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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】フッ素化ヨウ素化有機化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07B 39/00 20060101AFI20221227BHJP
   C07C 69/63 20060101ALI20221227BHJP
   C07C 67/307 20060101ALI20221227BHJP
   C07C 23/10 20060101ALI20221227BHJP
   C07C 17/08 20060101ALI20221227BHJP
   C07C 22/08 20060101ALI20221227BHJP
   C07C 19/16 20060101ALI20221227BHJP
   C07C 31/36 20060101ALI20221227BHJP
   C07C 29/62 20060101ALI20221227BHJP
   C07C 69/65 20060101ALI20221227BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20221227BHJP
   C07C 17/02 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
C07B39/00 Z
C07C69/63
C07C67/307
C07C23/10
C07C17/08
C07C22/08
C07C19/16
C07C31/36
C07C29/62
C07C69/65
C07C21/18
C07C17/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021519410
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(86)【国際出願番号】 JP2020018688
(87)【国際公開番号】W WO2020230725
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2019090051
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019152109
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
(72)【発明者】
【氏名】北村 二雄
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第3830857(US,A)
【文献】特開昭52-68109(JP,A)
【文献】特開2002-363110(JP,A)
【文献】特開2002-363111(JP,A)
【文献】米国特許第3140320(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07B 39/00
C07C 69/63
C07C 67/307
C07C 23/10
C07C 17/08
C07C 22/08
C07C 19/16
C07C 31/36
C07C 29/62
C07C 69/65
C07C 21/18
C07C 17/02
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
(式中、
及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は有機基であるか、或いは
隣接する2個の炭素原子と一緒になって、環を形成していてもよく、
nは、1又は2であり、
記号:
【化2】
は、二重結合又は三重結合である。
但し、
前記記号が三重結合であるとき、nは1であり、
前記記号が二重結合であるとき、nは2であり、
2個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
2個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、或いは
2個のR、又は2個のRは、それぞれ隣接する炭素原子と一緒になって、環を形成していてもよい。)で表される化合物のフッ素及びヨウ素付加体を製造する方法であって、前記式(1)で表される化合物を、
(A)フッ化水素、フッ化水素塩、及びフッ化物塩から選択される少なくとも一種のフッ素源、
(B)ヨウ素、及びヨウ化物塩から選択される少なくとも一種のヨウ素源、並びに
(C)酸化剤、及びラジカル発生剤から選択される少なくとも一種の化合物
と反応させて、前記二重結合又は三重結合にフッ素及びヨウ素を付加する工程を含み、
前記化合物(C)が、過酸化物、金属酸化物、アゾ化合物、スルホニウム塩、及びヨードニウム塩から選択される少なくとも一種であり、
前記過酸化物が、
過酸化水素;
過ホウ酸、過炭酸、過リン酸、過硫酸、過マンガン酸、及びこれらの塩;
式:R COOOM
(式中、
は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、及び
Mは、水素原子、又は金属原子である。)
で表される化合物;
式:R OOM
(式中、
は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、及び
Mは、水素原子、又は金属原子である。)
で表される化合物;
式:R c1 OOR c2
(式中、
c1 及びR c2 は、独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、又はR c3 -CO-であり、R c3 は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
で表される化合物;及び
式:
【化3】
(式中、
d1 ~R d4 は、独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R d3 及びR d4 は、隣接する炭素原子と一緒になって、環を形成していてもよい。)で表される化合物
から選択される少なくとも一種であり、
前記金属酸化物が、クロム酸、二クロム酸、酸化タングステン、酸化ルテニウム、酸化アンチモン、及び酸化オスミウムから選択される少なくとも一種である、製造方法。
【請求項2】
前記フッ素源が、フッ化水素、フッ化水素アミン塩、及びアルカリ金属フッ化物塩から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記フッ素源の使用量が、前記式(1)で表される化合物1モルに対して、0.1~1000モルの範囲内である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ヨウ素源が、ヨウ素、及びアルカリ金属ヨウ化物塩から選択される少なくとも一種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ヨウ素源の使用量が、前記式(1)で表される化合物1モルに対して、0.1~10モルの範囲内である、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記化合物(C)が、過酸化物である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記化合物(C)が、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルキシド、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸水素カリウム-硫酸水素カリウム-硫酸カリウム混合物、過マンガン酸、ニクロム酸、酸化タングステン、酸化ルテニウム、酸化アンチモン、及び酸化オスミウムから選択される少なくとも一種である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記化合物(C)の使用量が、前記式(1)で表される化合物1モルに対して、0.1~10モルの範囲内である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記反応が、溶媒の存在下で行われる、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記溶媒が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、ニトリル、及び水から選択される少なくとも一種である、請求項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記溶媒が、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、及び水から選択される少なくとも一種である、請求項又は10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記反応が、IFの非存在下で行われる、請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記反応が、室温で1~36時間の範囲内で行われる、請求項1~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
及びRが、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であるか、或いはR及びRが、隣接する2個の炭素原子と一緒になって、環を形成していてもよい、請求項1~13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基の置換基が、ハロ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、及びアルコキシカルボニル基から選択される少なくとも一種であり、前記カルボキシル基の置換基が、ハロ基及びアルキル基から選択される少なくとも一種である、請求項14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フッ素化ヨウ素化有機化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素化ヨウ素化有機化合物は、機能性材料、医農薬化合物、電子材料等の各種化学製品、その中間体等として極めて重要な化合物である。
フッ素化ヨウ素化有機化合物の製造方法として、例えば、特許文献1には、有機化合物の炭素-炭素二重結合に、IF、ヨウ素、及び有機塩基の存在下、より強い酸性条件下にフッ素及びヨウ素を付加する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-363110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のフッ素源IFは高価であり、生産コストの点で改善の余地がある。
本開示は、フッ素化ヨウ素化有機化合物の新規な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、次の態様を含む。
項1.
式(1):
【化1】
(式中、
及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は有機基であるか、或いは
隣接する2個の炭素原子と一緒になって、環を形成していてもよく、
nは、1又は2であり、
記号:
【化2】
は、二重結合又は三重結合である。
但し、
前記記号が三重結合であるとき、nは1であり、
前記記号が二重結合であるとき、nは2であり、
2個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
2個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、或いは
2個のR、又は2個のRは、それぞれ隣接する炭素原子と一緒になって、環を形成していてもよい。)で表される化合物のフッ素及びヨウ素付加体を製造する方法であって、前記式(1)で表される化合物を、
(A)フッ化水素、フッ化水素塩、及びフッ化物塩から選択される少なくとも一種のフッ素源、
(B)ヨウ素、及びヨウ化物塩から選択される少なくとも一種のヨウ素源、並びに
(C)酸化剤、及びラジカル発生剤から選択される少なくとも一種の化合物
と反応させて、前記二重結合又は三重結合にフッ素及びヨウ素を付加する工程を含む製造方法。
項2.
前記フッ素源が、フッ化水素、フッ化水素アミン塩、及びアルカリ金属フッ化物塩から選択される少なくとも一種である、項1に記載の製造方法。
項3.
前記フッ素源の使用量が、前記式(1)で表される化合物1モルに対して、0.1~1000モルの範囲内である、項1又は2に記載の製造方法。
項4.
前記ヨウ素源が、ヨウ素、及びアルカリ金属ヨウ化物塩から選択される少なくとも一種である、項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
項5.
前記ヨウ素源の使用量が、前記式(1)で表される化合物1モルに対して、0.1~10モルの範囲内である、項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
項6.
前記化合物(C)が、過酸化物、金属酸化物、アゾ化合物、スルホニウム塩、及びヨードニウム塩から選択される少なくとも一種である、項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
項7.
前記化合物(C)が、過酸化物である、項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
項8.
前記過酸化物が、
過酸化水素;
過ホウ酸、過炭酸、過リン酸、過硫酸、過塩素酸、過マンガン酸、これらの塩;
式:RCOOOM
(式中、
は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、及び
Mは、水素原子、又は金属原子である。)
で表される化合物;
式:ROOM
(式中、
は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、及び
Mは、水素原子、又は金属原子である。)
で表される化合物;
式:Rc1OORc2
(式中、
c1及びRc2は、独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、又はRc3-CO-であり、Rc3は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
で表される化合物;及び
式:
【化3】
(式中、
d1~Rd4は、独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Rd3及びRd4は、隣接する炭素原子と一緒になって、環を形成していてもよい。)で表される化合物から選択される少なくとも一種である、項7に記載の製造方法。
項9.
前記化合物(C)が、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルキシド、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸水素カリウム-硫酸水素カリウム-硫酸カリウム混合物、過マンガン酸、ニクロム酸、酸化タングステン、酸化ルテニウム、酸化アンチモン、酸化オスミウム、及び三酸化硫黄から選択される少なくとも一種である、項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
項10.
前記化合物(C)の使用量が、前記式(1)で表される化合物1モルに対して、0.1~10モルの範囲内である、請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
項11.
前記反応が、溶媒の存在下で行われる、項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。項12.前記溶媒が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、ニトリル、及び水から選択される少なくとも一種である、項11に記載の製造方法。
項13.前記溶媒が、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、及び水から選択される少なくとも一種である、請求項11又は12に記載の製造方法。
項14.
前記反応が、IFの非存在下で行われる、請求項1~13のいずれか一項に記載の製造方法。
項15.
前記反応が、室温で1~36時間の範囲内で行われる、請求項1~14のいずれか一項に記載の製造方法。
項16.
及びRが、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であるか、或いはR及びRが、隣接する2個の炭素原子と一緒になって、環を形成していてもよい、項1~15のいずれか一項に記載の製造方法。
項17.
前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基の置換基が、ハロ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、及びアルコキシカルボニル基から選択される少なくとも一種であり、前記カルボキシル基の置換基が、ハロ基及びアルキル基から選択される少なくとも一種である、項16に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、フッ素化ヨウ素化有機化合物の新規な製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の前記概要は、本開示の各々の開示された実施形態または全ての実装を記述することを意図するものではない。
本開示の後記説明は、実例の実施形態をより具体的に例示する。
本開示のいくつかの箇所では、例示を通してガイダンスが提供され、及びこの例示は、様々な組み合わせにおいて使用できる。
それぞれの場合において、例示の群は、非排他的な、及び代表的な群として機能できる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられる。
【0008】
[用語]
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本開示が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10~40℃の範囲内の温度を意味することができる。
本明細書中、表記「Cn-」(ここで、n、及びmは、それぞれ、数である。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
本明細書中、語句「式(N)で表される化合物」(ここで、Nは、数である。)は、化合物(N)と称され得る。
【0009】
本明細書中、特に限定の無い限り、「ハロゲン原子」の例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を包含できる。
【0010】
本明細書中、「有機基」とは、1個以上の炭素原子を含有する基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
アルデヒド基、
カルボキシル基、
O-、
CO-、
COO-、
SO-、
OCO-、及び
OSO
(これらの式中、Rは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)
を包含できる。
【0011】
本明細書中、特に限定の無い限り、「炭化水素基」の例は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、及びこれらの組合せである基を包含できる。
【0012】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルキル基」の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C1-16アルキル基(例:C1-C14アルキル基、C1-C12アルキル基)を包含できる。
【0013】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルケニル基」の例は、ビニル、1-プロペン-1-イル、2-プロペン-1-イル、イソプロペニル、2-ブテン-1-イル、4-ペンテン-1-イル、及び5-へキセン-1-イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C2-C10アルケニル基を包含できる。
【0014】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルキニル基」の例は、エチニル、1-プロピン-1-イル、2-プロピン-1-イル、4-ペンチン-1-イル、5-へキシン-1-イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C2-C10アルキニル基を包含できる。
【0015】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルキル基」の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のC3-C7シクロアルキル基を包含できる。
【0016】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルケニル基」の例は、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等のC3-C7シクロアルケニル基を包含できる。
【0017】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルカジエニル基」の例は、シクロブタジエニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタジエニル、シクロノナジエニル、シクロデカジエニル等のC4-C10シクロアルカジエニル基を包含できる。
【0018】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」は、C6-C18アリール基であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」の例は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-ビフェニル、3-ビフェニル、4-ビフェニル、及び2-アンスリルを包含できる。
【0019】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アラルキル基」の例は、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル、2-ビフェニリルメチル、3-ビフェニリルメチル、及び4-ビフェニリルメチルを包含できる。
【0020】
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1~4個のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環基であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」は、飽和、又は不飽和であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」の例は、テトラヒドロフリル、オキサゾリジニル、イミダゾリニル(例:1-イミダゾリニル、2-イミダゾリニル、4-イミダゾリニル)、アジリジニル(例:1-アジリジニル、2-アジリジニル)、アゼチジニル(例:1-アゼチジニル、2-アゼチジニル)、ピロリジニル(例:1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル)、ピペリジニル(例:1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル)、アゼパニル(例:1-アゼパニル、2-アゼパニル、3-アゼパニル、4-アゼパニル)、アゾカニル(例:1-アゾカニル、2-アゾカニル、3-アゾカニル、4-アゾカニル)、ピペラジニル(例:1,4-ピペラジン-1-イル、1,4-ピペラジン-2-イル)、ジアゼピニル(例:1,4-ジアゼピン-1-イル、1,4-ジアゼピン-2-イル、1,4-ジアゼピン-5-イル、1,4-ジアゼピン-6-イル)、ジアゾカニル(例:1,4-ジアゾカン-1-イル、1,4-ジアゾカン-2-イル、1,4-ジアゾカン-5-イル、1,4-ジアゾカン-6-イル、1,5-ジアゾカン-1-イル、1,5-ジアゾカン-2-イル、1,5-ジアゾカン-3-イル)、テトラヒドロピラニル(例:テトラヒドロピラン-4-イル)、モルホリニル(例:4-モルホリニル)、チオモルホリニル(例:4-チオモルホリニル)、2-オキサゾリジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、及びジヒドロキノリル等を包含できる。
【0021】
本明細書中、特に限定の無い限り、「ヘテロアリール基」の例は、単環性芳香族複素環基(例:5又は6員の単環性芳香族複素環基)、及び芳香族縮合複素環基(例:5~18員の芳香族縮合複素環基)を包含できる。
【0022】
本明細書中、特に限定の無い限り、「5又は6員の単環性芳香族複素環基」の例は、ピロリル(例:1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、フリル(例:2-フリル、3-フリル)、チエニル(例:2-チエニル、3-チエニル)、ピラゾリル(例:1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、イミダゾリル(例:1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例:3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例:2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソチアゾリル(例:3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル)、チアゾリル(例:2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、トリアゾリル(例:1,2,3-トリアゾール-4-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル)、オキサジアゾリル(例:1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)、チアジアゾリル(例:1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル)、テトラゾリル、ピリジル(例:2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリダジニル(例:3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピリミジニル(例:2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、ピラジニル等を包含できる。
【0023】
本明細書中、特に限定の無い限り、「5~18員の芳香族縮合複素環基」の例は、イソインドリル(例:1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル)、インドリル(例:1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、ベンゾ[b]フラニル(例:2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[c]フラニル(例:1-ベンゾ[c]フラニル、4-ベンゾ[c]フラニル、5-ベンゾ[c]フラニル)、ベンゾ[b]チエニル、(例:2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル、7-ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[c]チエニル(例:1-ベンゾ[c]チエニル、4-ベンゾ[c]チエニル、5-ベンゾ[c]チエニル)、インダゾリル(例:1-インダゾリル、2-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例:1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル)、1,2-ベンゾイソオキサゾリル(例:1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-7-イル)、ベンゾオキサゾリル(例:2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル)、1,2-ベンゾイソチアゾリル(例:1,2-ベンゾイソチアゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-7-イル)、ベンゾチアゾリル(例:2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、イソキノリル(例:1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル)、キノリル(例:2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、8-キノリル)、シンノリニル(例:3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル)、フタラジニル(例:1-フタラジニル、4-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル、7-フタラジニル、8-フタラジニル)、キナゾリニル(例:2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル)、キノキサリニル(例:2-キノキサリニル、3-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、7-キノキサリニル、8-キノキサリニル)、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル(例:ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)、イミダゾ[1,2-a]ピリジル(例:イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-8-イル)等を包含できる。
【0024】
本明細書中、「RO-」の例は、アルコキシ(例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のC1-C10アルコキシ)、シクロアルコキシ(例:シクロペントキシ、シクロヘキソキシ等のC3-C7シクロアルコキシ)、アリールオキシ(例:フェノキシ、ナフトキシ等のC6-C18アリールオキシ)、及びアラルキルオキシ(例:ベンジルオキシ、フェネチルオキシ等のC7-C19アラルキルオキシ)を包含できる。
【0025】
本明細書中、「RCO-」の例は、アルキルカルボニル[例:アセチル、プロピオニル、ブチリル等の(C1-C10アルキル)カルボニル]、シクロアルキルカルボニル[例:シクロペンタノイル、シクロヘキサノイル等の(C3-C7シクロアルキル)カルボニル]、アリールカルボニル[例:ベンゾイル、ナフトイル等の(C6-C18アリール)カルボニル]、及びアラルキルカルボニル[例:ベンジルカルボニル、フェネチルカルボニル等の(C7-C19アラルキル)カルボニル]を包含できる。
【0026】
本明細書中、「RCOO-」の例は、アルキルカルボニルオキシ[例:アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ等の(C1-C10アルキル)カルボニルオキシ]、シクロアルキルカルボニルオキシ[例:シクロペンタノイル、シクロヘキサノイルオキシ等の(C3-C7シクロアルキル)カルボニルオキシ]、アリールカルボニルオキシ[例:ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等の(C6-C18アリール)カルボニルオキシ]、及びアラルキルカルボニルオキシ[例:ベンジルカルボニルオキシ、フェネチルカルボニルオキシ等の(C7-C19アラルキル)カルボニルオキシ]を包含できる。
【0027】
本明細書中、「RSO-」の例は、アルキルスルホニル(例:メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル等のC1-C10アルキルスルホニル)、シクロアルキルスルホニル(例:シクロペンチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル等のC4-C8シクロアルキルスルホニル)、アリールスルホニル(例:フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等のC6-C18アリールスルホニル)、及びアラルキルスルホニル(例:ベンジルスルホニル、フェネチルスルホニル等のC7-C19アラルキルスルホニル)を包含できる。
【0028】
本明細書中、「ROCO-」の例は、アルコキシカルボニル[例:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル等の(C1-C10アルコキシ)カルボニル]、シクロアルコキシカルボニル[例:シクロペントキシカルボニル、シクロヘキソキシカルボニル等の(C3-C7シクロアルコキシ)カルボニル]、アリールオキシカルボニル[例:フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル等の(C6-C18アリールオキシ)カルボニル]、及びアラルキルオキシカルボニル[例:ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル等の(C7-C19アラルキルオキシ)カルボニル]を包含できる。
【0029】
本明細書中、「ROSO-」の例は、アルコキシスルホニル(例:メトキシスルホニル、エトキシスルホニル、プロポキシスルホニル等のC1-C10アルコキシスルホニル)、シクロアルコキシスルホニル(例:シクロペントキシスルホニル、シクロヘキソキシスルホニル等のC3-C7シクロアルコキシスルホニル)、アリールオキシスルホニル(例:フェノキシスルホニル、ナフトキシスルホニル等のC6-C18アリールオキシスルホニル)、及びアラルキルオキシスルホニル(例:ベンジルオキシスルホニル、フェネチルオキシスルホニル等のC7-C19アラルキルオキシスルホニル)を包含できる。
【0030】
本明細書中、
「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基」、及び
「1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基」
における「置換基」の例は、それぞれ、ハロ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、チオキソ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、スルフェナモイル基、RO-、RCO-、RCOO-、RSO-、ROCO-、及びROSO-(これらの式中、Rは、前記と同意義である。)を包含できる。
当該置換基のうち、「ハロ基」の例は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、及びヨード基を包含できる。
当該置換基の数は、1個から置換可能な最大個数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
【0031】
[化合物(1)のフッ素及びヨウ素付加体の製造方法]
本開示の製造方法は、化合物(1)を、フッ素源(A)、ヨウ素源(B)、及び化合物(C)と反応させて、化合物(1)の二重結合又は三重結合にフッ素及びヨウ素を付加する工程を含む。
【0032】
反応基質:化合物(1)
化合物(1)において、
好ましくは、R及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であり、より好ましくは、R及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であり、更に好ましくは、R及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることができる。
【0033】
化合物(1)において、
及びRが、独立して、水素原子、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基であること、又は、
及びRが、独立して、水素原子、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることのいずれであっても好ましい。
【0034】
及びRがアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基である場合、これらに任意に置換する置換基の好適な例は、ハロ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、及びこれらの組合せを包含する。
及びRがカルボキシル基である場合、これに任意に置換する置換基の好適な例は、ハロ基、アルキル基、及びこれらの組合せを包含する。
【0035】
前記1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基は、例えば、置換基としてハロ基、アルコキシ基、カルボキシル基、又はこれらの組合せを有するアルキル基(例:トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基などのパーフルオロアルキル基、パーフルオロ(アルコキシアルキル)基、-CFOCFCFCOOHなどの-(CF)p1-O-(CF)p2-COOH(式中、p1及びp2は、独立して、1以上の整数である))を包含する。
【0036】
前記1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基は、例えば、置換基としてハロ基、アルコキシ基、カルボキシル基、又はこれらの組合せを有するアルコキシ基(例:トリフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロプロポキシ基、パーフルオロブトキシ基などのパーフルオロアルコキシ基、パーフルオロ(アルコキシアルコキシ)基、-OCFCFCOOHなどの-O-(CF)p3-COOH(式中、p3は1以上の整数である))を包含する。
【0037】
前記1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基は、例えば、ROCO-を包含し、その具体例としては、置換基としてアルキル基を有するカルボキシル基(例:メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基)が挙げられる。
【0038】
また、化合物(1)において、好ましくは、R及びRは、隣接する2個の炭素原子と一緒になって、環を形成することができる。環を形成するのは、通常、記号が二重結合であり、及びnが2である場合である。
当該環の例は、「シクロアルケニル基」で例示した基に対応するシクロアルケン環、及び「非芳香族複素環基」で例示した基のうち、炭素-炭素二重結合を有する基に対応する非芳香族複素環を包含する。
当該環は、1個以上の置換基を有していてもよい。
当該置換基の例は、炭化水素基、ハロ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、チオキソ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、スルフェナモイル基、RO-、RCO-、RCOO-、RSO-、ROCO-、及びROSO-(これらの式中、Rは、前記と同意義である。)を包含できる。
当該置換基の数は、1個から置換可能な最大個数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
【0039】
化合物(1)の好適な例は、式(1a):
【化4】
[式中、
11、R12、R21、及びR22は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は有機基であるか、R11及びR12、又はR21及びR22は、隣接する炭素原子と一緒になって、環を形成していてもよく、或いはR11及びR21、R11及びR22、R12及びR21、又はR12及びR22は、隣接する2個の炭素原子と一緒になって、環を形成していてもよく、記号:
【化5】
は、シス配置又はトランス配置を示す。]
で表される化合物、及び式(1b):
【化6】
[式中、
13及びR23は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は有機基である。]
で表される化合物を包含する。
【0040】
化合物(1a)の一実施態様において、
好ましくは、R11、R12、及びR21は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有してもよいアラルキル基であり、且つ、R22は、水素原子である。より好ましくは、R11、R12、及びR21は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、且つ、R22は、水素原子である。
【0041】
化合物(1a)の他の実施態様において、
好ましくは、R11及びR21は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有してもよいアラルキル基であり、且つ、R12及びR22は、水素原子であり、より好ましくは、R11及びR21は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有してもよいアラルキル基であり、且つ、R12及びR22は、水素原子であり、更に好ましくは、R11及びR21は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、且つ、R12及びR22は、水素原子である。
当該実施態様において、
11及びR12が、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基であり、且つ、R12及びR22が、水素原子であること、又はR11及びR12が、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、且つ、R12及びR22が、水素原子であることのいずれであっても好ましい。
【0042】
化合物(1a)の別の実施態様において、
好ましくは、R11は、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、且つ、R12、R21、及びR22は、水素原子であり、より好ましくは、R11は、水素原子、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基であり、且つ、R12、R21、及びR22は、水素原子である。
【0043】
11、R12、R21、及びR22における置換基の好適な例は、R及びRにおける置換基と同様である。
【0044】
前記1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基は、例えば、置換基としてハロ基、アルコキシ基、カルボキシル基、又はこれらの組合せを有するアルキル基(例:トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基などのパーフルオロアルキル基、パーフルオロ(アルコキシアルキル)基、-CFOCFCFCOOHなどの-(CF)p1-O-(CF)p2-COOH(式中、p1及びp2は、独立して、1以上の整数である))を包含する。
【0045】
前記1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基は、例えば、置換基としてハロ基、アルコキシ基、カルボキシル基、又はこれらの組合せを有するアルコキシ基(例:トリフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロプロポキシ基、パーフルオロブトキシ基などのパーフルオロアルコキシ基、パーフルオロ(アルコキシアルコキシ)基、-OCFCFCOOHなどの-O-(CF)p3-COOH(式中、p3は1以上の整数である))を包含する。
【0046】
前記1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基は、例えば、ROCO-を包含し、その具体例としては、置換基としてアルキル基を有するカルボキシル基(例:メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基)が挙げられる。
【0047】
また、化合物(1a)において、好ましくは、R11及びR21は、隣接する2個の炭素原子と一緒になって、環を形成しており、且つ、R12及びR22は、水素原子である。
当該環の例は、「シクロアルケニル基」で例示した基に対応するシクロアルケン環(例:シクロヘキセン環などのC5-C7シクロアルケン環)、及び「非芳香族複素環基」で例示した基のうち、炭素-炭素二重結合を有する基に対応する非芳香族複素環を包含する。
当該環は、1個以上の置換基を有していてもよい。
当該置換基の例は、炭化水素基、ハロ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、チオキソ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、スルフェナモイル基、RO-、RCO-、RCOO-、RSO-、ROCO-、及びROSO-(これらの式中、Rは、前記と同意義である。)を包含できる。
当該置換基の数は、1個から置換可能な最大個数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
【0048】
化合物(1a)の具体例は、オレフィン(例:ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン)、アルケノール(例:アリルアルコール、ブテノール、ペンテノール、ヘキセノール、ヘプテノール、オクテノール、ノネノール、デセノール、ウンデセノール、ドデセノール)、アルケン酸(例:アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸)又はそのエステル(例:メチルエステルなどのアルキルエステル)、フッ化オレフィン(例:フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン)、フルオロアルキルビニルエーテル(例:パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテルなどのパーフルオロアルキルビニルエーテル)、アリールオレフィン(例:スチレン、メチルスチレン、スチルベン、ジフェニルエチレン、トリフェニルエチレン、けい皮酸メチル、けい皮酸エチル、アリルベンゼン)、及びシクロオレフィン(例:シクロヘキセン)を包含する。
【0049】
化合物(1b)において、
好ましくは、R13及びR23は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有してもよいアラルキル基であり、より好ましくは、R13及びR23は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有してもよいアラルキル基であり、更に好ましくは、R13及びR23は、独立して、水素原子、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基である。
【0050】
13及びR23における置換基の好適な例は、R及びRにおける置換基と同様である。
【0051】
前記1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基は、例えば、置換基としてハロ基、アルコキシ基、カルボキシル基、又はこれらの組合せを有するアルキル基(例:トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基などのパーフルオロアルキル基、パーフルオロ(アルコキシアルキル)基、-CFOCFCFCOOHなどの-(CF)p1-O-(CF)p2-COOH(式中、p1及びp2は、独立して、1以上の整数である))を包含する。
【0052】
前記1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基は、例えば、置換基としてハロ基、アルコキシ基、カルボキシル基、又はこれらの組合せを有するアルコキシ基(例:トリフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロプロポキシ基、パーフルオロブトキシ基などのパーフルオロアルコキシ基、パーフルオロ(アルコキシアルコキシ)基、-OCFCFCOOHなどの-O-(CF)p3-COOH(式中、p3は1以上の整数である))を包含する。
【0053】
前記1個以上の置換基を有していてもよいカルボキシル基は、例えば、ROCO-を包含し、その具体例としては、置換基としてアルキル基を有するカルボキシル基(例:メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基)が挙げられる。
【0054】
フッ素源(A)
フッ素源(A)のうち、フッ化水素は、水溶液(フッ化水素酸)として用いることができる。当該水溶液は、例えば、フッ化水素濃度10~70重量%の水溶液であることができる。
【0055】
フッ素源(A)のうち、フッ化水素塩の例は、フッ化水素アミン塩、及びフッ化水素アンモニウム塩を包含する。
【0056】
フッ化水素アミン塩において、アミンは、鎖状アミン、又は環状アミンであることができる。
鎖状アミンの例は、脂肪族第1級アミン、脂肪族第2級アミン、及び脂肪族第3級アミンを包含する。
脂肪族第1級アミンの例は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン等のC1-C6アルキルアミンを包含する。
脂肪族第2級アミンの例は、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン等のジC1-C6アルキルアミンを包含する。
脂肪族第3級アミンの例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等のトリC1-C6アルキルアミンを包含する。
環状アミンの例は、脂肪族環状アミン、及び芳香族環状アミンを包含する。
脂肪族環状アミンの例は、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、N-メチルピペラジン、N-メチルピロリジン、5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン-5-エン、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを包含する。
芳香族環状アミンの例は、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、及びイミダゾールを包含する。
【0057】
フッ化水素アンモニウム塩の例は、フッ化水素アンモニウム(NHF・HF)、フッ化水素-テトラエチルアンモニウムフルオリド[EtNF・xHF(x=1~10)]、及びフッ化水素-テトラブチルアンモニウムフルオリド[BuNF・xHF(x=1~10)]を包含する。
【0058】
フッ化水素塩の好適な例は、フッ化水素アミン塩を包含し、その更に好適な例は、フッ化水素-トリエチルアミン塩[EtN・xHF(x=1~5)]、フッ化水素-ピリジン塩[Py・xHF(x=1~10)]を包含する。
【0059】
フッ素源(A)のうち、フッ化物塩の例は、式:Mm1(式中、Mは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属であり;及びm1は、1又は2である。)で表される化合物を包含する。
【0060】
は、
好適に、Li、Na、K、Ca、又はCsであることができ、
より好適に、Na、K、又はCaであることができ、及び
更に好適に、Kであることができる。
【0061】
フッ化物塩は、好適には、アルカリ金属フッ化物塩(Mがアルカリ金属であり、及びm1が1である化合物)であることができる。
【0062】
フッ素源(A)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0063】
フッ素源(A)の使用量は、例えば、化合物(1)1モルに対して、例えば0.1~1000モルの範囲内、好ましくは0.2~500モルの範囲内、より好ましくは0.3~100モルの範囲内、更に好ましくは0.4~50モルの範囲内、更により好ましくは0.5~10モルの範囲内であることができる。
【0064】
反応後の残余分のフッ素源(A)は、トラップして廃棄してもよいが、回収して再使用することが製造コストの観点から好ましい。反応後の残余分のトラップは、例えば、水、又はアルカリ水等で洗浄してもよい。
【0065】
ヨウ素源(B)
ヨウ素源(B)のうち、ヨウ化物塩の例は、テトラアルキルアンモニウムヨージド、及び式:Mm2(当該式中、Mは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属であり;及びm2は、1又は2である。)で表される化合物を包含する。
【0066】
テトラアルキルアンモニウムヨージドの例は、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、エチルトリメチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド等のテトラC1-C6アルキルアンモニウムヨージドを包含する。
【0067】
は、
好適に、Li、Na、K、Ca、又はCsであることができ、
より好適に、Na、K、又はCaであることができ、及び
更に好適に、Kであることができる。
【0068】
ヨウ素源(B)は、好適には、ヨウ素、及びアルカリ金属ヨウ化物(Mがアルカリ金属であり、及びm2が1である化合物)から選択される少なくとも一種であることができる。
【0069】
ヨウ素源(B)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0070】
ヨウ素源(B)の使用量は、例えば、化合物(1)1モルに対して、例えば0.1~10モルの範囲内、好ましくは0.2~9モルの範囲内、より好ましくは0.3~8モルの範囲内、更に好ましくは0.4~7モルの範囲内、更により好ましくは0.5~6モルの範囲内であることができる。
【0071】
反応後の残余分のヨウ素源(B)は、トラップして廃棄してもよいが、回収して再使用することが製造コストの観点から好ましい。反応後の残余分のトラップは、例えば、水、又はアルカリ水等で洗浄してもよい。
【0072】
化合物(C)
化合物(C)は、特に限定されるものではないが、例えば、
(i)過酸化物、
(ii)金属酸化物、
(iii)アゾ化合物、
(iv)スルホニウム塩、及び
(v)ヨードニウム塩
から選択される少なくとも一種であることができる。
【0073】
過酸化物(i)は、無機化酸化物、又は有機化酸化物であることができる。
無機過酸化物の例は、過酸化水素、並びに過ホウ酸、過炭酸、過リン酸、過硫酸、過塩素酸、過マンガン酸、及びこれらの塩(例:アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩)を包含する。なお、前記塩は、水和物であることができる。また、過硫酸塩には、過硫酸水素カリウム-硫酸水素カリウム-硫酸カリウム混合物が含まれる。
有機化酸化物の例は、
(i-a)式:RCOOOM
(式中、
は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、及び
Mは、水素原子、又は金属原子である。)
で表される化合物;
(i-b)式:ROOM
(式中、
は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、及び
Mは、水素原子、又は金属原子である。)
で表される化合物;
(i-c)式:Rc1OORc2
(式中、
c1及びRc2は、独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、又はRc3-CO-であり、Rc3は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
で表される化合物;及び
(i-d)式:
【化7】
(式中、
d1~Rd4は、独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Rd3及びRd4は、隣接する炭素原子と一緒になって、環を形成していてもよい。)で表される化合物を包含する。
【0074】
化合物(i-a)の例は、過ギ酸、過酢酸、トリフルオロ過酢酸、過プロピオン酸、過安息香酸、及びメタクロロ過安息香酸を包含する。
化合物(i-b)の例は、tert-ブチルヒドロペルオキシド等のアルキルヒドロペルオキシド、及びクメンヒドロペルキシド等のアラルキルヒドロペルオキシドを包含する。 化合物(i-c)の例は、ジ-tert-ブチルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等のジアラルキルペルオキシド、ジイソブチリルペルオキシド等のジ(アルキルカルボニル)ペルオキシド、及びジベンゾイルペルオキシド等のジ(アリールカルボニル)ペルオキシドを包含する。
化合物(i-d)の例は、2,2-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブタン等のジ(アルキルペルオキシ)アルカン、及び1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン等のジ(アルキルペルオキシ)シクロアルカンを包含する。
【0075】
金属酸化物(ii)の例は、クロム酸、ニクロム酸、酸化タングステン、酸化ルテニウム、酸化アンチモン、酸化オスミウム、及び三酸化硫黄を包含する。
【0076】
アゾ化合物(iii)の例は、アゾニトリル化合物、アゾエステル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物、及びアゾイミダゾリン化合物を包含できる。
アゾニトリル化合物の例は、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリル酸)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、及び1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)を包含する。
アゾエステル化合物の例は、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸メチル)、及び1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボン酸メチル)を包含する。
アゾアミド化合物の例は、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド]、及び2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]を包含する。
アゾアミジン化合物の例は、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)、及び2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミド]を包含する。
アゾイミダゾリン化合物の例は、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]を包含する。
【0077】
スルホニウム塩(iv)の例は、トリアリールスルホニウム塩を包含し、及びその好適な例は、トリフェニルスルホニウム塩、ジフェニル(4-メチルフェニル)スルホニウム塩、ジフェニル(2,4,6-トリメチルフェニル)スルホニウム塩、ジフェニル(4-メトキシフェニル)スルホニウム塩、トリス(4-メチルフェニル)スルホニウム塩、及びジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩を包含する。
【0078】
ヨードニウム塩(v)の例は、ビスアリールヨードニウム塩を包含し、及びその好適な例は、ジフェニルヨードニウム塩、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム塩、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム塩、及びビス[4-アルキル(C10~13)フェニル]ヨードニウム塩を包含する。
【0079】
スルホニウム塩(iv)又はヨードニウム塩(v)におけるアニオンは、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、テトラフルオロボロン酸イオン、テトラキスペンタフルオロフェニルボロン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、又はヘキサフルオロアンチモン酸イオンであることができる。
【0080】
化合物(C)の好適な例は、
過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルキシド、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸水素カリウム-硫酸水素カリウム-硫酸カリウム混合物、過マンガン酸、ニクロム酸、酸化タングステン、酸化ルテニウム、酸化アンチモン、酸化オスミウム、及び三酸化硫黄を包含する。
【0081】
化合物(C)の更に好適な例は、
過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルキシド、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸水素カリウム-硫酸水素カリウム-硫酸カリウム混合物を包含する。
【0082】
化合物(C)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0083】
化合物(C)の使用量は、例えば、化合物(1)1モルに対して、例えば0.1~10モルの範囲内、好ましくは0.1~8モルの範囲内、更に好ましくは0.1~5モルの範囲内、更により好ましくは0.1~3モルの範囲内であることができる。
【0084】
IF
前記工程の反応は、IFの存在下又は非存在下で実施できるが、IFの非存在下で実施することが好ましい。
【0085】
各成分は、工程Aの反応系に、一度に投入されてもよく、数回に分けて投入されてもよく、又は連続的に投入されてもよい。
【0086】
溶媒
前記工程の反応は、溶媒の存在下又は非存在下で実施できる。
当該溶媒は、非極性溶媒、又は極性溶媒のいずれでもよい。
当該溶媒は、エステル、ケトン、芳香族炭化水素、アルコール、エーテル、アミン、含窒素極性有機化合物、ニトリル、ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素、フッ素系溶剤、カーボネイト、又はその他の溶媒、或いはこれらの組合せであることができる。
【0087】
前記溶媒としてのエステルの例は、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを包含し、及びその好適な例は、酢酸エチルを包含する。
【0088】
前記溶媒としてのケトンの例は、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メチルヘキサノン、及びアセトフェノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールを包含し、及びその好適な例は、アセトンを包含する。
【0089】
前記溶媒としての芳香族炭化水素の例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼンを包含し、及びその好適な例は、ベンゼン、及びトルエンを包含する。
【0090】
前記溶媒としてのアルコールの例は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、及びヘキサントリオールを包含し、及びその好適な例は、メタノール、及びエタノールを包含する。
【0091】
前記溶媒としてのエーテルの例は、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;別名1-メトキシ-2-プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、及びアニソールを包含し、及びその好適な例は、ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフランを包含する。
【0092】
前記溶媒としてのアミンの例は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンを包含する。
【0093】
前記溶媒としての含窒素極性有機化合物の例は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、及び1,3―ジメチル-2-イミダゾリジノンを包含し、及びその好適な例は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN-メチル-2-ピロリドンを包含する。
【0094】
前記溶媒としてのニトリルの例は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、及びアジポニトリルを包含し、及びその好適な例はアセトニトリルを包含する。
【0095】
前記溶媒としてのハロゲン化炭化水素の例は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及びクロロトルエンを包含し、及びその好適な例はジクロロメタン、及びクロロホルムを包含する。
【0096】
前記溶媒としての脂肪族炭化水素の例は、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、及びミネラルスピリットを包含し、及びその好適な例はシクロヘキサン、ヘプタンを包含する。
【0097】
前記フッ素系溶剤の例は、パーフルオロベンゼン、トリフルオロトルエン、ジトリフルオロベンゼン、トリフルオロエタノールを包含し、及びその好適な例は、パーフルオロベンゼン、及びトリフルオロエタノールを包含する。
【0098】
前記溶媒としてのカーボネイトの例は、テトラリンジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートを包含し、及びその好適な例は、エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートを包含する。
【0099】
前記その他の溶媒の例は、酢酸、ピリジン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、及び水を包含する。
【0100】
溶媒は、好適には、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、ニトリル、及び水から選択される少なくとも一種であることができ、更に好適には、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、及び水から選択される少なくとも一種であることができ、より更に好適には、ハロゲン化炭化水素であることができる。
【0101】
溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0102】
溶媒の使用量は、例えば、
化合物(1)1質量部に対して、
通常、0~200質量部の範囲内、
好ましくは、0~100質量部の範囲内、及び
より好ましくは0~50質量部の範囲内
であることができる。
【0103】
温度及び時間
前記工程の温度は、
通常、-78~200℃の範囲内、
好ましくは、-10~100℃の範囲内、
より好ましくは、0~100℃の範囲内、及び
更に好ましくは、10~40℃の範囲内
であることができる。
【0104】
前記工程の時間は、
通常、0.1~72時間の範囲内
好ましくは、0.5~48時間の範囲内、及び
より好ましくは、1~36時間の範囲内
であることができる。
【0105】
生成物:化合物(1)のフッ素及びヨウ素付加体
このようにして化合物(1)のフッ素及びヨウ素付加体を得ることができる。
当該フッ素及びヨウ素付加体は、化合物(1)にフッ素及びヨウ素が1個ずつ付加したものを包含し、化合物(1)が化合物(1b)である場合には、化合物(1b)にフッ素及びヨウ素が2個ずつ付加したものも包含する。
【0106】
化合物(1)にフッ素及びヨウ素が1個ずつ付加したものは、式(2):
【化8】
(式中、
、R、及びnは、前記と同意義であり、
記号:
【化9】
は、単結合又は二重結合である。
但し、
前記記号が二重結合であるとき、nは1であり、
前記記号が単結合であるとき、nは2である。)
で表すことができる。
【0107】
化合物(2)の好適な例は、式(2a):
【化10】
(式中、
11、R12、R21、及びR22は、前記と同意義である。)
で表される化合物、及び式(2b):
【化11】
(式中、
13及びR23は、前記と同意義であり、
記号:
【化12】
は、シス配置又はトランス配置を示す。)
で表される化合物を包含する。
【0108】
前記のようにして得られた化合物(1)のフッ素及びヨウ素付加体は、所望により、濾過、抽出、溶解、濃縮、析出、脱水、吸着、又はクロマトグラフィー等の慣用の方法、或いはこれらの組合せにより、単離、又は精製することができる。
【実施例
【0109】
以下、実施例によって本開示の一実施態様を更に詳細に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0110】
[実施例1]
ヨウ素(1mmol)、ジクロロメタンを加え、そこにHF/Py錯体(HF30mmol分)を加えた。その後、過硫酸カリウム(1mmol)、methyl 10-undecenoate(1mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。反応後、クエンチ、分液およびシリカゲルカラム精製にて目的物としてmethyl 10-fluoro-11-iodoundecanoateを収率70%で得た。
【0111】
[実施例2]
methyl 10-undecenoateをcyclohexeneに変更した以外実施例1と同様の操作を行うことで目的物として1-fluoro-2-iodocyclohexaneを収率30%で得た。
【0112】
[実施例3]
methyl 10-undecenoateをtrans-stilbeneに変更した以外実施例1と同様の操作を行うことで目的物として(1-fluoro-2-iodoethane-1,2-diyl)dibenzeneを収率21%で得た。
【0113】
[実施例4]
methyl 10-undecenoateを1-dodeceneに変更した以外実施例1と同様の操作を行うことで目的物として2-fluoro-1-iodododecaneを収率73%で得た。
【0114】
[実施例5]
methyl 10-undecenoateを1-octeneに変更した以外実施例1と同様の操作を行うことで目的物として2-fluoro-1-iodooctaneを収率57%で得た。
【0115】
[実施例6]
methyl 10-undecenoateを10-undecen-1-olに変更した以外実施例1と同様の操作を行うことで目的物として10-fluoro-11-iodoundecan-1-olを収率13%で得た。
【0116】
[実施例7]
methyl 10-undecenoateをtriphenylethyleneに変更した以外実施例1と同様の操作を行うことで目的物として1-fluoro-2-iodo-1,1,2-triphenylethaneを収率63%で得た。
【0117】
[実施例8]
methyl 10-undecenoateをethyl cinnamateに変更した以外実施例1と同様の操作を行うことで目的物としてethyl 3-fluoro-2-iodo-3-phenylpropanoateを収率53%で得た。
【0118】
[実施例9]
methyl 10-undecenoateをallylbenzeneに変更した以外実施例1と同様の操作を行うことで目的物として(2-fluoro-3-iodopropyl)benzeneを収率50%で得た。
【0119】
[実施例10]
ヨウ素(0.5mmol)、酢酸エチルを加え、そこにHF/Py錯体(HF30mmol分)を加えた。その後、過硫酸カリウム(2mmol)、methyl 10-undecenoate(1mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。反応後、クエンチ、分液およびシリカゲルカラム精製にて目的物としてmethyl 10-fluoro-11-iodoundecanoateを収率9%で得た。
【0120】
[実施例11]
酢酸エチルをアセトニトリルに変更した以外実施例10と同様の操作を行い、目的物のmethyl 10-fluoro-11-iodoundecanoateを収率9%で得た。
【0121】
[実施例12]
酢酸エチルをジエチルエーテルに変更した以外実施例10と同様の操作を行い、目的物のmethyl 10-fluoro-11-iodoundecanoateを収率11%で得た。
【0122】
[実施例13]
酢酸エチルをヘキサンに変更した以外実施例10と同様の操作を行い、目的物のmethyl 10-fluoro-11-iodoundecanoateを収率26%で得た。
【0123】
[実施例14]
酢酸エチルをトルエンに変更した以外実施例10と同様の操作を行い、目的物のmethyl 10-fluoro-11-iodoundecanoateを収率4%で得た。
【0124】
[実施例15]
酢酸エチルをジクロロメタンに変更した以外実施例10と同様の操作を行い、目的物のmethyl 10-fluoro-11-iodoundecanoateを収率40%で得た。
【0125】
[実施例16]
過硫酸カリウム(2mmol)をOxone(過硫酸水素カリウム-硫酸水素カリウム-硫酸カリウム混合物)(0.5mmol)に変更した以外実施例15と同様の操作を行い、目的物のmethyl 10-fluoro-11-iodoundecanoateを収率49%で得た。
【0126】
[実施例17]
過硫酸カリウム(2mmol)をmCPBA(メタクロロ過安息香酸)(0.5mmol)に変更した以外実施例15と同様の操作を行い、目的物のmethyl 10-fluoro-11-iodoundecanoateを収率47%で得た。
【0127】
[実施例18]
過硫酸カリウム(2mmol)をNaBO3・4H2O(0.5mmol)に変更した以外実施例15と同様の操作を行い、目的物のmethyl 10-fluoro-11-iodoundecanoateを収率32%で得た。
【0128】
[実施例19]
過硫酸カリウム(2mmol)を30%H2O2(1.0mmol)に変更した以外実施例15と同様の操作を行い、目的物のmethyl 10-fluoro-11-iodoundecanoateを収率48%で得た。
【0129】
[実施例20]
methyl 10-undecenoateをethene-1,1-diyldibenzeneに変更した以外実施例1と同様の操作を行うことで目的物として(1-fluoro-2-iodoethane-1,1-diyl)dibenzeneを収率37%で得た。
【0130】
[実施例21]
methyl 10-undecenoateをoctyl acrylateに変更した以外実施例1と同様の操作を行うことで目的物としてoctyl 3-fluoro-2-iodopropanoateを収率39%で得た。
【0131】
[実施例22]
ヨウ素(1mmol)、ジクロロエタンを加え、そこにHF/Py錯体(HF30mmol分)を加えた。その後、過硫酸ナトリウム(1mmol)、methyl cinnamate (1mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。反応後、クエンチ、分液およびシリカゲルカラム精製にて目的物としてethyl 3-fluoro-2-iodo-3-phenylpropanoateを収率75%で得た。
【0132】
[実施例23]
ヨウ素(1mmol)、ジクロロメタンを加え、そこにHF/Py錯体(HF30mmol分)を加えた。その後、過硫酸カリウム(1mmol)、1-dodecyne (1mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。反応後、クエンチ、分液およびシリカゲルカラム精製にて目的物として2-fluoro-1-iodododec-1-eneを収率16%および2,2-difluoro-1,1-diiodododecaneを収率26%で得た。