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特許7201328改良された安全性を有するモジュール構造の電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】改良された安全性を有するモジュール構造の電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/42 20060101AFI20221227BHJP
   G01R 31/36 20200101ALI20221227BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221227BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20221227BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
H01M10/42 P
G01R31/36
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M50/20
H02J7/00 Q
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018037642
(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公開番号】P2018181832
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】10 2017 206 358.0
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】317008263
【氏名又は名称】ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】519138128
【氏名又は名称】ファオヴェー クラフトヴェルク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】トルステン・ネイプ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・シュレイバー
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-089446(JP,A)
【文献】特開2013-020891(JP,A)
【文献】特開2010-160981(JP,A)
【文献】特開2007-173030(JP,A)
【文献】特開2009-200051(JP,A)
【文献】特開2010-205479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0190049(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0295208(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102009035482(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42
H01M 10/48
H01M 50/20
H02J 7/00
G01R 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを貯蔵するためのモジュール構造の電池(100)であって、電池(100)が、
(a)電池ハウジング(101a,101b)と、
(b)各々が少なくとも一つの正極及び少なくとも一つの負極を有する少なくとも二つの電池モジュール(103a~103u)を含むモジュール集成体(102)と、
(c)弾性ストラップ又は電池ハウジングの壁によって形成される緊張フレーム又はばねである押圧手段(107)と
を含み、
(d)電池ハウジング(101a,101b)が、モジュール集成体(102)が配置される内部を包囲し、モジュール集成体(102)が、デッドボリューム(116)が残るように内部を完全には満たさず、
(e)少なくとも二つの電池モジュール(103a~103u)が互いに電気的に接続され、
(f)少なくとも二つの電池モジュール(103a~103u)がモジュール集成体(102)中に互いに隣接して配置され、
(g)任意選択的に、モジュール集成体(102)中の隣接電池モジュール間にそれぞれのスペーサ要素が配置されることができ、
(h)押圧手段(107)が、モジュール集成体(102)中の電池モジュール(103a~103u)に機械的圧力を及ぼし、押圧手段(107)が緊張フレームである場合、機械的圧力は、緊張フレームを形成する電池ハウジングの対向する壁によって発生され、前記機械的圧力が、モジュール集成体(102)の隣接電池モジュール(103)を互いに対して又はそれらの間に配置されることができるスペーサ要素に対して押圧する、
ものにおいて、
(i)電池(100)が、
- 押圧手段(107)によって及ぼされる機械的圧力に対して向けられる力が検出されることができる力測定装置、及び/又は
- 電池ハウジング(101a,101b)中の温度及び/又はモジュール集成体(102)の個々の電池モジュール(103a~103u)の温度を検出することができる温度測定装置(121)、及び/又は
- モジュール集成体(102)の電池モジュール(103a~103u)の少なくとも一つにおける欠陥の結果として、モジュール集成体(102)によって出力される電圧の変化を検出することができる電圧測定装置、及び/又は
- モジュール集成体(102)の電池モジュール(103a~103u)の少なくとも一つにおける欠陥の結果として、モジュール集成体(102)によって出力される電流の変化を検出することができる電流測定装置、
を含み、
力測定装置、温度測定装置、電圧測定装置、及び電流測定装置のうちの一つ以上の装置が、その一つ以上の装置からの測定結果が送信されるデータ処理装置(123)に結合され、
(j)電池が電池ハウジング(101a,101b)の内部に少なくとも一つの安全手段を有し、前記安全手段が、電池モジュール(103f)の少なくとも一つに欠陥があるとき、電池モジュール(103a~103u)に及ぼされる機械的圧力の減少を起こし、
(k)安全手段が、押圧手段を破壊するための手段(116)であるか、又はそれを含み、前記安全手段が、欠陥の場合には押圧手段(107)を破壊し、
(l)この破壊手段(116)がデータ処理装置(123)に結合され、データ処理装置(123)からの信号に反応して押圧手段(107)の破壊を開始する、
ことを特徴とする電池。
【請求項2】
以下の追加の特徴を含む、請求項1に記載の電池:
(a)データ処理装置(123)が、電池(100)の構成部分である。
【請求項3】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含む、請求項1又は2に記載の電池:
(a)押圧手段(107)が、モジュール集成体(102)を包囲する少なくとも一つの弾性延伸された弾性ストラップであるか、又はそれを含む。
(b)押圧手段が、モジュール集成体を包囲する少なくとも一つの緊張フレームであるか、又はそれを含む。
(c)押圧手段が、少なくとも一つのばねを含む。
(d)押圧手段が、モジュール集成体上に置かれるか及び/又はモジュール集成体中に置かれる少なくとも一つのタイロッドを含む。
(e)弾性ストラップが、プラスチックから構成されるか又はプラスチックと繊維材料を含む複合材料から構成される弾性延伸された弾性ストラップである。
【請求項4】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含む、請求項1~3のいずれかに記載の電池:
(a)電池が、押圧手段によって及ぼされる機械的圧力に対して向けられる力が検出されることができる力測定装置を含む。
(b)力測定装置が、モジュール集成体の又は押圧手段の構成部分である。
(c)電池が、電池ハウジング中の温度の変化及び/又はモジュール集成体の個々の電池モジュールの温度の変化を検出することができる温度測定装置を含む。
(d)電池が、モジュール集成体の電池モジュールの少なくとも一つにおける欠陥の結果として、モジュール集成体によって出力される電圧の変化を検出することができる電圧測定装置を含む。
(e)電池が、モジュール集成体の電池モジュールの少なくとも一つにおける欠陥の結果として、モジュール集成体によって出力される電流の変化を検出することができる電流測定装置を含む。
【請求項5】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含む、請求項1~4のいずれかに記載の電池:
(a)電池ハウジング(101a,101b)が、液密かつ気密の態様で閉じられる。
(b)電池ハウジング(101a,101b)が、モジュール集成体(102)が配置される内部を包囲し、モジュール集成体(102)が、デッドボリュームが残るように内部を完全には満たさない。
(c)デッドボリュームが内部の1%~10%を占有する。
【請求項6】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを含む、請求項1~5のいずれかに記載の電池:
(a)安全手段が、機械的圧力を減少する目的のために押圧要素又は押圧要素の構成部分を破壊するように設計される。
(b)安全手段が、モジュール集成体(102)において互いに対して電池モジュール(103a~103u)を押圧する機械的圧力とは反対に向けられる圧力を作るように設計される。
【請求項7】
請求項1の前提文に記載の電池の安全操作のための方法において、電池が、少なくとも一つの安全手段(107)を備え、安全手段が、電池モジュール(103f)の少なくとも一つに欠陥があるときに電池モジュール(103a~103b)に及ぼされる機械的圧力の減少を起こすことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載される本発明は、各々が少なくとも一つの正極及び少なくとも一つの負極を有する少なくとも二つの電池モジュールを含むモジュール集成体が配置される電池ハウジングを含む、電気エネルギーを貯蔵するためのモジュール構造の電池、及びこのタイプの電池の安全操作のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直列で接続されかつ各々が正極及び負極を有する複数の電池モジュールを含むモジュールシステムが、通常、電気自動車及びハイブリッド自動車の電池として使用されている。電池モジュールは、一般的に各々が二つの外部接続極を有するモジュールハウジングを持つ。接続極の一つは、少なくとも一つの正極に結合され、他は少なくとも一つの負極に結合される。電池モジュールは、一般的に接続極によって直列に接続される。
【0003】
電池モジュールは、一般的にモジュール集成体中に互いに隣接して配置される。それらは、通常、緊張要素、例えば緊張ベルトによって互いに対して固定して押圧される。モジュール集成体は、その部分のために電池ハウジングに配置される。充電及び放電時に集成体内で生成される機械的力は、一般的に電池ハウジングによって吸収される。この目的のため、電池モジュールは、相互連結態様で電池ハウジングに配置されることが多い。
【0004】
モジュール集成体内の電池モジュールに対する損傷の場合には電池モジュールにおいて内部短絡が起こりうる。これは、高いレベルの熱の発生、及び電解質分解、さらに電池モジュール内のガスの付随形成に導きうる。損傷した電池モジュールとそれに隣接する電池モジュールの間の直接接触のため、欠陥のある電池モジュールで生成される熱は、大きな接触面積にわたって隣接電池モジュールに伝達されうる。これは、隣接電池モジュールにおける温度上昇に導く。
【0005】
隣接電池モジュールにおける温度上昇は、前記隣接電池モジュールにおける化学反応の進行をもたらすことが極めて多い。結果として、電解質分解及び制御されない加熱が同様に隣接電池モジュールで起こる。この連鎖反応(伝搬とも称されることが多い)は、モジュール集成体全体の完全な破壊、結果として集成体の近くに位置される他の構成要素の破壊に導きうる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、前記の連鎖反応又は伝搬を回避する目的のために好適な安全手段を有するモジュール構造の電池を提供する目的に基づく。
【0007】
この課題を解決するために、本発明は、電気エネルギーを貯蔵するための以下の明細書に記載のモジュール構造の電池を提案し、特に請求項1に特定される特徴を有する以下に記載の電池、及び請求項6に特定される特徴を有する方法の好ましい実施形態を提案する。
【0008】
本発明によるモジュール構造の電池は、
電池ハウジングと、
各々が少なくとも一つの正極及び少なくとも一つの負極を有する少なくとも二つの電池モジュールを含むモジュール集成体と、
押圧手段と
を含み、
モジュール集成体が電池ハウジングの内部に配置され、
少なくとも二つの電池モジュールが互いに電気的に接続され、
少なくとも二つの電池モジュールがモジュール集成体に互いに隣接して配置され、
任意選択的に、モジュール集成体中の隣接電池モジュール間にそれぞれのスペーサ要素が配置されることができ、
押圧手段が、モジュール集成体中の電池モジュールに機械的圧力を及ぼし、前記機械的圧力が、モジュール集成体の隣接電池モジュールを互いに対して又はそれらの間に配置されることができるスペーサ要素に対して押圧する。
【0009】
押圧手段によって及ぼされる圧力の結果として、隣接電池モジュールは、互いに直接的に又は二次元接触領域によってそれらの間に配置されることができるスペーサ要素に圧力ばめ態様でそれぞれ接続されることが好ましい。
【0010】
電池ハウジングは、閉じられることが好ましい。それは、その外側に一つ以上の電池ハウジング極を持つことができ、前記電池ハウジング極は、少なくとも二つの電池モジュールの電極に電気的に接続され、電気負荷を前記電池ハウジング極に接続することを可能にする。前記電池ハウジングは、金属(例えばアルミニウム)とプラスチックの両方から構成されることができる。もし電池ハウジングが金属から構成されるなら、それは、ハウジングを電位のない状態に保つため、そして短絡を回避するため、一つ以上の極ブッシングを持つことができる。
【0011】
原理的には、電池モジュールは、いかなるタイプの電気化学セルを含むことができる。電池モジュールは、電池もしくはキャパシタセル、又は電池とキャシタセルの組み合わせを含むことが特に好ましい。使用される電池モジュールは、個別のセルと、複数の個別のセルを含むセル集成体の両方であることができる。
【0012】
個別のセルの最も簡単な例は、正極及び負極を含むセル、即ち、以下の順序を有するセルである:
- 正極/セパレータ/負極。
さらに、いわゆるバイセル(bicells)は、個別のセル、即ち、以下の順序を有するセルであると考えられる。
- 正極/セパレータ/負極/セパレータ/正極
又は
- 負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極
【0013】
使用されるセル集成体は、例えば特定された順序の一つを有する複数の個別のセルを含むスタックであることができる。もしセル又はセル集成体が同じ極性の二つ以上の電極を含むなら、前記電極は、通常は溶接によって対応する伝導体を介して互いに電気的に接続されることが一般に好ましい。
【0014】
ある好ましい実施形態では、電池モジュールの各々は、専用のモジュールハウジング、特にフィルム又は箔、例えば金属箔又は金属/プラスチック複合体から構成されるハウジングを有する。それゆえ、専用のモジュールハウジング中に少なくとも二つの電池モジュールが各々、この場合において電池ハウジングに配置される。
【0015】
さらに、電池モジュールの各々は、一般的にモジュールハウジングを通って経路を定められる少なくとも一つの正接続極、及びモジュールハウジングを通って経路を定められる少なくとも一つの負接続極を有する。少なくとも一つの正接続極は、モジュールハウジング内で正極に電気的に接続される。少なくとも一つの負接続極は、ハウジング内で負極に電気的に接続される。
【0016】
好ましい実施形態は、少なくとも二つの電池モジュールは、リチウムイオンに基づく個別のセル又はセル集成体、即ちリチウムイオンが充電及び放電工程時に正極から負極に、及びその逆に移行するセルを含む。セルは、特に巻かれた形で又は積み重ねられた態様で存在することができる。
【0017】
ある特に好ましい実施形態では、少なくとも二つの電池モジュールは、各々C//NMC(炭素/ニッケル-マンガン-コバルト)に基づくか、及び/又はC//LFP(炭素/リチウム-燐酸鉄)に基づく少なくとも一つのセルを含む。
【0018】
電池モジュールは、その中に含まれるセルのために好適な電解質を含むことが好ましい。リチウムイオンに基づく個別のセル又はセル集成体の場合には、電解質は、有機電解質、特にここでは有機炭化物に基づくものであることが好ましい。
【0019】
少なくとも二つの電池モジュールは、互いに直列で電気的に接続されることが好ましい。しかしながら、基本的に、電池はまた、並列に接続される電池モジュールを含むことができる。
【0020】
モジュール集成体中の隣接電池モジュールは、少なくとも一つの接触手段によって互いに電気的にかつ機械的に接続されることが好ましい。この場合において、少なくとも一つの接触手段は、隣接電池モジュールの接続極を接続することが好ましい。前記接触手段は、前記接続極の各々に電気的にかつ機械的に接続される。機械的接続は、例えば溶接接続、リベット接続、ねじ接続、はんだ接続、又はクランプ接続であることができる。
【0021】
好ましい接触手段は、以下の特性の少なくとも一つを有することが特に好ましい。
- それらは、機械的に可撓性の電気伝導性の材料、例えば一つ以上の柔軟な金属ワイヤー又は柔軟な金属箔又は柔軟な金属シートから構成される。
- それらは、二つの隣接電池モジュールの接続極に接続される二つの接触領域を持つ。
- 接触手段は、少なくとも一つの曲げ、折りたたみ、又はねじり領域を持ち、そこではそれらは、接触領域間で曲げられ、折りたたまれ、又はねじられる。
- 全体として、接触手段は、接続極を接続するために必要とするより大きい長さを持つ。
【0022】
電池は、互いに電気的に接続される2~50個の電池モジュール、特に好ましくは10~30個の電池モジュールを含むことが好ましい。
【0023】
電池モジュールは、全て同じサイズ及び寸法を有することが好ましい。電池モジュールは、角型、特に直方体のデザインを持つことが特に好ましい。この場合において、電池モジュールのモジュールハウジングは、矩形のハウジングベース、前記ハウジングベースに対して直角に配置される四つの側壁、及びハウジングベースと実質的に同じ形状及びサイズを有するハウジング上部を含む。ハウジングベース、側壁、及びハウジング上部は、ほとんど輪郭を示さないことが好ましい。前記ハウジングベース、側壁、及びハウジング上部の外側表面は、平坦、又は少なくともほぼ平坦であることが特に好ましい。
【0024】
電池モジュール間に配置されることができるスペーサ要素は、モジュール集成体からの熱を放出するのに役立つ熱伝導性要素であることができる。この目的のため、スペーサ要素は、例えば熱伝導性金属プレートとして設計されることができる。しかしながら、スペーサ要素はまた、モジュール集成体中の隣接電池モジュール間で熱が交換されるのを防止することを意図される断熱要素であることができる。
【0025】
スペーサ要素は、例えばプレート状デザインを持つことができる。
【0026】
好適な押圧手段は、特に、所望の機械的圧力がモジュール集成体中の電池モジュールに及ぼされることができる全ての装置である。好ましい実施形態では、押圧手段は、以下の追加の特徴の少なくとも一つを含むことによって特徴づけられる:
- 押圧手段が、少なくとも一つの緊張ストラップ(弾性ストラップ)、特にモジュール集成体を包囲する少なくとも一つの弾性延伸された緊張ストラップであるか、又はそれを含む。
- 押圧手段が、モジュール集成体を包囲する少なくとも一つの緊張フレームであるか、又はそれを含む。
- 押圧手段が、少なくとも一つのばねを含む。
- 押圧手段が、モジュール集成体上に置かれる及び/又はモジュール集成体中に置かれる少なくとも一つのタイロッドを含む。
【0027】
それゆえ、押圧手段は、引張応力下にある装置であるか、又はそれを含むことが特に好ましい。従って、押圧手段は、例えば接触圧力板を含むことができ、それらの間にモジュール集成体が配置され、それに対して少なくとも一つの緊張ストラップ(弾性ストラップ)、少なくとも一つのばね、又は少なくとも一つのタイロッドが固定される。接触圧力板は、少なくとも一つの緊張ストラップ、少なくとも一つのばね、又は少なくとも一つのタイロッドによって一緒に引っ張られ、このようにして所望の機械的圧力をモジュール集成体中の電池モジュールに及ぼす。
【0028】
それゆえ、押圧手段は、弾性材料から構成されることがさらに好ましく、又は弾性材料から構成される一つ以上の構成要素を含むことが好ましい。
【0029】
特に好ましい実施形態では、押圧手段は、プラスチックから構成されるか又はプラスチックと繊維材料を含む複合材料から構成される緊張ストラップであり、この緊張ストラップは、モジュール集成体、特にプラスチックから構成されるか又はプラスチックと繊維材料を含む複合材料から構成される、モジュール集成体を包囲する弾性延伸された緊張ストラップを包囲する。
【0030】
しかしながら、全ての意図及び目的のために、緊張ストラップはまた、他の材料、例えば金属から構成されることができる。
【0031】
ある好ましい実施形態では、電池ハウジング自体は、押圧手段又は押圧手段の一部である。機械的圧力が電池ハウジングの対向する壁によって及ぼされるように電池ハウジングにモジュール集成体を配置することが可能である。それゆえ、電池ハウジング自体は、緊張フレームとして役立つ。
【0032】
さらに、モジュール集成体が電池ハウジングの壁に対して寄りかかり、例えばくさびによって、ばねによって、又は加圧ガスもしくは加圧液によって、この壁に対して押圧されることが可能である。これらの場合において、モジュール集成体が押圧される壁、及びこの目的のために要求される補助手段、例えば前記くさび、前記ばね、又は前記加圧ガスもしくは加圧液は、押圧手段の構成部分である。
【0033】
個別の電池モジュールは、互いに接触されるか、又はモジュール集成体内の前記側壁によってそれらの間に配置されるスペーサ要素と接触されることが好ましい。電池モジュールの各々は、二つの対向する外側を有することが好ましく、それらは、互いに平行に配置され、それによって前記電池モジュールは、隣接電池モジュールと接触することができる。外側は、一般的に平坦であるので、接触領域は、極めて大きい。前記接触領域は、一般的に外側又は側壁の面積に相当する。
【0034】
本発明による電池は、それが、電池モジュールの少なくとも一つに欠陥があるとき、電池モジュールに及ぼされる機械的圧力の減少を起こす、少なくとも一つの安全手段を持つことで特に区別される。
【0035】
安全手段は、機械的圧力の減少を起こすだけでなく、むしろ機械的圧力の完全な除去を起こすことが好ましい。
【0036】
機械的圧力の減少又は除去によって、モジュール集成体中の緊張を緩和することができる。隣接セルは、もはや二次元接触領域の全体によって接触される必要がない。それらは、少なくとももはや外力によって互いに対して押圧されない。これは、隣接電池モジュール間の熱の移動のかなりの減少をもたらす。冒頭に記載された伝搬は、打ち消される。
【0037】
本発明による解決策は、フィルム又は箔を含む好適なモジュールハウジングを有する電池モジュールの場合において特に効率的である。前記モジュールハウジングは、ガスがモジュールハウジング内で発生するときに膨らみうる。フィルム又は箔ハウジングの外側は、そのときもはや平坦ではなく、むしろ凸状の外形を持つ。この形状の変化は、電池モジュールに及ぼされる機械的圧力を打ち消す。もし前記機械的圧力が除去されるなら、隣接電池モジュールは、膨張するハウジングによって押し分けられうる。これは、膨張されたハウジングを含む電池モジュールと、まだ無傷の隣接電池モジュールの間の接触領域のサイズを必ず減少する。欠陥のある電池モジュールから無傷の電池モジュールへの熱の移動もまた、結果としてなくなる。
【0038】
電池モジュールを押し分けることは、本発明による電池が少なくとも一つの曲げ、折りたたみ、又はよじり領域を有する接触手段を含む場合において特に効率的に作用する。曲げ、折りたたみ、又はよじり領域は、電池モジュールが、それらが押し分けられることを不可能とするような方法で接触手段によって一緒に保持されないことを確実にする。代わりに、曲げられ、折りたたまれ、又はよじられた接触手段は、前記電池モジュールが押し分けられている場合に延びることができ、かくして接触手段によって接続される接続極は、互いに離れるように動かされることができる。接触手段は、押し分け工程に対していかなる抵抗も与えない。
【0039】
特に好ましい実施形態では、本発明による電池は、センサーシステムによって区別され、センサーシステムによって欠陥に起因しうるパラメータが記録されることができる。これらのパラメータは、特に押圧手段に及ぼされる力、電池ハウジング中の温度、特に個別の電池モジュールの温度、電池又は個別の電池モジュールによって出力される電圧の変化、及び電池又は個別の電池モジュールによって出力される電流の変化を含む。
【0040】
特に好ましい実施形態では、本発明による電池は、以下の追加の特徴の少なくとも一つによって区別される:
- 電池が、押圧手段によって及ぼされる機械的圧力に対して向けられる力が検出されることができる力測定装置を含む。
- 力測定装置が、モジュール集成体の又は押圧手段の構成部分である。
- 電池が、温度測定装置、特に電池ハウジング中の温度及び/又はモジュール集成体の個々の電池モジュールの温度を検出することができる少なくとも一つの温度センサーを含む温度測定装置を含む。
- 電池が、モジュール集成体の電池モジュールの少なくとも一つにおける欠陥の結果として、モジュール集成体によって出力される電圧の変化を検出することができる電圧測定装置を含む。
- 電池が、モジュール集成体の電池モジュールの少なくとも一つにおける欠陥の結果として、モジュール集成体によって出力される電流の変化を検出することができる電流測定装置を含む。
【0041】
特に、温度測定装置はまた、モジュール集成体の電池モジュールの一つの構成部分であることができる。専用の温度測定装置は、モジュール集成体の電池モジュールの各々と関連付けられることが好ましい。
【0042】
好ましい実施形態では、本発明による電池は、センサーシステムに、特に温度測定装置に結合されるデータ処理装置を含むか、又はそれを温度測定装置の構成部分として含む。さらに、データ処理装置はまた、力測定装置、電圧測定装置、及び/又は電流測定装置に結合されることができる。これらの装置は、それらがデータ処理装置に測定結果(特に前記欠陥に起因しうる検出されたパラメータを含む)を送信できるようにデータ処理装置に結合されることが好ましい。
【0043】
データ処理装置は、単位時間あたりの個別の電池モジュールについての電池ハウジング中の温度の変化を記録できるように構成されることが好ましい。電池モジュールにおける欠陥の指標は、例えば最大温度しきい値(例えば80℃の温度)を越えることである。しかしながら、さらに、欠陥の信頼できる指標は、極めて短い時間期間内の温度の極めて鋭い増加、例えば最大5秒にわたる電池モジュールの温度の20℃の増加であることができる。
【0044】
力側定装置及び/又は温度測定装置及び/又は電圧測定装置及び/又は電流測定装置は、力測定装置によって検出される力、及び/又は温度測定装置によって検出される温度の変化、及び/又は電圧測定装置によって検出される電圧の変化、及び/又は電流測定装置によって検出される出力電流の変化により安全手段を始動できるように少なくとも一つの安全手段に接続されることができる。それゆえ、例えば安全手段が始動されることを意図される前記温度しきい値が規定されることができる。さらに、例えば5秒未満の期間にわたって電池モジュール内の20℃の温度増加が安全手段を始動することを意図されることが規定されることができる。
【0045】
温度測定装置及び/又は電圧測定装置及び/又は電流測定装置は、データ処理装置を介して少なくとも一つの安全手段に接続されることが特に好ましい。温度測定装置及び/又は電圧測定装置及び/又は電流測定装置は、データ、特に前記電圧、温度、及び電流の変化を記録し、前記データをデータ処理装置に受け渡すことができる。前記データ処理装置は、次いで一つ以上の規定されたパラメータが生じるとき、例えば温度しきい値が越えられるとき、安全装置を始動することができる。この目的のため、データ処理装置から安全手段に信号を送ることができる。
【0046】
好ましい実施形態では、データ処理装置は、本発明による電池の構成部分である。そのとき、それは電池ハウジングの内部に配置されることが好ましい。
【0047】
ある他の実施形態では、データ処理装置は、電池とのみ関連付けられる。そのとき、電池及びデータ処理装置は、エネルギー貯蔵システムの一部であり、それはまた、任意選択的に本発明による電池を一つより多く含むことができる。データ処理装置はまた、例えば電池と関連付けられる電池管理システムの機能を実施することができるか、又はかかる管理システムの一部であることができる。
【0048】
フィルム又は箔を含む専用のモジュールハウジングを有する電池モジュールは、欠陥があるときに膨張することができることは、既に記載された。膨張は、一般に押圧手段によって及ぼされる機械的圧力に対して向けられる力に導く。これは、例えば力測定装置によって記録されることができる。
【0049】
さらに好ましい実施形態では、本発明による電池は、以下の特徴の少なくとも一つによって区別される:
- 電池ハウジングが、液密かつ気密の態様で閉じられる。
- 電池ハウジングが、モジュール集成体が配置される内部を包囲し、モジュール集成体が、デッドボリュームが残るように内部を完全には満たさない。
- デッドボリュームが内部の1%~10%を占有する。
【0050】
デッドボリュームの存在は、少なくとも一つの安全手段が始動されるときにモジュール集成体が緊張を緩和することを確実にするために好都合でありうる。しかしながら、安全手段又は安全手段の構成部分はまた、デッドボリュームに配置されることができる。
【0051】
さらに好ましい実施形態では、本発明による電池は、以下の追加の特徴の少なくとも一つによって区別される:
- 安全手段が、機械的圧力を減少する目的のために押圧要素又は押圧要素の構成部分を不活性化又は破壊するように設計される。
- 安全手段が、モジュール集成体において互いに対して電池モジュールを押圧する機械的圧力とは反対に向けられる圧力を作るように設計される。
【0052】
押圧手段の設計に応じて、押圧手段を破壊又は不活性化する多数の方法がそれぞれ存在する。
【0053】
安全手段の構成部分として、特に前記デッドボリュームを使用して、電池ハウジング内に押圧手段を破壊又は不活性化するための手段を配置することが可能であり、前記手段は、電池モジュールの少なくとも一つに欠陥がある場合に押圧手段を破壊又は不活性化する。この目的のため、電池は、安全手段のさらなる構成部分として、デッドボリュームに任意選択的に同様に配置されることができる作動装置を持つことができる。前記作動装置は、データ処理装置に結合され、前記データ処理装置からの信号に反応して押圧手段の破壊又は不活性化を開始することができる。それゆえ、データ処理装置はまた、制御機能を割り当てられることができる。
【0054】
もし押圧手段が前記緊張ストラップであるなら、押圧手段を破壊するための手段は、例えば切断工具であることができる。切断工具の鋭い刃は、データ処理装置からの信号に反応して前記緊張ストラップを切断するために緊張ストラップに対して押圧されることができる。
【0055】
さらなる実施形態では、緊張ストラップは、バッテリーハウジング内の温度上昇があるときに過剰な割合の膨張を示す材料を使用して破壊されることができる。このタイプの材料は、バッテリーハウジング内の加熱の結果として大きな程度に膨張し、例えば前記切断工具で押圧手段を破壊するための手段に機械的圧力を及ぼすことができる。データ処理装置によって制御される作動装置は、ここでは要求されない。
【0056】
上で記載したように、モジュール集成体が電池ハウジングの壁に対して圧迫し、例えば上述の補助手段の一つによってこの壁に対して押圧される場合に、補助手段は、作動装置の助けで破壊又は不活性化されることができる。それゆえ、例えば、上述の加圧流体が配置される容器が作動装置の助けで破壊されることが与えられることができる。
【0057】
特に好ましい実施形態では、電池は、安全手段として、温度しきい値を越えて加熱する場合に弾性を失ったり及び/又は引き裂かれ、機械的圧力の望ましい減少がもたらされる材料から全体的に又は部分的に構成される弾性延伸された緊張ストラップを含む。
【0058】
それゆえ、安全手段はまた、押圧手段又は押圧手段の構成部分(即ち、例えば緊張ストラップ)の特定の設計にあることができる。
【0059】
特に、押圧手段が金属又はプラスチック又はプラスチックベースの材料、例えばプラスチックと繊維材料を含む複合材料から構成される緊張ストラップであり、その緊張ストラップがモジュール集成体を包囲するとき、安全手段はまた、緊張ストラップを熱的に破壊するための手段、例えば緊張ストラップを構成する材料を溶融することによって緊張ストラップを破壊するための手段であることができる。
【0060】
特に好ましい実施形態では、安全手段は、押圧手段を熱的に破壊するための加熱要素を含むことができ、その加熱要素は、押圧手段を構成する材料を溶融したり、又は破壊したりする材料に導く熱を発生するように設計されている。この目的のため、加熱要素は、例えば加熱ワイヤー又は加熱可能な刃を持つことができる。
【0061】
加熱要素は、前記加熱要素が押圧手段に直接熱を出力できるか又は押圧手段に直接前記熱を伝達できるように、押圧手段と、特に緊張ストラップと直接接触していることが好ましい。
【0062】
特に好ましい実施形態では、この加熱要素は、モジュール構成の電池から電気エネルギーを供給される。この目的のため、前記加熱要素は、モジュール集成体の一つ以上の電池モジュールの接続極に電気的に結合されることができる。しかしながら、原理的には、外部エネルギー源に加熱要素を接続することも可能である。しかしながら、加熱要素は、モジュール構成の電池から電気エネルギーを供給されることが好ましく、この場合には電気接触接続のみがハウジング内で要求される。
【0063】
加熱要素は、データ処理装置によって制御されることができる。スイッチング装置は、加熱要素と関連付けられることが好ましく、前記加熱要素は、前記スイッチング装置によって活性化されることが可能である。スイッチング装置は、データ処理装置に結合されてもよく、前記データ処理装置によってスイッチを入れることができる。スイッチング装置は、特に電池ハウジング内で別個の構成要素であることができ、又はそれは、加熱要素の構成部分であることができる。
【0064】
電池モジュールに及ぼされる機械的圧力は、それゆえ押圧手段が破壊又は不活性化されることによって減少されることが好ましい。この実施形態では、電池モジュールに及ぼされる機械的圧力は、低下されるだけでなく、むしろゼロにまで減少される。
【0065】
特に電池ハウジング自体が緊張フレームとして作用する場合には、安全手段は、ハウジングを破壊するか又は前記ハウジングを破壊させずに開放するように設計されることが好ましい。それゆえ、電池ハウジングは、安全手段として又は安全手段の構成部分として、一つ以上の起爆コードを含むことができ、それによりハウジングは、機械的圧力を減少する目的のために規定された点で破壊される。例えば、一つ以上の起爆コードは、電池ハウジングの壁の一つの縁領域に位置されることができ、かくして電池モジュールに欠陥があるときに爆発を起こすことによって壁は電池ハウジングから分離されることができる。
【0066】
ハウジングは、予め決められた破壊点を、例えば前記縁領域において追加して与えられることができる。
【0067】
本発明はまた、上記特徴を有する電池の安全操作のための方法を含む。前記方法は、電池モジュールの少なくとも一つに欠陥があるとき、電池モジュールに及ぼされる機械的圧力の減少を起こす前述の少なくとも一つの安全手段を備えることで区別される。
【0068】
本発明のさらなる特徴、詳細、及び効果は、参考として明細書中に組み入れられる請求項及び要約書の文章、本発明の好ましい実施形態の以下の記載、及び図面から理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図1は、二つの部分の電池ハウジング及びモジュール集成体の好ましい実施形態を含む、本発明による電池の可能な構成を概略的に示す。
【0070】
図2図2は、電池モジュールに欠陥がある場合に図1に示された本発明による電池のモジュール集成体の挙動を概略的に示す。
【0071】
図3図3は、図2に示されたモジュール集成体の構成部分である個別の電池モジュールの構成を概略的に示す。
【0072】
図4-5】図4は及び5は、図1に示された電池ハウジングの一部における図1に示されたモジュール集成体の配置を概略的に示す(長手方向断面の図)。
【0073】
図6図6は、本発明による電池のモジュール集成体の構成部分であることができる、さらなる個別の電池モジュールの構成を概略的に示す。
【0074】
図7図7は、センサーシステムに及び押圧手段を破壊するための手段に対するデータ処理装置の結合を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1に示された電池100は、二つの部分の電池ハウジング101a,101b、及び電池ハウジングに配置されるモジュール集成体102からなり、同一デザインの多数の電池モジュール103a~103uを含む。電池100の電池ハウジングの二つの構成部分101a,101b、及びモジュール集成体102は、良好な明確化の目的のために個別に示されている。
【0076】
電池モジュール103a~103uは、押圧手段として作用する緊張ストラップ107によって組み合わされてモジュール集成体102を形成する。緊張ストラップ107は、緊張下にある。前記緊張ストラップは、電池モジュール103a~103uに機械的圧力を及ぼし、前記機械的圧力は、電池モジュール103a~103uを互いに対して押圧する。緊張ストラップ107は、それが80℃の温度しきい値を越えて加熱されるときにその弾性を失い、緊張ストラップによって及ぼされる機械的圧力がなくなる、弾性延伸された緊張ストラップである。もし温度しきい値を越え、緊張ストラップによって及ぼされる機械的圧力に対抗する力がストラップに追加して作用するなら、緊張ストラップは、引き裂かれることさえあることができる。
【0077】
電池ハウジング部101aは、外部電池ハウジング極111及び112を含む。前記外部電池ハウジング極は、接続極105及び106によって電池モジュール103a~103uの電極に電気的に接続される。個別の電池モジュール103a~103uは、接触手段104~104tによって直列に互いに接続される。接触手段は、金属ワイヤーであり、その端は、それぞれ接続されることになる接続極に固定される。端接触領域間では、前記接触手段は、各々それらが曲げられる曲げ領域を有する。それゆえ、全体として、前記接触手段は、接続極を接続するために必要であるより大きい長さを持つ。
【0078】
電池モジュール103a~103uの構造は、図3を参照して示され、そこでは、電池モジュール103fが例として示されている。電池モジュール103fは、直方体のデザインを有し、フィルム又は箔から構成されるモジュールハウジングを持つ。電池モジュール103fのモジュールハウジングは、矩形のハウジングベース(見えない)、前記矩形のハウジングベースに対して直角に配置される四つの側壁(側壁108及び109は見える)、及びハウジング上部110を含む。示されていない側壁は、ここではサイズ及び形状において側壁108及び109と対応する(側壁108と平行な側壁115は、図2に変形された態様で示される)。同じことがハウジングベースに当てはまり、ハウジングベースは、外部接続極113及び114のための二つのブッシングを別として、ハウジング上部110と同じ形状及びサイズを有する。ハウジングベース、側壁108及び109、及びハウジング上部110の外側は、平坦であるか、又は少なくとも略平坦である。
【0079】
個別の電池モジュール103a~103uは、図1に示されたモジュール集成体102内で側壁によって互いに接触している。側壁は、互いに対して平坦で寄りかかる。これは、スタック内の隣接電池モジュール間、例えば電池モジュール103e及び103fの間で二次元接触領域をもたらし、前記二次元接触領域のサイズは、側壁の面積に相当し、これらの側壁によって電池モジュールは、互いに接触している。
【0080】
図3に示された電池モジュール103fは、図2の欠陥の場合において示される。内部短絡は、温度上昇、及び電池モジュール103fの側壁108及び115の膨張をもたらす。緊張ストラップ107、又は緊張ストラップ107を破壊又は不活性化するための手段(その手段は、温度上昇の結果として始動される)に対して生じる力の作用は、緊張ストラップ107の引き裂きに導く。緊張ストラップ107の除去の結果として、電池モジュール103a~103uは、接触手段104a~104tによってのみ互いになお接続される。ここでは、看者に面する接触手段104k~104tは、実線によって示され、さらに背後に位置される接触手段104a~104jは、点線を使用して示される。
【0081】
電池モジュール103a~103e及び電池モジュール103g~103uから作られるモジュール集成体102の部分は、緊張ストラップの除去の結果として電池モジュール103fの膨張するハウジングによって抵抗なく押し分けられることができる。接触手段104c及び104rは、これを可能にするように十分に長い。部分101a及び101bを含む電池ハウジングは、この目的のために十分な長さを有する。結果として、欠陥のある電池モジュール103fと、まだ無傷の隣接電池モジュール103e及び103gとの間の接触領域は、サイズを減少される。さらに、欠陥のある電池モジュール103fから無傷の電池モジュール103e及び103gへの熱の移動が結果としてなくなる。
【0082】
図4及び5は、安全手段の操作方法を示す。前記図は、各々図1に示された電池ハウジング部分101bの長手方向断面を示し、そこではモジュール集成体102が配置されている。明確化のため、電池ハウジングは、開放態様で、即ち電池ハウジング部分101aなしで示されている。
【0083】
モジュール集成体102は、ハウジングを完全には満たしていないことが明確にわかる。デッドボリューム120が残り、そこではモジュール集成体が必要により膨張し、そこでは電池のさらなる構成要素が配置されることができる。本ケースでは、加熱要素116は、デッドボリューム120に配置され、前記加熱要素は、緊張ストラップ107と接触し、押圧手段を破壊及び/又は不活性化するための手段、即ち緊張ストラップ107として作用する。
【0084】
加熱要素116は、モジュール集成体102からその操作のために要求されるエネルギーを引き出すことが好ましい。この目的のため、前記加熱要素は、例えば電気線118及び119を介して極105及び106に結合されることができる。明確化の理由のため、電気線は、部分的にしか示されていない。加熱要素116は、データ処理装置に結合されることができ、それによって加熱要素116は、欠陥の場合に電気線117を介して活性化される。
【0085】
図4は、通常の操作時の状況(即ち、欠陥なし)を示すが、図5は、欠陥の場合を示す。前記図5では、緊張ベルト107は、加熱によって加熱要素116により破壊されている。結果として、欠陥のある電池モジュール123fの側壁128及び135は、大きな抵抗なく膨張することができ、モジュールは、デットボリューム120中に膨張することができた。
【0086】
図6に示された電池モジュールは、それが前記電池モジュールの温度を検出できる温度測定装置として、温度センサー121を持つことにおいてのみ図3に示されたものと異なる。前記温度センサーは、ケーブル122を介して測定された温度をデータ処理装置に送ることができる。
【0087】
図6に示された温度センサー121は、例えば図7に示された図に従ってデータ処理装置123に結合されることができる。データ処理装置はさらに、スイッチ124に結合され、前記スイッチによって加熱要素116を活性化することができる。加熱要素116は、特に図4及び5に示された加熱要素である。
図1
図2
図3
図4-5】
図6
図7