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  • 特許-防護材およびこれを用いた防護履物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】防護材およびこれを用いた防護履物
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/00 20060101AFI20221227BHJP
   A41D 13/06 20060101ALI20221227BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20221227BHJP
   D03D 9/00 20060101ALI20221227BHJP
   A43B 1/00 20060101ALI20221227BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20221227BHJP
   A43B 3/00 20220101ALI20221227BHJP
【FI】
A41D13/00 102
A41D13/06
D03D1/00 Z
D03D9/00
A43B1/00
A43B23/02 101A
A43B3/00 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018146682
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020020077
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】509209719
【氏名又は名称】有限会社みどり商事
(74)【代理人】
【識別番号】100155882
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100154678
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 博子
(72)【発明者】
【氏名】梅本 博之
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-151646(JP,A)
【文献】特開2010-126851(JP,A)
【文献】特開2004-305204(JP,A)
【文献】特開2009-270239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00
A41D 13/06
D03D 1/00
D03D 9/00
A43B 1/00
A43B 23/02
A43B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンソーによる損傷事故から作業者を防護するための防護材であって、
前記防護材は、メッシュ状のベース部と、前記ベース部に織り込まれた経糸と、前記経糸に交差して前記ベース部に織まれた緯糸と、を含む基布を複数枚積層して構成され、
前記経糸はウーリ加工された多数の合成繊維フィラメント束であり、前記緯糸は直線状の合成繊維フィラメント束であり、前記経糸及び前記緯糸は前記ベース部に固着されないことを特徴とする防護材。
【請求項2】
前記基布の間に配置された中間布をさらに含み、
前記中間布は、合成繊維フィラメント束を格子織にしたものであることを特徴とする請求項1記載の防護材。
【請求項3】
前記基布の間に配置された短冊布をさらに含み、
前記短冊布は、短辺および長辺を有し、経糸および緯糸のいずれか一方が前記長辺に沿って延びるとともに、前記短辺方向に複数並べられることを特徴とする請求項1又は2記載の防護材。
【請求項4】
履物本体および前記履物本体に取り付けられた防護材を備える防護履物であって、
前記防護材は、メッシュ状のベース部と、前記ベース部に織り込まれた経糸と、前記経糸に交差して前記ベース部に織まれた緯糸と、を含む基布を複数枚積層して構成され、
前記経糸はウーリ加工された多数の合成繊維フィラメント束であり、前記緯糸は直線状の合成繊維フィラメント束であり、前記経糸及び前記緯糸は前記ベース部に固着されないことを特徴とする防護履物。
【請求項5】
前記基布は、前記経糸および前記緯糸が履物軸方向に対して交差するように配置されることを特徴とする請求項4記載の防護履物。
【請求項6】
前記防護材は、前記履物軸方向に延びる溝部および畝部を交互に形成することを特徴とする請求項4又は5記載の防護履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、伐採作業に用いられるチェーンソーによって誤って作業者が損傷を受けることを防ぐための防護材およびこの防護材を用いた防護履物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チェーンソーによって作業者が誤って損傷を受けることを防ぐための防護材は多数開示されている。例えば特許文献1(特開2004-256952)によれば、防護衣の所望部分に防護布地を配置する。防護布地は、経糸および緯糸で構成されるとともに袋体の中で折りたたまれて積層される。防護布地にチェーンソーの刃が接触すると、経糸が刃によって引っ張られ、引っ張られた経糸がチェーンソーのスプロケットに絡み、チェーンを停止させる。すなわち、チェーンソーの刃が作業者の肌に接触する前にチェーンを停止させて、作業者の損傷を未然に防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-256952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、チェーンソーの刃によって引っ張られた経糸は伸びてちぎれることによってスプロケットに絡みつく。したがって、経糸が伸びて切れるまでの時間がかかる。また、防護布地を10層にしているが、積層される布地が多くなればなるほど、防護衣全体が厚くなり、作業者の作業性が低下する。
【0005】
この発明は、瞬時にチェーンソーの刃の回転を停止させるとともに、作業性を低下させることのない防護材およびこの防護材を用いた防護履物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、第1の発明および第2の発明を含む。
【0007】
第1の発明は、チェーンソーによる損傷事故から作業者を防護するための防護材であって、前記防護材は、メッシュ状のベース部と、前記ベース部に織り込まれた経糸と、前記経糸に交差して前記ベース部に織まれた緯糸と、を含む基布を複数枚積層して構成され、前記経糸はウーリ加工された多数の合成繊維フィラメント束であり、前記緯糸は直線状の合成繊維フィラメント束であり、前記経糸及び前記緯糸は前記ベース部に固着されないことを特徴とする
【0010】
第1の発明における防護材は、前記基布の間に配置された中間布をさらに含み、前記中間布は、合成繊維フィラメント束を格子織にした形態を含む。
【0011】
第1の発明における防護材は、前記基布の間に配置された短冊布をさらに含み、前記短冊布は、短辺および長辺を有し、経糸および緯糸のいずれか一方が前記長辺に沿って延びるとともに、前記短辺方向に複数並べられる形態を含む。
【0012】
第2の発明は、履物本体および前記履物本体に取り付けられた防護材を備える防護履物であって、前記防護材は、メッシュ状のベース部と、前記ベース部に織り込まれた経糸と、前記経糸に交差して前記ベース部に織まれた緯糸と、を含む基布を複数枚積層して構成され、前記経糸はウーリ加工された多数の合成繊維フィラメント束であり、前記緯糸は直線状の合成繊維フィラメント束であり、前記経糸及び前記緯糸は前記ベース部に固着されないことを特徴とする
【0016】
第2の発明における前記基布は、経糸および緯糸が履物軸方向に対して交差するように配置される形態を含む。
【0017】
第2の発明における前記防護材は、前記履物軸方向に延びる溝部および畝部を交互に形成する形態を含む。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係る防護材は、メッシュ状のベース部と、ベース部に織り込まれた経糸と、を含む基布が複数枚積層されたものである。したがって、経糸が基布の厚さ方向に広がるのを抑えることができ、複数枚積層したとしても全体的に厚くなるのを抑制することができ、作業者の作業性を低下させることがない。また、経糸はベース部に編み込まれているだけなのでチェーンソーの刃が接触した際には容易にかつ瞬時にベース部から引き抜かれる。経糸はチェーンソーのスプロケットに絡みついて瞬時に刃の回転を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の防護履物の一例としての先しん付スパイクブーツの斜視図。
図2】実施例1の防護材の構成概要図。
図3】実施例1の基布の構成概要図。
図4】実施例1の中間布の構成概要図。
図5】実施例1の防護材のギャザー加工を示した概要図。
図6】実施例2の防護材の構成概要図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この実施形態において、伐採作業時に用いられる先しん付スパイクブーツ(JIS T8101準拠)を防護履物の一例として説明する。図1に示したように、先しん付スパイクブーツは、履物本体1と履物本体1に取り付けられた防護材2とを含む。履物本体1は、底部11と胛部12と胴部13とを有し、底部11に滑り止め用のスパイク14が複数設けられるとともに、胛部12と胴部13とによって作業者の脚を種々の要因から保護する。履物本体1は、ゴム製の表地材15と、その反対側に位置する裏地材16とを有する。裏地材16としては例えば、ダブルラッセルを用いることができる。表地材15と裏地材16の間には、防護材2が配置される。この実施形態において防護材2は履物本体1の前方であって胛部12および胴部13にわたって配置される。すなわち着用時において作業者の脛に対応する部分に防護材2が配置される。
【0022】
(実施例1)
実施例1における防護材2の態様を図2図5に示す。図2に示したように、防護材2は、5層構造であり、第1層目21、第2層目22、第4層目24および第5層目25に配置された基布3と、第3層目23に配置された中間布4とを含む。この実施形態において第1層目21が表地材15側に位置し、第5層目25が裏地材16側に位置する。
【0023】
図3に示したように、基布3は、メッシュ状のベース部31と、ベース部31に織り込まれた経糸32と、経糸32に交差してベース部31に織まれた緯糸33とを含む。この実施形態において経糸32と緯糸33はほぼ直交する。経糸32は、ウーリ加工された多数の合成繊維フィラメント束である。緯糸33はウーリ加工をしない直線状の合成繊維フィラメント束である。経糸32および緯糸33のいずれも、ベース部31には固着されず、外部からの引っ張りによって容易にベース部31から引き抜かれるものである。基布3は、交織率が緯糸33>経糸32>ベース部31となるように構成され、好ましくは緯糸が50%以上とする。
【0024】
図4に示したように中間布4は、合成繊維フィラメント束を格子織にしたものであり、互いのフィラメント束は、互いに固着されない。したがって、外部からの引っ張りによって、織られたフィラメント束は容易にほどける。
【0025】
これら基布3および中間布4からなる防護材2は、隣接する布同士が、弱い結合力で互いに連結されるか、または全く連結されない。弱い結合力で互いに連結するとは、間欠的に極弱い接着剤または縫製により結合されるが、引っ張りによって容易に基布3および中間布4を構成するフィラメント束が引き抜かれる状態をいう。
【0026】
上記のような防護材2は、基布3の経糸32および緯糸33が履物本体1の軸方向17に対して約45°の角度で交差するように配置される。履物本体1は、胛部12から胴部13にかけて湾曲しているが、基布3をこのように配置することによって、胛部12および胴部13に沿って湾曲しやすく、防護材2を履物本体1の表地材15および裏地材16に密着しやすくすることができる。さらに、湾曲しやすいことから、これを着用した作業者に柔軟性のある使用感を与えることができ作業効率の低下を招く虞がない。
【0027】
図5に示したように防護材2は、さらに軸方向17に延びる溝部26および畝部27を交互に形成するようにギャザー加工することができる。このように加工することによって胛部12または胴部13の丸みに沿って湾曲しやすくすることができる。ギャザー加工は、例えば軸方向17に交差する方向に延びる並縫いをし、糸を引いてギャザーを寄せる方法によって容易に行うことができる。また、軸方向17に間欠的に複数の並縫いをし、その一部の糸を他の糸よりも強く引くことによって、溝部26および畝部27の間隔の短いギャザーを構成することができる。すなわち、強く引いた糸の部分が他の部分よりも細く絞られた形状にすることができる。この絞られた部分を胛部12と胴部13との境界部分に配置することによって、より一層防護材2を履物本体1に密着させることができる。
【0028】
なお、防護材2にギャザー加工する方法は、上記の方法に限定されるものではない。また、ギャザー加工の代わりに、あるいはこれと併せてプレス加工することもできる。具体的には、防護材2を所望の形状の金属製の雄型および雌型の間に挟み、これを加圧および加熱することによって該所望の形状に癖付けすることができる。このように癖付けすることによって所望の形状を維持することができ、履物本体1として成形しやすい。
【0029】
上記のような防護材2を用いた先しん付スパイクブーツによれば、誤ってチェーンソーの刃が回転しながら履物本体1の胛部12または胴部13に接触すると、刃は表地材15を切断し防護材2のフィラメント束に接触する。刃がフィラメント束に接触すると、これを刃先に引っ掛けて回転方向へと引っ張る。基布3の経糸32および緯糸33は、容易に引き抜かれる構成であり、瞬時に刃先に絡みつく。特に、経糸32はウーリ加工されているから、引き抜かれると同時にその体積を増して刃先に引っ掛かる。刃先に引っ掛かったフィラメント束は、チェーンソーの回転速度によって瞬時にスプロケットに到達し、スプロケットを締め付ける。スプロケットが締め付けられるとチェーンソーの安全装置が作動し、回転が停止する。
【0030】
この実施形態において経糸32がウーリ加工される一方、緯糸33はウーリ加工されていない。経糸32および緯糸33の一方のみをウーリ加工し、他方を直線状にすることによって、互いの摩擦抵抗を一定範囲内にすることができ、引っ張りによって抜けやすく、かつ、スプロケットに絡みやすい構成を実現している。すなわち、例えば経糸32および緯糸33の両方を直線状にして摩擦抵抗値が一定よりも小さくした場合には、引き抜かれた経糸または緯糸がチェーンソーのスプロケットに絡みつかなくなってしまう。すなわち、チェーンソーの刃が接触することによって大量のフィラメント束が瞬時に引き抜かれるものの、防護材2から噴出するように飛び散ってしまい、スプロケットに到達し絡みつくフィラメント束の量が少なくなってしまうという現象が生じる。例えば経糸32および緯糸33の両方をウーリ加工し摩擦抵抗値が一定よりも大きくした場合には、チェーンソーの刃が基布3自体を容易に切り裂いてしまい、ほとんどフィラメント束が引き抜かれないという現象が生じる。さらに、容易に引き抜かれる緯糸33の交織率を50%以上としているので、引き抜かれるフィラメント束を大量に確保することができ、確実にスプロケットにフィラメント束が絡みつく構成を実現している。
【0031】
中間布4を用いることによって、基布3との間における摩擦抵抗値を大きくしているものと考えられる。この実施形態における基布3においては、摩擦抵抗値が若干小さいものと推察され、これを中間布4で補っているものと考えられる。したがって、中間布4の存在により、これがない場合に比べて基布3におけるフィラメント束の対する引っ張りを確実なものとすることができる。
【0032】
上記のように、この実施形態における防護材2を用いることによって、瞬時にチェーンソーの回転を停止させることができ、しかもこれを用いた先しん付スパイクブーツにおいては作業員の作業性を妨げることがない。
この実施形態において履物として先しん付スパイクブーツを用いているがこれに限定されるものではない。例えば、地下足袋や他の履物に適用することも可能である。さらに、防護材2は履物だけでなく、コンパクトな装着性および収納性を要求される作業服等の他の着用物品、その他の物品に用いることもできる。
【0033】
この実施例では、基布3のベース部31としてポリエステルを用いたフィラメント束によってメッシュを構成する。ベース部31のフィラメント数は36としている。経糸32および緯糸33は、いずれもポリエステルを用いたフィラメント束であり、経糸32のフィラメント数を288、緯糸33のフィラメント数を192としている。
中間布4として、例えば株式会社クラレ製の「ベクトラン(商標)」を用いた格子織布地を用いることができる。
【0034】
上記のような防護材2を用い、JIS T8125-3に準じた試験をおこなった。すなわち、防護材2の第1層目21から第5層目25に向かって、駆動状態のチェーンソー刃を接触させた。その結果、チェーンソーの刃が防護材2に接触した直後、多数のフィラメント束が刃に引っ張られると同時にスプロケットに絡みつき、安全装置が作動してチェーンソーの刃が停止した。この時、チェーンソーの刃は防護材2の第5層目25までは到達することはなかった。すなわち、防護材2を貫通する前にチェーンソーが停止するから、作業者の身体に刃が接触することはなく、安全性を確保した防護材を提供することができる。
【0035】
この実施形態において、防護材2の第1層目21、第2層目22、第4層目24および第5層目25に基布3を用いているが、この枚数および順序に限定されるものではない。また、中間布4は第3層目23に配置しているが、これも任意で変更可能である。防護材2に用いられるフィラメント束の種類は適宜選択可能であり、この分野において用いられる素材を使用することができる。
【0036】
(実施例2)
実施例2における防護材2の態様を図6に示す。防護材2は、複数の基布3と、これら基布3の間に配置された短冊布5とによって構成される。短冊布5は、基布3と同様の構成の生地を用い、これを経糸32に沿って縦長に切断した縦短冊布5Aと、緯糸33に沿って横長に切断した横短冊布5Bとを含む。縦短冊布5Aおよび横短冊布5Bの短辺の長さは約5cmとする。
【0037】
この実施例において、基布3は3枚であり、実施例1と同様に経糸32および緯糸33が履物本体1の軸方向17に対して約45°の角度で交差するように配置する。1枚目の基布3と2枚目の基布3との間には、縦短冊布5Aを配置し、2枚目と3枚目の基布3の間には横短冊布5Bを配置する。縦短冊布5Aは、短辺方向に複数枚隙間なく並べられるとともに、軸方向17に対して経糸32が平行になるように配置される。横短冊布5Bも、同様に短辺方向に複数枚隙間なく並べられるとともに、軸方向に対して緯糸33が平行になるように配置される。
【0038】
このような防護材2によれば、軸方向17に延びる短冊布5を用いることによって、湾曲しやすくすることができ、履物本体1に密着させることができる。また、切創方向は軸方向17に略直角に交差するから、チェーンソーの刃がこの防護材2に接触した場合には、軸方向17に延びる長いフィラメント束を引き抜くことができ、効果的にスプロケットを締め付けることができる。
【0039】
また、基布3のように経糸32が軸方向17に対して約45°の角度で交差するように配置した場合、チェーンソーの刃も経糸32に対して約45°の角度で接触する。このように接触すると経糸32に対して約90°の角度で接触した場合に比べて、フィラメント束の引き抜き性が低くなる傾向がみられる。しかし、この実施例のように基布3の間に縦短冊布5Aおよび横短冊布5Bを配置することによって、これらのフィラメント束は切創方向に対して約直角に交差するから高い引き抜き性を維持することができ、基布3で低下した引き抜き性を担保することができる。
【0040】
縦短冊布5Aおよび横短冊布5Bは、その長手方向における寸法を2倍にするとともに、長手方向に交差する折り曲げ線に沿って折りたたみ2枚重ねとすることもできる。この場合にはより一層引き抜かれるフィラメント束を長くすることができ、強固にスプロケットに絡みつかせることができる。2枚重ねにした場合であっても、短冊状にすることによって履物本体1への密着性を損なうことがない。なお、防護材2における基布3の積層枚数は適宜変更可能である。また、縦短冊布5Aおよび横短冊布5Bの枚数、並べ方も、種々変更可能であるとともに、その寸法も制限させるものではない。
【符号の説明】
【0041】
1 履物本体
2 防護材
3 基布
4 中間布
5 短冊布
15 表地材
16 裏地材
26 溝部
27 畝部
31 ベース部
32 経糸
33 緯糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6