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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】多層生成物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 1/18 20060101AFI20221227BHJP
   B41N 1/24 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
B41M1/18
B41N1/24
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018199762
(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公開番号】P2020011501
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】1850930-7
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】16/040,713
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518377414
【氏名又は名称】プロクラフト、ディベロップメント、ベスローテン、フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】PROCRAFT DEVELOPMENT BV
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ディルク、ヤン、ファン、ハイニンゲン
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0096905(US,A1)
【文献】特開昭50-090408(JP,A)
【文献】特開2015-143308(JP,A)
【文献】国際公開第09/107477(WO,A1)
【文献】米国特許第06541561(US,B1)
【文献】米国特許第06143407(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/18
B41M 3/12
B41N 1/24
B41F 16/00
B44C 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離被覆膜を基材上に形成するステップ;
任意選択で印刷インキ層を前記剥離被覆膜上に形成するステップ;
ポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤ならびに少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーを含む硬化性組成物の被覆膜を、前記基材あるいはその上にあらかじめ付与された層または被覆膜上に形成するステップ;
ゲル状硬化性被覆膜を形成するために、前記硬化性組成物の被覆膜70~120℃の温度まで加熱するステップ;
任意選択で印刷インキ層を前記ゲル状硬化性被覆膜上に形成するステップ、
ポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤ならびに少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーを含む別の硬化性組成物の被覆膜を、前記あらかじめ付与された層または被覆膜上に形成するステップ;
第2のゲル状硬化性被覆膜を形成するために、前記別の硬化性組成物の被覆膜70~120℃の温度まで加熱するステップ;
架橋が実施される前に、前記基材上の前記剥離被覆膜、その上の任意の印刷インキ層、ゲル状硬化性組成物、前記ゲル状硬化性被覆膜上の任意の印刷インキ層、および多層被覆基材を形成する前記第2のゲル状硬化性被覆膜が、130~160℃の温度まで加熱されるステップ;および 前記加熱された多層被覆基材を、照射および/または165~190℃の温度の熱への曝露によって架橋するステップ;
を含み、
任意選択で、別の被覆膜が付与される前に、感圧接着剤組成物被覆膜が、前記基材上の前記剥離被覆膜に設けられ、または1つを超えて存在する場合に最後に形成された前記ゲル状硬化性被覆膜に設けられる、
多層印刷印またはステンシルを製造する方法。
【請求項2】
前記基材が、5~45Dyne/cmの範囲内の表面張力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
架橋が実施される前に第3のゲル状硬化性被覆膜を形成するために、70~120℃の温度まで加熱される硬化性被覆組成物を含むさらに別のポリマー粉末の被覆膜を前記第2のゲル状硬化性被覆膜が備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記(1つまたは複数の)硬化性組成物が、
30~75wt%のポリマー粉末、
5~50wt%の可塑剤、
1~40wt%のモノマーおよび/またはオリゴマー、
0.5~5wt%の開始剤
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマー粉末が、アクリレートポリマーおよび/またはビニルポリマーを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記可塑剤が、フタル酸エステルを含まない、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記モノマーおよび/またはオリゴマーが、アクリレートモノマーおよびアクリレートオリゴマーそれぞれから選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記開始剤が、光開始剤および熱開始剤から選択される、請求項4、請求項4を引用する請求項5を介して引用する請求項4、請求項4を引用する請求項6を介して引用する請求項4、請求項4を引用する請求項7を介して引用する請求項4、請求項4を引用する請求項6及び請求項5を介して引用する請求項4、請求項4を引用する請求項7及び請求項5を介して引用する請求項4、請求項4を引用する請求項7及び請求項6を介して引用する請求項4、又は、請求項4を引用する請求項7から請求項5を介して引用する請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記(1つまたは複数の)硬化性組成物が、
0.5~20wt%の染料および/または顔料、
0.5~5wt%の安定剤、ならびに
0.5~5wt%のフィラー
をさらに含む、請求項4から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記染料および/または顔料が、酸化チタン、弁柄、鉄黒およびカーボンブラックからなる群から選択される;
前記安定剤が、金属含有安定剤からなる群から選択される;および
前記フィラーが、粘土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛白、ケイ酸、雲母粉タルク、シリカ、珪藻土、ガラス粉末、黒鉛粉末、アルミナ、金属粉末およびタルクからなる群から選択される、
ならびにこれらの任意の組み合わせ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記感圧接着剤組成物被覆膜が、最後に形成された前記ゲル状硬化性被覆膜に設けられるとき、前記感圧接着剤組成物被覆膜に、前記架橋の後に保護基材が備えられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記感圧接着剤組成物が、
30~95wt%の(1つまたは複数の)コポリマー、
0.5~15wt%のプロピレングリコール、
1~50wt%の(1つまたは複数の)溶剤、
1~15wt%の二酸化ケイ素、および
10~50wt%のロジン、
あるいは
20~65wt%の(1つまたは複数の)ウレタンアクリレート、
1~30wt%の(1つまたは複数の)アルキルアクリレート
1~30wt%の(1つまたは複数の)水素化炭化水素樹脂、
1~15wt%の(1つまたは複数の)反応性モノマー希釈剤
1~15wt%の(1つまたは複数の)ビニルアミドモノマー
1~15wt%のシリカ
0.1~5wt%の(1つまたは複数の)UV光開始剤
を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ゲル状硬化性被覆膜を形成するための前記加熱が、10秒~2分の時間実施される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記(1つまたは複数の)ゲル状硬化性被覆膜の前記架橋が、10秒~2分の時間実施される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層印刷印またはステンシルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷された印およびステンシルは、さまざまな物品に装飾を施したり、印をつけたりするために一般に使用される材料である。しかし、今日そのような材料は、劣る接着、層間付着および揮発性化合物の移行などの欠点を有する場合があり、これらは、収縮、縁部のカール、および除去後に壁塗料、紙またはガラスのような付与された表面に残る残留物として現れ得る。除去時に現れる別の現象は、小片に裂けることや、層の分離である。
【0003】
米国特許第6541561号明細書には、プラスチックフィルムまたは転写体の調製方法が開示されている。
【0004】
米国特許第6143407号明細書には、プラスチゾルインキ、キャリアシートおよび接着剤を含むデカルコマニアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第6541561号明細書
【文献】米国特許第6143407号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の問題を克服する新しい材料および新しい製造方法を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、付着および/または接着の問題を克服する方法を提供し、かつ使用中の長期強度および耐久性を提供する。さらに、本発明は、例えば、リサイクルを可能にし、可塑剤および溶剤などの成分の揮発減量を防ぐことによって、持続可能なソリューションを提供する。また、ハロゲンを含まないポリマー粉末が、環境に優しい代替物を提供するために使用され得る。
【0008】
本発明は、早すぎるポリマー硬化を避ける目的で、可塑剤/モノマー/オリゴマー混合物をポリマー粉末中に吸収させるために、付与後にゲル化する層を提供する。本ゲル化ステップによって、良好な層間浸透および層の均質化がもたらされる。層間拡散は、付与されたインキおよび感圧接着剤を含むすべての印刷層の架橋時に、良好な層間付着を実現する。
【0009】
本発明は、(1)任意選択で剥離被覆膜(release coating)を基材上に形成するステップ;(2)任意選択で印刷インキ層を前記剥離被覆膜上に形成するステップ;(3)ポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤ならびに少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーを含む硬化性組成物の被覆膜を、基材あるいはその上にあらかじめ付与された層または被覆膜上に形成するステップ;(4)ゲル状硬化性被覆膜を形成するために、硬化性被覆組成物を約70~約120℃の温度まで加熱するステップ;(5)任意選択で印刷インキ層を前記ゲル状ポリマー被覆膜上に形成するステップ、(6)ポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤ならびに少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーを含む別の硬化性組成物の被覆膜を、あらかじめ付与された層または被覆膜上に形成するステップ;および第2のゲル状硬化性被覆膜を形成するために、他の硬化性組成物被覆膜を約70~約120℃の温度まで加熱するステップ;(7)架橋が実施される前に、形成された多層被覆基材が、約130~約160℃の温度まで加熱されるステップ;および(8)加熱された多層被覆基材を、照射および/または約165~約190℃の温度の熱への曝露によって架橋するステップ;を含み、任意選択で、別の被覆膜が付与される前に、感圧接着剤組成物被覆膜が、基材上の剥離被覆膜に設けられ、または1つを超えて存在する場合に最後に形成されたゲル状ポリマー被覆膜に設けられる、多層印刷印またはステンシルを製造する方法に関する。
【0010】
ここで、例として添付の概略図を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】その異なる層を開示する装飾壁転写体の断面図である。
図2】その異なる層を開示する耐候性標識転写体の断面図である。
図3】その異なる層を開示する剥離デカールグラフィックスの断面図である。
図4】その異なる層を開示するフレキシブルステンシルマスクの断面図である。
図5】その異なる層を開示する装飾ステンシルマスクの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
多層印刷印またはステンシルを製造する本方法は、いくつかのステップを含み得る。まず、基材が提供される。基材は、プラスチックフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリオキシエチレンオキシテレフタロイルフィルム;あるいはポリマーで安定化され得る、耐熱性の紙または厚紙;あるいはウェブまたはシートなどのガラス繊維材料であり得る。非接着性のステンシルについては、シートまたはウェブなどの再使用可能なガラス繊維PTFE被覆膜材料が使用され得る。
【0013】
剥離被覆膜を基材上に形成できて、例えば、その上に被覆できる。基材は、一時的に、本多層印刷印またはステンシルに付着できて、これは、多層印刷印またはステンシルの使用時に、基材を層構造から剥離して、例えば、壁の上に付与できることを示す。剥離被覆膜は、事前剥離を避けながら適切な付与剥離レベルを得るために、制御された表面張力を備える基材上に付与され得る。基材の制御された表面張力は、10~40Dyne/cm、15~35Dyne/cmまたは12~38Dyne/cmなど、5~45Dyne/cmの範囲内の表面張力であり得る。剥離被覆膜は、事前剥離を避けながら適切な剥離レベルを得るために、ポリジメチルシロキサン、エポキシ樹脂およびポリテトラフルオロエチレン表面張力調整剤を含み得る。
【0014】
その後、印刷インキまたは接着剤は、以下でさらに論じるが、印刷インキ層または接着剤層を形成するために、前記剥離被覆膜上に、または前記剥離被覆膜上にこの剥離被覆膜の前に付与されたその他の任意の層の上に任意選択で付与され得る。印刷インキは、従来のUVまたはハイブリッドオフセットおよびスクリーンインキ、フレキソならびにデジタルインキから選択され得る。1つまたは複数のタイプの印刷インキが、この印刷インキ層を形成するために使用され得ることに留意されたい。印刷インキは、印刷インキ層の異なる色を与えるために、異なる着色剤を含み得る。印刷インキは、この段階で使用されない場合、使用されるとしても、後に多層化シーケンスにおいて付与され得る。
【0015】
基材上に、または任意選択で剥離被覆膜の後、または任意選択で選択された印刷インキ層の後、または任意選択で以下で開示の感圧接着剤組成物被覆膜の後、ポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤ならびに少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーを含む硬化性組成物の被覆膜が、基材上に、あるいはその上に付与された任意の先の被覆膜または層の上に付与される。硬化性被覆膜は、例えば、UVによって活性化され得る光開始剤、または熱活性化された開始剤、例えば、有機過酸化物などの開始剤を含み得る。付与された硬化性被覆組成物は、ゲル状硬化性被覆膜を形成するために、70~110℃、75~100℃または80~90℃など、70~120℃の温度まで加熱される。前記可塑剤、モノマーおよび/またはオリゴマーの液体混合物中に存在するポリマー粉末粒子を、液体混合物の吸収性部分によって膨潤させられるように加熱が実施され、これは、層間付着のための相互浸透を可能にするタックフリーのゲル状構造を与える。
【0016】
任意選択で、例えば、あらかじめ形成されていない場合、印刷インキ層を形成するために、印刷インキが前記ゲル状ポリマー被覆膜上に付与され得る。上で先述の同じタイプの印刷インキが本出願では考慮され得る。1つを超える印刷インキ層が本多層印刷印またはステンシルにおいて形成される場合、印刷インキが同一である必要はなく、異なるタイプおよび色のものであってもよい。この任意選択の印刷インキ層が、従来のUVまたはハイブリッドオフセットおよびスクリーンインキ、フレキソならびにデジタルインキからなる群のうちの1つによって形成される場合、先の印刷インキ層は、存在する場合、同じ群から選択された異なるタイプのインキによって形成され得ることに留意されたい。
【0017】
ポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤ならびに少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーを含む別の硬化性被覆組成物が、先の被覆膜または層、例えば、第1のゲル状硬化性被覆膜または印刷インキ層、あるいは任意選択で以下で開示の感圧接着剤被覆組成物の上に付与され得る。印刷インキ層がこの段階で形成される場合、前記印刷インキ層の後に別の硬化性被覆組成物の層が続くことが好ましい。第1の硬化性被覆組成物に関して開示されている同じか、または同様の被覆組成物が本明細書において使用され得る。本明細書に開示の硬化性組成物の間には違いがあり得るが、これらは、硬化性組成物の被覆膜の先の開示内の本明細書で上で述べた同じ範囲内になる。被覆膜付与後、別の第2のゲル状硬化性被覆膜を形成するために、先の硬化性被覆組成物と同様、すなわち、70~110℃、75~100℃または80~90℃など、70~120℃の温度まで、他の硬化性被覆組成物の加熱が実施される。各被覆膜付与または形成ステップの後に第3または第4の被覆膜が加熱され得るように、別の同じか、または同様の硬化性被覆組成物が同様の方法で付与され得る。層形成シーケンスの一部において、ポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤ならびに少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーを含む少なくとも2つの硬化性被覆組成物が、互いに順次、直後に付与されることが好ましい。別の実施形態では、ポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤ならびに少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーを含む少なくとも3つの硬化性被覆組成物が、互いに順次、直後に付与される。
【0018】
好ましい量の(1つまたは複数の)ゲル状硬化性被覆膜の形成後、部分的に完成した多層被覆基材は次のステップに進む。架橋が実施される前に、形成された多層被覆基材は、140~160℃など、130~160℃の温度まで加熱される。多層被覆基材の別の加熱は、可塑剤、モノマーおよび/またはオリゴマーの混合物中に、膨潤したポリマー粉末粒子を、好ましくは完全に溶解させて、均質な相の生成を可能にする。この段階で、基材に付与された異なる層の成分はさらに、成分の移行によって互いに相互接続し、これが、その後の固定時に層間結合を増加させることに留意されたい。より高い温度までのこの別の加熱ステップによって、層間接着および付着が改善される。ポリマー粉末粒子と、可塑剤、モノマーおよび/またはオリゴマーの液体混合物との間の比は、液体またはポリマーが過剰に存在しないような方法で選ぶことができて、これは、初めは湿っており、かつ/または後の段階では脆い冷えた被覆膜を与えるであろう。
【0019】
別の加熱ステップの後、加熱された多層被覆基材の架橋が、照射および/または170~180℃など、165~190℃の温度の熱への曝露によって実施される。架橋は、例えば、カチオン重合またはフリーラジカル重合によって実現され得る。照射は、例えば、UVおよび/またはEBによって実施できて、これは、多層被覆基材の成分の固有のネットワークを形成する。照射エネルギーは、20~500mJ/cm、100~450mJ/cmまたは200~400mJ/cmなど、5~500mJ/cmであり得る。350~450nmまたは370~400nmなど、約300~500nmの波長を使用する照射が実施され得る。分子間の化学結合を形成する化学架橋の意味での架橋が、前記多層印刷印またはステンシルの生成のこの段階で行われる。先のゲル化および別の加熱は、機能的に著しい架橋を避けながら、成分を互いに物理的に溶解させる。この最後の化学架橋が、層の組成物に、その極限強度を与える。この化学架橋は、その特定の開始剤を必要とするカチオン重合またはラジカル重合によって行うことができる。架橋を実現するために、例えば、ポリマー、モノマーおよび/またはオリゴマーの混合物を含む多層被覆基材を重合させて固有のネットワークを形成し、熱硬化するIR、または他の従来の加熱手段によって加熱を実施する必要があり得る。熱開始剤、例えば、有機過酸化物を使用して架橋し、多層印刷印またはステンシルの入ってくる成分を架橋するフリーラジカル重合を実現するために加熱は重要である。架橋は、特定のタイプの生成物に適したすべての硬化性組成物被覆膜の付与後に実施される。熱への曝露および/またはUV/EB照射によって、望ましい物理化学的特性および機械的特性を持つ固い被覆膜が形成される。電子ビーム(EB)照射が使用されるとき、組成物はEB照射のみで架橋できるため、硬化される組成物中に開始剤は必要ではないことに留意されたい。しかし、開始剤は、EB照射が使用される場合でも前記組成物中に存在してよい。冷却すると、完成した多層被覆基材は、優れた機械的特性を持ち、含まれる可塑剤が移行または蒸発しない固体である。この強く改善された機械的特性のため、縁部の接着不良はなくなることになる。可塑剤はもはや蒸発せず、または壁転写体の場合、もはや壁内に移行しない。したがって、印またはステンシルの除去後の寸法の著しい変化、縁部での接着の減少、または壁の変色は見られない。
【0020】
感圧接着剤組成物被覆膜は、別の被覆膜または層が付与される前に、基材上の剥離被覆膜に設けられてもよく、または別の加熱および架橋が実施される前に、1つを超えて存在する場合に最後に形成されたゲル状ポリマー被覆膜に設けられてもよいことに留意されたい。
【0021】
本多層印刷印またはステンシルは、(1)少なくとも1つの基材と、(2)異なる被覆層中に異なる成分を含み得る、ポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤ならびに少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーを含む、3つまたはそれ以上など、少なくとも2つの硬化性被覆組成物とを含む。多層印刷印またはステンシルの任意選択の層は、別の被覆膜または層が付与される前に、基材上に付与され得る剥離被覆膜;剥離被覆膜上に直接、または、最後の加熱ステップおよび硬化ステップの前に、ポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤と少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーとを含む最終硬化性組成物被覆膜の上に付与され得る感圧接着剤組成物被覆膜;ならびに別の被覆膜または層が付与される前に、存在するとき、剥離被覆膜上に、あるいはポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤と少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーとを含む硬化性組成物被覆膜上に付与され得る、好ましくは、ポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤と少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーとをそれぞれ含む2つの硬化性被覆組成物の間に付与される印刷インキ層からなる群から選択され得る。感圧接着剤被覆組成物が、多層印刷印またはステンシルの調製の最後に付与される場合、保護箔がその上に付与され得る。保護箔は、紙、プラスチックまたはこれらの任意の組み合わせでできていてもよい。
【0022】
異なる組成物が、印刷プロセスまたは被覆プロセスによって被覆膜または層として提供され得る。前述のように、硬化性組成物は、被覆膜として提供された後、可塑剤ならびにモノマーおよび/またはオリゴマーの液体混合物の部分的な浸透によってポリマー粉末粒子を膨潤させるように高温に曝される。この膨潤が被覆膜を非粘着性のゲルに変化させ、これは、逆トラッピングすることなく、重ね印刷、すなわち、複数層の印刷を可能にする。多層印刷印またはステンシルの製造において、異なる被覆膜および層の形成は、印刷として表すことができて、すなわち、前記多層印刷印またはステンシルを提供するために異なる被覆膜および層が印刷された。多層被覆基材の印刷(被覆)が完了した後、多層被覆基材は昇温される。このプロセスの間、膨潤したポリマー粉末粒子は、可塑剤、モノマーおよび/またはオリゴマー組成物中で、好ましくは完全に溶解して、均質な層構造を形成する。続いて、このより高い温度で、例えば、UVおよび/またはEB照射に曝露されることによって、被覆膜が架橋され、あるいは温度をさらに上昇させて、例えば、有機過酸化物を使用して多層被覆基材を重合させ、複数層にわたって固有のネットワークを形成し、機械的特性を大幅に向上させる。さまざまなステップの間の変化は、いわゆる、ゾル-ゲル変換プロセスとして説明することができる。「ゾル」は、(1つまたは複数の)ポリマーのタイプおよび液体成分のタイプの液体混合物中に分散したポリマー粉末であり、「ゲル」相は、要求された寸法特性および機械的特性を有する完全に均質な構造が最後に得られるまでの液体成分によるポリマー粒子の膨潤である。
【0023】
印刷インキ、およびポリマー粉末を含む硬化性組成物被覆膜のいくつかの層が、多層印刷印またはステンシルの生成において使用され得るため、被覆膜および積層の間にUV硬化が実施されるのか考慮することが重要であることに留意されたい。層構造を構築する間にUV硬化が使用される場合、そのようなUV硬化層の下のポリマー粉末を含む任意の硬化性被覆組成物も影響されるであろうし、多層印刷印またはステンシルは、多層印刷印またはステンシルの層間の接着不良の問題を有し得る。したがって、UVが積層の最後にのみ使用されるだけでなく、積層中も使用される場合、推進力のあるUV処理された層の下に位置するポリマー粉末を含む硬化性組成物被覆膜の早すぎる架橋を避けるため、ポリマー粉末を含む任意の生成された硬化性被覆組成物は、UV開始剤を含むべきではなく、その代わりに、熱開始剤(例えば、有機過酸化物)などの他の架橋開始剤を使用すべきであることが重要である。あるいは、存在し得る(1つまたは複数の)印刷インキ層および/またはポリマー粉末を含む硬化性被覆組成物は、白色顔料、例えば、二酸化チタンなどの多量の顔料を含む配合物を含むことができて、顔料は、あらゆるUV照射がそのような層を貫通したり、その内部に浸透したりして、前記層またはポリマー粉末を含む任意の下にある硬化性被覆組成物を硬化および架橋するのを困難にする。ポリマー粉末を含む硬化性組成物被覆膜が高度に着色され、かつ/または高度に着色された印刷インキによって覆われている場合、被覆組成物が、そのような場合に、UV開始剤、顔料量が高い、かつ/または高度に着色された印刷インキによって覆われている、ポリマー粉末を含む硬化性被覆組成物を含む場合でも、UVが高度に着色された配合物の内部に浸透したり、それを貫通したりすることはできないであろうから、UVへの曝露は架橋するのに十分ではないであろうから、ポリマー粉末を含むそのような硬化性被覆組成物は、上に開示の加熱による十分な架橋を実現するために、好ましくは、有機過酸化物などの熱開始剤を含んでいる。
【0024】
本明細書において提供されるのは、ポリマー粉末、少なくとも1つの可塑剤ならびに少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーを含む硬化性被覆組成物である。組成物は、開始剤、染料、顔料、安定剤およびフィラーからなる群から選択される成分をさらに含み得る。硬化性被覆組成物は、成分を混合することによって提供され、この組成物はその後、被覆膜を形成するために本プロセスにおいて使用される。少なくとも1つの硬化性組成物が、本多層被覆基材の製造において使用される。
【0025】
本硬化性被覆組成物は、以下を含み得る:
30~75wt%の(1つまたは複数の)ポリマー粉末、
5~50wt%の(1つまたは複数の)可塑剤、
1~40wt%の(1つまたは複数の)モノマーおよび/または(1つまたは複数の)オリゴマー、
0.5~5wt%の(1つまたは複数の)開始剤。
【0026】
任意の別の成分組成物は、以下の量で存在し得る:
0.5~20wt%の(1つまたは複数の)染料および/または(1つまたは複数の)顔料、
0.5~5wt%の(1つまたは複数の)安定剤、ならびに
0.5~5wt%の(1つまたは複数の)フィラー。
【0027】
硬化性被覆組成物中に存在するポリマー粉末粒子は、好ましくは、モノマー/オリゴマーおよび可塑剤の混合物に周囲温度で不溶だが、加熱されたとき、タックフリーのゲルを生成する。したがって、本多層印刷が可能になる。
【0028】
ポリマー粉末は、好ましくは、アクリレートポリマーおよび/またはビニルポリマーから選択される。ビニルポリマーは、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ならびに塩化ビニルおよび酢酸ビニルのコポリマーからなる群から選択され得る。アクリレートポリマーは、C3~25アルキルアクリレートおよび/またはC2~25アルキルメタクリレートのホモポリマーおよび/またはコポリマーであり得る。アクリレートポリマーは、アルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(先の化合物のアルキルは、メチル、エチル、ブチル、2-エチルヘキシル、ラウリル、ステアリルなどであり得る);(メタ)アクリル酸;マレイン酸;イタコン酸;およびこれらの任意の組み合わせからなる群に由来し得るホモポリマーおよび/またはコポリマーであり得る。
【0029】
ポリマー粉末は、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリルブタジエンスチレンおよびポリエチレンテレフタレートコポリマーならびにこれらの任意の組み合わせなどの別のポリマーを含み得る。
【0030】
ポリマー粉末は、硬化性被覆組成物中に、35~70wt%、40~68wt%、40~66wt%、35~66wt%、35~50wt%、40~50wt%、45~75wt%、50~70wt%または55~68wt%など、30~75wt%の量で存在し得る。存在するポリマー粉末の量は、使用されるポリマー粉末のタイプに伴って変更し得る。例えば、アクリレートポリマー粉末が使用される場合、アクリレートポリマー粉末は、35~50wt%または40~50wt%など、35~66wt%の量で存在し得る。ビニルポリマー粉末が使用される場合、ビニルポリマー粉末は、50~70wt%または55~68wt%など、45~75wt%の量で存在し得る。
【0031】
硬化性被覆組成物中に存在する少なくとも1つの可塑剤は、好ましくは、少なくとも2つの可塑剤である。可塑剤は、好ましくは、フタル酸エステルを含まない。可塑剤は、ポリオキシエチレングリコールジベンゾエート、ポリオキシプロピレングリコールジベンゾエートなどのポリグリコールベンゾエート;トリメリテート;ピロメリト酸エステル;リン酸トリブチル、リン酸トリクレシル、リン酸トリキシレン、リン酸トリキシリルなどのリン酸エステル;アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシルなどのアジピン酸エステル;セバシン酸ジブチルおよびセバシン酸ジオクチルなどのセバシン酸エステル;例えば、アルキル置換ジフェニル、アルキル置換テルフェニル、部分水素化アルキルテルフェニル、芳香族加工油、パイン油などの炭化水素;ならびにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0032】
(1つまたは複数の)可塑剤は、硬化性被覆組成物中に、10~45wt%、15~40wt%、19~40wt%または20~40wt%など、5~50wt%の量で存在し得る。
【0033】
硬化性被覆組成物中に存在する少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーは、好ましくは、重合性である。また、これらは、周囲温度で可塑剤に可溶であり得る。少なくとも1つのモノマーおよび/またはオリゴマーは、アクリレートモノマーおよびアクリレートオリゴマーから選択され得る。アクリレートオリゴマーは、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、シリコーンアクリレート、アミン官能性ポリエーテルアクリレート、塩素化アクリレートおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。好ましくは、ウレタンアクリレートおよびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、またはウレタンアクリレートおよび2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレートなどのウレタンアクリレートオリゴマー。モノマーは、エトキシル化フェノールモノアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルピロリドン、シリコーンアクリレート、ポリエステルアクリレート、メタクリレート、アクリル酸二量体、ベータカルボキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、オシルアクリレート、デシルアクリレート、脂肪族アクリレート、ペンタエリトリトールアクリレート、1,6-ヘキサンジオールアクリレート、ポリエチレンジアクリレートおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0034】
モノマーおよび/またはオリゴマーは、硬化性被覆組成物中に、1~25wt%、2~24wt%、4~22wt%、5~20wt%または5~15wt%など、1~40wt%の量で存在し得る。
【0035】
硬化性被覆組成物中に存在し得る開始剤は、光開始剤および熱開始剤から選択され得る。光開始剤は、ジアリールジヨードニウム塩またはトリアリールスルホニウム塩などのカチオン重合開始剤を含み得る。熱開始剤は、置換ベンジルホスホニウム塩を含み得る。
【0036】
光開始剤は、ベンゾフェノン;アセトフェノン;o-メトキシベンゾフェノン;アセナフテンキノン;メチルエチルケトン;バレロフェノン;ヘキサノフェノン;アルファ-フェニルブチロフェノン;p-モルホリノプロピオンフェノン;ジベンゾスベロン;4-モルホリノベンゾフェノン;4’-モルホリノデオキシベンゾイン;p-ジアセチルベンゼン;4-アミノベンゾフェノン;4’-メトキシアセトフェノン;ベンズアルデヒド;アルファ-テトラロン;9-アセチルフェナントレン;2-アセチルフェナントレン;10-チオキサンテノン;3-アセチルフェナントレン;3-アセチルインドン;9-フルオレノン;1-インダノン;1,3,5-トリアセチルベンゼン;チオキサンテン-9-オン;キサントレン-9-オン;7-H-ベンゾ[de]アントラセン-7-オン;1-ナフトアルデヒド;4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン;フルオレン-9-オン;1’-アセトナフトン;2’-アセトナフトン;2,3-ブタンジオン;トリフェニルホスフィン;トリ-o-トリルホスフィン;アセトナフトン;ベンゾ[a]アントラセン-7,12-ジオン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルまたはベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル;2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンまたは2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノンなどのジアルコキシアセトフェノン;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン;ベンジルジメチルケタール;およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0037】
熱開始剤は、置換または非置換ピナコール、アゾ化合物、チウラム、有機過酸化物およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。好ましくは、有機過酸化物は、熱開始剤として使用され得る。過酸化物がブロック化過酸化物であることがさらにいっそう好ましい。有機過酸化物の例は、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3-ビス(クミルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、カプリリルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシイソブチレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、ヒドロキシヘプチルペルオキシド、ジ-t-ブチルジパーフタレート、t-ブチルパーアセテート、t-ブチルパーベンゾエート、ジクミルペルオキシド、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンおよびジ-t-ブチルペルオキシドである。アゾ化合物の例は、2-t-ブチルアゾ-2-シアノプロパン;2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル);2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル);2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)および1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)である。チウラムの例は、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジ-N-ペンタメチレンチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジフェニルジメチルチウラムジスルフィド、ジフェニルジエチルチウラムジスルフィドおよびジエチレンオキシチウラムジスルフィドである。ピナコールの例は、ベンゾピナコール、4,4’-ジクロロベンゾピナコール、4,4’-ジブロモベンゾピナコール、4,4’-ジヨードベンゾピナコール、4,4’,4’’,4’’’-テトラクロロベンゾピナコール、2,4-2’,4’-テトラクロロベンゾピナコール、4,4’-ジメチルベンゾピナコール、3,3’-ジメチルベンゾピナコール、2,2’-ジメチルベンゾピナコール、3,4-3’,4’-テトラメチルベンゾピナコール、4,4’-ジメトキシベンゾピナコール、4,4’,4’’,4’’’-テトラメトキシベンゾピナコール、4,4’-ジフェニルベンゾピナコール、4,4’-ジクロロ-4’’,4’’’-ジメチルベンゾピナコール、4,4’-ジメチル-4’’,4’’’-ジフェニルベンゾピナコール、キサントンピナコール、フルオレノンピナコール、アセトフェノンピナコール、4,4’-ジメチルアセトフェノンピナコール、4,4’-ジクロロアセトフェノンピナコール、1,1,2-トリフェニルプロパン-1,2-ジオール、1,2,3,4-テトラフェニルブタン-2,3-ジオール、1,2-ジフェニルシクロブタン-1,2-ジオール、プロピオフェノンピナコール、4,4’-ジメチルプロピオフェノンピナコール、2,2’-エチル-3,3’-ジメトキシプロピオフェノンピナコール、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2,3-ジフェニル-ブタン-2,3-ジオール、ベンゾピナコールモノメチルエーテル、ベンゾピナコールモノフェニルエーテル、ベンゾピナコールおよびモノイソプロピルエーテル、ベンゾピナコールモノイソブチルエーテルおよびベンゾピナコールモノ(ジエトキシメチル)エーテルである。
【0038】
開始剤は、硬化性被覆組成物中に、0.8~4wt%、1~3.5wt%または1~3wt%など、0.5~5wt%の量で存在し得る。
【0039】
硬化性被覆組成物中に存在し得る顔料および染料は、酸化チタン、弁柄、鉄黒およびカーボンブラックから選択できて、これらの顔料および染料は、好ましくは、UV照射などに対して透明である。これらが単にフィラーとして使用される場合、材料が非常に小さい粒径を有することが望ましい場合があるが、その理由は、そのようなものを含む被覆膜または層の透明性の低下が最小限に抑えられるであろうからである。
【0040】
染料および/または顔料は、硬化性被覆組成物中に、1~15wt%または1~10wt%など、0.5~20wt%の量で存在し得る。
【0041】
硬化性被覆組成物中に存在し得る安定剤は、金属含有安定剤から選択され得る。カルシウムおよび/または亜鉛含有安定剤が使用され得る。
【0042】
安定剤は、硬化性被覆組成物中に、1~4wt%または1.5~3wt%など、0.5~5wt%の量で存在し得る。
【0043】
硬化性被覆組成物中に存在し得る適したフィラーは、変性されていても、または変性されていなくてもよいベントナイトなどの粘土;例えば、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム;炭酸マグネシウム;酸化チタン;硫酸バリウム;亜鉛白;ケイ酸;雲母粉タルク;シリカ;珪藻土;ガラス粉末;黒鉛粉末;アルミナ;金属粉末;タルク;などからなる群から選択され得る。
【0044】
フィラーは、硬化性被覆組成物中に、1~4wt%または1~3wt%など、0.5~5wt%の量で存在し得る。
【0045】
最終生成物の別の層は、印刷インキで形成され得る。印刷インキは、以下を含み得る:
30~60wt%の(1つまたは複数の)モノマー、
10~35wt%の(1つまたは複数の)染料および/または(1つまたは複数の)顔料、
5~25wt%の(1つまたは複数の)プレポリマー、
1~15wt%の(1つまたは複数の)樹脂、
1~10wt%の(1つまたは複数の)開始剤、ならびに
1~10wt%の他の添加剤。
【0046】
印刷インキのモノマーは、硬化性被覆組成物について述べた同じタイプから選択され得る。モノマーは、アクリル酸エステルモノマーから選択され得る。モノマーは、印刷インキ中に、35~55wt%または40~50wt%など、30~60wt%の量で存在し得る。印刷インキの染料および/または顔料は、硬化性被覆組成物について述べた同じタイプから選択され得る。染料および/または顔料は、印刷インキ中に、15~30wt%または20~25wt%など、10~35wt%の量で存在し得る。
【0047】
印刷インキのプレポリマーは、フタル酸ジアリルプレポリマーから選択され得る。不飽和プレポリマーは、架橋を開始すると重合し、ポリマーネットワークに取り込まれる。プレポリマーは、印刷インキ中に、10~20wt%または12~18wt%など、5~25wt%の量で存在し得る。
【0048】
印刷インキの樹脂は、ポリエステル樹脂から選択され得る。樹脂は、印刷インキ中に、3~10wt%または5~8wt%など、1~15wt%の量で存在し得る。
【0049】
印刷インキの開始剤は、光開始剤および熱開始剤から選択され得る。好ましくは、2つまたは3つの異なる開始剤など、光開始剤の混合物が使用される。開始剤は、印刷インキ中に、2~8wt%または4~7wt%など、1~10wt%の量で存在し得る。
【0050】
印刷インキの添加剤は、安定剤、フィラーなどから選択され得る。添加剤は、印刷インキ中に、2~8wt%または4~6wt%など、1~10wt%の量で存在し得る。
【0051】
最終生成物の別の層は、接着剤、好ましくは、感圧接着剤(PSA)で形成され得る。接着剤は、以下を含み得る:
30~95wt%の(1つまたは複数の)コポリマー、
0.5~15wt%のプロピレングリコール、
1~50wt%の(1つまたは複数の)溶剤、
1~15wt%の二酸化ケイ素、および
10~50wt%のロジン。
【0052】
接着剤のコポリマーは、酢酸ビニル、エチレンおよびアクリレートのコポリマーから選択され得る。コポリマーは、接着剤中に、40~90wt%、45~85wt%、40~70wt%、40~65wt%または60~90wt%など、30~95wt%の量で存在し得る。
【0053】
接着剤のプロピレングリコールは、接着剤中に、1~10wt%または2~8wt%など、0.5~15wt%の量で存在し得る。
【0054】
接着剤の溶剤は、水、およびミネラルスピリットタイプの炭化水素溶剤、例えば、D40溶剤などの炭化水素溶剤から選択され得る。溶剤は、接着剤中に、2~45wt%など、1~50wt%の量で存在し得る。存在する溶剤の量は、使用される溶剤のタイプに伴って変更し得る。例えば、水が使用される場合、水は、10~45wt%など、5~50wt%の量で存在し得る。炭化水素溶剤が使用される場合、炭化水素溶剤は、1~5wt%または2~5wt%など、1~10wt%の量で存在し得る。
【0055】
接着剤の二酸化ケイ素は、接着剤中に、1~10wt%または2~8wt%など、1~15wt%の量で存在し得る。二酸化ケイ素は、本明細書においてレオロジー調整剤として使用される。
【0056】
接着剤のロジンは、接着剤中に、20~40wt%または25~35wt%など、10~50wt%の量で存在し得る。
【0057】
あるいは、接着剤は、以下を含み得るUV感圧性の永久粘着性接着剤であり得る:
20~65wt%の(1つまたは複数の)ウレタンアクリレート、好ましくは、(1つまたは複数の)脂肪族ウレタンアクリレート、
1~30wt%の(1つまたは複数の)アルキルアクリレート、好ましくは2-エチルヘキシルアクリレート、
1~30wt%の(1つまたは複数の)水素化炭化水素樹脂、
1~15wt%の(1つまたは複数の)反応性モノマー希釈剤、好ましくはイソボルニルアクリレート
1~15wt%の(1つまたは複数の)ビニルアミドモノマー、好ましくはビニルカプロラクタム
1~15wt%のシリカ、好ましくは非晶質シリカ
0.1~5wt%の(1つまたは複数の)UV光開始剤。
【0058】
本発明のさまざまな実施形態が説明され、示されてきたが、本発明はそれらに限定されず、以下の特許請求の範囲定義される主題の範囲内の他の方法でも具体化され得る。
【0059】
本明細書に記載の実施例は、本発明を限定するものと見なされるべきではなく、その任意選択の実施形態として記載されている。
【0060】
実施例1:UVオフセット/ハイブリッドまたはスクリーン印刷された装飾壁転写体。
印刷を可能にし、かつ偶発的なインキ剥離を避けるために、50μm厚または75μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリオキシエチレンオキシテレフタロイルフィルムキャリアを、制御剥離添加剤ビニル基を含むポリジメチルシロキサンのつや消しの表面エネルギー調整剥離被覆膜で処理し、フィルムを140~150℃の温度で温度安定化し、硬化した。壁転写体フルカラーハーフトーングラフィックスを、配合物を使用して、つや消しの調整剥離被覆膜上に1~2μmの間の厚さで印刷した。使用される可塑剤は、フタル酸エステルを含まない。
【0061】
配合物1.0-UVオフセットフルカラーハーフトーン印刷インキ:
アクリル酸エステルモノマー 42部
顔料 25部
フタル酸ジアリルプレポリマー 15部
ポリエステル樹脂 7部
UV光開始剤 6部
添加剤 5部
Cyan PB 15:2、Magenta PR 122、Yellow PY 12、Black 7
多色印刷されたシートを部分的にUV硬化して、指触乾燥させる。第2の白色に着色した12~15μmフィルム形成1.3層をハーフトーングラフィック画像上にスクリーン印刷した。
【0062】
配合物1.1-ハイブリッドオフセットフルカラーハーフトーン印刷インキ:
この実施例において、つや消しの剥離シート上に印刷された枚葉UVオフセットインキは、日本のインキ会社であるTOKAのUVハイブリッドインキと交換される。ハイブリッドインキは、UVインキと従来のオフセットインキとの中間型である。ハイブリッドインキは、従来の油性オフセットインキに加えてモノマー/オリゴマーの部分を含み、選択された場合、1.3.白色スクリーン印刷されたインキ印および透明層1.4に対する接着が改善する。可塑剤/モノマー/オリゴマー組成物によってポリマー粒子を膨潤させ、指触乾燥させるために、層を個別に約80~100℃まで加熱した。
【0063】
配合物1.2-ポリマー粉末を含むスクリーン印刷可能なゾル-ゲルアクリレートフルカラーハーフトーン硬化性組成物:
機械的強度および色濃度を改善するために、任意選択で壁転写体フルカラーハーフトーングラフィックスを3~4μmの間の厚さでスクリーン印刷できる。使用される可塑剤は、フタル酸エステルを含まない。
【0064】
アクリレートポリマー粉末 43部
可塑剤 32部
二次可塑剤 7部
フルカラー顔料 6部
アクリレートモノマー 5部
ウレタンアクリレートオリゴマー 3部
変性ベントナイト粘土 2部
二酸化ケイ素 1部
UV光開始剤 1部
Cyan PB 15:2、Magenta PR 122、Yellow PY 12、Black 7
可塑剤/モノマー/オリゴマー組成物によってポリマー粒子を膨潤させ、指触乾燥させるために、印刷されたキャリアシートを最高約80~100℃まで加熱した。
【0065】
配合物1.3-ポリマー粉末を含むスクリーン印刷可能なゾル-ゲルアクリレート白色硬化性組成物:
アクリレートポリマー粉末 48部
可塑剤 25部
白色顔料PW2 12部
ウレタンアクリレートオリゴマー 5部
二次可塑剤 5部
アクリレートモノマー 4部
UV光開始剤 1部
ルチル型酸化チタン(IV)
可塑剤/モノマー/オリゴマー組成物によってポリマー粒子を膨潤させ、指触乾燥させるために、印刷されたキャリアシートを最高約80~100℃まで加熱した。任意選択で、機械的強度を強化するために、以下の配合物を有する透明なゾルゲル層を調製し、続いて、印の上に印刷した。
【0066】
配合物1.4-ポリマー粉末を含む印刷可能なゾル-ゲルアクリレート透明硬化性組成物:
アクリレートポリマー粉末 49部
可塑剤 31部
二次可塑剤 7部
アクリレートモノマー 8部
非晶質ヒュームドシリカ 2部
Ca/Zn熱安定剤 2部
UV光開始剤 1部
可塑剤/モノマー/オリゴマー組成物によってポリマー粒子を膨潤させ、指触乾燥させるために、印刷されたキャリアシートを最高約80~100℃まで加熱した。以下の配合物を有する感圧接着剤を調製した。
【0067】
配合物1.5-中粘着性感圧接着剤:
酢酸ビニル、エチレンおよびアクリレートコポリマー 90部
モノプロピレングリコール 7部
溶剤D40 2部
二酸化ケイ素 1部
続いて、7~10μmの感圧性接着剤を含むシートを印刷して、オーブン乾燥し、その後、温度をさらに約140~150℃まで上げ、その直後に、接着剤を含むモノマー/オリゴマー混合物のゾル-ゲル層を架橋するためにUV光に曝露した。保護用シリコーン被覆ライナー紙を接着剤面にラミネートした。多層印は、すべてのタイプの材料、壁装材および塗面に転写できた。転写された印は、優れた接着および寸法安定性を示し、特に印の縁部は、カールすることなく、よく接着したままであった。
【0068】
図1には、装飾壁転写体の一例が開示されている。本多層印刷印またはステンシルをよりよく理解するために、実施例1中の本明細書に開示の組成物が図1に記載されている。
【0069】
図1に開示されているのは次の通り:
1.光沢のあるポリエチレンテレフタレートキャリア箔
2.つや消しのポリジメチルシロキサン剥離被覆膜
3.フルカラーおよび単色のグラフィック層
層:配合物、1.0-1.1-1.2
4.白色ゾルゲル:層、配合物:1.3
5.透明:ゾルゲル層、配合物:1.4
6.PSA層配合物、1.5
7.保護ライナー紙
UVオフセット/ハイブリッドおよびスクリーン印刷インキが異なる被覆層が開示されている。
【0070】
実施例2:耐候性標識転写体
印刷を可能にし、かつ偶発的なインキ剥離を避けるために、50μm厚または75μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリオキシエチレンオキシテレフタロイルフィルムキャリアを、制御剥離添加剤ビニル基を含むポリジメチルシロキサンの光沢のある表面エネルギー調整剥離被覆膜で処理し、フィルムを160~170℃の温度で温度安定化し、硬化した。以下の配合物では、ゾルゲルの光開始剤は、約170℃の活性化温度を有する有機過酸化物と交換される。屋外耐候性および耐UV性を改善するために、配合物中のアクリレートポリマー粉末を使用することが好ましい場合がある。使用される可塑剤は、フタル酸エステルを含まない。
【0071】
UVフィルターおよび安定剤を含む以下の配合物の透明な4~7μmフィルム形成層をスクリーン印刷した。
【0072】
配合物2.0-ポリマー粉末を含むスクリーン印刷可能なゾル-ゲルアクリレート透明硬化性組成物:
アクリレートポリマー粉末 49部
可塑剤 26部
アクリレートモノマー 12部
二次可塑剤 7部
過酸化物 3部
Ca/Zn熱安定剤 2部
二酸化ケイ素 0.5部
UV/UVA吸収剤 0.5部
可塑剤/モノマー/オリゴマー組成物によってポリマー粒子を膨潤させ、指触乾燥させるために、層を最高約80~100℃まで加熱した。
【0073】
以下の配合物の着色した8~12μmインキ層をスクリーン印刷した。
【0074】
配合物2.1-ポリマー粉末を含むスクリーン印刷可能なゾル-ゲルアクリレート黒色硬化性組成物:
アクリレートポリマー粉末 46部
可塑剤 25部
アクリレートモノマー 12部
二次可塑剤 9部
炭素顔料C.I.Black 7 4部
過酸化物 3部
二酸化ケイ素 1部
任意選択の顔料の選択
この標識転写体は、低UV光浸透性着色、例えば、高密度のカーボンブラックまたは他の耐UV性顔料および耐候性顔料を使用した、ウールスケール8を超える印着色によって着色され、耐候性および耐UV性を改善する保護UV光吸収剤を必要とする。すべてのゾルゲル層のゲル化が必要である。本明細書における着色のために、フィルターされた層または不透明なインキ層に対するUV照射の限られた浸透深さが得られるであろう。これは、すべての層内で架橋不足をまねく。未硬化の材料を避けるために、160℃を超える活性化温度を有する有機過酸化物を配合物に導入した。個々のゾル-ゲル層から1枚の密着したフィルムへの硬化は、170℃~180℃で実施した。以下の配合物の高粘着性水性感圧接着剤または高固形分UV接着剤を含む。
【0075】
配合物2.2-高粘着性水性感圧接着剤:
水 40部
酢酸ビニル、エチレンおよびアクリレートコポリマー 38部
ロジン 15部
溶剤D40 6部
モノプロピレングリコール 1部
あるいは、UV永久粘着性接着剤が使用され得る:
配合物2.3-UV感圧性の永久粘着性接着剤:
脂肪族ウレタンアクリレート 47部
2-エチルヘキシルアクリレート 20部
水素化炭化水素樹脂 18部
イソボルニルアクリレート 7部
ビニルカプロラクタム 5部
非晶質シリカ 2部
UV光開始剤混合物 1部
続いて、7~10μmで印刷された高粘着性感圧性配合物2.2の選択したタイプを使用して、または10~12μm厚で印刷されたUV永久粘着性配合物2.3を選択してシートを印刷し、モノマー/オリゴマー混合物のゾル-ゲル層を架橋するために温度をさらに約160~170℃まで上げ、その直後に、UV接着剤を架橋するためにUV曝露が続いた。保護用シリコーン被覆ライナー紙を接着剤面にラミネートした。多層デカールは、すべてのタイプの材料および対象物に転写できた。
【0076】
図2には、耐候性標識転写体の一例が開示されている。本多層印刷印またはステンシルをよりよく理解するために、実施例2中の本明細書に開示の組成物が図2に記載されている。図2には、PSA層の2つの異なる選択肢が開示されている。
【0077】
図2に開示されているのは次の通り:
1.光沢のあるポリエチレンテレフタレートキャリア箔
2.ポリジメチルシロキサン剥離被覆膜
3.透明なフィルム形成層、配合物:2.0
4.ベクターカラー画像層、配合物:2.1
5.WB PSA層、配合物:2.2(図2の左側)
6.UV PSA層、配合物:2.3(図2右側)
7.保護ライナー紙
スクリーン印刷、ウールスケール8を超える耐性。
【0078】
実施例3:剥離デカールグラフィックス
50μm厚または75μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリオキシエチレンオキシテレフタロイルフィルムキャリアを、制御剥離添加剤ビニル基を含むポリジメチルシロキサンの表面エネルギー調整剥離被覆膜で処理した。フィルムを160~170℃の温度で温度安定化し、硬化した。剥離デカールを、まず感圧接着剤3.0を使用して印刷し、透明な3.1フィルム形成インキ、続いて、3.2 UVまたはハイブリッド1.1オフセットインキで印刷された白色画像を含むフルカラーによって保護印刷し、3.3および3D 3.4ゾルゲルワニス層でカバー印刷した。
【0079】
以下の配合物を使用して感圧接着剤を調製した。
【0080】
配合物3.0-再配置可能な感圧接着剤:
水 44部
酢酸ビニル、エチレンおよびアクリレートコポリマー 46部
二酸化ケイ素粗粒 5部
二酸化ケイ素 2部
モノプロピレングリコール 3部
4~7μmの感圧性接着剤を含むキャリアシートを印刷して、約70~80℃でオーブン乾燥した。以下の配合物の以下の透明なフィルム形成層を調製した。使用される可塑剤は、フタル酸エステルを含まない。
【0081】
配合物3.1-ポリマー粉末を含むスクリーン印刷可能なゾル-ゲルビニル透明硬化性組成物:
ビニルポリマー粉末 60部
可塑剤 24部
アクリレートモノマー 6部
二次可塑剤 4部
有機過酸化物 3部
ウレタンアクリレートオリゴマー 3部
Ca/Zn熱安定剤 2部
印刷されたシートを最高約100~110℃まで加熱した。可塑剤/モノマー/オリゴマー組成物によってポリマー粒子を膨潤させ、指触乾燥させるために、以下の配合物の白色または透明な印の上に印刷されたUVまたはハイブリッドオフセットになるよう調製した。
【0082】
配合物3.2-UVオフセットフルカラーハーフトーンおよび白色印刷インキ:
アクリル酸エステルモノマー 42部
顔料 25部
フタル酸ジアリルプレポリマー 15部
ポリエステル樹脂 7部
UV光開始剤混合物 6部
添加剤 5部
Cyan PB 15:2、Magenta PR 122、Yellow PY 12、Black 7、White PW 2
印刷されたUVオフセットまたはハイブリッドインキを硬化して、指触乾燥させた。続いて、以下の配合物を有するゾルゲルワニス層を調製した。使用される可塑剤は、フタル酸エステルを含まない。
【0083】
配合物3.3-ポリマー粉末を含むスクリーン印刷可能なゾル-ゲルビニル透明硬化性ワニス組成物:
ビニルポリマー粉末 57部
可塑剤 14部
ウレタンアクリレートオリゴマー 20部
二次可塑剤 5部
Ca/Zn安定剤 2部
アクリレートモノマー 1部
UV光開始剤混合物 1部
可塑剤/モノマー/オリゴマー組成物によってポリマー粒子を膨潤させ、指触乾燥させるために、印刷されたシートを最高約100~110℃まで加熱した。以下の配合物を有する第2の3Dゾル-ゲルワニス層を調製した。使用される可塑剤は、フタル酸エステルを含まない。
【0084】
配合物3.4-ポリマー粉末を含む3Dスクリーン印刷可能なゾル-ゲルビニル透明硬化性ワニス組成物:
ビニルポリマー粉末 66部
可塑剤 15部
アクリレートモノマー 10部
二次可塑剤 6部
Ca/Zn安定剤 2部
UV光開始剤混合物 1部
多層印デカールを約160~170℃まで加熱し、その直後に、接着剤を含むポリマーおよびモノマー/オリゴマー混合物のゾル-ゲル層を架橋するためにUV光に曝露した。多層3D印デカールは剥離できて、すべてのタイプの材料および表面に接着できた。デカールは、収縮することなく、良好な接着および寸法安定性を示した。
【0085】
図3には、剥離デカールグラフィックスの一例が開示されている。本多層印刷印またはステンシルをよりよく理解するために、実施例3中の本明細書に開示の組成物が図3に記載されている。
【0086】
図3に開示されているのは次の通り:
1.光沢のあるポリエチレンテレフタレートキャリア箔
2.ポリジメチルシロキサン剥離被覆膜
3.WB PSA層、配合物:3.0
4.透明なフィルム形成層、配合物:3.1
単色/フルカラーのグラフィック層、配合物:3.2
6.フィルム形成層、配合物:3.3
7.フィルム形成3D層、配合物3.4
UVオフセットまたはハイブリッドインキ。
【0087】
実施例4:フレキシブルステンシルマスク
光沢のある50μm厚または75μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリオキシエチレンオキシテレフタロイルフィルムキャリアを、制御剥離添加剤ビニル基を含むポリジメチルシロキサンの表面エネルギー調整剥離被覆膜で処理した。フィルムを160~170℃の温度で温度安定化し、硬化した。まず感圧接着剤を使用し、続いて1つのカラーマスクを、その後、1つまたは複数の印刷されたステンシルマスクを使用して剥離ステンシルを印刷し、それによって、最後の印刷されたマスクは耐溶剤性になる。以下の配合物を使用して感圧接着剤を調製した。
【0088】
配合物4.0-再配置可能な感圧接着剤:
水 44部
酢酸ビニル、エチレンおよびアクリレートコポリマー 43部
二酸化ケイ素粗粒 6部
二酸化ケイ素 4部
モノプロピレングリコール 3部
4~7μmの感圧性接着剤を含むキャリアシートを印刷して、約70~80℃でオーブン乾燥した。以下の配合物のカラーステンシルインキ層を調製した。使用される可塑剤は、フタル酸エステルを含まない。
【0089】
配合物4.1-ポリマー粉末を含むスクリーン印刷可能なゾル-ゲルビニル透明色硬化性組成物:
ビニルポリマー粉末 65部
可塑剤 21部
二次可塑剤 7部
アクリレートモノマー 3部
Ca/Zn安定剤 2部
赤色顔料PR 122 1部
UV光開始剤混合物 1部
任意選択の赤色顔料PR 122
印刷されたキャリアシートを加熱ゲル化して、指触乾燥させた。以下の配合物の第2の非着色の60~80μmステンシルマスクを、色インキステンシル層の上にスクリーン印刷した。使用される可塑剤は、フタル酸エステルを含まない。
【0090】
配合物4.2-ポリマー粉末ステンシルマスクを含むスクリーン印刷可能なゾルゲルビニル透明硬化性組成物:
ビニルポリマー粉末 66部
可塑剤 23部
二次可塑剤 5部
アクリレートモノマー 3部
Ca/Zn安定剤 2部
UV光開始剤混合物 1部
印刷されたキャリアシートを加熱ゲル化して、指触乾燥させた。以下の配合物の第3の非着色の60~80μm硬質ステンシルマスクをスクリーン印刷した。使用される可塑剤は、フタル酸エステルを含まない。
【0091】
配合物4.3-ポリマー粉末ステンシルマスクを含むスクリーン印刷可能なゾル-ゲルビニル硬質硬化性組成物:
ビニルポリマー粉末 65部
可塑剤 18部
アクリレートモノマー 10部
二次可塑剤 4部
Ca/Zn安定剤 2部
UV光開始剤混合物 1部
多層ステンシルマスクを約160~170℃まで加熱した。その後、接着剤を含むゾル-ゲルポリマーおよびモノマー混合物を架橋するために、多層ステンシルマスクをUV光に直接曝露した。ステンシルマスクは、キャリアから剥離できて、装飾目的のためのすべてのタイプの材料および表面に付与できて、ステンシルは、寸法安定性、層間接着、および繰り返し複数回再使用するための洗浄に耐える耐溶剤性を示した。
【0092】
図4には、フレキシブルステンシルマスクの一例が開示されている。本多層印刷印またはステンシルをよりよく理解するために、実施例4中の本明細書に開示の組成物が図4に記載されている。
【0093】
図4に開示されているのは次の通り:
1.光沢のあるポリエチレンテレフタレートキャリア箔
2.ポリジメチルシロキサン剥離被覆膜
3.再配置可能なWB PSA層、配合物:4.0
4.透明色層、配合物:4.1
5.透明なステンシルマスク、配合物:4.2
6.透明な硬質ステンシルマスク、配合物:4.3
7.ステンシル開放設計。
【0094】
実施例5:耐久性ステンシルマスク
一時的なガラス繊維PTFEキャリアを使用してステンシルマルチマスキング層を印刷し、印刷、ゲル化および架橋の後に除去した。このタイプのキャリアは、次の生産バッチに再使用され、第2の選択肢は、より小さいステンシルサイズのために、表面エネルギー調整剥離被覆膜で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、ステンシルマスクを含むシートを供給するものである。1つのカラーマスクを、その後、2つ以上の印刷されたステンシルマスクを使用してキャリアを印刷し、それによって、最後の印刷されたマスクは耐久性かつ耐溶剤性になる。
【0095】
以下の配合物を使用して透明色層を調製した。
【0096】
配合物5.0-ポリマー粉末を含むスクリーン印刷可能なゾル-ゲルビニル透明色硬化性組成物:
ビニルポリマー粉末 65部
可塑剤 21部
二次可塑剤 7部
アクリレートモノマー 3部
Ca/Zn安定剤 2部
赤色顔料PR 122 1部
UV光開始剤混合物 1部
任意選択の赤色顔料PR 122
印刷されたキャリアシートを加熱ゲル化して、指触乾燥させた。以下の配合物の第2の非着色の60~80μmステンシルマスクを、色インキステンシル層の上にスクリーン印刷した。使用される可塑剤は、フタル酸エステルを含まない。
【0097】
配合物5.1-ポリマー粉末ステンシルマスクを含むスクリーン印刷可能なゾル-ゲルビニル硬質硬化性組成物:
ビニルポリマー粉末 65部
可塑剤 21部
アクリレートモノマー 8部
二次可塑剤 3部
Ca/Zn安定剤 2部
UV光開始剤混合物 1部
キャリアシート上の有色および透明の印刷されたマスクを加熱ゲル化して、指触乾燥させた。第3の非着色の70~90μmステンシルマスクを、以下の配合物の先のステンシル層の上にスクリーン印刷した。使用される可塑剤は、フタル酸エステルを含まない。
【0098】
配合物5.2-ポリマー粉末ステンシルマスクを含むスクリーン印刷可能なゾル-ゲルビニル耐久性硬化性組成物:
ビニルポリマー粉末 60部
可塑剤 21部
アクリレートモノマー 9部
コポリエステル粉末 5部
二次可塑剤 2部
Ca/Zn安定剤 2部
UV光開始剤混合物 1部
耐久性多層ステンシルマスクを約160~170℃まで加熱した。その後、ゾル-ゲルポリマーおよびモノマー混合物を架橋するために、耐久性多層ステンシルマスクをUV光に直接曝露した。ステンシルマスクをキャリアから除去し、流通のために包装した。レーザ切断および型抜きしたステンシルと比べた利点は、より細かいディテールおよびより良い柔軟性を提供するより良い版下の複製であり、ステンシルマスクは、装飾目的のためのすべてのタイプの材料および表面に付与できて、ステンシルは、最適な寸法安定性、層間接着、および繰り返し複数回再使用するための洗浄に耐える耐溶剤性を示した。
【0099】
図5には、耐久性ステンシルマスクの一例が開示されている。本多層印刷印またはステンシルをよりよく理解するために、実施例5中の本明細書に開示の組成物が図5に記載されている。
【0100】
図5に開示されているのは次の通り:
1.ガラス繊維PTFEキャリア箔
2.透明色層、配合物:5.0
3.透明なステンシルマスク、配合物:5.1
4.透明な耐久性ステンシルマスク、配合物:5.2
5.ステンシル開放設計。
図1
図2
図3
図4
図5