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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】無線通信ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/20 20090101AFI20221227BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20221227BHJP
   H04W 40/02 20090101ALI20221227BHJP
   H04W 24/04 20090101ALI20221227BHJP
【FI】
H04W84/20
H04Q9/00 321D
H04W40/02 110
H04W24/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018194896
(22)【出願日】2018-10-16
(65)【公開番号】P2020065131
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂野 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】福島 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】横山 睦人
(72)【発明者】
【氏名】土屋 創太
(72)【発明者】
【氏名】安元 啓人
(72)【発明者】
【氏名】田村 至
(72)【発明者】
【氏名】安井 昌広
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】猪子 照恵
(72)【発明者】
【氏名】山下 真純
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚利
(72)【発明者】
【氏名】小野 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】田井 貴久
(72)【発明者】
【氏名】畠内 孝明
(72)【発明者】
【氏名】星野 充紀
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-017419(JP,A)
【文献】特開2004-129042(JP,A)
【文献】特開2009-049500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末親機と複数の無線端末子機とを直接又は1以上の中継を介して相互に通信可能に接続する1又は複数の無線通信ネットワークと、前記無線端末親機に通信可能に接続するセンターシステムと、を備え、前記複数の無線端末子機が前記無線端末親機を介して前記センターシステムに通信可能に接続される無線通信ネットワークシステムであって、
前記複数の無線端末子機は、自装置が属する無線通信ネットワークの無線端末親機が欠落したことを検知すると、タイムラグを設けて、通信可能な無線通信ネットワークにそれぞれ参入すること、
前記無線端末親機および前記複数の無線端末子機は、自装置から送出したデータが自装置から宛先装置に到達するまでの通信回数に関する情報を記憶するホップ数テーブルを有し、前記ホップ数テーブルが、親機となる無線端末に、親機であることを示す親情報を記憶していること、
欠落した無線端末親機が属する無線通信ネットワークに含まれる無線端末子機は、前記ホップ数テーブルを初期化して前記親情報を記憶しない状態になること、
ホップ数テーブルを初期化した無線端末子機は、通信可能な無線通信ネットワークに属していて直接通信可能な無線端末を探索し、発見された無線端末とホップ数テーブルを交換し、受信したホップ数テーブルに記憶されている親情報に基づいて親機となる無線端末を認識し、初期化したホップ数テーブルにて認識した無線端末に前記親情報を記憶することによって、発見された無線端末が属する前記通信可能な無線通信ネットワークに参入すること、
を特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載する無線通信ネットワークシステムにおいて、
前記無線端末親機が停止により欠落する場合、停止される無線端末親機から、当該停止される無線端末親機が属する無線通信ネットワークに含まれる複数の無線端末子機に、ネットワークを解散する解散指令を直接又は1以上の中継を介して送信し、前記解散指令を受信した無線端末子機が、前記通信可能な無線通信ネットワークに参入すること、
を特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する無線通信ネットワークシステムにおいて、
前記無線端末親機が消失により欠落した場合、消失した無線端末親機が属する無線通信ネットワーク内で最初に前記無線端末親機が消失したことを検知した無線端末子機が、前記無線端末親機の消失に関する消失情報を、自装置が属する無線通信ネットワーク内の他の無線端末子機に送信し、前記消失情報を受信することにより前記無線端末子機が前記無線端末親機の欠落を検知すること、
を特徴とする無線通信ネットワークシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末親機と複数の無線端末子機とを備える無線通信ネットワークと、前記無線端末親機に通信可能に接続するセンターシステムと、を備え、複数の無線端末子機が無線端末親機を介してセンターシステムに通信可能に接続される無線通信ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の領域に分散した無線端末装置(以下「無線端末」とする)が相互に直接又は中継を介して無線によるデータ通信を行って情報交換を行うメッシュネットワーク型の無線通信ネットワークが知られている。
【0003】
従来、例えば、無線通信ネットワーク内の複数の無線端末が、それぞれ、自装置から宛先装置までの最小通信回数に関する情報を含むシステム構成情報を保有し、システム構成情報内のある無線端末に対応する最小通信回数が、当該システム構成情報内の他の何れかの無線端末に対応する最小通信回数とも連続した値でないとき、ある無線端末が欠落したと判定する無線通信ネットワークシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3711759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術には問題があった。すなわち、複数の無線端末の1つが親機となってセンターシステムに通信可能に接続し、他の無線端末が子機となって親機を介してセンターシステムと通信可能に接続する無線通信ネットワークシステムでは、親機が故障によって消失したり、停止されたりして、無線通信ネットワークから欠落すると、子機が親機に接続できずにセンターシステムから孤立していた。孤立した子機は、センターシステムと通信できないので、できるだけ早く別の無線通信ネットワークに参入させることが好ましい。しかし、従来の無線通信ネットワークシステムには、子機が親機の欠落を検出して別の無線通信ネットワークに参入するものがなかった。また、無線通信ネットワーク内には、例えば40台前後の無線端末子機が存在し、これらが一斉に別の無線通信ネットワークへの参入を行うと、通信の衝突により本来成功すべき参入動作が失敗し、無線通信ネットワークの再構築に時間がかかる恐れがあった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、無線端末親機が欠落した場合に無線通信ネットワークを迅速に再構築できる無線通信ネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するために、本発明の一態様は、無線端末親機と複数の無線端末子機とを直接又は1以上の中継を介して相互に通信可能に接続する無線通信ネットワークと、前記無線端末親機に通信可能に接続するセンターシステムと、を備え、前記複数の無線端末子機が前記無線端末親機を介して前記センターシステムに通信可能に接続される無線通信ネットワークシステムにおいて、前記複数の無線端末子機は、自装置が属する無線通信ネットワークの無線端末親機が欠落したことを検知すると、タイムラグを設けて、別の無線通信ネットワークにそれぞれ参入すること、を特徴とする。
【0008】
上記構成の無線通信ネットワークシステムによれば、無線端末親機の欠落によりセンターシステムから孤立した無線端末子機が、タイムラグを設けて別の無線通信ネットワークに参入するので、通信の衝突によって本来成功すべき参入動作が失敗することが減り、無線通信ネットワークを迅速に再構築することができる。
【0009】
(2)(1)に記載の無線通信ネットワークシステムにおいて、欠落した無線端末親機が属する無線通信ネットワークに含まれる無線端末子機は、別の無線通信ネットワークに属していて直接通信可能な無線端末を探索し、発見された無線端末が属する前記別の無線通信ネットワークに参入すること、が好ましい。
【0010】
上記構成の無線通信ネットワークシステムによれば、孤立した無線端末子機が、通信環境に応じて別の無線通信ネットワークに参入でき、信頼性の高い通信路を形成できる。
【0011】
(3)(1)又は(2)に記載する無線通信ネットワークシステムにおいて、前記無線端末親機が停止により欠落する場合、停止される無線端末親機から、当該停止される無線端末親機が属する無線通信ネットワークに含まれる複数の無線端末子機に、ネットワークを解散する解散指令を直接又は1以上の中継を介して送信し、前記解散指令を受信した無線端末子機が前記別の無線通信ネットワークに参入すること、が好ましい。
【0012】
上記構成の無線通信ネットワークシステムによれば、無線端末親機が停止する前に無線端末子機に解散指令を送信することにより、無線端末子機が無線端末親機の欠落を早期に検知して別の無線通信ネットワークに参入できるので、無線端末親機が停止されてから無線通信ネットワークが再構築されるまでに行われる通信の回数を抑制し、無線通信ネットワークを迅速に再構築することができる。
【0013】
(4)(1)乃至(3)の何れか1つに記載する無線通信ネットワークシステムにおいて、前記無線端末親機が消失により欠落した場合、消失した無線端末親機が属する無線通信ネットワーク内で最初に前記無線端末親機が消失したことを検知した無線端末子機が、前記無線端末親機の消失に関する消失情報を、自装置が属する無線通信ネットワーク内の他の無線端末子機に送信し、前記消失情報を受信することにより前記無線端末子機が前記無線端末親機の欠落を検知すること、が好ましい。
【0014】
上記構成の無線通信ネットワークシステムによれば、無線端末親機を消失した無線端末子機が無駄な通信を行うことを抑制し、無線通信ネットワークを早期に再構築することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線端末親機が欠落した場合に無線通信ネットワークを迅速に再構築できる無線通信ネットワークシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る無線通信ネットワークシステムの構成図である。
図2】無線端末装置の概略構成図である。
図3】各無線端末が保有しているホップ数テーブルを示す図である。
図4】親機停止時の再構築動作のタイミングチャートである。
図5】解散指令送信動作と再起動動作を説明する図である。
図6】参入動作を説明する図である。
図7】親機消失時の再構築動作のタイミングチャートである。
図8図7のt1時の動作を説明する図である。
図9図7のt2時,t3時の動作を説明する図である。
図10図7のt4時の動作を説明する図である。
図11図7のt5時の動作を説明する図である。
図12】再構築後の無線通信ネットワークシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る無線通信ネットワークシステムの実施形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
(無線通信ネットワークシステムの構成について)
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信ネットワークシステム10の構成図である。
無線通信ネットワークシステム10は、無線通信ネットワーク12A,12B,12Cを備える。本形態の無線通信ネットワークシステム10は、3個の無線通信ネットワーク12A,12B,12Cを備えるが、無線通信ネットワーク12は1つでも良いし、4個以上であっても良い。
【0019】
無線通信ネットワーク12Aは、複数の無線端末装置(以下「無線端末」とする)1Aa、1Ab,1Ac,1Ad,1Aeを直接又は1以上の中継を介して相互に通信可能に接続することにより構築されている。無線通信ネットワーク12Aと同様に、無線通信ネットワーク12Bが複数の無線端末1Ba~1Beにより構築され、無線通信ネットワーク12Cが無線端末1Ca~1Ceにより構築されている。
【0020】
無線通信ネットワーク12Aは、複数の無線端末1Aa~1Aeの中の1つの無線端末1Aaが、外部装置11Aに有線接続されている。無線端末1Aaは、外部装置11Aを介してセンターシステム14に通信可能に接続され、親機を構成している。一方、無線通信ネットワーク12A内のその他の無線端末1Ab~1Aeは、外部装置11Aに接続されていない。無線端末1Ab~1Aeは、親機の無線端末1Aaと外部装置11Aを介してセンターシステム14に通信可能に接続され、子機を構成している。親機の無線端末1Aaは、無線端末1Ab~1Aeを無線通信ネットワーク12A内で識別する識別情報(例えばネットワークIDなど)を付与する。無線端末1Aa~1Aeは、外部装置11Aによってセンターシステム14との通信プロトコルを制御され、センターシステム14と双方向通信を行うことができる。
【0021】
これと同様に、無線通信ネットワーク12Bは、無線端末1Baが親機を構成し、無線端末1Bb~1Beが子機を構成する。また、無線通信ネットワーク12Cは、無線端末1Caが親機を構成し、無線端末1Cb~1Ceが子機を構成する。
【0022】
無線端末1Aa,1Ba,1Caは、それぞれ、「無線端末親機」の一例である。無線端末1Ab~1Ae,1Bb~1Be,1Cb~1Ceは、それぞれ、無線通信ネットワーク12A~12Cに含まれる「複数の無線端末子機」の一例である。無線端末1Ab~1Ae,1Bb~1Be,1Cb~1Ceは、同様の構成を備える。また、無線端末1Aa,1Ba,1Caは、無線通信ネットワーク12A,12B,12Cを管理する機能の他は、無線端末1Ab~1Ae,1Bb~1Be,1Cb~1Ceと同様に構成されている。そこで、以下の説明において、特に区別する必要がない場合、無線端末1Aa~1Ae,1Ba~1Be,1Ca~1Ceの添え字Aa~Ae,Ba~Be,Ca~Ceを適宜省略する。
【0023】
図2は、無線端末1の概略構成図である。無線端末1は、制御部2に記憶部3と、通信部4と、タイマ5と、電池6が接続され、制御部2が電池6から電力を供給されて駆動する。記憶部3は、データやプログラムを記憶している。制御部2は、記憶部3にデータを読み書きしながら、記憶部3に記憶されているプログラムを実行し、無線端末1の動作を制御する。通信部4は、無線通信ネットワーク12を構成する通信網13に接続され、他の装置との通信を制御するハードウェアである。タイマ5は、時間を計測するハードウェアである。
【0024】
記憶部3には、例えば、ホップ数テーブル31と、隣接調査プログラム32と、通信制御プログラム33と、再構築プログラム34が記憶されている。
【0025】
図3は、各無線端末1が保有しているホップ数テーブル31を示す図である。図3には、無線通信ネットワーク12Bを構成する無線端末1Ba~1Beと、それらが保有するホップ数テーブル31Ba~31Beを記載している。
【0026】
ホップ数テーブル31は、自装置から送出したデータが自装置から宛先装置に到達するまでの通信回数に関する情報を記憶するものである。例えば、無線端末1Ba~1Beは、それぞれ、自装置のホップ数テーブル31Ba~31Beを保有している。
【0027】
ホップ数テーブル31Ba~31Beの構成は同様なので、無線端末1Bbのホップ数テーブル31Bbを例に挙げて説明すると、無線端末1Bbは、無線端末1Ba,1Bdに対して1回の通信でデータを転送できる。そこで、ホップ数テーブル31Bbは、無線端末1Ba,1Bdの通信回数を示すフィールド311Bb,314Bbに「1」を記憶している。
【0028】
また、無線端末1Bbは、無線端末1Bc,1Beに対して最低2回の通信でデータを転送できる。そこで、ホップ数テーブル31Bbは、無線端末1Bc,1Beの通信回数を示すフィールド313Bb,315Bbに「2」を記憶している。
【0029】
自装置(無線端末1Bb)については、通信を行わないので、ホップ数テーブル31Bbは、自装置の通信回数のフィールド312Bbに「0」を記憶している。
【0030】
よって、無線端末1Bbは、ホップ数テーブル31Bbに記憶されている通信回数に基づいて、隣接する無線端末と、隣接しない(中継を介して無線通信可能な、或いは、直接通信できない)無線端末とを、区別できる。
【0031】
尚、ホップ数テーブル31Bbは、親機となる無線端末1Baに、親機であることを示す親情報320を記憶している。よって、無線端末1Bbは、親情報320の有無により、親機と子機と区別できる。
【0032】
ここで、無線端末1の通信状態は、ネットワーク環境によって刻々と変化する。そこで、無線通信ネットワーク12Bは、ホップ数テーブル31Ba~31Beを定期的に(例えば72時間毎に)更新している。
【0033】
図1に戻り、隣接調査プログラム32は、無線通信ネットワーク12内の他の無線端末1が自装置から直接通信可能か(隣接するか)、自装置から中継を介して無線通信可能か(直接通信できないか、或いは、隣接しないか)を、自装置に調査させるものである。無線端末1の通信性能は、機種や通信環境によってばらつく。そのため、制御部2は、ホップ数テーブル31の更新時に、隣接調査プログラム32を実行し、隣接関係を調査する。
【0034】
通信制御プログラム33は、通常のデータ通信時において、自装置のホップ数テーブル31に基づいて、無線通信ネットワーク12内で、自装置と他の無線端末1が相互に直接又は中継を介して無線によるデータ通信を行うように、無線端末1を制御するものである。例えば、通信制御プログラム33は、自装置がセンターシステム14と通信を行う場合に制御部2により実行される。
【0035】
再構築プログラム34は、自装置の親機が欠落した場合に、他の無線端末1との間にタイムラグを設けて、自装置を別の無線通信ネットワーク12に参入させる動作を、自装置に行わせるものである。
【0036】
(再構築動作について)
続いて、上記無線通信ネットワークシステム10が実行する再構築動作について、図4図12を参照して説明する。図4は、親機停止時の再構築動作のタイミングチャートである。図5は、解散指令送信動作と再起動動作を説明する図である。図6は、参入動作を説明する図である。図7は、親機消失時の再構築動作のタイミングチャートである。図8は、図7のt1時の動作を説明する図である。図9は、図7のt2時,t3時の動作を説明する図である。図10は、図7のt4時の動作を説明する図である。図11は、図7のt5時の動作を説明する図である。図12は、再構築後の無線通信ネットワークシステム10を示す図である。
【0037】
無線通信ネットワークシステム10は、例えば、ガス使用量の自動検針に適用され、家屋に設置されたガスメータに無線端末1が内蔵されている。無線通信ネットワーク12A,12B,12Cは、それぞれ、最大50台の無線端末1により構成できるが、無線端末1の参入に備えて、40台前後の無線端末1により構成されている。各無線通信ネットワーク12A,12B,12Cに含まれる無線端末1を全て図面に記載できないので、図4図12には、無線通信ネットワーク12Bに含まれる一部の無線端末1のみを図面に記載している。
【0038】
無線通信ネットワークシステム10では、ガス使用量を自動検針する場合、センターシステム14が、外部装置11A,11B,11Cを介して、各無線通信ネットワーク12A,12B,12Cの無線端末1Aa~1Ae,1Ba~1Be,1Ca~1Ceに、ガスメータの検針結果を送信することを要求する。親機の無線端末(以下「無線端末親機」ともいう)1Aa,1Ba,1Caは、それぞれ、外部装置11A,11B,11Cから送信要求を直接受信し、自装置の検針結果を外部装置11A,11B,11Cを介してセンターシステム14に返信すると共に、当該送信要求を子機の無線端末(以下「無線端末子機」ともいう)1Ab~1Ae,1Bb~1Be,1Cb~1Ceに直接又は中継を介して転送する。一方、無線端末子機1Ab~1Ae,1Bb~1Be,1Cb~1Ceは、無線端末親機1Aa,1Ba,1Caから送信要求を受信すると、無線端末親機1Aa,1Ba,1Caや他の無線端末子機1Ab~1Ae,1Bb~1Be,1Cb~1Ceや外部装置11A,11B,11Cを介してセンターシステム14に、自装置の検針結果を返信する。
【0039】
ここで、無線端末親機1Aa,1Ba,1Caは、耐用年数(例えば10年)になると、外部装置11A,11B,11Cと一緒に交換される。例えば、無線端末親機1Baと外部装置11Bが無線端末親機1Xと外部装置11Xに交換される場合、無線端末親機1Baは、停止され、無線通信ネットワーク12Bから欠落する。無線端末子機1Bb~1Beは、無線端末親機1Baが欠落した後も、無線端末親機1Baに親情報320を記憶したホップ数テーブル31Bb~31Beを維持すると、通信制御プログラム33を実行して、当該ホップ数テーブル31Bb~31Beに基づいてセンターシステム14と通信しようとしても、新しく置き換わった無線端末親機1X及び外部装置11Xと接続できないため、センターシステム14との通信に失敗する。つまり、無線端末子機1Bb~1Beがセンターシステム14から孤立し、センターシステム14は、無線端末子機1Bb~1Beから検針結果を自動受信できない。
【0040】
また、例えば、無線端末親機1Baは、故障や通信環境の悪化などにより消失し、無線通信ネットワーク12Bから欠落することがある。この場合も、上記と同様、無線端末子機1Bb~1Beがセンターシステム14から孤立し、センターシステム14は、無線端末子機1Bb~1Beから検針結果を自動的に受信できない。
【0041】
上記不具合を解消するために、無線端末子機1Bb~1Beが、無線端末親機1Baの欠落を検知し、一斉に別の無線通信ネットワーク12(別の無線端末親機1X)に参入しようとすると、通信の衝突により本来成功すべき通信に失敗し、無線通信ネットワーク12の再構築に時間がかかる恐れがある。
【0042】
そこで、本形態の無線通信ネットワークシステム10においては、無線端末子機1Bb~1Beは、自装置が属する無線通信ネットワーク12Bの無線端末親機1Baが欠落したことを検知すると、タイムラグを設けて、別の無線通信ネットワーク12X(換言すると別の無線端末親機1X)に参入する。無線端末子機1Bb~1Beが、タイムラグを設けて参入するので、通信の衝突により本来成功すべき参入動作が失敗することが減り、無線通信ネットワーク12Xを迅速に再構築することができる。以下では、親機停止時の再構築動作と、親機消失時の再構築動作に分けて、無線通信ネットワークシステム10の再構築動作を、具体的に説明する。
【0043】
(親機停止時の再構築動作について)
親機停止時の再構築動作について、図4図6を参照して説明する。ここでは、無線端末親機1Baが無線端末親機1Xに交換するために停止される場合を例に挙げて説明する。
【0044】
無線端末親機1Baは、例えば、無線端末親機1Xに交換される場合に、センターシステム14から停止指令を受信したり、ユーザの端末停止操作を受け付けたりして、停止指示を受け付けると(t50)、自装置が属する無線通信ネットワーク12Bに含まれる無線端末子機1Bb~1Be(自装置に従属する無線端末子機1Bb~1Be、ホップ数テーブル31Baに記憶されている他の無線端末子機1Bb~1Be)に、無線通信ネットワーク12Bを解散する解散指令を送信し(t51)、その後、停止する(t60)。
【0045】
解散指令を受信した無線端末子機1Bb~1Beは、再起動後、他の無線端末子機1Bb~1Beとの間にタイムラグを設けて、別の無線通信ネットワーク12X(換言すると、別の無線端末親機1X)に参入する(t52~t59)。尚、無線端末子機1Bb~1Beは、無線端末親機1Baが停止した後、再起動を開始し、参入する。無線端末親機1Baが停止する前に、無線端末子機1Bb~1Beが再起動すると、無線端末子機1Bb~1Beが停止前の無線端末親機1Baに参入する恐れがあるからである。
【0046】
本形態では、無線端末親機1Baが、参入する順番を指定する順番指定情報を作成し、解散指令に含ませ、無線端末子機1Bb~1Beに送信することにより、タイムラグを設けている。参入する順番は、例えば、無線端末親機1Baがホップ数テーブル31Baに基づいて通信回数が少ないものから順に決めても良いし、センターシステム14の指示に従って作成しても良い。尚、タイムラグを設ける方策はこれに限定されず、例えば、解散指令に順番指定情報を含めず、無線端末子機1Bb~1Beに、無線端末親機1Baが欠落した場合に参入する順番を無線通信ネットワーク12Bの構築時に予め記憶させておいても良い。
【0047】
図5に示すように、無線端末子機1Bbは、無線端末親機1Baから解散指令を受信すると、再起動する。これにより、無線端末子機1Bbは、ホップ数テーブル31Bbが初期化され、無線端末1を特定する情報(例えば、無線端末1に個別に付与された識別情報やネットワークIDなど)を記憶するフィールドや、通信回数を示すフィールドが、ブランクにされる。無線端末1Bc~1Beも、これと同様にして、ホップ数テーブル31Bc~31Beが初期化される。これにより、無線端末子機1Bb~1Beは、それぞれホップ数テーブル31Bb~31Beが親情報320を記憶しない状態になり、無線通信ネットワーク12Bが解消される。
【0048】
図6に示すように、無線端末子機1Bb~1Beは、それぞれ、無線端末親機1Baから受信した解散指令に含まれる順番指定情報に従って、隣接調査プログラム32を実行し、無線端末親機1Xを発見して、無線端末親機1Xに参入する。
【0049】
例えば、無線端末子機1Bbは、制御部2によって隣接調査プログラム32を実行する場合、通信部4を用いてビーコンを待ち受ける待ち受け状態になる。このとき、隣接調査プログラム32を実行しない無線端末親機1Xと無線端末子機1Bc~1Beは、それぞれ、通信部4を用いてビーコンを間欠送信する。
【0050】
無線端末子機1Bbは、待ち受け動作中に無線端末親機1Xからビーコンを受信すると、無線端末親機1Xを相手に、ホップ数テーブル31Xとホップ数テーブル31Bbを交換する。ホップ数テーブル31Xは、自装置に親情報320を記憶している。無線端末子機1Bbは、無線端末親機1Xから受信したホップ数テーブル31Xに基づいて、無線端末親機1Xが親機であると認識し、自装置のホップ数テーブル31Bbにおいて無線端末親機1Xに親情報320を記憶する。これにより、無線端末子機1Bbが無線端末親機1Xに参入する。つまり、無線端末子機1Bbは、無線端末親機1Xが管理する無線通信ネットワーク12Xに参入する。
【0051】
これと同様にして、他の無線端末子機1Bc~1Beも、制御部2が隣接調査プログラム32を実行し、テーブル交換を行う場合に、親情報320に基づいて無線端末親機1Xを親機と認識し、無線端末親機1X(無線通信ネットワーク12X)に参入する。
【0052】
このように、無線通信ネットワークシステム10は、無線端末親機1Baが停止する前に解散指令を送信することにより、無線端末子機1Bb~1Beが無線端末親機1Baの欠落を早期に検知して別の無線通信ネットワーク12X(別の無線端末親機1X)に参入する。そのため、無線端末子機1Bb~1Beは、無線端末親機1Baが停止により欠落した後、速やかに新しく置き換えられた無線端末親機1Xと外部装置11Xを介してセンターシステム14と通信できるようになり、無駄な隣接判定を行ったり、欠落した無線端末親機1Baを介して通信を行ったりすることが回避される。よって、無線端末子機1Bb~1Beは、無線端末親機1Baが停止されてから無線通信ネットワーク12Xが再構築されるまでに行われる通信回数を抑制し、無線通信ネットワーク12Xを迅速に再構築することができる。また、各無線端末子機1Bb~1Beは、無駄な通信が抑制され、電池6の消耗が抑制される。
【0053】
(親機消失時の再構築動作の説明)
親機消失時の再構築動作を図7図12を参照しながら説明する。ここでは、無線端末親機1Baと外部装置11Bが無線端末親機1Xと外部装置11Xに交換される場合に、停止指令を送信することなく停止される場合を例に挙げて説明する。
【0054】
無線端末親機1Baは、停止指令を送信することなく停止された場合、図7のt0に示すように、無線端末親機1Baが無線通信ネットワーク12Bから消失する。無線端末子機1Bb~1Beは、停止指令を受信しないため、無線端末親機1Baの停止後すぐに無線端末親機1Baの消失を検知できない。そのため、無線端末子機1Bb~1Beは、ホップ数テーブル31Bb~31Beの更新時に隣接判定を行うまで、図3に示す消失時のホップ数テーブル31Ba~31Beを維持する。
【0055】
図3に示すように、消失時点のホップ数テーブル31Ba~31Beには、無線端末親機1Baの通信回数に、無線通信ネットワーク12Bの構成に応じた値が設定されている。そのため、無線端末子機1Bb~1Beが、それぞれ、制御部2を用いて通信制御プログラム33を実行し、ホップ数テーブル31Bb~31Beに基づいて検針結果などのデータをセンターシステム14に送信しようとしても、無線端末親機1Baと無線端末子機1Bbとの間の直接通信、並びに、無線端末親機1Baと無線端末子機1Bcとの間の直接通信に失敗し、検針結果をセンターシステム14に送信できない。また、無線端末子機1Bb~1Beは、無線端末親機1Baが外部装置11Bを介してセンターシステム14と通信できないため、センターシステム14からの要求を受信することもできない。
【0056】
無線端末子機1Bb~1Beは、ホップ数テーブル31Bb~31Beの更新時期になると、それぞれ、制御部2を用いて隣接調査プログラム32を実行する。
【0057】
例えば、図7に示すように、無線端末子機1Bbが隣接判定を行う(t1)。図8のM1aに示すように、無線端末子機1Bbは、無線端末子機1Bdからビーコンを受信し、自装置のホップ数テーブル31Bbと無線端末子機1Bdのホップ数テーブル31Bdとを交換する。無線端末子機1Bbは、テーブル交換した無線端末子機1Bdについて、隣接する(直接通信できる)と判定し、ホップ数テーブル31Bbにおいて無線端末子機1Bdの通信回数を示すフィールド314Bbに記憶される数値「1」を維持する。
【0058】
これに対して、図8のM1bに示すように、無線端末子機1Bbは、消失した無線端末親機1Baからビーコンを受信できないので、無線端末親機1Baとテーブル交換を行わない。無線端末子機1Bbは、テーブル交換できない無線端末親機1Baについては、隣接しない(直接通信できない)と判定する。無線端末子機1Bbは、無線端末子機1Bdから取得したホップ数テーブル31Bdにおいて、親情報320を含む無線端末親機1Baのフィールド311Bdから数値「2」を読み出し、読み出した数値「2」に無線端末子機1Bb,1Bd間の直接通信分の通信回数「1」を加算し、無線端末親機1Baまでの通信回数が「3」であることを算出する。そして、無線端末子機1Bbは、自装置のホップ数テーブル31Bbにおいて、無線端末親機1Baの通信回数を示すフィールド311Bbに、算出した数値「3」を記憶する。これにより、ホップ数テーブル31Bbでは、無線端末親機1Baの通信回数が「1」(図3参照)から「3」(図8参照)に変更される。
【0059】
これにより、無線端末子機1Bbは、例えば、制御部2を用いて通信制御プログラム33を実行し、センターシステム14に検針結果などのデータを送信する場合に、無線端末親機1Baにデータを直接送信せず、無線端末親機1Baとの間で通信に失敗することが回避される。
【0060】
次に、例えば、図7のt2に示すように、無線端末子機1Bcが隣接判定を行う(t2)。図9に示すように、無線端末子機1Bcは、t1と同様にして、無線端末親機1Baが隣接せず(図中M2b参照)、無線端末子機1Bdが隣接すると判定する(図中M2a参照)。この場合、無線端末子機1Bcは、無線端末子機1Bbと同様にして、自装置のホップ数テーブル31Bcにおいて無線端末親機1Baのフィールド311Bcの値を、「1」(図3図8参照)から「3」(図9参照)に変更する。これにより、無線端末子機1Bcは、例えば、制御部2を用いて通信制御プログラム33を実行し、センターシステム14に検針結果などのデータを送信する場合に、無線端末親機1Baにデータを直接送信せず、無線端末親機1Baとの間で通信に失敗することが回避される。
【0061】
その後、図7のt3に示すように、無線端末子機1Bdが、無線端末親機1Baの消失を最初に検知する。
【0062】
具体的には、無線端末子機1Bdは、無線端末子機1Bb,1Bcとテーブル交換した際に、無線端末子機1Bb,1Bcのホップ数テーブル31Bb,31Bcを取得している。図9に示すように、無線端末子機1Bdは、ホップ数テーブル31Bbのフィールド311Bbとホップ数テーブル31Bcのフィールド311Bcにそれぞれ「3」が記憶されているので、自装置のホップ数テーブル31Bdにおいて無線端末親機1Baの通信回数を示すフィールド311Bdに記憶する値を「2」から「3」に変更する。
【0063】
無線端末子機1Bdは、変更後のホップ数テーブル31Bdに基づいて、無線端末親機1Baの通信回数「3」が他の無線端末1Bb~1Beの通信回数と連続していないことを検出する。この場合に、無線端末子機1Bdは、無線端末親機1Baが消失したことを検知する。つまり、無線端末子機1Bdは、無線通信ネットワーク12B内で最初に無線端末親機1Baの消失を検知する。
【0064】
その後、無線端末子機1Bdは、図7に示すように、親機が消失したことを示す消失情報を生成する(t4)。
【0065】
すなわち、図10に示すように、無線端末子機1Bdは、自装置のホップ数テーブル31Bdにおいて、無線端末親機1Baの通信回数を示すフィールド311Bdに記憶する情報を、数値「3」から、消失(欠落)を示す特定の情報(本形態ではスペース)に変更する。ホップ数テーブル31Bdは、親情報320を含む無線端末1Baについて特定の情報を含ませたことにより、無線端末親機1Baの消失を示す消失情報になる。
【0066】
そして、図7に示すように、無線端末子機1Bdは、消失情報を送信する(t5)。すなわち、図11に示すように、無線端末子機1Bdは、無線端末親機1Baのフィールド311Bdに特定の情報(本形態ではスペース)を記憶したホップ数テーブル31Bdを、消失情報として、同報送信する。つまり、無線端末子機1Bdは、特定の情報を含むホップ数テーブル31Bdを、隣接すると判定されている(通信回数の値が「1」である)無線端末子機1Bb,1Bc,1Beに直接送信する。そして、図面では省略されているが、無線端末子機1Bb,1Bc,1Beに隣接する無線端末子機がある場合、無線端末子機1Bb,1Bc,1Beは、隣接する無線端末子機に、特定の情報を含むホップ数テーブル31Bdを直接送信する。
【0067】
図7に示すように、消失情報を受信した無線端末子機1Bb,1Bc,1Beは、それぞれ、無線端末親機1Baが消失したことを検知する(t6,t7,t8)。このようにして、無線通信ネットワーク12Bでは、無線端末子機1Bdから他の無線端末子機1Bb,1Bc,1Beに消失情報が拡散され、無線端末親機1Baの消失が周知になる。
【0068】
図7に示すように、無線端末子機1Bb~1Beは、無線端末親機1Baの消失を検知すると、再起動し、無線端末子機1Bb~1Beの間でタイムラグを設けて、別の無線通信ネットワーク12X(別の無線端末親機1X)に参入する(t52~t59)。この再起動と参入動作は、停止時の再構築動作と同様なので、説明を省略する。
【0069】
上記無線通信ネットワークシステム10では、無線端末子機1Bdが隣接判定を行わずに無線端末親機1Baの消失を最初に検知し、また、無線端末子機1Bdが無線端末親機1Baの消失を最初に検知した後、他の無線端末子機1Beが隣接判定を行わずに無線端末親機1Baの消失を検知しているので、隣接判定を実行する機会を抑えて、無線端末親機1Baの消失を無線端末子機1Bb~1Beに周知させることができる。そして、無線端末親機1Baの消失を検知した無線端末子機1Bb~1Beがタイムラグを設けて別の無線通信ネットワーク12X(無線端末親機1X)に参入するので、通信の衝突による参入の失敗が減る。よって、本形態の無線通信ネットワークシステム10によれば、迅速に無線通信ネットワーク12Xを再構築することができ、無線端末子機1Bb~1Beが新しく置き換えられた無線端末親機1Xと外部装置11Xを介してセンターシステム14と通信できるようになる。更に、隣接判定の回数や通信の失敗が抑制されるので、無線端末子機1Bb~1Beは、それぞれ電池6の消耗が抑制される。
【0070】
尚、上記説明では、無線端末子機1Bb~1Beは、無線端末親機1Baが無線端末親機1Xに交換されて欠落した場合に、同じ無線端末親機1Xに参入している。これに対して、例えば、図12に示すように、無線端末親機1Baが故障や通信環境の悪化などにより無線通信ネットワーク12Bから欠落した場合には、無線端末子機1Bb,1Bd,1Beが無線通信ネットワーク12Cに参入し、無線端末子機1Bcが無線通信ネットワーク12Aに参入するなど、無線端末子機1Bb~1Beが別々の無線通信ネットワーク12A,12C(無線端末親機1Aa,1Ca)に参入するようにしても良い。これにより、無線通信ネットワーク12A,12Cは、通信路が変更され、無線通信ネットワーク12Ax,12Cxとして再構築される。
【0071】
(まとめ)
以上説明したように、本形態の無線通信ネットワークシステム10は、無線端末親機1Aa,1Ba,1Caと複数の無線端末子機1Ab~1Ae,1Bb~1Be,1Cb~1Ceとを直接又は1以上の中継を介して相互に通信可能に接続する無線通信ネットワーク12A,12B,12Cと、無線端末親機1Aa,1Ba,1Caに通信可能に接続するセンターシステム14と、を備え、無線端末子機1Ab~1Ae,1Bb~1Be,1Cb~1Ceが無線端末親機1Aa,1Ba,1Caを介してセンターシステム14に通信可能に接続される無線通信ネットワークシステム10において、複数の無線端末子機1Ab~1Ae,1Bb~1Be,1Cb~1Ceは、自装置が属する無線通信ネットワーク12A,12B,12Cの無線端末親機1Aa,1Ba,1Caが欠落したことを検知すると、タイムラグを設けて、別の無線通信ネットワーク12A,12B,12Cにそれぞれ参入すること、を特徴とする。
【0072】
このような無線通信ネットワークシステム10によれば、例えば、無線端末親機1Baの欠落によりセンターシステム14から孤立した無線端末子機1Bb~1Beが、タイムラグを設けて別の無線通信ネットワーク12X(又は無線通信ネットワーク12A,12C)に参入するので、通信の衝突によって本来成功すべき参入動作が失敗することが減り、12X(又は無線通信ネットワーク12Ax,12Cx)を迅速に再構築することができる。
【0073】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
【0074】
(1)例えば、上記実施形態では、ホップ数テーブル31Bdを用いて無線端末子機1Bb~1Beの間で無線端末親機1Baの消失を周知させたが、周知方法はこれに限定されない。例えば、親機の消失を最初に検知した無線端末子機1Bdから他の無線端末子機1Bb,1Bc,1Beに消失を示す情報のみを送信しても良い。但し、データ通信に使用するホップ数テーブル31を用いることにより、記憶部3に記憶させるデータを少なくでき、記憶負荷を軽減できる。
【0075】
(2)例えば、上記形態では、欠落した無線端末親機1Baが属する無線通信ネットワーク12Bに含まれる無線端末子機1Bb~1Beが、別の無線通信ネットワーク12A,12Cに属していて直接通信可能な無線端末1を探索し、発見された無線端末1が属する別の無線通信ネットワーク12A,12Cに参入するようにした。これに対して、予め、無線端末親機1Baが欠落した場合に接続する無線端末1を無線端末子機1Bb~1Be毎に決めておき、別の無線通信ネットワーク12に参入するようにしても良い。但し、無線端末親機1Baが欠落する都度、無線端末子機1Bb~1Beが別の無線通信ネットワーク12A,12Cに属する無線端末1を探索することにより、無線端末子機1Bb~1Beが通信環境に合わせて別の無線通信ネットワークに参入でき、信頼性の高い無線通信ネットワーク12を再構築できる。
【0076】
(3)例えば、上記形態では、無線端末親機1Baが消失により欠落した場合、消失した無線端末親機1Baが属する無線通信ネットワーク12B内で最初に無線端末親機1Baが消失したことを検知した無線端末子機1Bdが、無線端末親機1Baの消失に関する消失情報(無線端末親機1Baの通信回数をスペースとしたホップ数テーブル31Bd)を、自装置が属する無線通信ネットワーク12B内の他の無線端末子機1Bb,1Bc,1Beに送信し、消失情報を受信することにより無線端末子機1Bb~1Beが無線端末親機1Baの欠落を検知するようにした。これに対して、最初に検知した無線端末子機1Bdが消失情報を送信しないようにしても良い。但し、親機の消失を最初に検知した無線端末子機1Bdが消失情報を送信することにより、無線端末子機1Beが無駄な通信(隣接判定)を行うことを抑制し、無線通信ネットワーク12を早期に再構築することができる。また、電池6の消耗を低減できる。
【0077】
(4)例えば、上記形態では、無線端末親機1Baが停止により欠落する場合、停止される無線端末親機1Baから、当該停止される無線端末親機1Baが属する無線通信ネットワーク12Bに含まれる複数の無線端末子機1Bb~1Beに、ネットワークを解散する解散指令を直接又は1以上の中継を介して送信し、解散指令を受信した無線端末子機1Bb~1Beが別の無線通信ネットワーク12X(別の無線端末親機1X)に参入するようにした。これに対して、停止される無線端末親機1Baが解散指令を送信せず、親機消失時の再構築動作に従って無線通信ネットワーク12を再構築するようにしても良い。ただし、無線端末親機1Baが停止される場合に、解散指令を送信することにより、無線端末子機1Bb~1Beが無線端末親機1Baの欠落を早期に検知して別の無線通信ネットワーク12X(別の無線端末親機1X)に参入できるので、無線端末親機1Baが停止されてから無線通信ネットワーク12Xが再構築されるまでに行われる通信(隣接判定)の回数を抑制し、無線通信ネットワーク12Xを早期に再構築できる。また、無線端末子機1Bb~1Beの電池6の消耗を減らすこともできる。
【符号の説明】
【0078】
1Ba 無線端末親機
1Bb~1Be 無線端末子機
10 無線通信ネットワークシステム
14 センターシステム
12B 無線通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12