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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】エキスパンションジョイント
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
E04B1/68 100Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022130998
(22)【出願日】2022-08-19
【審査請求日】2022-08-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000127639
【氏名又は名称】株式会社エービーシー商会
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 潤
(72)【発明者】
【氏名】力丸 真也
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-087580(JP,A)
【文献】特開2013-096212(JP,A)
【文献】特開2007-009449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋内の壁面に設けられた間隙を挟んで向かい合う躯体間に、弾性材料を用いて略蛇腹形に形成されたエキスパンションジョイントカバーを架設して前記間隙を覆うエキスパンションジョイントであって、前記エキスパンションジョイントカバーの背面に隣接させて、前記屋内から間隙内方への人為的な外力をエキスパンションジョイントカバーが受けたときに同方向への当該カバーの撓みの発生を規制する撓み抑制機構が前記間隙内に設けられたエキスパンションジョイントにおいて、
前記撓み抑制機構は、伸縮性を有するロッドを前記間隙幅方向に対して傾斜した向きにその両端部を伸長させて、前記エキスパンションジョイントカバーのカバー本体には接続せずに、且つ前記間隙内で前記屋内の床面から1500mm程度の高さに亘るように配置して躯体間に架け渡した構成を有することを特徴とするエキスパンションジョイント。
【請求項2】
エキスパンションジョイントカバーは、間隙の幅方向に沿って複数のエキスパンションジョイントカバーが直列に並べられ、且つ隣接カバーの端部同士を接続して構成され、このエキスパンションジョイントカバーの背面側に設けられた中心位置保持機構に前記エキスパンションジョイントカバーの端部同士の接続部が接続された構成を有することを特徴とする請求項1に記載のエキスパンションジョイント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエキスパンションジョイントにおいて、
エキスパンションジョイントカバーは、当該カバーの正面側に突出した山折れ部と背面側に突出した谷折れ部が交互に繰り返す略蛇腹形のカバー本体の両側に前記躯体への取り付け部をそれぞれ設けて形成され、
前記カバー本体は、その山折れ部の頂部に平坦部、谷折れ部の背面側へ突出した端部に肉厚部をそれぞれ有し、前記両取り付け部の間で当該カバーの背面側に四つ以上の谷折れ部が突出した形状を備えたものであることを特徴とするエキスパンションジョイント
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の間隙を、弾性材料からなるエキスパンションジョイントカバー(以下、単に「カバー」ともいう。)で覆うエキスパンションジョイントの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物(建物)は、これを構成する躯体の温度変化や地震のときなどにかかる荷重の影響を避けるため、構造物を複数の躯体に分割して躯体間に間隙を設けて建てられ、各間隙には、間隙の両側の躯体同士を一体に接続したまま躯体が相互に異なる方向に変位してもそれに追従変形して応力を吸収するように構成されたエキスパンションジョイントが設置されている。
【0003】
エキスパンションジョイントのカバーは、金属製のカバー材が複数の部材を組み合わせて可動機構を構成しているのに対し、弾性カバー材は素材そのものが伸縮して可動に柔軟に追従するため、可動性能に優れ、エキスパンションジョイントの構造がシンプルで構成部材点数が少なくて済む利点がある。
【0004】
このような弾性カバー材は、伸縮性能付与のため、通常、その内部に波形断面に屈曲乃至湾曲した略蛇腹形の部分を設けて形成され、間隙の両側の躯体壁面間に架け渡して間隙の開口面を覆う金属製のカバー材と異なり、間隙の内側に設置してカバー材が間隙内に納められ、これにより、間隙が設けられた部分の意匠が良好なものとなるようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-9449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建物の屋内の壁面に設けられた幅が200mmを超える間隙では、この間隙を前記従来の弾性材料からなるエキスパンションジョイントカバーで覆っていた場合に、人がカバーに手を押し付けたり肩から寄りかかったりすることが可能となる。かかる場合に、カバーを手で押したりカバーに寄りかかったりすると、外力を受けたカバーが撓むため、手や肩が間隙内にある程度没入して、押したり寄りかかったりした人に不安や危険を感じさせる虞がある。
幅の広い間隙に前記エキスパンションジョイントカバーを設置する態様では、室内から間隙内方への人為的な外力を受けたときに同方向へのカバーの撓みの発生を抑制する手立てを講じる必要がある。
【0007】
また、前記従来の弾性材料からなるエキスパンションジョイントカバーを大型化した場合に、大型化に伴ってカバー自体の重量が増す。そのため、これを建物の天井面に設けられた間隙に設置する態様では、カバー自体の重みでダレが生じることは避けられない。天井面の間隙に設置するエキスパンションジョイントでは、ダレの発生を抑制する手段を講じてエキスパンションジョイントカバーを設置する必要がある。
【0008】
本発明は、弾性材料からなるエキスパンションジョイントカバーを従来よりも大型化して、これを幅広の間隙に設置した場合に生じる前述の問題点を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明は、構造物に設けられた間隙を挟んで向かい合う躯体間に、弾性材料を用いて略蛇腹形に形成されたエキスパンションジョイントカバーを架設して前記間隙を覆うエキスパンションジョイントにおいて、
前記エキスパンションジョイントカバーの背面に隣接させて、当該エキスパンションジョイントカバーの背面側への撓みを規制する撓み抑制機構が前記間隙内に設けられた構成を有することを特徴とする。
【0010】
前記構成のエキスパンションジョイントによれば、地震発生などで間隙の両側で躯体が相対変位した際に、略蛇腹形に形成されたエキスパンショントカバー自体が変位に追従して伸縮しつつ弾性変形することで間隙を閉鎖した状態を保持することができる。
前述のとおり、建物の屋内の壁面に設けられた幅の広い間隙にエキスパンションジョイントカバーが設置されていた場合に、人がカバーを手で押したり寄りかかったりすることがあるが、エキスパンションジョイントカバーの背面側に撓み抑制機構を設けることで、前記押したり寄りかかったりした際にカバー表面に外力が加わっても、カバーが間隙内方へ撓みにくくなり、設置時の形状を保持することができる。カバーを押した手や肩がカバーの撓みによって間隙内に没入するようなことはない。
【0011】
エキスパンションジョイントカバーの背面側に設ける撓み抑制機構は、例えば、伸縮性を有するロッドを用い、これをエキスパンションジョイントカバーのカバー本体には接続せずに躯体間に、間隙の幅方向に沿って水平に、或いは間隙の幅方向とは傾斜した向きに配して取り付けて構成することができる。
屋内の壁面に設けられた間隙にエキスパンションジョイントカバーが設置されていた場合、背の低い幼児がカバーを手で押したり背の高い大人がカバーに寄りかかったりすることがあり、換言すれば、エキスパンションジョイントカバーには床面から1500mm程度の高さに亘る部分に室内から間隙内方への外力が加わりやすことから、かかる範囲にエキスパンションジョイントカバーの背面側に前記ロッドを設置することが好ましい。
ロッドは、その一方の端部を一方の躯体に接続し、伸長させた状態で他方の端部を他方の躯体に接続して間隙幅方向に沿って水平に架設することができる。或いは、間隙幅方向に対してロッドを傾斜させて伸長させた状態で、その両端部を両躯体に接続して架設することができる。ロッドは、間隙長さ方向に間隔を開けて複数本をエキスパンションジョイントカバーの背面側の躯体間に架け渡してもよい。
【0012】
ロッドは間隙幅方向に沿って水平に架設することができるが、ロッドを間隙幅方向に対して傾斜するように向けて架設する場合は、間隙幅方向に沿って水平に設置する場合と比較して、エキスパンションジョイントカバーの可動時の伸び率を小さくすることができるため伸び率の小さい材質のロッドでも対応可能であり、また、架設した際のロッド自体の、或いはロッド端部の係合部位の負荷を軽減することができて有利といえる。また、ロッドを傾斜した向きに架設する位置を任意に変更することで、幅の異なる間隙に対しても同じ長さのロッドを使用して対応可能であり、引張強さ(伸長度合い)を適宜に調整することが可能となる。
【0013】
幅の広い間隙に対しては、躯体間に複数の前記エキスパンションジョイントカバーを直列に接続して架設して間隙を覆うとともに、前記と同様にエキスパンションジョイントカバーの背面側に撓み抑制機構を設置して、カバーが間隙内方に撓みにくくすることができる。
すなわち、幅の広い間隙に設けるエキスパンションジョイントは、前記間隙の幅方向に沿って複数のエキスパンションジョイントカバーを直列に並べ、且つ隣接カバーの端部同士を接続してエキスパンションジョイントカバーを構成し、このエキスパンションジョイントカバーの背面側に設けられた中心位置保持機構に前記エキスパンションジョイントカバーの端部同士の接続部を接続するとともに、前記エキスパンションジョイントカバーの背面に隣接させて、当該エキスパンションジョイントカバーの背面側への撓みを規制する撓み抑制機構を間隙内に設けた構成とすることができる。
【0014】
前記幅の広い間隙に設けるエキスパンションジョイントにおいて、撓み抑制機構として伸縮性を有するロッドを用いる場合に、ロッドは間隙幅方向とは傾斜した向きに伸長させて、躯体間、又は躯体と中心位置保持機構に設けられた中心保持杆との間に架け渡して設置することができる。
【0015】
前記構成のエキスパンションジョイントにおいて、エキスパンションジョイントカバーは、当該カバーの正面側に突出した山折れ部と背面側に突出した谷折れ部が交互に繰り返す略蛇腹形のカバー本体の両側に前記躯体への取り付け部をそれぞれ設けて形成され、前記カバー本体は、その山折れ部の頂部に平坦部、谷折れ部の背面側へ突出した端部に肉厚部をそれぞれ有し、前記両取り付け部の間で当該カバーの背面側に四つ以上の谷折れ部が突出した形状を備えたものを用いることができる。
【0016】
前記エキスパンションジョイントカバーは、ゴム弾性を有する材料、好ましくは熱可塑性エラストマーを用いて適度な弾性と硬さを有して形成することができ、このエキスパンションジョイントカバーのサイズを大型化した場合、蛇腹を形成するカバー本体の山折れ部と谷折れ部の数が増加するのに伴ってカバーのダレが生じやすくなる。この、ダレが生じやすくなることの対策として、エキスパンションジョイントカバーは、その山折れ部と谷折れ部が、山折れ部の平坦部の幅(Wm)と谷折れ部の開口端の幅(Wv)の寸法比(Wv:Wm)が、(Wv:Wm)=0.5~0.7の範囲となるように形成されていることが好ましい。
エキスパンションジョイントカバーの前記平坦部の幅(Wm)と谷折れ部の開口端の幅(Wv)の寸法比(Wv:Wm)が0.5から0.7の範囲に設けられていれば、カバーの定形性が保持されてダレを生じさせずに間隙に取り付けることができる。なお、前記寸法比が0.7を超えるとカバー全体の重量増加に伴うダレが生じやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のエキスパンションジョイントの一実施形態の概略外観図である。
図2図1のエキスパンションジョイントの概略平面図である。
図3図1に示されたエキスパンションジョイントカバーの端面図である。
図4図3の部分拡大図である。
図5】カバー撓み抑制用のロッドの外観図である。
図6図1及び図2のエキスパンションジョイントを間隙内からみたときの図である。
図7】カバー撓み抑制用のロッドを間隙に複数本架設した態様のエキスパンションジョイントを示した図である。
図8】本発明の他の実施形態のエキスパンションジョイントの概略平面図である。
図9図8のエキスパンションジョイントのカバーを外した状態の概略正面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明の技術的思想は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は本発明のエキスパンションジョイントの一実施形態の概略外観図、図2はその概略平面図である。
図示したエキスパンションジョイント1は、建物の屋内の壁面に設けられた間隙Gを挟んで向き合う躯体A,Bの内壁面の取り合い部分に設置されたものであり、間隙Gに臨む躯体Aの端部A1と躯体Bの端部B1間にエキスパンションジョイントカバー2を架け渡して、屋内側に開口した間隙Gをカバー2で遮蔽するとともに、躯体A,Bの内壁面A2,B2をカバー2で一つ続きに接続し、さらにカバー2の背面側にカバー2の撓みを抑制するための機構であるロッド6を間隙G内に架設して構成したものである。図示した形態は、間隙幅(Wg)が300mm程度の屋内壁面の間隙Gを、後述するカバー2で覆う態様を示している。
【0020】
詳しくは、エキスパンションジョイント1は、屋内に面した間隙Gの幅方向に伸縮自在に形成されたカバー2の両側端部を、間隙Gに臨む躯体Aと躯体Bの端部A1,B1にアンカーボルトなどの固着具4で固定された支持材3,3に接続して間隙Gをカバー2で覆い、地震などで躯体A,Bが相対変位して間隙Gの伸縮やずれが生じたときに、前記変位に追従してカバー2が伸縮変形することで変位を吸収し、躯体A,Bの内壁面A2,B2が欠損部のない一体の壁面に維持されるように構成されている。
【0021】
カバー2は、間隙Gを覆う幅を有する弾性材料からなるカバー材であり、当該カバーの正面側に突出した山折れ部21と背面側に突出した谷折れ部22が交互に繰り返す蛇腹形のカバー本体の両側に、前記支持材4に接続する取り付け部23,23をそれぞれ有して、間隙Gの長さ方向、つまり前記内壁面A2,B2の高さ方向に沿って帯状に形成してある。
【0022】
詳しくは、カバー2のカバー本体は、その山折れ部21の頂部に平坦部、谷折れ部22の背面側へ突出した端部に肉厚部をそれぞれ有し、前記両取り付け部23,23の間に谷折れ部22を挟んで五つの山折れ部22を配置した形状に設けてある。また、カバー2の山折れ部21と谷折れ部22は、図4に示されるように、山折れ部21の平坦部の幅(Wm)と谷折れ部の開口端の幅(Wv)の寸法比(Wv:Wm)が0.5~0.7の範囲に収まる寸法に設けてある。カバー2はその両側の取り付け部23,23間の幅(Wec)を前記間隙Gの幅(Wg)と略同じか、それより若干小さい寸法に設定してある。
【0023】
ロッド6は、図5に示されるように、前記カバー2と同様に、ゴム弾性を有する材料、好ましくは熱可塑性エラストマーを用いてその軸方向に伸縮自在に形成された棒状の部材であり、その両端部に鉤状の係合フック61,61を一体に設けて形成してある。
ロッド6は、本形態では300mm程度の間隙Gの幅に対して、それよりも若干大きな長さに形成されており、図2及び図6に示されるように、カバー2の背面に隣接させて、その両端部間を間隙Gの幅方向とは傾斜した向きに沿って伸長させてテンションを与えた状態で、躯体A,Bの端部A1,B1に前記支持材3に固定された又は支持材3と一体の連繋部材5,5にフック61,61をそれぞれ係合して、間隙Gの幅方向に対して傾斜させて躯体A,B間に架け渡して取り付けてある。
【0024】
エキスパンションジョイント1の施工は、間隙Gの両側の躯体A,Bの端部A1,B1に支持材3又はこれと一体の連繋部材5をそれぞれ固定し、連繋部材5,5間にロッド6を間隙Gの幅方向に対して傾斜する向きに取り付け、次いで、支持材3,3にカバー2の両側の取り付け部23,23を接続して、躯体A,B間にカバー2を架設する手順で行うことができる。
【0025】
なお、カバー2が背面側へ撓みにくいようにするため、図7に示されるように、複数本のロッド6をカバー2の背面側で間隙Gの長さ方向に沿って互いに間隔を開けて両躯体A,B間に斜めに架け渡されるように構成してもよい。
【0026】
図8及び図9は幅の広い間隙Gに対して前記カバー2を複数直列に接続して躯体A,B間に取り付けた形態を示している。なお、図9図8に示されたエキスパンションジョイント1のカバー2,2を外した状態を正面から見たときの概略構成を示している。
【0027】
両図に示されたエキスパンションジョイント1は、間隙Gに面した躯体A,Bの端部に支持材3と連繋部材5をそれぞれ固定するとともに、両支持材3,3間に端部同士を接続して直列に並べた二つのカバー2,2を設し、また、両連繋部材5,5間にパンタグラグ形の中心位置保持機構7を架設し、この中心保持機構7を構成する通し材71に前記カバー2,2の端部同士の接続部を接続し、さらにカバー2,2の背面側であって中心位置保持機構7との間にカバー2,2の撓みを抑制する機構である伸縮性を有するロッド6を取り付けて構成してある。
中心位置保持機構7は、前記カバー2,2の端部同士の接続部が接続されて、躯体A,Bが間隙Gの幅を拡大又は縮小するように相対変位した際に、カバー2,2とともに間隙Gの幅方向に沿ってスライド変位し、前記間隙G内のカバー2,2の端部同士の接続部を当該カバー2,2の施工当初の位置に保持させるように設けられている。
【0028】
本形態では、図8及び図9に示されるように、間隙Gを覆うカバー2,2に対して前記中心位置保持機構7は、間隙Gの長さ方向に沿って複数が躯体A,B間に架設され、且つ各機構の中心を通し材71で連結して構成されているとともに、中心位置保持機構7に取り付けられた支持材3に連繋部材5が取り付けられ、前記ロッド6は、間隙幅方向とは傾斜した向きに伸長させて、両躯体A,Bと前記連繋部材5との間に架け渡して取り付けられている。
【0029】
なお、図示したエキスパンションジョイント及びエキスパンションジョイントカバーの形態は一例であり、本発明は屋内外のエキスパンションジョイントの設置場所や間隙の大きさなどに応じて適宜な形態で適用が可能である。
前記実施の形態では、エキスパンションジョイントカバー2として、図3及び図4に示した形態のものを用いたが、弾性材料を用いて略蛇腹形に形成されたものであれば、他の形状のものを用いてもよい。また、撓み抑制機構として伸縮性を有するロッド6を用いたが、カバーの背面側に設置されて当該カバーの表面から間隙内方への外力が加えられた際に同方向へのカバーの撓みを抑制することが可能であれば、バネなどの他の構成のものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 エキスパンションジョイント、2 カバー(エキスパンションジョイントカバー)、21 山折れ部、22 谷折れ部、23 取り付け部、3 支持材、4 固着部材、5 連繋部材、6 ロッド、7 中心位置保持機構、71 通し材、A,B 躯体、G 間隙
【要約】
【課題】幅広の間隙に弾性材料からなる略蛇腹形のエキスパンションジョイントカバー設置したときの当該カバーの間隙内への撓みの発生を抑制する。
【解決手段】エキスパンションジョイントカバー2の背面に隣接させて、間隙G内に撓み抑制機構を設置する。撓み抑制機構として伸縮性を有するロッド6が用いられ、これを間隙Gの幅方向とは傾斜した向きに伸長させて躯体A,B間に架け渡して取り付ける。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9