(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】回転ポール上の推進装置を有する回転翼航空機
(51)【国際特許分類】
B64C 27/18 20060101AFI20221227BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20221227BHJP
B64C 27/72 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
B64C27/18
B64D27/24
B64C27/72
(21)【出願番号】P 2019543880
(86)(22)【出願日】2018-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2018071196
(87)【国際公開番号】W WO2019063169
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】102017000108804
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519290242
【氏名又は名称】ヴィナーティ ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】フェリーチェ ヴィナーティ
(72)【発明者】
【氏名】ジャコモ ヴィナーティ
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ ヴィナーティ
(72)【発明者】
【氏名】マリアキアーラ ヴィナーティ
(72)【発明者】
【氏名】サムエーレ ヴィナーティ
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202015001341(DE,U1)
【文献】米国特許第02771255(US,A)
【文献】米国特許第08764397(US,B1)
【文献】米国特許第02944610(US,A)
【文献】特開平04-237697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/18
B64D 27/24
B64C 27/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼(40)のブレードの端部に取付けられた推進装置(10)を備える回転翼航空機(100)であって、
前記推進装置(10)は、
前記航空機(100)の上部に位置し、1つの前記回転翼に機械的に連結され、前記回転翼
を回転させるようになっている
1つの回転マスト(50)
と、
前記回転マスト(50)に機械的に連結可能な
1つの回転ポール(20)
と、
前記回転ポール(20)の両端部に設けられ、1つの前記回転翼(40)を回転させることにより前記航空機(100)を飛行させるように構成された一対の電気タービン(30)とを備えており、
前記回転翼航空機は、
前記電気タービン(30)に電力を供給するバッテリと、コンピュータを備えており、
前記回転ポール(20)の回転が前記回転翼(40)の回転面に対して異なる平面で行われ、
前記航空機(100)の、前記回転マスト(50)への前記回転ポール(20)の取付け点は、前記航空機の集合スワッシュプレートおよび振動システム(60)の上に配置されており、
前記回転ポール(20)は、回転させたときに揚力が生じないように形成されており、
前記回転翼航空機は、1つの前記回転翼(40)を前記電気タービン(30)により前記回転マスト(50)の軸の周りで回転させることにより提供される推力によって推進され、垂直離陸及びホバリングが可能に構成されていることを特徴とする回転翼航空機(100)。
【請求項2】
前記回転マスト(50)は、
支持体により、前記航空機(100)の上部に回転自在に支持されている、請求項1に記載の回転翼航空機(100)。
【請求項3】
前記回転ポール(20)は、
炭素繊維から作られており、前記バッテリから前記電気タービン(30)に向かう導電体を通れるようにするために、中空である、請求項1に記載の回転翼航空機(100)。
【請求項4】
前記推進装置(10)は、前記ブレードのサイクリック/コレクティブのシステムから独立して設けられている請求項1に記載の回転翼航空機(100)。
【請求項5】
前記回転ポール(20)は、固定型ジョイント(25)により、前記回転マスト(50)に一体的に機械的に連結されている、請求項1に記載の回転翼航空機(100)。
【請求項6】
前記回転翼航空機(100)は、ペダルを使用することによって、ヨー軸上で最大360°まで、前記回転翼航空機(100)を回転させるように制御しうる2つの電気ファン(110、120)を備えている、請求項1に記載の
回転翼航空機(100)。
【請求項7】
前記推進装置(10)を備える請求項1に記載の回転翼航空機(100)の使用方法であって、
前記電気タービン(30)を電力で回転させて前記回転ポール(20)を回転させ、かつ前記回転マスト(50)
に連結された前記回転翼(40)を回転させて、
前記回転翼航空機(100)を推進させる、回転翼航空機(100)の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に回転翼航空機用の、推進装置、ならびにこの推進装置を備える回転翼航空機に関する。この推進装置は、航空工学以外の分野、特に発電の分野において使用することもできる。
【背景技術】
【0002】
ヘリコプターなどの回転翼航空機用のいくつかの異なる推進装置が公知である。
【0003】
特に、回転翼のブレードの端部に取り付けられる推進装置については、従来試験されているが、この推進装置は、取付けられているコレクティブ/サイクリック装置と干渉するという問題を有していた。
【0004】
このタイプの公知の推進装置には、基本的に、いわゆるコールドジェットまたはチップジェットのシステムが含まれる。
【0005】
フランス国の技術者によって開発されたこの装置は、マストすなわち回転翼のシャフトを通して送られる高圧空気を生成することのみを目的として設置されたタービンを備えており、次いで複雑なシステムにより、高圧空気がヘリコプターのブレード内を通って、同ブレードの端部に至り、この端部に設けられているノズルから、高圧の空気を吐出させてブレードを回転させ、飛行を可能にしていた。
【0006】
コールドジェットシステムは、ブレードのピッチに作用が及んだとき、すなわちブレードが揚力を生成するように角度を変えたときに、ブレードの端部から出てくる空気の噴射がかなりの問題を生じさせたため、断念されている。この時、推進ジェットによって、ブレードは上向きに押される。
【0007】
次いで、サイクリック制御が作動し、それにより、ブレードが継続的にそのピッチを変化させ、次いで、ジェットにより、サイクリックピッチの傾斜の関数として、振動する推力が生成されたときのことを想像されたい。
【0008】
また、このジェットにより、ブレードの傾斜(マストの垂直軸方向の動き)がほとんど全体的に妨げられ、常に「押して」おり、自由に傾斜することは全くなかった。
【0009】
これは、推力ジェットにより影響されるフラッピング運動にも当てはまる。
【0010】
このプロジェクトは、50年代の初期に行われたもので、その後打ち切られている。
【0011】
機体重量、飛行持続時間、有効搭載量の観点から、有利ではなかった。
【0012】
唯一の利点は、マストが固定されておらず、動きを伝達するときにトルクの問題が生じないため、メインロータ、テールロータ、およびフリーホイールがないことであった。
【0013】
過去に試行され、かつ試験されてきた別のシステムは、いわゆるホットジェットシステムである。
【0014】
このホットジェットシステムは、ヘリコプターのブレードの先端部にラムジェットを設けたものである。
【0015】
ホットジェットシステムは、コールドジェットよりも構造が簡単であるが、ラムジェットが各ブレードの端部に配置されているので、上に述べた重大な欠点、すなわちブレードピッチ、サイクリック、チルティング、およびフラッピングに変化を生じさせることとなり、同じ問題を有している。
【0016】
これらの問題に、燃料消費の問題も加えなくてはならず、燃料消費量が非常に高いため、20~30分よりも長い時間飛行することは、全く不可能である。
【0017】
従来の他のすべての推進システムは、ロータ及びクラウン/スプロケットを介して、マストに直接連結されているため、供給しなくてはならない力が著しく高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、特に、回転翼のブレードの端部に取付けられた推進システムにより生じる公知の技術上の問題を、航空機の重量という観点からの節減を同時に可能にする解決策を用いて、克服することである。本発明の別の目的は、従来の航空機に比べて、コストを低減させることができる回転翼航空機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この明細書を読むことによって明らかになる上記目的並びにその他の目的は、回転翼航空機用の推進装置であって、前記航空機が、前記回転翼を回転させるように構成された回転マストを備え、前記装置が、航空機の回転マストに機械的に連結された回転ポールを備えていることを特徴とし、前記回転ポールの端部のうちの1つに、回転ポールの回転により回転翼を回転させることができるように、回転ポールを回転させるようになっているモータを備える推進装置によって達成される。
【0020】
これを実現化することによる利点は、モータが回転ポールを回転させ、この回転運動を、回転翼のブレードに伝達するように構成されているので、従来型のモータを使用する必要がないことである。
【0021】
さらに、マストが固定されておらず、動きを伝達するときにトルクの問題がないため、メインロータ、テールロータ、またはフリーホイールを使う必要がない。
【0022】
別の大きい利点は、機体の重量が相当に低減されることである。
【0023】
本発明の一実施形態においては、使用される1つまたは複数のモータは電気タービンであり、これを以下ではeファンとも呼ぶ。
【0024】
本発明の代替的な実施形態においては、使用される1つまたは複数のモータは、ジェットモータ、またはプロペラモータ、またはターボプロップである。
【0025】
本発明はさらに、推進装置を備えている回転翼航空機であって、前記航空機は、前記回転翼を回転させるようになっている回転マストを備え、前記推進装置は、航空機の回転マストに機械的に連結可能なポールを備えていることを特徴とし、前記ポールの端部のうちの1つに、バッテリにより動力が供給され、ポールの回転により、回転翼を回転させることができるように、回転マストの軸の周りでポールを回転させるように構成された電気タービンが配置されている、ロータ翼航空機を提供するものである。
【0026】
したがって、電気タービンによって駆動されるポールが予見され、この電気タービンは、航空機自体に搭載されたバッテリによって駆動されるようになっている。
【0027】
本発明の一実施形態においては、モータが付いている端部とは反対のポールの端部に、カウンタウェイトが配置されている。
【0028】
本発明の別の実施形態においては、回転ポールは、回転し始めるときに揚力を生成しないように形作られている。
【0029】
本発明の別の実施形態によれば、回転ポールは、炭素繊維、または新しい概念の他の材料から作られている。
【0030】
本発明のさらなる特徴は、従属請求項から推論することができると思う。
【0031】
本発明の特徴および利点は、例として提供され限定するものではない以下の説明を、添付図面を見ながら読むことによって、明らかになると思う。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施形態による、回転翼航空機用の推進装置を具現化した概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による回転翼航空機を具現化した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の実施形態による回転翼航空機に適用可能な推進装置の概要を示するものであり、推進装置全体を符号10によって示してある。
【0034】
概説すると、本発明の回転翼航空機用の推進装置10は、前記回転翼40に機械的に連結された回転マスト50に関連している。
【0035】
この明細書では、回転翼航空機とは、シャフトの周りを回転するブレードと呼ばれる別の翼の表面によって生成される揚力を利用する、空気より重い航空機のことである。
【0036】
推進装置10は、回転翼航空機100の回転マスト50に、選択的なやり方で機械的に連結可能な回転ポール20を備え、この回転ポールの少なくとも1つの端部に、この回転ポール20を回転させるためのエンジン30が設けられている。
【0037】
好ましくは、航空機100の回転マスト50に取り付けられた回転ポール20の両端部に、それぞれエンジン30が設けられ、各エンジン30は、航空機100の回転マスト50を回転させるトルクを提供するようになっている。
【0038】
モータは、たとえば、回転翼航空機100に搭載されているバッテリによって電力が供給される電気タービンとすることができる。
【0039】
電気モータの場合には、回転ポール20の内側へ、電気接続および電力供給ケーブルを通しておくことが可能である。
【0040】
エンジン30を、ジェットエンジン、またはプロペラエンジン、もしくはターボプロップエンジンとすることができる。
【0041】
エンジンに燃料を供給することが必要な場合には、すべて、燃料流のための流路を、回転ポール20の内側に設けることが可能である。
【0042】
本発明の変形形態(簡単にするために示していない)では、航空機の回転マスト50に取り付けられた回転ポール20の、エンジン(たとえば電気タービン)30が取付けられている端部とは反対側の端部に、カウンタウェイトが配置されている。
【0043】
本発明の別の変形形態では、回転ポール20は、固定型ジョイント25によって、回転翼航空機100の回転マスト50に、機械的に直接連結される。
【0044】
あるいは、回転ポール20は、半固定型または関節型のジョイントによって、回転翼航空機100の回転マスト50に、機械的に連結される。
【0045】
回転ポール20の回転は、回転翼40の回転面とは異なる平面で行われる。
【0046】
また回転ポール20の回転は、ポール自体の長手方向軸と直交する軸の周りで行われる。
【0047】
特に、回転翼航空機100の回転マスト50に対する回転ポールの取付け点は、航空機のステアリングシステムの上または下に配置してもよく、たとえば、航空機の集合スワッシュプレートおよび振動システム60の上に(
図1の例と同様)、またはその下に配置してもよい。
【0048】
回転翼航空機100の集合スワッシュプレートおよび振動システム60は、公知のタイプのものであり、当技術分野で知られているやり方で、パイロットによって制御されるようになっていることに留意されたい。
【0049】
回転ポール20の形状は、その回転中に回転ポール20が大きい揚力を生成しないようになっていれば、いかなる形状であってもよい。
【0050】
あるいは、回転ポール20を、回転により垂直離陸するのに十分な揚力などを生成することができる形状とすることもできる。
【0051】
回転ポール20は、炭素繊維製とするのが好ましい。
【0052】
図1に示す推進システムは、導入部で示され、当該技術分野で公知の推進システムとは、実質的に異なっている。
【0053】
この推進システムは、機体のブレードの端部に設けられるのではなく、本書の導入部で述べた事例のような飛行システムを構成している。
【0054】
本発明の目標である推進システムは、ヘリコプターまたは他の垂直離陸航空機のシャフトまたはマストにしっかり付けられた十分な大きさの回転ポール20(パワーロッドとも呼ぶ)から構成され、ヘリコプターその他の垂直離着陸航空機のブレードとは完全に独立している。
【0055】
マストはロータを有していないが、適切な支持体(推力軸受など)を支えとして、両端部の、1個または複数のエンジンによって駆動され、自由に回転する。
【0056】
推進装置10の動作中に、エンジン30は、
図1の矢印F1によって示される回転トルクを発生させ、回転マスト50に連結されているため、矢印F2によって示されている方向に応じて、回転翼40を回転させる。
【0057】
図2は、本発明の実施形態による回転翼航空機100を概略的に示す。
【0058】
この実施形態では、回転翼航空機100に、2つの電気ファン(eファン)110、120が設けられ、これらのファンは、ペダルを使用することにより、ヨー軸上で、最大360°まで回転させるように制御することができるようになっている。
【0059】
搭載コンピュータは、システムトリムを使用して、ヘリコプターの機首が指す方向を制御する。
【0060】
非限定的な例をあげれば、回転翼航空機100の回転翼40の長さは、9030mmであり、パッドの大きさは5530mmである。
【0061】
本発明の様々な実施形態による推進装置10は、次の利点を有する。
【0062】
1- 飛行に必要な動力の低減:実際に、回転ポール20の端部に付けられたプロペラと回転マスト50の中央との間に距離があるため、レバー効果を利用することにより、回転ポール20の端部において必要な動力は、回転マスト50の軸に加える必要がある動力に比べて、かなりの程度まで低減される。
【0063】
しかし、一般妥当性のある式P.L.=38xη/√(D.L.)を使用して、必要な推力を計算することが必要であり、ここで、
P.L.=動力荷重Kg/HP
D.L.=円板荷重Kg/m2
η=選択されたエンジンの空力効率
である。
【0064】
MTOW(最大離陸重量)が定義されたら、エンジンの必要な推力を推定することができる。
【0065】
2- すでに試験され、導入部で示された推進システムとは対照的に、推進システムを、ブレードのサイクリック/コレクティブのシステムから独立させる。
【0066】
実際、本発明の推進装置は、航空機のモータシステムである回転マスト50に一体に設けられている。
【0067】
したがって、本事例では、推進装置10は、サイクリック、コレクティブ、フラッピング、およびチルティングのシステムからは分離されており、これらのシステムは、従来型のものであり、推進システムから干渉されることなく、本来の機能を実行し続ける。
【0068】
3- 本発明は、マストの回転運動を生じさせるために設置された典型的なエンジンを、それらが従来型かタービン式かに関係なく、なくすことを可能にする。
【0069】
4- 本発明は、メインロータ(スプロケット-クラウン)をなくすことを可能にする。
【0070】
5- 本発明は、自転を可能にするために、従来型の手段に必要なフリーホイールをなくすことを可能にする。
【0071】
6- 本発明は、メインロータ、ピニオン、およびクラウンによって生じる従来の解決策の「トルク」効果がないことから、テールロータをなくすことを可能にする。テールロータだけで、ヘリコプターのホバリングについて計算された最大動力の約8%を吸収することができる。
【0072】
これにより、かなりのエネルギーが節減され、導入される動力が大幅に低減される。
【0073】
そのため、有効搭載量(乗員または燃料、またはバッテリ)が増大する。
【0074】
7- 本発明は、ヘリコプターのテールをなくし、それを、小さい偏流板、またはブレード付きの小さい電気モータ、またはその両方に置き換えるものである。
【0075】
8- 本発明によると、ポールの端部に付けられているプロペラにより、慣性質量を相当に増大させられるため、非常に効率的な自転が可能となる。
【0076】
9- 本発明によると、回転マストが自由に回転し、かつ自動的に自転に入るので、自転に入るための問題は回避され、かつプロペラをシャットダウンすると、慣性によりブレードが回転し続けることとなり、パイロットおよび/またはソフトウウェアが、自転モードで動作することが可能になる。
【0077】
10- 機体の重量が、本発明の恩恵を受けない通常の機体に比して、約65/70%節減され、それにより、この節減分を、バッテリ、燃料、または乗員のための重量増加に使用することができる。
【0078】
11- 機体コストの低減。
【0079】
12- 回転マスト50の動力を増大させることが望まれる場合、エンジンの数を増やすか、またはより強力なエンジンを採用すれば十分である。
【0080】
13- 本発明は、ブレードの垂直軸とは異なる垂直軸を有する2ブレードのシステム、並びにマルチブレード(3、4、5ブレードなど)のシステムの両方に適用可能である。
【0081】
14- 推進装置は、少ないエネルギーを使用して、動力供給することが可能であるので、航空機以外の用途、すなわち回転ポール20によって生じるこの効果から恩恵を受けることができるすべての用途(例:バッテリの再充電、電気的または吸熱的な回転運動からエネルギーを生成し、電気エネルギーにするなど)においても、トルク増倍器システムとして使用することができる。
【0082】
本質的に、本発明は、回転マストに機械的に連結可能な回転ポール20を備える推進装置10であって、前記回転ポール20の回転を用いて回転マストを回転させ、好ましいレバー効果を利用することにより、エネルギーを生成またはユーザに伝達することができるようにして、回転ポール20を回転させるように構成されているエンジン30が、前記回転ポール20の少なくとも1つの端部に装着されている推進装置10の使用方法をも提供するものである。
【0083】
従来技術で提案されているすべての他の垂直離陸航空機は、それらが3つまたは4つの電気ファンを備えているドローンであるか、無人機であるか、個人輸送システムであるかに拘わらず、上記の用途のタスクのために使用される可能性は低いことを強調しておくことは重要なことである。なぜなら、このような航空機の回転翼は、「自転」を行うことが不可能であり、かつ十分な大きさの3つまたは4つのeファンがエネルギーを吸収するため、20~30分より長い時間飛行することができる可能性が低いからである。
【0084】
本発明によると、ブレードの直径が9.03m、ロータの表面積が64平方m、連続動力が170馬力、離陸時の最大重量MTOWが860Kgの典型的な2ブレードのヘリコプターは、重量が500Kg、有効搭載量が360Kgであることが計算されている。
【0085】
ライカミング(登録商標)エンジンの重量、メインロータ、フリーホイール、オイル冷却器、テールロータ、テール、後部ボート、タンク、および不要なもの全ての重量368Kgを、500Kgから引くと、セルの重量は132Kgになる。
【0086】
炭素繊維から作られた回転ポール20、および推進システム(eファンまたはジェットエンジン)からなる付加的な重量は、フライトラインにおいて約40Kgである。
【0087】
この場合、炭素繊維か、ガラス繊維のいずれかのセルの構造を使用することによって、航空機全体(セル+推進システムのロータエンジン)の重量をさらに低減させて、130Kg未満にすることができる。
【0088】
したがって、元の重量の74%が節減され、これは有効搭載量370kgに等しい。
【0089】
ここで問題は、この利点をどのように再分配できるかというだけである。
【0090】
燃料ジェットタービンを有する本発明のシステムについては、燃料ポンプシステム、タンク、火気隔壁、鋼の燃料送出マニフォルドなど総重量35Kgを、ヘリコプターの重量に加えなくてはならない。これにより、ヘリコプターの重量は、フライトラインにおいて165Kgになる。
電気ヘリコプターの例
【実施例1】
【0091】
実施例1- 2つの電気eファン付きヘリコプター MTOW860Kg、乗員2人+荷物
【0092】
この場合、有効搭載量を190Kgに低減させ、135kW/hに等しい540Kgのリチウムイオンバッテリパックを装着することによる飛行持続時間が選ばれる。
【0093】
このような設計のヘリコプターによると、巡航速度160km/h、飛行継続時間2.7時間、航続距離432kmが得られる。
【実施例2】
【0094】
実施例2- 2つの電気eファン付きヘリコプター MTOW860Kg、乗員3人+荷物
【0095】
この場合、有効搭載量を270Kgに低減させ、113kW/hに等しい452Kgのリチウムイオンバッテリパックを装着した場合の飛行持続時間を選ばなければならない。
【0096】
ヘリコプターの重量は、第3の乗員の座席分8kgが増える。
【0097】
このようなヘリコプターの設計によると、巡航速度160km/h、飛行持続時間2.26時間、航続距離361.6kmが得られる。
【実施例3】
【0098】
実施例3- 2つの電気eファン付きヘリコプター MTOW860Kg、乗員4人+荷物
【0099】
この場合、有効搭載量を334Kgに低減させ、95kW/hに等しい380Kgのリチウムイオンバッテリパックを装着することによる飛行持続時間を選ぶべきである。
【0100】
ヘリコプターの重量は、第3および第4の乗員の座席分16kgが増える。
【0101】
このようなヘリコプターの設計によると、巡航速度160km/hで、飛行継続時間1.9時間、航続距離304kmが得られる。
ジェットエンジン付きヘリコプターの例
【実施例4】
【0102】
実施例4- 1ジェットエンジンヘリコプター MTOW860Kg、乗員4人+追加荷物
【0103】
この場合、有効搭載量を360Kgに低減させ、燃料消費を335kg、毎時90kgに低減させることにより、飛行持続時間を選ぶべきである。
【0104】
このような設計のヘリコプターでは、巡航速度160km/hで、3.72時間の飛行持続時間と航続距離595kmが得られる。
【0105】
上に説明した推進装置は、パイロットのみならず、ドローン、すなわちパイロットが搭乗せず、遠隔操作可能であるか、それ自体の自律飛行ソフトウェアが装備されている航空機にも使用することができる。
【0106】
ドローンの場合には、本発明における推進装置により、従来のドローンとは異なり、重い荷重を運搬できる可能性、および長時間の自律性を有することができる可能性がある。
【0107】
このようなドローンの考えられる使用例としては、農業、偵察、航空写真、映画撮影などがある。
【0108】
以下に特許請求する本発明の範囲を超えることなく、偶発的な理由、または特別の理由により、上に説明した本発明に対して、修正または改良を加えることができることは言うまでもない
【符号の説明】
【0109】
10 推進装置
20 回転ポール
25 固定型ジョイント
30 電気タービン
40 回転翼
50 回転マスト
60 振動システム
100 回転翼航空機
110 電気ファン
120 電気ファン