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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】耕深表示システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/00 20060101AFI20221227BHJP
   A01B 33/16 20060101ALI20221227BHJP
   A01B 35/04 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
A01B63/00 B
A01B33/16
A01B35/04 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019206291
(22)【出願日】2019-11-14
(62)【分割の表示】P 2015145247の分割
【原出願日】2015-07-22
(65)【公開番号】P2020022510
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2019-11-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】頭司 宏明
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 忠治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 徹
【合議体】
【審判長】住田 秀弘
【審判官】佐藤 美紗子
【審判官】有家 秀郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-56411(JP,A)
【文献】特開2015-43763(JP,A)
【文献】特開2002-307978(JP,A)
【文献】特開平9-28109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B63/00-63/12
A01B33/00-35/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業機と当該農作業機の耕深を示す画像を表示する携帯端末とを含む耕深表示システムであって、
前記農作業機は、
耕耘作業を行うロータリ作業部と、
前記ロータリ作業部の上方を覆うカバー部と、
前記カバー部の後端部に上下方向に回動自在に配設されて前記ロータリ作業部により耕耘された耕土を整地する整地部材と、
前記耕深に応じた前記整地部材の回動角度を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記整地部材の回動角度に応じた情報を前記携帯端末に送信する送信部と、を備え、
前記農作業機の耕深を示す画像は、圃場に対する前記整地部材の回動角度が前記情報に対応する前記農作業機の耕深の変化に伴って変化する、農作業機の側面側の構造を示す画像である、耕深表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機に関する。特に、本発明は、耕深表示装置を有する農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
耕耘ロータにより耕耘された耕土を整地する第1整地板と第1整地板の後部に上下方向に回動自在に設けられて耕土表面を均平にする第2整地板を備える農作業機、例えば、代かき作業機は、一般に、走行可能な走行機体の後部に三点リンク連結機構を介して昇降可能に連結されて、走行機体の前進走行とともに進行しながら代かき作業が行われる。代かき作業機の昇降操作は、走行機体に搭乗した作業者が走行機体に設けられた操作スイッチを操作することによって行われる。
【0003】
この代かき作業機によって代かき作業を行う場合、圃場の耕盤に凹凸があると、走行機体が上下方向に移動するに伴って代かき作業機も上下方向に移動して、耕耘ロータによって耕耘された耕土の耕深が変化する。この耕深の変化は、稲の生育に悪影響を与える。
【0004】
そこで、代かき作業時に、耕盤の凹凸に応じて、走行機体に搭乗した作業者が操作スイッチを操作して代かき作業機の上下位置調整を行うことで、耕深を一定にすることができる。しかしながら、代かき作業は圃場に水を入れて行う作業であるため、水の多少によって実際の耕深を見誤って、耕深を一定にすることができなくなるおそれがある。
【0005】
そこで、機体に回動自在に接続されて、耕耘ロータにより耕耘された耕土の耕深に応じて第1整地板(エプロン)に対する第2整地板(レベラ)の回動に伴って、上下方向に回動するリンク機構部の回動に応じて、耕深を示す指標を有する耕深表示装置を備える代かき作業機が提案されている(特許文献1)。代かき作業時に、作業者が耕深表示装置の耕深表示部にある耕深を示す指標である記号を確認することにより、耕耘ロータの位置調整が正確に行われて耕深を一定にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-205519
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般に、代かき作業では、圃場に水が入れられるため、作業によって、泥水や泥などが代かき作業機に跳ねることがある。そして、この泥水や泥が、図12及び図13に示すような従来の代かき作業機の耕深表示部750にある耕深を示す指標である記号(図13においては、「1」「2」「3」「4」の数字)に付着した場合には、作業者が記号を読み取れないという問題が生じる。そのため、耕深表示部にある耕深を示す指標である記号に泥水や泥がついて読み取れなくなると、作業者は、耕深表示部の形状によって耕深を示す指標を確認するということもできなくなってしまう。その結果、作業者が耕深を示す指標を確認することができず、作業者が水の多少によって実際の耕深を見誤って、耕深を一定にすることができなくなってしまう。なお、ここで、「耕深」とは、耕耘をしていない場所の地表と、耕耘をして掘り返された土の底面との距離をいい、「cm」または「mm」単位で表わされる。「耕深を示す指標」とは、「耕深」に対応して「耕深」の程度を表わす記号、数字、文字等の指標であって、例えば、図13のように、「1」「2」「3」「4」といったように1つ置きの数字であってもよいし、「5」「10」「15」といったように段階的な数字であってもよい。耕深と相関関係がとれてさえすればよい。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術に伴う課題を解決しようとするものであって、その目的とするところは、泥水や泥が耕深表示部に付着せず、作業者が耕深を示す指標を確認することができるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、耕耘作業を行うロータリ作業部を回転自在に支持する機体と、前記機体に設けられ、前記ロータリ作業部の上方を覆うカバー部と、前記カバー部の後端部に上下方向に回動自在に配設されて前記ロータリ作業部により耕耘された耕土を整地するエプロンと、前記エプロンの回動角度を検出するポテンショメータと、前記ポテンショメータにより検出された前記エプロンの回動角度に応じた情報を送信する送信部と、前記情報を受信して、前記情報に応じた複数の異なる耕深を示す指標を表示する耕深表示装置とを備える農作業機を提供することができる。
【0010】
別の好ましい態様によれば、耕耘作業を行うロータリ作業部を回転自在に支持する機体と、前記機体に設けられ、前記ロータリ作業部の上方を覆うカバー部と、前記カバー部の後端部に上下方向に回動自在に配設されて前記ロータリ作業部により耕耘された耕土を整地するエプロンと、一端側が前記エプロンに回動自在に設けられ、前記エプロンの回動に伴って上下方向に回動するリンク機構部と、一端側が前記リンク機構部に回動自在に設けられ、前記リンク機構部の回動角度を検出するポテンショメータと、前記ポテンショメータにより検出された前記リンク機構部の回動角度に応じた情報を送信する送信部と、前記情報を受信して、前記情報に応じた複数の異なる耕深を示す指標を表示する耕深表示装置とを備える農作業機が提供されてもよい。
【0011】
別の好ましい態様によれば、前記耕深表示装置は、耕深を示す指標を表示する耕深表示部を含み、前記耕深表示部は、前記複数の異なる耕深を示す指標に対応する複数のランプを有することを特徴とする農作業機が提供されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る農作業機の耕深表示装置によれば、泥水や泥が耕深表示部に付着せず、作業者が耕深を示す指標を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る代かき作業機の側面側の部分構造図である。
図2】本発明の一実施形態に係る代かき作業機の部分平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る耕深表示装置の平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る耕深表示部の表示方法を説明するための代かき作業機の側面側の構造図である。
図5】耕深が比較的に浅いときの耕深表示装置の作動を説明するための代かき作業機の側面側の構造図である。
図6】耕深が比較的に深いときの耕深表示装置の作動を説明するための代かき作業機の側面側の構造図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る耕深表示装置の平面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る耕深表示装置の平面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る耕深表示装置の平面図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る耕深表示装置の平面図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る代かき作業機の側面側の部分構造図である。
図12】従来の耕深表示装置が搭載された代かき作業機の側面側の部分構造図である。
図13】従来の代かき作業機の耕深表示装置の耕深表示部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様の機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、Bなどを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。左右に同様の機能を有する部分がある場合には、左にあるものには、「L」との接尾語を付し、右にあるものには、「R」との接尾語を付し、両者をまとめて呼ぶ場合、または単独で呼ぶ場合でも、接尾語を付さない場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明するが、上方又は下方はそれぞれ作業機の作業状態における向きを示す。また、同様に、前方又は後方という語句を用いて説明するが、前方は作業機に対する作業機を牽引する走行機の方向を示し、後方は走行機に対する作業機の方向を示す。
【0015】
<第1実施形態>
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1乃至図6に基づいて説明する。本実施形態は、代かき作業機のうち作業機本体の両側に左右の作業体が折り畳み且つ展開可能な代かき作業機を例にして説明する。耕深表示装置を説明する前に、まず、代かき作業機について、図1(側面側構造図)及び図2(平面図)を用いて説明する。
【0016】
[代かき作業機の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る作業状態における代かき作業機の構成を説明するための部分構造図である。図2は、本発明の一実施形態に係る作業状態における代かき作業機の全体構成を示す部分平面図である。代かき作業機1は、作業機本体100、延長作業体200、切り替え部300、連結部400及びロータリ作業部600を備える。代かき作業機1は、図1及び図2に示すように、走行機体90の後部に装着されて走行機体90の前進走行とともに進行して代かき作業を行うものであり、機体前進方向に対して左右方向の中央部に配置された作業機本体100と、この左右両端部に上下方向に回動可能に取り付けられた左延長作業体200L及び右延長作業体200Rとを備え、作業機本体100、左延長作業体200L、右延長作業体200Rによって3分割構造になっている。以下では、左延長作業体200Lと右延長作業体200Rとを合わせて、または単独で延長作業体200と呼ぶことがある。
【0017】
作業機本体100は、シールドカバー110、エプロン120(第1整地板)及びレベラ130(第2整地板)を有する。
【0018】
作業機本体100は、左右方向に延びる主フレーム3を有した機体5の前部に、走行機体90の後部に設けられた3点リンク連結機構(図示せず)が連結されて、走行機体90に対して昇降可能に装着される。主フレーム3の左右方向の中央部には前方へ突出する入力軸6aを備えたギアボックス6が設けられ、走行機体90のPTO(Power Take Off)軸からユニバーサルジョイント等の動力伝達手段を介して動力が入力軸6aに伝達されるようになっている。
【0019】
主フレーム3の左右両端部には伝動フレーム(チェーンケース)8と側部フレームが垂設され、伝動フレーム8と側部フレームの下部間には多数の耕耘爪を取り付けたロータリ作業部600が回転自在に支持されている。主フレーム3内には伝動機構が設けられ、この伝動機構が伝動フレーム8内の伝動機構と連結されて、入力軸6aに伝達された動力がこれらの伝動機構を介して作業機本体100のロータリ作業部600と左延長作業体200L、右延長作業体200Rに設けられた左ロータリ作業部600L、右ロータリ作業部600Rに伝達されて、作業機本体100のロータリ作業部600と左延長作業体200L、右延長作業体200Rに設けられた左ロータリ作業部600L、右ロータリ作業部600Rを所定方向に回転させるように構成されている。
【0020】
延長作業体200は、代かき作業機1が収納状態と作業状態とを切り替え可能に作業機本体100に接続されている。ここで、収納状態とは、作業機が走行機の進行方向に対して直交する方向の幅を縮小された状態である。具体的には、延長作業体200が作業機本体100に対して回転移動(回動)することで折りたたまれた状態を収納状態という。また、作業状態とは、作業機が走行機の進行方向に対して直交する方向に延長された状態である。具体的には、収納状態から延長作業体200が作業機本体100に対して回動し、展開された状態を作業状態という。
【0021】
また、延長作業体200は、作業機本体100と同様に延長シールドカバー210、延長エプロン220及び延長レベラ230を有する。延長シールドカバー210は、作業爪(図示せず)を回転させるロータリ作業部600のうち延長作業体200に対応して設けられた耕耘ロータの上方に設けられている。延長エプロン220は、当該耕耘ロータの後方に設けられており、延長シールドカバー210に接続部222を軸として回動可能に接続されている。延長レベラ230は、上記耕耘ロータの後方に設けられており、延長エプロン220に接続部232を軸として回動可能に接続されている。延長エプロン220はエプロン120と連動し、ロータリ作業部600の作業によって飛散された飛散物が外部に放出されることを抑制する。また、延長レベラ230は、レベラ130と連動し、ロータリ作業部600の作業によって耕耘された土壌を整地する。
【0022】
切り替え部300は、制御シリンダ(図示せず)及び接続部320を有し、延長作業体200を作業機本体100に対して回動させることで、収納状態と作業状態とを切り替える。制御シリンダは、一端が作業機本体100に接続され、他端が延長作業体200に固定された接続部312に回動可能に接続されている。延長作業体200は、制御シリンダが収縮することで折りたたまれて収納状態に切り替えられ、制御シリンダが伸長することで展開されて作業状態に切り替えられる。
【0023】
連結部400は、作業機本体100のレベラ130及び延長作業体200の延長レベラ230に取り付けられており、エプロン120に対するレベラ130の回動方向又は延長エプロン220に対する延長レベラ230の回動方向においてエプロン120及び延長エプロン220の相対的な動作範囲を規制する。つまり、連結部400はレベラ130と延長レベラ230とを連動させる。また、連結部400は延長レベラ230に取り付けられた係止部410と、レベラ130に取り付けられた受け部420と、を有する。
【0024】
ここで、ロータリ作業部600(図1参照)は、作業爪(図示せず)を有し、作業爪は、入力軸6aに伝達された動力によって回転され、土壌に作用することで土壌を耕す又は撹拌する。なお、図1において、作業爪が回動する範囲を回動範囲612として示す。
【0025】
延長レベラ230の端部には、整地可能な幅をさらに広げることができるレベラ拡張部510が設けられている。レベラ拡張部510は、延長レベラ230に回動可能に接続されている。また、レベラ拡張部510は、レベラ130及び延長レベラ230の延長方向に対して傾斜した方向に延長している(長手を有している)。
【0026】
また、シールドカバー110の走行機側には、土寄せ板(図示せず)が設けられている。土寄せ板(図示せず)は、走行機の進行方向に対して直交する方向にスライド移動可能に取り付けられている。土寄せ板(図示せず)は、代かき作業機1の使用時において、走行機の車輪等の位置に合わせて設置され、轍による段差を緩和する。
【0027】
[耕深表示装置の構成]
図3を用いて、耕深表示装置50について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る耕深表示装置の平面図である。耕深表示装置50は、耕深表示部51と受信部52とを含む。また、耕深表示装置50は、リモートコントローラである。そのため、作業者は、耕深表示装置50を手に持って、走行機体90に乗ることができる。耕深表示部51は、耕深を示す指標を表示する。この例では、耕深表示部51には、11個のLED(ランプ)がある。11個のLEDのうち、一番上のLEDの上には、「深」との記載がある。他方、11個のLEDのうち、一番下のLEDの下には、「浅」との記載がある。「深」とは、耕深が深いことを意味し、「浅」とは、耕深が浅いことを意味する。この例では、11個のLEDがあるため、耕深の段階が、11段階あることになる。耕深の段階は、11段階に限定されるものではなく、2個以上の複数であればよい。また、LEDの色は、何色であってもよい。さらに、11個のLEDの色は、すべて同じ色であってもよいし、すべてが異なる色であってもよいし、複数個が同じ色であってもよい。
【0028】
このように、耕深表示装置50は、リモートコントローラである。そのため、作業者は、耕深表示装置50を手に持って、走行機体90に乗ることができる。耕深表示装置50は、走行機体90の作業者の乗車位置付近に置かれるのが通常である。そのため、耕深表示装置50の耕深表示部51に泥水や泥が付着するおそれはない。したがって、本実施形態によれば、泥水や泥が耕深表示部に付着せず、作業者が耕深を示す指標を確認することができるという効果を奏する。また、耕深表示装置50は、作業者の近くにあるため、作業者は、作業中に、後ろを振り返る等しなくても耕深を確認することができるという効果を奏する。さらに、LEDが点灯するため、夜など周囲が暗い状況であっても、耕深を示す指標を確認することができるという効果を奏する。
【0029】
なお、図3に示す「レベラ土寄せ」ボタンの「代かき」を押すと代かき状態となり、「土寄せ」を押すと土寄せ状態となる。また、「延長レベラ」ボタンの「閉」を押すと、延長レベラが閉じ、「開」を押すと、延長レベラが開く。また、「作業機」ボタンの「閉」を押すと、作業機が閉じ、「開」を押すと、作業機が開く。
【0030】
[耕深表示部の表示方法]
ここで、耕深表示部51の表示方法について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る耕深表示部の表示方法を説明するための代かき作業機の側面側の構造図である。エプロン120の上に、取付部44が取り付けられ、取付部44の一端側にリンク機構部42が回動自在に設けられている。もっとも、リンク機構部42は、エプロン120の上に直接取り付けられてもよい。また、リンク部機構部42の他端側がポテンショメータ70に回動自在に接続されている。
【0031】
エプロン120が上下方向に回動すると、リンク機構部41が軸部42を回動支点として上下方向に回動する。耕深が深くなると、エプロン120は、上方向に回動する。エプロン120が上方向に回動すると、リンク機構部42は、上方向に回動する。そして、リンク機構部42が上方向に回動すると、ポテンショメータ70が図4でみると時計回りの方向に回動する。ポテンショメータ70が図4でみると時計回りの方向に回動すると、ポテンショメータ70の抵抗が変化し、この変化を電圧変化として取出し、送信部を含む制御ボックス80に入力される。制御ボックス80に入力された電圧変化の値は、デジタル信号に変換され、無線で、耕深表示装置50に送信され、受信部52で受信する。そして、耕深表示装置50は、このデジタル信号に対応するLEDを点灯させる。
【0032】
他方、エプロン120が下方向に回動すると、リンク機構部42は、下方向に回動する。そして、リンク機構部42が下方向に回動すると、ポテンショメータ70が図4でみると反時計回りの方向に回動する。ポテンショメータ70が図4で見ると反時計回りの方向に回動すると、ポテンショメータ70の抵抗が変化し、この変化を電圧変化として取出し、送信部を含む制御ボックスに入力される。制御ボックスに入力された電圧変化の値は、デジタル信号に変換され、無線で、耕深表示装置50に送信され、受信部52で受信する。そして、耕深表示装置50は、このデジタル信号に対応するLEDを点灯させる。
【0033】
本実施形態では、デジタル信号が無線で、耕深表示装置50に送信されているが、無線に限定されるものではなく、有線で送信されてもよい。
【0034】
次に、耕深表示装置50の耕深表示部51が示す指標とロータリ作業部600による耕土の耕深Dとの関係を、図5及び図6を用いて説明する。耕深表示装置50は、図5に示すように、ロータリ作業部600による耕土の耕深Dが浅い場合(図面ではD=約100mm)には、エプロン120は圃場表面に対して角度θ(図面ではθ=約44°)を有して傾く。このエプロン120の回動に伴ってレベラ130は、エプロン120に対して回動して、レベラ130は、エプロン120に対して角度α(図面ではα=約136°)を有して圃場表面に接地する。また、エプロン120の回動に伴ってリンク機構部41が上下方向に回動し、リンク機構部41の回動に伴って、ポテンショメータ70が回動する。そして、上記のとおり、ポテンショメータ70の回動に伴って、耕深に対応するLEDが点灯する。
【0035】
これに対し、耕深Dが比較的に深い場合(図面ではD=約200mm)には、図6に示すように、エプロン120は、図5の場合と比較して、より上方へ回動して圃場表面に対して角度θよりも小さな角度θ'(図面ではθ'=約23°)を有して傾く。このエプロン120の回動に伴って、レベラ130は、エプロン120に対して角度α'(図面ではα'=約157°)を有して圃場表面に接地する。また、エプロン120の回動に伴ってリンク機構部41が上下方向に回動し、リンク機構部41の回動に伴って、ポテンショメータ70が回動する。そして、上記のとおり、ポテンショメータ70の回動に伴って、耕深に対応するLEDが点灯する。
【0036】
このように、本願発明の耕深表示装置50は、耕深Dの深さに応じてエプロン120が回動し、このエプロン120の回動に伴ってリンク機構部41が上下方向に回動して、ポテンショメータ70を回動させる。そして、ポテンショメータ70の回動に伴って、耕深に対応するLEDが点灯する。さらに、耕深表示装置50は、通常は、走行機体90に搭乗した作業者の近くにある。そのため、作業者は、耕深表示装置50の耕深表示部51のどのLEDが点灯しているかを確認することによって、耕深の程度を確認することができる。したがって、代かき作業中に、LEDの点灯が「深」の文字側にずれた場合には、作業者は、耕深が浅くなるように三点リンク連結機構を介して代かき作業機1を持ち上げるための操作をする。また代かき作業中に、LEDの点灯が「浅」の文字側にずれた場合には、作業者は、耕深が深くなるように三点リンク連結機構を介して代かき作業機1を下方に降ろす操作をする。したがって、代かき作業時の耕深を一定にすることができる。
【0037】
<比較例>
図12は、従来の耕深表示装置が搭載された代かき作業機の側面側の構造図である。図13は、従来の代かき作業機の耕深表示装置の耕深表示部の平面図である。従来の耕深表示部の表示板には、「土寄せ」の文字及び耕深の程度を表わす「1」「2」「3」「4」の数字がある。そして、耕深が変化すると、指針アームが移動し、指針が指し示す耕深を示す指標が変わる。そのため、作業者は、指針が指し示す上記の記号を確認することによって、耕深の程度を確認することが可能であった。しかし、耕深表示装置750の位置が
、泥水や泥がはねて付着してしまうおそれのある場所であった。そのため、耕深を示す指標である数字に泥水や泥がついてしまうと、作業者は、この数字を読むこと自体ができなくなってしまう。その結果、作業者が耕深の程度を確認することができず、作業者が水の多少によって実際の耕深を見誤って、耕深を一定にすることができなくなってしまうのである。また、耕深表示装置750の位置が、作業中の作業者からみて、後方にあるため、作業者は、後ろを振り返らないと、耕深表示装置750を見ることができず、不便であった。
【0038】
<第2実施形態>
図7は、本発明の他の実施形態に係る耕深表示装置の平面図である。耕深表示装置50Aは、第1実施形態の耕深表示装置50とほとんど同じ構成であるが、耕深表示部51Aを有する点で、第1実施形態と異なる。ここでは、重複する点の説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0039】
耕深表示部51Aは、液晶である。耕深表示部51Aは、耕深に対応した個数の長方形を表示する。この例では、耕深が浅いときには、長方形の数が少なく、耕深が深いときには、長方形の数が多く表示される。もっとも、表示の方法は、長方形に限定されず、どのような形状であってもよい。耕深表示部51Aは、LCD(Liquid Crystal Display)であっても、有機ELディスプレイであってもよく、耕深に対応した表示をすることが可能であれば何でもよい。
【0040】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、耕深表示装置50Aは、走行機体90の作業者の乗車位置付近に置かれるのが通常である。また、液晶は、一定程度の明るさがある。そのため、本実施形態でも、第1実施形態で説明したのと同様の効果を奏する。
【0041】
<第3実施形態>
図8は、本発明の他の実施形態に係る耕深表示装置の平面図である。耕深表示装置50Bは、第2実施形態の耕深表示装置50Aとほとんど同じ構成であるが、耕深表示部51Bの表示が文字である点で、第2実施形態と異なる。ここでは、重複する点の説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0042】
耕深表示部51Bは、液晶である。耕深表示部51Bは、耕深に対応した数字を表示する。この例では、耕深が浅いときには、「1」に近い数字が表示され、耕深が深くなると、より大きな数字が表示される。この例では、数字を表示しているが、これに限定されるものではなく、アルファベットなどの文字であってもよい。
【0043】
本実施形態でも、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、耕深表示装置50Bは、走行機体90の作業者の乗車位置付近に置かれるのが通常である。また、液晶は、一定程度の明るさがある。そのため、本実施形態でも、第1実施形態で説明したのと同様の効果を奏する。
【0044】
<第4実施形態>
図9(a)は、本発明の他の実施形態に係る耕深表示装置の平面図である。耕深表示装置50Cは、この例では、GPSガイドモニターであり、走行機体90に取り付けられている。ここでは、重複する点の説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0045】
耕深表示部51Cは、液晶である。耕深表示部51Cは、耕深に対応した図形を表示する。この例では、耕深が浅いときには、長方形の数が少なく、耕深が深いときには、長方形の数が多く表示される。もっとも、表示の方法は、長方形に限定されず、どのような形状であってもよい。そして、耕深表示装置50Cは、走行機体90に取り付けられていてもよい。
【0046】
本実施形態でも、第1実施形態から第3実施形態と同様に、耕深表示装置50Cは、走行機体90の作業者の乗車位置付近に置かれるのが通常である。また、液晶は、一定程度の明るさがある。そのため、本実施形態でも、第1実施形態で説明したのと同様の効果を奏する。
【0047】
<第5実施形態>
図9(b)は、本発明の他の実施形態に係る耕深表示装置の平面図である。耕深表示装置50Dは、第4実施形態の耕深表示装置50Cとほとんど同じ構成であるが、耕深表示装置Dの表示が文字である点で、第4実施形態と異なる。ここでは、重複する点の説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0048】
耕深表示部51Dは、液晶である。耕深表示部51Dは、耕深に対応した数字を表示する。この例では、耕深が浅いときには、「1」に近い数字が表示され、耕深が深くなると、より大きな数字が表示される。この例では、数字を表示しているが、これに限定されるものではなく、アルファベットなどの文字であってもよい。
【0049】
本実施形態でも、第1実施形態から第4実施形態と同様に、耕深表示装置50Dは、走行機体90の作業者の乗車位置付近に置かれるのが通常である。また、液晶は、一定程度の明るさがある。そのため、本実施形態でも、第1実施形態で説明したのと同様の効果を奏する。
【0050】
<第6実施形態>
図10は、本発明の他の実施形態に係る耕深表示装置の平面図である。耕深表示装置50Eは、第5実施形態の耕深表示装置50Dとほとんど同じ構成であるが、耕深表示装置Dの表示が画像である点で、第5実施形態と異なる。ここでは、重複する点の説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0051】
耕深表示部51Eは、液晶である。耕深表示部51Eは、耕深に対応した画像を表示する。この例では、耕深が浅いときには、代かき作業機の耕深が浅いときを示す画像が表示され、耕深が深くなると、代かき作業機の耕深が深いときを示す画像が表示される。
【0052】
本実施形態でも、第1実施形態から第5実施形態と同様に、耕深表示装置50Eは、走行機体90の作業者の乗車位置付近に置かれるのが通常である。また、液晶は、一定程度の明るさがある。そのため、本実施形態でも、第1実施形態で説明したのと同様の効果を奏する。
【0053】
なお、第4実施形態から第6実施形態まで、耕深表示装置は液晶表示装置であると説明したが、この液晶表示装置は、走行機体に設置されていてもよいし、スマートフォンやタブレット端末などのように走行機体に設置されていなくてもよい。
【0054】
<第7実施形態>
図11は、本発明の他の実施形態に係る代かき作業機の側面側の部分構造図である。本実施形態は、第1実施形態と概ね同じである。そこで、第1実施形態と異なる点のみ詳細に説明する。
【0055】
本実施形態では、ポテンショメータ70Aがエプロン120の回動軸心上に直接設けられている点において、第1実施形態と異なる。ポテンショメータ70Aがエプロン120の回動軸心上に直接設けられていることにより、第7実施形態には、第1実施形態が有するリンク機構部41及び取付部42がない。ポテンショメータ70Aは、エプロン120の回動に伴い回動する。そのため、ポテンショメータ70Aは、エプロン120の回動角度を検出することができる。
【0056】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、耕深表示装置は、走行機体の作業者の乗車位置付近に置かれるのが通常である。そのため、本実施形態でも、第1実施形態で説明したのと同様の効果を奏する。
【0057】
第2実施形態から第6実施形態の耕深表示装置を第7実施形態の代かき作業機に適用することも可能である。
【0058】
第1実施形態から第7実施形態について、代かき作業機を用いて説明したが、本発明における耕深表示装置が適用されるのは代かき作業機に限られず、他の農作業機であってもよい。例えば、代かき作業機1のようにレベラを含まない農作業機であるロータリ作業機であっても、エプロンの回動に伴って、リンク機構部が回動する構成であれば、本発明における耕深表示装置が適用可能である。
【0059】
また、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1、7:代かき作業機 3:主フレーム 5:機体 6:ギアボックス
6a:入力軸 8:伝動フレーム 9:ヒッチ
41:リンク機構部 42:回動支点 44:取付部
50、50A、50B、50C、50D、50E:耕深表示装置
51、51A、51B、51C、51D、51E:耕深表示部
52、52A、52B、52C、52D、52E:受信部
70:ポテンショメータ 80:制御ボックス 90:走行機体
100:作業機本体110:シールドカバー 120:エプロン
130:レベラ 140:レーキ
200:延長作業体 230:延長レベラ
300:切り替え部 400:連結部 600:ロータリ作業部
703:主フレーム 706:ギアボックス 706a:入力軸
711:エプロン 712:レベラ 713:ロータリ作業部
740:耕深表示装置 741:リンク機構部 742:揺動アーム
743、756:軸部 744:連結ロッド 750:耕深表示部
751:表示板 757:指針 759:案内板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13