(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】濾液の除去を容易にする装置を組み込んだフィルタバッグ
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20221227BHJP
B01D 29/00 20060101ALI20221227BHJP
B65D 30/22 20060101ALI20221227BHJP
C12M 1/26 20060101ALI20221227BHJP
C12M 3/06 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
G01N1/10 B
B01D23/02 A
B65D30/22 J
C12M1/26
C12M3/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018127508
(22)【出願日】2018-07-04
【審査請求日】2021-06-22
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514289975
【氏名又は名称】インターサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャランク,エマニュエル
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-300245(JP,A)
【文献】国際公開第2017/019345(WO,A1)
【文献】特開平02-176462(JP,A)
【文献】国際公開第01/013818(WO,A1)
【文献】特表2016-531051(JP,A)
【文献】特表2017-515498(JP,A)
【文献】実開昭62-006248(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
B01D 29/00
B65D 30/22
C12M 1/26
C12M 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタバッグ(1)であって,
- 底部(6)と,
- 開口部(5)と,
- 前記フィルタバッグの内部容積を区切り,前記フィルタバッグの前記底部と前記開口部との間に延びる壁(4)と,
- 前記底部から前記開口部に向かって延び,内部容積を2つの区画に分離するフィルタ(2)を備え,
前記2つの区画は,
試料を受容するように構成された試料受容区画(11)と,
濾液を受容するように構成された濾液収集区画(12)
であり,
前記フィルタバッグは2つの状態:
- 前記壁を通過して濾液収集室に収容されたオリフィス(13)と,
- ・前記オリフィスによって前記フィルタバッグの外側から前記濾液との接触が遮断される閉鎖状態と,
・前記フィルタバッグの外側から前記オリフィスを通って前記濾液との接触が許容される開放状態とを可能にする閉鎖システム(14)
をさらに備え
,
前記閉鎖システム(14)はストリップから成るタブを備え,前記タブは,
- ・閉鎖システムが閉鎖状態にあるとき,前記オリフィスを密封するために,
・閉鎖システムが開放状態にあるとき,前記オリフィスの障害を無くすために
配置される可動部(15)と:
- 壁(4)に不可逆的に固定された固定部(16)と
を備え,
前記タブの可動部(15)は,前記閉鎖システム(14)が閉鎖状態にあるとき,前記オリフィス(13)が収容されている前記壁(4)の1つ以上の可逆固定領域に粘着性により可逆的に固定されるように構成された1つ以上の可逆固定領域を含み,前記オリフィスが収容された前記壁のそのような前記可逆固定領域は,前記オリフィスの周囲にあることを特徴とするフィルタバッグ。
【請求項2】
前記閉鎖システム(14)が開放状態にあるとき,前記閉鎖システムタブの可動部が,
- 前記オリフィスから離れ,かつ
- 前記オリフィスへのアクセスを開放状態に維持するように遠隔位置を維持するよう構成されている請求項
1記載のフィルタバッグ(1)。
【請求項3】
前記閉鎖システム(14)が開放状態にあるとき,前記閉鎖システムの前記可動部(15)の1つ以上の可逆固定領域は,前記1つ以上の可逆固定領域又は前記オリフィス(13)が収容されている前記壁(4)に固定されていない請求項
1又は
2記載のフィルタバッグ(1)。
【請求項4】
前記閉鎖システム(14)の前記タブの前記固定部(16)は,前記オリフィス(13)が収容されている前記壁(4)の1つ以上の不可逆固定領域に不可逆的に固定された1つ以上の不可逆固定領域を含む請求項
1~
3いずれか1項記載のフィルタバッグ(1)
【請求項5】
前記オリフィス(13)を収容する前記壁(4)の前記1つ以上の不可逆固定領域が,前記オリフィス(13)と前記フィルタバッグ(1)の底部(6)との間に位置する請求項
4記載のフィルタバッグ(1)。
【請求項6】
前記閉鎖システム(14)の前記タブが,主に前記フィルタバッグ(1)の前記開口部(5)を前記フィルタバッグ(1)の前記底部(6)に接続する方向に延びる,請求項
1~
5いずれか1項記載のフィルタバッグ(1)。
【請求項7】
前記閉鎖システム(14)の前記タブの前記可動部(15)と固定部(16)との間の分離境界(20,22)が湾曲している,請求項
1~
6いずれか1項記載のフィルタバッグ。
【請求項8】
閉鎖システム(14)の前記タブの可動部(15)と固定部(16)との間の分離境界(20,22)は,前記閉鎖システム(14)の前記タブの可動部(15)の側方に主に延びる凸部を含み,前記凸部は,前記閉鎖システムの前記タブの固定部(16)から前記閉鎖システム(14)の前記タブの前記可動部への凸形状のパターンで形成される請求項
7記載のフィルタバッグ(1)。
【請求項9】
前記閉鎖システムタブ(14)の1つ以上の前記可逆的締結領域が接着性のものである,請求項
1~
8いずれか1
項記載のフィルタバッグ(1)。
【請求項10】
前記フィルタ(2)が280ミクロンのカットオフ閾値を有する請求項1~9いずれか1項記載のフィルタバッグ(1)。
【請求項11】
前記タブがポリエステルから成る請求項1~10いずれか1項記載のフィルタバッグ(1)。
【請求項12】
前記壁(4)が,前記閉鎖システム(14)が開放位置にあるとき前記フィルタバッグ(1)内の液体による前記フィルタバッグ(1)の外部への脱濡を誘発しない最大レベル(29)の目盛り(28)を有する請求項1~11いずれか1項記載のフィルタバッグ(1)。
【請求項13】
前記開口(5)側で前記バッグ(1)の一部に可逆的に固定され,前記フィルタバッグの前記底部に向かって折り畳まれるように配置される,「ネック部」と称する締結システム(17)を含み,
前記締結システムは,2つの状態;
- 開口部によるバッグの外側からの内部容積への接触が遮断される閉鎖状態,
- 開口部によってバッグの外側から内部容積への接触が許容される開放状態
を可能にする請求項1~12いずれか1項記載のフィルタバッグ(1)。
【請求項14】
前記締結システム(17)はタブを含み,前記タブは,
- 前記壁(4)の不可逆固定領域の1つ以上に不可逆的な手段で固定された固定部(19)と,
- 可動部(18)とを有し,前記可動部(18)は:
・前記締結システムが開放状態にあるとき,
・前記締結システムの前記タブの固定部が固定されている前記壁の不可逆固定領域に隣接する1つ以上の可逆固定領域に可逆的に固定される;又は
・前記締結システムの前記タブの前記固定部に向かって折り畳まれ,
・前記締結システムが閉鎖状態にあるとき,前記締結システムは,「ネック部」(26)の壁(3)の可逆締結領域の1つ以上に可逆的に固定される
ように配置される請求項13記載のフィルタバッグ(1)。
【請求項15】
前記オリフィス(13)は,
・前記バッグが受容するように構成された最大液体レベル(29)と,
・前記締結システム(17)の前記タブの不可逆的締結領域,又は前記バッグの前記底部に最も近くに位置する前記締結システムの前記タブの前記不可逆固定領域の1つとの間に位置し,
- 前記締結システムの前記タブの前記可逆的締結領域は,
・前記バッグ内の前記オリフィス,と
・前記バッグの開口部(5)との間に位置する
請求項14記載のフィルタバッグ(1)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は,分析のためのサンプリング及び試料調製の分野に関し,より詳細には,固体試料からの濾液の調製及び回収に関する。固体試料は,繊維状,非均一,不溶性であり得る。濾液は粘性又はペースト状であり得て,かつ,濾液の分析は特に微生物学的である。
【0002】
本発明は,固体試料からの濾液の調製のために使用され得るフィルタバッグに関する。
【0003】
フィルタバッグは,特に,分析される試料が固体であり,溶解性が低く,かつ/又は操作が困難であり,かつ/又は病原性がある可能性がある場合,及び/又は汚染されてはならない「現場試料」である場合に使用される。
【0004】
一般に,微生物学的分析プロセスでは,試料を液体形態で分析する必要がある。大部分のフィルタバッグは,フィルタによって分離された2つの区画を有し,一方の区画は固体試料を受容するように意図され,他方は濾液を受容するように意図されている。液体,例えば生理学的又は培養培地がバッグ内に置かれる。その区画では,試料は液体と接触している。使用される液体の量は,しばしば低く,バッグの底部でわずかな体積しか表さない。内容物を撹拌して,断片の懸濁及び/又は液体中の固体試料の可溶化を促進することができる。次いで,濾液の全部又は一部を分析のために採取する。
【0005】
オペレータによるフィルタバッグ内の濾液のサンプリング段階は,しばしば,ヒュームフード又は微生物学的安全ステーションなどの安全な場所で実施されるため,複雑である。さらに,オペレータが片手でバッグを保持し,他方では濾液除去装置を保持するので,このサンプリング工程は細心の注意を要する。いくつかの場合,この段階は,濾液が病原性物質を潜在的に含むなど,さらに重要である。
【0006】
サンプリング装置を備えていないフィルタバッグの従来技術は周知である。これらの標準的なサンプリング装置では,濾液のサンプリングは実現不可能である。実際には,サンプリング装置との接触によって濾液が汚染される危険性無しに,標準的なサンプリング装置を介して濾液に接触することはできず,逆も同様である。サンプリングシステムを備えたフィルタバッグも既に存在するが,サンプリング前又はサンプリングと同時にサンプリングシステムを複雑に操作する必要がある。
【0007】
本発明の目的の1つは,前述の欠点を少なくとも部分的に克服するためのフィルタバッグを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は,バッグの取り扱い中又は貯蔵中に濾液の漏出又は脱濡を防止するための安全機能を備えたフィルタバッグを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は,特にバッグが少量の濾液しか含まない場合に,濾液を簡単かつ直接的に集めることを可能にするフィルタバッグを提供することである。
【0010】
さらなる目的は,各試料間でフィルタバッグを気密に密閉しながら,ろ過部分のいくつかの連続した試料を採取することを可能にするフィルタバッグを提供することである。
【0011】
上記で概説した目的のために,そして本発明の第1の態様によれば,以下の特徴を有するフィルタバッグは:
- 底部と,
- 開口部と,
- バッグの内部容積を区切り,バッグの底部と開口部との間に延びる壁と,
- 底部から開口部に向かって延び,内部容積を2つの区画に分離するフィルタと
を備え,
前記2つの区画は,
試料を受容するように構成された試料受容区画と,
濾液を受容するように配置された濾液収集区画から成る。
【0012】
本発明によれば,フィルタバッグはまた,
前記壁を通過して前記濾液収集室に収容されたオリフィスと,
- 2つの状態:
・オリフィスによってバッグの外側から濾液に接触することが遮断される閉鎖状態と,
・バッグの外側からオリフィスを通って濾液への接触が許容される開放状態
とを可能にする閉鎖システムとを備える。
【0013】
フィルタはストリップの形態であってもよい。
【0014】
フィルタは,濾過膜タイプであってもよい。
【0015】
フィルタは,開口部を介して収容区画内に試料を導入することができるように構成されている。
【0016】
試料収容区画の容積は,採取区画内の濾液の容積より大きくてもよい。
【0017】
オリフィスのサイズは,2~40mmの間で変化することができるが,理想的には8~20mmである。
【0018】
閉鎖システムは,閉鎖状態から開放状態に,又はその逆になるように構成される。
【0019】
閉鎖システムは,タブを備えてもよく,前記タブは,
- ・閉鎖システムが閉鎖状態にあるとき,オリフィスを密封するために,
・閉鎖システムが開放状態にあるとき,オリフィスの障害を無くすために,配置される可動部と:
- 壁に固定された固定部とから成る。
【0020】
閉鎖システムが閉鎖状態にあるとき,閉鎖システムのタブの可動部は,オリフィス用の気密シールを提供することができる。
【0021】
閉鎖システムのタブの可動部は,バッグに対して可動であってもよい。
【0022】
閉鎖システムが閉鎖状態にあるとき,閉鎖システムのタブの可動部は,オリフィスを覆うことができる。
【0023】
固定部の表面は,可動部の表面よりも小さくてもよい。
【0024】
閉鎖システムが開放状態にあるとき,閉鎖システムタブの可動部は,
- オリフィスから離れ,かつ
- オリフィスへのアクセスを開放状態に維持するように遠隔位置を維持する。
【0025】
閉鎖システムタブの可動部は,オリフィスが収容されている壁の1つ以上の可逆固定領域に可逆的に固定されるように構成された1つ以上の可逆固定領域を含むことができ,前記オリフィスが収容された前記壁の1つ以上の可逆固定領域は,オリフィスの周囲に配置される。
【0026】
オリフィスが収容され得る壁の1つ以上の可逆固定領域は,閉鎖システムのタブの可動部の1つ以上の可逆固定領域と相補的であり得る。
【0027】
オリフィスの周囲に位置する壁の部分は,可逆固定領域を欠いていてもよい。
【0028】
閉鎖システムが閉鎖状態にあるとき,閉鎖システムタブの可動部の1つ以上の可逆固定領域は,可逆的な態様で,オリフィスが収容されている壁の可逆固定領域に固定されてもよい。
【0029】
閉鎖システムがその開放状態にあるとき,閉鎖システムタブの可動部の1つ以上の可逆固定領域は,オリフィスが収容されている壁の1つ以上の可逆固定領域に固定されていなくてもよい。
【0030】
「固定されていない」という用語は,分離されているか,又は非閉塞性であるか,又は隔離されていると解釈され得る。
【0031】
閉鎖システムタブの固定部は,オリフィスが収容されている壁の1つ以上の不可逆固定領域に不可逆的に固定された1つ以上の不可逆固定領域を含むことができる。
【0032】
オリフィスが収容され得る壁の1つ以上の不可逆固定領域は,閉鎖システムのタブの可動部の1つ以上の非可逆固定領域と相補的であり得る。
【0033】
オリフィスの周辺に位置する壁の一部は,不可逆固定領域を含むことができる。
【0034】
オリフィスが収容され得る壁の不可逆固定領域は,オリフィスとフィルタバッグの底部との間に位置し得る。
【0035】
閉鎖システムタブは,主に,バッグの開口部をバッグの底部に接続する方向に延びることができる。
【0036】
閉鎖システムのタブは,主に長方形であってもよい。
【0037】
閉鎖システムのタブは,主に長方形の形状を有してもよく,主に,バッグの開口部をバッグの底部に接続する方向に延びることができる。
【0038】
本発明によれば,閉鎖システムタブの可動部と固定部との間の分離境界が湾曲していてもよい。
【0039】
「分離境界」という用語は,界面又は分離領域又は界面として解釈してよい。
【0040】
用語「湾曲した」は,非直線的であると解釈することができる。
【0041】
分離境界は不連続であってもよい。
【0042】
閉鎖システムタブの可動部と固定部との間の分離境界は,閉鎖システムのタブの可動部の側方に主に延びる凸部を含むことができ,上記凸部は,閉鎖システムタブの固定部から閉鎖システムタブの可動部への凸形状のパターンで形成され得る。
【0043】
閉鎖システムタブの可動部と固定部との間の分離境界は,主に直線部分によって分離された凸部を含むことができる。
【0044】
閉鎖システムタブの可動部と固定部との間の分離境界が直線部分を含む場合,可動部と固定部との間の分離境界を支配的に拡大する方向の凸部の長さは,閉鎖システムタブの可動部と固定部との間の分離境界を主に伸びる上記方向の直線部分の長さより大きくてもよい。
【0045】
閉鎖システムタブの可動部と固定部との間の分離境界の凸部は,ほぼ円形の形状を有することができる。
【0046】
閉鎖システムタブの1つ又は複数の可逆固定領域は,粘着性のものであってもよい。
【0047】
オリフィスが収容されている壁の1つ又は複数の可逆固定領域が閉鎖システムタブの可動部の1つ又は複数の反転可能な固定領域と相補的である場合,例えば,ジップクロージャー(closure)として一般に知られている係止可能なラッククロージャー,又はベルクロタイプのクロージャーであってもよい。
【0048】
本発明によれば,バッグは,開口側でバッグの一部に可逆的に固定され,バッグの底部に向かって折り畳まれるように配置される締結システムを含むことができ,「ネック部」と呼ばれ,
前記締結システムは,
- 開口部によるバッグの外側からの内部容積への接触が遮断される閉鎖状態と,
- 開口部によってバッグの外側から内部容積への接触が許容される開放状態の
2つの状態を可能にする。
【0049】
締結システムが固定されているバッグの部分は,好ましくは,オリフィスが収容されている壁の側に配置されていてもよい。
【0050】
締結システムは,タブを含むことができ,前記タブは,
- 壁の不可逆固定領域の1つ以上に不可逆的な手段で固定された固定部と,
- 可動部とを有し,前記可動部は,
・締結システムが開放状態にあるとき,
・締結システムタブの固定部が固定されている前記壁の不可逆的締結領域に隣接する1つ以上の可逆的締結領域に可逆的に固定する,又は
・締結システムタブの固定部の方向に折り畳まれ,
・締結システムが閉鎖状態にあるとき,折り畳まれた部分の壁の1つ以上の可逆締結領域に可逆的に締結する。
【0051】
固定部が固定される1つ以上の不可逆締結領域を含む壁は,好ましくは,オリフィスと同じ側に配置されてもよい。
【0052】
締結システムがその開放状態にあるとき,締結システムタブの可動部は,
- 締結システムタブの固定部に向かって折り畳まれ,
- 折り畳まれた位置に留まる
ように配置されてもよい。
【0053】
締結システムタブの可動部は,可逆的に固定されるように構成された1つ又は複数の可逆的締結領域を含むことができる:すなわち,
- 前記固定部が固定されている前記壁の不可逆締結領域に隣接する1つ以上の可逆的締結領域のいずれかに,
- 又は折り畳まれた部分の壁の可逆領域の1つ又は複数に固定されるよう配置される。
【0054】
締結システムタブの可動部の1つ以上の可逆的締結領域は,
- 固定部が締結システムタブに固定されている壁の不可逆締結領域に隣接する1つ以上の可逆締結領域,又は
- 折り畳まれた部分の壁の1つ又は複数の締結領域又は可逆領域に相補的であってもよい。
【0055】
締結システムがその開放状態にあるとき,締結システムタブの可動部の1つ又は複数の可逆締結領域は,タブの固定部が固定されている壁の不可逆固定領域(複数可)に可逆的な方法で,隣接する可逆固定領域に固定されてもよい。
【0056】
締結システムがその開放状態にあるとき,締結システムタブの可動部の可逆締結領域は,折畳み部分の壁の可逆締結領域に固定しなくともよい。
【0057】
締結システムがその閉鎖状態にあるとき,締結システムタブの可動部の可逆締結領域は,折畳み部分の壁の可逆領域に可逆的に固定されてもよい。
【0058】
締結システムタブの固定部は,壁の1つ以上の締結領域に固定された1つ以上の不可逆締結領域を含むことができる。
【0059】
締結システムタブは,主にバッグの開口部をバッグの底部に接続する方向に延ばすことができる。
【0060】
締結システムタブの可動部と固定部との間の分離境界は湾曲していてもよい。
【0061】
締結システムタブの可動部と固定部との間の分離境界は,締結システムタブの可動部の側部に主に延びる凸部を含むことができ,前記凸部は,締結システムタブの固定部から締結システムタブの可動部までの凸状のパターンによって形成されてもよい。
【0062】
締結システムタブの可逆固定領域は,接着剤タイプのものであってもよい。
【0063】
締結システムの可逆的締結領域が接着性のものである場合,
- 折り畳まれた部分の壁からの可逆的な締結領域は,折り畳まれた部分の壁のどの部分に配置されてもよく;及び
- 締結システムタブの固定部が固定される壁の不可逆的締結領域に連続する可逆的締結領域は,壁に沿った任意の位置にあってもよく,壁に沿って,締結システムタブは固定されてもよい。
【0064】
締結システムタブの可動部の可逆固定領域が,タブの固定部が固定された壁の不可逆固定領域に隣接する可逆固定領域に相補的であるとき;
閉鎖システムは,例えば,ジップクロージャー又はベルクロタイプのものとして一般に知られている係止可能なラッククロージャーであってもよい。
【0065】
厳密に同じ方法で:
- 締結システムタブの固定部は,折り曲げ部分の壁の不可逆締結領域の1つ以上の領域に固定することができ,
- 締結システムの可動部は,
・締結システムが開放状態にあるとき,
・締結システムタブの固定部が固定されている前記折り畳まれた部分の前記壁の不可逆的締結領域に隣接する1つ以上の可逆的締結領域に可逆的に固定することができる ,又は
・締結システムタブの固定部に向かって折り畳むことができ,
・締結システムが閉鎖状態にあるとき,フィルタバッグ壁の1つ又は複数の可逆的締結領域に可逆的に固定されてもよい。
【0066】
本発明によれば,オリフィスは,
- バッグが受容するように構成された最大液体レベルと,
- 締結システムタブの不可逆締結領域,又はバッグの底部に最も近い位置にある締結システムタブの不可逆締結領域の1つとの間に位置する。
【0067】
本発明によれば,締結システムタブの可逆的締結領域は,
- バッグ内のオリフィスと,
- バッグの開口部との間に位置してもよい。
【0068】
本発明によれば,
- オリフィスは,
・バッグが受容できる最大液体レベルと,
・締結システムタブの不可逆固定領域,又は,バッグの底部に最も近くに位置する締結システムタブの不可逆固定領域の1つとの間に位置し,
- 締結システムタブの可逆的締結領域は,
・バッグ内のオリフィスと,
・バッグの開口部との間に位置してもよい。
【0069】
オリフィスは,好ましくは,バッグの底部と同じ側に位置するバッグの半分に配置されるべきである。
【0070】
本発明の他の利点及び特徴は,以下の添付図面を含むがこれに限定されない,それらの開発及び実施の詳細な説明に示される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】本発明によるフィルタバッグの正面の概略図。
【
図2】本発明によるバッグの正面の概略図であり,開口部の側に位置する上部がオリフィスによって壁に対して折り畳まれている。
【
図3】本発明による閉鎖システムの側面からの概略図。
【
図4】本発明による締結システムの側面からの概略図。
【0072】
以下に説明する実施方法は決して限定的ではない。例えば,説明された特性の選択のみを含む本発明の変形例は,(この選択が他の特性を含む文の中で分離されていても)記載された他の特性から分離されていると考えることができる。この特性の選択が,技術的利点を与えるために,又は本発明を従来技術と区別するのに十分である場合,この選択は,少なくとも1つの特性,好ましくは構造的詳細を含まない機能,又はこの部分のみが技術的優位性を付与するのに十分である場合又は本発明を従来技術と区別するのに十分な場合には構造的詳細の一部のみを含む。
【0073】
図1は,フィルタバッグ(1)を示す。このバッグは,フィルタバッグ(1)の開口部(5)と底部(6)との間で上から下に伸び,かつ,内部側縁部(7)の間を横方向に延びる2つの壁(3,4)を有するポリエチレン製である。
【0074】
提示された設計方法に依存して,内部側縁部(7)は主に互いに平行である。
【0075】
フィルタバッグ(1)は,2枚のポリエチレンシートを熱成形することによって,第1の内側横方向縁部(7)に沿って延びる開口部(5)から2つの側方端部(9,10)を接続する折り目部(8),フィルタバッグ(6)の底部,最後に第2の内部側縁部(7)に沿って延びている。
【0076】
フィルタバッグは,約280ミクロンのカットオフ閾値を有するポリプロピレンのフィルタ膜(2)を含む。フィルタ膜(2)は,試料受容区画(11)と濾液収集区画(12)とを分離する。濾液収集区画(12)は,試料受容区画(11)よりも低い容積を有する。
【0077】
提示された実施方法によれば,フィルタ膜(2)は主として内部側縁部(7)に平行な方向に延びている。
【0078】
フィルタバッグ(1)は,壁(4)を貫通するオリフィス(13)を有する。このオリフィス(13)は直径が1.5cmの円形であり,今日市販されているサンプリングピペットの交換チップの大部分を濾液収集区画(12)に挿入することができる。
【0079】
底部(6)に最も近接して位置するオリフィス(13)を画定するくぼんだ円は,底部(6)から8.5cmに位置する。さらに,フィルタバッグ(1)に含まれる任意の量の液体について,最小容量50mLと最大容量400mLとの間で,交換可能なチップの大部分を介して,オリフィス(13)を通って一定量の濾液をピペットすることが可能である。
【0080】
バッグは閉鎖システム(14)を有する。 閉鎖システム(14)は,可動タブ(15)と,壁(4)に固定された固定部(16)とを有する。
【0081】
閉鎖システム(14)は閉鎖されたバッグの構成で示され,可動タブ(15)はオリフィス(13)の周囲に沿って位置する壁(4)のいくつかの領域に接着する。閉鎖状態では,可動タブ(15)は,オリフィス(13)のための気密シールを提供する。
図3は,閉鎖システム(14)の開放形態を示す。この構成では,可動タブ(15)は,底部(6)に向かって折り畳まれる。開放状態では,オリフィス(13)は障害が無く,オリフィス(13)を介したフィルターバッグ(1)の内部へのアクセスは妨げられない。
【0082】
フィルタバッグ(1)はまた,締結システム(17)を有する。締結システム(17)は,可動タブ(18)と,壁(4)に固定された固定部(19)とを有する。締結システム(17)は,可動タブ(18)が壁(4)に接着する開放構成を備えている。可動タブ(18)が壁(4)に付着すると,締結システム(17)は開放位置にあり,開口部は障害が無く,換言すれば開口部(5)を通ってフィルタバッグ(1)の内部へのアクセスが可能である。
【0083】
図1において,締結システム(17)の可動タブ(18)は壁(4)に接着する。開口部(5)が開放されており,開口部(5)を通るフィルタバッグ(1)の内部へのアクセスが妨げられない。開口部(5)に障害が無いとき,オペレータは開口部(5)を介してしばしば予め定められた量の液体をフィルタバッグ(1)に導入することができる。開口部(5)に障害が無いときに,オペレータは,開口部(5)を介して,試料受容区画(11)に分析されるべき試料を導入することができる。
【0084】
閉鎖システム(14)及び締結システム(17)は,ポリエステルのストリップから作られる。
【0085】
分離境界(20,22)は,可動タブ(15)を閉鎖システム(14)の固定部(16)から分離する。分離境界(21,23)は,可動タブ(18)と固定部(19)とを締結システム(17)から分離する。
【0086】
閉鎖システム(14)の分離境界(20,22)は,締結システム(17)の分離境界(21,23)と同一である。
【0087】
分離境界は,一方ではくぼみ部(22,23)によって形成され,他方ではセグメント(20,21)によって形成される。
【0088】
くぼみ部(22,23)は,可動タブ(15,18)の固定部(16,19)のパターン(
図2の24,25参照)を形成する。くぼみ部(22,23)は,可動タブ(15,18)をフィルタバッグ(1)の底部(6)に向かって折り畳むとき,可動タブ(15,18)と固定部(16,19)との間を分離させる効果を有する。
【0089】
可動タブ(15,18)と固定部(16,19)との間の分離は,(a)くぼみ部の端部を(a)フィルタバッグ(1)の底部側のくぼみ部(22,23)の端部と,(b)側方内縁部(7)及び側方内縁部(7)の側に位置するくぼみ部(22,23)の端部との間で成される。
【0090】
図2は,開口部の側に位置する上部が「ネック部」(26)と呼ばれ,オリフィス(13)を収容する壁部(4)に対して折り畳まれているときのフィルタバッグ(1)を示している。可動タブ(18)が「ネック部」(26)の壁(3)の領域(27)に固定されている締結システム(17)によって,「ネック部」(26)が壁(4)に対して保持されている。
【0091】
図2において,締結システム(17)の可動タブ(18)が「ネック部」(26)の壁(3)に接着するとき,締結システム(17)は閉鎖状態にある。この構成では,開口部(5)が遮断され,換言すれば,開口部(5)によるフィルタバッグ(1)の内部へのアクセスが不可能になる。
【0092】
開口部(5)が遮断されたとき,フィルタバッグ(1)は,フィルタバッグ(1)中に存在する液体中への試料の物体の可溶化及び/又は断片の懸濁を促進するために,フィルタバッグ(1)を攪拌するように構成された実験用ブレンダーに配置されるのに適した構成である。
【0093】
締結システム(17)を介して「ネック部」(26)が壁(4)に対して保持されると,「ネック部」(26)の壁部(3)の領域(27)に固定された可動タブ(18)は,実験用ブレンダーで攪拌される間,フィルタバッグ(1)に含まれる液体の脱漏を防ぐ。
【0094】
固定部(16,19)は,フィルタバッグ(1)の壁(4)に接着剤で不可逆的に固定されている。可動タブ(15,18)は,フィルタバッグ(1)の壁(4)に可逆的に固定されるか,又は適用可能な場合には,可動タブ(18)が「ネック部」(26)の壁(3)の領域に接着剤で固定される。
【0095】
図2はまた,可動タブ(15,18)の固定部(16,19)のくぼみ部(24,25)のパターンを示す。これらのくぼみ部(24,25)は,可動タブ(15,18)をフィルタバッグ(1)の底部(6)に向かって折り畳むとき,固定部(16,19)が壁(4)から剥がれるのを防止する。実際,くぼみ部(22,23)に加えて,閉鎖システム(14)及び締結システム(17)を形成するポリエステルストリップで作られた固定部(16,19)及び可動タブ(15,18)は,セグメント(20,21)によってのみ接続される。セグメント(20,21)は,分離境界(20,21,22,23)に比べて弱い。したがって,可動タブ(15,18)の折り畳み中に,可動タブ(15,18)のセグメント(20,21)に加えられる接線せん断力が支配的であり,可動タブ(15,18)を分離境界(20,21,22,23)を超えて通過させる。
【0096】
図3は,可動タブ(15)がオリフィス(13)の周辺に位置する壁(4)の領域に接着する,折り畳まれていない構成の閉鎖システム(14)を示す。この場合,閉鎖システム(14)は閉じた構成であり,可動タブ(15)はオリフィス(13)の気密シールを提供する。
【0097】
可動タブ(15)が壁(4)に接着していない折り畳み構成が示されている。この場合,閉鎖システム(14)は,可動タブ(15)が底部(6)(
図1及び
図2に示す)に向かって折り畳まれた開いた構成を有する。開いた構成では,オリフィス(13)は障害が無く,オリフィス(13)を通ってフィルタバッグ(1)の内部へのアクセスは妨げられない。この構成では,可動タブ(15)は折り畳み位置に留まる。
【0098】
折り畳み構成から折り畳まれていない構成への移行は,2本の指の使用を必要とするだけであるため,オペレータが容易に行うことができる。
【0099】
ある構成から別の構成への切り替えは,数回,好ましくは少なくとも5回行うことができる。
【0100】
図4は,可動タブ(18)が壁(4)に接着する,折り畳まれていない構成の締結システム(17)を示す。この場合,締結システム(17)は開いた構成であり,開口部(5)は障害が無く(
図1参照),開口部(5)を通るフィルタバッグ(1)の内部へのアクセスは妨げられない。
【0101】
また,締結システム(17)の可動タブ(18)が底部(6)(
図4に示す)に向かって折り畳まれ,開口部(5)は障害が無く(
図1参照),開口部(5)を通るフィルタバッグ(1)の内部へのアクセスは妨げられない。
【0102】
締結システム(17)が閉じているときの可動タブ(18)が「ネック部」(26)の壁(3)の領域(27)に接着する構成をさらに示す。
【0103】
第1の実施方法と相補的な方法では,フィルタバッグの壁(4)は最大レベル(29)の目盛り(28)を有する。液体がフィルタバッグ(1)に導入され,その量が最大レベル(29)を超えると,閉鎖システム(14)が開放位置にあるときのフィルタバッグ(1)の取り扱いにより,フィルタバッグ(1)の外部への脱濡を誘発する。
【0104】
第1の実施方法と相補的な方法では,可動タブ(15,18)をフィルタバッグ(1)の壁(4)に,又は適用可能な場合には可動タブ(18)を「ネック部」(26)の壁(3)に接着するための接着剤は,固定部(16,19)をフィルタバッグ(1)の壁(4)に接着するために使用される接着剤と同一である。可動タブ(15,18)を折り畳むとき,弱いセグメント(20,21)は2つの機能:
- 可動タブ(15,18)が固定部(16,19)に向かって伸びることを可能にする;
- 固定部(16,19)の脱落を防止する
を有する。
【0105】
もちろん,本発明は,上記の例に限定されず,本発明の範囲内でこれらの例に多くの改良を加えることができる。
【0106】
さらに,本発明の異なる特徴,形状,変形及び実施方法は,互いに互換性がないか,又は互いに排他的でない限り,様々な組合せで互いに関連付けられ得る。