、
前記ステップ板（２）を前記枠体（３）に格納した状態を維持するロック機構（１０）と、
前記ロック機構（１０）に取り付けられる、該ロック機構（１０）のロック状態とアンロック状態を検知するロック機構センサ（２２）と、
前記ロック機構センサ（２２）により検出された、前記ロック機構（１０）のアンロック状態について自動車の運転席に報知させるように制御する制御装置（２１）と、
前記制御装置（２１）からの信号により、前記ロック機構（１０）がアンロック状態であることを車両の運転席に報知する報知手段（２８）と、を備え、
前記ステップ板（２）は、その両側面で支持されている前記連結片（８）で下方への回動を阻止し、前記ピン部（６）で上方への回動をそれぞれ阻止することにより展開した水平状態を維持できると共に、前記制御装置（２１）の駆動機構停止信号出力部（２７）からの駆動機構停止信号により、自動車のエンジン又はモータの駆動機構（３２）が始動しないように構成した、ことを特徴とする。

【0010】

前記枠体（３）の両縦枠（１１）に開けられた長穴（１４）は、該長穴（１４）内で摺働する前記ピン部（６）が格納時に容易に展開しないように、上下方向の直線部（１４ａ）とその上部に連続して傾斜部（１４ｂ）が形成された形状から成るものである。
前記足乗せ部（４）は、前記ステップ板（２）の先端側から前記連結片（８）の一端が取り付けられた位置までの奥行き（ｄ）を有する形態に形成されているものである。

【発明の効果】

【0012】

本発明の車両用格納型サイドステップの構成では、ステップ板（２）は、連結片（８）とピン部（６）との２カ所で枠体（３）に支持されているので、ステップ板（２）を水平状態に維持できる。なお、格納しているステップ板（２）を水平に展開するときは、このステップ板（２）を上方かつ手前側に引くように取り出せば容易に水平状態に展開できる。
ステップ板（２）は、枠体（３）の上下方向の途中の高さ位置で水平状態に展開できるため、大きなステップ板（２）であっても、枠体（３）の高い位置において展開できる。

【0013】

自動車の走行中に何らかの原因でロック機構（１０）が外れた際にも、格納時のステップ板（２）に取り付けられたピン部（６）が、長穴（１４）の直線部（１４ａ）の下部に位置している。そこで、格納時のステップ板（２）が自動車の走行中にある程度の揺れがあっても、ステップ板（２）の自重により、ピン部（６）がこの長穴（１４）の直線部（１４ａ）を上方へ移動することは防止することができる。そのためにステップ板（２）を不用意に展開しないので、安全性が高い。

【0014】

ステップ板（２）は、両側面の突片（７）に連結片（８）が取り付けられている位置で下方への回動を阻止し、ピン部（６）で上方への回動を阻止して水平状態を維持している。また、この連結片（８）とピン部（６）との間に荷重が掛かるとステップ板（２）が回動するおそれがある。そこで、ステップ板（２）の足乗せ部（４）が、所定の位置のみに人が乗れるようになっているので、ステップ板（２）の回動を防止して、安全に利用できる。

【0015】

ロック機構センサ（２２）でステップ板（２）の格納状態を検出し、格納が不十分のときに、警告灯（２９）やブザー（３０）で報知することができる。また、駆動機構停止信号出力部（２７）からの駆動機構停止信号により、自動車のエンジン又はモータの駆動機構（３２）を始動させない。

【図面の簡単な説明】

【0016】

【図1】本発明の車両用格納型サイドステップを示す斜視図であり、（ａ）はステップ板を格納した状態、（ｂ）はステップ板を展開した状態である。

【図2】本発明の車両用格納型サイドステップのステップ板を格納した状態を示し、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。

【図3】本発明の車両用格納型サイドステップのステップ板を展開した状態を示し、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。

【図4】本発明の車両用格納型サイドステップの縦枠に開けられた長穴の状態を示す拡大側面図である。

【図5】本発明の格納型サイドステップと従来の車両用格納型サイドステップの展開状態の比較を示す側面図であり、（ａ）は従来のサイドステップ、（ｂ）は本発明のサイドステップである。

【図6】実施例２の車両用格納型サイドステップに備えたロック機構のセンサとその制御装置を示すブロック図である。

【発明を実施するための形態】

【0017】

本発明の車両用格納型サイドステップは、トラック等の自動車の車体の側面下部において、ステップ板２が展開自在に取り付けられたサイドステップである。

【実施例1】

【0018】

＜車両用格納型サイドステップの構成＞
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図１は本発明の車両用格納型サイドステップを示す斜視図であり、（ａ）はステップ板を格納した状態、（ｂ）はステップ板を展開した状態である。図２は本発明の車両用格納型サイドステップのステップ板を格納した状態を示し、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。図３は本発明の車両用格納型サイドステップのステップ板を展開した状態を示し、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。
本発明の車両用格納型サイドステップ１は、自動車の車体側面の下部において、ステップ板２が展開・格納自在に取り付けられたものである。本発明の車両用格納型サイドステップ１は、主にステップ板２と枠体３とから成る。これが取り付けられる自動車としては、トラックボディの庫内の床面が高いトラック等の大型車両に適している。また、重量物の積み込み、積み降ろしの際に乗ることができる程度の強度の強いサイドステップである。

【0019】

＜ステップ板の構成＞
ステップ板２は、略長方形状の板材から成る足乗せ部４と、この足乗せ部４の両側面に支持部材５がそれぞれ取り付けられたものである。この支持部材５の基端側（枠体３側）に１本のピン部６が足乗せ部４の長手方向と同じ方向に取り付けられている。図示例では２本の支持部材５に、１本のピン部６がそれぞれに貫通して両端が突出した状態になっている。

【0020】

各支持部材５の中間位置に、このステップ板２自体を支持するための突片７が取り付けられている。この突片７には、後述する連結片８の一端が回動自在に軸で取り付けられている。この連結片８は、ステップ板２を支持する機能を有する。

【0021】

足乗せ部４の短手方向の長さ（ｄ）は、支持部材５の長さと異なる長さに形成されている。この足乗せ部４は、その先端側から、この突片７の位置、即ち連結片８との連結位置までが足を乗せられる位置となっている。人がこれより奥側（枠体３側）に乗ると、ステップ板２が回動するおそれがある。そこで、本実施例では、足乗せ部４は足を乗せることができる安全な領域のみに構成した。

【0022】

足乗せ部４の上表面には、滑り止めゴムシートを張り付けることができる。ここで上表面とは、図１（ｂ）の展開した状態のときをいう。なお、このゴムシートに代えてギャザー処理の滑り止めでも良い。

【0023】

ステップ板２の足乗せ部４には、これを展開する際と格納する際に人が手を掛けることができるグリップ９が取り付けられている。このグリップ９に並列してロック機構１０を構成する第１係合部１０ａが取り付けられている。この第１係合部１０ａと、枠体３に取り付けられている第２係合部１０ｂとが着脱自在になり、両者でロック機構１０となる。ここで第１係合部１０ａと第２係合部１０ｂと称したのは、雄型と雌型といった構成が若干異なるが、ステップ板２側と枠体３側の何れにも取り付けることができるために第１係合部１０ａ，第２係合部１０ｂと称して区別している。これは便宜上第１、第２と称したもので、等級、枚数とは異なる。

【0024】

＜枠体の構成＞
枠体３は、自動車の車体側に取り付けられる部材であり、図１（ｂ）、図３（ｂ）に示すように２本の縦枠１１とこれらを支持する２本の連結棒１２からなる。この２本の縦枠１１と２本の連結棒１２で略四角形状を構成する。本発明では、２本の縦枠１１を連結棒１２で連結することにより、縦枠１１の間から車体側の機材、部材に触れることができる。例えば、この車両用格納型サイドステップ１を、自動車の燃料タンクの栓の位置を覆うように配置する。格納しているステップ板２が、燃料タンクの栓を覆う効果がある。連結棒１２は２本に限定されず、３本又はそれ以上の本数でも良い。あるいは、２本の縦枠１１を連結できる構成であれば、２本の連結棒１２に限定されず、１枚の板材で連結することも可能である。

【0025】

２個の縦枠１１には、車両の車体のシャーシに固定する取付具１３が上下にそれぞれ設けられている。図示例では、ボルト止めで車体に固定できる構成を示している。その固定手段はボルト止めに限定されない。また、この取付具１３も図示例の形状に限定されないことは勿論である。

【0026】

各縦枠１１には、その中間位置に、上述した連結片８の他端が回動自在に軸で取り付けられている。この連結片８が、展開したステップ板２を支持する。

【0027】

ピン部６が、ステップ板２の両支持部材５に取り付けられている。このピン部６が摺働する長穴１４が、各縦枠１１の下部位置に開けられている。両長穴１４内において、ピン部６の両端部が摺働するようになっている。このピン部６は、この長穴１４内のみの摺働が規制されるため、このピン部６が長穴１４の最上部に位置するときは、ステップ板２の上方への回動を阻止するようになる、その結果、ステップ板２が水平状態に維持される。逆に、このピン部６が、長穴１４の最下部に位置するときは、ステップ板２の格納状態になる。
なお、図示しないが、縦枠１１を貫通する長穴に代えて、縦枠１１に長溝を形成したものでも、ピン部６について同様な動きを規制することができる。

【0028】

ステップ板２は、連結片８とピン部６との２カ所で枠体３に支持されているため、ステップ板２が水平状態に維持される。なお、格納しているステップ板２を水平状態に展開するときは、このステップ板２のグリップ９に手を掛けて上方かつ手前側に引くように取り出せば、ステップ板２を容易に水平状態に展開できる。

【0029】

＜長穴の形状＞
図４は本発明の車両用格納型サイドステップの縦枠に開けられた長穴の状態を示す拡大側面図である。
本発明の枠体３の両縦枠１１に開けられた長穴１４は、図４の拡大図に示すように、上下方向の直線部１４ａとその上部に連続して傾斜部１４ｂが形成されたものである。このように上下方向に開けられた直線部１４ａを長くすることで、長穴１４内を摺働するピン部６が容易に上方へ移動しないようになる。このような構成により、格納時のステップ板２が容易に上方へ移動することを防止し、自動車の走行中にステップ板２が容易に展開しないようになる。

【0030】

自動車の走行中に何らかの原因でロック機構１０が解除された際にも、格納時のステップ板２が自動車の走行中の揺れがあっても、ステップ板２の自重により、ピン部６がこの長穴１４の直線部１４ａを上方へ移動することは防止することができる。ステップ板２の不用意な展開を防止して、安全性を高めている。

【0031】

なお、この長穴１４の形状は、長穴１４の下部に直線部１４ａが形成された形状であれば、その上部の傾斜部１４ｂは図示例の直線に限定されない。例えば、円弧形状に形成したものでもよい。ステップ板２の自重により、長穴１４下部の直線部１４ａにピン部６が位置し、ステップ板２のある程度の揺れでは、この直線部１４ａの下部からピン部６上方へ移動しないようになる。

【0032】

＜ステップ板の展開状態との比較＞
図５は本発明の格納型サイドステップと従来の車両用格納型サイドステップの展開状態の比較を示す側面図であり、（ａ）は従来のサイドステップ、（ｂ）は本発明のサイドステップである。
この比較図に示すように、図５（ａ）に示す従来のサイドステップ５１は、ステップ板５２は、回動の中心点（Ｓ）が枠体５３の下部に位置するため、広い面積を有するステップ板は展開時に高い位置に設定できない。

【0033】

これに対して、図５（ｂ）に示す本発明のサイドステップ１は、ステップ板２を枠体３の上下方向の途中の高さ位置で水平状態に展開できる。このため大きなステップ板２であっても、ある程度の高い位置に展開できる。大きなステップ板２であっても、地上から高い位置に展開維持できる。図示例のように従来のサイドステップ５１と本発明の格納型サイドステップ１とのステップ板２，５１の高さ（ｈ）に相違がみられる。

【実施例2】

【0034】

＜ロック機構センサと制御装置の構成＞
図６は実施例２の車両用格納型サイドステップに備えたロック機構のセンサとその制御装置を示すブロック図である。
本発明の車両用格納型サイドステップは、上述したように、上下方向の直線部１４ａが長い長穴１４の形状により、ロック機構１０が走行中にアンロック状態になってもステップ板２が容易には展開しないようになっている。更に実施例２の車両用格納型サイドステップは、ロック機構１０に安全性を高めるためのセンサ２２とその制御装置２１を備えたものである。

【0035】

ロック機構１０の制御装置２１の入力側には、図示するように、ロック機構１０のロック状態とアンロック状態を検知するロック機構センサ２２、増幅処理部２３（ＡＭＰ）及び制御信号入力部２４が接続されている。増幅処理部２３（ＡＭＰ）はロック機構センサ２２の検知信号を増幅処理する。

【0036】

ロック機構センサ２２は、自動車の半ドアの検知又は冷蔵庫の半ドアセンサと同様な構成のものを用いた。例えば、ロック機構１０の第１係合部１０ａと第２係合部１０ｂが正確に接触していないと通電する方式又は逆に通電しない方式がある。なお、ロック機構センサ２２の形式は、アンロック状態を検知でき、信号を発信する構成であればこのような通電方式に限定されないことは勿論である。

【0037】

制御装置２１の出力側には、警報出力部２５、表示処理部２６及び駆動機構停止信号出力部２７が接続されている。警報出力部２５に報知手段２８の回転灯などの警告灯２９とブザー３０が接続されている。警告灯２９とブザー３０は、自動車の運転席にいる運転手、同乗者等に対して光とアラーム音を鳴らすことで警告を報知する。表示処理部２６にはＬＥＤ等が接続されている。駆動機構停止信号出力部２７は自動車のエンジン又はモータ等の駆動機構３２における始動ができない状態にする。信号処理部３１が、入力側の制御信号入力部２４及びロック機構センサ２２の検知信号を増幅処理する増幅処理部２３（ＡＭＰ）を処理して、これらの出力側の各動作を行わせる。

【0038】

このように実施例２の車両用格納型サイドステップは、ロック機構センサ２２がステップ板２の格納状態を検出し、格納が不十分のときに、報知手段２８のブザー３０で自動的に警告音を発生し、パイロットランプ等の警告灯２９が点灯して警告する。駆動機構停止信号出力部２７が、エンジン又はモータ等の駆動機構３２が始動しない構造にすることができる。

【0039】

走行中にロック機構１０がアンロック状態なったときは、警告灯２９が点灯したり、ブザー３０で警告音を発生することで、運転手にその旨を知らせ、点検させるようにして安全走行できるようになる。

【0040】

なお、本発明は、大きなステップ板２を自動車の車体の側面において地上からある程度の高い位置において展開でき、また自動車の走行中にロック機構１０が外れたり、又はロック機構１０の掛け忘れがあったときにこの格納中のステップ板２が容易には展開せず安全に走行できれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。

【産業上の利用可能性】

【0041】

本発明の車両用格納型サイドステップは、自動車特にトラックのような車高の高い車両のサイドステップとして利用することができる。

【符号の説明】

【0042】

１ 車両用格納型サイドステップ
２ ステップ板
３ 枠体
４ 足乗せ部
６ ピン部
８ 連結片
１０ ロック機構
１０ａ ロック機構の第１係合部
１０ｂ ロック機構の第２係合部
１１ 縦枠
１２ 連結棒
１４ 長穴
１４ａ 長穴の直線部
１４ｂ 長穴の傾斜部
２１ 制御装置
２２ ロック機構センサ
２７ 駆動機構停止信号出力部
２８ 報知手段
３２ 駆動機構

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】