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特許7201414受電装置、ウェアラブルデバイス、及び非接触給電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】受電装置、ウェアラブルデバイス、及び非接触給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20221227BHJP
【FI】
H02J50/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018228149
(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公開番号】P2019162016
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2018041691
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(73)【特許権者】
【識別番号】502340996
【氏名又は名称】学校法人法政大学
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 義範
(72)【発明者】
【氏名】中村 壮亮
(72)【発明者】
【氏名】宮浦 隆宏
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-143776(JP,A)
【文献】特開2013-070590(JP,A)
【文献】特開2012-182980(JP,A)
【文献】特開2015-204708(JP,A)
【文献】特開2013-243882(JP,A)
【文献】特表2007-501600(JP,A)
【文献】特開2012-055157(JP,A)
【文献】特開2004-072832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変容量回路と、
前記可変容量回路とともに共振回路を構成する受電コイルと、を備え、
前記可変容量回路は、
互いに並列接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、
前記第1コンデンサの一端側に直列接続された第1スイッチ及び前記第1コンデンサの他端側に直列接続された第2スイッチと、
前記第1スイッチのオン及びオフを制御するスイッチ制御回路であって、基準電圧と前記第2コンデンサに印加される交流電圧との比較結果に応じて、第1制御電圧を前記第1スイッチに供給する第1比較器を含む、スイッチ制御回路と、を含
前記スイッチ制御回路は、前記基準電圧と、前記交流電圧と位相が逆である逆位相電圧との比較結果に応じて、第2制御電圧を前記第2スイッチに供給する第2比較器をさらに含み、前記第2スイッチのオン及びオフを制御する、
受電装置。
【請求項2】
可変容量回路と、
前記可変容量回路とともに共振回路を構成する受電コイルと、を備え、
前記可変容量回路は、
互いに並列接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、
前記第1コンデンサの一端側に直列接続された第1スイッチ及び前記第1コンデンサの他端側に直列接続された第2スイッチと、
前記第1スイッチのオン及びオフを制御するスイッチ制御回路であって、基準電圧と前記第2コンデンサに印加される交流電圧との比較結果に応じて、第1制御電圧を前記第1スイッチに供給する第1比較器を含む、スイッチ制御回路と、を含み、
前記スイッチ制御回路は、前記基準電圧の符号を反転させた反転基準電圧と前記交流電圧との比較結果に応じて、第2制御電圧を前記第2スイッチに供給する第2比較器をさらに含み、前記第2スイッチのオン及びオフを制御する、
電装置。
【請求項3】
前記可変容量回路は、
前記第1コンデンサの前記一端側において前記第1スイッチと直列接続された第3スイッチと、
前記第1コンデンサの前記他端側において前記第2スイッチと直列接続された第4スイッチと、をさらに含み、
前記第1比較器は、前記第1制御電圧を前記第4スイッチに供給し、
前記第2比較器は、前記第2制御電圧を前記第3スイッチに供給し、
前記第1スイッチと前記第3スイッチ、及び、前記第2スイッチと前記第4スイッチは、それぞれ、寄生ダイオードの向きが互いに逆向きとなるように接続された、
請求項1又は2に記載の受電装置。
【請求項4】
前記スイッチ制御回路は、前記第1制御電圧及び前記第2制御電圧が入力され第3制御電圧を出力するAND回路をさらに含み、
前記AND回路は、前記第1制御電圧及び前記第2制御電圧に代えて前記第3制御電圧を前記第1スイッチ及び前記第2スイッチに供給する、
請求項1又は2に記載の受電装置。
【請求項5】
前記共振回路に印加される電圧及び前記共振回路を流れる電流を検出する電圧電流検出器と、
前記電圧電流検出器により検出された電圧と電流の位相差が小さくなるように前記基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、をさらに備える、
請求項1からのいずれか一項に記載の受電装置。
【請求項6】
前記受電装置が受電した電力を検出する検出器と、
前記検出器により検出された電力が所定レベル以上となるように前記基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、をさらに備える、
請求項1からのいずれか一項に記載の受電装置。
【請求項7】
前記基準電圧生成回路は、前記交流電圧の振幅値の変動に応じて前記基準電圧を調整する基準電圧調整回路をさらに備える、
請求項5又は6に記載の受電装置。
【請求項8】
前記基準電圧調整回路は、前記交流電圧を整流する整流回路と、整流された電圧を分圧する分圧回路と、分圧された電圧を差動増幅する差動増幅回路と、を含む、
請求項に記載の受電装置。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載された受電装置を備える、ウェアラブルデバイス。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載された受電装置と、
電源回路及び送電ユニットを含み、前記受電装置に電力を伝送する送電装置と、
前記電源回路から前記送電ユニットに供給される第1電力を検出する第1検出器と、
前記受電装置が受電した第2電力を検出する第2検出器と、
前記第1電力に対する前記第2電力が大きくなるように前記基準電圧を生成する、基準電圧生成回路と、を備える、
非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電装置、ウェアラブルデバイス、及び非接触給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、送電装置から受電装置に非接触で電力を伝送する給電方法の一つとして、磁界共鳴方式が注目されている。この磁界共鳴方式では、送電装置と受電装置の各々が共振回路を備え、これらの共振回路の共鳴現象を利用して電力が伝送される。そのため、送電装置と受電装置の各々が備える共振回路の共振周波数と、伝送される信号の周波数とが等しい場合に、最も効率良く電力を伝送することができる。
【0003】
共振回路の共振周波数は、共振回路に含まれるコイルとコンデンサの素子定数によって定められる固有の値となる。従って、例えば1つの受電装置が複数の送電装置から電力を受電する場合に、各送電装置から送信される信号の周波数が異なると、受電装置の共振回路の共振周波数と送信信号の周波数との間にずれが生じ、伝送効率が低下するという問題がある。あるいは、例えば受電装置がフレキシブルなウェアラブルデバイスに搭載され、共振回路に含まれるコイルが変形する場合には、コイルの変形に応じてインダクタンス値が変動し、結果として共振回路の共振周波数が変動する。従って、この場合も、受電装置の共振回路の共振周波数と送信信号の周波数との間にずれが生じ、伝送効率が低下し得る。
【0004】
このような周波数のずれを解消するために、共振回路に含まれるコンデンサを可変容量コンデンサとする方法が考えられる。これにより、複数の送電装置から電力を受電する形態においては、各送電装置からの送信信号の周波数に応じて、受電装置の共振回路の共振周波数を調整することができる。また、ウェアラブルデバイスに受電装置が搭載される形態においては、コイルのインダクタンス値の変動を補償するようにコンデンサの容量値を調整することにより、共振周波数を送信信号の周波数に合わせることができる。可変容量コンデンサの例として、例えば下記特許文献1には、共振コンデンサに可変容量コンデンサが並列接続された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-168842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された可変容量コンデンサは、並列に並べられた複数のコンデンサを備え、これらの複数のコンデンサの接続関係をスイッチにより選択的に切り替えることによって合成容量値が調整される方式である。しかしながら、この方式によると、とり得る合成容量値が離散的となり、容量値を連続的に調整することができない。他方、容量値を連続的に調整できるコンデンサとして、機械式のバリアブルコンデンサが知られているが、このバリアブルコンデンサによると回路の大型化が避けられない。
【0007】
そこで、本発明は、回路の大型化を抑制しつつ、伝送効率を向上させることができる受電装置、ウェアラブルデバイス、及び非接触給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る受電装置は、可変容量回路と、可変容量回路とともに共振回路を構成する受電コイルと、を備え、可変容量回路は、互いに並列接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、第1コンデンサの一端側に直列接続された第1スイッチと、第1スイッチのオン及びオフを制御するスイッチ制御回路であって、基準電圧と第2コンデンサに印加される交流電圧との比較結果に応じて、第1制御電圧を第1スイッチに供給する第1比較器を含む、スイッチ制御回路と、を含む。
【0009】
この態様によれば、第2コンデンサに印加される交流電圧の変動に伴って、第1スイッチのオン及びオフが周期的に切り替えられる。また、基準電圧の高さに応じて、第1スイッチがオンである時間の長さが制御される。これにより、可変容量回路の見かけ上の合成容量値を連続的に制御し、共振回路の共振周波数を調整することができる。従って、例えば機械式のバリアブルコンデンサを用いる構成に比べて、回路の大型化を抑制しつつ、電力の伝送効率を向上させることができる。
【0010】
上記態様において、可変容量回路は、第1コンデンサの他端側に直列接続された第2スイッチをさらに含み、スイッチ制御回路は、基準電圧と、交流電圧と位相が逆である逆位相電圧との比較結果に応じて、第2制御電圧を第2スイッチに供給する第2比較器をさらに含み、第2スイッチのオン及びオフを制御してもよい。
【0011】
この態様によれば、逆位相電圧の変動に伴って、第2スイッチのオン及びオフが周期的に切り替えられる。また、基準電圧の高さに応じて、第2スイッチがオンである時間の長さが制御される。従って、1つのスイッチを備える構成に比べて、可変容量回路の合成容量値を広い範囲で制御することができ、共振回路の共振周波数を広い範囲で調整することができる。
【0012】
上記態様において、可変容量回路は、第1コンデンサの他端側に直列接続された第2スイッチをさらに含み、スイッチ制御回路は、基準電圧の符号を反転させた反転基準電圧と交流電圧との比較結果に応じて、第2制御電圧を第2スイッチに供給する第2比較器をさらに含み、第2スイッチのオン及びオフを制御してもよい。
【0013】
この態様によれば、交流電圧の変動に伴って、第2スイッチのオン及びオフが周期的に切り替えられる。また、反転基準電圧の高さに応じて、第2スイッチがオンである時間の長さが制御される。従って、1つのスイッチを備える構成に比べて、可変容量回路の合成容量値を広い範囲で制御することができ、共振回路の共振周波数を広い範囲で調整することができる。
【0014】
上記態様において、可変容量回路は、第1コンデンサの一端側において第1スイッチと直列接続された第3スイッチと、第1コンデンサの他端側において第2スイッチと直列接続された第4スイッチと、をさらに含み、第1比較器は、第1制御電圧を第4スイッチに供給し、第2比較器は、第2制御電圧を第3スイッチに供給し、第1スイッチと第3スイッチ、及び、第2スイッチと第4スイッチは、それぞれ、寄生ダイオードの向きが互いに逆向きとなるように接続されてもよい。
【0015】
この態様によれば、4つのスイッチがいずれもオンである場合に限り、第1コンデンサの両側の経路が導通される。従って、第1コンデンサからの意図しない電荷の漏出を防ぐことができる。
【0016】
上記態様において、スイッチ制御回路は、第1制御電圧及び第2制御電圧が入力され第3制御電圧を出力するAND回路をさらに含み、AND回路は、第1制御電圧及び第2制御電圧に代えて第3制御電圧を第1スイッチ及び第2スイッチに供給してもよい。
【0017】
この態様によれば、第1スイッチと第2スイッチとが同期動作するため、第1コンデンサからの意図しない電荷の漏出を防ぐことができる。
【0018】
上記態様において、受電装置は、共振回路に印加される電圧及び共振回路を流れる電流を検出する電圧電流検出器と、電圧電流検出器により検出された電圧と電流の位相差が小さくなるように基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、をさらに備えていてもよい。
【0019】
この態様によれば、受電装置の共振回路の共振度合いが強くなるように基準電圧が生成され、これにより当該共振回路の共振周波数が調整される。従って、電力の伝送効率を向上させることができる。
【0020】
上記態様において、受電装置は、受電装置が受電した電力を検出する検出器と、検出器により検出された電力が所定レベル以上となるように基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、をさらに備えていてもよい。
【0021】
この態様によれば、受電装置の受電した電力に基づいて基準電圧が生成され、これにより受電装置の共振回路の共振周波数が調整される。従って、電力の伝送効率を向上させることができる。
【0022】
上記態様において、基準電圧生成回路は、交流電圧の振幅値の変動に応じて基準電圧を調整する基準電圧調整回路をさらに備えていてもよい。
【0023】
この態様によれば、交流電圧の振幅値が変動しても、当該変動に応じて基準電圧が調整されるため、交流電圧の振幅値と基準電圧との比によって決まるデューティ比を一定に保つことができる。
【0024】
上記態様において、基準電圧調整回路は、交流電圧を整流する整流回路と、整流された電圧を分圧する分圧回路と、分圧された電圧を差動増幅する差動増幅回路と、を含んでいてもよい。
【0025】
この態様によれば、交流電圧の振幅値に比例した基準電圧を生成することができる。
【0026】
本発明の一態様に係るウェアラブルデバイスは、上記の受電装置を備える。
【0027】
この態様によれば、受電コイルが変形し、受電コイルのインダクタンス値が変動する場合であっても、当該変動を補償するように可変容量回路の容量値を制御することにより、共振周波数を調整することができる。従って、電力の伝送効率を向上させることができる。
【0028】
本発明の一態様に係る非接触給電システムは、上記の受電装置と、電源回路及び送電ユニットを含み、受電装置に電力を伝送する送電装置と、電源回路から送電ユニットに供給される第1電力を検出する第1検出器と、受電装置が受電した第2電力を検出する第2検出器と、第1電力に対する第2電力が大きくなるように基準電圧を生成する、基準電圧生成回路と、を備える。
【0029】
この態様によれば、送電装置が供給する電力と受電装置が受電する電力との比に基づいて基準電圧が決定され、これにより受電装置の共振回路の共振周波数が調整される。従って、電力の伝送効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、回路の大型化を抑制しつつ、伝送効率を向上させることができる受電装置、ウェアラブルデバイス、及び非接触給電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1実施形態に係る非接触給電システムの全体構成を例示する図である。
図2図1に示される共振コンデンサを構成する可変容量回路の回路構成を例示する図である。
図3図1に示される共振コンデンサを構成する可変容量回路に関する各種の電圧の変動を例示するグラフである。
図4図2に示される容量可変回路の第1変形例の回路構成を例示する図である。
図5図2に示される容量可変回路の第2変形例の回路構成を例示する図である。
図6図2に示される容量可変回路の第3変形例の回路構成を例示する図である。
図7図1に示される共振コンデンサの容量値を制御する制御系を示すブロック図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る非接触給電システムの全体構成を例示する図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る非接触給電システムの全体構成を例示する図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る非接触給電システムにおいて、指定されたデューティ比を保つように基準電圧を調整する基準電圧調整回路の回路構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[実施形態]
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0033】
図1は、本発明の第1実施形態に係る非接触給電システムの全体構成を例示する図である。同図に示される非接触給電システム1は、電力を送電する送電装置2と、当該電力を非接触で受電する受電装置3と、を備える。
【0034】
送電装置2は、例えば、電源回路10と、送電ユニット20と、を備える。
【0035】
電源回路10は、所定の周波数(例えば、数kHz~数百MHz程度)の交流電源電圧を生成して出力する。交流電源電圧は、送電ユニット20に供給される。
【0036】
送電ユニット20は、送電コイル21と、共振コンデンサ22と、を含む。送電コイル21と共振コンデンサ22は直列接続され、LC直列共振回路を構成する。
【0037】
受電装置3は、例えば、受電ユニット40と、整流平滑回路50と、負荷60と、を備える。
【0038】
受電ユニット40は、受電コイル41と、共振コンデンサ42と、を含む。受電コイル41と共振コンデンサ42は直列接続され、LC直列共振回路を構成する。ここで、LC直列共振回路の共振周波数f0は、一般的に、コイルのインダクタンス値をLとし、コンデンサの容量値をCとすると、f0=1/2π√LC(Hz)によって表される。本実施形態において、共振コンデンサ42は、後述するように、容量値を連続的に調整することができる可変容量回路により構成される。従って、共振コンデンサ42の容量値を制御することにより、受電ユニット40に含まれる共振回路(以下、「受電側共振回路」ともいう。)の共振周波数を調整することができる。なお、共振コンデンサ42の構成の詳細については後述する。
【0039】
整流平滑回路50は、受電ユニット40により受電された電力を整流及び平滑化する。
【0040】
負荷60は、受電ユニット40から整流平滑回路50を介して供給される電力を消費する。なお、図1においては、負荷60が受電装置3に含まれているが、負荷60は受電装置3に含まれていなくてもよい。また、負荷60の代わりに、例えばバッテリやコンデンサ等の充電対象に電力が蓄電されてもよい。
【0041】
送電ユニット20から電力が出力されると、送電ユニット20の送電コイル21と受電ユニット40の受電コイル41は磁界結合され、送電ユニット20と受電ユニット40は固有の共振周波数において共鳴する。これにより、非接触給電システム1では、磁界共鳴方式により送電装置2から受電装置3へと電力が供給される。
【0042】
次に、図2及び図3を参照して、共振コンデンサ42を構成する可変容量回路の具体的な構成について説明する。
【0043】
図2は、共振コンデンサ42を構成する可変容量回路の回路構成を例示する図である。また、図3は、共振コンデンサ42を構成する可変容量回路に関する各種の電圧の変動を例示するグラフである。なお、図3に示されるグラフにおいて、各々の縦軸は電圧(V)を示し、各々の横軸は時間(s)を示す。
【0044】
図2に示される可変容量回路100は、コンデンサC1,C2と、トランジスタTr1,Tr2と、スイッチ制御回路110と、を備える。
【0045】
コンデンサC1(第1コンデンサ)とコンデンサC2(第2コンデンサ)は、並列接続される。コンデンサC1は、固有の容量値を有するが、見かけ上の容量値が調整可能なコンデンサである。コンデンサC2は、固有の容量値を有し、容量値が固定のコンデンサである。
【0046】
コンデンサC1の両端に印加される電圧をV1とし、コンデンサC2の両端に印加される電圧をV2とする。後述するスイッチ制御回路110に供給するため、検出器(不図示)は、コンデンサC2の両端に印加される電圧V2(交流電圧)を検出する。また、スイッチ制御回路110に供給するため、電圧V2の位相を逆転させた電圧-V2(逆位相電圧)が生成される。すなわち、電圧V2と電圧-V2は、同じ周波数を有し、互いに逆位相である交流電圧である(図3(a)(b)参照)。
【0047】
トランジスタTr1(第1スイッチ)は、コンデンサC1の一端側に直列接続されるスイッチであり、トランジスタTr2(第2スイッチ)は、コンデンサC1の他端側に直列接続されるスイッチである。なお、本明細書では、トランジスタTr1,Tr2がMOSFET(Metal-oxide-semiconductor Field-Effect Transistor)であるものとして説明するが、トランジスタTr1,Tr2はMOSFETに限られず、他の電界効果トランジスタ又はバイポーラトランジスタ等であってもよく、スイッチ機能を有していればいずれの素子であってもよい。
【0048】
具体的に、トランジスタTr1は、ドレインがコンデンサC1の一端に接続され、ソースがコンデンサC2の一端に接続され、ゲートに制御電圧Vg1(第1制御電圧)が供給される。トランジスタTr2は、ドレインがコンデンサC1の他端に接続され、ソースがコンデンサC2の他端に接続され、ゲートに制御電圧Vg2(第2制御電圧)が供給される。制御電圧Vg1,Vg2のレベルに応じて、トランジスタTr1,Tr2のオン及びオフが制御される。
【0049】
スイッチ制御回路110は、基準電圧Vrefの高さに応じて、トランジスタTr1,Tr2がオン又はオフである時間の長さを制御する。具体的に、スイッチ制御回路110は、比較器OP1,OP2を含む。
【0050】
比較器OP1,OP2は、例えばオペアンプにより構成される。比較器OP1(第1比較器)は、反転入力端子に電圧V2が供給され、非反転入力端子に基準電圧Vrefが供給され、これらの比較結果に応じて、出力端子から制御電圧Vg1を出力する。制御電圧Vg1は、図3(a)(c)に示されるように、基準電圧Vrefが電圧V2より高い場合には、トランジスタTr1をオンとするハイレベルの電圧(例えば、電源電圧)となり、基準電圧Vrefが電圧V2より低い場合には、トランジスタTr1をオフとするローレベルの電圧(例えば、0V)となる。これにより、トランジスタTr1は、電圧V2の変動に伴ってオン及びオフが周期的に切り替わる。
【0051】
比較器OP2(第2比較器)は、反転入力端子に電圧-V2が供給され、非反転入力端子に基準電圧Vrefが供給され、これらの比較結果に応じて、出力端子から制御電圧Vg2を出力する。制御電圧Vg2は、図3(b)(d)に示されるように、基準電圧Vrefが電圧-V2より高い場合には、トランジスタTr2をオンとするハイレベルの電圧となり、基準電圧Vrefが電圧-V2より低い場合には、トランジスタTr2をオフとするローレベルの電圧となる。これにより、トランジスタTr2は、電圧-V2の変動に伴ってオン及びオフが周期的に切り替わる。
【0052】
このように、トランジスタTr1,Tr2のオン及びオフが周期的に切り替えられることにより、コンデンサC1の一端側と他端側の電気的導通及び非導通が周期的に切り替えられる。これにより、コンデンサC1の両端に印加される電圧V1は、トランジスタTr1,Tr2がいずれもオンの場合には電圧V2と同様に変動するが、トランジスタTr1,Tr2の一方がオフの場合には一定となる(図3(e)参照)。従って、コンデンサC1の両端が常に電気的に導通される場合に比べて、コンデンサC1の見かけ上の容量値が減少する。
【0053】
また、図3(a)(b)に示されるように、基準電圧Vrefの高さを調整することにより、制御電圧Vg1,Vg2のそれぞれがハイレベルである時間の長さ(すなわち、デューティ比)を調整することができる。具体的には、基準電圧Vrefが高いほど、制御電圧Vg1,Vg2のそれぞれがハイレベルである時間が長い。これにより、トランジスタTr1,Tr2がともにオンである時間(図3(c)(d)斜線参照)が長くなり、コンデンサC1の見かけ上の容量値が大きくなる。他方、基準電圧Vrefが低いほど、制御電圧Vg1,Vg2のそれぞれがハイレベルである時間が短い。これにより、トランジスタTr1,Tr2がともにオンである時間が短くなり、コンデンサC1の見かけ上の容量値が小さくなる。
【0054】
このように、コンデンサC1の見かけ上の容量値は、トランジスタTr1,Tr2がいずれもオフとなる時間がある場合に最も小さくなり(例えば、0F)、トランジスタTr1,Tr2がいずれも常にオンである場合に最も大きくなり、このときの見かけ上の容量値は、コンデンサC1の固有の容量値と等しくなる。従って、コンデンサC1,C2の固有の容量値をそれぞれCx,Cyとすると、コンデンサC1,C2の見かけ上の合成容量値Czは、Cy≦Cz≦Cx+Cyの範囲の連続的な値を取り得る。すなわち、可変容量回路100によると、基準電圧Vrefの高さに応じて容量値を連続的に調整することができる。
【0055】
なお、可変容量回路100においては、必ずしもコンデンサC1の両端側にスイッチが設けられていなくてもよく、少なくともいずれか一端側にスイッチが設けられていればよい。一端側にスイッチが設けられる場合、コンデンサC1の両端に印加される電圧の波形は、図3(e)に示される電圧V1の波形に比べて、正又は負の一方側が電圧V1と同様となり、他方側が電圧V2と同様となる。このような構成によっても、コンデンサC1の見かけ上の容量値を連続的に調整することができる。なお、コンデンサC1の両端側にスイッチが設けられる構成は、一端側にスイッチが設けられる構成に比べて、コンデンサC1の見かけ上の容量値をより広い範囲で調整することができる。
【0056】
また、可変容量回路100では、制御電圧Vg1,Vg2の生成に際して、コンデンサC2の両端に印加される電圧V2及び電圧V2の位相を逆転させた電圧-V2が、それぞれ基準電圧Vrefと比較される方法(以下、「方法A」とも呼ぶ。)が用いられているが、制御電圧Vg1,Vg2の生成方法はこれに限られない。例えば、以下に説明するように、基準電圧Vref及び当該基準電圧Vrefの符号を反転させた反転基準電圧-Vrefが、それぞれ電圧V2と比較される方法(以下、「方法B」とも呼ぶ。)が用いられてもよい。
【0057】
図4は、図2に示される可変容量回路の第1変形例の回路構成を例示する図である。
【0058】
具体的に、第1変形例に係る可変容量回路100Aにおいては、図2に示される可変容量回路100に比べて、スイッチ制御回路110Aが比較器OP1,OP2に代えて比較器OP3,OP4を含む。
【0059】
比較器OP3,OP4は、例えば比較器OP1,OP2と同様にオペアンプにより構成される。比較器OP3(第1比較器)は、反転入力端子に電圧V2が供給され、非反転入力端子に基準電圧Vrefが供給され、これらの比較結果に応じて、出力端子から制御電圧Vg1を出力する。比較器OP4(第2比較器)は、反転入力端子に基準電圧Vrefの符号を反転させた反転基準電圧-Vrefが供給され、非反転入力端子に電圧V2が供給され、これらの比較結果に応じて、出力端子から制御電圧Vg2を出力する。
【0060】
このような構成であっても、図3に示される制御電圧Vg1,Vg2と同様の波形の制御電圧が生成される。従って、可変容量回路100Aによっても、上述の可変容量回路100と同様にコンデンサC1の見かけ上の容量値を調整することができる。
【0061】
図5は、図2に示される可変容量回路の第2変形例の回路構成を例示する図である。図5に示されるように、第2変形例に係る可変容量回路100Bは、可変容量回路100Aに比べて、トランジスタTr3及びトランジスタTr4をさらに備える。
【0062】
トランジスタTr3(第3スイッチ)は、コンデンサC1の一端側においてトランジスタTr1と直列接続されたスイッチである。トランジスタTr4(第4スイッチ)は、コンデンサC1の他端側においてトランジスタTr2と直列接続されたスイッチである。
【0063】
トランジスタTr1とトランジスタTr3、及び、トランジスタTr2とトランジスタTr4は、それぞれ、トランジスタのドレイン・ソース間の寄生ダイオードが互いに逆向きとなるように接続されている。具体的には、トランジスタTr3は、ドレインがトランジスタTr1のドレインに接続され、ソースがコンデンサC1の一端に接続され、ゲートに制御電圧Vg2が供給される。トランジスタTr4は、ドレインがトランジスタTr2のドレインに接続され、ソースがコンデンサC1の他端に接続され、ゲートに制御電圧Vg1が供給される。制御電圧Vg2,Vg1のレベルに応じて、トランジスタTr3,Tr4のオン及びオフが制御される。
【0064】
ここで、上述の可変容量回路100,100Aでは、コンデンサC1の両端に設けられたトランジスタTr1,Tr2のうち一方がオンかつ他方がオフの際に、コンデンサC1に溜まった電荷が導通された側の経路に意図せず漏れ出す可能性がある。
【0065】
この点、本変形例に係る可変容量回路100Bでは、トランジスタTr1とトランジスタTr4が同期動作し、トランジスタTr2とトランジスタTr3が同期動作する。これにより、例えばトランジスタTr1とトランジスタTr4がオンかつトランジスタTr2とトランジスタTr3がオフの場合、及び、トランジスタTr1とトランジスタTr4がオフかつトランジスタTr2とトランジスタTr3がオンの場合、コンデンサC1の両側の経路がともに非導通となり、4つのトランジスタTr1~Tr4がいずれもオンである場合に限り、コンデンサC1の両側の経路がともに導通される。
【0066】
従って、可変容量回路100Bによると、コンデンサC1の両側の経路がともに導通又はともに非導通となり、すなわち一方の経路が導通かつ他方の経路が非導通とはならないため、コンデンサC1からの意図しない電荷の漏出を防ぐことができる。
【0067】
図6は、図2に示される可変容量回路の第3変形例の回路構成を示す図である。図6に示されるように、第3変形例に係る可変容量回路100Cにおいては、可変容量回路100Aに比べて、スイッチ制御回路110BがAND回路111をさらに備える。
【0068】
AND回路111には、制御電圧Vg1及び制御電圧Vg2が入力され、制御電圧Vg3(第3制御電圧)を出力し、トランジスタTr1,Tr2のゲートに供給する。制御電圧Vg3は、制御電圧Vg1及び制御電圧Vg2がいずれもハイレベルである場合にハイレベルとなり、制御電圧Vg1及び制御電圧Vg2の少なくともいずれか一方がローレベルである場合にローレベルとなる電圧である。従って、本変形例では、トランジスタTr1とトランジスタTr2とが同期動作する。
【0069】
このような構成によっても、コンデンサC1の両側の経路がともに導通又はともに非導通となるため、コンデンサC1からの意図しない電荷の漏出を防ぐことができる。
【0070】
本実施形態では、上述の可変容量回路100,100A~100Cが受電側共振回路の共振コンデンサ42に適用される。そして、受電装置3が受電する信号の周波数と、受電側共振回路の共振周波数とが等しくなるように共振コンデンサ42の容量値が制御される。これにより、受電側共振回路の共振度合いが強められ、電力の伝送効率が向上する。次に、共振コンデンサ42の容量値の様々な制御方法(すなわち、基準電圧Vrefの様々な制御方法)について説明する。
【0071】
図7は、共振コンデンサ42の容量値を制御する制御系を示すブロック図である。図7に示される制御系200は、共振コンデンサ42の容量値を制御することにより、受電側共振回路の共振度合いを強める機能を有する。具体的に、制御系200は、共振回路210と、電圧電流検出器220と、基準電圧生成回路230と、スイッチ制御回路240と、スイッチング回路250と、を備える。なお、以下では、上記方法Aを用いて制御電圧Vg1,Vg2を生成する場合を例として説明するが、上記方法Bを用いて制御電圧を生成する場合にも本構成は適用可能である。
【0072】
共振回路210は、受電側共振回路に相当する回路であり、図1に示される受電コイル41及び共振コンデンサ42を含む。電圧電流検出器220は、共振回路210に印加される電圧に応じた電圧Vrと、共振回路210を流れる電流に応じた電流Irを検出する。なお、電圧電流検出器220は、1つの検出器により構成されていてもよく、電圧及び電流の各々の検出器を含んで構成されていてもよい。
【0073】
具体的には、例えば、受電コイル41と共振コンデンサ42の合成電圧(すなわち、受電ユニット40の両端に印加される電圧から受電コイル41の誘起電圧を引いた電圧)を電圧Vrとし、受電ユニット40を流れる電流を電流Irとしてもよい。このうち、受電コイル41の両端に印加される電圧(誘起電圧を含まない)は、予め計測した受電コイル41のインピーダンス特性と、当該受電コイル41を流れる電流(すなわち、受電ユニット40を流れる電流)に基づいて導出することができる。従って、電圧電流検出器220は、共振コンデンサ42の両端に印加される電圧と、受電ユニット40を流れる電流を検出すればよく、ここから上述の合成電圧を導出することができる。
【0074】
あるいは、電圧電流検出器220は、図1に示される送電装置2において、電源回路10の両端に印加される電圧及び電源回路10から出力される電流を検出して、それぞれ電圧Vr及び電流Irとしてもよい。この場合、電圧電流検出器220により検出された電圧及び電流の値が、有線又は無線ネットワークを介して送電装置2から受電装置3に送信される構成としてもよい。
【0075】
基準電圧生成回路230は、電圧電流検出器220により検出された電圧Vrと電流Irの位相差△θに基づいて中間変数としてのデューティ比を制御し、デューティ比に応じて基準電圧Vrefを生成する。ここで、共振回路の共振度合いは、一般的に、共振回路の電圧と電流の位相差が小さいほど強い。従って、基準電圧生成回路230は、電圧Vrと電流Irの位相差△θが小さくなる(例えば、最小化される)ようにデューティ比を制御する。
【0076】
スイッチ制御回路240は、図2に示されるスイッチ制御回路110に相当する回路である。すなわち、スイッチ制御回路240は、基準電圧生成回路230から供給される基準電圧Vrefと、共振回路210から供給される電圧V2及び電圧-V2のそれぞれとの比較から、制御電圧Vg1,Vg2を生成する。
【0077】
スイッチング回路250は、図2に示されるトランジスタTr1,Tr2に相当する回路である。すなわち、スイッチング回路250では、スイッチ制御回路240から供給される制御電圧Vg1,Vg2に応じて、トランジスタTr1,Tr2のオン及びオフが繰り返される。これにより、基準電圧生成回路230において算出されたデューティ比Dに従って、共振コンデンサ42の容量値が連続的に調整される。
【0078】
このように、非接触給電システム1によると、受電装置3が受電する信号の周波数に応じて共振コンデンサ42の容量値を制御することにより、受電側共振回路の共振周波数を連続的に調整することができる。従って、送電装置2から送信される送信信号の周波数と、受電側共振回路の共振周波数との間にずれが生じた場合であっても、これらの周波数のずれを高い精度で補償することができ、電力の伝送効率を向上させることができる。また、例えば機械式のバリアブルコンデンサを用いる構成に比べて、小規模な回路構成により容量値を調整することが可能となるため、回路の大型化を抑制することができる。
【0079】
図8は、本発明の第2実施形態に係る非接触給電システムの全体構成を例示する図である。図8に示される非接触給電システム1aは、図1に示される非接触給電システム1に比べて、第1検出器30と、第2検出器70と、基準電圧生成回路4と、をさらに備える。
【0080】
第1検出器30は、送電装置2において、電源回路10と送電ユニット20との間に設けられ、電源回路10から送電ユニット20に供給される電力Pin(第1電力)を検出する。なお、第1検出器30は、送電装置2に含まれていてもよく、あるいは送電装置2の外部に設けられていてもよい。
【0081】
第2検出器70は、受電装置3において、整流平滑回路50と負荷60との間に設けられ、受電装置3が受電した電力に応じた電力Pout(第2電力)を検出する。なお、第2検出器70は、受電装置3に含まれていてもよく、あるいは受電装置3の外部に設けられていてもよい。
【0082】
基準電圧生成回路4は、第1検出器30により検出された電力Pinと、第2検出器70により検出された電力Poutに基づいて、共振コンデンサ42の容量値を制御するための基準電圧Vrefを生成する。具体的に、基準電圧生成回路4は、例えば電力Pinと電力Poutとの比に基づき、電力Pinに対する電力Pout(Pout/Pin)が大きくなるように上記デューティ比を制御し、デューティ比に応じて基準電圧Vrefを生成する。これにより、伝送される信号に対する受電電力が増大し、非接触給電システム1aの伝送効率が向上する。あるいは、基準電圧生成回路4は、電力Poutに基づき、電力Poutが所定レベル以上となるように上記デューティ比を制御してもよい。これによっても受電電力が増大し、非接触給電システム1aの伝送効率が向上する。なお、第1検出器30及び第2検出器70と基準電圧生成回路4との間は、例えば有線又は無線ネットワークを介して互いに通信可能であるように接続されていてもよい。
【0083】
図9は、本発明の第3実施形態に係る非接触給電システムの全体構成を例示する図である。図9に示される非接触給電システム1bでは、送電ユニット20に含まれる共振コンデンサ23が、受電ユニット40に含まれる共振コンデンサ42と同様に、可変容量回路により構成される。
【0084】
すなわち、非接触給電システム1bでは、受電側共振回路の共振周波数に加えて、送電ユニット20に含まれる共振回路(以下、「送電側共振回路」ともいう。)の共振周波数もまた調整可能となる。具体的に、非接触給電システム1bでは、基準電圧生成回路4が、共振コンデンサ23の容量値を制御する基準電圧Vref1と、共振コンデンサ42の容量値を制御する基準電圧Vref2を生成して出力する。共振コンデンサ23の容量値は、例えば、送電側共振回路の共振周波数が、電源回路10が出力する交流電源電圧の周波数と等しくなるように制御される。これにより、当該交流電源電圧に対する送電電力が増大する。なお、共振コンデンサ23の構成については、上述の可変容量回路100,100A~100Cを適用することができるため、詳細な説明を省略する。
【0085】
共振コンデンサ23の容量値の制御方法(すなわち、基準電圧Vref1の制御方法)は特に限定されないが、例えば、送電装置2から受電装置3への電力の伝送中に、受電装置3が受電した電力を検出することにより、送電装置2から適切な電力が伝送されているか否かを判定してもよい。この場合、例えば、基準電圧生成回路4が、第2検出器70により検出される電力Poutに基づき、当該電力Poutが所定レベル以上となるように上記デューティ比を制御し、デューティ比に応じて基準電圧Vref1を生成してもよい。
【0086】
上述の構成により、非接触給電システム1bでは、例えば電源回路10が生成する交流電源電圧の周波数が可変である場合に、当該周波数に応じて送電側共振回路の共振周波数を調整することができる。従って、非接触給電システム1bによると、電力の伝送効率の向上に加えて、送電電力を増大させることができる。
【0087】
なお、非接触給電システム1bは、共振コンデンサ42が、容量値が固定のコンデンサにより構成されていてもよい。また、上述の可変容量回路の容量値の制御方法は、互いに組み合わせて用いられてもよい。
【0088】
次に、デューティ比に応じて基準電圧Vrefを生成する具体的な方法について説明する。上述のとおり、デューティ比は、コンデンサC2の両端に印加される電圧V2の振幅値に対する基準電圧Vrefの比により決定づけられる。ここで、電圧V2の振幅値は、例えば送電装置2から送電される電力の大きさやコンデンサC1の容量値などに応じて変動し得る。この点を踏まえ、電圧V2の振幅値が変動してもデューティ比を一定に保つことができる基準電圧Vrefの生成方法について以下に説明する。
【0089】
図10は、本発明の第1実施形態に係る非接触給電システムにおいて、指定されたデューティ比を保つように基準電圧を調整する基準電圧調整回路の回路構成を例示する図である。なお、以下では、上記方法Bに基づいて基準電圧Vref及び反転基準電圧-Vrefを生成する場合を例として説明するが、上記方法Aに基づいて一方の基準電圧Vrefを生成する場合にも本構成は適用可能である。
【0090】
基準電圧調整回路300は、例えば図7に示される基準電圧生成回路230や、図8及び図9に示される基準電圧生成回路4に含まれる。基準電圧調整回路300は、基準電圧生成回路230,4において算出されたデューティ比を実現するように基準電圧を生成する。具体的に、基準電圧調整回路300は、整流回路310と、分圧回路320と、差動増幅回路330と、を含む。
【0091】
整流回路310は、互いに直列接続された1組のダイオードD1,D2及び1組のダイオードD3,D4と、これらの1組のダイオードD1,D2及び1組のダイオードD3,D4と並列接続されたコンデンサC3と、を含む。整流回路310は、交流である電圧V2を整流し、直流にして出力する。
【0092】
分圧回路320は、互いに直列接続された可変抵抗素子R1及び可変抵抗素子R2を含む。分圧回路320は、整流回路310により整流された電圧を所定の割合において分圧し、可変抵抗素子R1と可変抵抗素子R2との接続点から分圧された電圧V3を出力する。なお、可変抵抗素子R1の抵抗値をr1とし、可変抵抗素子R2の抵抗値をr2とすると、分圧された電圧V3は、V3=r2/(r1+r2)×V2により表される。分圧回路320では、可変抵抗素子R1,R2の抵抗値を適宜設計することにより、電圧V2の振幅値に対する基準電圧Vrefの比を調整することができる。従って、上述のデューティ比を指定されたレベルに保つことができる。
【0093】
差動増幅回路330は、分圧回路320により分圧された電圧V3と接地電位とを差動増幅し、基準電圧Vref及び反転基準電圧-Vrefを出力する。なお、差動増幅回路330には一般的な差動増幅回路を用いることができるため、詳細な説明を省略する。
【0094】
上記構成により、基準電圧調整回路300は、コンデンサC2の両端に印加される電圧V2の振幅値に比例した基準電圧Vref及び反転基準電圧-Vrefを生成する。これにより、例えば送電装置2から送電される電力の大きさの相違、コンデンサC1の容量値の変動、又は回路の過渡特性等により電圧V2の振幅値が変動しても、基準電圧Vref及び反転基準電圧-Vrefもまた電圧V2の振幅値に応じて変動することとなる。従って、例えば電圧V2の振幅値の変動に応じて基準電圧を指定し直す構成に比べて、複雑な回路を用いることなくデューティ比を一定に保つことができる。
【0095】
なお、コンデンサC2の両端に印加される電圧V2は、例えば差動増幅回路により検出され、当該差動増幅回路から出力される電圧が基準電圧調整回路300に供給されてもよい。
【0096】
[適用例]
上記の非接触給電システム1,1a,1bは、例えば工場内を自動走行する無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)や、電気自動車等への給電に用いることができる。本実施形態によれば、例えば1つの受電装置が複数の送電装置から電力を受電する場合に、送電装置から送信される送信信号の周波数がそれぞれ異なっていても、各送信信号の周波数に応じて受電ユニット40の共振周波数を調整することにより、高い伝送効率で電力を受電することができる。
【0097】
あるいは、非接触給電システム1,1a,1bは、シール型の脈拍センサやテキスタイル側の筋電センサ等のウェアラブルデバイスへの給電に用いることができる。このようなフレキシブルデバイスに受電装置3を組み込むためには、回路全体をフレキシブル化する必要がある。ここで、受電コイル41をフレキシブル化すると、当該受電コイル41の変形に応じてインダクタンス値が変動し、結果として受電ユニット40の共振周波数が変動し得る。この点、本実施形態によれば、受電コイル41のインダクタンス値の変動を補償するように共振コンデンサ42の容量値を調整することにより、受電ユニット40の共振周波数を送信信号の周波数に合わせることができる。従って、高い伝送効率で電力を受電することができる。
【0098】
[変形例]
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0099】
例えば、上記の各実施形態では、送電ユニット20及び受電ユニット40のいずれもが直列共振回路により構成される態様が示されているが、本発明はこれに限られず、送電ユニット20及び受電ユニット40のいずれか一方又は双方が並列共振回路により構成されていてもよい。この場合も、共振コンデンサに上記の可変容量回路を適用することにより、並列共振回路の共振周波数を調整することができる。
【0100】
また、上記の各実施形態において、例えば送電装置2における電源回路10と送電ユニット20の間、あるいは受電装置3における受電ユニット40と負荷60との間に、インピーダンス整合回路をさらに備えていてもよい。このインピーダンス整合回路に含まれるコンデンサに上記の可変容量回路を適用することにより、信号の周波数に応じた容量値の調整が可能となり、これによっても送電電力や伝送効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0101】
1…非接触給電システム、2…送電装置、3…受電装置、4…基準電圧生成回路、10…電源回路、20…送電ユニット、30…第1検出器、40…受電ユニット、50…整流平滑回路、60…負荷、70…第2検出器、21…送電コイル、22,23…共振コンデンサ、41…受電コイル、42…共振コンデンサ、100,100A~100C…可変容量回路、110…スイッチ制御回路、111…AND回路、200…制御系、210…共振回路、220…電圧電流検出器、230…基準電圧生成回路、240…スイッチ制御回路、250…スイッチング回路、300…基準電圧調整回路、310…整流回路、320…分圧回路、330…差動増幅回路、C1~C3…コンデンサ、Tr1~Tr4…トランジスタ、OP1~OP4…比較器、D1~D4…ダイオード、R1,R2…可変抵抗素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10