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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】半導体受光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0232 20140101AFI20221227BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
H01L31/02 D
G02B6/42
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021541863
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2019033676
(87)【国際公開番号】W WO2021038746
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000161862
【氏名又は名称】株式会社京都セミコンダクター
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】本多 裕徳
(72)【発明者】
【氏名】大村 悦司
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-133774(JP,A)
【文献】特開2009-260118(JP,A)
【文献】特開2013-131637(JP,A)
【文献】特開2009-162942(JP,A)
【文献】特開2010-231130(JP,A)
【文献】国際公開第2005/073772(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/0392
H01L 31/08-31/119
G02B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射側レンズ面の曲率半径がR1、出射側レンズ面の曲率半径がR2である1つの球面レンズと半導体受光素子を有し、前記球面レンズにより入射光を前記半導体受光素子の受光部に集光するように構成した半導体受光モジュールにおいて、
前記曲率半径R1<曲率半径R2であり、
前記球面レンズの出射光の一部が前記受光部で反射して発生する反射光が前記出射側レンズ面を出射光が透過した領域に入射しないように、前記入射側レンズ面の光軸を前記半導体受光素子の受光部の中心を通る入射光の光軸と平行に設定し、且つ前記出射側レンズ面の光軸を前記入射側レンズ面の光軸に対して設定角度以上傾けたことを特徴とする半導体受光モジュール。
【請求項2】
入射側レンズ面の曲率半径がR1、出射側レンズ面の曲率半径がR2である1つの球面レンズと半導体受光素子を有し、前記球面レンズにより入射光を前記半導体受光素子の受光部に集光するように構成した半導体受光モジュールにおいて、
前記曲率半径R1<曲率半径R2であり、
前記球面レンズの出射光の一部が前記受光部で反射して発生する反射光が前記出射側レンズ面を出射光が透過した領域に入射しないように、前記入射側レンズ面の光軸と前記出射側レンズ面の光軸を前記半導体受光素子の受光部の中心を通る入射光の光軸と平行に設定し、且つ前記出射側レンズ面の光軸及び頂点を前記入射側レンズ面の光軸に対して光軸直交方向へ所定距離以上シフトさせたことを特徴とする半導体受光モジュール。
【請求項3】
前記出射側レンズ面から前記受光部までの距離が250μm、前記受光部の直径80μmとした場合に、前記設定角度は2.5度であることを特徴とする請求項1に記載の半導体受光モジュール。
【請求項4】
前記出射側レンズ面の曲率半径R2が1500μm~3500μm、前記出射側レンズ面から前記受光部までの距離が250μm、前記受光部の直径80μmとした場合に、前記所定距離は150μmであることを特徴とする請求項2に記載の半導体受光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,連続する複数の波長に対する受光感度の変動(リップル)が少ない半導体受光モジュールに関し、特に光ファイバーからの入射光をモジュール側の球面レンズを介して半導体受光部に結合させる半導体受光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信分野では、情報量の増加に伴って伝送容量を大容量化する技術開発が進められてきた。大容量化の為の波長多重方式(WDM)がある。この方法は一つの波長に高速の信号を載せ、連続する多数の波長(約1550~1610nm)を用いることで伝送容量を高める方法である。WDMでは、100波長程度ある入力波長ごとに異なる出力ポートに接続するスイッチ機能と、波長ごとに透過光パワーレベルを調整する減衰機能が必要となる。この機能を有する部品は波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch, WSS)と呼ばれる。
【0003】
WSS内では波長とポートの組合せごとにビームの経路は異なるため、まさにビームが飛び交っている。そのすべての経路に対して低損失かつ安定でなければならず、精密な減衰を実現するため、各波長の光出力をモニターする半導体受光モジュールにはどの波長(概ね1550-1610nmの範囲)に対しても同じ感度を有することが求められる。通常この波長範囲で受光モジュール感度バラつきは2%以内(あるいは0.1dB以内)が要求される。
【0004】
特許文献1の半導体レーザ装置においては、レーザ素子から受光素子への入射光と受光素子で反射した反射光との干渉を防止するために、受光素子を入射光に対して直交方向から傾斜した傾斜状に配置している。
【0005】
特許文献2の半導体受光装置においては、光ファイバーからの入射光と、受光面からの反射光との干渉によるノイズを抑制するため、入射光に対する直交方向に対して受光面を傾斜させている。
【0006】
特許文献3には、溶融ガラスの圧力成形で半導体用レンズを製作する技術が記載されている。特許文献4の半導体レーザモジュールにおいては、半導体レーザから光ファイバーへ入射する入射光が光ファイバー先端で反射して半導体レーザへ戻ることで発生するノイズを抑制するために、光ファイバー先端を斜めに形成している。
【0007】
図13はレンズを備えた一般的な半導体受光モジュールを模式的に拡大図示した断面図である。100は溶融ガラスの圧力成形で作成されたレンズである。入射側レンズ面102の曲率半径はR1,出射側レンズ面104の曲率半径はR2とする。このレンズに対向するように半導体受光素子106が適当な高さに載置されている。出射側レンズ面104の下面から半導体受光素子106の表面までの距離は数百ミクロン程度である。この距離を本明細書ではLGAPと称することとする。具体例を上げると、R1=836μm、R2=3500μmに対し、LGAPは250μmである。この数字はレンズの屈折率を1.45とした場合である。
【0008】
出射側レンズ面104(反射率r1)と半導体受光素子106の表面(反射率r2)は、いわゆる共振器を形成しており、出射側レンズ面104を通過した光は、半導体受光素子106の表面と出射側レンズ面104との間で多重反射を惹起する。多重反射が生じると、次の数式(1)で計算した相対感度(図14参照)のように、波長λの変動に対して半導体受光モジュールの感度が周期的に変化することになる(リップル)。
【数1】
【0009】
このリップルは感度の平坦化を求められるWDMシステムでは致命的な欠陥となる。図14からわかるように反射率r1又はr2が大きくなるとリップルの振幅が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開昭58-21889号公報
【文献】特開2012-129390号公報
【文献】特開昭56-19685号公報
【文献】特開昭61-138216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図13図14に示す先行技術において、反射が無くなればリップルが消滅することは上記の数式(1)から明らかであるが、リップルを2%以下に抑えるためには、反射率は0.1%以下が必要となる。この値を工業的に安定的製造することは極めて高度な技術が必要となり、製造工程に組み込むことは困難である。
【0012】
特許文献2を参考にすると半導体受光素子を光軸に対し傾きをもって組み立てることも解決策の一つと考えられるが、半導体受光素子を傾けて搭載するには、傾斜マウントに適したマウント装置の導入が必要であり、あるいはLGAPが数百μmと小さいため、半導体受光素子と出射側レンズ面が衝突する可能性も出てくる。
なお、特許文献4では、入射ファイバーの先端を斜めにするアイデアが提示されているが,レンズに関しては何も言及されていない。
【0013】
本発明の目的は、先行技術における上述の課題を解決しつつ、必要な波長範囲で感度のリップルが少ない半導体受光モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の半導体受光モジュールは、入射側レンズ面の曲率半径がR1、出射側レンズ面の曲率半径がR2である1つの球面レンズと半導体受光素子を有し、前記球面レンズにより入射光を前記半導体受光素子の受光部に集光するように構成した半導体受光モジュールにおいて、前記曲率半径R1<曲率半径R2であり、前記球面レンズの出射光の一部が前記受光部で反射して発生する反射光が前記出射側レンズ面を出射光が透過した領域に入射しないように、前記入射側レンズ面の光軸を前記半導体受光素子の受光部の中心を通る入射光の光軸と平行に設定し、且つ前記出射側レンズ面の光軸を前記入射側レンズ面の光軸に対して設定角度以上傾けたことを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、前記出射側レンズ面の光軸を前記入射側レンズ面の光軸に対して設定角度以上傾けるため、球面レンズの出射光の一部が受光部で反射して発生する反射光が前記出射側レンズ面を出射光が通過した領域に入射しないようになる。そのため、連続する複数の波長の入射光に対するリップルがほぼ解消され、半導体受光モジュールの感度バラツキは2%以内に低減する。
【0016】
請求項2の半導体受光モジュールは、入射側レンズ面の曲率半径がR1、出射側レンズ面の曲率半径がR2である1つの球面レンズと半導体受光素子を有し、前記球面レンズにより入射光を前記半導体受光素子の受光部に集光するように構成した半導体受光モジュールにおいて、前記曲率半径R1<曲率半径R2であり、前記球面レンズの出射光の一部が前記受光部で反射して発生する反射光が前記出射側レンズ面を出射光が透過した領域に入射しないように、前記入射側レンズ面の光軸と前記出射側レンズ面の光軸を前記半導体受光素子の受光部の中心を通る入射光の光軸と平行に設定し、且つ前記出射側レンズ面の光軸及び頂点を前記入射側レンズ面の光軸に対して光軸直交方向へ所定距離以上シフトさせたことを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、前記出射側レンズ面の頂点を前記入射側レンズ面の光軸に対して光軸直交方向へ所定距離以上シフトさせたため、球面レンズの出射光の一部が前記受光部で反射して発生する反射光が前記出射側レンズ面を出射光が通過した領域に入射しなくなる。
それ故、請求項1と同様に、連続する複数の波長の入射光に対するリップルがほぼ解消され、半導体受光モジュールの感度バラツキは2%以内に低減する。
【0018】
請求項3の半導体受光モジュールは、請求項1の発明において、前記出射側レンズ面から前記受光部までの距離が250μm、前記受光部の直径80μmとした場合に、前記設定角度は2.5度であることを特徴としている。
請求項4の半導体受光モジュールは、請求項2の発明において、前記出射側レンズ面の曲率半径R2が1500μm~3500μm、前記出射側レンズ面から前記受光部までの距離が250μm、前記受光部の直径80μmとした場合に、前記所定距離は150μmであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
上記のように、本発明によれば、前記のような効果がえられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1に係る半導体受光モジュールの縦断面図である。
図2】球面レンズと入射光と受光部
図3】キャップに軟化ガラスをセットした状態を示す縦断面図である。
図4】上成形型と下成形型とで軟化ガラスを成形する状態を示す縦断面図である。
図5】出射側レンズ面の傾き角と受光部からの反射光が出射側レンズ面を出射光が透過した領域に重なる割合の関係を示す特性図である。
図6】傾き角が0.5°のときの光線の透過形態を示す球状レンズの縦断面図である。
図7図6の場合に出射側レンズ面における出射光および受光部で反射した光線の光跡を示す説明図である。
図8】傾き角が5°のときの光線の透過形態を示す球状レンズの縦断面図である。
図9図8の場合に出射側レンズ面における出射光および受光部で反射した光線の光跡を示す説明図である。
図10】R2を変化させた場合の図5と同様の特性図である。
図11】実施例2に係る半導体受光モジュールの縦断面図である。
図12】実施例2に係る出射側レンズ面の光軸シフト量と受光部からの反射光が出射側レンズ面を出射光が透過した領域に重なる割合の関係を示す特性図であってR2を変化させた場合の特性図である。
図13】従来技術に係る半導体受光モジュールの縦断面図である。
図14】従来技術に係る波長と相対感度の関係を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1図2に示すように、半導体受光モジュール1は、例えば、光通信分野における波長選択スイッチに用いられる半導体受光モジュールであるが、その他の用途にも採用可能なものである。半導体受光モジュール1は、光ファイバー30及びフェルール31の先端に対向状に配置されて、光ファイバー30から受信した光信号を電気信号に変換するものである。
【0023】
この半導体受光モジュール1は、ホウ珪酸ガラス製の球面レンズ2と、この球面レンズ2との間に所定の隙間LGAPを空けて対向する半導体受光素子からなる受光部3と、受光部3を取付けるコバール製の取付台4及びこの取付台4から下方へ延びるコバール製のリード線5と、球面レンズ2を支持するコバール製の筒状のキャップ6と、このキャップ6の下端フランジ6bを支持するコバール製のベース板7とを備え、リード線5はベース板7の穴7aを貫通して下方へ延びている。
【0024】
前記球面レンズ2の入射側レンズ面10の曲率半径はR1であり、入射側レンズ面10の光軸10aは光ファイバー30から入射する入射光11の光軸11aと平行で且つ同心状に配置されている。入射側レンズ面10の光軸10aの位置で、出射側レンズ面12と受光部3の間には隙間LGAPがある。受光部3の中心は入射光11の光軸11aと一致している(図2参照)。
【0025】
球面レンズ2の出射側レンズ面12の曲率半径はR2であり、入射側レンズ面10の曲率半径はR1は出射側レンズ面12の曲率半径はR2よりも小さく設定されている。球面レンズ2から出射する出射光13の一部が受光部3で反射して発生する反射光13aが出射側レンズ面を出射光が透過した領域に入射しないように、出射側レンズ面12の光軸12aは、入射側レンズ面10の光軸10aに対して設定角度θ以上傾けられている。尚、出射側レンズ面12の反射率はr1であり、受光部3の反射率はr2である。
【0026】
本実施例の場合、例えば、曲率半径R1は836μm、曲率半径R2は3500μm、隙間LGAPが250μm、受光部3の直径は80μm、光ファイバー30から入射する入射光11の直径が150μm、球面レンズ2の屈折率1.45である。但し、上記の数値は例示であって、これらの数値に限定されるものではない。但し、図5に基づいて後述するように、設定角度θは2.5度である。
【0027】
図2に示すように、入射光11が球面レンズ2に入射し、入射側レンズ面10で屈折して、入射光11の直径が徐々に細く集光され、出射側レンズ面12において屈折してから、大部分の出射光13は受光部3に集光する。但し、出射光13の一部は受光部3の表面で反射する。しかし、出射側レンズ面12の光軸12aが入射側レンズ面10の光軸10aに対して2.5度以上傾けられているため、出射側レンズ面12での反射光13aは出射側レンズ面を出射光が通過した領域へ再び入射することはなく、同じ光路を往復することがないため多重反射が防止されることになる。
【0028】
次に、上記の球面レンズ2とキャップ6とからなるレンズユニット17を製作する方法について図3図4に基づいて説明する。
図3に示すように、前記コバール製のキャップ6(外径約1700μm)の上端係合部6aの開口部6hに軟化したホウ珪酸ガラスの軟化ガラス体14を載せて支持させる。次に、図4に示すように、出射側レンズ面12を成形するためのコバール製の下型15であって、前記のように入射側レンズ面10の光軸10aに対して2.5度以上傾斜させた出射側レンズ面12を成形可能な下型15をキャップ6の内部の軟化ガラス体14の下方の位置に摺動自在に挿入する。
【0029】
上記と並行して、入射側レンズ面10を成形するためのコバール製の上型16を軟化ガラス体14の上方に対向させてから、図示外の押圧手段によって下型15と上型16とを同時に相接近方向へ押圧して、軟化ガラス体14を圧縮成形後に冷却する。その後、下型15と上型16とを取り外すことにより、球面レンズ付のレンズユニット17を製作することができる。
【0030】
図5は、入射側レンズ面10の光軸10aに対する出射側レンズ面12の光軸12aの傾き角θを0~4度の範囲で変化させ、受光部からの反射光が出射側レンズ面を出射光が透過した領域に重なる割合をコンピュータによりシミュレーションした結果を示すものである。
傾き角θが0~2.5度の範囲では重なる割合が数%以上になり、特に傾き角θが1度以下の場合には重なる割合が50%以上となり、受光部3と出射側レンズ面12との間で多重反射が起こっていることが分かる。傾き角θが2.5度以上のときには、重なる割合が0%に収束することから、多重反射を防止するためには、傾き角θを2.5度以上に設定することが必要である。
【0031】
図6は傾き角θが0.5度の場合の球面レンズ2と、入射光11及び出射光13と、受光部3の縦断面図を示し、図7図6の場合に出射側レンズ面12の100μmの範囲における出射光および受光部3で反射した光線の光跡の裏面図を示す。この図7において円18は受光部3で1回反射して出射側レンズ面に入射した反射光の光跡を示し、円19は受光部3と出射側レンズ面12で3回反射して出射側レンズ面12に入射した反射光の光跡を示す。
【0032】
図8は傾き角θが5度の場合の球面レンズ2と、入射光11及び出射光13と、受光部3の縦断面図を示し、図9図8の場合に出射側レンズ面12の200μmの範囲における出射光および受光部3で反射した光線の光跡の裏面図を示す。図9において円20は受光部3で1回反射して出射側レンズ面に入射した反射光の光跡を示し、円21は受光部3と出射側レンズ面12で3回反射して出射側レンズ面12に入射した反射光の光跡を示す。
図8においても、出射光13が受光部3の中心近傍位置に集光していることが分かる。
【0033】
図10は、出射側レンズ面12の曲率半径を1500μm、2500μm、3500μmの3通りに変化させて、図5と同様に受光部3からの反射光が出射側レンズ面を出射光が透過した領域に重なる割合をコンピュータによりシミュレーションした結果を示すものである。出射側レンズ面12の曲率半径R2が変化した場合にも、傾き角θが2.5度以上では、重なる割合は0%に収束することが分かる。
【0034】
次に、以上説明した半導体受光モジュール1の作用、効果について説明する。
出射側レンズ面12の光軸12aを入射側レンズ面10の光軸10aに対して設定角度θ(但し、θ=2.5度)以上傾けるため、球面レンズ2の出射光13の一部が受光部3で反射して発生する反射光13aが出射側レンズ面を出射光が透過した領域に入射しないようになる。そのため、連続する複数の波長λの入射光に対するリップルがほぼ解消され、半導体受光モジュール1の感度バラツキは2%以内に低減させることができる。
【実施例2】
【0035】
次に、実施例2に係る半導体受光モジュール1Aについて説明する。
但し、前記実施例1と同様の構成要素に同一の符号を付して説明を省略し、主に異なる構成についてのみ説明する。
前記実施例1では、出射側レンズ面12の光軸12aを入射側レンズ面10の光軸10aに対して設定角度θ以上傾けたが、入射光11の光軸11aの位置(つまり、入射側レンズ面10の光軸10aの位置)で、出射側レンズ面12を傾けた状態に形成すれば実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
図11に示すように、この半導体受光モジュール1Aは、入射側レンズ面10の曲率半径がR1、出射側レンズ面12の曲率半径がR2である球面レンズ2Aを有し、入射側レンズ面10の光軸10aと出射側レンズ面12Aの光軸12bが入射光の光軸11aと平行に設定され、球面レンズ2Aにより入射光を半導体受光素子の受光部3に集光するように構成した半導体受光モジュールである。
【0037】
前記曲率半径R1<曲率半径R2であり、球面レンズ2Aの出射光の一部が受光部3で反射して発生する反射光が出射側レンズ面を出射光が透過した領域に入射しないように、出射側レンズ面12Aの頂点12cを入射側レンズ面10の光軸10aに対して光軸直交方向へ所定距離S以上シフトさせた。
【0038】
図12は、出射側レンズ面12Aの曲率半径を1500μm、2500μm、3500μmの3通りに変化させて、出射側レンズ面の頂点12cを入射側レンズ面10の光軸10aに対して光軸直交方向へシフトさせたシフト距離を0~200μmの範囲で変化させた場合に、受光部3からの反射光が出射側レンズ面を出射光が透過した領域に重なる割合をコンピュータによりシミュレーションした結果を示すものである。出射側レンズ面12Aの曲率半径R2が変化した場合にも、シフト距離が150μm以上では、重なる割合は0%に収束することが分かる。
【0039】
このように、出射側レンズ面12Aの頂点12cを入射側レンズ面10の光軸10aに対して光軸直交方向へ150μm以上シフトさせることが必要である。
尚、上記の半導体受光モジュール1Aの作用、効果は、前記の半導体受光モジュール1と同様であるので説明を省略する。
【0040】
次に、前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
(1)図3図4では、1組の半導体受光モジュール1を製作する場合を例にして説明したが、実際には直列状に並べた複数のキャップ6及び下型15と、直列状に並べた複数の上型16とを用いて、直列状に並べた複数の半導体受光モジュールを同時に製作してもよい。
【0041】
(2)前記半導体受光モジュール1,1Aにおけるキャップ6の構造やベース板7の構造は一例にすぎず、種々の構造を採用可能である。
また、実際にはキャップ とベース板 に対して管部材 と取付台 と受光部 を高さ方向に位置決めする位置決め機構も設けられるが、ここでは図示省略している。
(3)その他、当業者ならば本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【符号の説明】
【0042】
1,1A 半導体受光モジュール
2,2A 球面レンズ
3 受光部
10 入射側レンズ面
10a 入射側レンズ面の光軸
11 入射光
11a 入射光の光軸
12,12A 出射側レンズ面
12a,12b 出射側レンズ面の光軸
13 出射光
13a 反射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14