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  • 特許-導電性布帛および導電性布帛の製造方法 図1
  • 特許-導電性布帛および導電性布帛の製造方法 図2
  • 特許-導電性布帛および導電性布帛の製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】導電性布帛および導電性布帛の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/24 20060101AFI20221227BHJP
   D06M 11/83 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
B32B5/24
D06M11/83
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018210732
(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公開番号】P2020075422
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲文
(72)【発明者】
【氏名】辻本 和久
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-124650(JP,A)
【文献】特開平10-223356(JP,A)
【文献】特開平10-302937(JP,A)
【文献】特開2016-168791(JP,A)
【文献】特開昭62-093811(JP,A)
【文献】特開平10-264285(JP,A)
【文献】特開平03-211044(JP,A)
【文献】国際公開第2009/025518(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
B05D1/00-7/26
B29B11/16-15/14
C08J5/04-5/24
D06M10/00-23/18
D06N1/00-7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸または緯糸の少なくとも一方がモノフィラメントから構成された開口率30%以上の織物であるメッシュ状基材と、前記メッシュ状基材の第一面および前記第一面とは反対側の第二面とを被覆する導電性組成物とからなり、前記第一面側は前記経糸および緯糸が露出している部分を有さず、前記第二面側は少なくとも前記モノフィラメントの一部が規則的な略楕円形状に露出している部分を有している、導電性布帛。
【請求項2】
前記第二面側において、前記導電性組成物で被覆されている部分の面積Sと、前記経糸および前記緯糸が露出している部分の面積Sについて、S/Sの値が0.7~10.0である、請求項1に記載の導電性布帛。
【請求項3】
前記第二面側において、前記導電性組成物で被覆されている部分の面積Sと、前記経糸および前記緯糸が露出している部分の面積Sについて、S/Sの値が3.0~10.0である、請求項1に記載の導電性布帛。
【請求項4】
前記導電性布帛の開口率が20%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の導電性布帛。
【請求項5】
前記導電性布帛の厚みが50~200μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の導電性布帛。
【請求項6】
メッシュ状基材の第一面側から導電性組成物インクを付与した後乾燥して導電性組成物の皮膜を形成する導電性布帛の製造方法であって、
前記メッシュ状基材は経糸または緯糸の少なくとも一方がモノフィラメントから構成された開口率30%以上の織物であり、
前記第一面側は前記経糸および緯糸が露出している部分を有さず、前記第一面とは反対側の第二面側は少なくとも前記モノフィラメントの一部が規則的な略楕円形状に露出している部分を有しているように導電性組成物の皮膜を形成することを特徴とする、導電性布帛の製造方法。
【請求項7】
前記第二面側において、前記導電性組成物で被覆されている部分の面積Sと、前記経糸および前記緯糸が露出している部分の面積Sについて、S/Sの値が0.7~10.0である、請求項6に記載の導電性布帛の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性布帛とその製造方法に関する。更に詳しくは、耐屈曲性に優れた導電性布帛と、これを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有する導電部材として、高分子フィルムの表面に金属含有皮膜を形成したものが利用されている。しかしながら、高分子フィルムの表面に金属含有皮膜を形成した導電部材は、鋭角な屈曲や繰り返し屈曲に対する導電性の耐久性が不十分であった。
【0003】
屈曲に対する耐久性を改善する目的で、繊維からなる布帛の表面に、メッキによる金属皮膜を設けることが提案されている。特許文献1では、特定の総繊度を有する経糸、緯糸を用いて特定の織密度で製織した織物の表面に無電解金属メッキによる金属皮膜層が設けられた表面導電性布帛が開示されている。
【0004】
特許文献2においては、下地コーティング層を有する布帛に、接着層を介してパターン状金属箔を転写した後、金属箔を覆うようにカバーコートが施された導電性布帛が開示されている。
【0005】
繊維に導電性ペーストを付与して導電性布帛とする方法も多数提案されており、例えば特許文献3にはガラス転移温度が-32~5℃の飽和共重合ポリエステル樹脂とガラス転移温度が6~40℃の飽和共重合ポリエステル樹脂と箔片状金属粉及び溶剤を含有する導電性ペーストが開示されている。繊維製芯材をこの導電性ペーストの乾燥塗膜で被覆して、可撓性、屈曲性に優れた導電線を提供できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-11035号公報
【文献】特開2016-196139号公報
【文献】特開2012-43648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や特許文献2のように、金属メッキなどによる金属薄膜を布帛上に形成する方法では、高分子フィルムを基材とした場合に比べて耐屈曲性は改善されているものの、未だ実用に耐えられるものではなかった。同様に、特許文献3のように柔軟性の高い樹脂を選択して用いた導電性ペーストであっても、耐屈曲性の改善は不十分であった。
【0008】
更に、近年では高い屈曲耐久性のみならず、布帛の厚み方向についても導電性を有する導電性布帛が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の開口率を有するメッシュ状基材の両面を導電性組成物で被覆した導電性布帛において、メッシュ状基材の一方の面はメッシュ状基材を構成する糸条が露出しない様に導電性組成物で被覆され、メッシュ状基材の他方の面はメッシュ状基材を構成している糸条の一部が露出する程度に導電性組成物で被覆されている導電性布帛である場合に、高い屈曲耐久性を発現することを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、経糸または緯糸の少なくとも一方がモノフィラメントから構成された開口率30%以上の織物であるメッシュ状基材と、前記メッシュ状基材の第一面および前記第一面とは反対側の第二面とを被覆する導電性組成物とからなり、前記第一面側は前記経糸および緯糸が露出している部分を有さず、前記第二面側は少なくとも前記モノフィラメントの一部が規則的な略楕円形状に露出している部分を有している、導電性布帛である。これによれば、厚み方向に導電性を有し、かつ、屈曲に対して高い耐久性を有する導電性布帛が得られる。
【0011】
前記第二面側において、前記導電性組成物で被覆されている部分の面積Sと、前記経糸および前記緯糸が露出している部分の面積Sについて、S/Sの値が0.7~10.0であることが好ましい。
【0012】
前記第二面側において、前記導電性組成物で被覆されている部分の面積Sと、前記経糸および前記緯糸が露出している部分の面積Sについて、S/Sの値が3.0~10.0であることがより好ましい。
【0013】
前記導電性布帛の開口率が20%以下であることが好ましい。これによれば、前記メッシュ状基材の開口部において、前記第一面から前記第二面に連続する導電性組成物の皮膜が形成されるため、厚み方向について良好な導電性が得られる。また、前記導電性布帛の厚みは50~200μmであることが好ましい。
【0014】
本発明の導電性布帛の製造方法は、メッシュ状基材の第一面側から導電性組成物インクを付与した後乾燥して導電性組成物の皮膜を形成する導電性布帛の製造方法であって、
前記メッシュ状基材は経糸または緯糸の少なくとも一方がモノフィラメントから構成された開口率30%以上の織物であり、
前記第一面側は前記経糸および緯糸が露出している部分を有さず、前記第一面とは反対側の第二面側は少なくとも前記モノフィラメントの一部が規則的な略楕円形状に露出している部分を有しているように導電性組成物の皮膜を形成することを特徴とする、導電性布帛の製造方法である。

【0015】
前記第二面側において、前記導電性組成物で被覆されている部分の面積Sと、前記経糸および前記緯糸が露出している部分の面積Sについて、S/Sの値が0.7~10.0であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高度の耐屈曲性と厚み方向にも導電性を有する導電性布帛を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る導電性布帛の断面模式図である。
図2】実施例1の導電性布帛第二面側の表面SEM観察画像である。
図3】比較例1の導電性布帛第二面側の表面SEM観察画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の導電性布帛は、メッシュ状基材をベース素材として含む。メッシュ状基材は、経糸または緯糸の少なくとも一方がモノフィラメントからなる織物であって、その開口率が30%以上であることが必須である。
【0019】
メッシュ状基材を構成する経糸および緯糸は、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維であることが好ましい。経糸または緯糸の少なくとも一方にはモノフィラメントが用いられる。他方の糸はモノフィラメント、マルチフィラメント、あるいはスパン糸であってもよい。モノフィラメントの繊度は10~50dtexであることが好ましい。他方の糸については、総繊度が10~500dtexであることが好ましい。
【0020】
経糸または緯糸の少なくとも一方にモノフィラメントを使用して織物とする際、織物の開口率が30%以上となるように、経糸および緯糸の織密度を調整する必要がある。経糸および緯糸の総繊度を考慮したうえで適宜織密度を設定し、開口率が30%以上の織物を製織することができる。織物の組織は平織、綾織、朱子織など特に限定されない。導電性布帛とした際に異方性の低い耐屈曲性を得られるという点で、平織が好ましい。開口率の測定方法としては、メッシュ状基材の一表面を撮影した画像を解析し、単位面積あたりにおいて経糸や緯糸が存在していない部分の面積比率を算出する方法があげられる。
【0021】
本発明の導電性布帛を構成する導電性組成物は、導電性粒子と高分子樹脂とから成ることが好ましい。導電性粒子としては、カーボン粒子、カーボンナノチューブ、金属粒子などが挙げられる。なかでも高度の導電性が要求される場合には金属粒子であることが好ましい。金属粒子の例としては、銀粒子、ニッケル粒子、銅粒子よりなる群から選ばれた1種、または2種以上の混合物であることが好ましい。
【0022】
本発明の導電性組成物に配合される高分子樹脂は特に限定されないが、例えばアクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、 ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。他にポリピロールやPEDOT等の導電性高分子材料を用いてもよい。
【0023】
本発明の導電性布帛について、図1を参照して説明する。本発明の導電性布帛1に用いられるメッシュ状基材2は、第一面2aと、前記第一面2aとは反対側の第二面2bとを有している。前記メッシュ状基材2に導電性組成物3が付与されており、前記第一面2aと前記第二面2bとを被覆している。前記第一面2a側の導電性組成物3と、前記第二面2b側の導電性組成物3とは、メッシュ状基材2の開口部や内部空隙を介して連続している。ここで前記第一面2a側は図1に示すように、導電性組成物3によってメッシュ状基材2の表面が外部に露出しないように完全に覆われている。また、前記第二面2b側は図1のように、少なくともメッシュ状基材2を構成するモノフィラメントの一部が露出している。前記第二面2b側において一部が露出しているのは、モノフィラメントのみであってもよいし、モノフィラメント以外に用いられている他方の糸の一部が同様に露出していても構わない。
【0024】
前記第二面2b側において露出している糸がメッシュ状基材2を構成するモノフィラメントである場合、露出部分の形状は規則的な略楕円形状となる。マルチフィラメントが用いられ、これが露出した場合には、その露出部分の形状は不定形となる可能性が高い。メッシュ状基材2が全てマルチフィラメントで構成されていると、第二面2b側の経糸および緯糸が露出している部分の形状は全て不定形となり、この形状のため屈曲による皮膜の損傷が大きくなるものと考えられる。したがって、本発明の導電性布帛1に用いられるメッシュ状基材2は、経糸または緯糸の少なくとも一方がモノフィラメントから構成されることを必須とする。
【0025】
更に、前記第二面において導電性組成物で被覆されている部分の面積Sと前記経糸および前記緯糸が露出している部分の面積Sについて、S/Sの値が0.7~10.0の範囲であることが好ましい。より好ましくはS/Sの値が3.0~10.0の範囲である。
なお導電性布帛が開口部を有する場合、開口部の面積については前記SおよびSのいずれにも含まれない。それぞれの面積S、Sは、導電性布帛1の表面をマイクロスコープなどで拡大撮影して測定することができる。
【0026】
導電性組成物3が付与された導電性布帛1において、その開口率が20%以下であることが好ましい。導電性布帛1の開口率が20%以下であれば、導電性組成物3がメッシュ状基材2の第一面2a側から第二面2b側に向けて十分な量が付与されていることになる。その結果、厚み方向について良好な導電性が得られる。
【0027】
次に、本発明の導電性布帛1を製造する方法について説明する。メッシュ状基材2は常法によって製織された織物が利用できる。ただし、前述のとおり、経糸または緯糸の少なくとも一方にモノフィラメントを用いること、開口率が30%以上となるように製織されていることが必須である。
【0028】
メッシュ状基材2は予め常法によって精練、染色、ヒートセットなどの処理が行なわれていてもよい。その他、難燃加工、撥水加工などの機能性加工が施されていてもよい。
【0029】
メッシュ状基材2に導電性組成物3による皮膜を形成する際、導電性組成物3の成分を含有し流動性を有する導電性組成物インクを用いることができる。導電性組成物インクは導電性組成物3の成分の他に、溶媒を含有していてもよい。更に粘度調整剤、レベリング剤、濡れ性調整剤、防腐剤、安定剤などを含有していてもよい。
【0030】
前記導電性組成物インクを公知のコーティング方法によってメッシュ状基材の第一面側から塗布し、その後溶媒を除去することで導電性組成物の皮膜が形成され、本発明の導電性布帛が得られる。また、前記導電性組成物インクを印刷方法によってメッシュ状基材の第一面側から付与することで、パターン状の導電性組成物の皮膜が形成された導電性布帛を得ることができる。パターン状の導電性組成物の皮膜が電気回路として機能する導電性布帛を製造することができる。溶媒を除去する方法は、公知の乾燥方法が採用される。
【0031】
導電性組成物インクをメッシュ状基材の第一面側からコーティングする際、導電性組成物インクの粘度やコーティング装置の設定条件を調整することにより、メッシュ状基材の第一面側は前記経糸および緯糸が露出している部分を有さず、前記第二面側は少なくとも前記モノフィラメントの一部が露出している部分を有しているように制御することが肝要である。同様に、印刷方法による場合においても、印刷条件を吟味して第二面側でのみ少なくともモノフィラメントの一部が露出している部分が形成されるように制御する必要がある。
【0032】
溶媒を除去した後の導電性布帛において、第二面側の導電性組成物で被覆されている部分の面積Sと、前記経糸および前記緯糸が露出している部分の面積SについてS/Sの値が0.7~10.0の範囲内となることが好ましい。より好ましくはS/Sの値が3.0~10.0の範囲である。
【実施例
【0033】
(実施例1)
メッシュ状基材として経糸・緯糸共にモノフィラメントを使用したポリエステルメッシュ織物:SMART-MESH120/300-40/34(日本特殊織物株式会社製)を用意した。このポリエステルメッシュ織物の開口率は33%であった。ポリエステルメッシュ織物の一方の面に、導電性組成物インクとして銀粒子を含有するME603(DuPont社製)にて全面ベタ印刷を行なった。使用したスクリーン印刷機は、SSA-PC560A(セリアエンジニアリング株式会社製)である。印刷時の条件を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
印刷後、DRS620DA(株式会社東洋製作所製)にて100℃で5分間乾燥を行ない、導電性組成物の皮膜を形成した。導電性布帛としての開口率は2.0%、第一面は全面が導電性組成物の皮膜で覆われており、第二面におけるS/Sの値は3.04であった。図2に示すように、第二面側において導電性組成物で被覆されていない部分、すなわち経糸および緯糸が露出している部分の形状は略楕円形状であった。得られた導電性布帛は厚み方向に良好な導電性を有していた。
【0036】
(実施例2)
離型紙EV120PXDH(B)(リンテック株式会社製)に実施例1と同条件で導電性組成物インクを一旦印刷し、これを実施例1で用いたポリエステルメッシュ織物に転写した後、離型紙を取り除いて導電性布帛を得た。得られた導電性布帛の開口率は1.1%、第一面は全面が導電性組成物の皮膜で覆われており、第二面におけるS/Sの値は0.70であった。得られた導電性布帛は厚み方向に良好な導電性を有していた。
【0037】
(実施例3)
基材として経糸・緯糸共にモノフィラメントからなり開口率が46%のポリエステルメッシュ織物:SMART-MESH59/150-54(日本特殊織物株式会社製)を使用した以外は実施例1と同様にして導電性布帛を得た。得られた導電性布帛の開口率は0.02%、第一面は全面が導電性組成物の皮膜で覆われており、第二面におけるS/Sの値は10.0であった。得られた導電性布帛は厚み方向に良好な導電性を有していた。
【0038】
(比較例1)
ポリエステルメッシュ織物に替えて、経糸・緯糸共にマルチフィラメント糸からなるポリエステル平織物TE5880(経糸30dtex/36f、192本/インチ、緯糸62dtex/150f、122本/インチ、開口率3.0%)を用いた以外は実施例1と同様にして導電性布帛を得た。この導電性布帛の開口率は1.5%であり、第二面側におけるS/Sの値は1.12であった。図3に示すように、第二面側において導電性組成物で被覆されていない部分、すなわち経糸および緯糸が露出している部分は規則的な形状を有さない不定形であった。得られた導電性布帛は厚み方向に良好な導電性を有していたが、第二面側における導電性組成物の皮膜が平滑な状態ではないため、測定機器との電気的接続がやや不安定であった。
【0039】
上記実施例と比較例で得られた導電性布帛について、屈曲試験機No.306 FPC FLEXING TESTER(株式会社安田精機製作所製)を用いて屈曲試験を行ない、屈曲試験前後の抵抗値をHIOKI 3540mΩHiTESTER(日置電機株式会社製)で測定した。屈曲試験前の抵抗値に対する屈曲試験後の抵抗値の増加率を抵抗値上昇率(%)として算出し、表2に示す。尚、試験片は幅1cm、長さ10cmとし、屈曲角度を180°とした。屈曲回数は長さ方向の異なる2箇所において、表方向と裏方向に各々15,000回、したがって合計60,000回の屈曲を行なっている。
【0040】
【表2】
【符号の説明】
【0041】
1:導電性布帛
2:メッシュ状基材
2a:第一面
2b:第二面
3:導電性組成物
図1
図2
図3